説明

表面燃焼バーナ

【課題】燃焼用ヘッダーの局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダーの内部への逆火を防止し、かつ、筒状の障壁の軸方向に沿って安定した火炎を形成することができる表面燃焼バーナを提供すること。
【解決手段】表面燃焼バーナ1は、燃料ガスF及び燃焼用空気Aの混合燃焼を行う燃焼用ヘッダー2と、燃焼用ヘッダー2の外側面に設けた耐熱金属繊維からなるメタルニット24と、メタルニット24の外側を覆う筒状の障壁3とを有している。燃焼用ヘッダー2は、筒形状の内側を燃料ガスFを通過させると共に、筒形状の外側を複数の凹部22に沿って燃焼用空気Aを通過させる。凹部22同士の間の凸部23には、燃料噴出孔21が軸方向Lの複数箇所に形成してある。表面燃焼バーナ1は、燃料噴出孔21から噴出する燃料ガスFと凹部22から外側へ流れる燃焼用空気Aとを、メタルニット24の表面で混合燃焼させ、障壁3内で火炎Hを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと燃焼用空気とを繊維材又は多孔質材から構成した通気性部材の表面で混合燃焼させる表面燃焼バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと燃焼用空気との燃焼により火炎を形成するバーナとしては、種々のものがある。その中でも、燃料ガスと燃焼用空気とをベンチュリーミキサー等を用いて予め混合させ、この予混合気を一本の配管によって燃焼部分へ導き、燃焼部分に設けた耐熱金属繊維製のメタルニットの表面で燃焼させる技術がある。例えば、特許文献1の無漏洩赤外線ガスバーナーには、金属繊維を圧縮して形成した通気性を有する発熱板の表面において、混合気を燃焼させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−108739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の表面燃焼バーナにおいては、予混合気を用いて燃焼を行っているため、予混合気が噴出される配管の燃焼部分において急激な燃焼が生じるおそれがある。そのため、配管の燃焼部分において局所的に過熱される部分が生じ、耐久性に優れない。また、予混合気を用いているため、配管の燃焼部分の内側へ逆火が生じるおそれもある。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、燃焼用ヘッダーの局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダーの内部への逆火を防止し、かつ、筒状の障壁の軸方向に沿って安定した火炎を形成することができる表面燃焼バーナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筒形状の内側を燃料ガスを通過させると共に、上記筒形状の外側を燃焼用空気を通過させるよう構成した燃焼用ヘッダーと、
該燃焼用ヘッダーの外側面に設けた繊維材又は多孔質材からなる通気性部材と、
該通気性部材の外側を覆う筒状の障壁とを有しており、
上記燃焼用ヘッダーには、該燃焼用ヘッダーの内外を連通する燃料噴出孔が軸方向の複数箇所に形成してあり、
該燃料噴出孔から噴出する燃料ガスと上記燃焼用ヘッダーの外側へ流れる燃焼用空気とを、上記通気性部材の表面で混合燃焼させ、上記障壁内で火炎を形成するよう構成したことを特徴とする表面燃焼バーナにある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の表面燃焼バーナは、上記燃焼用ヘッダーを用いて通気性部材の直前まで燃料ガスと燃焼用空気とを別経路で導き、これらを通気性部材の表面において混合燃焼させる。具体的には、燃料ガスは、燃焼用ヘッダーの内側を通過させ、燃焼用空気は、燃焼用ヘッダーの外側を通過させる。そして、燃焼用ヘッダーの外側を通過する燃焼用空気は、適宜外側へ流れ、燃焼用ヘッダーの燃料噴出孔から噴出された燃料ガスと混合されて、通気性部材の表面において混合燃焼される。このとき、通気性部材の表面において、燃料ガスが燃焼用ヘッダーの外側へ流れる燃焼用空気に対して急激に混合されず、緩やかに混合される。
【0008】
これにより、通気性部材の広い領域において緩慢燃焼が行われ、形成される火炎の温度が低く維持される。そのため、燃焼用ヘッダーが局所的に過熱されることを防止することができ、その耐久性を向上させることができる。また、燃料ガスと燃焼用空気とを予混合気とせず、燃料ガスと燃焼用空気とを通気性部材の直前で混合燃焼させることにより、燃焼用ヘッダーの内部へ逆火が生じることを防止することができる。また、緩慢燃焼が行われることにより、燃焼の際に発生する騒音を低減することもできる。
【0009】
さらに、本発明においては、筒状の障壁によって通気性部材の外側を覆っており、燃焼用ヘッダーにおける燃焼によって生じた火炎は、筒状の障壁の軸方向に沿って形成することができる。これにより、通気性部材の表面において緩慢燃焼を行いつつ、通常のバーナと同様に筒状の障壁の軸方向に沿って火炎を形成することができる。また、筒状の障壁により、火炎の保炎性を向上させることができる。
【0010】
それ故、本発明の表面燃焼バーナによれば、燃焼用ヘッダーの局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダーの内部への逆火を防止し、かつ、筒状の障壁の軸方向に沿って安定した火炎を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1における、表面燃焼バーナの側方断面を示す説明図。
【図2】実施例1における、燃焼用ヘッダーの周辺を拡大した側方断面を示す説明図。
【図3】実施例1における、燃料噴出孔の形成箇所の横断面を示す説明図。
【図4】実施例2における、表面燃焼バーナの側方断面を示す説明図。
【図5】実施例3における、表面燃焼バーナの側方断面を示す説明図。
【図6】実施例4における、表面燃焼バーナの側方断面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述した本発明の表面燃焼バーナにおける好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記燃焼用ヘッダー、上記通気性部材及び上記筒状の障壁は、円筒形状に形成することができ、これ以外にも、四角形断面、多角形断面等の筒形状に形成することもできる。
また、上記繊維材によって構成した通気性部材は、耐熱性の高い金属繊維を布状(ニット状)に編んだメタルニット、耐熱性の高い金属繊維を交錯配置して厚みを持った所定形状に形成した繊維質体等とすることができる。また、上記多孔質材によって構成した通気性部材は、多数の微細な孔が形成された耐熱性の高いセラミックス等の多孔質体とすることができる。
【0013】
上記燃焼用ヘッダーにおける上記筒形状の外側面には、燃焼用空気を通過させる複数の凹部が形成してあり、上記燃料噴出孔は、上記凹部同士の間の凸部に形成してあり、上記燃焼用ヘッダーの内側には、燃料ガスを供給する燃料管が接続してあり、上記燃焼用ヘッダーの外側には、上記燃料管を覆って上記複数の凹部へ燃焼用空気を供給する空気管が接続してあり、上記障壁内を通過した燃焼後の排ガスを上記空気管の外側を通過させて、該空気管内の燃焼用空気へ排熱回収させるよう構成することが好ましい(請求項2)。
この場合には、燃料噴出孔と凹部とが燃焼用ヘッダーにおける周方向の異なる位置にあることにより、通気性部材の表面において、緩慢燃焼を容易に行うことができる。
また、障壁内に火炎を形成することにより、燃焼後の排ガスから排熱回収して、燃焼用空気を予熱することにより、表面燃焼バーナにおいて、排気損失を抑えて高効率燃焼を行うことができる。
【0014】
上記複数の燃料噴出孔は、全てを上記燃焼用ヘッダーの凸部に設けることができる。また、複数の燃料噴出孔は、一部を燃焼用ヘッダーの凹部に設け、残りを凸部に設けることもできる。
上記燃焼用ヘッダーの凹部は、燃焼用ヘッダーの軸方向に沿って形成することができる。また、凹部は、例えば、燃焼用ヘッダーの周方向にねじりながら軸方向へ螺旋状に形成することもできる。
【0015】
また、上記障壁は、その先端部が閉塞してあり、上記火炎を上記燃料ガス及び上記燃焼用空気の通過方向と反対方向へ形成するよう構成することが好ましい(請求項3)。
この場合には、通気性部材の表面において緩慢燃焼させていることにより、障壁の先端部を閉塞させた簡単な工夫により、火炎を燃料ガス及び燃焼用空気の通過方向と反対方向へ形成することができる。また、障壁をラジアントチューブとし、少ない部品点数によって簡単に間接加熱式の排熱回収バーナを形成することができる。
【実施例】
【0016】
以下に、本発明の表面燃焼バーナにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の表面燃焼バーナ1は、図1に示すごとく、筒形状の内側を燃料ガスFを通過させると共に、筒形状の外側を燃焼用空気Aを通過させるよう構成した燃焼用ヘッダー2と、燃焼用ヘッダー2の外側面に設けた繊維材又は多孔質材からなる通気性部材24と、通気性部材24の外側を覆う筒状の障壁3とを有している。燃焼用ヘッダー2には、燃焼用ヘッダー2の内外を連通する燃料噴出孔21が軸方向Lの複数箇所に形成してある。表面燃焼バーナ1は、燃料噴出孔21から噴出する燃料ガスFと燃焼用ヘッダー2の外側へ流れる燃焼用空気Aとを、通気性部材24の表面で混合燃焼させ、障壁3内で火炎Hを形成するよう構成してある。
【0017】
以下に、本例の表面燃焼バーナ1につき、図1〜図3を参照して詳説する。
図1は、表面燃焼バーナ1の側方断面を示す図であり、図2は、燃焼用ヘッダー2の周辺を拡大した側方断面を示す図である。図3は、図2における燃料噴出孔21の形成箇所の横断面(軸方向Lに直交する方向の断面)を示す図である。
本例の通気性部材24は、燃焼用ヘッダー2の外周面に設けた耐熱金属繊維からなるメタルニット24である。
【0018】
図2、図3に示すごとく、燃焼用ヘッダー2における円筒形状の外周面には、燃焼用空気Aを通過させる複数の凹部22が形成してある。燃料噴出孔21は、凹部22同士の間の凸部23に形成してある。また、燃焼用ヘッダー2の先端部に設けたプレート20には、燃料Fを噴出させる燃料噴出孔21及び燃焼用空気Aを噴出させる空気噴出孔25が設けてある。本例の表面燃焼バーナ1は、燃料噴出孔21から噴出する燃料ガスFと凹部22から外周側へ流れる燃焼用空気Aとを、メタルニット24の表面で混合燃焼させ、障壁3内で火炎Hを形成するよう構成してある。
図1、図2に示すごとく、本例の燃焼用ヘッダー2には、燃料ガスFを供給する燃料管4と、燃料管4を覆って燃焼用ヘッダー2における複数の凹部22へ燃焼用空気Aを供給する空気管5とが接続してある。
【0019】
空気管5は、燃焼用ヘッダー2の基端側L2の部分を覆っており、複数の凹部22の基端側L2の部分は、空気管5の先端側L1の部分によって覆われている。空気管5には、燃焼用空気Aが流入する空気室51と、燃焼用空気Aの流入口52とが設けてある。
本例のメタルニット24は、空気管5によって覆われた燃焼用ヘッダー2の基端側L2の部分を除く先端側L1の部分の外周に設けてある。メタルニット24は、その先端側L1の端部241が燃焼用ヘッダー2に溶接してあり、その基端側L2の端部242が空気管5の先端部に溶接してある。
【0020】
図3に示すごとく、本例の燃焼用ヘッダー2は、円筒形状の外周において、周方向Cに略等間隔に凹部22を繰り返し形成し(本例では8個の凹部22を周方向Cに略等間隔に形成し)、燃料噴出孔21を各凸部23における径方向Rに向けて形成してなる。また、複数の凹部22は、燃焼用ヘッダー2の軸方向Lに沿って形成してある。
図2に示すごとく、複数の燃料噴出孔21は、各凸部23の軸方向Lに並ぶように形成してあり、互いに隣接する凸部23に形成した燃料噴出孔21は、軸方向Lに互いにずれた位置に形成されている。複数の燃料噴出孔21は、燃焼用ヘッダー2を側方から見た状態において全体的に千鳥状に形成されている。
【0021】
本例の表面燃焼バーナ1は、燃焼用ヘッダー2を用いてメタルニット24の直前まで燃料ガスFと燃焼用空気Aとを別経路で導き、これらをメタルニット24の表面において混合燃焼させる。具体的には、燃料ガスFは、燃焼用ヘッダー2の内周を通過させ、燃焼用空気Aは、燃焼用ヘッダー2の外周に設けた複数の凹部22に沿って通過させる。そして、凹部22を通過する燃焼用空気Aは、適宜外周側へ流れ、燃焼用ヘッダー2の燃料噴出孔21から噴出された燃料ガスFと混合されて、メタルニット24の表面において混合燃焼される。このとき、燃料噴出孔21と凹部22とが燃焼用ヘッダー2における周方向Cの異なる位置にあることにより、メタルニット24の表面において、燃料ガスFが凹部22から外周側へ流れる燃焼用空気Aに対して急激に混合されず、緩やかに混合される。
【0022】
これにより、メタルニット24の略全域において緩慢燃焼が行われ、形成される火炎Hの温度が低く維持される。そのため、燃焼用ヘッダー2が局所的に過熱されることを防止することができ、その耐久性を向上させることができる。また、燃料ガスFと燃焼用空気Aとを予混合気とせず、燃料ガスFと燃焼用空気Aとをメタルニット24の直前で混合燃焼させることにより、燃焼用ヘッダー2の内周側へ逆火が生じることを防止することができる。また、緩慢燃焼が行われることにより、燃焼の際に発生する騒音を低減することもできる。
【0023】
さらに、本例においては、筒状の障壁3によってメタルニット24の外周側を覆っており、燃焼用ヘッダー2における燃焼によって生じた火炎Hは、筒状の障壁3の軸方向Lに沿って形成することができる。これにより、メタルニット24の表面において緩慢燃焼を行いつつ、通常のバーナと同様に筒状の障壁3の軸方向Lに沿って火炎Hを形成することができる。また、筒状の障壁3により、火炎Hの保炎性を向上させることができる。
【0024】
それ故、本例の表面燃焼バーナ1は、燃焼用ヘッダー2の局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダー2の内周側への逆火を防止し、かつ、筒状の障壁3の軸方向Lに沿って安定した火炎Hを形成することができる。
【0025】
次に、正常な火炎を形成するために適切な燃焼用ヘッダー2と障壁3との関係を説明する。
燃焼用ヘッダー2において燃焼を行った直後に障壁3内を通過させる燃焼ガスの流速は、0.5〜10m/sとすることが好ましい。この場合、正常な火炎を形成することができ、用途に応じて、流速が0.5〜3m/sの範囲においては、赤火による緩慢燃焼を行うことができ、流速が3〜10m/sの範囲においては、青火による急速燃焼を行うことができる。
流速が0.5m/s未満の場合には、通気性部材(メタルニット等)24の表面の略全域において燃焼を行うことが困難になり、失火するおそれがある。一方、流速が10m/s超過の場合には、通気性部材(メタルニット)24の表面における保炎が困難になり、失火するおそれがある。
【0026】
また、燃焼用ヘッダー2(通気性部材24)の外径dと障壁3の内径Dとの関係は、D/d=1.05〜2.9とすることが好ましい(図1参照)。この場合、正常な火炎を形成することができる。
D/d=1.05未満の場合には、燃焼用ヘッダー2と障壁3との隙間が狭過ぎて、保炎が困難になり、失火するおそれがある。一方、D/d=2.9超過の場合には、燃焼用ヘッダー2と障壁3との隙間が広過ぎて、流速が遅くなり、失火するおそれがある。なお、D/dの値は、燃焼用ヘッダー2及び障壁3が円形又は略円形の横断面を有する場合の値とすることができる。
【0027】
(実施例2)
本例は、筒状の障壁3の使い方によって、排熱回収を行う表面燃焼バーナ1を構成したバリエーションの一つを示す例である。
本例の表面燃焼バーナ1は、先端部が開口した筒状の障壁3を用いて、直火式(直接加熱式)の自己排熱回収バーナを構成している。
具体的には、図4に示すごとく、表面燃焼バーナ1において、空気管5の外周側に排ガスGを回収するための排ガス管6を設け、この排ガス管6の先端側L1に排ガスGを吸入する吸入管7を設けている。排ガス管6には、空気管5を通過する燃焼用空気Aへ排熱回収した後の排ガスGを排出する排気口61が設けてある。
【0028】
本例においては、表面燃焼バーナ1は、火炎Hによって被加熱物の直接加熱を行う加熱炉等に用いることができる。そして、燃焼用ヘッダー2における燃焼を行って、筒状の障壁3の軸方向Lの先端側L1へ向けて火炎Hを形成し、加熱炉等の炉内を加熱した後、吸入管7から排ガスGを回収する。このとき、吸入管7から排ガス管6へ流入する排ガスGは、空気管5の側壁を介して空気管5内の燃焼用空気Aと熱交換を行い、排ガスGの排熱回収が行われる。
【0029】
そして、燃焼用ヘッダー2の局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダー2の内周側への逆火を防止して、安定した火炎Hを形成すると共に、排ガスGの排熱回収を行い、排気損失を抑えた高効率燃焼を行うことができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0030】
(実施例3)
本例も、筒状の障壁3の使い方によって、排熱回収を行う表面燃焼バーナ1を構成したバリエーションの他の一つを示す例である。
本例の表面燃焼バーナ1は、先端部が閉塞した筒状の障壁3によってラジアントチューブを構成し、間接加熱式の自己排熱回収バーナを構成している。
具体的には、図5に示すごとく、表面燃焼バーナ1において、空気管5の外周側に排ガスGを回収するための排ガス管6を設け、この排ガス管6の先端側L1に、先端部が閉塞した筒状の障壁3を接続している。障壁3は、伝熱性、耐熱性に優れたセラミックス、鋳物等からなるラジアントチューブから構成することができる。燃焼用ヘッダー2は、障壁3の先端部に近い位置に設けてある。
そして、本例の表面燃焼バーナ1は、燃焼用ヘッダー2によって形成した火炎Hを、燃料ガスF及び燃焼用空気Aの通過方向(先端側L1)と反対方向(基端側L2)へ形成するよう構成される。
【0031】
本例においては、表面燃焼バーナ1は、火炎Hによって被加熱物の間接加熱を行う加熱炉、溶湯の溶解保持炉、雰囲気熱処理炉等に用いることができる。表面燃焼バーナ1は、溶湯の溶解保持炉に用いる場合には、溶湯内に浸漬させて用いることができる。そして、燃焼用ヘッダー2における燃焼を行ったときには、炉壁の先端部が閉塞されていることにより、火炎Hは、障壁3の軸方向Lの基端側L2へ向けて形成される。そして、障壁3を介して炉内を輻射熱によって間接的に加熱した後、排ガスGとして排ガス管6から排気される。このとき、排ガス管6を通過する排ガスGは、空気管5の側壁を介して空気管5内の燃焼用空気Aと熱交換を行い、排ガスGの排熱回収が行われる。
【0032】
また、メタルニット24の表面において緩慢燃焼させていることにより、障壁3の先端部を閉塞させた簡単な工夫により、火炎Hを燃料ガスF及び燃焼用空気Aの通過方向と反対方向へ形成することができる。また、障壁3をラジアントチューブとし、少ない部品点数によって簡単に間接加熱式の自己排熱回収バーナを形成することができる。
そして、燃焼用ヘッダー2の局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダー2の内周側への逆火を防止して、安定した火炎Hを形成すると共に、排ガスGの排熱回収を行い、排気損失を抑えた高効率燃焼を行うことができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
(実施例4)
本例も、筒状の障壁3の使い方によって、排熱回収を行う表面燃焼バーナ1を構成したバリエーションの他の一つを示す例である。
本例の表面燃焼バーナ1は、図6に示すごとく、空気管5の外周側に排ガスGを回収するための排ガス管6を設け、燃焼用ヘッダー2の外周側に先端部が開口した筒状の内側障壁3Aを設けると共に、この内側障壁3Aの外周側に先端部が閉塞した筒状の外側障壁3Bをラジアントチューブとして設けている。そして、外側障壁3Bの基端側L2の開口部を排ガス管6の先端側L1の開口部に接続している。
【0034】
本例においては、燃焼用ヘッダー2において燃焼を行い、筒状の内側障壁3Aの軸方向Lの先端側L1へ向けて火炎Hを形成する。そして、内側障壁3A内を軸方向Lの先端側L1へ通過する燃焼ガスIを内側障壁3Aの先端部において基端側L2へ折り返し、外側障壁3Bの先端部から外側障壁3B内を軸方向Lの基端側L2へ向けて通過させる。これにより、外側障壁3Bからの輻射熱により炉内を間接的に加熱し、空気管5の側壁を介して排ガスGの排熱回収を行う。
【0035】
本例においても、燃焼用ヘッダー2の局所的な過熱、及び燃焼用ヘッダー2の内周側への逆火を防止して、安定した火炎Hを形成すると共に、排ガスGの排熱回収を行い、排気損失を抑えた高効率燃焼を行うことができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例3と同様であり、上記実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 表面燃焼バーナ
2 燃焼用ヘッダー
21 燃料噴出孔
22 凹部
23 凸部
24 通気性部材(メタルニット)
3 障壁
3A 内側障壁
3B 外側障壁
4 燃料管
5 空気管
6 排ガス管
A 燃焼用空気
F 燃料ガス
H 火炎
L 軸方向
L1 先端側
L2 基端側
C 周方向
R 径方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の内側を燃料ガスを通過させると共に、上記筒形状の外側を燃焼用空気を通過させるよう構成した燃焼用ヘッダーと、
該燃焼用ヘッダーの外側面に設けた繊維材又は多孔質材からなる通気性部材と、
該通気性部材の外側を覆う筒状の障壁とを有しており、
上記燃焼用ヘッダーには、該燃焼用ヘッダーの内外を連通する燃料噴出孔が軸方向の複数箇所に形成してあり、
該燃料噴出孔から噴出する燃料ガスと上記燃焼用ヘッダーの外側へ流れる燃焼用空気とを、上記通気性部材の表面で混合燃焼させ、上記障壁内で火炎を形成するよう構成したことを特徴とする表面燃焼バーナ。
【請求項2】
請求項1において、上記燃焼用ヘッダーにおける上記筒形状の外側面には、燃焼用空気を通過させる複数の凹部が形成してあり、上記燃料噴出孔は、上記凹部同士の間の凸部に形成してあり、
上記燃焼用ヘッダーの内側には、燃料ガスを供給する燃料管が接続してあり、上記燃焼用ヘッダーの外側には、上記燃料管を覆って上記複数の凹部へ燃焼用空気を供給する空気管が接続してあり、
上記障壁内を通過した燃焼後の排ガスを上記空気管の外側を通過させて、該空気管内の燃焼用空気へ排熱回収させるよう構成したことを特徴とする表面燃焼バーナ。
【請求項3】
請求項2において、上記障壁は、その先端部が閉塞してあり、上記火炎を上記燃料ガス及び上記燃焼用空気の通過方向と反対方向へ形成するよう構成したことを特徴とする表面燃焼バーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−58746(P2011−58746A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210252(P2009−210252)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000221834)東邦瓦斯株式会社 (440)
【出願人】(000147257)株式会社正英製作所 (11)
【Fターム(参考)】