説明

表示装置

【課題】 確かなクリック感が得られる下でタッチパネルのスイッチ入力ができ、スイッチの数の増減に対応できて薄型のタッチパネル付表示装置を提供する。
【解決手段】 タッチパネル42を備えた表示パネル51の下面に、表示パネル51の側面から突出する面を有する磁性体62を設ける。一方、表示パネル51の側面側にあって、筐体フレーム31の裏面側に永久磁石61を磁性体62の突出面と対向する位置に固定して設け、永久磁石61と磁性体62との吸着固定によってタッチパネル42と表示パネル51を筐体フレーム31に固定する。タッチパネル42を押圧することによって、タッチパネルのスイッチ入力が行われ、それとタイミングを同じくして永久磁石61と磁性体62との吸着が解かれて離反し、クリック感が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に表示パネルにタッチパネルを備えた表示装置であって、タッチパネルを押圧したときにクリック感が得られる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル上にタッチパネルを備えた表示装置おいて、タッチパネルが正常に操作が行われたか否かをクリック感によって判断する手法の技術が、従来からさまざま知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示されたスイッチ付表示パネルのクリック感を得る従来の構造について、図9を用いて説明する。なお、図9は説明しやすいようにその主旨を逸脱しないように書き直しした断面図である。
【0004】
図9において、2は液晶ディスプレイなどの表示パネルである。2aは表示領域、4はタッチパネル、4aはスイッチ領域である。また、10は操作機構部で、12は押しボタンである。また、20は係合部、21は復帰手段、22はガイド部材、26は鉄板なる固定側磁性体、28は永久磁石なる可動側磁性体である。Aは押しボタン12の移動方向を示している。
【0005】
図9に示されたスイッチ付表示パネルの構造は、表示パネル2で表示された部位の操作機構部10の透明な押しボタン12を押圧すると、押しボタン12に固定された永久磁石なる可動側磁性体28が鉄板なる固定側磁性体26から離反し、押しボタン12が下方に押し下げられる。そして、押し下げられた押しボタン12がタッチパネル4のスイッチ領域4aを押圧し、その表示領域部分のスイッチがONされる。
【0006】
押しボタン12の押圧を解除すると、押しボタン12に固定された可動側磁性体28(永久磁石)の吸着力の作用で押しボタン12が上方に押し上げられ、固定側磁性体26に可動側磁性体28が吸着して押しボタン12が静止する。
押しボタン12の復帰手段21は可動側磁性体28(永久磁石)の吸着力を利用した復帰構造をとっている。
【0007】
また、ここでの可動側磁性体28(永久磁石)は片面側にのみ着磁された磁性体を使用している。このような可動側磁性体28(永久磁石)を使用することによって、空間への磁力線の漏れを非常に小さくできるとされている。
【0008】
また、押しボタン12を押し下げたときのクリック感は、可動側磁性体28(永久磁石)が固定側磁性体26から離反したときに吸引力が急に弱くなり、急に押圧力が軽くなる。この急に押圧力が軽くなる作用を利用してクリック感の出現を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−315670号公報(第9頁、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図9に示された構造のスイッチ付表示パネルは、次のような問題を有する。
1つ目の問題点としては、押しボタン12を押したときのクリック感とタッチパネル4へのスイッチ入力のタイミングが同期化していない点である。つまり、押しボタン12を押し下げたときに可動側磁性体28が離反してクリック感が現れる。そして、押しボタン12が押し下げられて、押しボタン12がタッチパネル4に接触し、タッチパネル4を押圧したときにスイッチ入力が行われる。
この構造は、クリック感が得られた後にスイッチ入力が行われる構造になっている。そのため、クリック感が得られたからスイッチ入力がされたと思い、押しボタン12の操作をそこで止めてしまうと言うことが起こり得る。このような構造においては、タッチパネルへのスイッチ入力を知らせる信号が別に有れば好ましい。
【0011】
2つ目の問題点としては、個々のスイッチ操作する所に押しボタン12とガイド部材22を設ける構成をなしているので、スイッチ操作のスイッチの数とスイッチの設定部位が限定される点である。例えば、自動販売機のようにスイッチの数が一定で、決まっている場合は良いが、スイッチの位置が変わるとか、スイッチの数が増減する場合には適用できない。
【0012】
3つ目の問題点としては、ガイド部材22、押しボタン12を設ける構造であるので、表示パネル機器の厚みが厚くなる点である。軽量化、薄型化が求められる携帯情報端末機器にはこのような構造は向かない。
また更に、コスト面でアップする問題も有する。
【0013】
4つ目の問題点としては、押しボタン12を介して表示パネル2の表示画像を見る構造であるので、押しボタン12が介在する分透過率が低下する。従って、表示画像の鮮明性が低下する。
【0014】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたもので、確かなクリック感の下でタッチパネルを操作することができ、スイッチの位置や数に限定されないタッチパネル付の表示装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための手段として、本発明の表示装置は、表示パネル上にタッチパネルを備えたパネルユニットを筐体フレームの開口部に取付けた表示装置であって、パネルユニットと筐体フレームに永久磁石と磁性体とからなる吸着手段を設け、この吸着手段によってパネルユニットを筐体フレームに固定したことを特徴とするものである。
【0016】
このような構成にすると、パネルユニットのタッチパネルを押圧したときに、吸着手段によって筐体フレームに固定されたパネルユニットは、吸着手段である永久磁石と磁性体との吸着固定が解かれてパネルユニットが筐体フレームから離反して移動する。つまり、タッチパネルを押圧したときに、パネルユニットのスイッチが入り、その後に、永久磁石と磁性体との吸着固定が解かれてパネルユニットが動いて、クリック感が現れる。
これによって、タッチパネルを一定の力で押圧したとき、タッチパネルのスイッチが確実に入った後に、すぐに確かなクリック感が得られるようになる。
また、指示するスイッチの数やスイッチの位置は表示パネルの表示によって任意に変えられるので、数の増減や位置の変更などは自由に対応できる。
また、従来技術で用いられた押しボタンやガイド部材を用いないので、薄型化が可能になる。
【0017】
また、本発明の表示装置は、吸着手段をパネルユニットの側面側と開口部近傍の筐体フレームの裏面側に設けるのが好ましい。
【0018】
このようにすると、吸着手段が外側からは見えず、また、構造的にパネルユニットの表面と筐体フレームの表面を面一の状態に合わせることができ、外表面に凹凸のない綺麗な外観仕様に仕上げることができる。
【0019】
また、本発明の表示装置は、永久磁石と磁性体が対向して設けられているのが好ましい。
【0020】
このようにすると、永久磁石と磁性体との吸着力は強まり、確かなクリック感が出現する。また、パネルユニットと筐体フレームとの吸着力による固定も強固になり、振動などの衝撃に対して容易に動かない。
また、タッチパネルの押圧を解除したときには、パネルユニットは速やかに元の状態に復帰する。
【0021】
また、本発明の表示装置は、パネルユニットの側面側に設ける吸着手段をパネルユニットの側面から突出して設け、パネルユニットと一体的になって固定されているのが好ましい。
【0022】
このようにすると、パネルユニットの厚みを利用して、パネルユニットの厚みの範囲の中で吸着手段を設けることが可能になる。つまり、表示装置の厚みを厚くすることなく吸着手段を設けることができる。
更に、吸着手段にかかる負荷はパネルユニットからかかる負荷だけとなるので、吸着手段にかける力のコントロールが容易にできるようになる。
【0023】
また、本発明の表示装置は、パネルユニットの側面側に設ける吸着手段をパネルユニットの側面側一周にわたって設けるのが好ましい。
【0024】
このようにすると、タッチパネルのどの部位を押圧してもクリック感が得られるようになる。
【0025】
また、本発明の表示装置は、永久磁石の磁性体と対向した面の反対側の面には第2の磁性体を設けるのが好ましい。
【0026】
このようにすると、裏面側である反対側の面の漏れ磁束が減ると同時に表側の磁力線が増え、磁束が強くなって吸着力が増す。
【0027】
また、本発明の表示装置は、タッチパネルを押圧するとパネルユニットが移動し、パネルユニットと筐体フレームの少なくとも一部分が離反状態になり、タッチパネルの押圧を解除するとパネルユニットが復帰して筐体フレームと吸着固定状態になるのが好ましい。
【0028】
これによって、タッチパネルのスイッチを確実に押してからクリック感が得られるようになる。そして、押圧を解除すると自然にパネルユニットが元の状態に復帰する。
【0029】
また、本発明の表示装置は、パネルユニットの裏面側には少なくともパネルユニットの移動量に相当する隙間を有するのが好ましい。
【0030】
このようにすると、パネルユニットが隙間分移動して止まる。そして、この隙間の中でパネルユニットが移動することでクリック感が現れる。つまり、この隙間は、クリック感を出現させるためのストロークの役割をなす。従って、タッチパネルを押圧したときに、パネルユニットが正常に移動して吸着手段が正常に働き、確かなクリック感が得られるようになる。また、移動量に相当する隙間を有することで、パネルユニットが他の構成部品に接触しない。パネルユニットの破損なども防止できる。
【0031】
また、本発明の表示装置は、表示パネルが液晶パネル、ELパネル、プラズマパネルのいずれかであるのが好ましい。
【0032】
これらの表示パネルは、スイッチの指示情報の内容を容易に変えることができる。また、指示するスイッチの数やスイッチの位置も容易に変えることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上述べたように、本発明の表示装置は、確かなクリック感の下でスイッチ機能が働く。また、スイッチの数やその位置も制限することなく、任意に設定することができる。また、薄型にしてコスト面でのアップも最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部平面図と端面図である。
【図2】図1におけるタッチパネルの模式的に示した平面図と端面図である。
【図3】図1における永久磁石の形状を示す斜視図である。
【図4】図1における磁性体の他の形状を示した斜視図と、その形状の磁性体を搭載する一例としての保持部材の模式的に示した斜視図である。
【図5】図1における表示装置の効果を説明する模式的に示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部平面図と端面図である。
【図8】図7(a)における「A」なるスイッチ表示41を押圧したときにおける状態を説明する模式的に示した説明図である。
【図9】特許文献1に記載されたスイッチ付表示パネルの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態に係る表示装置について図を用いながら説明する。最初に、本発明の第1実施形態に係る表示装置を図1〜図5を用いて説明する。なお、図1は本発明の第1実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部平面図と端面図で、図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)の切断線X−X′における端面の端面図を示している。
また、図2は図1におけるタッチパネルを模式的に示した平面図と端面図で、図2(a)はその平面図、図2(b)は図2(a)の切断線Y−Y′における端面の端面図を示している。
また、図3は図1における永久磁石の形状を示す斜視図で、図3(a)はN極、S極が交互に着磁された永久磁石、図3(b)は内側にN極、外側にS極が着磁された永久磁石を示している。
また、図4は図1における磁性体の他の形状を示した斜視図と、その形状の磁性体を搭載する一例としての保持部材の模式的に示した斜視図で、図4(a)が磁性体の他の形状を示す斜視図、図4(b)は図4(a)の磁性体を搭載する保持部材の模式的に示した斜視図を示している。
また、図5は図1における表示装置の効果を説明する模式的に示した説明図で、図5(a)はタッチパネルの上下の透明電極同士が接触した状態図、図5(b)は永久磁石と磁性体とが離反した状態図を示している。
【0036】
図1において、30は表示装置である。この表示装置30は携帯電話機で、図1(a)では、表示画面のある表示パネル側のみを示している。図1(a)は、携帯電話機の表示画面のある表示パネル側とキースイッチのある操作パネル側とを開脚してそれぞれ表面側に表したとき、操作パネル側の平面図は省略し、表示パネル側のみを平面図で表している。
31は表示パネル側の筐体フレーム、32は操作パネル側の筐体フレーム、33はヒンジ、34は筐体である。表示パネル側の筐体フレーム31と操作パネル側の筐体フレーム32をヒンジ33を介して閉脚、開脚可能に組み立てられて筐体34が構成される。
31aは表示パネル側の筐体フレーム31に設けられた開口部である。31bは筐体フレーム31の裏面、31cは筐体フレーム31の内壁面、31dは筐体フレーム31の上面部である。
【0037】
40は表示部で、筐体フレーム31の開口部31aのところが表示部40をなす。41は表示部40に表示されたスイッチ表示である。図1(a)では、一例として「A,B,C,D」の4つのスイッチ表示41が適宜な間隔を設けて表示されている。
【0038】
42はタッチパネル、51は表示パネル、50はパネルユニットである。表示パネル51上にタッチパネル42を設けてパネルユニット50を構成している。
61は永久磁石、62に磁性体、65は隙間、69は制御基板である。
【0039】
[第1実施形態の表示装置の構成説明:図1、図2、図3]
第1実施形態の表示装置30は、表示パネル側の筐体フレーム31の開口部31aのところの表示部40に、表示パネル51上に透過性のタッチパネル42を備えたパネルユニット50が配設される。また、パネルユニット50を構成する表示パネル51の裏面には鉄板からなる磁性体62が固定されている。
磁性体62は強磁性体である鉄板などからなり、表示パネル51の側面から突出する大きさの形状をなす。そして、筐体フレーム31の内壁面31cとの間に僅かな隙間を有して、内壁面31cに沿って磁性体62がスムーズに動くようになっている。
ここで、タッチパネル42と表示パネル51と磁性体62は一体になって固定されており、タッチパネル42を強い力で押圧すると、筐体フレーム31の内壁面31cがガイドになって一体になったタッチパネル42、表示パネル51、磁性体62が内壁面31cに沿って移動するようになっている。
【0040】
表示部40においては、タッチパネル42を介して表示パネル51の表示画像が見える。第1実施形態においては、タッチパネル42は抵抗膜式のタッチパネルを用いており、表示パネル51はバックライト付の液晶パネルを用いている。
液晶パネルを用いた表示パネル51の表示画像は、設定された手順に沿って順次、表示画像の切換えが可能になっている。例えば、切換画像の一例として、図1(a)に示す「A,B,C,D」のスイッチ表示41の画像が現れる。
スイッチ表示41の「A,B,C,D」は、例えば、メニューの表示とか、電話帳の表示、メールの表示、音楽の表示などで、さまざまな情報選択の指示表示ができるようになっている。
【0041】
筐体フレーム31の上面部31dの裏面31bには永久磁石61が接着剤を介して裏面31bに固定されている。永久磁石61は、後述する図3(a)に示す永久磁石を用いており、着磁面側を磁性体62側に向けて配置し、着磁面の反対側の面を裏面31bに固定している。
この永久磁石61は、矩形の枠形状をなしており、筐体フレーム31の上面部31dの裏面31bに一周にわたって固定されている。そして、永久磁石61は表示パネル51の側面から突出した磁性体62の突出面に対向した位置に配置される。なお、永久磁石61は、棒状の永久磁石で矩形の枠形状を構成しても良い。
【0042】
図1(b)において、永久磁石61は磁性体62の突出面とは接触しているが、これは、永久磁石61の磁力によって磁性体62が永久磁石61に吸着されて接触している状態を示しているものである。
永久磁石61と磁性体62は吸着手段としての働きをなし、磁性体62に搭載されているパネルユニット50が永久磁石61と磁性体62を介して筐体フレーム31に固定された状態になっている。
【0043】
磁性体62の裏面側には隙間65を設けている。この隙間65は、タッチパネル42を押圧する力で永久磁石61と磁性体62との吸着が解かれて離反し、パネルユニット50及び磁性体62が下方に押し下げられるように設ける隙間である。
この隙間65は、永久磁石61と磁性体62とが離反したときに得られるクリック感に、確かなクリック感が得られるに十分な隙間で、確かなクリック感が得られるに必要とするパネルユニット50の移動量に相当する量を最小の隙間量として設定している。隙間が大きすぎると、確かなクリック感が得られるものの筐体フレーム31の厚みが厚くなるので好ましくない。また、隙間が小さすぎると、確かなクリック感が得られなくなる。この隙間65は確かなクリック感と筐体フレーム31の厚みなどを考慮して適宜に設定するのが良い。
なお、図示はしていないが、必要以上にパネルユニット50が移動しないようにストッパーを設けている。
【0044】
制御基板69は表示パネル51やタッチパネル42の駆動制御を行う基板である。図1(b)においては、表示パネル側の筐体フレーム31側に配設してあるが、特に筐体フレーム31側に限るものではなく、操作パネル側の筐体フレーム32側に配設してもなんら支障はないものである。
【0045】
[タッチパネルの説明:図2]
次に、タッチパネル42の構成について図2を用いて説明する。
図2において、43は下基板、43aは下透明基板、43bは下透明電極、43cは下導電電極、43dはドットスペーサである。
下基板43は下透明基板43aと、下透明基板43aの上面に矩形状に設けた下透明電極43bと、下透明電極43bの対向する両端に接続して設けた一対の下導電電極43cと、下透明電極43b上に一定の間隔に設けた透明樹脂からなるドットスペーサ43dとから構成している。
【0046】
44は上基板、44aは上透明基板、44bは上透明電極、44cは上導電電極である。
上基板44は上透明基板44aと、上透明基板44aの下面に矩形状に設けた上透明電極44bと、上透明電極44bの対向する両端に接続して設けた一対の上導電電極44cとから構成している。
【0047】
45はシール材である。シール材45は、図2(b)に示すように、上基板44と下基板43とを対向して、一定の隙間を設けて配置し、図2(a)に示すように、その外縁部をシールしている。
46は位相差板、47は偏光板である。位相差板46は下基板43の下面に設けており、偏光板47は上基板44の上面に設けている。位相差板46、偏光板47は防眩性を高めて透視性や品質表示を良くするために設けている。
タッチパネル42はこのような構成部品によって構成している。そして、下基板43の下透明電極43bと上基板44の上透明電極44bの重なり合った領域がタッチパネル42のアクティブエリアであり、概ね表示部40の領域をなしている。
なお、下基板43の下透明基板43aは延設部(図2(a),(b)において、左側端)を有しており、その延設部の一部分に下基板43の一対の下導電電極43cと上基板44の一対の上導電電極44cが引き回されて集合(図2(a)において、左側端の中央部)した構造をなしていて、FPC(図示していない)などの外部との接続手段を介して一対の下導電電極43cと一対の上導電電極44cに所要の電圧を印加するようになっている。
【0048】
上記構造をなすタッチパネル42の各構成要素部品は次のようになっている。下基板43を構成する下透明基板43aは透明なガラスが用いられる。このガラスはソーダガラスや石英ガラス、アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、普通板ガラス等が利用でき、反り等が起きない程度の厚さのものが使われる。多くは0.7〜1.1mmのものが選択される。上基板44を構成する上透明基板44aは可撓性を必要とするところなので透明な薄板ガラスや透明なプラスチックフイルムが用いられる。一般的に、耐熱性が求められる機器(例えば、カーナビゲーション等)にはガラスが使用される。ガラスとしては耐熱性や衝撃性にも強く、且つ可撓性も有する0.2mm厚みのホウケイ酸ガラスなどのマイクロガラス(マイクロシートガラス)などが用いられている。
【0049】
下基板43を構成する下透明電極43b及び上基板44を構成する上透明電極44bは錫をドープした酸化インジウムのITO(Indium Tin Oxide)膜で、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法等で形成する。この下透明電極43b及び上透明電極44bは高抵抗値であることが求められるため250〜500オングストロームの範囲で非常に薄く形成する。このITO膜は、基板全面に形成したものをフォトリソグラフィにより不要部分を除去し、必要な部分を残して形成する。
【0050】
下基板43を構成する一対の下導電電極43c、及び上基板44を構成する一対の上導電電極44cは、下透明電極43b及び上透明電極44bに電圧印加するために設けるもので、銀粉や銅粉等の高導電性金属粉を熱硬化性のエポキシ樹脂等に混ぜ合わせてインク化したものをスクリーン印刷等の印刷方法で形成する。タッチパネルの性能上、これらの電極の抵抗値が低ければ低いほど良いものであり、一般に、透明電極のシート抵抗値に対してこれらの電極のシート抵抗値は100分の1以下であることが必要とされている。そこで、これらの電極の印刷の厚さを増したり、幅を広くしたりして抵抗値を小さく押さえる設計がなされている。
【0051】
下基板43を構成するドットスペーサ43dは、押圧した部分以外の部分の透明電極同士が接触しないために設けるもので、透明なアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、その他の透明な樹脂材料をスクリーン印刷等の方法でドットマトリックス状に一定間隔に形成し、その後、熱または紫外線で硬化処理を施して形成する。このドットスペーサ43dは目に見えない大きさであることが求められることから、直径30〜60μm、ドット間隔は1〜8mmの範囲で設計される。また、厚みは、用いる上透明基板44aの材質や上下基板44、43の隙間量にもよって異なるが、上透明基板44aに0.2mmのマイクロガラスを使用し、上下基板44、43の隙間量を10μm前後に設定した場合は概ね2〜5μm位の厚みをとる。
【0052】
シール材45は、スペーサボールを分散させた熱硬化性のエポキシ樹脂接着剤やアクリル樹脂接着剤等をスクリーン印刷等の方法で印刷して形成する。ここで使われるスペーサボールは上基板44と下基板43との隙間を一定隙間に保持するために設けるもので、所定の大きさの絶縁性のあるプラスチックボールやファイバーガラス等が利用される。このプラスチックボールやファイバーガラスの大きさは、上基板44の上透明基板44aの材質や厚さによって異なるが、0.2mmのマイクロガラスを使用した場合は概ね10μm前後の径のものが選択される。このシール材45は上基板44または下基板43の何れか一方に印刷した後、上基板44と下基板43とを位置を合わせて貼合わせ、加圧の下で加熱処理を施して硬化させ、接着固定を行っている。また、このシール材45は上基板44と下基板43を固定する役目と共に内部に水分やゴミ等の進入を防止するシールの役目も果たしている。
【0053】
偏光板47と位相差板46は防眩性を高めて透視性や表示品質を良くするために設けている。偏光板47は、様々なものが使用されているが一例をあげると、ポリビニールアルコールフイルムを常法により一軸延伸することによって厚さが20μmの偏光フイルムを作成し、この両面に厚さが80μmのセルロース系フイルムを張り合わせて厚さ180μmの偏光板としたもの等が利用できる。また、位相差板46は、ポリカーボネイトを素材として形成され、厚さ80μm程度である。
【0054】
ここで、図2に示すタッチパネル42は、下基板43の下透明電極43bがx軸方向の位置を検出する働きをなし、上基板44の上透明電極44bがy軸方向の位置を検出する働きをなす。
例えば、図1(a)での、「A」のスイッチ表示41の位置は、下基板43の下透明電極43bでもってx軸方向の位置を検出し、上基板44の上透明電極44bでもってy軸方向の位置を検出する。
【0055】
なお、本発明の表示装置に用いられるタッチパネル42は、必ずしも図2に示すタッチパネルに限るものではない。例えば、XYマトリックス型の抵抗膜式タッチパネルであっても良く、指や押圧棒などで押圧することによって情報指示を行うタッチパネルには好適に適用できる。
また、静電容量型のタッチパネルに適用することも可能である。クリック感が得られるので、スイッチ入力を確実に体感できるようになる。
【0056】
[表示パネルの説明:図1]
第1実施形態における表示パネル51はバックライト付の液晶パネルを用いている。このバックライト付の液晶パネル51は液晶パネルの下面側にバックライトを備えたものである。
バックライトは、LED素子と導光板とプリズムシートを主要構成部品にして構成しており、導光板の側面に配設したLED素子から光を導光板内に導光し、その導光した光を導光板の上面側に配設したプリズムシートを介して液晶パネルに放射して、液晶パネルを明るく照明する。
【0057】
また、液晶パネルは、TFT素子を用いたアクティブマトリックス型の液晶パネルを用いており、カラーフィルタを液晶パネルの内部に配設してカラーの画像表示ができるようになっている。
表示部40に表示される「A,B,C,D」なるスイッチ表示41は液晶パネルでもって表示される。
【0058】
なお、第1実施形態においては、表示パネル51にバックライト付の液晶パネルを用いたが、表示パネル51は液晶パネルに限るものではなく、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルやプラズマパネルなどでも良い。これらの表示パネルは任意のカラー画像表示が得られる。
【0059】
[永久磁石の形状説明:図1、図3]
図1に示した第1実施形態の永久磁石61は、図3(a)に示した永久磁石を用いている。つまり、図3(a)に示すように、上面61a側にN極とS極が交互に着磁され永久磁石を用いている。これは、上面61a側のみにN極とS極を交互に着磁を施したものであるが、反対側の面である下面61b側には逆磁性が現れる。
【0060】
また、図3(b)に示すように、上面61aの内側にN極、外側にS極が着磁された永久磁石も好適に用いることもできる。なお、図3(b)の永久磁石は内側にN極、外側にS極が着磁されたものであるが、内側にS極、外側にN極が着磁されたものでも良い。
【0061】
永久磁石は、着磁面側を磁性体と対向(対面)するように配設する。図1(b)においては、永久磁石61の着磁面は磁性体62と対向する状態で配設している。
【0062】
[磁性体の形状説明:図1、図4]
磁性体62は強磁性体のことを表しているが、このような強磁性体としてはFe,Co,Niもしくはそれらの合金のようなフェロ磁性体、または各種のフェライトのようなフェリ磁性体などが挙げられる。
図1に示す第1実施形態の磁性体62はSPCCなる鉄板で構成している。
【0063】
第1実施形態の磁性体62は1枚の平板で構成しているが、形状は平板に限るものではない。例えば、図4(a)に示す矩形のリング形状のもので構成することも可能である。
図4(a)において、62aは開口部、62bは内形部を表していて、図3に示す永久磁石の形状に沿った形状をなす。
【0064】
図4(a)に示すリング形状の磁性体62を用いる場合は、例えば、図4(b)に示すような保持部材を用いると便利である。
図4(b)において、67は保持部材である。この保持部材67は内側に凹部67cを有し、外周部67aには外側に飛び出した鍔部67bを有する。
そして、凹部67cの中には、パネルユニット50のタッチパネル42が凹部67cから少し飛び出すようにしてパネルユニット50を収納、固定する。
また、鍔部67b上には磁性体62を載置して接着剤を介して固定する。磁性体62は、その内形部62bを保持部材67の外周部67aに挿入することによって磁性体62が鍔部67b上に載置される。
また、保持部材67はポリカーボネイト樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂を用いて射出成形方法にて形成することができる。
【0065】
図4(b)に示す保持部材67の形状はあくまでも一例である。他の形状の保持部材を設けて磁性体62を取付ける構造をなしてもなんら構わない。
【0066】
[効果の説明:図5]
次に、図1に示す表示装置の効果について図5を用いて説明する。図5(a)は指での押圧によってタッチパネルの上透明電極と下透明電極が接触した状態を示しており、図5(b)は更なる押圧力によって永久磁石と磁性体とが離反した状態を示している。なお、指での押圧部位はタッチパネルのほぼ中央部にあるスイッチ表示を押圧している状態図を示している。
【0067】
図5(a)において、Fは押圧力である。また、図5(b)において、rは筐体フレーム31の上面部31dの裏面とタッチパネル42との隙間、uは永久磁石61と磁性体62との隙間を表している。
【0068】
最初に、図5(a)において、指でスイッチ表示41の部位を押圧力Fの力でタッチパネル42の可撓性を有する上透明基板44aを押圧していくと、上透明基板44aが撓んで下基板の下透明電極43bに上透明電極44bが接触する。
上透明電極44bが下透明電極43bに接触すると同時に上透明電極44bから下透明電極43に電流が流れてスイッチ表示41の部位のスイッチがONの状態になる。
【0069】
上透明電極44bと下透明電極43bが軽く接触する程度の状態のときには、永久磁石61と磁性体62はまだ吸着状態にある。
上透明電極44bと下透明電極43bとが軽く接触した状態から更に押圧力Fを強めて押圧していくと、タッチパネル42から表示パネル51、磁性体62へと押圧力が強く加わり、隙間65を有することもあって、磁性体62が永久磁石61から離反する。
【0070】
そして、磁性体62が永久磁石61から離反して図5(b)に示す構造の状態になる。
図5(b)において、磁性体62が永久磁石61から離反すると、永久磁石61と磁性体62との間に隙間uが生まれる。また、同時に、磁性体62に固定されたパネルユニット、つまり、タッチパネル42と表示パネル51は下方に押し下げられるので、筐体フレーム31の上面部31dの裏面とタッチパネル42との間に隙間rが現れる。
【0071】
磁性体62が永久磁石61から少しでも離反すると永久磁石61の吸引力が急に弱くなるので、指で押圧している力は急に軽くなる。これによって、クリック感が得られる。
【0072】
ここで、永久磁石61と磁性体62の吸着力が強すぎると、スイッチ表示41のスイッチONからクリック感が得られるまでのタイムラグが長くなる。また、強い押圧力が必要になるので好ましくない。
また、吸着力が弱すぎると、スイッチ表示41がスイッチONになる前に永久磁石61と磁性体62が離反してクリック感が早く現れる。そして、この時のクリック感は非常に弱いクリック感となる。
【0073】
永久磁石61と磁性体62の吸着力、即ち、永久磁石61の吸引力は、永久磁石61の着磁を行うときに任意に設定することができる。タッチパネル42を押圧してスイッチがONになるときの押圧力と均衡するような吸引力、あるいは、スイッチがONになるときの押圧力より僅かに大きい吸引力に設定すると、押圧操作は連続動作で行われるので、スイッチ表示41のスイッチがONになると同時に、あるいは、ONになった後すぐに、磁性体62が永久磁石61から離反してクリック感が得られるようになる。
【0074】
このようにすることによって、スイッチ表示41のスイッチがONになるときのタイミングと、クリック感が得られるときのタイミングをほぼ同期化することができる。そして、確かなクリック感が得られる下でタッチパネルのスイッチ操作が正常に行われるようになる。
【0075】
そして、クリック感が得られた時点で押圧を解除すると、永久磁石61の吸引力の作用で磁性体62が引き寄せられて永久磁石61に吸着し、同時に、タッチパネ42と表示パネル51は元の位置に復帰する。
なお、永久磁石61と磁性体62は対向(対面)する位置にあるので、タッチパネ42と表示パネル51は位置ズレを起こすことなく、正常な元の位置に復帰する。
【0076】
なお、図示はしていないが、筐体フレーム31の内壁面31cにはストッパーが設けられており、タッチパネ42や表示パネル51が必要以上に下降しないようになっている。
【0077】
図1に示す表示装置は、以上述べた効果の他に、タッチパネルを直接押圧して操作する構造であるため、必要最小限の部品構成で形成でき、製作コストが安くできると言う効果が得られる。また、永久磁石61と磁性体62をパネルユニットの側面側に設ける構造をとっているので、厚みが厚くならず薄型化が可能になる。
【0078】
更にまた、スイッチ表示の数やその位置を任意に設定できることから、スイッチの数が増えても十分対応できる。また、スイッチ表示の形状も任意の形状に形成することができる。
【0079】
また、永久磁石61や磁性体62の突出面はパネルユニット50の側面側と筐体フレーム31の上面部31dの裏面側に設けているので表示装置の外部からは見えない。外観品質に何ら影響を及ぼさない。
【0080】
また、筐体フレーム31とは僅かな段差で表示部40をなすパネルユニット50が設けられることから、違和感のない平坦性が得られて外表面に凹凸の小さい綺麗な外観仕様に仕上げることができる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る表示装置について図6を用いて説明する。図6は本発明の第2実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部断面図である。第2実施形態の表示装置は前述の第1実施形態で示した携帯電話機である。なお、図1〜図4でもって既に説明した構成部品と同一仕様をなす部品は同一符号を付与している。従って、ここでの詳細説明は省略する。
【0082】
[第2実施形態の表示装置の構成説明:図6]
第2実施形態の表示装置70は、図6に示すように、タッチパネル42と表示パネル51から構成されるパネルユニット50を収納した保持部材67を用いている。タッチパネル42は図1、図2で示した抵抗膜式のタッチパネルであり、表示パネル51は図1で示したバックライト付の液晶パネルである。
また、保持部材67は図4(b)で示した保持部材である。
【0083】
保持部材67は樹脂から形成されており、凹部67cを有する。その凹部67cの中にはタッチパネル42と表示パネル51から構成されたパネルユニット50が収納され、タッチパネル42、表示パネル51、保持部材67はそれぞれ固定されて一体的になっている。そして、タッチパネル42の頭が保持部材67より僅かに飛び出した状態で収納されている。
【0084】
また、保持部材67は下面側に鍔部67bを有し、その鍔部67b上には永久磁石61が接着剤を介して固定されている。永久磁石61は図3に示した片面に着磁した磁石を用いており、図6においては、着磁した面側(図中、N極の面側)が上面側になっている。着磁した面の反対側の面(図中、S極の面側)を接着剤で保持部材67の鍔部67bと接着固定している。
【0085】
筐体フレーム31の上面部31dの裏面31bには磁性体62を接着固定して設けている。この磁性体62は、図4(a)で示したリング状の磁性体で、永久磁石61の着磁した面と対向(対面)した位置に配設している。
【0086】
保持部材67の鍔部67bと筐体フレーム31の内壁面31cとは僅かな隙間を有し、タッチパネル42を強く押圧すると、永久磁石61と磁性体62の吸着状態が解除されて保持部材67が下方に押し下げられ、筐体フレーム31の内壁面31cに沿って保持部材67が下降するようになっている。
【0087】
第2実施形態においては、永久磁石61はパネルユニット50の側面側に保持部材67を介して固定して設けられており、磁性体62は筐体フレーム31側に設けられている。この永久磁石61と磁性体62の取付構造は、前述の図1で示した第1実施形態の取付構造とちょうど逆の取付構造をとっている。
【0088】
このような取付構造をとっても、図1で示した第1実施形態と同じ効果を得る。
【0089】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る表示装置を図7、図8を用いて説明する。図7は本発明の第3実施形態に係る表示装置の模式的に示した要部平面図と端面図で、図7(a)はその平面図、図7(b)は図7(a)の切断線Z−Z′における端面の端面図を示している。また、図8は図7(a)における「A」なるスイッチ表示41を押圧したときにおける状態を説明する模式的に示した説明図である。なお、すでに説明した同一構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0090】
[第3実施形態の表示装置の構成の説明:図7]
第3実施形態の表示装置80の構造で前述の図1に示した表示装置と大きく異なるところは、図7(b)に示すように、筐体フレーム31の上面部31dの裏面31bに接着剤を介して第2の磁性体82を設け、その第2の磁性体82に接着剤を介して永久磁石61を固定した構造にしたことである。
【0091】
永久磁石61は、着磁した面側(図7(b)では、N極の表示側面)を磁性体62と対向(対面)させ、反対側の面(図7(b)では、S極の表示側面)側を第2の磁性体82側に向けて、第2の磁性体82と接着固定している。
磁性体62は1枚の鉄板からなり、タッチパネル42と表示パネル51とで構成されるパネルユニットの下面側、つまり、表示パネル51の裏面に接着固定されていて、表示パネル51の側面側には突出した突出面を有している。
この突出面と永久磁石61の磁極を有する面が対向(対面)していて、磁性体62の突出面が永久磁石61に吸着されて、磁性体62と一体的になったパネルユニット50が筐体フレーム31に固定される構造になっている。
【0092】
第3実施形態の表示装置80で特徴的なことは、永久磁石61の着磁した面の反対側の面側に第2の磁性体82を配設した構造にしたことである。
永久磁石61は、着磁した面の反対側の面側、つまり、裏側の面側には逆磁性が現れる。この逆磁性が現れる裏側の面に磁性体を設けると、裏側の漏れ磁束が減ると同時に、表側の磁力線が増え、磁束が強くなる。つまり、吸引力は強くなる。
従って、図1に示す構造での永久磁石と図7に示す構造での永久磁石61を比較すると、永久磁石61単体では同じ吸引力であっても、図7に示す構造の方が永久磁石61の吸引力は強くなる。
【0093】
第2の磁性体82は強磁性体の材料が用いられる。強磁性体としては、Fe,Co,Niもしくはそれらの合金のようなフェロ磁性体、または各種のフェライトのようなフェリ磁性体などが挙げられる。
第3実施形態においては、磁性体62と同じ材料の鉄板を用いている。また、その形状は前述の図4(a)に示すリング形状のものを使用している。
【0094】
ところで、図7(a)において、「A,B,C,D」なるスイッチ表示41は表示部40の領域の中で、下端側の端の方にある。端の方にあるスイッチ表示41、一例として「A」なるスイッチ表示41を指で押圧したとき、永久磁石61と磁性体62との吸着状態がどのようになるかを図8を用いて説明する。
【0095】
図8において、指にて押圧力Fで押圧している部位が「A」のスイッチ表示41の部位である。図7に示すように、「A」のスイッチ表示41は表示部40の下方側の端に近い位置にある。つまり、図8では、図中の左側の端に近い位置にある。
今、左端に近い「A」のスイッチ表示41があるタッチパネル42を強く押圧すると、図中の左端の領域には強い押圧力がかかり、その押圧力によってタッチパネル42の上基板が撓み、上基板の上透明電極44bと下基板の下透明電極43bが接触し、「A」のスイッチ表示41の部分のスイッチがONに入る。そして、それとタイミングを同じくして、表示パネル51に固定した磁性体62の左端の突出面と左側の永久磁石61との吸着が解かれて離反し、パネルユニットが下降する。
そのため、図中左側の筐体フレーム31においては、筐体フレーム31の上面部31dとタッチパネル42との間に、rなる隙間が発生する。また、離反した永久磁石61と磁性体62との間にuなる隙間が生まれる。
【0096】
一方、「A」のスイッチ表示41の位置から離れた反対側の図中右側の端においては、ここに作用する押圧力は小さいために、図中の右側にある永久磁石61と磁性体62との吸着固定を解く力にいたらず、右側にある永久磁石61と磁性体62は吸着したままの状態にある。
【0097】
以上のことによって、表示部40の端に近い部分のスイッチ表示においては、永久磁石61と磁性体62との離反は一部分は離反するが一部分は離反せずに吸着固定状態のままになる。
【0098】
しかしながら、一部分が離反するところにおいては、離反とほぼ同時にクリック感が現れるので、確かなクリック感を得ることができる。
【0099】
クリック感が現れるタイミング、クリック感の大きさなどは永久磁石61の吸引力及び隙間に大きく左右される。また、表示部40の面積やスイッチ表示41の位置などによっても影響を受けるので、これらのことを考慮して適宜な吸引力及び隙間を設定するのが好ましい。
【0100】
以上、携帯電話機の表示装置を取り上げて本発明の表示装置を説明したが、本発明は携帯電話機以外の携帯情報端末装置の表示装置やその他のタッチパネルを備えた表示装置にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0101】
30、70、80 表示装置
31、32 筐体フレーム
31a 開口部
31b 裏面
31c 内壁面
31d 上面部
33 ヒンジ
40 表示部
41 スイッチ表示
42 タッチパネル
43 下基板
43a 下透明基板
43b 下透明電極
43c 下導電電極
43d ドットスペーサ
44 上基板
44a 上透明基板
44b 上透明電極
44c 上導電電極
45 シール材
46 位相差板
47 偏光板
50 パネルユニット
51 表示パネル
61 永久磁石
61a 上面
61b 下面
62 磁性体
62a 開口部
62b 内形部
65 隙間
67 保持部材
67a 外周部
67b 鍔部
67c 凹部
69 制御基板
82 第2の磁性体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル上にタッチパネルを備えたパネルユニットを筐体フレームの開口部に取付けた表示装置であって、前記パネルユニットと前記筐体フレームに永久磁石と磁性体とからなる吸着手段を設け、該吸着手段によって前記パネルユニットを前記筐体フレームに固定したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記吸着手段は、前記パネルユニットの側面側と前記開口部近傍の前記筐体フレームの裏面側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記永久磁石と前記磁性体は、対向して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記パネルユニットの側面側に設ける前記吸着手段は、前記パネルユニットの側面から突出して設けており、前記パネルユニットと一体的になって固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記パネルユニットの側面側に設ける前記吸着手段は、前記パネルユニットの側面側一周にわたって設けていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記永久磁石の前記磁性体と対向した面の反対側の面には第2の磁性体を設けていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記タッチパネルを押圧すると前記パネルユニットが移動し、前記パネルユニットと前記筐体フレームの少なくとも一部分が離反状態になり、前記タッチパネルの押圧を解除すると前記パネルユニットが復帰して前記筐体フレームと吸着固定状態になることを特徴とする1から6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記パネルユニットの裏面側には少なくともパネルユニットの移動量に相当する隙間を有することを特徴とする請求項1または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは液晶パネル、ELパネル、プラズマパネルのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−250971(P2010−250971A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96256(P2009−96256)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】