説明

表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法

【課題】自動的に清掃可能で、清掃後の表示部の状況が確認できるとともに、メインテナンスが容易な表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1輝度測定器25、第2輝度測定器27で清掃前後の同じ表示素子16の輝度を計測する。清掃後の輝度が清掃前と比較して閾値以上向上していない場合には、その表示素子の識別情報を記憶部68に記憶させ、1列分の表示素子16の清掃が終了した後に2回目の清掃を行う。2回目の清掃後にも輝度が向上しないと判別された表示素子がある場合には、輝度が向上したと判別されない表示素子について、輝度比較制御部54は、主制御部52にアラームを通知する。輝度の測定は、ブロア31により表示素子16を乾燥させた後に行う。表示装置1には扉11が設けられており、係員が出入りして清掃ユニット17の保守点検を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に公の場所に設置され、各種情報を表示する表示装置は、多くの人が遠くからでも見やすいように、高所に設置されている場合が多い。例えば、室内であれば、天井から吊下器具により固定される例がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、屋外に設置される表示装置では、街中のビルの壁面に大型映像装置を設置し、多くの歩行者等に広告を流したりする例や、競技場や野球場で、各競技の結果や競技中の映像等を流し、場内の観客を盛り上げたりする例がある。このような屋外表示装置の中には、保守の面から、液晶モジュールを複数のユニットフレーム(液晶モジュール取付枠)に分け、それぞれ回動して開放可能な構成にすることにより、保守点検を行いやすくしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら上記のような表示装置は、長年使用され続けると、表示素子の表面に塵埃等が付着したり、表示素子自体が劣化したりして、表示画面が暗くなり、内容が鮮明に表示できなくなる。塵埃等の付着を改善する為には、表示装置の表示部表面を定期的に清掃し、表示部の輝度を明るい状態に保つ必要がある。しかし、清掃を行なう場合、特に、高所や屋外に設置される表示装置については、表示装置の前側に足場を組む必要があったり、表示装置より高い場所からゴンドラを下ろし、そのゴンドラに乗って直接手作業で清掃する必要があったりする。このため、清掃作業員は高所等の清掃作業より危険性に曝される。このような危険等を回避するため、表示装置の枠体に沿って移動する移動体に清掃部材を設け、自動的に清掃するようにした清掃装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−241099号公報
【特許文献2】特開平7−261162号公報
【特許文献3】特開平9−158133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、高所にある表示装置を自動的に清掃したとしても、十分清掃できたか否かは、離れたところから表示された状態を見て確認することになり、正確に把握することはできない。また、清掃後、輝度の低下が改善されない場合にも、清掃が不十分なことに起因するのか、表示素子自体の劣化に起因するのかを判別することはできない。さらに、清掃装置が故障した場合等には、やはり、足場やゴンドラを用いた危険な作業を行わなければならない。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、自動的に清掃可能で、清掃後の表示部の状況が確認できるとともに、メインテナンスが容易な表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る清掃装置は、表示装置の表示部を清掃する清掃装置であって、清掃前後の前記表示部の輝度を測定する測定部と、前記表示部を清掃する清掃部と、前記測定部により測定された清掃前後の前記表示部の輝度の差に応じて、前記表示部の状況を判別する判別部と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明に係る表示装置は、情報を表示する表示部と、清掃前後の前記表示部の輝度を測定する測定部と、前記表示部を清掃する清掃部と、前記測定部により測定された清掃前後の前記表示部の輝度の差に応じて、前記表示部の状況を判別する判別部と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る清掃方法は、表示部の表示部を清掃する清掃方法であって、清掃前の前記表示部の輝度を測定する第1の測定工程と、前記表示部を清掃する清掃工程と、清掃後の前記表示部の輝度を測定する第2の測定工程と、前記第1の測定工程と前記第2の測定工程において測定された清掃前後の前記表示部の輝度の差に応じて前記清掃工程による前記表示部の状況を判別する判別工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明による表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法によれば、自動的に清掃可能で、清掃後の表示部の清掃状態や、表示部の動作の状況が判別できるとともに、メインテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態による表示装置の清掃時の斜視図である。
【図2】一実施の形態による表示装置の清掃を行っていない場合の斜視図である。
【図3】一実施の形態による表示装置のブロック図である。
【図4】一実施の形態による清掃処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】一実施の形態による清掃処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】一実施の形態による清掃処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】一実施の形態による清掃ユニットが、アームにおける下端に移動した状態を示す図である。
【図8】一実施の形態による清掃ユニットが、アームにおける上端に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態による表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法について説明する。まず、本実施の形態による表示装置の構成について、図1から図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態による表示装置1の清掃中の状態を示す斜視図、図2は、表示装置1の清掃を行っていない状態を示す斜視図、図3は、表示装置1のブロック図である。
【0014】
図1に示すように、表示装置1は、筐体3を有し、表示部15が筐体3に備えられている。表示部15には、図1の例では、複数の表示素子16a、16b、・・・(まとめて表示素子16ともいう)が2次元に配置されており、それぞれ点灯、非点灯を制御されている。表示素子16は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。また、表示装置1は、表示部15を清掃するための清掃ユニット17を有している。清掃ユニット17は、アーム20に搭載されている。アーム20は、筐体3に対し矢印39の方向に移動可能に設けられ、少なくとも清掃ユニット17の表示部15に対向する側が開放された、例えば金属製の部品である。清掃ユニット17は、アーム20の表示装置1本体側に設けられ、矢印41方向に移動可能である。よって、清掃ユニット17は、矢印39及び矢印41の方向に適宜移動しながら、表示部15の表示素子16を順次清掃する。
【0015】
なお、表示装置1において、清掃ユニット17の移動方向である矢印41の方向を上下方向、アーム移動方向である矢印39の方向を左右方向ということにする。また、図1において、説明の都合上、アーム20は表示部15に対して拡大して示しており、清掃ユニット17は、アーム20に対して拡大して示している。
【0016】
図1、図2に示すように、表示装置1は、清掃を行なっていない場合にアーム20を格納する格納部13を有している。格納部13には、清掃ユニット17及びアーム20の保守点検のための扉11が設けられている。扉11は、矢印12の方向に開くことにより、係員が出入りできるように、または手などを出してアーム20、清掃ユニット17等の保守が可能なように構成されている。なお、格納部13が設けられている側を、表示装置1の右側ということにする。
【0017】
次に、清掃ユニットを移動させる為の駆動部について説明する。筐体3内部の上部には第1モータ5と複数の滑車9a〜9eが設けられている。第1モータ5には、第1モータ5の不図示の軸に固定された歯車6が設けられ、駆動チェーン7が歯車6と噛み合わされている。また、駆動チェーン7は滑車9a〜9eに掛け渡されており、第1モータ5の回転により移動する。アーム20は、上部に支持部37a、37bを有し、内部に清掃ユニット17と駆動チェーン23とを有しており、表示部15を跨ぐように形成されている。駆動チェーン7と支持部37a、37bとは噛み合わされており、駆動チェーン7の移動とともに支持部37a、37bが移動することにより、アーム20が移動する。アーム20は、筐体3の左端から右端までの範囲を移動可能である。
【0018】
アーム20は、内部に清掃ユニット17と、清掃ユニット17を上下方向に移動させるための駆動チェーン23を有している。第2モータ21は、清掃ユニット17の上下移動のための駆動力を発生させる。歯車24は、第2モータ21の不図示の軸に設けられており、駆動チェーン23と噛み合わされている。清掃ユニット17は、第2モータ21を駆動することにより上下方向に移動する。清掃ユニット17は、ノズル33、ブラシ29、ブロア31、第1輝度測定器25、第2輝度測定器27及び第2モータ21を有している。第1輝度測定器25は、清掃前の表示素子16の輝度を測定する。ノズル33は、筐体3内部から液体の供給を受け、表示素子16表面に液体を噴射する。液体は、例えば温水であってもよく、その場合、表示素子16表面の雪や氷を溶解させるとともに、塵埃などの汚れを洗い流す。ブラシ29は、例えば回転可能であり、表示素子16を擦ることにより洗浄する。
【0019】
ブロア31は、表示素子16表面の水分を吹き飛ばすのに十分な量の、例えば大気等の気体を表示素子16に吹き付け、表示素子16表面を乾燥させる。第2輝度測定器27は、ノズル33により液体を噴射され、ブラシ29で洗浄され、ブロア31で乾燥させた後の表示素子16の輝度を測定する。
【0020】
図3に示すように、表示装置1は、アーム20を制御する清掃制御装置50、及び表示部15を制御する表示制御装置70を有している。清掃制御装置50は、第1モータ制御部54、輝度比較制御部56、噴射制御部58、コンプレッサ60、ブラシ回転制御部62、ファン回転制御部64、第2モータ制御部66、記憶部68及びそれらを制御する主制御部52を有している。第1モータ制御部54は、第1モータ5と、第1モータ5の回転を監視し、主制御部52の指示と異なる動作などの異常を感知する第1異常感知センサ4とを制御している。主制御部52は、第1モータ制御部54による第1モータ5の制御状況及び第1異常感知センサ4による感知状況に応じて、アーム20の位置を認識する。輝度比較制御部56は、第1輝度測定器25と、第2輝度測定器27とを制御し、表示素子16の輝度の測定を行うとともに、同一表示素子16の清掃前後の輝度を比較する。
【0021】
噴射制御部58は、コンプレッサ60を制御して、ノズル33から液体を表示素子16に噴射させる。ブラシ回転制御部62は、ブラシ29の回転を制御する。ファン回転制御部64は、ブロア31に備えられる不図示のファンの回転を制御する。第2モータ制御部66は、第2モータ21、及び第2モータの動作を監視し異常を感知する第2異常感知センサ22を制御している。主制御部52は、第2モータ制御部66による第2モータ21の制御状況及び第2異常感知センサ22による感知状況に応じて、清掃ユニット17の位置を認識する。
【0022】
記憶部68は、ROM(READ ONLY MEMORY)や、RAM(RANDOM ACCESS MEMORY)等であり、表示装置1の動作を制御するためのプログラムや、清掃前後の表示素子の輝度のデータなどを記憶する。表示制御装置70は、表示部15に備えられた複数の表示素子16の点灯、非点灯を、表示部15に表示させる情報に応じて制御する。
【0023】
以上のように構成された表示装置1の動作を、図4から図8を参照しながら説明する。図4〜図6は、本実施の形態による表示装置1の動作を示すフローチャート、図7、図8は、本実施の形態による清掃ユニット17の移動を説明する図である。本実施の形態においては、清掃は、表示部15の表示素子16について1列ずつ行う場合を例にして説明する。また、清掃時には、表示部15の表示素子16を全て点灯する。
【0024】
図4に示すように、まず、主制御部52は、第1モータ制御部54を制御して第1モータ5を駆動することにより、アーム20を移動させる(S101)。主制御部52は、第1モータ制御部54及び第1異常感知センサ4を介して、アーム20が異常なく表示部15の右側へ移動したか否かを検出する(S102)。表示部15の右側とは、ここでは、図1の表示素子16a、16b、・・・、16cの列の表示素子16の清掃を清掃ユニット17が行うときの、アーム20の位置をいう。アーム20の右側への移動について第1異常感知センサ4により異常が感知された場合には(S102:NO)、第1モータ制御部54は、第1モータ5の駆動を停止することによりアームの駆動を停止する(S103)。また、第1モータ制御部54は、主制御部52にアラームを通知し(S104)、主制御部52は、清掃処理を終了する。
【0025】
主制御部52が、第1モータ制御部54及び第1異常感知センサ4を介して、アーム20が表示部15の右側へ異常なく移動したと判別すると(S102:YES)、次にアーム内の清掃ユニット17を移動させる(S105)。すなわち、主制御部52は、第2モータ制御部66を介して第2モータ21を駆動し、第2異常感知センサ22で監視しながら、清掃ユニット17が表示部15の下端に移動したか否かを判別する(S106)。
【0026】
表示部15の下端とは、それぞれの表示素子16の列の清掃開始する際の清掃ユニット17の位置をいう。図7は、清掃ユニット17が、アーム20における下端に移動した状態を示す図である。ここでは図7に示すように、清掃ユニット17は、少なくとも第1輝度測定器25が、表示部15の最も下の段の例えば図1の表示素子16a、16d等を測定する位置、またはそれよりも下の位置を、清掃ユニット17の上下移動の開始点とする。
【0027】
第2異常感知センサ22が異常を感知した場合には(S106:NO)、第2モータ制御部66は、第2モータ21の駆動を停止することにより清掃ユニット17の駆動を停止し(S107)、主制御部52にアラームを通知し(S108)、主制御部52は、清掃処理を終了する。
【0028】
第2異常感知センサ22により異常が感知されずに、清掃ユニット17が表示部15の下端へ移動した場合には(S106:YES)、清掃ユニット17の各部は清掃が可能な状態で待機する(S109)。第2異常感知センサ22により、清掃ユニット17のアーム20内での上側への移動開始について異常が感知された場合には(S110:NO)、主制御部52は、第2モータ制御部66に第2モータ21の駆動を停止させ、噴射制御部58に、液体の噴射を停止させ、ブラシ回転制御部62に、ブラシ29の回転を停止させ、輝度比較制御部56に、第1輝度測定器25及び第2輝度測定器27による測定を停止させる(S111)。また、第2モータ制御部66は、主制御部52にアラームを通知し(S112)、主制御部52は、清掃処理を終了する。
【0029】
清掃ユニット17が、第2異常感知センサ22に異常を感知されずに上側への移動を開始すると(S110:YES)、第1輝度測定器25は、例えば図1における表示素子16aの清掃前の輝度を測定する(S113)。続いて、主制御部52は、噴射制御部58に、液体の噴射を開始させ(S114)、ブラシ回転制御部62に、ブラシ29を回転させ(S115)、ファン回転制御部64によりブロア31で表示素子16aを乾燥させる(S116)。その後、輝度比較制御部56は、第2輝度測定器27により表示素子16aの輝度測定させ(S117)、第1輝度測定器25により測定れた輝度と比較することにより清掃前後の表示素子16aの輝度を比べる(S118)。
【0030】
続いて、図5の処理に進んで、輝度比較制御部56は、測定した表示素子16の清掃後の輝度が所定値以上向上したか否かを判別し(S119)、向上していなければ(S119:NO)、該当する表示素子16の識別情報、例えば表示素子16a、16b等を記憶し(S120)、S121に進む。輝度が所定値以上向上していると判別されれば(S119:YES)、S121に進む。
【0031】
このとき、第2モータ制御部66は、S113〜S120の処理に合わせて第2モータ21の回転を制御することが好ましい。例えば、第2モータ制御部66は、第2モータ21を、1列分の表示素子16の清掃中連続して駆動してもよいし、表示素子16の位置と、第1輝度測定器25、ノズル33、ブラシ29、ブロア31、及び第2輝度測定器17の位置がそれぞれ合致するように、断続して駆動してもよい。また、ノズル33、ブラシ29、ブロア31は、各表示素子16の位置に合わせて適時駆動及び停止を繰り返すようにしてもよいし、清掃ユニット17が第2モータ21の駆動により移動している間駆動状態を継続して表示素子16を清掃するようにしてもよい。
【0032】
続いて、主制御部52は、第2モータ制御部66を介して、清掃ユニット17が表示部15の最上段にあるか否かを判別する(S121)。最上段でないと判別された場合には(S121:NO)、S110に戻って処理を繰り返す。ここで、清掃ユニット17が最上段であるとは、例えば、図8に示すように、清掃ユニット17が、アーム20の上部まで移動し、例えば表示素子16c等、最上部の段の表示素子16の清掃後の輝度測定が終了した位置をいう。
【0033】
主制御部52は、清掃ユニット17の位置を最上段であると判別すると(S121:YES)、現在の清掃対象の列の表示素子16の中で、閾値以上の輝度の向上がないとして記憶部68に記憶されている表示素子16があるか否か判別する(S122)。輝度の向上のない表示素子16がある場合には(S122:YES)、主制御部52は、1回目の清掃であるか否かを判別する(S123)。また、輝度の向上のない表示素子16がない場合には(S122:NO)、S127に進む。一回目の清掃である場合(S123:YES)、S105に戻って処理を繰り返し、同じ列の表示素子16をもう一度洗浄する。一回目の洗浄ではない場合には(S123:NO)、主制御部52は、第2モータ制御部66に第2モータ21の駆動を停止させ、噴射制御部58に、液体の噴射を停止させ、ブラシ回転制御部62に、ブラシ29の回転を停止させ、輝度比較制御部56に、第1輝度測定器25及び第2輝度測定器27による測定を停止させる(S124)。
【0034】
さらに、輝度比較制御部56は、記憶部68に記憶された内容に基づき、2回目の清掃後にも輝度が閾値以上向上しない表示素子16があるか否かを判別する(S125)。輝度が向上しないと判別された表示素子16がある場合には(S125:YES)、輝度比較制御部56は、該当する表示素子16の不良を主制御部52へ通知し(S126)、輝度が向上しないと判別された表示素子16がない場合には(S125:NO)、そのまま図6の処理へ進む。ここで表示素子16の不良とは、該当する表示素子16の動作が適正であるか否かを確認し、必要であれば交換や修理などを行う必要があることを意味する。このとき主制御部52は、不図示の保守用の表示部などに、輝度が向上しないと判別された表示素子16を特定し、メインテナンスが必要であることが認識できるように表示を行うようにすることが好ましい。
【0035】
図6に示すように、第1モータ制御部54により第1モータ5を駆動することによりアーム20を移動させる(S127)。第1モータ5の駆動を第1異常感知センサ4により監視することにより、アーム20が表示部15の一列左側に移動したか否かを判別する(S128)。すなわち、例えば、アーム20が図1における最も右端の表示素子16a、16b、・・・、16cを清掃する位置にあった場合には、表示素子16dの列が清掃できる場所に移動したか否かを検出する。アーム20が左へ一列移動したと判別された場合には(S128:YES)、S105に戻って処理を繰り返す。また、移動したと判断されない場合は、S129へ進む(S128:NO)
アーム20が、左へ一列移動しないにもかかわらず、表示部15の一番左まで到達していないと判別された場合には(S129:NO)、第1モータ5の駆動を停止することによりアーム20の移動を停止し(S130)、主制御部52にアラームを通知し(S131)、主制御部52は清掃処理を停止する。
【0036】
アーム20が、表示部15の一番左まで到達したと判別されると(S129:YES)、第1モータ駆動制御部54は、第1モータ5の駆動を停止することによりアーム20の移動を停止し(S132)、アーム20を、初期位置である表示部15の右側にある収納部13まで移動させ(S133)、清掃処理を終了する。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態による表示装置1によれば、第1輝度測定器25で清掃前の表示素子16の輝度を計測し、第2輝度測定器27で清掃後の同じ表示素子16の輝度を計測する。清掃後の輝度が清掃前と比較して閾値以上向上していない場合には、その表示素子の識別情報を記憶部68に記憶させ、1列分の表示素子16の清掃が終了した後に2回目の清掃を行う。すなわち、1回目の清掃では、清掃が不十分であった可能性があると判断する。2回目の清掃後にも輝度が向上しないと判別された表示素子がある場合には、輝度が向上したと判別されない表示素子に動作不良などがある可能性があると判断し、輝度比較制御部54は、主制御部52にアラームを通知する。また、清掃時には液体が噴射されるが、輝度の測定は、ブロア31により表示素子16を乾燥させた後に行う。さらに、表示装置1の筐体3には扉11が設けられており、例えば扉11を介して係員が出入りして清掃ユニット17の保守点検を行う。
【0038】
なお、上記実施の形態における表示部15は、本発明の表示部の一例であり、第1輝度測定器25は、本発明の測定部及び第1の測定器の一例であり、第2輝度測定器27は、本発明の測定部及び第2の測定器の一例であり、清掃ユニット17は、本発明の清掃ユニットの一例であり、輝度比較制御部56及び主制御部52は、本発明の判別部の一例である。ノズル33は、本発明の清掃部及び噴射部の一例であり、ブラシ29は、本発明の清掃部及び清掃具の一例であり、ブロア31は、本発明の清掃部及び乾燥部の一例である。表示素子16は、本発明の表示素子の一例であり、第1モータ5、歯車6、滑車19a〜19e、駆動チェーン7、支持部37a、37b、アーム20、第2モータ21、歯車24、駆動チェーン23は、本発明の駆動部の一例である。また、格納部13は、本発明の格納部の一例であり、扉11は、本発明の開閉部の一例である。なお、清掃状況とは、表示素子16の清掃が十分であるか否かの状況をいい、動作状況とは、表示素子16が適正に動作しているか否かの状況をいう。
【0039】
以上のように、本実施の形態による表示部清掃装置、表示装置及び清掃方法によれば、高所や屋外用の表示装置を清掃作業員が清掃せずとも、簡単に清掃できる。このとき、表示装置周辺の地面に足場を組む等の作業スペースを必要としなくなる。また、作業員による清掃作業が不要になることに加え、足場の組立、解体などの作業が不要であり、人件費が掛からないため、費用が低減される。
【0040】
さらに、第1輝度測定器及び第2輝度測定器により、清掃前後の表示素子の輝度を測定し、閾値以上の輝度向上があったか否かを判別することにより、清掃が十分であるか否かを検出することが可能であるとともに、清掃後の清掃状況の確認が容易にできる。このとき、作業員が直接に清掃作業および清掃状況の確認をする必要がないので、安全性が高まるとともに、天候などにも左右されず清掃及び清掃状況確認を行うことが可能である。また、短時間に清掃作業や清掃状況の確認ができるため、必要な時に随時行う事ができる。
【0041】
輝度が向上したと判別されない表示素子がある場合には、再度清掃することにより、より十分な清掃を行うことが可能になる。再度の清掃によっても輝度向上が認められない場合には、該当する表示素子についてアラームを発生させることにより、動作確認などのメインテナンスが必要である表示素子を特定することができる。このように、清掃状況の確認と同時に、表示部の不良を検出することも可能となる。
【0042】
清掃の際には液体を用いるが、清掃後の輝度測定の前にブロアによって表示素子を乾燥させるので、液体によって表示素子が発する光が乱反射し、輝度の測定に誤差を生じさせ、誤判定を起こすことを防止できる。また、扉11を介して清掃ユニット17の点検が可能なため、点検のために足場などを組む必要がなく、危険回避やコスト削減の効果がある。
【0043】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、輝度測定器は清掃前後を測定する輝度測定器1台ずつを設けた例について説明したが、複数台の輝度測定器を例えば横に並べ、複数列の表示素子16について同時に清掃及び清掃状況の確認を行うようにするなど、他の配置を採用してもよい。また、輝度測定器は輝度が測定可能であればよく、フォトダイオードなどの光検出器を用いてもよい。表示素子のメインテナンスが必要と判断する場合については、上記実施の形態においては2回の清掃後としたが、1回や3回以上などの清掃後としてもよい。また、アーム20が格納部13に格納されていない状態で扉11を介して作業員が出入りすること等により、表示素子16のメインテナンスが可能であるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 表示装置
3 筐体
4 第1異常感知センサ
5 第1モータ
6 歯車
7、23 駆動チェーン
9a〜9e 滑車
11 扉
13 収納部
15 表示部
16 表示素子
17 清掃ユニット
20 アーム
21 第2モータ
22 第2異常感知センサ
25 第1輝度測定器
27 第2輝度測定器
29 ブラシ
31 ブロア
33 ノズル
37a、37b 支持部
39、41 矢印
50 清掃制御装置
52 主制御部
54 第1モータ制御部
56 輝度比較制御部
58 噴射制御部
60 コンプレッサ
62 ブラシ回転制御部
64 ファン回転制御部
66 第2モータ制御部
68 記憶部
70 表示制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示部を清掃する清掃装置であって、
清掃前後の前記表示部の輝度を測定する測定部と、
前記表示部を清掃する清掃部と、
前記測定部により測定された清掃前後の前記表示部の輝度の差に応じて、前記表示部の状況を判別する判別部と、
を有することを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記判別部が判別する表示部の状況は、清掃状況、または動作状況の確認が必要な状態であるか否かの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記判別部は、
前記輝度の差が閾値以下である場合には、前記清掃が不十分な清掃状況であるか、前記表示部の動作状況の確認が必要な状況であるかのいずれかであると判別することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記清掃部は、
前記表示部に液体を噴射する噴射部と、
前記液体を用いて前記表示部を清掃する清掃具と、
前記清掃具による清掃後に前記表示部を乾燥させる乾燥部と、
を備え、
前記測定部は、前記乾燥部による乾燥後に清掃後の輝度を測定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記表示部は、複数の表示素子を有し、
前記清掃装置は、
前記測定部と前記清掃部と、を備えた清掃ユニットと、
前記清掃部が前記複数の表示素子の各々を清掃する位置に順次配置されるように前記清掃ユニットを移動させるよう駆動する駆動部と、
をさらに有し、
前記測定部は、前記複数の表示素子の各々の清掃前後の輝度を測定し、
前記判別部は、前記複数の表示素子の各々の清掃状況または動作状況のいずれか少なくとも一方を判別することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記判別部は、
前記輝度の差が閾値以下である場合には、前記清掃部に再び清掃を行わせ、
さらに、再び行った前記清掃の前後の前記表示板の輝度の差が閾値以下である場合には、前記表示部の動作状況を確認する必要があると判別することを特徴とする請求項3に記載の清掃装置。
【請求項7】
前記測定部は、第1の測定器と、第2の測定器と、を有し、
前記第1の測定器は、清掃前の前記表示素子の輝度を測定し、
前記第2の測定器は、清掃後の前記表示素子の輝度を測定することを特徴とする請求項6に記載の清掃装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の清掃装置と、
情報を表示する表示部と、
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
前記清掃ユニットを格納する格納部と、
前記格納部に設けられた、前記清掃ユニットのメインテナンスのための開閉部と、
をさらに有し、
前記移動部は、前記表示部の清掃時には前記清掃ユニットを前記格納部から移動させて前記表示部を清掃する位置に配置し、清掃前及び清掃後は前記清掃ユニットを前記格納部に格納することを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
表示部の表示部を清掃する清掃方法であって、
清掃前の前記表示部の輝度を測定する第1の測定工程と、
前記表示部を清掃する清掃工程と、
清掃後の前記表示部の輝度を測定する第2の測定工程と、
前記第1の測定工程と前記第2の測定工程において測定された清掃前後の前記表示部の輝度の差に応じて前記清掃工程による前記表示部の状況を判別する判別工程と、
を有することを特徴とする清掃方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−157792(P2012−157792A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17274(P2011−17274)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】