説明

被接合材の接合方法並びに接合体および鉄道車両

【課題】接合品質を良くした接合体を簡易に作成する被接合材の接合方法、並びにその接合方法を使用して接合した接合部を備える接合体および鉄道車両を提供すること。
【解決手段】対向配置した被接合材11,12の端面16,17同士を接合する場合、端面間の接合部18にシールドガスを噴射しながら行うレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接による方法であって、レーザビームが照射される接合部18の反照射側にその接合部に沿った溝部10を設け、その接合部18にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、被接合材11,12の端面16,17間の隙間を通して反照射側の溝部10にシールドガスを入り込ませた状態で溶接するようにした被接合材の接合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金材からなる被接合材をレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接による被接合材の接合方法、その方法を使用した接合部を備える接合体および鉄道車両に関し、特にブローホールなどの欠陥を無くして接合品質を良くした被接合材の接合方法、その接合方法を使用して接合した接合部を備える接合体および鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両などでは、車体軽量化に対応すべく軽量なアルミニウム合金材による車両構体が採用されている。アルミニウム合金部材の接合には、溶接ワイヤを消耗電極として溶着するMIG溶接などが採用されている。MIG溶接を行う場合には、例えば図6に示すように、鉄道車両構体を構成する外板101,102は、端面を斜めして接合部110に開先を形成するようにして重ね合わされている。すなわち、一方の外板101には受け部105が形成されており、そこに他方の外板102の端部が重ね合わされて図示するような断面V字の開先が形成される。MIG溶接は不活性ガス中で行われるので、シールドガスが噴射され、その開先のある接合部110に溶接ワイヤを溶かしながら外板101,102が溶着する。
【0003】
一方、最近では、アルミニウム合金部材の接合に対し、こうしたアーク溶接の他にレーザ溶接が試みられている。レーザビームは、高エネルギー密度の集中熱源としての性質を持ち、低入熱で深溶込みの溶接ができ、接合すべき部材に及ぼす熱影響や熱変形が極めて少なく、また高速による溶接が可能だからである。しかしながら、アルミニウム合金部材のレーザ溶接方法はブローホールが発生したり裏面が酸化するなどの欠陥が多発するなどの問題点があった。この点、特開平7−164173号公報ではアルミニウム合金部材同士をレーザ溶接するに当たって、品質の高い溶接部をもった接合体を安定して提供するためのレーザ溶接方法が提案されている。
【0004】
図7は、同公報に開示された接合部の断面図である。アルミニウム合金からなる板材201,202は、端部に断面矩形の凸部211,212が形成され、端面同士を互いに突き合わせることによって空洞220が形成される。板材201,202の接合部には、図面上方から接合部230にレーザビームが照射され、その接合部230が連続する接合線に沿って溶接が行われる。そして、このときレーザビームと同方向からシールドガスが接合部230に向けて噴射され、更に反照射側では空洞220内に、一方の開口端を塞いだ状態で他方の開口端からバックシールドガスが供給される。
【0005】
よって、図7に示す接合方法では、板材201,202の凸部211,212によって形成した空洞220内にバックシールドガスとして不活性ガスを供給しながらレーザ溶接が行われているが、これによってブローホールが発生するなど欠陥を極めて少なくすることができ、高品質の溶接部をもった接合体が安定して得られるという効果を奏する。
【特許文献1】特開平7−164173号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図7に示す前記特許文献1の接合方法では、バックシールドガスを供給するための空洞220が必要であり、特に空洞220を形成するため板材201,202の場合には凸部211,212を設ける必要があった。従って、特許文献1には図7に示した以外にも同様に空洞を形成する異なる形態のものが記載されているが、いずれも空洞を形成するために板材201,202などの被接合材の形状が制限されることになる。
【0007】
そのため、外板に凸部211,212などの余分な部分が必要になると、その外板によって構成された鉄道車両用構体の重量が大幅に増加してしまい、鉄道車両の車体軽量化を損なうことになる。
また、こうした従来の接合方法を使用する場合、レーザビームと同方向から接合部230に向けて噴射されるシールドガスの他に、空洞220内にバックシールドガスを供給するための手段が必要になる。そのため、接合に際して余分な手間がかかる他、接合装置としてもコスト高なものになってしまう。
【0008】
よって、本発明は、かかる課題を解決すべく、接合品質を良くした接合体を簡易に作成する被接合材の接合方法、並びにその接合方法を使用して接合した接合部を備える接合体および鉄道車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る被接合材の接合方法は、対向配置した被接合材の端面同士を接合する場合、端面間の接合部にシールドガスを噴射しながら行うレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接による方法であって、レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部を設け、その接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、被接合材の端面間の隙間を通して反照射側の溝部にシールドガスを入り込ませた状態で溶接するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る接合体は、対向対置した被接合材の端面間の接合部に対してシールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接により、当該被接合材同士が接合して形成されたものであって、レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部が設けられたものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る接合体は、前記被接合材が板材であって、一方の板材は、その端部の反照射側に他方の板材の端部を重ね合わす受け部が突設され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る接合体は、前記被接合材が上面板と下面板とが複数の中板によって連結された押出中空型材であって、一方の押出中空型材は、その上面板又は/及び下面板の端部の反照射側に他方の押出中空型材の上面板又は/及び下面板の端部を重ね合わす受け部が形成され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る接合体は、前記被接合材は端面が傾斜し、対向配置された端面間の接合部には開先が形成され、その開先部分が溶接されたものであることが好ましい。
また、本発明に係る接合体は、前記溝部が1mm程度の深さのものであることが好ましい。
また、本発明に係る接合体は、前記被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る鉄道車両は、対向対置した被接合材である外板の端面間の接合部を、シールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合して形成された側構体や屋根構体などからなるものであって、レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部が設けられ、その接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、外板の端面間の隙間を通して前記溝部にシールドガスが入り込んだ状態で前記外板同士が溶接されたものであることを特徴とする。
また、本発明に係る鉄道車両は、接合する一対の外板のうち一方の外板にはその端部の反照射側に他方の外板の端部を重ね合わす受け部が突設され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る鉄道車両は、上面板と下面板とが複数の中板によって連結された被接合材である押出中空型材について、対向対置した押出中空型材同士の上面板の端面間又は下面板の端面間の接合部を、シールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合してできた側構体や屋根構体などからなるものであって、接合する一方の押出中空型材は、レーザビームが照射される前記接合部の反照射側に、上面板又は/及び下面板の端部に他方の押出中空型材の上面板又は/及び下面板の端部を重ね合わす受け部が形成され、その受け部には接合部に沿った溝部が設けられ、接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、押出中空型材の上面板の端面間又は下面板の端面間の隙間を通して前記溝部にシールドガスが入り込んだ状態で前記押出中空型材同士が溶接されたものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る鉄道車両は、前記溝部が1mm程度の深さのものであることが好ましい。
また、本発明に係る鉄道車両は、前記被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、こうして被接合材の端面同士が対向配置され接合部の裏側にシールドガスの雰囲気を作った状態でレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接を行うため、ブローホールが発生するなどの欠陥を極めて少なくすることができ、接合品質のよい接合体及び鉄道車両構体を提供することが可能になる。しかも、被接合材の一方に受け部を設け、そこに形成した溝部にレーザビームと同方向から噴射されたシールドガスによる雰囲気を作るようにしたため、接合品質を良くした接合体を簡易に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る被接合材の接合方法、並びにその接合方法を使用して接合した接合部を備える接合体および鉄道車両の一実施形態について図面を参照しながら説明する。先ず図4は、以下に説明する本発明に係る接合方法の一実施形態を使用して構成された鉄道車両を示した図である。この鉄道車両80は、長手方向に対して左右の面を形成する側構体81と、屋根を形成する屋根構体82と、車体長手方向に対して両端を閉鎖する面を形成する妻構体83と、床面を形成する台枠84とから構成されたものである。そして、特にこの側構体81と屋根構体82は、図3に示すような車体一両分の長さの押出中空型材88を幅方向に溶接して構成されたものである。
【0018】
また、図5は、他の鉄道車両の側構体部分を示した側面図である。この側構体90に屋根構体や妻構体、そして台枠が接合されて鉄道車両が構成される。そうした鉄道車両の側構体90は、2組の車端窓ブロック91と2組の中間窓ブロック92、そして各窓ブロック91,92の間に位置する3組の側入口ブロック93を接合して構成されている。そして、端窓ブロック91,92は、上下の外板95,96が図1に示すような接合部をもって溶接されている。
【0019】
次に、こうした鉄道車両構体を構成する外板や押出中空型材の接合方法について、図1乃至図3を示し、それぞれの実施形態について説明する。図1は、側構体などを構成する外板同士の接合部を示した断面図であり、特にレーザ溶接による接合の場合を示した第1実施形態に関するものである。
被接合体である外板11,12は、一方の外板11の端部に他方の外板12の端部を受けるための受け部15が形成されている。受け部15は、外板11の裏面側(図面下側)に段状に形成され、外板11の端面16の方向(図面左側)に突き出ている。
【0020】
外板11の端面16と外板12の端面17とはそれぞれ板面に直交しており、その端面16,17同士が図1に示すように突き当てられた部分が接合部になる。そして、外板11,12の端面16,17同士を突き合わせた接合部が図面を貫く方向に連続しており、この端面16,17の突き合わせによって表れる部分を接合線18とする。外板11,12は同じ厚さの板材であるため、両外板11,12は突き合わされて表面(図面上方)が面一になる。そして、外板11に形成された受け部15には、もう一方の外板12の端部が重ね合わされる上面側に溝部10が形成されている。溝部10は、接合線18に沿って連続するように形成された深さが1mm程度の溝であり、端面16に連続するように溝端が位置して形成されている。
【0021】
そこで、外板11,12同士の接合には、端面16,17を突き合わせた接合部にレーザビームが上方から照射され、そのレーザビームが接合線18に沿って照射位置を移動する。そして、このときレーザビームと同方向からはシールドガスが接合部に向けて同時に噴射される。レーザビームが照射された接合部では、集中的な加熱によって外板11,12が溶融して溶接が行われるが、その際、レーザビームの照射部分には端面16,17間の隙間があって、その隙間からシールドガスが入り込む。そして、シールドガスは板材11の受け部15に板材12が重ねられてできた溝部10の空間内に充填され、溝部10内にシールドガスの雰囲気が生成される。
【0022】
こうして被接合材である外板11,12は、その端面16,17同士が突き合わされた接合部の裏側にシールドガスの雰囲気を作った状態でレーザ溶接が行われる。そのため、溝部10を形成して行う本実施形態の接合方法によれば、外板11,12の端面同士のレーザ溶接は、ブローホールが発生するなどの欠陥を極めて少なくすることができ、品質の良い溶接部によってできた接合体を提供することが可能になる。よって、例えば図5に示す外板95,96についてその接合部の品質が良い鉄道車両構体の提供が可能になる。
また、本実施形態のように一方の板材11に受け部15を設け、シールドガスの雰囲気を作る溝部10を形成することにより、簡単な構成で接合部の品質を高めた接合体を提供することができる。そして、レーザ溶接に際してシールドガスを通常のレーザ溶接と同様にレーザビームの照射方向と同方向から噴射すればよいため、前記特許文献1のようにバックシールドガスを別に供給する必要がなく、この点でも接合部の品質を高めた接合体を容易に得ることができるようになった。
【0023】
次に、図2は、外板同士の接合部を示した断面図であり、特にレーザ溶接とMIG溶接を組み合わせたレーザ・アークハイブリッド溶接による接合の場合を示した第2実施形態に関するものである。
この被接合体である外板21,22は、第1実施形態と同様に、一方の外板21の端部に他方の外板22の端部を受けるための受け部25が形成されている。外板21,22の端面26,27は傾斜し、図示するように外板22が外板21の受け部25に重ねられた場合、接合部に開先28が形成される。開先28は、図面を貫く方向に連続しており、この部分が接合部となる。そして、外板21に形成された受け部25には、外板22が重ね合わされる上面側に溝部20が形成されている。溝部20は、接合部に沿って連続するように形成された深さが1mm程度の溝であり、端面26に連続して形成されている。
【0024】
そこで、レーザ・アークハイブリッド溶接による外板21,22同士の接合は、端面26,27からなる開先28にレーザビームが照射され、その時、進行方向の前方からはシールドガスが供給され、進行方向後方に例えばMIGトーチによりMIGアークが供給されることで溶接が行われる。その際、接合部に供給されたシールドガスが、板材21の受け部25に板材22が重ねられてできた溝部20の空間内に入り込んで充填され、その溝部20内にシールドガスの雰囲気が生成される。
【0025】
こうして被接合材である外板21,22は、その端面26,27同士が対向配置されてできた開先28の接合部裏側にシールドガスの雰囲気を作った状態でレーザ・アークハイブリッド溶接が行われる。そのため、溝部20を形成して行う本実施形態の接合方法によれば、外板21,22の端面26,27同士のレーザ・アークハイブリッド溶接は、ブローホールが発生するなどの欠陥を極めて少なくすることができ、高品質の溶接部によってできた接合体を提供することが可能になる。従って、接合部の品質が高い鉄道車両構体の提供が可能になる。また、本実施形態のように一方の板材21に受け部25を設け、シールドガスの雰囲気を作る溝部20を形成することにより、簡単な構成で接合部の品質を高めた接合体を提供することができる。そして、溶接に際してシールドガスをレーザビームの照射方向と同方向から噴射すればよいため、前記特許文献1のようにバックシールドガスを別に供給する必要がなく、この点でも接合部の品質を高めた接合体を容易に得ることができるようになった。
【0026】
次に、図3は、図4の側構体81と屋根構体82を構成する押出中空型材88に対応するものであり、その押出中空型材同士の接合部を示した断面図である。特に、ここではレーザ溶接とMIG溶接を組み合わせたレーザ・アークハイブリッド溶接による接合の場合を示した第3実施形態に関する。
本実施形態の被接合体は、押出し成形によってつくり出された押出中空型材31,41であって、上面板33,43と下面板34,44とが複数の中板35,45によって連結されたものである。押出中空型材31,41の端面には上面板33,43および下面板34,44に直交する中板36,46が形成され、一方の押出中空型材31には受け部37が突き出して形成され、他方の押出中空型材41は上面板43と下面板44とが突き出されている。従って、押出中空型材31,41は、図示するように上面板43と下面板44との間に受け部37,37が入り込んでいる。
【0027】
上面板33,43および下面板34,44の端面は傾斜し、図示するように押出中空型材31,41が嵌め合わされた場合、その接合部に開先51が形成される。開先51は、図面を貫く方向に連続しており、この部分が接合部となる。そして、押出中空型材31に形成された受け部37には、押出中空型材41の上面板43や下面板44が重ね合わされるそれぞれ上下方向外側に溝部50が形成されている。溝部50は、接合部に沿って連続するように形成された深さが1mm程度の溝であり、上面板33や下面板34の傾斜した端面に連続して形成されている。
【0028】
そこで、レーザ・アークハイブリッド溶接による押出中空型材31,41同士の接合は、上下の開先51にレーザビームが照射され、その時、進行方向の前方からはシールドガスが供給され、進行方向後方に例えばMIGトーチによりMIGアークが供給されることで溶接が行われる。その際、接合部に供給されたシールドガスが、受け部37に上面板43や下面板44が重ねられてできた溝部50の空間内に入り込んで充填され、その溝部50内にシールドガスの雰囲気が生成される。
【0029】
こうして被接合材である押出中空型材31,41は、その端面同士が対向配置されてできた開先51の接合部裏側にシールドガスの雰囲気を作った状態でレーザ・アークハイブリッド溶接が行われる。そのため、溝部50を形成して行う本実施形態の接合方法によれば、押出中空型材31,41の端面同士のレーザ溶接は、ブローホールが発生するなどの欠陥を極めて少なくすることができ、高品質の溶接部によってできた接合体を提供することが可能になる。従って、押出中空型材31,41(図4の押出中空型材88)同士の接合部の品質が高い鉄道車両構体の提供が可能になる。また、本実施形態のように一方の押出中空型材31に受け部37を設け、シールドガスの雰囲気を作る溝部50を形成することにより、簡単な構成で接合部の品質を高めた接合体を提供することができる。そして、レーザ溶接に際してシールドガスを通常のレーザ溶接と同様にレーザビームの照射方向と同方向から噴射すればよいため、前記特許文献1のようにバックシールドガスを別に供給する必要がなく、この点でも接合部の品質を高めた接合体を容易に得ることができるようになった。
【0030】
以上、本発明に係る被接合材の接合方法、並びにその接合方法を使用して接合した接合部を備える接合体および鉄道車両の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記第3実施形態では、押出中空型材31,41は、上面板43と下面板44との間に受け部37,37が入り込むようにしているが、受け部37を押出中空型材31,41の一方ずつに形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】側構体などを構成する外板同士の接合部を示した断面図であり、特にレーザ溶接による接合の場合を示した第1実施形態に関するものである。
【図2】外板同士の接合部を示した断面図であり、特にレーザ・アークハイブリッド溶接による接合の場合を示した第2実施形態に関するものである。
【図3】押出中空型材同士の接合部を示した断面図であり、特にレーザ・アークハイブリッド溶接による接合の場合を示した第3実施形態に関するものである。
【図4】接合方法の一実施形態を使用して構成された鉄道車両を示した図である。
【図5】接合方法の一実施形態を使用して構成された他の鉄道車両の側構体部分を示した側面図である。
【図6】MIG溶接によって接合する鉄道車両構体の外板の接合部を示した図である。
【図7】バックシールドガスを封入してレーザ溶接する、従来の接合方法を実行する接合部を示した断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 溝部
11,12 外板
15 受け部
16,17 端面
18 接合線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置した被接合材の端面同士を接合する場合、端面間の接合部にシールドガスを噴射しながら行うレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接による被接合材の接合方法において、
レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部を設け、その接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、被接合材の端面間の隙間を通して反照射側の溝部にシールドガスを入り込ませた状態で溶接するようにしたことを特徴とする被接合材の接合方法。
【請求項2】
対向対置した被接合材の端面間の接合部に対してシールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接により、当該被接合材同士が接合して形成される接合体において、
レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部が設けられたものであることを特徴とする接合体。
【請求項3】
請求項2に記載する接合体において、
前記被接合材が板材であって、一方の板材は、その端部の反照射側に他方の板材の端部を重ね合わす受け部が突設され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることを特徴とする接合体。
【請求項4】
請求項2に記載する接合体において、
前記被接合材が上面板と下面板とが複数の中板によって連結された押出中空型材であって、一方の押出中空型材は、その上面板又は/及び下面板の端部の反照射側に他方の押出中空型材の上面板又は/及び下面板の端部を重ね合わす受け部が形成され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることを特徴とする接合体。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載する接合体において、
前記被接合材は端面が傾斜し、対向配置された端面間の接合部には開先が形成され、その開先部分が溶接されたものであることを特徴する接合体。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載する接合体において、
前記溝部が1mm程度の深さのものであることを特徴とする接合体。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6のいずれかに記載する接合体において、
前記被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする接合体。
【請求項8】
対向対置した被接合材である外板の端面間の接合部を、シールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合して形成された側構体や屋根構体などからなる鉄道車両において、
レーザビームが照射される前記接合部の反照射側にその接合部に沿った溝部が設けられ、その接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、外板の端面間の隙間を通して前記溝部にシールドガスが入り込んだ状態で前記外板同士が溶接されたものであることを特徴とする鉄道車両。
【請求項9】
請求項8に記載する鉄道車両において、
接合する一対の外板のうち一方の外板にはその端部の反照射側に他方の外板の端部を重ね合わす受け部が突設され、前記溝部がその受け部に形成されたものであることを特徴とする鉄道車両。
【請求項10】
上面板と下面板とが複数の中板によって連結された被接合材である押出中空型材について、対向対置した押出中空型材同士の上面板の端面間又は下面板の端面間の接合部を、シールドガスを噴射しながら行われるレーザ溶接又はレーザ・アークハイブリッド溶接によって接合してできた側構体や屋根構体などからなる鉄道車両において、
接合する一方の押出中空型材は、レーザビームが照射される前記接合部の反照射側に、上面板又は/及び下面板の端部に他方の押出中空型材の上面板又は/及び下面板の端部を重ね合わす受け部が形成され、その受け部には接合部に沿った溝部が設けられ、
接合部にレーザビームを照射しつつ、レーザビームと同方向からシールドガスを噴射させ、押出中空型材の上面板の端面間又は下面板の端面間の隙間を通して前記溝部にシールドガスが入り込んだ状態で前記押出中空型材同士が溶接されたものであることを特徴とする鉄道車両。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれかに記載する鉄道車両において、
前記溝部が1mm程度の深さのものであることを特徴とする鉄道車両。
【請求項12】
請求項8乃至請求項11のいずれかに記載する鉄道車両において、
前記被接合材がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする鉄道車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−125573(P2007−125573A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319037(P2005−319037)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】