説明

被覆された金属表面の補修コーティングの製造方法

前処理組成物、有機組成物、ならびに組成物を含むケイ素化合物からなる群より選択される、少なくとも1種の組成物を用いて適用される、少なくとも1種の耐食コーティングAにより被覆される、少なくとも1種の金属表面上の補修コーティングを製造する方法であって、少なくとも1種の耐食コーティングAは、領域Zにおいて少なくとも部分的に除去されており、少なくとも1種のケイ素化合物を含む薄層耐食コーティングBは、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサンまたはこれらの混合物(=シロキサン組成物)を含む溶液または分散液として領域Zの少なくとも一部に塗布される。任意に、追加の耐食コーティングCを、ケイ素化合物で作成した薄層耐食コーティングB上に塗布してもよく、追加の耐食コーティングCは、少なくとも1種の、プライマー、ウェットプライマー、e−コート、粉末コート、ベースコートおよびクリアコートなどの有機組成物により、あるいは、少なくとも1種の、薄膜Bのものと同種あるいは異種のシロキサン組成物である組成物により作成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の耐食コーティング、例えばプライマーコーティング、ペイントコーティングまたはシロキサン/ポリシロキサン増量コーティング、あるいはこれらのコーティングのいずれかの組み合わせなどにより既に被覆された、1種類以上の金属表面上における補修コーティングを製造する方法に関する。このような補修は、例えばe−コート塗布後などの自動車生産分野、下塗りまたは塗装をおこなった車体またはその一部の補修、建築用材の補修、航空車両または電車車両の車体の修復、およびその他の被覆された金属表面において固有の利益をもたらすものである。
【0002】
車体およびその他の被覆された金属部品、とりわけ被覆された金属薄板、より好ましくは熱間、温間または冷間形成による金属薄板の製造中には、例えば電着による第一塗装コーティングなどのプライマーコーティング、ベースコートおよびクリアコートなどをベースとし得る多層塗装を用いる塗装工程などの仕上げ後に観察され得る欠陥部位および領域が多数存在する。クリアコートは塗装システムの最上層に使用することができる。この傷は、直径または厚さが少なくとも10μm、あるいは稀であるが直径または厚さが少なくとも4μmであるような粒子、繊維、綿毛片ならびに傷を生じるその他の物質の存在により、あるいは、例えば、小さい状態で集合するが下地中で視覚的にも明らかに大きくなるような、少なくとも主に有機物質の凝集などにより、あるいは、例えば、間隙またはクレーターなどにより生じ得る。こうした傷は各塗装工程後に起こりえるため、このような領域には、クリアコーティングまたはe−コート領域、あるいは両者の少なくとも一部を除去、場合によれば各々の傷部分およびその周囲の領域における全コーティングすら除去することによる処理がしばしば行われるので、この領域の中央部分、通常は加工のない(むき出しの)金属表面の表面は被覆されておらず、場合によれば、金属基板の薄い部分が取り除かれている。その一方、損傷のある、またはさびのいずれのタイプにも類似する腐食を多少にかかわらず示している領域において、少なくとも1種のコーティングを除去することが必要であるかもしれない。その後、例えばさびを除去する必要がある。このような領域におけるコーティングの除去は、例えば被覆された金属部品の研磨により、サンドブラストにより、研削により、塗膜剥離により、あるいはこれらのいずれかの組み合わせにより行なうことが可能である。塗膜剥離は化学薬品の力を借りて行なうことが可能である。この除去により除去領域Zの大きさと形状が決められる。
【0003】
本発明の目的のひとつは、オートメーション法において使用することが可能であり、あるいは従来の補修方法に比べてより簡単、より安価、またはより良い方法に使用することが可能な補修コーティングの方法を提供することである。本発明の目的のひとつは、現在習慣として通常使用されるよりも、補修用に塗布されるプライマーまたは塗料がより少量である補修方法を提供することである。本発明の更なる目的は、補修方法中に生じるこのようなコーティングの耐食性および塗膜密着性を改善することである。
【0004】
発明の開示
本発明は、
A1)活性化組成物、不動態化組成物、リン酸塩処理組成物、チタン化合物またはジルコニウム化合物あるいはその両者を含む組成物および後すすぎ組成物などの前処理組成物、
A2)プライマー、ウェットプライマー、溶接プライマー、e−コート、粉末コート、ベースコートおよびクリアコートなどの有機組成物、ならびに
A3)シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を含むケイ素化合物:
の群より選択される少なくとも1種の組成物を用いて適用、少なくとも1種の耐食コーティングAを用いて被覆される、少なくとも1種の金属表面上の補修コーティングを製造する方法に関するものであるが、
少なくとも1種の耐食コーティングAは、領域Zにおいて少なくとも部分的に除去されており、
少なくとも1種のケイ素化合物を含む薄層(thin)耐食コーティングBは、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサンまたはこれらの混合物(=シロキサン組成物)を含む溶液または分散液を用いて領域Zの少なくとも一部に適用される。この組成物は、溶液、分散液、あるいは同時に溶液であると共に分散液である。
【0005】
さらに、本発明は、先に示した方法を利用するために好適な器具を指すものであるが、この器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容・分配する。
【0006】
発明の詳細な説明
本明細書において、「シラン」または「シロキサン」という用語は、多くの状況において、「シラン、シラノール、シロキサンおよび同等の化学的性質を有するポリシロキサンおよびこれらの反応生成物および誘導体から選択される、少なくとも1種のケイ素化合物」を意味するものとするが、これは、多くの状況下において、シランからシラノールへ、シラノールからシロキサンへ、シロキサンからポリシロキサンへの連続反応およびこれらのいずれかの組み合わせが存在するからである。本発明の優先権を主張する出願であるUS SN 10/985,652、対応する優先出願DE 1020050155573.1、DE 102005015575.8およびDE 102005015576.6、ならびに既述の3件のドイツ国特許出願に関連する、対応PCT出願の内容、とりわけ、種々の組成物、添加される種々の化合物、種々の製造段階、生成される種々のコーティング、実施例、比較例、ならびに効果、特性および実験結果といったものは、本願明細書において明確に援用される。
【0007】
好ましくは、除去領域Zは、この領域の特定のパーセンテージのみが露呈される状態、例えばこの除去領域Zの表面の40〜85%の領域にて加工のない金属材を露呈することを意図して調整される。このような場合、加工のない金属材の片側面のみを、除去領域Zの外側に塗布することを避けて薄膜Bで完全に被覆するほうが容易である。シロキサン組成物を塗布することにより、少なくとも1種のコーティングBの薄膜で除去領域Zの少なくとも一部をコーティングした後、好ましくは除去領域Zの内側のみに、あるいは除去領域Z上およびその外側の小縁のみに、コーティングCを塗布しても構わない。このようなコーティングCは、好ましくは修復プライマー、表面プライマー、ベースコート、クリアコートまたはこれらのいずれかの組み合わせにより製造される。そのかわりとして、とりわけ少なくとも部分的に除去されているコーティングAがシロキサン組成物を用いて独自に調整されたコーティングA3である場合には、同一または異なるシロキサン組成物を用いて先に塗布されたコーティングBの上に塗布された、シロキサン組成物を用いたコーティングCを塗布することがより好ましい。全表面上に塗布される追加コーティングCが少なくとも1種類以上塗布される場合には、修復されるべき領域の修復が、周囲の被覆された領域とは何ら違いを示さない、または殆ど違いを示さないものであることが、多くの場合において好ましい。
【0008】
さらに、本発明は、請求項1の方法を適用するために好ましい器具を言及するものであり、この器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容した貯蔵室を有する噴霧缶、噴霧器またはスティックである。
【0009】
さらに、本発明は、請求項1の方法を適用するために好ましい器具を言及するものであり、この器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む組成物であるペーストであり、この器具は、被覆される表面に接触させられた時にペーストの一部を送出または放出する。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、耐食性を有するとともに、さらにその表面に次のコーティングを塗布するにあたり良好な接着性を示すコーティングを生み出す、被覆された金属表面のコーティングの修復に用いる修復コーティング方法に関するものである。
【0011】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせは、通常、好ましくは溶液または分散液としてウェットな状態で、あるいは同時に溶液または分散液として作用するそれぞれの組成物を塗布し、乾燥させることにより製造される。有機組成物を、架橋を生じるように加熱しながら、さらに任意で塗布しても構わない。有機耐食コーティングA2は、任意に、プライマーまたは塗料または溶接プライマーなどの特定の有機組成物のコーティングであっても構わない。
【0012】
シラノールおよびシロキサンは、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはこれらのいずれかの混合物であってもよい。したがって、コーティングA、B、Cまたはこれらの組み合わせに用いられる、いずれのシロキサン組成物であっても、シラン、シラノールおよびシロキサンのモノマー、シラノールおよびシロキサンのオリゴマー、ならびにシラノールおよびシロキサンのポリマー、ただし最後のものはポリシロキサンである、からなる群より選択される化合物のいずれの混合物を含んでいても構わない。以下において、「シロキサン組成物」とは、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサンまたはこれらの混合物を含有する溶液または分散液を意味する。
【0013】
コーティングAはあらかじめ塗布されているが、これはしばしば被覆部分を作成するための第一コーティングの間に行われる。車体のエレメントまたは車体のような、保護されるべき部分の少なくとも1種のコーティングの少なくとも一部を除去した後、少なくとも1種の薄膜Bを除去領域に塗布してもよく、その後、任意に少なくとも1種のコーティングCを、少なくとも被覆された除去領域に塗布しても構わない。本発明の方法によれば、シロキサン組成物の薄膜Bは、粒子、繊維、綿毛片および傷を発生するその他の物質であって、直径または厚さが10μmを超えないもの、より好ましくは8μmを超えないもの、最も好ましくは6μmを超えないもの、とりわけ4μmを超えないもの、を含むことなく塗布されることが好ましい。
【0014】
本発明の方法によれば、シロキサン組成物の薄膜Bは、0.005〜40μmの範囲、より好ましくは0.01〜30μmまたは0.02〜22μmの範囲、最も好ましくは0.03〜15μmまたは0.05〜10μmの範囲の湿潤膜厚にて塗布されることが好ましい。
【0015】
シロキサン組成物の薄膜Bは、0.001〜3μmの範囲、より好ましくは0.003〜2μmまたは0.005〜1μmの範囲、最も好ましくは0.008〜0.5μmの範囲、時として0.01〜0.2μmの範囲の乾燥膜厚にて塗布されることが好ましい。要求される膜厚に到達するために必要である場合には、薄膜Bを少なくとも二回以上繰り返し塗布しても構わない。
【0016】
本発明の方法によれば、シロキサン組成物の薄膜Bを塗布し、次に、例えば5〜300℃の範囲の温度でこの薄膜を乾燥させ、より好ましくは、次に薄膜Bを10〜250℃の範囲の温度で乾燥させ、最も好ましくは、次にこれを12〜150℃の範囲の温度で乾燥させ、とりわけ、次にこれを14〜125℃の範囲の温度で乾燥させる。多くの場合、温度が高くなるにつれて加熱時間が低下し、その逆も然りであるといった、もうひとつの関係性が存在する。
【0017】
この薄膜Bを、好ましくはシロキサン組成物を用いて塗布すると共に、例えば室温程度、例えば15℃〜36℃の範囲における自己乾燥により、あるいは5℃〜180℃の範囲、6℃〜95℃の範囲、または8℃〜約60℃の範囲の温度で被覆された金属基板を、加熱を行なうことにより、熱風で加熱を行なうことにより、高温ガス流を用いて吹き付けまたは加熱を行なうことにより、またはこれらのいずれかの組み合わせにより乾燥する。
【0018】
本発明の製法によれば、シロキサン組成物を含有し、そして分散する器具を接触させることにより、シロキサン組成物の薄膜Bを塗布することが好ましい。その他の実施例において、例えばエアゾール缶のような噴霧缶を用いて、あるいは、特に、長期間にわたる継続的なシロキサン組成物の噴霧用には、例えば無気高圧噴霧器のような自動化噴霧機器を用いてシロキサン組成物を噴霧することによりシロキサン組成物の薄膜Bを塗布することが好ましい。特に噴霧工程に関しては、シロキサン組成物の適正粘度に対して留意して、滴が生じないようにすることが役立つ可能性がある。その他の実施例において、シロキサン組成物用の貯蔵室を備えた器具を使用することにより、シロキサン組成物の薄膜Bを塗布することが好ましい。その他として、刷毛、スポンジ、タンポン、スティックまたはゲルパックのような器具を使用することにより、シロキサン組成物の薄膜Bを塗布することが好ましい。このスティックは、実質的にスティックの形状を有していてもよく、あるいは、例えば平たい箱のように、実質的にペイントスティックのようなスティックの機能を持つ、実質的に箱型の形状を有していても構わない。こうしたスティックまたは箱は、膜または類似するいずれかの多孔質材を有していてもよく、あるいは、シロキサン組成物の溶液または分散液が、例えばペーストとして適正な粘稠度を有している場合には、その代りに、膜または類似するいずれかの多孔質材を有していなくても構わない。さらに、貯蔵室から器具の作業表面へと、シロキサン組成物を移送することが可能な膜または類似するいずれかの多孔質材を有する貯蔵室を備えた器具を使用してシロキサン組成物の薄膜Bを塗布することが好ましい。シロキサン組成物と接触する部分における器具の素材はシロキサン組成物を化学的に反応しないか、あるいは、コーティングおよび修復工程でのみ反応するものでなければならず、そして、得られるコーティングの特性を損なうものであってはならない。
【0019】
本発明の方法によれば、シロキサン組成物は、20℃で測定した粘度が1〜250mPa・sの範囲にあることが好ましい。いくつかの実施例において、5〜45s、特に10〜40sの範囲の、20℃におけるDIN 53211 4mm−cupに従って測定された値で粘度を示すことが可能である。その代りに、シロキサン組成物の溶液または分散液がペーストであるような粘度を有していても構わない。
【0020】
本発明の方法によれば、シロキサン組成物は、少なくとも1種の、好ましくは鉄、鋼、亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキの鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金またはこれらのいずれかの組み合わせの金属表面に塗布される。使用される亜鉛含有金属コーティングは、とりわけ、電気亜鉛メッキ鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、ガルバルム(galvalume)(登録商標)、ガルファン(galfan)(登録商標)およびガルバニールド(galvannealed)(登録商標)であっても構わない。
【0021】
現在、多くのコンポーネント、例えばバスや大型トラックの車体を含む車体、または、いずれかの取り付け済みの金属部分は、少なくとも二種以上の異なる金属材を表面材として構成されており、これらは金属コーティング、金属シート、金属パーツまたは金属成分の組み合わせであってもよい。したがって、一方の下位にもう一方の金属表面が存在してもよく、あるいは、最初および次のパーツの間に異なる金属材の他のパーツの後にもう一方のパーツが存在してもよいが、これは異なる合金に属するか、あるいは非常に異なる金属材、例えば鋼、亜鉛メッキ鋼またはアルミニウム合金にさえも属する。このような「複数金属」を登用するコーティングの工程は、特に耐食性および自己認識されていないこともしばしばである塗料接着性について、適正なコーティングの品質を有しながら異なる金属材をコートできるものでなければならない。
【0022】
多くのシロキサン組成物、とりわけ、例えばアミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、チオール基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基から選択される少なくとも1種の基を有する少なくとも1種のオルガノシロキサンと、そして、一個のシリル基、少なくとも二個以上のシリル基、二個のシリル基、三個のシリル基またはこれらの組み合わせのいずれかを示す多官能基を有する少なくとも1種のシロキサンを含む混合物のような、二種の化学的に非常に異なるケイ素化合物を有するものは、このような複数金属の登用に特に好適であることが分かった。
【0023】
本発明の方法によれば、その表面に少なくとも二種以上の異なる素材を示している少なくともひとつ以上のパーツの少なくともひとつ以上の表面に対してシロキサン組成物は成功裏に塗布されても構わないが、この表面は、少なくとも1種の金属材で、プラスチック材の薄片、マルチレイヤー、シートまたはコンポーネントなどのような、少なくとも1種のプラスチック材で、少なくとも1種のガラス材で、少なくとも1種のセラミック材で、少なくとも1種の木材で、あるいはこれらのいずれかの混合物で作られている。
【0024】
本発明の製法によれば、コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせに使用されるシロキサン組成物は、少なくとも1種のシートの少なくとも1種の金属表面に対して、少なくとも1種の複合的に形成されたパーツに対して、非常に大きなパーツに対して、あるいはこれらの混合物に対して塗布することができる。シロキサン組成物は、とりわけ、コイル、金属シート、例えばバスや大型トラックの車体を含む車体、自動車のパーツ、航空機の機体、船舶、海洋器材、鉄道車両またはそのパーツのいずれか、建築物、家具、機器、装置、あるいは照明器具のような特殊エレメントのパーツまたは構成パーツの、少なくとも1種の金属表面に対して、とりわけ製造中または損傷後あるいは長期間使用後に塗布しても構わない。さらに、製造中における作製したてのコンポーネントの修復のみならず、例えば、これらのコンポーネントの耐用年限内の損傷後またはさびの除去時の修復にも、この修復方法を適用することができる。したがって、本発明による修復方法は、例えば自動車修理用の作業場、あるいはブリッジのような建築要素または長期間使用した後の海洋器材の修復にさえも使用することができる。
【0025】
本発明の方法によれば、少なくとも1種の耐食コーティングAは、例えば研削、研磨、サンドブラストまたは塗膜剥離によって、あるいはこれらのいずれかの組み合わせによって、領域Zにおいて少なくとも部分的に除去されている。コーティングAは、(1)耐食コーティングAのトップコーティングの上端部分のみを除去することにより、(2)少なくとも2種類以上の耐食コーティングAの上端部の耐食コーティングAのみを除去することにより、または(3)少なくとも二種以上の、あるいはすべての耐食コーティングAさえも除去することにより、または(4)すべての耐食コーティングおよび金属表面の一部を除去することにより、(5)場合によれば、金属表面の前処理における追加の中間層さえも除去することにより、部分的あるいは全体に除去されていても構わない。これらの除去(1)〜(5)タイプのいずれかの組み合わせであることもしばしばであろう。しばしば、コーティングAの除去がより強力ではない除去領域Zの外縁にて除去される少なくとも二種以上の耐食コーティングAの上端には、1種類の耐食コーティングAのみが存在する。しばしば、唯一存在する耐食コーティングA、すべての耐食コーティングAのそれぞれは、除去領域Zの中央において完全に除去される。次に、除去領域Zの中央における金属表面の表面部分でさえも除去がみられる。しばしば、非常に薄い亜鉛の多い金属コーティングでさえも除去領域Zの中央において完全に除去される。
【0026】
本発明の方法において、少なくとも1種の耐食コーティングCを薄膜B上にさらに塗布してもよく、ここでコーティングCは、プライマー、ウェットプライマー,e−コート、粉末コート、ベースコートまたはクリアコートなどの有機組成物を伴って、あるいは、薄膜Bと同一または異なるシロキサン組成物を含むコーティングを伴って、あるいは、有機コーティングの組成物とシロキサン/ポリシロキサンコーティングとの間の中間組成物を伴って、あるいは、このような組成物の継続的な塗布を伴って生成され、ここで、少なくとも1種のコーティングCは、被覆された金属パーツの大部分または全ての表面上に任意に塗布されるものであっても構わない。さまざまな場合において、プライマー、場合によればこれに続いてベースコート、場合によれば、さらに続いてクリアコートといった、少なくとも1種の有機コーティングCの製造に、少なくとも1種の組成物が使用されるであろうことが予見される。その他の場合において、ベースコート、場合によれば、これに続いてクリアコートといった、少なくとも1種の有機コーティングCの製造に、少なくとも1種の組成物が使用されるであろう。一方、将来的には、場合によれば、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンより選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含むコーティングCのための組成物を選択することにより、修復方法が使用されるかもしれないが、ここで多くの場合、少なくとも1種のケイ素化合物の含有量は、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも30重量%、時として、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも40重量%、いくつかの場合、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも50重量%、場合によれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも60重量%、わずかな場合ではあるが、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも70重量%、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも80重量%、ことによれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも90重量%、ごく稀な場合には、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも95重量%、特異事例としては、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも98重量%である。本発明の特定の実施例において、コーティングCは、有機コーティングに通常含まれる構成要素を含んでいてもよく、また同時に、シロキサン組成物から形成されるコーティング中に通常含まれる構成要素を含んでいても構わない。このようなコーティングは、程度の差はあるかもしれないが、組成物および特性において、有機コーティングとシロキサン組成物から調整されたコーティングとの中間物であっても構わない。
【0027】
本発明の製法によれば、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む、少なくとも1種のコーティングAに用いる組成物は、多くの場合、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも30重量%、時として、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも40重量%、いくつかの場合、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも50重量%、場合によれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも60重量%、わずかな場合ではあるが、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも70重量%、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも80重量%、ことによれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも90重量%、ごく稀な場合には、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも95重量%、特異事例としては、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも98重量%である。
【0028】
本発明の製法によれば、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む、少なくとも1種のコーティングBに用いる組成物は、多くの場合、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも30重量%、時として、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも40重量%、いくつかの場合、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも50重量%、場合によれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも60重量%、わずかな場合ではあるが、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも70重量%、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも80重量%、ことによれば、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも90重量%、ごく稀な場合には、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも95重量%、特異事例としては、この組成物の溶液または分散液中の固形成分全量に対して少なくとも98重量%である。
【0029】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である。より好ましくは、少なくとも1種のケイ素化合物の全容量は、0.1〜250g/Lの範囲内、0.5〜210g/Lの範囲内、または1〜155g/Lの範囲内、多くの場合、より好ましくは2〜180g/L、3〜130g/L、4〜80g/L、5〜60g/L、6〜40g/L、7〜25g/Lまたは8〜15g/Lの範囲内、さらに好ましくは10〜120g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116または118g/Lとなる。その他の場合、少なくとも1種のケイ素化合物の全容量は、0.1〜25g/Lの範囲内、より好ましくは0.12〜20g/L、0.15〜15g/L、0.2〜10g/L、0.25〜8g/L、0.3〜6g/L、0.35〜4g/Lまたは0.4〜2g/Lの範囲内である。とりわけ、組成物A、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせが、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびホウ素を含む少なくとも1種の化合物が追加されていることを示す場合、ただし、場合によっては他の場合であっても、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される少なくとも1種のケイ素化合物の総容量が、先の記載よりも低減するものであってもよく、好ましくは0.05〜10g/Lまたは0.08〜6g/Lの範囲内、しばしば0.1〜2.5g/Lの範囲内、あるいは、場合によっては0.15〜0.5g/Lの範囲内となる。少なくとも1種のケイ素化合物、ならびにチタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびホウ素またはこれらの組み合わせを含む少なくとも1種の化合物を含む組成物は、しばしば高品質の耐食性および塗料接着性を失うことのないまま、少なくとも1種のケイ素化合物のみをベースとする組成物に比べて非常に薄いウェット、それぞれのドライコーティングで塗布され得ることが、今回発見された。好ましくは少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサンまたはこれらの混合物は、水との相溶性があるものが選択されるが、すなわち、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、必要に応じてその加水分解物、その濃縮生成物、およびその反応生成物は、水性組成物であるコンポーネントと問題なく混和することが可能であると共に、少なくとも数週間のあいだ安定である。好ましくは、欠陥のない湿潤薄膜および乾燥薄膜、とりわけ、実質的にクローズで、実質的に均質で、くぼみ(穴)のないものがこれにより形成される。特に、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサン、これらの誘導体、これらの反応生成物のいずれか、またはこれらの混合物は、高い耐食性及びコーティングCに対する高い接着性が可能な状態であるように選択される。このような化学反応は、溶液または分散液中に存在するいかなる構成要素間でも起こり得るが、さらに添加物や不純物が加わった場合でも起こり得る。
【0030】
より好ましくは、シロキサン組成物は、水溶液または分散液中において、あるいは、水および任意に少なくとも1種の有機溶媒を含む溶液または分散液中において、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサン、これらの誘導体、これらの反応生成物、またはこれらのいずれかの混合物を主に含むものであってもよい。少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサン、これらの誘導体、これらの反応生成物、またはこれらのいずれかの混合物の存在により、共有結合またはイオン結合のような化学結合が基材と乾燥した保護膜との間に形成されて、次に塗布される可能性を有するプライマー/塗装の積層または他の有機またはシロキサン/ポリシロキサンコーティングとなり、その結果として、改良された「塗装」接着性が得られる、という利点が提供される。その他の利点は、好適なシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンが、乾燥した保護膜内に化学結合のような架橋を生じ、このことがしばしば基材への接着性の強度を著しく改善し、その結果として多くの塗装システムにおいて、改善された接着性が得られることである。
【0031】
好ましくは、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いる好適なシロキサン組成物は、少なくとも1種のアシルオキシシラン、1種類以上のアルコキシシラン、アミノアルキルシランのような少なくとも1種のアミノ基を有する1種類以上のシラン、少なくとも1種のコハク酸基または無水コハク酸基を有する1種類以上のシラン、1種類以上のビス−シリル−シラン、グリシドキシシランのような少なくとも1種のエポキシ基を有する1種類以上のシラン、1種類以上の(メタ)アクリレートシラン、1種類以上の多シリル−シラン、1種類以上のウレイドシラン、1種類以上のビニルシラン、そのシラノールの少なくとも1種類以上、そのシロキサンの少なくとも1種類以上、そのポリシロキサンの少なくとも1種類以上、少なくとも1種のそれらの誘導体、少なくとも1種のそれらの反応生成物、または、これらのいずれかの混合物を含むものである。このようなシステムにおけるシランの反応生成物は原理上知られているので各々の記載は行わないものとする。したがって、以下においてそれらをさらに言及することは行わない。
【0032】
シロキサン化合物は、例えば、エタノール、メタノールまたはプロパノール、あるいはこれらのいずれかの混合物などの、少なくとも1種のアルコールの含有物と混合した少なくとも1種のシランを含んでいてもよく、とりわけ(a)例えば、ビス−アミノ−シランまたはモノ−アミノ−シランなど、少なくとも1種のアミノシランと、トリアルコキシシリルプロピルテトラスルファンなど、1種類以上のアルコキシシランとの、あるいは(b)1種類のビニルシランおよび1種類のビス−シリル−アミノシランまたは1種類のビス−シリル−テトラスルファンまたはビス−シリル−アミノシランとの、あるいは(c)1種類のアミノシランおよび1種類の多シリル−官能性(多官能性)−シラン、例えばビス−シリル−アルカンのようなもの、あるいはこれに対応するシラノール、シロキサン、ポリシロキサン、これらの誘導体、これらの反応生成物、またはこれらのいずれかの混合物、との混合物中において、例えばシランの含有量をベースとして8重量%まで、好ましくは5重量%まで、特に好ましくは1重量%まで、とりわけ非常に好ましくは0.5重量%まで、また、多くの場合には0.01重量%〜7重量%の範囲内で、あるいは0.1〜4重量%の範囲内で含有してもよい。一般的にこれらのアルキル基、特に鎖長が1〜8Cのもの、およびポリマーとの反応に好適な官能基を有するシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンが特に好ましい。
【0033】
好ましくは、以下のものからなる群より選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含むシロキサン化合物:
3−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、
3−メタクリルオキシアルキルトリアルコキシノシラン、
3−(トリアルコキシシリル)アルキル−コハク酸−シラン、
アミノアルキルアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
ベータ−(3,4−エポキシシクロアルキル)アルキルトリアルコキシシラン、
(3,4−エポキシシクロアルキル)アルキルトリアルコキシシラン、
ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、
ビス(トリアルコキシシリル)エタン、
(3,4−エポキシシクロアルキル)トリアルコキシシラン、
ガンマ−アミノアルキルトリアルコキシシラン、
ガンマ−メタクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、
ガンマ−ウレイドアルキルトリアルコキシシラン、
グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、
N−2−アミノアルキル−3−アミノプロピルトリアルコキシシラン、
N−(3−トリアルコキシシリル)アルキル)アルキレンジアミン、
N−ベータ−(アミノアルキル)−ガンマ−アミノアルキルトリアルコキシシラン、
N−(ガンマ−トリアルコキシシリルアルキル)ジアルキレントリアミン、
ポリアミノアルキルアルキルジアルコキシシラン、
トリ−(3−トリアルコキシシリル)アルキル)イソシアヌレート、
(ウレイドプロピルトリアルコキシ)シラン、
ビニルトリアセトキシシラン、
ならびに、その対応するシラノール、シロキサン、ポリシロキサン、これらの誘導体および反応生成物。
【0034】
好ましくは、以下のものからなる群より選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含むシロキサン化合物:
3−(アミノプロピル)シラントリオール、
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
3−(トリエトキシシリル)プロピル−コハク酸−シラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、
アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、
アミノプロピルトリアルコキシシラン、
ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、
ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、
ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)メチルトリエトキシシラン、
ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)メチルトリメトキシシラン、
ビス−1,2−(トリエトキシシリル)エタン、
ビス−1,2−(トリメトキシシリル)エタン、
(3,4−エポキシシクロへキシル)プロピルトリエトキシシラン、
(3,4−エポキシシクロへキシル)プロピルトリメトキシシラン、
ビス−(トリエトキシシリルプロピル)アミン、
ビス−(トリメトキシシリルプロピル)アミン、
(3,4−エポキシブチル)トリエトキシシラン、
(3,4−エポキシブチル)トリメトキシシラン、
ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、
ガンマ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、
N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−2−アミノメチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、
N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−ベータ−(アミノエチル)−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−(ガンマ−トリエトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、
N−(ガンマ−トリエトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
N−(ガンマ−トリメトキシシリルプロピル)ジメチレントリアミン、
ポリアミノアルキルエチルジアルコキシシラン、
ポリアミノアルキルメチルジアルコキシシラン、
トリ−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、
トリ−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、
ビニルトリアセトキシシラン、
ならびに、その対応するシラノール、シロキサン、ポリシロキサン、これらの誘導体および反応生成物。
【0035】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液、あるいは同時に
溶液および分散液であり、少なくとも1種の部分的に加水分解されたシラン、少なくとも1種の完全に加水分解されたシラン、少なくとも1種のオリゴマーシロキサン、少なくとも1種のポリマーシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサン、またはこれらの混合物の含有量を含むものである。より好ましくは、これらの組成物は少なくとも1種のオリゴマーシロキサンおよび少なくとも1種のポリマーシロキサンの含有量を含んでいる。より高い粘度が要求される場合には、有機モノマー、有機オリゴマー、有機ポリマーの群から選択される、少なくとも1種の化合物、ベントナイト、耐火粘土、カオリナイトおよびゼオライトといった粘土または粘土様物質、いずれかのホウ酸塩、例えばナノ結晶質SiOなどのいずれかの酸化物、いずれかの有機物質、またはセルロース、アクリレート(メタクリレート)、単糖類(多糖類)、でんぷんおよびポリシロキサンをベースとする有機物質を含むいずれかの混合物などの微結晶質ケイ酸塩など、少なくとも1種の増粘剤、を添加しても構わない。
【0036】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液、あるいは同時に
溶液および分散液であり、例えばアミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、チオール基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基から選択される少なくとも1種の基を有する、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の含有量、ならびに、一分子あたりに少なくとも二つ以上のシリル基を有する、少なくとも1種の多官能性ケイ素化合物を含むものである。より好ましくは、これらの組成物は(a)少なくとも1種の有機ケイ素化合物の成分であって、例えばアミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、チオール基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基から選択される、少なくとも1種の基を、容量として0.1〜120g/Lの範囲内、より好ましくは0.12または0.5〜80g/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.15〜50g/Lまたは1〜50g/Lまたは0.2〜5g/Lまたは0.5〜1.5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116または118g/L、ならびに、(b)少なくとも二つ以上のシリル基を有する、少なくとも1種の多官能性ケイ素化合物の成分であって、0.1〜120g/Lの範囲内、より好ましくは0.12〜80g/Lの範囲内、または0.5〜〜80g/Lの範囲内、さらにより好ましくは0.15〜50g/Lまたは1〜50g/Lまたは0.2〜5g/Lまたは0.5〜1.5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116または118g/L、を示す水溶液または分散液であることがより好ましい。
【0037】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、有機モノマー、有機オリゴマー、有機ポリマー、有機コポリマー、有機ブロックコポリマーまたはこれらのいずれかの混合物である、少なくとも1種の有機化合物の成分を含んでいる。より好ましくは、これらの組成物は水溶液または分散液であり、特に0.01〜180g/Lまたは0.03〜100g/Lの範囲内、より好ましくは0.05〜60g/Lまたは0.08〜30g/Lまたは0.1〜15g/Lまたは0.2〜5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、120、124、128、132、136、140、144、148、152、156、160、164、168、172または176g/Lの範囲内にある、少なくとも1種の有機物質を成分とするものである。少なくとも1種のシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンに対する、少なくとも1種の有機化合物の重量比は、0.001:1〜4:1の範囲内、好ましくは0.05:1〜2.5:1の範囲内、より好ましくは0.1:1〜1.8:1の範囲内、最も好ましくは0.2:1〜1.5:1の範囲内、とりわけ、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1の範囲内であっても構わない。いくつかの実施例において、少なくとも1種のフッ化物、少なくとも1種の複合フッ化物または両者をこれらの混合物に添加しても構わない。さらに、有機コーティングまたは有機コーティング用に使用される有機膜コーティング剤は、いくつかの場合、好ましくは、以下をベースとする少なくとも1種のコンポーネントを含有していても構わない:
(a)モノマー、オリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマー、またはこれらのいずれかの混合物であって、好ましくは、各々は以下をベースとする:
アクリル、ブタジエン、エポキシ、エチレン、メラミン、メタクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、スチレン、ビニルまたはこれらのいずれかの混合物、
(b)あるいは、コポリマー、好ましくは以下をベースとする:
アクリル−ポリエステル−ポリウレタン コポリマー、
アクリル−ポリエステル−ポリウレタン−スチレン コポリマー、
アクリル酸エステル、
アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル、任意に遊離酸またはアクリロニトリルと共に、
エチレン−アクリル混合物
エチレン−アクリル コポリマー
エチレン−アクリル−ポリエステル コポリマー
エチレン−アクリル−ポリウレタン コポリマー
エチレン−アクリル−ポリエステル−ポリウレタン コポリマー
エチレン−アクリル−ポリエステル−ポリウレタン−スチレン コポリマー
エチレン−アクリル−スチレン コポリマー
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂と結合した遊離のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、
アクリレートおよびスチレンをベースとする合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
スチレン−ブタジエンをベースとする合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
アクリレートおよびエポキシドをベースとする合成樹脂混合物および/またはコポリマー、
カルボキシル基を含むアクリル修飾ポリエステルをベースとして、メラミン−ホルムアルデヒドおよびエチレン−アクリル コポリマーと合わせたもの、
ポリカーボネート−ポリウレタン、
ポリエステル−ポリウレタン、
スチレン、
スチレン−酢酸ビニル、
酢酸ビニル、
ビニルエステル、
ビニルエーテル、
またはこれらのいずれかの混合物、あるいは、(a)および(b)のいずれかの混合物。
【0038】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、酢酸、氷酢酸、その他の炭酸、硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、いずれかのリンを含有する酸、またはこれらのいずれかの混合物などのような、少なくとも1種の酸の成分を含んでいる。より好ましくは、これらの組成物は、少なくとも1種の酸を少量のみ含む水溶液または分散液であり、より好ましくは0.1〜50g/Lの範囲内、とりわけ0.15〜30g/Lまたは0.2〜10g/Lまたは0.5〜5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、6、8、10、12、16、20、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48g/Lの範囲内、あるいは、いずれの酸さえも含まない。酸の成分は、組成物に添加されるものであってもよいが、あるいは、組成物中における化学反応によって、例えば加水分解中における1種類以上のケイ素化合物と水との反応によって生成されるものであっても構わない。
【0039】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらのいずれかの混合物のような、アルコール様の、少なくとも1種の有機溶媒の成分を含んでいる。より好ましくは、これらの組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を少量のみ含む水溶液または分散液であり、より好ましくは0.1〜200g/Lの範囲内、とりわけ1〜150g/Lまたは2〜100g/Lまたは3〜60g/Lまたは4〜30g/Lまたは5〜10g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、6、8、10、12、16、20、24、28、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、80、84、88、92、96、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140、144、または148g/Lの範囲内、あるいは、いずれの有機溶媒さえも含まない。
【0040】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムまたはホウ素、あるいはこれらのいずれかの混合物を含む、少なくとも1種の化合物の成分を含んでいる。より好ましくは、複合フッ化物または炭酸塩または硝酸塩の化合物から、あるいはチタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびホウ素、あるいはこれらのいずれかの混合物の有機化合物から選択される、少なくとも1種の化合物が添加される。好ましくは、これらの組成物は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムまたはホウ素、あるいはこれらのいずれかの混合物を含む、1種類以上の化合物を成分とする水溶液または分散液であり、0.01〜100g/L、または0.03〜70g/Lの範囲内、より好ましくは0.05〜50g/Lまたは0.08〜30g/Lまたは0.1〜15g/Lまたは0.2〜5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48g/Lの範囲内である。好ましくは、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムおよびホウ素を含む化合物の総計に対するシラン/シラノール/シロキサン/ポリシロキサンの重量比は、0.01:1〜6:1の範囲内、好ましくは0.05:1〜4.5:1の範囲内、より好ましくは0.1:1〜2.8:1の範囲内、最も好ましくは0.2:1〜2.5:1の範囲内、とりわけ、約0.3:1、約0.4:1、約0.5:1、約0.6:1、約0.7:1、約0.8:1、約0.9:1、約1:1、約1.1:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.7:1、約1.8:1、1.9:1、約2.0:1、約2.1:1、約2.2:1、約2.3:1、または約2.4:1の範囲内であっても構わない。いくつかの実施例において、少なくとも1種のフッ化物、少なくとも1種の複合フッ化物またはその両者をこのような混合物に添加しても構わない。
【0041】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、全粒子またはほぼ全ての粒子の粒径が1ミクロン以下の粒子、少なくとも1種の非イオン界面活性剤のような界面活性剤、染料、蛍光剤、殺生物剤、pH調節剤、キレート、熱的な影響による化学的架橋に好適な架橋剤、光開始剤およびゲル生成用の物質の群から選択される、少なくとも1種の添加剤成分を含んでいる。この粒子は、無機粒子または有機粒子またはその両者であっても構わない。この粒子は、腐食防止剤、伝導性、着色済みまたは無着色であっても構わない。界面活性剤は、湿潤性の改善、ならびに生成される薄膜の均質性の助力となり得る。着色した粒子、染料、蛍光剤またはこれらのいずれかの混合物は、生成される薄膜の可視性を増強するが、このようなことは一般的には観察されないか、あるいはミルキーフィルムでのみ、または、見え方が異なる膜または裸眼では、あるいは紫外線のような視覚的補助がない状態では着色がまったくない膜でのみ観察される。いずれかの酸またはNH溶液といった塩基性物質のようなpH調節剤により、pHの増加または減少を補助し得る。殺生物剤は、組成物の性能にマイナスの影響を与え得るような生物学的活性およびその他の化学的変化の抑制の補助となり得る。キレート剤は水中に存在する金属化合物の安定化に特に役立ち得る。水溶性組成物中で低い反応性しか持たない場合、ならびに、使用される製造状況下において少なくとも部分的に腐食し、結合または化学反応に関与する金属イオンが遊離している場合、それらは特に好ましい。それらが反応しすぎる場合には、有機金属化合物は、シランのような、その他の化学化合物と時期尚早に反応する可能性がある。キレートは親水性で、加水分解に安定で、水に安定で、安定な加水分解物を形成するか、あるいはこれらの特性のいずれかの混合状態を示すことが好ましい。シランまたはキレートまたは両者は、水との相性が良くなるものが選択されることが好ましく、そしてさらに、このような場合には、同時に有機膜形成剤が選択され、これはシランまたはキレートに対して先に記載したものと同様の特性を有することが好ましい。しばしば80〜300℃の範囲内といった、より高い温度を、イソシアネート、イソシアヌレート、メラミンまたはこれらのいずれかの混合物のベース上の化合物に与えることによって化学ネットワーキングを行なうための架橋剤は、高温における化学反応による濃厚ネットワーク生成の補助となる。適切なモノマー、オリゴマー、ポリマー、コポリマー、ブロックコポリマーまたはこれらのいずれかの混合物の存在下において、光開始剤は、ラジカル重合の力を借りた濃厚ネットワーク生成を補助することが可能である。より好ましくは、これらの組成物は、先の記載の群の添加剤の少なくとも1種の成分を示す水溶液または分散液であり、先に記載の群の各添加剤について0.01〜150g/L、より好ましくは0.5〜120g/Lまたは1〜90g/Lまたは1.5〜60g/Lまたは2〜30g/Lまたは5〜10g/Lの範囲内にあり、例えば、各々がそれぞれ約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116または118g/Lの範囲内にある。組成物Bは、クロムを含まない(クロムフリー)ものであることが好ましい。
【0042】
少なくとも1種の金属キレートは、アセチルアセトネート、アセトアセテート、アセトネート、アルキレンジアミン、アミン、乳酸塩、モノ−カルボン酸、ビス−カルボン酸、クエン酸塩、グリコールまたはこれらのいずれかの混合物をベースとするキレート錯体から選択されることが好ましい。少なくとも1種の金属キレートは、以下のものをベースとすることが好ましい:
アセチルアセトネート、
アセトアセテート、
ジ−n−アルコキシ−ビスアルキル アセトアセテート、
ヒドロキシアルキレンジアミン トリアセテート、
トリアルカノアミン、
トリアルキレンテトラミン アルカリ金属乳酸塩、
アルカノールアミン、
アルキル アセタトアセテート、
アルキレンジアミン テトラアセテート
アンモニウム乳酸塩、
クエン酸塩、
ジアルキルクエン酸塩、
ジアルキルエステル−クエン酸塩、
ジアルキレントリアミン、
ジイソアルコキシビスアルキル アセトアセテート、
ジイソプロポキシビスアルキル、
あるいは、これらのいずれかの混合物。
【0043】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、硝酸塩、亜硝酸塩またはニトログアニジンのようなグアニジン化合物などの、少なくとも1種の窒素含有剤の成分を含んでいる。このような窒素含有剤は少なくとも1種の窒素含有基を含んでいてもよく、あるいは、このような基を放出しても構わない。より好ましくは、これらの組成物は、少なくとも1種の薬剤(agent)成分を示す水溶液または分散液であり、0.01〜60g/Lの範囲内、より好ましくは0.05〜40g/Lまたは0.1〜20g/Lまたは0.2〜10g/Lまたは0.5〜5g/Lの範囲内、例えば、各々が約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38g/Lの範囲内である。
【0044】
本発明の方法によれば、耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物は、溶液または分散液であり、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンであって、アミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基よりなる群から選択される、少なくとも1種の官能基を有するものから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含有している。
【0045】
本発明の、もう一つの局面によれば、本発明による方法に適用することが好ましい器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容すると共に分配する。より好ましくは、この器具は、少なくとも1種のケイ素化合物を主に含有する組成物を含んでいる。
【0046】
本発明の、別の局面によれば、本発明による方法に適用することが好ましい器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容した貯蔵室を有する噴霧缶、噴霧器またはスティックである。より好ましくは、この器具は、少なくとも1種のケイ素化合物を主に含有する組成物を含んでいる。
【0047】
本発明の、もう一つの局面によれば、本発明による方法に適用することが好ましい器具は、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む組成物であるペーストを含有し、この器具は、被覆される表面に接触させられた時にペーストの一部を送出または放出する。より好ましくは、この器具は、少なくとも1種のケイ素化合物を主に含有する組成物を含んでいる。
【0048】
こうした器具は、除去領域Zの被覆に好適な濃度のシロキサン組成物を含有していても構わない。この濃度は、適切な湿潤膜厚および適切な乾燥膜厚の湿潤薄膜および乾燥薄膜の生成に適していることが好ましい。要求される耐食性および接着性は、乾燥中、または乾燥および架橋中、または乾燥および化学反応中に得られるものであっても構わない。
【0049】
本発明の方法は、以下の一連の修復方法に使用することが可能である。
【0050】
(A)最初に、シロキサン組成物を除去領域Z上に、少なくとも部分的に塗布してもよい。次に、修復プライマーまたは表面プライマーまたは他のシロキサン組成物または有機およびシロキサン組成物の間のいずれかの混合物のような組成物を伴ったコーティングCを、除去領域Zの範囲内に多かれ少なかれ塗布しても構わない。時には、例えば研磨またはラップ仕上げにより、コーティングCで被覆したこの範囲を平らにすることが必要となる可能性があるが、これは、場合によれば、追加の塗装コーティングの下となる場合であっても、とりわけこれらのコーティングのへりにおいてエッジが観察されないためである。コーティングCとしてプライマーを有するこのようなシステムは、一般的に使用されるシロキサン組成物を含まないシステムに比べて驚くほど高い耐食性および良好な塗料接着性を示すことが判明した。
【0051】
(B)あるいは、最初に、シロキサン組成物を除去領域Z上に、少なくとも部分的に塗布した。次に、除去領域Zの範囲内への、修復プライマーまたは表面プライマーのようなコーティングCの塗布を行なわなかった。シロキサン組成物を用いて製造されたコーティングB上であっても修復ゾーンをカバーしている金属シートあるいはパーツ全体上に追加のコーティングを代替として塗布した。必須ではないが、例えば、ベースコートまたはクリアコートあるいはこれらの組み合わせによって塗布される可能性のあるこのコーティングの厚みを、例えば、より大きくしてコーティングを塗布することにより、ひとつ前の段落(A)の中で記述したように除去領域Z内に生じるへこみを均一化させる可能性がある。これは、修復プライマー、表面プライマー各々を塗布する製造工程を省略し、その上、研磨またはラップ仕上げによりこの範囲を平らにする、という利点を有している。それでもなお、この多層システムの耐食性は、すぐ下側にある通常の未修復の塗装システムに比べて、わずかながらもより優れているようである。橋、家具、機器および装置といった例えば建築物の、塗装した金属基体の修復のためには、修復範囲におけるプライマーコーティングC、ならびに、場合によればその次のプライマーコーティングさえも、通常よりも薄くあってもよく、これによって経費をより低減することが可能である。
【0052】
例えば、噴霧することにより、あるいはシロキサン組成物をしみ込ませたスポンジやクッションのような簡易な器具を用いて、シロキサン組成物を塗布して薄膜Bを生成することが、取り扱いがほんの部分的には調整される手作業による塗布ではあるものの、いずれの実施上の問題を起こすことなく、また、いずれのコーティングの品質劣化の問題を起こすことなく可能であったことは、驚くべきことであった。不均質または部分的に不十分な厚みのコーティングが発生する可能性のある、手作業による水溶性シロキサン含有溶液の塗布の場合でさえも、被覆されず、そのために耐食性のない範囲が露呈されたり、あまりに薄すぎたり厚すぎるコーティング範囲が露呈されるという問題は発生しなかった。したがって、器具を手作業で扱う場合でさえも、コーティングBで十分に保護されていない範囲が残るような状況は簡単には起こらない。このことは、手作業による方法がしっかりとした方法と考えられることを意味している。
【0053】
さらに、とりわけ自動車製造における車体の製造中に、インラインに適用可能なように構築することが可能であることは驚くべきことであった。現在までに、一台当たり少なくとも一か所以上の修復範囲を有する塗装した車体の修復、これは車体の特定の、時に非常に高い割合で必要であるが、これは、車体を別々にして、別々の範囲ごとに修復することによって実施することが一般的である。実際に使用されているコーティングに比べ、シロキサン組成物は、より簡単かつより迅速な適用が可能であることから、この修復方法はただちにかつインラインで実行することができる。
【0054】
さらに、本発明によるシロキサン組成物は、この組成物が先行するクリーニング工程なしに塗布された場合、そして、その後のe−コート、修復プライマー、その他の型のプライマーまたは塗料、あるいはこれらのいずれかの組み合わせによる、その後のコーティング、例えば、少なくとも2種類以上のコーティング、を適用することなく塗布された場合に、良好な耐食性および塗料接着性を示す。なぜなら、シロキサン組成物の助力を借りて少なくとも1種のコーティングBが塗布されたことによって、通常、乾燥膜厚が0.01〜0.1μmの範囲にあるコーティングBの生成が可能となるという点で、また、例えば耐食性はコーティング厚の作用であり強靭であるという点で、この結果は極めて優れている。通常、シングルプライマーまたは塗料コーティングは乾燥膜厚としては10〜50μmの範囲を示す。通常、少なくとも1種のプライマーまたはe−コートおよび少なくとも1種の塗装が上下に重なる、主に少なくとも3種以上のコーティングのマルチプレイヤーとしての塗料システムは、乾燥状態において30〜150μmの範囲の厚さを有している。このような乾燥膜厚に対して良好な耐食性を作り出すには、何の問題もない。
【0055】
具体的な実施例および比較例
以下のセクションでは、可能となる方法のバリエーション、組成物のバリエーションおよびこれに関連する効果のいくつかを示すことを主眼とした具体的な実施例および比較例をより詳しく記載するが、これらにより本発明が限定されるということではない。
【0056】
セクション1:被覆された金属シートの製造および修復コーティングBの塗布
各テストに対し、溶融亜鉛メッキ鋼を原料とした、リン酸亜鉛コーティング、ならびにリン酸亜鉛コーティング上にe−コートの電気塗装を有する15枚の金属シートを使用した。リン酸亜鉛コーティングの厚さは約6μm、e−コートの厚さは約20μmであった。このように被覆された各金属シートの中央部において、これらのコーティングに砂やすりをかけることにより、加工のない(むき出しの)金属表面がシートの中央部で確認されたが、このシートの薄層金属表面もまた砂やすりをかけたことにより除去されていた。次に、やすりがけの直後に、繊維や綿毛を放出しない清潔な雑巾に純水を浸み込ませて湿った状態とした。この湿った清潔な雑巾を使用して、全除去領域Zに沿ってふき取って、埃ならびにやすりがけにより残存した微粒子部分を完全に清掃した。次に、別の清潔な雑巾でこれらの領域を乾かすことによって、水膜が全く残存しないか、あるいは非常に微量の薄い水膜のみが残存した。次に清掃の直後に、シロキサン組成物を除去領域Zに塗布して、製造したての清潔な除去領域上にコーティングBを作製した。
【0057】
試験1において、この金属表面およびそのへりの狭量を、高含有量のアミノ基と六フッ化チタンを1:3の割合で含む、シラン/シラノール/シロキサンの混合物である水溶性シロキサン組成物で被覆した。加工のない金属表面全体上、ならびに砂やすりをかけたことによりコーティングBの厚さが減少している、コーティング領域に隣接するへりの狭量の上に乾燥薄膜が生成されるように、このシロキサン組成物を除去領域Zの中央部に噴霧した。除去領域Zにおいて砂やすりをかけたすべての部分というわけではないが、除去領域Zのこれらの部分を、このコーティングBで被覆した。除去領域Zのやすりがけをしていない部分上には薄膜Bは存在しなかった。生成されたコーティングBは、これら全ての添加物を合わせた水中濃度(それぞれ5,10,15重量%)に依存し、比例した厚さ約25〜約80μmの乾燥薄膜を用いて完全かつ明らかに均質に被覆された。シラン/シラノール/シロキサンを含有する水溶液の液だれがなかったこと、ならびに、シロキサン組成物の湿潤薄膜がほぼ均質で、厚さがほぼ等しかったことがさらに配慮された。この薄層湿潤薄膜Bは80℃の熱風で5分間乾かすことによりコーティングBを作製した。次に、耐食性および塗料接着性を試験した。
【0058】
試験2では、同一の手順が採用されたが、これに加えて、シロキサンで被覆した除去領域Z内に、約20μmの厚さの修復プライマーを塗布し、乾燥し、架橋が起こる温度に加熱した。次に、この修復プライマーの領域を丁寧に研磨して、へりの厚さのバラつきをなくした。最後に、クリアコートを塗布して熱的に架橋した。次に、耐食性および塗料接着性を試験した。
【0059】
試験3および4では、試験1および2と同一の手順を使用したが、異なる点としては、アミノ基を有するアルコキシシラン/アルコキシシラノール/アルコキシシロキサンの混合物と、1:1の重量比である2種類のシリル基を有するシラン/シラノール/シロキサンの混合物とを含む、水溶性のシラン/シラノール/シロキサン組成物を、水溶性シロキサン組成物として塗布した。1サイクル当たり5日間、各10〜20サイクルのVDA試験の結果は驚くほど良好であった(筆記者からの沿面漏れに関するデータはmm単位である)。
【0060】
次の試験では、試験3および4と同一の手順を使用したが、異なる点としては、表1、B3〜B7による組成物が塗布されたこと、自動車に適用されるe−亜鉛メッキ化およびリン酸処理化鋼パネルが使用されたこと、クッションの片面を通じて被覆されるべき表面に移動するようなシロキサン組成物Bを含ませたクッションを使用したこと、ならびに、完全な自動車塗装システムを適用する前に領域Z内にやすりがけを行い、その次に領域Z内を組成物Bで被覆した、リン酸処理化、e−亜鉛メッキ化パネルの全表面上に、完全な自動車塗装システムを適用したことである。VDAサイクル試験の結果を、高品質の自動車で一般的であるZnMnNiリン酸処理、続いてフッ化ジルコニウム含有溶液による後洗浄(本発明による1種類のコーティングBのかわりに両コーティング)、ならびに最後に同一の完全な自動車塗装システムによる被覆を有する類似したパネルの結果と比較した。
【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A1)活性化組成物、不動態化組成物、リン酸塩処理組成物、チタン化合物またはジルコニウム化合物あるいはその両者を含む組成物および後すすぎ組成物などの前処理組成物、
A2)プライマー、ウェットプライマー、溶接プライマー、e−コート、粉末コート、ベースコートおよびクリアコートなどの有機組成物、ならびに
A3)シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくともとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液であるケイ素化合物を含む組成物
からなる群より選択される少なくとも1種の組成物を用いて塗布される、少なくとも1種の耐食コーティングAにより被覆された、少なくとも1種の金属表面上の補修コーティングを製造する方法において、
少なくとも1種の耐食コーティングAは、領域Zにおいて少なくとも部分的に除去されており、
少なくとも1種のケイ素化合物を含む薄層耐食コーティングBを、少なくとも1種のシラン、少なくとも1種のシラノール、少なくとも1種のシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサンまたはこれらの混合物を含む溶液または分散液(=シロキサン組成物)を用いて領域Zの少なくとも一部に塗布する方法。
【請求項2】
シロキサン組成物の薄膜Bが、直径または厚さが10μm以下の粒子、繊維、綿毛片ならびに傷を生じるその他の物質を含まずに塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シロキサン組成物の薄膜Bが、0.005〜40μmの範囲の湿潤膜厚で塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シロキサン組成物の薄膜Bが、0.001〜3μmの範囲の乾燥膜厚で塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シロキサン組成物の薄膜Bを塗布し、次に、例えば5〜300℃の範囲の温度で乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
薄膜Bをシロキサン組成物を用いて塗布し、例えば室温での自然乾燥により、被覆された金属基体を加熱することにより、熱風により加熱することにより、高温ガス流を用いて吹き付けまたは加熱を行なうことにより、または、これらのいずれかの組み合わせにより乾燥させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
シロキサン組成物の薄膜Bを、シロキサン組成物を収容及び分配する器具の接触によって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
シロキサン組成物の薄膜Bを、例えば噴霧缶を用いてシロキサン組成物を噴霧することによって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
シロキサン組成物の薄膜Bを、シロキサン組成物用の貯蔵室を備えた器具を使用することによって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
シロキサン組成物の薄膜Bを、刷毛、スポンジ、タンポン、スティック、またはゲルパックのような器具を使用することによって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
シロキサン組成物の薄膜Bを、貯蔵室から器具の作業表面へと、シロキサン組成物を移送する能力を有する膜またはその他の多孔質材を有する貯蔵室を備えた器具を使用することによって塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
シロキサン組成物が、20℃における測定で1〜250mPa・sの範囲の粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
シロキサン組成物が、ペーストである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
シロキサン組成物を、鉄、鋼、亜鉛メッキまたは亜鉛合金メッキされた鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン、チタン合金、あるいはこれらのいずれかの組み合わせである、少なくとも1種の金属表面に塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
表面に少なくとも2種の異なる材料を現す、少なくとも1つの部分の少なくとも1つの表面であって、少なくとも1種の金属材で作られる、プラスチック材の薄片、マルチレイヤー、シートまたはコンポーネントなどの少なくとも1種のプラスチック材で作られる、少なくとも1種のガラス材で作られる、少なくとも1種のセラミック材で作られる、少なくとも1種の木材で作られる、あるいはこれらのいずれかの混合物で作られる表面に対して、シロキサン組成物を塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
シロキサン組成物を、少なくとも1種のシートの少なくとも1つの金属表面、少なくとも1種の複雑に形成された部分、少なくとも1つの非常に大きな部分、あるいはこれらの混合物に対して塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
シロキサン組成物を、コイル、金属シート、車体、自動車の部品、航空機の機体、船舶、海洋器材、鉄道車両、あるいはそれらの部品のいずれか、建築物、家具、機器または装置の部品あるいは構成部品の、少なくとも1種の金属表面に対して、製造中または損傷後あるいは長期間使用後のいずれかに塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の耐食コーティングAが、研削、研磨、サンドブラストまたは塗膜剥離によって、あるいはこれらのいずれかの組み合わせによって、領域Zにおいて少なくとも部分的に除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種の耐食コーティングCを薄膜B上に塗布し、その際、コーティングCは、プライマー、ウェットプライマー、e−コート、粉末コート、ベースコートまたはクリアコートなどの有機組成物によって、あるいは、薄膜B用と同一または異なるシロキサン組成物を含むコーティングによって、あるいは、このような組成物の継続的な塗布によって生成され、ここで、少なくとも1種のコーティングCは、被覆された金属部品の大部分または全ての表面上に任意に塗布されてよい、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンの群から選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、少なくとも1種の部分的に加水分解されたシラン、少なくとも1種の完全に加水分解されたシラン、少なくとも1種のオリゴマーシロキサン、少なくとも1種のポリマーシロキサン、少なくとも1種のポリシロキサン、またはこれらの混合物の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、例えばアミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、チオール基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基から選択される少なくとも1種の基を有する、少なくとも1種の有機ケイ素化合物の成分、ならびに、一分子あたりに少なくとも2つのシリル基を有する、少なくとも1種の多官能性ケイ素化合物を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、有機モノマー、有機オリゴマー、有機ポリマー、有機コポリマー、有機ブロックコポリマーまたはこれらのいずれかの混合物である、少なくとも1種の有機化合物の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、酢酸、氷酢酸、その他の炭酸、硫酸、塩酸、硝酸、フッ酸、いずれかのリンを有する酸、またはこれらのいずれかの混合物などの、少なくとも1種の酸の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらのいずれかの混合物などの、アルコールなどの、少なくとも1種の有機溶媒の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウムまたはホウ素、あるいはこれらのいずれかの混合物を含む、少なくとも1種の化合物の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、粒径が1ミクロン未満の粒子、界面活性剤、染料、蛍光剤、殺生物剤、pH調節剤、キレート、熱的な影響による化学的架橋に好適な架橋剤、光開始剤およびゲル生成用の物質の群から選択される、少なくとも1種の添加剤の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
耐食コーティングA、B、Cの生成に用いるシロキサン組成物が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物、ならびに、硝酸塩、亜硝酸塩またはグアニジン化合物などの、少なくとも1種の窒素を有する剤の含分を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
耐食コーティングA、B、Cまたはこれらのいずれかの組み合わせの生成に用いるシロキサン組成物が、アミノ基、エポキシ基、グリシドキシ基、イソシアナト基、メルカプト基、(メタ)アクリレート基、(ポリ)硫黄基、ウレイド基、ビニル基およびビニルベンゼン基よりなる群から選択される、少なくとも1種の官能基を有しているシラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
器具が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容及び分配する、請求項1に記載の方法への適用に好適な器具。
【請求項31】
器具が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む溶液または分散液である組成物を収容する貯蔵室を有する噴霧缶、噴霧器またはスティックである、請求項1に記載の方法への適用に好適な器具。
【請求項32】
器具が、シラン、シラノール、シロキサンおよびポリシロキサンから選択される、少なくとも1種のケイ素化合物を含む組成物であるペーストを収容し、ならびに、その器具が、被覆されるべき表面に接触させた時にペーストの一部を送出または放出する、請求項1に記載の方法への適用に好適な器具。

【公表番号】特表2008−519681(P2008−519681A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540563(P2007−540563)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011955
【国際公開番号】WO2006/050918
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500399116)ヒェメタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Chemetall GmbH
【住所又は居所原語表記】Trakehner Str. 3, D−60487 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】