説明

表示装置

【課題】 簡単な構造で表示像に動きを持たせることができ、斬新な見栄えを可能とした表示装置を提供する。
【解決手段】回路基板3と、回路基板3に配置される複数の光源4と、光源4によって照明される装飾表示部53を有する表示板5と、表示板5を保持するためのケース体6とを備え、装飾表示部53は、少なくとも第1の透過部53aと第2の透過部53bとからなる表示装置において、光源4は、第1の透過部53aと第2の透過部53bの透過スペクトルと一致する発光スペクトルを有する第1の光源4aと第2の光源4bとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものであって、特に簡単な構造で表示像に動きを持たせることができ、斬新な見栄えを提供することを可能とした表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置は、特許文献1に記載されているように、印刷又はカット成形された複数の偏光領域を備えた偏光板の背後から光源を点灯させることで、ワーニングなどの表示に動きを持たせたアニメーション表示領域を備えた車両用表示装置などが知られている。この場合、光源の点灯だけではなく、駆動装置によって偏光板が回転することによって、アニメーション表示領域の透過率が循環的に変化するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−51937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような表示装置は表示板の背後に偏光フィルムと偏光板と駆動装置と光源とを備えた構造であるため、部品数も多く複雑で、コストアップは免れないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、回路基板と、前記回路基板に配置される複数の光源と、前記光源によって照明される装飾表示部を有する表示板と、前記表示板を保持するためのケース体とを備え、前記装飾表示部は、少なくとも第1の透過部と第2の透過部とからなる表示装置において、
前記光源は、前記第1の透過部と第2の透過部の透過スペクトルと一致する発光スペクトルを有する第1の光源と第2の光源とからなるものである。
【0006】
また本発明は、前記ケース体は、前記第1及び第2の光源の発光波長のピーク値が近いときに、一方の光源からの光が他方の光源からの光が透過する前記透過部を透過しないように遮光壁を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
簡単な構造で表示像に動きを持たせることが可能な表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明における表示装置の第1の実施例を表す正面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同上の表示像の変化を表す図。
【図4】本発明における第2の実施例を表す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を計器装置に適用した実施例を、添付図面を用いて説明する。
【0010】
計器装置は、前面カバー1と、裏カバー2と、前面カバー1と裏カバー2との間に配置固定される回路基板3と、回路基板3上に実装される光源4と、表示板5と、表示板5を保持するケース材6とから主に構成される。
【0011】
前面カバー1と裏カバー2は、合成樹脂などから形成されるものであって、前面カバー1は計器の前面に装着される透過性カバーであり、裏カバー2は例えば半透過性のカバーである。
【0012】
回路基板3は、例えばガラスエポキシ基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質の回路基板からなり、計器本体(図示せず)と光源4に電力供給を行う回路パターン(図示せず)を有する。
【0013】
光源4は、回路基板3の前方側に配置された例えばチップ型発光ダイオードからなり、本実施形態では、表示板5を照明する表示板用光源(図示せず)と、後述する透過部を照明するために透過部の背後に配置された第1及び第2の光源4a、4bとから構成されている。
【0014】
表示板5は、例えば透過性合成樹脂からなる薄板状基材にスクリーン印刷を施してなるものであり、表示板5には、指針51の回動軌道に沿って指示対象となる目盛や文字、マークなどが環状に印刷された表示部52を備えている。また、図1に示すように、本実施形態では2つの表示部52の間であって、表示板5の中心部に透過部53が形成されている。
【0015】
透過部53は、例えば表示板5にスクリーン印刷などで、円形のワーニングや意匠などを施したもので、本実施形態の場合は、図3に示すように2色の層からなる八等分された第1の透過部53aと第2の透過部53bから構成される。
【0016】
ケース体6は、例えば白色系の合成樹脂にてケース体状に形成されたもので、回路基板3と表示板5との間に配置され、表示板5を保持する。
【0017】
次に、第1及び第2の光源4a、4bによる第1及び第2の透過部53a、53bの照明を説明する。
【0018】
第1及び第2の光源4a、4bは、LED等を用いることができ、LEDの発光色は、例えばピーク波長が100nm以上離れているか、もしくは補色関係にあることなどが望ましく、本実施形態においては、赤色LED(4a)と緑色LED(4b)が用いられている。また透過部53は、第1及び第2の光源4a、4bを順次切り換えて点灯することによって表示される。
【0019】
この第1及び第2の光源4a、4bから出射される光は、それぞれ発光スペクトルが異なるため、ケース体内に隣接して配置されていても、それぞれの発光スペクトルと一致する透過スペクトルを持った第1及び第2の透過部53a、53bを透過する。
【0020】
第1の透過部53aは、第1の光源4aの発光スペクトルと同じ透過スペクトルであるため、第1の光源4aからの光が表示板5方向に出射されると、その光は第1の透過部53aを透過するが、透過スペクトルが一致しない第2の透過部53bを透過することはない。そのため、第1の透過部53aのみが視認可能なように照明される(図2のa参照)。
【0021】
第2の透過部53bと第2の光源4bの関係も同様にしてなり、第2の光源4bの光は第2の透過部53bを通過するが、第1の透過部53aを透過しない。そのため、第2の透過部53bのみが視認可能なように照明される(図2のb参照)。
【0022】
第2の実施形態として、図4に示す例は、第1及び第2の光源4a、4bの発光スペクトルが近い場合に、一方からの出射光が他方の透過部に到達しないように遮光壁61を設けたものである。この場合、透過部用の光源(第1及び第2の光源)4a、4bは遮光壁61で遮られた各部屋に1つずつ配置される。
【0023】
このように、本発明は、回路基板3と、回路基板3に配置される複数の光源4と、光源4によって照明される透過部53を有する表示板5と、表示板5を保持するためのケース体6とを備え、透過部53は、少なくとも第1の透過部53aと第2の透過部53bとからなる表示装置において、光源4は、第1の透過部53aと第2の透過部53bの透過スペクトルと一致する発光スペクトルを有する第1の光源4aと第2の光源4bとからなることによって、それぞれの透過部53を透過できる光源4a、4bの色が決められるので、その2つの光源4a、4bを順次点灯させるだけで表示像が切り替わり、複雑な構造でなくても、表示像に動きを持たせることが可能な表示装置を提供することができる。
【0024】
また本発明は、ケース体6は、第1及び第2の光源4a、4bの発光波長のピーク値が近いときに、一方の光源からの光が他方の透過部53を透過しないように遮光壁61を備えたことによって、第1の光源4aと第2の光源4bとの波長ピーク値が近い場合、もしくは補色関係に無い場合などでも、遮光壁61で他方の光の侵入を遮ることができ、第1の実施形態と同様な表示効果が得られる。
【0025】
なお、本実施形態では透過部53の意匠を、図3に示すように2色の層からなる八等分された第1の透過部53aと第2の透過部53bから構成されるようにしたが、その形状はこれに限られることはなく、光源の点灯によって表示形態が変化するものであればその適用は自由である。
【符号の説明】
【0026】
3 回路基板
4a 第1の光源
4b 第2の光源
5 表示板
6 ケース体
53 透過部(表示部)
53a 第1の透過部
53b 第2の透過部
61 遮光壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に配置される複数の光源と、前記光源によって照明される表示部を有する表示板と、前記表示板を保持するためのケース体とを備え、前記表示部は、少なくとも第1の透過部と第2の透過部とからなる表示装置において、
前記光源は、前記第1の透過部と第2の透過部の透過スペクトルと一致する発光スペクトルを有する第1の光源と第2の光源とからなることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ケース体は、前記第1及び第2の光源の発光波長のピーク値が近いときに、一方の前記光源からの光が他方の前記透過部を透過しないように遮光壁を備えたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−100043(P2011−100043A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255748(P2009−255748)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】