説明

表面を粒子で被覆する方法およびこの方法により形成された被膜の使用

本発明は、粒子が安定化可能であるかまたは安定した水性組成物中で分散液の形で被覆すべき表面上に施こされ、本質的に、または主に静電力によって被覆すべき表面上に施こされ、および固着されることにより、高い粒子密度の本質的に洗浄耐性の層の形成下に多数の無機水不溶性粒子または/および有機水不溶性粒子を用いて物体または/および粒子の表面を無電流被覆する方法に関するものであり、この場合被覆すべき表面は、最初に活性化剤で活性化され、その際活性化剤で被覆すべき表面上に、電荷を有する活性化層を形成させ、その際この電荷は、引続き施こすべき、組成物の粒子の電荷と反対に帯電され、被覆工程において、粒子含有組成物が施こされた粒子は、活性化層の電荷と反対に帯電され、この場合粒子含有組成物を用いる1つの被覆工程または全ての被覆工程において、それぞれ1つの層は、施こされた粒子のほぼ1つまたはそれ以上の平均粒度の平均厚さで被覆すべき表面上に形成され、場合によっては前記粒子層または全ての粒子層が引続き被膜形成され、または/および架橋され、それによって被膜形成されていない粒子の粒子層または全ての粒子層の層厚、または/およびこれから形成される、被膜形成され、または/および架橋された被膜の層厚は、それぞれ5nm〜50μmの範囲内で達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い粒子密度の達成のために殊に金属表面を粒子で被覆する方法、相応する被膜ならびにこの方法により形成された被膜の使用に関する。
【0002】
粒子を液状系により殊に金属表面上に施こすことができる多数の方法は、公知である。大抵の方法は、比較的に厚手の有機被膜または本質的な有機被膜の際によりいっそう高い粒子密度を達成するために、使用される技術がしばしば比較的に費用が掛かり、高価である。液状組成物中の固体物質および作用物質の含量をよりいっそう高くすると、殊に薄手の層、殊に単層または粒子層としての複数の粒子直径の厚さを有する層からの定義された層の形で大きな厚さの粒子が殊に金属表面上に析出され、相応する被膜が前記層から形成されるという、ますます大きな問題が生じうる。
【0003】
今日通常の工業的実施において、前記問題は、電界および相応して適合した塗料配合物を用いて比較的厚手に被覆する層を支持体上に析出するような陰極浸漬被覆(kathodische Tauchlackierung (KTL))を使用することによって解決される。
【0004】
この技術は、必要量の電気エネルギーと共に、ならびに費用の上昇をまねく適当な浸漬容器と共に、縁部での低粘稠化も起こるという欠点を有し、それというのも、電界は、巨視的縁部に不均質にもたらされ、縁部が不均一に場合によっては不完全に被覆されるからである。その上、空隙の被覆は、不足する電界強度に基づく包囲の問題のために殆ど不可能であるかまたはむしろ不可能であり、前記空隙の回避のため、および閉鎖された層の形成のために多大な費用を必要とする。
【0005】
例えば、この技術は、例えば陰極浸漬被覆(KTL)の場合のような電気浸漬被覆(ETL)の場合に次の欠点を有する:相応する浸漬浴は、温度制御、電流供給および電気的絶縁による全ての電気的装置および機械的装置、電解被覆の際に生じるアノード液酸を廃棄するための循環装置および添加装置、ならびに塗料再循環のための限外濾過ならびに制御装置と一緒に極めて費用をかけて構成されている。プロセス制御は、高い電流強さおよびエネルギー量のために、ならびに浴容量に関する電気的パラメーターの均質化の際および全てのプロセスパラメーターの正確な調整の際、ならびに装置のメインテナンスおよび清掃の際に極めて高い工業的費用を必要とする。
【0006】
均質な被覆を多数の粒子から、または多数の粒子を用いて高い粒子密度で効率的に安価に形成させ、これからできるだけ閉鎖された、本質的に平らな被覆を形成させることが長い間追求されてきた望みである。有機粒子を使用する場合、この有機粒子は、多数の実施態様において被膜形成することができる。無機粒子の場合、例えば二酸化チタンの場合または酸化アルミニウムの場合、前記技術でしばしば殊に金属表面のできるだけ最大の官能化が達成される。この場合には、しばしば本明細書中でナノ粒子および/または特に微細な粒子を使用することが提供される。
【0007】
有機粒子を分散液から金属表面上に析出する場合には、これは、通常、できるだけ均一に厚手の乾燥被膜を比較的粗い表面上にもたらすために、レオロジー助剤、例えば湿潤剤または/および被膜形成助剤が分散液に対する添加剤として必要とされるという欠点を有する。この場合、乾燥または/および被膜形成中に、図1Aに略示的に断面で図示したように障害が起こりうる。ミクロ範囲内の粗さを有する工業的表面上には、通常、自己調整し、平面を覆い、閉鎖された均質な分布は、角部、縁部および凹所上で起こらず、被膜形成材料は、例えばナイフ塗布によるコイルコーティングプロセスにおける無電流塗布の場合のように凹所に収集されうる。これは、多数の用途において、例えばCoNコーティングプロセスにおいて、ミクロ範囲内の凹所が埋められ、一方で、縁部および先端部での被膜の厚さが最小になり、むしろ、多数の縁部および先端部が被膜から突出することをまねく。
【0008】
無機粒子が強電界内で外側から印加される電圧で析出される場合には、これは、通常、粒子が優先的に高い電界強度を有する位置で析出されるという欠点を有し、このことは、不均一な層厚および分布をまねく。前記のマイクロメートルの範囲内での不規則性は、電気泳動浸漬法において、高い層厚のために約20μm程度の大きさでもはや顕著ではない(図1B)。
【0009】
図1Cには、少なくとも1つの前処理層および場合によっては少なくとも1つの他の被膜、例えば有色の塗料層を無視して、有機被膜または本質的な有機被膜を殊に金属支持体上にもたらす本発明による方法の乾燥被膜が略示的に断面で図示されている。
【0010】
完全に被覆する、できるだけ均質な被膜をもたらすことができるのであれば、この被膜は、恐らく、公知技術水準による比較可能な被膜のとにかく良好な性質を失なうことなく、明らかに薄手になるように形成することができるであろう。
【0011】
従って、多数の粒子を、液状系により無電流で、必要な場合には、洗浄耐性で、殊に金属表面上に均質に表面を覆うように高い粒子密度で簡単に析出させることができる方法を提案するという課題が課された。更に、このためにできるだけ簡単な多工程法を提案するという課題が課された。
【0012】
この課題は、粒子が安定化可能であるかまたは安定した水性組成物中で分散液(=懸濁液または/および乳濁液)の形で被覆すべき表面上に施こされ、本質的に、または主に静電力によって被覆すべき表面上に施こされ、および固着されることにより、高い粒子密度の本質的に洗浄耐性の層の形成下に多数の無機水不溶性粒子または/および有機水不溶性粒子を用いて場合によっては前被覆されていてよい物体または/および粒子の殊に金属表面(=被覆すべき表面)を無電流被覆する方法で解決され、この方法は、被覆すべき表面を最初に活性化剤で活性化し、その際活性化剤で被覆すべき表面上に、電荷を有する活性化層を形成させ、その際この電荷は、引続き施こすべき、組成物の粒子の電荷と反対に帯電され、被覆工程において、粒子含有組成物が施こされた粒子は、活性化層の電荷と反対に帯電され、粒子含有組成物を用いる1つの被覆工程または全ての被覆工程において、それぞれ1つの層が施こされた粒子のほぼ1つまたはそれ以上の平均粒度の平均厚さで被覆すべき表面上に形成され、場合によっては前記粒子層または全ての粒子層が引続き被膜形成され、または/および前記粒子層または全ての粒子層が引続き架橋され、それによって被膜形成されていない粒子の粒子層または全ての粒子層の層厚、または/およびこれから形成される、被膜形成され、または/および架橋された被膜の層厚は、それぞれ5nm〜50μmの範囲内で達成されることによって特徴付けられる。
【0013】
特に、粒子は、分散液(=懸濁液または/および乳濁液)の形での安定化可能な、または安定した水性組成物を用いて静電的に引力により被覆すべき表面上に施こされる。特に、粒子は、分散液(=懸濁液または/および乳濁液)の形での安定化可能な、または安定した水性組成物を用いて殊に静電的に施こされ、引続き静電的に、または静電的に、およびファンデルワールス力、共有結合または/および錯形成反応により表面上に固着される。
【0014】
特に、本発明による方法の場合には、粒子含有組成物を用いる1つの被覆工程または全ての被覆工程において、前記被覆工程のさらなる継続とは無関係にそれぞれ1つの層が施こされた粒子のほぼ1つまたはそれ以上の平均粒度の平均厚さで被覆すべき表面上に形成される。
【0015】
特に、粒子は、粒子含有組成物を用いる少なくとも1つの第2の静電被覆工程の場合に粒子のそれぞれ先に施こされた層の電荷に対して反対に帯電される。多数の粒子層が粒子含有組成物から互いに重なり合って形成される場合には、前記層は、特にプロトンまたは/およびカチオンで正に帯電されている粒子、およびアニオンで負に帯電されている粒子から交互に形成されている。
【0016】
被覆すべき物体または/および粒子は、全ての任意の材料からなるものであることができる。好ましくは、物体および/または粒子は、金属、合金、正チック、複合材料、天然材料、ガラスまたは/およびセラミックからなる表面を有する。腐蝕から保護することができる任意の常用の金属物体は、物体として利用されてもよい。しかし、原則的にそれぞれ少なくとも1つの正チック、複合材料、天然材料、ガラス、セラミックまたは/および金属材料からなる、場合により既に被覆されている全ての物体であることができ、この物体は、今や被覆される。例えば、車体、緩衝器、機器および建築物のための正チック要素は、本発明による形式で被覆されることができる。物体に対する同様のことは、粒子にも当てはまり、この場合には、被覆された粒子が製造される。これは、殊によりいっそう大きな粒子および配合された粒子にも当てはまる。
【0017】
「無電流の被覆」の概念は、本発明の範囲内で、粒子含有組成物での被覆の際に、静電的な引力のために組成物の粒子の施与を本質的に妨害する、外側からの電圧は、印加されないことを意味する。
【0018】
「被覆すべき表面」の概念は、本発明の範囲内で、場合によっては例えば亜鉛または亜鉛合金を基礎とする金属被膜または/および例えばクロム酸塩、Cr3+、Ti化合物、Zr化合物、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンまたは/および有機ポリマーを基礎とする前処理組成物または処理組成物の少なくとも1つの被膜で予め被覆されていてよい、殊に金属物体または/および殊に金属粒子の金属表面を有する。
【0019】
「ポリマー」の概念は、本発明の範囲内で、モノマー、オリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、これらの混合物、ならびに有機材料または/および本質的な有機材料を基礎とする、前記材料の配合物を意味する。通常、「ポリマー」は、本発明の範囲内で、主にポリマーまたは/およびコポリマーとして存在するかまたは全体的にポリマーまたは/およびコポリマーとして存在する。
【0020】
「前処理」の概念は、1つの処理(=被覆すべき表面と通常液状の組成物との接触)を意味し、この場合には、引続き場合により次の被覆後に連続層および物体、例えば少なくとも1つの塗料の保護のためにさらなる被膜が施こされる。
【0021】
「処理」または「不動態化」の概念は、被覆すべき表面と通常液状の組成物との接触を意味し、この場合には、引続き或る程度の時間または長時間、さらなる保護被膜、例えば少なくとも1つの塗料層は、施こされない。この場合には、例えば油、油含有組成物、または例えば少なくとも1つのチタン化合物または/およびジルコニウム化合物を含有する不動態化組成物を施こすことができる。この表面が後に耐久的に高品質の保護を備えるべき場合には、処理または不動態化の前記被膜は、しばしば最初に除去することができる。更に、「処理」の概念は、一定のプロセス段階の場合に部分的に先に記載された定義とは無関係に接触および例えば清浄化、酸洗または/および被覆を意味してもよい。
【0022】
「本質的に洗浄耐性」の概念は、本発明の範囲内でそれぞれの装置および処理順序の条件下でそれぞれ最後に被覆、例えばa)活性化層または/およびb)粒子層が洗浄工程(=洗浄)によって完全には除去されず、ひいてはa)の場合に次の施こすべき粒子での静電被覆のための活性化作用またはb)の場合に粒子から形成された被膜は、完全には除去されず、したがって粒子層から1つの被膜、特に閉鎖された被膜が形成されうることを意味する。
【0023】
「水不溶性の粒子」の概念は、本発明の範囲内で、水相への粒子の個々の成分の移行が全く起こらないかまたは水相への粒子の個々の成分の最小の移行だけが起こるように、粒子の水溶性が僅かであることを意味する。また、安定化が水相中で生じるかまたは/および存在し、特に少なくとも1つの非イオン性乳化剤または/およびイオン性乳化剤、および場合により少なくとも1つの流展剤または/および少なくとも1つの濃稠化剤で達成されうるような安定化した粒子は、前記の水不溶性粒子に属する。
【0024】
粒子含有組成物の場合の「導電性粒子」の概念は、本発明の範囲内で、活性化層と粒子との間または種々の粒子層の粒子の間での互いの電気的引力の本質的な障害が起こらないように、粒子の導電性が僅かであることを意味する。
【0025】
本発明による方法の場合、2つの原則的な実施態様が存在する:
本発明による方法の場合、活性化層を被覆すべき表面上に形成させ、この表面が実施態様A)においてカチオン活性化層の場合に少なくとも1つのカチオン性化合物との接触によって形成され、実施態様B)においてアニオン活性化層の場合に少なくとも1つのアニオン性化合物との接触によって形成されることは、好ましい。
【0026】
本発明による方法の場合、カチオン性化合物として少なくとも1つのプロトン化可能なシランまたは/およびプロトン化されたシランまたは/および少なくとも1つのプロトン化可能な窒素含有化合物または/およびプロトン化された殊に窒素含有化合物が使用されること、またはアニオン性化合物として少なくとも1つの脱プロトン化された化合物または/および少なくとも1つの脱プロトン化されたアニオンまたは/および少なくとも1つの脱プロトン化可能な化合物または/および脱プロトン化された(=アニオン)化合物が使用されることは、好ましい。
【0027】
実施態様A)の場合に活性化層がプロトンまたは/およびカチオン性、例えば少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物の少なくとも1つのカチオンまたは/および少なくとも1つの酸およびその上に施こされた、粒子含有組成物の第1の粒子層で正に帯電されている(=正への帯電)かまたは/および相応してアニオン、殊にアニオン基、例えばカルボキシレート基または/およびヒドロキシド基で負に帯電されているかまたは反対であるか、または/および実施態様B)の場合に活性化層がアニオン基で負に帯電され(=負への帯電)、その上に施こされた、組成物の粒子の第1の層であり、または/およびプロトンまたは/およびカチオンで正に帯電されている。アニオン性化合物は、本発明の範囲内で同様にアニオン性と呼称される。
【0028】
多数の層、殊に2つ、3つ、4つまたは5つの層がそれぞれ異なる粒子または交互に異なる粒子含有組成物の粒子から重なり合って構成されている場合には、前記層は、プロトン(H+)または/およびカチオンで正に帯電されている粒子ならびにアニオン基、例えばカルボキシレート基またはヒドロキシド基のために負に帯電されている粒子から特に交互に構成されている。この場合、「プロトンまたは/およびカチオン」の概念は、同様に官能基、例えば第四級アンモニウム基を有する化合物および錯形成剤を含む。
【0029】
活性化または/および活性化の強化は、多数の電荷での表面の帯電に利用される。カチオンに帯電された活性化剤を表面上に施こす場合には、その後に施こすべき粒子は、相応して引力を有しかつ固定されるように、アニオンに帯電されていなければならない。アニオンに帯電された活性化剤を表面上に施こす場合には、その後に施こすべき粒子は、相応して引力を有しかつ固定されるように、カチオンに帯電されていなければならない。活性化層または粒子の電荷がよりいっそう高くなると、粒子は、ますます多くなり、直ぐ次の層の粒子は、その上に施されてますます粘着性となる。更に、この粒子層は、通常、よりいっそう洗浄耐性でもある。
【0030】
本発明による方法の場合、活性化剤、活性化層、粒子含有組成物または/および粒子は、必要な場合に電気的に正に帯電されていてもよいし、負に帯電されていてもよい。これら活性化剤、活性化層、粒子含有組成物または/および粒子は、相応してカチオン作用を有するかまたはアニオン作用を有する。
【0031】
特に有利には、活性化層、または最後の粒子層の粒子は、殊に正に帯電可能な液体または負に帯電可能な液体または/および正に帯電された液体または負に帯電された液体、またはガスの正の電荷または負の電荷で、または真空中で帯電される(=正への帯電または負への帯電)。相応することは、正に帯電された活性化層または負に帯電された活性化層の強化、または最後の粒子層の粒子にも当てはまる。
【0032】
カチオン活性化剤は、少なくとも1つのカチオン性物質を含有し、アニオン活性化剤は、少なくとも1つのアニオン性物質を含有する。
【0033】
殊に、カチオン活性化層または/およびカチオンに帯電された粒子は、付加的に酸水性液体、例えば溶液または分散液でまたは/および溶液または分散液中でよりいっそう強力に正に帯電されていてよい。これは、特に1〜7.5の範囲内のpH値、特に有利に1.5〜7、2.5〜6または3.5〜5の範囲内のpH値で、例えば酸または/およびカチオンを含有する水溶液または水性分散液を用いて行なわれる。
【0034】
殊に、アニオン活性化層または/およびアニオンに帯電された粒子は、付加的に塩基水性液体、例えば溶液または分散液でまたは/および溶液または分散液中でよりいっそう強力に負に帯電されていてよい。これは、特に7〜14の範囲内のpH値、特に有利に8.5〜13、9.5〜12または10〜11の範囲内のpH値で、例えばヒドロキシドを含有する水溶液または水性分散液を用いて行なわれる。
【0035】
活性化剤、活性化層、粒子含有組成物または/および粒子の正への帯電は、特にイオン化されたガスでの処理、酸洗流体(ガス、溶液、分散液または/およびペースト)での酸洗、プロトンまたは/およびカチオンを有する液体での処理または/および例えば正への帯電への少なくとも1つの酸での処理によって行なうことができる。特に好ましいのは、酸の水溶液による正への帯電、または例えばカチオン基を有する第四級アンモニウム化合物の場合のような物質の反応性溶液での正への帯電である。
【0036】
本発明による方法の場合、活性化層の正への帯電または粒子層の粒子の正への帯電は、特に少なくとも1つの酸または/およびカチオン基を有する少なくとも1つの物質での処理によって行なわれ、または活性化層の負への帯電または粒子層の粒子の負への帯電は、特に少なくとも1つのアニオンまたは/およびアニオン基を有する少なくとも1つの物質での処理によって行なわれる。
【0037】
本発明による方法の場合、カチオン活性化層の製造および活性化、または粒子層の粒子の接触および活性化は、特に少なくとも1つのカチオン性珪素化合物を用いて行なわれ、または/および活性化層の正への帯電または粒子層の粒子の正への帯電は、特に少なくとも1つの酸または/およびカチオン基での処理によって行なわれる。
【0038】
本発明による方法の場合、活性化剤の静電作用を有する物質として多種多様の物質が使用されてよい。
【0039】
特に、正の活性化のため、または/および正への帯電のためには、付加的に殊に少なくとも1つの酸のプロトンまたは/および例えばカチオン性化合物、例えば少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、少なくとも1つの錯形成剤、例えばヘム錯体(Fe2+)または/および少なくとも1つの水溶液カチオン性珪素含有化合物、例えば殊に少なくとも1つの窒素含有基を有する少なくとも1つのシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン/シラザン/ポリシラザンを含めて金属カチオンまたは/およびアンモニウムイオンのカチオンでの少なくとも1つの処理が使用される。
【0040】
カチオン活性化剤には、少なくとも1個の窒素含有基を有する化合物または/および酸が適している。カチオン活性化剤には、例えば少なくとも1つのカチオン性物質、例えば少なくとも1個の窒素含有基、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基または/およびイミド基を有する、少なくとも1つのシランまたは/およびこれとは別種の少なくとも1つの化合物の含量が有効であることが証明された。更に、多数のアンモニウム化合物または/および酸が好ましい。
【0041】
例えば、少なくとも1つのプロトン化された化合物、例えば少なくとも1つのプロトン化されたシランを含有する活性化剤での被覆は、表面を官能化し、かつ正に帯電する。
【0042】
本発明による方法の場合、アニオン活性化層の製造および活性化、または粒子層の粒子の接触および活性化は、特に少なくとも1つのアニオン性化合物を用いて行なわれ、または/および活性化層の負への帯電または粒子層の粒子の負への帯電は、特に少なくとも1つのアニオンまたは/およびアニオン性化合物での処理によって行なわれる。
【0043】
この場合、負への帯電のため、または/およびアニオン活性化剤の強化のためのアニオン活性化剤中のアニオン性物質としては、殊にa)硼酸塩、炭酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、例えば塩化物または/およびフッ化物の群を有する物質、b)負に帯電された錯体または/およびそのエステルが適している。カルボキシレート基の中で、任意のカルボン酸のカルボキシレート基が可能である。アニオン活性化剤には、例えばポリアクリル酸、ポリホスホン酸、ポリビニル燐酸、ポリビニル燐酸エステルまたは/およびこれらの誘導体を基礎とする少なくとも1つのアニオン性有機ポリマーの含量が有効であることが証明された。
【0044】
活性化剤、活性化層、粒子含有組成物または/および再度の粒子層の粒子を負に帯電することは、特にβ線(電子線)での照射、イオン化ガスでの処理、液体、例えばアルカリ性清浄剤液体との接触、苛性アルカリ(alkaline pickle)との接触または/および少なくとも1つの負に帯電された物質での前処理によって行なわれる。特に好ましいのは、アニオンでの負への帯電、殊にアニオンを有する水溶液、例えば少なくとも1つの金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは/および有機アルカリ金属化合物を有する溶液による負への帯電である。この場合、特に好ましいのは、少なくとも1つの塩基性物質、例えば少なくとも1つのアニオン活性化剤、殊に例えばKOHまたは/およびNaOHを基礎とするアルカリ液または/および例えばそれぞれ少なくとも1つのホスホネート、燐酸エステルまたは/およびスルホネートを有する溶液、分散液または/およびガスである。
【0045】
正または負への帯電は、帯電された活性化層または最後の粒子層の帯電された粒子が少なくとも1つの相応して帯電された物質と接触される場合に強化されることができ、このことは、なおいっそう強い正または負の電荷を生じる。
【0046】
特に好ましくは、被覆すべき表面、粒子含有組成物の粒子または最後の粒子層の粒子は、殊に負に帯電された液体または/および負に帯電可能な液体または/およびイオン化電荷で、殊にアルカリ水性液体中で負に帯電される。相応することは、負への帯電の強化に当てはまる。
【0047】
活性化剤、活性化層、粒子含有組成物または/および粒子の負への帯電は、特に付加的にイオン化されたガス、清浄剤液体または/および苛性アルカリによる少なくとも1つのアルカリ処理を実施することにより、特に付加的に既にもたらされた同種の電荷を有する表面の官能化後に少なくとも1つの処理が実施される場合に強化されることができる。特に好ましいのは、少なくとも1つの金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは/および水酸化カリウムの水溶液での付加的な負への帯電である。
【0048】
少なくとも1つの活性化物質または/および活性化可能な物質は、活性化剤中または負に帯電するための液体中に、特に0.01〜200g/l、0.1〜120g/l、0.5〜70g/l、1〜30g/lまたは2〜10g/lの範囲内の濃度で含有されていてよい。こうして、この場合に活性である少なくとも1つの物質が同時に部分的に活性化され、なお若干活性化可能であることは、しばしばある。
【0049】
本質的に洗浄耐性の活性化層が形成されることは、一定の工業的処理順序および装置にとって特に好ましく、または/および特に好適である。
【0050】
本発明による方法の場合、特に本質的に洗浄耐性の活性化層は、活性化剤中の少なくとも1つの活性化物質および/または活性化可能な物質で構成されている。
【0051】
1つの本質的に洗浄耐性の層またはそのつど本質的に洗浄耐性の層が粒子から形成されることは、一定の工業的処理順序および装置にとって特に好ましく、または/および特に好適である。
【0052】
複雑に形成された、被覆すべき支持体、例えば自動車構造における車体の凹所中に液状薬剤、例えば活性化剤または例えば粒子含有組成物は、被覆後に場合によっては完全に流去しないので、例えば水洗浄での次の洗浄工程なしでは、活性化剤の蓄積および前記凹所内での過剰に厚手の被覆、および不均質性および塗料欠陥をまねきうる斑点模様を生じうる。それ故に、活性化剤または/および粒子含有組成物で被覆された支持体は、特に洗浄される。この場合には、殊に脱イオン水が使用される。活性剤で被覆された支持体を洗浄する場合、活性化層または粒子層は、できるだけ僅かに除去されるべきであり、完全に除去されてはならない。従って、活性化層または粒子層は、この種の装置および処理順序にとって十分に洗浄耐性でなければならない。
【0053】
洗浄工程においてしばしば新しい被覆の一部分は、洗浄除去されるので、例えば元素の活性化層中の残留含量をX線蛍光分析(RFA)によって試験することは、好ましい。洗浄において活性化層のできるだけ高い割合が維持されたままであることは、有利であることが証明され、それというのも、多くの実施態様において析出密度および析出速度は活性化層の厚さとほぼ比例して改善されるからである。
【0054】
本発明による方法において、活性化層または/および粒子層の洗浄は、特に流れる水性洗浄液体または/および流動する水性洗浄液体で、例えば洗い落とし、噴霧洗浄または/および浸漬洗浄によって行なうことができる。洗浄は、殊に浸漬洗浄として殊に攪拌浴中への浸漬によって行なうことができ、噴霧洗浄として、例えば洗浄すべき表面上への噴霧によって行なうことができ、または/および洗浄すべき表面の洗い落としによって行なうことができる。全ての洗浄において、必要な場合には、数回洗浄されてよく、例えば少なくとも1回脱イオン水で、その後に少なくとも1回、あまり高度に浄化されていない品質の水または/および後洗浄液体で洗浄されてよい。
【0055】
殊に脱イオン水での洗浄後に得られた活性化層の残留含量は、強力な洗浄にも拘わらず通常、活性化層の十分に高い含量を維持したままであることを明確に示す。この含量は、活性化表面を次の処理工程のために作用を有するように準備するのに十分である。
【0056】
カチオン活性化剤またはアニオン活性化剤を施こす場合、多数の実施態様において、生じる被覆が本質的に洗浄耐性になるかまたは/および洗浄耐性であることを保証することは、好ましい。更に、アニオン活性化剤の場合、被覆が均一に施こされ、または/および施こされた活性化剤が加水分解に対して安定性であることは、しばしば保証することができる。
【0057】
カチオン活性化剤のための特に好ましい物質として、少なくとも1つのシラン、少なくとも2つのシランまたは少なくとも3つのシランを使用することは、有利であることが証明された。これらの物質は、次に続く層または被覆の向上された防錆および向上された付着力を可能にするだけでなく、プロトンまたは/およびカチオンでの良好な負荷を可能にする。更に、カチオン活性化剤は、特に引続き析出される粒子の均質な粒子分布のために特に有効であることが証明された。
【0058】
この場合、「シラン」の概念は、シラン、シラノール、シロキサン、ポリシロキサン、これらの反応生成物または/および誘導体のために利用され、本明細書中では、これは、しばしば「シラン」混合物でもある。多種多様な化学反応のために、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のシランから多数の反応生成物およびその誘導体が生じうる。「縮合」の概念は、本発明の範囲内で、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの架橋、後架橋およびさらなる化学反応の全ての形を示す。
【0059】
「活性化層」の概念は、本発明の範囲内で、湿潤被膜、表面乾燥被膜、完全乾燥被膜、高められた温度で乾燥された被膜および場合により熱的に後架橋された被膜または/および照射によって後架橋された被膜を含めて水性活性化剤で構成された被覆に関連する。
【0060】
少なくとも1つの活性化物質、殊にカチオン活性化剤中の少なくとも1つのシランは、カチオン活性化剤中またはアニオン活性化剤中に、特に0.01〜100g/l、0.1〜70g/l、0.5〜40g/l、1〜25g/l、1.5〜12g/lまたは2〜6g/lの範囲内の濃度で含有されていてよい。
【0061】
本発明による方法において、珪素化合物として、特に少なくとも1つの加水分解可能なシランまたは/および少なくとも1つの少なくとも部分的に加水分解されたシランは、含有されていてよい。特に、少なくとも1つのモノシリルシラン、少なくとも1つのビスシリルシランまたは/および少なくとも1つのトリスシリルシランは、含有されていてよい。この場合には、殊に酸性媒体中でプロトン化されて存在するシランが好ましい(カチオン性シラン)。特に、少なくとも1つのアミノシラン、少なくとも2個の窒素含有基、例えばそれぞれ少なくとも1個のアミド基、アミノ基、尿素基、イミド基または/およびイミノ基を有する少なくとも1つのシランまたは/および酸性媒体中でのプロトン化された少なくとも2つの異なるシランからなる混合物が含有されていてよい。この場合、好ましいのは、殊に2〜5個のC原子の範囲内の鎖長および官能基を有するようなシラン/シロキサンであり、この場合最後の官能基は、特にポリマーとの反応に適しており、ならびに分枝鎖状シランは、本明細書中で好ましい。
【0062】
特に、水性活性化剤は、
アミノアルキルアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
α−アミノアルキルイミノアルキルトリアルコキシシラン、
ビス−(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、
ビス−(トリアルコキシシリル)エタン、
アミノアルキルトリアルコキシシラン、
ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)アルキレンジアミン、
N−(アミノアルキル)アミノアルキルトリアルコキシシラン、
N−(トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシランおよび
ウレイドアルキルトリアルコキシシランの群から選択された少なくとも1つのシランを含有する。
【0063】
特に、水性活性化剤は、
α−アミノエチルイミノプロピルトリメトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン、
ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
ポリ(アミノアルキル)エチルジアルコキシシランおよび
ポリ(アミノアルキル)メチルジアルコキシシランの群から選択された少なくとも1つのシランを含有する。
【0064】
特に好ましい珪素化合物は、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリル)エタン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランおよびトリアミノオルガノ官能性シラン、例えば3,5,7−トリアミノトリメトキシシランである。
【0065】
少なくとも1つの酸および少なくとも1つのカチオン性シランの含量は、特に好ましい。特に好ましい実施態様において、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンを含有する水性活性化剤は、a)シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択された少なくとも1つの化合物、b)少なくとも1つのチタン含有化合物、ハフニウム含有化合物または/およびジルコニウム含有化合物、場合によってはc)元素の周期律表のランタニドおよび第2主族を含めて第1副族〜第3副族および第5副族〜第8副族の金属のカチオンから選択された少なくとも1つの種類のカチオンまたは/および少なくとも1つの相応する化合物ならびに場合によっては次のもの:〜から選択される少なくとも1つの物質d)ならびにさらにe)水およびf)場合により少なくとも1つの有機溶剤を含有する。d1)少なくとも1個の窒素含有基、例えばそれぞれ少なくとも1個のアミノ基、尿素基または/およびイミノ基および/または多数のアミノ基または/および少なくとも1個のニトロ基を有する珪素不含化合物、d2)亜硝酸塩のアニオン、d3)過酸化物を基礎とする化合物およびd4)燐含有化合物、少なくとも1つの燐酸塩のアニオンまたは/および少なくとも1つのホスホン酸塩のアニオンから選択される少なくとも1つの物質d)ならびにさらにe)水およびf)場合により少なくとも1つの有機溶剤を含有する。更に、特に活性化剤は、多くの実施態様において、それぞれ少なくとも1つの有機ポリマー、少なくとも1つのアミン、少なくとも1つの塩基、少なくとも1つの錯形成剤、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの種類の無機粒子、少なくとも1つの染料、少なくとも1つの添加剤または/およびそれぞれ少なくとも1つの無機酸または/および有機酸または/およびこれらの少なくとも1つの誘導体を含有していてもよい。
【0066】
予備試験において、新しく施こされかつなお乾燥されていない活性化層またはなお完全には乾燥されていない活性化層、なお完全には縮合されていない活性化層または/およびなお完全には架橋されていない活性化層が、少なくとも1回、殊に脱イオン水で洗浄され、または/および強く乾燥されることなく、直接に有機被膜で被覆されているか、または本質的な有機被膜で被覆されていることは、好ましいことが証明された。それによって、著しく良好な反応性および著しく良好な層特性が生じた。洗浄は、殊に浸漬洗浄として、殊に攪拌浴中で行なうことができるかまたは噴霧洗浄として、例えば噴霧によって行なうことができる。洗浄において、堅固に結合されていない過剰の被膜は、洗浄除去されうる。
【0067】
本発明による方法において、殊に金属表面を少なくとも1つの水溶性珪素含有化合物での活性化後に粒子含有組成物での被覆前または/および被覆後に、場合により洗浄液体、例えば水での少なくとも1回の洗浄後に、なお2〜100mg/m2の範囲内での金属として計算したSi析出物での相応する珪素含有化合物の析出層が検出可能であることは、好ましい。
【0068】
活性化剤が官能基を有する場合には、この官能基は、例えば酸処理によってなお強力に正に帯電されることができ、プロトンまたは/およびカチオンでのよりいっそう高度でできるだけ完全な帯電が可能である。即ち、例えば先に施こされた活性化層のシランのアミン官能基は、酸処理によってよりいっそう強力に正に帯電されることができる。更に、前記の酸処理は、活性化剤中でのシランの使用を、使用されるシランに適したpH値範囲内で可能にする。活性化層が先に例えば酸処理によって正に帯電された場合には、走査電子顕微鏡写真は、粒子層内での明らかに厚手の均質な粒子析出を示した。
【0069】
反対に、同様に、アニオン性活性化層を例えばアルカリ処理によってなお強力に負に帯電することも可能である。アニオンに帯電された表面において、殊に洗浄されたアニオンに帯電された活性化層の官能基は、必要な場合には、塩基性の活性化剤、例えばアンモニアでの処理によってなお強力に負の電荷に帯電され、したがって、例えばNH4+の形成により、例えばCOOHは、COOH-に変わる。
【0070】
その後に、相応して正に帯電されたかまたは負に帯電された表面は、例えば脱イオン水で洗浄されることができ、過剰の酸またはカチオン性物質または過剰のアルカリ剤ならびに場合により別の物質および不純物は、除去されることができる。
【0071】
その後に、アニオン性活性化層またはカチオン性活性化層上には、場合により引続く負への帯電または正への帯電の後に粒子層が施こされる。この場合、粒子は、特に水性分散液中、殊に安定した分散液中に含有されている。この組成物は、水と共に場合により、粒子を溶解しないかまたは本質的に溶解しない、少なくとも1つの有機溶剤を含有することもできる。この場合、粒子は、特に主に活性化層上に施こされるかまたは静電引力のために活性化層上に施こされ、この活性化層上で引続き静電的に、または/および多数の相互作用、例えばファンデルワールス力により、共有結合の形成または/および錯形成反応が保持される。
【0072】
本発明による方法において、粒子含有組成物の粒子として、多種多様の粒子種、粒子寸法および粒子形が使用されてよい。
【0073】
特に、前記組成物の粒子は、10nm〜45μmの範囲内の平均粒度d50を有する。粒度は、要件プロフィールに応じて幅広い範囲内で変動可能である。しばしば、平均粒度d50は、20nm〜100nm、50nm〜180nm、0.1〜10μmまたは/および5〜30μmの範囲内にある。この場合、個々の層から望ましい層厚の被膜を形成することができるように粒子の平均粒度が選択されることは、好ましい。よりいっそう大きな粒子の場合であっても、適した安定化の際に、場合によってはよりいっそう大きな費用で、前記粒子を分散液中に浮遊させたままにし、ならびに静電帯電させ、支持体上に静電力により、特に印加された外側電界なしに析出させることが可能である。殊に、僅かな粒度の場合、前記組成物の粒子は、多くの実施態様において、本質的に同じ直径または/および本質的に球状の形を示す。
【0074】
粒子は、組成物中に特に有利に0.1〜500g/l、1〜250g/l、5〜120g/lまたは10〜60g/lの範囲内の濃度で存在していてよい。殊に、前記組成物の粒子の粒子直径が特に幅広の分布または/および2モードまたは多モードで分布して存在する場合には、よりいっそう小さい粒子は、間隙およびよりいっそう大きな粒子の間のウェッジを少なくとも部分的に閉鎖し、場合によっては特に稠密な粒子層を形成することができる。このために、例えば互いに相容性である、2つまたは3つの異なる分散液は、互いに混合されてよい。また、水性の粒子含有組成物が2〜13の範囲内、殊に3.5〜12または5〜11の範囲内、特に有利に7〜10または8〜9の範囲内のpH値を有することは、好ましい。
【0075】
水性組成物中または/およびこれから形成される粒子層中の粒子として、特に酸化物、水酸化物、炭酸塩、燐酸塩、ホスホ珪酸塩、珪酸塩、硫酸塩、有機ポリマー、ワックスまたは/および配合された粒子、殊に防錆顔料、有機ポリマー、ワックスまたは/および配合された粒子を基礎とするものが使用されてよいか、または別の種類の粒子と共に使用されてもよい。配合された粒子は、粒子中に少なくとも2つの異なる物質の混合物を有する。配合された粒子は、しばしば極めて異なる性質を有する別の物質を有することができる。この配合された粒子は、例えば部分的または全体的に塗料のための組成物を含有することができ、場合によってはむしろ非粒子状に形成された物質、例えば界面活性剤、消泡剤、分散剤、塗料助剤、他の種類の添加剤、染料、腐蝕抑制剤、弱水溶性防錆顔料または/および相応する混合物に対して常用でありまたは/および公知である別の物質を含有することができる。このような塗料成分は、例えば再構築のための有機塗膜、防錆プライマーおよび別のプライマー、着色塗料、充填剤または/およびクリヤラッカーに適しており、または/およびしばしば利用されることができる。防錆プライマーは、通常、導電性粒子を有し、電気的に溶接可能である。この場合、一般に、a)化学的または/および物理的に異なる種類の粒子の混合物、b)化学的または/および物理的に異なる種類の粒子からなる粒子、凝集体または/および凝集塊または/およびc)配合された粒子が組成物中または/およびこれら形成された粒子層中で使用されることは、しばしば好ましい。
【0076】
粒子含有組成物または/およびこれから形成された粒子層が少なくとも1つの種類の粒子と共に少なくとも1つの非粒子状物質、殊に添加剤、染料、腐蝕抑制剤または/および弱水溶性防錆顔料を含有することは、しばしば好ましい。他面、多くの場合の実施態様において、組成物または/およびこれから形成される被膜が少なくとも1つの種類の有機粒子と共に少なくとも1つの非粒子状珪素含有物質、殊にそれぞれ少なくとも1つのシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン/シラザン/ポリシラザンを含有することは、好ましい。
【0077】
殊に、組成物中または/およびこれから形成された粒子層中の粒子として、殊にフラーレンおよび黒鉛状の構造を有する別の炭素化合物または/およびカーボンブラックを基礎とする、着色されたまたは/および制限された割合の導電性粒子、場合によってはナノコンテナまたは/およびナノチューブが含有されていてよい。他面、この場合には、殊に組成物中または/およびこれから形成された被覆中の粒子として、被覆された粒子、化学的または/および物理的に変性された粒子、コアシェル型粒子、異なる種類の物質からなる配合された粒子、カプセル化された粒子または/およびナノコンテナが使用されてよい。
【0078】
本発明による方法において、粒子含有組成物中、粒子層中または/およびこれから形成された被膜中の粒子として、殊にアミノプラスト、エポキシド、エチレンアクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリビニルアセタール、ポリアセタール、スチレンアクリレート、これらの誘導体、これらの配合物または/およびこれらの混合物を基礎とする有機ポリマーが使用されてよい。
【0079】
粒子の有機ポリマーへの添加剤として、多くの実施態様において、塗料およびプライマーにおいてしばしば使用されるような顔料または/および添加剤が推奨される。
【0080】
本発明による方法において、粒子含有組成物、これから形成される粒子層または/およびこれから、例えば被膜形成または/および架橋によって形成される被膜が、少なくとも1つの種類の粒子と共にそれぞれ少なくとも1つの染料、有色顔料、防錆顔料、腐蝕抑制剤、導電性顔料、他の種類の粒子、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン/シラザン/ポリシラザン、塗料添加剤または/および添加剤、例えばそれぞれ少なくとも1つの界面活性剤、消泡剤または/および分散剤を含有することは、好ましい。
【0081】
本発明による方法において、前記組成物または/およびこれから形成される被膜が少なくとも1つの種類の粒子と共に、および場合により少なくとも1つの非粒子状物質と共に、部分的または完全に、プライマー、塗料、例えば充填剤、トップラッカーまたは/およびクリヤラッカーのための化学組成を有することは、好ましい。
【0082】
特に、粒子含有組成物は、DIN EN ISO 3219に記載のPaar Physica社の回転粘度計モジュラーコンパクトレオメーターフィジカ(Modular Compact Rheometer Physica)MCR 300を用いて測定した1〜10000mPa.sの範囲内の粘度を有する。特に好ましくは、前記の粒子含有組成物は、4〜5000または8〜1200mPa.sの範囲内、特に有利に15〜800、20〜450、40〜350または60〜250mPa.sの範囲内の粘度を有する。
【0083】
本発明による方法において、粒子含有組成物は、特に安定した分散液のpH値で測定した、−200〜+200mVの範囲内のゼータ電位を有することができる。特に好ましくは、この粒子含有組成物は、−150〜+150または−100〜+100mVの範囲内、特に有利に−80〜+40mVの範囲内のゼータ電位を有する。ゼータ電位は、粒子の表面電荷の特性を示す。この性質は、Malvern Instruments Ltd.のZetasizer Nano ZSで測定される。この場合、分散液(=懸濁液または/および乳濁液)が安定性であるようなpH値および条件が選択され、即ち、長時間に亘って水性液体中で凝集しないか、または/および強力に凝固しない。ゼータ電位が高すぎる場合には、粒子が粒子層中で斥力のために距離をもって維持され、および稠密な粒子層が形成されえないことが起こりうる。ゼータ電位が低すぎる場合には、粒子が活性化された表面によって十分に引き付けられず、適度な被覆が達成されないことが起こりうる。
【0084】
前記組成物のpH値は、幅広い範囲内で変動しうるかまたは適したpH値に適合されうる。被覆は、殊に5〜95℃の温度、特に室温、または15〜50℃の温度で行なうことができる。
【0085】
粒子含有組成物での被覆は、任意の種類の塗布によって、殊に例えば噴霧、浸漬、ロール塗布等によって行なうことができる。被覆は、殊に活性化層に対して反対に帯電された粒子を有する分散液で行なうことができる。
【0086】
本発明による方法の場合、多くの実施態様において、それぞれ1つの被覆工程で粒子含有組成物を用いて被覆のその後の継続とは無関係に1〜10個または1〜5個の粒子層、または1〜10個または1〜5個の粒子層の平均厚さ、または1〜10個または1〜5個の粒子の平均粒度で被覆すべき表面上に形成させることは、好ましい。この被覆法は、しばしば自己調整法であり、したがって、或る程度の時間の間でのみ、例えば静電力に相応して被覆は形成され、粒子含有組成物との接触が如何にして長いのかとは無関係に継続される。
【0087】
特に、本発明による方法の場合、多くの実施態様において、本質的に例えば粒子の単層だけが殊に金属表面上、または場合により殊に予め被覆された金属表面上に形成される。別の実施態様において、完全には閉鎖されていないが、しかし、なお本質的に閉鎖されたかまたは閉鎖された被膜を粒子層から形成するには十分である粒子層が形成される。更に、別の実施態様において、殊に1個ないし例えば10個の粒子の平均粒度の平均厚さを有する、粒子の層が析出される。
【0088】
多くの実施態様において、粒子密度は、被覆された表面上で、1mm2当たり約2×1010個の粒子(殊に、約10nm程度の大きさの粒径で、1つの層の場合)、1mm2当たり約2×1011個の粒子(殊に、約10nm程度の大きさの粒径で、約5つの層の場合)の程度の大きさであり、
1mm2当たり約2×108個の粒子(殊に、約100nm程度の大きさの粒径で、1つの層の場合)、1mm2当たり約2×109個の粒子(殊に、約100nm程度の大きさの粒径で、約5つの層の場合)の程度の大きさであり、
1mm2当たり約2×106個の粒子(殊に、約1μm程度の大きさの粒径で、1つの層の場合)、1mm2当たり約2×107個の粒子(殊に、約1μm程度の大きさの粒径で、約5つの層の場合)の程度の大きさであり、
1mm2当たり約2×104個の粒子(殊に、約10μm程度の大きさの粒径で、1つの層の場合)、1mm2当たり約2×105個の粒子(殊に、約10μm程度の大きさの粒径で、約5つの層の場合)の程度の大きさであり、
1mm2当たり約750個の粒子(殊に、約40μm程度の大きさの粒径で、1つの層の場合)または1mm2当たり約7500個の粒子(殊に、約40μm程度の大きさの粒径で、約5つの層の場合)の程度の大きさである。
【0089】
粒子密度は、被覆された表面上でしばしば、粒子から本質的に閉鎖されたかまたは閉鎖された被膜が形成されるように高い。また、この場合には、しばしば粗い、殊に金属表面の峰と谷底に亘って本質的に閉鎖されたかまたはむしろ閉鎖された被膜が形成される。この場合、走査型力顕微鏡のAFM写真またはREM写真で算出することができる、殊に金属表面の被覆度は、特に少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%である。
【0090】
本発明による方法において、高い粒子密度の層が粒子含有組成物で形成されることは、好ましい。この場合、高い密度の本質的に洗浄耐性の層が粒子含有組成物で形成されることは、好ましい。
【0091】
予備試験において、新しく施こされた、未だ強力に乾燥されていない活性化層が少なくとも1回殊に脱イオン水で洗浄され、または/およびよりいっそう強力な乾燥なしに、直接に粒子、殊に有機粒子または本質的な有機粒子で被覆されたことは、好ましいことが証明された。これによって、明らかによりいっそう良好に閉鎖された層および明らかによりいっそう高い粒子密度が生じた。洗浄は、殊に浸漬洗浄として、殊に攪拌浴中で行なうことができるかまたは噴霧洗浄として、例えば噴霧によって行なうことができる。
【0092】
粒子被覆後の洗浄は、静電結合されずかつ蓄積されない粒子、例えば流れ(Laeufer)を除去し、自動車工業においてしばしば常用されている、できるだけ現実に近い処理操作を構成するために利用される。それというのも、自動車工業においては、しばしば水での洗浄は、浸漬洗浄または噴霧洗浄によって行なわれるからである。
【0093】
粒子層がその塗布後に洗浄される場合には、少なくとも1つの洗浄液体、例えば水または/および水性後洗浄液体での洗浄後に本質的に粒子からなる少なくとも1つの単層が維持されたままで、粒子層中の粒子が洗浄耐性であるように維持されることは、好ましい。本は妻委による方法において、少なくとも1つの洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの他の殊に溶解された物質を有する水性後洗浄液体での洗浄にも拘わらず、粒子からなる本質的に少なくとも1つの単層が維持されたままであるように、粒子が洗浄耐性で殊に金属表面上に付着することは、好ましい。
【0094】
洗浄は、原則的に任意の形式および順序で行なうことができる。それぞれの洗浄において、必要な場合には、数回洗浄されることができ、例えば少なくとも1回脱イオン水で洗浄されることができる。必要な場合には、その後に少なくとも1回あまり高度に浄化されていない品質の水または/および後洗浄液体で洗浄されてよい。場合によっては、最初に水道水で洗浄され、その後に脱イオン水で洗浄される。
【0095】
後洗浄液体は、例えばそれぞれ少なくとも1つの燐酸塩、ホスホン酸塩、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン、有機ポリマー、イソシアネート、イソシアヌレート、メラミン、少なくとも1つのチタン化合物、少なくとも1つのジルコニウム化合物、少なくとも1種の粒子、少なくとも1つの塗料添加剤または/および少なくとも1つの他の添加剤を有する水溶液または水性分散液を基礎とするものであることができる。
【0096】
後洗浄溶液は、引続き架橋剤、防錆添加剤、付着助剤、封止層、間隙およびウェッジを閉鎖する保護層または/および勾配被覆のための被膜を施こすのに貢献しうる。
【0097】
本発明による方法において、生じた粒子層を少なくとも1つの洗浄液体、例えば水または/および水性後洗浄液体で洗浄し、その後に特に乾燥した状態または強く乾燥されていない状態で、例えばプライマーまたは/および塗料の少なくとも1つの有機組成物で被覆することは、好ましい。
【0098】
特に、少なくとも1つの粒子層は、被膜形成され、または/および架橋され、できるだけ閉鎖された、金属支持体の場合でも耐蝕性の被膜を形成する。被膜形成または/および架橋は、殊に乾燥または/および加熱の際に行なうことができる。架橋は、部分的または全体的にラジカル重合によって行なってもよいし、または/および付加的に例えば練り歯磨きつてに後架橋によって行なってもよい。架橋プロセスは、原則的に公知である。
【0099】
被膜形成は、熱可塑性ポリマーの使用によって改善することができ、または/および一時的な可塑剤として利用される物質の添加によって改善することができる。被膜形成助剤は、ポリマー粒子の表面を軟化し、こうしてポリマー粒子の溶融を可能にする特殊な溶剤として作用する。この場合、ポリマー粒子上に長時間作用させうるために、前記可塑剤を一面で十分な長さの時間の間水性組成物中に留め、その後に蒸発させ、それによって被膜から逃出させることは、好ましい。
【0100】
いわゆる、長鎖状アルコール、殊に4〜20個のC原子を有するもの、例えばブタンジオール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテルまたはポリプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、トリメチルペンタンジオールジイソブチレート、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテルポリオールまたは/およびポリエステルポリオールは、被膜形成助剤として殊に好ましい。
【0101】
架橋は、例えば一定の反応性基、例えばイソシアネート基、イソシアヌレート基または/およびメラミン基で行なうことができる。
【0102】
特に、粒子層は、殊に存在する有機ポリマー粒子を被膜形成させ、こうして十分または完全に均質な被膜を形成させるように乾燥される。この場合、乾燥温度は、多くの実施態様において、有機ポリマー成分を架橋することができるように高く選択することができる。
【0103】
本発明による方法の場合、幾つかの実施態様において、本質的な有機粒子を含有する粒子層が形成され、および例えば乾燥の際に被膜形成され、または/および架橋されることは、好ましい。被膜形成は、多くの実施態様において、被膜形成助剤が存在しなくとも行なわれる。この場合、被膜の粒子は、殊にこの被膜の粒子が主にまたは全体的に有機ポリマーとして存在する場合に、殊に乾燥中に特に本質的に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜に被膜形成されることができる。
【0104】
この場合、主にまたは全体的に有機ポリマーからなる被膜の乾燥温度が、本質的に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜を形成するように選択されることは、しばしば好ましい。必要な場合には、被膜形成のために、殊に少なくとも1つの長鎖状アルコールを基礎とする、少なくとも1つの被膜形成助剤が添加されてよい。多数の粒子層を重ね合って有する実施態様の場合には、特に最初に全ての粒子層が施こされ、その後に一緒になって被膜形成され、または/および架橋される。
【0105】
この場合、乾燥、被膜形成または/および架橋が炉温度に対して、または/およびピーク金属温度(PMT)に対して5〜350℃、8〜200℃、10〜150℃、12〜120℃または14〜95℃の温度範囲内、特に有利に16〜40℃の温度範囲内で行なわれることは、しばしば好ましい。選択される温度範囲は、十分に、有機成分の種類および量に依存し、場合により無機成分の種類および量にも依存し、場合によっては前記成分の被膜形成温度または/および架橋温度にも依存する。
【0106】
本発明による方法において、生じた粒子層が洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの水性後洗浄液体で洗浄され、その後に湿潤状態、湿り気のある状態または表面的に乾燥された状態でプライマーまたは/および塗料の少なくとも1つの有機組成物で被覆され、または/および先に施こされた粒子層の粒子に対して反対の電荷の他の粒子で被覆されることは、特に好ましい。
【0107】
本発明による方法の場合、特殊な実施態様において、粒子からなる少なくとも2つの層が、殊にそれぞれ交互に正に帯電された粒子と負に帯電された粒子とからなる層で重なり合って形成されることは、好ましい。本発明による方法の場合、特殊な実施態様において、少なくとも2つの層およびこれから形成される少なくとも2つの被膜が重なり合って少なくとも2つの粒子層から形成され、または/およびこれらの層が部分的または完全に、殊にそれぞれ交互に正に帯電された粒子と負に帯電された粒子とからなる層から、場合により化学的勾配および/または物理的勾配を有する唯一の被膜に変換されることは、好ましい。このような交互の成層において、その後の粒子層は、前記粒子層上に析出されてよいし、前記粒子から形成された被膜上に析出されてよい。それぞれ粒子から形成された被膜が十分な数の電荷を有する場合、または/および前記被膜が付加的に例えばアルカリ処理または酸処理で、例えば活性化の強化の際になおいっそう強く負に帯電されるかまたは正に帯電される場合には、その上に粒子からなる直ぐ次の層が静電的に析出されうる。
【0108】
粒子を施こす前に、粒子含有組成物の粒子を電荷で帯電させるために、粒子含有組成物に少なくとも1つの物質をアニオン性物質またはカチオン基を有する少なくとも1つの物質と一緒に添加することは、好ましい。このために好ましい物質は、既に活性化剤において、および強化剤において記載された。
【0109】
この場合、異なる層の間の静電引力を可能にし、例えば層の剥離、チッピング、団塊化、相分離、亀裂および層間剥離のような損傷位置および分離層が被膜中および被膜の間で形成されず、場合によっては化学的に相容性であるかまたは/および被膜形成プロセスにおいて互いに相容性であるようにするために、種々の層内で重なり合って析出された粒子が交互にアニオン性およびカチオン性に帯電されているかまたは/および帯電されることは、好ましい。この場合、重なり合って層を成す異なる粒子種が、例えばアミン基とエポキシ基との反応またはエステル化によるアルコール性基とカルボキシ基との反応、またはアルコール性基または/およびアミン基とイソシアネート基または/およびブロック化されたイソシアネート基との反応の場合のような、共有結合の発生による適当な化学反応、例えば付加反応、縮合反応または/および置換反応によって互いに結合されることは、好ましい。
【0110】
表面として、原則的に全ての種類の材料の表面が使用されてよく、場合によっては多数の多種多様な材料の表面が隣接してまたは/および順次にプロセス中に使用されてもよく、殊に全ての種類の金属材料の表面が使用されてよい。金属材料の中で、原則的に全ての種類の金属材料、殊にアルミニウム、鉄、銅、チタン、亜鉛、錫または/およびアルミニウム含量、鉄含量、鋼含量、銅含量、マグネシウム含量、ニッケル含量、チタン含量、亜鉛含量または/および錫含量を有する合金からの金属材料が可能であり、この場合これらの金属材料は、隣接してまたは/および順次に使用されてもよい。材料表面は、場合によっては例えば亜鉛またはアルミニウムまたは/および亜鉛を含有する合金で予め被覆されていてもよい。例えば、プラスチック物体は、既に金属被膜を備えていてよい。
【0111】
被覆すべき物体としては、原則的に全ての種類の物体、殊に少なくとも1つの金属材料からなる、または/および少なくとも1つの金属被膜を有する物体が使用されてよい。特に好ましい物体は、殊にベルト(コイル)、金属シート、部材、例えば小型部材、接合した構成部材、複雑化した形状の構成部材、異形成形材、棒材または/および線材である。
【0112】
表面を静電帯電するのに役立つ活性化剤を用いての表面の活性化前の早期の前処理の場合、被覆すべき表面は、必要な場合に最初にアルカリにより清浄化され、場合によっては前処理のための組成物と接触され、この組成物は、殊に変換層を形成する。更に、このように処理された表面または/および被覆された表面は、場合によってはプライマーまたは/および場合によっては再構築可能な保護層、殊に耐蝕性プライマーで被覆されてよいかまたは/および場合によっては油加工されてよい。この油加工は、殊に処理された金属表面または/および被覆された殊に金属表面の一時的な保護に利用される。
【0113】
前処理としては、原則的に全ての種類の前処理が可能である:例えば、燐酸塩、ホスホン酸塩、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン、ランタニド化合物、チタン化合物、ハフニウム化合物、ジルコニウム化合物、酸、金属塩または/および有機ポリマーを基礎とする水性前処理組成物が使用されてよい。
【0114】
更に、前記の被覆された支持体を処理する場合、必要な場合には、その前に油が施されているか、いないかに拘わらず、殊にアルカリ清浄化を行なうことができる。
【0115】
防錆プライマー、例えば溶接プライマーでの被覆は、例えば折り畳み、接着または/および溶接の場合に、殊に支持体の空隙内および接近が困難な領域での付加的な耐蝕性、再構築可能性または/および接合可能性を可能にする。工業的実地において、殊にそれによって被覆された支持体、例えば金属シートが防錆プライマーでの被覆後に変形され、または/および他の成分と接合され、および他の被膜がその後に初めて施こされる場合に、防錆プライマーは、使用されてよい。このプロセス操作において、付加的に防錆プライマーが活性化層の下方および粒子被膜の下方に施こされる場合には、通常、明らかに改善された耐蝕性が形成される。
【0116】
活性化層および粒子層を施した後、および場合によっては本質的に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜を粒子層から形成させた後、この層上または被膜上には、少なくとも1つの本質的な有機層、有機層または本質的な無機層、例えば結合剤、接着剤、付着促進剤、プライマーまたは/および塗料の層を施こすことができる。本質的に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜上に塗料の少なくとも1つの層またはむしろ例えばベースラッカーおよびクリヤラッカーまたは任意の塗料系からの塗料構造を施こすことは、特に好ましい。その後に、さらに有機被膜を施こす場合には、それによって色形成または/および艶消しが達成されうるかまたは接合可能性が達成されうる。別の実施態様において、このように被覆された表面を形成しまたは/および少なくとも1つの別の構成成分と接合しまたは/および接着操作前に接着層または/および少なくとも1つの粘着性成形部材を施こすことは、好ましい。
【0117】
本発明による方法において、洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの水性後洗浄液体での少なくとも1回の洗浄後に本質的に粒子からなる少なくとも1つの単層が維持されたままであるように、粒子は、粒子層中で特に洗浄耐性に維持される。
【0118】
本発明による方法において、洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの水性後洗浄液体での少なくとも1回の洗浄にも拘わらず、本質的に粒子からなる少なくとも1つの単層が維持されたままであるように、粒子は、殊に金属表面上で特に洗浄耐性に維持される。
【0119】
処理工程、および活性化工程前および粒子層からの被膜の形成後の可能な組成物は、当業者に原則的に公知であり、多種多様に変動されうる。
【0120】
また、本発明は、本発明による方法により形成された被膜で解決される。
【0121】
本発明による被膜は、特に、線材、組み線、ベルト、金属シート、異形成形材、ライニング、車両または航空機の部材、家庭電化製品のためのエレメント、建築構造におけるエレメント、台座、または非常拘束装置、ラジエータもしくはフェンスのエレメント、複雑化された幾何学的形状の成形部材または小型部材、例えばねじ、ナット、フランジもしくはばねとしての被覆された支持体に対して使用されることができる。特に好ましくは、この被膜は、自動車構造において、建築構造において、装置構造のため、家庭電化製品のため、または暖房設備において使用される。
【0122】
本発明によれば、粒子で被覆された表面から、引続き5nm〜50μmの範囲内、殊に15nm〜40μm、25nm〜30μm、45nm〜20μm、60nm〜15μm、80nm〜10μm、100nm〜8μm、130nm〜6μm、160nm〜4μm、200nm〜2μmまたは400nm〜1μmの範囲内の本質的に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜が形成されうることが示された。個々の粒子層は、被膜形成前または/および架橋前に相応する層厚を有することができる。
【0123】
本発明により粒子で被覆された表面は、例えば電気浸漬塗料被覆または粉末塗料被覆よりも明らかに簡単で明らかに安価な方法で形成されたことが示された。
【0124】
更に、相応する化学組成の粒子、殊によりいっそう大きな粒子が使用される場合に、この種の本発明により形成された被膜は、今日の工業的実地における電気浸漬塗膜または粉末塗膜と特性の点で等価であることが示された。
【0125】
意外なことに、電解法でないかまたは本質的に電解法でない本発明による方法は、電圧で僅かに支持され、したがって通常、外部電圧の印加を必要としない場合であっても、簡単に費用の掛かる制御なしに運転されうることが確認された。この方法は、その後の乾燥を除いて、幅広の温度範囲内で室温であっても使用されることができる。
【0126】
更に、本発明による方法の利点は、被膜が殊に静電的構成のために角部、縁部および先端部の周囲に施こされることにある。これは、電圧を全く必要とせず、それによって電界線とは無関係に官能化する被覆方法の性質にある。
【0127】
意外なことに、本発明による方法の場合、活性化剤の施与に関連して費用の掛かる制御手段が全く必要とされず、僅かな化学薬品の消費で高い品質の保護被膜を形成することが確認された。
【0128】
意外なことに、本発明による方法の場合、殊に有機粒子の静電析出に関連して、しばしば費用の掛かる制御手段を必要とせず、および僅かな化学薬品消費で高い品質の保護被膜が形成されるような自己調整法が行なわれることが確認された。
【0129】
意外なことに、有機ポリマー粒子の使用される分散液が静電帯電された表面上に粒子層を形成させることができ、表面の相応する活性化なしに施こされた同じ分散液とは異なり、前記粒子層を十分に閉鎖された被膜または閉鎖された、十分に均質かまたは均質の被膜に変換することができるだけでなく、粒子層を本質的に洗浄耐性で表面上に固定することができることが確認された。
【0130】
更に、意外なことに、本発明により形成された被膜は、層厚に対して明らかに改善された防錆を有することができることが確認された。
【0131】
更に、意外なことに、支持体、異なる活性化剤および異なる粒子分散液の選択に応じて、塗料付着力および防錆の点で個別的にそれぞれの要件に適合させうる、本発明による被膜を形成させることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1A】例えば、コイルコーティングにおける公知技術水準による薄手の乾燥被膜を形成させるための原理的概略図。
【図1B】公知技術水準による約25μmの層厚Lにおける厚手のKTL層を析出させるための原理的概略図。
【図1C】薄手の乾燥被膜を本発明による方法によって形成させるための原理的概略図。
【図2A】清浄化されかつ後処理されていない金属シートのREM写真(VB1)。
【図2B】シラン処理によって活性化されたが、次の酸処理をせずに、ポリマー粒子分散液での処理後になお被膜形成されていない金属シートのREM写真。
【図2C】シラン処理によって活性化され、引続き酸処理され、ポリマー粒子分散液での処理後に既に被膜形成された金属シートのREM写真。この写真は、稠密に縁部および先端部の周囲も包囲する粒子被膜のために、被膜形成後に均一に縁部および先端部も覆う十分に均質または均質な被膜が生じ、この被膜が高い品質の被覆および均質性のために増大された防錆を生じうることを示す。この写真上に確認することができる亀裂は、本発明による方法において少なくとも部分的に回避させることができる。これは、部分的に走査電子顕微鏡下の電子線での照射の結果であり、その後の処理で回復させることができ、または/および要求を満たすことができる。
【図2D】活性化剤で処理されずにポリマー粒子分散液だけで処理され、なお被膜形成されていない、清浄化された金属シートのREM写真。図2Bおよび2Cとは異なり、極めて僅かな粒子だけが析出されている。
【図3】シラン処理によって活性化されたが、次の酸処理をせずに、ポリマー粒子分散液で処理した後の(なお被膜形成されていない)金属シートのREM写真。この図は、図2Bと同じ試験片を高倍率で示す。この図は、図4のなお均質でなお緻密であることの証明に対する対比を明示するはずである。
【図4】シラン処理によって活性化され、引続き酸処理され、ポリマー粒子分散液で処理された後の金属シート。Currenta社のタイプQS 01830のAtomic Force Microscopeの前記AFM写真は、図3と比較して粒子層の被膜形成されていない表面を示し、この場合この酸処理は、なお稠密で僅かで小さな間隙を有する層を生じた(E28)。この写真は、稠密に縁部および先端部の周囲も包囲する粒子被膜の際に、被膜形成後に均一に縁部および先端部も覆う十分に均質または均質な被膜が生じ、この被膜が高い品質の被覆および均質性のために増大された防錆を生じうることを示す。
【実施例】
【0133】
実施例および比較例:
次に記載された実施例(B)および比較例(VB)は、本発明の対象を詳説する。
【0134】
処理工程および組成の説明:
KSP=防錆プライマー、VB=前処理
【0135】
支持体タイプ(金属シート):
1:5μmの亜鉛層析出物、金属シート厚さ0.81mmを有する電解的に亜鉛メッキされた鋼金属シート。
2:熱浸漬亜鉛メッキされた鋼金属シート、金属シート厚さ約0.8mm。
3:冷間圧延された鋼、金属シート厚さ約0.8mm。
4:グレードAC 170のアルミニウム合金、金属シート厚さ約1.0mm。
【0136】
前記の金属シートを接触または/および被覆させるために種々の水溶液または水性分散液を調製した。
【0137】
I.早期の前処理:表面を静電帯電するのに役立つ活性化剤を用いての表面の活性化前の早期の前処理の場合、被覆すべき表面は、必要な場合に最初にアルカリにより清浄化され、場合によっては前処理のための組成物と接触され、変換層が形成され、次に場合によっては防錆プライマーで被覆され、および場合によっては油加工される。この油加工は、清浄化された金属表面または/および被覆された金属表面の一時的な保護に利用される。更に、前記の被覆された支持体を処理する場合、その前に油が施されているか、いないかに拘わらず、アルカリ清浄化が行なわれた。
【0138】
前処理の際のアルカリ清浄化:
1.Chemetall GmbH社のGardoclean(登録商標)S 5160。調製物およびプロセス条件:水道水を有する20g/lを調製し、60℃で20秒間噴霧し、引続き20秒間水道水で洗浄し、その後に完全脱塩水で洗浄し、および乾燥させる。
【0139】
クロム不含の前処理:
1:TiF6、ZrF6、PO4、シランおよびポリマーを基礎とする。Tiの層析出物4〜6mg/m2
2:TiF6、PO6、シランおよび有機物質を基礎とする。Tiの層析出物6〜9mg/m2
【0140】
防錆プライマー、ロール塗布による塗布:
1:Chemetall GmbH社のGardoprotect(登録商標)9493、層厚約3.8μm。
2:亜鉛、ポリエポキシドおよびイソシアネートを基礎とするKSP。層厚約3.0μm。
【0141】
本発明による試験において、防錆プライマーを施した場合には、引続き試験片は、形成されないし、接合もされない。このプロセス操作において、付加的に防錆プライマーが活性化層の下方および粒子被膜の下方に施こされた場合には、明らかに改善された耐蝕性が測定された。
【0142】
油加工:
1:防錆油5体積%を有する石油ベンジン溶液中への浸漬による
【0143】
場合による油加工後のアルカリ清浄化:
1:油の除去のためまたは/およびただ清浄化のため:Chemetall GmbH社のGardoclean(登録商標)S 5176およびGardobond(登録商標)Additiv H7406を水道水中で調製する。金属シートを60℃で3分間、噴霧によって処理し、2分間浸漬によって処理し、引続き水道水で30秒間噴霧除去し、および30秒間脱イオン水で噴霧除去する。
【0144】
II.活性化:
活性化は、多数の電荷を有する表面を帯電させるのに利用される。カチオン性に帯電された活性化剤を表面上に施こす場合には、施こすべき粒子は、相応して引力を有しかつ固定されるように、アニオン性に帯電されていなければならない。アニオン性に帯電された活性化剤を表面上に施こす場合には、施こすべき粒子は、相応して引力を有しかつ固定されるように、カチオン性に帯電されていなければならない。
【0145】
表面の静電帯電:
A)カチオン性に帯電された活性化剤を用いて:
1:アミン官能基を有するエトキシシラン、ZrF6、カチオン性。
2:アミン官能基を有する変性されたエトキシシラン、ZrF6、カチオン性。
3:アミン官能基を有する強力に変性されたエトキシシランA、ZrF6、カチオン性;pH値3.8〜4.2。
4:アミン官能基を有する強力に変性されたエトキシシランB、ZrF6、カチオン性;pH値4.0〜4.5。
5:Evonik Industries AG社のSIVO(登録商標)110(アミン官能基を有する縮合されたシランを有する溶液)、ZrF6、カチオン性、pH値4〜9。
B)アニオン性に帯電された活性化剤を用いて:
6:ナトリウムポリアクリレートを基礎とする水溶液、pH値9。
【0146】
III:活性化層の洗浄:
新しい被膜の一部分は、洗浄操作の際に洗浄除去されるので、活性化層の残留含量は、清浄剤の残分の元素含量、前処理層、防錆プライマー層等と一緒に測定される。洗浄の際にできるだけ高い割合の活性化層が維持されたままであることは、好ましいことが証明された。
【0147】
活性化層の元素含量をX線蛍光分析(RFA)により、存在する場合には先の処理からの含量を含めて活性化層について測定した。この記載は、洗浄後の元素含量に関連する。それによって、残留する層厚が推定され、これにより試験体と試験体とが比較され、その際に強力な洗浄にも拘わらず、比較的高い割合の活性化層が維持されたままであることが明示される。この含量は、活性化表面を次の処理工程IVおよびVのために作用を有するように準備するのに十分である。
【0148】
原子間力顕微鏡(AFM、走査型力顕微鏡)および走査型電子顕微鏡(REM)を用いての同時の試験は、閉鎖された被膜がシランを基礎とする活性化剤との接触の組合せにより形成され、場合によっては酸処理による次の正への帯電、有機粒子での被覆ならびに粒子層の被膜形成および/または架橋によって形成されることを明示する。
【0149】
IV:酸処理による正への帯電または塩基処理による負への帯電:
活性化剤が官能基を有する場合には、この官能基は、例えば酸処理によって正に帯電されることができ、プロトンまたは/およびカチオンでのよりいっそう高度でできるだけ完全な帯電が可能である。即ち、なかんずくシランの窒素含有基、殊にアミン官能基は、酸処理によって強力に正に帯電される。更に、前記の酸処理は、前記シランに適したpH値範囲内でのシランの使用を可能にする。走査電子顕微鏡写真は、前記処理に基づいて明らかに稠密で均一な粒子析出を示した。
【0150】
プロトンまたは/およびカチオンでのできるだけ完全な負荷のための室温での酸処理:
1:脱イオン水中の酢酸0.26モル/l中への浸漬。
2:脱イオン水中の燐酸0.087モル/l中への浸漬。
3:脱イオン水中の硝酸0.26モル/l中への浸漬。
4:脱イオン水中の硫酸0.13モル/l中への浸漬。
【0151】
その後に、相応して正に帯電した、被覆された金属シートを脱イオン水で浸漬によって洗浄し、過剰の酸を除去し、自動車工業において常用されている、できるだけ現実に近い処理操作を構成する。
【0152】
V.反対に帯電された粒子での静電帯電された表面の被覆:
C)アニオン性に安定化された水性ポリマー粒子分散液(PU=ポリウレタン):全ての固体含量を30質量%に調節した。
【0153】
1:Alberdinglk−Boley社のポリウレタン分散液A。平均粒度d50 150nm。粘度20〜400mPa.s。ゼータ電位−50mV。最小被膜形成温度25℃。pH値7〜8。
【0154】
2:Bayer Materials Science AG社の酸化乾燥形ポリエステル−ポリウレタン分散液B。平均粒度d50 125nm。粘度200〜350mPa.s。ゼータ電位−60mV。最小被膜形成温度10〜15℃。pH値7.2。
【0155】
3.ポリアクリレートを基礎とする分散液C。平均粒度d50 125nm。粘度400mPa.s。ゼータ電位−65mV。最小被膜形成温度19℃。pH値8。
【0156】
4.ポリアクリレートを基礎とする分散液D。平均粒度d50 150nm。粘度20mPa.s。ゼータ電位−51mV。最小被膜形成温度40℃。pH値8。
【0157】
5:Bayer Materials Science AG社のポリエーテル−ポリウレタン分散液E。平均粒度d50 250〜500nm。粘度100mPa.s。ゼータ電位−57mV。最小被膜形成温度20℃。pH値7〜8.5。
【0158】
6:Bayer Materials Science AG社のポリエステル−ポリウレタン分散液F。平均粒度d50 200〜400nm。粘度200mPa.s。ゼータ電位−50mV。最小被膜形成温度25℃。pH値7〜8。
【0159】
7:Bayer Materials Science AG社のアニオン性および非イオン性のポリエステル−ポリウレタン分散液G。平均粒度d50 140nm。粘度80mPa.s。ゼータ電位−83mV。最小被膜形成温度30℃。pH値6〜8。
【0160】
8:Bayer Materials Science AG社のアニオン性および非イオン性の分散液H。平均粒度d50 120nm。粘度110mPa.s。ゼータ電位−80mV。最小被膜形成温度15℃。pH値7。
【0161】
9:Bayer Materials Science AG社のアニオン性および非イオン性の分散液I。平均粒度d50 170nm。粘度90mPa.s。ゼータ電位−84mV。最小被膜形成温度30℃。pH値7。
【0162】
10:Bayer Materials Science AG社のアニオン性および非イオン性の分散液J。平均粒度d50 110nm。粘度40mPa.s。ゼータ電位−82mV。最小被膜形成温度25℃。pH値7。
【0163】
アニオン性ポリマー粒子分散液に対してアニオンまたはカチオンの安定性の基:
1:水中のアニオン性基A。
2:水中のアニオン性カルボキシレート基。
3:水中のカチオン性基B。
【0164】
D)カチオンにより安定化された水性ポリマー粒子分散液:
11:Picassian Polymers社のカチオンにより安定化された脂肪族ポリエステルウレタン分散液J。平均粒度d50 100nm。粘度550mPa.s。ゼータ電位+50mV。最小被膜形成温度20℃。pH値5。
【0165】
12:Picassian Polymers社のカチオンにより安定化されたポリウレタン分散液K。平均粒度d50 120nm。粘度300mPa.s。ゼータ電位+60mV。最小被膜形成温度15℃。pH値5。
【0166】
被覆は、活性化されかつ洗浄された、ならびに場合により酸処理された金属シートを、反対に帯電された粒子の分散液中に室温で浸漬することによって行なわれた。その後に、この粒子により帯電された表面を脱イオン水で浸漬によって室温で洗浄し、ポリマー粒子が被膜形成しうるように乾燥し、したがって、十分または完全に均質な被膜を形成した。乾燥温度を、有機ポリマー成分を架橋することができるような高さに選択した。
【0167】
粒子被覆後の洗浄は、静電結合されずかつ蓄積されない粒子、例えば流れ(Laeufer)を除去し、自動車工業においてしばしば常用されている、できるだけ現実に近い処理操作を構成するために利用される。それというのも、自動車工業においては、水での洗浄は、通常、浸漬洗浄または噴霧洗浄によって行なわれるからである。
【0168】
乾燥、または殊に有機ポリマー成分の被膜形成下での乾燥:
1:120℃5分間。
2:160℃1分間。
【0169】
原子間力顕微鏡(AFM)および走査型電子顕微鏡(REM)を用いての同時の試験は、十分に閉鎖された被膜または閉鎖された被膜がシランを基礎とする活性化剤との接触の組合せにより、場合によっては酸処理による付加的な正への帯電によって強化され、有機粒子での被覆によって形成されうるような、十分に高い粒子密度を有する本発明による粒子層が形成されたことを明示する。顕微鏡写真は、有機粒子の均一な分布を示し、一方で、多くの試験体の際に正への帯電なしに酸処理によって多少とも僅かに閉鎖された被膜が発生し、このことは、多少とも僅かに強い電荷を示す。
【0170】
VI.他の試験:
更に、塗膜の付着力を測定するためにのみ、塗装を施した。
【0171】
次の塗料構成の番号を有する塗装:
1:シルバーグレー色の官能層、イリジウムシルバー色の水性塗料およびクリヤラッカーを有する、Daimler AG社の標準塗料構成による3層の塗料構成。
【0172】
塗膜の付着力を多数の実施例でクロスハッチ試験および飛び石性試験によって測定した。クロスハッチをEN ISO 2409により測定した。クロスカットは、2mmであった。表中には、塗料構成の付着力が規格に記載された方法により、0〜5によって評価されている(評価0=最善の評価)。飛び石性をDIN EN ISO 20567−1により測定し、規格に記載されている試験モデルにより、0〜5によって評価した(評価0=最善の評価)。
【0173】
耐蝕性の全ての測定は、付加的に施こされた塗料層なしに行なわれた。VDA(ドイツ自動車技術協会規格)の交互試験を、交互試験を有するVDA試験シート621−415により、チャンバー内で一定のサイクルによりそれぞれ7日間に対してできるだけ多数のサイクルで白色の錆または/および赤色の錆が最初に発生するまで実施し、この場合、1週間毎に試験した。塩水噴霧試験をDIN EN ISO 9227 NSSにより行ない、凝縮水交互耐候試験をDIN EN ISO 6270−2により行なった。アルミニウムおよびアルミニウム合金に対するCASS試験をDIN EN ISO 9227 CASSにより適合した塩水噴霧室内で実施した。試験は、白色の錆が発生する前に、こうして数日間実施こされた。白色の錆が発生するまでの時間での日数が記載され、その際試験は、毎日実施こされた。
【0174】
アルミニウムおよびアルミニウム合金に対する糸状試験をDIN EN 3665による気密に閉鎖可能な試験室内で実施した。白色の錆が発生するまでの時間での日数が記載され、その際試験は、毎日実施こされた。
【0175】
次の表は、実施こされた試験およびその際に得られた結果からの例示的な一部分を示す。
【0176】
表:使用された溶液/分散液の組成、処理順序ならびにそれによって得られた被膜の性質の概要
【表1】

【0177】
【表2】

【0178】
【表3】

【0179】
【表4】

【0180】
【表5】

【0181】
【表6】

【0182】
【表7】

【0183】
【表8】

【0184】
【表9】

【0185】
【表10】

【0186】
比較例VB1およびVB2の場合、E亜鉛またはアルミニウム合金の平滑で光沢のある、清浄化された金属表面が存在するが、この金属表面は、後処理されず、および後被覆されなかった。この金属表面の防錆は、相応して低い。
【0187】
比較例VB3およびVB4の金属シートは、付加的にアルカリ清浄化され、ならびに前処理と共に防錆プライマーで被覆されていた。殊に、防錆プライマーによって、明らかに向上された耐蝕性が生じる。
【0188】
比較例VB5およびVB6の場合、E亜鉛またはアルミニウム合金の平滑で光沢のある、清浄化された金属表面が存在し、この金属表面は、シラン含有活性化剤で処理されたが、しかし、粒子含有分散液で後被覆されなかった。この金属表面の防錆は、比較例VB1およびVB2の清浄化されただけの金属シートの場合と同様に低い。
【0189】
比較例VB7〜VB11の場合、比較例VB3およびVB4の場合と同様の処理に加えてなおシラン含有活性化剤での処理が使用され、この処理は、比較例VB3およびVB4の場合と同様に良好または僅かに良好な防錆を生じた。
【0190】
比較例VB12の場合、比較例VB1に加えてなおポリマー粒子分散液が使用された。
【0191】
アニオン性活性化剤の早期の使用なしのカチオン性ポリマー粒子での作業の場合(VB13)およびカチオン性ポリマー粒子の使用なしのアニオン性活性化剤No.6での作業の場合(VB14)、これらの比較例で再び付加的な清浄化、前処理および耐蝕性プライマーでの被覆で作業が行われたとしても、向上された防錆は、全く生じなかった。
【0192】
本発明による実施例B1〜B13の場合には、それぞれ付加的な清浄化、前処理および耐蝕性プライマーでの被覆なしに作業された。この場合、金属支持体、活性化剤およびポリマー粒子分散液は、変動された。B12の場合、付加的な酸処理は、省略され、それによって、比較可能な本発明による実施例よりも明らかに劣悪な防錆が生じた。これは、付加的な帯電が重要であることを意味する。しかし、本発明による実施例B1〜B13は、比較例VB5、VB6およびVB12よりも明らかに良好な防錆を有する。
【0193】
本発明による実施例B14〜B27の場合には、それぞれ付加的な清浄化、前処理および耐蝕性プライマーでの被覆を用いて作業された。この場合、活性化剤およびポリマー粒子分散液は、変動され、その際一面でカチオン性活性化剤は、アニオン性ポリマー粒子分散液と一緒に使用され(B14〜B25)、他面、アニオン性活性化剤は、カチオン性ポリマー粒子分散液と一緒に使用された(B26、B27)。この場合には、むしろVDAの白色の錆またはVDAの赤色の錆に関連する防錆は、6回までのサイクルまたは13回までのサイクルによって達成された。これは、その際に使用された極めた僅かな層厚(実施例において、約0.08〜0.3μm)に対して、表面技術においてめったに達成されなかった、防錆の向上および高さにある。塗料付着力に関連して、B5およびB8またはB7の場合のように極めて高い塗料付着力が劣悪な塗料付着力を生じるとしても、選択されたポリマー粒子分散液または金属支持体の明らかな影響が明らかになる。
【0194】
意外なことに、有機ポリマー粒子の使用された分散液は、静電帯電された表面上に閉鎖された十分に均質な層を形成させるだけでなく、前記層が洗浄耐性になるように表面上に固定されたことが確認された。これとは異なり、表面の相応する静電活性化なしに施こされた同じ分散液は、洗浄工程後になお析出された粒子層中に明らかな間隙を有する(図4と比較した図3)。
【0195】
バリヤー効果の不足のために、例えば50nm〜4μmの範囲内の層厚を有する薄手の薄膜が制限されてのみ防錆の適用に適していることは、公知であり、それというのも、耐蝕性は、層厚の機能の1つでもあるからである。しかし、有機粒子から形成される本発明による有機ポリマー被膜は、支持体の縁部および先端部を別の形成方法よりも良好に被覆することができ、耐蝕性を制限しうる、場合により問題となる成分を含まなくともよく、および別の塗装方法、例えば電気浸漬塗装に対して、例えば導電性のために必要とされるので、本発明により形成された有機被膜で同じ層厚に対して比較的高度な防錆が達成されてもよい。
【0196】
防錆の著しい改善の理由は、例えば比較例VB12とは異なり腐食性媒体に対する攻撃点を殆んど有しない、粒子から形成された、薄手の均質な被膜にある(図1Aとは異なる図4〜図1C)。ドクターブレードまたは塗布ローラーにより塗布される常用の防錆プライマー被膜は、図1Aに示されているように、簡単に欠陥を生じる。本発明による薄手のポリマー被膜は、この種の欠陥位置を回避し、不完全に被覆された位置での支持体上への直接の腐食攻撃を阻止する。亜鉛メッキされた支持体上での白色の錆の形成の際に効果が顕著なだけでなく、本発明による被膜は、この支持体の表面上で白色の錆の形成後であっても、赤色の錆の形成が著しく減速される防錆をなお長時間維持したままであり、したがって、白色の錆の形成と赤色の錆の形成との間で7サイクルまでの腐食試験が存在することができ、このことは、極めて珍しいことである。
【0197】
本発明による被膜の高い均質性は、REM写真およびAFM写真からも判断することができる。図2A(VB1)は、清浄化された金属シートを示し、この金属シート上で結晶性亜鉛被膜の鋭利な縁部は、明らかに突出している。実施例B12およびB13の場合、前処理、防錆プライマーを有する被膜および第2のアルカリ清浄化は、省略された。図2Bの実施例(B12)の場合、B13の場合とは異なり、本発明による方法に対して付加的な正への帯電の強力な作用を強調するために、活性化剤での被覆後の酸処理も省略された。図2Bにおいても、結晶性亜鉛被膜の鋭利な縁部は、多数の粒子と共に確認することができる。このような粒子層から、被膜の防錆の点で粒子の被覆の前に付加的な正への帯電によってなおさらに改善することができる被膜を形成しうることを判断することができる。これとは異なり、本発明による方法により処理された表面(図2D、B7)は、均質な被膜を有し、この被膜は、層厚に関連して特に高度な防錆を提供する。
【0198】
図3において、被膜形成前の均質な粒子被覆は、走査型力顕微鏡写真で明らかになる。この場合、粒子は、十分に間隙不含の稠密なパッキング中で縁部上にも凹所中にも配置されたことを判断することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が安定化可能であるかまたは安定した水性組成物中で分散液の形で被覆すべき表面上に施こされ、本質的に、または主に静電力によって被覆すべき表面上に施こされ、および固着されることにより、高い粒子密度の本質的に洗浄耐性の層の形成下に多数の無機水不溶性粒子または/および有機水不溶性粒子を用いて場合によっては前被覆されていてよい物体または/および粒子の殊に金属表面(=被覆すべき表面)を無電流被覆する方法において、
被覆すべき表面を最初に活性化剤で活性化し、その際活性化剤で被覆すべき表面上に、電荷を有する活性化層を形成させ、その際この電荷は、引続き施こすべき、組成物の粒子の電荷と反対に帯電され、被覆工程において、粒子含有組成物が施こされた粒子は、活性化層の電荷と反対に帯電され、粒子含有組成物を用いる1つの被覆工程または全ての被覆工程において、それぞれ1つの層が、施こされた粒子のほぼ1つまたはそれ以上の平均粒度の平均厚さで被覆すべき表面上に形成され、場合によっては前記粒子層または全ての粒子層が引続き被膜形成され、または/および架橋され、それによって被膜形成されていない粒子の粒子層または全ての粒子層の層厚、または/およびこれから形成される、被膜形成され、または/および架橋された被膜の層厚は、それぞれ5nm〜50μmの範囲内で達成されることを特徴とする、場合によっては前被覆されていてよい物体または/および粒子の殊に金属表面(=被覆すべき表面)を無電流被覆する方法。
【請求項2】
粒子含有組成物を用いる1つの被覆工程または全ての被覆工程において、前記被覆工程のさらなる継続とは無関係にそれぞれ1つの層が、施こされた粒子のほぼ1つまたはそれ以上の平均粒度の平均厚さで被覆すべき表面上に形成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粒子を含有する組成物を用いる少なくとも1つの第2の静電被覆工程の場合に静電により施こされた粒子は、粒子のそれぞれ先に施こされた層の電荷に対して反対に帯電される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
多数の粒子層は、粒子含有組成物から互いに重なり合って形成され、この場合前記層は、プロトンまたは/およびカチオンで正に帯電されている粒子、およびアニオンで負に帯電されている粒子から交互に形成される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
活性化層を被覆すべき表面上に形成させ、この表面がカチオン活性化層の場合に少なくとも1つのカチオン性化合物との接触によって形成され、アニオン活性化層の場合に少なくとも1つのアニオン性化合物との接触によって形成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
カチオン性化合物として少なくとも1つのプロトン化可能なシランまたは/およびプロトン化されたシランまたは/および少なくとも1つのプロトン化可能な窒素含有化合物または/およびプロトン化された窒素含有化合物が使用され、またはアニオン性化合物として少なくとも1つの脱プロトン化された化合物または/および少なくとも1つの脱プロトン化されたアニオンまたは/および少なくとも1つの脱プロトン化可能な化合物または/および脱プロトン化されたアニオン性化合物が使用される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
本質的に洗浄耐性の活性化層が形成される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
活性化層または/および粒子層の洗浄は、流れる水性洗浄液体または/および流動する水性洗浄液体で、例えば洗い落とし、噴霧洗浄または/および浸漬洗浄によって行なわれる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
活性化層がプロトンまたは/およびカチオンで正に帯電され、または/およびこの活性化層の上に施こされた、粒子含有組成物の第1の粒子層が相応してアニオンまたは/および少なくとも1つのアニオン性化合物で負に帯電され、または/および反対に、活性化層が、アニオンまたは/および少なくとも1つのアニオン性化合物で負に帯電され、および/またはこの活性化層の上に施こされた、粒子含有組成物の第1の粒子層が相応してプロトンまたは/およびカチオンで正に帯電される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
活性化層、または最後の粒子層の粒子は、正に帯電された液体または負に帯電された液体で、または/およびガスの正の電荷または負の電荷で、または真空中で帯電される(=正への帯電または負への帯電)、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
正または負への帯電は、帯電された活性化層または最後の粒子層の帯電された粒子が少なくとも1つの相応して帯電された物質と接触される場合に強化され、このことは、なおいっそう強い正または負の電荷を生じる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
活性化層の正への帯電または粒子層の粒子の正への帯電は、少なくとも1つの酸または/およびカチオン基を有する少なくとも1つの物質での処理によって行なわれ、または活性化層の負への帯電または粒子層の粒子の負への帯電は、少なくとも1つのアニオンまたは/およびアニオン基を有する少なくとも1つの物質での処理によって行なわれる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
カチオン活性化層の活性化、または粒子層の粒子の活性化は、少なくとも1つのカチオン性珪素化合物を用いて行なわれ、または/および活性化層の正への帯電または粒子層の粒子の正への帯電は、少なくとも1つの酸または/およびカチオン基での処理によって行なわれる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
アニオン性活性化層の活性化または粒子層の粒子の活性化は、少なくとも1つのアニオン性化合物で行なわれ、または/および活性化層の負への帯電または粒子層の粒子の負への帯電は、少なくとも1つのアニオンまたは/および少なくとも1つのアニオン性化合物での処理によって行なわれる、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、安定した分散液のpH値で測定した、−200〜+200mVの範囲内のゼータ電位を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
粒子含有組成物中、粒子層中または/およびこれから形成された被膜中の粒子として、殊にエポキシド、エチレンアクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアルキル(メタ)アクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリプロピレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、アミノプラスト、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリシロキサン、ポリビニルアセタール、ポリアセタール、スチレンアクリレート、これらの誘導体、これらの配合物または/およびこれらの混合物を基礎とする有機ポリマーが使用される、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの水性後洗浄液体での少なくとも1回の洗浄後に本質的に粒子からなる少なくとも1つの単層が維持されたままであるように、粒子は、粒子層中で洗浄耐性に維持される、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
生じた粒子層は、洗浄液体、例えば水または/および少なくとも1つの水性後洗浄液体で洗浄され、その後に湿潤状態、湿り気のある状態または表面的に乾燥された状態でプライマーまたは/および塗料の少なくとも1つの有機組成物で被覆され、または/および先に施こされた粒子層の粒子に対して反対の電荷の他の粒子で被覆される、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
本質的に有機粒子を含有する粒子層が形成され、引続き被膜形成され、または/および架橋される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
粒子含有組成物、これから形成される粒子層または/およびこれから、例えば被膜形成または/および架橋によって形成される被膜は、少なくとも1つの種類の粒子と共にそれぞれ少なくとも1つの染料、有色顔料、防錆顔料、腐蝕抑制剤、導電性顔料、他の種類の粒子、シラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサン/シラザン/ポリシラザン、塗料添加剤または/および添加剤、例えばそれぞれ少なくとも1つの界面活性剤、消泡剤または/および分散剤を含有する、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物または/およびこれから形成される被膜は、少なくとも1つの種類の粒子と共に、および場合により少なくとも1つの非粒子状物質と共に、部分的または完全に、プライマー、塗料、例えば充填剤、トップラッカーまたは/およびクリヤラッカーのための化学組成を有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法により形成された被膜。
【請求項23】
線材、組み線、ベルト、金属シート、異形成形材、ライニング、車両または航空機の部材、家庭電化製品のためのエレメント、建築構造におけるエレメント、台座、非常拘束装置のエレメント、ラジエータのエレメントもしくはフェンスのエレメント、複雑化された幾何学的形状の成形部材または小型部材、例えばねじ、ナット、フランジもしくはばねとしての請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法により被覆された支持体の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−508108(P2012−508108A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535974(P2011−535974)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064741
【国際公開番号】WO2010/054985
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(500399116)ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
【住所又は居所原語表記】Trakehner Str. 3, D−60487 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】