説明

表面実装型電子部品ユニットおよび収容ケース

【課題】従来のケースに電子装置を収容し樹脂で封入したものは、樹脂の量が多すぎるとケースからはみ出てしまい、一方、基板に載置する際には逆さにするため、樹脂の量が少なすぎると、封入が不十分となり、ケースから電子装置が落下してしまう。
【解決手段】上ケース11の側壁の外側面に形成された嵌合凹部37と、係合凸部41と、下ケース13の側壁の内側面に形成された嵌合凸部47と、係合凹部53とを備え、嵌合凹部37と嵌合凸部47との嵌合および係合凸部41と係合凹部53との係合により、上ケース11と下ケース13の嵌合強度を、単純に上ケース11に下ケース13を外嵌めした場合より数倍高めることに成功した。また、下ケース13の側壁は上ケースの11の側壁と面一状態になっており、水や埃やケース内に入り込むことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランス、チョークコイル、ノイズフィルター等の表面実装型電子部品ユニットに関し、特に、電子部品がケースの中に収容され、樹脂で封止されたパッケージタイプの表面実装型電子部品ユニット、およびそれに用いる収容ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパッケージタイプの電子部品ユニット131は、図9の中形トランスの例に示すように、下面が開口したケース133の中にトランスが端子ピン135を残して収容され、更に樹脂(R)が充填されて封止されている。
ケース133の側壁には一対の係合爪137が一体的に形成されており、電子部品ユニットはプリント基板上に載置された際には、この係合爪137でプリント基板に係合される。
また、端子ピン135の半田付けだけではプリント基板への接着強度は十分ではないので、補強のためにバンド等を用いて基板にビス止めをしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ケース133に樹脂(R)を充填するときに、樹脂(R)の量が多すぎるとケース133からはみ出てしまう。一方、樹脂(R)の量が少なすぎると、封入が不十分となり、ケース133からトランスが脱落してしまう。従って、樹脂(R)の充填量を微妙に調整しなければならず、面倒である。従って、樹脂の量が不足気味でも脱落が防止されるように、ケース133の底を蓋することも考えられたが、ケース133に単純に下から蓋をしても、蓋の嵌合強度は低く、蓋は簡単に取れてしまう。また、蓋で外嵌めするとその側壁の上端部分からケース133の内部に水や埃が侵入してしまう。
【0004】
また、電子部品ユニットはプリント基板上に載置された状態で次の半田付け工程に向かって移送されていくので、移送中にちょっとした振動は不可避的にかかるが、従来のような係合ではグラグラしたり、浮き上がったりして正確な載置位置からズレてしまい、半田付けの際には、半田付け不良を回避するために、電子部品ユニットを押さえつけながらの作業を余儀無くされていた。
さらに、端子ピン135の配置位置は正確であることが要求されるが、端子ピン135は曲がり易いため、樹脂で封入した際やその前後の不用意な取扱いにより簡単に曲がってしまう。
加えて、係合爪137やビスを用いて電子部品ユニットを基板に結合させる場合には、実装するプリント基板は穴を予め形成していたり、専用の厚さのものを用意したりしなければならないが、電子部品によっては上記した結合が好ましくないものもある。
しかも、電子部品によってはノイズや発熱の問題がある。
【0005】
それ故、本発明は、上記複数の課題を同時に解決する、多機能の表面実装型電子部品ユニットおよびそれに用いる収容ケースを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記した課題の他に、さらに複数の課題を解決できる多機能の表面実装形電子部品ユニットおよびそれに用いる収容ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意研究の結果、電子部品を収容した上ケースと下ケースとにそれぞれ別の機能を持たせたり、協働により一つ機能を持たせたりすることで、上記した課題だけでなくその他の課題も解決できる多機能の電子部品ユニットを製造できることを見出し、本発明を完成させた。
請求項1の発明は、下面が開口した上ケースと、前記上ケースの側壁の外側面に設けられ、その下方で前記外側面の断面形状を小さくする段差部と、その段差肩面に形成された嵌合凹部と、前記上ケースの側壁の外側面に形成され、前記嵌合凹部の下方に位置する係合凸部又は係合凹部と、上面が開口した下ケースと、前記下ケースの側壁の上端面に形成された嵌合凸部と、前記下ケースの側壁の内側面に形成され、前記嵌合凸部の下方に位置する係合凸部又は係合凹部と、前記上ケースと前記下ケースによりなる収容ケースの内部に収容され、樹脂により封止された電子機器を備え、前記上ケースが前記下ケースに差し込まれ、前記上ケースの嵌合凹部に前記下ケースの嵌合凸部が嵌合して一体化され、前記係合凹部と係合凸部との係合によりロックされたものであって、前記下ケースの側壁の外側面は前記上ケースの外壁の外側面と面一状態またはそれより内方に後退していることを特徴とする、表面実装型電子部品ユニットである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、さらに、前記下ケースの底壁に接着された両面テープを備えることを特徴とする表面実装型電子部品ユニットである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、下ケースの圧入孔から電子部品の端子ピンが突出していることを特徴とする表面実装型電子部品ユニットである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、上ケースの天井壁と側壁の外側面に導電メッキが施されていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニットである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、下ケースの側壁の外側面に別の電子部品の装着部が設けられていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニットである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、さらに、樹脂が収容されたケースの側壁の端部には外方に突出する係止爪が設けられ、他方のケースの側壁には前記係止爪に係合する係止穴が設けられていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニットである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の上ケースと下ケースとによって構成された収容ケースである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の表面実装型電子部品ユニットは、種々の機能を合わせ持っており、上記した課題を同時に解決できる。
請求項1によれば、上ケースと下ケースの協働による嵌合の強化機能と水や埃の侵入防止機能とを備える。
請求項2によれば、プリント基板への固着機能を備える。
請求項3によれば、下ケースによる端子ピンの位置修正機能を備える。
請求項4によれば、上ケースによるノイズのシールド機能を備える。
請求項5によれば、下ケースによる放熱機能を備える。
請求項6によれば、上ケースと下ケースの嵌合強度を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニット1を、図1から図4に従って説明する。
先ず、各部の構成を示す。
符号3は一般的な中形トランスを模式的に示したものであり、このトランス3にはコア5が取り付けられ、更に複数(ここでは7本)の端子ピン7が接続されている。
符号9は収容ケースを示し、収容ケース9は角形の上ケース11と下ケース13とによって構成されている。収容ケース9は一例であるが、ガラス入りPBT樹脂でつくられている。
【0015】
上ケース11は天井壁15と側壁17とによってなり、下面は開口している。この天井壁15と側壁17とによって画定される空間にトランス3の大部分が収容される。
側壁17の内側面19には、収容するトランス3の形状に合わせて下方に向かって第1内側段差部21と第2内側段差部23が階段状に設けられており、下方に向かうほど内側面19の断面形状が大きくなっている。なお、第2内側段差部23は対向する2つの側壁17の内側面19上にのみ設けられている。
【0016】
外側面25には第1内側段差部21に対応して第1外側段差部27が設けられており、その第1外側段差部27の段差肩面29上にはプリント基板上にトランス3を載置する際に利用する方向表示部31が一体的に設けられている。
【0017】
第1外側段差部27の下方には、第2外側段差部33が設けられており、第2外側段差部33の下方の外側面35はそれより上方の外側面25より断面形状が小さくなっている。
第2外側段差部33の段差肩面36には、全周にわたって嵌合凹部37が形成されている。嵌合凹部37は上方に向かって角溝状に切り欠けた形状になっており、内溝壁39は外側面35と面一状態をなしている。
符号41は角形状の係合凸部を示し、この係合凸部41は上ケース11の外側面35から外方に向かって突出した状態で一体的に形成されている。2つの係合凸部41が対向する外側面35上にそれぞれ設けられている。
【0018】
下ケース13は底壁43と側壁45とによってなり、上面は開口している。
符号47は嵌合凸部を示し、この嵌合凸部47は側壁45の上端に全周にわたって形成されている。嵌合凸部47は側壁45を外側面49側から角形に切り欠いた形状になっており、外周に沿って一段低い肩段差面51が形成されている。
下ケース13の嵌合凸部47は上ケース11の嵌合凹部37に嵌り込む寸法に設計されている。
【0019】
符号53は角形状の係合凹部を示し、この係合凹部53は下ケース13の内側面55から内方に向かって窪んだ状態で一体的に形成されている。2つの係合凹部53が対向する内側面55上にそれぞれ設けられている。
上ケース11の係合凸部41は下ケース13の係合凹部53に嵌り込んで係合する寸法に設計されており、係合凸部41と係合凹部53によりロック機構が構成されている。
【0020】
符号57は圧入孔を示し、この圧入孔57は下ケース13の底壁43を厚み方向に貫通して形成されている。この圧入孔57を内部に収容されたトランス3の端子ピン7が貫通して電子装置ユニット1の外に突出する。従って、圧入孔57の数は端子ピン7の数に対応しており、また、端子ピン7付近の形状に合わせて下方に向かって径が小さくなるテーパ状に形成されている。
圧入孔57の最小径は端子ピン7が圧入状態となるように端子ピン7の径に対応して設定されている。
【0021】
符号59はゴム製の両面テープを示し、この両面テープ59は下ケース13の底壁43の底面側に接着されている。両面テープ59の露出面上には図示しない剥離テープが接着されており、この電子部品ユニット1をプリント基板に載置する直前に剥離テープが取除かれて、プリント基板に両面テープ59の露出面が接着される。
【0022】
次に、組立方法を、図3に従って説明する。
図3(1)に示すように、上ケース11内にトランス3を収容する。実際の作業では開口を上に向けて収容するので、トランス3のコア5が第1内側段差部23の肩段差面と内側面19に当接しており、トランス3の位置はズレない。端子ピン7は上ケース11の開口から突出している。
そして、市販の適当な絶縁性樹脂(R)、例えばシリコーン樹脂を充填して、トランス3を封止する。封止すると、トランス3は端子ピン7を除いてその大部分が隠れる。
【0023】
次に、図3(2)に示すように、下ケース13の側壁45で上ケース11の側壁17を挟んだ状態でスライド移動させ、嵌合凹部37に嵌合凸部47を嵌り込ませて一体化する。
一体化したときには、上ケース11の外側の肩段差面36と下ケース13の肩段差面51も当接しており、上ケース11の側壁17の外側面35と下ケース13の側壁45とは面一状態となっている。
即ち、下ケース13内に上ケース11が言わば差し込まれた状態で一体化されているので、嵌合部分から水滴や埃が内部に入り込むことはない。
また、係合凹部53に係合凸部41が入り込んで係合されてロックされており、係合後のスライド移動は規制されるので、上ケース11から下ケース13が分離することはない。
【0024】
圧入孔57は正確な位置に形成されており、しかも底壁43の厚みにより剛性となっている。従って、その圧入孔57に端子ピン7が圧入嵌合されると、端子ピン7の位置がその圧入孔57に従って精度高く修正される。
また、端子ピン7は圧入孔57を貫通した上で外方に突出するので、突出部分が短くなっている。従って、ケースに収容しない露出タイプの電子部品と一緒にプリント基板上に実装するような場合でも、不用意にその電子部品の例えばコイル等切断したり傷つけたりする危険性が少なくなる。
【0025】
その後に、底壁43の底面側に所定の大きさの両面テープ59の一面が接着されて、図1に示す完成品となる。
嵌合凹部37と嵌合凸部47の嵌合と、係合凹部53と係合凸部41の係合とにより、上ケース11と下ケース13の嵌合強度は、単純に上ケース11に下ケース13を外嵌めした場合に比べて数倍も高くなっている。
電子部品ユニット1がプリント基板上に載置された状態では、両面テープ59の接着力により電子部品ユニット1は移送中にもプリント基板上から浮き上がらず、安定的に固着される。
しかも、半田付けした後にも、その両面テープ59はそのまま残っているので、半田付けによる接着力に加えて両面テープ59の接着力により電子部品ユニット1はプリント基板上に安定した強度で実装されることなる。
さらに、トランス3がむき出しになっておらず、収容ケース9に収容されているので、見た目もすっきりとしている。
【0026】
本発明の第2の実施の形態に係る電子部品ユニット61を、図5に従って説明する。
電子部品ユニット61は第1の実施の形態に係る電子部品ユニット1と大部分が同じ構成であり、その部分には同じ符号を付すことで説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
符号63は導電メッキとして金属メッキの一種であるアルミメッキ(被膜)を示し、このアルミメッキ63は上ケース11の天井壁15と側壁17の外側面25、段差肩面29、外側面35、段差肩面36を覆うように施されている。但し、外側面35の下から5mm程度はメッキされずに残されている。このアルミメッキは無電解メッキ等の定法により施されている。
【0027】
下ケース13にはアルミメッキは施されていない。従って、第1の実施の形態と同様に、下ケース13の側壁45で上ケース11の側壁17を挟んだ状態でスライド移動させ、嵌合凹部37に嵌合凸部47を嵌り込ませて一体化すると、側壁17の外側面25より上にのみアルミメッキ63が施されているように見える。
【0028】
トランス3がスイッチング電源のような場合には、ノイズを発生するのでノイズをシールドする必要があるが、アルミ等の導電金属でシールドケースを成形し、その中にトランス3を収容してノイズを遮蔽しようとすると、費用が嵩み、しかも製作も面倒である。
これに対して、この実施の形態の電子部品ユニット61は既にトランス3が収容ケース9に収容されているので、その収容ケース9の上ケース11の外面にアルミメッキを施すことでシールドケースと同様の機能を上ケース11に持たせることに成功している。
【0029】
また、上記したように、上ケース11の外側面35は下ケース13により隠蔽されているので、外側から見えない。即ち、プリント基板と近接する位置で露出したアルミメッキを視認することはない。従って、ユーザーは、アルミメッキ63とプリント基板との導通を不必要に心配することなく、プリント基板上に電子部品ユニット61を実装することができる。
【0030】
第3の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニット65を、図6に従って説明する。
電子部品ユニット65は第2の実施の形態に係る電子部品ユニット61と大部分が同じ構成であり、その部分には同じ符号を付すことで説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
この電子部品ユニット65の収容ケース9、特に下ケース13にはトランジスタの放熱体としての機能が持たされている。
符号67は一対のガイドレールを示し、この一対のガイドレール67は下ケース13の側壁45の外側面49上に一体的に形成されている。一対のガイドレール67はトランジスタを鉛直方向に保持するものであり、それぞれのガイドレール67は外側面49から垂直に外方に向かって立上げ、L字形に屈曲して対向している。
符号69はボッチを示す。
【0031】
トランジスタ71には、電力消費が大きい(即ち、発熱が大きい)用途に使用するため、放熱板に取り付けるためのフイン73とネジ止め用の穴75が設けられている。
このトランジスタ71を一対のガイドレール67によって挟まれるように上から差込み、下方に向かってスライド移動させる。そして、トランジスタ71の穴75がボッチ69に嵌り込ませて一体化させる。
【0032】
この状態では、トランジスタ71のフイン73が下ケース13の側壁17に接触した状態で取り付けられており、トランジスタ71が発熱してもその熱が側壁17に速やかに移動する。即ち、収容ケース9の外側に別の電子部品を取り付けることで、その電子部品の放熱器としての機能を電子部品ユニット65自体に持たせることができる。従って、電子部品ユニット65とトランジスタ71を一緒に実装する場合には、トランジスタ71用に別途放熱板を用意する必要が無くなるだけでなく、必要とする実装面積も小さくできる。
しかも、上ケース11にアルミメッキ63を施していても、下ケース13によって上ケース11の側壁17が隠蔽されており、下ケース13の側壁45にトランジスタ71が取り付けられているので、トランジスタ71とアルミメッキ63が電導することはない。従って、収容ケース9にはノイズのシールド機能と共に放熱機能を持たせることができる。
【0033】
第4の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニット77を、図7に従って説明する。
電子部品ユニット77は第1の実施の形態に係る電子部品ユニット1と大部分が同じ構成であり、その部分には同じ符号を付すことで説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
収容されるトランス79はピン式ではなく、リード線式になっており、6本のリード線81が接続されている。
従って、対向する上ケース83の側壁85と下ケース87の側壁89には、リード線81の貫通穴91,93がそれぞれ3つずつ形成されている。
符号95は断面が略三角形の係上爪を示し、この係止爪95は上ケース83の側壁85の下端から外方に突出し、突出端は下ケース87の側壁89と面一状態をなしている。符号97は係止穴を示し、この係止穴97は下ケース87の側壁89を貫通して形成されており、係止面99が形成されている。上ケース83に下ケース87が差し込まれると、係止爪95が係止穴97に挿入され、係止面99に係合爪95が当接した状態となる。符号100は係止爪95と係止穴97で構成される係止部分を示す。
符号101は一対のビス止め部を示し、この一対のビス止め部101にはビス穴103が設けられている。下ケース87の貫通穴が形成されていない側の側壁89の下端に外方に張り出すように一体的に形成されている。この電子部品ユニット77では、下ケース87をビス止めしてプリント基板に結合するようになっている
【0034】
下ケース87には樹脂(R)は充填されていないため、この実施の形態のように下ケース87をビス止めした場合には、上ケース83及びその中に収容されたトランス79は、嵌合凹部37と嵌合凸部47の嵌合と、係合凹部53と係合凸部41の係合とにより保持されることになるが、上記したように上ケース83と下ケース87の嵌合強度は、単純に上ケースに下ケースを外嵌めした場合に比べて数倍も高くなっており、しかも、係止爪95が係止穴97により掛けられてヌケ止めされている。従って、下ケース87は上ケース83及びその中に収容されたトランス79を安定的に保持できる。
【0035】
第5の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニット105を、図8に従って説明する。
電子部品ユニット105は第4の実施の形態に係る電子部品ユニット77と大部分が同じ構成であり、その部分には同じ符号を付すことで説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
電子部品ユニット77が上ケース83にトランス79を収容しているのに対して、この電子部品ユニット105は下ケース107にトランス109を充填している点が大きく異なる。また、トランス109のリード線111は上ケース113の天井壁115に形成された貫通穴117から延び出ている。
また、電子部品ユニット77とは逆に、嵌合凹部119が下ケース107に形成され、嵌合凸部121が上ケース113に形成され、係合凸部123が下ケース107に形成され、係合凹部125が上ケース113に形成されている。
この電子部品ユニット105のように、下ケース107にトランス109を収容し、樹脂(R)を充填して封止してもよい。
さらに、電子部品ユニット77とは逆に、同じ形状の係止爪95は下ケース107の側壁の上端から外方に突出し、突出端は上ケース113の側壁と面一状態をなしている。そして、同じ形状の係止穴97は上ケース113の側壁を貫通して形成されている。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の具体的構成が上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態ではいずれも収容ケースが一体化したときには下ケースの側壁の最外側面と上ケースの外壁の最外側面が面一状態となっているが、下ケースの側壁の最外側面が上ケースの外壁の最外側面より内側に後退していてもよい。
嵌合凹部と嵌合凸部は、全周にわたって形成する必要はなく、2箇所や4箇所等任意の数箇所で形成してもよい。但し、嵌合強度を高める点から、嵌合凹部と嵌合凸部は、少なくとも、係合凹部と係合凸部の上方には配置されていることが好ましい。
収容ケースに収容する電子部品はトランスに限定されず、チョークコイル、ノイズフィルター等、表面実装型電子部品が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
トランス等の電子部品のパッケージ化は、工程が増えることから今まであまり普及していなかったが、本発明の表面実装型電子部品ユニットは、コンパクトながら、従来にはない種々の機能を合わせ持つものであり、パッケージ化が普及するとものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニットの表面側から見た斜視図と裏面から見た斜視図である。
【図2】図1の電子部品ユニットの分解斜視図である。
【図3】図2の電子部品ユニットの組立前の断面図である。
【図4】図2の電子部品ユニットの断面図である
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニットの上ケースと下ケースの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニットの構成を説明する斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニットの上面図および直交する2方向からみた断面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る表面実装型電子部品ユニットの上面図および直交する2方向からみた断面図である。
【図9】従来の電子部品ユニットの裏面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1‥‥表面実装型電子部品ユニット
3‥‥トランス 5‥‥コア
7‥‥端子ピン 9‥‥収容ケース
11‥‥上ケース 13‥‥下ケース
15‥‥天井壁 17‥‥側壁
19‥‥内側面 21‥‥第1内側段差部
23‥‥第2内側段差部 25‥‥外側面
27‥‥第1外側段差部 29‥‥段差肩面
31‥‥方向表示部 33‥‥第2外側段差部
35‥‥外側面 36‥‥段差肩面
37‥‥嵌合凹部 39‥‥内溝壁
41‥‥係合凸部 43‥‥底壁
45‥‥側壁 47‥‥嵌合凸部
49‥‥外側面 51‥‥段差肩面
53‥‥係合凹部 55‥‥内側面
57‥‥圧入穴 59‥‥両面テープ
61‥‥表面実装型電子部品ユニット
63‥‥アルミメッキ
65‥‥表面実装型電子部品ユニット
67‥‥ガイドレール 69‥‥ボッチ
71‥‥トランジスタ 73‥‥フイン
75‥‥穴
77‥‥表面実装型電子部品ユニット
79‥‥トランス 81‥‥リード線
83‥‥上ケース 85‥‥側壁
87‥‥下ケース 89‥‥側壁
91‥‥貫通穴 93‥‥貫通穴
95‥‥係上爪 97‥‥係止穴
99‥‥係止面
101‥‥ビス止め部 103‥‥ビス穴
105‥‥表面実装型電子部品ユニット
107‥‥下ケース 109‥‥トランス
111‥‥リード線 113‥‥上ケース
115‥‥天井壁 117‥‥貫通穴
119‥‥嵌合凹部 121‥‥嵌合凸部
123‥‥係合凸部 125‥‥係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面が開口した上ケースと、前記上ケースの側壁の外側面に設けられ、その下方で前記外側面の断面形状を小さくする段差部と、その段差肩面に形成された嵌合凹部と、前記上ケースの側壁の外側面に形成され、前記嵌合凹部の下方に位置する係合凸部又は係合凹部と、上面が開口した下ケースと、前記下ケースの側壁の上端面に形成された嵌合凸部と、前記下ケースの側壁の内側面に形成され、前記嵌合凸部の下方に位置する係合凸部又は係合凹部と、前記上ケースと前記下ケースによりなる収容ケースの内部に収容され、樹脂により封止された電子機器を備え、
前記上ケースが前記下ケースに差し込まれ、前記上ケースの嵌合凹部に前記下ケースの嵌合凸部が嵌合して一体化され、前記係合凹部と係合凸部との係合によりロックされたものであって、
前記下ケースの側壁の外側面は前記上ケースの外壁の外側面と面一状態またはそれより内方に後退していることを特徴とする、表面実装型電子部品ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、さらに、前記下ケースの底壁に接着された両面テープを備えることを特徴とする表面実装型電子部品ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、下ケースの圧入孔から電子部品の端子ピンが突出していることを特徴とする表面実装型電子部品ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、上ケースの天井壁と側壁の外側面に導電メッキが施されていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、下ケースの側壁の外側面に別の電子部品の装着部が設けられていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載した表面実装型電子部品ユニットにおいて、さらに、樹脂が収容されたケースの側壁の端部には外方に突出する係止爪が設けられ、他方のケースの側壁には前記係止爪に係合する係止穴が設けられていることを特徴とする表面実装型電子部品ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の上ケースと下ケースとによって構成された収容ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−49013(P2007−49013A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233143(P2005−233143)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(592235226)中遠電子工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】