説明

表面変性シリカゲル

【課題】つや消し剤として塗料に添加して、塗料の粘度がわずかに増加するかまたは全く増加しない特性を有する、表面変性シリカゲルを提供する。
【解決手段】本発明の表面変性シリカゲルを10.7質量%含有する塗料のチキソトロピー指数TI6/60が4.5以下となるようにシリカゲル表面をポリオルガノシロキサンで被覆する。上記TI値は、上記塗料を23℃、相対湿度50%で1日保管した後、6rpmで測定した動的粘度と60rpmで測定した動的粘度の比である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規表面変性シリカゲル、前記シリカゲルの製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカゲルはSiOベースの無機酸化物である。ヒドロゲル、エーロゲルおよび/またはキセロゲルに区別される。ヒドロゲルまたはアクアゲルは水中で製造され、その細孔は水で充填される。キセロゲルは水が除去されたヒドロゲルである。エーロゲルはゲルの構造の変化が最小であり、細孔容積が大部分維持されるように液体が除去されたキセロゲルである。
【0003】
シリカゲルはかなり前から知られている(非特許文献1参照)。シリカゲルは一次粒子(平均粒度1〜10nm)の結合を促進する条件下で製造され、沈殿したシリカまたは熱分解シリカに比べてかなり硬い三次元ネットワークが形成される。従ってシリカゲル粒子は沈殿したシリカ粒子と明らかに異なる。
【0004】
シリカゲルの製造は当業者に周知である(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。前記製造方法は珪酸ナトリウムと硫酸を、低い温度、低いpH値および高い濃度で急速にかつ連続的に互いに混合し、ヒドロゾルを形成し、これを更に短時間後に凝縮してヒドロゲルを形成することからなる。選択的にアルカリ条件下でゲル化を行うことができる。(例えば特許文献4、特許文献5,特許文献6、特許文献7参照)。他の代案も提案されている(特許文献8参照)。
【0005】
生じるヒドロゲルはかなり小さい断片に分解し、洗浄して溶解塩および不純物を除去する。洗浄サイクルの間にpH値の変動(例えばアンモニアのような塩基の添加)、温度および時間の変動によりヒドロゲルの細孔構造を調節する。この方法は当業者に周知である(例えば特許文献9または特許文献10参照)。
【0006】
洗浄サイクルに続いて洗浄したヒドロゲルを熱媒体により乾燥し、シリカゲルまたはキセロゲルを形成する。乾燥の種類および形態はシリカゲルの細孔容積にかなり影響する。急速な乾燥により細孔容積はきわめて広く維持することができる。遅い乾燥の場合に細孔容積が減少する。最後にシリカゲルを特定の粒度および粒子分布に粉砕または圧縮することができる。
【0007】
合成または天然の材料を微粒子の形でつや消し剤として種々の用途に、例えば工業的コーティングに、皮革のコーティングに、およびプラスチックのコーティングに、または印刷インキに使用することは技術水準である。つや消し剤は理想的には以下の特性を有する。高い細孔容積、狭い粒子分布、それぞれの用途に合わせた適当な粒度および狭い細孔分布。つや消し剤が有する前記特性の大部分の特徴を考えると、沈殿したシリカおよびシリカゲルはつや消し剤として通常使用される製品である。
【0008】
しかしコーティングの光沢が減少する利点と並んでコーティングへのつや消し剤の使用は問題を生じる。例えば所定の塗料系においてつや消し剤の添加は粘度を不適当に増加する。特定のチキソトロープの一般的な溶剤骨格アルキド塗料はそのレオロジー特性を考慮するとつや消しが困難である(特許文献11参照)。これは特にアクリレートまたはアクリレート−ポリウレタンをベースとする水性塗料系または相当する複合系に関係する。
【0009】
つや消し剤でしばしば観察されるもう1つの問題は、つや消し剤が沈殿する傾向を有することである。塗料でのつや消し剤の沈殿を防ぐために、市販されている大部分のつや消し剤の表面を表面変性剤で被覆する。この場合に有機成分をSiO表面に付着する。この付着は化学的であってもよく,SiO表面と有機成分の間に確かな化学結合が存在し、および物理的であってもよく、すなわち有機成分がファンデルワールス相互作用によりまたは水素結合によりSiO表面に吸着される。しかし表面変性は問題を生じる。市販されている表面変性つや消し剤はしばしば被覆材料の保存の間に被覆が分離し、従って所望の作用が少なくとも部分的に再び無効になる欠点を有する。これは被覆特性の損失を生じることがある。
【0010】
シリカゲルがワックスで被覆されたつや消し剤は記載されている(特許文献12参照)。尿素−ウレタン誘導体でシリカゲルを被覆することは提案されている(特許文献13参照)。
【0011】
ポリオールでのシリカゲルの被覆はポリアミド変性アルキド樹脂をベースとするインキおよび塗料のチキソトロープ特性に関してほとんど効果のないつや消し剤を生じる(特許文献14参照)。
【0012】
触媒量の強酸の存在でヒドロゲルをオルガノシロキサンと接触させ、ヒドロゲルを疎水化シリカゲルに変換する方法は記載されている(特許文献15参照)。オルガノシロキサンとして一般的構造式RSiO(4−n)/2(nは2〜3である)を有する化合物が使用される。
【非特許文献1】Iler、Chemistry of Silica、462頁以降、1979
【特許文献1】米国特許第4097302号、
【特許文献2】ドイツ特許第4132230号、
【特許文献3】欧州特許第0384226号
【特許文献4】英国特許第1219877号、
【特許文献5】英国特許第1279250号
【特許文献6】WO9825851号
【特許文献7】欧州特許第0588497号
【特許文献8】欧州特許第0765764号
【特許文献9】欧州特許第0384226号
【特許文献10】WO00002814号
【特許文献11】欧州特許第0442325号
【特許文献12】WO200342293号
【特許文献13】WO9951692号
【特許文献14】欧州特許第0442325号
【特許文献15】WO9837013号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、前記欠点の少なくとも一部が少なくとも部分的に排除され、改良された適用技術的特性を示す表面変性シリカゲルを提供することである。もう1つの課題は、本発明の表面変性シリカゲルを製造できる方法を提供することである。
明らかに述べられていない他の課題は、以下の発明の詳細な説明および実施例の全体的関係から生じる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
意想外にも、前記課題は。以下の発明の詳細な説明および請求の範囲および実施例に詳細に記載されている本発明の表面変性シリカゲルおよび以下の発明の詳細な説明、実施例および請求の範囲に詳細に記載されている本発明の表面変性シリカゲルの製造方法により解決される。
【0015】
本発明の対象は、表面変性シリカゲルが、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、チキソトロピー指数TI6/60が4.5より小さいかまたは等しくなるように調節することを特徴とする表面変性シリカゲルである。
【0016】
更に本発明の対象は、表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有する二成分参考塗料の粘度を、低い剪断状態で最大1200mPa・sに増加することを特徴とする表面変性シリカゲルであり、更に以下の1個以上の物理化学的パラメーター:
平均粒度d50:0.5〜50μm
DBP:100〜600g/100g
BET:100〜1000m/g
炭素含量:0.5〜20%
細孔容積(2〜50nm):1.0ml/gより大
スパン:1.3未満
により特徴付けられる。
【0017】
同様に本発明の対象は、本発明による表面変性シリカゲルを製造できる方法であり、シリカゲルの表面をポリマーで変性することを特徴とする。
【0018】
最後に本発明の対象は、本発明による表面変性シリカゲルの、特にインキおよび塗料でのつや消し剤としての使用である。
【0019】
本発明の表面変性シリカゲルは、特にSiOベースの市販されているつや消し剤よりすぐれた以下の利点を有する。
・SiOベースの市販されているつや消し剤に比べて本発明の表面変性シリカゲルはつや消し効率が同じでつや消し塗料の粘度の増加がかなり少ない。
・本発明の表面変性シリカゲルは塗料で沈殿する傾向がきわめて少ない。従ってこの場合に同様のワックスで被覆されたつや消し剤に比べて明らかな利点を示す。
・一部の塗料系において本発明の表面変性シリカゲルによりSiOベースの市販されているつや消し剤に比べて透明度が改良される。
【0020】
本発明を以下に詳細に説明する。しかしその前に一部の重要な用語を説明する。
【0021】
本発明の意味でシリカゲルの語は、ゲル法により製造されるSiOをベースとする無機酸化物であると理解される。シリカゲルはヒドロゲル、エーロゲルおよびキセロゲルの群に分かれる。ヒドロゲルまたはアクアゲルは水中で製造され、従ってその細孔は水で満たされている。キセロゲルは水を除去したヒドロゲルである。エーロゲルはゲルの構造が最も少なく変化し、細孔容積が十分に維持されるように液体が除去されたキセロゲルである。
【0022】
表面変性の語は、シリカゲルの表面に有機成分が化学的におよび/または物理的に結合することであると理解される。すなわち表面変性シリカゲルの場合にシリカゲル粒子の少なくとも一部の表面の少なくとも一部が表面変性剤で被覆されている。
【0023】
低い剪断状態は、ハーケ(Haake)粘度計6Rを使用して室温で6rpmで測定した動的粘度に相当する。強い剪断状態はハーケ粘度計6Rを使用して室温で60rpmで測定した動的粘度に相当する。
【0024】
チキソトロープ指数は、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した二成分参考塗料の強い剪断状態での動的粘度に対する、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した二成分参考塗料の低い剪断状態での動的粘度の比であると理解される。
【0025】
【数1】

【0026】
本発明の意味で二成分参考塗料として、本明細書に記載された塗料組成物2により製造される二成分塗料を使用することができる。
【0027】
本発明の表面変性シリカゲルは、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、チキソトロピー指数TI6/60が4.5より小さいかまたは等しく、有利に4.0より小さいかまたは等しく、特に多くても3.8になるように調節することを特徴とする。
【0028】
本発明の表面変性シリカゲルは、更に、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、少なくとも1種の本発明による表面変性シリカゲル10.7質量%を含有する二成分参考塗料の粘度を、低い剪断状態で最大1200mPa・s、有利に最大900mPa・s、特に最大700mPa・sに、特別の実施態様では最大650mPasに、特に有利な実施態様では最大600mPa・sに増加することを特徴とする。
【0029】
本発明の表面変性シリカゲルは、更に1個以上の以下の物理化学的パラメーター:
平均粒度d50:0.5〜50μm
DBP:100〜600g/100g
BET表面積:100〜1000m/g
炭素含量:0.5〜20%
メソポアー容積(2〜50nm):1.0ml/gより大
スパン:1.3未満
を有することができる。
【0030】
特に表面変性シリカゲルは
・平均粒度d50、有利に1〜40μm、より有利に1〜20μm、特に2〜15μmおよび/または
・DBP吸収値、有利に150〜500g/100g、より有利に200〜500g/100g、特に200〜400g/100gおよび200〜300g/100gおよび/または
・BET表面積、有利に150〜750m/g、特に有利に200〜500m/gおよび200〜350m/gおよび/または
・炭素含量、有利に0.5〜15%、より有利に0.5〜10%、特に1〜6%、2〜6%および3〜5%、
・メソポアー容積(2〜50nm)、有利に1.5ml/gおよび/または
スパン0.1〜1.2
を有することができる。
【0031】
本発明の表面変性シリカゲルの沈殿特性は一般に1〜2である(方法の詳細は例6参照)。
【0032】
前記のすべての有利な範囲は互いに独立に調節できる。
【0033】
本発明のシリカゲルの特別な特性は、特に表面変性に使用されるポリマーに由来する。本発明による特性を示すシリカゲルは、有利に1個以上のポリオルガノシロキサンまたは変性されたポリオルガノシロキサンで処理された表面を有する。特に有利にポリエーテル、アクリレートおよび/またはポリアクリレートで変性されたポリオルガノシロキサンまたはポリアルコキシシロキサンで処理されたシリカゲルである。
【0034】
本発明の1つの特に有利な実施態様において、前記シリカゲルは、以下の一般的構造式:
【0035】
【化1】

[式中、
Yは−OH、−ORであるか、または
YはH−O−(CO)−、H−O−(C0)−であるか、または
Yは
【0036】
【化2】

であり、
Rは−アルキル、特にメチルまたはエチルであり、
はアルキルまたはHであり、
はアルキルであり、
はHまたはアルキルであり、
aは0〜100であり、bは0〜100であり、cは0〜100であり、dは0〜100であり、
mは0〜100であり、kは0〜100である]のポリオルガノシロキサンで被覆された表面を有する。
【0037】
本発明の他の有利な実施態様において、シリカゲルの表面が、以下の一般的構造式:
【0038】
【化3】

[式中、
はメチル基であるか、または

【0039】
【化4】

および/または
【0040】
【化5】

であり、単位aの総和は0〜100であり、単位bの総和は0〜15であり、その際基Rにおいてメチル基とアルコキシ基の比は50:1より小さく、aが0である場合は、bは1より大きく、bが0である場合は、aは5より大きい]のポリオルガノシロキサンで被覆されている。特にこのポリオルガノシロキサンを製造するための詳しい説明はドイツ特許(DE−A1)第362782号に記載されている。この明細書の内容は同様に本発明の対象である。
【0041】
アルキル基は、1〜100個、有利に1〜25個、特に有利に1〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基および1〜15個のC原子を有するシクロアルキル基であると理解される。アルキル基は1個以上の二重結合または三重結合を含有することができ、個々の原子はO、NまたはSのようなヘテロ原子により置換されていてもよい。
【0042】
本発明による表面変性されたシリカゲルは、シリカゲルの表面をポリマーで変性する方法により製造することができる。
【0043】
本発明の方法は、以下の工程:
a)ヒドロゲルを予備粉砕する、
b)ヒドロゲルを乾燥してキセロゲルを生成する
c)キセロゲルを粉砕するおよび1つの工程
d)表面変性する
を有し、工程d)は種々の時点で行うことができる。
【0044】
工程a)において、公知方法により製造したヒドロゲルを、更に処理するために粗く予備粉砕する。予備粉砕のためにすべての種類のミルが適しているが、有利にピン付き円板ミルを使用する。SiO含量5%以上、有利に20〜40%およびBET200〜500m/g、有利に250〜400m/gを有するヒドロゲルが本発明の方法に特に適していることが示された。このようなヒドロゲルは、例えば欧州特許第0384226号またはドイツ特許第4132230号により製造することができる。これらの明細書の内容は本発明の内容に明らかに含まれる。
【0045】
工程b)において、予備粉砕したヒドロゲルを乾燥する。つや消し剤としてシリカゲルを使用するために、高い細孔容積が有利であることが示され、それというのもこれにより塗料で低い光沢値が達成できるからである。ヒドロゲルを短時間乾燥することにより高い細孔容積が達成できる。例えば噴霧乾燥機、粉砕乾燥機、空気流乾燥機またはスピンフラッシュ乾燥機が適当な乾燥装置であることが示された。本発明の方法のために、乾燥を、有利にスピンフラッシュ乾燥機中で行い、その際乾燥機導入温度として100〜700℃、有利に100〜500℃、特に有利に300〜500℃の範囲を選択する。生じるキセロゲルが15%未満、有利に10%未満の残留湿度を有するように、供給量および排出温度を調節する。
【0046】
乾燥後にシリカゲルを工程c)で粉砕する。このためにすべての種類のミルが適している。つや消し剤として使用するために必要な生成物の微細度のために空気ジェットミルおよび蒸気ジェットミルが特に適していることが示された。特に有利に流動床逆流ジェットミル上で粉砕を実施する。
【0047】
大きすぎる粒または小片を回避するために、工程b)で表面変性シリカゲルの乾燥後にまたは工程c)で粉砕の後または間に50μmより大きい、有利に30μmより大きい、特に20μmより大きい直径を有する粒子を分離することが有利である。これはつや消し剤の微細度に応じてミルに組み込むことができる相当するふるいまたは分級装置により行うことができる。
【0048】
工程d)での表面変性は、a)〜c)の少なくとも1つの工程の前にまたは間に行うことができる。その際ポリマーは希釈せずに純粋な物質としてまたは希釈した形で水性エマルションとして添加することができる。
【0049】
本発明の1つの実施態様Iにおいて、工程b)の前に工程d)を行い、ヒドロゲルに対して0.2〜12質量%、有利に0.5〜5質量%のポリマーを、予備粉砕したヒドロゲルと(工程a)の後に)室温で強力に混合する。ポリマーの添加は、ヒドロゲルに均一な分布が保証されるように実施する。引き続き工程b)で混合物を乾燥し、工程c)で粉砕し、場合によりふるいにかけまたは分級する。
【0050】
本発明の1つの実施態様IIにおいて、工程c)の前に工程d)を行い、残留湿分10%以下を有する工程b)で乾燥したシリカゲルを、室温でポリマーと強力に混合する。ヒドロゲルに均一な分布が保証されるように、ポリマーを添加する。引き続き混合物を工程c)で粉砕し、場合によりふるいにかけまたは分級する。
【0051】
本発明の1つの実施態様IIIにおいて、工程c)の間に工程d)を行い、工程b)で乾燥したシリカゲルを工程c)で粉砕し、同時に表面を変性する。この目的のためにポリマーを、ミルの粉砕室に所望の被覆比が調節できる速度で搬送する。
【0052】
本発明の方法の個々の実施態様に応じて工程a)〜c)で使用される変性されていないシリカゲル前駆物質は、公知方法により製造することができるかまたは商業的に入手できる。これから、一方で表面変性工程d)を付加的な工程としてシリカゲルを製造する公知方法に組み込むことができるが、他方で変法I〜IIIの1つのための出発物質として使用できるシリカゲル前駆物質を取得することも可能であることが明らかである。
【0053】
本発明の方法に使用できる表面変性ポリマーは、ポリオルガノシロキサンまたは変性ポリオルガノシロキサンである。変性ポリオルガノシロキサンは、特にポリエーテル変性、アクリレート変性またはポリアクリレート変性ポリオルガノシロキサンである。ポリアルコキシシロキサンも使用できる。
【0054】
本発明の方法の1つの特に有利な実施態様において、以下の一般的構造式:
【0055】
【化6】

[式中、
Yは−OH、−ORであるか、または
YはH−O−(CO)−、H−O−(C0)−であるか、または
Yは
【0056】
【化7】

であり、
Rは−アルキル、特にメチルまたはエチルであり、
はアルキルまたはHであり、
はアルキルであり、
はHまたはアルキルであり、
aは0〜100であり、bは0〜100であり、cは0〜100であり、dは0〜100であり、
mは0〜100であり、kは0〜100である]を有するポリオルガノシロキサンを使用する。
【0057】
本発明の方法の1つの更に有利な実施態様において、以下の一般的構造式
【0058】
【化8】

[式中、
はメチル基であるか、または

【0059】
【化9】

および/または
【0060】
【化10】

であり、単位aの総和は0〜100であり、単位bの総和は0〜15であり、その際基Rにおいてメチル基とアルコキシ基の比は50:1より小さく、aが0である場合は、bは1より大きく、bが0である場合は、aは5より大きい]を有するポリオルガノシロキサンを使用する。これらのポリオルガノシロキサンの製造に特に関係する詳しい説明はドイツ特許(DE−A1)第3627782号に記載されている。この明細書の内容は同様に本発明の内容に含まれる。
【0061】
本発明の方法において、表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲル10.7質量%を含有する二成分参考塗料の粘度を、低い剪断状態で最大1200mPa・s、有利に最大900mPa・s、特に最大700mPa・sに、1つの特別な実施態様では最大600mPa・sに増加するように、ポリマーの種類および量を選択する。
【0062】
本発明の表面変性シリカゲルは、有利にインキおよび塗料につや消し剤として使用する。
【0063】
更に本発明の表面変性シリカゲルは、シリカゲルが一般に使用されるすべての適用分野に、例えば紙被覆の成分として、消泡剤組成物の成分として、シリコーンゴムに強化剤として、またはポリマー組成物に、例えば粘着防止剤として使用できる。
【0064】
本発明の表面変性シリカゲルの物理化学的データは以下の方法により決定される。
【0065】
BET表面積の決定
シリカゲルのBET表面積はDINISO9277に基づき、Brunauer、Emmett and Teller(BET)による窒素吸着法により決定される。この方法はS.Brunauer、P.H.Emmett and E.Teller、J.Am.Chem.Soc.60、309(1938)の研究に基づく。
【0066】
測定はトリスター(Tristar)3000測定装置(Micromeritics)で実施する。分析すべき試料を、閉じた真空下で試料の上の圧力が30分間一定に維持するまで、測定の前に真空下(p<10−3ミリバール)、160℃でガス抜きする。
【0067】
メソポアー容積の決定
メソポアー分布はBarret、Joyner and Halenda(BJH)の方法により決定し、E.P.Barret、L.G.Joyner and P.H.Halenda、J.Am.Chem.Soc.73,373(1951)による研究に基づく。
【0068】
測定はASAP2400測定装置(Micromeritics)で実施する。分析すべき試料を、閉じた真空下で試料の上の圧力が30分間一定に維持するまで、測定の前に真空下(p<10−3ミリバール)、200℃でガス抜きする。
【0069】
突き固め密度の決定
突き固め密度はDINENISO787−11に基づき決定する。予めふるい分けしなかった試料の所定の量を目盛り付きガラスシリンダーに導入し、振動体積計により決められた数の振動を与える。振動の間に試料を圧縮する。実施した分析の結果が突き固め密度である。
【0070】
測定はカウンターを有する振動体積計、Engelsmann Ludwigshafen、ドイツ、形式STAV2003で行う。
【0071】
まず250mlガラスシリンダーの風袋の重さを精密はかりではかる。その後シリカゲル250mlを、粉体漏斗を使用して重さをはかったメスシリンダーに空洞が形成されないように導入する。引き続き試料の量を0.01gの精度で計量する。その後シリンダーの粉末の表面が水平になるようにシリンダーを軽くたたく。メスシリンダーを振動体積計上の相当するホルダーに挿入し、1250回振動する。振動した試料の体積を1回の振動工程の後に1mlの精度で読みとる。突き固め密度D(t)は以下のように計算する。
D(t)=m×1000/V
式中、D(t)は突き固め密度[g/l]であり、Vは振動後のシリカゲルの容積[ml]であり、mはシリカゲルの質量[g]である。
【0072】
乾燥減量の決定
シリカゲルの湿分または乾燥減量(LD)はISO787−2に基づき105℃で2時間乾燥後に決定する。この乾燥減量は大部分が水分からなる。
【0073】
乾燥したガラスビーカーに、粉末状シリカゲル10gを精密はかり(SatoriusLC621S)で0.1mgの精度で計量して入れる(重さE)。ガラスビーカーを、複数の孔(φ1mm)があいているアルミニウム箔で覆う。こうして覆われたガラスビーカーを105℃で2時間、乾燥棚中で乾燥する。引き続き熱いガラスビーカーを乾燥機中で乾燥剤の上で少なくとも1時間かけて室温に冷却する。最終質量Aを決定するために、ガラスビーカーを精密はかりで0.1mgの精度で計量する。湿分(LD)%は以下の式により決定する。
【0074】
LD=(1−A/E)×100
式中、Aは最終質量(g)であり、Eは最初の質量(g)である。
【0075】
強熱減量の決定
この方法によりシリカゲルの質量損失をDINENISO3262−1に基づき1000℃で決定する。この温度で物理的および化学的に結合した水および他の揮発性成分が逃散する。検査した試料の湿分(LD)を前記方法、乾燥減量の決定によりDINENISO787−2に基づき決定する。
【0076】
シリカゲル0.5gを0.1mgの精度で計量し(最初の質量)、予め焼成した、重さをはかった磁器坩堝に入れる。試料をマッフル炉中で、2時間で1000±50℃に加熱する。引き続き磁器坩堝を、乾燥剤としてシリカゲルを使用して乾燥棚中で室温に冷却する。最終質量Aは重量測定により決定する。
【0077】
強熱減量LOI(%)は以下の式により得られる。
LOI=(1−A/F)×100
式中、Fは乾燥物質に基づき補正した最初の質量(g)であり、以下の式により計算する。
F=E×(1−LD/100)
計算式においてAは最終質量(g)であり、Eは最初の質量(g)であり、LDは乾燥減量(%)である。
【0078】
pH値の決定
20℃でシリカゲルの水性懸濁液のpH値を決定するためにDINENISO787−9に基づく方法を使用する。
【0079】
pH測定の前にpH計(Knick社、タイプ766pH計、Calimatic、温度センサーを有する)およびpH電極(結合電極、Schott社、タイプN7680)に、20℃で緩衝溶液を使用して検定することが必要である。使用される2つの緩衝溶液が試料の予想されるpHを含むように検定機能を選択する(pH4.00および7.00、pH7.00およびpH9.00および場合によりpH7.00および12.00を有する緩衝溶液)。
【0080】
湿分4±2%を有する粉末状シリカゲル5.00gを精密はかりで0.01gの精度で計量して予め容器の重さを計量した広口ガラス瓶に入れる。20℃で冷たい脱イオン水を100mlのしるしまで満たす。検査する試料が十分に水で湿らすことができない場合は、100mlのしるしまで分析純度のメタノール50mlおよび脱イオン水50.0mlを満たす。
【0081】
引続き懸濁液を閉鎖した容器中で、20℃で振動機器(Gerhardt、モデルLS10、55W、レベル7)を使用して5分の時間にわたり振動する。pH値の測定を引続き行う。このために電極をまず脱イオン水で洗浄し、引続き一部の懸濁液で洗浄し、引続き懸濁液に浸漬する。引続き磁気攪拌棒を懸濁液に添加し、攪拌速度を一定にしてこの懸濁液にわずかな渦流を形成してpH測定を行う。pH計が一定の値を示す場合にpH値をディスプレーで読み取る。
【0082】
DBP値の測定
シリカゲルの吸収性の尺度であるDBP吸収値(DBP値)を以下のようにDIN53601に基づき測定する。
【0083】
粉末状シリカゲル(湿分4±2%)12.50gをブラベンダー吸収計E(トルクセンサーの出口フィルターの減衰がない)のニーダー室(製品番号279061)に導入する。連続的に混合しながら(ニーダーパドルが125rpmの速度で回転する)、ジブチルフタレートをブラベンダーT90/50Dosimatを使用して室温で4ml/分の速度で混合物に滴下する。混合によるこの導入は少ない量の力のみで行い、デジタルディスプレーにより監視する。測定の終了に向かって混合物が粘性になり、これは必要な力の急激な増加により示される。600デジットのディスプレーの表示(0.6Nmのトルク)でニーダーとDBP供給位置の電気的接触を遮断する。DBP供給のための同期電動機をデジタルカウンターに結合し、mlでのDBPの消費を読み取ることができる。
【0084】
DBP吸収値はg/100gで表され、以下の式を使用して計算する。
【0085】
【数2】

式中、DBPはDBP吸収値g/100gであり、VはDBPの消費量mlであり、DはDBPの密度g/mlであり(20℃で1.047g/ml)、Eはシリカゲルの最初の質量gであり、Kは表1(湿分相関表)による相関値g/100gである。
【0086】
DBP吸収値は無水乾燥シリカゲルに関して定義される。湿ったシリカゲルを使用する場合は、DBP吸収値を計算するために相関値Kを考慮することが必要である。この値は表1を使用して決定できる。例えば含水量5.8%を有するシリカゲルはDBP吸収に関して33g/100gの添加を意味する。シリカゲルの湿分は前記の方法、乾燥減量の決定により決定する。
【0087】
表1:ジブチルフタレート吸収値に関する湿分相関表−無水
【0088】
【表1】

【0089】
導電率の測定
シリカゲルの導電率(EC)はDINENISO787−14に基づき水性懸濁液中で測定する。
【0090】
粉末状シリカゲル4.00g(湿分4±2%)を精密はかり(Sartorius Universal)を使用して0.01gの精度で計量し、重さをはかった150mlガラスビーカーに入れ、脱イオン水80ml中で懸濁させ、懸濁液を攪拌しながら100℃に加熱し、100℃で1分間沸騰させる。熱い懸濁液を100ml目盛り付きフラスコに移し、水浴中で20℃に冷却する。20℃で目盛り付きフラスコ中で懸濁液に冷たい脱イオン水を加えて100mlにして振動により均一にする。
【0091】
懸濁液を150mlガラスビーカーに移し、沈殿を避けるために十分に攪拌する。
【0092】
導電率測定装置LF530(WTW)の測定セルを少量の試料で洗浄し、LTA01
測定セルを懸濁液に浸漬する。外部温度センサーTFK530が自動的温度補償を行うので、ディスプレーに表示された値は20℃での導電率に相当する。この温度係数およびセル定数kをそれぞれの測定の組の前に調べるべきである。使用される検定溶液は0.01モル/l塩化カリウム溶液である(20℃でのEC=1278μS/cm)。
【0093】
粒度の測定
粒度を決定するためのレーザー回折の適用は粒子が異なる強度パターンを有する単色光をすべての方向に散乱する現象に基づく。この散乱が粒度に依存する。粒子が小さいほど散乱角度が大きくなる。
【0094】
試料の製造および測定(装置の洗浄等)は親水性シリカゲルの場合は脱イオン水を使用して、または水で十分に湿らせることができないシリカゲルの場合は純粋なエタノールを使用して行う。
【0095】
100mlガラスビーカーに、均一な粉末状シリカゲル試料4ml(残留湿分4±2%)をスパチュラで攪拌して脱イオン水50mlまたはエタノール50mlと一緒に入れる。ガラスビーカー中の懸濁液を超音波触針(Bandelin、形式UW2200、DH13Gホーンおよびφ13mmダイアモンドプレートを有する)を使用して120秒間処理する。超音波触針の出力供給装置(Bandelin、SonoplusHD2200)を出力100%に設定する。超音波触針が懸濁液に浸漬する深さは1cmである。その後直ちに懸濁液を磁気攪拌器(IKALabortechnik、MiniMR、0〜1500rpm)上で、750rpmで攪拌する(攪拌器出力50%)。最初のサンプリングの前の攪拌時間は少なくとも30秒である。懸濁液が攪拌している間に常に懸濁液から試料を取り出す。
【0096】
測定を開始する前にレーザー回折装置LS230(Coulter)および液体モジュール(Small Volume Module Plus、120ml、Coulter)を2時間暖気運転し、モジュールを脱イオン水で3回洗浄し、または水で十分に湿らすことができないシリカゲルの場合はエタノールで3回洗浄する。装置はオフセット測定を行い、1時間ごとに自動的に調節する。
【0097】
装置ソフトウェアーのタスクバーにメニュー項目、測定を使用してファイルウィンドー、CalculateOpt.Modelを選択し、屈折率をrfd ファイルに以下のように定義する。液体屈折率B.1Real=1.333、物質屈折率real=1.46,imaginary=0.1。
【0098】
予想される粒度分布がサブミクロンの範囲にある場合は、PIDSを有する測定を行う。ポンプ速度を装置で30に設定する。
【0099】
原則的にそれぞれの測定の前に、バックグラウンド測定を自動的に行う。それぞれのサンプリングの前に単路ピペットを懸濁液で3回洗浄する。懸濁液約2mlをピペットで取り、1〜3滴を直ちに装置の液体モジュールに配量する。単路ピペットの残りはガラスビーカーに返送する。Coulter装置が一定の濃度を示すまで待った後に添加する。PIDSを有する測定の場合はこのようにピペットを使用して45〜55%の光吸収が達成され、装置がOKを出すまで、懸濁液を添加する。PIDSを有しない測定の場合は8〜12%の光吸収が達成され、装置がOKを出すまで懸濁液を添加する。測定は室温で前記のrfdファイルの評価モデルを使用して行う。それぞれのシリカゲル試料で、待機時間0秒で60秒ごとに3回の測定を行う。
【0100】
未処理データ曲線からソフトウェアーがMie理論および最適なモデルパラメーター(rfdファイル)を考慮して体積分布にもとづき粒度分布を算定する。粒度分布から例えば粒度d05、d50およびd95を読みとることができる。これらの変数から粒子分布の幅の尺度としてスパンを以下のように算定することができる。
【0101】
スパン=(d95−D05)/d50、この場合にd95>d05
【0102】
炭素含量の測定
シリカゲルの炭素含量はC−mat500(Stroehlein Instruments)を使用して測定する。試料を約1350℃で熱処理し、酸素流により炭素をCOに酸化する。COを赤外線セルで測定する。
【0103】
測定の進行中に炭素含量が1%より多いか少ないかに関して区別する。均一なシリカ試料の炭素含量が1%より多い場合は装置のHighの範囲で測定を行い、1%より少ない場合はLowの範囲で測定を行う。
【0104】
まず対照試料を測定する。その目的のために対照試料0.14〜0.18gを分析用はかりで計量し、焼成により精製した磁器ボートに入れ、室温に冷却する。開始ボタンを操作すると、はかりがC−natと結合しているので、重りが移動する。ボートを燃焼管の中心に30秒以内で押し込まなければならない。燃焼が終了すると測定をパルスに変換し、コンピューターにより評価する。(同意に応じて)少なくとも3回の測定を行う。装置の係数を再調整することが必要である(詳しくはC−mat500、Stroehlein Instrumentsの操作説明書を参照)。この係数は以下の式により計算する。
【0105】
【数3】

【0106】
引き続きシリカゲル試料を測定する。最初の質量は0.04〜0.05gである。磁器ボートを磁器の蓋で覆う。0.005%より大きい誤差の場合は多くの数の測定を行い、平均を計算する。
【0107】
C−mat500の操作はStroehlein Instruments社の操作説明書に記載されている。
【0108】
炭素含量は以下のように計算し、%単位で表す。
【0109】
炭素含量=(p×F×10−8)/E
式中、pはパルスであり、Fは係数であり、Eは最初の質量gである。
【0110】
流動時間の測定
塗料および類似の液体の流動時間の測定はこれらの物質の流れを作業目的のために簡単にかつ十分に評価することができる特性値を提供するために用いられる。流動時間は規格化されたフローカップから完全に流れる液状媒体の決められた量により必要とされる時間である。
【0111】
塗料およびDINカップ(φ流出ノズル=4mm)の温度は流動時間の測定の前および間に23℃±0.5℃でなければならない。DINカップ(φ流出ノズル=4mm)をスタンドに上部端部が水平に配列するように取り付ける。流出ノズルを指でふさぎ、泡および不純物を含まない塗料をDINカップ(φ流出ノズル=4mm)に液体がカップの縁の内側縁部を流れるように導入する。カップに導入する間にサンプルに気泡が導入されてはならない。引き続き縁より上にある塗料をガラス板またはカードのシートを使用してこすり落とす。
【0112】
流動時間の測定は流出ノズルの下側開口の解放と同時に開始し、流出ノズルより下の液体の束が初めて流出するとすぐに終了する。流動時間は1秒の精度で表示する。
【0113】
焼き付け残留物の測定
この方法は高温での樹脂、樹脂溶液および塗料の非揮発性成分含量(NVC)を測定するために実際に試験された方法を定義する。溶剤の保留、熱の排除、低分子量部分の蒸発、および試験容器の寸法測定のために、この方法により測定された値は実際の含量よりも相対的な値である。従ってこの規格により得られた結果は主に特性のコンシステンシーを試験するために用いられる。
【0114】
少なくとも1回の二重測定を行う。試料0.9〜1.1gを±0.001gの精度で計量し、重さを量った皿に入れ、均一に分配する。室温で10〜15分の蒸発時間の後に、皿を120℃に設定した空気圧入塗料乾燥炉に2時間配置する。空気圧入塗料乾燥炉で試験時間の後に皿を乾燥機中で室温に冷却する。残留物を0.001gの精度で計量する。
【0115】
非揮発性成分含量%(NVC)を以下の式により計算する。
【0116】
【数4】

式中、mは皿の質量であり、mは皿と最初の試料の質量であり、mは皿と乾燥した試料の質量である。
NVC(絶対値)の差が0.5%より大きい場合は測定を繰り返すべきである。
【0117】
被膜厚さの測定
つや消し塗料のレフレクトメーター値は他の要因、塗料の被膜厚さに影響される。従って乾燥した被膜の厚さを正確に監視することが必要である。
【0118】
以下の操作はガラス基材上の単層被膜の測定にのみ適用する。測定を実施する前に超音波膜厚測定装置(QuintSonic、ElektroPhysik)の試料を装置操作説明書により検定しなければならない。試料測定領域に十分なカップリング剤を適用した後で試料を被膜の表面に対して垂直に配置し、試料ボタンを押すことにより測定を開始する。短時間後に測定した値を表示する。試料を測定領域から引き上げる。
【0119】
測定される物体上に均一に分配された位置で少なくとも5回の測定を行う。測定位置が損傷、例えば孔、埋め込み、掻き傷、気泡等または汚れを示さないことが保証されるべきである。得られた測定データから平均値が形成され、1μmの精度で四捨五入する。
【0120】
60°および85°レフレクトメーター値の測定
被膜表面の意図的な粗面化の結果として反射率に及ぼされる作用はSiOをベースとするつや消し剤の顕著な特性である。従ってレフレクトメーター値はつや消し被膜を特徴付ける重要な基準である。
【0121】
測定の前提条件は測定される被膜表面が平坦であり、清潔であり、硬化されていることである。
【0122】
測定は試料の少なくとも3個の代表的な位置でレフレクトメーターを使用してDIN67530号により測定形状を用いて行う(例えばHaze−gloss、Byk社)。個々の測定値のずれが互いに大きすぎる場合は、一般に代表的な位置で更に一回測定を行うかまたは測定の数を3より多く増加すべきである。BYKhaze−gloss上でディスプレーが測定値の標準偏差を示す。標準偏差sが1.5より大きい場合は前記測定を行うことが望ましい。平均値は0.1まで報告すべきである。
【0123】
つや消し被膜表面の特性化において60°および85°の測定形状を用いて測定を行うことが適当であると判明した。従ってDIN67530号から逸脱する場合は、つや消し被膜表面のレフレクトメーター値を両方の測定形状を使用して決定する。
【0124】
密度の測定(イエローフィルター)
透明な塗料につや消し剤を使用する場合は、使用されるつや消し剤および結合剤系に応じて多少とも際立った曇りが生じることがあり、これが透明な被膜に青みがかった薄い色を与える。従ってこの作用はブルーの曇りとして知られている。つや消し剤の分析試験データからこの作用に関する結論を導き出すことができない。適当に製造したつや消し塗料に再現可能なやり方で装置によりこの作用を検出するために写真濃度計を使用することができる。
【0125】
検定に続いてマクベス(Macbeth)RD918写真濃度計のフィルターハンドルをイエローの位置に設定する。引き続き少なくとも5回の測定を行う。測定位置が損傷、例えば孔、埋め込み、掻き傷、気泡等を示さないことが保証されるべきである。最も低い値と最も高い値の間の許容できる最も大きい偏差Dは0.05でなければならない。
【0126】
測定した測定データから平均値を形成できる。最も低い値と最も高い値の間の差Dが、D=0.05を上回る場合は、平均値に加えて個々の測定値を記録しなければならない。結果は0.01まで報告される。
【0127】
実施例
以下の例は本発明を説明することを目的とし、本発明の範囲を限定しない。
【0128】
比較例V1
a)ヒドロゲルの製造
水ガラス(Cognis 珪酸ナトリウム37/40濾過)および45%硫酸からシリカゲルを製造する。
【0129】
この目的のために45質量%硫酸および珪酸ナトリウムを完全に混合し、過剰の酸(0.25N)および18.5質量%のSiO濃度に相当する反応物質比を生じる。生じるヒドロゲルを12時間貯蔵し、約1cmの粒度に分解する。
【0130】
洗浄水の導電率が5mS/cmより低くなるまで脱イオン水で洗浄する。引き続き80℃で10〜12時間、pH9で、アンモニアを添加して老化し、その後45質量%硫酸を使用してpH3に調節する。この時点でヒドロゲルは固形分34〜35%を有する。引き続きピン付き円板ミル(Alpineタイプ160Z)上で約150μmの粒度に粗砕する。実験用炉中で乾燥(160℃、3時間)後、生成物はBET表面積320〜340m/gを有する。
b)キセロゲルの製造
予め粉砕したヒドロゲルをスピンフラッシュ乾燥機(AnhydroA/S、APV、タイプSFD47、Tin=350℃、Tout=130℃)を使用して、乾燥後に最終湿分約2%およびBET表面積約330m/gを有するように乾燥する。引き続き流動床対置ジェットミル(Alpine、AFG100)上で平均粒度(d50)6.7μmに粉砕する。
【0131】
比較例1の物理化学的データは表2に示される。
【0132】
実施例1
比較例1a)からのヒドロゲル7kg(SiO2.45kgに相当)を室温で、アルコキシメチルポリシロキサンのエマルション0.245kg(Foamex1435、Tego社、19999年5月の製品データシート)と、28.6:1(ヒドロゲル:アルコキシメチルポリシロキサンエマルション)の質量比で、アイリッヒミキサー(タイプRO2、レベル1で運転)中で混合する。アルコキシメチルポリシロキサンエマルションを3分かけてヒドロゲルに添加し、引き続き7分混合する。生じる混合物を2時間の放置時間の後にスピンフラッシュ乾燥機(AnhydroA/S、APV、タイプSFD47、Tin=350℃、Tout=120℃)を使用して乾燥し、流動床対置ジェットミル(Alpine、AFG100)上で平均粒度d506.7μmに粉砕する。
【0133】
実施例1の物理化学的データを表2に示す。
【0134】
実施例2
実施例1と同じ方法で表面変性シリカゲルを製造し、ヒドロゲルをアルコキシメチルポリシロキサンエマルションと11.4:1の質量比で混合する。実施例2の物理化学的データを表2に示す。
【0135】
実施例3
実施例1と同じ方法で表面変性シリカゲルを製造し、ヒドロゲルをアルコキシメチルポリシロキサンエマルションと5.7:1の質量比で混合する。実施例3の物理化学的データを表2に示す。
【0136】
比較例V2;AcemattOK520(Degussa社)
比較例V3:SyloidED30(Grace社)
比較例V4:SyloidC906(Grace社)。
【0137】
【表2】

【0138】
実施例4:
コイルコーティング塗料での本発明によるシリカゲルの被覆特性の試験
装置
・回転スタンドを有するボールミルKU5
・精密はかり、実験用パドル攪拌機、グラインドメーターブロック0〜25μm、0〜50μm、0〜100μm、フローカップDIN53211(4mm)
・ワイヤを巻いたコーティング棒80μm
・アルミニウムボンダーパネル722WOF
・燐酸処理スチールパネルQUVR−36−1
・コイルコーティングインサートを有する空気圧入塗料乾燥炉
・空気圧入塗料乾燥炉
・膜厚測定装置
・光沢計(レフレクトメーター)DIN67530。
【0139】
処理方法
被覆組成物1
項目 成分 質量割合(%)
1 DynapolLH831、溶剤中70%、150/BG
(Degussa社、2002年7月供給) 35.0
2 ブチルグリコール 6.8
3 二酸化チタンKronos2310(Kronos社、
2000年2月2日製造データシート 29.7
4 AerosilR972(Degussa社、
2004年3月23日のインターネットからの製品情報) 0.2
5 DynapolLH831、溶剤中70%、150/BG 7.8
6 Cymel303(CytecInd.Inc.
2003年2月の製品データ) 7.3
7 Solvesso100(Exxon Mobil
Chemical、2003年7月の製品データシート) 7.0
8 ブチルジグリコール 3.7
9 DispartonL1984、
Solvesso200S中50%(クスモトケミカルズ社、
1998年1月の製品データ) 1.5
10 BYKCatalyst450(Byk Chemie、
2006年6月の製品情報) 0.2
11 DynapolCatalystBL1203
(Degussa社、2004年11月3日のセイフティデータ) 0.8
合計 100.0
項目1〜4の成分を、Alubitボール4900gを装入したKU5ボールミル中で60rpmで、48時間分散する。引き続き項目5〜11の成分を添加し、同様に60rpmで30分混合する。ボールミルの装入は成分5000gの全部の量が処理できるように選択する。こうして製造した光沢のある白いコイルコーティング材料のグラインドメーター値(整定点12μm未満)、焼き付け残留物(整定点約67.5%)および流動時間(整定点約40秒)を測定する。20°レフレクトメーター値を測定するために80μmのワイヤを巻いたコーティング棒を使用してタイプQUVR−36−1の燐酸処理スチールパネルにつやのある塗料を塗装し、30秒の蒸発時間後にパネルをパネル温度235℃で90秒の時間焼き付ける。被膜厚さ約22μmに関してレフレクトメーター値は75±5でなければならない。
【0140】
それぞれ塗料を使用する前に溶解機中で、1000rpmで10分間撹拌すべきである。つやのあるコイルコーティング材料150質量部のために表3による沈殿シリカまたはシリカゲルを350mlポリエチレンビーカーに計量して入れる。スパチュラを使用してシリカまたはシリカゲルの沈殿物を慎重に試験塗料に配合する。その後組成物を、パドル攪拌機(直径43mm)を使用して2000rpmで10分間分散させ、蒸発損失を防ぐためにPEビーカーを覆う。つや消し剤を導入後、つや消し塗料を閉鎖したビーカー中で30分間放置し、揮発性成分が逃散する。引き続きグラインドメーター値および流動時間を測定する。
【0141】
つや消し塗料をタイプR−36−1の燐酸処理スチールパネルに80μmのワイヤを巻いたコーティング棒を使用して塗装する。30秒の蒸発時間の後に塗料をパネル温度235℃で90秒焼き付ける。その後塗料の被膜厚さ、60°および85°レフレクトメーター値および光沢(すなわち85°レフレクトメーター値−60°レフレクトメーター値)を計算する(表3参照)。
【0142】
表3のデータはこの塗料系での本発明の表面変性シリカゲルのつや消し効率が比較例のつや消し効率に匹敵することを示す、言い換えると本発明の表面変性はつや消し効率の損失を生じない。
【0143】
【表3】

【0144】
実施例5
二成分塗料でのコーティング特性
透明な塗料につや消し剤を使用する場合に、使用されるつや消し剤および結合剤系に応じて多少とも顕著な曇りが生じることがあり、これが透明塗料被膜に青みがかった薄い色を与える。従ってこの作用は青い曇りとして知られている。この作用に関する結論はつや消し剤の分析試験データから導き出すことができない。適当に製造したつや消し塗料で再現可能なやり方で装置によりこの作用を検出するために、比色計、例えば写真濃度計を使用することができる。
【0145】
つや消し二成分PU塗料を黒いガラスシートに塗装することにより曇りの範囲により黒いガラスシートの色の深さが減少する。密度、すなわち塗膜を通過する色の深さの測定により間接的に曇りの範囲、従って塗料の透明度に関する結論を引き出すことができる。
【0146】
装置
・実験パドル攪拌機
・フローカップDIN53211、4mm
・皮膜引き出し装置、例えばCoatmaster509MC、Erichsen
・皮膜引き出し棒、150μm
・空気圧入塗料乾燥炉
・膜厚測定装置(例えばQuintsonicPRO、Erichsen)
・光沢計(例えばBYKhaze−gloss)DIN67530
・色の深さ測定装置(写真濃度計)
・完全着色黒色平面ガラスシート180×80×6mm。
【0147】
光沢試験塗料の製造および試験
二成分試験塗料のための個々の成分を以下に示される順序で連続して計量し、実験用攪拌機を使用して均一にする。
【0148】
被覆組成物2(本発明の目的のための二成分参考塗料)
成分 質量割合%
酢酸ブチル98% 8.3
エトキシプロピルアセテート 16.5
Desmophen800(Bayer社、
2002年4月20日の製品データシート) 15.0
Desmophen1100(Bayer社、
2002年4月20日の製品データシート) 20.0
CAB381−0.5(酢酸ブチル98%中10%、
Eastman、2003年9月30日の製品データシート) 3.0
Mowilith20(酢酸ブチル中50%)
(KremerPigment、2004年5月14日
の製品データシート) 3.0
BaysiloneOL.17(キシレン中10%)
(Borchers、2002年12月12日の製品情報) 0.1
BYK361(BYKChemie、2003年5月
の製品データシート) 0.3
キシレン 33.8
合計 100.0
光沢試験塗料を流動時間(整定点:14〜15秒)および焼き付け残留物(整定点:36.0±0.5%)に関して試験する。
【0149】
つや消し試験塗料の製造および試験
使用する前に光沢塗料を、パドル攪拌機を使用して均一にする。沈殿シリカまたはシリカゲルを表4および表5に示される最初の質量にもとづき計量して二成分試験塗料150gに入れる。
【0150】
スパチュラを使用して慎重に配合した後で、350mlPEビーカー中で、2000rpmで10分間パドル攪拌機(直径4cm)を使用してつや消し剤を分散させる。つや消し剤を分散した後で塗料を24時間放置して揮発性成分を逃散する。その後つや消し試験塗料の粘度を以下のようにハーケ(Haake)粘度計6Rを用いて6rpmおよび60rpmで測定し、その比を同様に以下のように測定する(表4参照)。
【0151】
測定の開始の少し前に粘度計(Haake粘度計6R)のスイッチを入れ、自己試験を行い、スピンドルの大きさおよび回転速度を装置で整定する。スピンドルを粘度計に挿入し、塗料にスピンドル軸のマークまで浸漬する。粘度計を始動する。塗料中でスピンドルを2分間回転させ、引き続き6rpmに設定するために測定した値を読みとる。その後、スピンドルを更に2分間塗料中で回転させ、最後に60rpmに設定するための測定した値を読みとる。製造および測定は23℃およびRH50%で実施する。
【0152】
引き続きつや消し二成分試験塗料をデスモジュール(Desmodur)L75硬化剤50gと混合し、実験用攪拌機(直径4cm)を用いて1000rpmで2分間かけて均一にする。均一化を行った後に塗料を再び30分間放置する。つや消し二成分試験塗料を、引き出し速度25mm/秒を有するCoatmaster509MC皮膜引き出し装置およびスロット高さ150μmを有する皮膜引き出し枠を使用して清潔な黒い平面ガラスシートに塗装する。蒸発時間は21〜23℃の室温および相対湿度40〜60%で25〜30分である。その後ガラスシートを乾燥棚中で50±2℃で2時間乾燥させる。ガラスシートを室温に冷却した後で、皮膜厚さ、60°レフレクトメーター値、85°レフレクトメーター値および密度(イエローフィルター)を測定し、光沢(すなわち85°レフレクトメーター値−60°レフレクトメーター値)を計算する(表4参照)。
【0153】
表4は最初の質量が同じ二成分塗料に種々の沈殿シリカおよびシリカゲルを導入した後に測定したデータを示す。データは本発明の表面変性シリカゲルが比較例のシリカゲルに匹敵し、一部の場合には透明度(密度)およびつや消し効率が改良することを示す。本発明の表面変性シリカゲルの利点は粘度測定の結果で特に明らかになる。
【0154】
低い剪断では本発明の表面変性シリカゲルの結果として塗料の粘度はほとんど増加しないが、比較例により粘度は急激に増加する。
【0155】
比較例は高い剪断下で塗料の粘度がなお増加するが、本発明の表面変性シリカゲルにより塗料にほとんど影響はない。
【0156】
本発明の表面変性シリカゲルの低いチキソトロピー指数TI6/60は剪断状態での粘度が剪断されていない状態と比べてわずかにしか減少しないことを示すが、比較例においては剪断されていない状態での塗料の鋭く増加した粘度が前記比較例の添加の結果として剪断によりきわめて鋭く不利に影響される。
【0157】
表5のデータを測定するために、二成分塗料に、乾燥した塗料に匹敵する60°レフレクトメーター値23〜25を付与するために十分な量の沈殿シリカまたはシリカゲルを添加する。本発明のシリカゲルに関して、匹敵するつや消し効率に必要な生成物の量はシリカゲルをベースとする比較例(比較例3および4)と正確にほとんど同じである。
【0158】
本発明の表面変性シリカゲルの透明度(密度)は比較例の透明度より十分に高い。
【0159】
【表4】

【0160】
【表5】

【0161】
例6
ニトロセルロース塗料での沈殿特性
シリカの物理化学的データを塗料でのこれらの物質の懸濁および再分散に関する結論を導き出すために使用することができない。この見解にもとづき適当な塗料での性能試験が必要である。
【0162】
装置および構成要素
・実験用パドル攪拌機
・はかり
・PEビーカー、170ml
・フローカップDIN53211、4mm
・ストップウォッチ
・乾燥棚
・JouanCT4.22遠心分離機
・ガラス瓶、透明、50ml、狭口。
【0163】
処理方法
項目1〜4の溶剤を予め入れ、パドル攪拌機で混合する。NCチップE510を撹拌しながら添加し、パドル攪拌機で溶解する。引き続き項目6〜10を連続的に撹拌しながら塗料に添加する。
【0164】
被覆組成物3
項目 成分 質量割合%
1 トルエン 15.0
2 ブタノール 10.0
3 酢酸エチル 10.0
4 酢酸ブチル85% 10.0
5 NCチップE510(NC82%DBP18%)
(WolffCellulosics、2004年3月23日
のインターネットからの製品情報) 12.0
6 ジブチルフタレート(DBP) 1.0
7 ひまし油18P、吹き込み油 2.0
8 JaegalydE42、キシレン中60%、
(EastmanChemicals、
2004年5月17日のファックス) 10.0
9 AlresatKM313、酢酸エチル:
酢酸ブチル(85%)1:1中50%(Clariant) 20.0
10 ペトロリウムスピリット100/140 10.0
合計 100.0
この塗料の流動時間をDINカップ(流出ノズルφ=4mm)を使用して測定し、以下の溶剤混合物を使用して23℃で40秒の流動時間に調節する。
項目 成分 質量割合%
1 酢酸ブチル85% 30.0
2 酢酸エチル 30.0
3 トルエン 30.0
4 ブタノール 10.0
合計 100.0
つや消し塗料の製造および試験
塗料40gに加えて沈殿シリカまたはシリカゲル0.4gをポリエチレンビーカー(170ml)に計量して入れ、スパチュラを使用して完全に混合する。その後つや消し剤を、パドル攪拌機(直径4cm)を使用して2000rpmで10分間かけて分散する。この作業の間にビーカーを覆う。
【0165】
つや消し塗料約40gをガラス瓶に入れる。ガラス瓶をねじって閉める。遠心分離器にガラス瓶を装填する。遠心分離を以下の設定条件で14時間実施する。
プログラムポイント 設定
半径 185mm
時間/全体 1
時間/継続運転 0m0s
温度 35℃
Δ温度 +4℃
加速度 0
ブレーキ 0
回転速度/RZB 0
RZB 15g
冷却 オフ
評価のために容器を室温に冷却する。沈殿特性を試験するために、容器を容器ホルダーに逆さに配置し、つや消し剤を含有する相の流出が認められる。
【0166】
引き続きガラス瓶を手で2回振る。沈殿が認識されない場合は、容器の底を針で引っ掻く。この処理によりきわめて薄い期待されない沈積が見出される。
【0167】
沈殿特性を以下のように評価する。
1=塗料およびつや消し剤が沈殿しない
2=ゆるやかな沈殿(沈殿が底部から完全に流れ、1回または2回回転することにより分散できる)
3=穏やかな沈殿(沈殿が底部から完全には流れないが、数回振動することによりなお分散できる)
4=穏やかな沈殿、再撹拌が困難(沈殿はなお穏やかであるが、振動によりもはや適度に分散できない程度にすでに凝結している)
5=密な沈殿
実施例1〜3および比較例1〜3の沈殿特性を表6に示す。
【0168】
実施例7
エトキシプロピルアセテートでの分離特性の測定
塗料での沈殿を避けるためにシリカベースつや消し剤を、有機物を用いて後処理する。塗料に適用するために、塗料がシリカ表面に強固に吸着され、塗料成分の作用により分離できないことが重要である。この試験は塗料の分離を確認し、不適当な塗料を同定する。
【0169】
装置
・実験用攪拌機,PEビーカー
・広口ガラス瓶、50ml
・塗料乾燥炉。
【0170】
処理方法
表面変性シリカゲルまたは沈殿シリカ1gをエトキシプロピルアセテート35gに計量して入れる。懸濁液を、パドル攪拌機(直径40mm)を使用してPEビーカー中で、1000rpmで10分間かけて分散させ、50ml広口ガラス瓶に移す。引き続きガラス瓶を、乾燥炉中で50℃で24時間保存する。懸濁液が冷却した後に生じる沈殿および上澄み液相を視覚的に評価する(表6参照)。
【0171】
液体/空気界面の高さにガラス内部に沈積物を形成して有機成分の分離が示され、これらの沈積物は簡単に振動することにより再分散することができない。一般に視覚的評価はこれらの沈積物が主に使用される被覆剤からなるかまたは被覆されたシリカからなるかを効果的に認識することを可能にする。視覚的な認識が明確でない場合は、沈積物の確認を補助するために補足的分析を行うことができる(例えばIR分光分析)。
【0172】
実施例8
AC塗料での変色の測定
この試験法の目的はそれぞれのつや消し剤の相当する実験標準(白色)およびそれぞれ最も低い許容できない変色を示す否定的な標準と比較することによりつや消し剤をAC塗料での変色に関して分析することである。
【0173】
装置
・実験用パドル攪拌機(直径4cm)
・PEビーカー170ml
・スパチュラ
・精密はかり(計量精度0.01g)
・50ml狭口ガラス瓶
・適当な場合は遠心分離器
変色の試験
以下に示される成分を分散することにより変色のための試験塗料を製造する。この目的のために個々の成分を連続して計量し、パドル攪拌機を使用して完全に均一になる時点まで混合する。引き続き塗料50質量部を170mlPEビーカーに入れ、つや消し剤1.3質量部を計量し、スパチュラで撹拌することにより慎重に導入する。その後組成物を、実験用パドル攪拌機を使用して2000rpmで10分間かけて分散させ、試料約40gを50ml狭口ガラス瓶に入れる。ガラス瓶をねじ込んで閉める。つや消し剤を導入して室温で5日保存することにより沈殿させる。
【0174】
被覆組成物4
項目 成分 質量割合%
1 PlastopalBT、ブタノール中60%
(BASF、1994年7月の製品情報) 39.6
2 キシレン 30.2
3 エトキシプロパノール 15.1
4 エタノール 15.1
合計 100.0
変色の評価の間に試料を白い背景上に配置し、背面からの透過光が確保されなければならない。変色を評価するために、下側の黒いふたからの反射が明らかな変色を生じるので、サンプル容器のふたを取り除く。結果を表6に記録する。
【0175】
表6から表面変性の結果としてシリカゲルまたは沈殿シリカの、塗料に沈殿を形成する傾向が大きく減少することが明らかである。公知の物質および表面変性法により最高で2までの沈殿値が達成されるが、実施例2に示されるように、本発明の表面変性により沈殿値が1まで増加することができる、言い換えると沈殿傾向は長い時間にわたっても認識されない。
【0176】
比較例3および4の場合にエトキシプロピルアセテートにさらすことによりシリカゲル表面から表面変性剤が除去されることがあるが、本発明の表面変性シリカゲルの場合にはこのような損失は認められない。
【0177】
比較例から明らかなようにつや消し剤の添加の結果として塗料の黄変がしばしば認められる。対照的につや消し剤を添加した後に塗料が透明のままであることが本発明の表面変性シリカゲルの特徴である。
【0178】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、チキソトロピー指数TI6/60が4.5より小さいかまたは等しくなるように調節することを特徴とする表面変性シリカゲル。
【請求項2】
表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、チキソトロピー指数TI6/60が4.0より小さいかまたは等しくなるように調節する請求項1記載の表面変性シリカゲル。
【請求項3】
表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、低い剪断状態で最大1200mPa・sに増加する請求項1または2記載の表面変性シリカゲル。
【請求項4】
表面変性シリカゲルが、表面変性シリカゲル10.7質量%を含有し、表面変性シリカゲルを製造し、添加した後に、23℃および相対湿度(RH)50%で1日保存した、二成分参考塗料の粘度を、低い剪断状態で最大900mPa・sに増加する請求項3記載の表面変性シリカゲル。
【請求項5】
以下の物理化学的データ:
平均粒度d50:0.5〜50μm
DBP:100〜600g/100g
BET:100〜1000m/g
炭素含量:0.5〜20%
を有する請求項1から4までのいずれか1項記載の表面変性シリカゲル。
【請求項6】
2〜50nmの範囲で少なくとも1.0ml/gのメソポアー容積を有する請求項1から5までのいずれか1項記載の表面変性シリカゲル。
【請求項7】
1.3未満のスパンを有する請求項1から6までのいずれか1項記載の表面変性シリカゲル。
【請求項8】
シリカゲルの表面が、ポリオルガノシロキサンまたは変性ポリオルガノシロキサンで被覆されている請求項1から7までのいずれか1項記載の表面変性シリカゲル。
【請求項9】
シリカゲルの表面が、以下の一般的構造式:
【化1】

[式中、
Yは−OH、−ORであるか、または
YはH−O−(CO)−、H−O−(C0)−であるか、または
Yは
【化2】

であり、
Rは−アルキル、特にメチルまたはエチルであり、
はアルキルまたはHであり、
はアルキルであり、
はHまたはアルキルであり、
aは0〜100であり、bは0〜100であり、cは0〜100であり、dは0〜100であり、
mは0〜100であり、kは0〜100である]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されている請求項8記載の表面変性シリカゲル。
【請求項10】
シリカゲルの表面が、以下の一般的構造式:
【化3】

[式中、
はメチル基であるか、または

【化4】

および/または
【化5】

であり、単位aの総和は0〜100であり、単位bの総和は0〜15であり、その際基Rにおいてメチル基とアルコキシ基の比は50:1より小さく、aが0である場合は、bは1より大きく、bが0である場合は、aは5より大きい]を有するポリオルガノシロキサンで被覆されている請求項8記載の表面変性シリカゲル。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の表面変性されたシリカゲルの製造方法において、シリカゲルの表面を、ポリマーを用いて変性することを特徴とする、表面変性されたシリカゲルの製造方法。
【請求項12】
ポリマーがポリオルガノシロキサンまたは変性ポリオルガノシロキサンである請求項11記載の方法。
【請求項13】
ポリマーが、以下の一般的構造式:
【化6】

[式中、
Yは−OH、−ORであるか、または
YはH−O−(CO)−、H−O−(C0)−であるか、または
Yは
【化7】

であり、
Rはアルキル、特にメチルまたはエチルであり、
はアルキルまたはHであり、
はアルキルであり、
はHまたはアルキルであり、
aは0〜100であり、bは0〜100であり、cは0〜100であり、dは0〜100であり、
mは0〜100であり、kは0〜100である]を有するポリオルガノシロキサンである請求項12記載の方法。
【請求項14】
ポリマーが、以下の一般的構造式:
【化8】

[式中、
はメチル基であるか、または

【化9】

および/または
【化10】

であり、単位aの総和は0〜100であり、単位bの総和は0〜15であり、その際基Rにおいてメチル基とアルコキシ基の比は50:1より小さく、aが0である場合は、bは1より大きく、bが0である場合は、aは5より大きい]を有するポリオルガノシロキサンである請求項13記載の方法。
【請求項15】
a)ヒドロゲルを予備粉砕する、
b)ヒドロゲルを乾燥してキセロゲルを生成する
c)キセロゲルを粉砕する
d)表面を変性する
工程からなる請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
工程d)を工程a)〜c)の少なくとも1つの工程の前にまたは間に行う請求項15記載の方法。
【請求項17】
工程d)においてポリマーを希釈せずに純粋な物質としてまたは水性エマルションとして希釈した形で添加する請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
工程a)においてまたは工程a)の前に行う場合は工程d)において、以下の物理化学的特性:
SiOフラクション:5%以上、
BET表面積:200〜500m/g、
を有するヒドロゲルを使用する請求項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
工程d)を工程b)の前に行う請求項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
工程d)においてヒドロゲルを、ヒドロゲルに対して0.2質量%〜12質量%のポリマーと混合する請求項19記載の方法。
【請求項21】
工程b)において乾燥を噴霧乾燥機または粉砕乾燥機または空気流乾燥機またはスピンフラッシュ乾燥機を用いて行う請求項15から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
工程d)を工程b)の後に、ただし工程c)の前に行う請求項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
工程d)を工程c)の間に行う請求項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
工程c)において、粉砕を、空気ジェットミルまたは蒸気ジェットミルまたは流動床逆流ジェットミルを用いて行う請求項15から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
表面変性シリカゲルを乾燥した後にまたは粉砕作業の後または間に50μmより大きい直径を有する粒子を分離する請求項15から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
インキおよびペイントでのつや消し剤としての、紙の被覆の成分としての、消泡剤組成物としての、シリコーンゴムでの補強剤としての、および/またはプラスチックの被覆での粘着防止剤としての、請求項1から10までのいずれか1項記載のまたは請求項11から25までのいずれか1項記載の方法により製造された表面変性シリカゲルの使用。
【請求項27】
請求項1から10までのいずれか1項記載のまたは請求項11から25までのいずれか1項記載の方法により製造された表面変性シリカゲルを含有する被覆組成物。

【公開番号】特開2006−1832(P2006−1832A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174051(P2005−174051)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【Fターム(参考)】