説明

被接着構造体の接着一体性を評価する方法

被接着構造体内の接着剥離の音響検出の技術は、持ち上げおよび膜振動を誘発するために被接着構造体の表面の熱励起を伴い、積層板および被覆構造体の他に、フォームコア構造体またはハニカム構造体にも適用される。この技術は被接着構造体の両面にアクセスすることを必要としない。エタンデュが大きい干渉計が表面変位測定を行うため使用される。表面変位測定は、膜振動による接着剥離の存在を決定するために周波数または振幅の両方によって解析可能であり、さらに接着剥離の厚さが従来型のパルスエコー時間解析を使用して決定され得る。この技術は棒状接着の検出を可能にすることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、被接着構造体の非破壊試験に係わり、特に、接着一体性を評価するレーザー熱音響技術に関係する。
【背景技術】
【0002】
[0002]被接着材料の構造的有用性が被接着材料の接着品質に依存する多数の被接着材料が構造的配置で利用されている。構造的配置が重要とされる用途では、接着品質を評価する必要がある。
【0003】
[0003]ハニカム構造をもつ材料は、非常に高い剛性を保ったまま重量が軽減された構造体の製造を可能にさせる。このような材料は航空宇宙産業において特に有用である。ハニカム構造をもつ材料は、典型的に、6角形セルを形成するために、2つの外板と、外板に垂直に延在するリブのコア層とを有している。外板は、通常は、たとえば、エポキシ樹脂中のカーボンファイバの層から作られたカーボンエポキシ積層板のような積層板である。2種類の接着剥離がこのような構造体で起こる可能性があり、両方共に構造体の弱体化、ハニカムの一方の外板とリブとの間の切り離し、および、外板内の層間剥離という結果を招く。接着剥離を見つけるためにハニカム構造をもつ構成要素を探ることは、新たに生産された部品の品質、および、点検中の構成要素の状態を評価するため重要である。航空宇宙産業でも広く用いられている類似した構造体は、ハニカムコア層の代わりにフォーム材料を2枚の外板の中間に含んでいる。
【0004】
[0004]被覆され積層された材料は、接着評価が重要な材料の他の例である。コーティングは、たとえば、摩耗、酸化、および、腐食の防止のため、または、熱障壁として、工業用材料表面に広く使用されている。コーティングと基材との界面における空隙または切り離しは、切り離しを生じ、基材を保護されていない状態に置き、過酷な熱負荷、侵食、酸化または腐食に晒されることになる脆弱なコーティングをもたらす。コーティングは、電気メッキ、溶射、塗装など、または、マイクロエレクトロニクス産業によって使用される薄多層コーティングおよび極薄層コーティングのための真空蒸着といった様々な方法で行われる。
【0005】
[0005]ハニカム構造をもつ材料、または、フォームコア構造をもつ材料に適用可能な技術は、特に、構造体が片側からしかインタロゲーションを行われない場合、殆ど知られていない。公知技術は、外板とコアとの間の接着剥離を検出するために熱および/または音響波(すなわち、伝達超音波)の侵入を使用する。被接着構造体の中の音響波および熱波の侵入の制限のため、困難な状況が発生し、その結果、良好な接着と接着の欠乏との間で、音響反射または熱伝導率のような特性の変化が殆ど存在しない。ハニカムの場合、このことは特にリブの厚さに起因し、フォームの場合、フォームの非常に高い多孔性に起因するが、リブの厚さおよびフォームの高い多孔性は、構造体を商業的に価値のあるものにする強度および軽量性を与える特性そのものである。片側アクセスからコーティングの接着一体性および積層板の一体性を試験するために開発された技術の殆どが、ハニカム構造をもつ材料、または、フォームコア構造をもつ材料に確実に適用されることはあり得ない。
【0006】
[0006]実際には、ハニカム構造体およびフォームコア構造体は、現在、伝達超音波、すなわち、部品の一方側の発信トランスデューサ、および、もう一方側の受信トランスデューサ(通常は、両側でウォータージェットと対にされている)を用いて検査されている。材料の両側へのアクセスを必要とするこの技術は、製造時には可能であるが、通常、(飛行機翼のような)構造体内に組み立てられている通常時には可能でない。
【0007】
[0007]コーティングに関して、産業で使用されている多数のコーティングは超音波を非常に減衰させる。このことは、タービンブレードで使用される熱障壁コーティング、および、カーボン・カーボン複合材上のシリコンカーバイド保護層の場合にあてはまる。超音波は強く散乱され、非常に小さいコヒーレント超音波信号がパルスエコー構成に従って材料面に戻る。この大きい減衰は、超音波に比べた材料微構造のサイズまたは多孔性に由来する。非常に薄いコーティングの場合、減衰はコヒーレント信号を完全に消失させないが、コーティングと表面との界面から反射された超音波エコーを解決するために非常に高い超音波周波数が必要とされる。したがって、レーザー超音波の場合のように、接触若しくは水連成、または、非接触の何れかを必要とする既存の超音波技術のすべては、重大な制限がある。
【0008】
[0008]発明の名称が“Pulsed dilatometric method and device for the detection of delaminations”であるCieloの米国特許第4,752,140号は、局所加熱および局所干渉検出を提案している。米国特許第4,752,140号にCieloによって説明されているように、レーザー加熱が均一でなく、切り離されたゾーンの寸法より小さいエリアの上に集中させられているとき、より強い持ち上げおよび曲げ効果を引き起こす局所化された熱応力が生成される。様々な刊行物、特に、“Thermoelastic Inspection of Layered Materials: Dynamic Analysis” (Materials Evaluation, vol.43, pp.1111−1116, 1985)にCieloによってさらに説明されているように、接着剥離した層または外板はその後に膜のように振動し始めることがある。
【0009】
[0009]しかしながら、Cieloによって提案された後者のアプローチは、20年以上前に開示されているにもかかわらず、産業で実際に使用されていない理由を説明する数個の欠点がある。1つの欠点は、Cieloが検出のためマイケルソン型干渉計(ホモダインまたはヘテロダイン)を使用することである。高強度光ビームが表面に当たるとき、典型的に、ビームはスペックルパターンを画定する不均一な形で全方向へ反射され、各スペックルは高強度を有している。ホモダインまたはヘテロダイン干渉計は表面の粗さによって生成された光スペックルに感応し、すなわち、これらの干渉計は、表面によって散乱された光のうちの1個のスペックルだけが集められるとき、表面変位に最大の感度を有している。このことは、表面から効果的に戻る光の各スペックルがビームに固有のそれぞれのランダム位相オフセットおよびランダム振幅を有している別個のビームであるという理由のためであり、その結果として、複数のスペックルがこのような干渉計で用いるために集められるならば、ビームの各対(スペックルの他に参照ビーム)は別個の干渉パターンを生成し、全部の干渉パターンが重畳され、測定の感度が急激に低下させられる。
【0010】
[0010]集められたスペックルの強度は、典型的に、表面上のあるインタロゲーション場所から別のインタロゲーション場所まで変化するので、装置の感度がある場所から別の場所まで同様に大きく変化する。したがって、構造化された材料の接着一体性の画像を取得するために部品をスキャンすることは全く実用的でない。
【0011】
[0011]この技術は、表面から反射された光がほとんどスペックルを含まない特別に研磨されたアルミニウム外板を備えるハニカム構造体にも適用され得る。このような状況は実際には決して起こることがなく、外板は、通常、アルミニウムではなく、ポリマーマトリックスファイバで補強された積層板で作られている。スペックルの無い反射を生じさせるために十分に滑らかな表面を有している特別なコーティングまたは塗装を施すことは、非実用的であり、非常に面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[0012]したがって、接着剥離が被接着構造体の最上層に膜を形成する、被覆されたハニカム構造またはフォームコア構造をもつ材料のような被接着構造体内の接着剥離を検出する非破壊技術が必要とされ続けている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0013]本発明の一態様では、被接着材料内の領域で接着一体性を評価する方法であって、領域が被接着材料の接着剥離の上に位置するならば、振動周期を有する膜振動を被接着材料内に取り込むために適している非定常加熱を領域に生成するステップと、周囲振動およびスペックル変化に適応するために十分に短く、かつ、振動周期より実質的に長い応答時間をもつエタンデュが大きい干渉計を使用して表面で振動を検出するステップと、を備える方法が提供される。
【0014】
[0014]本発明の別の態様では、被接着材料の表面上のスポットで被接着材料中の接着剥離を検出する方法であって、接着剥離の予想寸法より小さいエリアを有するスポットに非定常加熱を生じるために波長および強度を有する第1のレーザーパルスを当てるステップと、非定常加熱が熱弾性効果によって被接着材料の接着剥離と表面との間に膜の変位および振動周期を有する振動を生成するステップと、振動周期より実質的に長く第2のレーザーパルスによって接着剥離されたエリアを照射するステップと、周囲振動およびスペックル変化に適応するために十分に短く、かつ、振動周期より実質的に長い応答時間をもつエタンデュが大きい干渉計で第2のレーザーパルスからの散乱または反射された光を受信するステップと、干渉計で層間剥離および/または接着剥離されたエリアの変位および/または振動を表す信号を生成するステップと、を備える方法が提供される。
【0015】
[0015]非定常かつ局所的な加熱、たとえば、パルスレーザーによる接着剥離したエリアより小さいエリアを覆う加熱と、その後に続く、別のレーザーによる表面変形の干渉インタロゲーションは、接着剥離を検出するアプローチを提供する。第1のレーザーパルスが当てられるエリアは、好ましくは、接着剥離エリアの径の半分未満の径を有している。このアプローチは、光スペックルに感応しないが、好ましくは、約1kHzから約1MHzまでの範囲の音響周波数に感応する光屈折干渉計、または、類似した干渉検出装置を利用してもよい。
【0016】
[0016]材料は、層状被接着構造体および/または複合被接着構造体、たとえば、ハニカム構造体、フォームコアを含む構造体、固体上のコーティング、積層板などでもよい。ハニカム構造体およびフォームコア構造体上で、十分に短い発生パルスが使用されるならば、このアプローチは、外板内の層間剥離をリブからの外板の引き離しと区別することにより、より完全かつ確実な検査を達成するために膜を介して生成された超音波をさらに利用することができる。さらに、異なる深さに接着剥離を生み得る積層板の上および構造化された材料内で、ショートパルスの使用は、反響する超音波エコーの間の時間を使用して接着剥離の深さの決定を可能にする。よって、本方法は、ハニカム構造体およびフォームコア構造体を解析するため特に有用である。
【0017】
[0017]ハニカム構造体およびフォームコア構造体の場合、接着剥離は、レーザーパルスが衝突する上端の外板、または、下端の外板で検出される。ある種の材料では、この下端の外板は、2個のハニカム構造体または2個のフォームコア構造体の間に介挿されることがある。
【0018】
[0018]干渉計は、光屈折材料内で混合する2つの波に基づき、光起電力に基づき、偏光自己変調効果に基づき、または、電子処理が後に続けられる干渉計のアレイに基づくことがある。
【0019】
[0019]接着剥離されたエリアの画像は、レーザーまたは構造体をスキャンすることにより得られることがある。スキャンは構造体をインタロゲーションするため瞬間的に停止されてもよい。スキャンは連続的でもよい。この場合、ドップラーシフトは周波数追従によって補償されることがある。
【0020】
[0020]接着剥離は、接着剥離したエリアの振動の高調波または高次モードを監視することにより検出されることがあり、接着剥離したエリアの周囲でより容易に検出されることがある。
【0021】
[0021]第1のレーザーパルスは、好ましくは、接着剥離したエリア内で反響する超音波エコーを生成するために十分に短いパルス持続時間を有している。接着剥離したエリアの場所および深さが決定され得る。第1のレーザーパルスのパルス周期は1μs未満でもよく、たとえば、約50ns乃至約200nsの範囲に入ることがある。第1のレーザーパルスは存在している棒状接着の引き離しを生じさせるために十分に強力であってもよい。
【0022】
[0022]第2のレーザーパルスは、膜の振動周期より長いパルス持続時間を有している。第2のレーザーパルスのパルス持続時間は、好ましくは、振動周期の約2倍以上である。
【0023】
[0023]干渉計の応答時間は、周囲振動およびスペックル変化に適応するために十分に短く、膜振動を表す信号を生成するために振動周期より十分に長い。応答時間は、好ましくは、測定されるべき振動周期の約2倍以上である。
【0024】
[0024]本発明がより明瞭に理解されるように、本発明の実施形態が次に添付図面を参照して一例として詳細説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】クランプされた膜の熱励起および曲げ振動と光検出との概略図である。
【図2】振動膜の高調波の励起および検出の概略図である。
【図3a】本発明の実施形態による装置の概略図である。
【図3b】周波数追従機器を有している本発明の実施形態による装置の概略図である。
【図4a】外板内の層間剥離という接着剥離を表すハニカム構造体の薄いセクションの概略側面図である。
【図4b】コアが引き離された接着剥離を表すハニカム構造体の薄いセクションの概略側面図である。
【図5】11cm×9cm矩形接着剥離試験エリアを含むハニカムカーボンエポキシ試験サンプルの写真である。
【図6a】レーザー超音波パルスエコー法による図5に示されている接着剥離試験エリアの高域通過フィルタリング後の最大振幅のC−スキャンプロットである。
【図6b】本発明の実施形態による低周波数(膜振動)技術の最大振幅のC−スキャンプロットである。
【図7】接着剥離試験エリアの3箇所の層間剥離に亘る主振動周波数のC−スキャンプロットである。
【図8】図7中の点線に沿った振動周波数(kHz)の分布のグラフである。
【図9a】外板内の層間剥離という接着剥離を表すフォームコアパネルのセクションの概略側面図である。
【図9b】コアが引き離された接着剥離を表すフォームコアパネルのセクションの概略側面図である。
【図10】ハニカムの裏でコアが引き離されているハニカム構造体の薄いセクションの概略側面図である。
【図11】コア層と末端の外板との間で接着剥離が発生している一対のハニカム構造体の薄いセクションの概略側面図である。
【図12】硬コーティングの良接着位置を接着剥離位置と比較して時間の関数として振動振幅のプロットを重ね合わせたグラフである。
【図13】硬コーティングの接着剥離の検出への本発明の適用を実証するパス内の振動振幅のプロットを示すラインスキャンである。
【図14】カーボン・カーボン熱障壁コーティングの表面変位のフーリエ変換の最大振幅のC−スキャン画像である。
【図15】図14に描かれたC−スキャンの実線を破線と比較して位置の関数として振幅のプロットを重ね合わせたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0025]構造化された材料の接着剥離の非破壊試験は、接着剥離によって構造化された材料の表面に形成された膜の音響励起に基づいて行われる。音響励起の検出はエタンデュが大きい干渉計によって実行される。
【0027】
膜振動の理論
[0026]材料中の非定常加熱による接着剥離によって形成された膜に誘起された振動のモードは、材料の弾性特性、すなわち、材料の幾何形状および膜の厚さによって決定される。特に、ハニカム構造をもつ材料およびフォームコア構造をもつ材料の場合、厚さは外板の厚さに近い可能性がある。さらにハニカムの場合、各セルは、加熱ゾーン(すなわち、レーザースポット)がセルサイズより小さいならば、振動させられ始めることがある振動膜を生成することに注意を要する。
【0028】
[0027]図1は、支持部材によって半径方向に取り囲まれた膜22を有する理論的なクランプされた円板20の概略断面図である。このような円形部材22の場合、基本振動周波数fは、式1:
【数1】


によって与えられ、式中、eは膜の厚さであり、aは膜の半径であり、ρは材料の質量密度であり、Yはヤング率であり、νはポアソン比である。円周などに沿って完全なクランプを有し、下にある基材からの干渉を受けない円形均一膜をもつこの理想的な例は、実用的な接着剥離用途に正確に対応しないが、所与のサイズの接着剥離を有している接着された表面の予想される基本周波数の範囲を決定する基準を与える。
【0029】
[0028]膜は、高次モードに関連付けられているより高い周波数で振動し得ることが知られている。膜表面の全域に亘るこれらのモードの振動振幅の分布は膜の形状に依存している。
【0030】
[0029]図2aは円形膜の振動の基本モードおよび2つの高次モードの振動の概略図である。半径方向対称性をもつモードだけが簡単にするため表されている。方位角依存性をもつ他のモードも存在している。
【0031】
[0030]図2bは、長方形膜の最低次モードの別の概要図である。実際には、接着剥離は、多くの場合に、不規則な形状を有し、接着剥離の振動モードは容易に予想できない。しかし、基本振動モードは接着剥離の中間のどこかに最大値を有し、一方、高次モードは接着剥離のエッジに近くに少なくとも1をもつ数個の最大値を示し、基本振動より高い周波数を有する。
【0032】
熱弾性励起
[0031]パルスレーザー(発生レーザー)による非定常加熱は、膜の表面、または、膜の表面付近に熱膨張を生じ、応力を誘起し、この応力が今度は膜を膨張させ、その後に振動させる。強い持ち上げ状態にするため、広い帯域の周波数を膜に与えるために十分に小さいスポットの上にレーザーエネルギーを置くことが有利であり、膜の特性は共振の原因となる周波数を決定する。
【0033】
[0032]本発明によって使用される検出の基礎は膜共振である。所与の膜形状およびサイズに対し、励起される振動モードは励起レーザービームの寸法および位置に依存する。励起が膜の中央で起こるとき、基本モードが優先的に励起される。励起ビームが十分に小さい径(たとえば、膜サイズの4分の1未満であり)を有し、接着剥離のエッジの近くに位置しているとき、高次モードが優先的に励起される。これらの高次モードは、基本より高い共振周波数を有するので、より高い低周波数カットオフ付きの検出装置を用いて検出され得ることに注意を要する。
【0034】
[0033]したがって、非定常加熱は2つのことを行い、すなわち、非定常加熱は基材から膜を持ち上げ、膜を振動させ始める。
【0035】
[0034]実際には接着剥離は不規則な形状を有する可能性があるが、基本共振周波数の桁は、実効半径と共に式1を使用して得られる。たとえば、厚さe=0.9mmであり、実効半径a=10mmを有するカーボンエポキシ樹脂の切り離しに対し、密度、ヤング率、および、ポアソン比がそれぞれ2000Kg/m、150GPa、および、0.2であると仮定すると、式1は、約27μsの振動周期に対応する37kHzの基本振動周波数をもたらす。より大きな接着剥離またはより厚い外板の場合、この周波数はより低くなる。
【0036】
干渉検出
[0035]好ましくは、多数のスペックルから光を集め(すなわち、大きいエタンデュを有し)、超音波の検出のため開発された光屈折干渉計または類似した干渉検出装置が使用される。光屈折干渉計は、非線形光学材料内の光屈折効果に基づいている。様々なスキームが、Two−Wave Mixing[MonchalinおよびIngによる米国特許第5,131,748号と、Blouin、Delaye、Drolet、Monchalin、Roosenによる米国特許第5,680,212号]、または、偏光自己変調効果[Kamshilin]に基づいて提案されている。
【0037】
[0036]基本的にこれらの方法のすべては、検出レーザーのようなコヒーレント光源からの出力を受信し、ビームを被接着材料の表面に衝突するインタロゲーションビームと光屈折材料へ向けられるポンプビームとに分割するビームスプリッターを必要とする。インタロゲーションビームは、その後に、表面によって反射または散乱され、最終的にポンプビームと干渉する光屈折材料に送信され、光屈折効果によって非定常ホログラム、または、回折格子若しくは光屈折格子の兆候を生じる。非定常ホログラム/格子が生成されると、ポンプビームは、干渉計の検出フェーズ中に参照ビームを生成するため非定常ホログラム/格子によって回折される。参照ビームは、光検出器で検出された干渉パターンを生成するため伝送されたインタロゲーションビームと干渉する。この光検出器は表面振動を表す電気信号を供給する。代替的に、光検出器を使用する代わりに、たとえば、[Petrov]によって説明されているように、材料に電極が装備され、表面振動を表す信号が光起電力を検出することにより取得され得る。
【0038】
[0037]干渉計の応答時間
【数2】


は、光屈折格子を光屈折材料内に構築し、その後、干渉を生じるために要する時間である。たとえば、2波混合が使用される場合、応答時間は、光屈折ホログラムを書き込み、各光検出パルスの始めに干渉計の感度を増加させるために干渉計によって必要とされる時間である。
【0039】
[0038]光屈折干渉計は、[BlouDel,Kot]によって説明されているように、ポンプビーム強度を減少させることにより膜の低周波数運動を捕捉するために十分遅い応答時間で作動させることが可能である。上述のカーボンエポキシの例によれば、約100μsの検出レーザーのパルス持続時間は、少なくとも数サイクルの振動を捕捉するために十分に長い。このような長いパルスは通常は超音波を検出するために使用されない。
【0040】
[0039]適切なチューニングによって、光屈折材料または光活性材料に基づく他のエテンデュが大きい干渉計が、TWMベースの位相干渉計の代わりに使用され得る。Pouetにより新たに報告された干渉技術[Pouet]を使用することも可能である。このスキームは、光屈折材料または光活性材料を一切使用しないが、代わりに、直交干渉計および検出器のアレイを使用する。この場合、
【数3】


は、信号を処理する前に使用される電子フィルタリングによって決定される。
【0041】
[0040]したがって、本発明の一実施形態によれば、被接着構造の表面変位は、複数のスペックルから散乱光を集める2波混合光屈折干渉計を用いて測定される。高感度の測定を行うため、光屈折格子が振動周期中に準定常であるように、応答時間τは振動周期Tより長くされるべきである。たとえば、振動の周期Tが約10μs(膜振動周波数が約100kHz)である場合、τは約10μsを超え、たとえば、約20μsである(カットオフ周波数1/(2πτ)=10kHzに対応する)。これに反して、
【数4】


が長過ぎる場合、干渉計は周囲振動に非常に高感度であり、この干渉計は多数の産業環境における検査のために不適切になる。したがって、検出レーザーから抽出された光屈折型光ポンプビーム電力によって制御され得る応答時間τは、光屈折格子を周囲振動に連続的に適応させるため長過ぎであってはいけない。周囲振動は、典型的に、1kHzより低い強さであり、明らかにされているように、上記の例は両方の要件を満たすことが可能である。
【0042】
[0041]たとえば、2msの周期を有する500Hzのレーザー繰返し率を想定する。1msより多くがインタロゲーションのため使用され、(光屈折材料に送られた比較的弱いポンプ電力に対応する)非常に長い応答時間を許可する。この場合に、応答時間τは、検出レーザーパルス持続時間t、および、周囲振動の影響を最小限に抑えるためにより低い周波数で問題がより大きくなる雑音を回避するという望みだけによって拘束され、より大きく、かつ、より薄い膜の検出を可能にするため望まれる通りに実質的に長くされ得る。
【0043】
[0042]より高いレーザー繰返し率が同様に可能であること、および、一般に最大繰返し率が最小の捕捉時間で高解像度C−スキャン画像を円滑にするために使用されることが認められる。より高い繰返し率に対するトレードオフは、エタンデュが大きい干渉計のより短い応答時間、および、検出され得る膜の最低周波数運動に対応するより高い低周波数カットオフである。
【0044】
[0043]表面のスキャンは、インタロゲーションビームおよび発生ビームを表面に関して動かし、インタロゲーションビームおよび発生ビームの動きが停止したときに、各点で1回ずつの測定を行うことにより実現され得る。この実施は、機械部品は繰返し運動させられ、停止させられるべきであるが、干渉計がスペックルに適応するために任意に長い時間を許容するので、スキャニング機器およびスキャニング機器の制御の仕組みにより厳しい要件を加える。
【0045】
[0044]表面を継続的にスキャンすることが望ましいならば、スペックルパターンは継続的に変化し、その結果、干渉計の応答時間は変化するスペックルパターンに適合するため十分に高速であることが必要である。さらに、被接着構造体の表面全体に亘るインタロゲーションビームスキャニングは直角をなさない限り、ドップラーシフトが発生し、光屈折干渉計の感度を非常に著しく減少させる。
【0046】
[0045]応答時間
【数5】


はスペックル変動およびドップラーシフトに適合するようにより短縮されるべきである。より短いτは、より高い干渉計カットオフ周波数をもたらし、干渉計カットオフ周波数は、その後、振動周波数により下限を設定し、検出され得る膜のサイズに上限(または、厚さに下限)を設定する。
【0047】
[0046]膜が基本周波数だけで振動するならば、表面積の大きい膜は見つけられない。より大きい接着剥離の検出のより大きい重要性、および、多数回のスキャンの不快さを仮定すると、セットアップは好ましくなくなる。基本膜振動より高いモードの振動の検出はより大きい表面積の膜の検出を許容する。これは、停止スキャニング実施の他に、連続スキャニング実施に適用可能である。これらの高次振動モードは、典型的に、接着剥離のエッジで最も効率的に励起される。励起が膜の中央にあるとき、基本モードの周波数は光屈折干渉計の低周波数カットオフと比べて非常に低くなりえるため、基本モードが優先的に励起され、接着剥離は検出されない。したがって、この場合、接着剥離は、周囲に沿ってのみ兆候が現れ、接着剥離の中心部は全く見えない。
【0048】
[0047]さらに、連続スキャニングが表面に対して有意の角度(たとえば、45°)および有意のレート(たとえば、V=1m/sの接線速度)で実行されるならば、ドップラーシフト(2V/λ)は、波長λ=1μmに対し約2MHzである。このようなシフトを補償するため、応答時間は非常に短く(たとえば、100μsに)される可能性があるが、この応答時間は一方で実現不可能であり、もう一方で干渉計を非常に小さい接着剥離の検出に制限する。
【0049】
[0048]このような場合に、Blouin、Drolet、MonchalinおよびPadioleauによる米国特許第6,700,666号に記載された周波数補償スキームを使用することが可能であり、この周波数補償スキームは、この米国特許で説明されているように、インタロゲーションビームとポンプビームの一方または両方の周波数調整のための速度感知配置および音響光学シフタの組み込みによって、ビームが垂直入射であるかのように、干渉計を作動させる。
【0050】
[0049]したがって、このような補償スキームが使用されるならば、垂直入射の場合だけが考慮されるべきである。表面が基本的にビームに垂直であるならば、基本的にドップラー効果は存在せず、典型的に何百倍も大きいτ、たとえば、τ=20μsを使用可能であり、すなわち、上記の例からのデータを使用すると、約15mm程度の大きさの膜が検出され得る。しかし、より大きい接着剥離を確実に検出するため、スキャニング速度が低減されるか、または、上述されているように、高次振動モードの検出に依存するべきである。
【0051】
[0050]Pouetによって報告された干渉計スキームの使用に関して、スキャニング中に集められたビームのドップラーシフトは、検出器上にドップラー周波数で大きな変調信号を生じる。この寄生信号は、その後、フィルタのカットオフ周波数未満の位相変調に対する装置の感度も除去する電子フィルタリングによって除去されるべきである。光屈折干渉計について既に見てきたように、この電子フィルタリングは、非常に小さい接着剥離の検出をもたらすが、正常なスキャニングに対する問題を低減する(Pouetによって開示されていない)周波数補償スキームが実施され得る。結論として、このシステムは振動効果およびスペックル変化信号を取り除くために高域通過フィルタリングを使用するので(すなわち、このシステムも、応答時間
【数6】


を有しているので)、大きい接着剥離の検出に関して同じ制限があり、光屈折干渉計に関して上述された同じ警告および解決策が当てはまる。
【0052】
[0051]十分に反射する材料表面で使用され得るドップラーシフト補償の別の方法は、表面の近接点に衝突する2個の検出レーザースポットを使用することである。一方のレーザースポットが膜振動の影響を受け、もう一方のレーザースポットが影響を受けない程度に十分に離れていると仮定し、さらに表面が局所的に基本的に平面であると仮定すると、両方のビームは同様にドップラーシフトされるが、一方だけが引き離されたエリアの振動によって位相変調されている。スポットから元の方へ集められた光は干渉計のインタロゲーションビームのため使用され、もう一方のスポットからの光がポンプビームのため使用される。
【0053】
装置
[0054]図3aは、被接着構造体42の表面46に膜45を生成する被接着構造体42内の接着剥離40を検出する装置の概略図である。この装置は、残存するならば、膜に音響振動を発生させる発生レーザー48と、被接着構造体42の同じ側面で音響振動を検出する検出レーザー50とを含む。
【0054】
[0055]発生レーザー48は、パルスが膜45に衝突するならば、膜が下にある構造体から持ち上げられ、熱弾性効果によって振動させられるように表面46の非定常加熱を生成するため、パルス持続時間、波長、および、強度を有しているパルスを生成する。このために、表面46での発生レーザーのスポット52の径は、膜エリアのサイズより2倍以上小さく、発生レーザーはショートパルスレーザーである。発生レーザー48は好ましくはショートパルスレーザーであり、波長および強度は、非定常加熱が表面破壊を回避するために完全にまたは実質的に熱弾性的な作用の範囲に入るように選択されることがある。
【0055】
[0056]検出レーザー50は連続レーザーでもパルスレーザーでもよい。制限された間隔だけが有用な情報を提供し、より高出力かつ高感度がパルスレーザーで達成され得るので、パルスレーザーが好ましくは利用される。その上、レーザーエネルギーは被試験部品によって部分的に吸収されるので、パルスレーザーは被試験部品に堆積される熱負荷を制限する。パルス持続時間は、発生パルスによって誘起された少なくとも数サイクルの膜振動を捕捉するように選択される(典型的に、与えられた数値例では、約1ms以下である)。
【0056】
[0057]検出レーザー50は、発生レーザースポット52または発生レーザースポットの付近で被接着構造体42の表面変位を検出するエタンデュが大きい干渉計と関連付けられている。明らかにされている干渉計は2波混合光屈折材料54を使用するが、当然のことながら、多数のスペックルから光を集めることができ(すなわち、異なる位相オフセットを有している多数の部品を有し)、かつ、発生レーザー48によって生成された振幅および周波数の表面変位を検出するのに適している任意の干渉計が使用可能である。特に、上に記載された干渉計は実用的な代替物である。
【0057】
[0058]検出レーザー50からのビームはビームスプリッター56によってポンプビーム55とインタロゲーションビーム58とに分割される。インタロゲーションビーム58は被接着構造体の表面46へ向けられ、そこで散乱される。例示された実施形態によるポンプビーム55は、干渉計の所望の応答時間を保証するように光パワーを制御するため光パワーコントローラ59の影響を受けるが、このパワー制御は技術的に知られている他の方法で行われても構わない。
【0058】
[0059]発生レーザー48からのビームと、インタロゲーションビーム58とは、技術的に知られている任意の方法で、たとえば、図示されているように、リフレクタ62と、ダイクロイックビームスプリッター64とを使用して、一つに集められてもよいが(実質的に重なる、および、実質的に平行する)、その他の方法が異なる実施形態において同様に適用可能である。2本の実質的に重なるビームは、ミラー66によって表面46へ一緒に向けられる。ミラー66は、スキャニングミラーでもよく、または、技術的に知られている方法で表面46の全域にスポット52を動かすその他のビーム移動装置でもよい。代替的に、サンプルがスキャニングを実現するために動かされてもよい。散乱光は、散乱光を光屈折材料54へ伝送する大型レンズ65(またはミラー)によって集められ、散乱光が光屈折材料で光屈折格子を生成する。最後に、表面運動を表す信号が、伝送された散乱光と光屈折格子によって回折されたポンプビームからのビームとの干渉によって生成され、光検出器67で検出される。
【0059】
[0060]検出レーザーのパルス持続時間tは膜の振動周期Tより長い(2T以上)。たとえば、tは200μsでもよく、この場合には、周期T=50μs以下によって特徴付けられた切り離しを検出するためにうまく適合している。100Hzから1kHzの範囲の繰返し率が考慮されているので、このパルス長もパルス間の間隔より適切に短くなる。検出スポットサイズは発生レーザーとほぼ同じであり、いかなる場合でもdよりはるかに小さく、そうでなければ、膜はこの振動膜面のエッジでクランプされているので、振動膜の表面にある程度の集積が存在し、より小さい信号を生じる。
【0060】
[0061]図3bは、連続スキャニングモードに適用可能であり、ドップラーシフト補償を行う実施形態を表している。ドップラーシフト補償は米国特許第6,700,666号に記載されているスキームに基づいている。構成は、数個の要素がドップラー周波数追従および補償を行うため追加されている点を除いて、図3aの場合と同じである。図3aからの対応する特徴事項の説明は繰り返されていない。
【0061】
[0062]図3bに表されているように、光屈折干渉計の出力で偏光ビームスプリッター68からの2個の信号を受信する2台の光検出器69および70が存在している。これらの光検出器は差動増幅器71を動かす。米国特許第6,700,666号に説明されているように、差動増幅器71の出力での低周波数信号は、ポンプビームと、ドップラー周波数シフトされたインタロゲーションビームとの間の周波数差に比例する。この信号は、光屈折材料に入射するポンプビームの周波数がインタロゲーションビームの周波数に追従するような方法で音響光学シフタ73を駆動する電圧制御発振器72へ送信される。その結果として、ドップラー効果は、インタロゲーションビームが表面に垂直であるかのように打ち消される。膜振動信号および超音波信号もまた高域通過フィルタリングによって差動増幅器71の出力で捕捉される。
【0062】
[0063]上述されたCieloによる技術に伴う2番目の欠点はハニカム構造体またはフォームコア構造体を用いると発生する。引き離された膜の振動周波数は、膜の厚さおよび実効サイズの両方の関数である。さらに、接着剥離は一般的に明確な形状を有しないので、一般に、検出された振動が外板内の層間剥離に起因するのか、ハニカムまたはフォームコアからの外板の切り離しに起因するのかを知ることは容易に可能ではない。
【0063】
[0064]上記のCieloの2番目の欠点は十分に短い発生パルスを使用することにより回避されることがある。Cieloは1μsを超える長いパルスを使用する。このような長いパルスは長い波長をもつ超音波だけを発生させ得る。典型的に、Cieloによって指摘された最短パルスである1μsは、ポリマーマトリックス複合物中では、約3mmのパルスの空間的なパルス長(3mm/μsの範囲内の速度)に対応する。したがって、プライ間の層間剥離(プライ厚さは典型的に100乃至200μm)は、超音波エコーが分離されないので、検出され得ない。しかし、より短いパルス、たとえば、約100nsを使用して、これらのエコーは分離可能であり、光屈折干渉計の大きい帯域幅に起因して検出される。よく知られているように、これらのエコーから膜厚、したがって、層間剥離または接着剥離の深さを抽出可能である。特に、ハニカム構造体またはフォームコア構造体では、深さを抽出可能であることは、外板内の層間剥離とコアからの外板切り離しとを区別することを可能にさせる。しかし、短過ぎるパルス持続時間は材料を破壊するかもしれない。ある程度の破壊はより強い表面応力を生じる利点のため許容できることがあり、より強い表面応力が次に接着剥離された層または外板のより大きな曲げおよび持ち上げを引き起こす。
【0064】
[0065]同じ検出レーザーが低周波数膜振動および高周波数超音波振動を検出するため使用可能である点で有利である。このことは、干渉計からの表面変位信号の2個の複製物にそれぞれのフィルタを適用し、結果として得られた信号を別々に解析することにより達成され得る。
【0065】
[0066]ある程度の表面破壊を引き起こす可能性のある強いレーザー励起は、層または外板が完全に接着剥離されていない場合に使用されることがあるが、しばしば棒状接着と呼ばれる弱い接着を介して取り付けられることがある。このような棒状接着は非常に弱い強度を有し、構造体全体の壊滅的な故障の原因になる可能性がある非常に危険な欠陥である。棒状接着は、超音波をかなり伝送するので、通常は超音波技術によって検出できない。しかし、本方法を使用すると、局所的なレーザー加熱によって引き起こされる膨張は接着を切断するために十分である可能性があり、それによって、膜振動を生成し、このような棒状接着を検出可能にさせる。
【実施例】
【0066】
[実施例1:ハニカムカーボンエポキシ試験サンプル]
[0065]実施例1は、外板に人為的に生成された層間剥離と外板・コア切り離しとを備えるカーボンエポキシハニカム構造体への応用である。欠陥の位置の概略図が図4に表され、試験サンプルの写真が図5に表されている。
【0067】
[0066]図3aに表されているような実験的な設備が使用される。用いられる発生レーザーは約100mJエネルギーのパルスを供給するCO TEAレーザーであり、10.6μmの波長で120ns持続時間は引き離されたエリアを持ち上げ、膜のエッジでクランプされている膜のように振動させる。発生レーザーはさらに超音波を発生する。この場合の励起メカニズムは純粋に熱弾性であり、損害を与えない。検出レーザーは、1.064μmの波長で約50mJエネルギーおよび65μs持続時間のパルスを供給するパルス型単一周波数Nd:YAGレーザーであり、レーザーは振動と超音波エコーの両方を検出する。被検査部品の表面から散乱された検出レーザー光は、印加電圧下でInP:Fe光屈折クリスタルに基づくTWM干渉計へ送られる。両方のレーザーは、X軸およびY軸に沿って1mmステップサイズを使用して検査される部品上でスキャンされた。スキャニングシステムはストップタイプであった。ビームは共線的であり、重なり合っているので、発生および検出は同じ位置で行われた。ビームは、スキャニングミラーから1.4mのスタンドオフ距離で図5に示されているエリアの上でスキャンされた。
【0068】
[0067]振動周波数は、材料の物理的特性および機械的特性と、切り離し寸法とに依存して、20kHzから1MHzの範囲に入ることが予想されている。TWM位相干渉計の低周波数カットオフは、TWM位相干渉計の光ポンプパワーを適切に設定することにより、15kHz、すなわち、約10μsの格子構築時間に調整された。干渉計によって測定された表面変位信号はその後、引き離されたエリアの振動周波数の値を特定するためにフーリエ域で処理された。同じ信号の複製物もまた超音波エコーを表示するために高域通過フィルタ処理され、膜の厚さの決定を可能にした。
【0069】
[0068]図6aは、1.6MHzのカットオフ高域通過電子フィルタを用いて信号をフィルタリングし、信号の最初の17μsにおいて超音波エコーの最大振幅をプロットすることにより得られた被検査エリアのC−スキャンを表している。この像においてわかるように、外板内の層間剥離はうまく検出されるが、外板とハニカムとの間の接着剥離はうまく検出されない。外板とハニカムコアとの間の界面で実質的にすべての音響波が取り付けまたは引き離しの状態とは無関係に反射されるので、外板とハニカムとの引き離しは超音波エコー法によって検出できない。1番目のエコーの到着時刻またはエコー間の反響時刻から、層間剥離の深さが、技術的によく知られているように、容易に決定され得る。
【0070】
[0069]図6bは高域通過フィルタリング無しでより長い時間ゲート(140μs)における信号の最大振幅のプロットを表している。この場合、低周波数膜振動が支配的である。この像でわかるように、外板内の層間剥離、および、外板とハニカムとの間の接着剥離の両方が検出される。上述されているように、振動データだけから接着剥離の深さを決定することは簡単でない。本実施例は、超音波エコーと膜振動の両方を生成する十分に短い励起パルスを選択することにより、どのようにして深さが取得され得るかを示している。
【0071】
[0070]データを表現するための別の興味深い方法は、C−スキャンに信号フーリエ変換のピーク振幅の周波数をプロットすることである。これらの周波数は引き離しのサイズに関係している。周波数が高いほど、サイズが小さい。図7のC−スキャンでは、25kHzから120kHzまで変化するスペクトル間隔の範囲内でフーリエ域における最大振幅の周波数がプロットされている。図8は、引き離されたエリアを通過する白色点線に沿ってこれらの振動周波数の分布を表している。右側の引き離しは他の引き離しよりサイズが小さいので、予想通りに他の引き離しより大きい振動周波数を有している。
【0072】
[0071]図7のプロットはより多くの雑音を含むように見えるが、一部の雑音はハニカム構造体に起因する可能性があり、外板自体が各ハニカムセル内での引き離された膜であることに注意を要する。レーザービームが十分に大きい引き離しより上であるが、引き離しのエッジに接近しているとき、高次周波数振動モードが励起されることもまた予想される。このことについては既に言及され、連続スキャニングモードで大きい接着剥離を検出するため非常に役立つ。この現象は図8において観察される。
【0073】
[0072]この技術は明らかにフォームコア構造体にも同様に適用可能であり、なぜならば、フォームコア構造体は、構造体を堅くするために通常は積層板である外板をコアに接着することによりハニカムと同様に作られているからである。したがって、図9a−bに描かれているような外板の層間剥離および外板とコアの接着剥離が提案された技術を用いて検出され得る。
【0074】
[0073]この技術は、接着剥離が、ハニカムと裏側外板または内側外板との間で、ハニカムの下端部に位置している図10および11の実施形態にも同様に適用可能である。これらの実施形態では、検査はハニカムにうまく接着されている外板の上で実行される。図10の実施形態は、下端部外板または内側外板にアクセスできない航空機構造体のため適している。図11の実施形態では、内側外板は明らかにアクセスできない。本実施形態は、2台のハニカムが、図11に概略的に描かれているように、通常ではぴったり合っていないため、送信された信号が弱くなりがちであることから、通常の超音波貫通伝送技術のための検査課題を表現している。これらの2つの場合に、引き離された外板は自由膜として振動しないが、被接着ハニカムによって補強された膜として振動する。振動振幅はしたがってより小さく、振動周波数はより高い。このことは、あたかも式1のヤング率がより高いかのように、定性的に理解され得る。
【0075】
[0074]これらの場合に、振動周波数が非常に高くなると、補強された膜の振動は、(十分に短いパルスが使用されるならば)個別のハニカムセルの周波数、または、上端部外板内の反響エコーの周波数の範囲で見つかることがある。したがって、内側接着剥離を明らかにするための解析はより困難であり、スペクトル解析が使用されるべきである。種々の周波数帯域のスペクトル成分をプロットするC−スキャン画像がその後に表示される。上端部外板の引き離しによっては説明できない、隣接エリアに対する1つのエリア上でのこれらの帯域のうちの1つにおける振幅変化は、内側外板の引き離しを表している。上端部の引き離しは、下端部での引き離しより顕著であり、かつ、下端部での引き離しの場合の隣接エリアにおける共振と同じ強さである、個別のハニカムセル共振によって内側外板の引き離しから区別され得る。信号は複雑であるので、時間−周波数解析も同様に内側外板の接着剥離のエリアを特定するため非常に役立つことがある。
【0076】
[0075]この技術は、図10および11に描かれた事例に類似した、ハニカムコアの代わりにフォームコアを用いる事例に同様に適用可能である。
【0077】
[実施例2:スチール上の摩耗防止タングステンカーバイド−コバルトコーティング]
[0076]図12および13を参照して、実施例2は、スチール上のタングステンカーバイド−コバルト(WC−Co)コーティングの引き離しの検出を実証しているが、この技術は一般に、露出している第1の層と下にある第2の層との間の接着剥離の検出に適用可能である。これらのコーティングは現在のところ、公知の環境問題の出所である硬クロムコーティングを置き換えるため開発されている。タングステンカーバイド−コバルトコーティングは航空機着陸装置のような部品に使用されている。これらの部品は疲労亀裂の影響を受ける。疲労亀裂は、コーティングと基材との間の引き離しの原因になり、基材を腐食から保護されていない状態に放置する完全なコーティング剥ぎ取りが後に続くことがある。したがって、このような接着剥離の検出は非常に重要である。
【0078】
[0077]この場合、発生スポットおよび検出スポットはおよそスポットサイズずつ僅かにオフセットさせられた。図12では、表面波の到着が観察され、インタロゲーションがうまく接着されたゾーンを移るときに特徴のない痕跡が後に続く。インタロゲーションが引き離されたエリアを移るとき、引き離された膜の振動を示す激しく変動する信号が観察される。
【0079】
[実施例3:カーボン−カーボン基材上のシリコンカーバイド保護層]
[0078]実施例3は、SiC酸化防止層とC−C基材との間に生じる引き離しの検出を表している。カーボン−カーボン基材は、ロケットエンジン内で、および、米国のスペースシャトルのような宇宙船の胴体上で熱シールドとして広く使用されている。カーボンは450℃より上で酸素と反応しやすいので、C−C材料は一般的に、シリコンカーバイド製のコーティングのようなセラミックコーティングによって保護されている。コーティングが多孔性であるならば、経時的に空隙が酸化によって生成される。これらの空隙が増大するならば、コーティングは引き離され、C−C基材を保護されていない状態に置き、過酷な酸化に晒す可能性がある。したがって、コーティングとC−C基材との間の接着剥離の検出が重要である。
【0080】
[0079]これらのコーティングは、しかしながら、多孔性であり、かつ、超音波を強く減衰させるので、パルスエコー超音波は使えない。実際に、このアプローチは使用されたC−Cサンプル上で試され、エコーは観察されなかった。しかし、本書で報告されている熱音響技術を用いると、コーティングが基材から接着剥離されたときに、振動信号が明瞭に観察される。実験設備は発生ビームと検出ビームが重なり合っている図3aに表されている実験設備と類似している。このSiCコーティング保護付きのC−Cサンプル上で得られた結果が図14および15に表されている。図14はデータのフーリエ変換の振幅のC−スキャンを表現している。引き離しは、試料のエッジ付近で図14の下側において特定されている。エッジの微視的観察は、コーティングがこれらのエリアで引き離されていることを実際に確証している。これらの引き離しは、図14に表された点線に沿って振幅分布をプロットしている図15でより明瞭に観察される。対照のため、図15では、うまく接着した線(図14における実線)に沿った振幅が同様に表されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接着材料の表面の領域で接着一体性を評価する方法であって、
a.前記領域が前記被接着材料内の接着剥離の上に位置する場合に、前記領域に非定常加熱を生じさせ、振動周期を有する膜振動が前記接着剥離に誘起されるようにする非定常加熱ステップと、
b.周囲振動およびスペックル変化に適応するため十分に短いが、前記振動周期より実質的に長い応答時間を有するエタンデュが大きい干渉計を用いて、前記領域または前記領域の付近で表面変位を検出する表面変位検出ステップと
を備え、
接着剥離が存在するかどうかを決定するために前記表面変位が使用可能となっている、方法。
【請求項2】
前記非定常加熱ステップが、前記接着剥離された材料の持ち上げを引き起こし、膜振動を誘起するために十分な強度および波長を有する発生レーザーパルスを前記表面に当てる工程を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エタンデュが大きい干渉計が光屈折効果に基づいている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エタンデュが大きい干渉計が光起電力に基づいている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エタンデュが大きい干渉計が偏光自己変調効果に基づいている、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記エタンデュが大きい干渉計が、複数のスペックルを効率的に使用するために、干渉計のアレイとその後に続く電子処理とに基づいている、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記表面変位検出ステップが、光屈折材料内に非定常ホログラムを生成するために、共に検出レーザーからのコヒーレント光のインタロゲーションレーザービームおよびポンプビームを前記光屈折材料に向ける工程を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記表面変位検出ステップが、前記インタロゲーションビームに対する、前記非定常ホログラムを通る前記ポンプビームの回折によって生成された参照ビームの干渉を光学的に検出する工程を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記表面変位検出ステップが、前記光屈折材料内で前記非定常ホログラムを電気的に検出する工程を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
検出レーザービームを前記表面に向けるステップ、および、発生レーザーパルスを前記表面に向けるステップが、共通の光学部品の組を制御することにより実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記共通の光学部品の組を制御することが、前記被接着構造体の前記表面の全域をスキャンするため動作可能であるビーム移動装置を作動させる工程を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ビーム移動装置を作動させる工程が、前記表面を連続的にスキャンする工程を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビーム移動装置を作動させる工程が、前記表面を断続的にスキャンする工程と、前記ビームが比較的静止している間に測定を行う工程と、を備える請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記表面変位検出ステップが、前記インタロゲーションビームおよび前記ポンプビームの一方または両方を周波数調整するため速度感知配置および音響光学シフタを使用してドップラーシフト補償を適用する工程を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記非定常加熱ステップが、音響波が前記膜を通過し、前記膜の下端部から反射し、前記表面に戻るために要する時間より短いパルス持続時間を有する発生レーザーパルスを当てる工程を備え、パルスエコー間隔から前記膜の厚さを取得するために前記検出された表面変位の高周波数成分を解析する工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記発生レーザーパルスを当てる工程が、1マイクロ秒未満の持続時間に亘り前記発生レーザーパルスを当てる工程を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表面変位検出ステップが、前記表面変位を表す信号を受信する工程と、時間域における最大振幅パルスおよび周波数域における最大振幅周波数のうちの一方を特定するために前記信号を解析する工程と、をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記被接着構造体が第2の材料の上に位置している露出した第1の層を有し、
当該方法が、
前記表面変位を表す前記信号を複製するステップと、
複製物を高域通過フィルタ処理するステップと、
前記時間域内での最大振幅パルスおよび前記周波数域内での最大振幅周波数の内の一方を特定するステップと
をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記被接着構造体が2つの外板の間に介挿されているハニカムコアを有するハニカム構造をもつ材料であり、
前記領域の複数の周波数帯域のうちの1つでスペクトル成分を特定するために前記信号のスペクトル解析を適用するステップと、
前記ハニカムコアと前記2つの外板のうちの遠い方との間の接着剥離によって引き起こされる、補強された膜の振動を特定するために、前記領域内の前記成分を前記表面上の他の領域の前記成分と比較するステップと
をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被接着構造体が実質的な材料空隙部を有しているコアに接着されている外板を有し、前記接着剥離が前記外板内にあるか、または、前記外板と前記コアとの間にあるかを決定するために、前記高域通過フィルタ処理された信号のピーク振幅を、前記表面変位を表す信号のピーク振幅と比較するステップをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記領域に非定常加熱を生じるステップが棒状接着を引き離すために十分なエネルギーを当てる工程を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
被接着材料の表面の領域で接着一体性を評価する装置であって、
c.前記領域が前記被接着材料内の接着剥離の上に位置する場合に、前記領域に非定常加熱を生じさせて、振動周期を有する膜振動が前記接着剥離に誘起されるようにする発生レーザービームと、
d.周囲振動およびスペックル変化に適応するため十分に短いが、前記振動周期より実質的に長い応答時間を有するエタンデュが大きい干渉計であり、前記領域での表面変位に依存した干渉を生じるエタンデュが大きい干渉計と、
e.前記干渉を検出する検出器と
を備える装置。
【請求項23】
前記エタンデュが大きい干渉計が光起電力効果で動作している、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記エタンデュが大きい干渉計が偏光自己変調効果で動作している、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記エタンデュが大きい干渉計が、複数のスペックルを効率的に使用するため、電子処理によって計算される出力をもつ単一スペックル干渉計のアレイにより構成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記エタンデュが大きい干渉計が、コヒーレント光の検出レーザービームを、ポンプビームおよび前記表面から散乱されるインタロゲーションビームに分割するビームスプリッターと、光屈折材料内に非定常ホログラムを生成するため前記インタロゲーションビームおよび前記ポンプビームを前記光屈折材料に集める光学部品と、を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記検出器が、前記インタロゲーションビームに対する、前記非定常ホログラムを通る前記ポンプビームの回折によって生成された参照ビームの干渉を検出する光検出器を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記検出器が、前記光屈折材料に連結され、表面振動を表す信号を検出する電極を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記被接着構造体の表面で前記発生ビームおよび前記インタロゲーションビームをスキャンするため動作するビーム移動装置をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記表面で前記発生ビームおよび前記インタロゲーションビームを連続的にスキャンするため前記ビーム移動装置を移動させる機構部をさらに備え、前記干渉計が、ドップラー周波数シフト検出配置と、前記ドップラー周波数シフト検出配置によって駆動され、ドップラーシフトを補償するために前記インタロゲーションビームおよび前記ポンプビームの一方または両方に周波数調整を適用する音響光学シフタと、をさらに備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記検出された表面変位を表す信号を受信し、最大振幅周波数成分を計算する解析プログラムをさらに備える、請求項22に記載の装置。
【請求項32】
前記解析プログラムがパルスエコー間隔から前記接着剥離の深さを取得するために前記検出された表面変位の高周波数成分を解析する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記解析プログラムが、前記表面変位を表す信号を複製し、複製物を高域通過フィルタ処理し、最大振幅パルスを特定する、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記被接着構造体が2つの外板の間に介挿されているハニカムコアを有するハニカム構造をもつ材料であり、前記解析プログラムが、前記領域の複数の周波数帯域のうちの1つでスペクトル成分を特定し、前記ハニカムコアと前記2つの外板のうちの遠い方との間の接着剥離によって引き起こされる、補強された膜の振動を特定するために、前記領域内の前記成分を前記表面上の他の領域の前記成分と比較する、スペクトル解析プログラム命令を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記被接着構造体が実質的に多孔性のコアに接着されている外板を有し、前記解析プログラムが、前記接着剥離が前記外板内にあるか、または、前記外板と前記コアとの間にあるかを決定するために、前記高域通過フィルタ処理された信号の振幅および周波数を、前記表面変位を表す信号と比較するためさらに適している、請求項33に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2009−536319(P2009−536319A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508071(P2009−508071)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000851
【国際公開番号】WO2007/128138
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(302046528)ナショナル・リサーチ・カウンシル・オブ・カナダ (15)
【Fターム(参考)】