説明

表示装置

【課題】電子部品で発生した熱を効率良く放熱することが可能な、新規かつ改良された表示装置を提供すること。
【解決手段】本体スタンド部100と、表示ディスプレイ部300と、本体スタンド部100から立設されて表示ディスプレイ部300を支持するアーム部200と、を備える表示装置1000であって、本体スタンド部100の内部に設けられ、電子部品480aが実装された回路基板480と、回路基板480と対向して配置され、複数の電子部品480aと直接的又は間接的に接触する放熱板500と、放熱板500に配設されたヒートパイプ510と、放熱板500に装着され、ヒートパイプ510の終端が接続された冷却ファン520と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパーソナルコンピュータにおいて、本体内部に配置される電子部品の発熱を抑えるため、特定の電子部品からの発熱を、ヒートパイプを用いて放熱用の冷却ファンまで熱輸送し、放熱することが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば小型のテレビ受像機の表示装置では、本体内部に多数の電子部品が密集して配置され、個々の電子部品が個別に発熱するため、本体内部には多数の発熱部品が混在している。このような場合、個々の電子部品の発熱をヒートパイプで放熱しようとすると、ヒートパイプの配置が複雑となり、効率よく放熱することは困難である。このため、特に小型のテレビ受像機などでは、表示装置の本体内部の温度が上昇し易くなるという問題が生じる。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電子部品から発生した熱を効率良く放熱することが可能な、新規かつ改良された表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、本体スタンド部と、表示ディスプレイ部と、前記本体スタンド部から立設されて前記表示ディスプレイ部を支持する支持部と、を備える表示装置であって、前記本体スタンド部の内部に設けられ、電子部品が実装された回路基板と、前記回路基板と対向して配置され、前記回路基板上の複数の前記電子部品と接触する放熱板と、前記放熱板に配設されたヒートパイプと、前記放熱板に装着され、前記ヒートパイプの終端が接続された冷却ファンと、を備える表示装置が提供される。
【0006】
上記構成によれば、表示ディスプレイ部は、本体スタンド部から立設された支持部により支持される。本体スタンド部の内部には、電子部品が実装された回路基板が設けられ、回路基板と対向して、回路基板上の複数の電子部品と接触する放熱板が配置される。放熱板には、ヒートパイプが配設され、ヒートパイプの終端が接続された冷却ファンが放熱板に装着される。従って、回路基板上の複数の電子部品から発生した熱は、放熱板を介してヒートパイプに送られ、冷却ファンまで熱輸送される。これにより、本体スタンド部内に多数の発熱部品が混在する場合であっても、放熱板及びヒートパイプを介して確実に熱輸送を行うことが可能となり、本体スタンド部の放熱を効率良く行うことが可能となる。
【0007】
また前記放熱板は複数の凹面又は凸面を有し、前記凹面又は凸面の位置で前記回路基板の表面からの高さが異なる複数の前記電子部品がそれぞれ接触するものであってもよい。かかる構成によれば、放熱板に複数の凹面又は凸面が設けられるため、回路基板の表面からの高さが異なる複数の電子部品を放熱板に接触させることができ、形状の異なる複数の電子部品からの放熱を確実に行うことが可能となる。
【0008】
また、前記ヒートパイプは、前記放熱板上で前記凹面又は凸面が形成されていない領域に配設されているものであってもよい。かかる構成によれば、ヒートパイプの形状が凹面又は凸面によって制約を受けることがないため、構造を簡素にすることができ、ヒートパイプが配設された放熱板の製造コストを低減することができる。
【0009】
また、少なくとも2つの前記回路基板を備え、隣接して配置される前記回路基板の間に前記放熱板が配置され、前記放熱板は、隣接して配置される前記回路基板の双方に実装された前記電子部品と直接的又は間接的に接触するものであってもよい。かかる構成によれば、隣接して配置される少なくとも2つの回路基板から発生する熱を1枚の放熱板で確実に放熱することができる。
【0010】
また、前記放熱板の電位が接地電位とされているものであってもよい。かかる構成によれば、回路基板に対するノイズの影響を確実に低減することができる。
【0011】
また、前記ヒートパイプは、前記電子部品からの発熱量が周囲に比べて大きい領域に沿って配設されたものであってもよい。かかる構成によれば、発熱量が大きい領域で発熱した熱をヒートパイプで効率良く熱輸送することができる。
【0012】
また、前記放熱板は、熱伝導性シートを介して前記電子部品と接触しているものであってもよい。かかる構成によれば、電子部品の発熱を、熱伝導性シートを介して放熱板へ確実に伝熱することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品から発生した熱を効率良く放熱することが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
[表示装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置1000の外観を示す概略斜視図である。ここで、図1(A)は、正面右上から表示装置1000を見た状態を示す概略斜視図である。また、図1(B)は、表示装置1000の背面、右上から表示装置1000を見た状態を示す斜視図である。また、図2は、正面左側から表示装置1000を見た状態を示す概略斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態の表示装置1000は、本体スタンド部100、アーム部(支持部)200、及び表示ディスプレイ部300を備えて構成されている。表示装置1000は、例えばテレビ放送の映像などを受信して表示ディスプレイ部300の表示画面300aに表示するものである。
【0017】
表示ディスプレイ部300は、有機エレクトロルミネセンス(EL; Electro Luminescence)現象を利用して画像を表示する表示パネル(有機ELパネル)320を備えている。有機ELパネル320は、自発光素子である複数の有機EL素子を有して構成され、バックライトなどの構成が不要であるため、その厚さは十分に薄く構成される。図2に示すように、本実施形態の表示ディスプレイ部300は、その厚さtが数mm程度(3mm程度)以下に抑えられており、非常に厚さの薄い薄型パネルとされている。
【0018】
アーム部200は、本体スタンド部100の後方に1箇所設けられ、本体スタンド部100から上方に向けて立設されている。アーム部200は、表示装置1000を正面から見た場合に、本体スタンド部100の横方向(水平方向)の中心よりも右側に設けられており、表示ディスプレイ部300の横方向の中心よりも右側に連結されている。このように、本実施形態の表示装置1000では、表示ディスプレイ部300の水平方向の中心よりも左右いずれかの端部側にアーム部200が設けられ、表示ディスプレイ部300が片持ちで支持されている。
【0019】
液晶ディスプレイの場合、バックライトが必要であるため、表示ディスプレイ部の厚さが厚くなり、重量も重くなる。特に、本実施形態のように、コンピュータ用のディスプレイではなく、テレビ映像を表示するディスプレイとしての使用を想定した場合、テレビ受像機としての画質を確保するためには、コンピュータ用ディスプレイよりも多くのバックライトを配置する必要がある。また、液晶ディスプレイには、バックライトの他に、バックライトを制御するためのインバータも必要になる。このため、液晶ディスプレイの場合、重量が重くなり、表示ディスプレイ部を片持ちで支持するためには、アーム部を含めたディスプレイ部の剛性を大幅に高める必要があり、構造の複雑化、重量の増大が想定される。従って、液晶ディスプレイを片持ちで支持することは、ユーザの利便性、製造コスト等を考慮すると現実的ではない。
【0020】
一方、有機ELパネルは、自発光素子である有機EL素子からなるため、バックライトや、これに付随するインバータなどの構成部材は不要であり、薄板のガラス製のパネルのみで軽量に構成することができる。従って、本実施形態によれば、表示ディスプレイ部300自体を非常に軽量に構成することができ、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持することが可能となる。
【0021】
表示ディスプレイ部300は、アーム部200との連結部を中心として、図2の矢印A1方向に回動可能とされており、ユーザは、表示ディスプレイ部300のチルト位置を所望の角度に設定することができる。
【0022】
従来の表示パネルにおいて、表示パネルを支持する部材は、一点支持の場合は表示パネルの横方向の中央部分を下側から支持している。また、2点支持の場合は、表示パネルの横方向の両端近傍を下側から支持している。本実施形態では、アーム部200を表示ディスプレイ部300の横方向の中央部分からずらした配置し、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持するため、アーム部200がユーザの視野から外れ、ユーザに対して表示画面300aのみを独立して認識させることができる。これにより、ユーザに対しては、あたかも本体スタンド部100上に表示ディスプレイ部300がアーム部200を介さずに浮いているような印象を与えることができる。従って、表示ディスプレイ部300を片持ちで支持することにより、ユーザに対して表示画面300aのみを独立して注視させることが可能となる。
【0023】
また、本体スタンド部100の中央にアーム部200の根元を連結する必要がなくなり、アーム部200の設置の自由度が向上する。従って、本体スタンド部100の内部構造、基板の配置等を考慮して、本体スタンド部100に対するアーム部200の設置位置を決めることが可能となり、設計の自由度を高めることができる。これにより、本体スタンド部100の内部構造を考慮した上で、最も効率良く構成部材を配置することが可能となり、表示装置1000の大きさを最小限に抑えることも可能となる。また、アーム部200が本体スタンド部100の中央に設置されないため、本体スタンド部100の上面に有効なスペースを広くとることができ、本体スタンド部100の上面に表示部、操作ボタン、LED表示灯などを自由に配置することも可能となる。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、アーム部200は、本体スタンド部100の後方から表示ディスプレイ部300の裏面に向かって傾斜して設けられている。図2において、鉛直方向に対するアーム部200の傾斜角度θは、45°〜60°程度の値とされる。これにより、表示ディスプレイ部300を正面から見た場合に、アーム部200は表示ディスプレイ部300の裏に隠れてしまい、アーム部200がユーザの視野内で認識されることが抑えられる。従って、アーム部200を表示ディスプレイ部300の中心からずらして配置したこととの相乗効果により、アーム部200がユーザの視界内に認識されることを確実に抑えることができる。
【0025】
このため、ユーザの視野には、表示ディスプレイ部300と本体スタンド部100のみが映り、アーム部200は殆ど視野に入らないため、ユーザが表示ディスプレイ部300と本体スタンド部100の接続状態を直接的に認識することが抑えられる。従って、ユーザにとっては、あたかも空間に表示ディスプレイ部300が浮いているような感覚が生じる。
【0026】
また、上述したように、本実施形態の構成では、表示ディスプレイ部300の厚さが数mm程度と非常に薄く構成されているため、ユーザにとって表示ディスプレイ部300の軽量感が強調されて認識される。従って、ユーザにとって、空間に表示ディスプレイ部300が浮いている感覚との相乗効果により、非常に浮遊感、軽量感の溢れる表示ディスプレイ部300が提供される。
【0027】
これにより、ユーザは、空間に浮遊しているように認識される表示ディスプレイ部300の表示内容のみを注視することができ、他の構造物に気をとられることなく、集中して表示内容を見ることができる。従って、ユーザに表示画面300aが浮いている感じを演出しつつ、良好なデザイン性を維持することが可能となるとともに、表示画面300aの視認性を大幅に向上させた表示装置1000を提供することが可能となる。
【0028】
[アーム部の構成]
図3は、アーム部200の構成を示す模式図である。図3に示すように、アーム部200には、その長手方向に沿って、側面に貫通する開口230が形成されており、中抜き構造とされている。そして、このような中抜き構造としたことにより、アーム部200は、上部に位置する第1アーム部210と、下部に位置する第2アーム部220とから構成されている。第1アーム部210及び第2アーム部220は、薄い平板状に構成され、開口230を間に介在して対向しており、第1アーム部210及び第2アーム部220の肉厚は最小限に抑えられている。
【0029】
上述したように、表示ディスプレイ部300は、非常に薄く、軽量感、浮遊感に富んだ構成とされている。従って、表示ディスプレイ部300を支持するアーム部200についても、中抜き構造として肉厚を最小限に抑えることで、表示ディスプレイ部300と同様に軽量感、浮遊感に富んだ構成とすることができ、表示装置1000の全体として、軽量感、浮遊感を強調することができる。
【0030】
上述したように、液晶表示ディスプレイの場合、重量が重いため、強度を確保するためには、アーム部を中抜き構造にして軽量感、軽快感のある構成とすることは困難である。本実施形態では、有機ELパネル320によって表示ディスプレイ部300を構成しているため、アーム部200を中抜き構造にした場合であっても、必要な強度を確保することができる。従って、表示ディスプレイ部300を確実に支持するとともに、軽量感、軽快感に富んだ良好なデザイン性を確保することができる。
【0031】
第1アーム部210の上面には、カバー240が被せられる。そして、第1アーム部210の上面とカバー240の間には、本体スタンド部100と表示ディスプレイ部300を電気的に接続するフレキシブルプリント基板250が内蔵されている。
【0032】
図4は、アーム部200の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図4(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からアーム部200を見た状態を示す正面図、図4(B)は左側面図、図4(C)は右側面図、図4(D)は上面図、図4(E)は下面図、図4(F)は背面図、図4(G)は図4(C)中の一点鎖線I−I’に沿った断面図、をそれぞれ示している。カバー240を取り外した状態のアーム部200の本体部は、例えばアルミニウムなどの金属を素材として、鋳造や削り出しにより一体のブロックとして構成することができる。
【0033】
また、図5は、カバー240の構成を詳細に示す模式図である。ここで、図5(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からカバー240を見た状態を示す正面図、図5(B)は左側面図、図5(C)は右側面図、図5(D)は上面図、図5(E)は下面図、図5(F)は背面図、図5(G)は図5(C)中の一点鎖線II−II’に沿った断面図、をそれぞれ示している。図5に示すように、カバー240には、凹部242が設けられており、凹部242の両側の側壁242aが、第1アーム部210の幅方向の側面と嵌合するように構成されている。フレキシブルプリント基板250は、凹部242の底に収納された状態で、第1アーム部210とカバー240の間に配置される。従って、フレキシブルプリント基板250が外観に露出することはない。
【0034】
以上のように、表示ディスプレイ部300を有機ELパネル320から構成することで、表示ディスプレイ部300の重量を最小限に抑えることが可能となり、アーム部200を中抜き構造としても必要な強度を確保することができる。そして、アーム部200を中抜き構造としてアーム部200の体積を最小限に抑えたことにより、軽量、薄型に構成された表示ディスプレイ部300とともに、浮遊感、軽快感をユーザに喚起させることができる。また、第1アーム部210の中にフレキシブルプリント基板250を内蔵したことにより、ユーザに配線の存在を意識させない構造とすることができる。
【0035】
[表示ディスプレイ部の構成]
図6は、表示ディスプレイ部300の構成を示す模式図であって、表示ディスプレイ部300の分解斜視図を示している。図6に示すように、表示ディスプレイ部300は、ベズル310、有機ELパネル320、グラファイトシート330、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360、リアカバー420、Tカバー430を有して構成されている。
【0036】
ベースプレート340は、表示ディスプレイ部300の主要な骨格を成す部材であって、アーム部200は、ヒンジ部360を介してベースプレート340に対して連結される。また、有機ELパネル320、T基板350、ヒンジ部360などの主要構成部材は、ベースプレート340に対して固定されている。有機ELパネル320、T基板350、ヒンジ部360、リアカバー420、Tカバー430など、表示ディスプレイ部300を構成する主要な部材は、全てベースプレート340を基準として取り付けられる。
【0037】
有機ELパネル320の裏面には、グラファイトシート330が貼り付けられている。有機ELパネル320は、グラファイトシート330が貼り付けられた面をベースプレート340に対向させた状態で、ベースプレート340に対して粘着テープにより固定される。
【0038】
T基板350は硬質基板からなり、有機ELパネル320と接続される電源ライン、信号ラインが接続されている。T基板350の大きさはベースプレート340の大きさに対応しており、T基板350は、ベースプレート340に対して、有機ELパネル320が固定された面の反対側に固定されている。
【0039】
ヒンジ部360は、アーム部200とベースプレート340を連結する構成部材である。ヒンジ部360は、三角形状の平面形状を有する金属製の第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364、金属製のシャフト366等の構成部材を有して構成されている。シャフト366は、表示ディスプレイ部300の下端に沿って水平に配置されている。第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364は、ベースプレート340に対して固定され、シャフト366に対して回動可能に取り付けられている。一方、シャフト366は、アーム部200に対して固定されている。従って、ベースプレート340は、アーム部200に固定されたシャフト366に対して回動することができ、この際、回転中心軸はシャフト366の中心軸となる。これにより、上述したように図2中の矢印A1方向に表示ディスプレイ部300を回動させることができ、表示ディスプレイ部300のチルト角度を可変することが可能である。
【0040】
ベズル310は、有機ELパネル320の縁に装着され、表示ディスプレイ部300の縁の外観を構成する部材である。リアカバー420及びTカバー430は、表示ディスプレイ部300の裏面を覆う金属製のカバーである。リアカバー420には、T基板350及びヒンジ部360の位置に対応する部分に開口422が設けられており、主として表示ディスプレイ部300の裏面の上部を覆っている。一方、Tカバー430は、開口422の位置に対応して装着され、T基板350及びヒンジ部360を覆うように構成されている。
【0041】
ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部は、いずれも表示ディスプレイ部300の下側の半分以下の領域のみに設けられており、表示ディスプレイ部300の全体の面積に対してベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部が占める面積は最小限に抑えられている。一方、ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ360部が配置された領域以外では、主として有機ELパネル320、グラファイトシート330、リアカバー420の3つの部材のみ表示ディスプレイ部300の厚さが定められる。従って、特に表示ディスプレイ部300の上側半分を含む領域では、表示ディスプレイ部300の厚さを非常に薄くすることが可能となり、上述したように厚さを3mm程度に抑えることができる。
【0042】
通常、表示装置1000は机上などに配置されるため、ユーザが表示ディスプレイ部300を下側から見ることは殆どなく、表示ディスプレイ部300の厚さは上側から認識される。従って、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360などの部材を表示ディスプレイ部300の下側に配置して、表示ディスプレイ部300の上側の厚さを最小限に抑えることで、ユーザに対して表示ディスプレイ部300の薄さを強調することができる。従って、上述したような浮遊感、軽快感を演出しつつ、良好なデザイン性を維持することができる。
【0043】
図7は、ベースプレート340の構成を示す平面図である。ここで、図7(A)は、表示ディスプレイ部300の背面側からベースプレート340を見た状態を示す正面図、図7(B)は図7(A)の下面図、図7(C)は図7(A)の背面図、をそれぞれ示している。ベースプレート340はプレス成形された金属板から構成される。図7に示すように、ベースプレート340には、複数のネジ孔342,344が形成されている。ネジ孔342は、第1ヒンジ板362及び第2ヒンジ板364を固定するために用いられる。他のネジ孔344は、T基板350、Tカバー430などの表示ディスプレイ部300の構成要素を固定するために用いられる。
【0044】
ベズル310は、有機ELパネル320の周縁部に対して接着により固定される。図6に示すように、ベズル310には、有機ELパネル320の表示画面300aを露出させるための開口312が設けられている。
【0045】
図8は、リアカバー420の構成を示す模式図である。ここで、図8(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からリアカバー420を見た状態を示す正面図、図8(B)は表示ディスプレイ部300の背面側からリアカバー420を見た状態を示す背面図、をそれぞれ示している。
【0046】
また、図9は、Tカバー430の構成を示す模式図である。ここで、ここで、図9(A)は、表示ディスプレイ部300の正面側からTカバー430を見た状態を示す正面図、図9(B)は左側面図、図9(C)は右側面図、図9(D)は上面図、図5(E)は下面図、図9(F)は背面図、図9(G)は図9(A)中の一点鎖線III−III’に沿った断面図、をそれぞれ示している。
【0047】
図8に示すように、リアカバー420には、ベースプレート340、T基板350、及びヒンジ部360の位置に対応して開口422が設けられている。また、リアカバー420には、リアカバー420を固定するためのネジが挿入される貫通孔424が設けられている。リアカバー420は、後述するように、ベズル310に対して固定され、有機ELパネル320の背面側の上部を覆う。
【0048】
図10は、Tカバー430を取り外した状態で、表示装置1000を背面側から見た状態を示している。表示ディスプレイ部300の下側の領域には、ベースプレート340、T基板350、ヒンジ部360が配置されており、Tカバー430を取り外した状態では、T基板350及びヒンジ部360がリアカバー420の開口422から外観に露出している。
【0049】
図9に示すように、Tカバー430には、ヒンジ部360のシャフト366に対応する凹部432と、ベースプレート340、T基板350、第1ヒンジ板362、及び第2ヒンジ板364が配置された領域に対応する凹部434が設けられている。また、Tカバー430には、アーム部200に対応する位置に切り欠き部436が設けられている。
【0050】
Tカバー430をリアカバー420に被せると、シャフト366が凹部432に収納され、T基板350、第1ヒンジ板362、及び第2ヒンジ板364が凹部434に収納される。これにより、図1(B)に示すように、T基板350、ヒンジ部360などの構成部材がTカバー430によって覆われる。また、アーム部200は、Tカバー430の切り欠き部436から後方へ突出する。
【0051】
従って、表示ディスプレイ部300の背面側には、リアカバー420、Tカバー430、アーム部200のみが外観に露出し、非常にシンプルで洗練された外観を構成することができる。特に、表示ディスプレイ部300の上側では、厚さに関係する構成部材は、主として有機ELパネル320、グラファイトシート330、及びリアカバー420の3部材であるため、非常に薄型で浮遊感、軽量感のある表示ディスプレイ部300を構成することができる。また、ベースプレート340を表示ディスプレイ部300の剛性部材とし、表示ディスプレイ部300の主要な構成要素をベースプレート340に対して固定するようにしたため、非常に薄型でありながら、十分な強度を備えた表示ディスプレイ部300を構成することが可能となる。
【0052】
[本体スタンド部の構成]
図11は、本体スタンド部100の概略構成を示す分解斜視図であって、本体スタンド部100の上面のカバーを外した状態を示している。本体スタンド部100の筐体は金属製とされている。本体スタンド部100の内部には、表示ディスプレイ部300を駆動するための信号処理を行う回路基板(O基板)480、回路基板(B−CAS基板)490、冷却ファン520、放熱板(ヒートスプレッダ)500等がコンパクトに組み込まれている。本体スタンド部100には、衛星放送(BS,CS)、地上デジタル波などのチューナー、LAN、HDMI、USBなどの各種端子が組み込まれており、裏面側には、地上デジタル波を受信するためのロッドアンテナ104(図1(B)参照)が設けられている。また、本体スタンド部100には、スピーカーボックス、操作ボタンなどが組み込まれている。
【0053】
図12は、図11中の一点鎖線VI−VI’に沿った断面を示す模式図であって、回路基板480,490と放熱板500との位置関係を示している。回路基板480には、複数の電子部品480aが実装されている。また、回路基板490には、1又は複数の電子部品490aが実装されている。
【0054】
放熱板500は、本体スタンド部100の形状に対応した矩形状とされ、プレス成形した金属板から構成されている。放熱板500は、本体スタンド部100の内部において、電子部品480aが実装されていない領域を含む広範囲に延在している。
【0055】
放熱板500は、回路基板480,490に実装された電子部品480a,490aの位置に対応して設けられた複数の凸面500a、凹面500bを備えており、回路基板480,490に実装された電子部品480a,490aは、凸面500a又は凹面500bの位置で放熱板500と接触している。凸面500a、凹面500bの高さ、深さは、回路基板480の表面からの高さが異なる複数の電子部品480aに対応しており、回路基板480に放熱板500を装着した場合に、異なる高さの複数の電子部品480aが放熱板500と接触するように構成されている。同様に、凸面500a、凹面500bの高さ、深さは、回路基板490に実装された電子部品490aの高さに対応している。放熱板500は、電子部品480a,490aと直接接触しても良いし、シリコンゴムなどの熱伝導性シート(放熱シート)を介して間接的に接触しても良い。
【0056】
また、放熱板500は、冷却ファン520と一体に構成され、冷却ファン520とともに冷却ユニットを構成している。
【0057】
冷却ファン520は、遠心ファンから構成され、上下から吸入した空気を側面から排出する。冷却ファン520の下部において、本体スタンド部100には外気を吸入するための吸入口(不図示)が設けられている。冷却ファン520の回転により吸入口から吸入された空気は、本体スタンド部100の後面に設けられた開口部102から外部へ排出される。
【0058】
図11に示すように、放熱板500の上面には、放熱板500の一角から冷却ファン520に向かって延在するヒートパイプ510が設けられている。ヒートパイプ510は、例えば銅製のパイプ、銅棒から構成され、放熱板500の上面に溶着により固定されている。ヒートパイプ510は、放熱板500上の凸面500a、凹面500bが設けられていない位置を通るように直線状に設けられている。このような構成によれば、ヒートパイプ510を直線で構成することができるため、製造コストを低減することが可能である。
【0059】
図12に示すように、回路基板480に設けられた電子部品480aの上面は、放熱板500の凸面500aの位置で放熱板500と接触している。また、回路基板490に設けられたチップ490aの下面は、放熱板500の凹面500bの位置で放熱板500と接触している。この際、各電子部品480a,480bと放熱板500を、放熱シートを介して接触させることで、各電子部品480a,480bからの熱を効率良く放熱板500に伝達して拡散させることができる。
【0060】
そして、放熱板500に伝達された熱は、放熱板500のヒートパイプ510から冷却ファン520へと導かれる。従って、回路基板480,490上の電子部品480a,480bで発生した熱をヒートパイプ510に沿って熱輸送し、冷却ファン520から外部へ放出することが可能である。
【0061】
放熱板500と回路基板480との間にはジョイント部530が設けられている。また、本体スタンド部100と回路基板480との間にもジョイント部530が設けられている。ジョイント部530を導電性の材料から構成した場合、回路基板480のグランドラインと本体スタンド部100及び放熱板500の双方を接続することで、放熱板500が接地される。このような構成によれば、放熱板500により放熱を行うとともに、放熱板500を接地することができるため、回路基板480,490に対するノイズの影響を確実に抑えることが可能となり、信頼性を向上することができる。
【0062】
図13は、本体スタンド部100の内部構成の他の例を詳細に示す分解斜視図である。図13に示すように、本体スタンド部100の内部には、下側から順に、ボトムカバー550、メイン基板560、冷却ユニット570、トップカバーブロック580が配置されている。
【0063】
図14は、メイン基板560の上面を示す斜視図である。メイン基板560の上面には、多数の電子部品562が配置されている。図14中に示す6つの領域564a,564b,564c,564d,564e,564fは、これらの電子部品562からの発熱量が特に大きい領域を示している。
【0064】
図15は、メイン基板560上に配置される冷却ユニット570を示している。図11の例と同様に、冷却ユニット570は、放熱板572と冷却ファン574とが一体化されて構成されている。
【0065】
また、図15は、図14中の領域564a〜564fの位置を放熱板572の上面と対応付けて示している。図15に示すように、領域564a〜564fに対応する位置には、2つのヒートパイプ576が設けられており、ヒートパイプ576の末端は冷却ファン574に接続されている。冷却ファン574は、図11の冷却ファン520と同様に遠心ファンから構成され、上下から吸い込んだ空気を側部に排出し、本体スタンド部100の外部へ排出する。
【0066】
以上のような構成によれば、メイン基板560上の発熱量の大きい領域564a〜564f上を通るようにヒートパイプ576を配置しているため、電子部品562で発生した熱はヒートパイプ576へ伝達され、ヒートパイプ576を介して冷却ファン574へ送られる。従って、メイン基板560で発生した主要な熱を冷却ファン574へ効率良く送ることができ、本体スタンド100の内部の熱を外部へ効率良く放出することが可能となる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の外観を示す概略斜視図である。
【図2】正面左側から表示装置を見た状態を示す概略斜視図である。
【図3】アーム部の構成を示す模式図である。
【図4】アーム部の構成を詳細に示す模式図である。
【図5】アーム部のカバーの構成を詳細に示す模式図である。
【図6】表示ディスプレイ部の構成を示す分解斜視図図である。
【図7】ベースプレートの構成を示す平面図である。
【図8】リアカバーの構成を示す模式図である。
【図9】Tカバーの構成を示す模式図である。
【図10】Tカバーを取り外した状態で、表示装置を背面側から見た状態を示す模式図である。
【図11】本体スタンド部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図12】図28中の一点鎖線VI−VI’に沿った断面を示す模式図である。
【図13】本体スタンド部の内部構成の他の例を詳細に示す分解斜視図である。
【図14】図30に示すメイン基板の上面を示す斜視図である。
【図15】メイン基板上に配置される冷却ユニットを示す模式図である。
【符号の説明】
【0069】
1000 表示装置
100 本体スタンド部
200 アーム部
300 表示ディスプレイ部
480 回路基板
480a,562 電子部品
500,572 放熱板
500a 凸面
500b 凹面
510,576 ヒートパイプ
520,574 冷却ファン
560 メイン基板
564 発熱量の大きい領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体スタンド部と、表示ディスプレイ部と、前記本体スタンド部から立設されて前記表示ディスプレイ部を支持する支持部と、を備える表示装置であって、
前記本体スタンド部の内部に設けられ、電子部品が実装された回路基板と、
前記回路基板と対向して配置され、前記回路基板上の複数の前記電子部品と接触する放熱板と、
前記放熱板に配設されたヒートパイプと、
前記放熱板に装着され、前記ヒートパイプの終端が接続された冷却ファンと、
を備えることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記放熱板は複数の凹面又は凸面を有し、前記凹面又は凸面の位置で前記回路基板の表面からの高さが異なる複数の前記電子部品がそれぞれ接触することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ヒートパイプは、前記放熱板上で前記凹面又は凸面が形成されていない領域に配設されていることを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
少なくとも2つの前記回路基板を備え、隣接して配置される前記回路基板の間に前記放熱板が配置され、
前記放熱板は、隣接して配置される前記回路基板の双方に実装された前記電子部品と接触することを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記放熱板の電位が接地電位とされていることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ヒートパイプは、前記電子部品からの発熱量が周囲に比べて大きい領域に沿って配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記放熱板は、熱伝導性シートを介して前記電子部品と接触していることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2008−292697(P2008−292697A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137115(P2007−137115)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】