説明

被測定物への測定プローブ接近装置

【課題】 起伏のある被測定物に測定プローブを高速で接近させ、かつ被測定物への物理的影響を最小限に抑える。
【解決手段】 測定プローブ先端部を覆いかつ測定プローブ先端部でスライド可能なプローブキャップと、そのプローブキャップが測定プローブから脱落するのを防ぎかつ被測定物に接触するまでは測定プローブ先端面とプローブキャップ内部が一定の隙間を保つように支持するプローブキャップ支持部と、プローブキャップがプローブキャップ支持部から浮き上がったことにより被測定物との接触を検出する接触検出部と、接触検出後に測定プローブ先端面とプローブキャップ内部に設定した距離を残して停止させる機能を持たせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起伏のある被測定物表面近傍の磁界または電界またはその両方の測定を行う測定機において、被測定物に測定プローブを接近させる装置に関する物である。
【背景技術】
【0002】
従来の近傍磁界または近傍電界またはその両方を測定する測定機は、測定プローブ下降中に測定プローブとその固定機構が被測定物に接触して持ち上がることにより被測定物との接触を検出して下降動作を停止させ、その後、測定に必要な隙間をあけるために上昇させていた。
【0003】
特許文献1は、接触検出部がリング状であり被測定物の表面突起がプローブ先端径より小さい場合にプローブ先端面の保護ができない。また接触検出後に測定プローブ先端面と被測定物に設定した隙間を残して停止させる機能を備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2001−147115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接触時に測定プローブとその固定機構の重量および慣性力が被測定物に加わるため、測定プローブを低速で下降させる必要があった。また下降動作停止後に測定に必要な隙間をあけるための上昇動作も必要であった。これらが測定時間増大の原因になっており、特に被測定物表面を走査測定する種類の測定機の場合、測定時間の長さが深刻な問題になっていた。さらに測定プローブとその固定機構の重量により被測定物を変形させてしまうことがあるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、測定プローブ先端部を覆いかつ測定プローブ先端部でスライド可能なプローブキャップと、そのプローブキャップが測定プローブから脱落するのを防ぎかつ被測定物に接触するまでは測定プローブ先端面とプローブキャップ内部が一定の隙間を保つように支持するプローブキャップ支持部と、プローブキャップがプローブキャップ支持部から浮き上がったことにより被測定物との接触を検出する接触検出部と、接触検出後に測定プローブ先端面とプローブキャップ内部に設定した距離を残して停止させる機能を持たせることにより上記問題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
測定時間の短縮、および被測定物への物理的負担軽減。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 測定プローブを被測定物に接近させる前の状態である。
【図2】 測定プローブが被測定物に接触した直後の状態である。
【図3】 測定プローブ先端面とプローブキャップ内部に設定した隙間を残して停止した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
測定プローブ1の先端部はプローブキャップ2によって覆われている。プローブキャップ2は自重で測定プローブ1から滑り落ち、プローブキャップ2上部の段差がプローブキャップ支持部3に乗って停止している。プローブキャップ2が被測定物5に接触するまでは測定プローブ1先端面とプローブキャップ2内部には定常隙間D1がある。
【0010】
接触検出部4には透過式光電スイッチを使い遮光または入光によってプローブキャップ3の浮き上がりを検出する。この方式が性能とコスト面でのバランスに優れるが、その他の非接触式スイッチや接触式スイッチや変位量センサーでも代用できる。
【0011】
測定プローブ上下軸6に下降開始を指示する。この時点での測定プローブ上下軸6の停止目標位置は測定プローブ1と被測定物5が確実に干渉する位置に設定する。
【0012】
測定プローブ上下軸6下降中にプローブキャップ2先端が被測定物5に接触するとプローブキャップ2上部の段差がプローブキャップ支持部3から浮き上がる。この浮き上がりを接触検出部5が検出し、その瞬間の測定プローブ上下軸6の現在位置を取得する。
【0013】
その後、測定プローブ上下軸6に対して停止目標位置の変更を指示する。市販の透過式光電スイッチを使った場合でも接触検出遅れ時間は30マイクロ秒前後であり、接触検出時の測定プローブ1先端面とプローブキャップ2内部との隙間D2は定常隙間D1にほぼ等しいと考えて良い。つまり測定プローブ上下軸6の新しい停止目標位置は「接触検出時の測定プローブ上下軸6位置+定常隙間D1−測定に必要な隙間D3」から算出できる。停止目標位置の変更により、測定プローブ上下軸6は測定プローブ1先端面とプローブキャップ2内部に隙間D3を残して停止する。
【0014】
これら一連の動作中に被測定物5と接触するのは小型軽量部品であるプローブキャップ2だけのため、測定プローブ上下軸6を高速で下降させても被測定物5に加わる物理的影響は僅かである。加えて1回の移動動作だけで測定に必要な隙間が確保可能なため大幅な測定時間の短縮ができる。
【符号の説明】
【0015】
1 測定プローブ
2 プローブキャップ
3 プローブキャップ支持部
4 接触検出部
5 被測定物
6 測定プローブ上下軸
7 測定プローブ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定プローブ上下軸と、測定プローブ先端部を覆いかつ測定プローブ先端部でスライド可能なプローブキャップと、そのプローブキャップが測定プローブから脱落するのを防ぎかつ被測定物に接触するまでは測定プローブ先端面とプローブキャップ内部が一定の隙間を保つように支持するプローブキャップ支持部と、プローブキャップがプローブキャップ支持部から浮き上がったことにより被測定物との接触を検出する接触検出部と、接触検出後に測定プローブ上下軸を測定プローブ先端面とプローブキャップ内部に設定した距離を残して停止させる機能を持つことを特徴とする被測定物への測定プローブ接近装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−2440(P2011−2440A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165110(P2009−165110)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(503229443)
【Fターム(参考)】