説明

表示装置

【課題】 シールド性を向上させた表示装置を提供する。
【解決手段】 複数の画素を有する表示パネルと、前記表示パネルの観察者側の面に配置される透明導電膜とを有し、前記透明導電膜に、交流成分が重畳された直流電圧を供給する。
前記各画素は、共通電極を有し、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記共通電極上の電圧変動に対して逆極性に変動する電圧である。前記表示パネルは、前記共通電極に共通電圧を供給する共通電圧配線と、前記共通電極、あるいは、前記共通電圧配線上の電圧が入力される反転増幅回路とを有し、前記反転増幅回路の出力を、前記透明導電膜に供給する。前記表示パネルは、前記各画素に映像電圧を入力する映像線を有し、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記映像線に供給される映像電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動する電圧である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係わり、特に、液晶表示装置の液晶表示パネルから発生するノイズを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に使用者の指またはペンなどを用いてタッチ操作(接触押圧操作、以下、単にタッチと称する)して情報を入力する装置(以下、タッチセンサ又はタッチパネルとも称する)を備えた表示装置は、PDAや携帯端末などのモバイル用電子機器、各種の家電製品、現金自動預け払い機(Automated Teller Machine)等に用いられている。
このようなタッチパネルとして、タッチされた部分の抵抗値変化を検出する抵抗膜方式、あるいは容量変化を検出する静電容量方式、または光量変化を検出する光センサ方式などが知られている。
現在、このようなタッチパネル付き表示装置においては、タッチパネルの下側に配置される表示装置(例えば、液晶表示装置等)から発生するノイズの影響により、タッチパネルの検出精度が低下するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−231120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、タッチパネル付き表示装置においては、タッチパネルの下側に配置される表示装置(例えば、液晶表示装置等)から発生するノイズの影響により、タッチパネルの検出精度が低下するなどの問題があった。
特に、表示装置が、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置の場合、カラーフィルタ側の電波に対するシールド性が、他の方式の液晶表示装置よりも弱い。そのため、前述の問題に対する対策として、タッチパネルでは、裏面側に、低抵抗の透明導電膜(例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜)を形成し、且つ、その低抵抗の透明導電膜に接地電位(GND)を印加するために、当該透明導電膜に、裏面プリント配線基板をFOG方式で実装している。その結果として、コスト面、性能(透過率)面で短所となっている。
この状況の中で、IPS方式の液晶表示装置に関しても、シールド性を高くすることが望まれている。
本発明は、前記知見に基づきなされたものであり、本発明の目的は、シールド性を向上させた表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)複数の画素を有する表示パネルと、前記表示パネルの観察者側の面に配置される透明導電膜とを有し、前記透明導電膜に、交流成分が重畳された直流電圧を供給する。
(2)(1)において、前記各画素は、共通電極を有し、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記共通電極上の電圧変動に対して逆極性に変動する電圧である。
(3)(2)において、前記表示パネルは、前記共通電極に共通電圧を供給する共通電圧配線と、前記共通電極、あるいは、前記共通電圧配線上の電圧が入力される反転増幅回路とを有し、前記反転増幅回路の出力を、前記透明導電膜に供給する。
(4)(1)ないし(3)の何れかにおいて、前記表示パネルは、前記各画素に映像電圧を入力する映像線を有し、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記映像線に供給される映像電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧である。
(5)(1)ないし(3)の何れかにおいて、前記表示パネルは、前記各画素に走査電圧を入力する走査線を有し、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記走査線に供給される走査電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧である。
(6)(1)ないし(5)の何れかにおいて、前記表示パネルは、一対の基板と、前記一対の基板間に挟持される液晶とを有する液晶表示パネルであり、前記透明導電膜は、前記一対の基板の表示パネルの観察者側の面に設けられ、前記透明導電膜上に設けられる偏光板を有する。
【0006】
(7)(1)ないし(3)の何れかにおいて、前記表示パネルは、一対の基板と、前記一対の基板間に挟持される液晶と、前記複数の画素に映像電圧を入力する複数の映像線と、前記複数の画素に走査電圧を入力する複数の走査線とを有する液晶表示パネルであり、前記透明導電膜上に設けられる偏光板と、前記各映像線に映像電圧を供給する映像線駆動回路とを有し、前記各画素は、第1の色のサブピクセルと、第2の色のサブピクセルと、第3の色のサブピクセルとで構成され、前記複数の映像線は、前記第1の色のサブピクセル用の映像線A、前記第2の色のサブピクセル用の映像線B、および前記第3の色のサブピクセル用の映像線Cとで構成され、前記映像線駆動回路から出力される映像電圧を、映像線A、映像線B、あるいは、映像線Cに振り分けるRGBスイッチ回路を有し、1水平走査期間は、連続する第1期間、第2期間、および第3期間に分割され、前記RGBスイッチ回路は、前記映像線駆動回路から出力される映像電圧を、前記第1期間に前記映像線Aに、前記第2期間に前記映像線Bに、前記第3期間に前記映像線Cに供給する。
(8)(7)において、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記映像線に供給される映像電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧である。
(9)(7)において、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記走査線に供給される走査電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧である。
(10)(7)において、前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記RGBスイッチ回路に入力されるスイッチ切替信号のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧である。
【発明の効果】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、表示装置において、シールド性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例の液晶表示装置の等価回路を示す図である。
【図2】本発明の実施例の液晶表示パネルの概略断面構造を示す要部断面図である。
【図3】本発明の実施例の1画素構成を説明するための図である。
【図4】図2に示すAC電圧発生回路となる反転増幅回路の回路構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施例の液晶表示装置の各部の電圧波形を示す波形図であり、同図(a)は、正極性駆動時の電圧波形、同図(b)は負極性駆動時の電圧波形である。
【図6】本発明の実施例の液晶表示装置の変形例の等価回路を示す図である。
【図7】従来の液晶表示パネル(LCD)の概略断面構造を示す要部断面図である。
【図8】図7に示す従来の液晶表示装置の各部の電圧波形を示す波形図であり、同図(a)は、正極性駆動時の電圧波形、同図(b)は負極性駆動時の電圧波形である。概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例]
図1は、本発明の実施例の液晶表示装置の等価回路を示す図である。
同図に示すように、液晶表示パネルの表示部100は、マトリクス状に配置される画素(PIX)を有する。
各画素(PIX)は、隣接する2本の映像線(D)と、隣接する2本の走査信号線(G)との交差領域(4本の信号線で囲まれた領域)に配置される。各画素(PIX)は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)と、薄膜トランジスタ(TFT)のソース電極(または、ドレイン電極)に接続される画素電極14と、画素電極14と液晶層を挟んで対向する共通電極17とを有する。なお、Clcは液晶層を等価的に示す液晶容量である。さらに、図1では、共通電極17と画素電極14との間に形成される保持容量の図示は省略している。
列方向に配置された各画素(PIX)の薄膜トランジスタ(TFT)のドレイン電極(または、ソース電極)は、それぞれ映像線(D)に接続され、各映像線(D)は、表示データに対応する映像電圧(階調電圧)を供給する映像線駆動回路(ドレインドライバ、ソースドライバともいう)23に接続される。
また、行方向に配置された各画素(PIX)の薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極は、それぞれ走査線(G)に接続され、各走査線(G)は、1水平走査時間、薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極に走査電圧(正または負のバイアス電圧)を供給する走査線駆動回路(ゲートドライバともいう)22に接続される。
【0010】
図1において、CTLは、表示制御回路(タイミングコントローラともいう)である。
表示制御回路(CTL)は、コンピュータ本体側から送信されてくるクロック信号(CK)、ディスプレイタイミング信号(DTMG)、水平同期信号(HSYNC)、垂直同期信号(VSYNC)の各表示制御信号および表示用データ(R・G・B)を基に、映像線駆動回路23、および、走査線駆動回路22を制御・駆動する。
表示制御回路(CTL)は、ディスプレイタイミング信号が入力されると、これを表示開始位置と判断し、受け取った単純1列の表示データを、表示データのバスライン介して映像線駆動回路23に出力する。
その際、表示制御回路(CTL)は、映像線駆動回路23のデータラッチ回路に表示データをラッチするための表示制御信号である表示データラッチ用クロック信号(CL2)を信号線を介して出力する。
表示制御回路(CTL)は、ディスプレイタイミング信号の入力が終了するか、または、ディスプレイタイミング信号が入力されてから所定の一定時間が過ぎると、1水平分の表示データが終了したものとして、映像線駆動回路23のラッチ回路に蓄えていた表示データを液晶表示パネルの映像線(D1〜Dm)に出力するための表示制御信号である出力タイミング制御用クロック信号(CL1)を信号線を介して映像線駆動回路23に出力する。
これにより、映像線駆動回路23は、1水平走査期間毎に、表示データに対応する映像電圧を映像線(D1〜Dm)に供給する。
【0011】
また、表示制御回路(CTL)は、垂直同期信号入力後に、第1番目のディスプレイタイミング信号が入力されると、これを第1番目の表示ラインと判断して信号線を介して走査線駆動回路22にフレーム開始指示信号(FLM)を出力する。
また、表示制御回路(CTL)は、水平同期信号に基づいて、信号線を介して走査線駆動回路22へ1水平走査時間周期のシフトクロック信号(CL3)を出力する。これにより、走査線駆動回路22は、1水平走査時間毎に、上から下に向かって、あるいは、下から上に向かって順次走査線(G1〜Gn)を選択し、選択した走査線に正のバイアス電圧を印加し、当該選択された走査線に接続された複数の薄膜トランジスタTFTが、1水平走査期間導通する。
映像線(D1〜Dm)に供給された電圧は、1水平走査期間導通状態なる薄膜トランジスタ(TFT)を経由して、画素電極14に出力され、最終的に、保持容量(図示せず)と、液晶容量(Clc)に電荷がチャージされ、液晶分子をコントロールすることにより画像が表示される。
【0012】
図2は、本発明の実施例の液晶表示パネルの概略断面構造を示す要部断面図である。
本実施例の液晶表示装置は、液晶表示パネル(LCD)と、液晶表示パネル(LCD)の下側に配置されるバックライト(BL)を有する。
液晶表示パネル(LCD)は、液晶層8を挟んで、第1基板12(TFT基板ともいう。)と、第2基板3(CF基板ともいう。)とが設けられる。なお、本実施例の液晶表示パネルでは、第2基板3の主表面側が観察側となっている。
図2に示すように、第1基板12の液晶層側には、第1基板12から液晶層8に向かって順に、第1絶縁膜11、画素電極14および映像線15、第2絶縁膜10、共通電極17および共通電極配線16、第3絶縁膜9、配向膜7が形成される。なお、第1基板12の外側には下偏光板13が設けられる。
第2基板3の液晶層側には、第2基板3から液晶層8に向かって順に、ブラックマトリクス(遮光膜)5、赤・緑・青のカラーフィルタ層4、平坦化膜6、配向膜7が形成される。なお、第2基板3の外側には、透明導電膜2が設けられ、当該透明導電膜2上に、偏光膜13が設けられる。
本実施例では、該透明導電膜2には、AC電圧発生回路19により、ノイズを相殺するための交流電圧(あるいは、パルス状の電圧)が入力される。
また、図2に示す液晶表示パネルでは、画素電極14は面状に形成され、共通電極17は、複数のスリットを有する電極とされる。
また、詳細な構成の図示は省略するが、バックライト(BL)は、モールドと、光源と、導光板と、光学シート群と、反射シートとで構成される。
【0013】
図3は、本発明の実施例の1画素構成を説明するための図である。
図3において、15は映像線、21は走査線であり、走査線21と映像線15とは交差するように配置される。
走査線21と映像線15とが交差する位置に薄膜トランジスタ20が配置される。薄膜トランジスタ20のゲート電極は、走査線21に接続され、薄膜トランジスタ20のドレイン電極(または、ソース電極)は、映像線15に接続される。
ここで、映像線15は映像線駆動回路23に接続され、映像線駆動回路23は、映像線15に対して映像電圧を供給する。走査線駆動回路22は、走査線21に対して、走査電圧(非選択走査電圧、あるいは、選択走査電圧)を供給する。
さらに、共通電極17は、共通電極配線16を介して共通電極駆動回路24に接続され、共通電極駆動回路24は、共通電極17に対して共通電圧を供給する。ここで、液晶表示パネル(LCD)の交流駆動方法が、ドット反転法などのコモン対称法の場合、共通電極17には、一定の電位(例えば、GNDの接地電位)が供給される。
なお、本実施例では、第2絶縁膜10の上側にスリット状の共通電極17を、第2絶縁膜10の下側に面状の画素電極14を配置したが、第2絶縁膜10の上側にスリット状の画素電極14を、第2絶縁膜10の下側に面状の共通電極17を配置するようにしてもよい。さらには、第2絶縁膜10の上側にスリット状の共通電極17を、第2絶縁膜10の下側にスリット状の画素電極14を、あるいは、第2絶縁膜10の上側にスリット状の画素電極14を、第2絶縁膜10の下側にスリット状の共通電極17を配置するようにしてもよい。
【0014】
図7に、従来の液晶表示装置の概略断面構造を示す。
図2に示す本実施例の液晶表示パネル(LCD)と、図7に示す従来の液晶表示パネル(LCD)とを比較すると、第2基板3の反対側に形成された透明導電膜2へ印加する電源/電圧発生回路が、本実施例の液晶表示パネル(LCD)では、AC電圧発生回路19であるのに対して、従来の液晶表示パネル(LCD)では、DC電源になっていることである。
図4は、図2に示すAC電圧発生回路19となる反転増幅回路の回路構成を示す回路図である。図4に示す反転増幅回路は、オペアンプ(OP)と、抵抗素子(Ra,Rb)とで構成される。
本実施例では、AC電圧発生回路19は、図4に示す反転増幅回路で構成される。この反転増幅回路の入力信号は、第1基板12の共通電極配線16(または、共通電極17)上のVcom*の電圧である。なお、Ra,Rbの抵抗素子の抵抗値は、各配線や、透明導電膜の抵抗値や、透明導電膜間の容量の値に基づき適宜で最適な値に設定される。
【0015】
図8は、図7に示す従来の液晶表示装置の各部の電圧波形を示す波形図であり、同図(a)は、正極性駆動時の電圧波形、同図(b)は負極性駆動時の電圧波形である。
また、図8において、Vgnは、走査線駆動回路22から走査線21に供給される選択走査電圧波形、Vgn*は、薄膜トランジスタ20のゲート電極に入力される選択走査電圧波形、Vdmは、映像線駆動回路23から映像線15に供給される映像電圧波形、Vdm*は、画素電極14に入力される映像電圧波形、Vcomは、共通電極駆動回路24から供給される共通電圧波形、Vcom*は、共通電極配線16(または、共通電極17)で観察される共通電圧波形、Vshは、透明導電膜2に供給される電圧波形、Vsh*は、透明導電膜2で観察される電圧波形である。なお、図8では、交流化駆動方法として、ドット反転法などのコモン対称法を採用しているので、共通電圧波形は、変動のない一定の波形となる。
図8に示すように、走査電圧(Vgn)、および、映像電圧(Vdm)のレベル変化を起因として、容量結合している透明導電膜2の電圧(Vsh)、あるいは、共通電極17(または共通電極配線16)の共通電圧(Vcom)に電圧変動が生じ、Vcom*,Vsh*に示すように、透明導電膜2の電圧にスパイク状の電圧が重畳することとなる。その結果として、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)の信号に電圧ノイズを重畳させることとなるので、当該電子デバイスの正常動作を妨げ、電子デバイスの特性を低下させることなる。
【0016】
図5は、本実施例の液晶表示装置の各部の電圧波形を示す波形図であり、同図(a)は、正極性駆動時の電圧波形、同図(b)は負極性駆動時の電圧波形である。
なお、図5において、Vgn、Vgn*、Vdm、Vdm*、Vcom、Vcom*、Vsh、および、Vsh*は、図8で説明した電圧波形と同じ電圧波形である。また、図5でも、交流化駆動方法として、ドット反転法などのコモン対称法を採用しているので、共通電圧波形は、変動のない一定の波形となる。
本実施例でも、走査電圧(Vgn)、および、映像電圧(Vdm)のレベル変化を起因として、容量結合している透明導電膜2の電圧(Vsh)、あるいは、共通電極配線16(または共通電極17)の共通電圧(Vcom)に電圧変動が生じる。
しかしながら、本実施例では、図5のVcom*に示すように、共通電圧(Vcom)に重畳するスパイク状の電圧を、図4に示す反転増幅回路を用いて、共通電圧(Vcom)に重畳するスパイク状の電圧とは逆位相の電圧を生成する。
当該生成した共通電圧(Vcom)に重畳するスパイク状の電圧とは逆位相の電圧を、AC電圧発生回路19から透明導電膜2に印加する。これにより、走査電圧(Vgn)、および、映像電圧(Vdm)のレベル変化を起因として、容量結合している透明導電膜2の電圧(Vsh)に重畳するスパイク状の電圧を相殺し、図5に示すように、透明導電膜2で観察される電圧(Vsh*)は、DCレベル相当の電圧変動が抑圧された電圧とすることができる。
その結果として、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)の信号に電圧ノイズが重畳されるのを低減し、当該電子デバイスへ与える影響を低減することが可能となる。
なお、抵抗素子(Ra,Rb)は、各配線や、透明導電膜2の抵抗値や、透明導電膜2と共通電極との間の容量値で変化する任意の定数であるが、前述のVsh*が最もDCレベルに近づく様に決定する。
【0017】
図6は、本発明の実施例の液晶表示装置の変形例の等価回路を示す図である。
図6に示す液晶表示装置は、図1に示す液晶表示装置において、映像線駆動回路23の各出力端子(S1〜Sm)にRGBスイッチ回路(SWS)を接続し、RGBスイッチ回路(SWS)により、映像線駆動回路23から出力される映像電圧を、R(赤)用の映像線(D1−R〜Dm−R)、G(緑)用の映像線(D1−G〜Dm−G)、および、B(青)用の映像線(D1−B〜Dm−B)に振り分けるようにしたものである。
RGBスイッチ回路(SWS)は、R(赤)用の映像線(D1−R〜Dm−R)と映像線駆動回路23との間に接続されるスイッチングトランジスタ(TrA)と、G(緑)用の映像線(D1−G〜Dm−G)と映像線駆動回路23との間に接続されるスイッチングトランジスタ(TrB)と、B(青)用の映像線(D1−B〜Dm−B)と映像線駆動回路23との間に接続されるスイッチングトランジスタ(TrB)とで構成される。
スイッチングトランジスタ(TrA,TrB,TrC)は、表示制御回路(CTL)から出力されるスイッチ切替信号(SELA,SELB,SELC)により制御される。
スイッチングトランジスタ(TrA)はスイッチ切替信号(SELA)によりオン、オフが制御され、スイッチングトランジスタ(TrB)はスイッチ切替信号(SELB)によりオン、オフが制御され、スイッチングトランジスタ(Trc)はスイッチ切替信号(SELC)によりオン、オフが制御される。
【0018】
RGBスイッチ回路(SWS)は、1水平走査期間の第1期間に、スイッチングトランジスタ(TrA)がオン、スイッチングトランジスタ(TrB)とスイッチングトランジスタ(TrC)とがオフとなり、映像線駆動回路23から出力されるRの映像電圧を、R用の映像線(D1−R〜Dm−R)に出力し、1水平走査期間の第2期間に、スイッチングトランジスタ(TrB)がオン、スイッチングトランジスタ(TrA)とスイッチングトランジスタ(TrC)とがオフとなり、映像線駆動回路23から出力されるGの映像電圧を、G用の映像線(D1−G〜Dm−G)に出力し、1水平走査期間の第3期間に、スイッチングトランジスタ(TrC)がオン、スイッチングトランジスタ(TrA)とスイッチングトランジスタ(TrB)とがオフとなり、映像線駆動回路23から出力されるBの映像電圧を、B用の映像線(D1−B〜Dm−B)に出力する。
図6に示す液晶表示装置によれば、走査電圧(Vgn)、および、映像電圧(Vdm)のレベル変化に加えて、スイッチ切替信号(SELA,SELB,SELC)のレベル変化を起因として、容量結合している透明導電膜2の電圧(Vsh)に重畳するスパイク状の電圧を相殺し、透明導電膜2で観察される電圧(Vsh*)を、DCレベル相当の電圧変動が抑圧された電圧とすることができる。
その結果として、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)の信号に電圧ノイズが重畳されるのを低減し、当該電子デバイスへ与える影響を低減することが可能となる。
【0019】
以上説明したように、従来の液晶表示装置によれば、走査電圧(Vgn)、および、映像電圧(Vdm)のレベル変化を起因として、容量結合している透明導電膜2と、共通電極配線16に電圧変動が発生する。結果として、当該透明導電膜2の電圧変化により電波ノイズを発生させ、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)の信号にノイズを重畳させ、正常動作を妨げることとなる。
これに対して、本実施例によれば、走査電圧(Vgn)、映像電圧(Vdm)、あるいは、スイッチ切替信号(SELA,SELB,SELC)のレベル変化を起因として、同一タイミングで、共通電極配線16(または共通電極17)上の電圧に重畳した電圧変化を入力信号に用いた反転増幅回路を追加し、その出力波形(AC電圧)を透明導電膜2に印加することで、透明導電膜2に重畳する電圧変化を相殺させることできる。これにより、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)へ与える影響を低減することが可能となる。
本実施例を適用することで、液晶表示装置の近傍に配置された他の電子デバイス(例えば、静電容量タッチパネル)が実施しているノイズ対策(タッチパネルの裏面に低抵抗のシールド層を配置し、GNDに接続)をなくすことができるため、スマートフォン等の液晶表示装置を用いたアプリケーション機器における、AC電圧発生回路19の付加を上回るコストの低減、及び、表示性能(輝度)の向上を図ることが可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 上偏光板
2 透明導電膜
3 第2基板(CF基板ともいう)
4 カラーフィルタ層
5 遮光膜(ブラックマトリクス)
6 平坦化膜
7 配向膜
8 液晶層
9 第3絶縁膜
10 第2絶縁膜
11 第1絶縁膜
12 第1基板(TFT基板ともいう)
13 下偏光板
14 画素電極
15,D1−R〜Dm−R,D1−G〜Dm−G,D1−B〜Dm−B 映像線
16 共通電極配線
17 共通電極
18 フレキシブル配線基板
19 AC電圧発生回路
20,TFT 薄膜トランジスタ
21,G1〜Gn 走査線
22,YDV 走査線駆動回路
23,XDV 映像線駆動回路
24 共通電極駆動回路
25 シール材
100 表示部
LCD 液晶表示パネル
PIX 画素
CTL 表示制御回路
Clc 液晶容量
SWS RGBスイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示パネルと、
前記表示パネルの観察者側の面に配置される透明導電膜とを有し、
前記透明導電膜に、交流成分が重畳された直流電圧を供給することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記各画素は、共通電極を有し、
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記共通電極上の電圧変動に対して逆極性に変動する電圧であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示パネルは、前記共通電極に共通電圧を供給する共通電圧配線と、
前記共通電極、あるいは、前記共通電圧配線上の電圧が入力される反転増幅回路とを有し、
前記反転増幅回路の出力を、前記透明導電膜に供給することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示パネルは、前記各画素に映像電圧を入力する映像線を有し、
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記映像線に供給される映像電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、前記各画素に走査電圧を入力する走査線を有し、
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記走査線に供給される走査電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルは、一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持される液晶とを有する液晶表示パネルであり、
前記透明導電膜は、前記一対の基板の表示パネルの観察者側の面に設けられ、
前記透明導電膜上に設けられる偏光板を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持される液晶と、
前記複数の画素に映像電圧を入力する複数の映像線と、
前記複数の画素に走査電圧を入力する複数の走査線とを有する液晶表示パネルであり、
前記透明導電膜上に設けられる偏光板と、
前記各映像線に映像電圧を供給する映像線駆動回路とを有し、
前記各画素は、第1の色のサブピクセルと、第2の色のサブピクセルと、第3の色のサブピクセルとで構成され、
前記複数の映像線は、前記第1の色のサブピクセル用の映像線A、前記第2の色のサブピクセル用の映像線B、および前記第3の色のサブピクセル用の映像線Cとで構成され、
前記映像線駆動回路から出力される映像電圧を、映像線A、映像線B、あるいは、映像線Cに振り分けるRGBスイッチ回路を有し、
1水平走査期間は、連続する第1期間、第2期間、および第3期間に分割され、
前記RGBスイッチ回路は、前記映像線駆動回路から出力される映像電圧を、前記第1期間に前記映像線Aに、前記第2期間に前記映像線Bに、前記第3期間に前記映像線Cに供給することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記映像線に供給される映像電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記走査線に供給される走査電圧のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記透明導電膜に供給される交流成分は、前記RGBスイッチ回路に入力されるスイッチ切替信号のレベル変化に応じて前記透明導電膜に生じるスパイク状電圧に対して逆極性に変動するスパイク状電圧であることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−234080(P2012−234080A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103412(P2011−103412)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】