説明

表面検査装置、及び表面検査方法

【課題】簡単、かつ安価な構成で迅速に表面検査を行えるようにする。
【解決手段】感光ドラム1の表面に微小なグレージング角θでレーザ光Lbを照射し、その散乱光成分Lb2を、傷による散乱光領域S3に配備された受光部材SA,SB,SCと、汚れ(表面粗さ)による散乱光領域S2に配備された受光部材SAUとで受光する。正反射光領域S1には、受光部材を配備しない。そして、受光部材で受光された散乱光成分の光強度に基づいて、感光ドラム1の傷、汚れの度合いを判定し、その判定結果に基づいて感光ドラム1を交換すべきか否かを判断して、その判断結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の表面の傷、汚れ等の状態を検査する技術に関し、特にレーザ光ビーム等の非分散光ビームを照射した際の散乱光の光強度に基づいて検査対象物の表面の状態を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機、プリンタ、複合機等の画像形成装置では、感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等は、その回転動作中における各種の摩擦等によって傷が発生することは避けられない。
【0003】
この傷は、形成画像においてスジとなって現れ、画像品質の低下を招くため、傷が大きくなって画像品質が大幅に低下する段階に至った場合には、感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等を交換する必要がある。
【0004】
また、感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等には、通常、画像形成処理が終了した後もトナーが残留する。この残留トナーは、クリーニングブレード等で除去処理が行われるが、この除去処理の過程で上記の傷が発生する場合がある。
【0005】
さらに、上記の除去処理では残留トナーを完全に除去することは困難であり、この除去し切れなかった残留トナーにより、感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等の表面は、汚れた状態となる。この汚れの程度が大きくなると、傷や画像品質低下の主因となってしまう。
【0006】
従って、傷や汚れが発生した感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等は、画像品質の低下との関係で適切な時期に新品なもの等に交換する必要がある。
【0007】
しかしながら、現在の傷や汚れが大きくなって画像品質の低下を招くようになる時期を、当該傷や汚れを見ただけで予測することは困難である。そこで、画像品質が現実に低下してしまった段階で交換しようとすると、新品等の在庫が切れており、画像品質が低下した状態のまま画像形成処理を続行せざるを得ない羽目になるときもある。
【0008】
このため、感光ドラム、中間転写用のドラム又はベルト、トナー定着用のローラ又はベルト等の表面の傷や汚れの状態を検査する技術が必要となる。また、記録用紙を搬送するための各種のローラにおいても、ローラ表面の傷や汚れは記録用紙のジャムの原因となるので、これらローラ表面の傷や汚れを検知する必要がある。
【0009】
従来、検査対象物の表面を検査する技術としては、検査対象物の表面を複数の領域毎に撮影し、それら撮影画像を2つの領域を1組として比較することで、何れの領域に欠陥があるかを判定する技術が実現されている(特許文献1参照)。
【0010】
また、レーザ光を被測定物への照射角度を変化させながら照射し、当該レーザ光の反射光である粒状斑点模様を撮像することにより、表面粗さを測定する測定する技術も実現されている(特許文献2参照)。
【0011】
さらに、レーザ光を微粒子群に照射し、その回折光を固体撮像装置で撮像し、回折光の円環領域又は円環の一部の領域の光強度分布から粒径分布を求める技術が実現されている(特許文献3参照)。
【0012】
また、画像形成装置に係る技術としては、像担持体上に形成した基準画像に光を照射し、基準画像からの反射光を受光することにより、トナー付着量を検知する技術が実現されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特登録2882409号公報
【特許文献2】特開2004−125632号公報
【特許文献3】特登録2805664号公報
【特許文献4】特登録3357470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の外観検査装置は、精密に外観検査を行うための高度な画像処理部を備え、高価で大型な装置であり、画像形成装置の感光ドラム等の部品の表面を検査するのに不適である。
【0014】
また、特許文献2の技術では、被測定物の表面の広い領域で表面粗さを測定するためには、レーザ光の照射点を移動する走査を行う必要があり、迅速かつ簡単に測定することができない。
【0015】
また、特許文献3の測定方法は、粒径分布を求める方法であり、表面の傷、汚れ等の表面状態を検査する方法ではない。また、特許文献4の技術は、感光ドラム等の像担持体に形成された基準画像からの反射光を利用しているため、基準画像が形成されていない部材の表面を検査するには不適である。
【0016】
従って、画像形成装置の各種の部材の表面を簡単、かつ安価な構成で迅速に検査する技術が要望されている。特に、部材を画像形成装置に組み込んだ状態のままで、その部材の表面を簡単かつ安価な構成で迅速に検査する技術が要望されている。更に、画像形成装置以外の装置や物品においても、同様の要望がある。
【0017】
本発明は、このような従来技術の背景の下になされたもので、その目的は、簡単、かつ安価な構成で迅速に表面検査を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る表面検査装置は、検査対象物の表面上の直線ラインに非分散光ビームを走査無しに一括して照射する照射手段と、前記照射手段により照射された前記非分散光ビームの反射光の散乱光成分を受光する受光手段と、前記受光手段により受光された前記散乱光成分の光強度に基づいて前記検査対象物の表面の状態を判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る表面検査方法は、検査対象物の表面上の直線ラインに非分散光ビームを走査無しに一括して照射する照射工程と、前記照射工程により照射された前記非分散光ビームの反射光の散乱光成分を受光する受光工程と、前記受光工程により受光された前記散乱光成分の光強度に基づいて前記検査対象物の表面の状態を判定する判定工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検査対象物の表面上の直線ラインに非分散光ビームを走査無しに一括して照射する等の構成により、当該非分散光ビームの径を小さく絞ることや走査を行う必要が無くなる等、簡単、かつ安価な構成で迅速に表面検査を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る表面検査装置を適用した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図1に示した画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置であり、感光ドラム1、露光走査ユニット2、現像ロータリ3、中間転写ベルト4、及び定着器5を有している。
【0023】
感光ドラム1の形状は円筒状であり、その表面には感光層が形成されている。この表面の感光層の傷、汚れは、画像品質の低下を招く。そこで、本実施の形態では、後述の手法により感光ドラム1の表面の傷、汚れを検知し、その検知結果や感光ドラム1の交換を促すメッセージ等を表示する。
【0024】
感光ドラム1は、ドラムモータ24(図2参照)により回転駆動される。露光走査ユニット2は、画像データに基づいて変調されたレーザ光により感光ドラム1を露光走査する。この露光走査により、感光ドラム1の表面部分の感光層に静電潜像が画形成される。
【0025】
露光走査ユニット2は、レーザユニット2a、ポリゴンミラー2b、BDセンサ2c、及び反射ミラー2dを有し、ポリゴンミラー2bは、ポリゴンモータ2eにより回転駆動される。なお、図1において、レーザユニット2aは、ポリゴンミラー2bよりも紙面の奥側又は手前側に配備されている。
【0026】
レーザユニット2aは、画像データに基づいて変調されたレーザ光を、回転駆動中のポリゴンミラー2bの各鏡面に照射する。このポリゴンミラー2bの回転により、ポリゴンミラー1bの各鏡面に対するレーザ光の入射角が連続的に変化し、その反射光は、感光ドラム1の回転軸の方向(図3のZ方向)に相対的に進んでいく。これにより、各鏡面において、画像光(レーザ光)による1ライン分の露光走査(主走査)が行われることとなる。
【0027】
BDセンサ2cは、各主走査ライン間で画像の書き出し位置の同期を取ること等を目的として設けられ、BDセンサ2cの出力信号(BD信号)は、主走査同期信号として利用される。また、反射ミラー2dは、ポリゴンミラー2bからの反射光の進行方向を、感光ドラム1の方向に変更するために設けられている。
【0028】
現像ロータリ3は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、BK(ブラック)の色のトナーをそれぞれ収納し、これらトナーを感光ドラム1に向けて飛翔させるトナーユニット3Y,3M,3C,3BKを有している。この現像ユニット3は、現像ロータリモータ25(図3参照)により回転駆動される。この回転駆動により、各色のトナーユニット3Y,3M,3C,3BKは、感光ドラム1との対向位置を順次通過していく。この通過の際に、当該色のトナーが感光ドラム1に飛翔し、感光ドラム1上の静電潜像は、視認可能な当該色のトナー像として現像される。
【0029】
中間転写ベルト4は、大径の駆動ローラと複数の張設ローラ17等により張設され、駆動ローラに連結されたメインモータ23(図3参照)を駆動源として回転駆動される。この中間転写ベルト4が回転する過程で、感光ドラム1上のトナー像が積層状態で中間転写ベルト4上に一次転写されていく。
【0030】
中間転写ベルト4には、基準マーク4bが形成されており、この基準マーク4bは、光反射型の周長センサ4aにより検知される。この周長センサ4aによる検知信号(周長信号)は、中間転写ベルト4上に各色のトナー像を色ズレが無い状態で積層するために利用される。
【0031】
中間転写ベルト4上に一次転写された積層状態の各色のトナー像、すなわちフルカラーのトナー像は、二次転写ローラ6により、記録用紙P上に二次転写される。この記録用紙Pは、搬送ローラ群等により、給紙カセット7又は手差しトレイ8から二次転写ローラ6と対向する二次転写位置に給送されてくる。
【0032】
記録用紙P上に二次転写されたトナー像は、定着器5の加熱ローラ5aと加圧ベルト5bによる加熱・加圧処理によって、当該記録用紙P上に定着される。その後、当該記録用紙Pは、排紙部9に排紙される。なお、加圧ベルト5bは、大径の駆動ローラ、張設ローラ18等により張設されている。
【0033】
一次転写後に感光ドラム1の表面に残留しているトナーは、クリーニングブレード10により、感光ドラム1から掻き取られる。また、二次転写後に中間転写ベルト4の表面に残留しているトナーは、クリーニングブレード11により、中間転写ベルト4から掻き取られる。
【0034】
本画像形成装置には、感光ドラム1、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの表面の傷、汚れ等(主として、トナー汚れ)を光学的に検知するために、それぞれ、レーザ発光部材12,13,14,15が設けられている。この傷、汚れの検知処理を行う場合、環境センサ16も利用される。この検知処理については、後で詳細に説明する。
【0035】
次に、図1の画像形成装置の制御系の構成を、図2に基づいて説明する。この画像形成装置による電子写真方式の画像形成処理は、CPU21の制御の下に実行される。このCPU21には、メモリ22、メインモータ23、ドラムモータ24、現像ロータリモータ25、露光走査ユニット2のレーザユニット2a、BDセンサ2c、ポリゴンモータ2eが接続されている。また、CPU21には、周長センサ4a、環境センサ16、レーザ発光部材12〜15、受光部材SA,SAU,SB,SC,SD,SE,SF、及び液晶表示部26も接続されている。
【0036】
CPU21は、上記の各デバイスを利用して、前述の電子写真方式の一連の画像形成処理を実行する。メモリ22は、ROM(図示省略)、EEPROM22a、RAM22b、を含んでいる。ROMには、上記の一連の画像形成処理に係るアプリケーションプログラムが格納されている。
【0037】
また、EEPROM22aには、感光ドラム1、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a,加圧ベルト5bの検査処理(表面の傷、汚れの検知処理を含む)に係るアプリケーションプログラム等が格納されている。CPU21は、これらのプログラムを実行する際にRAM22bをワークエリアとして利用する。
【0038】
メインモータ23は、給紙カセット7からの記録用紙のピックアップ、給送、排紙などの用紙の搬送動作、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの回転動作の動力源として利用される。メインモータ23は、さらに、トナーユニット3Y,3M,3C,3BKの不図示の現像スリーブの回転動作の動力源としても用いられる。
【0039】
ドラムモータ24は、感光ドラム1を回転駆動する動力源として用いられる。現像ロータリモータ25は、CPU21の制御の下に現像ロータリ3を回転駆動して、トナーユニット3Y,3M,3C,3BKを感光ドラム1と対向する現像位置に順次回動させる。
【0040】
レーザユニット2は、CPU21の制御の下に、画像データを反映した画像光(レーザ光)をポリゴンミラー2bに向けて発光する。周長センサ4aは、中間転写ベルト4上に印された基準マーク4bを検知する。CPU21は、この基準マーク検知信号に基づいて中間転写ベルト4の周長を算出し、Y,M,C,BKの各色のトナー像がズレない形で中間転写ベルト4上に重畳されていくように制御する。
【0041】
環境センサ16は、温度、湿度を検知する。CPU21は、検知された温度、湿度に基づいて、例えば、感光ドラム1の帯電電圧を変化させるなど、画像形成装置の配置場所の現在の自然環境に応じた最適な画像形成動作を行うように制御する。また、環境センサ16により検知された温度、湿度は、受光部材SA〜SF,SAUの後述する自動選択処理にも利用される。この自動選択処理を行うために、EEPROM22aには、温度、湿度の情報と対応付けて、当該温度、湿度において選択されるべき受光部材の識別情報が予め登録されている。
【0042】
レーザ発光部材12〜15は、レーザ波長650nm(赤色レーザ)、射出パワー1mW、ビーム径2mm〜3mm程度の性能の安価な半導体レーザで構成され、CPU21の制御の下にレーザ発光動作を行う。レーザ発光部材12からのレーザ光は、感光ドラム1の表面の傷、汚れを検知すべく、当該感光ドラム1の表面に対して微小なグレージング角で照射される。レーザ発光部材13からのレーザ光は、中間転写ベルト4の表面の傷、汚れを検知すべく、当該中間転写ベルト4の表面に対して微小なグレージング角で照射される。
【0043】
レーザ発光部材14からのレーザ光は、定着器5の加熱ローラ5aの表面の傷、汚れを検知すべく、当該加熱ローラ5aの表面に対して微小なグレージング角で照射される。レーザ発光部材15からのレーザ光は、定着器5の加圧ベルト5bの表面の傷、汚れを検知すべく、当該加圧ベルト5bの表面に対して微小なグレージング角で照射される。なお、上記の「微小なグレージング角」については、後で詳細に説明する。
【0044】
受光部材SA,SAU,SB,SCは、レーザ発光部材12により感光ドラム1の表面に照射されたレーザ光の反射光の散乱光成分を受光するために設けられている。受光部材SDは、レーザ発光部材13により中間転写ベルト4の表面に照射されたレーザ光の反射光の散乱光成分を受光するために設けられている。
【0045】
受光部材SEは、レーザ発光部材14により加熱ローラ5aの表面に照射されたレーザ光の反射光の散乱光成分を受光するために設けられている。受光部材SFは、レーザ発光部材15により加圧ベルト5bの表面に照射されたレーザ光の反射光の散乱光成分を受光するために設けられている。
【0046】
なお、本実施の形態では、受光部材SA〜SF,SAUとしては、単体のフォトダイオード、フォトトランジスタ等(1画素分の受光素子)、ピンポイントで光を検知する安価な光センサを用いることを想定している。
【0047】
感光ドラム1等の表面の傷、汚れをレーザ光(非分散光ビーム)の照射によって検査する検査原理を、図3〜7に基づいて説明する。
【0048】
図3に示したように、レーザ発光部材12は、感光ドラム1の表面(接平面)に対して、微小なグレージング角θ(θ=π/2−入射角)でレーザ光Lbを照射する。この微小なグレージング角θは、感光ドラム1の少なくとも感光層の領域に係る直線ラインが一括して照射される程度の微小な角度である(図4〜7の照射領域Sd参照)。
【0049】
換言すれば、微小なグレージング角θは、感光ドラム1の表面にレーザ光Lbを照射した際に、感光ドラム1によるレーザ光Lbの切断長さ(図4等のZ軸方向の切断長さ)が、少なくとも感光ドラム1の感光層のZ軸方向の長さ以上となるような角度である。
【0050】
このような微小なグレージング角θでレーザ光Lbを照射することにより、レーザ光Lbの走査無しに、すなわち照準点の移動制御を行うことなく、簡単に感光ドラム1の感光層の1つの直線ラインに一括してレーザ光Lbを照射することが可能となる。更に、表面検査の迅速化を図ることも可能となる。
【0051】
図3に示したように、微小なグレージング角θで感光ドラム1に照射されたレーザ光Lbの反射光の正反射光成分Lb1は、受光部材SA,SAU,SB,SCの何れにも受光されることはない。一方、散乱光成分Lb2は、受光部材SA,SAU,SB,SCにより受光される。
【0052】
感光ドラム1の表面に傷や汚れが無い場合は、感光ドラム1に照射されたレーザ光Lbの反射光は、ほぼ全てが正反射光成分Lb1となって、図3〜7に示した正反射光領域S1を通過する。しかし、この正反射光領域S1には、受光部材SA,SAU,SB,SCは配備されておらず、これら受光部材により受光されることは殆ど無い。
【0053】
一方、感光ドラム1の表面に傷が有る場合は、感光ドラム1に照射されたレーザ光Lbの反射光の一部は散乱光成分Lb2となって、受光部材SA,SAU,SB,SCにより受光される。また、感光ドラム1の表面に汚れが有る場合は、感光ドラム1に照射されたレーザ光Lbの反射光の一部は散乱光成分Lb2となって、受光部材SAUにより受光される。
【0054】
このように、散乱光成分Lb2が受光部材SA,SAU,SB,SCにより受光されるのは、これら受光部材を実験結果に基づいて図3〜7に示した散乱光領域に配備しているからである。
【0055】
ここで、上記の実験について説明する。この実験では、図4〜6に示したように、レーザ波長650nm(赤色レーザ)、射出パワー1mW、ビーム径2mm〜3mm程度の性能を有する半導体レーザと光学レンズからなる市販の安価なレーザ照射器Lを用いた。このレーザ照射器Lにより、感光ドラム1の表面に微小なグレージング角でレーザ光を照射した。
【0056】
感光ドラム1の直径は62mm、長手方向(Z軸方向)の長さは、460mmである。この感光ドラム1の半分の長さに相当する230mm程度の位置(長手中心Zd2)から奥側の端部Zd3までの領域に、微小なグレージング角でレーザ光を照射した。感光ドラム1としては、最初は、周方向(回転方法)に多数の傷K(周スジの傷)が発生している中古品を用いた(図4参照)。
【0057】
この実験では、長手中心Zd2から奥側の端部Zd3までの領域の傷Kに起因するものと考えられる散乱光成分は、感光ドラム1のレーザ光照射面に対する法線方向(図4に示したX軸方向)に分布していることが判明した。そこで、感光ドラム1の奥側の端部Zd3のZ位置で、X―Y平面上に紙をかざしてメジャーで散乱光成分を測定したところ、その散乱光成分は、端部Zd3から200mmを超えるX軸方向の位置まで達していた。また、散乱光成分は、感光ドラム1から離れるに従ってその光強度が低減していく傾向が見られた。
【0058】
この実験結果から、感光ドラム1の手前側の端部Zd1から奥側の端部Zd3までの領域に、より微小なグレージング角でレーザ光を照射した場合は、散乱光成分はX軸方向に更に延びることが予想される。そこで、このようなレーザ光の照射を実際に行ってみたところ、予想通りに、散乱光成分は、X軸方向に更に延びていた(図4,7のS3参照)。
【0059】
なお、この予想に基づく実験では、レーザ光は、レーザ照射器Lから直接、感光ドラム1に照射するのではなく、図5,6に示したように、ライトパイプLPを介して照射した。これは、感光ドラム1が画像形成装置に実際に組み込まれた状態で実験を行ったため、レーザ照射器Lを装置内に配備するための十分なスペースが無かったからである。従って、本実施の形態に係る表面検査装置を画像形成装置等の装置に搭載する場合も、必要に応じて、ライトパイプLP等の導光部材を介してレーザ光を照射することが望ましい。
【0060】
一方、最初の実験において、正反射光成分は、光強度の強いスポット光として正反射光領域(図4〜7のS1参照)に分布していた。また、正反射光領域S1の形状は、円形ではなく、X軸方向を長軸とする楕円形であった。このように、正反射光領域S1がX軸方向を長軸とする楕円形となるのは、傷Kの部分にも正反射光成分、又は正反射光成分に限りなく近い領域で散乱光成分を発生させる反射部分が未だ残っているからだと思われる。
【0061】
次に、図5に示したように、周方向にトナー汚れTYが有る感光ドラム1に対して、微小なグレージング角でレーザ光を照射してみた。この場合には、正反射光領域S1を取り囲む広い領域(図5のSTY参照)で新たに散乱光成分が見られ、傷Kに起因する散乱光領域S3では、散乱光成分は殆ど見られなかった。
【0062】
すなわち、周方向のトナー汚れTYに起因する散乱光領域STYは、正反射光領域S1、及び後述する散乱光領域S2を取り囲む比較的広い領域であり、傷Kに起因する散乱光領域S3のようにX軸方向に長く延びてはいなかった。また、傷Kに起因する散乱光領域S3がX軸方向に細長く延びているに対し、周方向のトナー汚れに起因する散乱光領域STYは、正反射光領域S1をほぼ中心として、放射状に広い角度で広がっていた。
【0063】
このように、傷に起因する散乱光領域S3とトナー汚れに起因する散乱光領域STYとが異なる現象は、受光部材の配備位置を工夫することで、傷に起因する散乱光成分とトナー汚れに起因する散乱光成分とを互いに識別可能に検知できることを意味する。そこで、本実施の形態では、傷に起因する散乱光成分を検知する受光部材SA,SB,SCの他に、汚れに起因する散乱光成分を検知する受光部材SAUを別途設けている。
【0064】
なお、図6に示したように、新品の感光ドラム1に対して、手前側の端部から奥側の端部までの領域に、同様に微小なグレージング角でレーザ光を照射してみた。この実験では、感光ドラム1から遠い領域では散乱光成分は殆ど見られなかったが、感光ドラム1に近い領域(図4〜7のS2参照)では、光強度の弱い散乱光成分が見られた。正反射光領域S1では、当然に、光強度の強い正反射光成分が見られた。ただし、その正反射光領域S1の楕円形(X方向が長軸)の形状は、中古の感光ドラムの場合に比べて円形に近づいていた。
【0065】
上記の散乱光領域S2における光強度の弱い散乱光成分は、たとえ新品の感光ドラムであっても、その表面は多少の凹凸、すなわち或る程度の大きさの表面粗さを持っていることに起因するものと推測できる。そこで、実際に、新品の感光ドラム1の表面よりも表面粗さが十分に小さい部材(鏡など)で実験してみた。その結果、正反射光領域S1では光強度が非常に強い正反射光成分が見られたものの、その周辺の散乱光領域S2では、散乱光成分が殆ど見られず、上記の推測の正しさが証明された。
【0066】
なお、周方向ではなく、回転軸方向(Z軸方向)に傷や汚れが有る感光ドラムに対して、同様に、微小なグレージング角でレーザ光を照射してみたところ、散乱光成分は非常に少なかった。このことは、本実施の形態に係る表面検査技術を他の物品の表面検査に適用する場合には、レーザ光の照射方向と検知対象の傷や汚れの方向とを可及的に90度又は90度に近い角度で交差させることで、効率よく傷や汚れを検知できることを示唆している。
【0067】
なお、上記の回転軸方向(Z軸方向)の傷や汚れは、感光ドラム1、中間転写ベルト4、加熱ローラ5a,加圧ベルト5bでは殆ど発生しないので、それらデバイスの交換時期を判断するためにZ軸方向の傷や汚れを検知する必要性は乏しい。
【0068】
上記の各実験の実験結果に鑑みて、本実施の形態では、図3〜7に示したように、周方向の傷Kに起因する散乱光成分を受光する受光部材として、受光部材SA,SB、SCを傷に起因する散乱光領域S3の両端部、中央部に配備した。
【0069】
また、周方向の汚れに起因する散乱光成分を受光するための受光部材SAUは、装置内のスペース等の関係で、周方向のトナー汚れに起因する散乱光領域STYではなく、それよりも狭いドラムの表面粗さに起因する散乱光領域S2に配備した。
【0070】
この場合、周方向のトナー汚れTYに起因する散乱光成分の検知精度は若干低下する虞がある。しかし、トナー汚れTYは、クリーニング処理で解消でき、感光ドラムの交換時期を判断する際の重要な判断材料とはならないので、周方向のトナー汚れTYに起因する散乱光成分の検知精度が若干低下しても特に問題とはならない。また、後述する基準情報、限界情報を適切に設定することにより、散乱光領域STYに配備した場合と同等の精度で、周方向のトナー汚れTYの程度を判定することも可能となる。従って、周方向の汚れに起因する散乱光成分を受光するための受光部材SAUをドラムの表面粗さに起因する散乱光領域S2に配備しても、特に問題はない。
【0071】
周方向の汚れに起因する散乱光成分を受光するための受光部材SAUを、周方向のトナー汚れTYに起因する散乱光領域STYに配備してもよいことは、言うまでもない。
【0072】
次に、受光部材SA,SAU,SB,SCの配備位置等を、図7に基づいて補足説明する。
【0073】
前述の実験の結果、傷に起因する散乱光領域S3は、X軸方向に延びていた。このX軸方向は、感光ドラム1のレーザ光の照射ライン(Z方向)に係る面に対する法線の方向となっている。すなわち、散乱光領域S3は、図7に示したZθ0平面上に位置している。
【0074】
そこで、傷に起因する散乱光成分を検知するための受光部材SA,SB,SCは、感光ドラム1の奥側の端部Zd3よりも多少奥側のZ座標位置で、X軸方向(Zθ0平面上の散乱光領域S3)に配列している。
【0075】
また、汚れに起因する散乱光成分を検知するための受光部材SAUは、受光部材SA,SB,SCと同一のZ座標位置で、Zθ0平面と所定角度θaをなすZθa平面(散乱光領域S2)に配備している。
【0076】
なお、汚れに起因する散乱光成分を検知するための受光部材SAUは、受光部材SA,SB,SCと同一のZ座標位置で、Zθ0平面と所定角度−θaをなすZ−θa平面(散乱光領域S2)等に配備してもよい。或いは、Zθa平面等とZ−θa平面等の両方に、汚れに起因する散乱光成分を検知するための受光部材を配備してもよい。要するに、汚れに起因する散乱光成分を検知するための受光部材は、散乱光領域S2又は散乱光領域STYの領域内であれば、複数配備してもよい。
【0077】
また、各受光部材は、上記のように同一のZ座標位置に配備することなく、装置内のスペース等の関係で、異なるZ座標位置に配備することも可能である。
【0078】
なお、副走査方向については、画像形成時と同様にきめ細かく走査する必要はないが、例えば、感光ドラム1の回転角90°位の副走査間隔で複数回、レーザ光を微小なグレージング角で照射するのが望ましい。これにより、傷や汚れが感光ドラム1の周方向の一部の領域に偏在していたとしても、それを見逃すことなく検知できるようになるからである。
【0079】
次に、中間転写ベルト4の傷、汚れに起因する散乱光成分等を図8に基づいて説明する。
【0080】
なお、図1に示したように、中間転写ベルト4の右横の位置には、二次転写ローラ6が存在するため、レーザ光の照射実験は、図8に示したように、張設ローラ17の下側の位置から中間転写ベルト4に対して微小なグレージング角で行った。
【0081】
この場合、上記のように下側の位置からレーザ光を照射したため、散乱光成分は−Y方向に広がった。詳細には、正反射領域ST1は、感光ドラム1の場合の正反射領域S1よりも多少大きかった。また、中間転写ベルト4の回転方向の傷KTに起因する散乱光領域ST3は、感光ドラム1の場合の散乱光領域S3のように細長くはなく、有る程度太くて短い領域の形状となった。換言すれば、中間転写ベルト4の回転方向の傷KTに起因する散乱光成分は、感光ドラム1の場合に比べて、広がり角が大きく、かつレーザ光の照射面からの最大離間距離は短かった。
【0082】
さらに、中間転写ベルト4の表面粗さ(汚れによる表面粗さを含む)に起因する散乱光領域ST2は、感光ドラム1の場合の表面粗さ(汚れによる表面粗さを含む)の場合と比べてかなり広かった。また、中間転写ベルト4の回転方向の傷KTに起因する散乱光領域ST3と、表面粗さに起因する散乱光領域ST2とに間には、かなり広い重複領域が存在していた。
【0083】
これらの現象は、張設ローラ17の径が感光ドラム1の径より小さく、レーザ光を照射する部分の曲率か感光ドラム1よりも大きいためであると考えられる。現に、中間転写ベルト4に係る張設ローラ17よりも更に径が小さな張設ローラ18(図1参照)で張設された加圧ベルト5bの場合は、中間転写ベルト4の場合の上記の散乱光成分の現象が、中間転写ベルト4の場合よりも顕著に現れた。
【0084】
このことは、曲率が小さくなればなる程、換言すれば平面状態に近づけば近づく程、傷に起因する散乱光成分の散乱領域は、レーザ光の照射面に対する法線方向に長く延びていくことを意味する。従って、本実施の形態に係る表面検査技術は、曲面だけでなく平面の検査にも適用可能である。
【0085】
ただし、前述の説明から明らかなように、傷が延びていく方向と照射レーザ光とのなす角が90°に近づく程、散乱光成分は、レーザ光の照射面に対する法線方向に長く延びていく。従って、特に、曲率が小さい平面状の表面を検査する場合は、レーザ光を微小なグレージング角で一括照射する直線ラインの方向を変化させて複数回、検査することが望ましい。
【0086】
上記の散乱光領域ST2とST3とが重複する現象に鑑みて、本実施の形態では、中間転写ベルト4の傷、汚れに起因する散乱光成分を検知するための受光部材としては、上記の重複領域に1つの受光部材SDだけを配備し、部品点数の削減化を図っている。
【0087】
なお、詳細な説明は省略するが、定着器5の場合も、回転方向の傷に起因する散乱光領域と、表面粗さに起因する散乱光領域との重複領域に、加熱ローラ5a,加圧ベルト5bからの散乱光を受光する受光部材SE,SFをそれぞれ配備している。ただし、感光ドラム1の場合と同様に、表面粗さ(汚れによる表面粗さを含む)に起因する散乱光成分と、傷に起因する散乱光成分を異なる受光部材で個別に検知することも可能である。
【0088】
本実施の形態では、レーザ発光部材12〜15、受光部材SA〜SF、SAUを用いて、図9,10のフローチャートに係る処理を行うことにより、感光ドラム1、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの表面を検査している。
【0089】
図9のフローチャートは、感光ドラム1、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの表面検査処理の概要を示すフローチャートである。図10は、図9のプロセスP5,P9,P13における傷、汚れの判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0090】
表面検査処理では、CPU21は、まず、環境センサ16から現在の温度情報、湿度情報を取得する(P1)。次に、CPU21は、ユーザから感光ドラム1の表面検査の実行指示がなされているのか否かを判別し(P2)、否であれば、後述するプロセスP6に進む。
【0091】
なお、感光ドラム1の表面検査の実行指示は、液晶表示部26に表示されるメニュー画面を介して行うことができる。このメニュー画面では、感光ドラム1の表面検査の実行指示だけでなく、中間転写ベルト4、定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの表面検査指示をも併せて行うことができる。
【0092】
感光ドラム1の表面検査の実行指示がなされている場合には、CPU21は、取得した温度情報、湿度情報、当該画像形成装置の機種(型式)情報等に基づいて、受光部材を選択する(P3)。このプロセスP3では、CPU21は、感光ドラム1の表面検査を行うための受光部材SA,SAU,SB,SCの中から受光部材を1つ、又は複数選択する。
【0093】
次に、CPU21は、感光ドラム1に対して、レーザ発光部材12から微小なグレージング角でレーザ光を照射し、選択に係る受光部材の出力信号、すなわち散乱光成分の光強度を測定する(P4)。
【0094】
次に、CPU21は、選択した受光部材から得られた散乱光成分の光強度に基づいて、感光ドラム1の傷、汚れの程度を判定する(P5)。そして、CPU21は、更に、その判定結果に基づいて感光ドラム1の交換の良否等を判定し(P5)、プロセスP6に進む。
【0095】
プロセスP6では、CPU21は、ユーザから中間転写ベルト4の表面検査の実行指示がなされているのか否かを判別する。その結果、中間転写ベルト4の表面検査の実行指示がなされていなければ、CPU21は、後述するプロセスP10に進む。
【0096】
一方、中間転写ベルト4の表面検査の実行指示がなされていれば、CPU21は、取得した温度情報、湿度情報、当該画像形成装置の機種(型式)情報等に基づいて、受光部材を選択する(P7)。この場合、本実施の形態では、中間転写ベルト4の表面検査を行うための受光部材としては、受光部材SDだけが配備されているので、CPU21は、必然的に受光部材SDを選択することとなる。
【0097】
次に、CPU21は、中間転写ベルト4に対して、レーザ発光部材13から微小なグレージング角でレーザ光を照射し、選択に係る受光部材SDの出力信号、すなわち散乱光成分の光強度を測定する(P8)。
【0098】
次に、CPU21は、選択した受光部材SDから得られた散乱光の光強度に基づいて、中間転写ベルト4の傷、汚れの程度を判定する(P9)。そして、CPU21は、更に、その判定結果に基づいて中間転写ベルト4の交換の良否等を判定し(P9)、プロセスP10に進む。
【0099】
プロセスP10では、CPU21は、ユーザから定着器5の表面検査の実行指示がなされているのか否かを判別する。その結果、定着器5の表面検査の実行指示がなされていなければ、CPU21は、本検査処理を終了する。
【0100】
一方、定着器5の表面検査の実行指示がなされていれば、CPU21は、取得した温度情報、湿度情報、当該画像形成装置の機種(型式)情報等に基づいて、受光部材を選択する(P11)。
【0101】
本実施の形態では、定着器5に関しては、加熱ローラ5aと加圧ベルト5bを個別に検査することとし、加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの表面検査を行うための受光部材として、それぞれ、受光部材SE、SFが配備されている。従って、プロセスP11では、CPU21は、必然的に受光部材SE、SFを選択することとなる。
【0102】
次に、CPU21は、加熱ローラ5a、加圧ベルト5bに対して、それぞれ、レーザ発光部材14,15から微小なグレージング角でレーザ光を照射し、選択に係る受光部材SE,SFの出力信号、すなわち散乱光成分の光強度を測定する(P12)。
【0103】
次に、CPU21は、選択した受光部材SE、SFから得られた散乱光成分の光強度に基づいて、それぞれ、加熱ローラ5a、加圧ベルト5bの傷、汚れの程度を判定する(P13)。そして、CPU21は、更に、その判定結果に基づいて定着器5の交換の必要性(要否)等を判定し(P13)、本検査処理を終了する。
【0104】
なお、定着器5の構造が加熱ローラ5aと加圧ベルト5bを個別に交換可能となっている場合には、プロセスP13では、加熱ローラ5aの交換の良否と加圧ベルト5b交換の良否を個別に判定することも可能である。
【0105】
次に、図9のプロセスP5,P9,P13における傷、汚れの判定処理の詳細を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0106】
傷、汚れの判定処理では、CPU21は、選択した受光部材から得られた測定結果(散乱光成分の光強度、又はその分布の広がり度)と、当該受光部材に対応する基準情報を比較する(P21)。そして、CPU21は、少なくとも1つの選択受光部材に係る測定結果が対応の基準情報以上であるか否かを判別する(P22)。
【0107】
なお、上記の「分布の広がり」は、後述する第4の実施の形態(エリアセンサ)を意識したものである。これは、図9のプロセスP4、P8,P12における「散乱光の強度等」という記述での「等」も同様である。
【0108】
また、「基準情報」は、傷や汚れの程度が異なる多数の被検査対象物(感光ドラム等)について、図9のプロセスP4、P8,P12と同様の手法で予め散乱光成分の強度等を測定した測定結果から導かれたものである(後述の「限界情報」も同様)。この「基準情報」は、受光部材毎(受光手段毎)に異なる情報(光強度に関する情報)であって、各受光部材と対応付けてEEPRPM22aに予め登録されている(「限界情報」も同様)。
また、基準情報と限界情報との間には、
[数1]
基準情報<限界情報
という関係がある。
【0109】
CPU21は、少なくとも1つの選択受光部材に係る測定結果が対応の基準情報以上である場合は、散乱光成分の主因は、汚れではなく傷の方にあると予測し、その旨を液晶表示部26に表示し(P23)、プロセスP25に進む。
【0110】
一方、全ての選択受光部材に係る測定結果が対応の基準情報未満である場合は、CPU21は、散乱光成分の主因は、傷ではなく汚れの方にあると予測し、その旨を液晶表示部26に表示し(P24)、プロセスP25に進む。
【0111】
プロセスP25では、CPU21は、各選択受光部材での測定結果と、当該選択受光部材に対応する限界情報(散乱光成分の光強度、又はその分布の広がり度の限界情報)との差分を算出する。この「限界情報」は、ある程度の高い画像品質を維持するために必要な傷、汚れの限界を示す散乱光成分の光強度又はその分布の広がり度である。
【0112】
また、限界情報は、後述の説明から明らかなように、感光ドラム1等の検査対象物の表面状態を散乱光成分の光強度に基づいて判定する際の判定情報として利用される。なお、当然ながら、限界情報(判定情報)は、各種の表面状態の例えば感光ドラム等の検査対象物(同一種:同一型番)に係る散乱光成分の光強度を予め測定し、その測定結果に基づいて予め設定されるものである。そして、この限界情報(判定情報)は、同一種の検査対象物の表面検査を実際に行う場合に使用される。
【0113】
次に、CPU21は、各選択受光部材について、その限界情報(Li)に対する測定結果(Re)の割合(P.C.:百分率)を算出する(P25)。
[数2]
P.C.=Re/Li×100
次に、CPU21は、算出した割合(P.C.:百分率)に関して、大、中、小を判定テーブルで判定する(P26)。
【0114】
この判定テーブルでは、大、中、小の判定基準(範囲)が受光部材毎に決められている。換言すれば、同一の割合、例えば80%であっても、その判定結果が各受光部材で同一であるとは限らない。例えば、傷に係る受光部材SAにおける80%は、「大」と判定されるが、汚れに係る受光部材SAUにおける80%は、「中」と判定される。
【0115】
受光部材毎に大、中、小の判定基準(範囲)を決めたのは、傷は進行速度が速く、汚れは進行速度が遅いこと、傷に係る受光部材SA,SB,SC間でも、散乱光成分の光強度が増大していく速度が異なること等の事情を考慮したものである。なお、判定テーブルは、EEPROM22aに予め記憶されている。
【0116】
このように、受光部材毎に大、中、小の判定基準(範囲)を決めることにより、画像品質の劣化が目立たない範囲で被検査対象物の交換時期を最大限、引き延ばし、維持管理費を低減することが可能となる。
【0117】
なお、判定テーブルの判定基準は、当該画像形成装置(表面検査装置)を使い込んでいく過程で変更することが望ましい。この場合、例えば、表面検査を行う毎にその測定結果をデータベースに蓄積していき、その蓄積された測定結果から傷や汚れの進行態様をより厳密に把握して判定基準を更新していく手法が考えられる。
【0118】
CPU21は、判定テーブルでの判定を行った後、「大」であると判定された選択受光部材が1つでも存在するか否かを判別する(P27)。その結果、「大」であると判定された選択受光部材が1つでも存在すれば、CPU21は、当該選択受光部材に対応する被検査対象物(感光ドラム等)の交換、又はクリーニングの必要がある旨を液晶表示部26に表示する(P28)。
【0119】
上記の「交換」の要否は、「傷」に係る選択受光部材の場合に表示され、「クリーニング」の要否は、「汚れ」に係る選択受光部材の場合に表示される。この表示処理を行った後、CPU21は、本判定処理を終了し、図9のフローにリターンする。
【0120】
一方、「大」であると判定された選択受光部材が1つも存在しなければ、CPU21は、「中」であると判定された選択受光部材が1つでも存在するか否かを判別する(P29)。その結果、「中」であると判定された選択受光部材が1つでも存在すれば、CPU21は、当該選択受光部材に対応する被検査対象物の交換又はクリーニングの必要は無いが、傷、汚れがある程度進行している旨を液晶表示部26に表示する(P30)。
【0121】
この表示処理を行った後、CPU21は、本判定処理を終了し、図9のフローにリターンする。
【0122】
一方、「中」であると判定された選択受光部材が1つも存在しなければ、CPU21は、当該選択受光部材に対応する被検査対象物は良好である旨を液晶表示部26に表示して(P31)、本判定処理を終了し、図9のフローにリターンする。
【0123】
以上説明したように、本実施の形態では、CPU21は、感光ドラム1等の表面に微小なグレージング角θでレーザ光Lbを照射する。その散乱光成分Lb2は、傷による散乱光領域S3に配備された受光部材SA,SB,SCと、汚れ(表面粗さ)による散乱光領域S2に配備された受光部材SAUとで受光される。
【0124】
そして、CPU21は、温度、湿度、機種等に基づいて自動的に受光部材を選択し、その選択受光部材で受光された散乱光成分の光強度に基づいて、感光ドラム1等の傷、汚れの度合い(大、中、小)を判定する。そして、CPU21は、判定結果に基づいて感光ドラム1等を交換すべきか否かを判断して、その判断結果を表示する。
【0125】
この表面検査処理において検査対象物の表面に照射するレーザ光のビーム径は2mm〜3mm程度でよく、出力パワーも1mW程度、波長は赤色の650nm程度でよく、安価なレーザ発光部材を使用することができる。
【0126】
また、レーザ光を走査することなく、検査対象物の表面の1ラインに一括してレーザ光を照射することで、迅速に表面検査を行うことが可能となる。更に、受光部材SA〜SF、SAUも安価なフォトダイオード、フォトトランジスタ等で構成することができる。従って、簡単、かつ安価な構成で迅速に表面検査を行うことが可能となる。
【0127】
なお、散乱光成分の光強度に基づいて検査対象物の表面状態を検査する図10に示した検査手法は一例であり、これ以外の手法により、散乱光成分の光強度に基づいて検査対象物の表面状態を検査することも可能である。
【0128】
[第2の実施の形態]
レーザ発光部材からのレーザ光を微小なグレージング角で検査対象のデバイスの表面に照射するための導光部材としては、図5,6に示したようなライトパイプLPではなく、図11に示したように、ミラーMiを用いることも可能である。更に、図示省略したが、導光部材としては、レンズ、光ファイバー、反射板、透明樹脂等を用いることも可能である。なお、上記の各種の導光部材は、その内の何れか1つだけを用いても、或いは2つ以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0129】
このようなライトパイプLP、ミラーMi等の導光部材を用いることにより、レーザ光を微小なグレージング角で検査対象物に照射する場合に、レーザ発光部材の配置位置の自由度が高くなり、画像形成装置を大型化する必要はなくなる。
【0130】
更に、高温になる定着器5、特に加熱ローラ5aにレーザ光を照射するレーザ発光部材14を加熱ローラ5aから離れた位置に配備することができ、耐熱性の低いレーザ発光部材14の熱破壊、レーザ光の強度変動等を防止することが可能となる。
【0131】
また、図11に示したように、散乱光成分は、受光部材が検査対象物から直接受光することなく、ライトガイドレンズLGL等の広角集光部材を介して1つの受光部材LGLにより受光するように構成することも可能である。
【0132】
このライトガイドレンズLGLは、散乱光成分を集光するレンズ機能と、集光した散乱光成分の進行方向を反射部により偏光する機能を有している。すなわち、ライトガイドレンズLGLは、傷による散乱光領域S3のX軸方向の長さよりも短くても、当該散乱光領域S3の散乱光成分を十分に集光することができる。
【0133】
従って、広角集光部材を用いた場合は、例えば、レーザ発光部材の配備位置が限定され、導光部材も利用できない等の事情により、傷による散乱光領域S3の方向のスペースを十分に取れないときでも、傷による散乱光成分を受光できるようになる可能性が高くなる。
【0134】
また、広角集光部材を用いることにより、受光部材の配置位置の自由度が高くなる。これにより、高温になる定着器5の加熱ローラ5a、加圧ベルト5bからの散乱光成分を検知する受光部材SE,SFを、これら加熱ローラ5a、加圧ベルト5bから離れた位置に配備することができる。これにより、受光部材SE,SFの熱破壊、検知信号のレベル変動等を防止することが可能となる。
【0135】
[第3の実施の形態]
図12の構成例では、細長い2つ集光部材F,Gを用いて、感光ドラム1からの散乱光成分を集光している。この集光部材Fは、傷に起因する散乱光成分を集光すべく、Zθ0面内に略Z軸と平行に配備されている。また、集光部材Gは、汚れに起因する散乱光成分を集光すべく、Zθa面内に略Z軸と平行に配備されている。
【0136】
集光部材Fで集光された散乱光成分は、受光部材SAの方向に導かれ、当該受光部材SAにより検知される。
【0137】
集光部材Gで集光された散乱光成分は、受光部材SAUの方向に導かれ、当該受光部材SAUにより検知される。このような集光部材G,Fを用いることで、散乱光成分と他の部品との干渉を低減することができ、装置内の部品配置の自由度が高くなり、装置の大型化を回避することができる。
【0138】
また、図12の構成例では、レーザ発光部材Lからのレーザ光を集光レンズLeを介して検査対象物に照射するようにしている。この集光レンズLeを用いることにより、レーザ発光部材Lから発射するレーザ光(ビーム光)の径をある程度大きくすることができ、より安価なレーザ発光部材Lを用いることが可能となる。
【0139】
また、集光部材G,Fでの集光効率が向上するように、レーザ光のビーム径や形状を最適化することも可能となる。
【0140】
[第4の実施の形態]
以上の第1〜第3の実施の形態では、受光部材SA〜SG,SAUとしては、単体のフォトダイオード、フォトトランジスタ(1画素分の受光素子)を用いることを想定していた。しかし、これら受光部材をCCDセンサ、CMOSセンサ等のエリアセンサ(2次元センサ:複数画素分の受光素子群)により構成することも可能である。この場合、エリアセンサの画素数、画素サイズ、画素密度は最低クラスでも十分であり、非常に安価なエリアセンサを用いることができる。
【0141】
受光部材としてエリアセンサを用いる意義は、次のような点にある。すなわち、単体のフォトダイオード、フォトトランジスタを用いた場合は、検査対象物からの散乱光成分をピンポイントで検知するだけで、有る程度広い領域において検知することはできない。
【0142】
そのため、受光部材として単体のフォトダイオード、フォトトランジスタを用いた場合は、散乱光成分の僅かな強度分布の差異を検知することができず、表面検査の精度が必ずしも高いとは言えない。
【0143】
一方、受光部材としてエリアセンサを用いた場合は、散乱光成分の2次元的な強度分布を検知し、画像情報として記憶することができる。そして、各受光部材SA〜SG,SAUとしての各エリアセンサにおいて、画素毎に前述の基準情報、及び限界情報を設定すること等により、傷や汚れを高精度に検知することが可能となる。
【0144】
エリアセンサを用いる場合の基準情報、限界情報(判定情報)としては、画素単位での光強度だけでなく、各画素間における光強度の差分値(分布情報)、散乱光成分の広がりの程度等の情報も用いる。
【0145】
この場合、画像解析を行って散乱光成分の光強度の分布パターンのマッチングを行うことで検査対象物の良否、交換を判断することも考えられる。しかしながら、本実施の形態では、画像解析等の高度な処理を行うことなく、簡単な手法で検査対象物の良否、交換を判断している。
【0146】
例えば、主として、エリアセンサの外周部分の画素の光強度に着目して散乱光成分の広がりの程度を判定し、その広がりの程度が大きいほど、傷、汚れの程度が大きいと判定する。
【0147】
また、傷に起因する散乱光成分については、前述のX軸方向において検査対象物から離れて行く際の当該散乱光成分の光強度の低減率が小さい場合は、傷の程度が大きいと判定する。さらに、汚れに起因する散乱光成分については、エリアセンサの中央部分の画素から外周部分の画素へ進んで行く際の散乱光成分の光強度の低減率が小さい場合は、汚れの程度が大きいと判定する。
【0148】
以上のようにして、レーザ光の各種の導光部材、散乱光成分の各種の集光部材、各種の受光部材を最適に組み合わせることで、感光ドラム1などの各種の部品を画像形成装置に組み込んだままの状態で、当該部品の表面を検査することが可能となる。
【0149】
なお、図5,6,11,12では、導光部材、集光部材は、感光ドラムに対応するものだけを示したが、中間転写ベルト等の他の部品の表面を検査するユニットにおいても、同様の導光部材、集光部材を用いることができる。
【0150】
本発明は、上記の各実施の形態に限定されることなく、例えば、画像形成装置以外の装置に内蔵された各種部品、更には単体の物品の表面検査に上記の各実施の形態に係る技術思想を適用することも可能である。
【0151】
また、傷に起因する散乱光成分を受光する受光部材SA〜SCの代わりに、一次元のラインセンサ(リニアセンサ)を用いることも可能である。さらに、赤色レーザ光以外の波長に係るレーザ光(非分散光ビーム)を検査対象物に照射してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の実施の形態に表面検査装置を内蔵した画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】上記の表面検査装置におけるレーザ光の照射方法を説明するための図である。
【図4】上記の表面検査装置の基本的な構成を示す図である(感光ドラムの傷、汚れに対応)。
【図5】検査対象物(感光ドラム)の汚れに起因する散乱光とその受光部材を説明するための図である。
【図6】新品の検査対象物(感光ドラム)の表面粗さに起因する散乱光とその受光部材を説明するための図である。
【図7】受光部材の配備位置等を補足説明するための図である。
【図8】中間転写ベルトの表面を検査する場合の基本的な構成を示す図である。
【図9】表面検査処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】図9のP5,P9,P13における傷、汚れ判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る表面検査装置の構成を示す図である(第2の導光部材、第1の集光部材を使用)。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る表面検査装置の構成を示す図である(第3の導光部材、第2の集光部材を使用)。
【符号の説明】
【0153】
1…感光ドラム
4…中間転写ベルト
5…定着器
5a…加熱ローラ
5b…加圧ベルト
12〜15…レーザ発光部材
21…CPU
22…メモリ
22a…EEPROM
SA,SAU,SB,SC,SD、SE,SF,SG…受光部材
G,F…集光部材
Le…集光レンズ
LGL…ライトガイドレンズ
LP…ライトガイドパイプ
Mi…ミラー
S1…正反射領域
S2…表面粗さに起因する散乱光領域
S3…傷に起因する散乱光領域
STY…汚れに起因する散乱光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面上の直線ラインに非分散光ビームを走査無しに一括して照射する照射手段と、
前記照射手段により照射された前記非分散光ビームの反射光の散乱光成分を受光する受光手段と、
前記受光手段により受光された前記散乱光成分の光強度に基づいて前記検査対象物の表面の状態を判定する判定手段と、
を有することを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記受光手段は、単体の受光素子により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記受光手段は、前記散乱光成分の散乱領域に応じて複数配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記受光手段は、前記検査対象物の表面の傷に起因する散乱光成分の散乱領域と汚れに起因する散乱光成分の散乱領域とに、個別に配備されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記受光手段は、前記検査対象物の表面の傷に起因する散乱光成分の散乱領域と汚れに起因する散乱光成分の散乱領域とが重複する重複領域に配備されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記受光手段は、前記検査対象物の表面の傷に起因する散乱光成分の散乱領域の形状に応じて、当該傷に起因する散乱光成分の散乱領域に複数配備されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記判定手段は、各種の表面状態の検査対象物に係る前記散乱光成分の光強度に基づいて予め設定された判定情報を用いて、当該各種の表面状態の検査対象物と同一種の検査対象物であって実際に検査対象となっている検査対象物に係る前記散乱光成分の光強度を判定することにより、当該実際に検査対象となっている検査対象物の表面状態を判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記判定情報は、複数の前記受光手段毎に設定されていることを特徴とする請求項7に記載の表面検査装置。
【請求項9】
前記判定情報は、前記検査対象物の表面の傷に起因する散乱光成分の散乱領域に複数配備された受光手段に関しては、前記検査対象物との離間距離が大きい受光手段ほど、当該受光手段で受光された散乱光成分の光強度に対して傷の程度が大きいと判定するように設定されていることを特徴とする請求項8に記載の表面検査装置。
【請求項10】
前記判定手段は、前記検査対象物の表面の状態の判定結果に基づいて、当該検査対象物の交換の要否を判定することを特徴とする請求項1〜9に記載の表面検査装置。
【請求項11】
検査対象物の表面上の直線ラインに非分散光ビームを走査無しに一括して照射する照射工程と、
前記照射工程により照射された前記非分散光ビームの反射光の散乱光成分を受光する受光工程と、
前記受光工程により受光された前記散乱光成分の光強度に基づいて前記検査対象物の表面の状態を判定する判定工程と、
を有することを特徴とする表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−78496(P2010−78496A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248222(P2008−248222)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】