説明

表面の性質の改変された硬化型シロキサン組成物

本発明は、新しい硬化型シロキサン組成物と、改変された剥離性を有する硬化製品の製造へのこれらの使用に関する。選択された感圧接着剤添加物を組み込むことにより、改変された剥離力が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい硬化型シロキサン組成物、および改変された剥離性を有する硬化製品の製造へのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤に非付着性である剥離被膜の適用は被覆分野でよく知られている。例えば、紙剥離被膜は、ラベル、装飾積層物、トランスファーテープから接着剤、例えば感圧接着剤を剥離させるのに使用される。
【0003】
線状のポリジメチルシロキサンは、架橋されると、易剥離性被膜をもたらす。このことは、接着剤で積層された面の材料が多くの剥離用途に所望される極めて小さい力での引き剥がしが行われ得るということを意味する。
【0004】
しかしながら、他の用途においては、大きな剥離力が必要とされる。例えば、レーザープリンター用途においては、あるいは高速転換機械においては、プレディスペンシングがこのような高剥離レベルにより防止されなければならない。高剥離レベルが必要とされるもう一つの例は、差動剥離ライナーにおける使用であり、ここでは基材の片側をプレミアム剥離シリコーン(低剥離力)により被覆し、他の側をしっかりした(高剥離力)剥離シリコーン層により被覆する。
【0005】
用途に依って、広い範囲の剥離レベルが必要とされる。易剥離性シリコーンと混合可能であり、そしてしっかりしたあるいは改変された剥離特性を与えることができる添加物がいわゆる制御された剥離添加物(Controlled Release Additive;CRA)である。
【0006】
加熱硬化性剥離被膜で使用されるよく知られたタイプのCRAは、OH(米国特許第2,895,544号、DE1546410)あるいはビニルで官能基化されたシロキサンMQ樹脂である。米国特許第3,527,659号(Keilら)は、スズで硬化される反応における溶剤からの被覆フィルムとして塗布される、OH末端のブロック化ジメチルポリシロキサンと架橋剤の混合物中でOHで官能基化されたMQ樹脂を使用することを挙げている。
【0007】
溶剤無しで塗布されるビニルで官能基化されたMQ樹脂のCRA(制御された剥離添加物あるいは変成剤)としての使用は、米国特許第4,123,604号(Sandford)に挙げられている。当業界での使用は少ないが、紙剥離エマルジョンにおけるCRAとしてのSiHで官能基化されたMQ樹脂の使用がEP0640664(Armstrongら)で述べられている。高剥離被膜の剥離力を増大させるもう一つのアプローチは、架橋密度またはこれらの剥離被膜のバルクモジュラスを変えることである。高剥離速度において剥離力を増大させることができるSiHで末端停止されたポリマーおよび/またはSi−ビニルで末端停止されたポリマーのような鎖延長剤を使用することが米国特許第5,281,656号(Thayerら)で述べられている。
【0008】
EP−A−400614は、剥離可能な、硬化被膜を形成するための、有機溶剤に可溶で、アルケニルオルガノポリシロキサン、オルガノ水素ポリシロキサンおよび固体ポリオルガノシロキサン樹脂を含んでなり、RSiO1/2(M)単位、RSiO2/2(D)単位またはRSiO3/2(T)単位およびSiO4/2(Q)単位からなり、式中Rは一価炭化水素基を表し、各分子は少なくとも2個のアルケニル基と更なる成分を有するポリオルガノシロキサン組成物を開示している。この説明において、この固体ポリオルガノシロキサン樹脂は、0.1〜1.5:0.1〜1.0:1.0のRSiO1/2単位:RSiO2/2単位またはRSiO3/2単位:SiO4/2単位のモル比を有するように定義されている。この実施例においては、これらのポリオルガノシロキサン樹脂は、M、TおよびQ単位のみを含んでなる。すなわち、これらは極めて分岐した樹脂分子である。EP−A−400614の剥離力変成樹脂は、共加水分解または他の重合方法により製造され、このシロキシ単位のすべてのモノマー型前駆体は重合段階の前に一緒に混合される。
従って、これらは卓越した感圧接着性を持たず、そして剥離性の低下の効果は不充分である。
【0009】
上述のMQ樹脂タイプの使用の更なる難点は、これらが高濃度で使用されなければならないためにプレミアム剥離シリコーンを含有する混合物の硬化速度を遅くするということである。被覆機械はますます速く走行するので、低硬化速度は難点とみなされなければならない。CRAとして使用される場合現行のMQ樹脂タイプが示すもう一つの問題は、シリコーン浴中で使用されるCRAの量に依存する効率と剥離応答である。
【0010】
通常、シリコーン組成物中20%のCRA装填量レベルまで極めて低い剥離応答が観察される。更に高装填量においては、剥離力は指数的に増加する。剥離応答がCRAの装填量レベルに対して線形の関係を示す場合には、更に理想的な状況が好ましい。
【0011】
硬化速度に及ぼす上記に挙げられた効果に加えて、高装填量のCRAの使用は、基材上のシリコーン被膜の固着性、シリコーン被覆による基材の被覆などの他の被覆性、および被覆機械上でのシリコーンの加工にマイナスの影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
驚くべきことには、上記に挙げられたマイナスの影響は、異なるタイプの剥離変成剤と共に硬化型シロキサン組成物を剥離フィルムとして提供する新しい硬化型シロキサン組成物により解決可能である。このシロキサン組成物内で少量の変成添加物によりすべての種類の接着剤に対する剥離性が調整可能である。高レベルの既知のCRA組成物を含む組成物のマイナスの影響が回避可能である。
【0013】
EP−A2−1070734は、特定の不飽和分岐シロキサンをバインダーマトリックスポリマーとして含有するシリコーン剥離組成物を開示している。この特許は、また、シリコーン剥離変成剤、例えばアルケニル化されたシリコーン樹脂またはアルケニル化されたポリジオルガノシロキサンを使用する可能性もこれらを特に示すこと無しで挙げている。この実施例では、剥離変成剤は使用されない。
【0014】
従って、本発明の目的は、硬化時に工業用紙、アスファルト包装紙、異なる剥離性二重表面剥離紙など、ならびに適切なレベルの剥離性を必要とするテープ、ラベルなどの基材上での改善された改変された剥離性を持つ剥離層またはフィルムを提供する硬化型シロキサン組成物を提供することである。本発明の更なる目的は、剥離制御添加物無しでベースシステムに近い硬化速度を有し、そして剥離力と変成添加物の濃度の間の更なる線形の関係を提供する、硬化型シロキサン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、
A)T−およびQ−単位が存在する場合にはT−およびQ−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%を超えない少なくとも1つの反応性シロキサンポリマー、
B)場合によっては少なくとも1つシロキサン架橋剤、
C)触媒、増感剤およびラジカル開始剤の群から選択される少なくとも1つ成分、
D)この感圧接着剤がオルガノシリコーン化合物である場合には、T−およびQ−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%より大であり、D−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%より大であり、そしてこのオルガノシリコーン化合物中のオルガノ基の少なくとも90モル%がアルキル基であるという前提で、少なくとも1つ感圧接着剤、
E)場合によっては補助添加物、および
F)場合によっては溶剤
を含んでなる硬化型シロキサン組成物
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
このような剥離組成物用の硬化型シロキサンベースポリマー、架橋剤、触媒および添加物は次の通り説明可能である。本発明の組成物は、
A1)SiOH末端のポリジメチルシロキサン、
A2)アルケニル含有ポリオルガノシロキサンおよび
A3)光硬化型ポリオルガノシロキサン
から好適に選択される少なくとも1つ反応性シロキサンポリマーA)を含んでなる。
【0017】
タイプA1)のポリマーは、A1)の反応性基が相互に縮合型であるか、あるいは他の反応性の、すなわちケイ素に結合するアルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボキシ、アミノ、アミド基のような加水分解型脱離基と反応することができるために、縮合反応を起こすことができる基を含有する。好ましい基は好ましくは末端基としてSiOH基である。ケイ素に結合する反応性基の付いた本発明のポリマーA1)は、好ましくは好適にはHOMeSi−単位のタイプの少なくとも末端基を含むSiOH末端のポリジ−メチルシロキサンA1)である。このようなポリマーは、例えば米国特許第3,527,659号、DE1546410、DE2135673またはDE2748406または米国特許第3,579,469号で開示されている。
【0018】
ポリマーA1)またはこれらの混合物は、M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2および二価R基から選択される群を含んでなる
式中、
はヒドロキシ、一価のn−、iso−、tert−あるいはシクロC−C22アルコキシ、カルボキシ、オキシモ、アルケノキシ、アミノ、アミドC−C14アリールオキシ、およびRから選択され、
Rは1つ以上のO−、N−、S−あるいはF原子により置換可能なn−、iso−、tert−あるいはC−C30アルキル、アルケニル、アルコキシアルキル炭化水素、C−C30環状アルキル、環状アルケニルまたはC−C30アリール、アルキルアリール、例えばエーテルまたはアミドまたは1000個までのポリエーテル単位のC−Cポリエーテルから選択される。
成分A1)中の前記一価残基Rの例は炭化水素基とハロ炭化水素基を含む。
好適な一価炭化水素基の例は、好ましくはCH−、CHCH−、(CHCH−、C17−およびC1021−などのアルキル基、シクロヘキシルエチル、リモネニルなどの脂環式基、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基、ベンジルおよび2−フェニルエチルなどのアルアルキル基を含む。
は、シロキシ単位を更に架橋し、そしてすべてのシロキシ単位の30モル%を超えない二価脂肪族あるいは芳香族のn−、iso−、tert−あるいはシクロ−C−C14アルキレン、アリーレンあるいはアルキレンアリール基である。
好適な二価炭化水素基Rの例は、好ましくは、−CH−、−CHCH−、CH(CH)CH−、−(CH、−CHCH(CH)CH−、−(CH−、−(CH)8−および−(CH18−などのアルキレン残基;シクロヘキシレンなどのシクロアルキレン基;フェニレン、キシレンなどのアリーレン基およびベンジレン、すなわち−CCH−などの炭化水素基の組み合わせのいずれかを含む。好ましい基は、アルファ、オメガ−エチレン、アルファ、オメガ−ヘキシレンまたはアルファ、オメガ−フェニレンである。
好適な二価ハロ炭化水素基Rの例は、1つ以上の水素原子がフッ素、塩素または臭素などのハロゲンにより置換された二価炭化水素基のいずれかを含む。好ましい二価ハロ炭化水素残基は、例えば−CHCHCFCFCHCH−などの式−CHCHCF2nCFCHCH−を有し、nは1〜10の値を有する。好適な二価炭化水素エーテル基およびハロ炭化水素エーテル基の例は、−CHCHOCHCH−、−CHCHCFOCFCHCH−、−CHCHOCHCHCH−および−C−O−C−を含む。
【0019】
このことは、ポリマーA1)が一般式(I)、
[M(I)
の比により記述可能であるということを意味する。
式中、シロキシ単位M、D、TおよびQはポリマー鎖中でブロックあるいはランダムに分布可能である。ポリシロキサン鎖内で各シロキサン単位は同一であるか、あるいは異なることができ、そして
m=1−5000
a=1−10
b=0−12000
c=0−50
d=0−1
であり、そして
これらのインデックスは数平均分子量M基準での平均重合度Pを表すべきである。
T−およびQ−単位が成分A)中に特に成分A1)中に存在する場合はすべてのシロキシ単位の10モル%を超えない。これは、このポリマーが好ましくはニュートン様粘度を持つ線状で、流動型の流体またはガムであるが、25℃で固体でないということを意味する。基RあるいはRの付いたシロキサン単位は各ケイ素原子に対して同等であるか、あるいは異なることができる。各分子は1つ以上の基を独立に担持することができる。好ましい変形においては、この構造は一般式(Ia)〜(Ib)
SiO(RRSiO)SiR (Ia)
MeSiO(MeSiO)b1(MeRSiO)b1xSiMe (Ib)
により表される。
式中、
b=>0−12000
b1=>0−12000
b1x=0−1000
b1+b1x=b
であり、
Rに対する好ましい基はメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピルであり、
に対する好ましい基はヒドロキシ、メトキシ、エトキシおよびアセトキシである。
平均重合度Pnまたは「b」は12000までの範囲の数平均分子量としてMを基準とし、好ましい範囲は500〜5000である。このようなポリマーの粘度は25℃、D=1s−1の剪断速度で10〜50,000,000mPa.sの範囲にあり、好ましい範囲は約200〜10,000,000mPa.s.である。
【0020】
アルケニル含有ポリオルガノシロキサンA2)は、好ましくは例えば米国特許第6,3875,487号で開示されているようなビニル末端のポリオルガノシロキサンまたはこれらの混合物であり、M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2および二価R基から選択されるシロキサン単位から構成される一般式(I)に従い、シロキシ単位の濃度および分布の限定はポリマーA1)に対して定義したのと同一であり、
A2)中で
Rは上記に定義され、
はRであるか、あるいは1つ以上のO−あるいはF原子により置換された、n−、iso−、tert−あるいは環状C−C30アルケニル、ビニル、C−C30−シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ノルボルネニル−エチル、リモネニル、C−C30−アルケニルアリール、例えばエーテル、アミドまたは1000個までのポリエーテル単位を持つC−Cポリエーテルから選択され、
は上記に定義したような二価基である。
【0021】
に対する好ましい例は、ビニル、アリル、メタリル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、シクロヘキセニルエチル、リモネニル、ノルボルネニルエチル、エチリデン−ノルボルニルおよびスチリルなどの基である。アルケニルシロキサンの製造に使用されるアルファ、オメガ−ジエンは更に容易に入手できるために、アルケニル基は好ましくは末端ケイ素原子に結合し、このオレフィン官能基は高級アルケニル基のアルケニル基の末端にある。好ましい一価ハロ炭化水素基は、式C2n+1CHCH−、例えばCFCHCH−、CCHCH−およびC13CHCH−を有し、nは1〜10の値を有する。
【0022】
Rに対する好ましい基はメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピルである。Rに対する好ましい基はビニル、5−ヘキセニルである。
の好ましい基は上記のようにエチレン、ヘキシレンまたはフェニレンである。
R、RおよびR基を含有するこのようなポリマーは、アルケニルメチルシロキシ基のような他のシロキサン単位を含有するポリオルガノシロキサン、例えばアルケニル−ジメチルシロキシあるいはトリメチルシロキシ末端のポリジメチルシロキサン、ポリ−(ジメチル−コ−ジフェニル)シロキサンである。
【0023】
ポリマーA2)は単一のポリマーまたはこれらの混合物である。本発明の組成物の大まかに規定された成分A2)は、また、酸素または二価基Rにより結合された2つ以上のケイ素原子を含有するいかなるオルガノケイ素化合物であることもでき、ここでは、このオルガノケイ素化合物が少なくとも2つのケイ素と結合されたオレフィン系炭化水素残基を含有するという前提で、ケイ素がケイ素当たり1〜3個の一価基に結合する。この成分は固体あるいは液体の、自由流動性あるいはガム様であることができる、すなわち25℃、D=1s−1の剪断速度で500kPa.s未満の測定可能な粘度を有する。
【0024】
本発明の組成物に対する一つ好ましいポリオルガノシロキサン成分A2)は、式(IIa)あるいは(IIb)を有する実質的に線状のポリオルガノシロキサンである。表現「実質的に線状の」は、3あるいは4個の酸素結合を担持するTまたはQとして前に定義されたタイプのケイ素単位を含有する、多くとも0.2モル%(痕跡量)のポリオルガノシロキサンを含む。
SiO(RRSiO)SiR(IIa)または
MeSiO(MeSiO)b2(MeRSiO)b2xSiMe(IIb)
式中、
は上記のように定義され、そして
b=(b+bx)<12000
b2>0−12000
b2x0−2000
である。
b2xの好ましい値は、Rが不飽和基である場合には、通常、ゼロなど0.1b未満である。
b2xがゼロでない場合には、これは好ましくは0.005bと0.08bの間、好ましくは0.008と0.04b2の間である。本発明の接着−剥離被膜組成物に対する極めて好ましい線状のポリオルガノシロキサンA2)の例は、
MeSiO(MeSiO)b2(MeHexSiO)b2xSiMe(IIC)、
MeSi(MeSiO)b2(MeViSiO)b2xSiMe(IId)、
HexMeSiO(MeSiO)b2(MeHexSiO)b2xSiMeHex (IIe)および
ViMeSiO(MeSiO)b2(MeViSIO)b2xSiMeVi (IIf)
を含む。
式中、
Vi=ビニル
Hex=5−ヘキセニル
である。
【0025】
極めて好ましいポリ−オルガノシロキサンA2)中の(b1+b2x)の重合度の値は、導入された被覆方法における用途に好適な成分A2)に対する25℃における粘度をもたらすのに充分である。
【0026】
式(IIg)〜(IIo)の好ましい構造は、後で定義するような好適な粘度をもたらし、そして粘度調整用のいかなる溶剤無しで塗布可能なポリマーを記述する。下位インデックスの範囲は可能な平均重合度Pnの範囲を規定する。
PhMeViSiO(MeSiO)l0−500SiPhMeVi (IIg)、
HexMeSiO(MeSiO)10−500SiMeHex (IIh)、
ViMeSiO(MeSiO)10−500(HexMeSiO)1−50SiMeVi (IIi)、
ViMeSiO(MeSiO)10−500(MeViSiO)l−50SiMeVi (IIj)
HexMeSiO(MeSiO)10−500(HexMeSiO)1−50SiMeHex (IIk)、
MeSiO(MeSiO)10−500(MeViSiO)1−50S1Me(IIl)、
MeSiO(MeSiO)10−500(MeHexSiO)1−50SiMe(IIm)、
PhMeViSiO(MeSiO)10−500(MePhSiO)1−100SiPhMeVi (IIn)および
ViMeSiO(MeSiO)SiMeVi (IIo)
式中、Ph=フェニルである。
【0027】
もう一つの他の類の好ましいポリマーは、明確な硬化速度または低剥離力の分岐ポリオルガノシロキサンである。分岐の紙剥離ポリマーは例えば米国特許第5,616,672号で述べられ、そして好ましくは式
via1C1viC2b2Vib2x (III)
から選択される。
式中、
vi=R3−pSiO1/2
式中、
RおよびRは上記に定義した基から選択され、そして
pは1〜3の範囲にあり、好ましくは1であり、
MはRSiO1/2(式中、各Rは前に定義した通りであり、そして独立に選択される)であり、
TまたはTViはRSiO3/2(式中、Rは上記に定義した基から選択される)であり、
DまたはDViはRRSiO2/2(式中、RおよびRは前に定義した基から各々独立に選択される)であり、
a1=0〜5
a=0〜5
c1またはc2= 〜10、
であり、
b2またはb2x=b*(ここで、各b*は約50〜約1000の範囲の整数である)
すべての残基RおよびRは前に定義したような基から選択される。
【0028】
アルケニル基を含んでなるポリオルガノシロキサンA2)は、多かれ少なかれ少量のT=RSiO3/2−またはQ=SiO4/2−単位を有することができる。これらの態様において0.2モル%より多く存在する場合には、それにも拘わらず、この濃度はD単位の量に比較して小さく、>10:1の、好ましくは>33:1のD:QまたはD:Tの範囲にある。
【0029】
アルケニル含有ポリジオルガノシロキサンA2)は、トリオルガノシロキサン末端のポリジオルガノシロキサンを製造するための慣用の方法のいずれかにより製造可能である。例えば、適当な比の適切な加水分解型シラン、例えばビニルジメチルクロロシランおよびジメチルジクロロシランは、共加水分解し、縮合され得るか、あるいは別法としてはこのポリジオルガノシロキサンの末端基をもたらす、適切な1,3−ジビニルテトラオルガノジシロキサン、例えば対称的なジビニルジメチルジフェニルシロキサンまたはジビニルテトラメチルシロキサンは、酸性あるいは塩基性触媒の存在下で例えばジポリオルガノシロキサン、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンと平衡化され得る。ポリジオルガノシロキサンA2)の製造方法に無関係に、通常、変動する量の揮発性環状ポリジオルガノシロキサンが共生成する。これらは揮発性であり、そして高剥離力の要因となる性質に悪影響を及ぼすので、揮発性環状ポリジオルガノシロキサン、例えば主としてメチルテトラマーは除去されるべきである。
【0030】
ポリオルガノシロキサンの平衡化のような重合方法によりしばしば共生成するポリオルガノシロキサンは、このポリマーの揮発分を分離しないと、この段階において約15重量パーセントまでのシクロシロキサンを含有する。一般に、更なる蒸発段階の後剥離ポリマー中で低濃度のこのような低沸点のシクロシロキサンを有することが好ましい。
【0031】
本発明の目的で、上記で定義したポリジオルガノシロキサンA2)と粘度は、このポリオルガノシロキサンの本質的に環状を含まない部分(150℃20ミリバールで1時間後に測定して1重量%未満の、好ましくは0.5重量%の)を指す。この本質的に環状を含まない部分は、すべてのポリジオルガノシロキサンを150℃で3時間ストリップして、このタイプのポリマー残留物を生成させることにより製造可能である。上記で定義したように非揮発性である痕跡量のマクロ環状ポリジオルガノシロキサン(分子量>518)を除いて、この残留物は環状材料を本質的に含まない。これらのポリジオルガノシロキサンA2)の多くは市販されている。更には、成分A2)は、A2)の定義のアルケニル含有ポリシロキサンである限り、ホモポリマーまたはコポリマーまたはこれらのいくつかの混合物であることができる。
【0032】
本発明の好ましい態様においては、低沸点のシクロシロキサンの量は制限され、所望のポリオルガノシロキサンの蒸気圧および粘度により、定義される。
【0033】
この粘度は、また、重合度Pnおよび各ケイ素原子における置換基Rによっても調整可能である。数平均分子量Mn基準のポリスチレン標準に対してGPCにより測定される平均重合度Pは、>0〜12000の範囲にあり、好ましい範囲は25〜5000であり、更に好ましくは25〜500の範囲である。このようなポリマーの粘度は25℃でD=1s−1の剪断速度において25〜50,000,000mPa.sの範囲にある。Pnに対する値または上記の式(IIa)中のインデックス「b」は、線状ポリオルガノシロキサンA2)が少なくとも25℃における25mPa.sの粘度を有するようなものである。前記限界内に入る粘度値をもたらすのに必要とされるPnの厳密な値は、RおよびR基の内容に依存するが、トリオルガノシロキシ末端のポリジメチルシロキサンに対しては「b」または(b2+b2x)は少なくとも約25の値を有する。好ましくは、この粘度の範囲は、約30mPas〜約10,000,000mPa.s、好ましくは約50mPa.s〜100,000mPa.sそして最も好ましくは100mPa.s〜5,000mPa.sである。前記粘度は、「b」または「b2+b2x」により示される平均のPnの値にほぼ対応する。
【0034】
この官能性不飽和基の濃度は、0.02〜0.8ミリモル/gの、更に好ましくは0.1−0.4ミリモル/gの範囲にある。
【0035】
前記シロキサン単位は、線状、分岐、環状およびこれらの組み合わせなどのいかなる分子配列でも組み合わせられて、成分A2)として有用であるポリオルガノシロキサンを提供することができる。
【0036】
硬化型組成物A2)が好ましくは無溶剤である本発明の好ましい態様においては、層紙、布または熱可塑性フィルムなどの固体基材を接着−剥離層で被覆するのに、あるいは任意の硬化された被膜または改変された剥離性を有する表面の付いた成形物品を製造するのに使用される。
【0037】
すべてのこれらのポリマーは、単一の成分として、あるいは異なるタイプのA2)の混合物で適切な有機溶剤と共にあるいは溶剤無しで使用可能である。
【0038】
反応性ポリオルガノシロキサンポリマーに対する第3の選択肢は光硬化型あるいは光活性化型のポリマーである。光硬化型は、ポリマーA3)、随意の架橋剤B3)、触媒C3)および増感剤C3)の混合物がUV光、日光またはX線または他の電子線の方法の下で硬化可能であるということを意味する。J.E.Thompson;J.Gavezzan at RadTech 92 North Am.UV/EB Conf.Expo.,Conf.Proc.1992,1,212−20Rad Tech Int.North Am.:Northbrook,IIIで概観が与えられている。
【0039】
このようなポリマーは、ある場合にはポリマーA2)と同一であることができるが、このポリマータイプの好ましい候補は、メチル−アクリロキシ−あるいはアクリロキシアルキル基含有シロキサンなどのSi−CあるいはSiO結合によりケイ素に結合されたエポキシアルキル−、アルケニルオキシ、メルカプトアルキルあるいはすべてのタイプのメチルアクリロキシ−あるいはアクリロキシで改変された炭化水素より好適に選択されるポリマーである。
【0040】
このようなシステムは、例えば米国特許第4,678,846号により開示されている。Weitemeyerらは、これ自身で、あるいは輻射線硬化型被膜組成物などの他の不飽和化合物との混和物で使用されて、「接着剤に対する良好な剥離性または接着性」を生じるアクリレートあるいはメタクリレートエステルで改変されたポリオルガノシロキサン混合物を述べている。EP058909A1は、不飽和基を有する液体ポリオルガノシロキサン、光増感剤、および場合によってはビニルモノマーを含有する輻射線硬化型組成物を開示している。この組成物は剥離被膜の製造に使用され、そして被覆紙に特に有用である。
【0041】
米国特許第4,558,082号(Eckberg)は、リモネンオキシド官能性シリコーンとアクリル酸または置換アクリル酸とを触媒の存在下で反応させることにより製造される光硬化型アクリレート化シリコーンポリマーを述べている。
【0042】
EP0284863、EP0254799およびEP0336141。これらの特許は、例えばエポキシ官能性シロキサンとアクリル酸とを反応させることにより合成されるアクリル酸エステルを側鎖基として持つポリオルガノ−シロキサンを述べている。これらのアクリロキシシロキサンは輻射により硬化可能である。代替の変形においては、アクリロキシ改変されたポリシロキサンは、エステル交換によっても合成可能である。
【0043】
米国特許第5,412,133号および米国特許第4,595,471号は、ポリシロキサン用の光反応性基としてのメルカプト基の使用を開示している。
【0044】
WO95/25735、WO95/25734においては、光活性化型白金触媒がポリオルガノシロキサンA2)およびB2)をベースとするポリマーシステムで使用されることが述べられている。
【0045】
米国特許第4,201,808号は、約90〜10重量パーセントの低分子量のアクリレート化ポリオール架橋剤と0〜約10重量パーセントの光増感剤を含有する、最も普通には紙基材用の輻射線硬化型剥離被膜組成物を開示している。米国特許第4,070,526号は、メルカプトアルキル置換ポリジオルガノシロキサンを含んでなる輻射線硬化型組成物を開示している。米国特許第4,783,490号(Eckberg)は、メルカプト置換ケイ素化合物、多官能性アクリレートなどの反応性共化合物(co−compounds)、および光開始剤を含んでなるUV硬化型組成物を開示している。
【0046】
EP159683A1は、60〜95部の官能基化されたポリオルガノシロキサン、例えばアクリレート化ポリオルガノシロキサンを含んでなる電子線硬化型液体剥離被膜組成物を開示している。
【0047】
米国特許第4,608,270号は、1つ以上のアクリロイルアミノ置換炭化水素基を含有するポリジオルガノシロキサンを含んでなる被膜組成物を開示している。
これらの組成物は輻射重合性であって、剥離被膜を形成し、そして重合性ビニルモノマーを場合によっては含む。
【0048】
米国特許第4,576,999号および米国特許第4,640,967号は、適切な触媒と合体させると、紫外線硬化型剥離被膜組成物を形成するエポキシ−そして/あるいはアクリル官能性ポリシロキサンを述べている。10部のエポキシシロキサンポリマー毎に10部までの脂肪族非ケイ素モノマーを添加することにより、硬化性能および基材接着が増進され得るということが述べられている。
【0049】
すべてのこれらの特許は参考文献として与えられて、光硬化法の種々の有用なシステムを述べている。
【0050】
オルガノ官能性ポリオルガノシロキサンA3)は、単独で、あるいはB3)と呼ぶもう一つのポリマーの存在下で光硬化型である能力を有する。ポリオルガノシロキサンA3)は、Q−、M−、D−およびT−基から選択される基を含んでなる。
ここで、少なくとも1つ以上のM−、D−あるいはT−基は、エポキシ−、アクリル−、メタクリル、アクリルウレタン、ビニルエーテル−あるいはメルカプトオルガノ基などの少なくとも1つ光反応性あるいは光活性化型基を含有する(例えばEP599615A1を参照)。
【0051】
オルガノ官能性ポリオルガノシロキサンA3)は、例えば米国特許第5,814,679号で開示されているようなシロキサン鎖または末端のポリジメチルシロキサン中のケイ素に結合したオルガノ官能性側鎖基を含有することができ、M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2および二価R基から選択されるシロキサン単位から構成される一般式(I)に従い、シロキシ単位の濃度および分布の限定はポリマーA1)に対して定義したのと同一である単位を含んでなる。
【0052】
ここで、RはRまたはRであるか、あるいはオキセタン、エポキシ、エポキシ−アルキル−、ビニルエーテル−、フラニル、メルカプト−オルガノあるいはすべてのタイプのメチルアクリロキシ−あるいはアクリロキシで改変された炭化水素およびアクリルウレタン基または1000個までの単位を持つC−C−ポリエーテルを含む、1つ以上のO−、N−、P−あるいはF原子により置換されたメチルアクリロキシ−、アクリロキシアルキル基などの置換基を有する、n−、iso−、tert−C−C30アルキル、アルケニル、C−C30シクロアルキル、シクロアルケニル、C−C30アルケニルアリール残基の基から選択され、
Rは上記に定義され、
は上記に定義したような二価基である。
【0053】
このようなポリマーはRを光反応性基として含有する。それゆえ、Rは、グリシジルオキシプロピル、オキシリモネニル、ビニルオキシシクロヘキシル、シクロヘキセニルオキシエチル、メルカプトプロピル、オキシノルボルネニル、アルケニルアルキルエーテル、ビニルエーテル、アクリロキシアルキル−、メタクリロキシアルキル、フェニル、ビニル、アリル、メタリル、3−ブテニル、5−ヘキセニル、7−オクテニルおよびシクロヘキセニルなどのC−C30原子の一価エポキシ官能性有機基の基から選択される。
【0054】
光活性化型オルガノ官能基は好ましくはA3)の末端ケイ素原子に結合している。ポリオルガノシロキサンA3)およびこれらの異性体は、好ましくは例えばSiH−シランまたはSiH−ポリオルガノシロキサンと好ましくはジオレフィンに対応するリモネンオキシド、4−ビニル−シクロヘキセンオキシド(VCHO)、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンオキシド、7−エポキシ−1−オクテン、2,6−ジメチル−2,3−エポキシ、エポキシ−7−オクテン、ビニルノルボルネンモノオキシド、ジシクロペンタジエンモノオキシドを含む不飽和エポキシドなどの光活性化型オレフィンの間の金属触媒ヒドロシリル化反応の反応生成物である。最も好ましくは、4−ビニルシクロヘキセンオキシドは、米国特許第3,814,730号;米国特許第3,775,452号および米国特許第3,715,334号で開示されているように本発明の方法においてオレフィンエポキシドまたはDE3044237で開示されているようにアクリル酸と反応されたエポキシシロキサンとして使用される。
【0055】
光硬化型システムの例は米国特許第5,593,787号でも述べられている。このオルガノ光活性化型官能基は、平衡化、縮合または他のシロキサン単位とのポリマー類似の反応(ヒドロシリル化)により導入されて、好ましくはポリジメチルシロキサン、例えばエポキシアルキル−ジメチルシロキシ末端のポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチル−コ−メチルフェニル)シロキサンまたはエポキシ−アルキル−メチルシロキシ基を有するポリジメチルシロキサンまたはポリ(ジメチル−コ−ジフェニル)シロキサンまたはこれらの混合物を生じる。
【0056】
Rに対する好ましい基はメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピルである。
【0057】
に対する好ましい基は、ビニル、5−ヘキセニル、4−エポキシシクロヘキシルエチル、グリシジル−オキシプロピル、アクリロキシプロピルまたは3−メルカプトプロピルである。
【0058】
もう一つの他の類の有用なポリマーはA2)で定義したように分岐ポリオルガノシロキサンA3)である。
【0059】
本発明の組成物の大まかに規定された成分A3)は、また、酸素または二価架橋基Rにより結合された2個以上のケイ素原子を含有するいかなるオルガノケイ素化合物でもあることができ、ここで、このオルガノケイ素化合物が少なくとも2つのケイ素で結合された光反応性あるいは活性化型オルガノ官能性炭化水素基を含有するという前提でケイ素はケイ素当たり1〜3個の一価基に結合している。この成分は固体または液体、25℃で自由流動性あるいはガム様であることができる。
【0060】
本発明の組成物の大まかに規定された成分A3)は、光反応性基Rと共に2個以上のケイ素原子を含有するオルガノ官能性ポリオルガノシロキサン化合物である。
【0061】
の反応性基のほかに、化合物A3)は、A2)で定義したすべての他のシロキサン単位からなることができる。
【0062】
本発明の組成物に対する一つ好ましいポリオルガノシロキサン成分A3)は、式(IIIa)あるいは(IIIb)を有する実質的に線状のポリオルガノシロキサンである。表現「実質的に線状の」は、3あるいは4個の酸素結合を担持する前に多くても0.2重量%(痕跡量)のTまたはQと定義したタイプのケイ素単位を含有するポリオルガノシロキサンを含む。
SiO(RRSiO)SiR(IIIa)または
MeSiO(MeSiO)(MeRSiO)SiMe(IIIb)
式中、
は上記に定義され、そして
q=s+r=>0−2000
r>0−2000
s 0−1000
であり、
は上記に記され、そして(r+s)の合計は上記のようにqに等しい。
インデックスrおよびsの値は各々ゼロ以上であることができる。本発明の接着−剥離被膜組成物に対する極めて好ましい線状のポリオルガノシロキサンA3)の例は、
MeSiO(MeSiO)(MeRSiO)SiMe(IIIc)、
MeSi(MeSiO)(MeRSiO)SiMe(IIId)、
MeSiO(MeSiO)(MeRSiO)SiMe(IIIe)および
MeSiO(MeSiO)(MeRSiO)SiMe(IIIf)
を含む。
【0063】
極めて好ましいポリオルガノシロキサンA3)中の(r+s)の重合度の値は、成分A3)に対して導入された被覆方法における塗布に好適である25℃における粘度をもたらすのに充分であるものである。
好ましくは、この粘度の範囲は、25℃で約25mPas〜約100,000mPa.s、好ましくは約50mPa.s〜50,000mPa.sそして最も好ましくは100mPa.s〜10,000mPa.sである。前記粘度は「q」または「r+s」により示される平均Pnの値にほぼ対応する。光反応性官能基の濃度は、0.05〜1.2ミリモル/gの、更に好ましくは0.5−1.0ミリモル/gの範囲にある。
【0064】
式(IIIg)〜(IIIm)の好ましい構造は、定義した好適な粘度をもたらし、そして粘度調整用のいかなる溶剤も無しで塗布可能なポリマーを記述する。
PhMeRSiO(MeSiO)10−500SiPhMeR(IIIg)、
MeSiO(MeSiO)10−500SiMe(IIIh)、
MeSiO(MeSiO)10−500(RMeSiO)1−50SiMe(IIIi)、
MeSiO(MeSiO)10−500(RMeSiO)1−50SiMe(IIIj)、
MeSiO(MeSiO)10−500(RMeSiO)1−50SiMe(IIIk)、
PhMeRSiO(MeSiO)10−500(MePhSiO)1−100SiPhMeR(IIIL)および
MeSiO(MeSiO)SiMe(IIIm)
であり、
式中、Rは上記に定義されている。
【0065】
すべての残基RおよびRは前に定義した基から選択される。
【0066】
本発明の他の態様においては、光反応性基を含んでなるポリオルガノシロキサンA3)は、また、0.2モル%よりも大きい制限された量のT=RSiO3/2あるいはQ=SiO4/2単位も含有する。このような場合には、この濃度はD単位の量と比較して常になお小さく、そしてD:Q=>10:1の、好ましくはD:Q=>33:1の範囲にある。
【0067】
ポリジオルガノシロキサンA3)を含有するオルガノ官能基はこのようなポリジオルガノシロキサンを製造するいかなる慣用の方法により製造可能である。この引用された特許は、光反応性基Rを導入する種々の選択肢を開示している。
【0068】
このような反応は、対応するオルガノ官能性クロロシラン前駆体を加水分解した後にSiOHあるいはSiOR含有分子を縮合させること、ヒドロシリル化により、光反応性基を担持する不飽和前駆体をSiH含有シロキサンに付加させること、または線状シロキサンおよび/または異なるシクロシロキサンのアニオン性あるいはカチオン性共重合平衡化を含む。例えば、米国特許第4,370,358号を参照のこと。
【0069】
これらのポリジオルガノシロキサンA3)の多くは市販されている。更には、成分A3)は、A3)での定義の光反応性基を含有するタイプA3)のポリオルガノシロキサンである限りホモポリマーまたはコポリマーまたはこれらのいくつかの混合物であることができる。
【0070】
これらのポリジオルガノシロキサンA3)の多くは、例えばGE Bayer Silicones GmbH &Co KG Leverkusen,Dow Corning Barry UK,Rhodia SA 92512 Boulogne−Billancourt FranceまたはGoldschmidt Essen Germanyで市販されている。
【0071】
残存するシクロシロキサンのすべての性能および適切な粘度の調整は上記のA2)で述べられている。
【0072】
本発明の好ましい態様においては、低沸点のシクロシロキサンの量は限定され、そしてA2)における好ましいレベルと所望のポリシロキサンの粘度による蒸気圧により定義される。この粘度は重合度Pnによっても調整可能である。
【0073】
ポリスチレン標準に対してGPCにより測定される数平均分子量としてMを基準とする平均重合度Pは、A2)で定義したのと同一の範囲にある。
【0074】
光反応性官能基の濃度は、0.05〜1.2ミリモル/gの、更に好ましくは0.5.1.0ミリモル/gの範囲にある。
【0075】
前記シロキサン単位は、線状、分岐、環状およびこれらの組み合わせなどいかなる分子配列でも合体されて、成分A3)として有用なポリオルガノシロキサンを提供することができる。硬化型成分A3)が好ましくは無溶剤である本発明の好ましい態様においては、これは、紙、布または熱可塑性フィルムなどの固体基材を本発明の他の成分を含んでなる接着−剥離層により被覆するのに、あるいは改変された剥離性を有する表面の任意の硬化被膜または成形物品を作製するのに使用される。
【0076】
すべてのこれらのポリマーは適切な有機溶剤と共にあるいは溶剤無しで単一の成分A3)として、あるいは異なるタイプのA3)の混合物で使用可能である。
【0077】
A)、すなわちA1)〜A3)で定義したポリマーに対する場合によっては使用される架橋剤B)は、使用される場合には、少なくとも2個の官能基の付いたシラン、シロキサンまたはオルガノ官能性非ケイ素分子であり、これは少なくともポリマーA)を改変された剥離性の硬化表面層に架橋することができる。剥離層と接着層を識別するためには、この場合の剥離層は、Tesa7475またはTesa7476に対してFINAT FTM3試験により測定して1000cN/インチ未満の剥離力を持つ0.3mm未満の薄いフィルムとして好ましくは使用される架橋ポリオルガノシロキサンであると定義される。
タイプA1)のポリマーはタイプB1)あるいはB2)の架橋剤成分により架橋可能である。成分B1)は反応性R含有ポリオルガノシロキサンおよびSiR含有オルガノシランから選択される。
【0078】
ポリマーA2)はタイプB2)の化合物により架橋可能である。成分B2)は、SiH含有ポリオルガノシロキサンおよびSiH含有オルガノシランの基から選択される。
【0079】
ポリマーA3)は成分B2)により、あるいはA3)それ自身により架橋可能である。それゆえ、成分B3)はA3)またはB2)の基から選択される。
【0080】
架橋剤B1)は、好ましくは、触媒の存在下で反応性である基を含んでなるタイプA1)のポリマーの硬化を好ましくは可能とせしめ、そしてA1)の反応性基との縮合反応を起こすことができる。カテゴリー1のこれらの反応性基は、ポリマーA1)と一緒に主な網目形成反応に参加する基である。SiR中の反応性加水分解型残基Rは下記に定義する基から選択される。
【0081】
のタイプに依って、A1)およびB1)の反応性基は、基材または外周空気などの環境により提供可能な更なる痕跡の水を必要とする。
【0082】
大まかに規定された、本発明の組成物の成分B1)は、二価基Rにより結合される1個以上のケイ素原子を場合によっては含有する縮合型基Rの付いた任意の反応性オルガノケイ素化合物である。
【0083】
全体の分子がA1)と反応性である2個以上の官能基を含んでなる限り、このケイ素原子は他の更なる基Rを含んでなることができる。
【0084】
前記二価基Rの例は上記に定義されている。
【0085】
好適なこととして、この架橋剤は、群M=RSiO1/2、M*=RRSiO1/2、D=RSiO2/2、D*=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、T*=RSiO3/2、SiO4/2から選択されるシロキサン単位から、あるいは一般式ReRSiOR(2−e)(式中、e=1または2およびR)からなる。
このことは、ポリマーB1)が一般式(IV)、
[Ma3b3c3d3 (IV)
の比により記述可能であるということを意味する。
式中、シロキシ単位はポリマー鎖中でブロックであるいはランダムに分布可能である。
ポリシロキサン鎖内で各シロキサン単位は同一であるか、あるいは異なることができ、そして
m=1−2000
a3=1−10
b3=0−500
c3=0−50
d3=0−1
である。
【0086】
上記に挙げたインデックスは数平均分子量M基準での平均重合度を表すべきである。
【0087】
この分子中に存在するM−、D−T−およびQ−単位に対する範囲は、流体、流動型ポリマー、液体および固体の樹脂を表すほとんどすべての値を網羅することができる。低分子量と部分的に加水分解可能なこれらの縮合生成物を有する、C−CアルコキシまたはSi−ヒドロキシ基を含んでなる液体シランまたはシロキサンを使用することが好ましい。
基RあるいはRの付いたシロキサン単位は、各ケイ素原子に対して等しいか、あるいは異なることができる。
【0088】
各分子は1つ以上の基を独立に担持することができる。
【0089】
本発明の組成物中の成分B1)に対する反応性ポリオルガノシロキサンの好ましい構造は、式(IVa)〜(IVd)のシランまたは縮合シラン/シロキサンである。
Si(OR)(4−f)(式中、f=0、1、2、3または4)(IVa)
{[SiO4/2]}[R1/2n1m1 (IVb)
{[RSiO3/2][R1/2n1m1 (IVc)
{[SiO4/2][R1/2nl[RSiO1/20.01−10[RSiO3/20−50[RRSiO2/20−500m1 (IVd)
式中、R1/2はケイ素におけるアルコキシあるいはヒドロキシ残基、好ましくはヒドロキシ、メトキシまたはエトキシであり、好ましいインデックスは
m1=1〜100
n1=0.01〜4
a3=0.01〜10
b3=0〜500
c3=0〜50
d3=1
であり、
は前に定義の通りであり、
Rは前に定義の通りであり、
はRまたはヒドロキシ、水素、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどのn−、iso−、tert−またはシクロC−C25アルコキシ、アセトキシなどのカルボキシ、アルキルアミド、ベンズアミド、ブタノンオキシムなどのアルキルオキシモ、プロペン−オキシなどのアルケニルオキシ、ハロゲン炭化水素、ハロゲン、プソイドハロゲン、シランあるいはシロキサン残基を含有するアリールオキシである。Rに対する好ましい基は、同一分子中で単独あるいは一緒のヒドロキシ、メトキシ、エトキシまたはアセトキシである。
【0090】
ポリマーB1)は単一の成分として、あるいは異なるタイプのB1)の混合物として追加の痕跡の水を添加あるいは無添加で塗布可能である。痕跡はB1)に対して0.01〜5重量%を意味する。
B1)中の分子量はより小さく、分子当たりのB1)中の官能基の量はA1)におけるよりも多い。
【0091】
成分B1)に対する分子量は決定的ではない:しかしながら、R=メチルの場合にはポリオルガノシロキサン成分B1)は3mPa.sからの、すなわち3〜2000mPa.sの25℃における粘度を有するのが好ましい。加えて、この粘度は、RおよびR置換基の内容に依存するが、R基としてメチル基のみを含有するポリオルガノシロキサンに対しては、Mとしての分子量の範囲は136と100,000g/モルの間である。架橋剤B1)は分子当たり少なくとも2個を超える反応性基Rを有しなければならない。
【0092】
反応性基Rの濃度は、0.5−70ミリモルSiR/gの範囲にあり、好ましい範囲は2〜68ミリモル/gである。
【0093】
架橋剤B1):ポリマーA1)の比はB1)およびA1)中の反応性基の比により計算可能である。
【0094】
硬化網目構造中のしかるべきレベルの多官能性の構造を確保するために、1〜20:1の過剰の反応性基B1):A1)を有することが好ましい。
【0095】
ポリマーA2)は好ましくは成分B2)の架橋剤により架橋可能である。成分B2)は、シロキサン単位M=RSiO1/2、M*=RYSiO1/2、D=RSiO2/2、D*=RYSiO2/2、T=RSiO3/2、T*=YSiO3/2、Q=SiO4/2を含んでなるSiH含有ポリオルガノシロキサンおよびSiH含有オルガノシランから選択される。このことは、ポリマーB2)が一般式(V)、
[Ma4b4c4d4m2 (V)
の比により記述可能であるということを意味する。
式中、シロキシ単位はポリマー鎖中でブロックであるいはランダムに分布可能である。
ポリシロキサン鎖内で各シロキサン単位は同一であるか、あるいは異なることができ、そして
m2=1〜2000
a4=1〜10
b4=0〜1000
c4=0〜50
d4=0〜1
であり、
そしてこれらのインデックスは数平均分子量基準での平均重合度を表すべきである。
【0096】
この分子中に存在するM−、D−、T−およびQ−単位に対する範囲は、流体、流動型のポリマー、液体および固体の樹脂を表すすべての値を網羅することができる。低分子量の、すなわち1,000,000g/モルより小さい、好ましくは75,000g/モルより小さい液体シロキサンを使用することが好ましい。
【0097】
基RあるいはYの付いたシロキサン単位は各ケイ素原子に対して等しいか、あるいは異なることができる。各分子は1つ以上の基を独立に担持することができる。本発明の組成物中の成分B2)に対する反応性ポリオルガノシロキサンの好ましい構造は式(Va)〜(Vd)のシロキサンである。
【0098】
これらの単位により構成される好ましい構造は、
YRSiO(RSiO)(RYSiO)SiRY (Va)
YMeSiO(MeSiO)(MeYSiO)SiMeY (Vb)
MeSiO(MeYSiO)SiMe(Vc)
(式中、
z=0〜1000
p=0〜100
z+p=b4=1〜1000
である)
および式
{[YSiO3/2](RO)n2m2 (Vd)
{[SiO4/2]}[R1/2n2[RYSiO1/20.01−10[YSiO3/20−50[RYSiO2/20−1000m2 (Ve)
(式中、
1/2はケイ素におけるアルコキシ残基であり、
m2=1〜2000
n2=0.001〜2
a4=0.01−10
b4=0−1000
c4=0−50
Y=水素またはR
であり、
Rは上記に定義され、好ましい基Rはメチルである)
の構造から選択される。
【0099】
類(Vd)および(Ve)の一つ好ましい例は、例えば式[(MeHSiO)Q]m2により表されるモノマー型ないしポリマー型化合物である。
【0100】
式(Va)〜(Vc)の他のタイプの好ましい化合物に対するインデックスzおよびpは、GPCによりポリスチレン標準に対して測定される平均Pnを基準とした数平均分子量Mとして定義して0−1000の範囲にある。
【0101】
このSiH濃度は0.2〜17ミリモル/gの範囲にある。R=メチルであり、z>0である好ましいタイプの式(Vb)の一つにおいては、このSiH濃度は好ましくは0.2〜7ミリモルSiH/gの値を有する。R=メチルに対する式(Vc)におけるようにz=0である場合には、このSiH濃度は好ましくは7−17ミリモルSiH/gである。
【0102】
本発明の組成物中の成分B2)に対する好ましい好適な構造の他の例は、HMeSiO(MeSiO)SiMeH、MeSiO(MeHSiO)SiMe、HMeSiO(MeSiO)z1(MePhSiO)z2(MeHSiO)SiMeH、(MeHSiO)p、(HMeSiO)SiおよびMeSi(OSiMeH)を含む。成分B2)は1つポリオルガノシロキサンポリマーの単一の成分またはこれらの混合物として使用可能である。好ましい選択肢においては、式(Vb)および(Vc)の混合物が使用される。硬化速度の増加を必要とする場合には、硬化速度を更に高い速度に調整するために、いくらかのHMeSiO0.5単位を有するオルガノポリシロキサンB2)を有することが好ましい。
【0103】
好ましくは、成分B2)は、例えば5、10、20、40およびそれ以上などの結合水素原子を持つ平均2つ以上のケイ素単位を含有する。
【0104】
成分B2)の量はA2)およびB2)の反応性基の化学量論により与えられる。Si−アルケニル:SiHの異なるモル比を用いて、適切な剥離力を得ることができる。すなわち、Si−アルケニル:SiH比は、少なくとも、ケイ素に結合した不飽和基がSiH基と完全に反応することができる値に対して調整される。副反応に対してしかるべき過剰のSiHを提供することが注目に値する。Si−アルケニル:SiHのこのような比は、1:0.5〜20の範囲に、好ましくは1:1〜5の、特に好ましくは1:1〜3.5の範囲になければならない。アルファ−オレフィン溶剤のように非ケイ素オレフィンを使用する場合には、B2)の量はすべてのアルケニル基の和に調整される。
【0105】
ポリマーA3)は、成分A1)、B1)、B2)の一つにより、あるいはA3)それ自身により、あるいはポリオルガノシロキサンA3)との光開始反応または光活性化された反応を行うことができる他の別の成分B3)により架橋されて、適切な剥離性の架橋ポリマー表面を得ることができる。
【0106】
列挙されたケイ素含有ポリマーA)あるいはB)のほかに、成分B3)は、選択された化合物B3)の各々が好ましくは1分子当たり2個以上の官能基を有する限り、脂肪族あるいは芳香族あるいはポリエーテル鎖を持つオリゴマー型ポリヒドロキシ、ポリメルカプト、ポリアミノ、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリロキシウレタン化合物のC〜C1000の有機化合物からなる群から選択可能である。これらの分子は、必ずしもケイ素含有化合物から構成される必要はない。適合可能な多数の他の多官能性のモノマー型、オリゴマー型あるいはポリマー型有機分子も存在する。
【0107】
成分B3)がポリオルガノシロキサンA3)またはB2)から選択される場合。
【0108】
一つ態様においては、成分b3)はシロキサン構築単位を含有するA3)の下位群であり、これらの基はM=RSiO1/2、M*=RZSiO1/2、D=RSiO2/2、D=*RZSiO2/2、T=RSiO3/2、T*=ZSiO3/2、Q=SiO4/2、またはZSi(OR)(4−f)(式中、f=2、3または4あるいは一般式(VI)を有するもの)の単位から選択される。
このことは、ポリマーB3)が一般式(VI)、
[Ma5b5c5d5m3 (VI)
の比により記述可能であるということを意味する。
式中、B3)がポリマーである場合には.シロキシ単位はポリマー鎖中でブロックであるいはランダムに分布可能である。ポリシロキサン鎖内で各シロキサン単位は同一であるか、あるいは異なることができ、そして
m3=1−1000
a5=1−10
b5=0−1000
c5=0−50
d5=0−1
であり、そして
これらのインデックスは数平均分子量基準での平均重合度を表すべきである。
【0109】
この分子中に存在するM−、D−、T−およびQ−単位に対する範囲は、流体、流動型ポリマー、液体および固体樹脂を表すほとんどすべての値を網羅することができる。100,000までの、好ましくは50,000g/モルまでの低分子量の液体シロキサンを使用することが好ましい。基RあるいはZの付いたシロキサン単位は、各ケイ素原子に対して等しいか、あるいは異なることができる。各分子は1つ以上の基ZおよびRを独立に担持することができる。
【0110】
本発明の組成物中の成分B3)に対する反応性ポリオルガノシロキサンの好ましい構造は、
式(VIa)〜(VId)のシロキサンである。
ZRSiO(RSiO)z3(RZSiO)p3SiRZ (VIa)、
ZMeSiO(MeSiO)z3(MeZSiO)p3SiMeZ (VIb)、
MeSiO(MeZSiO)p3SiMe(VIc)、
{[ZSiO3/2][R1/2n3m3 (VId)、
{[SiO4/2][R1/2n3[RZSiO1/20.01−10[ZSiO3/20−50[RZSiO2/20−1000m3 (VIe)
(式中、
1/2はケイ素におけるアルコキシあるいはヒドロキシ残基、好ましくはヒドロキシ、メトキシまたはエトキシであり、好ましいインデックスは、
m3=1〜100
n3=0.001〜3
a5=0.01〜10
b5=0〜200
c5=0〜50
d5=0〜1
であり、
Rは上記に定義の通りであり、好ましい基Rはメチルである)。
【0111】
ZはRであるか、あるいはヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル−、エポキシ−アルキル、メルカプトアルキルの付いたn−、iso−、tert−、環状C−C30オルガノ基、イソシアナト−アクリロキシ置換アルキル−、アルキルアリール−、ビニルエーテル、アクリロキシウレタン基である。
【0112】
成分B3)は、これらのケイ素無しで基Zから選択される残基を含んでなる対応する多官能性有機化合物であることができる。
【0113】
インデックスz3およびp3は
z3=z
p3=B2)で定義したようなp
として定義される。
好ましい基Rはメチルである。
【0114】
反応性基の濃度は0.002と50モル/gの間の広い範囲を網羅する。この濃度は分子量と成分B3)の分子当たりの官能基の量に極度に依存する。
【0115】
例えば成分A2)、B2)およびC2)を光開始硬化型システムとして使用する場合には、架橋剤B3):ポリマーA3)の比はB3)およびA3)中の反応性基の比により計算可能である。次に、好適なこととしては、この比はB2)およびA2)のようなシステムに類似し、0.5〜20:1の比である。A3)がイオン性あるいはラジカル機構のような光誘起ヒドロシリル化と異なる硬化機構により硬化されなければならない場合には、A3)およびB3)は基Zにおいて同一であるか、あるいは異なることができ、そして第2の成分B3)の目的は異なる被覆性をもたらすために異なる量の官能基を提供することである。
【0116】
1〜20:1の比のA3)と比較して過剰の反応性基B3)を有し、A3)よりもB3)の官能基数が高く、そして分子量が小さいことが好ましい。
【0117】
好ましい類のB3)はタイプB2)の架橋剤、すなわち水素シロキサン、ビニルシロキサンなどのポリマーA2)またはエポキシ−あるいはアクリロキシシロキサンまたはシロキサンB3)などのポリマーA3)である。ここで、成分B3)は、好ましくは例えば、5、10、20、40より大の平均3個以上の光反応性基を含有する。
【0118】
成分B3)の量は前記の定義の範囲内で適切な剥離力を得る目的で調整される。すなわち、出発生成物A3)と存在する場合にはB3)の反応が反応性基の完全な転換(turnover)を得るために調整される。別の他の方法は、硬化時間、温度レベルを最適化し、そしてA3)中の官能基の濃度を最適化して、フィルムの適切な剥離性、機械的強度および可撓性を得るために所望なほど完全な硬化結果を確実なものとすることである。
【0119】
本発明の組成物は、触媒C1)、C2)および増感剤C3)またはラジカル開始剤C3)の群から選択される少なくとも1つ成分C)を含有する。
縮合反応により硬化可能なベースポリマーA1)を含むポリマー型組成物システムは、タイプC1)の化合物により触媒され得る。触媒C1)は、種々の有機金属化合物、好ましくはオルガノスズ、チタン、亜鉛、カルシウム化合物の群から選択されるが、ルイス酸またはブレーンステッド酸あるいは塩基が使用可能であり、好ましい酸または塩基は低蒸気圧のこのようなタイプであり、C−C炭素酸あるいはアルキルアミンである。
【0120】
好ましい類のオルガノ金属化合物は、ジアルキルスズオキシド、ジアルキルスズオキシドとテトラアルコキシシランとの反応生成物、ジブチルスズジラウレート、第一スズオクトエート、ジブチルスズジオクトエート、亜鉛オクトエート、テトラアルコキシチタネートまたはC−C10カルボン酸残基のアルコキシチタンキレートのような塩である。シラノール鎖で停止されたガムA1)を基準として、例えば0.3重量%〜10重量%のスズ触媒(金属として)が存在すべきである。0.3%より下のレベルでは、低温における充分に迅速な硬化は得られない。このような触媒の他の配合物は、好ましくは少なくとも10−10の解離定数の一級、二級、三級アミン、脂肪族アルデヒドと一級アミンとの縮合生成物、チタネートエステルのような金属のカルボン酸塩、およびアルカリ金属フェノキシドである。このような触媒の特定な例は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第3,527,659号の3欄、19−54行に述べられている。本発明のポリマーA1)用の特に有用な硬化触媒は、アセテート、テトラアルキルアンモニウムアセテートまたは他のようなベンジルトリメチルアンモニウム化合物などの四級アンモニウム塩である。その他については米国特許第3,819,745号を参照のこと。
【0121】
ヒドロシリル化反応または輻射線にアシストされた付加反応により硬化可能なベースポリマーA2)を含むシステム用の触媒は、タイプC2)の光活性化型化合物により接触(catalyzed)可能である。触媒C2)は種々の有機金属の群から選択され、ここで、この金属はNi、Ag、Ir、Rh、Ru、Os、PdおよびPt化合物の群から選択される。本発明の組成物のヒドロシリル化反応用の成分C2)は、成分B2)のケイ素と結合した水素原子と成分A2)のケイ素と結合したオレフィン系炭化水素基との反応を促進する触媒化合物であり、任意の白金族金属含有触媒成分であることができる。触媒C2)は白金族に属し、この明細書中では前記の金属の錯体、金属コロイドまたは塩を含む。この触媒は、シリカゲルまたは粉末化チャーコールなどのキャリア上に存在することができ、白金金属、または白金金属の化合物または錯体を担持する。好ましくは、成分C2)は任意の白金錯体化合物である。
【0122】
本発明のポリオルガノシロキサン組成物中の通常の白金含有触媒成分は、オルガノシロキサンシステム中での分散性が容易であるために、例えば容易に入手可能な六水和物のアルコール性溶液の形などのクロロ白金酸のいかなる形でもよい。この白金錯体の特に有用な形は、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第3,419,593号により開示されているように1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和オルガノケイ素化合物とのPt(0)−錯体である。
【0123】
本発明の組成物のすべての他の成分の存在下で所望の温度で必要とされる時間でA2)とB2)の間のヒドロシリル化を加速するのに充分な量が存在する限り、本発明の組成物で使用される白金含有触媒成分の量は、狭く限定はされない。前記触媒成分の厳密な必要な量は、個々の触媒、他の禁止剤化合物の量およびSiH:オレフィン比に依存し、そして容易には予測できない。しかしながら、クロロ白金酸に対しては、前記量はコストの理由により可能な限り小さくし得る。
【0124】
好ましくは、他の未定義の痕跡の禁止剤の存在下での硬化を確実なものとするために、オルガノケイ素成分A2)およびB2)の100万重量部毎に1重量部より大の白金が添加されるべきである。本発明の被覆方法により使用される本発明の組成物に対しては、適用される白金含有触媒成分の量は、好ましくはポリオルガノシロキサン成分A2)プラスB2)の重量当たり重量で1〜1000ppmの、好ましくは5〜500ppmの、特に好ましくは20〜100ppmの白金をもたらすのに充分な量である。紙キャリアがシロキサン剥離層用の基材として使用される場合には、好ましくは、前記量はA2)およびB2)の和当たり重量で少なくとも10ppmである。
【0125】
光活性化型および光硬化型ベースポリマーA3)と場合によっては光活性化型あるいは光硬化型架橋剤B3)を含む第3のシステムは、大多数の場合輻射誘起硬化反応を開始するのに触媒の助けを必要とする。この反応はタイプC3)の化合物により触媒あるいは開始可能である。ポリマーA3)に場合によっては必要とされる触媒C3)は、この光反応を開始、あるいは触媒することができる金属有機オニウム塩C3.1)、タイプC3.2)の光増感剤、またはタイプC3.3)の開始剤のタイプの種々の触媒の群から選択される。それゆえ、化合物C3.1)は、WO95/25735、WO95/25734で開示されているオニウム塩錯体、または特別なPt錯体の群から選択される。すなわち、成分A2)およびB2)の間の光活性化によりヒドロシリル化を可能とせしめる、EP122008、EP1463074または米国特許第2003−0199603号などのすべての光活性化型Pt触媒も引用により包含される。
【0126】
本発明の方法において硬化に影響を及ぼすのに使用されるオニウム塩光触媒C3.1)は、文献で以前に述べられた触媒のいずれかであり得る。米国特許第4,977,198号によれば、このオニウム塩は、エポキシ官能性材料の硬化の接触での使用によく知られている。
【0127】
エポキシ官能性シリコーンは、触媒量のオニウム塩光開始剤と合体することによりUV硬化型とすることができる。エポキシ−シリコーン組成物に好適な光開始剤は、エポキシ官能性シリコーン流体に溶解するか、あるいはよく分散される能力を有するオニウム塩である。
【0128】
これらの触媒はジアリールヨードニウム塩の通常の溶解性を呈する。すなわち、クロロホルムおよびアセトンなどの極性有機溶剤に可溶であるが、ペンタン、ヘキサンおよび石油エーテルなどの非極性有機溶剤に不溶である。このような溶解性挙動は、エポキシ官能性シリコーン紙剥離組成物の迅速な光硬化を開始するためのこれらの塩の有用性を著しく制限する。米国特許第5,539,013号を参照のこと。
【0129】
開示されているオニウム触媒の大部分は米国特許第4,576,999号およびその中の参考文献で述べられ、そしてエポキシシリコーンを硬化する方法のための好ましいUV光開始剤は、一般式
11MX
11MX
11SeMX
11MX
11MX
(式中、
11により表される異なる基は、置換可能である、2〜20個の炭素原子の芳香族炭素環状基を含むC〜C30脂肪族炭化水素の付いた同一の、あるいは異なる有機基であることができる)
の「オニウム」塩である。
【0130】
この錯体オニウムアニオンは群MXから選択される。ここで、MXはBF、PF、AsF、SbF、SbCl、HSO、ClOなどの非塩基性、非求核性アニオンである。米国特許第4,421,904号は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0131】
B(C−などのEP0703236または米国特許第5,866,261号のボレートタイプなどの他のオニウム触媒は当分野で既知である。
【0132】
この光開始剤は単置換−あるいは多置換のモノ、ビスまたはトリスアリール塩であり得る。
【0133】
この錯化オニウムカチオンは群VII、VIおよびVの元素から選択される。
【0134】
米国特許第4,882,201号で開示されているように、基材上に被覆されたエポキシシリコーンの輻射線開始硬化は、水銀アークランプ(高圧、中圧および低圧)、キセノンアークランプ、高強度ハロゲンタングステンアークランプ、マイクロウエーブ駆動アークランプおよびレーザーなどのUVランプにより実施可能である。加えて、例えば60Coを用いるイオン化輻射線も輻射源として有用である。この後者の場合には、このイオン化輻射線はエポキシシリコーン被膜の硬化を開始する機能をする。未硬化ポリマー層を輻射線に当てる。次に、このように被覆された基材を例えば200ワット/インチの収束出力を与える2つの中圧水銀蒸気紫外線ランプに暴露した。1秒未満の硬化によりシリコーン剥離層の透明な、光沢性の非汚染性表面を得た。
【0135】
ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアーセネートおよびビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および(4−オクチルオキシフェニル)(フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのビス−ジアリールヨードニウム塩が触媒としてMXタイプ内で特に好ましい。米国特許第4,421,904号も参照のこと。これらの塩はエポキシシロキサンの光誘起硬化の実施において最も好ましい。
【0136】
この光触媒は、例えば1,3−ビス(グリシジルオキシプロピル)−テトラメチルジシロキサン中の50重量%溶液の形で溶解可能である。このようなシステムにおいては、タイプC3.2)の増感剤が使用される。加えて、イソプロピルチオキサントンなどの増感剤も15モル%のヨードニウム塩の濃度で存在することができる(米国特許第4,279,717号)。
【0137】
第2の群の触媒は、フリーラジカル光開始剤、ベンゾフェノンおよびこれらの誘導体、ベンゾインエーテル、アルファ−アシロキシムエステル、アセトフェノンおよびカンファーキノン誘導体、ベンジルケタール、ケトンアミン誘導体の群から選択される群C3.2)の化合物である。これらの光開始剤の好ましい例は、エチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ジメトキシ−フェニルアセトフェノンおよびジエトキシアセトフェノンを含む。
【0138】
UV硬化型エポキシ、特にアクリル官能性シリコーン組成物は、上述のアクリル官能性シリコーンをこの組成物中に含有されるアクリル基の架橋を有効に開始する触媒量のフリーラジカルタイプ光開始剤と合体することにより製造可能である。
【0139】
光開始剤C3.2)は、4重量%のジエトキシアセトフェノン光開始剤の量でベースポリマーA3)中に存在する。
【0140】
このような開始剤の商標は、例えばDarocure RTM.1173(E.M.Chemicals)、Ciba−Geigyから入手可能なIrgacure 651光開始剤、ベンゾインエーテルタイプのフリーラジカル開始剤である。この光開始剤は、剥離被膜組成物A)+D)の全重量の約0.1重量%〜約5重量%の濃度で一般に使用される。
【0141】
本発明の剥離被膜組成物は、硬化時直ちに所望のレベルの剥離を有する被膜を提供する。このように、この組成物は、接着剤被覆されたラベルおよびテープの集積された製造での使用に好適である。
【0142】
第3の群のタイプC3)の触媒は、加熱開始−あるいは光活性化型基開始ペルオキシあるいはアゾ基含有化合物の群C3.3)から選択される。好ましい光開始剤は、Edwardsへの米国特許第3,211,795号、Hatanakaへの米国特許第4,451,634号およびEckbergへの米国特許第4,558,147号により開示されている。簡単に言えば、Eckbergは、一般式R12−O−O−CO−C−Zを有するしかるべきペルベンゾエートエステルを開示している。式中、R12は一価アルキルあるいはアリール基であり、そしてZは水素、アルキル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、またはアミドである。Z置換基の性状はペルオキシ結合の安定性に影響を及ぼす。好ましいペルベンゾエートエステルは、t−ブチルペルベンゾエートおよびそのパラ−置換誘導体、t−ブチル−ペル−p−ニトロベンゾエート、t−ブチルペル−p−メトキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−p−メチルベンゾエートおよびt−ブチルペルオキシ−p−クロロベンゾエートを含む。光開始剤としてt−ブチル−ペルベンゾエートおよびこの誘導体に加えて、Eckbergらは、しかるべき光増感剤の包含が反応性を増進するということを開示している。この光増感剤はタイプC3.2)のポリ芳香族化合物であることができる。
【0143】
Edwardsらは、米国特許第3、211、795号においてペルオキシドまたは紫外線輻射よりも優れているとしてしかるべきアゾ化合物を教示している。このような好ましいアゾ化合物の例はアゾジイソブチロニトリルである。
【0144】
特別な状況における使用への適合性が当分野の熟練者により容易に確かめられる他の光開始剤は、米国特許第3,759,807号、米国特許第3,968,305号、米国特許第3,966,573号、米国特許第4,113,592号、米国特許第4,131,529号、米国特許第4,130,600号、および米国特許第4,348,462号で述べられている。これらの特許のすべては、光開始剤に関する教示に対する開示のために引用により本明細書に組み込まれている。
【0145】
例えばこの不飽和炭化水素への光活性化型例えばメルカプタンの付加が得られる限り、使用される光開始剤の量は決定的でない。いかなる触媒についても、可能な限り最少の有効量を使用することが好ましい。一般に、光開始剤の量は少なくとも0.5重量部であり、そして100重量部のポリオルガノシロキサンA3)基準で約0.5〜約10重量部のどこかであることができる。
【0146】
本発明の組成物の最も重要な成分は、PSAと呼ばれる感圧接着剤の成分D)としての使用である。このような感圧接着剤(PSA)、特にケイ素含有感圧接着剤の製造方法の米国特許第5,576,110号などの多数の開示がある。本発明の段階は、好ましい構造の既知のPSAの一部が当分野で既知のCRA(制御された剥離剤)としばしば呼ばれるMQ樹脂タイプなどの既知の剥離変成剤を更に効率的な化合物により置き換えることができるということを見出すことである。当分野の現状技術によるこのようなCRA化合物は、本発明の選択されたPSAと比較して有効性が低いために、大量で使用されなければならない。PSAが接着層として使用されるすべてのこれらの用途との差異は、本発明においては、これらの感圧接着剤が剥離層の組み込まれた部分として使用されるということである。言い換えれば、本発明においてはPSAは任意の剥離表面上に別な層として配置されず、剥離マトリックスあるいは層中に組み込まれ、ここで組み込んだマトリックスを硬化した後で他の接着剤に対する剥離力を増大させる変成剤として作用する。本発明の開示は、入手可能なPSAタイプの全部が個別の剥離層マトリックス中の適切な剥離変成剤の最大効率を提供することはないことを示す。
【0147】
このような感圧接着剤組成物は、例えば「Adhesion and Bonding,Encyc1opedia of Polymer Science and Engineering,Vol.1」,pp.476−546,lnterscience Pub1ishers,Second Ed.,1985で述べられている。このようなポリマー型組成物は、一般に、天然あるいは再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンまたはスチレン−イソプレンブロックコ−ポリマー、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルエーテル)またはポリ(アクリル)エステルなどの接着性ポリマーを主要成分として含有する。ロジンエステルを含む樹脂状粘着性付与剤、油溶性フェノールおよびポリテルペン、酸化防止剤、鉱油または液体ポリイソブチレンなどの可塑剤、および充填剤、例えば酸化亜鉛、シリカまたは水和アルミナなどの他の材料が感圧性接着剤組成物中に包含され得る。
【0148】
Encyc1opedia of Polymer Science and Engineering,Vol.1,John Wiley & Sons,New York,(1985),p.551によれば、用語「感圧接着剤」は、この明細書中で使用されるように、乾燥した形で、室温、すなわち25℃で永久に粘着性であり、そして単に接触した時に表面にしっかりと接着する接着剤を指す。
【0149】
加えて、本発明のPSA化合物は、融解挙動と剥離マトリックスあるいは層の主要部分との混和性により定義される。本発明のPSAは組み込み剥離マトリックスA)およびB)と溶解性であるか、あるいはある程度の混和性を示す。この態様においては、感圧接着剤は、移行性成分の有無において約−40℃〜約25℃の範囲の平衡転移融解温度、Tを有する(p.173−174 of Donatas Satas,Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,2nd Edition,VanNostrand Rheinhold,New York(1989)で述べられているように)。
【0150】
成分D)の最も重要な特徴は、ラベルに普通に使用されるこれらの剥離型接着層と接触させられた場合、これらと接着する他の層と不可逆的に反応することなく、粘着性表面を有するということである。
【0151】
PSAは本発明の剥離組成物、例えばポリジメチルシロキサンA)と実質的に完全に溶解性であるということが好ましい。これは、成分A)、B)およびD)の組成物が混合後に透明(clear)であり、透過性(transparent)であるということを意味する。しかし、これは、剥離型の層として接触させられる接着層の化合物と溶解性であることができるか、あるいは溶解性であることができない。加えて、平衡転移温度Tによる融点は、示差走査熱量分析(DSC)により測定して25℃よりも低く、好ましくは10℃よりも低くなければならない。
【0152】
好適なPSAは、ポリオルガノシロキサンの群からのみならず、PSAに対する要求の2つが充たされる限り、上記に定義した接着剤などの他の有機PSAポリマー、好ましくはアクリルまたはウレタンからも選択可能である。
【0153】
本発明の意味において、感圧接着剤は、剥離層マトリックスに対する、そして対応物(counterpart)接着剤に対する定義された溶解性パラメーター差、ならびにこの明細書で開示された剥離力測定方法により定義される少なくともしかるべきレベルのタッキネスを示す好ましいT範囲を持つ有機ポリマーである。Finat試験方法FTM1により測定される剥離接着は、少なくとも500cN/インチ、好ましくは700cN/インチより大の値を有しなければならない。少なくとも2つのこれらの条件は、大多数の場合ラベルの接着層である各マトリックス層に対して充たされなければならない。
【0154】
一般に、感圧接着剤は、層の可使用寿命の期間感圧接着性を保持する接着性の化合物である。米国特許第6,565,969号を参照のこと。
【0155】
本発明で使用される純粋な感圧接着層は、通常、室温(25℃)で少なくとも3ケ月、好ましくは少なくとも12ケ月貯蔵した後感圧接着性を保持する。好ましくは、接着性は40℃で少なくとも約20日間使用可能である。PSAは接着性の対応層に対する不可逆的な測定可能な化学結合を生じない。
【0156】
任意の接触層からの移行性成分に耐性と考えられない感圧接着剤の例は、反応性成分が感圧接着層の中に移行する可能性があり、そして結合する前に硬化反応を行う可能性があるものである。このような感圧接着層は、化学硬化の度合いが低くとも感圧接着剤としてもはや有効に機能しない。
【0157】
一つの類の好ましい感圧接着剤は、このような表面のいずれかの上で25℃で使用され、試験される場合、結合性層または剥離マトリックスと実質的に非混和性である。語句「実質的に非混和性」は、この明細書中で使用されるように、接着剤の表面上に堆積した場合成分が相互混合しない接着層および感圧接着剤化合物を指す。
【0158】
感圧接着層が、他の接着層の任意な移行性成分に対する実質的な抵抗性またはこれとの任意の実質的な相互作用の欠如のいずれかを有して、感圧接着性が保持される。言い換えれば、結合性層のいかなる移行性成分も感圧接着剤の感圧接着特性に実質的に影響を及ぼさない。
【0159】
感圧接着層が、純粋な層として任意の他の結合性あるいは剥離層に塗布される場合にそれらの間の「実質的非混和性」を得る一つの方法は、PSAとの接触を有する任意の移行性成分の溶解性パラメーターとは実質的に異なるHildebrandのそれによる溶解性パラメーターを有する感圧接着層を使用することである。用語「実質的に異なる」は使用されるように、少なくとも約1(cal/cm0.5の、通常少なくとも1.1(cal/cm0.5の、好ましくは少なくとも1.2(cal/cm0.5の溶解性パラメーター差を一般に指す。
【0160】
溶解性パラメーターは、E.A.Grulke「Polymer Handbook:3rd Edition」,J.Brandrup,E.H.Immergut,and E.A.Grulke,Editors,John Wiley and Sons,1999,Section VIIで述べられている。溶解性パラメーターは、Fedors,Polym.Eng.and Sci.,14(1974),147およびWO98/21287で述べられるように実験的に定量可能であるか、あるいは計算され得る。
【0161】
もう一つの類の感圧接着剤は、時々Tと誤られるか、あるいは上述の溶解性パラメーター差が充分に大きくない場合にはこれと同一である平衡融解転移温度Tと表現される融点の範囲を特徴とする。感圧接着層として機能する能力を失わずに他の層からのある量の移行性成分の存在が許容される。
【0162】
を求める好適な方法は、測定周波数をほぼ1Hzで固定しながら、試料温度を変えることにより、動的機械的走査のtanデルタピークの最大を測定することである。
【0163】
例えばFoxの式を用いる測定の他の詳細には、L.H.Spelling,「Introduction to PhysicA Polymer Science,2nd Edition」,John Wiley & Sons,New York,p.357(1992) and T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.,1、123(1956)を参照のこと。
【0164】
個々の用途に対する多数の好適な感圧性接着剤をよく知っている当分野の熟練者には、本発明の任意の複合物で使用される感圧性接着剤の選択は広い範囲の濃度において決定的でない。この選択は剥離マトリックスの溶解性とラベル層上の剥離型接着剤の溶解性を考慮に入れる。
【0165】
今までCRAとして既知の剥離変成添加物の内で、多数の樹脂様の構造が開示され、高剥離力をもたらす。しかしながら、特に最も普通に使用されるいわゆるMQケイ素樹脂は固体である。純粋な固体化合物としての、あるいは剥離マトリックス中に分散されたこれらのタッキネスは極めて効率的でない。加えて、これらの樹脂は、紙剥離組成物中の変成成分としての使用の前に明確な溶解性パラメーターを持つ有機溶剤に溶解されなければならない。溶解されたCRAは剥離組成物の1〜20重量%の範囲で塗布されるか、あるいはアルファ−オレフィンなどの反応性基を担持しなければならないので、この溶剤は、硬化された剥離層中に組み込まれるようになるように使用前に蒸発されなければならない。シロキサン単位MおよびQと場合によって少量のD−あるいはT単位を含有する当分野の現状技術によりCRAとして使用されるこのような樹脂の有効性は極めて低い。EP400614A1で開示されているCR−添加物による少量のT−あるいはD単位の添加は、これらの剥離変成剤の性能を著しく変えない。
【0166】
EP400614で開示されているよりも多量のD−あるいはT−単位を有するポリマー型前駆体を含有するMQ−およびD−単位の反応生成物を合成し、使用して、流動型あるいはガム様の、高粘性の(すなわち、25℃ D=1s−1で1−1000kPa.s)反応生成物、特にブロックポリマーを縮合反応の条件下、あるいは樹脂状MQ−およびガム様D−単位含有成分の共重合を可能とする他の反応により得る場合、更に効率的な剥離変成添加物を得る方法は予期されないものであった。
【0167】
好ましい態様においては、このPSAは、D:Qのモル比が>1であるDおよびQ単位を含んでなるオルガノシリコーン樹脂である。
【0168】
この硬化型剥離組成物中で成分D)として使用されるポリマーは、
−少なくとも1つM単位
−少なくとも1つQ単位、および
−少なくとも1つD単位.
のシロキサン単位を含んでなるポリオルガノシロキサンから選択される。
【0169】
好ましくは、成分D)は少なくとも2つの前駆体ポリマーの反応生成物であり、そして加えて好ましい態様においてはこの反応生成物のモル比D:Qは>1である。好ましくは使用されるPSAは25℃で固体であるMQ樹脂と、流動型のポリオルガノシロキサン前駆体、好ましくは実質的にD−単位からなるポリオルガノシロキサンジオールとの反応生成物である。好ましい構造(IX)は、MQ樹脂ブロックとこのガムのD−単位の間の明確な比を示し、そしてプレポリマーの反応、D単位を表す流動型ポリオルガノシロキサンの鎖長、および前駆体によりもたらされる反応の後のポリマーの構造により規定される。基礎的な立場に関して、式(IX)に示すようにタイプ[H][V]の全く純粋なブロックポリマーの生成を反応条件と好適な出発生成物が達成できないことが明らかである。多分、式(VIII)の単位[H]および[H]あるいは[V]および[V]の前駆体の間に多数の他の副反応が存在し、少なくとも変化された分子量分布で終結する。それゆえ、少なくとも30モル%以上のD)の前駆体成分は前とは異なる分子量を有しなければならない。出発材料[H]および/または[V]の分子量の増加を有することが好ましい。重合または縮合反応の結果として、水、アルコール、カルボン酸またはR基とH原子の間の反応を含む生成物の群から選択される少なくとも副生成物が存在する。
【0170】
この好ましいPSAタイプは、M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2およびQ=SiO4/2からの基からのシロキサン単位を含んでなるポリジオルガノシロキサンブロックポリマーであり、この分子中で異なる構造および配列でブロックあるいはランダムに配列可能である。
式中、Rはヒドロキシ、C−C30アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、オキシモ、アルケニルオキシ、アミノ、アミドなどの、ビニル、フェニル、スチリル、3−クロロプロピル、クロロメチル、4−エポキシシクロ−ヘキシルエチル、グリシジル−オキシプロピル、アクリロキシプロピルまたはメルカプトプロピル、またはRMeSiO0.5=M*、RMeSiO0.5=M*などのR、R、R、R、Rから選択され、これは各シロキサン単位中で同等であるか、あるいは異なることができる。
【0171】
Rは上記に定義されている。
【0172】
Rに対する好ましい基はメチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピルである。
【0173】
に対する好ましい基は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、アセトキシ、ビニルおよび4−エポキシシクロヘキシルエチル、グリシジルオキシプロピルおよびアクリロキシプロピル基である。
【0174】
成分D)の反応生成物中に存在する好ましいブロックポリマー構造の一つは、製造工程における段階の配列により、そして29Si−NMRにより支持される一般式(IX)により表現可能である。本発明は出発生成物と反応条件の比が下記に述べるのと同一である限り存在することができる他のタイプの反応生成物を排除しないために、次式は反応生成物の範囲を特定の縮合生成物に限定すべきでない。
【0175】
本発明の組成物の成分D)は、シロキサン樹脂、ケイ素ポリマーから、そして場合によっては有機溶剤中で製造され、少なくともM−を少なくともQ−単位を含んでなる樹脂状プレポリマーと少なくともD−単位を含んでなるガム様プレポリマーの間の反応生成物であるポリオルガノシロキサンから選択される。
【0176】
ここで、単位[H]および[V]は式(IX)
[(H)[(V) (IX)
の比により表される。
式中、
H=MQ−樹脂状基
V=ポリオルガノシロキサン基
n=1−100
y:xはモル比Q:Dが=1:0.3〜4、好ましくは1:>1であるモル関係である。
全モル比Q:Dまたはy:xに変形されたものが成分D)において充たされる限り、この式は[H][H](VIIIa)または[V][V](VIIIb)のように存在するすべての他の反応生成物(H)または(V)も含むものとする。
モル比y:xは大多数の場合モル比Q:Dの同一であるか、あるいはほぼ同一である。
単位[H]のプレポリマー成分はMQ−シロキサン樹脂であり、そして当分野で既知である。シリコーンMQ樹脂は主として単官能性のRSiO0.5単位と四官能性のSiO単位を含んでなる。これらのMQ樹脂は、下記に式(VIII)中で定義するように更なるD−および/またはT−単位を少濃度で場合によっては含有することができる。
[Ma6b6c6d6m4 (VIII)
式中、
m4=1〜3000、好ましくは5〜150
a6=0.01〜10、好ましくは0.3〜4、特に好ましくは0.6〜1.1
b6=0〜1、好ましくは=0
c6=0〜2、好ましくは=0
d6=1
である。
【0177】
この樹脂前駆体は、また、ケイ素に結合した縮合型基R、好ましくはヒドロキシまたはアルコキシも含んでなる。加えて、ケイ素原子に結合する残基Rの少なくとも一つがアルコキシあるいはヒドロキシ基により選択されるD−、T−あるいはQ−シロキシ単位により表される少量のいわゆる架橋剤が場合によっては存在することができる。
M、D、T、Q単位を持つこのような架橋剤は、存在する場合には、10重量%まで使用されて、PSA分子中で他の前駆体の間で更に密な網目を作る。
MQ樹脂と一般に呼ばれるプレポリマー型樹脂[H]は、好ましくは芳香族溶剤に可溶であり、式RSiO1/2により表されるM単位と式SiO4/2により表されるQ単位を含有する。MQ樹脂は主にMおよびQ単位からできているが、RSiOにより表される7モルパーセントまでのD単位と式RSiO3/2により表される14モル%までのT単位が[H]のプレポリマー中に存在することができることは認識される。この態様においては、前駆体樹脂[H]もMDTQ単位を含有する分子であることができる。次に、基Rは好ましくは上記で定義した基とRから選択される。好ましい基Rはメチル、メトキシ、エトキシまたはヒドロキシである。
【0178】
式(IX)の式[H]:[V]の比y:xは前駆体樹脂[H]のD単位無しで定義され、そして樹脂[H]のT単位は前駆体[H]のQ単位として処理され、そして計算される。
【0179】
MQ樹脂を前駆体[H]においてD−およびT単位無しで使用することが好ましい。
【0180】
ケイ素に結合する飽和アルキルあるいはヒドロキシ残基Rを持つMO樹脂を使用して、反応生成物を用いる剥離力の最大の増加を得ることが好ましい。これは、Rの一部の基が好ましくはビニル基である既知のCRA樹脂とは異なる。反応性基R、例えばビニル基の導入は、他方でタッキネスの弱化が受け入れられる場合には組成物A)とD)の間の硬化速度を増加させる手段である。あまりに多数の反応性基が存在する場合には、このタイプのRは、剥離マトリックスの硬化時に剥離ポリマーA)または架橋剤B)の反応性基との反応を起こす可能性があり、網目の一部となる。
【0181】
このような場合には剥離層のタッキネスは結果として減少可能し得る。
【0182】
他のタイプの反応性不飽和基Rは、また、例えば前駆体またはジシラザンのような相当する前駆体としてViMeSiOHから製造されるViMeSiO0.5などの更なる反応性M基とのSiOH基のシリル化による更なる反応の後MQ樹脂[H]またはポリマー[V]または反応生成物[H][M]の中にも導入可能である。
【0183】
MQ樹脂[H]は、好ましくはシラノールまたは若干の残存アルコキシ基などのケイ素に直接に結合する異なるタイプの反応性基を担持するプレポリマーである。これらの樹脂は、0.3〜4:1、好ましくは0.6〜1.1:1の範囲のM:Q比を有する。
この分子量は第1の試みにおいてはこの樹脂の標準化溶液の粘度によりほぼ特徴付けられる。
前駆体[H]の分子量分布は、ガム様前駆体[V]の分布または大部分のタイプA)のポリマーのような他の使用されるポリマーと比較して広い。
【0184】
=メチルに対してトルエン中60重量%で測定されるMQ樹脂溶液は、2〜20cStの粘度を有し、好ましくは、25℃およびD=1s−1の剪断速度でこれらの溶液は4と15cStの間の、特に好ましくは5と13cStの間の粘度しなければならない。
【0185】
MQ樹脂は好ましくはシラノール含有プレポリマーであるが、他の加水分解型基Rがヒドロキシの代わりに存在することができる。約0.6〜1.1:1のM:Q比を有するMQ樹脂構造[H]は、MQ樹脂プレポリマー[H]の全重量の一般に約0.2重量%〜約5重量%の、好ましくは約1重量%〜約3重量%の、そして最も好ましくは約1.5重量%〜約2.5重量%のSiOH基を含んでなる。
【0186】
シロキサン樹脂[H]の製造方法はDaudtらにより開示される。このような樹脂は、引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第2,676,182号および米国特許第2,736,721号で述べられている方法により提供可能である。これらのMQ樹脂は、水およびナトリウムシリケートを合体し、HC1などの水性酸と更に合体することにより一般に提供可能である。Daudtは、ヘキサオルガノジシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサンなど、または加水分解型トリオルガノシラン、例えばトリメチルクロロシランまたはこれらの混合物などのトリオルガノシロキシ単位の源とシリカヒドロゾルを酸性条件下で反応させ、そしてMおよびQ単位を有するベンゼン可溶性樹脂コポリマーを回収する方法を開示している。激しく撹拌した後、アルコールが添加され、そして更に撹拌した後、混合物がトリメチルクロロシランと合体され、そして数時間還流され、そこで有機溶剤が添加される。次に、樹脂溶液は水層から分離され、そしてストリップされて、酸性を低下させ、所望のシリコーン固体レベルを提供する。更なる架橋剤は、適用される場合には、B1)に示す式により表現可能である。
【0187】
好ましい態様においては、本発明のPSA化合物を製造するためのこのような架橋剤は、DおよびTシロキシ単位の付いたシランまたはシロキサンを含んでなり、分子当たりの少なくとも2個のRが存在して、PSAの製造方法内で更なる架橋効果をもたらすという前提で、各Rが独立にヒドロキシ、アルコキシ、好ましくは(C−C)−アルコキシ、または一価(C−C14)−炭化水素基である、式(IVa)または(IVb−IVd)により表される1つ以上の単位Tおよび/またはQ単位を含んでなる。
【0188】
このような架橋剤は、また、式(VIIIc)
TiO(4−e)/2 (VIIIc)
の構造単位を含有するポリ−(アルコキシシロキサン−アルコキシチタネート)コポリマーであることもできる。
式中、
各Rは上記のように定義され、そして「e」はシラノール、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、水およびアルコキシチタネートの反応生成物として0〜2の整数である。
【0189】
好ましい態様においては、この架橋剤は、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ポリ(ジエトキシシロキサン)またはポリ−(ジエトキシシロキサン−ジエトキシチタノエート)コポリマーである。
V=成分D)の前駆体としてのポリオルガノシロキサン
一般に、プレポリマー[V]は、好ましくはA1)、A2)またはA3)で定義したタイプのポリマーから選択されるポリオルガノシロキサンである。単位[V]の前駆体に好ましいポリオルガノシロキサンガムは、反応性基Rを担持するプレポリマーであり、特に好ましいのは他の反応性基、特に成分D)の製造用の触媒の存在下での他のプレポリマー樹脂[H]のそれとの縮合反応を行うことができるシラノール基含有プレポリマーである。プレポリマー[V]の平均重合度Pnは、数平均分子量Mにより測定して2〜25,000の範囲にあり、Pの好ましい範囲は標準としてのポリスチレンに対して500〜15000であり、更に好ましい範囲は500〜3000である。このようなポリマーの粘度は、25℃、D=1s−1の剪断速度で10〜200,000,000mPa.sの範囲、好ましくは10000〜5000000の範囲、更に好ましくは100000〜2000000の範囲にある。本発明者は、前駆体Vのあまりに大きい重合度または粘度が、官能性が低すぎて効率的なMDQ構造を生じることができない末端基を生じ、ある場合には剥離力の増加が小さくなるということを見出した。
【0190】
単位[V]のプレポリマーは、好ましくは一般式(VIIId)の1つ以上のシラノール末端のシロキサン単位およびシロキサン単位を含んでなるシリコーンガムである。
[Ma7b7c7d7m4 (VIIId)
このことは、シロキシ単位がポリマー鎖中でブロックであるいはランダムに分布可能である単位[V]のプレポリマーがポリマーA1)あるいはA2)として記述可能であることを意味する。ポリシロキサン鎖内で各シロキサン単位は同一であるか、あるいは異なることができ、そしてこの重合度はM:Dモル比により主に影響される。T−およびQ単位の量は、存在する場合には3モル%未満である。
【0191】
主としてM−およびD単位からなる線状ポリマーを使用することが好ましい。比[V]:[H]に対して化合物(IX)の比D:Q(またはy:x)は、前駆体[V]のQ−およびT単位を数えることなく定義されている。
【0192】
他の有用なそして好適なよく知られたPSAのほかに、好ましい成分D)は出発生成物として選択されたプレポリマーと、これらを相互に反応にいたらしめる条件を特徴とするシロキサンである。
【0193】
前駆体[H]および[V]中のこのモノマー型単位の構造および分布、すなわちブロックあるいはランダムとは無関係に、この反応生成物は[H][H]、[V][V]または[H][V]およびこの前駆体の混合物のように前駆体のブロックを含んでなる。
【0194】
本発明の成分D)は、プレポリマー[H]および[V]を20−250℃の間の、好ましくは100〜180℃の、特に好ましくは130−160℃の温度で還流まで加熱し、そして樹脂、シリコーンポリマーガムVと有機溶剤の混合物を触媒の存在下で約0.5−10時間、好ましい2〜3時間煮る(cooking)ことにより製造可能である。触媒は、SiOH−またはSiOH−とSiOR基との間の少なくとも縮合反応を起こす限り、アルカリ水酸化物、シリコネート(siliconate)、アミン、テトラオルガノアンモニウム水酸化物、すべてのタイプのホスホニトリル、ジブチルスズジカルボキシレートなど金属カルボキシレート、スルホン酸、アルキルあるいはペルフルオロアルキル酸などのすべて塩基性あるいは酸性の無機あるいは有機化合物であることができる。PSA成分D)を製造するのに好適な塩基性触媒は、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど、引用により本明細書に組み込まれているb1izzardによる米国特許第4,906,695号で開示されているものなどアミノ官能性シランを含む。好適なアミノ官能性シランは、例えばN−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシ−シラン、N−ベータ−アミノエチル−ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシラン、およびN−ベータ−アミノエチル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを含む。
【0195】
好ましい触媒は好ましくは水溶液の形の水酸化ナトリウムである。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ性水酸化物を化合物D)のすべての成分に対して0.0001〜1重量%の量で使用することが好ましい。
【0196】
特にこれらの触媒は樹脂[H]とポリマー[V]の合体された重量基準で約5〜約40ppmの範囲で使用される。
【0197】
次に、縮合下の脱離生成物、好ましくはこの縮合反応時に形成される水が存在する場合には一部の量の溶剤と一緒に除去される。この生成混合物は25℃まで冷却され、この固体含量は別の有機溶剤により調整され、そしてこの触媒は熱的に分解(水酸化アンモニウム>130℃)されるか、あるいは等量のHPO、HCl、HSOなどの無機酸、または酢酸などの有機酸、アセチルクロリド、およびアミン、酸化物、アルカリ水酸化物などの塩基により中和される。
【0198】
好ましいシロキサン成分D)は、ポリオルガノ−シロキサンガム[V]とMQ樹脂[H]そして場合によっては溶剤を含有する混合物のバルクあるいは溶液の縮合または他の重合反応により製造される単位[H][[V]からなるポリマー型反応生成物である。好ましい硬化型シロキサン組成物は、この反応生成物を前駆体がポリオルガノシロキサンガム[V]とMQ樹脂[H]から選択される成分D)として含有し、ここでは、典型的な脱離基の喪失が生成縮合を示す。大部分の場合、成分D)の出発生成物(starting products)の0.01重量%より多い量でR=ORの場合のROHのような脱離基、特に好ましくはHOからなる縮合時の脱離生成物により反応度を制御することが好ましい。一つの好ましい態様においては、このプレポリマーの間の反応生成物は、測定可能な量の、すなわち10重量%以上の単位[H][V]のポリオルガノシロキサンブロックコポリマーを生じる。このPSAの性能は基R、例えばヒドロキシ基の全部が化合物D)を製造する反応時間内には消滅しないことを特徴とする。
【0199】
式(IX)の前駆体と部分的に入手可能なブロック−ポリマー構造の適用可能な混合比は、一般式(IX)の(IXa)の好ましい態様により表現可能である。
[M0.3−4Q(O1/2[V] (IXa)
式中、
各単位[]はポリマー構造を表し、
y=1〜200、好ましくは1〜10
x=1〜200、好ましくは1〜10
であり、
[V]=好ましくはM*500−15000
であり、
y:xはモル比Q:Dが=1:0.3〜4、好ましくは1:>1であるモル関係であり、
u=0.001〜3、好ましくは0.01〜0.5
である。
【0200】
それゆえ、成分D)はD:Qが好ましくは>1であるか、あるいはx:yの関連する変形された比がこの比に達するシロキサン単位のモル比により定義され、そしてRはRであり、そして好ましくはH、メチルまたはエチルである。
【0201】
A)〜F)を含んでなる硬化型シロキサン組成物は、成分A)およびB)の各態様、すなわち硬化反応内でA1)とB1)、A2)とB2)あるいはA3)とB3)において起こる反応性基の点で非反応性である、非反応性基Rを含んでなるポリオルガノシロキサンから好ましくは選択される成分D)を含有する:すなわちカテゴリー1の反応性基を含まない成分D)を有することが好ましい。それゆえ、A3)、B2)およびC2)の剥離マトリックスで使用する場合、成分[H]および[V]の反応後のポリマー(IX)の一つ好ましい組成物は、反応性基としてケイ素に結合した少量のいかなる不飽和オルガノもあるいは水素基、すなわちカテゴリー1の反応性基も含まないポリメチルシロキサンである。
【0202】
成分A)およびB)の各々中でカテゴリー1の反応性基と異なる他の基Rはカテゴリー2の反応性基と名付けられている。
【0203】
剥離マトリックスがA1)、B1)およびC1)からなる場合には、好ましくは、成分A1)あるいはB1)のSiOH−あるいはSi−アルコキシ基と容易に反応することができるカテゴリー1の反応性Si−アルコキシあるいはSiOH基は硬化段階内で成分D)中に存在すべきでない。勿論、残存する検出可能な、立体障害された「隠された」カテゴリー1のSiOH−あるいはSi−アルコキシ基が成分D)中に存在し、これは主として未反応のままであり、それゆえこのような場合にはカテゴリー2の群となる。R残基を含有するRから選択されるカテゴリー2として有効なこれらの反応性基は、剥離マトリックスに対する硬化反応内で成分A)あるいはB)、特にA1)、B1)またはB2)と直ちに反応しないMQ前駆体により導入される残存する隠された基である。
【0204】
表現非反応性ポリオルガノシロキサンD)という表現は、成分D)中のカテゴリー2の反応性基を含んでおり、これらの基はカテゴリー1に対して主として非反応性であり、そして成分A)およびB)中のカテゴリー1の反応性基の50モル%、好ましくは20モル%を超えるべきでないということを理解すべきである。
【0205】
ポリマーA1)〜A3)および架橋剤B1)〜B3)の各々のタイプの反応基は、反応性基の主な源を提供するが、成分D)中の濃度が小さいために、カテゴリー1あるいは2の反応性基としてみなされるべきものを定義する。
【0206】
前駆体成分[V]が100以上の重合度を有する場合には、成分D)の残存するSiOH含量は、出発生成物として使用されるMQ樹脂[H]のSiOH含量により主に定義される。[H][V]の間の反応後の残存するSiOH濃度は前よりも小さいが、今までに測定されていない。測定可能な量のこれらの基の証拠は、A)〜F)の剥離層中の成分D)の剥離性能に及ぼす検出可能な効果を有するヘキサオルガノジシラザンとのシリル化反応により与えられる。
【0207】
当分野の熟練者ならば、多くの可能な機構が本発明における関連する誘導体の接着剤組成物中に包含されていることを認識できる。一つの特定の理論に限定されるのを望むのではないが、樹脂[H]中の他の反応性縮合型基に対するシラノール官能基は、縮合ブロックコポリマーの形成において強力な役割ならびに架橋された剥離マトリックスの表面の改変された剥離性を得るための役割を演じる。
【0208】
カテゴリー2の反応性基Rは、いくつかの方法、例えばNMRスペクトル法により、あるいは例えば1,3−ジビニルテトラメチル−ジシラザンによりSiOH基を−SiRO−SiMeVi基に変えることができるシリル化によるSiOH基の化学的改変により検出可能である。更にこのような改変は、所望ならばタッキネスと硬化速度の間の最適を調整するのに有用である。
【0209】
成分D)中に存在するプレポリマー[H]、MQ樹脂の量は、[H][V]−ポリマーの成分D)の全シリコーン重量の約45〜約75重量パーセント、好ましくは約50重量パーセント〜約65重量パーセントである。
【0210】
MQ樹脂は市販され、キシレンまたはトルエンなどの芳香族溶剤に一般に40〜60重量%の溶液として溶解される。この溶解されたMQ樹脂は、場合によっては更なる有機溶剤と一緒にシリコーンガム[V]と物理的に混合されて、[H][V]単位からなるシリコーン接着成分D)を形成する反応を可能とさせる。本発明のシリコーンプレポリマーガム[V]は高分子量ガムと一般に呼ばれる。用語「ガム」は、Rheometricsレオメーターなどのコーンプレート粘度計により測定して25℃においてD=1s−1の剪断速度で約10,000mPa.s〜約200,000,000mPa.sの粘度を有する高粘性材料を指す。
【0211】
本発明の単位[V]の前駆体としてシリコーンガムは当分野によく知られ、そして好ましくは1つ以上のポリジオルガノシロキサンである。シリコーンポリマーガムは、好ましくは前駆体[H]中に組み込まれるRにより定義される基から選択されるケイ素に結合した他の反応性基との縮合反応を起こすことができるカテゴリー1の反応性基により末端停止される。好ましくは、プレポリマー[V]はシラノールで末端停止されたポリジメチルシロキサンである。
【0212】
本発明において成分D)として使用される縮合されたポリジオルガノシロキサンコポリマーあるいはブロックコポリマー(IX)は、当分野において既知の方法のいずれかにより製造可能である。例えば、タイプ[H][V]の成分D)のポリジオルガノシロキサンは、引用により本明細書に組み込まれている米国特許第2,814,601号で述べられている方法により製造可能である。このシリコーン接着剤組成物の製造において好適に使用される有機溶剤は、例えばベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、および例えばトリクロロエタンおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶剤などの、オルガノシロキサンと共に慣用的に使用され、そしてほぼ250℃未満の沸点を有する溶剤のいずれかであることができる。
【0213】
他の炭化水素溶剤を使用することができるが、シリコーンPSA成分D)は、通常、トルエンおよびキシレンなどの溶剤中で製造される。2−エチルヘキサノエートなどの脂肪酸の希土類金属塩を更に含んでなることができる。この塩の形成に好適な希土類金属の例は、セリウム、ランタン、プラセオジウムなどを含む。好ましい希土類金属はセリウムである。この脂肪酸は、好ましくは約6〜約18個の炭素原子、最も好ましくは約8個の炭素原子を含有する。このように、本発明での使用に好ましい希土類金属塩はセリウムオクトエートまたは2−エチルヘキサノエートである。一般に、希土類金属塩は、成分D)の全重量基準で約10〜約500重量パーツパーミリオンの範囲内の量の希土類金属をこの組成物にもたらすのに充分な量で本発明の組成物中で使用可能である。この接着剤組成物中に希土類金属を有するメリットは、米国特許第5,612,400号で開示されている。これらの希土類金属カルボキシレート塩は加熱および酸素誘起老化過程に対する安定剤として有効であることが判明している。
【0214】
通常、この希土類金属塩は30%溶液の形で本発明の組成物中で使用され、この6%は活性な希土類金属からなる。例は低沸点の脂肪族炭化水素中のセリウムオクトエートである。
【0215】
この希土類金属塩はこのシリコーン接着剤混合物および溶剤にゆっくりと撹拌しながら増分的に添加されて、適当な分散を得る。希土類金属塩はベース掃去剤であるために、希土類金属塩を添加する前にこの混合物は中性あるいは若干酸性であるということが必要である。
【0216】
改変された剥離性を持つ有用な剥離組成物を得るために、本発明の成分A)〜E)はバルクあるいは有機溶剤中などのいかなる方法でも混合される。MQ樹脂は固体であり、有機溶剤中で便利に製造され、取り扱われる。本発明の組成物の製造は、MQ樹脂およびシロキサンガムの混合に好ましくは有機溶剤を使用し、特に好ましい溶剤は、例えばアルファ−オレフィンなどのA2)またはB2)に対してカテゴリー1の反応性基を含んでなる。この成分の混合は、撹拌機、ノズル、溶解機、ニーダー、ミルまたはロールによりバッチあるいは連続法でミル掛け(milling)、ブレンド、撹拌などの当分野で既知の方法のいずれかにより実施可能である。
【0217】
本発明の組成物は、溶剤の助け有りで又は無しでMQ樹脂[H]、シリコーンガム[V]、および触媒を定められた比率で簡単に混合することにより製造可能である。成分の混合順序は決定的でない。特定の溶剤の機能は、シリコーン接着剤組成物A)〜E)と相溶性である2000mPa.sまでのシリコーン流体によっても担持可能である。これらはA)〜B)で定義したポリマーの群から選択される。
【0218】
好ましい流体は、ポリジオルガノシロキサン、特にトリメチルシリル末端のポリジメチルシロキサンから選択される。本発明の成分D)は、溶剤を使用することにより、ポリマーA)およびB)の中に必ずしも混合される必要はない。ロールまたはニーダーのような適切な混合機械が使える場合には、溶剤を省くことができる。次に、成分D)は10〜40℃などの室温で分散可能である。
【0219】
組成物D)がそれぞれ接着層の選択される剥離層中の好適なPSAに対して定義されるタッキネス、溶解性および融点などの性質の範囲をもたらすことができる限り、本発明において剥離変成剤として使用される選択されるPSAタイプは、前に挙げた反応により生成されるケイ素含有感圧接着剤に限定されない。
補助添加物
本発明によるシロキサン組成物は更なる成分E)およびF)を含んでなり得る。
【0220】
成分E)の定義に入る添加物は、安定化またはポリマーの着色または硬化速度の調整等のためのすべての他のタイプの化合物、例えば禁止剤、酸化防止剤、顔料、安定剤、水、充填剤、特に剥離層の更なるブロッキング防止性を得るための球状シルセスキオキサン、米国特許第6,586,535号または米国特許第2003−0134043号で開示されているミスト防止添加物、固着用添加物、EP819735A1で開示されているスリップ剤、および更なる補助成分を含んでなる。これらの成分は20重量%までの全量でシロキサン組成物中に含有され得る。
【0221】
特に、A2)、B2)およびC2)を含んでなるヒドロシリル化により硬化可能な本発明の組成物に対しては、適切な量の禁止剤により硬化速度を調整することが極めて助けになることができる。混合とキャリア上への塗布を可能とするために、成分E)が室温における白金接触反応を遅延させるのに充分な前記白金含有触媒C2)に対する禁止剤化合物である場合には、数時間あるいは数日禁止または遅延するが、充分な硬化速度をもたらすすなわち特に70℃以上で高温で秒または分内で硬化を完結する。本発明の組成物中の成分E)の禁止剤は、白金族金属含有触媒の触媒活性に対する禁止剤として既知であるか、あるいは使用可能な任意の材料である。用語「禁止剤」とは、この明細書では、組成物の10重量パーセント未満などの少量で組み込んまれる場合、この混合物の高温硬化を妨害せずに成分A2)、B2)、およびC2)の硬化型混合物の室温における硬化を遅延させる材料の意味である。勿論、特に不飽和基の付いた炭化水素などの材料は、溶剤のように大量で使用される場合、35重量%以上から禁止効果を有することは既知である。それにも拘わらず、これらの材料は本発明の目的には典型的な禁止剤とは考えられない。
【0222】
この白金族金属触媒に対する禁止剤はオルガノケイ素分野ではよく知られている。種々の類のこのような金属触媒禁止剤は不飽和有機化合物、例えば、エチレン型あるいは芳香族型不飽和アミド、米国特許第4,337,332号;アセチレン系化合物、米国特許第3,445,420号および米国特許第4,347,346号;エチレン型不飽和イソシアネート、米国特許第3,882,083号;オレフィン系シロキサン、米国特許第3,989,667号;不飽和炭化水素ジエステル、米国特許第4,256,870号、米国特許第4,476,166号および米国特許第4,562,096号、および共役エネイン(eneynes)、米国特許第4,465,818号および米国特許第4,472,563号;他の有機化合物、例えばヒドロペルオキシド、米国特許第4,061,609号;ケトン、米国特許第3,418,731号;スルホキシド、アミン、ホスフィン、ホスファイト、ニトリル、米国特許第3,344,111号;ジアジニジン、米国特許第4,043,977号;および米国特許第3,461,185号などの種々の塩を含む。本発明の組成物はこれらの類の禁止剤のいずれかからの禁止剤を含んでなることができると考えられる。これらの例は、エチニルシクロヘキサノールおよびメチルブチノールなどの米国特許第3,445,420号のアセチレン系アルコール;ジアリルマレエートおよびジメチルマレエートなどの米国特許第4,256,870号の不飽和カルボキン酸エステル;およびジエチルフマレート、ジアリルフマレートおよびビス−(メトキシイソプロピル)マレエートなどの米国特許第4,562,096号および米国特許第4,774,111号のマレエートおよびフマレートを含む。米国特許第4,533,575号の半エステルおよびアミド;および米国特許第4,476,166号の禁止剤混合物も同様に挙動すると予期される。
【0223】
本発明の組成物において禁止剤成分E)としての使用に好適な化合物の製造を教示する白金族金属含有触媒に対する禁止剤に関する上記に挙げた特許は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0224】
本発明の組成物に対する好ましい禁止剤はマレエートおよびフマレートである。マレエートおよびフマレートは式R10(OW)CCH=CHCO(WO)10を有する。式中、R10はC〜C10原子を有する一価炭化炭素基を表し、そして各単位Wは2〜4個の炭素原子を有する二価アルキレン基を独立に表す。R10は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチルまたはヘキシルなどのC−C10アルキル基、フェニルまたはベンジルなどのアリール基、ビニルまたはアリルなどのアルケニル基、アルキニル基、またはシクロヘキシルなどの環式炭化水素基であることができる。Wは、例えば−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、CH(CHCH)CH−および−CHCH(CH)CHのようなC−C二価有機基であることができる。マレエートおよびフマレートの個別のR10基およびD基は所望のように同一であるか、あるいは異なることができる。直前の式中の添え字「h」の値はゼロまたは1に等しい値を有することができる。「h」の個別の値は所望のように同一であるか、あるいは異なることができる。本発明の組成物で使用される禁止剤成分E)の量は決定的でなく、そして中程度に上昇させた温度で前記反応を妨害せずに、上述の白金で接触されたヒドロシリル化反応を室温で遅延させる任意の量であることができる。使用される所望の量の特別な禁止剤は白金族金属含有触媒の濃度およびタイプと、成分A2)およびB2)の性状および量に依存するので、室温における特定の浴寿命を得るために特定量の禁止剤を示唆することができない。禁止剤成分E)の範囲は、例えばアルキノールに対しては0.0005〜10重量%、好ましくは0.05〜2重量%、そして最も好ましくは0.1〜1重量%であることができる。
【0225】
本発明によるシロキサン組成物は、また、本発明のポリマー組成物A)〜F)に対して更に良好な加工性を与えるために添加される例えば溶剤F)のような更なる成分も含んでなり得る。本発明の組成物は、場合によっては溶剤を含んでなり、これらの溶剤は、約10%〜約90重量%の、好ましくは約20%〜約60重量%の、そして最も好ましくは30%〜約50重量%の範囲の通常の有機溶剤である。好適な有機溶剤は、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエンおよびキシレン、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トリクロロエタンおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶剤、石油エーテルなどのナフサ、および炭素水素エーテル、例えばテトラヒドロフランおよびエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトンなどのケトン、エチルアセテートなどのエステルなどの酸素化溶剤、アルファ−オレフィン、例えばC〜C25アルファ−オレフィンまたは好ましくはC14−C20アルファ−オレフィンなどのオレフィン系炭化水素などのオルガノシロキサンと共に慣用的に使用され、そしてほぼ300℃未満の沸点を有する溶剤のいずれかを含む。有機溶剤の混合物も使用可能である。
【0226】
それゆえ、改変された剥離性を得るための硬化型シロキサン混合物は、加熱あるいは輻射線により硬化可能な記述された剥離ベース組成物の1つ及び感圧の接着成分を含んでなる。
すべての開示された単一の成分を考慮に入れた後には、本発明の硬化型シロキサン組成物は、
A)少なくとも1つ反応性シロキサンポリマー、
B)場合によっては少なくともシロキサン架橋剤、
C)触媒、増感剤およびラジカル開始剤の群から選択される少なくとも1つ成分、
D)少なくとも1つ感圧接着剤および
E)場合によっては補助添加物、
F)場合によっては溶剤
を含んでなるということが要約可能である。
【0227】
本発明の組成物は、タイプA)の異なるポリマー、架橋剤B)、触媒C)およびPSA成分D)から構成可能であり、加熱または輻射線の影響の下で改変された剥離性を持つ層として最終的に硬化可能である。一般に、一部の反応、例えばA2)とB2)の間のヒドロシリル化は、加熱活性化無しでも室温、例えば25℃で起こる。それゆえ、工業的使用に許容され得る速度レベルに反応性を調整することが必要である。ヒドロシリル化のこの硬化機構を用いるシステム、すなわちポリマーA2)、B2)および触媒C2)に対しては、E)で定義した禁止剤により硬化を調整することが好ましい。これらの禁止剤は室温で完全な硬化を数時間あるいは数日遅延させるが、高温で充分に高い硬化速度をもたらす。剥離層に対するベースシステムは、必要とされる硬化条件下、すなわち低温あるいは高温で所望の剥離性を持つ表面を受ける方法で選択される。予備選択のもう一つの局面は、接着ラベル貼りシステムにおいて普通に塗布される接着剤に対して硬化後で剥離されるべきタイプの接着層である。この剥離挙動は、高あるいは低架橋密度の異なるシロキサンタイプ、すなわちアルキルあるいはフルオロアルキル含有シロキサンの移動/移行挙動の性質により定義される。ラベルシステムの接着剤により設定される要求は、剥離層に対する相互作用、溶解性、移行あるいはこれに対する反応性により記述可能である。
【0228】
この剥離層は、剥離力レベル、異なる接着剤に対する広範囲の同程度の剥離挙動、およびこれらの効果の経時的な良好な安定性の最適なバランスを提供しなければならない。PSA成分D)を含む改変された剥離力の本発明の剥離組成物は、FINAT試験FTM3において1000cN/インチ未満の剥離力を有するように定義され、例えばTesa7476については、好ましくは剥離力は500cN/インチ未満である。
【0229】
このPSAは、それ自身Finat試験方法FTM1により測定してガラスに対して少なくとも500cN/インチの、好ましくは700cN/インチ以上の剥離接着性を有する。本発明は、異なる量およびタイプのPSA成分D)を用いるが、主としてラベルと剥離層の間の適切な接着剤の選択によるものでない剥離表面の調整により性質が制御される剥離層を提供する。
【0230】
すべての3つの態様の一般のベースシステムは、
100重量部の成分A)、
0〜20重量部の成分B)、
この組成物の全重量基準で1〜10000ppmの成分c)、
0.01〜10重量部の成分D)
を含む硬化型シロキサン組成物を含んでなる。
【0231】
剥離組成物の本発明の第1の態様に対するベースシステムは、成分A1)、B1)およびC1)を含んでなる縮合反応により硬化可能なポリマー混合物であって、第1の態様が
SiOH末端のポリジメチルシロキサンから選択される成分A1)、
SiOR含有ポリオルガノシロキサンとSiOR含有オルガノシランから選択される成分B1)、および
有機金属化合物、ルイス酸、ルイス塩基、ブレンステッド酸から選択される成分C1)
を含んでなるものである。
【0232】
この成分の各々は単一の化合物またはこれらの混合物であることができる。
【0233】
詳細には、このような組成物は、少なくとも
100重量部のSiOH末端のポリジメチルシロキサンのA1)、
0.1−30重量部のSiOR含有オルガノシロキサンあるいはオルガノシランのB1)、
有機金属化合物、ルイス酸、ルイス塩基およびブレンステッド酸から選択される、0.001−10重量部の触媒C1)、
0.1−50重量部の感圧接着剤
を含んでなる。
【0234】
剥離組成物の本発明の第2の態様に対するベースシステムは、成分A2)、B2)およびC2)を含んでなる付加反応により硬化可能なポリマー混合物であって、
成分A2)がアルケニル含有ポリオルガノシロキサンから選択され、
成分B2)がSiH含有ポリオルガノシロキサンとSiH含有オルガノシランから選択され、そして
成分C2)が有機金属ヒドロシリル化触媒
から選択される
ものである。
【0235】
このような組成物は、少なくとも
100重量部のアルケニル含有ポリオルガノシロキサンA2)、
A2)のアルケニル基:B2)のSiH基のモル比が1:0.5〜20の範囲にあるという前提で、0.1−200重量部のSiH含有ポリオルガノシロキサンまたはSiH含有オルガノシランB2)、
有機金属ヒドロシリル化触媒から選択される、A2)とB2)の和を基準として1−10000ppmの触媒C2)、
0.1−50重量部の感圧接着剤D)
を含んでなる。
【0236】
本発明の組成物で使用される成分A2)およびB2)の量は狭く限定はされない。A2):B2)の重量比は範囲1:100〜100:1にあることができる。完全に硬化された剥離表面を得るのに、A2):B2)の好ましい範囲は100:1〜l0である。前記量のA2)およびB2)は、成分A2)のケイ素結合オレフィン系炭化水素基:成分B2)のケイ素結合水素原子数のモル比として更に良好に記述可能であり、そして調整可能である。Si−アルケニル:SiHのモル比は、1:0、5〜20、好ましくは1:0、75〜10の間で調整され、特に好ましいのは1:1〜3.5の比である。それゆえ、重量比A2):B2)は、A2)またはB2)の成分の各々のアルケニルと水素の濃度に依存する。A2)中のビニル濃度はB2)中のSiH濃度よりも小さいことが好ましい。Si−アルケニルに対する過剰なSiHは、高硬化速度を得ることにおいて、あるいは剥離層に対するキャリアの基材上での向上した固着性を得ることにおいて有用であることができる。
【0237】
ポリオルガノシロキサンA2)およびB2)は、明らかに、オルガノケイ素ポリマーの最も顕著で、剥離表面のための分野において最も広く使用される形であり、そして商業的に製造されている。本発明の組成物の第2の態様において使用されるオルガノシリコーン成分A2)およびB2)の製造は特許で充分に記述され、そしてこの明細書で突っ込んだ説明を必要としない。
【0238】
剥離組成物の本発明の第3の態様に対するベースシステムは成分A3)、B3)及びC3)を含んでなる輻射線、特にUV−輻射線によってひき起こされる光反応により硬化可能なポリマー混合物であって、
成分A3)及びB3)が光硬化型あるいは光活性化型のポリオルガノシロキサンから選択され、
成分C3)が光活性化型触媒、増感剤およびラジカル開始剤からなる郡から選択される
ものである。
【0239】
このような組成物は、少なくとも
100重量部の光硬化型ポリオルガノシロキサンA3)、
0−30重量部の架橋性ポリオルガノシロキサンまたはオルガノシランB3)
触媒、増感剤およびラジカル開始剤から選択される、A2)とB2)の和を基準として0.0001−5重量部の触媒C3)、
0.1−50重量部の感圧接着剤D)
を含んでなる。
【0240】
本発明の組成物で使用される成分A3)および必要ならばB3)の量は狭く限定はされない。大多数の場合、別個の成分B3)の必要はない。この架橋性は多官能基を増大させたポリマーA3)により達成可能である。この官能基は所望の剥離性により限定される。剥離力を規定された値の下に保つためには、エポキシ単位の濃度は好ましくは16重量%よりも小さくなければならない。
【0241】
触媒および増感剤の選択はこれらの成分の溶解性および製造条件、すなわち硬化時間、温度および時間および表面当たりの輻射エネルギー下での達成可能な硬化速度で実施可能である。ポリオルガノシロキサンA3)は商業的に製造されており、市販されている。低温硬化工程が必須な場合には、このようなシステムは最良の選択である。剥離キャリアが温度敏感である場合には、このような方法は好ましい。
【0242】
本発明の組成物の第3の態様において使用されるオルガノシリコーン成分A3)およびC3)の製造は特許で充分に記述され、そしてこの明細書で突っ込んだ説明を必要としない。改変された高い剥離力は、少なくとも1つの感圧接着剤をシロキサンベースの剥離組成物に対する制御された剥離剤として使用することを含む。
【0243】
少なくとも1つ感圧接着剤を硬化型シロキサン組成物に添加し、そして生成組成物を硬化することを含んでなる硬化シロキサン組成物の表面性質を変成するための方法。
【0244】
−成分A)〜F)を含む組成物をこの基材の表面の上に塗布し、そして
−前記組成物をこの基材の表面上で硬化する
段階を含んでなる基材を被覆する方法。
【0245】
上記に定義した組成物を硬化することにより得られるような硬化シロキサン組成物は本発明の改変された剥離挙動を示す。硬化条件は各システムに依存する。一部のラジカル硬化システムを例外として、硬化は外周空気の存在下0と200℃の間の温度で実施可能である。剥離表面の一つ好ましい変形は、紙または熱可塑性箔により担持される薄い剥離フィルムの使用である。このような剥離フィルムあるいは層は数ミクロンの厚さまたは0.5〜2g/mのシロキサンを特徴とする。この明細書では、用語「硬化型」は、本発明の組成物に適用されるように、液体から固体へのこの組成物の状態の変化を生じる化学変化を一般に表す。
【0246】
基材の被覆に成分A)〜F)の組成物を使用することは、改変された剥離力の表面をもたらす。
これは、シロキサンベースの剥離組成物用の制御された剥離剤としての少なくとも一つ感圧接着剤の使用を意味する
これらの組成物は、改変された表面性を持つ剥離フィルムにおいて有用である。
【0247】
加えて、薄いフィルムにのみでなく改変された表面を得るためにこれらの表面上での組成物を含んでなる他の基材も改変することができる。
【0248】
一つの好ましい剥離フィルムの応用は、キャリアおよび剥離フィルム含んでなる剥離シートと、ラベルなどのキャリアおよび接着フィルムを含んでなる接着シートを含んでなり、前記剥離フィルムが本発明の組成物から形成され、そして接着フィルムと接触している多層化製品である。
【実施例】
【0249】
成分A2)、B2)、C2)、E2)およびF2)を含んでなるベース組成物に対する一般的な説明
すべての配合物はビニルで末端停止されたポリジメチルシロキサンである、25℃およびD=1s−1の剪断速度におけるほぼ250mPa.sの100重量部のベースポリマーA2)を含有する。
このビニル含量は0.23ミリモル/gである。すべての配合物にSS4300cとしてGE Bayer Silicones GmbH & Co KG Leverkusenから入手可能なトリメチルシリル末端のホモポリマーである、平衡化により1.6重量%の水素を有するほぼ25mPa.sの3.0重量部のポリメチル−水素シロキサンB2)を添加して、2.2:1のSiH:SiVi比をもたらす。加えて、ポリマーA2)中の15%Ptおよび成分E)として0.4%のジアリルマレエートの溶液として成分A2)〜D)の和に対して100ppmのPtをもたらすPt−Karstedt触媒(Pt−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)である68、7mgの白金触媒C2)を使用した。すべての成分は表1〜5中に評価した配合物に混合される。
単一の成分を混合する方法は、第1に、10重量%のポリマーA2)を持つ触媒組成物および混合物X1)として禁止剤E)および架橋剤B2)を含有する90重量%のA2)を含む混合物X2)を作製することを含む。この全組成物は両方のプレミックスを25〜35℃で一緒にし、撹拌器により混合することにより実現される
下記に続く表1〜5の各々に示す関係で成分D)、PSAまたは比較用材料CRAをこのベース組成物に混合した。
【0250】
組成物A2)〜F)を充分に混合した後、これを標準グラシン(AhistromからのSilca2010、62グラム/平方メートル)上にナイフにより塗布し、そしてオーブン中120℃で30秒間硬化し、紙上に非汚染性、非移行性被膜を得た。被覆重量をほぼ1.5グラム/平方メートルに調整した。
表1〜5に挙げた試験テープを被膜上に貼り付け、その後、この積層物をWiggins Teape Packagingから市販されているTesa4651(1インチ)およびTesa7476(1インチ)およびホットメルトテープ(2インチ)Takstripに対しては室温で24時間、そしてTesa7475(1インチ)に対しては70℃でエージングした。このテープを被膜から180度の角度、300mm/分の速度で剥離させることにより、cN/インチでの剥離力を測定した。
[実施例1]
【0251】
この実施例の配合物1.1〜1.6は表1に示すように異なる量のPSA No.1を成分D)として含有する。これらの実施例においては、成分D)は、60重量%の樹脂固体のトルエン中の溶液として測定して約10cStの粘度を有するMQ樹脂[H]、前駆体の縮合生成物であり、数平均分子量はGPCにより標準としてポリスチレンに対して3000−5000g/モルであり、ほぼ950,000mPa.sの粘度を有し、樹脂:ガム重量比(MQ:D)を1.44に設定し、モル比D:Qを1.095:1としたOH停止されたポリジメチル−シロキサンガムである前駆体[V]についてM:Q比は0.7:1であり、そしてシラノール含量は約1.9重量%である。
【0252】
130℃の温度で還流まで加熱し、樹脂[H]、シリコーンポリマーガム[V]および溶剤(64重量%)としてトルエンの混合物を10%の水溶液として導入された40−60ppmのNaOH触媒の存在下で約3時間煮ることにより、本発明の成分D)を作製する。次に、この縮合反応時に形成される水を蒸留により除去する。この生成混合物を80℃まで冷却し、この混合物を過剰のイソプロピル中のHPOにより中和させて、5−15ppmHClの過剰の酸等量を得る。Ce−オクトエートをシリコーン固体当たり50ppmのCeのレベルまで添加した後、トルエンを除去し、そしてこの流体を30℃まで冷却した。表1において試験対象の生成物を50%固体の溶液として作製するために、前の溶剤をC14−アルファ−オレフィンにより置き換える。
【0253】
【表1】

[実施例2](市販のCRA−樹脂との比較例)
【0254】
配合物2.7〜2.9は、キシレン中でMDviQ単位0.6:0.1:1.0および0.25重量%のSiOHの比で60%のMDviQ樹脂を含有し、約10cStの粘度と3000−5000g/モルの数平均分子量を有する混合物である、異なる量の市販のCRAEを非本発明の成分D)として含有する。この溶液をアルファ−C18オレフィン中の35重量%固体D)からなる第2の組成物中に移した。D:Qのモル比は0、1:1である。
この配合物を充分に混合した後、これを標準グラシン(AhistromからのSilca 2010、62グラム/平方メートル)上にナイフにより塗布し、そしてオーブン中120℃で30秒間硬化し、紙上に非汚染性、非移行性被膜を得た。被覆重量をほぼ1.5グラム/平方メートルに調整した。
【0255】
【表2】

【0256】
この実施例の配合物は、主としてMQ単位を含んでなる構造を有する成分D)としての市販のCRAEが本発明の成分D)と異なり、そして実施例1のPSAよりも低効率であることを示す。
[実施例3]
【0257】
この実施例の配合物3.10〜3.14は表3に挙げるようにPSA No.2により表される異なる量の成分D)を含有する。これらの実施例においては、成分D)は、60重量%の樹脂固体のトルエン中の溶液として測定して約6cStの粘度、0.9のM:Q比および約1.9重量%のシラノール含量を有するMQ樹脂の縮合生成物であり、および樹脂:ガム重量比(MQ:D)を1.5に設定し、モル比D:Qを1.2:1としたOH停止された、ほぼ17,500,000mPa.sの粘度を有するポリジメチル−シロキサンガムである。この縮合生成物はC18−アルファ−オレフィン中の50%固体溶液として使用される。
【0258】
【表3】

【0259】
上記に挙げられたPSAは実施例1における成分D)よりも低効率である。この実施例の成分D)(PSA)は、23.5モル%のQを含有し、そして前駆体Vのガムタイプは大きな鎖長と、それゆえ小さいSiOH濃度を有する。加えて、この樹脂は粘度が異なり、粘度は僅かほぼ6cStであり、実施例1および他の実施例の樹脂はほぼ10cStである。このようなMQD構造は、実施例1の構造とこれらの成分D)に対する範囲よりも好ましくない。
[実施例4]
【0260】
この実施例の配合物4.15〜4.18は表3に挙げるPSA No.3および4の異なる量の成分D)を含有する。
【0261】
成分D)として使用される縮合あるいは反応生成物をトルエン中の60%の樹脂固体として測定して約10cStの粘度、0.7のM:Q比、および約1.9%のシラノール含量を有する実施例1のMQ樹脂から製造する。Vの前駆体成分は、樹脂:ガム重量比を1.65に設定したほぼ25,000,000mPa.sの25℃における粘度を有するビニルで停止されたポリジメチルシロキサンガムである。単位Vに対する前駆体は実質的に測定可能な量のSiOH、すなわち<0、05重量%を示さない。この縮合生成物はC18−アルファ−オレフィン中の50%固体の溶液として使用される。
【0262】
実施例4.17および4.18においては、未反応の成分D)の組成は、実施例4.15および4.16のようにA2)およびB2)についてこれを混合する前に成分D)の出発生成物HとVに間で前に重合反応を行わなかったことを除いて、実施例4.15および4.16における成分D)と同一である。
【0263】
この実施例のD:Qのモル比はD:Q=0.96:1である。
【0264】
【表4】

【0265】
実施例4.15−4.16および4.17−4.18の間の差異は実施例2のそれと比較してすべての実施例4の間ほど大きくない。
[実施例5]
【0266】
この実施例の配合物5.19〜5.22は表5に挙げるようにPSA No.5および6により表される異なる量の成分D)を含有する
成分D)としての実施例5.19および5.20における縮合あるいは反応生成物をトルエン中の60%の樹脂固体として測定して約10cStの粘度、0.7のM:Q比、および約1.9%のシラノール含量を有する実施例1のMQ樹脂から製造する。Vの前駆体成分は、樹脂:ガム重量比を4.0に設定したほぼ25,000,000mPa.sの粘度を有するビニルで停止されたポリジメチルシロキサンガムである。この成分は実質的に測定可能な量のSiOHを示さない。この縮合生成物はC18−アルファ−オレフィン中の50%固体の溶液として使用される。
【0267】
実施例5.21および5.22においては、未反応の成分D)の組成は、実施例5.21および5.22のようにA2)およびB2)についてこれを混合する前に成分D)の出発生成物HとVに間で成分D)の前駆体上に適用される実施例1による重合反応を行わなかったことを除いて、実施例5.19および5.20における成分D)と同一である。
【0268】
この実施例のD:Qのモル比はD:Q=0.4:1である。
【0269】
【表5】

【0270】
表5中の剥離力は、実施例5における配合物5.20による成分D)の反応生成物のテープ4651および7475に対する剥離力が実施例5中の配合物5.22および純粋な未処理のMQ樹脂をそのまま使用する実施例2(比較)の配合物2.8の剥離力よりも大きいということを示す。
[実施例6](比較)
【0271】
実施例6は、成分D)がフェニル基の付いたポリジオルガノシロキサンコポリマーの反応生成物であるPSAを持つ剥離組成物の性質を示す。成分D)をトルエン中の60%の樹脂固体として測定して約10cStの粘度、0.7:1のM:Q比、および約1.9%のシラノール含量を有するMQ樹脂の縮合生成物として製造した。述べたように溶解させたこの樹脂をほぼ50,000,000mPa.sの粘度範囲を有する239の重合度の、樹脂:ガム重量比を1.25に設定し、モル比D:QがPSA6574と命名され1.03:1である、OHで停止されたポリジフェニルジメチルシロキサンガム(Phe2SiO:MeSiO=1:6、29、9重量%のジフェニルシロキシ(すべての有機C残基の13.7モル%フェニル)と反応させた。この縮合生成物をC14−アルファ−オレフィン中の55%固体の溶液として使用した。成分A)〜E)の組成物の透明な溶液は入手可能でないこと、高剪断力下で長く撹拌した後でもほぼ完全な分離が残るということが観察された。それゆえ、実施例1に述べたような均質な剥離層の付いた紙被膜を製造して、評価することができなかった。
【0272】
この実施例は、混合物が硬化されない限り、剥離成分A2)、B2)およびC2)の混合物との最小の混和性が必要であるように見えるということを示す。
【0273】
この実施例のPSAは、組成物中への均質組み込みが不能であるためによく機能しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)T−およびQ−単位が存在する場合にはT−およびQ−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%を超えない少なくとも1つの反応性シロキサンポリマー、
B)場合によっては少なくとも1つシロキサン架橋剤、
C)触媒、増感剤およびラジカル開始剤の群から選択される少なくとも1つ成分、
D)この感圧接着剤がオルガノシリコーン化合物である場合には、T−およびQ−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%より大であり、D−単位の含量がすべてのシロキシ単位の10モル%より大であり、そしてこのオルガノシリコーン化合物中のオルガノ基の少なくとも90モル%がアルキル基であるという前提で、少なくとも1つ感圧接着剤、
E)場合によっては補助添加物、および
F)場合によっては溶剤
を含んでなる硬化型シロキサン組成物。
【請求項2】
成分A1)がSiOH末端のポリジメチルシロキサンから選択され、成分B1)がSiOR含有ポリオルガノシロキサンとSiOR含有オルガノシランから選択され、そして成分C1)が有機金属化合物、ルイス酸、ルイス塩基、ブレンステッド酸から選択される請求項1に記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項3】
成分A2)がアルケニル含有ポリオルガノシロキサンから選択され、成分B2)がSiH含有ポリオルガノシロキサンとSiH含有オルガノシランから選択され、そして成分C2)が有機金属ヒドロシリル化触媒から選択される請求項1に記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項4】
成分A3)が光硬化型ポリオルガノシロキサンから選択され、成分C3)が光活性化型触媒、増感剤およびラジカル開始剤からなる群から選択される請求項1に記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項5】
成分D)が成分A)あるいはB)に対して非反応性であるポリオルガノシロキサンから選択される請求項1〜4のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項6】
この成分D)が少なくともM−および少なくともQ−単位を含んでなる樹脂状プレポリマーと少なくともD−単位を含んでなるガム様プレポリマーの間の反応生成物であるポリオルガノシロキサンから選択される請求項1〜5のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項7】
成分D)中でD:Qのモル比が>1である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項8】
成分D)が
−少なくとも1つM単位
−少なくとも1つQ単位、および
−少なくとも1つD単位、
を含んでなり、
シロキサン単位D:Qの比が>1である
ポリオルガノシロキサンから選択される請求項1〜7のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項9】
成分D)がポリオルガノシロキサンブロックコポリマーから選択される請求項1〜8のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項10】
100重量部の成分A)、
0〜20重量部の成分B)、
この組成物の全重量基準で1〜10000ppmの成分C)、
0.01〜10重量部の成分D)
を含んでなる
請求項1〜9のいずれかに記載の硬化型シロキサン組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のシロキサン組成物を硬化することにより取得される硬化シロキサン組成物。
【請求項12】
シロキサンベースの剥離組成物用の制御された剥離剤としての少なくとも1つ感圧接着剤の使用。
【請求項13】
なくとも1つ感圧接着剤を硬化型シロキサン組成物に添加し、そして組成物を硬化することを含んでなる硬化シロキサン組成物の表面の性質を変成するための方法。
【請求項14】
−請求項1〜10のいずれかに記載の組成物をこの基材の表面の上に塗布し、そして
−この基材の表面上で前記組成物を硬化する
段階を含んでなる基材を被覆する方法。
【請求項15】
基材を被覆するための請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項16】
剥離フィルムを製造するための請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項17】
表面上に請求項11に記載の組成物を含んでなる基材。
【請求項18】
キャリアおよび剥離フィルム含んでなる剥離シートと、キャリアおよび接着フィルムを含んでなる接着シートを含んでなり、前記剥離フィルムが請求項10に記載の組成物から形成され、そしてこの接着フィルムと接触している請求項17に記載の多層製品。

【公表番号】特表2007−523225(P2007−523225A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546182(P2006−546182)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053679
【国際公開番号】WO2005/063890
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503269542)ジーイー・バイエル・シリコーンズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツトゲゼルシヤフト (7)
【Fターム(参考)】