説明

表示装置

【課題】視野角特性の問題を解消すること、あるいはシャッタの可動距離の確保を目的とする。
【解決手段】固定開口24は、移動ライン34を挟む両側の領域にそれぞれ配置された第1固定スリット26及び第2固定スリット30を有する。駆動開口38は、移動ライン34を挟む両側にそれぞれ配置された第1駆動スリット42及び第2駆動スリット44を有する。第1固定スリット26及び第1駆動スリット42は、第1ライン28に沿って延びるように形成され、シャッタ36が光を透過する位置にあるときに連通するように配置される。第2固定スリット30及び第2駆動スリット44は、第1ライン28と交差する第2ライン32に沿って延びるように形成され、シャッタ36が光を透過する位置にあるときに連通するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSディスプレイ(Micro Electro Mechanical System Display)は、液晶ディスプレイに取って替ると期待されているディスプレイである(特許文献1参照)。このディスプレイは、偏光を利用した液晶シャッタ方式とは異なり、シャッタを有するシャッターユニットによって機械的に光の透過窓を開閉することにより明暗を表示する。詳しくは、固定開口が形成された遮光膜の上方に、駆動開口を有するシャッタが配置されている。
【0003】
また、特許文献1の構造では、シャッタは、第1ビーム(第1の梁)と第2ビーム(第2の梁)との間の静電気力によって駆動されるようになっている。第1ビームは、その一端にシャッタが接続され、他端がアンカー部に固定されている。第1ビームが固定点のまわりで変形することでシャッタが移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャッタは、遮光膜から間隔をあけて配置されることで駆動できるようになっており、固定開口と駆動開口が連通するとき、画面に対して垂直に進む光は固定開口及び駆動開口を透過する。これに対して、固定開口を斜めに進む光は、固定開口と駆動開口が連通していても、シャッタによって遮られてしまう。そして、固定開口及び駆動開口が長尺状であると、長手方向に沿って斜めに進む光は駆動開口を通過するが、短手方向に沿って斜めに進む光は、駆動開口から外れてシャッタで遮られる。したがって、見る方向によって輝度が異なるという視野角特性の問題があった。
【0006】
また、特許文献1の構造では、矩形のシャッタの対向辺それぞれから第1ビームが延びているが、シャッタの一辺では、その中央部から辺に沿って相互に反対方向に一対の第1ビームが延びている。したがって、1つの第1ビームの長さは、一辺の半分以下という短さになっている。また、第1ビームに呼応して第2ビームも短くおり、第1ビームと第2ビーム間の静電気力が小さくなる。更に、第1ビームと第2ビーム間の剛性が高くなるので、シャッタが動きにくく、シャッタの可動距離が短くなる、或いは所望の距離シャッタを可動させるには第1ビームと第2ビーム間の電位差を大きくする必要があるという問題があった。
【0007】
本発明は、視野角特性の問題を解消すること、あるいはシャッタの可動距離の確保を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る表示装置は、光が透過する固定開口が形成された遮光膜と、駆動開口を有して前記光の透過及び遮断を制御するシャッタと、前記シャッタ及び前記駆動開口を、所定の方向である移動ラインに沿って移動させる駆動部と、を有し、前記固定開口は、前記所定の方向とは異なる方向、且つ前記所定の方向に直交する方向とは異なる方向に延びる固定スリットを少なくとも有し、前記駆動開口は、前記固定スリットが延びる方向に延びる駆動スリットを少なくとも有することを特徴とする。本発明によれば、視野角特性を向上させた、シャッタを有する表示装置を実現することができる。
【0009】
(2)(1)に記載された表示装置において、前記固定開口は、前記移動ラインを挟んで位置する第1の領域と第2の領域のそれぞれに配置された第1固定スリット及び第2固定スリットを有し、前記駆動開口は、前記第1の領域と前記第2の領域のそれぞれ配置された第1駆動スリット及び第2駆動スリットを有し、前記第1固定スリット及び前記第1駆動スリットは、第1ラインに沿って延びるように形成され、前記第2固定スリット及び前記第2駆動スリットは、前記第1ラインと交差する第2ラインに沿って延びるように形成されていることを特徴としてもよい。本発明によれば、第1固定スリット及び第1駆動スリットが延びる方向と、第2固定スリット及び第2駆動スリットが延びる方向とが交差するので、二方向において視野角を広くすることができ、これらの方向で輝度を高めることができる。
【0010】
(3)(2)に記載された表示装置において、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々の形状は、第1の方向に延びる第1の一対の辺と第2の方向に延びる第2の一対の辺とで形成される矩形であり、複数の画素の各々は、一つの前記シャッタと少なくとも1つの前記固定開口とを有し、前記シャッタは、少なくとも1つの駆動開口を有し、前記第1の方向は前記第1ラインの方向であり、前記第2の方向は前記第2ラインの方向であり前記移動ラインの前記所定の方向は、前記矩形の対角線の方向であることを特徴としてもよい。
【0011】
(4)(2)又は(3)に記載された表示装置において、前記移動ラインは、前記第1ラインと前記第2ラインとがなす角を二等分する方向であることを特徴としてもよい。更に、前記第1ラインと前記第2ラインとがなす角は90度であることを特徴としてもよい。
【0012】
(5)(2)から(4)のいずれか1項に記載された表示装置において、前記第1固定スリット及び前記第2固定スリットは、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成され、前記第1駆動スリット及び前記第2駆動スリットは、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成されていることを特徴としてもよい。
【0013】
(6)(2)から(4)のいずれか1項に記載された表示装置において、前記第1固定スリット及び前記第2固定スリットは、所定の間隔を有して離間して形成され、前記第1駆動スリット及び前記第2駆動スリットは、所定の間隔を有して離間して形成されていることを特徴としてもよい。
【0014】
(7)(2)から(6)のいずれか1項に記載された表示装置において、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々は、一つの前記シャッタと複数の前記固定開口とを有し、前記シャッタは、複数の前記駆動開口を有することを特徴としてもよい。更に、前記複数の前記固定開口と前記複数の前記駆動開口とは同数であることを特徴としてもよい。或いは、前記複数の前記固定開口の数は、前記複数の前記駆動開口の数よりも大きいことを特徴としてもよい。
【0015】
(8)(2)から(7)のいずれか1項に記載された表示装置において、対向配置された一対の基板を有し、前記駆動部は、前記一対の基板の内の一方の基板に形成され、前記駆動部は、前記シャッタを前記一方の基板と所定の間隔を隔てて支持する第1電極と、前記第1電極の前記シャッタの側とは反対側の位置で前記第1電極と対向する第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極との間の電位差によって、前記シャッタを移動させることを特徴としてもよい。
【0016】
(9)(8)に記載された表示装置において、前記シャッタを挟むように、一対の前記第2電極が設けられ、前記一対の前記第2電極の各々は、前記移動ラインに沿って、前記シャッタの両側に配置され、前記一対の前記第2電極の各々と前記シャッタとの間に、前記第1電極が設けられていることを特徴としてもよい。
【0017】
(10)(9)に記載された表示装置において、前記第1電極は、前記シャッタの平面外形に外接する最小の四角形の隣接する二辺にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第1ビームを有し、前記第2電極は、前記一対の第1ビームにそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第2ビームを有し、1つの前記第1ビームと1つの前記第2ビームが相互に対向することを特徴としてもよい。
【0018】
(11)(10)に記載された表示装置において、それぞれの前記第1ビームは、隣り合う一方の前記第2ビームと対向する中間部分と、前記中間部分の一端から延びて前記シャッタに接続する接続部と、前記中間部分の前記接続部とは反対側で前記一方の基板上の位置が固定された固定点と、を有し、前記接続部から前記第1電極と隣り合う前記二辺の間の角までの距離は、前記固定点から前記角までの距離よりも小さいことを特徴としてもよい。
【0019】
(12)(11)に記載された表示装置において、前記中間部分と前記一方の前記第2ビームとの間隔は、前記接続部に近い側よりも前記固定点に近い側が小さいことを特徴としてもよい。
【0020】
(13)(11)又は(12)に記載された表示装置において、前記中間部分は、前記シャッタの前記平面外形と対向する対向領域を有し、且つ前記対向領域と前記固定点との間に延在領域を有することを特徴としてもよい。
【0021】
(14)本発明に係る表示装置は、対向配置された一対の基板と、光が透過する固定開口が形成された遮光膜と、駆動開口を有して前記光の透過及び遮断を制御するシャッタと、前記シャッタ及び前記駆動開口を、所定の方向である移動ラインに沿って移動させる駆動部とを有し、前記駆動部は、前記一対の基板の内の一方の基板に形成され、前記駆動部は、前記シャッタを前記一方の基板と所定の間隔を隔てて支持する一対の第1電極と、前記一対の第1電極の各々の前記シャッタの側とは反対側の位置で前記一対の第1電極の各々と対向する一対の第2電極とを有し、前記一対の第1電極の各々は、、前記移動ラインに沿って、前記シャッタの両側に配置され、互いに対向する前記第1電極と前記第2電極との間の電位差によって、前記シャッタを移動させ、前記一対の第1電極は、前記シャッタの平面外形に外接する最小の四角形の対角にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置され、それぞれの前記第1電極は、前記対角の一方を挟む二辺にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第1ビームを有し、それぞれの前記第2電極は、前記一対の第1ビームにそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第2ビームを有し、1つの前記第1ビームと1つの前記第2ビームが相互に対向することを特徴とする。本発明によれば、シャッタの二辺に隣り合うように一対の第1ビームを配置するので、シャッタの一辺に沿って一対の第1ビームを配置する構造と比べて、それぞれの第1ビームを長くすることができる。これにより、同一電圧でも従来構造に比べ第1ビームと第2ビーム間の静電気力を大きくすることができる。また、第1ビームと第2ビームの長さが従来構造に比べ長くなるため、従来構造に比べ剛性も下がるため、シャッタを動きやすくすることができる。更に、第1ビームの長さを長くできることにより、従来構造に比べシャッタの可動距離を長くできるという効果も有することができる。
【0022】
(15)(14)に記載された表示装置において、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、複数の画素の各々の形状は矩形であり、前記移動ラインの前記所定の方向は、前記矩形の対角線の方向であることを特徴としてもよい。
【0023】
(16)(14)又は(15)に記載された表示装置において、それぞれの前記第1ビームは、隣り合う一方の前記第2ビームと対向する中間部分と、前記中間部分の一端から延びて前記シャッタに接続する接続部と、前記中間部分の前記接続部とは反対側で前記一方の基板上の位置が固定された固定点と、を有し、前記接続部から前記第1電極と隣り合う前記対角の内の一方の角までの距離は、前記固定点から前記一方の角までの距離よりも小さいことを特徴としてもよい。
【0024】
(17)(16)に記載された表示装置において、記中間部分と前記一方の前記第2ビームとの間隔は、前記接続部に近い側よりも前記固定点に近い側が小さいことを特徴としてもよい。
【0025】
(18)(16)又は(17)に記載された表示装置において、前記中間部分は、前記シャッタの前記平面外形と対向する対向領域を有し、且つ前記対向領域と前記固定点との間に延在領域を有することを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の側面図である。
【図2】図1に示す表示装置の平面図である。
【図3】遮光膜を示す図である。
【図4】シャッタ及びその駆動部を示す図である。
【図5】シャッタと遮光膜を示す図である。
【図6】第1固定スリット及び第1駆動スリットの縦断面を示す図である。
【図7】第2固定スリット及び第2駆動スリットの縦断面を示す図である。
【図8】本実施形態の変形例に係る遮光膜を示す図である。
【図9】本実施形態の変形例に係るシャッタを示す図である。
【図10】本実施形態の他の変形例に係る遮光膜を示す図である。
【図11】本実施形態の他の変形例に係るシャッタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置を模式的に示した側面図である。表示装置は、光透過性を有する一対の基板10,12(例えばガラス基板)を有する。一対の基板10,12は、間隔をあけて対向するように配置されている。図2は、図1に示す表示装置の平面図である。図2では、上側の基板10を仮想線で示して内部構造を示してある。
【0029】
一対の基板10,12は、図2に示すシール材14によって間隔をあけて固定されている。シール材14は一対の基板10,12の対向面同士に密着している。また、シール材14は、図2に示すように、切れ目16を有して空間を囲むように形成されている。エンドシール18が、シール材14の切れ目16を塞いで、シール材14が囲む空間を封止して封止空間を形成している。封止空間にはオイル20(例えばシリコーンオイル)が満たされている。一対の基板10,12がガラスからなる場合、ガラスと屈折率の近いオイル20を使用すれば、オイル20を満たすことで、一対の基板10,12との界面での光の反射を減らすことができる。
【0030】
図3は、表示装置の内部構造の一部を拡大した平面図である。一対の基板10,12の一方の基板には、他方の基板に対向する側に遮光膜22が形成されている。遮光膜22には、光がそれぞれ透過する複数の固定開口24が形成されている。尚、遮光膜22のバックライト40(図1参照)側の表面は、固定開口24以外の領域がバックライト40から照射された光をバックライト40側へ反射できるように、高反射膜になっている。反射された光はバックライト40側に戻り、再び固定開口24を通過する光として利用される。一方、遮光膜22の対向基板側(或いはバックライト40の反対側)の表面は、、不要な光の回り込みを防止する観点から開固定開口24以外の領域が低反射膜になっていることが望ましい。
【0031】
固定開口24は、第1固定スリット26を含む。第1固定スリット26は、第1ライン28に沿って延びるように形成されている。第1ライン28は直線である。複数の第1固定スリット26が、相互に平行な複数の第1ライン28にそれぞれ沿って延びる。
【0032】
固定開口24は、第2固定スリット30を含む。第2固定スリット30は、第2ライン32に沿って延びるように形成されている。第2ライン32は直線である。第2ライン32は、第1ライン28と交差する。第1ライン28と第2ライン32の間の角度は、例えば90度である。複数の第2固定スリット30が、相互に平行な複数の第2ライン32にそれぞれ沿って延びる。
【0033】
第1固定スリット26及び第2固定スリット30は、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成されている。第1固定スリット26及び第2固定スリット30は、図4に示すシャッタ36の移動ライン34を挟む両側の領域にそれぞれ配置されている。移動ライン34は直線である。移動ライン34の方向は、交差する第1ライン28及び第2ライン32の間の角度を二等分する方向であることが望ましい。
【0034】
図4は、表示装置の内部構造の他の一部を拡大した平面図である。表示装置は、シャッタ36を有する。シャッタ36は、一対の基板10,12の一方の基板に設けられている。尚、図3及び図4では、一対の基板10,12の一方の基板にシャッタ36を設け、他方の基板に遮光膜22を形成する構造を示したが、シャッタ36及び遮光膜22の両方を一対の基板10,12の一方の基板に設けてもよい。
【0035】
図5は、シャッタ36と遮光膜22を示す図である。複数のシャッタ36が、遮光膜22から間隔をあけて配置されている。シャッタ36は、固定開口24に対応する駆動開口38を有し、固定開口24に対応して光の透過及び遮断を制御する。すなわち、固定開口24と駆動開口38が連通することで光が透過し、シャッタ36の駆動開口38以外の部分で光を遮断する。光は、基板10,12に重ねられたバックライト40(図1参照)から供給される。
【0036】
駆動開口38は、第1駆動スリット42を有する。第1駆動スリット42は、第1ライン28に沿って延びるように形成されている。複数の第1駆動スリット42が、複数の第1ライン28にそれぞれ沿って延びる。駆動開口38は第2駆動スリット44を有する。第2駆動スリット44は、第1ライン28と交差する第2ライン32に沿って延びるように形成されている。複数の第2駆動スリット44が、複数の第2ライン32にそれぞれ沿って延びる。
【0037】
第1駆動スリット42及び第2駆動スリット44は、シャッタ36の移動ライン34を挟む両側にそれぞれ配置されている。第1駆動スリット42及び第2駆動スリット44は、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成されている。
【0038】
第1固定スリット26及び第1駆動スリット42は、シャッタ36が光を透過する位置にあるときに連通するように配置されている。同様に、第2固定スリット30及び第2駆動スリット44は、シャッタ36が光を透過する位置にあるときに連通するように配置されている。
【0039】
表示装置は、図4に示すように、シャッタ36を、光を透過する位置と光を遮断する位置との間で、移動ライン34に沿って移動させる駆動部46を有する。駆動部46は、シャッタ36を支持する(即ち、シャッタ36の主面を遮光膜22から所定の間隔を隔てた位置に保持する)第1電極48を有する。一対の第1電極48が、シャッタ36の移動ライン34に沿って相互に反対側でシャッタ36をそれぞれ支持する。一対の第1電極48は、シャッタ36の平面外形に外接する最小の四角形Qの対角50にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置されている。
【0040】
第1電極48は、一対の第1ビーム52(第1の梁)を有する。一対の第1ビーム52は、シャッタ36の平面外形に外接する最小の四角形Qの隣接する二辺54(対角50の一方を挟む二辺54)にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置されている。シャッタ36は、第1ビーム52に支持されて基板10又は12から浮くようになっている(即ち、シャッタ36の主面が遮光膜22から所定の間隔を隔てて位置している)。複数(図4では4つ)の第1ビーム52によってシャッタ36が支持されている。第1ビーム52は、第1アンカー部56で基板10又は12に固定されている。第1ビーム52は、弾性変形可能な材料からなり、シャッタ36の主面に略平行な方向に変形(移動)できるように配置されている。
【0041】
第1ビーム52は、シャッタ36に接続する接続部58を有する。接続部58から中間部分60が延びる。中間部分60の接続部58とは反対側で、第1ビーム52の端部は、固定点Pを有し、固定点Pで位置が固定されている。即ち、固定点Pに第1アンカー部56が設けられている。接続部58は、固定点Pよりも、第1電極48と隣り合う二辺54の間の角50a(一対の第1電極48と隣り合う対角50の一方)に近い。固定点Pは、接続部58よりも、中間部分60と隣り合う一方の辺54aを挟んで、二辺54の間の角50aの隣にある他の角50bに近い。中間部分60は、固定点P側の端部が、隣り合う辺54aとの対向領域を超えるように延びている。
【0042】
駆動部46は、第2電極62を有する。第2電極62は、第1電極48よりもシャッタ36から離れた側で第1電極48と対向する。一対の第2電極62が、一対の第1電極48のシャッタ36とは反対側の位置に、一対の第1電極48から間隔をあけてそれぞれ対向する。第2電極62は、一対の第1ビーム52にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第2ビーム64(第2の梁)を有する。1つの第1ビーム52と1つの第2ビーム64が相互に対向する。
【0043】
第2ビーム64は、基板10又は12に設けられた第2アンカー部66に支持されている。第2ビーム64は、隣り合う第1ビーム52の中間部分60と対向する。隣り合う中間部分60及び第2ビーム64の間隔は、接続部58に近い側(図4のd)において広く、固定点Pに近い側(図4のd)において狭くなっている。(即ち、d>dとなっている。)シャッタ36を挟むように、シャッタ36の移動ライン34に沿った両側に、一対の第2電極62が設けられている。それぞれの第2電極62とシャッタ36との間に、第1電極48が設けられている。
【0044】
対向する1つの第1電極48と1つの第2電極62との各々に所望の電位が印加され、対向する1つの第1電極48と1つの第2電極62との間の静電引力の強弱(換言すれば、電位差の強弱)によって、第1電極48の移動に伴ってシャッタ36を移動させる。シャッタ36の駆動開口38と遮光膜22の固定開口24が連通すれば光が通過し、シャッタ36の移動によって遮光膜22の固定開口24が遮蔽されると光が遮断される。言い換えると、遮光膜22の固定開口24への光の通過及び遮断を制御するように、シャッタ36は機械的に駆動される。1つのユニットを構成する駆動開口38を有するシャッタ36、該駆動開口38及びシャッタ36と対応する固定開口24、及び駆動部46によって1画素が構成され、多数の画素によって画像が表示されるようになっている。そのため、複数(多数)のシャッタ36(即ち、複数の上記ユニット)が設けられている。
【0045】
封止空間には、図2に示すように、オイル20(例えばシリコーンオイル)が満たされている。シャッタ36及び駆動部46は、オイル20内に配置されている。オイル20を満たすことで、誘電率が上がり、静電引力によってシャッタ36を所望の位置に移動させる駆動電圧(即ち、第1電極48や第2電極62に印加される電圧)を低下させることができる。オイル20によってシャッタ36及び駆動部46の動きによる振動を抑えることができ、第1ビーム52と第2ビーム64のくっつきも防止することができる。
【0046】
図6は、第1固定スリット26及び第1駆動スリット42の縦断面を示す図である。図7は、第2固定スリット30及び第2駆動スリット44の縦断面を示す図である。
【0047】
本実施形態によれば、固定開口24を透過する光は、固定開口24に対して(遮光膜22の表面に対して)垂直に進行する光Lv(図5参照)と、固定開口24に対して(遮光膜22の表面に対して)斜めに進行する光がある。斜めに進行する光は、第1ライン28の方向に傾斜する光L(遮光膜22の表面に垂直な面で、且つ第1ライン28に平行な面に沿って進む光、図6参照)と、第2ライン32の方向に傾斜する光L(遮光膜22の表面にな面で、且つ第2ライン32に平行な面に沿って進む光、図7参照)を含む。
【0048】
第1固定スリット26及び第1駆動スリット42が連通すると、第1固定スリット26を垂直に(遮光膜22の表面に直交する方向に)透過した光Lvは、さらに第1駆動スリット42を透過する(図5参照)。第1ライン28の方向に傾斜する光Lも、第1固定スリット26から、第1駆動スリット42の長手方向に傾いているので、第1駆動スリット42を透過する(図6参照)。
【0049】
第2固定スリット30及び第2駆動スリット44も連通しているので、第2固定スリット30を垂直に(遮光膜22の表面に直交する方向に)透過した光Lvは、さらに第2駆動スリット44を透過する(図5参照)。第2ライン32の方向に傾斜する光Lも、第2固定スリット30から、第2駆動スリット44の長手方向に傾いているので、第2駆動スリット44を透過する(図7参照)。
【0050】
したがって、第1固定スリット26及び第1駆動スリット42が延びる方向(第1ライン28の方向)と、第2固定スリット30及び第2駆動スリット44が延びる方向(第2ライン32の方向)とが交差しているので、従来の矩形(長方形)の形状の固定開口、駆動開口を有する構造(特許文献1の図2参照)と比較して、左右、上下の視野角特性のバランスがよくなる。即ち、視野角特性を向上させることができるので、表示装置の高品位化を実現することができる。尚、シャッタ36の移動ライン34と異なる一方向に延びる固定スリット及び駆動スリットを有する構造、即ち、第1固定スリット26及び第1駆動スリット42のみ形成し、第2固定スリット30及び第2駆動スリット44は具備しない構造でも、従来構造(特許文献1の図2参照)と比較し、視野角特性の向上させることができる。
【0051】
従来構造(特許文献1の図2参照)では、シャッタの一辺(図4に示す本実施形態の一辺54aの相当)に沿って中央部から辺に沿って相互に反対方向に一対の第1ビームが延びているため、1つの第1ビームの長さは、シャッタの当該一辺の半分以下という短さになる。一方、本実施形態によれば、シャッタ36の平面外形に外接する最小の四角形Qの隣接する二辺54に隣り合うように一対の第1ビーム52を配置できるため、本実施例で示す第1ビーム52の長さは従来構造に比べ2倍近く長くすることができる。また、第1ビームに呼応して第2ビームも長くできるため、お互いに対向する第1ビームと第2ビームの対向面積も増大し、同一電圧でも従来構造に比べ第1ビームと第2ビーム間の静電気力を大きくすることができる。また、第1ビームと第2ビームの長さが従来構造に比べ長くなるため、従来構造に比べ剛性も下がるため、シャッタ36を動きやすくすることができる。更に、第1ビームの長さを長くできることにより、本実施形態は、従来構造に比べシャッタ36の可動距離を長くできるという効果も有することができる。
【0052】
図8は、本実施形態の変形例に係る遮光膜を示す図である。図9は、本実施形態の変形例に係るシャッタを示す図である。本変形例では、遮光膜122の固定開口124及びシャッタ136の駆動開口138の形状において上記実施形態と異なっている。すなわち、第1固定スリット126及び第2固定スリット130は、間隔をあけて別々に形成されている。第1駆動スリット142及び第2駆動スリット144は、間隔をあけて別々に形成されている。その他の構造は、上記実施形態で説明した内容が該当する。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。即ち、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0054】
上述した実施形態では、1つのユニットにおける遮光膜に形成した固定開口の数と、シャッタに形成した駆動開口の数とを同数にしているが、この数は異なってもよい。例えば、図10、図11に示すように、1つのユニットにおける固定開口224の数を3個、駆動開口238の数を2個としてもよい。駆動開口238の数よりも固定開口224の数が多くても、光を遮蔽するときはシャッタの主面で固定開口224を覆えば、対応する画素から光が出射されない状態にすることができる。また、光を透過するときは固定開口224から出射される光を遮蔽するものがなければ、固定開口224と駆動開口238とが必ずしも連通させなくても対応する画素から光が出射される状態にすることができる。従って、図10、図11に示す構成でも上述した実施形態と同一の作用効果を奏することができる。更に、固定開口224と駆動開口238とが必ずしも連通させなくてもよいことから、その分シャッタの面積を小さくすることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
10 基板、12 基板、14 シール材、16 切れ目、18 エンドシール、20 オイル、22 遮光膜、24 固定開口、26 第1固定スリット、28 第1ライン、30 第2固定スリット、32 第2ライン、34 移動ライン、36 シャッタ、38 駆動開口、40 バックライト、42 第1駆動スリット、44 第2駆動スリット、46 駆動部、48 第1電極、50 対角、50a 角、50b 角、52 第1ビーム、54 二辺、54a 辺、56 第1アンカー部、58 接続部、60 中間部分、62 第2電極、64 第2ビーム、66 第2アンカー部、122 遮光膜、124 固定開口、126 第1固定スリット、130 第2固定スリット、136 シャッタ、138 駆動開口、142 第1駆動スリット、144 第2駆動スリット、Lv 光、L 光、L 光、P 固定点、Q 四角形。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過する固定開口が形成された遮光膜と、
駆動開口を有して前記光の透過及び遮断を制御するシャッタと、
前記シャッタ及び前記駆動開口を、所定の方向である移動ラインに沿って移動させる駆動部と、
を有し、
前記固定開口は、前記所定の方向とは異なる方向、且つ前記所定の方向に直交する方向とは異なる方向に延びる固定スリットを少なくとも有し、
前記駆動開口は、前記固定スリットが延びる方向に延びる駆動スリットを少なくとも有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
前記固定開口は、前記移動ラインを挟んで位置する第1の領域と第2の領域のそれぞれに配置された第1固定スリット及び第2固定スリットを有し、
前記駆動開口は、前記第1の領域と前記第2の領域のそれぞれ配置された第1駆動スリット及び第2駆動スリットを有し、
前記第1固定スリット及び前記第1駆動スリットは、第1ラインに沿って延びるように形成され、
前記第2固定スリット及び前記第2駆動スリットは、前記第1ラインと交差する第2ラインに沿って延びるように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された表示装置において、
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
複数の画素の各々の形状は、第1の方向に延びる第1の一対の辺と第2の方向に延びる第2の一対の辺とで形成される矩形であり、
複数の画素の各々は、一つの前記シャッタと少なくとも1つの前記固定開口とを有し、
前記シャッタは、少なくとも1つの駆動開口を有し、
前記第1の方向は前記第1ラインの方向であり、前記第2の方向は前記第2ラインの方向であり
前記移動ラインの前記所定の方向は、前記矩形の対角線の方向であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された表示装置において、
前記移動ラインは、前記第1ラインと前記第2ラインとがなす角を二等分する方向であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載された表示装置において、
前記第1ラインと前記第2ラインとがなす角は90度であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記第1固定スリット及び前記第2固定スリットは、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成され、
前記第1駆動スリット及び前記第2駆動スリットは、端部が接続されて一体的にL字又はV字を描くように形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項2から5のいずれか1項に記載された表示装置において、
前記第1固定スリット及び前記第2固定スリットは、所定の間隔を有して離間して形成され、
前記第1駆動スリット及び前記第2駆動スリットは、所定の間隔を有して離間して形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか1項に記載された表示装置において、
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
複数の画素の各々は、一つの前記シャッタと複数の前記固定開口とを有し、
前記シャッタは、複数の前記駆動開口を有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載された表示装置において、
前記複数の前記固定開口と前記複数の前記駆動開口とは同数であることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項8に記載された表示装置において、
前記複数の前記固定開口の数は、前記複数の前記駆動開口の数よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項2から10のいずれか1項に記載された表示装置において、
対向配置された一対の基板を有し、
前記駆動部は、前記一対の基板の内の一方の基板に形成され、
前記駆動部は、前記シャッタを前記一方の基板と所定の間隔を隔てて支持する第1電極と、前記第1電極の前記シャッタの側とは反対側の位置で前記第1電極と対向する第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極との間の電位差によって、前記シャッタを移動させることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載された表示装置において、
前記シャッタを挟むように、一対の前記第2電極が設けられ、
前記一対の前記第2電極の各々は、前記移動ラインに沿って、前記シャッタの両側に配置され、
前記一対の前記第2電極の各々と前記シャッタとの間に、前記第1電極が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項12に記載された表示装置において、
前記第1電極は、前記シャッタの平面外形に外接する最小の四角形の隣接する二辺にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第1ビームを有し、
前記第2電極は、前記一対の第1ビームにそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第2ビームを有し、
1つの前記第1ビームと1つの前記第2ビームが相互に対向することを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載された表示装置において、
それぞれの前記第1ビームは、隣り合う一方の前記第2ビームと対向する中間部分と、前記中間部分の一端から延びて前記シャッタに接続する接続部と、前記中間部分の前記接続部とは反対側で前記一方の基板上の位置が固定された固定点と、を有し、
前記接続部から前記第1電極と隣り合う前記二辺の間の角までの距離は、前記固定点から前記角までの距離よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項14に記載された表示装置において、
前記中間部分と前記一方の前記第2ビームとの間隔は、前記接続部に近い側よりも前記固定点に近い側が小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載された表示装置において、
前記中間部分は、前記シャッタの前記平面外形と対向する対向領域を有し、且つ前記対向領域と前記固定点との間に延在領域を有することを特徴とする表示装置。
【請求項17】
対向配置された一対の基板と、
光が透過する固定開口が形成された遮光膜と、
駆動開口を有して前記光の透過及び遮断を制御するシャッタと、
前記シャッタ及び前記駆動開口を、所定の方向である移動ラインに沿って移動させる駆動部と、
を有し、
前記駆動部は、前記一対の基板の内の一方の基板に形成され、
前記駆動部は、前記シャッタを前記一方の基板と所定の間隔を隔てて支持する一対の第1電極と、前記一対の第1電極の各々の前記シャッタの側とは反対側の位置で前記一対の第1電極の各々と対向する一対の第2電極と、を有し、
前記一対の第1電極の各々は、、前記移動ラインに沿って、前記シャッタの両側に配置され、
互いに対向する前記第1電極と前記第2電極との間の電位差によって、前記シャッタを移動させ、
前記一対の第1電極は、前記シャッタの平面外形に外接する最小の四角形の対角にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置され、
それぞれの前記第1電極は、前記対角の一方を挟む二辺にそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第1ビームを有し、
それぞれの前記第2電極は、前記一対の第1ビームにそれぞれ隣り合う部分を有するように配置された一対の第2ビームを有し、
1つの前記第1ビームと1つの前記第2ビームが相互に対向することを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項17に記載された表示装置において、
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
複数の画素の各々の形状は矩形であり、
前記移動ラインの前記所定の方向は、前記矩形の対角線の方向であることを特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載された表示装置において、
それぞれの前記第1ビームは、隣り合う一方の前記第2ビームと対向する中間部分と、前記中間部分の一端から延びて前記シャッタに接続する接続部と、前記中間部分の前記接続部とは反対側で前記一方の基板上の位置が固定された固定点と、を有し、
前記接続部から前記第1電極と隣り合う前記対角の内の一方の角までの距離は、前記固定点から前記一方の角までの距離よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項19に記載された表示装置において、
前記中間部分と前記一方の前記第2ビームとの間隔は、前記接続部に近い側よりも前記固定点に近い側が小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項19又は20に記載された表示装置において、
前記中間部分は、前記シャッタの前記平面外形と対向する対向領域を有し、且つ前記対向領域と前記固定点との間に延在領域を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−68757(P2013−68757A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206777(P2011−206777)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】