説明

表示装置

【課題】環境温度の変化による表示パネルの破損を容易に抑制する。
【解決手段】表示面Dが湾曲するように変形させたガラス基板を有する曲面状の表示パネル30と、表示パネル30の少なくとも湾曲した一対の端縁部に密着するパネル保持部材35とを備えた表示装置50であって、パネル保持部材35の熱膨張係数は、17×10−6/K以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、表示面が湾曲した曲面状の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルを用いた液晶表示装置では、近年、液晶表示パネルの表示面が湾曲した曲面状の斬新なデザインが注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、曲面状の液晶表示パネルがその湾曲していない一対の端縁部で固定された表示装置が開示されている。この特許文献1及び2に開示された表示装置では、表示面を一定な曲率で湾曲させることが困難であるので、ガラス基板を用いた液晶表示パネルであれば、パネル中央部分に応力が集中することにより、液晶表示パネルが容易に割れて破損するおそれがある。
【0004】
また、特許文献3には、第一の湾曲表面を備えた透明な上ケース板と、可撓性のフィルム液晶パネルと、そのフィルム液晶パネルの上面を上ケース板の第一の湾曲表面に密接させるべく、フィルム液晶パネルの下面を支える下ケースとを有する液晶表示装置が開示されている。この特許文献3に開示された液晶表示装置では、表示面を一定な曲率で湾曲させることができるものの、ガラス基板を用いた液晶表示パネルであれば、液晶表示パネルとそれに密着する部材との間の熱膨張率の差により、液晶表示パネルに局所的な応力が発生することにより、液晶表示パネルが割れて破損するおそれがある。
【0005】
ここで、図7は、特許文献3に開示された技術を応用した従来の曲面状の液晶表示装置150の斜視図である。
【0006】
液晶表示装置150は、図7に示すように、表示面Dが湾曲するように変形させた曲面状の液晶表示パネル130と、液晶表示パネル130の周端部を上側から保持する枠状の上側保持部材135aと、液晶表示パネル130の周端部を下側から保持する枠状の下側保持部材135bとを備えている。そして、上側保持部材135a及び下側保持部材135bと液晶表示パネル130との間には、表示面を一定な曲率で湾曲させるために、両面テープなどの接着層が設けられている。
【0007】
液晶表示パネル130には、無アルカリのガラス基板がよく用いられ、そのガラスの熱膨張係数は、例えば、4×10−6/Kである。
【0008】
上側保持部材135a及び下側保持部材135bには、アクリル樹脂がよく用いられ、そのアクリル樹脂の熱膨張係数は、例えば、70×10−6/Kである。
【0009】
そして、カーナビゲーションなどの車載用の液晶表示パネルを想定し、25℃〜85℃の60℃の温度上昇を想定し、液晶表示パネルの湾曲方向の長さを300mm、ガラスのヤング率を77GPa、ガラスの破壊強度を後述するように100MPaとすると、液晶表示パネルの伸びは、0.072mm(=4×10−6×60×300)となり、上側保持部材135a及び下側保持部材135bの伸びは、1.26mm(=70×10−6×60×300)となり、両者間の歪みは、0.4%(=(1.26−0.072)/300×100)となる。そのとき、発生する応力は、約300MPa(=77×10×0.4×10−2)となり、ガラスの破壊強度(100MPa)を超えてしまうので、液晶表示装置150(液晶表示パネル130)を構成するガラス基板は、図7に示すように、亀裂Cが入って破損してしまう。
【0010】
さらに、特許文献4には、湾曲面を有する一対の保持材と、それらの一対の保持材の各湾曲面間に挟持された表示パネルとを備え、その表示パネルが可撓性のあるガラス基板を含んで構成され、保持材と表示パネルとの間に応力緩衝材を有する表示装置が開示されている。そして、これによれば、保持材と表示パネルとの間に応力緩衝材が配置されているので、表示画面が湾曲していても、ガラス基板の局部的な歪みや破損を効果的に防止し、表示性能及び耐久性に優れた表示パネルを実現することができる、と記載されている。
【特許文献1】実開昭59−134171号公報
【特許文献2】実開昭59−138885号公報
【特許文献3】特開2004−69627号公報
【特許文献4】特開2007−272107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献4に開示された表示装置では、表示パネルの破損を抑制することができるものの、保持材と表示パネルとの間に応力緩衝材を配置する必要があるので、改善の余地がある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境温度の変化による表示パネルの破損を容易に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、パネル保持部材の熱膨張係数が17×10−6/K以下であるようにしたものである。
【0014】
具体的に本発明に係る表示装置は、表示面が湾曲するように変形させたガラス基板を有する曲面状の表示パネルと、上記表示パネルの少なくとも湾曲した一対の端縁部に密着するパネル保持部材とを備えた表示装置であって、上記パネル保持部材の熱膨張係数は、17×10−6/K以下であることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、パネル保持部材の熱膨張係数が17×10−6/K以下に設定されているので、表示パネルとパネル保持部材との間の歪みが抑制される。これにより、表示パネルとパネル保持部材との間に発生する応力がガラス基板の破壊強度を超え難くなるので、表示パネルを構成するガラス基板の破損が抑制される。したがって、熱膨張係数が17×10−6/K以下であるという条件を満たす材料をパネル保持部材として選定するたけで、表示パネルの破損が抑制されるので、環境温度の変化による表示パネルの破損が容易に抑制される。
【0016】
上記パネル保持部材は、上記表示パネルの表示面が露出するように枠状に形成されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、パネル保持部材が枠状に形成されているので、パネル保持部材が表示パネルの周端縁部に具体的に密着することになる。
【0018】
上記表示パネルは、液晶表示パネルであってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、表示パネルが液晶表示パネルであるので、表示パネルが互いに対向して配置された一対のガラス基板を具体的に備えることになる。
【0020】
上記パネル保持部材は、上記液晶表示パネルの凹面側に設けられていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、パネル保持部材が液晶表示パネルの凹面側に設けられているので、曲面状に変形させた液晶表示パネルの凹面側のガラス基板の内方への弛みが押さえ付けられ、セル厚むらの発生が抑制される。
【0022】
上記表示パネル及び上記パネル保持部材の間には、接着層が設けられていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、表示パネルとパネル保持部材との間に接着層が設けられているので、パネル保持部材が表示パネルの少なくとも湾曲した一対の端縁部に具体的に密着することになる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、パネル保持部材の熱膨張係数が17×10−6/K以下であるので、環境温度の変化による表示パネルの破損を容易に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本実施形態の液晶表示装置50の斜視図である。
【0027】
液晶表示装置50は、図1に示すように、表示面Dが湾曲するように曲面状に変形させた液晶表示パネル30と、液晶表示パネル30の上側に表示面Dが露出するように枠状に設けられたパネル保持部材35と、液晶表示パネル30の下側に設けられた曲面状のバックライトユニット40とを備えている。
【0028】
液晶表示パネル30は、図1に示すように、互いに対向して配置されたTFT(Thin Film Transistor)基板10及びCF(Color Filter)基板20と、TFT基板10及びCF基板20の間に設けられた液晶層(不図示)と、TFT基板10及びCF基板20を互いに接着すると共に、それらの両基板10及び20の間に液晶層を封入するためのシール材(不図示)とを備え、TFT基板10が外方に向くようにTFT基板10及びCF基板20が湾曲している。ここで、液晶表示パネル30のサイズは、例えば、3.5型(縦80mm×横55mm、厚さ0.1mm×2)であり、その曲率半径が100mmである。
【0029】
TFT基板10は、例えば、ガラス基板上に互いに平行に延びるように設けられた複数のゲート線(不図示)と、各ゲート線を覆うように設けられたゲート絶縁膜(不図示)と、ゲート絶縁膜上に各ゲート線と直交する方向に互いに平行に延びるように設けられた複数のソース線(不図示)と、各ゲート線及び各ソース線の交差部分毎にそれぞれ設けられた複数のTFT(不図示)と、各TFT及び各ソース線を覆う層間絶縁膜(不図示)上にマトリクス状に設けられ、各TFTに接続された複数の画素電極(不図示)と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜(不図示)とを備えている。ここで、TFT基板10の湾曲していない一方の縁に沿った端部は、図1に示すように、CF基板20から突出して端子領域を構成し、その端子領域には、外部回路などに接続するためのFPC(Flexible Printed Circuit)45が貼り付けられている。
【0030】
CF基板20は、例えば、ガラス基板上に枠状に且つその枠内に格子状に設けられたブラックマトリクス(不図示)と、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層などを含むカラーフィルター層(不図示)と、ブラックマトリクス及びカラーフィルター層を覆うように設けられた共通電極(不図示)と、共通電極を覆うように設けられた配向膜(不図示)とを備えている。
【0031】
パネル保持部材35は、上述したように、枠状に設けられ、図1(及び後述する図2)に示すように、図中上辺部及び下辺部が所定の曲率を有するように湾曲した角柱状に形成され、図中左辺部及び右辺部が直線状の角柱状に形成されている。また、パネル保持部材35は、例えば、チタン(熱膨張係数:8.4×10−6/K)、チタン合金(熱膨張係数:3×10−6/K〜9×10−6/K、例えば、Ti-6Al-4Vで8.8×10−6/K)、ガラス(熱膨張係数:4×10−6/K〜9×10−6/K)、ステンレス鋼SUS301(熱膨張係数:16.9×10−6/K)などにより構成され、熱膨張係数が17×10−6/K以下になっている。また、パネル保持部材35は、図1に示すように、接着剤や両面テープなどにより構成された接着層36(後述する図2参照)を介して、液晶表示パネル30(CF基板20)の表示面Dの周辺の額縁領域F(後述する図2参照)に接着されている。
【0032】
バックライトユニット40は、一方向に湾曲したアクリル樹脂などの透明な樹脂製の導光板(不図示)と、導光板の湾曲していない縁に沿って設けられたLED(Light Emitting Diode)などのランプ(不図示)と、導光板の外周面に設けられた白色のPET(Polyethylene Terephthalate)フィルムなどの樹脂製の反射シート(不図示)と、導光板の内周面に設けられたアクリル樹脂などの樹脂製の拡散シート(不図示)及びプリズムシート(不図示)と、上記導光板、ランプ、反射シート、拡散シート及びプリズムシートなどを内部に収容するように断面凹状に設けられたアクリル樹脂などの樹脂製の筐体(不図示)とを備えている。
【0033】
上記構成の液晶表示装置50では、TFT基板10の各画素電極及びCF基板20の各着色層毎に1つの画素が構成されており、各画素において液晶層に所定の大きさの電圧を印加させることにより、液晶層の配向状態を変えて、バックライトユニット40から液晶表示パネル30に入射した光の透過率を調整して画像が表示される。
【0034】
次に、本実施形態の液晶表示装置50を製造する方法について、図2を用いて説明する。ここで、本実施形態の製造方法は、液晶表示パネル作製工程及びモジュール化工程を備える。なお、図2は、液晶表示装置50の製造方法を説明するための説明図である。
【0035】
<液晶表示パネル作製工程>
まず、例えば、厚さ0.7mm程度の大型のガラス基板上に、周知の方法を用いて、ゲート線、ソース線、TFT及び画素電極を含むTFT基板構成部をマトリクス状に形成することにより、TFT母基板(不図示)を作製する。なお、TFT母基板上には、各TFT基板構成部を覆うようにポリイミド樹脂を成膜した後に、ラビング処理を行うことにより配向膜を形成する。
【0036】
また、例えば、厚さ0.7mm程度の大型のガラス基板上に、周知の方法を用いて、ブラックマトリクス、カラーフィルター層及び共通電極を含むCF基板構成部をマトリクス状に形成することにより、CF母基板(不図示)を作製する。なお、CF母基板上には、各共通電極を覆うようにポリイミド樹脂を成膜した後に、ラビング処理を行うことにより配向膜を形成する。
【0037】
続いて、例えば、ディスペンサを用いて、CF母基板の各CF基板構成部にシール材を枠状に描画する。
【0038】
その後、シール材が描画されたCF母基板に対し、シール材に囲まれた領域に液晶材料を滴下する。
【0039】
さらに、液晶材料が滴下されたCF母基板とTFT母基板とを減圧下で貼り合わせた後に、大気圧に開放することにより、TFT母基板及びCF母基板の各外表面を加圧して、大型の貼合体を作製する。
【0040】
引き続いて、大型の貼合体に挟持された各シール材を硬化させた後に、TFT母基板及びCF母基板を構成する各ガラス基板を化学研磨処理(ケミカルエッチング処理)して、例えば、0.3mm程度にそれぞれ薄板化する。
【0041】
そして、薄板化された貼合体のTFT母基板の外表面において、各TFT基板構成部の周囲に沿って、例えば、円盤状の分断刃の刃先を当接させながら、その分断刃を転動させることにより、線状のクラックを形成すると共に、そのクラックを厚さ方向に成長させることにより、TFT母基板を各TFT基板構成部毎に分断して、TFT基板10(図2参照)を作製する。ここで、上記分断刃は、その刃先が、例えば、タングステンカーバイドなどの超硬合金や焼結ダイヤモンドなどにより構成されている。
【0042】
続いて、TFT母基板が分断された貼合体を表裏反転させた後に、CF母基板の外表面において、各CF基板構成部の周囲に沿って、例えば、上記分断刃の刃先を当接させながら、その分断刃を転動させることにより、線状のクラックを形成すると共に、そのクラックを厚さ方向に成長させることにより、CF母基板を各CF基板構成部毎に分断して、CF基板20(図2参照)を作製する。
【0043】
以上のようにして、平面状の液晶表示パネル30(図2参照)が作製される。その後、液晶表示パネル30のTFT基板10の表面及びCF基板20の表面に偏光板(不図示)をそれぞれ貼り付けた後に、図2に示すように、液晶表示パネル30の端部にFPC45をACF(Anisotropic Conductive Film、不図示)を介して実装する。
【0044】
<モジュール化工程>
まず、図2に示すように、図中上辺部及び下辺部の曲率半径が600mmに形成されたパネル保持部材35の凸状の周面に、例えば、UV硬化型の接着剤をディスペンサなどで描画して、接着層36を形成する。
【0045】
続いて、パネル保持部材35の接着層36が形成された周面に、液晶表示パネル30(CF基板20)の額縁領域Fを当接させた後に、UV光を照射して接着層36を硬化させことにより、パネル保持部材35の凸状の周面に液晶表示パネル30を貼り付け、液晶表示パネル30を所定の曲率に変形保持させる。なお、接着層36は、枠状に形成した両面テープなどであってもよい。
【0046】
さらに、図2に示すように、バックライトユニット40の凹部の内部に、上記所定の曲率に保持された液晶表示パネル30を組み込む。
【0047】
以上のようにして、本実施形態の液晶表示装置50を製造することができる。
【0048】
次に、パネル保持部材35の材質を選定するために、具体的に行った実験について説明する。ここで、図3は、ガラス基板の破壊強度の測定結果を示すグラフであり、図4は、ガラス基板の破壊強度を測定するための強度試験装置90の斜視図である。
【0049】
まず、TFT基板及びCF基板に用いる無アルカリのガラス基板の破壊強度を確認すべく、図4で示すように、インストロン社製の5543万能材料試験機60を用いて、一般的に4点曲げ試験と呼ばれる強度試験を行った。この強度試験は、試験機60を構成する一対の上部加圧冶具61における荷重点間の距離aを20mmに、同じく一対の下部受け冶具62における支点間の距離bを40mmにして、一対の下部受け冶具62上に載置させたガラス基板Gに対し、一対の上部加圧冶具61を下降速度5mm/minで加圧することにより行った。そして、56枚のガラス基板Gが破壊するまでの最大荷重値をそれぞれ測定し、ガラス基板Gの曲げ強度を測定した。なお、ガラス基板Gのサイズは、厚さ0.2mm×幅55mm×長さ80mmである。
【0050】
結果は、図3のグラフのとおり、破壊強度の最小値が104MPaであったので、ガラス基板の破壊強度を100MPaと設定した。
【0051】
図5は、ガラス基板の歪み量及び応力の関係を示すグラフである。
【0052】
ここで、ガラス基板に100MPaの応力がかかったときのガラス基板の歪み量を算出すると、図5に示すように、0.13%となった。すなわち、ガラス基板の破壊に許容される歪み量は、0.13%となった。なお、ガラスのヤング率は、77GPaである。
【0053】
図6は、パネル保持部材の変化温度及び歪み量の関係を示すグラフである。
【0054】
ここで、図6において、直線aは、アクリル樹脂製のパネル保持部材における変化温度及び歪み量の関係を示し、直線bは、ステンレス鋼SUS301製のパネル保持部材における変化温度及び歪み量の関係を示し、直線cは、チタン製のパネル保持部材における変化温度及び歪み量の関係を示し、直線dは、ガラス製のパネル保持部材における変化温度及び歪み量の関係を示している。なお、アクリル樹脂の熱膨張係数は、70×10−6/Kであり、チタンの熱膨張係数は、8.4×10−6/Kであり、SUS301の熱膨張係数は、16.9×10−6/Kであり、ガラスの熱膨張係数は、4×10−6/Kである。
【0055】
そして、パネル保持部材として選定される材質は、図6に示すように、変化温度60℃であっても、歪み量が0.13%以下のものであるので、熱膨張係数が17×10−6/K以下のステンレス鋼SUS301、チタン、ガラスが望ましいことが確認された。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の液晶表示装置50によれば、パネル保持部材35の熱膨張係数が17×10−6/K以下に設定されているので、液晶表示パネル30とパネル保持部材35との間の歪みを抑制することができる。これにより、液晶表示パネル30とパネル保持部材35との間に発生する応力がガラス基板の破壊強度を超え難くなるので、液晶表示パネル30を構成するTFT基板10及びCF基板20の破損を抑制することができる。したがって、熱膨張係数が17×10−6/K以下であるという条件を満たす材料をパネル保持部材35として選定するたけで、液晶表示パネル30の破損を抑制することができるので、環境温度の変化による液晶表示パネル30の破損を容易に抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態の液晶表示装置50によれば、パネル保持部材35が液晶表示パネル30の凹面側に設けられているので、曲面状に変形させた液晶表示パネル30の凹面側のCF基板20の内方への弛みが押さえ付けられ、セル厚むらの発生を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、液晶表示パネル30を曲面状に変形させたときにTFT基板が第1基板として外方に配置する液晶表示装置を例示したが、本発明は、液晶表示パネルを曲面状に変形させたときにCF基板が第1基板として外方に配置する液晶表示装置にも適用することができる。
【0059】
また、本実施形態では、表示装置として、一対のガラス基板を備えた液晶表示装置を例示したが、本発明は、例えば、1枚のガラス基板を備えた有機EL(electroluminescence)表示装置やプラズマ表示装置などの他の表示装置にも適用することができる。
【0060】
また、本実施形態では、表示装置として、曲面状に変形させた液晶表示パネル30の凹面側にパネル保持部材35が設けられた液晶表示装置50を例示したが、本発明は、曲面状に変形させた表示パネルの凸面側にパネル保持部材が設けられた表示装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明は、環境温度の変化による表示パネルの破損を容易に抑制することができるので、環境温度の変化が大きい車載用の表示パネルについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置50の斜視図である。
【図2】液晶表示装置50の製造方法を説明するための説明図である。
【図3】ガラス基板の破壊強度の測定結果を示すグラフである。
【図4】ガラス基板の破壊強度を測定するための強度試験装置90の斜視図である。
【図5】ガラス基板の歪み量及び応力の関係を示すグラフである。
【図6】パネル保持部材の変化温度及び歪み量の関係を示すグラフである。
【図7】従来の曲面状の液晶表示装置150の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
D 表示面
10 TFT基板(ガラス基板)
20 CF基板(ガラス基板)
30 液晶表示パネル
35 パネル保持部材
36 接着層
50 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面が湾曲するように変形させたガラス基板を有する曲面状の表示パネルと、
上記表示パネルの少なくとも湾曲した一対の端縁部に密着するパネル保持部材とを備えた表示装置であって、
上記パネル保持部材の熱膨張係数は、17×10−6/K以下であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
上記パネル保持部材は、上記表示パネルの表示面が露出するように枠状に形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載された表示装置において、
上記表示パネルは、液晶表示パネルであることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載された表示装置において、
上記パネル保持部材は、上記液晶表示パネルの凹面側に設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載された表示装置において、
上記表示パネル及び上記パネル保持部材の間には、接着層が設けられていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145731(P2010−145731A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322643(P2008−322643)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】