説明

表面修飾二酸化ケイ素粒子

本発明は、表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾルであって、その水性シリカゾルが、少なくとも1種のアルコキシシランを含む少なくとも1種の第1の修飾剤と、ハロゲンシラン、シロキサンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2の修飾剤とを使用して反応されて、ここで、その第1または第2の修飾剤を使用する反応の前に水分が除去されて、生成され得る表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾルに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修飾二酸化ケイ素粒子に関し、また修飾二酸化ケイ素粒子の調製方法にも関し、またその方法で得ることが可能な製品に関し、特にその二酸化ケイ素粒子の最終使用に関し、またその二酸化ケイ素粒子を含むナノコンポジットに関する。その修飾二酸化ケイ素粒子を含むシリカゾルも提案される。
【背景技術】
【0002】
シリカゾルは、互いに実質的に(すなわち、少なくとも50%の範囲まで、好ましくは少なくとも70%、80%もしくは90%の範囲まで)非架橋である、二酸化ケイ素が球状の個別粒子の形態で存在する非晶質二酸化ケイ素(SiO)の懸濁液である。分散媒は、異なることができる。したがって、例えば、溶媒またはモノマーであり得る。
【0003】
シリカゾルは広く使用されている。例えば、シリカゾルは、精密鋳造用バインダーとして、耐火材分野における繊維向けに、また触媒の製造において、フィルム用コーティング剤として(ブロッキング防止)、織物分野において滑り止め仕上げに、建設分野では気中打設コンクリートの添加剤として、または防火および断熱用途向けバインダーとして、エレクトロニクス用研磨剤として、さもなければ紙製セグメントにおいて、例えば、紙の停留(paper retention)に関して、または特殊用紙のコーティングにおける添加剤として使用するのに適している。
【0004】
従来のシリカゾルは、二酸化ケイ素粒子のサイズに応じて、形態において乳状の曇ったものから乳光状を経て無色透明なものまで存在する。これらの粒子は一般に、直径5nm〜150nmを有し、通常球状で、三次元的に小さいものであり、負帯電していることが好ましい。個々の粒子の内部には通例、[SiO]四面体および/またはポリケイ酸が連結された結果であるシロキサン化合物の骨格が存在する。
【0005】
それらのサイズは小さいので、これらの粒子は大きな比表面積を有し、それが高い表面エネルギーをもたらしている。この高い表面エネルギーの1つの望ましくない結果は、これらの粒子が集塊物もしくは凝集体さえも形成し易い点である。したがって、二酸化ケイ素粒子を含む安定な分散液を形成することは、容易に可能なことではない。
【0006】
できる限り粒子の集塊化もしくは凝集を防止するために、それらの粒子の表面を修飾することは、従来技術から公知である。
【0007】
したがって、Ralph K.Ilerによる非特許文献1は、クロロシランによりシリケート表面を修飾することを開示している。
【0008】
特許文献1は、水混和性溶媒の存在における水性シリカゾルのハロシランとの、またシロキサンとハロシランとの混合物との、かつ/またはシロキサンとの反応を記述している。
【0009】
特許文献2は、イソプロパノールの存在におけるヘキサメチルジシロキサンとの、低pHにおける沈降シリカの水性懸濁液の反応を記述している。
【0010】
従来技術から公知である修飾二酸化ケイ素粒子の可撓性およびそれらの調製方法は、不十分なものである。例えば、これらの粒子をさらなる処理に適応させて複合材料とする可能性は限定されている。
【0011】
特許文献3は、有機性表面修飾二酸化ケイ素粒子およびその調製方法も開示しており、その中で含水シリカゾルが有機溶媒と混合され、その水分が共沸除去され、こうして水部分が1%未満まで低下する。その後修飾剤(被覆材料)を添加し、表面の修飾が行われる。言及した被覆材料には、飽和第一級および第二級アルコールが含まれる。しかし、これらの粒子の不利な点は、所望の安定性がなく、かつ/またはいくつかの場合、さらに処理しても所望の可撓性が得られない点である。
【0012】
特許文献4から、有機シリカゾルの表面を炭化水素含有シラノールにより修飾することが公知である。
【0013】
したがって、これらの公知の方法の不利点は、それらの方法が限定された再分散性しか有さない修飾粒子をもたらす点である。その上、トルエンおよびヘキサンなどの有機溶媒との、または有機樹脂およびポリマーとのそれらの混和性は限定されている。その上、これらの粒子は狭い限界内でしか修飾することができず、そのため順応性のある適応が不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 982 268号明細書
【特許文献2】米国特許第6,736,891号明細書
【特許文献3】米国特許第2,801,185号明細書
【特許文献4】米国特許第2,786,042号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「The Chemistry of Silica」(1979年、John Wiley & Sons, Inc.、New York, Chichester, Brisbane,Toronto)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、いくつかの有機溶媒中における、特にトルエン中における改良された再分散性または増大した混和性を示す表面修飾シリカゾル粒子(二酸化ケイ素粒子)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、それらの表面が下記の被覆度によって修飾されている二酸化ケイ素粒子によって達成される:
(a)下記の種類(A型の修飾)の基0.1〜16個/nm
(表面−SiO)−Si(R(OR4−x−y
(式中、x=1〜3、y=1〜3およびx+y=2または3である)、および
(b)下記の種類(B型の修飾)の基0.1〜16個/nm
(表面−SiO)SiR4−z
(式中、z=1または2である)、
また上式において、基R、RおよびRは、任意の所望の有機基を表すことができ、2種以上の基R、RおよびRは同一であっても異なっていてもよい。
【0018】
本発明に従って、こうして表面上が修飾された粒子は、有機溶媒中における卓越した再分散性および、トルエンなどの溶媒との卓越した混和性を示すことが見出されている。これについての主な理由は、上述の修飾によって、それらの表面に有機基が提供されているからである。これについて重要なのは、これらの粒子が、2つの本発明による異なった修飾AおよびBを実際に有する点である。したがって、本発明は、A型の修飾がB型の修飾と同一であるという変形形態を包含しない。したがって、A型の修飾は、B型の修飾と同一ではない(A≠B)。
【0019】
本発明の二酸化ケイ素粒子は、好ましくは0.1〜16個、好ましくは0.1〜10個/nmの基、特に0.15〜6個/nmの基、非常に好ましくは0.2〜4個/nmの基による(表面−SiO)−Si(R)(OR)4−x−yの種類の修飾(A型の種類の修飾)を有する。
【0020】
さらにこれらの二酸化ケイ素粒子は、0.1〜16個、好ましくは0.2〜10個/nmの基、特に0.3〜6個/nmの基、より好ましくは0.4〜4個/nmの基による(表面−SiO)−SiR4−zの種類の修飾(B型の種類の修飾)を有する。
【0021】
AおよびB型の種類の修飾についての上述の好ましい範囲は、互いに任意に組み合わせることができる。その特定の組合せは、より広い使用領域およびさらなる粒子の処理についての必要性によって決まる。特に、A型の修飾の基0.9〜3.6個/nmおよびB型の修飾の基0.5〜3個/nmの組合せが好ましいものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
熟練した作業者は、粒子表面上の官能基を測定する方法、したがって本発明の粒子の被覆性を測定する方法も知っている。例えば、塩基(例えば水酸化カリウム)によって、RSiおよびRSiから基を切断し、次いでジシロキサン(RSiOSiR)または環(RSiO)を形成することができる。これらの化学種は、GCによって分析することができる。その方法は、例えば、EP 0982268B1(比較例および実施例1)中に言及されている。これらの基はまた、原則としてNMRおよびIRによって測定することができる。さらに、ビニル基は、ヨウ素価による滴定法、すなわちWijs溶液とのビニル基の反応およびその後のチオ硫酸ナトリウムによる過剰のハロゲンの滴定により検出できる。(メタ)アクリロイル基は、標準化過酸化物溶液との反応の間に放出される反応熱からの示差走査熱量測定法(DSC)によって測定することができる。
【0023】
A型の修飾
A型の粒子表面の修飾は、シリカゾルを、一般式(I)のアルコキシシラン
式(I) RSi(OR4−x
(式中、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基であり、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基、カルボキシル基、場合によって置換されているC〜C18アルケニル基、およびオキシム基からなる群から選択できる)と反応させることにより達成される。
【0024】
本発明に関して、一般式(I)の化合物は、好ましくはメチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルヒドロジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルメチルジメトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、アミノプロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシランおよびヘキセニルトリメトキシシランからなる群から選択される。
【0025】
本発明に関して特に好ましいものは、一般式(I−1)のシラン
式(I−1) RSi(OR(x=3)
(式中、基RおよびRは、上記において定義した通りである)である。
【0026】
B型の修飾
B型の粒子表面の修飾は、ハロシランおよび/またはシロキサンとの反応によって行われる。
【0027】
これらのハロシランは、一般式(II)
式(II) RSiX4−a−b
(式中、
それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、または炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素基からなる群から選択され、
Xは、それぞれの出現において独立に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、
aは、0、1、2または3であり、
bは、0または1であり、
a+b=1、2または3である)を有することが好ましい。
【0028】
本発明に関して特に好ましいものは、一般式(II−1)のクロロシラン
式(II−1) RSiCl4−a−b
(式中、基Rならびに添数aおよびbは、上記において定義した通りである)である。
【0029】
本発明に関して特別に好ましいものは、一般式(II−2)のハロシラン
式(II−2) R3−aSiCl
(式中、基Rおよび添数aは、上記において定義した通りである)である。
【0030】
本発明に関して、一般式(II)の化合物は、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロメチルシラン、メチルトリクロロシラン、クロロジメチルシラン、トリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、クロロジメチルオクチルシラン、クロロジメチルオクタデシルシラン、ビニルトリクロロシラン、ジクロロメチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、アリルトリクロロシラン、アリルジクロロメチルシランおよびアリルクロロジメチルシランからなる群から選択されることが好ましい。
【0031】
シロキサンは、好ましい一般的構造(III)
式(III) RSiO(4−n)/2
(式中、
それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素基、水素原子およびOH基からなる群から選択され、nは、両端を含んで2と3の間の数である)を有する。
【0032】
本発明に関して好ましいものは、一般式(III−1)のシロキサン
式(III−1) RSiOSiR
(式中、基Rは上記において定義した通りであり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0033】
本発明に関してさらに好ましいものは、一般式(III−2)の環状シロキサン
式(III−2) (RSiO)
(式中、nは整数であり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0034】
本発明に関してさらに好ましいものは、一般式(III−3)のポリシロキサン
式(III−3) RSiO(RSiO)SiR
(式中、nは整数であり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0035】
好ましい一実施形態において、化合物III−1のポリシロキサンが使用される。
【0036】
本発明に関して、一般式(III)の化合物は、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルジシロキサン、トリメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ジビニルテトラメチルシロキサン、トリメチルトリビニルシクロシロキサンおよびテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンからなる群から選択されることが好ましい。
【0037】
本発明の粒子およびシリカゾルの調製
本発明の粒子は、例えば、シリカゾルを、少なくとも1種のアルコキシシランを含む少なくとも1種の第1の修飾剤、ならびに、ハロシラン、シロキサンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2の修飾剤と反応させることによって調製することができる。
【0038】
本発明の二酸化ケイ素粒子向け出発材料として企図されるものは、コロイド状二酸化ケイ素の分散液または溶媒である。例えば、Stober合成により調製されているコロイド状二酸化ケイ素、または水ガラスからのコロイド状二酸化ケイ素の使用を行うことができる。本発明の目的のためのコロイド状二酸化ケイ素は、1〜1000nm、好ましくは5〜150nmの平均直径を有する粒子を意味する。それらは、液体中の分散物(シリカゾル)として存在できる。これらの粒子は、実質的に――すなわち、好ましくは少なくとも90%の範囲まで、より好ましくは少なくとも95%もしくは99%の範囲まで――二酸化ケイ素から構成される。
【0039】
Stober合成において、テトラメトキシシランなどのアルコキシシランは、触媒としての酸もしくは塩基の存在において加水分解され、この手段によって粒子は、目標とされる形で構築される。この方法の利点は、非常に狭い粒径分布、および任意の所望の5nmと500nmの間の粒径を達成することができる点である。
【0040】
水ガラスから出発するコロイド状シリカゾルの調製において、ケイ酸ナトリウムの水溶液が、イオン交換体によって脱イオン化されて、シリカ(Si(OH))を形成する。形成されたシリカは概して不安定であり、直接重合して小さい種粒子を形成し、これらから次いで実際の粒子が構築される。操作条件の適正な設定によって、例えば約5〜150nmの範囲にある狭い粒径分布を生成させることが可能である。水性シリカゾルは、一般に塩基により安定化され、その結果として酸性シリカ粒子が負に帯電し、互いに反発する。しかし、本発明に関して、例えば、本発明の調製方法の結果として塩基を含むシリカゾルが出発材料として使用される場合、その塩基は先ず第一に除去されることが好ましい。
【0041】
市販の二酸化ケイ素粒子の使用を行うこともでき、例は、Bindzil 40/130およびBindzil 40/220(Eka Chemicals社から入手できる)、Levasil 200/40%(H.C.Starck社から入手できる)、Nalco 2327、Nalco 1141およびNalco 2329(Nalco Companyから入手できる)、NexSil 12およびNexSil 20(Nyacol社から入手できる)、Snowtex ST−40およびSnowtex ST−50(Nissan Chemical American Corporationから入手できる)である。
【0042】
したがって、本発明の方法は、ナノスケールのコロイド状シリカゾルから出発することが好ましい。このゾルのpHは、好ましくは5以下に、より好ましくは4以下に調節される。塩基性ゾルの場合、酸を添加することにより、または酸性カチオン交換体を使用することによりこれを達成することができる。
【0043】
第1および第2の修飾剤との反応は連続して、さもなければ第1および第2の修飾剤の混合物によって同時に行うことができ、そのいずれでもよい。
【0044】
本発明の方法に関して、その方法中の任意の所望される時点でそのシリカゾルから水分を除去することが好ましく、それは反応混合物中の実質的な水分量が、全体としてのその反応系がより極性であることを意味するからである。したがって、水分の除去は、第1の修飾剤との反応の前に、または第2の修飾剤との反応の前に、さもなければこの両方の場合に行ってよい。修飾剤の混合物を使用する場合、この混合物との反応前でも除去を行ってよい。水分の除去は、ハロシランおよび/またはオルガノシランを含む修飾剤もしくは修飾剤の混合物との反応前に行われることが好ましい。
【0045】
本発明の目的のため「水分の除去」は、二酸化ケイ素含量に対して、90重量%以下、好ましくは75重量%以下、50重量%以下、35重量%以下、20重量%以下または10重量%以下の系の水分含量の減少を意味する。ここで、従来の市販の二酸化ケイ素ゾルの水分含量は、少なくとも約50重量%であるが、通常およそ60重量%と80重量%の間にある(これらの場合、二酸化ケイ素含量に対する水分含量は、100重量%を超える)ことに注目する価値がある。したがって、本発明に従う水分除去後、系全体の水分含量は、15重量%未満、また好ましくは10重量%未満、または7.5重量%もしくは5重量%未満となり得る。
【0046】
もし本発明の現方法で好ましく想定されるように、反応系から水分が除去される場合、15重量%までの、より好ましくは20重量%までの、特に25重量%までの比較的高いシリカゾル含量で操作される可能性が生じる。したがって、本発明の方法により、著しくより高い空時収率を実現することが可能である。
【0047】
その上、水分がシリカ粒子の凝集を促進することは公知である。したがって、このシリカゾルの反応系から水分を除去することは好ましいことである。
【0048】
したがって、本発明の一実施形態において、本発明の方法は、
(1)コロイド状シリカゾルを、少なくとも1種のアルコキシシランを含む少なくとも1種の第1の修飾剤と反応させるステップと、
(2)コロイド状シリカゾルを、ハロシラン、シロキサンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の第2の修飾剤と反応させるステップと、
(3)このシリカゾルから、特に共沸蒸留により水分を除去するステップと
を含む。
【0049】
ここで想定される個々の方法ステップ(1)〜(3)の順序は制約されず、変動できる。例えば、本発明に関して、シリカゾルの表面を2段階修飾する場合、第1の表面修飾前に、または第1および第2の表面修飾の間に、反応系から水分を除去することが原則として可能である。
【0050】
しかし、本発明の方法の好ましい一実施形態において、コロイド状シリカゾルの反応は、先ず第一に、少なくとも1種のアルコキシシランを含む少なくとも1種の第1の修飾剤と行われ(方法ステップ(1))、その後このシリカゾルから水分が除去され(3)、これに続いてハロシラン、シロキサンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の第2の修飾剤との反応が行われる(方法ステップ(2))。
【0051】
以下の文章では、個々の方法ステップ(1)〜(3)が、より詳細に記述され、――すでに言及したように――それぞれの方法ステップの表記/番号付けは、本方法ステップの順序への制約を何ら意味するものではない。
【0052】
方法ステップ(1)
方法ステップ(1)における粒子表面の修飾は、シリカゾルの、一般式(I)のアルコキシシラン
式(I) RSi(OR4−x
(式中、基Rは、場合によって置換されているC〜C18アルキル基であり、基Rは、場合によって置換されているC〜C18アルキル基、カルボキシル基、場合によって置換されているC〜C18アルケニル基およびオキシム基からなる群から選択できる)との反応によって行うことができる。
【0053】
得られたSiOR基の加水分解により、SiOH基をもたらすことができ、次にこれにアルコキシシランを付加できることは注目に値する。このため、全体的にもしくは部分的に、Si(R)−x−O−Si(R)x結合を有する層をもたらすことが可能である。
【0054】
本発明に関して、一般式(I)の化合物は、メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルヒドロジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルメチルジメトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、アミノプロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシランおよびヘキセニルトリメトキシシランからなる群から選択されることが好ましい。
【0055】
本発明に関して特に好ましいものは、一般式(I−1)のシラン
式(I−1) RSi(OR(x=3)
(式中、基RおよびRは、上記において定義した通りである)である。
【0056】
方法ステップ(1)は、好ましくは下記の条件で実施される:
方法ステップ(1)について、シリカゾルは、塩基性安定化を与えられている場合、カチオン交換体で処理される。次いで酸性シリカゾルが反応される。
【0057】
式(I−1)のシランが、シリカゾルに十分に可溶である場合、反応は好ましくは室温において2時間以内に行われる。シランがシリカゾル中に十分に可溶ではない場合(15分間強く撹拌した後の、脂肪の斑点から識別できる)、この混合物を水混和性溶媒で希釈しなければならない。この目的のため特に好ましいものは、イソプロパノールまたは1−メトキシ−2−プロパノールである。シランとの混合物は、加熱することもできる。
【0058】
好ましいシランの量は、粒子比表面積Aに基づいて計算することができる。1.5〜6マイクロモル(シラン)/g(SiOを使用することが好ましい。粒子が大きいほど、比表面積はより小さく、シランの必要量はより少ない。使用される比表面積は、BET方法による、または以下に記述する粒径に基づく方法による表面とすることができる。
【0059】
これらの条件下で、シランは粒子表面と完全に反応し、したがって基の付加量(ローディング)は、用いられる化学量論に実質的に対応する。
【0060】
方法ステップ(2)
方法ステップ(2)におけるシリカゾル表面の修飾は、例えば、シリカゾルのハロシランおよび/またはシロキサンとの反応によって行われる。
【0061】
これらのハロシランは、一般式(II)
式(II) RSiX4−a−b
(式中、
それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、または炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素基からなる群から選択され、
Xは、それぞれの出現において独立に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、
aは、0、1、2または3であり、
bは、0または1であり、
a+b=1、2または3である)を有することが好ましい。
【0062】
本発明の方法のために使用することができるハロシランは、B型の修飾を有する粒子を生成させる能力を有利に有する。この目的のため、aは1〜3が好ましく、2または3がより好ましい。ハロシランを使用することが特に好ましく、クロロシランがより好ましい。シランは、重合可能な基、例えば特にビニル基により、官能基化することができる。
【0063】
本発明に関して特に好ましいものは、一般式(II−1)のクロロシラン
式(II−1) RSiCl4−a−b
(式中、基Rならびに添数aおよびbは、上記において定義した通りである)である。
【0064】
本発明に関して特別に好ましいものは、一般式(II−2)のハロシラン
式(II−2) R3−aSiCl
(式中、基Rおよび添数aは、上記において定義した通りである)である。
【0065】
本発明に関して、一般式(II)の化合物は、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジクロロメチルシラン、メチルトリクロロシラン、クロロジメチルシラン、トリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、クロロジメチルオクチルシラン、クロロジメチルオクタデシルシラン、ビニルトリクロロシラン、ジクロロメチルビニルシラン、クロロジメチルビニルシラン、ジクロロジビニルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、アリルトリクロロシラン、アリルジクロロメチルシランおよびアリルクロロジメチルシランからなる群から選択されることが好ましい。
【0066】
シロキサンは、好ましい一般的構造(III)
式(III) RSiO(4−n)/2
(式中、
それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素基、水素原子およびOH基からなる群から選択され、nは、両端を含んで2と3の間の数である)を有する。
【0067】
本発明に関して好ましいものは、一般式(III−1)のジシロキサン
式(III−1) RSiOSiR
(式中、基Rは上記において定義した通りであり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0068】
本発明に関してさらに好ましいものは、一般式(III−2)の環状シロキサン
式(III−2) (RSiO)
(式中、nは整数であり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0069】
本発明に関してさらに好ましいものは、一般式(III−3)のポリシロキサン
式(III−3) RSiO(RSiO)SiR
(式中、nは整数であり、2つ以上のRが、それぞれ異なった定義を有することができる)である。
【0070】
本発明に関して、一般式(III)の化合物は、C原子8個以上を有するアルキルトリメトキシシラン(例えば、オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルジシロキサン、トリメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、ジビニルテトラメチルシロキサン、トリメチルトリビニルシクロシロキサンおよびテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンからなる群から選択されることが好ましい。
【0071】
方法ステップ(2)におけるシリカゾルの修飾が、シロキサンによってだけ行われ、特に少なくとも1種のハロシランの同時使用を行わない場合、反応の間、追加的に酸を使用することがさらに好ましい。ハロシランとの、かつ/またはシロキサンとのシリカゾルの反応は、それぞれ加水分解もしくはアルコーリシスにおいて形成されるシロキサンまたはアルコキシシランが、酸によって再び切断され、より反応性の生成物に変換され得る可能性に基づいている。クロロトリメチルシランなどのハロシランが水性媒体中において使用される場合、粒子表面上のSiOH基との反応のほかに、ヘキサメチルジシロキサンおよび塩酸が同様に生成される。次に塩酸は、平衡にあるSi−O−Si結合を切断し、したがってヘキサメチルジシロキサンをクロロトリメチルシランに戻す可能性がある。したがって、ハロシランとシロキサンとの混合物、ハロシラン単独、さもなければ塩酸などの酸とのシロキサンの混合物を使用することが可能である。
【0072】
酸として、これに関連して任意の所望のブレンステッド酸(例えば、J.Huheey、Anorganische Chemie、Walter de Gruyter、Berlin, New York、1988年、309f頁において記述されるように)の使用が行われる。しかし、塩酸などの多くの酸が、例えば、本発明の方法が実行される装置の材料に関して強い腐食効果を有するので、それらの使用は、耐腐食系に限定される。本発明に従って、ブレンステッド酸の使用に関連したこの問題は、ブレンステッド酸の代わりに、またはブレンステッド酸に加えてルイス酸を使用することによって解決されるのが好ましい。これに関連して、1つの可能なルイス酸は、塩化アルミニウムである。
【0073】
本発明の方法に関連してブレンステッド酸またはルイス酸を使用する場合、使用後その酸を中和し、もしくは表面修飾シリカゾルから除去することが好ましい。
【0074】
第2の方法ステップにおける修飾剤の量、反応温度、および反応の保持時間により、極性および再分散性などの、得られたシリカゾルの性状を制御することが可能である。
【0075】
方法ステップ(2)は、下記の条件で実施することが好ましい:
反応は、クロロシランと、またはクロロシランとシロキサンとの混合物と行われることが好ましい。シロキサンに関する限り、蒸留によって反応後、過剰のジシロキサンを混合物から分離することができるので、特にジシロキサンが好ましい。
【0076】
反応は、水分含量1%と10%の間で、好ましくは有機媒質内で行われる。好ましい反応温度は、僅かに混合物の沸騰温度未満である。1ミリモル(クロロシラン)/g(SiO)を使用する場合、70℃で2時間以内に完全な反応を達成することができる。
【0077】
シロキサンおよびハロシランの量に応じて、表面上のSiOH基の90%までの被覆度を達成する。
【0078】
コロイド状シリカは、典型的に1nm当たり、SiOH基約4.6個を有する。
【0079】
方法ステップ(3)
水分は、例えば、相分離による抽出によって、蒸留によって、共沸蒸留によって、または膜技術によってシリカゾルから除去することができる。
【0080】
本発明の方法の好ましい一実施形態において、有機溶媒による共沸蒸留によって水分が除去される。
【0081】
共沸蒸留は、相分離についての有機溶媒の適合性を考慮する必要がなく、シリカゾル系から水分を除去することができる利点を提供する。共沸蒸留は、一般に、水が共沸混合物を形成する事実上全ての有機溶媒でうまく達成されるので、共沸蒸留は、有機溶媒の選択の可能性を増大させ、全体として工程におけるより大きい適応性(flexibility)をもたらす。
【0082】
シリカゾルからの水分の共沸除去のために使用される有機溶媒は、どんな特定の制約も受けず、水と共沸混合物を形成する任意の所望の溶媒を使用することができる。これに関連して、シリカゾルと溶媒との水混和性系をもたらす溶媒の使用が好ましい。したがって、好ましい溶媒は、界面活性剤も使用し、水と実質的に完全に混合することができるものである。
【0083】
共沸蒸留に適した溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ペンタノール、オクタノールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール;エチレングリコールおよびジエチレングリコールなどのグリコール;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−1−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、モノ−、ジ−、トリ−およびポリエチレングリコールエーテルなどのエーテル、グリコールエーテルおよびプロピレングリコールエーテル;アセトン、ブタノンおよびシクロヘキサノンなどのケトンおよびアルデヒド;酢酸エステルおよびグリコールエステルなどのエステル;ジメチルホルムアミドおよびニトロベンゼン、ピペリジン、N−メチルピペリジンおよびアセトニトリルなどのアミドおよび他の窒素含有溶媒;ジメチルスルホキシドなどの硫黄含有溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリ−およびテトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、ヒドロクロロフルオロカーボンなどのハロゲン化炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンジン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、テルペン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの炭化水素などからなる群から選択できる。特に好ましいのはイソプロパノールである。
【0084】
本発明の方法は、他の場合による方法ステップをさらに含むことができ、一例は、過剰のシランの除去などの、揮発性成分の除去であり、これは蒸留により達成されることが好ましい。
【0085】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、シリカゾルの修飾は、酸性pHで行われるが、本発明の反応が有機溶媒内で行われるので、正確な酸性pHをさらに指定することは不可能である。
【0086】
さらに、本発明は、上述の方法によって得ることができるシリカゾルに関する。
【0087】
本発明はさらに、本発明のシリカゾルの使用、ならびに上述の方法によって得ることができるシリカゾルの使用を提供する。本発明の分散液、またはその分散液から溶媒を除去することにより得られる再分散性粉末は、広く様々なベースポリマー中に組み込むことができ、それらの物理的性質、特にそれらの機械的性質を改良もしくは向上させることができる。本発明に関して、多数の公知のポリマーをベースポリマーとして使用することができる。例えば、本発明の系によって、熱可塑性または熱硬化性プラスチックを改質することができる。例として、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂およびポリエステル樹脂を挙げることができる。改質することができるエラストマーの例には、天然ゴム、ブチレンゴム、アクリレートゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、場合によって水素化されているニトリル−ブタジエンゴム、ポリシロキサン(シリコーン)などが含まれる。多くのこれらの物質群について、再分散性粉末の形態における本発明のナノ粒子を組み込むことは、溶媒を経由してそれらを導入すると有害性があり高コストおよび複雑さと関連するので、特に有利である。
【0088】
本発明のナノスケールの二酸化ケイ素は、例えばメチルメタクリレート(MMA)などの低沸点を有するポリマーもしくは樹脂中に、特に有利に組み込むこともできる。
【0089】
本発明に従って生成される粒子は、例えばアジペートおよびフタレートなどの可塑剤を改質するため、同様に使用することができる。これらの可塑剤については、それらは低粘性の安定な分散物を形成する。
【0090】
本発明に従って生成される粒子を含むポリマー性もしくは重合可能な混合物は、安定であり、したがって貯蔵可能な分散物を構成し、良好な流動性状(低い粘性、低い偽塑性)を有する。したがって、それらは、例えば、歯科用配合物を作製するのに適しており、歯科用配合物は、例えば静的ミキサーから適用されるものであり、したがって過剰な加工粘性を有してはならないものである。それらは特に好ましくシリコーン系歯科用配合物に使用することができる。他の可能な適用分野は、LSR(液体シリコーンゴム)の改質においてであり、LSRは一般に射出成形により加工され、したがって、そのため低い加工粘性は大きな利点である。本発明にしたがって、LSRの場合、過剰な粘性の結果として加工性が悪くなるということがなく、高い充填剤含量を、したがって硬化した最終製品の側にとって良好な機械的性質を達成することができる。
【0091】
本発明により、低い粘性に基づいて良好な加工性状を有し、硬化ポリマーの形で、高い充填剤含量がもたらす改良された性状、特に機械的性状、熱伝導率の向上などを有する重合可能な混合物を調製することが原則として可能になる。
【0092】
このようにして得られたシリカゾルから、かつまた前述のシリカゾルから、溶媒を除去した後、種々の媒質中に再分散することができる粉末を得ることが可能である。これに関連して、驚くべきことに、乾燥する間に粒子の凝集があるにも拘らず、それを安定化する媒体が存在しないため分散させた後の粒径分布が、溶媒中における粒径分布に実質的に対応している点が見られている。しかし、本発明によるこの場合には、凝集は実質的に可逆的であり、したがって、低いエネルギーコストおよび労力で、粒子を分散液に変換させ戻すことができる。この表面修飾シリカゾルは、例えば、噴霧乾燥によって乾燥することができる。
【0093】
本発明による主題により、一連の利点が特徴付けられる。例えば、第1の修飾用のアルコキシシランを変化させることにより、第2の修飾のハロシランおよび/またはシロキサンとは独立に粒子の性状を設定することができる。次に、第2の修飾におけるハロシランおよび/またはシロキサンの量によって、得られたシリカゾル粒子の極性に影響を及ぼすことが可能である。それは、アルコキシシランだけで被覆したシリカゾル粒子は一般に比較的極性であるが、第2の修飾によって、全体としてのコーティングが再びより無極性になるからである。第1および第2の修飾の特性および量の熟練的な組合せにより、特注ベースで特定の溶媒中における安定した分散液を生成する粒子を作ることが可能である。本発明の方法によって、表面について目標とする極性を設定し、同時にその表面を遮蔽(シールド)する、いわばモジュラーケミストリー(モジュールベースの化学作用)が可能になる。
【0094】
第2の修飾は平衡反応であるので、表面上の無極性シリル基の部分を、反応中におけるシランの量により、目標とする形に調節することができる。
【0095】
本発明のシリカゾルおよび本発明の方法により得ることができるシリカゾルを使用して、再分散可能な粉末を作ることができる。
【0096】
本発明のシリカゾルの使用により、エラストマー、複合材料および熱可塑性材料における機械的性状、特に引張り強度、弾性率、引裂伝播抵抗、曲げ弾性率および衝撃強さを向上させることが可能である。本発明のシリカゾルが、例えば光学レンズの製造に使用される場合、より高い屈折率を達成することが可能である。さらに、本発明のシリカゾル分散液によって、ガスバリヤ(gas barrier)性状、火炎挙動および流動性状が改良される。
【0097】
その上、得られた表面修飾シリカゾルは、分散液形態で、例えば複合材料(ナノコンポジット)を製造するため使用することができる。したがって、本発明はさらに、本発明のシリカゾルにより得ることができる複合材料(ナノコンポジット)を提供する。これらの複合材料は、それらの改良された機械的性状のため有利であり、例は、引っかき抵抗性および耐摩耗性の増加(トライボロジー)である。これは、例えば被覆材料における使用に関して当てはまる。
【0098】
本発明は、次に来る、しかし本発明を制約するものではない実施例によって、より詳細に記述される。
【実施例】
【0099】
粒径測定方法
粒径は、10重量%以下の粒子濃度における、Horiba社のLB−550動的光散乱粒径分析計での動的光散乱法(DLS)によって溶液中で達成することができ、これについて分散液は、25℃において3mPas以下の動的粘度を有するのが適切である。報告される粒径は、粒径分布のメジアン(D50)である。
【0100】
固体材料において、粒径は透過電子顕微鏡法により測定することができる。この目的のため、少なくとも100個の粒子を測定に掛け、粒径分布を形成させる。
【0101】
表面積の測定
表面積は、粒径に基づいて計算される。ここで全ての粒子が、粒径分布のメジアン(d50)に対応する同一の直径を有し、球状の形態を有するとの仮定を行う。
【0102】
比表面積(nm/g(粒子))は:
=6/(ρ×d50
(式中、ρは粒子の密度(密度(SiO)=2.1g/cm)である)によって与えられる。
【0103】
基の数Nは:
N=([モル(反応性基)]/[粒子の質量])×6.022×1023
により与えられる。
【0104】
その比(N/A)が、単位表面積当たりの基の数を与える。
【0105】
アルコキシシランの反応の場合、使用したシランが、粒子表面上で完全な加水分解を受けるとの単純化した仮定を行うことが可能である。
【0106】
比較例
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、平均粒径d50(動的光散乱により測定した):25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体(Amberjet 1200H、Rohm & Haas社から入手可能)上でpH2〜3に達するまで撹拌した。濾過によりイオン交換体を除去した後、酸性ゾルを、種々のアルコキシシラン(以下の表1および2における項目2〜5を参照されたい)と共に2時間撹拌した。実施例1は、アルコキシシランなしで実施し、したがって比較として役立った。
【0107】
その後ゾルをイソプロパノールで希釈し、さらにイソプロパノールを添加すると、減圧下で溶媒および水の混合物を蒸留除去した。得られたゾルを、撹拌しながらクロロトリメチルシランおよびヘキサメチルジシロキサンと混合した。混合物を、70℃で2時間撹拌し、次いでAmberjet 4400 OHの添加により中和し、濾過によりイオン交換体を除去した。
【0108】
結果
第1のコーティングにおいて、種々のアルコキシシラン(表1および2における項目2〜5を参照されたい)による粒子の性状を比較するため、シリカゾルを40℃で真空乾燥した。得られた粉末をトルエン中に再分散させ、10重量%の固形部分を有するゾルを生成させた。これらのゾルを、動的光散乱法による測定に掛けた。
【0109】
【表1】

表1を評価すると、測定された粒径が最初の粒径および粒径分布に近いほど、粒子がトルエン中の再分散に適していることが示されている。表1における結果から、第1の方法ステップに使用したアルコキシシランが、トルエン中の粒子の再分散性をかなり改良することは明らかである。分散液の粘度も同様に、マトリックス(溶媒)との粒子の混和性の目安である。トルエン中において、アルコキシシランと反応した粒子は、アルコキシシランを含まない粒子よりも、かなり低い粘度を生じ、すなわち、トルエンとのそれらの混和性はより良好である。
【0110】
種々のシリカゾルを溶媒交換によりトルエン中に移し、DLSによる測定に掛けると、粒子の極性を、最初のイソプロパノールゾルとの比較から評価することができる。
【0111】
【表2】

溶媒との粒子の混和性を、動的光散乱法による粒径から評価することができる。溶媒との混和性のない粒子は、一緒に集まり、動的光散乱下でより大きい粒径を有するように見える。したがって、測定される粒径が実際の粒径に近いほど、一緒に集まっている粒子は少ない。
【0112】
表2からの結果は、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと反応している粒子が、より無極性のトルエンよりもより極性の溶媒であるイソプロパノールとのより良好な混和性を有することを明らかにしている。極性のγ−メタクリロイルオキシプロピル基により、無極性溶媒との高い混和性が可能になる。これらの結果は、本発明が、シリル化によって、所望の分子を目標とされるように結合させる「モジュラーケミストリー」の形で役立つことができることを示している。
【0113】
(実施例1〜3のための手順)(表1)
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、粒径(DLS)D50=25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体Amberjet 1200 H(Rohm & Haas社)と一緒にpH2に達するまで撹拌した。このゾル100部を、アルコキシシラン0.24ミリモル/部(ゾル)と2時間撹拌した(実施例1の場合を除く)。これに続いて、イソプロパノール600部で希釈し、このゾルを40〜50℃において真空中で約150部まで濃縮した。
【0114】
このゾルを、イソプロパノールの添加により300重量部までとし、次いでクロロトリメチルシラン4.4部およびヘキサメチルジシロキサン13部の混合物と混合し、70℃で2時間撹拌した。加熱を止めた後、25部のAmberjet 4400 OH(塩基性イオン交換体、Rohm & Haas社)を添加した。さらに1時間撹拌した後、濾過によりイオン交換体を除去した。
【0115】
(実施例4および5のための手順)(表2)
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、粒径(DLS)D50=25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体Amberjet 1200 H(Rohm & Haas社)と一緒にpH2に達するまで撹拌した。このゾル100部を、アルコキシシラン0.24ミリモル/部(ゾル)と2時間撹拌した。これに続いて、イソプロパノール600部で希釈し、このゾルを40〜50℃において真空中で約150部まで濃縮した。
【0116】
このゾルを、イソプロパノールの添加により160重量部までとし、次いでクロロトリメチルシラン4.4部およびヘキサメチルジシロキサン13部との混合物と混合し、70℃で2時間撹拌した。加熱を止めた後、25部のAmberjet 4400 OH(塩基性イオン交換体、Rohm & Haas社)を添加した。さらに1時間撹拌した後、濾過によりイオン交換体を除去した。
【0117】
(実施例6)(表3)
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、粒径(DLS)D50=25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体Amberjet 1200 H(Rohm & Haas社)と一緒にpH2に達するまで撹拌した。このゾル100部を、イソプロパノール50部で希釈し、プロピルトリメトキシシラン0.24ミリモル/部(ゾル)と、クロロトリメチルシラン4.4部と、ヘキサメチルジシロキサン13部との混合物と混合し、70℃で2時間撹拌した。加熱を止めた後、25部のAmberjet 4400 OH(塩基性イオン交換体、Rohm & Haas社)を添加した。さらに1時間撹拌した後、濾過によりイオン交換体を除去した。これに続いて、イソプロパノール550部で希釈し、このゾルを40〜50℃において真空中で約150部まで濃縮した。
【0118】
(実施例7)(表3)
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、粒径(DLS)D50=25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体Amberjet 1200 H(Rohm & Haas社)と一緒にpH2に達するまで撹拌した。このゾル100部を、イソプロパノール200部で希釈し、プロピルトリメトキシシラン0.24ミリモル/部(ゾル)と、クロロトリメチルシラン4.4部と、ヘキサメチルジシロキサン13部との混合物と混合し、70℃で2時間撹拌した。加熱を止めた後、25部のAmberjet 4400 OH(塩基性イオン交換体、Rohm & Haas社)を添加した。さらに1時間撹拌した後、濾過によりイオン交換体を除去した。これに続いて、イソプロパノール400部で希釈し、このゾルを40〜50℃において真空中で約150部まで濃縮した。
【0119】
(実施例8)(表3)
塩基性コロイド状シリカゾル(水中SiO40重量%、粒径(DLS)D50=25nm、NaOHにより安定化)を、酸性イオン交換体Amberjet 1200 H(Rohm & Haas社)と一緒にpH2に達するまで撹拌した。このゾル100部を、イソプロパノール600部で希釈し、このゾルを40〜50℃において真空中で約150部まで濃縮した。
【0120】
このゾルを、プロピルトリメトキシシラン0.24ミリモル/部(ゾル)と、クロロトリメチルシラン4.4部と、ヘキサメチルジシロキサン13部との混合物と混合し、70℃で2時間撹拌した。加熱を止めた後、25部のAmberjet 4400 OH(塩基性イオン交換体、Rohm & Haas社)を添加した。さらに1時間撹拌した後、濾過によりイオン交換体を除去した。
【0121】
(実施例6〜8の比較)
実施例6〜8からのシリカゾルを40℃で真空乾燥し、次いでトルエン中に再分散し、10重量%のゾルを形成した。
【0122】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性シリカゾルを、少なくとも1種のアルコキシシランを含む少なくとも1種の第1の修飾剤と反応させ、かつハロシラン、シロキサンおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2の修飾剤と反応させ、該第1または第2の修飾剤との反応の前に水分が除去されるステップにより得ることができる、表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項2】
前記第1および第2の修飾剤との反応が連続して行われるか、または少なくとも1種の第1の修飾剤と少なくとも1種の第2の修飾剤との混合物により同時に行われるかのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子。
【請求項3】
前記水分が、前記第1の表面修飾前に、または前記第1と第2の表面修飾の間に、好ましくは共沸蒸留により、反応系から除去されることを特徴とする、請求項1または2に記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項4】
前記水分を除去した結果として前記シリカゾルの水分含量が、前記二酸化ケイ素含量に対して、90重量%以下、75重量%以下、50重量%以下、35重量%以下、20重量%以下もしくは10重量%以下であり、かつ/または、前記系の全水分含量が、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、7.5重量%未満もしくは5重量%未満であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項5】
前記アルコキシシランが、一般式(I)RSi(OR4−x(式中、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基であり、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基、カルボキシル基、場合によって置換されているC〜C18アルケニル基およびオキシム基からなる群から選択できる)を有し、または好ましくは、一般式(I−1)RSi(OR(式中、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基であり、基Rは、場合によって置換されているもしくは官能基化されているC〜C18アルキル基、カルボキシル基、場合によって置換されているC〜C18アルケニル基およびオキシム基からなる群から選択される)を有し、より好ましくは、R=メチルもしくはエチルである式(I−1)のシランであることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項6】
前記アルコキシシランが、下記の群のアルコキシシラン:
メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルヒドロジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルメチルジメトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、アミノプロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、アリルエチレンジアミンプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシランおよびヘキセニルトリメトキシシランから選択されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項7】
前記ハロシランが、一般式(II)RSiX4−a−b(式中、それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基、または炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素基からなる群から選択され、
Xは、それぞれの出現において独立に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択され、
aは、0、1、2または3であり、
bは、0または1であり、
a+bは、1、2または3である)、
好ましくはRSiCl4−a−b、より好ましくはR3−aSiClを有することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項8】
前記シロキサンが、一般式(III)RSiO(4−n)/2(式中、それぞれのRは、他のいずれとも独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素基または炭素原子1〜18個を有する有機官能性炭化水素原子、水素原子およびOH基からなる群から選択され、nは、両端を含んで2と3の間の数である)を有し、好ましくは一般式RSiOSiR、(RSiO)、またはRSiO(RSiO)SiRのシロキサン、より好ましくは式RSiOSiR(式中、nは整数であり、2つ以上の基Rは、それぞれ異なった定義を有することができる)のシロキサンであることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項9】
前記アルコキシシランが、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、C原子8個以上を有するアルキルトリメトキシシラン(例えば、オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン)およびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランから選択され、前記第2の修飾剤がクロロトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシロキサンの混合物から構成されることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項10】
乾燥形態で存在することを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項11】
乾燥後、再分散可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項12】
分散させた後の粒径分布が、溶媒中における粒径分布に実質的に対応することを特徴とする、請求項11に記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾル。
【請求項13】
ベースポリマー、例えば、オレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ尿素、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシロキサン、天然ゴム、ブチルゴム、アクリレートゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、場合によって水素化されているニトリル−ブタジエンゴムおよびメチルメタクリレート(MMA)中における、前記請求項のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾルの使用。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の表面修飾二酸化ケイ素粒子またはシリカゾルを含むポリマーまたは重合可能な混合物。
【請求項15】
歯科用配合物を作製するための、請求項14に記載のポリマーの使用。
【請求項16】
LSR(液体シリコーンゴム)を改質するための、請求項15に記載のポリマーの使用。

【公表番号】特表2011−521866(P2011−521866A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504386(P2011−504386)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002875
【国際公開番号】WO2009/127438
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(510172549)ナノレジンス アーゲー (2)
【Fターム(参考)】