説明

表面修飾バイオファイバー、その製造方法、および表面修飾バイオファイバーを含有する樹脂複合材料

【課題】熱可塑性樹脂中において高度に分散させることが可能な表面修飾バイオファイバーを提供すること。
【解決手段】水にバイオファイバーを、バイオファイバー濃度が0.01〜5質量%となるように添加して機械的攪拌処理を施し、25℃における粘度が10〜900mPa・sであるバイオファイバー水分散液を調製する工程と、前記バイオファイバー水分散液と、該バイオファイバー100質量部に対して1質量部以上200質量部未満のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを混合し、前記バイオファイバーの表面に前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーを付着させる工程と、前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマー付着バイオファイバーに加熱処理を施す工程と、を含むことを特徴とする表面修飾バイオファイバーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面修飾されたバイオファイバー、その製造方法、および表面修飾されたバイオファイバーを含有する樹脂複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース繊維などのバイオファイバーは、熱可塑性樹脂などの樹脂材料の機械的特性などを向上させる点で有用な補強充填材である。しかしながら、バイオファイバーは凝集しやすく、樹脂材料中のバイオファイバーの分散性が低いと却って樹脂材料の機械的特性を低下させる場合がある。このため、従来から、バイオファイバーの分散性を高めるためにバイオファイバーの表面を改質する方法が提案されている。
【0003】
例えば、特表平11−513425号公報(特許文献1)には、酢酸などの有機溶媒中にセルロースミクロフィブリルを分散させて、炭素数1〜20の炭化水素基を有するカルボン酸などの有機化合物によりセルロースをエステル化する表面改質セルロースミクロフィブリルの製造方法が開示されている。また、吉田ら、第14回セルロース学会予稿集、2007年、104頁(非特許文献1)には、加熱融解したアルキルケテンダイマーに広葉樹漂白クラフトパルプ(HBKP)および1−メチルイミダゾールを添加して攪拌し、ベータケトエステル化反応によりHBKP表面にアルキルケテンダイマーを導入する方法が開示されている。しかしながら、これらの文献に記載の方法においては、セルロース繊維は有機溶媒や加熱融解したアルキルケテンダイマー中に凝集した状態で分散しているため、この状態でカルボン酸やアルキルケテンダイマーと反応させるとセルロース繊維は凝集したまま表面改質される。このような表面改質されたセルロース繊維の凝集体は樹脂材料中においても凝集した状態であり、樹脂材料の機械的特性などを向上させるには未だ十分なものではなかった。
【0004】
また、特開2006−8866号公報(特許文献2)には、セルロースなどの多糖類とケテンダイマーとを、前記多糖類を溶解し得る溶剤の存在下で反応させる方法が開示されている。しかしながら、この方法においては、セルロースが溶剤に溶解しているため、この方法をセルロース繊維の表面改質に適用することは困難である。
【特許文献1】特表平11−513425号公報
【特許文献2】特開2006−8866号公報
【非特許文献1】吉田ら、第14回セルロース学会予稿集、2007年、104頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂中において高度に分散させることが可能な表面修飾バイオファイバーを提供することを目的とする。また、高い弾性率および最大応力を有する樹脂複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、バイオファイバーを水に分散させて機械的攪拌処理を施し、特定の濃度の水分散液を調製し、この水分散液に特定量のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーを混合して前記バイオファイバーの表面を前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーで化学修飾させることにより、得られた表面修飾バイオファイバーを熱可塑性樹脂中において高度に分散させることが可能となり、さらにこの表面修飾バイオファイバーと熱可塑性樹脂を含む樹脂複合材料が高い弾性率および最大応力を有するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の表面修飾バイオファイバーの製造方法は、水にバイオファイバーを、バイオファイバー濃度が0.01〜5質量%となるように添加して機械的攪拌処理を施し、25℃における粘度が10〜900mPa・sであるバイオファイバー水分散液を調製する工程と、前記バイオファイバー水分散液と、該バイオファイバー100質量部に対して1質量部以上200質量部未満のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを混合し、前記バイオファイバーの表面に前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーを付着させる工程と、前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマー付着バイオファイバーに加熱処理を施す工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0008】
本発明にかかる機械的攪拌処理における剪断速度としては1200〜80000s−1が好ましく、前記加熱処理の温度としては前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーの融点以上200℃以下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の表面修飾バイオファイバーはこのような方法により製造されたものであり、さらに、本発明の樹脂複合材料は本発明の表面修飾バイオファイバーと熱可塑性樹脂とを含有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱可塑性樹脂中において高度に分散させることが可能な表面修飾バイオファイバーを提供することが可能となる。また、高い弾性率および最大応力を有する樹脂複合材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0012】
<表面修飾バイオファイバーの製造方法>
先ず、本発明に用いられるバイオファイバー(以下、「BF」と略すこともある。)およびアルキルまたはアルケニルケテンダイマー(以下、「AKD」と略すこともある。)について説明する。
【0013】
本発明に用いられるバイオファイバーは、例えば、セルロース繊維や、キチン繊維、キトサン繊維などの多糖類からなる繊維であり、水に不溶なものである。また、本発明においては、再生セルロース繊維などの生物から成分を化学的に取り出して再生した再生繊維もバイオファイバーとして使用することができる。さらに、微生物由来のバクテリアセルロースも本発明にかかるバイオファイバーとして使用することが可能である。
【0014】
このようなバイオファイバーの直径は特に制限されないが、10nm〜10μmが好ましく、10〜1000nmがより好ましい。本発明の製造方法により表面修飾されたバイオファイバーは凝集抑制効果に優れているため、本発明の製造方法は直径が小さく凝集しやすいナノオーダーのバイオナノファイバー(以下、「BNF」と略すこともある。)に対して特に有効である。
【0015】
本発明に用いられるアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとしては、カプリン酸クロライド、ラウリル酸クロライド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライドおよびオレイン酸クロライドのうちの少なくとも1種から合成されたアルキルケテンダイマーまたはアルケニルケテンダイマーなどが挙げられる。また、本発明においては、荒川化学工業(株)製の水分散性アルキルケテンダイマー「SKS−2501」などの市販品も使用することができる。
【0016】
このようなアルキルまたはアルケニルケテンダイマーのうち、水中で前記バイオファイバーと均一に混合させることができ、バイオファイバーの表面をより均一に化学修飾することができる点で、水分散性のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが好ましい。
【0017】
なお、アルキルまたはアルケニルケテンダイマーの化学構造は、一般的には下記式(1):
【0018】
【化1】

【0019】
(式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数8〜30のアルキル基またはアルケニル基を表す。)
で表される。
【0020】
次に、本発明の表面修飾バイオファイバーの製造方法について説明する。本発明の表面修飾バイオファイバーの製造方法は、水にバイオファイバーを分散させてバイオファイバー水分散液を調製する工程(BF分散処理工程)と、前記バイオファイバー水分散液と前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを混合し、前記バイオファイバーの表面に前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーを付着させる工程(AKD混合工程)と、前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーが付着したバイオファイバーに加熱処理を施す工程(加熱処理工程)と、を含むこと特徴とするものである。
【0021】
(BF分散処理工程)
本発明にかかるBF分散処理工程は、水に前記バイオファイバーを添加して機械的攪拌処理を施し、BF水分散液を調製する工程である。前記機械的攪拌処理としては、ホモジナイザーによる処理、超音波処理、グラインダーミルやビーズミルによる処理などが挙げられる。このような機械的攪拌処理によりバイオファイバーを微分散させること可能となる。また、このような観点から、ホモジナイザーによる処理がより好ましい。
【0022】
このような機械的攪拌処理時の剪断速度は1200〜80000s−1が好ましく、1500〜60000s−1がより好ましい。剪断速度が前記下限未満になるとバイオファイバーが十分に微分散しない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとバイオファイバーの繊維長が短くなりやすい傾向にある。なお、前記機械的攪拌処理時間は、攪拌手段の処理能力やBF濃度、BF水分散液の容量などによって適宜決定される。
【0023】
本発明におけるBF水分散液中のBF濃度は0.01〜5質量%である。BF濃度が前記下限未満になると最終的に得られる水分散液が希薄すぎてアルキルまたはアルケニルケテンダイマーにより表面修飾されたバイオファイバー(以下、「AKD−BF」と略す。)の回収が困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとBF水分散液の分散性が低下し、バイオファイバー表面をアルキルまたはアルケニルケテンダイマーにより均一に表面修飾させることが困難となる傾向にある。本発明においては、このような観点から前記BF濃度は0.1〜2質量%が好ましい。
【0024】
また、前記BF水分散液の25℃における粘度は10〜900mPa・sである。BF水分散液の粘度が前記下限未満になるとバイオファイバーが十分に解繊されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘性が高いためアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが十分に分散せず、バイオファイバー表面をアルキルまたはアルケニルケテンダイマーにより均一に表面修飾させることが困難となる傾向にある。本発明においては、このような観点からBF水分散液の25℃における粘度は15〜600mPa・sが好ましい。
【0025】
(AKD混合工程)
本発明にかかるAKD混合工程は、前記BF水分散液と前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを混合する工程である。これによりバイオファイバーの表面にアルキルまたはアルケニルケテンダイマーを付着させることが可能となる。このAKD混合工程においては、前記混合後、メカニカルスターラーや振とう機などにより攪拌することが好ましい。
【0026】
本発明においては、前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーをそのままの形態でBF水分散液と混合してもよいが、通常、水に分散させた状態で混合すること、すなわち、BF水分散液とAKD水分散液とを混合することが好ましい。前記AKD水分散液中のAKD濃度は2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。AKD濃度が前記下限未満になるとアルキルまたはアルケニルケテンダイマーの添加量が少なく、バイオファイバー表面がアルキルまたはアルケニルケテンダイマーにより十分に表面修飾されない傾向にある。なお、前記AKD水分散液中のAKD濃度の上限は特に制限はないが、50質量%が好ましい。
【0027】
本発明におけるアルキルまたはアルケニルケテンダイマーの混合量は、BF水分散液中のバイオファイバー100質量部に対して1質量部以上200質量部未満である。混合量が前記下限未満になると十分な量のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーがバイオファイバー表面に付着せず、バイオファイバー表面を十分且つ均一に化学修飾させることが困難となる傾向にある。その結果、AKD−BFと熱可塑性樹脂との混練時においてAKD−BFの添加量を増加させると混練が困難となる傾向にある。他方、前記混合量が前記上限以上になると、AKD−BFと熱可塑性樹脂との混練が困難となり、AKD−BFの添加量を増加させることが困難となる傾向にある。また、アルキルまたはアルケニルケテンダイマーが過剰に存在し、過剰なアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが可塑剤として作用してAKD−BFと熱可塑性樹脂との樹脂複合材料の機械的特性(例えば引張弾性率や最大応力)が十分に増大しない傾向にある。本発明においては、これらの観点からアルキルまたはアルケニルケテンダイマーの混合量は5質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上70質量部以下がより好ましく、5質量部以上50質量部以下が特に好ましい。
【0028】
また、本発明においてAKD−BFと熱可塑性樹脂との混合時におけるAKD−BFの添加量が同じ場合には、樹脂複合材料の引張弾性率や最大応力などの機械的特性が向上するという観点から、このAKD混合工程におけるアルキルまたはアルケニルケテンダイマーの混合量は、AKD−BFと熱可塑性樹脂との混練が可能な範囲内において、より少ない方が好ましい。
【0029】
本発明においては、このようにして得られた表面にアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが付着したバイオファイバーを含む水分散液にろ過、遠心分離、フィルタープレスなどの固液分離処理を施して、前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマー付着バイオファイバーを回収することが好ましい。
【0030】
(加熱処理工程)
本発明にかかる加熱工程は、前記工程で得られたアルキルまたはアルケニルケテンダイマー付着バイオファイバーに加熱処理を施す工程であり、バイオファイバーの表面、例えば表面の水酸基と、未反応のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを反応させて、バイオファイバーの表面にアルキルまたはアルケニルケテンダイマーをより強固に結合させることが可能となる。これにより、バイオファイバーの表面がアルキルまたはアルケニルケテンダイマーにより化学修飾され、改質される。
【0031】
前記加熱処理の温度は、バイオファイバーの表面とアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとが反応する温度であれば特に制限はないが、例えば、アルキルまたはアルケニルケテンダイマーの融点以上200℃以下が好ましく、60℃以上120℃以下がより好ましい。加熱温度が前記下限未満になるとアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが融解せず、バイオファイバーの表面との反応が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると熱によりバイオファイバーが劣化しやすい傾向にある。
【0032】
また、加熱時間は特に限定されないが、0.5〜24時間が好ましく、1〜8時間がより好ましい。加熱時間が前記下限未満になるとアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが融解せず、バイオファイバーの表面との反応が十分に進行しない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとバイオファイバーが劣化しやすい傾向にある。
【0033】
加熱処理方法としては特に制限されず、例えば、風乾、熱風乾燥、真空乾燥、真空加熱乾燥などが挙げられる。
【0034】
<表面修飾バイオファイバー>
本発明の表面修飾バイオファイバーは前記製造方法により得られるものであり、表面にアルキルまたはアルケニルケテンダイマーが結合して表面修飾されたバイオファイバー(AKD−BF)である。このように表面修飾(表面改質)されたAKD−BFは、熱可塑性樹脂との相溶性に優れるため、熱可塑性樹脂中に容易に分散させることができる。特に、本発明のAKD−BFは表面がアルキルまたはアルケニルケテンダイマーで均一に化学修飾されているため、乾燥後も凝集しにくく、熱可塑性樹脂中に容易に高度に分散させることが可能となる。
【0035】
また、本発明の表面修飾バイオファイバー(AKD−BF)は、その表面がアルキルまたはアルケニルケテンダイマーで化学修飾されているため、バイオファイバー本来の特性、例えば高弾性率が保持されている。したがって、このようなAKD−BFを熱可塑性樹脂中に分散させることにより樹脂複合材料の弾性率は増大し、さらに、本発明のAKD−BFが熱可塑性樹脂中に微分散されるため、凝集した状態で分散される従来の表面修飾バイオファイバーを用いた場合よりも樹脂複合材料の弾性率がより向上する。
【0036】
さらに、本発明の表面修飾バイオファイバーは表面の極性が、化学修飾されていないバイオファイバーよりも低く、AKD−BFの添加により熱可塑性樹脂との接着性を向上させることができる。その結果、樹脂複合材料の弾性率だけでなく、最大応力も増大させることが可能となる。
【0037】
<樹脂複合材料>
本発明の樹脂複合材料は、本発明の製造方法により得られた前記表面修飾バイオファイバーと熱可塑性樹脂とを含むものである。本発明の樹脂複合材料中のAKD−BFの含有量は、AKD−BF中のAKD含有量に依存する。例えば、バイオファイバー100質量部に対するAKD添加量が5質量部以上50質量部以下のAKD−BFを用いる場合には、前記AKD−BFの含有量は熱可塑性樹脂とAKD−BFとの合計100質量部に対して2質量部以上20質量部以下が好ましく、5質量部以上20質量部以下がより好ましい。また、バイオファイバー100質量部に対するAKD添加量が50質量部超200質量部未満のAKD−BFを用いる場合には、前記AKD−BFの含有量は熱可塑性樹脂とAKD−BFとの合計100質量部に対して2質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。AKD−BF含有量が前記下限未満になると樹脂複合材料においてAKD−BFの添加効果が得られにくい傾向にあり、他方、前記上限を超えるとAKD−BFと熱可塑性樹脂との混練が困難となる傾向にある。
【0038】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては特に制限はないが、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン樹脂、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂およびスチレン−ブタジエン−スチレン樹脂といった芳香族ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸、これらの共重合体、およびアクリルゴムといったアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル樹脂およびアクリロニトリル−ブタジエン樹脂といったシアン化ビニル系樹脂、イミド基含有ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレンプロピレンジエンモノマゴムおよびエチレンプロピレンゴムといったポリオレフィン系樹脂、酸または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂、エポキシ変性ポリオレフィン樹脂、酸または酸無水物変性アクリル系エラストマー、エポキシ変性アクリルエラストマー、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12およびナイロン11といったポリアミド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシバリレート、ポリ−4−ヒドロキシバリレート、ポリ−3−ヒドロキシヘキサノエート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトンといった脂肪族系ポリエステルおよびこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチルテレフタレートといった芳香族系ポリエステル樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルに代表されるフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルアミドなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
また、本発明の樹脂複合材料には、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては特に制限はないが、例えば、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、粘度調整剤、着色剤、シランカップリング剤などの表面処理剤、タルク、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、雲母鉱物およびカオリン鉱物に代表される層状ケイ酸塩、ガラス繊維、炭素繊維、シリカや熱伝導性フィラーなどの充填剤、エラストマー類などが挙げられる。
【0040】
本発明の樹脂複合材料は、前記AKD−BFと熱可塑性樹脂とを、例えば一軸または多軸のベントを有する押出機、ゴムロール機、またはバンバリーミキサーなどを用いて溶融混練することによって製造することができる。また、熱可塑性樹脂として低粘度のものを用いる場合には自公転ミキサーを用いて複合化処理を施すことにより混合することも可能である。
【0041】
また、熱可塑性樹脂、本発明のAKD−BFおよび各種添加剤を混合する方法については特に制限はなく、一括で混合しても分割して混合してもよい。また、その順序についても特に制限はなく、特定の成分を予備混合した後、残りの成分を混合してもよい。
【0042】
本発明の樹脂複合材料は、射出成形、プレス成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、ガスアシスト成形、インサート成形、または2色成形などの従来公知の成形加工により、各種成形品に加工することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における比は、特に明示のない限り質量比である。
【0044】
(実施例1)
イオン交換水にバイオナノファイバー(ダイセル化学工業(株)製「KY−100S」、直径100〜1000nm)を、BNF濃度が1質量%となるように添加し、ホモジナイザー(アズワン(株)製「MH−1010」)を用いて剪断速度10000s−1および室温の条件で十分に攪拌して、前記バイオナノファイバーを微分散させた。このBNF水分散液の25℃における粘度を、振動式粘度計(山一電機工業(株)「ビスコメイトVM−1G−L」)を用いて測定したところ、500mPa・sであった。
【0045】
このBNF水分散液に水分散性アルキルケテンダイマー(荒川化学工業(株)製「SKS−2501」)の水分散液(AKD濃度25質量%、以下「AKD水分散液」という)を、バイオナノファイバー100質量部に対してアルキルケテンダイマーが50質量部となるように添加して攪拌し、バイオナノファイバーの表面にアルキルケテンダイマーを付着させた。得られた水分散液をろ過した後、固形分を105℃で8時間風乾し、アルキルケテンダイマーにより表面が化学修飾されたバイオナノファイバー(AKD−BNF)を得た。
【0046】
このAKD−BNFの形態を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−3600N」)を用いて加速電圧15kVの条件で観察した。その結果を図1Aおよび図1Bに示す。
【0047】
(比較例1)
イオン交換水にバイオナノファイバー(ダイセル化学工業(株)製「KY−100S」、直径100〜1000nm)を、BNF濃度が1質量%となるように添加した。このBNF懸濁液の25℃における粘度を実施例1と同様にして測定したところ、1.25mPa・sであった。
【0048】
前記BNF水分散液の代わりにこのBNF懸濁液を用いた以外は実施例1と同様にしてアルキルケテンダイマーにより表面が化学修飾されたバイオナノファイバー(AKD−BNF)を得た。
【0049】
このAKD−BNFの形態を実施例1と同様にして観察した結果を図2Aおよび図2Bに示す。また、未処理のバイオナノファイバー(ダイセル化学工業(株)製「KY−100S」、直径100〜1000nm)の形態を実施例1と同様にして観察した結果を図3Aおよび図3Bに示す。
【0050】
図3A〜3Bに示した結果から明らかなように、未処理のバイオナノファイバーは凝集した状態であり、その直径は100nm〜数μmであることが確認された。一方、図1A〜1Bに示した結果から明らかなように、ホモジナイザー処理後にバイオナノファイバーをアルキルケテンダイマーで表面修飾した場合(実施例1)には、バイオナノファイバーは微分散され、その表面はアルキルケテンダイマーで覆われ、均一に表面修飾されていることが確認された。他方、図2A〜2Bに示した結果から明らかなように、ホモジナイザー処理を施さずにバイオナノファイバーをアルキルケテンダイマーで表面修飾した場合(比較例1)には、バイオナノファイバーは凝集した状態であり、その直径は100nm〜数μmであることが確認された。また、アルキルケテンダイマーがバイオナノファイバー表面に部分的に観察され、アルキルケテンダイマーによる表面修飾は不均一であることが確認された。
【0051】
(実施例2)
バイオナノファイバー100質量部に対するアルキルケテンダイマーの添加量を5質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてAKD−BNFを調製した。このAKD−BNFとナイロン12(宇部興産(株)製「UBESTA 3024B」)とを、AKD−BNFとナイロン12との混練物100質量部に対してAKD−BNFが5〜20質量部となるように、二軸押出機((株)テクノベル製「KZW15−60MG」)を用いてシリンダ温度150〜195℃、樹脂温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出速度0.5kg/hの条件で溶融混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
バイオナノファイバー100質量部に対するアルキルケテンダイマーの添加量を15質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてAKD−BNFを調製した。このAKD−BNFとナイロン12とを実施例2と同様にして混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0053】
(実施例4)
バイオナノファイバー100質量部に対するアルキルケテンダイマーの添加量を50質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてAKD−BNFを調製した。このAKD−BNFとナイロン12とを実施例2と同様にして混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0054】
(比較例2)
バイオナノファイバー100質量部に対するアルキルケテンダイマーの添加量を200質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてAKD−BNFを調製した。このAKD−BNFとナイロン12とを実施例2と同様にして混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0055】
(比較例3)
前記AKD−BNFの代わりに未処理のバイオナノファイバー(ダイセル化学工業(株)製「KY−100S」、直径100〜1000nm)を用いた以外は実施例2と同様にしてバイオナノファイバーとナイロン12とを混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0056】
(比較例4)
実施例1と同様にホモジナイザー処理を施してBNF水分散液を調製した後、ろ過して固形分を回収し、この固形分を105℃で8時間風乾した。前記AKD−BNFの代わりにこのホモジナイザー処理を施したバイオナノファイバーを用いた以外は実施例2と同様にしてバイオナノファイバーとナイロン12とを混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0057】
(比較例5)
ホモジナイザー処理を施して調製した前記AKD−BNFの代わりに比較例1と同様にホモジナイザー処理を施さずに調製したAKD−BNFを用いた以外は実施例4と同様にしてAKD−BNFとナイロン12とを混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0058】
(比較例6)
加熱融解させたアルキルケテンダイマー(日本油脂(株)製「ニューパール ハード76G」)5質量部に真空乾燥を施したバイオナノファイバー(ダイセル化学工業(株)製「KY−100S」、直径100〜1000nm)100質量部およびピリジン(和光純薬工業(株)製)1500質量部を添加し攪拌し、バイオナノファイバーの表面にアルキルケテンダイマーを付着させた。このバイオナノファイバーをろ過により回収し、固形分を105℃で8時間風乾し、アルキルケテンダイマーにより表面が化学修飾されたバイオナノファイバー(AKD−BNF)を得た。
【0059】
前記水中で調製したAKD−BNFの代わりにこのAKD−BNFを用いた以外は実施例2と同様にしてAKD−BNFとナイロン12とを混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0060】
(比較例7)
バイオナノファイバー100質量部に対するアルキルケテンダイマーの添加量を50質量部に変更した以外は比較例6と同様にしてAKD−BNFを調製した。このAKD−BNFとナイロン12とを比較例6と同様にして混練した。このときの混練状態を評価した結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示した結果から明らかなように、未処理のバイオナノファイバーを用いた場合(比較例3)、水中でホモジナイザー処理のみを施したBNFを用いた場合(比較例4)、ホモジナイザー処理を施していないAKD−BNFを用いた場合(比較例5)、および加熱融解AKD中で表面修飾したAKD−BNFを用いた場合(比較例6〜7)には、AKD−BNFまたはBNFとナイロン12との混練物100質量部に対するAKD−BNF添加量またはBNF添加量を10質量部以上に増大させることは不可能であり、特に、加熱融解AKD中でバイオナノファイバーを表面修飾した場合(比較例6〜7)には、AKD添加量を増大させてもAKD−BNFとナイロン12との混練物100質量部に対するAKD−BNF添加量を10質量部以上に増大させることは困難であった。一方、本発明のAKD−BNFを用いた場合(実施例2〜4)にはAKD−BNFの樹脂への添加量を増大させることが可能であることが確認された。他方、100質量部のBNFに対して200質量部のAKDで表面修飾したAKD−BNFを用いた場合(比較例2)には、AKD−BNFの樹脂への添加量を増大させる効果は得られなかった。
【0063】
(実施例5)
実施例2で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製「PS40E2ASE」)を用いて金型温度60℃、射出時間12秒、冷却時間50秒、加熱筒温度195℃、スクリュー回転数80rpmの条件で第1号ダンベル形状(JIS K7113)に射出成形した。得られた射出成形品の引張弾性率および最大応力を、インストロン型万能試験機(インストロン社製「4302」)を用いてJIS K7113に記載の引張試験方法に準拠して測定した。その結果を表2に示す。
【0064】
(実施例6)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物の代わりに実施例3で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:15)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0065】
(実施例7)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:15)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)の代わりに実施例3で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:15)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=20:100)を用いた以外は実施例6と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0066】
(比較例8)
前記AKD−BNFとナイロン12との混練物の代わりにナイロン12(宇部興産(株)製「UBESTA 3024B」)のみを射出成形した以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0067】
(比較例9)
前記AKD−BNFとナイロン12との混練物の代わりに比較例4で得たホモジナイザー処理を施したバイオナノファイバーとナイロン12との混練物(BNF:BNFとナイロン12との混練物=10:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
(比較例10)
前記水中で調製したAKD−BNFとナイロン12との混練物の代わりに比較例7で得た加熱融解AKD中で調製したAKD−BNFとナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
表2に示した結果から明らかなように、本発明のAKD−BNFを用いた場合(実施例5〜7)には、ナイロン12のみの射出成形した場合(比較例8)に比べて引張弾性率および最大応力が増大した。一方、ホモジナイザー処理を施したバイオナノファイバーを用いた場合(比較例9)には、ナイロン12のみの射出成形した場合(比較例8)に比べて引張弾性率は増大したが、同量の本発明のAKD−BNF(BNF:AKD(質量比)=100:5)を用いた場合(実施例5)に比べて引張弾性率および最大応力は劣るものであった。また、加熱融解AKD中で表面修飾したAKD−BNFを用いた場合(比較例10)には、ナイロン12のみの射出成形した場合(比較例8)に比べて引張弾性率は増大したが、同量の本発明のAKD−BNF(BNF:AKD(質量比)=100:5)を用いた場合(実施例5)に比べて最大応力は劣るものであった。
【0071】
また、実施例6〜7に示した結果から明らかなように、本発明のAKD−BNFの添加量が増大すると引張弾性率および最大応力は増大することが確認された。
【0072】
(実施例8)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)の代わりに実施例2で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=5:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表3に示す。
【0073】
(実施例9)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)の代わりに実施例3で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:15)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=5:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表3に示す。
【0074】
(実施例10)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)の代わりに実施例4で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:50)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=5:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表3に示す。
【0075】
(比較例11)
前記AKD−BNF(BNF:AKD=100:5)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=10:100)の代わりに比較例2で得たAKD−BNF(BNF:AKD=100:200)とナイロン12との混練物(AKD−BNF:AKD−BNFとナイロン12との混練物=5:100)を用いた以外は実施例5と同様にして第1号ダンベル形状の射出成形品を作製し、その引張弾性率および最大応力を測定した。その結果を表3に示す。
【0076】
【表3】

【0077】
表2〜3に示した結果から明らかなように、本発明のAKD−BNFを用いた場合(実施例8〜10)には、ナイロン12のみの射出成形した場合(比較例8)に比べて引張弾性率および最大応力が増大した。また、引張弾性率は、AKD添加量が減少するにつれて増大することが確認された。一方、100質量部のBNFに対して200質量部のAKDで表面修飾したAKD−BNFを用いた場合(比較例11)には、AKD−BNF添加による引張弾性率および最大応力の増大効果は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、セルロース繊維などのバイオファイバーの表面を改質することが可能となる。このように表面改質されたバイオファイバーは、凝集しにくく、熱可塑性樹脂中での分散性に優れるため、熱可塑性樹脂中に高度に分散させることが可能となる。
【0079】
したがって、このような表面修飾バイオファイバーと熱可塑性樹脂とを含む本発明の樹脂複合材料は、弾性率や最大応力などの機械的特性に優れるため、自動車用材料の外板材や内装材、電化製品の筐体などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1A】実施例1で得たAKD−BNFの形態を示す電子顕微鏡写真である。
【図1B】実施例1で得たAKD−BNFの形態を示す電子顕微鏡写真である。
【図2A】比較例1で得たAKD−BNFの形態を示す電子顕微鏡写真である。
【図2B】比較例1で得たAKD−BNFの形態を示す電子顕微鏡写真である。
【図3A】未処理のバイオナノファイバーの形態を示す電子顕微鏡写真である。
【図3B】未処理のバイオナノファイバーの形態を示す電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水にバイオファイバーを、バイオファイバー濃度が0.01〜5質量%となるように添加して機械的攪拌処理を施し、25℃における粘度が10〜900mPa・sであるバイオファイバー水分散液を調製する工程と、
前記バイオファイバー水分散液と、該バイオファイバー100質量部に対して1質量部以上200質量部未満のアルキルまたはアルケニルケテンダイマーとを混合し、前記バイオファイバーの表面に前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーを付着させる工程と、
前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマー付着バイオファイバーに加熱処理を施す工程と、
を含むことを特徴とする表面修飾バイオファイバーの製造方法。
【請求項2】
前記機械的攪拌処理における剪断速度が1200〜80000s−1であることを特徴とする請求項1に記載の表面修飾バイオファイバーの製造方法。
【請求項3】
前記加熱処理の温度が前記アルキルまたはアルケニルケテンダイマーの融点以上200℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面修飾バイオファイバーの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の製造方法により製造されたものであることを特徴とする表面修飾バイオファイバー。
【請求項5】
請求項4に記載の表面修飾バイオファイバーと熱可塑性樹脂とを含有することを特徴とする樹脂複合材料。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2009−256832(P2009−256832A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107967(P2008−107967)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】