説明

表示装置

【課題】コンパクトであり、しかも光源の発光色の選択自由度が高い表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10は、基板20に実装され択一的に点灯される複数の光源L1,L2と、基板20に実装され光源L1,L2から照射された光を透過させる導光体30とを備える。導光体30は、意匠図柄D1が印刷された複数の側面31,32(光入射面)と、予め定められた共通の上底面34(光出射面)とを有する。光源L1,L2は、それぞれ導光体30の側面31,32に対応して設けられる。点灯された光源L1,L2の光は、それぞれ導光体30の側面31,32を通して導光体30内へ入射し、上底面34を通して導光体30外へ出射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、例えば車両用計器において各種意匠図柄の表示に好適な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、例えば下記特許文献1に示されるように、光の透過により意匠図柄を視認させる表示装置であって、開口部を有するハウジング内に収容された複数の光源と、その開口部にて積層状態で配置される複数の意匠レンズとを備えたものが知られている。複数の意匠レンズには、それぞれ意匠パターンが異なる光透過性の表示部が形成されており、表示部を除く部位には意匠レンズ毎に予め定められた光源の光は反射するが、その他の光源の光は透過させるようにマスキング処理が施されている。複数の光源としては、それぞれ光の波長が異なる赤色、青色、緑色のLEDが使用されている。この特許文献1に記載された表示装置によれば、複数の光源を択一的に点灯させることにより、光源の発光色と対応付けられた意匠図柄をハウジングの開口部を通して視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3160166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された表示装置では、一つの開口部を通して複数の意匠図柄をそれぞれ異なるタイミングで表示することができ、表示装置をコンパクト化することができる。しかしながら、各意匠レンズの特性上、意匠図柄毎に光源の発光色を異ならせるように設定せざるを得ないので、全ての意匠図柄を同一の発光色で表示することができず、光源の発光色の選択自由度が低いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、コンパクトであり、しかも光源の発光色の選択自由度が高い表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、光の透過により意匠図柄を視認させる表示装置であって、
基板に実装され択一的に点灯される複数の光源と、
基板に実装され光源から照射された光を透過させる導光体と、を備え、
導光体は、意匠図柄が印刷されるか又は意匠図柄を印刷した印刷部材が貼付される複数の光入射面と、予め定められた共通の光出射面とを有し、各光源は、光入射面の個々に対応して設けられており、点灯された光源の光が、その光源に対応する光入射面を通して導光体内へ入射し、光出射面を通して導光体外へ出射するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の表示装置では、意匠図柄が印刷等された複数の光入射面と、予め定められた共通の光出射面とを有する導光体が設けられている。また、導光体の光入射面の個々に対応して光源が設けられている。そして、点灯された光源の光は、対応する光入射面を通して導光体内へ入射し、光出射面を通して導光体外へ出射する。このため、ユーザーは複数の光入射面に対する共通の光出射面を通して、印刷等による意匠図柄に基づいて透過表示された意匠図柄を視認することができる。この場合、導光体の光入射面の個々に対応して光源が設けられているため、各光源の発光色を自由に設定することができる。これにより、光出射面が共通していることから、表示装置をコンパクト化することができる。また、光源の発光色が制限を受けないことから、光源の発光色の選択自由度を高めることができる。
【0008】
上記発明において、導光体は、各光入射面に対応して、その光入射面を通して導光体内へ導かれた光を光出射面に向けて全反射させる光反射面を有するものとすることができる。
【0009】
導光体内に入射した光の経路を光反射面により変更するように構成することで、光源と導光体とが同じ基板上に実装される場合でも、光入射面に形成された意匠図柄を光出射面を通して良好に視認できるようになる。
【0010】
また、意匠図柄は、車両の各種状態と対応付けられており、表示装置は、車両の各種状態を表す表示灯又は警告灯として機能するように車両用計器に組み込まれるものであるとよい。
【0011】
通常、車両用計器には車両の各種状態をユーザーに知らせるために、複数の表示灯又は警告灯が設けられている。したがって、このような表示灯又は警告灯として、上記構成の表示装置を採用することで、車両用計器をコンパクトに構成することができる。
【0012】
さらに、表示装置は、押圧操作に応じて目的とする機能を切替え可能なプッシュスイッチと一体的に設けられ、そのプッシュスイッチの押圧操作による機能の切替えに連動して、点灯状態となる光源が択一的に切り替えられるように構成することもできる。
【0013】
例えば、表示灯等が複数設けられていれば、それだけ広い設置スペースが必要となるが、プッシュスイッチが発揮する複数の機能と対応付けられた表示灯・警告灯としての役割を一つの表示装置に集約させることで、従来の表示装置と比較して、その設置スペースを効果的に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る表示装置を適用した車両用計器の一例を示す平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1の左側面図。
【図4】図1の右側面図。
【図5】光源L1が点灯状態にあるとき視認される意匠図柄を示す説明図。
【図6】光源L1が点灯状態にあるとき導光体内の光の進行経路を示す説明図。
【図7】光源L2が点灯状態にあるとき視認される意匠図柄を示す説明図。
【図8】光源L2が点灯状態にあるとき導光体内の光の進行経路を示す説明図。
【図9】実施例1の変形例に係る表示装置を示す平面図。
【図10】本発明の実施例2に係る表示装置の断面図。
【図11】本発明の実施例3に係り、操作スイッチと一体化された表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る表示装置10を備えた車両用計器1の要部を示す平面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。車両用計器1は、車室内のインストルメントパネルにてコンビネーションメータとして設けられており、周知のスピードメータ等に加えて、車両の各種状態を表す表示灯・警告灯を備えている。本実施例1では、表示装置10が表示灯・警告灯として機能するように車両用計器1に組み込まれている。
【0017】
表示装置10は、基板20に実装された複数(この実施例1では2個)の光源L1,L2と、基板20に実装されて光源L1,L2から照射された光を透過させる導光体30とを備えている。
【0018】
光源L1,L2は、同一若しくは異なる色で発光する1個若しくは複数個のLED(発光ダイオード)で構成されており、それぞれの光が導光体30に向けて照射されるように導光体30を間に挟んで対向配置されている。光源L1,L2は、基板20によって択一的に点灯制御される。
【0019】
導光体30は、複数の面を有する多角形体(プリズム)状をなし、例えばポリカーボネート、アクリル等の光線透過率の高い透明性を有する樹脂材料で形成されている。導光体30の面のうち、光源L1,L2にそれぞれ対向する側面31,32同士は、図1及び図2にて上下に延びる仮想の基準面O1に対して対称に配置されている。
【0020】
側面31,32は、図2にて基準面O1の上方で交差するように基板20に対して傾斜している。側面31,32には、マスク印刷が施され、例えば図3、図4に示すように、光が透過する透明状の意匠図柄D1,D2と、光が透過しないマスク部M1,M2とが形成されている。本実施例1では、導光体30の側面31,32が、それぞれ光源L1,L2に対応する光入射面として機能する。
【0021】
導光体30の、基板20に実装される側の部位は、二等辺三角形状の底面を有する三角柱状に取り除かれた凹部33とされている。凹部33において、二等辺三角形の頂点に対応する長手方向の辺は基準面O1に沿っていて、二等辺三角形の二辺に対応する面が導光体30の下底面33a,33bを形成している。
【0022】
下底面33a,33bの基板20に対する傾斜角度θ、すなわち上記した二等辺三角形の底角θは、側面31,32を通して導光体30内へ導かれた光が上底面34に向けて全反射する所定の大きさに設定されている。本実施例1では、導光体30の下底面33a,33bが光反射面として機能する。なお、下底面33a,33bに光反射性の高い金属膜(例えばアルミ)を蒸着等により設けるようにしてもよい。
【0023】
導光体30は、文字盤40で覆われており、導光体30の面のうち、図2にて上側に位置する上底面34のみが文字盤40の開口部41を通して外部に露出している。本実施例1では、導光体30の上底面34が、透過表示された意匠図柄D10又はD20(図5、図7参照)を文字盤40の開口部41を通して視認させる光出射面として機能する。
【0024】
次に、上記のように構成された表示装置10の作動について説明する。光源L1が点灯制御されると、光源L1の光は、図6に示すように、導光体30の側面31を通して導光体30内へ入射し、下底面33a側へ屈折して進み、下底面33aで全反射して上底面34を通して導光体30外へ出射する。これにより、ユーザーは、図5に示すように、導光体30の上底面34を通して、意匠図柄D1に基づいて透過表示された意匠図柄D10を視認することができる。
【0025】
一方、光源L2が点灯制御されると、光源L2の光は、図8に示すように、導光体30の側面32を通して導光体30内へ入射し、下底面33b側へ屈折して進み、下底面33bで全反射して上底面34を通して導光体30外へ出射する。これにより、ユーザーは、図7に示すように、導光体30の上底面34を通して、意匠図柄D2に基づいて透過表示された意匠図柄D20を視認することができる。
【0026】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例1によれば、ユーザーは導光体30の側面31,32に対する共通の上底面34を通して、意匠図柄D1又はD2に基づいて透過表示された意匠図柄D10又はD20を視認することができる。この場合、導光体30の側面31,32の個々に対応して光源L1,L2が設けられているため、光源L1,L2の発光色を自由に設定することができる。その結果、光出射面としての上底面34が共通していることから、表示装置10をコンパクト化することができる。また、光源L1,L2の発光色が相互に制限を受けないことから、光源L1,L2の発光色の選択自由度を高めることができる。
【0027】
(変形例)
上記実施例1では、2個の光源L1,L2を設けるように構成したが、例えば図9に示すように、導光体30’の外形を四角錐台状に形成するとともに、その底部に四角錐状の凹部33を形成し、導光体30’の側面31,32,35,36に対応して4個の光源L1,L2,L3,L4を設けるようにしてもよい。この変形例では、4つの側面31,32,35,36がそれぞれ光入射面として機能し、凹部33の下底面33a,33b,33c,33dがそれぞれ側面31,32,35,36に対応する光反射面として機能し、また上記実施例1と同様、上底面34が光出射面として機能する。
【0028】
なお、光源の個数は、上記変形例のように4個設ける態様に限らず、導光体及び凹部の形状・大きさを適宜変更することにより、3個あるいは5個以上とすることも可能である。
【実施例2】
【0029】
上記実施例1では、導光体30の凹部33における下底面33a,33bを光反射面として利用したが、例えば図10の表示装置100に示すように、光反射面を設けないように構成することもできる。
【0030】
この実施例2では、略三角柱状の導光体130が基準面O1に対して対称に配置されるようにケース体141に固定支持されている。導光体130の側面133a,133bには、上記実施例1と同様、意匠図柄を含むマスク印刷が施されている。
【0031】
ケース体141は、図10にて上下に開口する枠状をなし、その下端部にて基板20に実装されている。ケース体141の内周面の下部には、導光体130に当接する仕切壁141aが一体に形成されている。ケース体141及び仕切壁141aは、遮光機能を有する樹脂材料で形成されている。
【0032】
ケース体141の内部空間は、仕切壁141aと導光体130とによって領域S1,S2に仕切られており、領域S1,S2には、それぞれ光源L1,L2が収容されている。
【0033】
この実施例2では、光源L1(L2)の光は、導光体130の側面133a(133b)を通して導光体130内へ入射し、上底面134側へ屈折して進み、上底面134を通して導光体130外へ出射する。これにより、ユーザーは、導光体130の上底面134を通して、側面133a(133b)の意匠図柄に基づいて透過表示された意匠図柄を視認することができる。
【0034】
この実施例2によっても、上記実施例1と同様、表示装置100をコンパクト化することができ、光源L1,L2の発光色の選択自由度を高めることができる。
【0035】
なお、この実施例2においても、上記変形例と同様、光源の個数を適宜変更することが可能である。
【実施例3】
【0036】
上記実施例1の表示装置10、実施例2の表示装置100等は、車両用の各種操作スイッチと一体化することが可能である。図11は、上記実施例1に係る表示装置10をプッシュスイッチ70と一体化した一例を示したものである。なお、図11において、上記実施例1に係る表示装置10と同じ部材、同様の機能を果たす部材には同一の符号を付してある。
【0037】
プッシュスイッチ70は、押圧操作に応じて目的とする機能を切替え可能なものであり、操作基板60に実装されている。プッシュスイッチ70の操作に基づいた操作信号はコントローラECU80に入力され、コントローラECU80から基板20へ送信され、プッシュスイッチ70の押圧操作による機能の切替えに連動して、点灯状態となる光源L1,L2が択一的に切り替えられるように構成されている。
【0038】
光源L1,L2、基板20及び導光体30は、開口部51を有する底付き円筒状のケース体50に組み込まれてモジュール化されており、表示装置10がプッシュスイッチ70の操作ノブとして機能している。
【0039】
この実施例3によれば、プッシュスイッチ70が発揮する複数の機能と対応付けられた表示灯・警告灯としての役割を一つの表示装置10に集約させることができるので、従来の表示装置と比較して、その設置スペースを効果的に減らすことができる。
【0040】
上記実施例1〜3等では、光入射面として機能する導光体30の側面31,32、導光体30’の側面31,32,35,36、又は導光体130の側面133a,133bに意匠図柄を直接施すようにしたが、これに限らず、意匠図柄を印刷した印刷部材を各光入射面に貼り付けるようにしてもよい。この場合には、異なる意匠パターンの印刷部材を予め用意しておき、例えば車種に応じて印刷部材を選択するようにすれば、表示装置を共用化することができるので、表示装置に要するコストを削減することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 車両用計器
10,100 表示装置
20 基板
L1,L2 光源
30,130 導光体
31,32,133a,133b 側面(光入射面)
D1,D2,D10,D20 意匠図柄
33 凹部
33a,33b 下底面(光反射面)
34,134 上底面(光出射面)
40 文字盤
50 ケース体
60 操作基板
70 プッシュスイッチ
80 コントローラECU
141 ケース体
O1 基準面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の透過により意匠図柄を視認させる表示装置であって、
基板に実装され択一的に点灯される複数の光源と、
前記基板に実装され前記光源から照射された光を透過させる導光体と、を備え、
前記導光体は、前記意匠図柄が印刷されるか又は前記意匠図柄を印刷した印刷部材が貼付される複数の光入射面と、予め定められた共通の光出射面とを有し、前記各光源は、前記光入射面の個々に対応して設けられており、点灯された前記光源の光が、その光源に対応する光入射面を通して前記導光体内へ入射し、前記光出射面を通して前記導光体外へ出射するように構成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導光体は、前記各光入射面に対応して、その光入射面を通して前記導光体内へ導かれた光を前記光出射面に向けて全反射させる光反射面を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記意匠図柄は、車両の各種状態と対応付けられており、前記表示装置は、車両の各種状態を表す表示灯又は警告灯として機能するように車両用計器に組み込まれる請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、押圧操作に応じて目的とする機能を切替え可能なプッシュスイッチと一体的に設けられ、そのプッシュスイッチの押圧操作による機能の切替えに連動して、点灯状態となる光源が択一的に切り替えられる請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180430(P2011−180430A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45473(P2010−45473)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】