説明

表面に位置したStreptococcuspneumoniaeのポリペプチド

本発明は、Streptococcus pneumoniaeの細胞−表面に位置したポリペプチド、ならびにStreptococcus感染に対する免疫化におけるそれらの使用、Streptococcusの診断におけるそれらの使用、および抗−Streptococcus活性を持つ化合物の同定におけるそれらの使用に関する。さらなる態様において、本発明は、Streptococcus pneumoniaeの細胞表面に位置したポリペプチドを認識することができる抗体およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願に引用された全ての特許文献および非特許文献は、それらの全体が参考として本明細書に援用される。この特許出願は、2005年2月18日に出願された米国仮出願第60/653,932号(この全体が、参考として本明細書に援用される)からの優先権の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明はStreptococcus pneumoniaeの細胞−表面に位置したポリペプチド、およびStreptococcus感染に対する免疫化における、Streptococcusの診断における、および抗−Streptococcus活性を持つ化合物の同定におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
Streptococcus感染の発生
SternbergおよびPasteurは、最初は肺炎球菌として記載されたStreptococcus pneumoniaeを同定した最初の者であった(非特許文献1)。Streptococcus pneumoniaeはグラム−陽性被包性球菌である。多糖被膜の組成の差に基づき、約90の血清型が同定されている。この被膜は必須のビルレンス因子である。幼児における肺炎球菌病の大部分が、領域によって変わり得る少数のこれらの血清型に関連付けられている。現在のデータは、11のほとんどの共通の血清型が全ての領域における感染病の少なくとも75%を引き起こすことを示唆する。
【0004】
Streptococcus pneumoniaeはヒト病原体である。肺炎球菌のための貯蔵庫は、恐らくは、無徴候ヒトキャリアーの鼻咽頭である。動物または昆虫媒介体はない。Streptococcus pneumoniaeは幼児において細菌血症、肺炎、髄膜炎および中耳炎の最も普通の原因である。肺炎球菌病は幼児において非常に深刻な病気である。合衆国においては、Streptococcus pneumoniaeは5歳以下の子供において、毎年、200件の死亡、髄膜炎の700の症例、細菌血症の17,000症例、中耳炎の(耳感染)490万の症例を引き起こすと見積もられている。欧州および合衆国においては、肺炎球菌肺炎は、毎年100000人の成人当たりほぼ100人に影響すると見積もられている、最も普通の地域感染型の細菌肺炎である。発熱性細菌血症および髄膜炎に対する対応する数字は、各々、100,000人当たり15ないし19人、および100,000人当たり1ないし2人である。これらの発現の1以上に対する危険性は幼児および老齢の人々においてかなり高い。
【0005】
髄膜炎は肺炎球菌病の最も重症なタイプである。肺炎球菌髄膜炎を持つ5歳未満の子供のうち、約5%がその感染で死亡し、他の者は聴覚喪失のような長期の問題を有し得る。肺炎球菌肺炎または血流感染を持つ多くの子供は入院するのに十分なくらい病気であり;血流感染または血流感染を伴う肺炎を持つ子供の約1%はその病気で死亡するであろう。耳感染を持つほとんど全ての子供は回復するが、再発感染を持つ子供は聴覚喪失を被り得る。
【0006】
深刻な危険性があるのは、また、免疫抑制化学療法を受けている患者、(HIV感染を含めた)先天性および後天性免疫不全を持つ者、および慢性腎臓病を持つヒトである。表1:合衆国で1年当たりに起こる、子供および老人での、主な病気の症状および入院患者の数ならびに死亡症例率:
【0007】
【表1】

非特許文献2
Streptococcus pneumoniae感染の徴候
肺炎球菌肺炎は、成人の間において肺炎球菌病の最も普通の臨床的提示である。肺炎球菌肺炎の潜伏期間は短く、約1ないし3日である。徴候は、一般に、発熱および悪寒または硬直の突然の開始を含む。典型的には、単一の硬直があり、反復する悪寒戦慄は通常おこらない。他の普通の徴候は胸膜性の胸の痛み、粘液膿を生じる咳、さび色痰、呼吸困難(息の短さ)、頻呼吸(迅速な呼吸)、低酸素症(貧弱な酸素付加)、頻脈(迅速な心拍)、倦怠感および虚弱を含む。
【0008】
Streptococcus pneumoniae感染の治療および予防
ペニシリンに対する出現抵抗性および他の普通に用いられる抗生物質が、肺炎球菌病と戦う新規な戦略の開発の重要性を過小評価する。合衆国のいくつかの領域においては、侵入性肺炎球菌単離体の40%まではペニシリンに対して抵抗性である。治療は通常、抗生物質感受性テストの結果が利用できるまでは、広スペクトルのセファロスポリンおよびしばしばバンコマイシンを含む。
【0009】
市場で入手できるStreptococcus pneumoniaeに対する2つのワクチンがある:
1.Prevnar(登録商標)(Wyeth)、血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23Fの多糖を含有する7−価肺炎球菌コンジュゲートワクチン。
2.Pneumovax(登録商標)(Merck Researh Laboratories)、23の精製された被膜多糖抗原(血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33F)を含有する23−価多糖ワクチン。
【0010】
しかしながら、改良されたStreptococcusのワクチンの開発に対する大きな医学的要望が依然として存在する。理由は:
〇これらのワクチンのみがある血清型をカバーし、例えば、Prevnar(登録商標)は合衆国については肺炎球菌単離体の85%、欧州では60ないし70%、およびアジアでは約55%の潜在的カバリッジを有する。
〇最高率の肺炎球菌保菌および病菌に罹った二歳未満の子供、および免疫寛容患者はこのワクチン接種に際してひどく損なわれた抗体応答を示す。
多糖ワクチンはStreptococcus pneumoniaeによって引き起こされる急性中耳炎に効果的でない。
〇多糖ワクチンはT−細胞―依存性免疫応答を誘導しない。これは、記憶B細胞の不存在を意味し、保護の期間を制限する。
〇被膜多糖のいくつかは貧弱にしか免疫原性でない。これらはペニシリン耐性に関連するいくつかの血清型を含む。
【0011】
現在、いくつかの肺炎球菌表面蛋白質が、それらの血清型−独立性のため、代替ワクチン候補として考えられる。しかしながら、現在まで、種−広肺炎球菌保護誘導すると考えられる蛋白質はない。これは、ほとんどの個々の蛋白質内での対立遺伝子変異の発生によって説明することができる。単一蛋白質に対して生起された抗体は対立遺伝子変異体を認識できない。肺炎に対する効率は、開発途上国における新しいワクチンの使用を決定するにおいて重要な因子である。
【0012】
治療および予防の良好な方法に加え、Streptococcus pneumoniae感染の診断のための新規な迅速かつ信頼性がある方法に対して要望が存在する。
【0013】
前記目的は、標的、すなわち、免疫系および/または抗体についての標的、細胞傷害性阻害剤についての標的、診断におけるインジケーター部位についての標的として機能できる適当なStreptococcus pneumoniaeポリペプチドの同定および使用を通じて達成することができる。
【非特許文献1】Austorian R. The pneumococcus at the millennium: not down, not out. J Infect Dis 1999;179(Suppl2):S338−41
【非特許文献2】Schuchat,A et al. “Active Bacterial Core Surveillance of the Emerging Infections. Program Network”, Emerging Infectious Diseases、2001年1月-2月、Vol.7,No.1
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
(要旨)
本発明は、Streptococcus pneumoniaeの表面に位置するポリペプチドに関する。本出願の関連においては、「表面に位置した」ポリペプチドは、Streptococcus pneumoniae細胞の膜の外側に少なくとも部分的に位置した(すなわち、ポリペプチド鎖の部分、および/またはポリペプチド分子の集団の一部で)ポリペプチドと定義される。かくして、細胞の表面に位置したポリペプチドは、膜の外側の空間に十分にまたは部分的に露出されたポリペプチドである。表面に位置したポリペプチドは、さらに、本明細書中に記載された高−pH表面−蛋白質抽出またはムタノリシン消化によって得られた画分中で確認することができる全てのポリペプチドまたはポリペプチド断片を含む。
【0015】
表面に位置したポリペプチドは、細菌感染の抗菌療法および/または診断のための魅力的な標的である。というのは、細胞外空間へのそのようなポリペプチドの露出はこれらのポリペプチドと相互作用する化合物(例えば、細菌感染を予防し、治療し、または診断するのに用いられる化合物)は、しばしば、効果的となるために、膜に入り、またはそれを通過する必要はないからである。
【0016】
Streptococcus pneumoniaeポリペプチドの細胞−表面局所化の判断は、現在、通常のソーティングシグナルまたはモチーフはこの局所化について知られていないので、実験的にのみ行うことができ、バイオインフォーマティックスによっては行うことができない。ポリペプチドがペリプラズムに侵入するか否かをある程度の確実性でもって予測することは可能であるが、ポリペプチドの表面で−局所化について一般的なモチーフは同定されていない。Streptococcus pneumoniaeに対する蛋白質ワクチン摂取についての候補の同定のための先行技術戦略は、主として、ゲノム配列決定およびイン・シリコ分析に基づくものであった。(WO 02/077021;Wizemann et al.,(2001)Infect.Immun.69:1593−1598)。これらの戦略は非常に成功したことがない。というのは、候補の小さなサブ集団のみがマウスモデルにおいて付与された保護を同定し、テストしたのに過ぎないからである。(Wize−mann et al.,(2001)Infect.Immun.69:1593−1598)。
【0017】
本発明者らは、Streptococcus pneumoniaeの細胞−表面画分において282の異なるポリペプチドを同定した。使用された方法は、比較的高レベルで発現されるポリペプチドを同定する。表面−露出されていること、および比較的高い量で存在することの組合せは、これらのポリペプチドを、抗体についての、かくして、受動的または能動的、免疫化/ワクチン接種用いるための標的としてかなり適切なものとする。
【0018】
従って、第一の態様において、本発明は、医薬として用いるための:
−配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcusポリペプチドよりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリペプチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体を含む組成物に関する。
【0019】
好ましい具体例において、該組成物は:
−配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13および配列番号:28よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む、組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む。
【0020】
なおより好ましい具体例において、該組成物は:
−配列番号:16を含む、または配列番号:16の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む、組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む。
【0021】
配列番号:16は、従前に同定されており、かつE.coliおよびL.monocytogenesにより特徴付けされている酵素である。リポエート−蛋白質リガーゼAのホモログを表す。(Morris et al.(1994)J.Biol.Chem.269:16091;O‘Riordan et al.(2003)Science 302:462)。このファミリーの蛋白質は細胞表面では従前に同定されておらず、あるいは抗体療法のためのワクチン候補または適当な標的であることが判明している。
【0022】
もう1つの好ましい具体例において、該組成物は、
配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体を含む。なおより好ましい具体例において、該ポリペプチドは配列番号:16である。
【0023】
さらなる主な態様において、本発明は、細菌、好ましくは、Streptococcusで、より好ましくはStreptococcus pneumoniae感染に対する動物またはヒト免疫化用医薬の調製ための:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む組成物の使用に関する。好ましい配列は配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13および配列番号:28である。最も好ましいのは配列番号:16である。
【0024】
さらなる主な態様において、本発明は、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体に関する。
【0025】
さらに、本発明は主な態様において、動物またはヒトにおけるStreptococcus、好ましくはStreptococcus pneumoniae感染の治療または予防用の医薬の製造のための配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体に関することができる。配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28または配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体の使用が好ましい。
【0026】
最も好ましいのは、動物またはヒトにおけるStreptococcus、好ましくはStreptococcus pneumoniae感染の治療または予防用の医薬の製造のための配列番号:16のポリペプチドに結合することができる抗体の使用である。
【0027】
表面に露出されていること、および比較的多量に存在することの組合せは、本発明者らによって同定されたポリペプチドを、Streptococcus pneumoniae感染の診断用の標的としてかなり適当なものとし、高い感度での無傷細胞の検出を可能とする。かくして、さらなる主な態様において、本発明は、本明細書中に記載された細胞−表面に位置するポリペプチドを認識することができるインジケーター部位を用いて、Streptococcus pneumoniaeまたはその部分を検出する方法に関する。
【0028】
加えて、ポリペプチドの表面−局所化はそれらを阻害剤のための標的として適切なものとする。そのような阻害剤は殺菌性または静菌性であるか、または宿主生物等Streptococcus pneumoniaeとの相互作用を妨げることができる(ビルレンツ)。かくして、さらなる主な態様において、本発明は、本明細書中に記載された細胞−表面に位置するポリペプチドの阻害剤を同定する方法に関する。
【0029】
(定義)
−ワクチンは、ヒトまたは動物において微生物に対して保護的免疫応答を誘導することができる組成物を示すのに用いられる。
−保護的免疫応答は生物において記憶を誘導し、その結果、感染剤、ここではStreptococcus pneumoniaeが一時応答よりはむしろ二次応答によって満足し、かくして、宿主生物に対するそのインパクトを低下させる免疫応答(液性/抗体および/細胞性)を示すのに用いる。
−ポリペプチド−特に断りのない限り、用語「ポリペプチド」は、本明細書中で用いる場合、ポリペプチドの変種または断片をいうこともできる。好ましいポリペプチドは抗原性ポリペプチドである。
−断片は、ポリペプチドの非−全長部分を示すのに用いられる。かくして、断片はそれ自体がポリペプチドでもある。
−変種−与えられた参照ポリペプチドの(変種)とは、該参照ポリペプチドに対してある程度の配列同一性を呈するが、該参照ポリペプチドと同一ではないポリペプチドをいう。
−抗原/抗原性の/抗原性/免疫原/免疫原性の/免疫原性とは、全て、免疫応答を誘導する能力をいう。
−免疫原性担体とは、免疫応答を直接的にまたは間接的に援助する、または強化する化合物をいう。
−発現ベクターとは、好ましくは、ポリヌクレオチド配列からのポリペプチドの生産で用いるべき組換え体、プラスミドまたはファージまたはウイルスをいう。発現ベクターは、(1)遺伝子発現において調節的役割を有する遺伝子エレメントまたは複数エレメント、例えば、プロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写され、蛋白質に翻訳され、および(1)のエレメントに操作可能に連結された構造またはコーディング配列;および(3)適当な転写開始および終止配列の組立体を含む発現構築体を含む。
−ポリペプチドの結合パートナーとは、該ポリペプチドに結合することができる分子をいう。そのような結合はもう1つの分子を介する間接的なものとすることができるが、好ましくは直接的である。結合パートナーは、例えば、小さな疎水性分子のようないずれかのタイプの分子、あるいは例えば、蛋白質、炭水化物または核酸のような細胞または細胞外マクロ分子とすることができる。好ましいタイプの結合パートナーは抗体、リガンドまたは阻害剤を含む。
−複数−用語「複数」は1を超えて、好ましくは10を超えてを示す。
−インジケーター部位−用語「インジケーター部位」は、与えられたポリペプチドおよび/または細胞に特異的に結合することができ、かつ検出可能なシグナルを生じることができる分子または分子の複合体をカバーする。好ましくは、インジケーター部位は抗体である、あるいは抗体分子を含む。かくして、好ましいインジケーター部位は検出可能な物質にカップリングした、またはそれと複合体化した抗体である。
−宿主−由来分子または宿主分子とは、Streptococcus pneumoniaeで感染させることができる宿主生物で通常は見出される分子をいう。宿主−由来分子は、好ましくは、宿主ポリペプチド、好ましくはヒトポリペプチドである。
−抗体−用語「抗体」は、本明細書中で用いる場合、抗体ならびにその機能的同等体をカバーすることを意図する。かくして、これはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化、ヒトまたはキメラ抗体、単一−鎖抗体、および、また、限定されるものではないが、Fab断片、F(ab’)断片、Fab発現ライブラリーによって生産される断片、抗−イディオタイプ抗体、抗体断片を含むハイブリッド、およびこれらのいずれかのエピトープ−結合断片のような抗体の結合断片を含む。該用語は、二特異的抗体およびモノクローナル抗体の混合物のような多価、多特異的なものも含む。
−解離定数Kdは、マクロ分子の間、例えば、抗体およびその抗原の間の結合(または親和性または親和力)の強さを記載するための尺度である。より小さなKdであれば、より強い結合である。
−本明細書中に開示されたポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび抗体との関連で用いる「単離された」とは、これらがそれらの天然の、典型的には細胞の環境の成分から同定され、および分離されおよび/または回収されたことをいう。天然環境の汚染成分は、典型的には、ポリペプチドについての診断または治療用途に干渉する物質であり、酵素、ホルモン、および他の蛋白質性または非−蛋白質性溶質を含むことができる。本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび抗体は、好ましくは、単離されており、本発明のワクチンおよび他の組成物は、好ましくは、単離されたポリペプチドまたは単離されたポリヌクレオチドまたは単離された抗体を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(医薬として用いられる組成物)
第1の主な態様において、本発明は、医薬として用いるための:
−配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus pneumoniaeポリペプチドよりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体
を含む組成物に関する。
【0031】
重要な具体例において、組成物は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む。
【0032】
該組成物は、それを必要とする個体の能動的免疫化のためのワクチンとして用いることができる。これはセクション「本発明のワクチン組成物およびワクチン接種の方法」に記載されている。
【0033】
1つの好ましい具体例において、組成物は、配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含む配列を含む。
【0034】
もう1つの重要な具体例において、組成物は、配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus pneumoniaeポリペプチドよりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体を含む。該組成物は、例えば、それを必要とする個体の受動的免疫化で用いることができる。これはセクション「本発明の抗体および抗体を惹起させるための方法」に記載されている。
【0035】
(本発明のワクチン組成物およびワクチン接種の方法)
ワクチン接種または能動的免疫化の目標は、抗原性または免疫原性組成物を用いて、感染性微生物に対する記憶応答を誘導することによって保護免疫性を提供することにある。かくして、ワクチンは、ヒトまたは動物において微生物に対する保護的免疫応答を誘導することができる組成物である。そのような免疫応答は細胞性応答および/または液性応答、例えば、特異的T細胞応答または抗体応答であり得る。
【0036】
従って、重要な具体例において、組成物はワクチン組成物であり、すなわち、本発明は、ワクチンとしての:
−配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus pneumoniaeポリペプチドよりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む組成物の使用に関する。
【0037】
変種は、本明細書中においては、好ましくは、該配列に対して少なくとも96%のような少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも約98%のような少なくとも97%、例えば、少なくとも99%配列同一性を有する。
【0038】
前記組成物の1つの好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:1、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0039】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:2、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0040】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:3、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0041】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:4、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0042】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:5、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0043】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:6、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0044】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:7、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0045】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:8、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0046】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:9、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0047】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:10、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0048】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:11、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0049】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:12、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0050】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:13、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0051】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:14、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0052】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:15、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0053】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:16、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0054】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:17、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0055】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:18、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0056】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:19、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0057】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:20、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:21、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0058】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:22、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0059】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:23、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0060】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:24、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0061】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:25、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0062】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:26、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0063】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:27、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0064】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:28、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0065】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:29、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:30、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0066】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:31、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0067】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:32、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0068】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:33、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0069】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:34、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0070】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:35、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0071】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:36、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0072】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:37、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0073】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:38、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0074】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:39、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:40、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0075】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:41、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0076】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:42、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0077】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:43、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0078】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:44、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0079】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:45、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0080】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:46、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0081】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:47、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0082】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:48、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0083】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:49、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:50、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0084】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:51、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0085】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:52、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0086】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:53、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0087】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:54、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0088】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:55、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0089】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:56、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0090】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:57、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0091】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:58、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0092】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:59、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:60、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0093】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:61、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0094】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:62、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0095】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:63、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0096】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:64、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0097】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:65、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0098】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:66、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0099】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:67、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0100】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:68、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0101】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:69、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:70、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0102】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:71、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0103】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:72、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0104】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:73、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0105】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:74、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0106】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:75、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0107】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:76、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0108】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:77、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0109】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:78、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0110】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:79、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:80、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0111】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:81、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0112】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:82、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0113】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:83、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0114】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:84、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0115】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:85、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0116】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:86、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0117】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:87、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0118】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:88、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0119】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:89、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:90、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0120】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:91、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0121】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:92、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0122】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:93、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0123】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:94、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0124】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:95、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0125】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:96、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0126】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:97、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0127】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:98、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0128】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:99、またはその抗原性断片または変種を含む
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:100、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0129】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:101、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0130】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:102、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0131】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:103、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0132】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:104、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0133】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:105、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0134】
前記組成物の別の好ましい具体例において、ポリペプチドは配列番号:168、またはその抗原性断片または変種を含む。
【0135】
医薬として用いるための配列番号:16のポリペプチド、またはその抗原性断片または変種を含む組成物は、現在、最も好ましい具体例である。
【0136】
該組成物のいくつかの具体例において、ポリペプチドは配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列よりなる。他の具体例において、ポリペプチドは配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、または該配列の抗原性断片または変種、ならびにhis−タグ、すなわち、ポリヒスチジンタグのようなタグを含む。
【0137】
もう1つの好ましい具体例において、本発明の組成物におけるポリペプチドは、トキシン、例えば、腸毒性Escherichia coliのStableまたはLabileトキシンと組み合わせるか、またはそれに融合させることができる。適当な熱安定性トキシンII(STll)はLee et al.(1983)Infect.Immun.42:264−268に記載されている。適当な融合蛋白質の例は配列番号:295および配列番号:296に与えられる。1つの具体例において、該組合せは本発明のポリペプチドおよび非共有結合的に連結されたトキシンを含み、ここに、該トキシンは単一のトキシンポリペプチド、またはトキシンの多数のコピーを含むマルチマー、例えば、ダイマー形態であってよい。もう1つの具体例において、本発明のポリペプチドおよびトキシンは、例えば、翻訳後結合、または単一の融合したオープンリーディングフレームから転写および翻訳によって、共有結合される。いずれの場合においても、2つの成分は直接的に、あるいは例えばペプチドリンカー、好ましくはプロテアーゼ−抵抗性および/または非免疫原性ペプチドリンカーであってよいスペーサーまたはリンカードメインを介して連結することができる。そのようなペプチドリンカーはいずれの長さであってもよく、例えば、それは長さが5および50アミノ酸の間のような2および200の間であってよい。トキシンの多数のコピーは本発明のポリペプチドに融合させてもよい。
【0138】
本発明のポリペプチド、例えば、配列番号:16のポリペプチド、ならびに腸毒性Escherichia coliを含む組成物を用いて、Streptococcus Pneumoniaeおよび/または腸毒性Escherichiaでの感染の予防用のワクチンを製造することができる。
【0139】
さらなる具体例において、本発明の組成物は配列番号:16のダイマーのような配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかのダイマーを含むことができる。ダイマーは、例えば、翻訳後結合によって形成してもよく、あるいは単一の融合されたオープンリーディングフレームから生じさせてもよい。いずれの場合にも、ダイマーの2つのモノマーユニットは直接的に、あるいは例えばペプチドリンカー、好ましくはプロテアーゼ−抵抗性および/または非−免疫原性ペプチドリンカーであってもよいスペーサーまたはリンカードメインを介して連結させてもよい。そのようなペプチドリンカーはいずれの長さであってもよく、例えば、それは長さが5および50アミノ酸の間のような2および200の間であってよい。
【0140】
該組成物は配列番号:1ないし282の群から選択される1つのポリペプチド、またはその抗原性断片または変種のみを含むことができる。しかしながら、他の具体例においては、該組成物は配列番号:1ないし282の群の1を超えるポリペプチド、および/または配列番号:1ないし282の群から選択されるポリペプチドの1を超える抗原性断片を含む。かくして、本発明による組成物は、5ないし10、または例えば10ないし20の範囲のような10を超える範囲の多数のポリペプチドおよび/または断片のような、2のような1を越える、例えば、4のような3を超える、例えば、6のような5を超える、例えば、8のような7を超える、例えば、10のような9を超える、配列番号:1ないし282の群から選択される異なるポリペプチド、またはその抗原性断片または変種を含んでもよい。
【0141】
同様に、該組成物は本発明の1つのポリヌクレオチド、1つの発現ベクター、または1つの組換えウイルスもしくは組換え細胞のみを含んでもよい。しかしながら、他の具体例においては、組成物は本発明の1を超えるポリヌクレオチド、1つの発現ベクターまたは1つの組換えウイルスもしくは組換え細胞を含む。かくして、本発明による組成物は、例えば、10ないし20の範囲のような、2のような1を超える、例えば、4のような3を超える、例えば、6のような5を超える、例えば、8のような7を超える、例えば、10のような9を超える、または10を超えるような、本明細書中に記載された異なるポリヌクレオチド、発現ベクターまたは組換えウイルスまたは組換え細胞を含んでもよい。
【0142】
さらに、いくつかの具体例において、本発明の組換え細胞は配列番号:1ないし282の群の1を超えるポリペプチド、および/または配列番号:1ないし282の群から選択されるポリペプチドの1を超える抗原性断片または変種を発現することができる。かくして、本発明による組成物は、5ないし10の範囲、または例えば、10ないし20の範囲のような10を超える範囲の多数のポリペプチドおよび/または抗原性断片または変種のような、2のような1を超える、例えば、4のような3を超える、例えば、6のような5を超える、例えば、8のような7を超える、例えば、10のような9を超える、配列番号:1ないし282の群から選択される異なるポリペプチド、またはその抗原性断片または変種を含んでもよい。もう1つの具体例において、本発明で用いる組成物は、本明細書中で記載される多数の組換えウイルスまたは組換え細胞を含む。
【0143】
好ましくは、本発明の組成物は表1に掲げられたポリペプチド(またはその抗原性断片または変種)の組合せのうちの1つを含む。
【0144】
表1において、もう1つの配列番号によって指名される列と共に配列番号で指名される行の交差に位置する十字形(「x」)の各々は、それらの2つの配列番号の2つのポリペプチド(またはその抗原性断片または変種)を含む組成物を示す。
【0145】
すなわち、その例として、まったく説明的目的で、かつ限定する意図はなく、配列番号:1(「1」)の列と共に配列番号:2(「2」)の行の交差における十字形(「x」)は:
−配列番号:1のポリペプチド、またはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:2のポリペプチド、またはその抗原性断片または変種
を含む組成物を示す。
【0146】
かなり好ましい組成物は:
−配列番号:16のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれか、またはその抗原性断片または変種、好ましくは、配列番号:1ないし41のいずれか、またはその抗原性断片または変種、より好ましくは、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20および配列番号:28よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは、配列番号:20のポリペプチド、またはその抗原性断片または変種
を含む組成物、
−配列番号:10のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれか、またはその抗原性断片または変種、好ましくは配列番号:1ないし41のいずれか、またはその抗原性断片または変種、より好ましくは、配列番号:13、配列番号:20および配列番号:28よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは、配列番号:20のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種
を含む組成物、
−配列番号:13のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれか、またはその抗原性断片または変種、好ましくは配列番号:1ないし41のいずれか、またはその抗原性断片または変種、より好ましくは、配列番号:20および配列番号:28よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは、配列番号:20のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種
を含む組成物、
−配列番号:28のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれか、またはその抗原性断片または変種、好ましくは、配列番号:1ないし41のいずれか、またはその抗原性断片または変種、配列番号:20のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種
を含む組成物;
を含む。
【0147】
少なくとも3つのポリペプチドを含む好ましい組成物は以下の:
配列番号:10、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:28よりなる群から選択される3以上のポリペプチドを含む組成物、
−配列番号:16のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:20のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種、および
−配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかまたはその抗原性断片または変種、好ましくは配列番号:1ないし41のいずれかまたはその抗原性断片または変種、より好ましくは配列番号:10、配列番号:13および配列番号:28よりなる群から選択されるポリペプチド
を含む組成物;
を含む。
【0148】
本発明によるさらに好ましい組成物は配列番号:10、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:28よりなる群から選択される4以上のポリペプチドを含む。
【0149】
なおさらなる好ましい具体例において、本発明の組成物は配列番号:10、配列番号:13、配列番号:16、配列番号:20および配列番号:28の5つのポリペプチドを含む。
【0150】
2以上のポリペプチドを含む前記組成物のいくつかの具体例において、ポリペプチドは共有結合により連結していない。しかしながら、他の具体例においては、ポリペプチドは、翻訳後結合によって形成された、または単一の融合したオープンリーディングフレームから生じた融合ポリペプチドを形成することができる。いずれの場合においてなお、2以上のポリペプチドは直接的に、あるいは例えばペプチドリンカー、好ましくはプロテアーゼ−抵抗性および/または非−免疫原性ペプチドリンカーであってよいスペーサーまたはリンカードメインを介して連結していてもよい。そのようなペプチドリンカーはいずれの長さのものであってもよく、例えば、それは長さが5および50アミノ酸の間のような2および200の間であってもよい。
【0151】
ポリペプチドを含むワクチン
前記したように、好ましい具体例においては、本発明は、ワクチンとして用いられる、配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチドを含む組成物に関する。好ましい断片および変種は、断片および変種に関する本明細書中でのセクションに記載されたものである。
【0152】
従って、この具体例においては、抗原性または免疫原性は、Streptococcus pneumoniae細胞の表面に通常は位置するポリペプチドの直接的投与によって供される。1つの特別な具体例において、ポリペプチドは、ワクチン組成物が異なるMHCクラスI分子のような異なるMHC分子と会合することができる多数のポリペプチドを含むように選択される。好ましくは、ワクチンとして用いられる組成物は最も普通に生じるMHCクラスI分子に会合することができるポリペプチドおよび/または断片を含む。本発明の1つの特別な具体例において、組成物がMHCクラスI分子に会合することができる1以上のポリペプチドおよび/または断片、およびMHCクラスII分子に会合することができる1以上のポリペプチドおよび/または断片を含む。よって、ワクチン組成物は、ある具体例においては、特異的な細胞傷害性T−細胞応答および/または特異的なヘルパーT−細胞応答を惹起させることができる。MHC分子への会合は、例えば、Andersen et al.(1999)Tissue Antigens 54:185;または Tan et al.(1997)J.Immunol.Methods209:25によって記載されるように測定することができる。
【0153】
アジュバントおよび免疫原性担体
好ましくは、本発明のワクチンとして用いられる組成物、すなわち、ワクチン組成物はセクション「本発明で用いる組成物」にてここに記載された医薬上許容される担体を含む。
【0154】
該組成物はさらにアジュバントを含むことができる。アジュバントは、ワクチン組成物へのその混合がポリペプチドまたは他の抗原に対する免疫応答を増加させ、またはそうでなければそれを修飾する物質である。アジュバントは、例えば:AlK(SO、AlNa(SO、AlNH(SO)、シリカ、ミョウバン、Al(OH)、Ca(PO、カオリン、炭素、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、ムラミルジペプチド、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソ−グルタミン(ノル−MDPともいわれるCGP11687)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PEともいわれるCGP19835A)、2%スクワレン/Tween−80.RTM.エマルジョン中のRIBI(MPL+TDM+CWS)、脂質Aを含めたリポ多糖および誘導体、フロイントの完全アジュバント(FCA)、フロイントの不完全アジュバント、Merckアジュバント65、ポリヌクレオチド(例えば、ポリICおよびポリAU酸)、Mycobacterium、tuberculosisからのワックスD、Corynebacterium parvum、Bordetella pertussis、および属Brucellaのメンバーに見出される物質、リポソームまたは他の脂質エマルジョン、Titermax、ISCOMS、Quil A、ALUN(米国特許第58767および第5,554,372号参照)、脂質A誘導体、コレラトキシン誘導体、HSP誘導体、LPS誘導体、合成ペプチドマトリックスまたはGMDP、インターロイキン1、インターロイキン2、モンタニドISA−51およびQS−21のいずれかであり得る。本発明で用いるべき好ましいアジュバントはミョウバン、モンタニドISA−51およびQS−21を含む。モンタニドISA−51(Seppic,Inc.)は、通常はエマルジョンとして投与されるフロイントの不完全アジュバントに似た鉱油−ベースのアジュバントである。QS−21(Antigenics;Aquila Biopharmaceuticals,Framingham,MA)は、水性溶液として扱われる高度に精製された水溶性サポニンである。本発明の組成物で用いるべきもう1つの好ましいアジュバントはNetherlands Vaccine InstituteからのIMSAVAC−Lである。もう1つの好ましい具体例において、ポリペプチドまたは複数ポリペプチドはビロソームに含まれる。
【0155】
本発明に従って用いることができるアジュバントの望ましい機能性を以下の表にリストする。
【0156】
【表2】

源:John C.Cox and Alan R.Coulter Vaccine 1997 Feb;15(3):248−56
本発明によるワクチン組成物は、1を越える異なるアジュバントを含んでもよい。また、本発明のStreptococcus pneumoniaeポリペプチド、または1以上のその抗原性断片、およびアジュバントはいずれかに適当な順番で別々に投与することができるとも考えられる。
【0157】
選択されたアジュバントは、例えば、ミョウバンで沈殿させた抗原と組み合わせて用いられる、例えば、フロイントの完全または不完全アジュバント、または殺したB.pertussis生物であってよい。アジュバントの一般的な議論はGoding,Monoclonal Antibodies:Principles & Practice (2nd edition,1986)の61ないし63頁において供される。しかしながら、Godingは、注目する抗原が低分子量のものであるか、あるいは貧弱にしか免疫原性でない場合に、免疫原性担体へのカップリングが推奨されることを注記している(後記参照)。また、種々のサポニン抽出物およびサイトカインは、免疫原性組成物におけるアジュバントとして使用することも示唆されている。最近、アジュバントとしてよく知られたサイトカインである顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)を用いることが提案されている(WO 97/28816)。
【0158】
加えて、本発明のワクチン組成物は、それに対してStreptococcus pneumoniaeポリペプチドまたはその断片が会合することができる足場構造、例えば、蛋白質または多糖のような免疫原性担体を含むことができる。かくして、ワクチン組成物に存在させるStreptococcus pneumoniaeポリペプチド、またはその抗原性断片または変種は、例えば、蛋白質のような免疫原性担体と会合することができる。ポリペプチドの担体蛋白質への結合または会合は共有結合または非共有結合であってよい。免疫原性担体蛋白質はアジュバントとは独立させて存在させることができる。担体蛋白質の機能は、例えば、特定の断片の分子量を増大させて、それらの活性または免疫原性を増加させ安定性を付与し、生物学的活性を増大させ、または血清中半減期を増大させることである。さらに、免疫原性担体蛋白質は、Streptococcus pneumoniaeポリペプチドまたはその断片をT細胞へ転移するのを助けることができる。担体蛋白質は、限定されるものではないが、キーホールリンペットヘモシアニン、トランスフェリン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、チログロブリンまたはオボアルブミンのような血清蛋白質、免疫グロブリンまたはインスリンのようなホルモンであり得る。破傷風トキソイドおよび/またはジフテリアトキソイドもまた本発明の1つの具体例において適当な担体である。別法としてまたは加えて、デキストラン、例えば、セファロースを加えることができる。なおもう1つの具体例において、例えば、該ポリペプチドまたはその断片をT細胞に提示することができる樹状細胞のような抗原−提示細胞を加えて、担体蛋白質と同一の効果を得ることができる。ワクチン組成物の調製方法は、例えば、米国特許第5,470,958号およびその中の引例に記載されている。
【0159】
さらなる具体例において、本発明のワクチン組成物は、本発明のポリペプチドに加えてStreptococcus pneumoniae炭水化物を含むことができる。1つの具体例において、加えられた炭水化物は、Streptococcus pneumoniaeの1以上の血清型に由来するか、またはそれが特徴的な炭水化物である。好ましい具体例において、本発明のポリペプチドは、表4に掲げられた血清型のいずれかの1以上に由来する、またはそれが特徴的な多糖と組み合わせる。好ましい具体例において、ポリペプチドは、血清型4,6B,9V,14,18C,19Fおよび23Fに由来する、またはそれが特徴的な1以上、好ましくは、2、3、4、5、6または7の多糖と組み合わせる。もう1つの具体例において、ポリペプチドは、血清型1,2,3,4,5,6B,7F,8,9N,10A,11A,12F,14,15B,17F,18C,19A,19F,20,22F,23Fおよび33Fの多糖抗原の8以上、好ましくは10以上、15以上または20以上と組み合わされる。これらの炭水化物は本発明のワクチン組成物へ遊離形態で加えることができ、あるいは別法として、それらはワクチン組成物へ用いるべき本発明のポリペプチドに融合させることができる。
【0160】
本発明のポリペプチドの有効量は、免疫モジュレーターの不存在下で検出可能な液性免疫応答を誘導できる量であろう。用いるべき免疫原の適当な量は、誘導することが望まれる免疫学的応答に依存する。さらに、必要な正確な有効量は、対象の種、年齢および一般的状態、治療すべき疾患の重症度、投与の態様などに応じて対象間で変化し得る。本発明のポリペプチドワクチンは、他のワクチンについて通常用いられるものよりも低い用量を含めた種々の用量で投与することができる。本発明のポリペプチドはStreptococcus pneumoniae細胞の表面で豊富であって、かくして、かなり低いレベルの応答であっても免疫性を供することができるのでこれは可能である。かくして、本発明のポリペプチドの用量は、免疫化で用いる場合、例えば、キログラム体重当たり8ないし25マイクログラムの範囲、あるいはキログラム体重当たり0.1ないし5マイクログラム、または0.1ないし2マイクログラムのようなそれ未満のような、0.1ないし100マイクログラムのようなキログラム体重当たり0.1ないし500マイクログラム、例えば、0.1ないし25マイクログラムのような0.1ないし50マイクログラムであってよい。
【0161】
組換えウィルスまたは組換え細胞を含むDNAワクチン組成物およびワクチン組成物
DNAまたはRNAワクチンが、患者の細胞において、注目するポリペプチド、ここでは、配列番号:1ないし282のいずれかのポリペプチド、またはその抗原性断片または変種、好ましくは配列番号:16のポリペプチドまたはその抗原性断片または変種をコードする配列に操作可能に連結された発現制御配列を含むポリヌクレオチド構築体を過剰発現させることによる、患者への、例えば、抗原性ポリペプチド決定基の導入に関する。そのような断片はメチオニン開始コドンを含有しなくてもよいので、そのようなコドンは所望により発現制御配列の一部として含める。ポリヌクレオチド構築体は非−複製および線状ポリヌクレオチド、環状発現ベクター、または自律的に複製するプラスミドまたはウィルス発現ベクターであってもよい。構築体は宿主ゲノムへ組み込まれてもよい。哺乳動物細胞をトランスフェクトすることができるいずれの発現ベクターも、本発明に従って個体を免疫化する方法で用いることができる。発現ベクターを構築するための方法は当該分野でよく知られている(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook et al.,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory, 2nd Edition, Cold Spring Harbor, N.Y.,1989参照)。好ましいのは、本発明の配列番号:1ないし282から選択される多数のポリペプチド、および/または多数の抗原性断片を発現し、それにより、種々の予め選択された標的を用いる同時ワクチン接種を可能とする複数の遺伝子を含む組成物である。
【0162】
ワクチンは、減弱化または低下されたビルレンスのE.coliまたはSalmonella細胞のような、ウィルスまたは細胞のような生きているが有害でないベクターへ、注目する特異的抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを組み込むことによって調製することもできる。有害でない組換えウィルスまたは組換え細胞を意図した受容体に注射する。そのような組換え細胞は死んでいても生きていてもよい。もし生きていれば、該組換え生物は、抗原性ポリペプチドを生産し、それを宿主の免疫系へ提示しつつ、宿主中で複製することができる。このタイプのワクチンは、非−複製タイプのワクチンよりも効果的であろうと考えられる。成功すべきそのようなワクチンでは、ベクター生物は生きていなければならず、天然に非−ビルレントなものであるか、または減弱化されたまたは低下した−ビルレンスの表現型を有しなければならない。
【0163】
そこで用いられる減弱化された細菌および適当な細菌株を用いるワクチン接種のための戦略は、例えば、Makino et al.(2001)Microb.Pathog.31:1−8;Gentschev et al.(2002)Int.J.Med.Microbiol.291:577−582;Turner et al.(2001)Infect.Immun.69:4969−4979;WO99/49026;およびWO03/022307に記載されている。
【0164】
適用できるベクターのさらなる例は、例えば、WO90/07936、WO91/02805、WO93/25234、WO93/25698およびWO94/03622に開示されたレトロウィルス、Berkner,Biotechniques6:616−627,1988;Li et al.,Hum.Gene Ther.4:403−409,1993;Vincent et al.,Nat.Genet.5:130−134、1993;およびKolls et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:215−219,1994によって開示されたアデノウィルス、米国特許第4,769,330号;米国特許第5,017,487号;およびWO89/01973によって開示されたポックスウィルス、WO90/11092に開示された裸のDNA、WO 93/03709に開示されたポリカチオン性分子に複合体化されたポリヌクレオチド分子、およびWang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7851,1987に開示されたリポソームに会合したポリヌクレオチドを含むベクターである。ある具体例においては、DNAは、Curiel et al.,Hum.Gene Ther.3:147−154,1992;Cotton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6094,1992によって開示されたように殺したまたは不活化したアデノウィルスに連結されてもよい。他の適当な組成物は、Wu et al.,J.Biol.Chem.264:16985−16987,1989によって開示されたDNA−リガンド、およびFelgner et al.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417,1989によって開示された脂質−DNA組成物を含む。加えて、細胞への裸のDNAの取込の効率は、DNAを生分解性ラテックスビーズ上にコーティングすることによって増加させることができる。
【0165】
ワクチンベクターは、好ましくは、免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に操作可能に連結された適当なプロモーターを含む。標的細胞において高レベルの転写開始を指令することができるいずれのプロモーターも本発明で用いることができる。かくして、サイトメガロウィルス(DeBernardi et al.,Proc Natl Acad Sci USA 88:9257−9261[1991]、およびその中の引用文献)、マウスメタロチオネイン I(Hammer et al.,J Mol Appl Gen 1:273−288[1982])、HSVチミジンキナーゼ(McKnight,Cell 31:355−365[1982])、およびSV40初期(Benoist et al.,Nature 290:304−310[1981])プロモーターのような非−組織特異的プロモーターを用いることもできる。
【0166】
ワクチン接種の方法およびワクチン接種/免疫化のための使用
さらなる主な態様において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列を含み、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のうちのいずれかに1以上を含む組成物の、細菌感染に対する動物またはヒトの免疫化用の医薬の調製のための使用に関する。免疫化は、好ましくは、保護的免疫応答を誘導する。前記使用の1つの具体例において、該医薬は唯一度与えられる。
【0167】
好ましい具体例において、医薬はStreptococcus感染に対する免疫化のためである。最も好ましくは、医薬はStreptococcus pneumoniaeに対する免疫化のためである。しかしながら、Streptococcus pneumoniaeポリペプチドでの免疫化は他の細菌種に対する交差−保護も与えることができる。これは、通常、他の種のポリペプチドの少なくとも一部に対する有意な相同性を必要とする。そのような相同性は、例えば、配列番号:16と、Streptococcus pyogenes(グループA Streptococcus)(配列番号:283) Streptococcus agalactiae(グループB Streptococcus)配列番号:284およびListeria monocytogenes(配列番号:285)からのその変種との間に見出される。同様に、相同性は配列番号:20と、Streptococcus pyogenes(グループA Streptococcus)(配列番号:286)、Streptococcus agalactiae(グループB Streptococcus)(配列番号:287)およびListeria monocytogenes(配列番号:288)からのその変種との間に見出される。
【0168】
従って、医薬は、ある具体例においては、Streptococcus pyogenes(グループA Streptococcus)、Streptococcus agalactiae(グループB Streptococcus)およびListeria monocytogenesの1以上に対する免疫化で用いられる。そのような医薬の調製で用いられるかなり好ましいポリペプチドは配列番号:16および配列番号:20である。
【0169】
1以上の細菌に対する免疫化のための別法戦略は、変種ポリペプチドを含む医薬で免疫化することである。従って、さらなる具体例において、医薬の調製で用いられるポリペプチドは配列番号:1ないし282のいずれかの変種、好ましくは配列番号:16の変種および/または配列番号:20の変種である。最も好ましくは、ポリペプチドは配列番号:283、配列番号:284、配列番号:285、配列番号:286、配列番号:287および配列番号:288、またはその断片またはその変種、例えば、配列番号:283、配列番号:284、配列番号:285、配列番号:286、配列番号:287または配列番号:288に対して98%を超えるような95%を超える配列同一性を有する変種よりなる群から選択される。
【0170】
従って、いくつかの具体例において:
−配列番号:283および/または配列番号:286、またはこれらの2つのいずれかの断片または変種を含む医薬を用いて、Streptococcus pyogenesおよび/またはStreptococcus pneumoniaeおよび/または他の細菌に対して免疫化し;
−配列番号:284および/または配列番号:287、またはこれらの2つのいずれかの断片または変種を含む医薬を用いて、Streptococcus agalactiaeおよび/またはStreptococcus pneumoniaeおよび/または他の細菌に対して免疫化し、または
−配列番号:285および/または配列番号:288、またはこれらの2つのいずれかの断片または変種を含む医薬を用いて、Listeria monocytogenesおよび/またはStreptococcus pneumoniaeおよび/または他の細菌に対して免疫化する。
【0171】
最も好ましい具体例において、組成物はここに以下のものを含み、さらに含む:
−配列番号:16を含むまたは配列番号:16の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞。
【0172】
もう1つの好ましい具体例において、該組成物はここに以下のものを含み、またはさらに含む:
−配列番号:10を含む、または配列番号:10の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞。
【0173】
もう1つの好ましい具体例において、該組成物はここに以下のものを含み、またはさらに含む:
−配列番号:13を含む、または配列番号:13の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞。
【0174】
もう1つの好ましい具体例において、該組成物はここに以下のものを含み、またはさらに含む:
−配列番号:28を含む、または配列番号:28の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞。
【0175】
もう1つの好ましい具体例において、該組成物はさらに以下のものを含む:
−配列番号:20を含む、または配列番号:20の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞。
【0176】
同様に、本発明は:
−配列番号:1ないし282の配列のいずれかを含む、または該配列のいずれかの断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含むまたは組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれかの1以上を投与し、それによりStreptococcus pneumoniae感染に対して動物またはヒトを免疫化する工程を含むStreptococcus pneumoniae感染に対して動物またはヒトを免疫化する方法に関する。
【0177】
免疫化のための前記方法の1つの具体例において、配列番号:1ないし282の配列のいずれか、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列のいずれかの断片または変種を含む該ポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞;
は唯1回投与され、それにより、単一の投与を介してStreptococcus pneumoniae感染に対して該動物またはヒトを免疫化する。
【0178】
該動物はいずれの鳥類または哺乳動物、例えば、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ウシまたはブタであってよい。ヒトの特別な標的集団は4歳までの子供の集団、老齢の人々の集団、または開発途上国へのナイーブなまたは半−免疫旅行者の集団のような危険性がある集団からの個人であろう。
【0179】
本発明のポリペプチドは免疫原性であるので、かつそれらはStreptococcus pneumoniae細胞で豊富であるので、保護的免疫応答は、若者、老齢の患者または免疫寛容患者のような、抗原刺激に応答する低下した能力を持つ患者であってさえ誘導することができる。さらに、同じ理由で、本発明のワクチンを用いて中耳炎を予防し、Streptococcus pneumoniaeの鼻咽頭保菌を予防し、Streptococcus pneumoniaeによって引き起こされる敗血症を予防し、またはStreptococcus pneumoniaeによって引き起こされる髄膜炎を予防することもできる。
【0180】
かくして、1つの具体例において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれか1以上の、Streptococcus pneumoniae感染に対する動物またはヒトの免疫化用の医薬の調製のための使用に関し、ここに、該ヒトは2歳未満、例えば、1歳未満のような4歳未満の子供および/または母性免疫性を有する(すなわち、循環において母性抗体を有する)子供である。
【0181】
さらなる具体例において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれか1以上の、Streptococcus pneumoniae感染に対する動物またはヒトの免疫化用医薬の調製のための使用に関し、ここに、該ヒトは免疫寛容患者である。免疫寛容患者は、例えば、免疫抑制化学療法を受けている患者、または先天性または後天性免疫不全の患者であり得る。これらの患者において免疫化が効果的であるためには、患者は、依然として、ある程度、免疫応答を生じさせることができることが要求される。
【0182】
もう1つの具体例において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれか1以上の、中耳炎、特に、Streptococcus pneumoniaeによる中耳炎の予防用の医薬の調製のための使用に関する。
【0183】
なおもう1つの具体例において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれか1以上の、Streptococcus pneumoniaeの鼻咽頭保菌の治療および/または予防用の医薬の調製のための使用に関する。
【0184】
なおさらなる具体例において、本発明は:
−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれか1以上の、Streptococcus髄膜炎の予防用の医薬の調製のための使用に関する。
【0185】
ワクチンは、全ての投与された抗原の完全未満(例えば、50%未満または90%未満)の摂取をもたらす投与の態様を含めたいずれかの適当な投与の態様によって本明細書中に記載された用量で投与することができる。本発明のポリペプチドは、十分に免疫原性であるから、およびStreptococcus pneumoniae細胞の表面でのその豊富性のため、幾分最適下の応答でさえ免疫性を供することができるのでこれは可能である。かくして、本発明による組成物の投与の態様は、限定されるものではないが、静脈または皮下投与、経皮投与、皮内投与、筋肉内投与、鼻内投与、経口投与、および粘膜投与の一般的ないずれかの形態のような全身投与を含む。
【0186】
効果的なStreptococcusワクチンの生産に関する重要な問題は、細菌の血清型とも言われる免疫学的に異なるタイプの発生である。これらのタイプはそれらの多糖プロフィールがかなり異なり、またはそれにも拘らず、いくつかの高度に可変な蛋白質もかなり異なる。そのような変動のため、当該分野で知られたワクチンは、しばしば、ある血清型に対してのみ働き、全ての血清型に対しては働かない。
【0187】
本発明のワクチンは、高度に可変でない豊富な表面に位置したポリペプチドに基づく。これらのワクチンは複数の血清型に対して効果的であろう。従って、1つの具体例において、本発明は:
−好ましくは配列番号1ないし41よりなる群から選択させる、配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、最も好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞
のいずれかの1以上の、5以上の異なる、血清型、例えば、15以上の異なる血清型のような8以上の異なる血清型、例えば、24以上の異なる血清型のような、Streptococcus pneumoniaeの1を超える血清型に対する動物またはヒトの免疫化用の医薬の調製のための使用に関する。
【0188】
好ましくは、該1を超える血清型は6A、7C、9A、10B、13、15C、16F、18B、21、23A、24F、28F、31、34、35F、35B、38の群から選択される血清型を含む。
【0189】
1つの好ましい具体例において、医薬は少なくとも血清型4、6B、9V、14、18C、19Fおよび23F、好ましくは、さらに少なくとも1つのさらなる血清型に対する免疫化で用いられ、該さらなる血清型は、好ましくは、6A、7C、9A、10B、13、15C、16F、18B、21、23A、24F、28F、31、34、35F、35B、38の群から選択される。
【0190】
もう1つの好ましい具体例において、医薬は少なくとも血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、11A、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23F、および33Fおよび、好ましくは、6A、7C、9A、10B、13、15C、16F、18B、21、23A、24F、28F、31、34、35F、35B、38の群から好ましくは選択される少なくとも1つのさらなる血清型に対する免疫化で用いる。
【0191】
さらなる好ましい具体例において、医薬は、表4に掲げられた血清型のいずれか、好ましくは、表4に掲げられた血清型から選択された少なくとも5以上の異なる血清型、例えば、15以上の異なる血清型のような8以上の異なる血清型、例えば、表4に掲げられた血清型から選択された24以上の異なる血清型で用いられる。
【0192】
本発明による免疫原性効果は、例えば、血清試料中の抗体のアッセイによって、例えば、RIAによって測定することができる。さらに、効果は、例えば、T−細胞依存性抗原性ポリペプチドに対する増大したT−細胞応答性を測定することによってイン・ビボで測定することができ、ここに、該増大した応答性は、そのような抗原性ポリペプチドに対する通常の免疫応答の増強に特徴的である。免疫刺激効果は、特に、IL−2,IL−3,IFN−γおよび/またはGM−CSFの増強されたT細胞生産として測定することもできる。かくして、増強された免疫応答を誘導する能力を有するポリペプチドまたはその断片は、ここに引用して援用する、例えば、US 07/779,499に記載されたように、T細胞による増強されたIL−2、IL−3、IFN−γまたはGM−CSF生産についてスクリーニングすることによって容易に同定できる。
【0193】
Streptococcus pneumoniaeに対するワクチン接種に関する多数の態様がBogaert et al.,(2004)Vaccine 22:2209−2220で議論されている。このレビューは、そのようなワクチンのテストおよび評価のための方法を記載する他の書類への言及を含む。
【0194】
本明細書中に記載されたポリヌクレオチドおよび発現ベクターは、例えば、ISCOMS、リポソームまたは赤血球ゴーストに取り込まれた裸のDNA(Donnelly et al.,Annu Rev Immunol 15:617−648[1997])としていずれかの標準的な方法によって、あるいはバイオリスティック導入、カルシウム沈殿、またはエレクトロポレーションによってイン・ビボまたはイン・ビトロにて標的細胞に導入することができる。別法として、動物またはヒトの細胞へ注目するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを導入するための手段としてウィルス−ベースのベクターを使用することができる。好ましいウィルスベクターは、複製−欠陥肝炎ウィルス(例えば、HBVおよびHCV)、レトロウィルス(例えば、WO89/07136;およびRosenberg et al.,N Eng J Med 323 (9):570−578[1990]参照)、アデノウィルス(例えば、Morsey et al.,J Cell Biochem,Supp.17E[1993]参照)、アデノ−関連ウィルス(Kotin et al.,Proc Natl Acad Sci USA 87:2211−2215[1990])、複製欠陥単純疱疹ウィルス(HSV;Lu et al.,Gene Therapy,Sep.22−26,1992の会合のアブストラクト66ページ、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.)、カナリアポックスウィルスに由来するもの、およびこれらのベクターのいずれかの修飾されたバージョンを含む。イン・ビトロでトランスフェクトされた細胞を培養し、所望であれば、患者への導入に先立ってクローン化することができる。
【0195】
直接的なイン・ビボ手法に加えて、エクス・ビボ手法を用いてもよく、そこでは、細胞を動物から取り出し、修飾し、同一またはもう1つの動物に入れる。エクス・ビボ関係で組織細胞への本発明による抗原性ポリペプチドまたはそれをコードするポリヌクレオチドの導入について前期した組成物のいずれかを利用できるのは明らかであろう。摂取のウィルス的、物理的および化学的方法についてのプロトコルは当該分野でよく知られている。かくして、本発明のポリペプチドの投与または患者へ直接的にそのようなポリペプチドを発現させることができるベクターに対する代替法として、患者からヘルパーT細胞を取り出し;同一の抗原性ポリペプチドまたはベクターを用いてそれらのT細胞をエクス・ビボ刺激し、刺激されたヘルパーT細胞を同一患者に導入することができる。
【0196】
(本発明の抗体および抗体を惹起させるための方法)
さらなる主な具体例において、医薬として用いられる組成物は、配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus pneumoniaeポリペプチドよりなる群から選択される、好ましくは、配列番号:1ないし41よりなる群から選択される、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、もっとも好ましくは配列番号:16のポリペプチドに結合することができる抗体を含む。そのような医薬は、それを必要とする個体の受動的免疫化のような抗体療法で用いることができる。
【0197】
したがって、さらなる主な態様において、本発明は、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、および/またはその断片および/または変種に結合することができる、好ましくは特異的に結合することができる抗体に関する。「特異的に結合する」はこの関係では、絶対的な特性を意味することを意図しない。抗体は、いくつかの具体例においては、例えば、Streptococcus pneumoniaeからのポリペプチド、例えば、Streptococcus pneumoniaeからのポリペプチドに対して95%を超える、または98%を超える配列同一性のような90%を超える配列同一性をもつポリペプチドに対する高度な配列特異性でもって、他のStreptococcus種からのポリペプチドに特異的に結合することもできる。
【0198】
好ましい具体例において、抗体は、配列番号:1のポリペプチド、例えば、配列番号:2のポリペプチドのような、配列番号:3のポリペプチド、例えば、配列番号:4のポリペプチドのような、配列番号:5のポリペプチド、例えば、配列番号:6のポリペプチドのような、配列番号:7のポリペプチド、例えば、配列番号:8のポリペプチドのような、配列番号:9のポリペプチド、例えば、配列番号:10のポリペプチドのような、配列番号:11のポリペプチド、例えば、配列番号:12のポリペプチドのような、配列番号:13のポリペプチド、例えば、配列番号:14のポリペプチドのような、配列番号:15のポリペプチド、例えば、配列番号:16のポリペプチドのような、配列番号:17のポリペプチド、例えば、配列番号:18のポリペプチドのような、配列番号:19のポリペプチド、例えば、配列番号:20のポリペプチドのような、配列番号:21のポリペプチド、例えば、配列番号:22のポリペプチドのような、配列番号:23のポリペプチド、例えば、配列番号:24のポリペプチドのような、配列番号:25のポリペプチド、例えば、配列番号:26のポリペプチドのような、配列番号:27のポリペプチド、例えば、配列番号:28のポリペプチドのような、配列番号:29のポリペプチド、例えば、配列番号:30のポリペプチドのような、配列番号:31のポリペプチド、例えば、配列番号:32のポリペプチドのような、配列番号:33のポリペプチド、例えば、配列番号:34のポリペプチドのような、配列番号:35のポリペプチド、例えば、配列番号:36のポリペプチドのような、配列番号:37のポリペプチド、例えば、配列番号:38のポリペプチドのような、配列番号:39のポリペプチド、例えば、配列番号:40のポリペプチドのような、配列番号:41のポリペプチド、例えば、配列番号:42のポリペプチドのような、配列番号:43のポリペプチド、例えば、配列番号:44のポリペプチドのような、配列番号:45のポリペプチド、例えば、配列番号:46のポリペプチドのような、配列番号:47のポリペプチド、例えば、配列番号:48のポリペプチドのような、配列番号:49のポリペプチド、例えば、配列番号:50のポリペプチドのような、配列番号:51のポリペプチド、例えば、配列番号:52のポリペプチドのような、配列番号:53のポリペプチド、例えば、配列番号:54のポリペプチドのような、配列番号:55のポリペプチド、例えば、配列番号:56のポリペプチドのような、配列番号:57のポリペプチド、例えば、配列番号:58のポリペプチドのような、配列番号:59のポリペプチド、例えば、配列番号:60のポリペプチドのような、配列番号:61のポリペプチド、例えば、配列番号:62のポリペプチドのような、配列番号:63のポリペプチド、例えば、配列番号:64のポリペプチドのような、配列番号:65のポリペプチド、例えば、配列番号:66のポリペプチドのような、配列番号:67のポリペプチド、例えば、配列番号:68のポリペプチドのような、配列番号:69のポリペプチド、例えば、配列番号:70のポリペプチドのような、配列番号:71のポリペプチド、例えば、配列番号:72のポリペプチドのような、配列番号:73のポリペプチド、例えば、配列番号:74のポリペプチドのような、配列番号:75のポリペプチド、例えば、配列番号:76のポリペプチドのような、配列番号:77のポリペプチド、例えば、配列番号:78のポリペプチドのような、配列番号:79のポリペプチド、例えば、配列番号:80のポリペプチドのような、配列番号:81のポリペプチド、例えば、配列番号:82のポリペプチドのような、配列番号:83ポリペプチド、例えば、配列番号:84のポリペプチドのような、配列番号:85のポリペプチド、例えば、配列番号:86のポリペプチドのような、配列番号:87のポリペプチド、例えば、配列番号:88のポリペプチドのような、配列番号:89のポリペプチド、例えば、配列番号:90のポリペプチドのような、配列番号:91のポリペプチド、例えば、配列番号:92のポリペプチドのような、配列番号:93のポリペプチド、例えば、配列番号:94のポリペプチドのような、配列番号:95のポリペプチド、例えば、配列番号:96のポリペプチドのような、配列番号:97のポリペプチド、例えば、配列番号:98のポリペプチドのような、配列番号:99のポリペプチド、例えば、配列番号:100のポリペプチドのような、配列番号:101のポリペプチド、例えば、配列番号:102のポリペプチドのような、配列番号:103のポリペプチド、例えば、配列番号:104のポリペプチドのような、配列番号:105のポリペプチド、例えば、配列番号:168のポリペプチドのような、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに結合でき、好ましくは特異的に結合できる。
【0199】
好ましくは本発明の抗体は、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができ、すなわち、その構造的一体性を維持した生きたまたは死滅したStreptococcus細胞、好ましくは、膜の一体性を維持した細胞(すなわち、ここに、該膜は浸透されていない)に結合することができる。無傷細胞への抗体の結合は、例えば、Rioux et al.(2001) Infect.Immun.69:5162−5165に記載されているような、またはSingh et al.(2003) Infect. Immun.71:3937−3946に記載されているようなフローサイトメトリーによって測定することができる。
【0200】
好ましい抗体は、10−6M未満のような5×10−6M未満、例えば、10−7M未満のような5×10−7M未満、例えば、10−8M未満のような5×10−8M未満、例えば、10−9M未満のような5×10−9M未満、例えば、10−10M未満のような5×10−10M未満、例えば、10−11M未満のような5×10−11M未満、例えば、10−12M未満のような5×10−12M未満、例えば、10−13M未満のような5×10−13M未満、例えば、10−14M未満のような5×10−14M未満、例えば、10−15M未満のような
5×10−15M未満のような解離定数またはKdでもって結合するものである。結合定数は、(例えば、OroszおよびOvadi(2002)J.Immunol.Methods 270:155−162)に記載されているELISA、または表面プラズモン共鳴分析のような当該分野でよく知られた方法を用いて測定することができる。
【0201】
哺乳動物、好ましくはヒト、より好ましくは免疫寛容患者の受動的免疫化のための抗体を用いることができる。抗体での治療は、肺炎または髄膜炎または肺炎球菌敗血症のような肺炎球菌病を含めたStreptococcus pneumoniae感染を治癒し、または予防するためになすことができる。好ましい患者の群は4歳未満の年齢の子供、老齢の患者または免疫寛容患者を含む。
【0202】
本発明の抗体は以下の好ましいメカニズム群を含む:
1.(細菌の生存率に影響する)抗菌剤として働く機能−阻害抗体。そのような抗体は、患者の免疫状態に関わらず効果的なはずである。好ましくは、そのような抗体はStreptococcus pneumoniaeの成長をイン・ビトロにて、抗体を加えない対照の25%未満、例えば、10%未満、のような、5%未満のような50%未満まで低下させることができる。
2.ファゴサイトーシス殺傷を増強させるように設計されたオプソニン化抗体。そのような抗体の有効性は患者の免疫状態に依存し得るが、それらは寛容患者においてされ、ファゴサイトーシス殺傷を増強するであろう可能性が非常に高い。
3.トキシンまたは殺菌剤、例えば、リシンまたは放射性同位体のような治療部位にコンジュゲートされた抗体。治療部位を抗体にコンジュゲートするための技術はよく知られている。例えば、Thorpe et al.,(1982)Immunol.Rev.62,119−158参照。これらの抗体は、患者の免疫状態に拘らず、やはり効果的なはずである。
【0203】
それにコンジュゲートした治療部位を持つまたは持たない抗体を、治療剤として用いることができ、これは単独で、または化学療法または他の治療剤と組み合わせて投与される。
【0204】
1つの具体例において、本発明の抗体はオプソニン性ならびに機能−阻害性である。もう1つの具体例において、本発明の抗体はオプソニン性であるが、機能−阻害性ではない。抗体の後者の群は、例えば、Streptococcus pneumoniaeの生存率に対して必須ではない標的ポリペプチドに対して向けられた抗体で有り得る。
【0205】
さらなる主な態様において、本発明は:
a.−配列番号:1ないし282よりなる群から選択され、好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28、および配列番号:33よりなる群から選択される配列、最も好ましくは配列番号:16を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウィルスまたは組換え細胞;
を供し、
b.該ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、組換えウィルスまたは組換え細胞を含む組成物を動物に導入し、
c.該動物において抗体を生起させ、
d.該抗体を単離し、所望により精製する;
工程を含む、非−ヒト動物において配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに対して抗体を惹起させる方法に関する。
【0206】
好ましい具体例において、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる抗体は、前記工程、および無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる抗体を選択するさらなる工程を行うことを含むことによって同定される。
【0207】
前記方法は、好ましくは、ヒト抗体を生産することができるトランスジェニック動物においてなされる。さらに好ましい具体例において、前記方法は非−治療性である。
【0208】
モノクローナル/ポリクローナル抗体
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体の混合物であってよい。好ましい具体例において、抗体はモノクローナル抗体またはその断片である。モノクローナル抗体(Mab)は、各抗体分子が同様であって、かくして、同一エピトープを認識する抗体である。該抗体はいずれの種類の抗体であってもよいが、それは好ましくはIgGまたはIgA抗体である。
【0209】
好ましい抗体、より好ましくはモノクローナル抗体は本発明のポリペプチドの表面−露出領域に特異的に結合することができる抗体である。従って、配列番号:16に結合することができる抗体の好ましい具体例において、該抗体は配列番号:289ないし配列番号:294のいずれかの1以上のアミノ酸を含む配列番号:16上のエピトープに結合する。なおより好ましくは、該抗体は、配列番号:289、配列番号:290、配列番号:291、配列番号:292、配列番号:293、および配列番号:294よりなる群から選択される配列の5以上のアミノ酸のような、3以上の、例えば、4以上のような2以上のアミノ酸を含むエピトープに結合する。
【0210】
モノクローナル抗体は、一般には、ハイブリドーマ細胞系によって生産される。モノクローナル抗体および抗体−合成ハイブリドーマ細胞を作製する方法は当業者によく知られている。抗体−生産ハイブリドーマは、例えば、抗体−生産Bリンパ球と不滅化細胞系との融合によって調製することができる。モノクローナル抗体は以下の工程によって生産することができる。動物は、全長ポリペプチドまたはその断片のような抗原で免疫化される。免疫化は、典型的には、抗原を、免疫学的に有効な量、すなわち、免疫応答を生じさせるのに十分な量にて、免疫学的にコンピテントな哺乳動物に投与することによって達成される。好ましくは、哺乳動物はウサギ、ラットまたはマウスのようなげっ歯類である。次いで、哺乳動物を、高親和性抗体分子を生じさせるのに哺乳動物に十分な期間ブースタースケジュールに維持する。抗体−生産細胞の懸濁液は所望の抗体を分泌する各免疫化哺乳動物から取り出す。高親和性抗体を生じさせるのに十分な時間の後、動物(例えば、マウス)を犠牲にし、抗体−生産リンパ球をリンパ節、脾臓および末梢血液のうちの1以上から得る。脾臓細胞が好ましく、当業者によく知られた方法を用いて生理学的培地中の個々の細胞に機械的に分離することができる。抗体−生産細胞は、マウスミエローマ系の細胞への融合によって不滅化される。マウスリンパ球はマウス相同ミエローマとの高いパーセンテージの安定な融合を与えるが、ラット、ウサギおよびカエル体細胞も用いることができる。所望の抗体−生産動物の脾臓細胞は、一般には、ポリエチレングリコールのような融合剤の存在下でミエローマ細胞と融合させることによって不滅化される。融合パートナーとして適当な多数のミエローマ細胞系のいずれも、例えば、American Type Culture Collection(ATCC),Rockville,Mdから入手可能な、P3−NS1/1−Ag4−1、P3−x63−Ag8.653またはSp2/O−Ag14ミエローマ系であり得る。
【0211】
モノクローナル抗体は、組換えDNA技術の分野における当業者によく知られた他の方法によって生じさせることもできる。「コンビナトーリアル抗体ディスプレイ」方法といわれる別法が、特定の特異性を有する抗体断片を同定し、単離するために開発されており、これを用いて、モノクローナル抗体を生産することができる。
【0212】
ポリクローナル抗体は特異的な与えられた抗原を認識する抗体分子の混合物であり、よって、ポリクローナル抗体は、例えば、ポリペプチド内の異なるエピトープを認識することができる。一般に、ポリクローナル抗体は、従前は抗原で免疫化されていた哺乳動物の血清から精製される。ポリクローナル抗体は、例えば、HarlowおよびDavid Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988によって編集されたAntibodies,A Laboratory Manualに記載された方法のいずれかによって調製することができる。ポリクローナル抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヤギおよびヒツジからのいずれかの適当な哺乳動物種に由来することができる。
【0213】
特異性
本発明の抗体は、配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかに対してモノ特異的であってよい。もう1つの具体例において、抗体は、配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかに対して特異的である少なくとも1つの部分を有して二特異的または多特異的である。
【0214】
モノ特異的抗体は一価であってよく、すなわち、唯1つの結合ドメインを有する。一価抗体では、免疫グロブリン定常ドメインアミノ酸配列は、好ましくは、CH1、CH2、CH3およびCH4として当該分野で知られた抗体分子の構造的部分を含む。好ましいのはCL・として当該分野で知られているものである。さらに、定常領域が重鎖または軽鎖定常ドメインいずれかであり得る限り(各々、CまたはC)、種々の一価抗体組成物が本発明によって考えられる。例えば、軽鎖定常ドメインはもう1つの軽鎖定常ドメインに対して、または重鎖定常ドメインに対してジスルフィドブリッジすることができる。対照的に、重鎖定常ドメインは2つの独立したジスルフィドブリッジを形成でき、もう1つの重鎖および軽鎖へのブリッジングの可能性、または重鎖のポリマーを形成する可能性を可能とする。かくして、もう1つの具体例において、本発明では、定常鎖ドメインCが少なくとも1つのジスルフィドブリッジを形成できるシステイン残基を有する一価ポリペプチドを含む組成物が考えられ、ここに、該組成物は該ジスルフィドブリッジによって共有結合連結された少なくとも2つの一価ポリペプチドを含む。
【0215】
本発明のもう1つの具体例において、抗体は少なくとも2つの結合ドメインを有する多価抗体である。結合ドメインは、同一のリガンドに対する、または異なるリガンドに対する特異性を有してもよい。
【0216】
二特異性を含めた多特異性
好ましい具体例において、本発明は、少なくとも2つの異なる存在に対して親和性を有し、およびそれに特異的に結合することができる多特異的抗体に関する。
【0217】
1つの具体例において、多特異的抗体は、そのうち少なくとも1つは抗体起源である少なくとも2つの異なる結合ドメインを運ぶ二特異的抗体である。本発明の二特異的分子は単一鎖二特異的分子でもあり得る。多特異的分子は単一−鎖分子とすることもでき、あるいは少なくとも2つの単一−鎖分子を含むことができる。二特異的抗体を含めた多特異的抗体は当業者に知られたいずれかの適当な方法によって生産することができる。WO 94/09131;WO 94/13804;WO 94/13806または米国特許第5,260,203号;第5,455,030号;第4,881,175号;第5,132,405号;第5,091,513号;第5,476,786号;第5,013,653号;第5,258,498号;および第5,482,858号に記載されたもののような多数のアプローチが開発されている。本発明による二特異的または多特異的抗体を用い、本発明は、一特異的/一価抗体と比較していくつかの利点を供する。二特異的/多特異的抗体は、配列番号:1ないし282のStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのいずれかを特異的に認識し、それに結合することができる第一の結合ドメインを有し、他方、他の結合ドメインは他の目的で用いることができる。1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインを、第一の結合ドメインと同一のStreptococcus pneumoniaeポリペプチド上のもう1つのエピトープへの結合のように、Streptococcus pneumoniaeポリペプチドに結合するのに用いる。それにより、Streptococcus pneumoniaeに対する特異性は増大し、ならびに抗体の結合力を増加させることができる。もう1つの具体例において、少なくとも1つの他の結合ドメインはヒト細胞のような哺乳動物細胞に特異的に結合させるために用いることができる。少なくとも他の結合ドメインは白血球、マクロファージ、リンパ球、好塩基性細胞および/または好酸性細胞のような免疫活性細胞に結合して、治療方法における抗体の効率を増加させることができる。これは、少なくとも1つの他の結合ドメインがクラスター分化蛋白質(CD)、特にCD64および/またはCD89のいずれかから選択可能な蛋白質のような、ヒト蛋白質のような哺乳動物蛋白質に特異的に結合することができる。
【0218】
ヒト化抗体
ヒト療法について非−ヒト抗体を用いるのは常には望ましくない。というのは、非−ヒト「外来性」エピトープは治療すべき個体において免疫応答を誘導し得るからである。非−ヒト抗体に関連する問題を排除し、または最小化するために、キメラ抗体誘導体、すなわち、非−ヒトFab可変領域結合決定基をヒト定常領域(Fc)と組み合わせる「ヒト化」抗体分子を作製するのが望ましい。そのような抗体は前記したモノクローナルおよびポリクローナル抗体の同等な抗原特異性および親和性によって特徴付けられ、ヒトに投与した場合に免疫原性がより低く、従って、よりありそうには、治療すべき個体によって許容される。
【0219】
従って、1つの具体例において、本発明の抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、一般的には、ヒト抗体に由来する領域、およびげっ歯類抗体のような非−ヒト抗体に由来する領域を含むキメラ抗体である。(再形成またはCDR−グラフティングとも呼ばれる)ヒト化は、異種源(通常はげっ歯類)からのモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低下させ、ヒト免疫グロブリンに対する相同性を増加させ、およびヒト免疫系のそれらの活性化を改良するためのよく確立された技術である。かくして、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基および、おそらくは、いくつかのフレームワーク残基がげっ歯類抗体における類似の部位からの残基によって置き換えられたヒト抗体である。
【0220】
ヒト化抗体は抗原に対する高い親和性および他の好都合な生物学的特性を保有することが重要である。この目標を達成するためには、好ましい方法に従い、ヒト化抗体は、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いる親配列および種々の概念的なヒト化産物の分析のプロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であって、当業者が精通している。選択された候補免疫グロブリン配列のおそらくは三次元立体配座構造を説明し、および提示するコンピュータープログラムが入手可能である。これらの精査は、候補免疫グロブリン配列の機能におけるある種の残基のありそうな役割の分析、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響する残基の分析を可能とする。このように、標的抗原に対する増大した親和性のような所望の抗体特徴が最大化されるようにFR残基を受容者から選択し、組み合わせ、配列を輸入することができるが、抗原結合に直接的に関する最も実質的に影響するのはCDR残基である。
【0221】
MAbをヒト化する1つの方法はキメラ抗体の生産に関しそこでは、1つの抗体の完全な可変ドメインを含む抗原結合部位が第二の抗体、好ましくはヒト抗体に由来する定常ドメインに融合される。キメラ化手法を行うための方法は、例えば、EP−A−0 120 694(Celltech Limited),EP−A−0 125 023(Genentech Inc.),EP−A−0 171 496(Res.Dev.Corp.Japan),EP−A−0173494(Stanford University)およびEP−A−0 194 276(Celltech Limited)に記載されている。
【0222】
本発明のヒト化抗体は、ヒト抗体のCDRの少なくとも一部を非−ヒト抗体に由来するCDRと置き換えることができるいずれかの方法によって作製することができる。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するのに用いることができる方法を記載し(英国特許出願 GB 2188638A)、その内容をここに引用して援用する。
【0223】
その例として、本発明のヒト化抗体は以下のプロセス:
(a)慣用的な技術によって、抗体重鎖をコードするDNA配列と共にオペロンを含有する発現ベクターを構築し、ここに、CDR、および抗体結合特異性を保有するのに必要な可変ドメインフレームワーク領域のそのような最小部分は非−ヒト免疫グロブリンに由来し、および抗体鎖の残りの部分はヒト免疫グロブリンに由来し;
(b)慣用的な技術によって、相補的抗体をコードするDNA配列と共にオペロンを含有する発現ベクターを構築し、ここに、CDR、およびドナー抗体結合特異性を保有するのに要求される可変ドメインフレームワーク領域のそのような最小部分は非−ヒト免疫グロブリンに由来し、および抗体鎖の残りの部分がヒト免疫グロブリンに由来し;
(c)慣用的技術によって発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトし;次いで、
(d)慣用的技術によってトランスフェクトされた細胞を培養して、ヒト化抗体を生産する;
ことによって生産することができる。
【0224】
宿主細胞は本発明の2つのベクターでコ−トランスフェクトすることができ、第一のベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有し、および第二のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有する。2つのベクターは異なる選択マーカーを含有するが、そうでなければ、抗体の重鎖および軽鎖コーディング配列とは別に、好ましくは同一であって、可能であれば、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等な発現を確実とする。別法として、単一ベクターを用いることができ、該ベクターは軽鎖および重鎖ポリペプチド双方をコードする配列を含む。軽鎖および重鎖についてのコーディング配列はcDNAまたはゲノムDNAまたは双方を含むことができる。
【0225】
本発明の改変された抗体を発現するのに用いる宿主細胞はEshelichia coliのような細菌細胞、または真核生物細胞いずれかであってよい。特に、ミエローマ細胞またはチャイニーズハムスター卵巣細胞のようなこの目的のための良く規定されたタイプの哺乳動物細胞を用いることができる。
【0226】
本発明のベクターをそれによって構築することができる一般的な方法、本発明の宿主細胞を生産するのに必要なトランスフェクション方法およびそのような宿主細胞から本発明の抗体を生産するのに必要な培養方法は全て慣用的な技術である。同様に、一旦生産されれば、本発明のヒト化抗体は標準的な手法に従って精製することができる。
【0227】
ヒト抗体
より好ましい具体例において、本発明は抗体に関し、そこでは、結合ドメインがヒト抗体によって運ばれ、すなわち、抗体はヒト化抗体よりも大きな程度のヒトペプチド配列を有する。
【0228】
ヒト蛋白質に対して向けられたヒトmAb抗体は、マウス系よりはむしろヒト免疫系を運ぶトランスジェニックマウスを用いて作製することができる。注目する抗原で免疫化されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾臓細胞を用いてハイブリドーマを生産し、これはヒト蛋白質からのエピトープに対する特異的親和性を持つヒトmAbを分泌する(例えば、Wood et al.International Application WO 91/00906,Kucherlapati et al.PCT publication WO 91/10741;Lonberg et al.International Application WO 92/03918;Kay et al.International Application 92/03917;Lonberg,N.et al.1994 Nature 368:856−859;Green,L.L.et al.1994 Nature Genet. 7:13−21;Morrison,S.L.et al.1994 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855;Bruggeman et al.1993 Year Immunol 7:33−40;Tuaillon et al.1993 PNAS 90:3720−3724;Bruggeman et al.1991 Eur J Immunol 21:1323−1326参照)。そのようなトランスジェニックマウスは、Abgenix,Inc.,Fremont,Calif.,およびMedarex,Inc.,Annandale,N.J.から入手可能である。キメラおよび生殖系突然変異体マウスにおける抗体重鎖接合領域(IH)遺伝子のホモ接合性欠失の結果、内因性抗体生産の完全な阻害がもたらされると記載されている。そのような生殖系突然変異体マウスへのヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入の結果、抗原挑戦に際してヒト抗体が生産される。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255−258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);およびDuchosal et al.Nature 355:258(1992)参照。ヒト抗体はファージ−ディスプレイライブラリーに由来することもできる(Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.227:381(1992);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597(1991);Vaughan,et al.,Nature Biotech 14:309(1996))。
【0229】
高親和性抗体の単離のための好ましい方法は減算手法であり、標的に対する、特に、抗原029(配列番号:16)および607(配列番号:20)に対するヒト抗体または抗体断片は、それらの天然立体配座において、ファージ抗体ライブラリーから迅速に得ることができる(例えば、De Kruif et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:3938−3942(1995);米国特許第6265150号;および米国特許出願第2002132228号および第2005043521号参照)。ファージ抗体ライブラリーは、例えば、注目する病気を持つ患者、ここに、Streptococcus pneumoniaeで感染した患者から抗体生産細胞を用いて構築することができる。これらの細胞によって生産された抗体をコードする遺伝子を、クローン化された遺伝子のCDR3領域を再編成する縮重オリゴヌクレオチドを用いて半−合成ファージ抗体ライブラリーにクローン化することができる。その後、ライブラリーを標的抗原または標的−発現細胞、ここでは、Streptococcus pneumoniaeと共にインキュベートし、標的に結合したファージ抗体を標準的な方法を用いることによって単離する。また、本発明は、前記手法によって同定された抗体、特に、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体、好ましくは、10−7M未満、例えば、10−9M未満のような10−8M未満、例えば、10−11M未満のような10−10M未満の解離定数またはKdを有する抗体および/またはこれらの標的のいずれかの表面−露出エピトープに結合する抗体に指向される。
【0230】
ヒトモノクローナル抗体を生産するための適当な方法は、WO 03/017935、WO 02/100348、US 2003 091561およびUS 2003 194403にさらに記載されている。
【0231】
抗体の結合断片
本発明の1つの具体例において、抗体は抗体の断片、好ましくは抗原結合断片または可変領域である。本発明で有用な抗体断片の例はFab、Fab’、F(ab’)およびFv断片を含む。抗体のパパイン消化は、各々は単一抗原結合部位、および残りの「Fc」断片を持つ、いわゆる容易に結晶化するその能力のための、Fab断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片を生じる。ペプシン処理は、抗原と架橋することができる2つの抗原結合断片、および(pFc’といわれる)残りの他の断片を有するF(ab’)断片を生じる。さらなる断片はダイアボディー、線状抗体、単一−鎖抗体分子、および抗体断片から形成される多特異的抗体を含むことができる。
【0232】
抗体断片Fab、FvおよびscFvは、抗体断片が単一の抗原−結合部位を運ぶに過ぎない点で全抗体とは異なる。2つの結合部位を持つ組み換え断片は、例えば、FvのVHのC−末端において(Cumber et al.,1992)、およびscFvのVLのC−末端において(PackおよびPluckthun,1992)導入されたシステイン残基の化学的架橋によって、あるいはFab’のヒンジシステイン残基を介して(Carter et al.,1992)いくつかの方法で作製することができる。
【0233】
好ましい抗体断片はその抗原に選択的に結合する抗体の能力のいくつかまたは実質的に全てを保有する。いくつかの好ましい断片は以下のように定義される:
(1)Fabは、抗体分子の一価抗原−結合断片を含有する断片である。Fab断片は、無傷軽鎖および1つの重鎖の部分を生じさせるための全抗体の酵素パパインでの消化によって生じさせることができる。
(2)Fab’は抗体分子の断片であり、全抗体をペプシンで処理し、続いて、還元して、無傷軽鎖および重鎖の一部を生じさせることによって得ることができる。2つのFab’断片は抗体分子により得られる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域からの1以上のシステインを含めた重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端における少数の残基の付加によってFab断片とは異なる。
(3)F(ab’)は、全抗体を、引き続いての還元なくして酵素ペプシンで処理することによって得ることができる抗体の断片である。F(ab’)は、2つのジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのFab’断片のダイマーである。
(4)Fvは、完全な抗原認識および結合部位を含有する最小抗体断片である。この領域は、密な非共有会合VH−ダイマー)にて、1つの重鎖および1つの軽鎖可変ドメインのダイマーよりなる。各可変ドメインの3つのCDRは相互作用して、VH−ダイマーの表面の抗原結合部位を規定するのはこの配置においてである。集合的に、6つのCDRは抗原結合特異性を抗体に付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、抗原を認識し、それに結合する能力を有するが、全結合部位よりもより低い親和性においてである。
【0234】
本発明の1つの具体例において、抗体は、遺伝的に融合された単一鎖分子として、適当なポリペプチドリンカーによって連結された、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含有する遺伝子工学作製分子と定義される単一−鎖抗体である。そのような単一−鎖抗体は、「単一−鎖「Fv」または「sFv」抗体断片とも言われる。一般に、Fvポリペプチドは、さらに、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能とするVおよびVドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。
【0235】
本発明による抗体断片は、当業者に知られたいずれかの適当な方法により生産することができる。活性な抗体断片を生産するためのいくつかの微生物発現系が既に開発されており、例えば、E.coliまたは酵母のような種々の宿主におけるFabの生産が記載されている。断片はFabとして、またはFvとして生産することができるが、加えて、VおよびVはフレキシブルなポリペプチドリンカーによっていずれかの順番で遺伝子的に連結できることが示されており、その組合せはscFvとして知られている。
【0236】
(本発明で用いられる組成物)
医薬として用いられる組成物の好ましい具体例において、該組成物は、有効成分に加えて、医薬上許容される担体を含む。
【0237】
本明細書中で用いるように、組成物または担体と組み合わせて用いられる用語「医薬上許容される」は、当該物質が、嘔吐、眩暈、胃の不調等のような望ましくない生理学的効果を生じさせることなくヒトまたは動物へ投与できることを表す。
【0238】
そこに溶解されたまたは分散された有効成分を含有する組成物の調製は当該分野で良く理解されている。しばしば、そのような組成物は、液状溶液または懸濁液、水性または非−水性いずれかとして滅菌注射剤として調製されるが、使用に先立って液体中の溶液または懸濁液に適した固体形態も調製することができる。調製物は乳化することもできる。有効成分は、医薬上許容され、有効成分と適合する担体と、本明細書中に記載された方法に用いるのに適した量にて混合することができる。適当な担体は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等およびその組合せである。加えて、所望ならば、組成物は少量の、有効成分の有効性を増強させる湿潤または乳化剤、pH−緩衝剤のような補助的物質を含有することができる。
【0239】
本発明の組成物は、その中に有効成分の医薬上許容される塩を含むことができる。医薬上許容される塩は、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸とで形成される(ポリペプチドの遊離アミノ基とで形成される)酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基とで形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第二鉄のような無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基に由来することもできる。
【0240】
医薬上許容される担体は当該分野で良く知られている。適当な液体の担体の例は、有効成分および水以外に物質を含有しない、あるいは生理学的pH値のリン酸ナトリウムのような緩衝液、リン酸−緩衝化生理食塩水のような生理食塩水または双方を含有する滅菌水性溶液である。なおさらに、水性担体は1を超える緩衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、デキストロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび他の溶質を含有することができる。液体組成物は、水に加えて、およびその排除に加えて、液体相を含有することもできる。そのようなさらなる液体相の例はグリセリン、綿実油のような植物油、オレイン酸エチルのような有機エステル、および水−油エマルジョンである。
【0241】
組成物は、さらに、バンコマイシン、β−ラクタム、セファロスポリン、ペニシリン、アミノグリコシド、マクロライド抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、またはアジスロマイシン)およびフルオロキノロン抗生物質(シクロフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、またはモキシフロキサシン)から選択される抗生物質のような抗生物質製剤を含めた、および/またはサイトカイン、インターフェロン、成長因子のような免疫刺激剤、例えば、GCSFおよびGM−CSFを含めたキット−イン−パートとしても良い。該キット−イン−パートは同時、順次または別々の投与で使用しても良い。
【0242】
本発明は、さらに、本明細書中に記載された方法を実施するのに有用な医薬組成物に関する。かくして、本発明は、医薬上許容される担体および
−好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20および配列番号:28の群から選択される、配列番号:1ないし282の配列のいずれか、最も好ましくは配列番号:16を含む、または該配列のいずれかの断片または変種を含む単離されたポリペプチド
−該ポリペプチドをコードする配列を含む単離されたポリヌクレオチド
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞
を含む医薬組成物に関する。
【0243】
さらに、本発明は、本明細書中に記載された、本発明の抗体、好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチドに結合することができる抗体、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0244】
(本発明のポリペプチド)
本発明の断片
さらなる態様において、本発明は、配列番号:1ないし282のいずれか、好ましくは配列番号:16に記載されたポリペプチドの断片、好ましくは抗原性断片に関する。抗原性は当該分野で知られた種々の方法によって予測することができる。そのような断片の長さは、ポリペプチドの2連続アミノ酸残基から、全長ポリペプチドから1つのアミノ酸残基を除いたものまで変化し得る。好ましくは、断片は、70または50未満の連続アミノ酸のような、例えば、30未満の連続アミノ酸のような40未満の連続アミノ酸、例えば、20未満の連続アミノ酸のような25未満の連続アミノ酸のような、長さが100未満の連続アミノ酸である。かくして、例えば、断片は長さが2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20連続アミノ酸であり得る。さらなる好ましい具体例において、断片は、対応する全長配列の7以上のような6以上、例えば、9以上のような8以上、例えば、10以上の連続アミノ酸を含む。好ましい範囲は、長さが5および25の間の連続アミノ酸のような、例えば、長さが5および20の間の連続アミノ酸のような長さが5および50の間の連続アミノ酸の断片を含む。もう1つの方法で表して、断片は、全長ポリペプチドと比較して、長さが100%未満であるアミノ酸配列の一部よりなる。好ましくは、断片の長さが全長ポリペプチドの75%未満、例えば、25%未満のような50%未満、例えば、15%未満のような20%未満、例えば、10%未満のような99%未満である。さらなる好ましい具体例において、断片は、全長ポリペプチドの長さの100%未満であるが5%を超える、例えば、100%未満であるが10%を超える、100%未満であるが、20%を超えるような、例えば、100%未満であるが25%を超えるような、100%未満であるが50%を超えるような、全長ポリペプチドと比較して長さが100%未満であるが、1%を超えるアミノ酸配列の一部よりなる。
【0245】
好ましくは、本発明の断片は、そこで組換えにより発現された場合、無傷Streptococcus pneumoniae細胞または他の細胞において表面−露出されている。表面−露出は、例えば、Singh et al.(2003) Infect.Immun.71:3973−3946に記載されたような、該断片に対して特異的なモノクローナル抗体を用いて測定することができる。また、好ましいのは、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に特異的に結合することができる抗体を誘導することができる断片である。これは、例えば、Singh et al.(2003) Infect.Immun.71:3973−3946に記載されているように、該断片を用いるモノクローナル抗体の作製、および個々の抗体の無傷細胞への結合の引き続いての特徴付けによって測定することができる。配列番号:16の好ましい断片は配列番号:289ないし配列番号:294の配列の1以上を含む、またはそれよりなる断片を含み、より好ましい断片は配列番号:289および/または配列番号:290を含む、またはそれよりなる断片を含み、配列番号:291および/または配列番号:292を含むまたはそれよりなる断片、および配列番号:293および/または配列番号:294を含むまたはそれよりなる断片を含む。
【0246】
配列番号:1ないし282の全長ポリペプチド、ならびに本発明の断片は当該分野で知られた慣用的な技術によって組換えにより生産することができる。適当な宿主細胞は哺乳動物細胞、例えば、CHO、COSまたはHEK293細胞であり得る。別法として、昆虫細胞、細菌細胞または真菌細胞を用いることができる。前記リストの細胞型におけるポリヌクレオチド配列の不均一発現、および精製後に除去することができるヒスチジンタグのようなタグ配列を用いる生じたポリペプチドの引き続いての精製のための方法は当業者によく知られている。別法として、本発明の断片は合成により生産することができる。
【0247】
本発明の変種
さらなる主な態様において、本発明は、配列番号:1ないし282、好ましくは配列番号:16に記載されたポリペプチドのいずれかの変種、または配列番号:1ないし282、好ましくは配列番号:16に記載されたポリペプチドいずれかの変種または断片の、医薬として用いるための組成物における使用に関する。ここに用いる場合、「配列番号:Xに対して少なくとも95%配列同一性を有するポリペプチド」のようなフレーズは相互交換的に用いられ、「配列番号:Xのポリペプチドおよびその変種、ここに、該変種は該配列に対して少なくとも95%配列同一性を有する」のようなフレーズと同一の主題に向けられることを意図する。
【0248】
変種は、好ましくは、与えられたポリペプチドまたは断片に対して少なくとも75%配列同一性、例えば、少なくとも85%配列同一性のような少なくとも80%配列同一性、例えば、少なくとも92%配列同一性のような少なくとも91%配列同一性のような少なくとも90%配列同一性、例えば、少なくとも94%配列同一性のような少なくとも93%配列同一性、例えば、少なくとも96%配列同一性のような少なくとも95%配列同一性、例えば、少なくとも98%配列同一性のような少なくとも97%配列同一性、例えば、99%配列同一性を有する。配列同一性は、デフォルトギャップ重み付けを用い、Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0におけるアルゴリズムGAP、BESTFITまたはFASTAのいずれかで決定される。
【0249】
与えられたポリペプチドまたは断片の好ましい変種は、該変種および与えられた参照ポリペプチドまたは断片の間の全てのアミノ酸置換が保存的置換である変種である。保存的アミノ酸置換とは、同様な側鎖を有する残基の交換可能性を言う。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸のグループはグリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸のグループはセリンおよびスレオニンであり、アミド−含有側鎖を有するアミノ酸のグループがアスパラギンおよびグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸のグループはフェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸のグループはリシン、アルギニン、およびヒスチジンであり;および硫黄−含有側鎖を有するアミノ酸のグループはシステインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換グループは:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リシン−アルギニン、アラニン−バリン、およびアスパラギン−グルタミンである。
【0250】
ポリペプチドの、またはその断片の変種は、1以上のアミノ酸が欠失され、または挿入されたポリペプチドまたは断片の形態も含む。好ましくは、4未満のような5未満、例えば、2未満のような3未満、例えば、唯1つのアミノ酸が挿入され、または欠失されている。ポリペプチドの、またはその断片の「変種」は、アミノ酸配列の翻訳後修飾によって修飾されたこれらのポリペプチドまたは断片の形態も含む。
【0251】
(本発明の組み換え細胞)
さらなる主な態様において、本発明は、ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドで形質転換されたまたはトランスフェクトされた組換え細胞の使用に関し、該ポリペプチドは配列番号:1ないし282よりなる群から選択される。好ましくは配列番号:16の配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含む。好ましくは、該組換え細胞はEsherichia coliまたはSalmonella細胞、より好ましくは、減弱化されたまたは低下した−ビルレンスのEsherichiaまたはSalmonella細胞である。
【0252】
ここに用いるのに適した細菌株は、例えば、Makino et al.(2001) Microb.Pathog.31:1−8;Gentschev et al.(2002) Int.J.Med.Microbiol.291:577−582;Turner et al.(2001) Infect.Immun.69:4969−4979;WO99/49026;およびWO03/022307、およびその中の引用文献に記載されている。適当なSalmonella株の例はCvD908−T7pol(Santiago−Machuca et al.(2002)Plasmid 47:108−119)、ATCC 39183、ATCC 53647およびATCC 53648である。適当なE.coli株の例はYT106およびE1392/75−2Aである。
【0253】
(本発明の方法および使用)
前記定義の組成物および他の産物を用いて、それを必要とする動物またはヒトにおいて、Streptococcus pneumoniae感染、および/またはそのような感染に由来する病気を治療または予防することができる。
【0254】
ここに、治療および予防は、限定されるものではないが、ワクチン接種、予防、能動的免疫化、受動的免疫化、抗体の投与、治癒的処置、軽減処置を含めたStreptococcus pneumoniaeと戦うための全てのタイプの治療的処置および予防的処置および他の処置を含む。特に、本発明の抗体を用いる受動的免疫化は、免疫寛容個体のための適当な処置である。
【0255】
(本発明の診断方法)
表面に露出されていること、および細胞中に比較的高コピー数で存在することの組み合わせは、本発明者らによって同定されたポリペプチドを、Streptococcus pneumoniaeの検出用の標的としてかなり適切なものとし、この生物の高感度での検出を可能とする。
【0256】
従って、さらなる主な態様において、本発明は:
a.試料を、配列番号:1ないし282よりなる群から選択される、好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチドに特異的に結合することができるインジケーター部位と接触させ、次いで、
b.インジケーター部位によってシグナルが生じたか否かを判断し、それにより、該試料がStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を含有するか否かを検出する;
工程を含む、試料中のStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を検出する方法に関する。好ましくは、該インジケーター部位は無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合でき、好ましくは特異的に結合できる。
【0257】
前記診断方法の好ましい具体例において、接触工程および判断工程の間に洗浄工程を行って、検出の特異性を改良する。
【0258】
試料は、例えば、糞、尿、組織、組織抽出物、流体試料、あるいは血液、血漿、血清、痰、または鼻または肺から採取された試料のような体液試料とすることができる。試料のもう1つの例は肉試料のような食品試料である。
【0259】
もう1つの態様において、本発明は、試料をマススペクトロメトリーによって分析して、
配列番号:1ないし282、特に、配列番号:16および/または配列番号:20のポリペプチドの1以上の存在および/または量を評価する工程を含む。試料中のStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を検出する方法に関する。1つの具体例において、試料、例えば、血液試料を予備処理して、検出すべきポリペプチドを豊富化する。そのような予備処理は試料中に存在する蛋白質のサイズ−分画を含むことができる。
【0260】
前記方法は、例えば、個体においてStreptococcus pneumoniae感染を診断するのに用いることができる。前記方法の好ましい具体例において、該インジケーター部位が、Streptococcus pneumoniae細胞の膜を通って通過しない。該インジケーター部位の好ましいタイプは、本明細書中に定義された本発明の抗体のような抗体よりなり、またはそれを含む。
【0261】
当業者であれば、インジケーター部位を用いて、その量が試料中のリガンド、ここではStreptococcus pneumoniaeまたはその部分の量に関連する結合反応産物を形成することができる多数のよく知られた臨床的診断化学手法があることを理解するであろう。かくして、例示的アッセイ方法を本明細書中に記載するが、本発明はそれに制限されるものではない。
【0262】
また、本発明は、生物学的試料中のStreptococcus pneumoniaeの存在および、好ましくは量をアッセイするための好ましくはキットの形態の診断系に関する。診断キットの調製方法は、例えば、米国特許第5、470、958号およびその中の引用文献に開示されている。
【0263】
診断系は、少なくとも1つのアッセイを行うのに十分な量にて、好ましくは別々にパッケージされた試薬としての本発明によるインジケーター部位および、より好ましくは、使用のための指令書を含む。パッケージされたとは、本発明のインジケーター部位を固定された限界内に保持することができるガラス、プラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリカルボネート)、紙、ホイル等のような固体マトリックスまたは材料の使用を言う。かくして、例えば、パッケージは、考えられる標識されたインジケーター部位調製物のミリグラム量を含有するのに用いられるガラスバイアルであり、あるいはそれは、マイクログラム量の考えられるインジケーター部位を操作可能に固定した、すなわち、連結して、リガンドに結合できるようにされているマイクロタイタープレートであり得る。
【0264】
「使用用の指令書」は、典型的には、試薬濃度、または混合すべき試薬および試料の相対的量のような少なくとも1つのアッセイ方法パラメーター、試薬/試料の混合のための維持時間、温度、緩衝液条件等を記載する触知可能表現を含む。
【0265】
ほとんどの具体例において、本発明の診断方法および系はインジケーター部位の部分として、予め選択されたリガンド(配列番号:1ないし282の配列のいずれかおよび/またはその断片を含むポリペプチド)と複合体化されたインジケーター部位を含有する結合反応複合体の形成をシグナリングできる標識または表示手段を含む。そのような標識はそれ自体が臨床診断化学において良く知られている。
【0266】
標識手段は、有用な免疫蛍光トレーサーであるフルオロクローム(染料)を形成するようにそれらを変性することなく、化学的に抗体または抗原に結合する蛍光標識剤であり得る。適当な蛍光標識剤はフルオレセインイソシアネート(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、塩化5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニル(DANSC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リスサミン、ローダミン8200塩化スルホニル(RB 200 SC)のようなフルオロクロームである。適当な蛍光物質の他の例はウンベリフェロン、ジクロロトリアジミルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリン等を含む。免疫蛍光分析技術の記載は、DeLuca,”Immunofluorescence Analysis”,in Antibody As a Tool,Marchalonis, et al.,eds.,John Wiley & Sons,Lid.,pp.189−231(1982)に見出される。
【0267】
放射性元素は標識剤として有用であり得る。例示的な放射性標識剤は、ガンマ線発光を生じる放射性元素である。124l、125l、128l、132lおよび51Crのようなそれ自体がガンマ線を発する元素は、ガンマ線発光を生じる放射性元素を指示基の1つのクラスを表す。特に好ましいのは125lである。有用な標識手段のもう1つのグループは、それ自体が陽電子を発する11C、18F、15Oおよび13Nのような元素、またはHの111インジウムのようなベーターイミッターである。他の適当な放射性物質は131lおよび35Sを含む。
【0268】
抗体を用いる検出は、他の具体例において、抗体を、酵素、補欠分子族、ルミネセント物質またはバイオルミネセント物質のようなもう1つの検出可能な物質にカップリングさせることによって容易とすることができる。適当な酵素の例はホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼを含み;適当な補欠分子族複合体の例はストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み;ルミネセント物質の例はルミノールを含み;バイオルミネセント物質の例はルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびアクオリンを含む。
【0269】
好ましい具体例において、指示基はホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)またはグルコースオキシダーゼのような酵素である。主な指示基がHRPまたはグルコースオキシダーゼのような酵素である場合には、インジケーター−部位/リガンド複合体(免疫反応体)が形成されるという事実を可視化するのにさらなる試薬が必要とされる。HRPのためのそのようなさらなる試薬は過酸化水素、およびジアミノベンジジンのような酸化染料前駆体を含む。グルコースオキシダーゼで有用なさらなる試薬は2,2’−アミノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)である。
【0270】
標識、すなわち、抗体のようなポリペプチドの標識の連結は当該分野で良く知られている。例えば、蛋白質は、培養基における成分として供される放射性同位体−含有アミノ酸の代謝取込によって標識することができる。例えば、Galfre et al.,Meth.Enzymol.,73:3−46(1981)参照。活性化された官能基を介する蛋白質コンジュゲーションまたはカップリングの技術は特に適用可能である。例えば、Aurameas, et al.,Scand.J.Immunol.,Vol.8 Suppl.7:7−23(1978),Rodwell et al.(1984)Biotech.3:889−894および米国特許第4、493、795号参照。
【0271】
前記インジケーター部位を利用する種々の診断アッセイは、Streptococcus pneumoniaeについて試料テストするように設定することができる。例示的なアッセイはAntibodies:A Laboratory Manual、Harlow and Lane (eds.)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1988に詳細に記載されている。そのようなアッセイの代表的な例は:向流免疫−電気泳動(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈澱、酵素−結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウエスタンブロットアッセイ、ドットブロットアッセイ、阻害または競合アッセイ、およびサンドイッチアッセイ、イムノスティック(ディップスティック)アッセイ、同時イムノアッセイ、免疫クロマトグラフィーアッセイ、免疫濾過アッセイ、ラテックスビーズ凝集アッセイ、免疫蛍光アッセイ、バイオセンサーアッセイおよび低−光検出アッセイを含む(例えば、米国特許第4、376、110号および第4、486、530号参照)。適当なアッセイの例は、試料、例えば、血清試料が電気泳動によって分離され、注目するポリペプチド、例えば、配列番号:16が引き続いてウエスタンブロッティングによって検出されるアッセイである。
【0272】
1つの具体例において、本発明の診断キットを「ELISA」様式で用いて、流体試料中の予め選択されたリガンドの量を検出することができる。「ELISA」とは、固相に結合した抗体または抗原、および酵素−抗原または酵素−抗体コンジュゲートを使用して、試料中に存在する抗原の量を検出し、定量する酵素−結合免疫吸着検定法をいう、本発明の方法に容易に適用される。かくして、いくつかの具体例において本発明のインジケーター部位を固体マトリックスに付着させて、対象診断系におけるパッケージを含む固体支持体を形成することができる。試薬は、典型的には、水性媒体からの吸着によって固体マトリックスに固定されるが、抗体のようなポリペプチドへの適応可能な固定の他の態様を用いることができ、これは当業者によく知られている。有用な固体マトリックスはやはり当該分野でよく知られている。そのような物質は水に不溶性であり、Pharmacia Fine Chemicals(Piscataway,N.J.)からの商標SEPHADEX下で入手可能な架橋されたデキストラン;アガロース;North Chicago、IIIのAbbott Laboratoriesから入手可能な直径が約1ミクロンないし約5ミリメートルのポリスチレンビーズのビーズ;ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、架橋されたポリアクリルアミド、シート、ストリップまたはパドルのようなニトロセルロース−またはナイロン−系のウェッブ;ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルから作製されたもののようなマイクロタイタープレートのチューブ、プレートまたはウェルを含む。
【0273】
さらなる診断方法は、本発明の一つの具体例の抗体組成物の多価性を利用して、リガンドを架橋し、それにより、多数のリガンドおよびポリペプチドの凝集を形成し、沈殿可能な凝集体が表示させることができる。この具体例は、免疫沈澱のよく知られた方法と匹敵する。この具体例は、試料を本発明の抗体を含む組成物と混合して、結合条件下で結合混合物を形成する工程、続いての、形成された結合複合体を単離するための分離工程を含む。典型的には、単離は、混合物から凝集体を除去するための遠心または濾過によって達成される。結合複合体の存在は、検出すべき予め選択されたリガンドの存在を示す。
【0274】
(本発明のポリペプチドの結合パートナーおよび阻害剤)
本発明が関するポリペプチドの表面−局所化は、それらを、阻害剤のような結合パートナーのための標的としてかなり適したものとする。病原性微生物の表面に位置したポリペプチドは、しばしば、宿主生物と相互作用する。かくして、表面に位置したポリペプチドのいずれかのタイプの結合パートナーは宿主−病原体相互作用に干渉することができる。かくして、結合パートナーは、しばしば、微生物の病原性(ビルレンス)に拮抗する。結合パートナーはそれが結合するポリペプチドの阻害剤でもあり得る。
【0275】
かくして、さらなる主な態様において、本発明は、配列番号:1ないし282に記載された表面に位置したポリペプチドの結合パートナーの同定方法に関する。そのような方法は生化学的であるか、または細胞−ベースであってよい。
【0276】
生化学方法
主な態様において、本発明は;
a.配列番号:1ないし282よりなる群から選択され、好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択される、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチド、あるいはその断片を供し、
b.該ポリペプチドまたは断片を推定結合パートナーと接触させ、次いで、
c.該推定結合パートナーが該ポリペプチドまたは断片に結合できるか否かを判断する;
工程を含む。配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、またはその断片の結合パートナーを同定する方法に関する。好ましい具体例において、該推定結合パートナーは宿主−由来分子である。
【0277】
該方法のさらなる好ましい具体例において、該ポリペプチドまたはその断片は、例えば、カランまたはマイクロタイタープレートのような固体支持体に固定して供され、接触工程の後に、推定結合パートナーが固体支持体に結合したか否かを判断する。ポリペプチドまたはその断片の固定化は固体支持体への直接的結合を介する。あるいは例えば特異的抗体を用いて間接的結合を介するものであってよい。好ましい具体例において、接触工程および判断工程の間に洗浄工程を行って、検出の特異性を改良する。さらなる好ましい具体例において、推定結合パートナーを検出可能な標識と複合体化する。推定パートナーは、接触が起こる前に標識してもよい。別法として、標識は接触工程後に行うこともできる。さらに、この方法のいくつかの具体例においては、ポリペプチドまたはその断片が結合パートナーに結合してしまった後、固定化を行ってもよい。好ましい具体例においては、該方法は、該方法が複数の推定結合パートナーについて反復されるスクリーニング方法である。結合を測定するのに適した方法は当該分野で良く知られており、それらのうちいずれかを本明細書中において、他の箇所で言及した。
【0278】
もう一つの態様において、配列番号:1ないし282のグループから選択される、好ましくは配列番号:16のポリペプチドの宿主−由来結合パートナーは以下のように同定することができる:精製された宿主膜を電気泳動により分離し、膜にブロットし、注目するポリペプチドまたはその断片と共にインキュベートする。次いで、注目するポリペプチドにまたはその断片に特異的な抗体を用い、結合を検出することができる。ポリペプチドまたはその断片が結合した宿主結合パートナーを、引き続いて、マススペクトロメトリーによるブロットおよび引き続いての分析からの溶出によって、または当該分野で公知のいずれかの他の技術によって同定することができる。
【0279】
病原性生物の表面に位置したポリペプチドの結合パートナーがもし宿主−由来分子であるならば、表面に位置したポリペプチドおよび宿主の間のそのような相互作用は細菌のビルレンスで重要である。表面に位置したポリペプチドおよび宿主−由来結合パートナーの相互作用に干渉する化合物は、かくして、Streptococcus pneumoniae感染の予防または治療に適しているであろう。従って、本発明のもう1つの方法は:
a.配列番号:1ないし282の好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチドのいずれか、最も好ましくは配列番号:16のいずれか、またはその断片を供し、
b.(前記したように、またはいずれかの他の方法によって同定された)該ポリペプチドの宿主−由来結合パートナーを供し、
c.該相互作用の推定阻害剤の不存在下において、該ポリペプチドを該宿主−由来結合パートナーと接触させ、
d.該推定阻害剤の存在下において、該ポリペプチドを該宿主−由来結合パートナーと接触させ、次いで、
e.工程dから得られる該宿主−由来結合パートナーに対する該ポリペプチドの結合の強さが、工程cから得られるものと比較して低下したか否かを判断する;
工程を含む、配列番号:1ないし282の表面に位置したStreptococcus Pneumoniaeポリペプチドのいずれかと宿主−由来結合パートナーとの相互作用の阻害剤を同定する方法に関する。
【0280】
いくつかの具体例において、工程cおよびdは2つの異なる試料区画において行うことができる。他の具体例において、工程dは、工程cの混合物に推定阻害剤を加えることによって行うことができる。好ましい具体例において、該方法は複数の推定阻害剤について反復される。
【0281】
特に興味深いのは、表面に位置するポリペプチドの活性を阻害する結合パートナーである。そのような活性は酵素活性、輸送活性、または他の生化学的もしくは細胞活性のいずれかのタイプ、好ましくは酵素活性であろう。
【0282】
好ましい宿主−由来結合パートナーは宿主ポリペプチドおよび宿主脂質である。結合は、例えば、SzymanskiおよびArmstrong(1996)Infect.Immun.64:3467−3474によって記載されているように行うことができる。前記した生化学的方法の好ましい具体例において、結合パートナーおよび表面に位置するポリペプチドまたはその断片の間の結合が、10−6M未満、例えば、5×10−7M未満のような、10−7M未満、例えば、5×10−8M未満のような、10−8M未満、例えば、5×10−9M未満のような10−9M未満、例えば、5×10−10M未満のような、10−10M未満、例えば、5×10−11M未満のような、10−11M未満、例えば、5×10−12M未満のような、10−12M未満のような、5×10−6M未満の解離定数またはKdを有する。解離定数は、例えば、表面プラズモン共鳴分析によって測定することができる。
【0283】
細胞−ベースの方法
それについての構造遺伝子の欠失または破壊による、あるいは遺伝子発現をダウンレギュレートすることによる(後記参照)表面に位置したポリペプチドのレベルの低下は、細菌細胞に影響し得る。該細胞は細胞傷害性化合物に対してより感受性となり得る。特に、表面に位置したポリペプチドについては、それらのレベルの低下は、細胞に化合物が入るのを妨げるにおいて、膜または細胞壁のような細胞の外部部分の機能に影響し得る。かくして、表面に位置したポリペプチドのレベルの低下は、細胞を、種々の化合物に対してより「浸透性」とすることができる。
【0284】
かくして、本発明の態様は:
a.好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択される、最も好ましくは配列番号:16の、配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかの低下したレベルを有する感作細胞を供し、次いで、
b.例えば、増殖アッセイによって、推定抗菌化合物に対する該細胞の感受性を測定する;
工程を含む、Streptococcus Pneumoniaeに対する抗菌活性を持つ化合物を同定する方法に関する。
【0285】
好ましくは、該方法は、該手法が複数の推定抗菌化合物について反復されるスクリーニング方法である。好ましい推定抗菌化合物は、野生型Streptococcus Pneumoniae細胞の膜を通過しないものである。
【0286】
このアプローチの背後にある理念は、より低いレベルの表面に位置したポリペプチドを持つ細胞が、細胞傷害性化合物に対して増大した感度を呈し、アッセイについて野生型細胞を用いた場合に失われる低能力を持つ抗菌化合物の同定を可能とするということである。この方法によって同定された化合物は、しばしば、能力を改良するために修飾する必要があろう。これは、化学的修飾によってなすことができる。
【0287】
表面に位置したポリペプチドの活性の阻害は、細菌の生存率(すなわち、生存、成長および/または増殖)に影響し得る。特に興味深いのは、Streptococcus Pneumoniaeの生存率に必須である表面に位置したポリペプチドの阻害である。Streptococcus pneumoniae遺伝子の必須性をテストするための方法は先行技術において、例えば、Chan et al.(2002)J.Bacteriol 185:2051−2058およびThanassi et al.(2002) Nucleic Acid Res.30:3152−31−62に記載されている。必須の表面に位置するポリペプチドの阻害剤は、細菌細胞に入って、その生存率に影響し得る必要はないであろう。かくして、一般的に、抗菌剤として効果的であるために、細胞内標的の阻害剤よりは必須の表面に位置する標的ポリペプチドの阻害剤の構造に対してより少ない要件が課される。
【0288】
従って、本発明は:
a.好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択され、最も好ましくは配列番号:16の、配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかのレベルが異なる2つの細胞を供し、
b.例えば、増殖アッセイによって、推定阻害剤に対する該細胞の感度を測定し、次いで、
c.該2つの細胞が、該推定阻害剤の存在によって異なって影響されるか否かを判断する;
工程を含む、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドの阻害剤を同定する方法に関する。
【0289】
好ましくは、該方法は複数の推定阻害剤について反復される。好ましい阻害剤は、Streptococcus pneumoniae細胞の膜を通過しないものである。
【0290】
このアプローチの背後にある理念は、より低い活性の必須ポリペプチドを持つ細胞の生存率は、より高いレベルを持つ細胞の生存率よりもポリペプチドの阻害剤によってより影響されるであろうということである。もし2つの細胞が異なって影響されれば、これは、該阻害剤が標的に対して、あるいは少なくとも同一生化学的経路において作用することを示す。
【0291】
該方法のいくつかの具体例において、注目するポリペプチドの異なる活性を持つ2つの細胞は野生型細胞(または注目する遺伝子の野生型活性を持つ他の細胞)および注目するポリペプチドの低下した活性を持つ感作細胞である。いくつかの具体例において、感作細胞における異なるまたは低下したレベルは、注目する遺伝子の異なるまたは低下した発現レベルであり得(その結果、ポリペプチドの異なったまたは低下したコピー数がもたらされる)。これは、遺伝子を調節可能なプロモーターの制御下に置くことによって、あるいは必須ポリペプチドをコードするmRNAの翻訳を阻害するアンチセンスRNAの調節可能な発現によって達成することができる。他の具体例において、異なるまたは低下した活性は、例えば、温度−感受性突然変異のような突然変異による、注目するポリペプチドの異なるまたは低下した活性であり得る。
【0292】
感受性化細菌細胞を作製する、および阻害剤についてスクリーニングするにおいてこれらを用いる適当な方法はWO 02/077183に記載されている。感作細胞は、ある濃度のインデューサーまたはリプレッサーの存在下において、あるいはその機能の存在または不存在が生存率に対する律速工程となるように、細菌生存率に必要な遺伝子産物のレベルを供する他の条件において、条件−発現Streptococcus pneumoniae突然変異体株を増殖させることによって得ることができる。標的遺伝子の致死下発現は、増殖阻害が少なくとも約25%、例えば、少なくとも約50%のような、少なくとも約75%、例えば、少なくとも90%のような、少なくとも95%のような、少なくとも約10%であるようなものとすることができる。
【0293】
本発明の細胞−ベースのアッセイのもう1つの具体例において、感作細胞は、ポリペプチドにおいて、温度−感受性突然変異のような突然変異を用いる細菌生存率に必要なポリペプチドのレベル活性の低下によって得られる。許容されるおよび制限的温度の間の中間的温度におけるそのような細胞の成長は、遺伝子産物の低下した活性を持つ細胞を生じる。前記方法は、細菌生存率に必要な遺伝子産物の活性またはレベルを低下するが、それを無くさないいずれかの突然変異で行うことができると認識されるであろう。このアプローチは、条件−発現アプローチと組み合わせることもできる。この組み合わされたアプトーチにおいて、注目する遺伝子において温度−感受性突然変異があり、かつこの遺伝子がやはり条件付で発現される細胞が作製される。
【0294】
必須のポリペプチドの阻害剤についてスクリーニングすると、成長阻害は、対照試料のそれと、実験試料における、非接種増殖培地に対する培養の光学密度によって測定された、成長の量を直接的に比較することによって測定することができる。細胞増殖をアッセイするための別の方法は、緑色蛍光蛋白質(GFP)レポーター構築体の発光の測定、種々の酵素活性アッセイ、および当該分野で良く知られた他の方法を含む。生存率を測定するのに用いる他のパラメーターは、例えば、コロニー形成単位を含む。前記方法は固相、液相、2つの先行培地の組合せにて、あるいはイン・ビボで行うことができる。複数の化合物を寒天プレートに移し、自動化されたおよび半自動機器を用いて同時にテストすることができる。
【0295】
本発明の細胞−ベースのアッセイは、注目する標的分子に対して低いまたは中程度の能力を呈する化合物を検出することができる。なぜならば、そのような化合物は非−感作細胞に対するよりも感作細胞に対して実質的に優れているからである。該効果は、非−感作細胞と比較して、感作細胞でテストした場合、テスト化合物が2ないし数倍より優れている、例えば、少なくとも20倍より優れているように少なくともより10倍優れている、例えば、少なくとも100倍より優れているように少なくとも50倍、より優れている、例えば、少なくとも1000倍より優れている、あるいは1000倍を超えてより優れているであるようなものであろう。
【0296】
表面に位置するポリペプチドを過剰発現する突然変異体Streptococcus Pneumoniae株を用いて、そのようなポリペプチドを阻害する化合物を同定することもできる。もし該化合物が細胞傷害性であれば、標的ポリペプチドの過剰発現は細胞をより抵抗性とすることができる。かくして、本発明は:
a.好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択される、最も好ましくは配列番号:16の、配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus Pneumoniaeポリペプチドのいずれかの活性が異なる2つの細胞を供し、ここに、1つの細胞は該ポリペプチドの実質的に野生型コピー数を含有し、他の細胞は該ポリペプチドの野生型よりも高いコピー数を含有し、
b.例えば、増殖アッセイによって推定阻害剤に対する該細胞の感度を測定し、次いで、
c.該2つの細胞が該推定阻害剤の存在によって異なって影響されるか否かを判断する;
工程を含む、配列番号:1ないし282の表面に位置するStreptococcus Pneumoniaeポリペプチドのいずれかの阻害剤を見つけ出す方法にも関する。
【0297】
過剰発現は、強力なプロモーターを用いて、あるいは表面に位置するポリペプチドに対する構造遺伝子の複数コピーを導入することによって達成することができる。阻害剤の細胞標的ではないポリペプチドの過剰発現もまた細胞を阻害剤に対して抵抗性とできるので、推定阻害剤による注目する標的ポリペプチドの阻害は、例えば、生化学アッセイのような他の手段によって確認される必要があろう。
【0298】
表面に位置するポリペプチドの生化学的または他の細胞活性の阻害剤に加えて、前記した細胞方法を用いて、標的の発現レベルを低下させ、それにより、例えば、遺伝子調節に干渉することによって、そのコピー数を低下させる化合物を同定することができる。
【0299】
結合パートナーまたは阻害剤を見出すための細胞−ベースの−または生化学的方法のいずれかの好ましい具体例において、該方法は複数の候補化合物について反復される。
【0300】
さらなる態様において、本発明は、表面に位置するポリペプチドをコードする遺伝子が異種調節可能プロモーターの制御下に置かれている株、表面に位置するポリペプチドの温度−感受性対立遺伝子を運ぶ株、および表面に位置するポリペプチドを過剰発現する株のような、本明細書中に記載された細胞−ベースの方法で用いられる突然変異体Streptococcus Pneumoniae株に関する。
【0301】
配列番号:1ないし282のポリペプチドのいずれかのような表面に位置するポリペプチドを標的化することによって細菌の成長に干渉する他の方法は、アンチセンスRNAおよびDNAのような特異的アンチセンス分子を用いる、および必須の表面に位置するポリペプチドをコードするmRNAに対して特異的なリボザイム分子を用いる遺伝子発現の抑制を含む。
【実施例】
【0302】
(実施例1)
(戦略:)
プロジェクトにおける実験工程は以下の通りである:表面蛋白質を、高pH溶出によって、またはムタノリシン消化によって単離した。単離された表面蛋白質を、3つの補充的マススペクトロメトリーベースの戦略:1)2−D SDS PAGE、2)1D SDS PAGEおよび3)溶液中消化によって同定した。全ての3つの戦略は、マススペクトロメトリー分析による蛋白質同定を含む。表面の同定された蛋白質はE.coli発現ベクターにクローン化する。発現された組換え蛋白質を精製し、それを用いて、マウスを免疫化して、抗原の免疫原性を確認する。免疫化されたマウスを挑戦実験で用い、そこでは、マウスをStreptococcus pneumoniaeで挑戦し、病気および/または死亡に対する保護をモニターする。
【0303】
(マウス:)
6週齢BALB/cマウスを特異的−病原体−フリー条件下で収容し、滅菌食品および水を自由に与えた。
【0304】
(細菌:)
Esherichia coli Top10(Invitrogen)をルーチン的プラスミドクローニング用の宿主として用いた。組換え蛋白質をE.coli BL21/(DE3)(Invitrogen)において発現させた。E.coliを抗生物質を補充したLuriaブロス中で培養した。ビルレントS.pneumoniae株D39(血清型2、M.Trombe博士、CICT,Toulouse、Franceによって購入)をプロテオミックス、挑戦実験のために、およびPCR増幅実験用のゲノムDNAを源として用いた。肺炎球菌感染の大部分を担う40の血清型を含めたS.pneumoniaeの臨床単離体を選択し、WHO Collaborating Center for Reference and Research on Pneumococci in Copenhagen,Denmarkから購入した。S.pneumoniaeを血液寒天プレート(Difco)上でルーチン的に増殖させた。
【0305】
(S.pneumoniae細胞被膜画分の単離:)
肺炎球菌細胞壁のムタノリシン消化。細菌を血液寒天プレート上で一晩成長させ、20%スクロースを含有するリン酸−緩衝化生理食塩水(PBS)に収穫し、6000gにおける10分間の遠心によってペレット化した。ペレットを、プレート当たり0.5mlの浸透圧消化緩衝液(20mMトリス−HCI、pH7.0、10mM MgCl、プロテアーゼ阻害剤カクテルおよび100U/mlムタノリシン(Sigma)中20%スクロース)に再懸濁させた。酵素消化を37℃にて1ないし2時間進行させた。無傷プロトプラストを、7,000×gにおける15分間の遠心によって除去した。上清を集め、アセトン沈殿させ、マススペクトロメトリーベースの技術を用いて分析した。
【0306】
表面蛋白質の高pH溶出。細菌を血液寒天プレート上で一晩増殖させ、20%スクロースを含有するPBSに収穫し、6000gにおける10分間の遠心によってペレット化する。ペレットを、20%スクロースを含有するPBSに再懸濁させ、前記したように再度遠心した。次いで、プレート当たり20%スクロースを含有する2mlの50mM グリシン−NaOH(pH12)に細菌を再懸濁させた。細胞表面蛋白質のアルカリ抽出を行って、温和に振とうしつつ、室温にて30分間進行させた。懸濁液を15,000gにおいて20分間遠心し、上清を集め、1M HClでpH7に調整し、アセトン沈殿させ、1−Dおよび2−Dゲル電気泳動によって分析した。
【0307】
(表面蛋白質の同定:)
表面抽出後に得られた蛋白質の複雑な混合物を、全て、マススペクトロメトリーに基づく3つの補充的な戦略:2−Dゲルベースの戦略、1Dゲルベースの戦略および溶液中消化戦略によって分析した。
【0308】
2−Dゲルベースの戦略(2D−ゲル MALDI−TOF/TOF):二次元ゲル電気泳動を、ゲル系に備えられたマニュアルに従い、Ettan Dalt2系(Amersham Biosciences)またはNovex NuPage系(Invitrogen)いずれかで行った。簡単に述べれば:製造業者の指示に従い、Ettan IPGphor等電点電気泳動系(Amersham Biosciences)を用い、第一次元泳動を7cmまたは24cmプレキャストIPGストリップ(pH範囲3ないし10または4ないし7)いずれかで行った。等電点電気泳動は以下の条件で行った:7cmストリップ:8000Vh、24cmストリップ:52000Vh。第二の次元は、プレキャスト12.5%ゲル(Amersham Biosciences)を用い、ゲル当たり5Wにて15分、次いで、合計170Wにて4ないし6時間、24cmストリップについて行った。7cmストリップは、200ボルトにおける40分間のプレキャスト4ないし12%ゲル(Invitrogen)を用いNovex NuPage系(Invitrogen)で電気泳動させた。元来、Mortz et al.(2001)Proteomics 1(11)、1359−1363によって記載された修飾された方法に従ってゲルを銀染色し、マススペクトロメトリー分析用のスポットを、製造業者の指示に従い、AmershamからのEttan Spot Pickerを用いて拾った。
【0309】
特異的な蛋白質スポットを拾い、Milli−Q水に入れた。これらのゲルプラグを50mM NHHCO/50%エタノール中で洗浄し、96%エタノール中のインキュベーションによって脱水した。56℃において還元溶液(10mM DTT、50mM NHHCO)中でインキュベートし、続いて、暗所にてアルキル化溶液(55mMヨードアセタミド、50mM NHHCO)中での室温でのインキュベーションによって、還元およびアルキル化を行った。次いで、5ulのトリプシン溶液(50mM NHHCO、10%アセトニトリル中12.5ng/ul Promegaトリプシン)の添加に先立って、2サイクルの洗浄および脱水を次いで行った。次いで、さらなる量の重炭酸ナトリウム溶液を加え、消化物を37℃にて一晩インキュベートした。トリフルオロ酢酸を一晩消化物に加え、続いて、振とうしつつインキュベートした。
【0310】
抽出物の一部をMALDI−TOFペプチド質量フィンガープリントおよびMALDI−TOF/TOF分析(Ultraflex,Bruker Daltonics,Germany)で用い、ピーク−リストを、特異的なS.pneumoniaeデーターベースに対するデーターベースサーチングで用いた。Mascotサーチプログラムおよびスコアリングアルゴニズム(Matrix Science,UK)をデーターベースサーチングで用いた。ペプチド質量トレランスは、各々、60ppmおよび0.7Daに設定した。サーチパラメーターは、Metの酸化、Cysへのカルバミドメチル基の付加を含めるように調整し、トリプシンは、ペプチド当たり1つの切断部位を失わせた。
【0311】
1Dゲルベースの戦略(GeL C−MS/MS):一次元ゲル電気泳動は、ゲル系に備えられたマニュアルに従い、Novex NuPageシステム(Invitrogen)で行った。簡単に述べれば、我々は、NuPage−MOPS−SDS泳動緩衝液中にて、200ボルトにおける60分間の、サイズ8cm×8cm、1mm厚みのプレキャスト12%ビス−トリスゲル(Invitrogen)を用いた。元来、Mortz et al.(2001)Proteomics1(11)、1359−1363によって記載された修飾された方法に従い、ゲルを銀染色した。全レーンをレーザーブレードで0.5cmゲルスライスに切断した。ゲルスライスを2Dゲルベースの戦略下で記載したように消化したが、トリプシンの量は20ulトリプシン溶液(50mM NHHCO、10%アセトニトリル中12.5ng/ul Promegaトリプシン)であった。
【0312】
抽出物をLC−MS/MS(Waters Cap−LCおよびMicromass Ultima TOF MS)で分析した。各抽出物を115分のLC−MS/MS分析に付した。断片化ペプチドから生じたピークリストを、特異的Streptococcus pneumoniaeデーターベースに対するデーターベースサーチングで用いた。Mascotサーチプログラムおよびスコアリングアルゴリズム(Matrix Science,UK)をデーターベースサーチングで用いた。ペプチド質量トレランスは断片イオンについて200ppmおよび0.4Daに設定した。サーチパラメーターは、Metの酸化、Cysへのカルバミドメチル基の付加を含むように調整し、トリプシンはペプチド当たり1つの切断部位を失わせた。
【0313】
溶液中ベースの戦略(ISD−MS/MS):蛋白質混合物を50mM NHHCO10%アセトニトリルに再懸濁させた。トリプシン溶液(50μl)(50mM NHHCO、10%アセトニトリル中12.5ng/μl Promegaトリプシン)を加え、混合物を37℃にて一晩インキュベートした。消化を、TFA(最終濃度1%)での酸性化によって停止し、1D−ベースの戦略下で記載されたようにLC−MS/MSによって分析した。データーベースサーチもまた、1D−ベースの戦略下で記載されたように行った。
【0314】
(異なるS.Pneumoniae株における蛋白質ワクチン候補についての遺伝子の検出:)
PCR増幅を用いて、S.pneumoniaeの臨床単離体にリストされた抗原をコードする遺伝子の存在を示した。この目的で、細胞を血液寒天上で増殖させ、PBSに希釈した。ゲノムDNAを40肺炎球菌株から加熱(5分間95℃)によって調製し、アリコットを、遺伝子特異的プライマーと共にTaqポリメラーゼ(Qiagen)でのPCR増幅のための鋳型として用いた。増幅産物を1%アガロースゲルを通して電気泳動に付し、臭化エチジウム(0.5μg/ml)での染色によって可視化した。
【0315】
(逆転写ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR):)
BALB/Cマウスを肺炎球菌攻撃下で後に述べるようにS.pneumoniae D39で感染させた。感染から1日後に、このマウスを犠牲にし、脾臓を抽出し、2つのピースに分けた。組織からの無傷全細菌RNAの単離では、器官の1つの半分を液体窒素中で迅速に凍結させ、RNA単離前に−80%で貯蔵した。各器官の他の半分を、RNA単離前に血液寒天プレートを用いて細菌についてテストした(データは示さず)。Rneasy Kit(Qiagen,Hilden)にて、S.pneumoniaeを含有する動物組織から全RNAを単離した。第一のストランドcDNA合成を、全RNAおよびiScript Kit(Biorad)で行った。1μlcDNAを、遺伝子特異的プライマーでの引き続いてのPCR−工程で用いた。
【0316】
(組換えワクチン(rec.vac.)の生産:)
組換えワクチンの生産は、肺炎球菌の遺伝子のPCR増幅、E.coliにおける遺伝子の引き続いてのクローニングおよび発現を用いることによって達成した。PCR増幅実験で用いてオリゴヌクレオチドプライマーは、全て、MWG,Germanyから購入した。蛋白質発現で用いた肺炎球菌遺伝子は、高忠実度熱安定性DNAポリメラーゼ、Platinum Pfx(Life Technologies)を用いることによって、S.pneumoniae株D39のゲノムDNAから増幅した。コーディング配列を、開始コドンを含有するが、オープンリーディングフレームの停止コドンを排除するプライマーで増幅した。蛋白質発現で用いたコーディング配列を、細菌宿主としてのE.coli Top10と共に、指向性Topoクローニングキットを用いてプラスミドpET101(invitrogen)にクローン化した。プラスミドがコードするC−末端ポリヒスチジンタグは各組換え蛋白質に近接する。組換え蛋白質発現では、各組換えpET101プラスミドをE.coli株BL21(DE3)にサブクローンした。組換え蛋白質発現は、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)での誘導によって開始し、蛋白質は、製造業者の指示に従って、金属アフィニティクロマトグラフィー樹脂および緩衝液(Invitrogen)を用いることによって、組換えE.coli溶解物の可溶性画分から精製した。蛋白質濃度は、BCAテスト(Hercules,Calif.)を用いることによって見積もった。組換え蛋白質をPBS(Millipore)に対して透析し、−80℃で貯蔵した。組換え蛋白質を、精製後に、MALDI MS技術で同定した。
【0317】
(ウエスタンブロット分析:)
精製された蛋白質を一次元(約20μg蛋白質)SDS−PAGEで分離し、PVDF膜に移した。固定化された蛋白質の免疫学的検出は製造業者の指示(Invitrogen)後に行った。患者の血清は親切にもM.Trombe博士(CICT,Toulouse,France)から贈られた。我々は、免疫検出用の単一のプールされた患者血清での1:100の希釈を用いた。二次抗体の希釈は1:5000であった。
【0318】
(能動的に免疫化されたマウスの肺炎球菌挑戦:)
BALB/Cマウスを挑戦実験で用いた(群当たり10匹のマウス)。抗原特異的ワクチン接種では、0日に、ALUMアジュバント(100μg)を含有する各抗原の25μgで感作した。動物に14日および28日に同一抗原濃度でブースター注射した。我々は、陰性対照としての無関係なセルロース−結合ドメインCBD(sigma)で処理していないBALB/cマウスおよび処理したマウスを用いた。全てのワクチンは皮下(S.C.)投与した。全てのマウスから0、21および36日に血液を採取し、S.pneumoniae D39で35日に挑戦した。各免疫化マウスからの個々の血清を、挑戦に先立って特異的抗体の存在についてテストした。血液寒天プレートで増殖させたビルレントなS.pneumoniae(D39)を、能動的に免疫化されたマウスまたは対照群において、腹腔内(i.p.)経路を介して挑戦用に調製した。挑戦感染では、マウスに、PBSに懸濁化させたビルレントなS.pneumoniae株D39のマウス当たりほぼ10CFUを腹腔内注射した。投与されたCFUの現実の数は、接種物の系列希釈を血液寒天上で平板培養することによって遡及的に測定した。マウスの生存は7日間モニターしその時点で、実験を停止した。
【0319】
(免疫グロブリンG(IgG)マウスの検出のためのELISA:)
ワクチン接種から0日、21日および35日後にマウス血清中の抗原特異的IgGを検出するために、Elisaアッセイを開発した。異なるELISAプレートを組換えワクチン(2μg)およびS.pneumoniaeD39の全細胞溶解物(2μg)で被覆した。2倍系列希釈を一次抗体としてマウス血清から作製した。二次抗体(ヤギ抗マウスIgG、ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲーテッド)の希釈は1:5000であった。OPD基質は発色で用いた。プレートを492nmで読んだ。ワクチン接種から21日および35日後におけるIgG状態の結果を、ワクチン接種の0日におけるIgG状態と比較した。
【0320】
(結果:)
我々は、S.pneumoniaeのムタノリシン作製細胞−表面画分において282の異なるポリペプチドを同定した。同定されたポリペプチドの配列を図2に掲げる。使用された方法は、比較的高レベルで発現されるポリペプチドを同定する。我々は、単離されたS.pneumoniae表面蛋白質の検出のために3つの異なる戦略:a)2−Dゲルベースの戦略、b)1−DゲルおよびLC_MS/MSでの戦略、c)溶液中ベースのMS戦略を用いた。我々は、特徴付けのために同定された表面蛋白質のORFを選択した。遺伝子のORFをPCRで増幅し、pET101に指向的にクローン化した。組換え蛋白質を材料および方法に記載したように、E.coliにおいて発現させた。4つの組換え蛋白質をさらなる実験のために選択した。(表3):
【0321】
【表3】

PCR調査は、これらの4つの選択された蛋白質の各々の遺伝子がS.pneumoniaeの40の異なる血清型において示されることを示した(表4)。
【0322】
(表4:異なるS.pneumoniae血清型および以下の遺伝子についての特異的プライマーでのPCR(+=検出;−=検出されず))
【0323】
【表4】

これらの4つの遺伝子の転写体の同定では、我々はRT−PCR分析を行った。
BALB/CマウスをS.pneumoniaeで感染させ、感染から1日後に、全RNAを脾臓から単離した。脾臓からのRNAでのRT−PCRは、選択された遺伝子が動物感染後にS.pneumoniaeにおいて発現されることを示した(図3)。加えて、患者血清でのウエスタンブロット(WB)を、表3にリストされた蛋白質の免疫原性をテストするために行った。さらに、3つのさらなる蛋白質(144、AnrP454144(14kDa rec.vac.);487、AnrP98487(32kDa);646;AnrP373646(25kDa))もまた、ウエスタンブロットでの免疫原性についてテストした。我々は、単一患者から単離された(図4)または異なる患者からプールされた(データは示さず)血清でのイムノブロット(WB)において組換えワクチン029、060、607、646および653を検出した。WBにおいては、非特異的シグナルが精製された蛋白質144および487で検出されるか、またはシグナルは検出されず、しかしながら、シグナルの欠如は、これらの2つの蛋白質がワクチンとして適当であり得ることを排除しない。
【0324】
我々は、マウスを蛋白質ワクチンとしての表3における蛋白質でワクチン接種し、S.pneumoniaeに対する保護効率についてテストした。抗原はミョウバンで調製し、3つの時点(0、14、28日)において、BALB/Cマウスに皮下注射した。陰性対照では、マウスを処理しないままでおくか(グループ5)、あるいは100μgミョウバン(グループ6)で、または無関係な蛋白質(グループ7)で処理した。我々はELISAアッセイにて、ワクチン接種から0日、21日および35日に各蛋白質の免疫原性をテストした。マウスは抗原029、060、607および653に対する免疫グロブリン(IgG)を生じた(図5)。肺炎球菌抗原に対する免疫応答は、グループ5、6および7の動物においては予測したように検出されなかった。細菌挑戦では、各マウスを、ワクチン接種から35日において、S.pneumoniaeD39(マウス当たり10CFU)で感染させた。蛋白質029および607でワクチン接種した2つのグループから誘導されたマウスは、S.pneumoniae株での感染後により低い死亡率およびより低いCFU−力価を示した(図6、図7)。蛋白質060および653もまたより低いCFU−力価に対する傾向を示した(図6)。
【0325】
Streptcoccus pneumoniaeの異なる株の間における配列の変異を調べるために、抗原029および607の配列は、血清型15b、15cおよび35fから、およびStrepcoccus pneumoniae株D39から部分的に決定した。これらの配列をタイプ4(TIGR)およびR6(Sanger Center)からの029および607のデーターベース配列と比較した。アミノ酸位置1からアミノ酸位置315への029の領域は、6つの株の間においてアミノ酸レベルで98%を超える配列同一性を示した。607では、6つの株の間でアミノ酸レベル98%を超える配列同一性が、位置20ないし位置190までの領域で見出された。これらのデータは、029および607が異なる株を横切ってよく保存されていることを示す。
【0326】
抗原029(配列番号:16)(推定リポエート蛋白質リガーゼ)の構造は決定されており、PDB(Protein Data Bank)およびEBIのHSSPデーターベース、European Bioinformatics Instituteにおいてアクセション番号1VQZ下でアクセス可能である。表面−露出領域は高水接近性(ACC)でのアミノ酸の同定によって予測され、これは、同時に、配列において低い変異性(VAR)を有するはずである(以下の表参照)。いくつかのアミノ酸によって隔てられた異なる領域のアミノ酸ストレッチは3D構造においては隣接しており、従って、一緒に対合する。
【0327】
表面に露出されたアミノ酸:
155−160+185−191[DLSVLA(配列番号:289)/IINELPK(配列番号:290)]
127−128+166−180[IDG/SKDKFESKGVKSVRA(配列番号:291)]
195−204+207−211[VEKFRDLLLE(配列番号:292)/KKEYP(配列番号:293)]
【0328】
【表5】

【0329】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0330】
【図1】本発明の好ましい組成物の表。行および列中の数字は配列番号を示す。各十字形とは、十字形が属する行のポリペプチド(抗原性断片またはその変種)ならびに十字形が属する列のポリペプチド(または抗原性断片またはその変種)を含む組成物をいう。
【図2−1】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−2】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−3】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−4】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−5】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−6】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−7】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−8】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−9】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−10】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−11】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−12】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−13】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−14】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−15】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−16】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−17】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−18】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−19】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−20】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−21】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−22】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−23】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−24】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−25】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−26】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−27】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−28】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−29】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−30】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−31】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−32】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−33】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−34】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−35】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−36】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−37】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−38】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−39】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−40】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図2−41】表面に位置したStreptococcus pneumoniaeポリペプチドのアミノ酸配列のリスト。
【図3】感染の1日におけるS.pneumoniae D39に感染したマウスからの脾臓に由来するcDNAでのRT−PCR。抗原029(配列番号:16)、060(配列番号:26)、607(配列番号:20)および653(配列番号:33)についての転写体に特異的なプライマーを用いた。さらに、肺炎球菌RNA−ポリメラーゼ(ハウスキーピング遺伝子)のSigma70サブユニットの転写体に特異的なプライマーを用いた。−RT:逆転写酵素無しの対照;+RT:RT−PCR;N:非−鋳型対照。
【図4】rec.vac.(抗原)029、060、144、487、607、646および653の検出のための患者血清(単一患者)でのイムノブロット。
【図5】ワクチン接種の0、21および35日における、抗原(ags)029、060、607、653および未処理動物(免疫化していない)での対照、ミョウバンアジュバント単独、および無関係な抗原の免疫原性
【図6】抗原(ags)029、060、607、653をワクチン接種したマウスの血液中のS.pneumoniae D39での挑戦6時間後のCFU、および未処理動物での対照(免疫化していない)、ミョウバンアジュバント単独、および無関係な抗原。
【図7】未処理動物(免疫化していない)での対照群、ミョウバンアジュバント単独および無関係な抗原(sigma)と比較した、抗原(ags)029および607でワクチン接種したマウスのS.pneumoniae D39での挑戦後の生存体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として用いるための、
−配列番号:20のポリペプチドに結合することができるか、あるいは配列番号:1ないし19よりなる群から、または配列番号:21ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体、または
−配列番号:1ないし19のポリペプチドよりなる群から、または配列番号:21ないし282よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞;
を含む組成物。
【請求項2】
−配列番号:16を含む、または配列番号:16の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体;
を含むか、またはそれをさらに含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
−配列番号:10を含む、または配列番号:10の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体;
を含むか、またはそれをさらに含む請求項1または2のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
−配列番号:13を含む、または配列番号:13の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体;
を含むか、またはそれをさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
−配列番号:28を含む、または配列番号:28の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または、
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体;
を含むか、またはそれをさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
−配列番号:20を含む、または配列番号:20の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
−該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
−該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞、または
−該ポリペプチドに結合することができる抗体;
を含むか、またはそれをさらに含む請求項2〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
配列番号:26のポリペプチドに結合することができる抗体を含むか、またはそれをさらに含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
配列番号:33のポリペプチドに結合することができる抗体を含むか、またはそれをさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記変種は前記配列に対して少なくとも96%、例えば、少なくとも97%のような、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%配列同一性のような、少なくとも95%配列同一性を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗原性断片が、前記配列の全長の75%未満、例えば、50%未満のような、25%未満、例えば、20%未満のような、15%未満、例えば10%未満のような、該配列の全長の99%未満を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗原性断片が前記配列の70未満の連続アミノ酸残基、例えば、40未満のような50未満の、例えば、20未満のような30未満の連続残基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗原性断片が前記配列のうちの、7以上のような6以上の連続アミノ酸、例えば、9以上のような8以上の連続アミノ酸、例えば、10以上の連続アミノ酸を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が図1の組成物のいずれかのように、配列番号:1ないし282のポリペプチドの2以上、好ましくは配列番号:1ないし41のポリペプチドの2以上を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリペプチドがヒスチジンタグのようなタグを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組換え細胞が、減弱化された、または低下した−ビルレンスのEscherichia coli細胞または減弱化された、または低下した−ビルレンスのSalmonella細胞である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組換え細胞が生きている請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組換え細胞が死んでいる請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記医薬がワクチンである請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が担体蛋白質のような免疫原性担体を含み、ここに、該免疫原性担体は好ましくは前記ポリペプチドに結合している、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物はアジュバントを含む請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗体が、さらに、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記抗体がポリクローナルである請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記抗体がモノクローナルである請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記抗体がヒト抗体またはヒト化抗体である請求項1〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記抗体が抗体の結合断片である請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記抗体が10−6M未満、例えば、5×10−7M未満のような、10−7M未満、例えば、5×10−8M未満のような、10−8M未満、例えば、5×10−9M未満のような、10−9M未満、例えば、5×10−10M未満のような、10−10M未満、例えば、5×10−11M未満のような、10−11M未満、例えば、5×10−12M未満のような、10−12M未満、例えば、5×10−13M未満のような、10−13M未満、例えば、5×10−14M未満のような、10−14M未満、例えば、5×10−15M未満のような、または10−15M未満のような、5×10−6M未満の解離定数またはKdを有する請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が医薬上許容される担体を含む請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が全身投与に適した請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が静脈内、筋肉内、または皮下投与に適した請求項1〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が経口投与に適した請求項1〜29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が鼻腔内投与に適した請求項1〜30のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、好ましくは配列番号:1ないし41よりなる群から選択されるポリペプチド、より好ましくは、配列番号:20、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチドに結合することができる抗体。
【請求項33】
前記抗体が、さらに、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる請求項32記載の抗体。
【請求項34】
請求項22ないし26いずれかの特徴を含む請求項32ないし33いずれか記載の抗体。
【請求項35】
ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドで形質転換された、またはトランスフェクトされた組換え細胞であって、該ポリペプチドは:
―配列番号:1ないし19よりなる群から、または配列番号:21ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:1ないし19よりなる群から、または配列番号:21ないし41よりなる群から選択される配列、より好ましくは、配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:28よりなる群から選択される配列、最も好ましくは配列番号:16の配列、または
―該配列の抗原性断片または変種;
を含む、組換え細胞。
【請求項36】
前記組換え宿主細胞がEscherichia coliまたはSalmonella細胞である請求項35記載の組換え細胞。
【請求項37】
前記組換え細胞が減弱化された、または低下されたビルレンスの細胞である請求項35または36記載の組換え細胞。
【請求項38】
細菌、好ましくはStreptococcus、より好ましくはStreptcococcus pneumoniae感染に対する動物またはヒトの免疫化用の医薬の調製のための、
―配列番号:1ないし19よりなる群から、または配列番号:21ないし282よりなる群から選択される配列を含む、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチドまたは
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
を含む組成物の使用。
【請求項39】
前記免疫化が保護的免疫応答を誘導する請求項38記載の使用。
【請求項40】
前記医薬が非経口、静脈内、筋肉内、皮下、経口または鼻腔内投与に適した医薬である請求項38または39記載の使用。
【請求項41】
前記組成物が、
―配列番号:16を含む、または配列番号:16の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
を含むか、またはさらに含む請求項38ないし40いずれか記載の使用。
【請求項42】
前記組成物が、
―配列番号:10を含む、または配列番号:10の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
を含むか、またはさらに含む請求項38ないし41いずれか記載の使用。
【請求項43】
前記組成物が、
―配列番号:13を含む、または配列番号:13の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
を含むか、またはさらに含む請求項38ないし42いずれか記載の使用。
【請求項44】
前記組成物が、
―配列番号:28を含む、または配列番号:28の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
を含むか、またはさらに含む請求項38ないし43いずれか記載の使用。
【請求項45】
前記組成物が、
―配列番号:20を含む、または配列番号:20の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、または
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞:
をさらに含む請求項38ないし44いずれか記載の使用。
【請求項46】
動物またはヒトにおけるStreptococcus、好ましくはStreptococcus pneumoniae感染の治療または予防用の医薬の製造のための、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに結合することができる抗体、好ましくは請求項32ないし34いずれか記載の抗体の使用。
【請求項47】
前記ポリペプチドが配列番号:1ないし41よりなる群から選択され、好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択され、最も好ましくは該ポリペプチドは配列番号:16である請求項46記載の使用。
【請求項48】
a.−配列番号:1ないし282よりなる群から選択される配列、好ましくは配列番号:1ないし41よりなる群から選択される配列、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択される配列、最も好ましくは配列番号:16の配列、または該配列の抗原性断片または変種を含むポリペプチド、
―該ポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチド、
―該ポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクター、または
―該ポリヌクレオチドまたは該発現ベクターを含む組換えウイルスまたは組換え細胞;
を提供する工程
b.該ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、組換えウイルスまたは組換え細胞を含む組成物を非―ヒト動物に導入する工程、
c.該動物において抗体を惹起させる工程、そして
d.該抗体を単離し、所望により、それを精製する工程;
を含む、該動物において配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドに対する抗体を惹起させる方法。
【請求項49】
請求項48記載の工程、および無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる抗体を選択するさらなる工程を行うことを含む、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる抗体を作製する方法。
【請求項50】
前記動物がヒト抗体を生産することができるトランスジェニック動物である請求項48または49記載の方法。
【請求項51】
a.配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、好ましくは、配列番号:1ないし41よりなる群から選択されるポリペプチド、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチドに特異的に結合することができるインジケーター部位と試料とを接触させる工程、そして
b.該インジケーター部位によってシグナルが発生されたか否かを判断し、それにより、該試料がStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を含有するか否かを検出する工程;
を包含する、該試料中のStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を検出する方法。
【請求項52】
前記インジケーター部位が、さらに、無傷Streptococcus pneumoniae細胞に結合することができる請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記インジケーター部位が、Streptococcus pneumoniae細胞の膜を通過しない請求項51または52いずれか記載の方法。
【請求項54】
前記インジケーター部位が、請求項32ないし34いずれか記載の抗体のような抗体よりなる、またはそれを含む請求項51ないし53いずれか記載の方法。
【請求項55】
マススペクトロメトリーによって試料を分析して、配列番号:1ないし282のポリペプチドの1以上の存在および/または量を評価する工程を含む、該試料中のStreptococcus pneumoniaeまたはその部分を検出する方法。
【請求項56】
a.配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、好ましくは、配列番号:1ないし41よりなる群から選択されるポリペプチド、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチド、またはその断片を提供する工程
b.該ポリペプチドまたは断片を推定結合パートナーと接触させる工程、そして
c.該推定結合パートナーが該ポリペプチドまたは断片に結合することができるか否かを判断する工程;
を含む配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、またはその断片の結合パートナーを同定する方法。
【請求項57】
a.配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、好ましくは、配列番号:1ないし41よりなる群から選択されるポリペプチド、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチドの低下したレベルを有する感作細胞を提供する工程、そして
b.例えば、増殖アッセイによって、該細胞の推定抗菌化合物に対する感受性を測定する工程、
を含む、Streptococcus pneumoniaeに対する抗菌活性を持つ化合物を同定する方法。
【請求項58】
a.配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチド、好ましくは配列番号:1ないし41よりなる群から選択されるポリペプチド、より好ましくは配列番号:16、配列番号:10、配列番号:13、配列番号:20、配列番号:26、配列番号:28および配列番号:33よりなる群から選択されるポリペプチド、最も好ましくは配列番号:16のポリペプチドのレベルが異なる2つの細胞を提供する工程、
b.例えば、増殖アッセイによって、該細胞の推定阻害剤に対する感受性を測定する工程、そして
c.該2つの細胞が該推定阻害剤の存在によって異なって影響されるか否かを判断する工程、
を含む、配列番号:1ないし282よりなる群から選択されるポリペプチドの阻害剤を同定する方法。
【請求項59】
前記推定阻害剤はStreptococcus pneumoniae細胞の膜を通過しない請求項58記載の方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図2−8】
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【図2−9】
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【図2−10】
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【図2−11】
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【図2−12】
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【図2−13】
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【図2−14】
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【図2−15】
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【図2−16】
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【図2−17】
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【図2−18】
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【図2−19】
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【図2−20】
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【図2−21】
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【図2−22】
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【図2−23】
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【図2−24】
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【図2−25】
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【図2−26】
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【図2−27】
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【図2−28】
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【図2−29】
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【図2−30】
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【図2−31】
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【図2−32】
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【図2−33】
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【図2−34】
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【図2−35】
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【図2−36】
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【図2−37】
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【図2−38】
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【図2−39】
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【図2−40】
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【図2−41】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−530037(P2008−530037A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554422(P2007−554422)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000073
【国際公開番号】WO2006/084467
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(505457190)
【Fターム(参考)】