被搬送物の搬送装置及び被搬送物の取外し方法
【課題】引張ばねの付勢力を利用しなくてもハンガーと被搬送物に設けた吊金具との係合状態を確実に解除可能とする。
【解決手段】搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆9aと、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆9bと、前記一対の吊持杆9bの先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具9cと、前記掛止具9cにおける一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記各掛止具9cの連通部9dから、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとを備えて被搬送物掛止用のハンガー9を構成した。
【解決手段】搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆9aと、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆9bと、前記一対の吊持杆9bの先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具9cと、前記掛止具9cにおける一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記各掛止具9cの連通部9dから、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとを備えて被搬送物掛止用のハンガー9を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物をハンガーに掛止した状態で搬送する搬送装置において、前記被搬送物をハンガーから自動的に取外すための取外し装置及び取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、チェーンコンベア等の搬送装置に設けたハンガーに掛止されている被搬送物(例えば、変圧器等の電気機器に使用する有底筒状のケース等)に対して塗装を行う場合、前記搬送装置を塗装ブース内を通過するように配設し、前記搬送装置によって所定速度で搬送される被搬送物の外周面等に対して、噴射ガンから塗料を噴射させて塗装を行うようにしている。また、塗装ブースにおいて塗装を終えた被搬送物は、搬送装置によって焼付け乾燥炉内へ搬送され、焼付け乾燥が行われる。
【0003】
前記のように塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物を、ハンガーから自動的に取外す場合は、例えば、特許文献1に記載されているようなテーブルリフタを使用していた。前記テーブルリフタは、床面等に固定されるベースと、前記ベースにリンクを介して連結され、電動機の起動により前記ベースを基点として所定高さ位置まで上昇する昇降テーブルと、前記昇降テーブル上に取付けられ、電動機の起動により所定角度範囲で回動する回動テーブルと、前記回動テーブル上に取付けられて被搬送物を載置し、かつ、電動機の起動により前記被搬送物を搬送するローラーコンベアとを備えて概略構成されている。また、前記被搬送物を掛止するハンガーは、環状の掛止具を先端部に設けた一対の吊持杆と、前記吊持杆の基端部を回動自在に枢支する支持杆と、前記一対の吊持杆の間に張架され、該吊持杆を互いに相対する方向へ付勢する引張ばねとを備えて構成されている。
【0004】
そして、前記構成のテーブルリフタを使用して、ハンガーに掛止されている被搬送物を、前記ハンガーから自動的に取外す場合は、ハンガーに掛止された状態の被搬送物が所定位置まで搬送されると昇降テーブルが上昇を開始し、これによりローラーコンベア上に被搬送物がハンガーに掛止された状態のまま載置されるとともに、前記昇降テーブルが所定高さ位置まで上昇を継続することにより、被搬送物とハンガーとの掛止状態は、前記ハンガーに設けた引張ばねの付勢力を利用して解除される。つづいて、ハンガーとの掛止状態が解除された被搬送物は、回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させ、かつ、昇降テーブルをその下限位置まで下降させた後、ローラーコンベアにより次工程へ搬出するようにしていた。
【0005】
【特許文献1】特開2006−143437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、前記のように塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物を、テーブルリフタを使用してハンガーから自動的に取外す場合、前記ハンガーは、一対の吊持杆を引張ばねの付勢力に抗して拡開した状態で、前記吊持杆の先端部に設けた環状の掛止具が、被搬送物の内周面に設けた吊金具に係合されているので、前記被搬送物の塗装に際して引張ばねに塗料が付着し、かつ、焼付け乾燥によって前記塗料が乾燥・固化することにより、前記引張ばねが縮まらなくなる(即ち、一対の吊持杆を互いに相対する方向に付勢して縮閉することができなくなる)ことがあり、この結果、前記被搬送物をローラーコンベア上に載置した状態で昇降テーブルを所定高さ位置まで上昇させても、前記掛止具と吊金具との係合を解除することができないという問題があった。
【0007】
また、ハンガーに掛止された状態で被搬送物がローラーコンベア上に載置されることにより、前記被搬送物はローラーコンベア上に載置された状態で移動しないものの、ハンガーは、搬送チェーンの駆動により常時所定速度で進行方向へ移動しているため、前記被搬送物がローラーコンベア上に載置された後、昇降テーブルが所定高さ位置まで上昇を継続する間に、ハンガーと被搬送物の内周壁面との相対距離が縮まり(即ち、ハンガーと該ハンガーの進行方向側に位置する被搬送物の内周壁面とが近接し)、前記被搬送物を回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる際に、前記ハンガーの掛止具と被搬送物に設けた吊金具とが再度係合してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、引張ばねの付勢力を利用しなくてもハンガーと被搬送物に設けた吊金具との係合を解除することが可能で、しかも、前記ハンガーと被搬送物に設けた吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を所定方向へ所定角度回動させる際に、前記ハンガーの移動に伴い、該ハンガーと被搬送物に設けた吊金具とが再度係合するのを防ぐことが可能な被搬送物の搬送装置と被搬送物の取外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、搬送チェーンに吊設された被搬送物掛止用のハンガーと、前記搬送チェーンの駆動に伴って所定位置まで搬送された被搬送物とハンガーとの掛止状態を解除して、前記被搬送物をハンガーから取外すためのテーブルリフタとを備えた被搬送物の搬送装置において、前記ハンガーは、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記一対の吊持杆の先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを備えて構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、ハンガーに掛止した状態の被搬送物が所定位置まで搬送されたことを検出した時点でテーブルリフタを上昇させて、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベア上にパレットを介して載置し、かつ、この状態で、前記被搬送物をテーブルリフタの上昇動作に伴い所定高さ位置まで持ち上げて、ハンガーに設けた掛止具と被搬送物の内周面に設けた吊金具との係合を解除する工程と、ハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を前記ローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つ工程と、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対位置を一定の距離に保った状態で、前記被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる工程と、前記所定方向へ所定角度回動させた被搬送物を、テーブルリフタにより所定高さ位置まで下降させ、かつ、次工程へ搬出する工程と、被搬送物を次工程へ搬出した後、前記回動テーブルを所定方向へ所定角度回動して原点復帰させる工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、被搬送物掛止用のハンガーを、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記吊持杆の先端部に設けられ、被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを具備して構成したので、先端側を拡開した状態で掛止具を被搬送物の吊金具に係合した一対の吊持杆は、前記掛止具と吊金具との係合が解除されると、掛止具から延設した膨出部の重量を利用して互いに相対する方向へ縮閉させることが可能となり、この結果、従来技術の如く引張ばねの付勢力を利用することなく掛止具と吊金具との係合を解除して、被搬送物をハンガーから良好、かつ、確実に取外すことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、被搬送物をテーブルリフタにより所定高さ位置まで持ち上げることで、前記被搬送物の内周面に設けた吊金具は、ハンガーの掛止具との係合が解除され、かつ、前記掛止具に設けた連通部及び膨出部と合致(正対)する状態となっており、しかも、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させることで、ハンガーと被搬送物の内周壁面との相対距離は一定の距離に保たれているので、この状態で、被搬送物を所定方向へ所定角度回動させると、前記ハンガーの掛止具内に位置している吊金具は、前記掛止具に設けた連通部及び膨出部を通過することとなる結果、前記掛止具と吊金具との係合を解除した状態で、被搬送物を所定方向へ所定角度回動させる場合に、前記掛止具と吊金具とが再度係合するのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図17を参照しながら説明する。なお、本発明と従来技術との相違点は、被搬送物を掛止するハンガーに、該ハンガーを互いに相対する方向へ縮閉させる引張ばねを使用しないようにした点、及び被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにて回動させる際に、前記被搬送物とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つようにした点にある。
【0014】
はじめに、図1は本発明における被搬送物の搬送装置を示す概略構成図である。図1において、1は被搬送物2(図5参照)を吊下げた状態で搬送するためのチェーンコンベア等からなる搬送装置であり、前記搬送装置1は、例えば、図示しない建屋内に架設したレール3にローラ4を介して移動可能に吊設され、かつ、前記レール3に併設した搬送チェーン5に所定間隔を設けた状態で固定した複数の搬送体6(図1には1個のみ図示する)と、前記搬送体6に、例えば、図示しない軸受等を介して回転自在に取付けた吊持体7と、前記吊持体7にフック8を介して吊設した被搬送物2掛止用のハンガー9とを備えて概略構成されている。
【0015】
つづいて、前記ハンガー9の構成について、図1ないし図4を参照しながら説明する。図1,2において、9aは吊持体7にフック8を介して吊設される逆T字状の支持杆、9b,9bは、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆である。9cは前記吊持杆9bの先端部に取付けられて、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2a(図5参照)と係合する縦長な環状の掛止具であり、前記掛止具9cにおける一方の長辺部(例えば、図3における右側)には、その一部を切除することにより、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dが形成されている。9eは前記掛止具9cの連通部9dから、該掛止具9cと直交する方向に向けて一体的に延設した窓状の膨出部であり、前記膨出部9eは、図2,4で示すように、各掛止具9cにおける異なる長辺部(例えば、図2に示す左側の掛止具9cにおいては手前側の長辺部、図2に示す右側の掛止具9cにおいては奥側の長辺部)から、互いに相対する方向に向けて入れ違い状に延設されている。
【0016】
そして、前記ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bは、その先端側を人手により拡開することにより、掛止具9cと被搬送物2に設けた吊金具2aとを係合させるとともに、前記掛止具9cと吊金具2aとの係合を解除すると、前記一対の吊持杆9b,9bは、掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して、互いに相対する方向へ自動的に縮閉するように構成されている。また、前記一対の吊持杆9b,9bは、被搬送物2を掛止していない状態にあっては、図1で示すように、その先端部に取付けた掛止具9cから延設した膨出部9eの重量により、先端側がやや開いた状態でバランスが保たれている。
【0017】
次に、図5において、11aは被搬送物2が搬送チェーン5の駆動により所定位置まで搬送されたことを検出する、例えば、光電透過式のセンサ等からなる第1の検出手段であり、前記第1の検出手段11aは、被搬送物2の搬送方向(ハンガー9の進行方向)の所定位置において、例えば、ハンガー9を吊持している吊持体7を検出することができるように、その投光部及び受光部を、図5で示す如くレール3及び搬送チェーン5を挟んで互いに相対向させた状態で配設されている。なお、前記第1の検出手段11aは、光電透過式のセンサを使用する代わりにリミットスイッチ等を使用し、ローラ4,搬送体6等との当接により被搬送物2が所定位置まで搬送されたことを検出するようにしてもよい。
【0018】
12は所定位置において被搬送物2とハンガー9との掛止状態を解除して、前記被搬送物2をハンガー9から取外すためのテーブルリフタである。前記テーブルリフタ12は、床面等に固定されるベース13と、前記ベース13にリンク13a(図6参照)を介して連結され、電動機14(図16参照)の起動により前記ベース13を基点として所定高さ位置まで上昇する昇降テーブル15と、前記昇降テーブル15上に取付けられ、電動機16(図16参照)の起動により所定角度範囲で回動する回動テーブル17と、前記回動テーブル17上に取付けられて被搬送物2を載置し、かつ、電動機18(図16参照)の起動により前記被搬送物2を次工程へ搬送するローラーコンベア19とを備えて概略構成されている。
【0019】
なお、図5において、20はローラーコンベア19上に図示しないパレット供給装置から供給される板状のパレットであり、被搬送物2は前記パレット20を介してローラーコンベア19上に載置される。また、図5において、21は回動テーブル17に取付けたL字状のストッパーであり、前記ストッパー21は、ハンガー9の進行方向側(図5の左側)に位置するローラーコンベア19の端部と対向する部位に、前記ローラーコンベア19の端部と所定距離を保った状態で取付けられている。なお、前記ストッパー21における長辺部の先端は、図5で示すように、ローラーコンベア19上に供給されるパレット20と対向させることが可能な高さ位置まで延設されている。
【0020】
更に、図5において、11bはテーブルリフタ12に配設され、ハンガー9に掛止されている被搬送物2の底部側面を検出することでテーブルリフタ12の上昇位置を検出する、例えば、光電透過式のセンサ等からなる第2の検出手段であり、前記第2の検出手段11bは、その投光部及び受光部が、図5で示すように、ローラーコンベア19を挟んで互いに相対向する状態で、取付座22を介してテーブルリフタ12の昇降テーブル15に取付けられている。なお、前記第2の検出手段11bは、図5で示すように、ローラーコンベア19上に供給されるパレット20の上端面よりも若干上方に位置する状態で取付座22に取付けられている。
【0021】
次に、図16において、23はテーブルリフタ12を駆動制御する、例えば、プログラマブルコントローラからなる制御装置であり、図16で示すように、前記制御装置23の入力端I1〜I6には、前記第1,第2の検出手段11a,11bと、テーブルリフタ12の所定位置に配設されて回動テーブル17の原点位置及び回動位置を検出する第3,第4の検出手段11c,11dと、同じく、テーブルリフタ12の所定位置に配設されて昇降テーブル15の下限位置を検出する第5の検出手段11eと、例えば、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設されて、前記ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを検出する第6の検出手段11f(例えば、光電透過式のセンサ等)がそれぞれ接続されているとともに、出力端O1〜O3には、昇降テーブル15を駆動する電動機14と、回動テーブル17を駆動する電動機16と、ローラーコンベア19を駆動する電動機18がそれぞれ接続されている。
【0022】
なお、前記制御装置23には、前記第1〜第6の検出手段11a〜11fから出力される検出信号に基づいて、電動機14,16,18を駆動制御するためのプログラム(図17参照)が、予め組込まれている。また、第1の検出手段11aによって被搬送物2を検出するようにした場合には、ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを検出する第6の検出手段11fを設ける必要はない。更に、前記第6の検出手段11fは、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設する代わりに、前記テーブルリフタ12自体に配設するようにしてもよい。
【0023】
次に、本発明の動作について、例えば、塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物2を、テーブルリフタ12を使用してハンガー9から取外す場合を一例として説明する。なお、前記被搬送物2は、ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bの先端側を人手により拡開し、前記各吊持体9b,9bの先端部に取付けた掛止具9cを、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aの括れ部分に係合させることにより、前記ハンガー9に掛止されている。
【0024】
はじめに、搬送チェーン5の駆動により、塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物2がハンガー9に掛止された状態で所定位置まで搬送され、図5で示すように、例えば、前記ハンガー9を吊持している吊持体7が、第1の検出手段11aにより検出されると(図17のステップS1参照)、ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを判断する(図17のステップS2参照)。即ち、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設されている第6の検出手段11f(図16参照)によって、ハンガー9に掛止した被搬送物2が事前に検出されていれば、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)が起動して、テーブルリフタ12の昇降テーブル15は上昇を開始する(図17のステップS3参照)。また、前記第6の検出手段11fによって被搬送物2が事前に検出されていなければ、テーブルリフタ12は起動しない。
【0025】
つづいて、昇降テーブル15が上昇することに伴い、該昇降テーブル15に取付座22を介して取付けた第2の検出手段11bが、図6で示すように、ハンガー9に掛止されて、ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置される寸前の被搬送物2の底部側面を検出すると(図17のステップS4参照)、該被搬送物2の検出から所定時間が経過するまでの間、前記昇降テーブル15は上昇を継続する(図17のステップS5,S6参照)。なお、前記昇降テーブル15の上昇に伴って、第2の検出手段11bが被搬送物2の底部側面を検出するのとほぼ同時に、前記被搬送物2は、昇降テーブル15に回動テーブル17を介して取付けたローラーコンベア19のほぼ中央位置に、パレット20を介して載置される。
【0026】
そして、前記のように、被搬送物2をローラーコンベア19上にパレット20を介して載置した状態で、昇降テーブル15が所定時間上昇を継続することにより、前記被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aは、図7(a)で示す状態から図7(b)で示すように、ハンガー9の吊持杆9b先端部に取付けた縦長な環状の掛止具9c内を上方へ(連通部9d及び膨出部9eと合致する高さ位置まで)移動し、その括れ部分と前記掛止具9cとの係合が解除される。これにより、前記ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bは、その先端部に取付けた掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して互いに相対する方向へ縮閉し、被搬送物2とハンガー9との掛止状態は解除される(図8参照)。
【0027】
つづいて、第2の検出手段11bが被搬送物2の底部側面を検出してから所定時間が経過すると、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)が停止して、前記昇降テーブル15の上昇を停止する(図17のステップS6,S7参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、ハンガー9の掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとが合致(正対)する高さ位置まで昇降テーブル15を上昇させるのに必要な時間とすればよい。
【0028】
なお、前記のように、被搬送物2は、パレット20を介してローラーコンベア19上に載置されることにより、ハンガー9の進行方向(図8の左方向)へ移動することはないが、前記ハンガー9は、搬送チェーン5の駆動により常時所定速度で図8の左方向へ移動しているため、前記のように被搬送物2をパレット20を介してローラーコンベア19上に載置した状態で昇降テーブル15が上昇を継続した場合、図8で示すように、ハンガー9の進行方向側に位置する被搬送物2の内周壁面と前記ハンガー9との距離が縮まってしまい、前記被搬送物2の内周壁面とハンガー9との相対距離を一定の距離に保つことができない。
【0029】
このため、本発明においては、昇降テーブル15の上昇を停止した後、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を所定時間駆動し、前記ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置された被搬送物2をハンガー9の進行方向(図8の左方向)へ移動させるとともに、所定時間が経過したら制御装置23からの指令により前記電動機18を停止して、ローラーコンベア19の駆動を停止する(図17のステップS8〜S10参照)。これにより、図9で示すように、前記被搬送物2の内周壁面とハンガー9との相対距離を一定の距離に保つことができる。なお、前記ローラーコンベア19の駆動時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記駆動時間は、例えば、図9で示すように、ハンガー9の進行方向側に位置するローラーコンベア19の端部と対向する状態で回動テーブル17に取付けたストッパー21と、被搬送物2が載置されたパレット20とが当接するまでに必要な時間とすればよい。
【0030】
つづいて、前記のようにローラーコンベア19により被搬送物2をハンガー9の進行方向へ移動させた後、制御装置23からの指令により電動機16(図16参照)を起動して、テーブルリフタ12の回動テーブル17を所定方向へ回動させる。そして、第4の検出手段11d(図16参照)により、回動テーブル17が所定角度(例えば90°)回動したことが検出されると、制御装置27からの指令により電動機16が停止して、回動テーブル17の回動を終了する(図17のステップS11参照)。なお、前記のように回動テーブル17を回動させる際、ハンガー9は、該ハンガー9を吊持している吊持体7に固着した回動規制板25と、前記回動規制板25と対応する位置に配設した回動規制ガイド26とが当接していることにより、回動が阻止されている関係上、前記回動テーブル17上に取付けたローラーコンベア19にパレット20を介して載置されている被搬送物2のみが回動する(図11参照)。
【0031】
また、前記のように、回動テーブル17を所定方向へ所定角度回動させるに際し、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aは、図9,10で示すように、ハンガー9の掛止具9cとの係合が解除され、かつ、前記掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eと合致(正対)する状態となっており、しかも、ハンガー9と被搬送物2の内周壁面との相対距離は、図9で示すように、一定の距離に保たれているので、この状態で回動テーブル17を所定方向、例えば、図10に矢印で示す反時計方向へ所定角度回動させると、図10に1点鎖線で示す如く前記ハンガー9の掛止具9c内に位置している吊金具2aは、前記掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eを通過して、図10に2点鎖線で示す如く所定角度(例えば90°)位置ずれした状態となる。なお、前記のように、回動テーブル17を所定方向へ所定角度回動させている間も、ハンガー9は搬送チェーン5の駆動により図9の左方向へ所定速度で移動するが、被搬送物2は、図9で示すように、その内周面に設けた吊金具2aと、ハンガー9の掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eとが合致(正対)し、かつ、ハンガー9と内周壁面との相対距離が一定に保たれた状態から回動を始めるので、その回動途中において吊金具2aが掛止具9cや膨出部9eと係合するようなことはなく、また、被搬送物2を回動させた後も、前記吊金具2aと掛止具9c及び膨出部9eとは、所定角度位置ずれした状態となっているので、ハンガー9の移動に伴い、前記吊金具2aと掛止具9c及び膨出部9eとが係合するようなことはない。
【0032】
つづいて、前記のように回動テーブル17を回動させることにより、被搬送物2を所定角度(例えば90°)回動させたら、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)を起動して、昇降テーブル15を下降させる(図17のステップS12参照)。この際、ハンガー9の一方の(進行方向側に位置する)吊持杆9bが、図11で示すように、前記ハンガー9の移動に伴って被搬送物2の内周壁面と当接し、傾斜した状態となっているものの、前記ハンガー9の掛止具9c及び膨出部9eと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとは所定角度位置ずれし、前記被搬送物2とハンガー9との掛止状態は解除されているので、昇降テーブル15の下降動作に支障をきたすようなことは全くない。そして、図12,13で示すように、前記昇降テーブル15が下限位置まで下降したことを、第5の検出手段11e(図16参照)が検出すると(図17のステップS13参照)、制御装置23からの指令により電動機14が停止して、昇降テーブル15の下降は停止する(図17のステップS14参照)。
【0033】
前記昇降テーブル15が下限位置まで下降したら、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を所定時間回転させ、図13で示す如く前記ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置されている被搬送物2を、図14で示すように、前記ローラーコンベア19と連接する次工程の搬送コンベア24側へ搬出する。また、所定時間が経過したら、制御装置23からの指令により電動機18を停止し、ローラーコンベア19の回転を停止させて、被搬送物2の搬出作業を終了する(図17のステップS15参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、被搬送物2をローラーコンベア19側からこれに連接する次工程の搬送コンベア24側へ確実に搬出するのに必要な時間とすればよい。
【0034】
被搬送物2を次工程の搬送コンベア24側へ搬出した後、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を被搬送物2の搬出時とは逆方向へ所定時間回転させ、図示しないパレット供給装置からパレット20をローラーコンベア19上に供給する。また、所定時間が経過したら、制御装置23からの指令により電動機18を停止し、ローラーコンベア19の回転を停止させて、パレット20の供給作業を終了する(図17のステップS16参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、図示しないパレット供給装置からパレット20をローラーコンベア19上に確実に供給するのに必要な時間とすればよい。
【0035】
つづいて、前記のようにパレット20をローラーコンベア19上に供給したら、制御装置23からの指令により電動機16(図16参照)を起動して、回動テーブル17を先程とは逆方向へ回動させる。そして、前記回動テーブル17が、図12で示す回動位置から所定角度(例えば90°)回動し、図15で示すように、原点位置に復帰したことを第3の検出手段11c(図16参照)が検出すると、制御装置23からの指令により電動機16が停止し、回動テーブル17の回動は停止する(図17のステップS17参照)。以後、被搬送物2をハンガー9から自動的に取外す場合は、前記の動作(図17のステップS1〜S17)を繰り返し行えばよい。
【0036】
このように、本発明においては、被搬送物2を掛止するハンガー9を、フック8を介して吊設される逆T字状の支持杆9aと、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆9b,9bと、前記吊持杆9bの先端部に設けられ、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aと係合する縦長な環状の掛止具9cと、前記掛止具9cにおける一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記連通部9dから掛止具9cと直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとを具備して構成したので、前記掛止具9cと吊金具2aとの係合が解除されると、一対の吊持杆9b,9bは、掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して互いに相対する方向へ自動的に縮閉させることが可能となり、この結果、被搬送物2とハンガー9との掛止状態を良好に解除して、前記被搬送物2をハンガー9から確実に取外すことができる。しかも、従来技術の如く引張ばねを使用することなく一対の吊持杆9b,9bを互いに相対する方向へ縮閉することができるので、従来技術の如く被搬送物2を塗装する際に引張ばねに付着した塗料が焼付け乾燥を行うことで乾燥・固化し、前記引張ばねが縮まろうとするのを阻害することにより、掛止具9cと吊金具2aとの係合が解除されないという問題が発生するのを確実に防ぐことが可能となる。
【0037】
また、前記一対の吊持杆9b,9bは、図1で示すように、その先端側を完全には縮閉することはできないものの、前記一対の吊持杆9b,9bの先端部に設けた掛止具9cには、その一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記連通部9dから掛止具9cと直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとが具備されているので、被搬送物2をテーブルリフタ12により所定高さ位置まで持ち上げて、前記一対の吊持杆9b,9bの先端部に設けた掛止具9cと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとの係合を解除した後、前記被搬送物2を所定方向へ所定角度回動させる場合、前記掛止具9c内に位置する吊金具2aは、掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eを通過することとなるため、前記吊金具2aと掛止具9cとが再度係合するようなことは全くない。
【0038】
更に、被搬送物2をテーブルリフタ12により所定高さ位置まで持ち上げて、該被搬送物2の吊金具2aとハンガー9の掛止具9cとの係合を解除した後、前記被搬送物2を所定方向に所定角度回動させるに際し、テーブルリフタ12のローラーコンベア19を所定時間駆動して、前記被搬送物2をハンガー9の進行方向へ移動させることにより、前記ハンガー9と被搬送物2の内周壁面との相対距離を一定の距離に保つようにしたので、前記被搬送物2を所定方向へ所定角度回動させる場合に、被搬送物2に設けた吊金具2aとハンガー9に設けた掛止具9c及び膨出部9eとが係合するのを確実に防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明の実施例においては、ハンガー9を吊持する吊持体7を、搬送体6に対して回転自在に取付けるようにしているが、前記ハンガー9に掛止される被搬送物2を、例えば、単に所定の場所から所定の場所まで搬送するだけであれば、吊持体7を搬送体6に対して回転自在に取付ける必要はなく、また、回動規制板25や回動規制ガイド26を設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における被搬送物の搬送装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】搬送装置のハンガーを示す斜視図である。
【図3】ハンガーの要部を拡大して示す側面図である。
【図4】ハンガーを示す底面図である。
【図5】第1の検出手段により吊持体を検出した状態を示す動作説明図である。
【図6】第2の検出手段により被搬送物の底部側面を検出した状態を示す動作説明図である。
【図7】(a)はハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合状態を拡大して示す側面図、(b)はハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合が解除された状態を拡大して示す側面図である。
【図8】被搬送物をテーブルリフタに載置した状態で上動させて、ハンガーとの掛止を解除した状態を示す動作説明図である。
【図9】被搬送物をハンガーの進行方向へ移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離とした状態を示す動作説明図である。
【図10】テーブルリフタにより被搬送物を回動させる際の吊金具の動作を示す拡大斜視図である。
【図11】テーブルリフタを回動させた状態を示す動作説明図である。
【図12】テーブルリフタを下降させた状態を示す動作説明図である。
【図13】被搬送物を次工程へ搬出する前の状態を示す動作説明図である。
【図14】被搬送物を次工程へ搬出した状態を示す動作説明図である。
【図15】テーブルリフタを原点位置に復帰させた状態を示す動作説明図である。
【図16】テーブルリフタを駆動制御する制御装置の一例を示す概略的なブロック図である。
【図17】本発明におけるハンガーからの被搬送物の取外し動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 搬送装置
2 被搬送物
2a 吊金具
9 ハンガー
9a 支持杆
9b 吊持杆
9c 掛止具
9d 連通部
9e 膨出部
12 テーブルリフタ
15 昇降テーブル
17 回動テーブル
19 ローラーコンベア
20 パレット
21 ストッパー
23 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物をハンガーに掛止した状態で搬送する搬送装置において、前記被搬送物をハンガーから自動的に取外すための取外し装置及び取外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、チェーンコンベア等の搬送装置に設けたハンガーに掛止されている被搬送物(例えば、変圧器等の電気機器に使用する有底筒状のケース等)に対して塗装を行う場合、前記搬送装置を塗装ブース内を通過するように配設し、前記搬送装置によって所定速度で搬送される被搬送物の外周面等に対して、噴射ガンから塗料を噴射させて塗装を行うようにしている。また、塗装ブースにおいて塗装を終えた被搬送物は、搬送装置によって焼付け乾燥炉内へ搬送され、焼付け乾燥が行われる。
【0003】
前記のように塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物を、ハンガーから自動的に取外す場合は、例えば、特許文献1に記載されているようなテーブルリフタを使用していた。前記テーブルリフタは、床面等に固定されるベースと、前記ベースにリンクを介して連結され、電動機の起動により前記ベースを基点として所定高さ位置まで上昇する昇降テーブルと、前記昇降テーブル上に取付けられ、電動機の起動により所定角度範囲で回動する回動テーブルと、前記回動テーブル上に取付けられて被搬送物を載置し、かつ、電動機の起動により前記被搬送物を搬送するローラーコンベアとを備えて概略構成されている。また、前記被搬送物を掛止するハンガーは、環状の掛止具を先端部に設けた一対の吊持杆と、前記吊持杆の基端部を回動自在に枢支する支持杆と、前記一対の吊持杆の間に張架され、該吊持杆を互いに相対する方向へ付勢する引張ばねとを備えて構成されている。
【0004】
そして、前記構成のテーブルリフタを使用して、ハンガーに掛止されている被搬送物を、前記ハンガーから自動的に取外す場合は、ハンガーに掛止された状態の被搬送物が所定位置まで搬送されると昇降テーブルが上昇を開始し、これによりローラーコンベア上に被搬送物がハンガーに掛止された状態のまま載置されるとともに、前記昇降テーブルが所定高さ位置まで上昇を継続することにより、被搬送物とハンガーとの掛止状態は、前記ハンガーに設けた引張ばねの付勢力を利用して解除される。つづいて、ハンガーとの掛止状態が解除された被搬送物は、回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させ、かつ、昇降テーブルをその下限位置まで下降させた後、ローラーコンベアにより次工程へ搬出するようにしていた。
【0005】
【特許文献1】特開2006−143437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、前記のように塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物を、テーブルリフタを使用してハンガーから自動的に取外す場合、前記ハンガーは、一対の吊持杆を引張ばねの付勢力に抗して拡開した状態で、前記吊持杆の先端部に設けた環状の掛止具が、被搬送物の内周面に設けた吊金具に係合されているので、前記被搬送物の塗装に際して引張ばねに塗料が付着し、かつ、焼付け乾燥によって前記塗料が乾燥・固化することにより、前記引張ばねが縮まらなくなる(即ち、一対の吊持杆を互いに相対する方向に付勢して縮閉することができなくなる)ことがあり、この結果、前記被搬送物をローラーコンベア上に載置した状態で昇降テーブルを所定高さ位置まで上昇させても、前記掛止具と吊金具との係合を解除することができないという問題があった。
【0007】
また、ハンガーに掛止された状態で被搬送物がローラーコンベア上に載置されることにより、前記被搬送物はローラーコンベア上に載置された状態で移動しないものの、ハンガーは、搬送チェーンの駆動により常時所定速度で進行方向へ移動しているため、前記被搬送物がローラーコンベア上に載置された後、昇降テーブルが所定高さ位置まで上昇を継続する間に、ハンガーと被搬送物の内周壁面との相対距離が縮まり(即ち、ハンガーと該ハンガーの進行方向側に位置する被搬送物の内周壁面とが近接し)、前記被搬送物を回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる際に、前記ハンガーの掛止具と被搬送物に設けた吊金具とが再度係合してしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、前記種々の問題点に鑑み、引張ばねの付勢力を利用しなくてもハンガーと被搬送物に設けた吊金具との係合を解除することが可能で、しかも、前記ハンガーと被搬送物に設けた吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を所定方向へ所定角度回動させる際に、前記ハンガーの移動に伴い、該ハンガーと被搬送物に設けた吊金具とが再度係合するのを防ぐことが可能な被搬送物の搬送装置と被搬送物の取外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、搬送チェーンに吊設された被搬送物掛止用のハンガーと、前記搬送チェーンの駆動に伴って所定位置まで搬送された被搬送物とハンガーとの掛止状態を解除して、前記被搬送物をハンガーから取外すためのテーブルリフタとを備えた被搬送物の搬送装置において、前記ハンガーは、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記一対の吊持杆の先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを備えて構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、ハンガーに掛止した状態の被搬送物が所定位置まで搬送されたことを検出した時点でテーブルリフタを上昇させて、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベア上にパレットを介して載置し、かつ、この状態で、前記被搬送物をテーブルリフタの上昇動作に伴い所定高さ位置まで持ち上げて、ハンガーに設けた掛止具と被搬送物の内周面に設けた吊金具との係合を解除する工程と、ハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を前記ローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つ工程と、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対位置を一定の距離に保った状態で、前記被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる工程と、前記所定方向へ所定角度回動させた被搬送物を、テーブルリフタにより所定高さ位置まで下降させ、かつ、次工程へ搬出する工程と、被搬送物を次工程へ搬出した後、前記回動テーブルを所定方向へ所定角度回動して原点復帰させる工程からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、被搬送物掛止用のハンガーを、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記吊持杆の先端部に設けられ、被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを具備して構成したので、先端側を拡開した状態で掛止具を被搬送物の吊金具に係合した一対の吊持杆は、前記掛止具と吊金具との係合が解除されると、掛止具から延設した膨出部の重量を利用して互いに相対する方向へ縮閉させることが可能となり、この結果、従来技術の如く引張ばねの付勢力を利用することなく掛止具と吊金具との係合を解除して、被搬送物をハンガーから良好、かつ、確実に取外すことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、被搬送物をテーブルリフタにより所定高さ位置まで持ち上げることで、前記被搬送物の内周面に設けた吊金具は、ハンガーの掛止具との係合が解除され、かつ、前記掛止具に設けた連通部及び膨出部と合致(正対)する状態となっており、しかも、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させることで、ハンガーと被搬送物の内周壁面との相対距離は一定の距離に保たれているので、この状態で、被搬送物を所定方向へ所定角度回動させると、前記ハンガーの掛止具内に位置している吊金具は、前記掛止具に設けた連通部及び膨出部を通過することとなる結果、前記掛止具と吊金具との係合を解除した状態で、被搬送物を所定方向へ所定角度回動させる場合に、前記掛止具と吊金具とが再度係合するのを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図17を参照しながら説明する。なお、本発明と従来技術との相違点は、被搬送物を掛止するハンガーに、該ハンガーを互いに相対する方向へ縮閉させる引張ばねを使用しないようにした点、及び被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにて回動させる際に、前記被搬送物とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つようにした点にある。
【0014】
はじめに、図1は本発明における被搬送物の搬送装置を示す概略構成図である。図1において、1は被搬送物2(図5参照)を吊下げた状態で搬送するためのチェーンコンベア等からなる搬送装置であり、前記搬送装置1は、例えば、図示しない建屋内に架設したレール3にローラ4を介して移動可能に吊設され、かつ、前記レール3に併設した搬送チェーン5に所定間隔を設けた状態で固定した複数の搬送体6(図1には1個のみ図示する)と、前記搬送体6に、例えば、図示しない軸受等を介して回転自在に取付けた吊持体7と、前記吊持体7にフック8を介して吊設した被搬送物2掛止用のハンガー9とを備えて概略構成されている。
【0015】
つづいて、前記ハンガー9の構成について、図1ないし図4を参照しながら説明する。図1,2において、9aは吊持体7にフック8を介して吊設される逆T字状の支持杆、9b,9bは、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆である。9cは前記吊持杆9bの先端部に取付けられて、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2a(図5参照)と係合する縦長な環状の掛止具であり、前記掛止具9cにおける一方の長辺部(例えば、図3における右側)には、その一部を切除することにより、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dが形成されている。9eは前記掛止具9cの連通部9dから、該掛止具9cと直交する方向に向けて一体的に延設した窓状の膨出部であり、前記膨出部9eは、図2,4で示すように、各掛止具9cにおける異なる長辺部(例えば、図2に示す左側の掛止具9cにおいては手前側の長辺部、図2に示す右側の掛止具9cにおいては奥側の長辺部)から、互いに相対する方向に向けて入れ違い状に延設されている。
【0016】
そして、前記ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bは、その先端側を人手により拡開することにより、掛止具9cと被搬送物2に設けた吊金具2aとを係合させるとともに、前記掛止具9cと吊金具2aとの係合を解除すると、前記一対の吊持杆9b,9bは、掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して、互いに相対する方向へ自動的に縮閉するように構成されている。また、前記一対の吊持杆9b,9bは、被搬送物2を掛止していない状態にあっては、図1で示すように、その先端部に取付けた掛止具9cから延設した膨出部9eの重量により、先端側がやや開いた状態でバランスが保たれている。
【0017】
次に、図5において、11aは被搬送物2が搬送チェーン5の駆動により所定位置まで搬送されたことを検出する、例えば、光電透過式のセンサ等からなる第1の検出手段であり、前記第1の検出手段11aは、被搬送物2の搬送方向(ハンガー9の進行方向)の所定位置において、例えば、ハンガー9を吊持している吊持体7を検出することができるように、その投光部及び受光部を、図5で示す如くレール3及び搬送チェーン5を挟んで互いに相対向させた状態で配設されている。なお、前記第1の検出手段11aは、光電透過式のセンサを使用する代わりにリミットスイッチ等を使用し、ローラ4,搬送体6等との当接により被搬送物2が所定位置まで搬送されたことを検出するようにしてもよい。
【0018】
12は所定位置において被搬送物2とハンガー9との掛止状態を解除して、前記被搬送物2をハンガー9から取外すためのテーブルリフタである。前記テーブルリフタ12は、床面等に固定されるベース13と、前記ベース13にリンク13a(図6参照)を介して連結され、電動機14(図16参照)の起動により前記ベース13を基点として所定高さ位置まで上昇する昇降テーブル15と、前記昇降テーブル15上に取付けられ、電動機16(図16参照)の起動により所定角度範囲で回動する回動テーブル17と、前記回動テーブル17上に取付けられて被搬送物2を載置し、かつ、電動機18(図16参照)の起動により前記被搬送物2を次工程へ搬送するローラーコンベア19とを備えて概略構成されている。
【0019】
なお、図5において、20はローラーコンベア19上に図示しないパレット供給装置から供給される板状のパレットであり、被搬送物2は前記パレット20を介してローラーコンベア19上に載置される。また、図5において、21は回動テーブル17に取付けたL字状のストッパーであり、前記ストッパー21は、ハンガー9の進行方向側(図5の左側)に位置するローラーコンベア19の端部と対向する部位に、前記ローラーコンベア19の端部と所定距離を保った状態で取付けられている。なお、前記ストッパー21における長辺部の先端は、図5で示すように、ローラーコンベア19上に供給されるパレット20と対向させることが可能な高さ位置まで延設されている。
【0020】
更に、図5において、11bはテーブルリフタ12に配設され、ハンガー9に掛止されている被搬送物2の底部側面を検出することでテーブルリフタ12の上昇位置を検出する、例えば、光電透過式のセンサ等からなる第2の検出手段であり、前記第2の検出手段11bは、その投光部及び受光部が、図5で示すように、ローラーコンベア19を挟んで互いに相対向する状態で、取付座22を介してテーブルリフタ12の昇降テーブル15に取付けられている。なお、前記第2の検出手段11bは、図5で示すように、ローラーコンベア19上に供給されるパレット20の上端面よりも若干上方に位置する状態で取付座22に取付けられている。
【0021】
次に、図16において、23はテーブルリフタ12を駆動制御する、例えば、プログラマブルコントローラからなる制御装置であり、図16で示すように、前記制御装置23の入力端I1〜I6には、前記第1,第2の検出手段11a,11bと、テーブルリフタ12の所定位置に配設されて回動テーブル17の原点位置及び回動位置を検出する第3,第4の検出手段11c,11dと、同じく、テーブルリフタ12の所定位置に配設されて昇降テーブル15の下限位置を検出する第5の検出手段11eと、例えば、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設されて、前記ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを検出する第6の検出手段11f(例えば、光電透過式のセンサ等)がそれぞれ接続されているとともに、出力端O1〜O3には、昇降テーブル15を駆動する電動機14と、回動テーブル17を駆動する電動機16と、ローラーコンベア19を駆動する電動機18がそれぞれ接続されている。
【0022】
なお、前記制御装置23には、前記第1〜第6の検出手段11a〜11fから出力される検出信号に基づいて、電動機14,16,18を駆動制御するためのプログラム(図17参照)が、予め組込まれている。また、第1の検出手段11aによって被搬送物2を検出するようにした場合には、ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを検出する第6の検出手段11fを設ける必要はない。更に、前記第6の検出手段11fは、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設する代わりに、前記テーブルリフタ12自体に配設するようにしてもよい。
【0023】
次に、本発明の動作について、例えば、塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物2を、テーブルリフタ12を使用してハンガー9から取外す場合を一例として説明する。なお、前記被搬送物2は、ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bの先端側を人手により拡開し、前記各吊持体9b,9bの先端部に取付けた掛止具9cを、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aの括れ部分に係合させることにより、前記ハンガー9に掛止されている。
【0024】
はじめに、搬送チェーン5の駆動により、塗装及び焼付け乾燥を終えた被搬送物2がハンガー9に掛止された状態で所定位置まで搬送され、図5で示すように、例えば、前記ハンガー9を吊持している吊持体7が、第1の検出手段11aにより検出されると(図17のステップS1参照)、ハンガー9に被搬送物2が掛止されているか否かを判断する(図17のステップS2参照)。即ち、ハンガー9の進行方向(被搬送物2の搬送方向)におけるテーブルリフタ12より手前の所定位置に配設されている第6の検出手段11f(図16参照)によって、ハンガー9に掛止した被搬送物2が事前に検出されていれば、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)が起動して、テーブルリフタ12の昇降テーブル15は上昇を開始する(図17のステップS3参照)。また、前記第6の検出手段11fによって被搬送物2が事前に検出されていなければ、テーブルリフタ12は起動しない。
【0025】
つづいて、昇降テーブル15が上昇することに伴い、該昇降テーブル15に取付座22を介して取付けた第2の検出手段11bが、図6で示すように、ハンガー9に掛止されて、ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置される寸前の被搬送物2の底部側面を検出すると(図17のステップS4参照)、該被搬送物2の検出から所定時間が経過するまでの間、前記昇降テーブル15は上昇を継続する(図17のステップS5,S6参照)。なお、前記昇降テーブル15の上昇に伴って、第2の検出手段11bが被搬送物2の底部側面を検出するのとほぼ同時に、前記被搬送物2は、昇降テーブル15に回動テーブル17を介して取付けたローラーコンベア19のほぼ中央位置に、パレット20を介して載置される。
【0026】
そして、前記のように、被搬送物2をローラーコンベア19上にパレット20を介して載置した状態で、昇降テーブル15が所定時間上昇を継続することにより、前記被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aは、図7(a)で示す状態から図7(b)で示すように、ハンガー9の吊持杆9b先端部に取付けた縦長な環状の掛止具9c内を上方へ(連通部9d及び膨出部9eと合致する高さ位置まで)移動し、その括れ部分と前記掛止具9cとの係合が解除される。これにより、前記ハンガー9の一対の吊持杆9b,9bは、その先端部に取付けた掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して互いに相対する方向へ縮閉し、被搬送物2とハンガー9との掛止状態は解除される(図8参照)。
【0027】
つづいて、第2の検出手段11bが被搬送物2の底部側面を検出してから所定時間が経過すると、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)が停止して、前記昇降テーブル15の上昇を停止する(図17のステップS6,S7参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、ハンガー9の掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとが合致(正対)する高さ位置まで昇降テーブル15を上昇させるのに必要な時間とすればよい。
【0028】
なお、前記のように、被搬送物2は、パレット20を介してローラーコンベア19上に載置されることにより、ハンガー9の進行方向(図8の左方向)へ移動することはないが、前記ハンガー9は、搬送チェーン5の駆動により常時所定速度で図8の左方向へ移動しているため、前記のように被搬送物2をパレット20を介してローラーコンベア19上に載置した状態で昇降テーブル15が上昇を継続した場合、図8で示すように、ハンガー9の進行方向側に位置する被搬送物2の内周壁面と前記ハンガー9との距離が縮まってしまい、前記被搬送物2の内周壁面とハンガー9との相対距離を一定の距離に保つことができない。
【0029】
このため、本発明においては、昇降テーブル15の上昇を停止した後、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を所定時間駆動し、前記ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置された被搬送物2をハンガー9の進行方向(図8の左方向)へ移動させるとともに、所定時間が経過したら制御装置23からの指令により前記電動機18を停止して、ローラーコンベア19の駆動を停止する(図17のステップS8〜S10参照)。これにより、図9で示すように、前記被搬送物2の内周壁面とハンガー9との相対距離を一定の距離に保つことができる。なお、前記ローラーコンベア19の駆動時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記駆動時間は、例えば、図9で示すように、ハンガー9の進行方向側に位置するローラーコンベア19の端部と対向する状態で回動テーブル17に取付けたストッパー21と、被搬送物2が載置されたパレット20とが当接するまでに必要な時間とすればよい。
【0030】
つづいて、前記のようにローラーコンベア19により被搬送物2をハンガー9の進行方向へ移動させた後、制御装置23からの指令により電動機16(図16参照)を起動して、テーブルリフタ12の回動テーブル17を所定方向へ回動させる。そして、第4の検出手段11d(図16参照)により、回動テーブル17が所定角度(例えば90°)回動したことが検出されると、制御装置27からの指令により電動機16が停止して、回動テーブル17の回動を終了する(図17のステップS11参照)。なお、前記のように回動テーブル17を回動させる際、ハンガー9は、該ハンガー9を吊持している吊持体7に固着した回動規制板25と、前記回動規制板25と対応する位置に配設した回動規制ガイド26とが当接していることにより、回動が阻止されている関係上、前記回動テーブル17上に取付けたローラーコンベア19にパレット20を介して載置されている被搬送物2のみが回動する(図11参照)。
【0031】
また、前記のように、回動テーブル17を所定方向へ所定角度回動させるに際し、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aは、図9,10で示すように、ハンガー9の掛止具9cとの係合が解除され、かつ、前記掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eと合致(正対)する状態となっており、しかも、ハンガー9と被搬送物2の内周壁面との相対距離は、図9で示すように、一定の距離に保たれているので、この状態で回動テーブル17を所定方向、例えば、図10に矢印で示す反時計方向へ所定角度回動させると、図10に1点鎖線で示す如く前記ハンガー9の掛止具9c内に位置している吊金具2aは、前記掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eを通過して、図10に2点鎖線で示す如く所定角度(例えば90°)位置ずれした状態となる。なお、前記のように、回動テーブル17を所定方向へ所定角度回動させている間も、ハンガー9は搬送チェーン5の駆動により図9の左方向へ所定速度で移動するが、被搬送物2は、図9で示すように、その内周面に設けた吊金具2aと、ハンガー9の掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eとが合致(正対)し、かつ、ハンガー9と内周壁面との相対距離が一定に保たれた状態から回動を始めるので、その回動途中において吊金具2aが掛止具9cや膨出部9eと係合するようなことはなく、また、被搬送物2を回動させた後も、前記吊金具2aと掛止具9c及び膨出部9eとは、所定角度位置ずれした状態となっているので、ハンガー9の移動に伴い、前記吊金具2aと掛止具9c及び膨出部9eとが係合するようなことはない。
【0032】
つづいて、前記のように回動テーブル17を回動させることにより、被搬送物2を所定角度(例えば90°)回動させたら、制御装置23からの指令により電動機14(図16参照)を起動して、昇降テーブル15を下降させる(図17のステップS12参照)。この際、ハンガー9の一方の(進行方向側に位置する)吊持杆9bが、図11で示すように、前記ハンガー9の移動に伴って被搬送物2の内周壁面と当接し、傾斜した状態となっているものの、前記ハンガー9の掛止具9c及び膨出部9eと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとは所定角度位置ずれし、前記被搬送物2とハンガー9との掛止状態は解除されているので、昇降テーブル15の下降動作に支障をきたすようなことは全くない。そして、図12,13で示すように、前記昇降テーブル15が下限位置まで下降したことを、第5の検出手段11e(図16参照)が検出すると(図17のステップS13参照)、制御装置23からの指令により電動機14が停止して、昇降テーブル15の下降は停止する(図17のステップS14参照)。
【0033】
前記昇降テーブル15が下限位置まで下降したら、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を所定時間回転させ、図13で示す如く前記ローラーコンベア19上にパレット20を介して載置されている被搬送物2を、図14で示すように、前記ローラーコンベア19と連接する次工程の搬送コンベア24側へ搬出する。また、所定時間が経過したら、制御装置23からの指令により電動機18を停止し、ローラーコンベア19の回転を停止させて、被搬送物2の搬出作業を終了する(図17のステップS15参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、被搬送物2をローラーコンベア19側からこれに連接する次工程の搬送コンベア24側へ確実に搬出するのに必要な時間とすればよい。
【0034】
被搬送物2を次工程の搬送コンベア24側へ搬出した後、制御装置23からの指令により電動機18(図16参照)を起動して、ローラーコンベア19を被搬送物2の搬出時とは逆方向へ所定時間回転させ、図示しないパレット供給装置からパレット20をローラーコンベア19上に供給する。また、所定時間が経過したら、制御装置23からの指令により電動機18を停止し、ローラーコンベア19の回転を停止させて、パレット20の供給作業を終了する(図17のステップS16参照)。なお、前記所定時間は、例えば、制御装置23内に具備した図示しないタイマー等により計時すればよい。また、前記所定時間は、例えば、図示しないパレット供給装置からパレット20をローラーコンベア19上に確実に供給するのに必要な時間とすればよい。
【0035】
つづいて、前記のようにパレット20をローラーコンベア19上に供給したら、制御装置23からの指令により電動機16(図16参照)を起動して、回動テーブル17を先程とは逆方向へ回動させる。そして、前記回動テーブル17が、図12で示す回動位置から所定角度(例えば90°)回動し、図15で示すように、原点位置に復帰したことを第3の検出手段11c(図16参照)が検出すると、制御装置23からの指令により電動機16が停止し、回動テーブル17の回動は停止する(図17のステップS17参照)。以後、被搬送物2をハンガー9から自動的に取外す場合は、前記の動作(図17のステップS1〜S17)を繰り返し行えばよい。
【0036】
このように、本発明においては、被搬送物2を掛止するハンガー9を、フック8を介して吊設される逆T字状の支持杆9aと、前記支持杆9aに基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆9b,9bと、前記吊持杆9bの先端部に設けられ、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aと係合する縦長な環状の掛止具9cと、前記掛止具9cにおける一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記連通部9dから掛止具9cと直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとを具備して構成したので、前記掛止具9cと吊金具2aとの係合が解除されると、一対の吊持杆9b,9bは、掛止具9cから延設した膨出部9eの重量を利用して互いに相対する方向へ自動的に縮閉させることが可能となり、この結果、被搬送物2とハンガー9との掛止状態を良好に解除して、前記被搬送物2をハンガー9から確実に取外すことができる。しかも、従来技術の如く引張ばねを使用することなく一対の吊持杆9b,9bを互いに相対する方向へ縮閉することができるので、従来技術の如く被搬送物2を塗装する際に引張ばねに付着した塗料が焼付け乾燥を行うことで乾燥・固化し、前記引張ばねが縮まろうとするのを阻害することにより、掛止具9cと吊金具2aとの係合が解除されないという問題が発生するのを確実に防ぐことが可能となる。
【0037】
また、前記一対の吊持杆9b,9bは、図1で示すように、その先端側を完全には縮閉することはできないものの、前記一対の吊持杆9b,9bの先端部に設けた掛止具9cには、その一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具9cの内側と外側とを連通する連通部9dと、前記連通部9dから掛止具9cと直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部9eとが具備されているので、被搬送物2をテーブルリフタ12により所定高さ位置まで持ち上げて、前記一対の吊持杆9b,9bの先端部に設けた掛止具9cと、被搬送物2の内周面に設けた吊金具2aとの係合を解除した後、前記被搬送物2を所定方向へ所定角度回動させる場合、前記掛止具9c内に位置する吊金具2aは、掛止具9cに設けた連通部9d及び膨出部9eを通過することとなるため、前記吊金具2aと掛止具9cとが再度係合するようなことは全くない。
【0038】
更に、被搬送物2をテーブルリフタ12により所定高さ位置まで持ち上げて、該被搬送物2の吊金具2aとハンガー9の掛止具9cとの係合を解除した後、前記被搬送物2を所定方向に所定角度回動させるに際し、テーブルリフタ12のローラーコンベア19を所定時間駆動して、前記被搬送物2をハンガー9の進行方向へ移動させることにより、前記ハンガー9と被搬送物2の内周壁面との相対距離を一定の距離に保つようにしたので、前記被搬送物2を所定方向へ所定角度回動させる場合に、被搬送物2に設けた吊金具2aとハンガー9に設けた掛止具9c及び膨出部9eとが係合するのを確実に防ぐことができる。
【0039】
なお、本発明の実施例においては、ハンガー9を吊持する吊持体7を、搬送体6に対して回転自在に取付けるようにしているが、前記ハンガー9に掛止される被搬送物2を、例えば、単に所定の場所から所定の場所まで搬送するだけであれば、吊持体7を搬送体6に対して回転自在に取付ける必要はなく、また、回動規制板25や回動規制ガイド26を設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における被搬送物の搬送装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】搬送装置のハンガーを示す斜視図である。
【図3】ハンガーの要部を拡大して示す側面図である。
【図4】ハンガーを示す底面図である。
【図5】第1の検出手段により吊持体を検出した状態を示す動作説明図である。
【図6】第2の検出手段により被搬送物の底部側面を検出した状態を示す動作説明図である。
【図7】(a)はハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合状態を拡大して示す側面図、(b)はハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合が解除された状態を拡大して示す側面図である。
【図8】被搬送物をテーブルリフタに載置した状態で上動させて、ハンガーとの掛止を解除した状態を示す動作説明図である。
【図9】被搬送物をハンガーの進行方向へ移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離とした状態を示す動作説明図である。
【図10】テーブルリフタにより被搬送物を回動させる際の吊金具の動作を示す拡大斜視図である。
【図11】テーブルリフタを回動させた状態を示す動作説明図である。
【図12】テーブルリフタを下降させた状態を示す動作説明図である。
【図13】被搬送物を次工程へ搬出する前の状態を示す動作説明図である。
【図14】被搬送物を次工程へ搬出した状態を示す動作説明図である。
【図15】テーブルリフタを原点位置に復帰させた状態を示す動作説明図である。
【図16】テーブルリフタを駆動制御する制御装置の一例を示す概略的なブロック図である。
【図17】本発明におけるハンガーからの被搬送物の取外し動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1 搬送装置
2 被搬送物
2a 吊金具
9 ハンガー
9a 支持杆
9b 吊持杆
9c 掛止具
9d 連通部
9e 膨出部
12 テーブルリフタ
15 昇降テーブル
17 回動テーブル
19 ローラーコンベア
20 パレット
21 ストッパー
23 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送チェーンに吊設された被搬送物掛止用のハンガーと、前記搬送チェーンの駆動に伴って所定位置まで搬送された被搬送物とハンガーとの掛止状態を解除して、前記被搬送物をハンガーから取外すためのテーブルリフタとを備えた被搬送物の搬送装置において、前記ハンガーは、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記一対の吊持杆の先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを備えて構成したことを特徴とする被搬送物の搬送装置。
【請求項2】
ハンガーに掛止した状態の被搬送物が所定位置まで搬送されたことを検出した時点でテーブルリフタを上昇させて、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベア上にパレットを介して載置し、かつ、この状態で、前記被搬送物をテーブルリフタの上昇動作に伴い所定高さ位置まで持ち上げて、ハンガーに設けた掛止具と被搬送物の内周面に設けた吊金具との係合を解除する工程と、ハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を前記ローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つ工程と、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対位置を一定の距離に保った状態で、前記被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる工程と、前記所定方向へ所定角度回動させた被搬送物を、テーブルリフタにより所定高さ位置まで下降させ、かつ、次工程へ搬出する工程と、被搬送物を次工程へ搬出した後、前記回動テーブルを所定方向へ所定角度回動して原点復帰させる工程からなることを特徴とする被搬送物の取外し方法。
【請求項1】
搬送チェーンに吊設された被搬送物掛止用のハンガーと、前記搬送チェーンの駆動に伴って所定位置まで搬送された被搬送物とハンガーとの掛止状態を解除して、前記被搬送物をハンガーから取外すためのテーブルリフタとを備えた被搬送物の搬送装置において、前記ハンガーは、搬送チェーンに搬送体及び吊持体を介して吊設される支持杆と、前記支持杆に基端部を回動自在に枢支した一対の吊持杆と、前記一対の吊持杆の先端部に設けられて被搬送物の内周面に設けた吊金具と係合する縦長な環状の掛止具と、前記掛止具における一方の長辺部の一部を切除することにより形成され、掛止具の内側と外側とを連通する連通部と、前記各掛止具の連通部から、該掛止具と直交する状態で互いに相対する方向へ向けて延設した窓状の膨出部とを備えて構成したことを特徴とする被搬送物の搬送装置。
【請求項2】
ハンガーに掛止した状態の被搬送物が所定位置まで搬送されたことを検出した時点でテーブルリフタを上昇させて、前記被搬送物をテーブルリフタに具備したローラーコンベア上にパレットを介して載置し、かつ、この状態で、前記被搬送物をテーブルリフタの上昇動作に伴い所定高さ位置まで持ち上げて、ハンガーに設けた掛止具と被搬送物の内周面に設けた吊金具との係合を解除する工程と、ハンガーの掛止具と被搬送物の吊金具との係合を解除した状態で、前記被搬送物を前記ローラーコンベアによりハンガーの進行方向へ所定時間移動させて、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対距離を一定の距離に保つ工程と、被搬送物の内周壁面とハンガーとの相対位置を一定の距離に保った状態で、前記被搬送物をテーブルリフタに具備した回動テーブルにより所定方向へ所定角度回動させる工程と、前記所定方向へ所定角度回動させた被搬送物を、テーブルリフタにより所定高さ位置まで下降させ、かつ、次工程へ搬出する工程と、被搬送物を次工程へ搬出した後、前記回動テーブルを所定方向へ所定角度回動して原点復帰させる工程からなることを特徴とする被搬送物の取外し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−50062(P2008−50062A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224806(P2006−224806)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000116666)愛知電機株式会社 (93)
【Fターム(参考)】
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