説明

袋詰め包装における開袋方法及び装置

【課題】袋幅に関わらず確実で安定した開袋ができ、且つ開袋状態の良否の判定が正確に行える開袋方法及び装置を提供する。
【解決手段】互いに離間した待機位置に対向配置された一対の吸盤を最接近位置へ移動させ、最接近位置において袋の両面に吸盤を該吸盤に作用する真空圧により吸着させ、最接近位置と待機位置との間の中間位置まで吸盤を互いに後退させ、吸盤の中間位置への移動に合わせて把持部材を互いに接近させ、中間位置に到達した吸盤を所定の時間停止させ、吸盤を中間位置から待機位置へそれぞれ後退させ、中間位置へ到達する直前から該中間位置に停止している間に吸盤に作用している真空圧を測定し、真空圧測定後から待機位置への移動開始直後までの間に吸盤への真空圧の作用を停止し、測定された真空圧と予め設定された基準値とを比較し、袋の開袋の良否を判定し、中間位置の位置を袋の幅寸法に応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、袋詰め包装における袋を開く開袋方法及び装置に関し、さらに詳細に言えば、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで把持し、袋を所定の軌道に沿って移送しながら順次所定の包装処理を施す袋詰め包装に使用する開袋方法及び装置に関し、特に幅寸法の異なる袋でその開袋状態の良否を確実に検出できる開袋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋詰め包装機において、袋の両側縁部を左右一対のグリッパで把持し、袋を所定の軌道に沿って移送しながら順次所定の包装処理を施すタイプの袋詰め包装機がある。この包装機では使用する袋はその袋口が閉じた状態で供給され、包装機に備えられた開袋装置で袋口を開き、所謂自立袋の場合には袋口と併せて袋底側をも開く開袋装置が使用されている。
【0003】
ところで、袋の開袋が良好に行われないとその後の充填物の充填などの作業が的確に行われず、不良品を発生させることとなる。それを防止するには、充填物の充填作業などに先立って、開袋が良好に行われたかどうかを判定する必要がある。例えば特開平8−40420号にはそのような開袋の良否を判定する機能を備えた開袋方法が開示されている。
【0004】
この方法は、袋の両側に吸着した一対の吸盤を先ず第1の開動作で規定間隔S(待機位置)より短い間隔S1(中間位置)となるよう互いに後退させ、そのときに吸盤に作用している真空圧測定のための同期信号を発し、一定時間停止後或いは第1の開動作に引き続いて第2の開動作を行わせて規定間隔Sまで後退させるものである。そして、第1の開動作を行う時間t1を、袋に吸着した吸盤に通じる真空管路内の真空度を安定する時間tとほぼ同じにしている。これにより、吸盤が最も前進して袋に吸着して停止している時間t0とt1との和をtより長くして、同期信号を発せられるときには確実に真空管路内の真空圧が安定しているようにしている。なお、吸盤は最大間隔Sに達する少し前、すなわち袋の開袋量が最大に達したときに合わせて真空が解除されて袋から離れるようになっている。
【0005】
上記の特開平8−40420号では、上記の開袋方法は所謂自立袋の袋底側に吸着する吸盤に適用する技術として開示されているが、このような技術は袋上部の袋口側に吸着する吸盤についても適用可能であることは言うまでもない。ところでこの技術は、特定の幅寸法の袋についてはその幅寸法に合わせて間隔S,S1を設定し、さらに間隔S,S1に合わせて吸盤の後退速度を設定することにより開袋の良否を正確に判定できる。
【0006】
ところで幅寸法の異なる袋ごとに異なる包装機を用意することは設備投資に多大な費用が掛かるところから、一般的には、同じ袋詰め包装機を使用して幅寸法の異なる複数種類の袋への袋詰めを行っているのが通常である。その場合に、間隔S1(中間位置)は使用する袋のうち幅寸法の最も狭い袋の幅に合わせて一定に設定され、規定間隔S(待機位置)は使用する袋のうち幅寸法が最も広い袋の幅に併せて一定に設定されているのが一般的である。また、吸盤の吸着、開放すなわち真空を作用させ、解除するタイミングも作業効率などの観点から一定に設定されている。
【0007】
この場合の吸盤の袋への吸着、解除、吸盤の移動、停止などは図4のタイムチャートに示すようになる。ここで図4中の「待機位置」「中間位置」とは特開平8−40420号でいう規定間隔S,それより狭い間隔S1にそれぞれ吸盤が位置している状態を言い、最接近位置とは閉じた袋両面に吸盤が当接した位置を示している。そしてセンサでの真空圧検出は吸盤が中間位置に位置している間に行うようになっている。
【0008】
ここで幅寸法の狭い袋の場合についてみると、前述のとおり間隔S1が幅寸法の最も狭い袋に合わせて設定されているので、吸盤が第1離反位置から第2離反位置へ向かって移動する途中(例えば図中のa点)において袋は吸着している吸盤から強制的に引き剥がされる状態となる。このためにその反動によって片側の袋面が反対側へ移動し、袋口が正規の状態より閉じた状態になる場合がある(図5参照)。このためそれ以前に検出された真空圧に基づいて開袋良好と判定されるにもかかわらず、実際には開袋不良の場合が生じる。一方幅寸法の広い袋の場合、間隔がSとなる少し前(例えば図中のb点)に吸盤への真空の作用を停止され、そこで開袋作用は停止され、吸盤が袋から離れて規定間隔Sまで後退するようになっているが、真空作用停止位置に到達する前に何らかの原因、例えば吸盤の劣化、吸着位置のズレなどに起因してリークが生じた場合、やはりそこで吸盤は外れてしまい、その反動で片側の袋面が反対側へ移動し(図6参照)、この場合も判定は開袋良となっているにもかかわらず実際には開袋不良となってしまう。
【0009】
特開平6−156437号には、一対の吸引体10,11を袋の幅寸法に応じて移動して予め所定の間隔だけ隔てて配置し、袋が吸引体の間に配置されると吸引ポンプにより生じる吸引力により吸引体に袋の両面を吸引させ袋口を開く技術が開示されている。この開袋方法は特開平8−40420号の閉じた袋の両面に吸盤を吸着させてから吸盤を後退させて開袋する開袋方法とは基本的原理が全く異なる。この場合、袋の吸引を開始するときには吸引体は袋から離れているので、その状態で袋口を開くにはきわめて大きな吸引力を作用させなければならない。また、通常袋は合成樹脂製であり、袋口は単に物理的に閉じているだけでなく、静電気の作用によってその両面は離れにくくなっている。従って、僅かにでも吸引体に作用する真空圧のバランスが崩れると、袋は閉じたままで一方の吸引対へ引き付けられてしまう。そしてそのような開袋不良の場合を検出する手段は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−40420号公報
【特許文献2】特開平6−156437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は上記従来例の問題点に鑑みなされたものであり、袋のサイズ(袋幅)に関わらず確実で安定した袋の開袋ができ、且つ開袋状態の良否の判定が正確に行える開袋方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本願の開袋方法に係る発明は以下のように構成した。すなわち、袋の両側縁部を一対の把持部材で把持して該袋を所定の軌道に沿って移動しながら該袋を開袋し、内容物を充填する袋詰め包装における開袋方法は以下の工程を含むものとした。
互いに離間した待機位置に対向配置された一対の吸盤を最接近位置へ移動させる工程、
前記最接近位置において袋の両面に前記一対の吸盤を該吸盤に作用する真空圧により吸着させる工程、
前記最接近位置と前記待機位置との間の中間位置まで前記吸盤を互いに後退させて離反させる工程、
前記吸盤の中間位置への移動に合わせて前記把持部材を互いに接近させる工程、
前記中間位置に到達した前記吸盤を前記中間位置に所定の時間停止させる工程、
前記吸盤を前記中間位置から前記待機位置へそれぞれ後退させる工程、
前記中間位置へ到達する直前から該中間位置に停止している間に前記吸盤に作用している真空圧を測定する工程、
真空圧測定後から前記待機位置への移動開始直後までの間に前記吸盤への真空圧の作用を停止する工程、
測定された真空圧と予め設定された基準値とを比較し、前記袋の開袋の良否を判定する工程、
前記中間位置の位置を袋の幅寸法に応じて変更する工程。
さらに、前記袋の幅寸法を検出する工程を含み、前記中間位置の位置の変更は、前記検出された幅寸法に基づいて行われるようにすることができる。
さらに、前記吸盤の、前記最接近位置から前記中間位置への移動速度、該中間位置での停止時間、前記中間位置から前記待機位置への移動速度は、前記中間位置の位置にかかわらず一定とすることができる。
本発明の開袋装置に係る発明は以下のように構成した。すなわち
袋の両側縁部を一対の把持部材で把持して該袋を所定の軌道に沿って移動しながら該袋を開袋し、内容物を充填する袋詰め包装機における開袋装置は以下の要素を含んで構成した。
互いに対向配置され、切換え弁を介して真空源に接続された一対の吸盤、
前記吸盤を、互いに離間した待機位置と、互いに最も接近した最接近位置と、前記待機位置と最接近位置との間の中間位置との間で移動させるサーボモータ、
前記吸盤に作用する真空圧を検出する圧力センサ、
前記吸盤への真空圧の作用を制御する第1制御手段と、前記サーボモータを制御し、前記吸盤の移動、停止を制御する第2制御手段と、前記圧力センサによる真空圧検出のタイミングを制御する第3制御手段と、前記検出された真空圧と予め設定された基準値とを比較して前記袋の開袋の良否を判定する判定手段と、使用する袋の幅寸法に応じて前記中間位置の位置を変更する第4制御手段とを備えた制御手段。
上記第2制御手段は、吸盤を前記待機位置から前記最接近位置へ移動させた後所定時間停止させ、その後前記中間位置へ移動させた後所定時間停止させ、その後前記待機位置へ移動させて所定時間停止させ、
上記第3制御手段は、前記吸盤が前記中間位置へ到達する直前から該中間位置に停止している間に、前記圧力センサに前記吸盤に作用している真空圧を測定させ、
上記第1制御手段は、前記吸盤が前記最接近位置に到達する直前から該最接近位置に停止いる間に前記吸盤への真空圧の作用を開始させ、前記真空圧測定後から前記吸盤の前記待機位置への移動開始直後までの間に真空圧を解除する、
ようにすることができる。
さらにその開袋装置は、前記袋の幅寸法を検出する袋幅検出手段を含み、前記第4制御手段は前記袋幅検出手段からの信号に基づいて前記中間位置の位置を変更するようにしてもよい。
上記第2制御手段は、前記第4制御手段による前記中間位置の位置の変更に関わらず、前記吸盤の、前記最接近位置から前記中間位置への移動速度、該中間位置での停止時間、前記中間位置から前記待機位置への移動速度を一定に維持することとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、袋の幅寸法に関わらず吸盤が袋の両面から離れる開袋完了タイミングを吸盤の吸着開放タイミングと略一致させることができるため、吸着状態にある吸盤を袋から強制的に引き剥がすことがなく、引き剥がしによる反動で袋の片側面が反対側に移動して袋口を閉じてしまう開袋不良を防止でき、かつそれを開袋良とする判定ミスも防止できる。
また、袋幅寸法に関わらず、開袋状態の検出タイミングが開袋完了直前に行われるので、開袋途中で何らかの原因で袋の片側面が吸盤から外れてその反動で反対側へ移動して袋口を閉じてしまった場合には確実に開袋不良として検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願の実施の形態に係る開袋装置を使用した袋詰め包装機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】開袋装置の構成図である。
【図3】吸盤の動作を示すタイムチャートである。
【図4】従来技術での吸盤の動作を示すタイムチャートである。
【図5】従来技術で開袋不良であるにもかかわらず開袋良と判定される一例を示す図である。
【図6】従来技術で開袋不良であるにもかかわらず開袋良と判定される他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、以下の実施の形態は例示的に示すものであり、本願発明の範囲がそれに限定されるものではない。
【0016】
図1は本発明の実施の形態に係る開袋装置を使用した袋詰め包装機(以下、「包装機」という)1の全体の構成を示す斜視図である。この実施の形態では包装機1は図中矢印方向に回転するテーブル3を備えたロータリー式である。回転テーブル3には、対になって袋Bの両側縁部を挟持して保持するグリッパ5が円周方向所定の間隔で設けられ、回転テーブル3の間欠回転に伴ってステーション即ち停止位置IからXへと順次移動する。このステーションIからXにおいて回転テーブル3が停止中に各種の処理工程が実行される。
【0017】
最初のステーションIは給袋工程であり、本実施の形態ではコンベアマガジンとされた袋マガジン6によって一枚ずつ繰出される袋Bを一対の袋取出し吸盤7で取出し、グリッパ5へ向けて移送しながらその姿勢を垂直状態に変更し、それをグリッパ5が受け取って保持する。コンベアマガジン6の構成及びそれから袋取出し吸盤7を用いて袋Bをグリッパ5に引渡す構成は公知なのでその詳細な説明は省略する。次のステーションIIは幅寸法検出工程であり、カメラ8で袋Bの幅寸法を検出し、その検出結果を後述の制御装置53へ入力する。ステーションIIIは開袋工程で、一対の開口吸盤23を備えた開袋装置21で袋Bの口を開き、開口ガイド9でその開口状態を維持できるようにする。開口ガイド9は追従型であり、袋Bに追従してステーションIVへ移動し、所定のタイミングでステーションIIIへ戻る。開袋装置21については後述する。ステーションIVは固形の被包装物をホッパ10を用いて袋Bに充填する工程、ステーションVは図示しないタンクに貯留された液状の被包装物をノズル11を介して充填する工程である。
【0018】
次にステーションVIはスチームノズル12からスチームを袋B内へ噴射して袋B内の空気をスチームで置換して脱気する工程である。ステーションVIIには一対の熱板14を備えた一次シール装置13が配置されている。ステーションVIIIにはやはり一対の熱板16を備えた二次シール装置15が配置され、二次シールを施す。ステーションIXには一対の冷却板18を備えた冷却装置17が配置され、袋Bの熱シールを施されたシール部を冷却し、その後製品としての袋Bを製品排出シート19へ排出する。ステーションXでは開袋不良と判定された袋Bを排出する。
【0019】
次にステーションIIIに配置される開袋装置21の構成について、図2の構成図を参照して説明する。図2はグリッパ5によって両側縁部を把持された袋BがステーションIIIに移動してきて停止した状態を示し、一対の吸盤23、23はこの袋Bを挟んで互いに対向した状態で配置されている。
【0020】
符号25は開袋装置21のフレームであり、図示しない支柱などに固定して取付けられている。フレーム25には水平に延びる水平部26とその両端で下に向かって互いに並行に延びるアーム部27、28が設けられ、アーム部27,28に両端を固定されたガイド軸31が水平部26と並行に伸びて取付けられている。そしてその下側には、ガイド軸31と並行に伸びるネジ軸33が、その一端側においてはフレーム25の一方のアーム部27に回転可能に直接に取付けられ、他端側は、他方のアーム部28の外側面に取付けられたサーボモータ37の出力軸38に連結部材39を用いて一体回転可能に取付けられている。ネジ軸33には、その中央部分を境にして図中左側には左ネジ部34が、右側には右ネジ部35が形成されている(勿論その逆でもよい。)。そしてそれぞれのネジ部34,35にスライドバー40,41が螺合して取付けられ、それぞれの上端部には孔が形成されてガイド軸31に嵌合している。従って、サーボモータ37の回転に応じてスライドバー40,41はガイド軸31、ネジ軸33に沿って互いに反対方向へ移動し、サーボモータ37の回転方向に応じて互いに近寄り或いは遠ざかるようになっている。
【0021】
スライドバー40,41の下端にはそれぞれ前述の吸盤23,23が取付け軸24,24を介して取付けられている。図中二点鎖線で示されているスライドバー40,41は待機位置にあるもので、この時吸盤23,23は互いに最も遠ざかった位置にあり、この状態で袋BがステーションIIIに移動してくるのを待つ。そして、袋Bが移動してくるとサーボモータ37が作動し、スライドバー40,41が図中実線で示された位置へ移動し、吸盤23,23は互いに最も接近した状態となり、停止した袋Bの両面に当接することとなる。吸盤23,23の動作については後に詳述する。
【0022】
符号43は一端が切換え弁49を介して真空源47に接続された配管で、他端側は二股に分岐した分岐部44,45となってそれぞれ吸盤23,23に繋がれている。切換え弁49の切換えにより吸盤23,23に真空圧が作用し、或いは解除される。符号51は配管43に取付けられた圧力センサであり、吸盤23,23に作用する真空圧を測定するものである。そして、サーボモータ37、切換え弁49、圧力センサ51、それとステーションIIに設けられたカメラ8が制御装置53に接続されている。
【0023】
次に図3に示されるタイムチャートを参照して吸盤23の動作について説明する。この実施の形態におけるこのタイムチャートは、包装機のメインの駆動軸の回転角度に基づいており、その一回転(360度)を1サイクルとしているもので、実際の時間によるものではない。従って、開袋装置21(包装機1)の運転速度が変更された場合には1サイクルのトータル時間、すなわち単位角度あたりの時間は変わるが吸盤の各動作の1サイクル中でのタイミングは変わらない。
【0024】
吸盤23,23の動作の詳細な説明をする前に、その移動の基本的動作について説明する。すなわち、本実施の形態の開袋装置21は、幅寸法の異なる複数種類の袋の開袋を行うことのできるものであるが、吸盤23,23は、最も間隔の広い待機位置と、最も間隔が狭い最接近位置と、これらの間の中間位置との間を移動する。待機位置は、袋BがステーションIIIに移動してくるのを待っているときに吸盤23,23が位置する位置であり、この時の吸盤23,23の間隔Sは一定であり、使用する袋の内の最大の幅寸法を有する袋の開袋を行える寸法に設定されている。最接近位置は吸盤23,23が互いにもっとも接近した位置で、この位置では吸盤23,23は袋Bを間に挟んで略密着した状態で、その間隔は袋の厚み分はあるが、間隔Sに比すれば略ゼロといってよい。中間位置は、最接近位置と待機位置との間の位置で、その間隔は、使用される袋Bの幅寸法に応じて変更される。すなわち、ステーションIIに設けられたカメラ8により検出され制御装置53に入力される、使用される袋Bの幅寸法に基づいて変更されるようになっている。吸盤23,23の袋への吸着が正常であれば、この中間位置へ移動したときにはその袋の開袋動作は略完了している。そして吸盤へ作用している真空圧が圧力センサ51で検出される。そして、吸盤23,23は待機位置へ復帰移動する。そのとき袋口が所定の目的量だけ開かれた時点で真空の作業が停止され、吸盤23,23は開袋された袋Bから離れて待機位置へ移動し、袋Bはその位置に止まる。袋Bの両側縁部を把持するグリッパは、開袋の進行に伴って互いに接近し、開袋が抵抗無く行えるようにする。
【0025】
図3を参照して先ず幅寸法が最大の場合について説明する。ステーションIIで停止中に袋Bの幅寸法はカメラ8により検出されており、それに応じて中間位置での間隔はS1に設定される。回転角度0度のタイミングAで停止していたテーブル3が回転を開始し、例えば120度回転してタイミングCで停止する。一方タイミングCより早いタイミングBでサーボモータ37は回転を始め、タイミングDで吸盤23,23を最接近位置へ移動させる。なお、吸盤23、23は袋BがステーションIIIへ移動を完了する前に移動を開始するが、袋Bの移動とは干渉しないようにタイミングB、その移動速度が選定される。タイミングDとEとの間は吸盤23,23は最接近位置に停止される。そして、タイミングDに到達する直前から最接近位置に停止中の間の適宜なタイミングで切換え弁49が切り替ることにより吸盤23,23に真空圧が作用し、吸盤23,23はそれぞれ袋Bの両面に吸着する。
【0026】
所定の時間だけ最接近位置に停止した後タイミングEにおいてサーボモータ37が先と反対方向へ回転する。この動きに合わせて袋Bの両側縁部を把持するグリッパ5,5が互いに向かって接近する。そして、吸盤23,23が中間位置に達してその間隔がS1となるタイミングFでサーボモータ37は一旦回転を停止する。グリッパ5,5も停止する。そして、吸盤が中間位置へ到達する直前から中間位置に停止中の間に制御装置53によってその検出タイミングが制御される圧力センサ51により真空圧が検出され、その検出されたデータが制御装置53に送られ、予め設定された基準値と比較され、開袋の良否が制御装置53により判定される。
【0027】
袋Bの開袋は、吸盤23,23が中間位置に到達した時点で最大開き量に達して開袋が完了するようにしてもよいが、この場合、袋口が張った状態となり、真空圧測定のタイミングによっては真空圧測定の直前に吸盤が袋Bから外れる可能性があるので、本実施の形態では中間位置においては開袋作業は完全には終了しておらず、若干の開袋代を残している。そして、真空圧が測定された後、タイミングGで再度サーボモータ37を駆動し、吸盤23,23を待機位置へ向かって移動させる。この時、わずかに移動した時点で袋の袋口は最大に、すなわち設定された所望の値だけ開かれ、それに合わせて切換え弁49が切替えられて吸盤23,23への真空圧の作用は停止される。この間グリッパ5,5は吸盤23,23の移動に併せて再度接近し、真空圧の作用停止に併せて停止する。これにより吸盤23,23は袋Bから離れ、袋Bは開袋された状態に維持され、吸盤23,23が中間位置からS2だけ移動したタイミングAで待機位置へ復帰し、停止する。開袋された袋は次のサイクルでステーションIVへ移動される。なお、開袋不良と判断された袋についてはステーションIV以降での作業は実施されず、ステーションXで排出され、回収されて再使用される。
【0028】
袋Bの幅寸法が狭い場合にも、その幅寸法がカメラ8で検出され、制御装置53へそのデータが送られ、それに基づいて間隔S3が設定され、その値に基づいて吸盤23,23は先と同様に移動、停止を実行される。間隔S1とS3との違いから、先に述べたタイミングF,Gがそれぞれf、gに変わる。なお本実施の形態では、袋の幅寸法が違っても、待機位置から最接近位置への移動速度、最接近位置での停止時間、最接近位置から中間位置への移動速度、中間位置での停止時間、さらに中間位置から待機位置への移動速度を同じに設定しているので、タイミングで変わるのは上記の通りタイミングF(f)とG(g)の二つだけであるが、上記の移動速度、停止時間などは必要に応じて変更可能であり、その場合には他のタイミングも変わることとなる。
【0029】
なお、上記において移動速度、停止時間などを袋の幅寸法に関わらず同じすなわち一定にすると説明したが、これは前述の通り基準となる回転軸の回転角度を基準とするものであり、包装機1従って開袋装置21の運転速度が変更されれば実際に係る時間は変わることとなる。しかしその場合でも、幅寸法に関わらず、回転角度に対するタイミングは変わらない。
【0030】
また、実施の形態によっては、前述の最接近位置から中間位置へ移動する際に途中で、具体的には移動を開始してから比較的に早いタイミングで吸盤を一旦停止させる場合がある。これは、閉じている状態での袋は静電気の影響で離れにくく、開こうとする運動に対する抵抗が大きい。そこで開袋動作開始直後に一度動きを停止して吸盤の吸着状態を安定させてから開袋動作を再開するものであり、これは従来から行われていたことである。すなわち、ここで一端停止する停止位置は本発明にいう「中間位置」とは異なるものであることを留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の両側縁部を一対の把持部材で把持して該袋を所定の軌道に沿って移動しながら該袋を開袋し、内容物を充填する袋詰め包装における開袋方法において、
互いに離間した待機位置に対向配置された一対の吸盤を最接近位置へ移動させる工程と、
前記最接近位置において袋の両面に前記一対の吸盤を該吸盤に作用する真空圧により吸着させる工程と、
前記最接近位置と前記待機位置との間の中間位置まで前記吸盤を互いに後退させて離反させる工程と、
前記吸盤の中間位置への移動に合わせて前記把持部材を互いに接近させる工程と、
前記中間位置に到達した前記吸盤を前記中間位置に所定の時間停止させる工程と、
前記吸盤を前記中間位置から前記待機位置へそれぞれ後退させる工程と、
前記中間位置へ到達する直前から該中間位置に停止している間に前記吸盤に作用している真空圧を測定する工程と、
真空圧測定後から前記待機位置への移動開始直後までの間に前記吸盤への真空圧の作用を停止する工程と、
測定された真空圧と予め設定された基準値とを比較し、前記袋の開袋の良否を判定する工程と、
前記中間位置の位置を袋の幅寸法に応じて変更する工程と、
を含むことを特徴とする開袋方法。
【請求項2】
請求項1記載の開袋方法において、さらに前記袋の幅寸法を検出する工程を含み、前記中間位置の位置の変更は、前記検出された幅寸法に基づいて行われることを特徴とする、開袋方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開袋方法において、前記吸盤の、前記最接近位置から前記中間位置への移動速度、該中間位置での停止時間、前記中間位置から前記待機位置への移動速度は、前記中間位置の位置にかかわらず一定であることを特徴とする、開袋方法。
【請求項4】
袋の両側縁部を一対の把持部材で把持して該袋を所定の軌道に沿って移動しながら該袋を開袋し、内容物を充填する袋詰め包装機における開袋装置において、
互いに対向配置され、切換え弁を介して真空源に接続された一対の吸盤と、
前記吸盤を、互いに離間した待機位置と、互いに最も接近した最接近位置と、前記待機位置と最接近位置との間の中間位置との間で移動させるサーボモータと、
前記吸盤に作用する真空圧を検出する圧力センサと、
前記吸盤への真空圧の作用を制御する第1制御手段と、前記サーボモータを制御し、前記吸盤の移動、停止を制御する第2制御手段と、前記圧力センサによる真空圧検出のタイミングを制御する第3制御手段と、前記検出された真空圧と予め設定された基準値とを比較して前記袋の開袋の良否を判定する判定手段と、使用する袋の幅寸法に応じて前記中間位置の位置を変更する第4制御手段とを備えた制御手段と
を備えていることを特徴とする、開袋装置。
【請求項5】
請求項4記載の開袋装置において、
前記第2制御手段は、吸盤を前記待機位置から前記最接近位置へ移動させた後所定時間停止させ、その後前記中間位置へ移動させた後所定時間停止させ、その後前記待機位置へ移動させて所定時間停止させ、
前記第3制御手段は、前記吸盤が前記中間位置へ到達する直前から該中間位置に停止している間に、前記圧力センサに前記吸盤に作用している真空圧を測定させ、
前記第1制御手段は、前記吸盤が前記最接近位置に到達する直前から該最接近位置に停止いる間に前記吸盤への真空圧の作用を開始させ、前記真空圧測定後から前記吸盤の前記待機位置への移動開始直後までの間に真空圧を解除する、
ことを特徴とする、開袋装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の開袋装置において、さらに、前記袋の幅寸法を検出する袋幅検出手段を含み、前記第4制御手段は前記袋幅検出手段からの信号に基づいて前記中間位置の位置を変更することを特徴とする、開袋装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1に記載の開袋装置において、前記第2制御手段は、前記第4制御手段による前記中間位置の位置の変更に関わらず、前記吸盤の、前記最接近位置から前記中間位置への移動速度、該中間位置での停止時間、前記中間位置から前記待機位置への移動速度を一定に維持することを特徴とする、開袋方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−168053(P2010−168053A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9777(P2009−9777)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】