説明

表面改質有機分子を含む発泡体

本発明は、液体連続相と、気体分散相と、表面改質フラーレン、デンドリマー、有機ポリマー微小球またはそれらの組合せとを含有する安定化された液中気体分散体または発泡体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化された液中気体分散体または発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な液体は、一般的に表面張力を低下させる界面活性剤または他の材料が液体中に存在しなければ、発泡することができない。界面活性剤は、液体の表面下に導入された気泡を液体中に維持できるように液体の表面張力を低下させることによって機能する。界面活性剤はまた、発泡体が形成された後それを安定化することもできる。このような界面活性剤には、例えばイオン性、非イオン性、ポリマー界面活性剤が含まれる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本発明は、液体連続相、気体分散相および表面改質有機分子を含む発泡体を提供する。有機分子は、表面改質フラーレン、デンドリマー、およびそれらの組合せから選択される。
【0004】
別の態様では、本発明は、液体連続相、発泡剤および表面改質有機分子を含む発泡組成物を提供する。
【0005】
別の態様では、本発明は、水の連続相、気体分散相および有機ポリマー微小球を含む発泡体を提供する。
【0006】
別の態様では、本発明は、水の連続相、発泡剤および有機ポリマー微小球を含む発泡組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の発泡体は、液中気体分散体である。連続相および気体分散相を含む発泡体は、有効量の表面改質有機分子または有機ポリマー微小球を組成物に組み込むことによって作製される。表面改質有機分子または有機ポリマー微小球は、連続相と分散相の境界面の表面張力を低下させることなく、発泡体を安定化または形成する。別の実施形態では、発泡体は、本質的には連続相と、気体分散相と、連続相に分散された表面改質有機分子、有機ポリマー微小球またはそれらの組合せとからなる。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、連続相、連続相に分散された表面改質有機分子または有機ポリマー微小球、および発泡剤を含む発泡組成物である。発泡組成物は、連続相に気体を組み込むことによって発泡体を形成することができる。分散された気体、すなわち気泡は、連続相の表面に存在する、連続相内に分散する、または両方の組合せであり得る。
【0009】
別の実施形態では、本発明の発泡組成物は、本質的には連続相と、連続相に分散された表面改質有機分子、有機ポリマー微小球またはそれらの組合せと、発泡剤とからなる。
【0010】
本発明の発泡体および発泡組成物は、通常の界面活性剤、洗浄剤、タンパク質、乳化剤、および表面張力の低下によって発泡体を安定化する他の化合物を含まなくてもよい。
【0011】
表面改質有機分子および有機ポリマー微小球は、分散相と連続相の境界面の表面張力を低下させることなく、発泡体を安定化する。表面改質有機分子または有機ポリマー微小球は、液体連続相が分散相小滴間から流れ出るにつれて濃度が高められるとき、分散相気体小滴間に配置されるようになると考えられる。分散相気体小滴間の表面改質有機分子の濃度が上昇するため、分散された気体小滴は互いに接触して合体することができない。
【0012】
表面改質有機分子および有機ポリマー微小球は、連続相にかなり可溶である。表面改質有機分子は、有機分子の溶解特性を改変する表面基を有する。有機分子を、連続相の成分を含めて、連続相と相溶にするため、表面基が選択され、こうした場合には、気体が分散されると組成物が発泡体を形成する。
【0013】
有用な表面改質有機分子の具体的な例には、アルキル化バックミンスターフラーレン(フラーレン)およびアルキル化ポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーが含まれる。フラーレンの具体的な例には、C60、C70、C82、C84が含まれる。PAMAMデンドリマーの具体的な例には、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI)から市販されているジェネレーション2〜10(G2〜G10)のものが含まれる。現在では、第一級アミン、ヒドロキシル、カルボン酸ナトリウム塩、混合アミン/ヒドロキシル、およびC12表面官能基を含むPAMAMデンドリマーが市販されている。有機分子上のアルキル基は、直鎖でも、分枝でもよく、少なくともC3からC30を超えない範囲とすることができ、C3〜C30中の任意の大きさまたは範囲とすることができる。例えば、その範囲は、C3〜C22、C3〜C18、C3〜C12、またはC3〜C8、およびその間の任意の組合せまたは整数とすることができる。表面改質有機分子は、連続相中に、少なくとも0.01重量パーセントのレベルで存在することができる。
【0014】
有用な有機ポリマー微小球の具体的な例には、ポリスチレンを含む、インディアナ州フィッシャーズのバングズ・ラボラトリーズ・インク(Bangs Laboratories,Inc.,Fishers,IN)から市販されている粉末または分散体の微小球が含まれる。ポリスチレン微小球の平均粒径は、少なくとも20nmから60nmを超えない範囲である。現在市販の平均粒径は、20、30、50、および60nmである。有機ポリマー微小球は、連続相に、少なくとも0.01重量パーセントのレベルで存在することができる。
【0015】
発泡する前に、連続相は、例えば溶液、乳濁液、懸濁液、分散液、シロップ、溶融液を含めて、液体である。連続相は、例えば粘着性、剛性、硬度、密度、体積、透明性、柔軟性、塑性変形性(comformability)、弾性、クリープ、強度、弾性率、伸び、耐薬品性、耐熱性、耐環境性および圧縮性を含めて、発泡体の所望の特性に基づいて選択される。
【0016】
連続相の例には、水、および有機液体が含まれ、例えば酸、アルコール、ケトン、アルデヒド、アミン、アミド、エステル、グリコール、エーテル、炭化水素、ハロカーボン、モノマー、オリゴマー、潤滑油、(モノ−、ジ−、トリ−グリセリドを含めて)植物油、シリコーン油、保湿油(例えば鉱油、およびホホバ油)、燃料油、(ケロシン、ガソリン、ディーゼル燃料を含めて)燃料、エチレングリコールのオリゴマー、アルキルおよびアリールニトロ化合物、部分または完全フッ素化化合物、ポリマーが含まれる。
【0017】
有用な有機連続相の例には、熱硬化性ゴム、熱可塑性ゴムおよびエラストマーを含めて、天然および合成ゴム樹脂が含まれ、例えばニトリルゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)、「サントプレン(Santoprene)(登録商標)」ポリプロピレン−EPDMエラストマー、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、例えばポリシロキサンを含めて、シリコーンゴム、メタクリルゴム、例えばアクリル酸イソオクチルとアクリル酸のコポリマーを含めて、ポリアクリルゴム、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、それらのブレンド、ならびに例えば線状、放射状、星状およびテーパー状のブロックコポリマーを含めて、それらの組合せが含まれる。
【0018】
他の有用なエラストマーには、例えばポリトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ素化エチレン−プロピレンコポリマーを含めて、フルオロエラストマー、フルオロシリコーン、例えば塩素化ポリエチレンを含めて、クロロエラストマー、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0019】
有用な熱可塑性樹脂の例には、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−アクリロニトリル、セルロース、塩素化ポリエーテル、エチレン酢酸ビニル、例えばポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンおよびポリフッ化ビニリデンを含めて、フッ化炭素、例えばポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリウンデカノアミド、ポリラウロアミドおよびポリアクリルアミドを含めて、ポリアミド、例えばポリエーテルイミドを含めて、ポリイミド、ポリカーボネート、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリ−4−メチルペンテンを含めて、ポリオレフィン、例えばポリエチレンテレフタラートを含めて、ポリアルキレンテレフタラート、例えばポリフェニレンオキシドを含めて、ポリアルキレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニリデンを含めて、ビニルポリマー、ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0020】
有用な熱硬化性樹脂には、例えばポリエステル、ポリウレタン、およびそれらのハイブリッドとコポリマーが含まれ、例えばアシル化ウレタン、アシル化ポリエステル、例えばアルキル化ユリア−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含めて、アミノ樹脂(例えば、アミノプラスト樹脂)、例えばアクリラート、メタクリラート、アクリル酸ビニル、アクリル化エポキシ、アクリル化ウレタン、アクリル化ポリエステル、アクリル化アクリル、アクリル化ポリエーテル、ビニルエーテル、アクリル化オイルおよびアクリル化シリコーンを含めて、アクリル樹脂、ウレタンアルキド樹脂などのアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、反応性ウレタン樹脂、例えばレゾール樹脂、ノボラック樹脂およびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含めて、フェノール樹脂、フェノール/ラテックス樹脂、例えばビスフェノールエポキシ樹脂、脂肪族および脂環式エポキシ樹脂、エポキシ/ウレタン樹脂、エポキシ/アクリラート樹脂、エポキシ/シリコーン樹脂を含めて、エポキシ樹脂、イソシアナート樹脂、イソシアヌラート樹脂、アルキルアルコキシシラン樹脂を含めて、ポリシロキサン樹脂、反応性ビニル樹脂、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0021】
連続相を選択して、例えば感圧性、ホットメルト性、熱硬化性および熱可塑性の接着剤組成物を含めて、接着剤組成物を提供することができる。連続相は、例えば溶媒塗布可能、ホットメルト塗布可能、放射線(電子ビーム、例えば可視、UVおよび熱線を含めて、化学線)硬化性、水性乳濁液型の接着剤およびそれらの組合せを含めて、任意の感圧接着剤組成物を含むことができる。適当な感圧接着剤組成物には、例えば粘着性が付与されたゴム接着剤、例えば天然ゴム、オレフィン、シリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−イソプレン−スチレン・ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレン・ブロックコポリマーおよび他のエラストマー、ならびにアクリル酸イソオクチルとアクリル酸のコポリマーを含めて、粘着性が付与されたアクリル接着剤組成物と粘着性が付与されていないアクリル接着剤組成物が含まれる。
【0022】
アクリラート感圧接着剤は、当技術分野でよく知られている。これら接着剤の多くは、アクリル酸アルキルエステルと場合によってはごく一部のコ−モノマーのコポリマーである。有用なアクリル酸エステルには、例えばアクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクタデシル、およびそれらの組合せを含めて、1〜20個の炭素原子を有する一価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルが含まれる。アクリラート系接着剤組成物用の他の有用なモノマーには、例えばアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、N−オクチルアクリルアミド、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、およびそれらの組合せを含めて、エチレン性不飽和モノマーが含まれる。他の有用なエチレン性不飽和モノマーには、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、例えばN,N−ジメチルアクリルアミドを含めて、置換アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸ベンジル、およびそれらの組合せが含まれる。
【0023】
連続相は、例えば開始剤、硬化剤、硬化促進剤、触媒、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、難燃剤、カップリング剤、顔料、耐衝撃性改良剤、流れ調整剤、発泡剤、充填剤、ガラス、表面改質されていないポリマー微小球および微粒子、例えば導電性粒子、熱伝導性粒子を含めて、他の粒子、繊維、帯電防止剤、酸化防止剤、溶解または可溶性塩、溶解または可溶性薬剤、ならびにUV吸収剤を含めて、他の成分を含有することもできる。
【0024】
連続相がモノマーを含む場合、重合は、例えば溶媒重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、例えば可視および紫外線光を含めて、化学線、電子ビームを用いる方法を含めて、放射線重合、ならびにそれらの組合せを含めて、化学的にまたは放射線によって開始することができる通常の様々なラジカル重合方法で実現することができる。
【0025】
有用なラジカル開始剤には、熱開始剤、および光活性開始剤が含まれる。使用される開始剤のタイプは、重合方法によって異なる。光開始剤の例には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル、アニソインメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの置換アセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトールが含まれる。
【0026】
連続相は、コポリマー光開始剤を含有することもでき、例えば2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロペノイル)フェノキシ]エチル−2−メチル−2−N−プロペノイルアミノプロパノアート、ニューヨーク州ホーソーンのチバガイギー・コープ(Ciba−Geigy Corp.,Hawthorne,NY)から商品名「ダロキュア(DAROCUR)」 ZLJ 3331で市販されている重合性光開始剤、ならびに例えばペンシルベニア州エクストンのサートマー(Sartomer,Exton,PA)から商品名「サーキャット(SARCAT)」 CD−1012で市販されているヘキサフルオロアンチモン酸ジアリールヨードニウムおよびサートマー(Sartomer)から商品名「サーキャット(SARCAT)」 CD−1011で市販されているヘキサフルオロリン酸トリアリールスルホニウムを含めて、光酸発生開始剤が含められる。
【0027】
適当な熱開始剤の例には、ベンゾイルペルオキサイド、ジベンゾイルペルオキサイド、ジラウリルペルオキサイド、シクロヘキサンペルオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、例えばブチルヒドロペルオキサイドおよびクメンヒドロペルオキサイドを含めて、ヒドロペルオキサイド、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、過安息香酸t−ブチルなどの過酸化物、アゾ化合物、例えば2,2−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、ならびにそれらの組合せが含まれる。市販の熱開始剤の例には、「バゾ(VAZO)」64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))、「バゾ(VAZO)」52、「バゾ(VAZO)」65、および「バゾ(VAZO)」68を含めて、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・スペシャルティ・ケミカル(DuPont Specialty Chemical,Wilmington,DE)から商品名「バゾ(VAZO)」で市販されている開始剤、ペンシルベニア州フィラデルフィアのエルフ・アトケム北米(Elf Atochem North America,Philadelphia,PA)から商品名「ルシドール(LUCIDOL)」で市販されている熱開始剤、ならびにコネティカット州ミドルベリのユニロイヤル・ケミカル(Uniroyal Chemical Co.,Middlebury,CT)から商品名「セロゲン(CELOGEN)」で市販されている開始剤が含まれる。
【0028】
開始剤は、組成物中に存在するモノマーの重合を促進するのに有効な量で使用され、その量は、例えば開始剤のタイプ、開始剤の分子量、得られる接着剤組成物の所望の用途、および例えば重合方法の温度を含めて、重合方法に応じて変わる。
【0029】
組成物を架橋して、組成物の特性を改変することができる。ガンマ線や電子ビームなどの高エネルギー放射線を使用することによって、架橋剤を用いてまたは用いることなく架橋を実現することができる。架橋剤または架橋剤の組合せを重合性モノマーの混合物に添加して、架橋を促進することができる。
【0030】
有用な放射線硬化架橋剤には、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、1,2−エチレングリコールジアクリラート、ペンタエリトリトールテトラアクリラート、1,12−ドデカノールジアクリラート、およびそれらの組合せを含む米国特許第4,379,201号明細書に開示されているものなどの多官能性アクリラート、ならびに米国特許第第4,737,559号明細書に開示されているものなどの共重合性芳香族性ケトンコ−モノマーが含まれる。適当な紫外線供給源には、例えば中圧水銀ランプ、および紫外線ブラックライトが含まれる。
【0031】
重合性モノマー組成物は、連鎖移動剤を含有することもできる。連鎖移動剤は、重合する前に、モノマー混合物に可溶であることが好ましい。適当な連鎖移動剤の例には、トリエチルシラン、およびメルカプタンが含まれる。
【0032】
発泡体中の分散相は、気体である。気体は、機械的手段または化学的手段によって導入することができる。有用な機械的発泡手段には、例えば組成物のかき混ぜ、例えば振動、撹拌、または泡立て、およびそれらの組合せ;組成物への気体の注入、例えば組成物の表面下へノズルを挿入して組成物へ気体を吹込むこと;ならびにそれらの組合せが含まれる。
【0033】
有用な化学的発泡手段には、例えば熱分解すると気体を遊離する成分を含めて、組成物の成分の化学反応、分解による気体の現場生成;例えば液体ガスを含めて、組成物の成分の蒸発;組成物の減圧または加熱による組成物中の気体の揮発;およびそれらの組合せが含まれる。
【0034】
原則として、化学的発泡剤、ならびに例えば無機および有機発泡剤を含めて、物理的発泡剤からの気体を含めて、任意の気体または蒸気を使用して、組成物を発泡させることができる。
【0035】
化学的発泡剤の例には、水、ならびにアゾ系、カーボネート系およびヒドラジド系分子が含まれ、例えば4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、4,4’−オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、アゾジカルボン酸バリウム、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、アゾジカルボン酸金属塩、シュウ酸ヒドラジド、ヒドラゾカルボキシラート、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホヒドラジド、テトラゾール化合物、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、カーボネート化合物およびポリ炭酸の調製品、クエン酸と重炭酸ナトリウムの混合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ−テレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0036】
適当な無機の発泡剤または気体には、例えば窒素、アルゴン、酸素、亜酸化窒素、水、空気、ヘリウム、六フッ化硫黄、およびそれらの組合せが含まれる。
【0037】
有用な有機の気体または発泡剤には、二酸化炭素、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、例えば塩化メチレンを含めて、完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素、およびそれらの組合せが含まれる。適当な脂肪族炭化水素気体または発泡剤の例には、例えばメタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、およびそれらのブレンドを含めて、炭化水素のアルカン系列のメンバーが含まれる。有用な脂肪族アルコールには、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、およびそれらの組合せが含まれる。適当な完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素としては、例えばフルオロカーボン、クロロカーボン、クロロフルオロカーボン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0038】
フルオロカーボン気体および発泡剤の例には、フッ化メチル、パーフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ジフルオロメタン(HFC−32)、パーフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、パーフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロシクロブタン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0039】
有用な部分ハロゲン化クロロカーボンおよびクロロフルオロカーボン気体と発泡剤には、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)、およびそれらの組合せが含まれる。
【0040】
有用な完全ハロゲン化クロロフルオロカーボンの例には、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリクロロ−トリフルオロエタン(CFC−113)、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC−114)、クロロヘプタフルオロプロパン、ジクロロヘキサフルオロプロパン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0041】
気体および/または発泡剤を、単独成分として、混合物として、およびそれらの組合せで、ならびに他の共発泡剤との混合物として、使用することができる。気体および/または発泡剤を、所望の発泡密度を実現するのに十分な量で組成物に添加する。
【0042】
本発明の発泡および発泡組成物は、表面改質ナノ粒子を、表面改質有機分子および有機ポリマー微小球と共に含有することもできる。表面改質ナノ粒子は、米国特許第6,586,483号明細書に開示されている。
【0043】
下記の実施例で、本発明をさらに記載する。
【実施例】
【0044】
溶媒および試薬はすべて、別段の注記のない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI)から得た。パーセントおよび量はすべて、別段の注記のない限り、重量による。
【0045】
オクチル置換「スターバースト(STARBURST)(登録商標)」デンドリマー、ジェネレーション2(オクチル−SG−2)の調製
50mLの丸底フラスコに、0.74g(0.23モル)の「スターバースト(STARBURST)(登録商標)」(PAMAM−OH)デンドリマー、ジェネレーション2(G2)を仕込んだ。N,N−ジメチルホルムアミド(10g)、およびトリエチルアミン(0.37g;0.0036モル)をフラスコに添加し、デンドリマーが溶解するまで、混合物を電磁撹拌した。塩化オクタノイル(0.59g;0.0036モル)をフラスコに、シリンジを用いて約5分間かけて滴下した。混合物を室温で約2時間撹拌し、それから水(20g)をフラスコに添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を分液ロートに注ぎ入れ、トルエン(20g)で抽出した。相を分別し、水相をトルエン(各回10g)でさらに2回抽出した。合わせたトルエン抽出液を、ロータリー・エバポレータを使用して濃縮乾固した。得られた橙茶色固体を真空オーブン中、60℃、250mmHg圧で3時間乾燥した。次いで、乾燥した固体を約30gのトルエンに溶解した。この溶液を0.2μmシリンジフィルタ(ゲルマン・アクロディスク(Gelman ACRODISC)シリンジフィルタ、マサチューセッツ州ミルフォードのウォーターズ・コープ(Waters Corp.,Milford,MA))でろ過して、透明な黄色溶液を得た。このトルエン溶液をロータリー・エバポレータで濃縮乾固して、1.13gの橙茶色固体を得た。この固体の核磁気共鳴分光による分析結果は、ヒドロキシル基が完全にエステル化されていることを示唆した。
【0046】
オクチル置換「スターバースト(STARBURST)(登録商標)」デンドリマー、ジェネレーション4(オクチル−SG−4)の調製
50mLの丸底フラスコに、0.33g(0.023モル)の「スターバースト(STARBURST)(登録商標)」(PAMAM−OH)デンドリマー、ジェネレーション4(G4)を仕込んだ。N,N−ジメチルホルムアミド(10g)、およびトリエチルアミン(0.15g;0.0015モル)をフラスコに添加し、デンドリマーが溶解するまで、混合物を電磁撹拌した。塩化オクタノイル(0.24g;0.0015モル)をフラスコに、シリンジを用いて約5分間かけて滴下した。混合物を室温で約2時間撹拌し、それから水(20g)をフラスコに添加した。混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を分液ロートに注ぎ入れ、トルエン(20g)で抽出した。相を分別し、水相をトルエン(各回10g)でさらに2回抽出した。合わせたトルエン抽出液を、ロータリー・エバポレータを使用して濃縮乾固した。得られた橙茶色固体を真空オーブン中、60℃、250mmHg圧で3時間乾燥した。次いで、乾燥した固体を約30gのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液を0.2μmシリンジフィルタ(ゲルマン・アクロディスク(Gelman ACRODISC)シリンジフィルタ)でろ過して、透明な黄色溶液を得た。このテトラヒドロフラン溶液をロータリー・エバポレータで濃縮乾固して、0.48gの橙茶色固体を得た。この固体の核磁気共鳴分光による分析結果は、ヒドロキシル基が完全にエステル化されていることを示唆した。
【0047】
オクチル置換C60(オクチル−C60)の調製
50mLの丸底フラスコをガスの炎で加熱しながら、窒素ガス流を通して乾燥させた。フラスコを冷却した後、10mLの乾燥テトラヒドロフラン、および0.1gのC60を仕込み、次いでその溶液に乾燥窒素ガスを短時間吹き込んで、脱酸素した。ヨウ化オクチルマグネシウム・ジエチルエーテル溶液(20mL)をフラスコに、シリンジを用いて添加し、その間、溶液を電磁撹拌した。暗色の反応混合物を窒素雰囲気中、7時間撹拌し、その後、ヨウ化オクチルマグネシウム溶液をさらに5mLを、シリンジを用いてフラスコに添加した。さらに16時間後、5%Na223水溶液10mLをフラスコに添加し、混合物を1時間撹拌した。この不均一な混合物を分液ロートに移し、有機相を水相から分離した。この有機相をガラス皿中、70℃で乾燥して、0.28gの暗色固体を得た。質量分析結果は、固体が式C60(C817n(式中、n=1〜17であり、nの平均値は11である)に相応する化合物の混合物であることを示唆した。
【0048】
実施例1〜17
スクリューキャップガラスバイアル中、計算量の表面改質化合物と2mLのトルエンを23℃で混合して、表1に指定した濃度の表面改質化合物の溶液をトルエンで作製した。化合物が溶解したとき、バイアルを手で15秒間激しく振動させた。次いで、発泡高さおよび寿命を測定した。発泡寿命は、気泡がバイアル中の溶液の上部周囲で連続鎖を形成しなくなるまでの時間であると見なされた。データを表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例18〜21
スクリューキャップバイアル中、23℃で、バングズ・ラボラトリーズ・インク(Bangs Laboratories,Inc.,)の粒径20nm、30nm、50nm、および60nmのポリスチレン微小球の濃度2%の分散液を水で作製した。バイアルを手で15秒間激しく振動させた。次いで、発泡高さおよび寿命を測定した。発泡寿命は、気泡がバイアル中の液体の上部周囲で連続鎖を形成しなくなるまでの時間であると見なされた。データを表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
本発明の予見可能な修正形態および変更形態は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に自明であろう。本発明は、本出願に記載の例示目的の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続相に分散された複数の表面改質有機分子を含む液体連続相であって、前記有機分子がフラーレン、デンドリマー、またはそれらの組合せから選択される液体連続相と、
前記連続相に分散された気体分散相とを含む発泡体。
【請求項2】
前記表面改質有機分子がフラーレンを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記表面改質有機分子がデンドリマーを含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項4】
前記連続相が有機液体を含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項5】
前記発泡体が界面活性剤を含まない、請求項1に記載の発泡体。
【請求項6】
前記連続相が、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アミン、アミド、炭化水素、ハロカーボン、天然ゴム樹脂、合成ゴム樹脂、フルオロエラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、接着剤組成物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の発泡体。
【請求項7】
前記表面改質有機分子がアルキル表面基を含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項8】
前記アルキル基が少なくともC3である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項9】
前記アルキル基がC30以下である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項10】
前記アルキル基がC3〜C22の範囲である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項11】
前記アルキル基がC3〜C18の範囲である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項12】
前記アルキル基がC3〜C12の範囲である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項13】
前記アルキル基がC3〜C8、およびその間の任意の組合せまたは整数(integer)である、請求項7に記載の発泡体。
【請求項14】
前記有機分子がC60、C70、C82もしくはC84フラーレン、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の発泡体。
【請求項15】
前記有機分子がG2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9もしくはG10デンドリマー、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の発泡体。
【請求項16】
前記分散相が、窒素、アルゴン、酸素、二酸化炭素、亜酸化窒素、水、空気、ヘリウム、六フッ化硫黄、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の発泡体。
【請求項17】
前記有機分子が、フラーレンとデンドリマーとの混合物である、請求項1に記載の発泡体。
【請求項18】
液体連続相と、
前記連続相に配置された表面改質有機分子と、
発泡剤とを含む発泡組成物。
【請求項19】
前記発泡組成物が容器内に配置されている、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項20】
前記表面改質有機分子がフラーレンを含む、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項21】
前記表面改質有機分子がデンドリマーを含む、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項22】
前記発泡体が界面活性剤を含まない、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項23】
前記連続相が、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アミン、アミド、炭化水素、ハロカーボン、天然ゴム樹脂、合成ゴム樹脂、フルオロエラストマー、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、接着剤組成物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項24】
前記表面改質有機分子がアルキル表面基を含む、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項25】
前記アルキル基が少なくともC3である、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項26】
前記アルキル基がC30以下である、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項27】
前記アルキル基がC3〜C22の範囲である、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項28】
前記アルキル基がC3〜C18の範囲である、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項29】
前記アルキル基がC3〜C12の範囲である、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項30】
前記アルキル基がC3〜C8、およびその間の任意の組合せまたは整数(integer)である、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項31】
前記有機分子がC60、C70、C82、またはC84フラーレンである、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項32】
前記有機分子がG2、G3、G4、G5、G6、G7、G8、G9もしくはG10デンドリマー、またはそれらの組合せである、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項33】
前記発泡剤が、窒素、アルゴン、酸素、二酸化炭素、亜酸化窒素、水、空気、ヘリウム、六フッ化硫黄、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項34】
前記有機分子がフラーレンとデンドリマーである、請求項18に記載の発泡組成物。
【請求項35】
水を含む連続相に分散された複数の有機ポリマー微小球を含む液体連続相と、
前記連続相に分散された気体分散相とを含む発泡体。
【請求項36】
前記有機ポリマー微小球がポリスチレンを含む、請求項35に記載の発泡体。
【請求項37】
前記有機ポリマー微小球の平均粒径が少なくとも20nmである、請求項35に記載の発泡体。
【請求項38】
水を含む連続相に分散された複数の有機ポリマー微小球を含む液体連続相と、
発泡剤とを含む発泡組成物。
【請求項39】
前記発泡剤が、窒素、アルゴン、酸素、二酸化炭素、亜酸化窒素、水、空気、ヘリウム、六フッ化硫黄、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコール、完全および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の発泡組成物。
【請求項40】
表面改質無機ナノ粒子をさらに含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項41】
表面改質無機ナノ粒子をさらに含む、請求項24に記載の発泡組成物。
【請求項42】
表面改質無機ナノ粒子をさらに含む、請求項34に記載の発泡体。
【請求項43】
表面改質無機ナノ粒子をさらに含む、請求項38に記載の発泡組成物。
【請求項44】
前記連続相が水を含む、請求項1に記載の発泡体。
【請求項45】
前記連続相が水を含む、請求項18に記載の発泡組成物。

【公表番号】特表2006−512448(P2006−512448A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565131(P2004−565131)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/037926
【国際公開番号】WO2004/061874
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】