表示装置
【課題】見易く使い易い表示装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、映像投影部と光学ユニットと装着部とを含む表示装置が提供される。映像投影部は、映像を含む映像光を出射する。光学ユニットは、第1光学層と第2光学層と中間層とを含む。第1光学層は、第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面と、を有する。第2主面は、曲面状の表面を有する突出部を有する。第2光学層は、第2主面に面し突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、第3主面とは反対側の第4主面と、を有する。中間層は、第2、第3主面の間に設けられる。中間層は、第1主面から第2主面に向かう光を反射し、第4主面から第3主面に向かう光を透過する。第1、第4主面のいずれかは曲面である。装着部は、映像投影部と光学ユニットとに連結される。映像光は第1主面から光学ユニットに入射し、反射光が観視者の目に入射する。
【解決手段】実施形態によれば、映像投影部と光学ユニットと装着部とを含む表示装置が提供される。映像投影部は、映像を含む映像光を出射する。光学ユニットは、第1光学層と第2光学層と中間層とを含む。第1光学層は、第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面と、を有する。第2主面は、曲面状の表面を有する突出部を有する。第2光学層は、第2主面に面し突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、第3主面とは反対側の第4主面と、を有する。中間層は、第2、第3主面の間に設けられる。中間層は、第1主面から第2主面に向かう光を反射し、第4主面から第3主面に向かう光を透過する。第1、第4主面のいずれかは曲面である。装着部は、映像投影部と光学ユニットとに連結される。映像光は第1主面から光学ユニットに入射し、反射光が観視者の目に入射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者(観視者)の頭部に装着され、使用者の目に表示を行うヘッドマウントディスプレイが開発されている。例えば、透明な部材の裏面に反射面を設け、反射面で反射する光を使用者の目に導く表示装置が提案されている。
このような表示装置において、見易く使い易いことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−221441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、見易く使い易い表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、映像投影部と、光学ユニットと、装着部と、を含む表示装置が提供される。前記映像投影部は、映像を含む映像光を出射する。前記光学ユニットは、第1光学層と、第2光学層と、中間層と、を含む。前記第1光学層は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する。前記第2主面は、曲面状の表面を有する突出部を有する。前記第1光学層は、光透過性である。前記第2光学層は、前記第2主面に面し前記突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する。前記第2光学層は、光透過性である。前記中間層は、前記第2主面と前記第3主面との間に設けられる。前記中間層は、前記第1主面から前記第2主面に向かう光の少なくとも一部を反射し、前記第4主面から前記第3主面に向かう光の少なくとも一部を透過する。前記第1主面及び前記第4主面の少なくともいずれかは曲面である。前記装着部は、前記映像投影部と前記光学ユニットとに連結され、前記映像光を前記第1主面から前記光学ユニットに入射させ、前記映像光が前記中間層で反射して得られる反射光が前記第2主面から出射して観視者の目に入射するように前記光学ユニットと前記観視者の前記目との相対的な位置関係を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図5】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図6】図6(a)〜図6(f)は、第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図9】第2の実施形態に係る表示装置の使用状態を示す模式図である。
【図10】図10(a)〜図10(f)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図12】図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図13】実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る表示装置の使用状態を例示する模式図である。
図4は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図1は、図4のA1−A2線断面図である。
【0009】
図2に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、映像投影部50と、光学ユニット40と、装着部60と、を備える。
映像投影部50は、映像を含む映像光51を出射する。映像光51は、例えば、レーザ光である。
【0010】
光学ユニット40は、例えば、観視者80(使用者)の目81の前に配置される。光学ユニット40として、例えば、観視者80の右目の前に配置される右目用光学ユニット40aが用いられる。また、光学ユニット40として、観視者80の左目の前に配置される左目用光学ユニット40bが用いられる。光学ユニット40として、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれかが用いられる。
【0011】
例えば、映像投影部50は、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれかに映像光51を入射させる。なお、右目用光学ユニット40aに映像光を入射させ右目用映像投影部と、左目用光学ユニット40bに映像光を入射させる左目用映像投影部と、が設けられても良い。
【0012】
以下では、光学ユニット40として右目用光学ユニット40aが用いられる場合として説明する。以下の説明は、左目用光学ユニット40bにも適用できる。
装着部60は、映像投影部50と光学ユニット40とに連結される。装着部60は、映像投影部50と光学ユニット40(例えば右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれか)を保持する。
【0013】
装着部60は、例えば、右側装着部材60aと、左側装着部材60bと、連結部60cと、を含むことができる。右側装着部材60aは、例えば、観視者80の右側に耳の上に配置される。左側装着部材60bは、例えば、観視者80の左側の耳の上に配置される。連結部60cは、例えば、右側装着部材60a及び左側装着部材60bに連結される。例えば、連結部60cは、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bを保持する。
【0014】
表示装置110は、例えば、メガネ状やゴーグル状の形状を有する。ただし、実施形態はこれに限らず、表示装置110の形状は任意である。
図2に例示したように、映像投影部50から出射した映像光51は光学ユニット40に入射し、光学ユニット40で反射して得られた反射光52が、観視者80の目81に入射する。
【0015】
ここで、観視者80から前方に向かう方向をZ軸方向とする。観視者80の左から右に向かう方向をX軸方向とする。観視者80の下から上に向かう方向をY軸方向とする。X軸方向は、左目用光学ユニット40bから右目用光学ユニット40aに向かう方向である。Y軸方向は、Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向である。
【0016】
図3に表したように、観視者80は、光学ユニット40を透過する透過光53に含まれる背景像を観視することができる。表示装置110は、例えば光学シースルー型の頭部装着型の表示装置である。
図4に表したように、光学ユニット40(例えば右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれか)は、メガネのレンズ状の形状を有している。
【0017】
図1は、光学ユニット40の構成の例を示している。
図1に表したように、光学ユニット40は、第1光学層10と、第2光学層20と、中間層30と、を含む。
第1光学層10は、第1主面10aと、第2主面10bと、を有する。第2主面10bは、第1光学層10の、第1主面10aとは反対側の面である。第2主面10bは、突出部11を有する。突出部11は、曲面状の表面を有する。第1光学層10は、光透過性である。
【0018】
第2光学層20は、第3主面20aと、第4主面20bと、を有する。第3主面20aは、第2主面10bに面する。第3主面20aは、後退部21を有する。後退部21は、突出部11に沿って後退する。第4主面20bは、第2光学層20の、第3主面20aとは反対側の面である。第2光学層20は、光透過性である。
第1主面10a及び第4主面20bの少なくともいずれかは曲面である。この例では、第1主面10a及び第4主面20bの両方が曲面である。
【0019】
中間層30は、第2主面10bと第3主面20aとの間に設けられる。中間層30は、例えば、第2主面10bと第3主面20aとに接する。中間層30は、第1主面10aから第2主面10bに向かう光(例えば映像光51)の少なくとも一部を反射する。中間層30は、第4主面20bから第3主面20aに向かう光(例えば背景像を含む透過光53)の少なくとも一部を透過する。
【0020】
装着部60は、映像光51を第1主面10aから光学ユニット40に入射させ、映像光51が中間層30で反射して得られる反射光52が第2主面10bから出射して観視者80の目81に入射するように、光学ユニット40と観視者80の目81との相対的な位置関係を規定する。
これにより、見易く使い易い表示装置が提供できる。
【0021】
第1光学層10及び第2光学層20には、可視光に対して透過性のガラスまたは樹脂などが用いられる。
中間層30には、例えば、金属膜(例えばアルミニウム膜など)または金属化合物膜などが用いられる。中間層30の厚さを十分薄くすることで、中間層30は映像光51を反射し、透過光53を透過する。
【0022】
中間層30として、例えば、多層積層膜による反射透過膜などを用いても良い。この多層積層膜は、例えば、波長選択性を有する。例えば、中間層30は、複数の第1層と、複数の第1層どうしの間に設けられ、複数の第1層の屈折率とは異なる第2層と、を含むことができる。この場合も、中間層30は映像光51を反射し、透過光53を透過する。
【0023】
中間層30の可視光(例えば緑色光)に対する透過率は、例えば、90%以上(反射率は10%未満)であることが好ましい。中間層30の透過率が過度に低いと、透過光53が十分に目81に到達しない。中間層30の透過率を90%以上にすることで、明るい実景(実空間の像であり、背景像)が得られる。
【0024】
表示装置110において、第2主面10bに設けられる突出部11は突出し、第3主面20aに設けられる後退部21は後退している。例えば、突出部11は、Z軸方向に沿って曲面状に突出し、後退部21は、Z軸方向に沿って曲面状に後退する。これにより、映像光51が中間層30で反射する際に、中間層30は、例えば、凹面鏡として機能する。中間層30で反射して得られた反射光52に含まれる像は、映像光51に含まれる層よりも大きい。すなわち、中間層30において、像が拡大される。これにより、表示装置110は、観視者80に、見易い表示を提供することができる。
表示装置110において、例えば、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率とは異なる。
【0025】
図1に示した例では、第4主面20bは、曲面状に突出している。そして、第1主面10aは、曲面状に後退している。
第1主面10aの曲率が第4主面20bの曲率よりも大きい場合(第1主面10aの曲率半径が第4主面20bの曲率半径よりも小さい場合)、光学ユニット40は、透過光53に対して凹レンズとして機能する。図1に例示した光学ユニット40においては、この構成が適用されている。
【0026】
また、逆に、第1主面10aの曲率が第4主面20bの曲率よりも小さい場合(第1主面10aの曲率半径が第4主面20bの曲率半径よりも大きい場合)、光学ユニット40は、例えば、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
【0027】
光学ユニット40が凹レンズまたは凸レンズとして機能する場合、光学ユニット40は、観視者80の視力を矯正する機能を有することができる。
【0028】
表示装置110によれば、観視者80は、映像投影部50から得られる映像を観視することに加え、光学ユニット40を介して、視力を矯正した状態で背景像を観視することができる。表示装置110は、観視者80に、例えば、表示映像を拡大して見易く表示しつつ、背景像を見易く見せることができる。
このように、本実施形態に係る表示装置110によれば、見易く使い易い表示装置を提供することができる。
【0029】
頭部装着型の表示装置のうちの、特に、光学シースルー型の表示装置においては、観視者80は、表示映像と共に背景像を重畳して観視する。このとき、観視者80によっては、凹レンズまたは凸レンズなどの視力を矯正するメガネを用いて背景像を見る状況が存在する。従来、表示映像を見易く表示する場合において、観視者80の視力の矯正を考慮した構成は、知られていない。
【0030】
また、通常のメガネのレンズ(目の前に配置される光透過性の部材)は、目の周りを囲むような曲面を有していることが多い。このため、頭部装着型の表示装置におけるスクリーンも目の周りを囲むような曲面を有していることが使用者にとって違和感が少ない。例えば、目の周りを囲むような曲面形状のスクリーンが使用者に取って使い易い。この曲面の曲率は、例えば、表示装置の外見上及び使用感などに基づいて、使用者の好みに適合するように設計される。
【0031】
一方、表示映像を観視者80に提示するための反射スクリーンは、映像投影部50の特性、及び、光学ユニット40と目81との間の距離などによって、所定の形状及び光学特性を持つように設計される。
【0032】
このため、目81の前に配置される反射スクリーンの光学特性及び外形は、光学ユニット40の外形と独立して設計されることが望ましい。発明者は、光学シースルー型の表示装置においては、上記の様な、従来にない特殊な課題が存在することを見出した。本実施形態に係る表示装置110の構成は、この新たに見出された課題を解決すべく構築されている。
【0033】
表示装置110においては、反射スクリーンとして機能する中間層30は、表示映像の表示のための適正な設計が適用される。一方、光学ユニット40の外形及び光学特性は、背景像を観視するための望ましい設計が適用される。
【0034】
例えば、光学ユニット40の第1主面10a及び第4主面20bの形状は、例えば、曲面状とされる。これにより、使用者にとって違和感が小さくなり、使い易くなる。また、第1主面10a及び第4主面20bは、例えば、円筒状(例えばX軸を軸とする円筒状、または、Y軸を軸とする円筒状)でも良い。また、第1主面10a及び第4主面20bのいずれかは、平面状でも良い。
【0035】
光学ユニット40の第1主面10a及び第4主面20bの形状は、例えば、光学ユニット40を通過する透過光53に対して、光学ユニット40が凹レンズまたは凸レンズとして機能するように、設計される。これにより、観視者80の視力を矯正することができる。
【0036】
例えば、光学ユニット40として、第2光学層20を設けず、第1光学層10と、第1光学層10の第1主面10aまたは第2主面10b上に設けられた反射層と、を用いる参考例の構成が考えられる。この参考例においては、映像光51は反射層で反射して、その反射光52が観視者80の目81に入射する。このとき、反射層を、反射透過性とすることで、背景像を含む透過光53が観視者80の目81に入射する。この構成においては、観視者80が、背景像を観視したときに、背景像に歪みが発生する。これは、透過光53が反射層(反射透過層)を通過する際に、反射層において屈折効果が生じるためである。
【0037】
これに対し、本実施形態に係る表示装置110においては、映像光51を反射する中間層30が、第1光学層10と第2光学層20との間に設けられる。このため、透過光53に対する第1光学層10の作用が、透過光53に対する第2光学層20の作用によって補償される。このため、透過光53に含まれる背景像の歪みが抑制される。
【0038】
このように、表示装置110は、映像投影部50と、映像投影部50から供給される映像を目に導く接眼光学系と、を含む。接眼光学系として、光学ユニット40が用いられる。表示映像を含む映像光51は、観視者80の目81の横、または、目81の上方から、光学ユニット40に向けて投影される。光学ユニット40は、視野を広げ、外界の背景像を歪みを抑制した状態で透過させる。これと同時に、光学ユニット40は、投影された映像を拡大して、目81の方向に反射させる。これにより、見易く使い易い表示装置が提供される。
【0039】
本実施形態に係る表示装置110において、第1光学層10の屈折率は、第2光学層20の屈折率と同じであることが望ましい。例えば、第1光学層10の屈折率と、第2光学層20の屈折率と、の差の絶対値は、1×10−3以下であることが望ましい。これにより、透過光53に含まれる背景像の歪みが効果的に抑制できる。
【0040】
図5は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図5に表したように、表示装置110の光学ユニット40において、透過光53に対する光軸40o(主軸)が存在する。光軸40oは、光学ユニット40の第4主面20bから入射する光(透過光53)が、第3主面20a、中間層30、第2主面10b及び第1主面10aを通過するときの光軸(主軸)である。
【0041】
光学ユニット40が例えば、凹レンズまたは凸レンズとして機能する場合、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oは、凹レンズの光軸(主軸)または凸レンズの光軸(主軸)に相当する。
【0042】
一方、中間層30において、映像光51に対する光軸30o(主軸)が存在する。光軸30oは、映像光51が第1主面10aから光学ユニット40に入射し、映像光51が中間層30で反射するときの中間層30における光軸(主軸)である。光軸30oは、例えば、反射光52の光軸(主軸)に相当する。
【0043】
中間層30の映像光51に対する光軸30oは、中間層30が凹面鏡として機能する際の、凹面鏡の光軸(主軸)に相当する。
中間層30の映像光51に対する光軸30oは、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oと、実質的に一致する。
例えば、中間層30の映像光51に対する光軸30oの位置が、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oから離れると、反射光52に含まれる表示映像と、透過光53に含まれる背景像と、において、歪みが大きくなり、良好な像が得られる視野が狭くなる。
【0044】
映像光51が第1主面10aから光学ユニット40に入射し、映像光51が中間層30で反射するときの中間層30における光軸30oの位置(例えばX−Y平面における位置)と、第4主面20bから入射する光(透過光53)が、第3主面20a、中間層30、第2主面10b及び第1主面10aを通過するときの光軸40oの位置(例えばX−Y平面における位置)と、の距離は、500マイクロメートル(μm)以下であることが好ましい。
【0045】
光軸30oの位置と光軸40oの位置との距離を、500μm以下にすることで、像の歪みが実用的に十分に小さくでき、良好な表示が得られる視野が実用的に十分広くなる。
これにより、例えば、特に、実景(背景像)に表示映像を重畳させて表示をするAR(Augmented Reality:拡張現実)表示において、観視者80に良好な映像を提供することができる。
【0046】
図6(a)〜図6(f)は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当する。これらの図は、本実施形態に係る表示装置110に使用可能な別の光学ユニットのいくつかの例を示している。
【0047】
図6(a)に表したように、光学ユニット41aにおいては、第1主面10aは実質的に平面である。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図6(b)に表したように、光学ユニット41bにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。この例では、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率よりも小さい。
図6(c)に表したように、光学ユニット41cにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、曲面状に突出している。
【0048】
図6(d)に表したように、光学ユニット41dにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、実質的に平面である。
光学ユニット41a、41b、41c及び41dは、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
図6(e)に表したように、光学ユニット41eにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、実質的に平面である。光学ユニット41eは、透過光53に対して凹レンズとして機能する。
図6(f)に表したように、光学ユニット41fにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率と同じである。第4主面20bは、第1主面10aに対して平行である。
光学ユニット41fは、透過光53に対して像の拡大または縮小の機能を持たない。光学ユニット41fは、例えば。使用者に、デザインの好みを満足させ、または、使い易さを感じさせる。
【0049】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る表示装置においては、光学ユニットの構成が、第1の実施形態における光学ユニットとは異なる。以下では、光学ユニット以外の構成についての説明は省略し、本実施形態の光学ユニットの例について、第1の実施形態の光学ユニットとは異なる点について説明する。
【0050】
図7(a)及び図7(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図7(a)は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当し、例えば、Z−Y平面で切断したときの断面図である。第7(b)は、図4のA3−A4断面に相当し、例えば、Z−X平面で切断したときの断面図である。
図8は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図9は、第2の実施形態に係る表示装置の使用状態を例示する模式図である。
【0051】
図7(a)、図7(b)及び図8に表したように、本実施形態に係る表示装置120における光学ユニット42おいては、第2主面10bは、複数の凸部12をさらに有する。複数の凸部12は、突出部11の周りに設けられる。複数の凸部12のそれぞれは、突出部11をX−Y平面内で取り囲む。複数の凸部12のそれぞれは、突出部と同心である。
【0052】
さらに、第3主面20aは、複数の凹部22をさらに有する。複数の凹部22は、後退部21の周りに設けられる。複数の凹部22のそれぞれは、後退部21をX−Y平面内で取り囲む。複数の凹部22のそれぞれは、後退部21と同心である。複数の凹部22のそれぞれは、複数の凸部12のそれぞれに沿う。
【0053】
第2主面10bは、フレネルレンズの表面形状を有する。第2主面10bにおいて、突出部11と、複数の凸部12と、は、フレネルレンズの表面を形成する。第3主面20aは、フレネルレンズの表面形状を有する。第3主面20aにおいて、後退部21と、複数の凹部22と、は、フレネルレンズの表面を形成する。
これにより、中間層30は、フレネルレンズの形状を有する凹面鏡として機能する。
【0054】
第2主面10bがフレネルレンズの表面形状を有し、第3主面20aがフレネルレンズの表面形状を有することで、中間層30の凹面鏡の全体の曲率を大きくしつつ(維持しつつ)、光学ユニット42の全体の厚さを薄くすることができる。
【0055】
図9に表したように、表示装置120においても、映像投影部50から出射した映像光51は、光学ユニット42に第1主面10aから入射する。映像光51が中間層30で反射して得られた反射光52は、第2主面10bから出射し、観視者80の目81に到達する。一方、第4主面20bから入射した背景像を含む光(透過光53)は、光学ユニット42を通過して目81に入射する。
【0056】
表示装置120においては、光学ユニット42の内部にフレネルミラー(例えば中間層30)が設けられている。すなわち、メガネレンズの内部に、フレネルミラーを形成する凹凸面が設けられ、その凹凸面上に反射膜が形成される。例えば、第1光学層10となる基材の表面にフレネルレンズの凹凸を形成し、その上に中間層30を形成し、さらに、その上に第2光学層20となる基材を形成する。または、例えば、第2光学層20となる基材の表面にフレネルレンズの凹凸を形成し、その上に中間層30を形成し、さらに、その上に第1光学層10となる基材を形成する。
【0057】
このときも、第1光学層10及び第2光学層20には、透明なガラスまたは樹脂などを用いる。そして、中間層30となる、半透過反射膜(アルミなどの金属蒸着などや、多層膜による波長選択膜など)を形成する。中間層30の透過率は、例えば90%以上とされる。
【0058】
なお、フレネルレンズの構成を利用することで全体の厚さを薄くすることができるため、第1光学層10、第2光学層20及びフレネルレンズ形状の中間層30と、を含み、第4主面20bが第1主面10aと平行な薄い光学シートが形成できる。そして、この薄い光学シートを、メガネのレンズの内側面または外側面に貼り付ける構成が考えられる。しかしながら、このような光学シートを曲面状のメガネのレンズ上に貼り付けると、その曲面に沿って光学シートが曲がり、フレネルレンズの複数の凸部12及び凹部22が所定の形状から変化し、所望の特性が得られない。
また、曲面状のメガネのレンズ上に貼り付けることを考慮して、第2主面10b及び第3主面20aを加工することは、実用的には非常に困難であり、現実的ではない。
【0059】
このように、表示映像の反射面となるメガネレンズ部分にフレネルミラーを用いる構成の頭部装着型の表示装置において、曲面状のメガネレンズ部分にシート状のフレネルミラーを貼ると、所望の光学特性が確保できないことが分かった。また、曲面状に曲げたときに機能するフレネルミラーの設計は、困難であり、また、製造も困難である。
【0060】
これに対して、本実施形態に係る表示装置120においては、所望の特性を有する光学ユニット42を容易に作製することができる。例えば、表面にフレネルレンズ構造を有する金型を用いて、例えば、第2主面10bを有する基材(例えば透明な樹脂など)を形成する。この基材は、ガラスなどでも良い。この場合は、第2主面10bとなる面にフレネルレンズ構造の表面をエッチングや切削などの手法で形成しても良い。この後、第2主面10b上に中間層30を例えば気相成長などにより形成する。その後、中間層30の上に、第2光学層20となる例えば透明な樹脂材料の層を形成する。その後、第1主面10aと第4主面20bとを任意の方法で、任意の形状で形成する。これにより、所望の光学特性(映像光51に対する光学特性及び透過光53に対する光学特性)を有する光学ユニット42が容易に得られる。なお、上記の製造方法は一例であり、実施形態においては、任意の製造方法を適用することができる。
このようして得られた光学ユニット42、及び、映像投影部50を、装着部60に取り付けることで、表示装置120(及び表示装置110など)が得られる。
【0061】
図7(a)及び図7(b)に表したように、複数の凸部12は、Z軸方向に沿った高さhを有している。また、複数の凹部22は、Z軸方向に沿った深さhを有している。
また、複数の凸部12(凹部22)どうしのX軸方向に沿った距離は、例えば距離pxである。複数の凹部22(凹部22)どうしのY軸方向に沿った距離は、例えば距離pyである。
【0062】
図8に表したように、表示装置120においても、中間層30の映像光51に対する光軸30oは、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oと、実質的に一致することが好ましい。光軸30oの位置と、光軸40oの位置と、の距離は、500μm以下であることが好ましい。
図8に表したように、複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチ)は、X軸方向において、距離px1及び距離px2である。例えば、距離px1は、映像光51(反射光52)に対する光軸30oと、第1主面10aのX軸方向の一方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。例えば、距離px2は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのX軸方向の他方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。この例では、距離px1は、距離px2と実質的に等しい。
【0063】
また、複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチ)は、Y軸方向において、距離py1及び距離py2である。例えば、距離py1は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのY軸方向の一方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。例えば、距離py2は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのY軸方向の他方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。この例では、距離py1は、距離py2と実質的に等しい。また、距離py1は、距離px1と実質的に等しい。
すなわち、この例では、突出部11をZ軸方向に沿って見たときの形状は円形であり、複数の凸部12は同心円である。
【0064】
複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチであり、距離px1、距離px2、距離py1及び距離py2など)は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。同様に、複数の凹部22のうちの最近接の2つの凹部22どうしの距離は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0065】
フレネルレンズ構造におけるピッチが過度に短いと、回折の影響により、画質が低下する。ピッチ幅を100μm以上にすることで、画質の低下が実質的に抑制できる。フレネルレンズ構造のピッチが過度に長いと、複数の凸部12または複数の凹部22が目立ち易くなり、画質が低下する。本実施形態において、光学ユニットの第1主面10aと観視者80の目81との距離は、例えば、5ミリメートル(mm)以上、30mm以下である。第1主面10aと観視者80の目81との距離がこのように短い場合は、目の焦点が合わないため、ピッチが1000μm以下において、ピッチの粗さに起因した画質の低下は実用的に許容される程度になる。
【0066】
表示装置120においては、光学ユニット42の内部にフレネルミラー面が作り込まれている。このため、例えば、光学ユニット42は、外界の背景像に対しては通常のメガネと同様に作用する。それと同時に、光学ユニット42は、投影された表示映像に対して反射スクリーンとして作用する。これにより、ひずみの少ない視野の広い表示が可能となる。特に、AR表示において、観視者80に良好な映像を提供することができる。
【0067】
図10(a)〜図10(f)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当する。これらの図は、本実施形態に係る表示装置120に使用可能な光学ユニットのいくつかの例を示している。
【0068】
図10(a)に表したように、光学ユニット42aにおいては、第1主面10aは実質的に平面である。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図10(b)に表したように、光学ユニット42bにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。この例では、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率よりも小さい。
図10(c)に表したように、光学ユニット42cにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図10(d)に表したように、光学ユニット42dにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、実質的に平面である。
光学ユニット42a、42b、42c及び42dは、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
図10(e)に表したように、光学ユニット42eにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、実質的に平面である。光学ユニット42eは、透過光53に対して凹レンズとして機能する。
図10(f)に表したように、光学ユニット42fにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率と同じである。第4主面20bは、第1主面10aに対して平行である。
光学ユニット42fは、透過光53に対して像の拡大または縮小の機能を持たない。光学ユニット42fは、例えば、使用者に、デザインの好みを満足させ、または、使い易さを感じさせる。
【0069】
実施形態に係る表示装置110及び120において、観視者80の目81の前に設置された光学ユニットに対して、目81の横または上方から映像光51が投影される。このとき、光学ユニットの反射特性を非対称にすることで、映像のひずみを低減することができる。以下、フレネルレンズの構成を用いる表示装置120の場合について説明する。
【0070】
図11(a)〜図11(c)及び図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、本実施形態に係る表示装置120に使用可能な光学ユニットのいくつかの例を示している。これらの図は、光学ユニットに設けられるフレネルレンズの形状、すなわち、突出部11及び複数の凸部12の形状(後退部21及び複数の凹部22の形状)を例示している。
【0071】
図11(a)に表したように、光学ユニット43aにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)である。そして、複数の凸部12のそれぞれの、Z軸に沿ってみたときの形状は、同心の扁平円である。
この例では、突出部11のX軸方向に沿う長さは、突出部11のY軸方向に沿う長さよりも長い。1つの凸部12において、X軸方向に沿う長さは、Y軸方向に沿う長さよりも長い。そして、距離px1及び距離px2は、距離py1及び距離py2よりも長い。
【0072】
図11(b)に表したように、光学ユニット43bにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)である。そして、複数の凸部12のそれぞれの、Z軸に沿ってみたときの形状は、同心の扁平円である。
この例では、突出部11のX軸方向に沿う長さは、突出部11のY軸方向に沿う長さよりも短い。1つの凸部12において、X軸方向に沿う長さは、Y軸方向に沿う長さよりも短い。そして、距離px1及び距離px2は、距離py1及び距離py2よりも短い。
【0073】
このように、第1主面10aから第2主面10bに向かう第1方向(例えばZ軸方向)に対して垂直な第2方向(例えばX軸方向)に沿った、複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px1及び距離px2)は、第1方向と第2方向とに対して垂直な第3方向(例えばY軸方向)に沿った複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py1及び距離py2)とは異なることができる。
【0074】
例えば、光学ユニットと、映像投影部50と、観視者80の目81と、の相対的な位置に基づいて、例えば、X軸方向に沿う距離px1及び距離px2と、Y軸方向に沿う距離py1及び距離py2と、の関係が適切に定められる。
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、X軸方向とY軸方向とで変えても良い。
【0075】
また、図11(c)に表したように、光学ユニット43cにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)であり、扁平円の軸が、Z軸を軸にして回転している。例えば、突出部11の長軸の方向をX1軸方向とし、短軸方向の軸をY1軸方向とする。この例では、X1軸はX軸に対して非平行であり、Y1軸はY軸に対して非平行である。
【0076】
図12(a)に表したように、光学ユニット43dにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、X軸(軸30x)に対して非対称である。この例では、ある位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py1)は、その位置のX軸に対して対称な位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py2)とは異なる。このように、複数の凸部12どうしの間隔は、X軸方向に関して非対称とすることができる。
【0077】
図12(b)に表したように、光学ユニット43eにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、Y軸(軸30y)に対して非対称である。この例では、ある位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px1)は、その位置のY軸に対して対称な位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px2)とは異なる。このように、複数の凸部12どうしの間隔は、Y軸方向に関して非対称とすることができる。
【0078】
図12(c)に表したように、光学ユニット43fにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、X軸(軸30x)に対して非対称であり、さらに、Y軸(軸30y)に対して非対称である。この例では、距離py1は距離py2とは異なり、距離px1は距離px2とは異なる。
【0079】
なお、光学ユニット43fにおける複数の凸部12は、光学ユニット43eにおける複数の凸部12を、Z軸を軸として回転させたものとしても良い。すなわち、光学ユニット43fにおけるX1軸はX軸に対して非平行であり、Y1軸はY軸に対して非平行である。
さらに、実施形態はこれに限らず、複数の凸部12のそれぞれの形状は、任意である。
【0080】
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた上側と下側とで変えても良い。また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた左側と右側とで変えても良い。複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた上側と下側とで変え、同時に左側と右側とで変えても良い。
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhは、Z軸方向に対して垂直な任意の軸(例えば第2軸)と、第2主面10bの一方の端と、の間の領域と、その第2軸と、第2主面10bの他方の端と、の間の領域と、で異なっていても良い。
【0081】
図13は、実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図13は、上記の実施形態に係る表示装置110及び120に用いることができる映像投影部50の構成の1つの例を示している。
この例では、映像投影部50として、レーザ走査型の網膜直描ディスプレイが用いられている。
【0082】
図13に表したように、映像投影部50は、画像エンジン112と、光学素子70と、を含む。この例では、画像エンジン112は、光源111(青色光源111B、緑色光源111G及び赤色光源111R)と、光スイッチ112aとを含む。この例では、光学素子70は、接眼光学系(例えばレンズなど)を含む。光学素子70には、例えばリレー光学系などが用いられる。
【0083】
青色光源111B、緑色光源111G及び赤色光源111Rには、それぞれ青色レーザ、緑色レーザ及び赤色レーザのそれぞれが用いられる。光スイッチ112aには、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナが用いられる。
【0084】
光源111から、映像信号に応じて輝度調整された光が出力される。光源111から出力された光は、MEMESデバイスの反射面に入射する。MEMSスキャナは、入射した光の方向を変える。MEMSスキャナで反射した光は、水平及び垂直方向に沿ってスキャンされる。これにより画像が形成される。
【0085】
光の光路上において、MEMSスキャナと観視者80の目81との間に光学素子70と光学ユニットとが設けられる。光学ユニットには、第1及び第2の実施形態に関して説明した光学ユニットのいずれか、または、その変形を用いることができる。以下では、光学ユニットとして光学ユニット40を用いる場合として説明する。
【0086】
光学ユニット40は、スキャンされた光(映像光51)を反射して、反射光52を観視者80の目81に入射させる。これにより、目81の網膜面に映像が表示される。この例では、MEMSスキャナと目81との間の光路上に光学素子70が設けられ、光学素子70と目81との間の光路上に光学ユニット40が設けられる。
【0087】
観視者80は、光学ユニット40を通して、実景と、映像投影部50により表示される表示映像と、の両方を見ることができる。これにより、表示映像が実景に重なって見える。
実施形態によれば、見易く使い易い表示装置が提供される。
【0088】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置に含まれる映像投影部、光学ユニット、第1光学層、第2光学層、中間層及び装着部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0089】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
10…第1光学層、 10a…第1主面、 10b…第2主面、 11…突出部、 12…凸部、 20…第2光学層、 20a…第3主面、 20b…第4主面、 21…後退部、 22…凹部、 30…中間層、 30o…光軸(主軸)、 30x、30y…軸、 40…光学ユニット、 40a…右目用光学ユニット、 40b…左目用光学ユニット、 40o…光軸(主軸)、 41a〜41f、42、42a〜42f、43a〜43f…光学ユニット、 50…映像投影部、 51…映像光、 52…反射光、 53…透過光、 60…装着部、 60a…右側装着部材、 60b…左側装着部材、 60c…連結部、 70…光学素子、 80…観視者、 81…目、 110、120…表示装置、 111…光源、 111B…青色光源、 111G…緑色光源、 111R…赤色光源、 112…画像エンジン、 112a…光スイッチ、 h…高さ(深さ)、 px、px1、px2、py、py1、py2…距離
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者(観視者)の頭部に装着され、使用者の目に表示を行うヘッドマウントディスプレイが開発されている。例えば、透明な部材の裏面に反射面を設け、反射面で反射する光を使用者の目に導く表示装置が提案されている。
このような表示装置において、見易く使い易いことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−221441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、見易く使い易い表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、映像投影部と、光学ユニットと、装着部と、を含む表示装置が提供される。前記映像投影部は、映像を含む映像光を出射する。前記光学ユニットは、第1光学層と、第2光学層と、中間層と、を含む。前記第1光学層は、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する。前記第2主面は、曲面状の表面を有する突出部を有する。前記第1光学層は、光透過性である。前記第2光学層は、前記第2主面に面し前記突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する。前記第2光学層は、光透過性である。前記中間層は、前記第2主面と前記第3主面との間に設けられる。前記中間層は、前記第1主面から前記第2主面に向かう光の少なくとも一部を反射し、前記第4主面から前記第3主面に向かう光の少なくとも一部を透過する。前記第1主面及び前記第4主面の少なくともいずれかは曲面である。前記装着部は、前記映像投影部と前記光学ユニットとに連結され、前記映像光を前記第1主面から前記光学ユニットに入射させ、前記映像光が前記中間層で反射して得られる反射光が前記第2主面から出射して観視者の目に入射するように前記光学ユニットと前記観視者の前記目との相対的な位置関係を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図5】第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図6】図6(a)〜図6(f)は、第1の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図8】第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的平面図である。
【図9】第2の実施形態に係る表示装置の使用状態を示す模式図である。
【図10】図10(a)〜図10(f)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図11】図11(a)〜図11(c)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図12】図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る表示装置を示す模式的断面図である。
【図13】実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る表示装置の使用状態を例示する模式図である。
図4は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図1は、図4のA1−A2線断面図である。
【0009】
図2に表したように、本実施形態に係る表示装置110は、映像投影部50と、光学ユニット40と、装着部60と、を備える。
映像投影部50は、映像を含む映像光51を出射する。映像光51は、例えば、レーザ光である。
【0010】
光学ユニット40は、例えば、観視者80(使用者)の目81の前に配置される。光学ユニット40として、例えば、観視者80の右目の前に配置される右目用光学ユニット40aが用いられる。また、光学ユニット40として、観視者80の左目の前に配置される左目用光学ユニット40bが用いられる。光学ユニット40として、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれかが用いられる。
【0011】
例えば、映像投影部50は、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれかに映像光51を入射させる。なお、右目用光学ユニット40aに映像光を入射させ右目用映像投影部と、左目用光学ユニット40bに映像光を入射させる左目用映像投影部と、が設けられても良い。
【0012】
以下では、光学ユニット40として右目用光学ユニット40aが用いられる場合として説明する。以下の説明は、左目用光学ユニット40bにも適用できる。
装着部60は、映像投影部50と光学ユニット40とに連結される。装着部60は、映像投影部50と光学ユニット40(例えば右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれか)を保持する。
【0013】
装着部60は、例えば、右側装着部材60aと、左側装着部材60bと、連結部60cと、を含むことができる。右側装着部材60aは、例えば、観視者80の右側に耳の上に配置される。左側装着部材60bは、例えば、観視者80の左側の耳の上に配置される。連結部60cは、例えば、右側装着部材60a及び左側装着部材60bに連結される。例えば、連結部60cは、右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bを保持する。
【0014】
表示装置110は、例えば、メガネ状やゴーグル状の形状を有する。ただし、実施形態はこれに限らず、表示装置110の形状は任意である。
図2に例示したように、映像投影部50から出射した映像光51は光学ユニット40に入射し、光学ユニット40で反射して得られた反射光52が、観視者80の目81に入射する。
【0015】
ここで、観視者80から前方に向かう方向をZ軸方向とする。観視者80の左から右に向かう方向をX軸方向とする。観視者80の下から上に向かう方向をY軸方向とする。X軸方向は、左目用光学ユニット40bから右目用光学ユニット40aに向かう方向である。Y軸方向は、Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向である。
【0016】
図3に表したように、観視者80は、光学ユニット40を透過する透過光53に含まれる背景像を観視することができる。表示装置110は、例えば光学シースルー型の頭部装着型の表示装置である。
図4に表したように、光学ユニット40(例えば右目用光学ユニット40a及び左目用光学ユニット40bの少なくともいずれか)は、メガネのレンズ状の形状を有している。
【0017】
図1は、光学ユニット40の構成の例を示している。
図1に表したように、光学ユニット40は、第1光学層10と、第2光学層20と、中間層30と、を含む。
第1光学層10は、第1主面10aと、第2主面10bと、を有する。第2主面10bは、第1光学層10の、第1主面10aとは反対側の面である。第2主面10bは、突出部11を有する。突出部11は、曲面状の表面を有する。第1光学層10は、光透過性である。
【0018】
第2光学層20は、第3主面20aと、第4主面20bと、を有する。第3主面20aは、第2主面10bに面する。第3主面20aは、後退部21を有する。後退部21は、突出部11に沿って後退する。第4主面20bは、第2光学層20の、第3主面20aとは反対側の面である。第2光学層20は、光透過性である。
第1主面10a及び第4主面20bの少なくともいずれかは曲面である。この例では、第1主面10a及び第4主面20bの両方が曲面である。
【0019】
中間層30は、第2主面10bと第3主面20aとの間に設けられる。中間層30は、例えば、第2主面10bと第3主面20aとに接する。中間層30は、第1主面10aから第2主面10bに向かう光(例えば映像光51)の少なくとも一部を反射する。中間層30は、第4主面20bから第3主面20aに向かう光(例えば背景像を含む透過光53)の少なくとも一部を透過する。
【0020】
装着部60は、映像光51を第1主面10aから光学ユニット40に入射させ、映像光51が中間層30で反射して得られる反射光52が第2主面10bから出射して観視者80の目81に入射するように、光学ユニット40と観視者80の目81との相対的な位置関係を規定する。
これにより、見易く使い易い表示装置が提供できる。
【0021】
第1光学層10及び第2光学層20には、可視光に対して透過性のガラスまたは樹脂などが用いられる。
中間層30には、例えば、金属膜(例えばアルミニウム膜など)または金属化合物膜などが用いられる。中間層30の厚さを十分薄くすることで、中間層30は映像光51を反射し、透過光53を透過する。
【0022】
中間層30として、例えば、多層積層膜による反射透過膜などを用いても良い。この多層積層膜は、例えば、波長選択性を有する。例えば、中間層30は、複数の第1層と、複数の第1層どうしの間に設けられ、複数の第1層の屈折率とは異なる第2層と、を含むことができる。この場合も、中間層30は映像光51を反射し、透過光53を透過する。
【0023】
中間層30の可視光(例えば緑色光)に対する透過率は、例えば、90%以上(反射率は10%未満)であることが好ましい。中間層30の透過率が過度に低いと、透過光53が十分に目81に到達しない。中間層30の透過率を90%以上にすることで、明るい実景(実空間の像であり、背景像)が得られる。
【0024】
表示装置110において、第2主面10bに設けられる突出部11は突出し、第3主面20aに設けられる後退部21は後退している。例えば、突出部11は、Z軸方向に沿って曲面状に突出し、後退部21は、Z軸方向に沿って曲面状に後退する。これにより、映像光51が中間層30で反射する際に、中間層30は、例えば、凹面鏡として機能する。中間層30で反射して得られた反射光52に含まれる像は、映像光51に含まれる層よりも大きい。すなわち、中間層30において、像が拡大される。これにより、表示装置110は、観視者80に、見易い表示を提供することができる。
表示装置110において、例えば、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率とは異なる。
【0025】
図1に示した例では、第4主面20bは、曲面状に突出している。そして、第1主面10aは、曲面状に後退している。
第1主面10aの曲率が第4主面20bの曲率よりも大きい場合(第1主面10aの曲率半径が第4主面20bの曲率半径よりも小さい場合)、光学ユニット40は、透過光53に対して凹レンズとして機能する。図1に例示した光学ユニット40においては、この構成が適用されている。
【0026】
また、逆に、第1主面10aの曲率が第4主面20bの曲率よりも小さい場合(第1主面10aの曲率半径が第4主面20bの曲率半径よりも大きい場合)、光学ユニット40は、例えば、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
【0027】
光学ユニット40が凹レンズまたは凸レンズとして機能する場合、光学ユニット40は、観視者80の視力を矯正する機能を有することができる。
【0028】
表示装置110によれば、観視者80は、映像投影部50から得られる映像を観視することに加え、光学ユニット40を介して、視力を矯正した状態で背景像を観視することができる。表示装置110は、観視者80に、例えば、表示映像を拡大して見易く表示しつつ、背景像を見易く見せることができる。
このように、本実施形態に係る表示装置110によれば、見易く使い易い表示装置を提供することができる。
【0029】
頭部装着型の表示装置のうちの、特に、光学シースルー型の表示装置においては、観視者80は、表示映像と共に背景像を重畳して観視する。このとき、観視者80によっては、凹レンズまたは凸レンズなどの視力を矯正するメガネを用いて背景像を見る状況が存在する。従来、表示映像を見易く表示する場合において、観視者80の視力の矯正を考慮した構成は、知られていない。
【0030】
また、通常のメガネのレンズ(目の前に配置される光透過性の部材)は、目の周りを囲むような曲面を有していることが多い。このため、頭部装着型の表示装置におけるスクリーンも目の周りを囲むような曲面を有していることが使用者にとって違和感が少ない。例えば、目の周りを囲むような曲面形状のスクリーンが使用者に取って使い易い。この曲面の曲率は、例えば、表示装置の外見上及び使用感などに基づいて、使用者の好みに適合するように設計される。
【0031】
一方、表示映像を観視者80に提示するための反射スクリーンは、映像投影部50の特性、及び、光学ユニット40と目81との間の距離などによって、所定の形状及び光学特性を持つように設計される。
【0032】
このため、目81の前に配置される反射スクリーンの光学特性及び外形は、光学ユニット40の外形と独立して設計されることが望ましい。発明者は、光学シースルー型の表示装置においては、上記の様な、従来にない特殊な課題が存在することを見出した。本実施形態に係る表示装置110の構成は、この新たに見出された課題を解決すべく構築されている。
【0033】
表示装置110においては、反射スクリーンとして機能する中間層30は、表示映像の表示のための適正な設計が適用される。一方、光学ユニット40の外形及び光学特性は、背景像を観視するための望ましい設計が適用される。
【0034】
例えば、光学ユニット40の第1主面10a及び第4主面20bの形状は、例えば、曲面状とされる。これにより、使用者にとって違和感が小さくなり、使い易くなる。また、第1主面10a及び第4主面20bは、例えば、円筒状(例えばX軸を軸とする円筒状、または、Y軸を軸とする円筒状)でも良い。また、第1主面10a及び第4主面20bのいずれかは、平面状でも良い。
【0035】
光学ユニット40の第1主面10a及び第4主面20bの形状は、例えば、光学ユニット40を通過する透過光53に対して、光学ユニット40が凹レンズまたは凸レンズとして機能するように、設計される。これにより、観視者80の視力を矯正することができる。
【0036】
例えば、光学ユニット40として、第2光学層20を設けず、第1光学層10と、第1光学層10の第1主面10aまたは第2主面10b上に設けられた反射層と、を用いる参考例の構成が考えられる。この参考例においては、映像光51は反射層で反射して、その反射光52が観視者80の目81に入射する。このとき、反射層を、反射透過性とすることで、背景像を含む透過光53が観視者80の目81に入射する。この構成においては、観視者80が、背景像を観視したときに、背景像に歪みが発生する。これは、透過光53が反射層(反射透過層)を通過する際に、反射層において屈折効果が生じるためである。
【0037】
これに対し、本実施形態に係る表示装置110においては、映像光51を反射する中間層30が、第1光学層10と第2光学層20との間に設けられる。このため、透過光53に対する第1光学層10の作用が、透過光53に対する第2光学層20の作用によって補償される。このため、透過光53に含まれる背景像の歪みが抑制される。
【0038】
このように、表示装置110は、映像投影部50と、映像投影部50から供給される映像を目に導く接眼光学系と、を含む。接眼光学系として、光学ユニット40が用いられる。表示映像を含む映像光51は、観視者80の目81の横、または、目81の上方から、光学ユニット40に向けて投影される。光学ユニット40は、視野を広げ、外界の背景像を歪みを抑制した状態で透過させる。これと同時に、光学ユニット40は、投影された映像を拡大して、目81の方向に反射させる。これにより、見易く使い易い表示装置が提供される。
【0039】
本実施形態に係る表示装置110において、第1光学層10の屈折率は、第2光学層20の屈折率と同じであることが望ましい。例えば、第1光学層10の屈折率と、第2光学層20の屈折率と、の差の絶対値は、1×10−3以下であることが望ましい。これにより、透過光53に含まれる背景像の歪みが効果的に抑制できる。
【0040】
図5は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図5に表したように、表示装置110の光学ユニット40において、透過光53に対する光軸40o(主軸)が存在する。光軸40oは、光学ユニット40の第4主面20bから入射する光(透過光53)が、第3主面20a、中間層30、第2主面10b及び第1主面10aを通過するときの光軸(主軸)である。
【0041】
光学ユニット40が例えば、凹レンズまたは凸レンズとして機能する場合、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oは、凹レンズの光軸(主軸)または凸レンズの光軸(主軸)に相当する。
【0042】
一方、中間層30において、映像光51に対する光軸30o(主軸)が存在する。光軸30oは、映像光51が第1主面10aから光学ユニット40に入射し、映像光51が中間層30で反射するときの中間層30における光軸(主軸)である。光軸30oは、例えば、反射光52の光軸(主軸)に相当する。
【0043】
中間層30の映像光51に対する光軸30oは、中間層30が凹面鏡として機能する際の、凹面鏡の光軸(主軸)に相当する。
中間層30の映像光51に対する光軸30oは、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oと、実質的に一致する。
例えば、中間層30の映像光51に対する光軸30oの位置が、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oから離れると、反射光52に含まれる表示映像と、透過光53に含まれる背景像と、において、歪みが大きくなり、良好な像が得られる視野が狭くなる。
【0044】
映像光51が第1主面10aから光学ユニット40に入射し、映像光51が中間層30で反射するときの中間層30における光軸30oの位置(例えばX−Y平面における位置)と、第4主面20bから入射する光(透過光53)が、第3主面20a、中間層30、第2主面10b及び第1主面10aを通過するときの光軸40oの位置(例えばX−Y平面における位置)と、の距離は、500マイクロメートル(μm)以下であることが好ましい。
【0045】
光軸30oの位置と光軸40oの位置との距離を、500μm以下にすることで、像の歪みが実用的に十分に小さくでき、良好な表示が得られる視野が実用的に十分広くなる。
これにより、例えば、特に、実景(背景像)に表示映像を重畳させて表示をするAR(Augmented Reality:拡張現実)表示において、観視者80に良好な映像を提供することができる。
【0046】
図6(a)〜図6(f)は、第1の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当する。これらの図は、本実施形態に係る表示装置110に使用可能な別の光学ユニットのいくつかの例を示している。
【0047】
図6(a)に表したように、光学ユニット41aにおいては、第1主面10aは実質的に平面である。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図6(b)に表したように、光学ユニット41bにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。この例では、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率よりも小さい。
図6(c)に表したように、光学ユニット41cにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、曲面状に突出している。
【0048】
図6(d)に表したように、光学ユニット41dにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、実質的に平面である。
光学ユニット41a、41b、41c及び41dは、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
図6(e)に表したように、光学ユニット41eにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、実質的に平面である。光学ユニット41eは、透過光53に対して凹レンズとして機能する。
図6(f)に表したように、光学ユニット41fにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率と同じである。第4主面20bは、第1主面10aに対して平行である。
光学ユニット41fは、透過光53に対して像の拡大または縮小の機能を持たない。光学ユニット41fは、例えば。使用者に、デザインの好みを満足させ、または、使い易さを感じさせる。
【0049】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る表示装置においては、光学ユニットの構成が、第1の実施形態における光学ユニットとは異なる。以下では、光学ユニット以外の構成についての説明は省略し、本実施形態の光学ユニットの例について、第1の実施形態の光学ユニットとは異なる点について説明する。
【0050】
図7(a)及び図7(b)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
図7(a)は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当し、例えば、Z−Y平面で切断したときの断面図である。第7(b)は、図4のA3−A4断面に相当し、例えば、Z−X平面で切断したときの断面図である。
図8は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的平面図である。
図9は、第2の実施形態に係る表示装置の使用状態を例示する模式図である。
【0051】
図7(a)、図7(b)及び図8に表したように、本実施形態に係る表示装置120における光学ユニット42おいては、第2主面10bは、複数の凸部12をさらに有する。複数の凸部12は、突出部11の周りに設けられる。複数の凸部12のそれぞれは、突出部11をX−Y平面内で取り囲む。複数の凸部12のそれぞれは、突出部と同心である。
【0052】
さらに、第3主面20aは、複数の凹部22をさらに有する。複数の凹部22は、後退部21の周りに設けられる。複数の凹部22のそれぞれは、後退部21をX−Y平面内で取り囲む。複数の凹部22のそれぞれは、後退部21と同心である。複数の凹部22のそれぞれは、複数の凸部12のそれぞれに沿う。
【0053】
第2主面10bは、フレネルレンズの表面形状を有する。第2主面10bにおいて、突出部11と、複数の凸部12と、は、フレネルレンズの表面を形成する。第3主面20aは、フレネルレンズの表面形状を有する。第3主面20aにおいて、後退部21と、複数の凹部22と、は、フレネルレンズの表面を形成する。
これにより、中間層30は、フレネルレンズの形状を有する凹面鏡として機能する。
【0054】
第2主面10bがフレネルレンズの表面形状を有し、第3主面20aがフレネルレンズの表面形状を有することで、中間層30の凹面鏡の全体の曲率を大きくしつつ(維持しつつ)、光学ユニット42の全体の厚さを薄くすることができる。
【0055】
図9に表したように、表示装置120においても、映像投影部50から出射した映像光51は、光学ユニット42に第1主面10aから入射する。映像光51が中間層30で反射して得られた反射光52は、第2主面10bから出射し、観視者80の目81に到達する。一方、第4主面20bから入射した背景像を含む光(透過光53)は、光学ユニット42を通過して目81に入射する。
【0056】
表示装置120においては、光学ユニット42の内部にフレネルミラー(例えば中間層30)が設けられている。すなわち、メガネレンズの内部に、フレネルミラーを形成する凹凸面が設けられ、その凹凸面上に反射膜が形成される。例えば、第1光学層10となる基材の表面にフレネルレンズの凹凸を形成し、その上に中間層30を形成し、さらに、その上に第2光学層20となる基材を形成する。または、例えば、第2光学層20となる基材の表面にフレネルレンズの凹凸を形成し、その上に中間層30を形成し、さらに、その上に第1光学層10となる基材を形成する。
【0057】
このときも、第1光学層10及び第2光学層20には、透明なガラスまたは樹脂などを用いる。そして、中間層30となる、半透過反射膜(アルミなどの金属蒸着などや、多層膜による波長選択膜など)を形成する。中間層30の透過率は、例えば90%以上とされる。
【0058】
なお、フレネルレンズの構成を利用することで全体の厚さを薄くすることができるため、第1光学層10、第2光学層20及びフレネルレンズ形状の中間層30と、を含み、第4主面20bが第1主面10aと平行な薄い光学シートが形成できる。そして、この薄い光学シートを、メガネのレンズの内側面または外側面に貼り付ける構成が考えられる。しかしながら、このような光学シートを曲面状のメガネのレンズ上に貼り付けると、その曲面に沿って光学シートが曲がり、フレネルレンズの複数の凸部12及び凹部22が所定の形状から変化し、所望の特性が得られない。
また、曲面状のメガネのレンズ上に貼り付けることを考慮して、第2主面10b及び第3主面20aを加工することは、実用的には非常に困難であり、現実的ではない。
【0059】
このように、表示映像の反射面となるメガネレンズ部分にフレネルミラーを用いる構成の頭部装着型の表示装置において、曲面状のメガネレンズ部分にシート状のフレネルミラーを貼ると、所望の光学特性が確保できないことが分かった。また、曲面状に曲げたときに機能するフレネルミラーの設計は、困難であり、また、製造も困難である。
【0060】
これに対して、本実施形態に係る表示装置120においては、所望の特性を有する光学ユニット42を容易に作製することができる。例えば、表面にフレネルレンズ構造を有する金型を用いて、例えば、第2主面10bを有する基材(例えば透明な樹脂など)を形成する。この基材は、ガラスなどでも良い。この場合は、第2主面10bとなる面にフレネルレンズ構造の表面をエッチングや切削などの手法で形成しても良い。この後、第2主面10b上に中間層30を例えば気相成長などにより形成する。その後、中間層30の上に、第2光学層20となる例えば透明な樹脂材料の層を形成する。その後、第1主面10aと第4主面20bとを任意の方法で、任意の形状で形成する。これにより、所望の光学特性(映像光51に対する光学特性及び透過光53に対する光学特性)を有する光学ユニット42が容易に得られる。なお、上記の製造方法は一例であり、実施形態においては、任意の製造方法を適用することができる。
このようして得られた光学ユニット42、及び、映像投影部50を、装着部60に取り付けることで、表示装置120(及び表示装置110など)が得られる。
【0061】
図7(a)及び図7(b)に表したように、複数の凸部12は、Z軸方向に沿った高さhを有している。また、複数の凹部22は、Z軸方向に沿った深さhを有している。
また、複数の凸部12(凹部22)どうしのX軸方向に沿った距離は、例えば距離pxである。複数の凹部22(凹部22)どうしのY軸方向に沿った距離は、例えば距離pyである。
【0062】
図8に表したように、表示装置120においても、中間層30の映像光51に対する光軸30oは、光学ユニット40の透過光53に対する光軸40oと、実質的に一致することが好ましい。光軸30oの位置と、光軸40oの位置と、の距離は、500μm以下であることが好ましい。
図8に表したように、複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチ)は、X軸方向において、距離px1及び距離px2である。例えば、距離px1は、映像光51(反射光52)に対する光軸30oと、第1主面10aのX軸方向の一方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。例えば、距離px2は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのX軸方向の他方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。この例では、距離px1は、距離px2と実質的に等しい。
【0063】
また、複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチ)は、Y軸方向において、距離py1及び距離py2である。例えば、距離py1は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのY軸方向の一方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。例えば、距離py2は、映像光51に対する光軸30oと、第1主面10aのY軸方向の他方の端と、の間の領域における複数の凸部12どうしの間の間隔である。この例では、距離py1は、距離py2と実質的に等しい。また、距離py1は、距離px1と実質的に等しい。
すなわち、この例では、突出部11をZ軸方向に沿って見たときの形状は円形であり、複数の凸部12は同心円である。
【0064】
複数の凸部12のうちの最近接の2つの凸部12どうしの距離(例えばピッチであり、距離px1、距離px2、距離py1及び距離py2など)は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。同様に、複数の凹部22のうちの最近接の2つの凹部22どうしの距離は、100μm以上1000μm以下であることが好ましい。
【0065】
フレネルレンズ構造におけるピッチが過度に短いと、回折の影響により、画質が低下する。ピッチ幅を100μm以上にすることで、画質の低下が実質的に抑制できる。フレネルレンズ構造のピッチが過度に長いと、複数の凸部12または複数の凹部22が目立ち易くなり、画質が低下する。本実施形態において、光学ユニットの第1主面10aと観視者80の目81との距離は、例えば、5ミリメートル(mm)以上、30mm以下である。第1主面10aと観視者80の目81との距離がこのように短い場合は、目の焦点が合わないため、ピッチが1000μm以下において、ピッチの粗さに起因した画質の低下は実用的に許容される程度になる。
【0066】
表示装置120においては、光学ユニット42の内部にフレネルミラー面が作り込まれている。このため、例えば、光学ユニット42は、外界の背景像に対しては通常のメガネと同様に作用する。それと同時に、光学ユニット42は、投影された表示映像に対して反射スクリーンとして作用する。これにより、ひずみの少ない視野の広い表示が可能となる。特に、AR表示において、観視者80に良好な映像を提供することができる。
【0067】
図10(a)〜図10(f)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、例えば、図4のA1−A2線断面に相当する。これらの図は、本実施形態に係る表示装置120に使用可能な光学ユニットのいくつかの例を示している。
【0068】
図10(a)に表したように、光学ユニット42aにおいては、第1主面10aは実質的に平面である。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図10(b)に表したように、光学ユニット42bにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。この例では、第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率よりも小さい。
図10(c)に表したように、光学ユニット42cにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、曲面状に突出している。
図10(d)に表したように、光学ユニット42dにおいては、第1主面10aは、曲面状に突出している。第4主面20bは、実質的に平面である。
光学ユニット42a、42b、42c及び42dは、透過光53に対して凸レンズとして機能する。
図10(e)に表したように、光学ユニット42eにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、実質的に平面である。光学ユニット42eは、透過光53に対して凹レンズとして機能する。
図10(f)に表したように、光学ユニット42fにおいては、第1主面10aは、曲面状に後退している。第4主面20bは、曲面状に突出している。第1主面10aの曲率は、第4主面20bの曲率と同じである。第4主面20bは、第1主面10aに対して平行である。
光学ユニット42fは、透過光53に対して像の拡大または縮小の機能を持たない。光学ユニット42fは、例えば、使用者に、デザインの好みを満足させ、または、使い易さを感じさせる。
【0069】
実施形態に係る表示装置110及び120において、観視者80の目81の前に設置された光学ユニットに対して、目81の横または上方から映像光51が投影される。このとき、光学ユニットの反射特性を非対称にすることで、映像のひずみを低減することができる。以下、フレネルレンズの構成を用いる表示装置120の場合について説明する。
【0070】
図11(a)〜図11(c)及び図12(a)〜図12(c)は、第2の実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式的断面図である。
これらの図は、本実施形態に係る表示装置120に使用可能な光学ユニットのいくつかの例を示している。これらの図は、光学ユニットに設けられるフレネルレンズの形状、すなわち、突出部11及び複数の凸部12の形状(後退部21及び複数の凹部22の形状)を例示している。
【0071】
図11(a)に表したように、光学ユニット43aにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)である。そして、複数の凸部12のそれぞれの、Z軸に沿ってみたときの形状は、同心の扁平円である。
この例では、突出部11のX軸方向に沿う長さは、突出部11のY軸方向に沿う長さよりも長い。1つの凸部12において、X軸方向に沿う長さは、Y軸方向に沿う長さよりも長い。そして、距離px1及び距離px2は、距離py1及び距離py2よりも長い。
【0072】
図11(b)に表したように、光学ユニット43bにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)である。そして、複数の凸部12のそれぞれの、Z軸に沿ってみたときの形状は、同心の扁平円である。
この例では、突出部11のX軸方向に沿う長さは、突出部11のY軸方向に沿う長さよりも短い。1つの凸部12において、X軸方向に沿う長さは、Y軸方向に沿う長さよりも短い。そして、距離px1及び距離px2は、距離py1及び距離py2よりも短い。
【0073】
このように、第1主面10aから第2主面10bに向かう第1方向(例えばZ軸方向)に対して垂直な第2方向(例えばX軸方向)に沿った、複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px1及び距離px2)は、第1方向と第2方向とに対して垂直な第3方向(例えばY軸方向)に沿った複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py1及び距離py2)とは異なることができる。
【0074】
例えば、光学ユニットと、映像投影部50と、観視者80の目81と、の相対的な位置に基づいて、例えば、X軸方向に沿う距離px1及び距離px2と、Y軸方向に沿う距離py1及び距離py2と、の関係が適切に定められる。
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、X軸方向とY軸方向とで変えても良い。
【0075】
また、図11(c)に表したように、光学ユニット43cにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、扁平円(楕円を含む)であり、扁平円の軸が、Z軸を軸にして回転している。例えば、突出部11の長軸の方向をX1軸方向とし、短軸方向の軸をY1軸方向とする。この例では、X1軸はX軸に対して非平行であり、Y1軸はY軸に対して非平行である。
【0076】
図12(a)に表したように、光学ユニット43dにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、X軸(軸30x)に対して非対称である。この例では、ある位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py1)は、その位置のX軸に対して対称な位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離py2)とは異なる。このように、複数の凸部12どうしの間隔は、X軸方向に関して非対称とすることができる。
【0077】
図12(b)に表したように、光学ユニット43eにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、Y軸(軸30y)に対して非対称である。この例では、ある位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px1)は、その位置のY軸に対して対称な位置における複数の凸部12どうしの間隔(例えば距離px2)とは異なる。このように、複数の凸部12どうしの間隔は、Y軸方向に関して非対称とすることができる。
【0078】
図12(c)に表したように、光学ユニット43fにおいては、突出部11の、Z軸に沿ってみたときの形状は、X軸(軸30x)に対して非対称であり、さらに、Y軸(軸30y)に対して非対称である。この例では、距離py1は距離py2とは異なり、距離px1は距離px2とは異なる。
【0079】
なお、光学ユニット43fにおける複数の凸部12は、光学ユニット43eにおける複数の凸部12を、Z軸を軸として回転させたものとしても良い。すなわち、光学ユニット43fにおけるX1軸はX軸に対して非平行であり、Y1軸はY軸に対して非平行である。
さらに、実施形態はこれに限らず、複数の凸部12のそれぞれの形状は、任意である。
【0080】
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた上側と下側とで変えても良い。また、複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた左側と右側とで変えても良い。複数の凸部12のそれぞれの高さhの、複数の凸部12の間での変化を、観視者80からみた上側と下側とで変え、同時に左側と右側とで変えても良い。
また、複数の凸部12のそれぞれの高さhは、Z軸方向に対して垂直な任意の軸(例えば第2軸)と、第2主面10bの一方の端と、の間の領域と、その第2軸と、第2主面10bの他方の端と、の間の領域と、で異なっていても良い。
【0081】
図13は、実施形態に係る表示装置の構成を例示する模式図である。
図13は、上記の実施形態に係る表示装置110及び120に用いることができる映像投影部50の構成の1つの例を示している。
この例では、映像投影部50として、レーザ走査型の網膜直描ディスプレイが用いられている。
【0082】
図13に表したように、映像投影部50は、画像エンジン112と、光学素子70と、を含む。この例では、画像エンジン112は、光源111(青色光源111B、緑色光源111G及び赤色光源111R)と、光スイッチ112aとを含む。この例では、光学素子70は、接眼光学系(例えばレンズなど)を含む。光学素子70には、例えばリレー光学系などが用いられる。
【0083】
青色光源111B、緑色光源111G及び赤色光源111Rには、それぞれ青色レーザ、緑色レーザ及び赤色レーザのそれぞれが用いられる。光スイッチ112aには、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナが用いられる。
【0084】
光源111から、映像信号に応じて輝度調整された光が出力される。光源111から出力された光は、MEMESデバイスの反射面に入射する。MEMSスキャナは、入射した光の方向を変える。MEMSスキャナで反射した光は、水平及び垂直方向に沿ってスキャンされる。これにより画像が形成される。
【0085】
光の光路上において、MEMSスキャナと観視者80の目81との間に光学素子70と光学ユニットとが設けられる。光学ユニットには、第1及び第2の実施形態に関して説明した光学ユニットのいずれか、または、その変形を用いることができる。以下では、光学ユニットとして光学ユニット40を用いる場合として説明する。
【0086】
光学ユニット40は、スキャンされた光(映像光51)を反射して、反射光52を観視者80の目81に入射させる。これにより、目81の網膜面に映像が表示される。この例では、MEMSスキャナと目81との間の光路上に光学素子70が設けられ、光学素子70と目81との間の光路上に光学ユニット40が設けられる。
【0087】
観視者80は、光学ユニット40を通して、実景と、映像投影部50により表示される表示映像と、の両方を見ることができる。これにより、表示映像が実景に重なって見える。
実施形態によれば、見易く使い易い表示装置が提供される。
【0088】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、表示装置に含まれる映像投影部、光学ユニット、第1光学層、第2光学層、中間層及び装着部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0089】
その他、本発明の実施の形態として上述した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
10…第1光学層、 10a…第1主面、 10b…第2主面、 11…突出部、 12…凸部、 20…第2光学層、 20a…第3主面、 20b…第4主面、 21…後退部、 22…凹部、 30…中間層、 30o…光軸(主軸)、 30x、30y…軸、 40…光学ユニット、 40a…右目用光学ユニット、 40b…左目用光学ユニット、 40o…光軸(主軸)、 41a〜41f、42、42a〜42f、43a〜43f…光学ユニット、 50…映像投影部、 51…映像光、 52…反射光、 53…透過光、 60…装着部、 60a…右側装着部材、 60b…左側装着部材、 60c…連結部、 70…光学素子、 80…観視者、 81…目、 110、120…表示装置、 111…光源、 111B…青色光源、 111G…緑色光源、 111R…赤色光源、 112…画像エンジン、 112a…光スイッチ、 h…高さ(深さ)、 px、px1、px2、py、py1、py2…距離
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を含む映像光を出射する映像投影部と、
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有し、前記第2主面は曲面状の表面を有する突出部を有し、光透過性の第1光学層と、
前記第2主面に面し前記突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有し、光透過性の第2光学層と、
前記第2主面と前記第3主面との間に設けられ、前記第1主面から前記第2主面に向かう光の少なくとも一部を反射し、前記第4主面から前記第3主面に向かう光の少なくとも一部を透過する中間層と、
を含み、前記第1主面及び前記第4主面の少なくともいずれかは曲面である光学ユニットと、
前記映像投影部と前記光学ユニットとに連結され、前記映像光を前記第1主面から前記光学ユニットに入射させ、前記映像光が前記中間層で反射して得られる反射光が前記第2主面から出射して観視者の目に入射するように前記光学ユニットと前記観視者の前記目との相対的な位置関係を規定する装着部と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第1主面の曲率は、前記第4主面の曲率とは異なる請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像光が前記第1主面から前記光学ユニットに入射し前記映像光が前記中間層で反射するときの前記中間層における光軸は、
前記第4主面から入射する光が、前記第3主面、前記中間層、前記第2主面及び前記第1主面を通過するときの光軸と一致する請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2主面は、前記突出部の周りに設けられ前記突出部と同心の複数の凸部をさらに含み、
前記第3主面は、前記後退部の周りに設けられ前記後退部と同心の複数の凹部をさらに含み、前記複数の凹部のそれぞれは、前記複数の凸部のそれぞれに沿う請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の凸部のうちの最近接の2つの前記凸部どうしの距離は、100マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下である請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1主面から前記第2主面に向かう第1方向に対して垂直な第2方向に沿った前記複数の凸部どうしの間隔は、前記第1方向と前記第2方向とに対して垂直な第3方向に沿った前記複数の凸部どうしの間隔とは異なる請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1光学層の屈折率は、前記第2光学層の屈折率と同じである請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記中間層は、金属膜または金属化合物膜である請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記映像光は、レーザ光である請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項1】
映像を含む映像光を出射する映像投影部と、
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有し、前記第2主面は曲面状の表面を有する突出部を有し、光透過性の第1光学層と、
前記第2主面に面し前記突出部に沿って後退する後退部を有する第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有し、光透過性の第2光学層と、
前記第2主面と前記第3主面との間に設けられ、前記第1主面から前記第2主面に向かう光の少なくとも一部を反射し、前記第4主面から前記第3主面に向かう光の少なくとも一部を透過する中間層と、
を含み、前記第1主面及び前記第4主面の少なくともいずれかは曲面である光学ユニットと、
前記映像投影部と前記光学ユニットとに連結され、前記映像光を前記第1主面から前記光学ユニットに入射させ、前記映像光が前記中間層で反射して得られる反射光が前記第2主面から出射して観視者の目に入射するように前記光学ユニットと前記観視者の前記目との相対的な位置関係を規定する装着部と、
を備えた表示装置。
【請求項2】
前記第1主面の曲率は、前記第4主面の曲率とは異なる請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像光が前記第1主面から前記光学ユニットに入射し前記映像光が前記中間層で反射するときの前記中間層における光軸は、
前記第4主面から入射する光が、前記第3主面、前記中間層、前記第2主面及び前記第1主面を通過するときの光軸と一致する請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2主面は、前記突出部の周りに設けられ前記突出部と同心の複数の凸部をさらに含み、
前記第3主面は、前記後退部の周りに設けられ前記後退部と同心の複数の凹部をさらに含み、前記複数の凹部のそれぞれは、前記複数の凸部のそれぞれに沿う請求項1〜3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の凸部のうちの最近接の2つの前記凸部どうしの距離は、100マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下である請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1主面から前記第2主面に向かう第1方向に対して垂直な第2方向に沿った前記複数の凸部どうしの間隔は、前記第1方向と前記第2方向とに対して垂直な第3方向に沿った前記複数の凸部どうしの間隔とは異なる請求項4または5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1光学層の屈折率は、前記第2光学層の屈折率と同じである請求項1〜6のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項8】
前記中間層は、金属膜または金属化合物膜である請求項1〜7のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項9】
前記映像光は、レーザ光である請求項1〜8のいずれか1つに記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−73070(P2013−73070A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212663(P2011−212663)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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