被覆材及びその製造方法
外周面から貫通孔に達する切り込み3を有する筒状発泡体2からなる緩衝材1であり、前記切り込み3の外径口元4と内径口元6とを結ぶ線が、前記発泡体2の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状であることを特徴とする緩衝材1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材、保温材、保護材として用いられる被覆材及びその製造方法に関する。具体的には、本発明は、例えば自動車等の部品である、ボンネット、ドアロック、ガソリン給油口、ダンパー切り替えなどに使用されるワイヤーケーブルが振動により車両本体に接触して異音が発生するのを防止するために用いられる緩衝材に関する。また、本発明の被覆材は、各種生活配管、施設設備の配管、支柱の保温材や保護材として用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両では、ボンネット、ドアロック、ガソリン給油口、ダンパー切り替え等に、ワイヤーケーブルが使用されている。そして、このワイヤーケーブルには、異音対策用のため、筒状の緩衝材が使用されている。また、例えば市水道管等の生活配管やエアコンのコード類、公園や競技場の支柱にも、保温や保護を目的として筒状の保温材、保護材が用いられている。被覆材の一例である緩衝材としては、例えば図5に示すものが知られている。この従来の被覆材としては、平板状の発泡体を筒状かつ中央部に貫通孔を有するように打ち抜いたもの(前者)や、筒状の被覆材中央部に貫通孔を有するように押し出し成形されたゴム発泡体から成るもの(後者)が知られている。
【0003】
図5に示すように、筒状の緩衝材41は、筒状体42の軸方向に沿う中央部に空洞部43を有している。ところで、こうした構成の緩衝材は、通常、ワイヤーケーブルに予め装着されてから車両本体に組み付けられる。しかしながら、車両本体にワイヤーケーブルを組み付けた後に車両に異音等の不具合が発生するなどの理由が発生し、新たに緩衝材を取り付ける必要ができたといった後付けの場合には、図5のタイプの緩衝材では対応できなかった。
【0004】
また、前者の場合、厚い平板状の発泡体からの(厚さは緩衝材の長さに該当する)打ち抜き加工では、図6のように腰部がくびれる変形が生じる。その結果、加工厚みは100〜150mm程度が限界である。換言すれば、打ち抜きによって得られる緩衝材の最大長さは、約100〜150mmである。一方、後者の場合、加工成形長さの問題はなくなる。しかし、後者の場合、逆にワイヤーケーブルの挿入が困難なため、エアーなどで膨らませながら挿入しなければならない。そのため、実質的には長さ=200mm程度が限界という問題点もあった。
【0005】
また、両者に共通する根本的な問題に注意を払わなければならない。ケーシングキャップ(ワイヤーケーブルを車両本体へセットするためのオス型のキャップ)が付いたワイヤーケーブルの場合には、ケーシングキャップは緩衝材軸方向断面中央部の貫通孔よりも大きい径を有するので、車両本体に組み付ける前のワイヤーケーブルであっても、図5のタイプの緩衝材を取り付けることができないという問題も存在していた。
【0006】
これを改善する目的で、図7に示すような構成の緩衝材51が開発されてきた。図7に示すように、緩衝材51は、筒状体52の軸方向に沿う方向に延びたスリット54を備えている。スリット54は、筒状体52の外周部から筒状体52の中央部に形成された貫通孔53に達するように半径方向に延びている。換言すれば、図に示されるように筒状体52の外周部のスリット54による外径口元55は、筒状体52の内周部のスリット54による内径口元56と一つの直線で結ばれたものである。また、平板状の発泡体を環状に巻き付ける緩衝材が、後付け対応可能なものとして開発されてきた。しかし、こうした緩衝材では、外周部を結束バンドで留めたり、筒状体や平板状の発泡体がワイヤーケーブルから外れないように接着剤で接着する必要があった。また、高温下の使用状況においては使用中に接着剤が溶融状態となり、緩衝材が外れるケースも生じており、問題となっていた。
【0007】
一方、近年の車両の静音化指向に伴って、ワイヤーケーブル全長にわたって緩衝材を取り付けるケースも増加している。そのため、長さ=200mmの円筒形状緩衝材を何本もつなぎ合わせて対応していた。
【0008】
また、これら従来の緩衝材では、中央部の貫通孔を形成するための中芯を抜き取る工程で、中芯が抜き取る途中でちぎれやすく、特に、中芯直径:1〜3mmの細いワイヤーケーブル用の緩衝材では、中芯を取り除くために多くの労力を要していた。
【0009】
このような状況から、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかも後付けにも対応することが可能で、また中芯の抜き取り作業が容易で、更には長尺であっても腰部の変形がなく、組付け(例えば、ワイヤーケーブルへの装着)も容易な緩衝材が求められていた。
【0010】
特許文献1は、グロメットに取り付ける防音部材に関し、ワイヤハーネス挿通用貫通穴やワイヤハーネス挿入用スリットを有した円筒形状の発泡状部材と、該発泡状部材の一端面に固着される円環状板部と、該円環状板部の内周縁の一部より突出する長尺な舌部とを有するワイヤハーネス保持部材とを備えている。前記保持部材にテープ巻きあるいはバンドで固定して、前記発泡部材の貫通穴にワイヤハーネスを挿通することが記載されている。
【特許文献1】特開平9−46863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかも例えばワイヤーケーブルへの後付けにも対応することが可能な被覆材を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、中芯の抜き取り作業が容易で、さらには長尺であっても腰部の変形がなく、例えばワイヤーケーブルへの組付けが容易な被覆材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の被覆材は、筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔に達する切り込みを有する被覆材であり、前記切り込みの外径口元と内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の被覆材の製造方法は、筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔まで達する切り込みを有する被覆材を製造する方法であり、前記発泡体を二次元裁断機により裁断することにより、前記外径口元と前記内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状となる切り込みを形成することを特徴とする。
前記被覆材において、発泡体は、例えばポリウレタンフォームからなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の被覆材によれば、筒状発泡体あるいは柱状発泡体に上記構成の切り込みを有した構成にすることにより、従来のように接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかもワイヤーケーブル等への後付けにも対応することが可能な被覆材が得られる。
【0016】
また、本発明の二次元裁断機を用いる製造方法を用いることで、中芯の抜き取り作業が容易で、さらには長尺であっても腰部の変形がなく、例えばワイヤーケーブルへの組み付けも容易な被覆材を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について図面を参照して更に詳しく説明する。
【0018】
本発明においては、筒状発泡体あるいは柱状発泡体の外径口元と内径口元とを結ぶ線は非直線状である。これは、外径口元と内径口元が、一つの直線で結ばれていないという意味である。前記線としては、曲線のみからなる螺旋状のものや、図1のような直線と曲線からなるもの、あるいは図2、図3のような複数の直線からなるものも、本発明の請求範囲に属する。
【0019】
本発明において、前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体の断面に上記構成の切り込みを有した被覆材を得るには、従来公知の加工設備を用いて行えばよい。例えば、所望の切り込みに相当する刃を備えた型で打ち抜く裁断加工を用いる方法や、コンターカッターやボイメル加工機などの二次元裁断機を用いる方法を挙げることができる。このような切り込みを有した被覆材は、展開することが可能なため、中芯の抜き取り作業が容易であり、さらには例えばワイヤーケーブルへの組み付けも容易である。
【0020】
特に、コンターカッターなどの二次元裁断機を使用することにより、装置の大きさにもよるが、長さ=2000mm程度の長尺の被覆材を簡単に得ることが可能となる。従って、被覆材の配設箇所に応じて自由に切断して所望の長さで使用することができる。勿論、腰部の変形も生じない。
【0021】
本発明の被覆材は、筒状発泡体又は柱状発泡体からなる。筒状発泡体は、発泡体の軸方向断面の中央部に貫通孔を有するように中芯が取り除かれている構成の発泡体を示す。他方、柱状発泡体は、単に切り込みを有するいわゆる中芯の取り除かれていない構成の発泡体を示す。筒状被覆材か又は柱状被覆材かは、被覆材を取り付けるワイヤーケーブル等により適宜選択される。例えば対象となるワイヤーケーブルが細いものであれば、中芯の取り除かれていない柱状被覆材が選択される。いずれの場合でも、被覆材の種類はワイヤーケーブルの本数や発泡体の硬さ等により決定すればよい。また、図8に示すように、複数の貫通孔5a,5bを持つ被覆材を用いることもできる。更に、被覆材の断面形状は、図1〜4に記したように円形でもよいし、五角形などの多角形でもよい。なお、貫通孔は一般に発泡体の中央部に形成されている。しかし、図8に示すように、必ずしも中央になくてはならないわけではない。
【0022】
本発明において、筒状あるいは柱状発泡体の素材は、従来公知のものを用いることができる。例えばゴム発泡体や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種発泡樹脂を挙げることができる。特に、顕著な可撓性を有すること、および軽量化、低コストの観点から、筒状あるいは柱状発泡体を作るにはポリウレタンフォームが好ましい。また、ポリウレタンフォームは他の発泡樹脂よりも滑りづらい特性を有している。その結果、ポリウレタンフォームからなる被覆材は、ワイヤーケーブル等に取り付けた後でも、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくい。また、その被覆材は、所望の箇所から位置がずれることもほとんどない。なお、激しい振動や衝撃等が予想され、積極的に取り付けたい場合等には、もちろん接着剤や結束バンドを併用してもよい。
【0023】
上述したように、本発明の被覆材は、筒状あるいは柱状発泡体の断面に、切り込みを有している。外径口元と内径口元とを結ぶ切り込み線は非直線状である。この構成により、筒状又は柱状発泡体を切り込み部から軸方向に展開できるようになっている。これにより、本発明の被覆材をワイヤーケーブルに巻き付けるように取り付けることが可能となる。また、本発明の被覆材は、車両本体に組み付けた後にワイヤーケーブルに取り付けることができる。更に、本発明の被覆材は、貫通孔よりも大きい径をケーシングキャップが付いたワイヤーケーブルにも容易に取り付けることができる。更には、二次元裁断機で加工することにより、長尺の被覆材を容易に得られるので、ワイヤーケーブルの全長にわたって取り付けるような場合であっても、従来のように短い被覆材を何本もつなぎ合わせる煩わしさが無く、容易に取り付けることが可能となる。勿論、巻き付けするようにして取り付けず、従来のように貫通孔にワイヤーケーブルを挿し込んで取り付けてもよい。
【0024】
また、従来、平板状の発泡体を無理に曲げて環状に固定したときには、発泡体自体が元に戻ろうとする応力が発生し、外れやすかった。しかし、本発明の被覆材は筒状あるいは柱状の発泡体に上記構成の切り込みを付与する構成のため、ワイヤーケーブルに取り付けた状態で余分な応力が発生しない状態となる。従って、接着剤や結束バンドなどを用いなくても、外れにくい緩衝材となる。
【0025】
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1及び図4は、本実施例1の緩衝材の構成を示す。図中の符番1は緩衝材を示す。緩衝材1は、ポリウレタンフォームからなる円筒状の発泡体2と、この発泡体2の断面に形成された螺旋状の切り込み3を有した構成となっている。図1に示すように、切り込み3は、外径口元4から内径口元6,即ち発泡体2の中央部に位置し且つ発泡体の軸方向に展開する貫通孔5まで達している。切り込み3は、直線部分3aと曲線部分3bから形成されている。
【0026】
前記緩衝材1は、次のようにして製造した。即ち、密度16kg/m3、硬さ68Nのポリウレタンフォーム(寸法:横1200mm×縦2200mm×高さ550mm)から、ボイメル加工機(ボイマー社製の型番:OFS−222CNC)を使用して緩衝材(直径16mm×長さ2200mm、中芯部分の直径5mm)1を2030本切り出した。その後、中芯部分は、緩衝材を切り込み部から開くことにより容易に取り除くことができた。
【0027】
上記実施例1の緩衝材1は、ポリウレタンフォームからなる円筒状の発泡体2の断面に螺旋状の切り込み3を形成した構成となっている。従って、この緩衝材1をワイヤーケーブルに巻き付けるようにして取り付けることが可能となる。これにより、緩衝材1をワイヤーケーブルに取り付けた状態で余分な応力が発生しない状態となるため、接着剤や結束バンドなどを用いなくても、外れにくい緩衝材となる。
【0028】
また、緩衝材1を車両本体にワイヤーケーブルを組み付けた後やケーシングキャップが付いたワイヤーケーブルにも容易に取り付けることができる。更に、ワイヤーケーブルの全長にわたって取り付けるような場合であっても、従来のような短い被覆材を何本もつなぎ合わせる煩わしさが無く、容易に取り付けることが可能となる。
【0029】
(実施例2)
図2は、本実施例2の緩衝材の構成を示す。図2中の符番11は緩衝材を示す。緩衝材11は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体12と、発泡体12の断面に形成された切り込み13を含む構成となっている。切り込み13は、図2に示すように、外径口元14から内径口元16,即ち発泡体12の軸方向に展開する貫通孔15に達するように展開している。切り込み13は、複数の直線状の切り込み13a,13b,13c,13d,13e,13f,13gから形成されている。
上記実施例2の緩衝材11によれば、実施例1の緩衝材1と同様な効果を有する。
【0030】
(実施例3)
図3は、本実施例3の緩衝材の構成を示す。図3中の符番21は緩衝材を示す。緩衝材21は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体22と、発泡体22の断面に形成された切り込み23を含む構成となっている。ここで、切り込み23は、図3に示すように、外径口元24から内径口元26,即ち発泡体22の軸方向に展開する貫通孔25に達するように展開している。切り込み23は、複数の直線状の切り込み23a,23b等から形成されている。
上記実施例3の緩衝材によれば、実施例1の緩衝材1と同様な効果を有する。
【0031】
(実施例4)
図9は、本実施例4の緩衝材の構成を示す。図9中の符番61は緩衝材を示す。緩衝材61は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体62からなる。前記発泡体62は、対辺16mmの八角形で、直径4mmの貫通孔65を有する。また、発泡体62には切り込み63が形成されている。ここで、発泡体62の断面上の切り込み63は、外径口元64から内径口元66,即ち発泡体62の軸方向に形成される貫通孔65まで達するように、断面形状が曲線の切り込み63aと直線状の切り込み63bから形成されている。
【0032】
上記実施例4の緩衝材によれば、実施例1の緩衝材と同様な効果を有する。事実、図9の緩衝材の長さを200mm、150mm、100mmと変えて、同緩衝材をケーブルに装着し、約40Rまで曲げて緩衝材のケーブルからの外れ具合を試験した。但し、ケーブルは外径4φで材質はポリプロピレン(PP)である。また、このケーブルはチューブ状で内径側にワイヤーが入っている。その結果、長さが200mmの緩衝材の場合、図10に示すように緩衝材61がケーブル67から外れることはなかった。なお、図示しないが、緩衝材の長さが150mm、100mmの場合も、緩衝材がケーブルから外れることはなかった。
【0033】
(比較例)
図11は、本比較例の緩衝材の構成を示す。図11中の符番71は緩衝材を示す。緩衝材71は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体からなる。前記発泡体72は、対辺16mmの八角形で、発泡体72の軸方向に形成され、かつ直径4mmの貫通孔75を有する。また、発泡体72には断面形状が一つの直線で結ばれている切り込み73が形成されている。ここで、切り込み73は、外径口元74から内径口元76,即ち発泡体72の貫通孔75まで達するように形成されている。
【0034】
比較例に係る緩衝材についても、実施例4と同様な曲げ試験を行った。緩衝材72は、緩衝材の長さが200mm、150mm、100mmのいずれの場合も、40Rまで曲げる途中でケーブルから外れてしまった。図12は、緩衝材71の長さが200mmの場合で、ケーブル77から外れた状態の説明図を示す。
【0035】
なお、上記実施例では、ポリウレタンフォームの密度・硬さについて任意の値に設定したものを用いた場合について述べたが、これに限らず、使用環境下に適した数値に適宜変更することができる。更には、使用環境に耐え得る性能、例えば耐熱性、耐候性、止水性などを有した発泡体を適宜選択してもよい。
【0036】
また、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で具体化できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述のように本発明の被覆材を用いることにより、接着剤や結束バンドなどを用いなくても外れにくく、しかも後付けにも対応することが可能な被覆材を提供することができる。
また、接着剤を使用しなくても外れにくいため、高温下の使用状況においても、使用中に接着剤が溶融状態となって被覆材が外れる問題もなく、エンジン周りなどの高温環境下の被覆材として極めて有効である。
【0038】
更に、本発明の製造方法を用いることにより、中芯の抜き取り作業が容易で腰部の変形もなく、組み付けも容易な被覆材を提供することができる。また、本製造方法で得られた長尺の被覆材を用いることにより、従来のように短い被覆材を何本もつなぎ合わせるような煩雑な作業が不要となる。従って、組み付け作業効率を大幅に改善することが可能となる。
【0039】
なお、上記実施例においては、車両部材用の緩衝材の例を中心に述べたが、本被覆材部材の用途が限定されるものではない。
【0040】
また、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらには、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る緩衝材の断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例2に係る緩衝材の断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例3に係る緩衝材の断面図である。
【図4】図4は二次元裁断機により多数切り出した本発明の緩衝材の斜視図である。
【図5】図5は従来の緩衝材の斜視図である。
【図6】図6は厚い発泡体からの打ち抜き加工による従来の緩衝材に見られる変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は従来の改良された緩衝材の斜視図である。
【図8】図8は本発明の一例の2つの貫通孔を有する被覆材の断面図である。
【図9】図9は本発明の実施例4に係る緩衝材の断面図である。
【図10】図10は図9の緩衝材をケーブルに装着して曲げた状態の説明図である。
【図11】図11は比較例1に係る緩衝材の断面図である。
【図12】図12は図11の緩衝材をケーブルに装着して曲げた状態の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1,11,21,61…緩衝材(被覆材)、2,12,22,62…発泡体、3,13,23,63…切り込み、3a…直線部分、3b…曲線部分、4,14,24,64…外径口元、5,5a,5b,15,25,65…貫通孔、6,16,26,66…内径口元。
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材、保温材、保護材として用いられる被覆材及びその製造方法に関する。具体的には、本発明は、例えば自動車等の部品である、ボンネット、ドアロック、ガソリン給油口、ダンパー切り替えなどに使用されるワイヤーケーブルが振動により車両本体に接触して異音が発生するのを防止するために用いられる緩衝材に関する。また、本発明の被覆材は、各種生活配管、施設設備の配管、支柱の保温材や保護材として用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両では、ボンネット、ドアロック、ガソリン給油口、ダンパー切り替え等に、ワイヤーケーブルが使用されている。そして、このワイヤーケーブルには、異音対策用のため、筒状の緩衝材が使用されている。また、例えば市水道管等の生活配管やエアコンのコード類、公園や競技場の支柱にも、保温や保護を目的として筒状の保温材、保護材が用いられている。被覆材の一例である緩衝材としては、例えば図5に示すものが知られている。この従来の被覆材としては、平板状の発泡体を筒状かつ中央部に貫通孔を有するように打ち抜いたもの(前者)や、筒状の被覆材中央部に貫通孔を有するように押し出し成形されたゴム発泡体から成るもの(後者)が知られている。
【0003】
図5に示すように、筒状の緩衝材41は、筒状体42の軸方向に沿う中央部に空洞部43を有している。ところで、こうした構成の緩衝材は、通常、ワイヤーケーブルに予め装着されてから車両本体に組み付けられる。しかしながら、車両本体にワイヤーケーブルを組み付けた後に車両に異音等の不具合が発生するなどの理由が発生し、新たに緩衝材を取り付ける必要ができたといった後付けの場合には、図5のタイプの緩衝材では対応できなかった。
【0004】
また、前者の場合、厚い平板状の発泡体からの(厚さは緩衝材の長さに該当する)打ち抜き加工では、図6のように腰部がくびれる変形が生じる。その結果、加工厚みは100〜150mm程度が限界である。換言すれば、打ち抜きによって得られる緩衝材の最大長さは、約100〜150mmである。一方、後者の場合、加工成形長さの問題はなくなる。しかし、後者の場合、逆にワイヤーケーブルの挿入が困難なため、エアーなどで膨らませながら挿入しなければならない。そのため、実質的には長さ=200mm程度が限界という問題点もあった。
【0005】
また、両者に共通する根本的な問題に注意を払わなければならない。ケーシングキャップ(ワイヤーケーブルを車両本体へセットするためのオス型のキャップ)が付いたワイヤーケーブルの場合には、ケーシングキャップは緩衝材軸方向断面中央部の貫通孔よりも大きい径を有するので、車両本体に組み付ける前のワイヤーケーブルであっても、図5のタイプの緩衝材を取り付けることができないという問題も存在していた。
【0006】
これを改善する目的で、図7に示すような構成の緩衝材51が開発されてきた。図7に示すように、緩衝材51は、筒状体52の軸方向に沿う方向に延びたスリット54を備えている。スリット54は、筒状体52の外周部から筒状体52の中央部に形成された貫通孔53に達するように半径方向に延びている。換言すれば、図に示されるように筒状体52の外周部のスリット54による外径口元55は、筒状体52の内周部のスリット54による内径口元56と一つの直線で結ばれたものである。また、平板状の発泡体を環状に巻き付ける緩衝材が、後付け対応可能なものとして開発されてきた。しかし、こうした緩衝材では、外周部を結束バンドで留めたり、筒状体や平板状の発泡体がワイヤーケーブルから外れないように接着剤で接着する必要があった。また、高温下の使用状況においては使用中に接着剤が溶融状態となり、緩衝材が外れるケースも生じており、問題となっていた。
【0007】
一方、近年の車両の静音化指向に伴って、ワイヤーケーブル全長にわたって緩衝材を取り付けるケースも増加している。そのため、長さ=200mmの円筒形状緩衝材を何本もつなぎ合わせて対応していた。
【0008】
また、これら従来の緩衝材では、中央部の貫通孔を形成するための中芯を抜き取る工程で、中芯が抜き取る途中でちぎれやすく、特に、中芯直径:1〜3mmの細いワイヤーケーブル用の緩衝材では、中芯を取り除くために多くの労力を要していた。
【0009】
このような状況から、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかも後付けにも対応することが可能で、また中芯の抜き取り作業が容易で、更には長尺であっても腰部の変形がなく、組付け(例えば、ワイヤーケーブルへの装着)も容易な緩衝材が求められていた。
【0010】
特許文献1は、グロメットに取り付ける防音部材に関し、ワイヤハーネス挿通用貫通穴やワイヤハーネス挿入用スリットを有した円筒形状の発泡状部材と、該発泡状部材の一端面に固着される円環状板部と、該円環状板部の内周縁の一部より突出する長尺な舌部とを有するワイヤハーネス保持部材とを備えている。前記保持部材にテープ巻きあるいはバンドで固定して、前記発泡部材の貫通穴にワイヤハーネスを挿通することが記載されている。
【特許文献1】特開平9−46863号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかも例えばワイヤーケーブルへの後付けにも対応することが可能な被覆材を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、中芯の抜き取り作業が容易で、さらには長尺であっても腰部の変形がなく、例えばワイヤーケーブルへの組付けが容易な被覆材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の被覆材は、筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔に達する切り込みを有する被覆材であり、前記切り込みの外径口元と内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の被覆材の製造方法は、筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔まで達する切り込みを有する被覆材を製造する方法であり、前記発泡体を二次元裁断機により裁断することにより、前記外径口元と前記内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状となる切り込みを形成することを特徴とする。
前記被覆材において、発泡体は、例えばポリウレタンフォームからなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の被覆材によれば、筒状発泡体あるいは柱状発泡体に上記構成の切り込みを有した構成にすることにより、従来のように接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくく、しかもワイヤーケーブル等への後付けにも対応することが可能な被覆材が得られる。
【0016】
また、本発明の二次元裁断機を用いる製造方法を用いることで、中芯の抜き取り作業が容易で、さらには長尺であっても腰部の変形がなく、例えばワイヤーケーブルへの組み付けも容易な被覆材を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について図面を参照して更に詳しく説明する。
【0018】
本発明においては、筒状発泡体あるいは柱状発泡体の外径口元と内径口元とを結ぶ線は非直線状である。これは、外径口元と内径口元が、一つの直線で結ばれていないという意味である。前記線としては、曲線のみからなる螺旋状のものや、図1のような直線と曲線からなるもの、あるいは図2、図3のような複数の直線からなるものも、本発明の請求範囲に属する。
【0019】
本発明において、前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体の断面に上記構成の切り込みを有した被覆材を得るには、従来公知の加工設備を用いて行えばよい。例えば、所望の切り込みに相当する刃を備えた型で打ち抜く裁断加工を用いる方法や、コンターカッターやボイメル加工機などの二次元裁断機を用いる方法を挙げることができる。このような切り込みを有した被覆材は、展開することが可能なため、中芯の抜き取り作業が容易であり、さらには例えばワイヤーケーブルへの組み付けも容易である。
【0020】
特に、コンターカッターなどの二次元裁断機を使用することにより、装置の大きさにもよるが、長さ=2000mm程度の長尺の被覆材を簡単に得ることが可能となる。従って、被覆材の配設箇所に応じて自由に切断して所望の長さで使用することができる。勿論、腰部の変形も生じない。
【0021】
本発明の被覆材は、筒状発泡体又は柱状発泡体からなる。筒状発泡体は、発泡体の軸方向断面の中央部に貫通孔を有するように中芯が取り除かれている構成の発泡体を示す。他方、柱状発泡体は、単に切り込みを有するいわゆる中芯の取り除かれていない構成の発泡体を示す。筒状被覆材か又は柱状被覆材かは、被覆材を取り付けるワイヤーケーブル等により適宜選択される。例えば対象となるワイヤーケーブルが細いものであれば、中芯の取り除かれていない柱状被覆材が選択される。いずれの場合でも、被覆材の種類はワイヤーケーブルの本数や発泡体の硬さ等により決定すればよい。また、図8に示すように、複数の貫通孔5a,5bを持つ被覆材を用いることもできる。更に、被覆材の断面形状は、図1〜4に記したように円形でもよいし、五角形などの多角形でもよい。なお、貫通孔は一般に発泡体の中央部に形成されている。しかし、図8に示すように、必ずしも中央になくてはならないわけではない。
【0022】
本発明において、筒状あるいは柱状発泡体の素材は、従来公知のものを用いることができる。例えばゴム発泡体や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種発泡樹脂を挙げることができる。特に、顕著な可撓性を有すること、および軽量化、低コストの観点から、筒状あるいは柱状発泡体を作るにはポリウレタンフォームが好ましい。また、ポリウレタンフォームは他の発泡樹脂よりも滑りづらい特性を有している。その結果、ポリウレタンフォームからなる被覆材は、ワイヤーケーブル等に取り付けた後でも、接着剤や結束バンドなどを用いなくとも外れにくい。また、その被覆材は、所望の箇所から位置がずれることもほとんどない。なお、激しい振動や衝撃等が予想され、積極的に取り付けたい場合等には、もちろん接着剤や結束バンドを併用してもよい。
【0023】
上述したように、本発明の被覆材は、筒状あるいは柱状発泡体の断面に、切り込みを有している。外径口元と内径口元とを結ぶ切り込み線は非直線状である。この構成により、筒状又は柱状発泡体を切り込み部から軸方向に展開できるようになっている。これにより、本発明の被覆材をワイヤーケーブルに巻き付けるように取り付けることが可能となる。また、本発明の被覆材は、車両本体に組み付けた後にワイヤーケーブルに取り付けることができる。更に、本発明の被覆材は、貫通孔よりも大きい径をケーシングキャップが付いたワイヤーケーブルにも容易に取り付けることができる。更には、二次元裁断機で加工することにより、長尺の被覆材を容易に得られるので、ワイヤーケーブルの全長にわたって取り付けるような場合であっても、従来のように短い被覆材を何本もつなぎ合わせる煩わしさが無く、容易に取り付けることが可能となる。勿論、巻き付けするようにして取り付けず、従来のように貫通孔にワイヤーケーブルを挿し込んで取り付けてもよい。
【0024】
また、従来、平板状の発泡体を無理に曲げて環状に固定したときには、発泡体自体が元に戻ろうとする応力が発生し、外れやすかった。しかし、本発明の被覆材は筒状あるいは柱状の発泡体に上記構成の切り込みを付与する構成のため、ワイヤーケーブルに取り付けた状態で余分な応力が発生しない状態となる。従って、接着剤や結束バンドなどを用いなくても、外れにくい緩衝材となる。
【0025】
以下、この発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図1及び図4は、本実施例1の緩衝材の構成を示す。図中の符番1は緩衝材を示す。緩衝材1は、ポリウレタンフォームからなる円筒状の発泡体2と、この発泡体2の断面に形成された螺旋状の切り込み3を有した構成となっている。図1に示すように、切り込み3は、外径口元4から内径口元6,即ち発泡体2の中央部に位置し且つ発泡体の軸方向に展開する貫通孔5まで達している。切り込み3は、直線部分3aと曲線部分3bから形成されている。
【0026】
前記緩衝材1は、次のようにして製造した。即ち、密度16kg/m3、硬さ68Nのポリウレタンフォーム(寸法:横1200mm×縦2200mm×高さ550mm)から、ボイメル加工機(ボイマー社製の型番:OFS−222CNC)を使用して緩衝材(直径16mm×長さ2200mm、中芯部分の直径5mm)1を2030本切り出した。その後、中芯部分は、緩衝材を切り込み部から開くことにより容易に取り除くことができた。
【0027】
上記実施例1の緩衝材1は、ポリウレタンフォームからなる円筒状の発泡体2の断面に螺旋状の切り込み3を形成した構成となっている。従って、この緩衝材1をワイヤーケーブルに巻き付けるようにして取り付けることが可能となる。これにより、緩衝材1をワイヤーケーブルに取り付けた状態で余分な応力が発生しない状態となるため、接着剤や結束バンドなどを用いなくても、外れにくい緩衝材となる。
【0028】
また、緩衝材1を車両本体にワイヤーケーブルを組み付けた後やケーシングキャップが付いたワイヤーケーブルにも容易に取り付けることができる。更に、ワイヤーケーブルの全長にわたって取り付けるような場合であっても、従来のような短い被覆材を何本もつなぎ合わせる煩わしさが無く、容易に取り付けることが可能となる。
【0029】
(実施例2)
図2は、本実施例2の緩衝材の構成を示す。図2中の符番11は緩衝材を示す。緩衝材11は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体12と、発泡体12の断面に形成された切り込み13を含む構成となっている。切り込み13は、図2に示すように、外径口元14から内径口元16,即ち発泡体12の軸方向に展開する貫通孔15に達するように展開している。切り込み13は、複数の直線状の切り込み13a,13b,13c,13d,13e,13f,13gから形成されている。
上記実施例2の緩衝材11によれば、実施例1の緩衝材1と同様な効果を有する。
【0030】
(実施例3)
図3は、本実施例3の緩衝材の構成を示す。図3中の符番21は緩衝材を示す。緩衝材21は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体22と、発泡体22の断面に形成された切り込み23を含む構成となっている。ここで、切り込み23は、図3に示すように、外径口元24から内径口元26,即ち発泡体22の軸方向に展開する貫通孔25に達するように展開している。切り込み23は、複数の直線状の切り込み23a,23b等から形成されている。
上記実施例3の緩衝材によれば、実施例1の緩衝材1と同様な効果を有する。
【0031】
(実施例4)
図9は、本実施例4の緩衝材の構成を示す。図9中の符番61は緩衝材を示す。緩衝材61は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体62からなる。前記発泡体62は、対辺16mmの八角形で、直径4mmの貫通孔65を有する。また、発泡体62には切り込み63が形成されている。ここで、発泡体62の断面上の切り込み63は、外径口元64から内径口元66,即ち発泡体62の軸方向に形成される貫通孔65まで達するように、断面形状が曲線の切り込み63aと直線状の切り込み63bから形成されている。
【0032】
上記実施例4の緩衝材によれば、実施例1の緩衝材と同様な効果を有する。事実、図9の緩衝材の長さを200mm、150mm、100mmと変えて、同緩衝材をケーブルに装着し、約40Rまで曲げて緩衝材のケーブルからの外れ具合を試験した。但し、ケーブルは外径4φで材質はポリプロピレン(PP)である。また、このケーブルはチューブ状で内径側にワイヤーが入っている。その結果、長さが200mmの緩衝材の場合、図10に示すように緩衝材61がケーブル67から外れることはなかった。なお、図示しないが、緩衝材の長さが150mm、100mmの場合も、緩衝材がケーブルから外れることはなかった。
【0033】
(比較例)
図11は、本比較例の緩衝材の構成を示す。図11中の符番71は緩衝材を示す。緩衝材71は、ポリウレタンフォームからなる筒状の発泡体からなる。前記発泡体72は、対辺16mmの八角形で、発泡体72の軸方向に形成され、かつ直径4mmの貫通孔75を有する。また、発泡体72には断面形状が一つの直線で結ばれている切り込み73が形成されている。ここで、切り込み73は、外径口元74から内径口元76,即ち発泡体72の貫通孔75まで達するように形成されている。
【0034】
比較例に係る緩衝材についても、実施例4と同様な曲げ試験を行った。緩衝材72は、緩衝材の長さが200mm、150mm、100mmのいずれの場合も、40Rまで曲げる途中でケーブルから外れてしまった。図12は、緩衝材71の長さが200mmの場合で、ケーブル77から外れた状態の説明図を示す。
【0035】
なお、上記実施例では、ポリウレタンフォームの密度・硬さについて任意の値に設定したものを用いた場合について述べたが、これに限らず、使用環境下に適した数値に適宜変更することができる。更には、使用環境に耐え得る性能、例えば耐熱性、耐候性、止水性などを有した発泡体を適宜選択してもよい。
【0036】
また、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で具体化できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述のように本発明の被覆材を用いることにより、接着剤や結束バンドなどを用いなくても外れにくく、しかも後付けにも対応することが可能な被覆材を提供することができる。
また、接着剤を使用しなくても外れにくいため、高温下の使用状況においても、使用中に接着剤が溶融状態となって被覆材が外れる問題もなく、エンジン周りなどの高温環境下の被覆材として極めて有効である。
【0038】
更に、本発明の製造方法を用いることにより、中芯の抜き取り作業が容易で腰部の変形もなく、組み付けも容易な被覆材を提供することができる。また、本製造方法で得られた長尺の被覆材を用いることにより、従来のように短い被覆材を何本もつなぎ合わせるような煩雑な作業が不要となる。従って、組み付け作業効率を大幅に改善することが可能となる。
【0039】
なお、上記実施例においては、車両部材用の緩衝材の例を中心に述べたが、本被覆材部材の用途が限定されるものではない。
【0040】
また、この発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。更に、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらには、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る緩衝材の断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例2に係る緩衝材の断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例3に係る緩衝材の断面図である。
【図4】図4は二次元裁断機により多数切り出した本発明の緩衝材の斜視図である。
【図5】図5は従来の緩衝材の斜視図である。
【図6】図6は厚い発泡体からの打ち抜き加工による従来の緩衝材に見られる変形例を示す斜視図である。
【図7】図7は従来の改良された緩衝材の斜視図である。
【図8】図8は本発明の一例の2つの貫通孔を有する被覆材の断面図である。
【図9】図9は本発明の実施例4に係る緩衝材の断面図である。
【図10】図10は図9の緩衝材をケーブルに装着して曲げた状態の説明図である。
【図11】図11は比較例1に係る緩衝材の断面図である。
【図12】図12は図11の緩衝材をケーブルに装着して曲げた状態の説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1,11,21,61…緩衝材(被覆材)、2,12,22,62…発泡体、3,13,23,63…切り込み、3a…直線部分、3b…曲線部分、4,14,24,64…外径口元、5,5a,5b,15,25,65…貫通孔、6,16,26,66…内径口元。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔に達する切り込みを有する被覆材であり、前記切り込みの外径口元と内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状であることを特徴とする被覆材。
【請求項2】
前記切り込みの断面形状は螺旋状であることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項3】
前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体が、ポリウレタンフォームからなることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項4】
前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体はポリウレタンフォームからなり、かつ前記切り込みの断面形状は螺旋状であることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項5】
筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔まで達する切り込みを有する被覆材を製造する方法であり、前記発泡体を二次元裁断機により裁断することにより、前記外径口元と前記内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状となる切り込みを形成することを特徴とする被覆材の製造方法。
【請求項1】
筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔に達する切り込みを有する被覆材であり、前記切り込みの外径口元と内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状であることを特徴とする被覆材。
【請求項2】
前記切り込みの断面形状は螺旋状であることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項3】
前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体が、ポリウレタンフォームからなることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項4】
前記筒状発泡体あるいは柱状発泡体はポリウレタンフォームからなり、かつ前記切り込みの断面形状は螺旋状であることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
【請求項5】
筒状発泡体あるいは柱状発泡体にその外周面から貫通孔まで達する切り込みを有する被覆材を製造する方法であり、前記発泡体を二次元裁断機により裁断することにより、前記外径口元と前記内径口元とを結ぶ線が、前記発泡体の軸方向と直交する方向に切断する場合の断面形状を見た場合、非直線状となる切り込みを形成することを特徴とする被覆材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−515602(P2007−515602A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520546(P2006−520546)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019657
【国際公開番号】WO2005/064196
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000003425)株式会社東洋クオリティワン (18)
【出願人】(591085547)ゴムノイナキ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019657
【国際公開番号】WO2005/064196
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000003425)株式会社東洋クオリティワン (18)
【出願人】(591085547)ゴムノイナキ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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