説明

被覆物の製造のための水性二次ポリマー分散液

【課題】特別のアクリレート構成ブロックをベースとするポリマーの水性二次分散液、該分散液の製造方法、および膨れのない被覆物の製造のためのバインダーとしての該分散液の使用を提供する。
【解決手段】(I)構造モノマーとして、(Ia)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、および(Ib)ヒドロキシ官能性モノマー、を含むヒドロキシ官能性の疎水性ポリマー、ならびに、(II)構造成分として、(IIa)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、(IIb)ヒドロキシ官能性モノマー、および(IIc)酸官能性モノマー、を含むヒドロキシ官能性の親水性ポリマー、から合成されるコポリマー(P)を含有する水性二次分散液により上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別のアクリレート構成ブロックをベースとするポリマーの水性二次分散液、該分散液の製造方法、および膨れのない被覆物の製造のためのバインダーとしての該分散液の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水希釈可能なペイントおよび被覆系におけるポリアクリレートをベースとする分散液の使用は、多くの出版物および特許から既知である。
【0003】
いずれかのペイントを基材に適用するときに、空気が、溶解形態でまたは微小気泡の形態で塗膜中に閉じ込められる。ペイントが乾燥し、溶媒および/または水が蒸発するにつれて、気泡が生成するかまたは既存の微小気泡が大きくなる。これら気泡の一部はペイントポリマー中に再び溶解し、他の気泡はペイントの表面に上昇し、破裂する(上昇および破裂モデル)。ある被膜厚みにおいて、気泡の一部は、もはや完全に破裂することができず、膨れ(ブリスター)、ピンホールまたはクレーターなどの目に見える塗膜欠陥が形成される。この現象が起こる被膜厚みは、「膨れのない皮膜厚み」または「はじけ限界」として知られている。この膨れのない皮膜厚みは、ペイントの加工信頼性に対する実質的な品質の特徴である。
【0004】
先行技術の水性2成分ポリウレタン(PU)ペイントの膨れのない皮膜厚みは、60〜80μmである(特許文献1および非特許文献1を参照)。しかし、特に3次元成分を塗装する場合、流れ作用は、引用した60〜80μmを超える塗膜厚みが現れる領域が常に生じることを意味する。そのとき、先行技術の水性2成分PUペイントの使用は、ペイント中の気泡を導くことができ、ペイント表面の重大な欠陥の結果を与え、従って塗装された成分の価値が低下する結果になる。
【0005】
このことは、膨れのない皮膜厚みが大きい2成分PUペイントを得るために使用しうる水性分散液を緊急に必要とすることになった。これらのペイントは、反応性基のゆえに適当な架橋剤により硬化して、室温であっても高品質被覆物を形成しうる分散液をベースとすべきである。さらに、この分散液は、分散液としておよびペイントにおいて、高い固体含量および優れた貯蔵安定性を有しているべきである。さらに、その塗膜は、溶媒、水および環境の影響に対して非常に良好な耐性を示すべきである。
【0006】
【特許文献1】国際公開第2002/079296号パンフレット
【非特許文献1】W.HovestadtおよびE.Juergens、1999年、「水性2K-PURラッカーの気泡のない適用」、Farbe & Lack 8/99中、30-37
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、膨れのない皮膜厚みが大きい水性2成分PUペイントを得るために使用することができ、上記した要求を満たすポリマーの水性二次分散液を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに驚くべきことに、選択した(メタ)アクリル酸エステル構成ブロックをモノマーとして含む二次ポリマー分散液が、膨れのない皮膜厚みが有意に大きい水性2成分PUペイントを製造するのに極めて適していることを見いだした。
【0009】
即ち、本発明は、
(I)構造モノマーとして、
(Ia)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、および
(Ib)ヒドロキシ官能性モノマー、
を含むヒドロキシ官能性の疎水性ポリマー、ならびに、
(II)構造成分として、
(IIa)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、
(IIb)ヒドロキシ官能性モノマー、および
(IIc)酸官能性モノマー、
を含むヒドロキシ官能性の親水性ポリマー、
から合成されるコポリマー(P)を含有する水性二次分散液を提供するものである。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル タイプ(Ia)/(IIa)の構造モノマーは、アルコール部分に少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族基を含む特別のモノマー(B)を含有し、その含量は、ポリマー(P)を基準に、少なくとも12.5重量%、好ましくは15〜60重量%、特に好ましくは20〜45重量%である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書および特許請求の範囲において使用する場合(実施例において使用する場合を含む)、他に特記することがなければ、全ての数値は、用語「約」が明示されていない場合であっても、該用語が前に置かれているものとして読んでよい。また、本明細書中に記載したあらゆる数値範囲は、その中に包含される全ての下位範囲を含むことが意図されている。
【0011】
コポリマー(P)は、所望により、さらなる重合段階として、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルに基づくかあるいはヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルと非官能性(メタ)アクリル酸エステルまたはビニル芳香族化合物に基づくヒドロキシ官能性の疎水性コポリマー(II')を、構造成分として含むこともできる。これは、コポリマー(II)の製造に続いて、モノマーの共重合によってその場で製造される。
【0012】
適するモノマー(Ia)/(IIa)は、アクリル酸またはメタクリル酸と単純アルコールとのエステル化生成物、例えば、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert-ブチル、モノマーB、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸シクロヘキシル、およびビニルフェニル類、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンおよびこれらの混合物、および他のモノマーである。好ましい(メタ)アクリル酸エステル(a)は、1〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素基を含むものである。アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチルおよびスチレンが特に好ましい。
【0013】
さらに、適するモノマー(Ia)/(IIa)は、ビニルアルコールと直鎖または分岐鎖の脂肪族カルボン酸とのエステル化生成物、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルまたは酪酸ビニルなどである。以下の一般式(I)で示される分岐鎖脂肪族カルボン酸のビニルエステルが好ましい:
【化1】

[式中、R1およびR2は、共に6、7または8個の炭素原子を含む飽和アルキル基であり、化合物VeoVaTM 9、10および11に対応する]。
【0014】
挙げたモノマーは、そのホモポリマーのガラス転移温度の点で異なる:
【表1】

【0015】
ラジカル共重合が可能なさらなるモノマーを、所望により、コポリマー(I)の製造において成分(Ia/IIa)の化合物として使用することもできる。これらは、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルなどであってよい。ビニルエーテルも可能である。所望により比較的少量で使用するための成分(Ia/IIa)の他の可能性は、2官能性またはさらに高い官能性の(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはビニルモノマー、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートまたはジビニルベンゼンなどである。数平均分子量が3000g/モル、好ましくは500g/モルであるアルキレンオキシド修飾したかまたは鎖延長した重合可能なモノマーも同様に、(Ia/IIa)において使用することができる。この目的に適するアルキレンオキシドは、好ましくは、エチレン、プロピレンまたはブチレンオキシドの単独または混合物である。
【0016】
本発明のポリアクリレートは、樹脂を基準に少なくとも12.5重量%、好ましくは15〜60重量%、特に好ましくは20〜45重量%の、少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族基を含む(メタ)アクリル酸エステルタイプの特別のモノマー(B)を含有する。このタイプの適するモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸と、少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族アルコール(モノオール)との、好ましくは少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族飽和直鎖アルコールとのエステルである。
【0017】
適する脂肪族飽和直鎖アルコールは、例えば天然の脂肪酸から導かれるアルコール、例えばラウリル(C12)、ミリスチル(C14)、パルミチル(C16)、ステアリル(C18)およびベヘニル(C22)アルコールである。他の適する脂肪族飽和アルコールは、例えば、2-エチルヘキサノール、n-オクタノール、ノナノールまたはn-デカノールである。
【0018】
少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族基を含む(メタ)アクリル酸エステルタイプのさらなる適するモノマー(B)は、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸パルミチル、アクリル酸ステアリルまたはアクリル酸ベヘニルおよび対応するメタクリル酸誘導体である。特に好ましいモノマー(B)は、アルコール基中に12〜22個の炭素原子を含み、例えば、以下の一般式(II)で示される化合物などである:
【化2】

[式中、n=12、16.4または17]。
【0019】
また、モノマー(B)として適するのは、少なくとも10個の炭素原子を有する脂環式アルコール(モノオール)に基づく(メタ)アクリル酸エステル、例えば、アクリル酸i-ボルニルまたはメタクリル酸i-ボルニルなどである。
【0020】
適するヒドロキシ官能性モノマー(Ib)/(IIb)は、例えば、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチルである。好ましいモノマー(Ib)/(IIb)は、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルまたはアクリル酸4-ヒドロキシブチルおよびこれら化合物の混合物である。
【0021】
適するオレフィン性不飽和の酸官能性モノマー(IIc)は、スルホン酸またはカルボン酸官能性モノマーである。ここで、カルボン酸官能性モノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸β-カルボキシエチル、クロトン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、あるいは、二塩基酸または無水物のモノアルキルエステル、例えばマレイン酸モノアルキルエステルが好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸が特に好ましい。
【0022】
また、成分(IIc)の化合物として適するのは、ホスフェートまたはホスホネートあるいはスルホン酸またはスルホネート基を有する不飽和のラジカル重合が可能な化合物であり、例えば、国際公開第00/39181号(第8頁第13行〜第9頁第19行)に記載されている化合物などである。
【0023】
コポリマー(P)中のモノマー(Ia)/(IIa)[モノマー(B)を含む]の割合は、23〜89.4重量部、好ましくは48〜85.3重量部、特に好ましくは56.5〜81.5重量部であり、コポリマー(P)中のモノマー(Ib)/(IIb)の割合は、10〜65重量部、好ましくは13.5〜46.5重量部、特に好ましくは17〜40重量部であり、コポリマー(P)中のモノマー(IIc)の割合は、0.6〜12重量部、好ましくは1.2〜5.5重量部、特に好ましくは1.5〜3.5重量部である。
【0024】
酸官能性モノマー(IIc)は、コポリマー(P)が、5〜55mgKOH/g固体、好ましくは10〜35mgKOH/g固体、特に好ましくは12.5〜27.5mgKOH/g固体の酸価を有するような量で使用する。
【0025】
コポリマー(P)中のヒドロキシ官能性の疎水性グラフトベース(I)の割合は、50〜95重量部、好ましくは75〜90重量部であり、コポリマー(P)中のヒドロキシ官能性の親水性ポリマー(II)の割合は、5〜50重量部、好ましくは10〜25重量部である。
【0026】
不飽和モノマーを重合する方法は、当業者にはよく知られている。典型的には、適する溶媒を反応容器に入れ、不飽和モノマーをそれに供給し、ラジカル開始剤を用いて重合させる。
【0027】
重合反応のための適する開始剤は、有機過酸化物、例えばジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシドまたはtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、およびアゾ化合物、例えばアゾジイソ酪酸ニトリル(AIBN)である。開始剤の使用量は、所望の分子量に依存する。方法の安全性およびより容易な取扱いのために、過酸化物開始剤を、上記した種類の適する有機溶媒中の溶液として使用することもできる。
【0028】
本方法の好ましい態様は、記載した順序でのモノマー混合物(I)および(II)の2段階の添加および重合を含んでなる。第1工程(i)において、12〜250mgKOH/g固体、好ましくは50〜200mgKOH/g固体のOH価を有するヒドロキシ官能性の疎水性ポリマー(I)を、モノマー(Ia)および(Ib)から製造する。次の工程(ii)において、工程(i)で得られたポリマー(I)の溶液中で、ヒドロキシ官能性の親水性ポリマー(II)を、モノマー(IIa)〜(IIc)から製造する。ここで、このヒドロキシ官能性の親水性ポリマー(II)は、20〜250mgKOH/g固体、好ましくは120〜220mgKOH/g固体のOH価および50〜250mgKOH/g固体、好ましくは110〜200mgKOH/g固体の酸価を有する。
【0029】
特別のモノマー(B)を、構造成分(Ia)および構造成分(IIa)の両方において使用することができる。これは、好ましくは構造成分(Ia)においてポリマー中に導入される。
【0030】
コポリマー(P)を、有機共溶媒(C)中のモノマー混合物(I)および(II)のラジカル開始の共重合によって製造する。有機溶媒の量は、得られるコポリマー溶液が95〜60重量%、好ましくは92.5〜80重量%の固体含量を有するように決定する。
【0031】
ペイント技術において既知のあらゆる溶媒が有機溶媒(C)として適しており、ここで、水性分散液において共溶媒として普通に使用される溶媒、例えば、アルコール、エーテル、エーテル基含有アルコール、エステル、ケトンまたは非極性炭化水素、例えば脂肪族もしくは芳香族炭化水素、またはこれら溶媒の混合物が好ましい。
【0032】
有機アミンまたは水溶性無機塩基を用いて、モノマー(IIc)によってポリマー(II)中に重合された酸基、好ましくはカルボキシル基を中和することができる。N-メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはエチルジイソプロピルアミンが好ましい。同様に適するのは、ジエチルエタノールアミン、ブタノールアミン、モルホリン、2-アミノメチル-2-メチルプロパノールまたはイソホロンジアミンである。
【0033】
中和剤を、中和度が酸基の70〜130%、好ましくは90〜105%であるような量で加える。特に好ましくは、全ての酸基がその塩形態に変換された後に、遊離の中和剤がなお存在するような量の中和剤を加える。これは、>100%の中和度に対応する。このようにして、分散液安定性、ペイント安定性、顔料湿潤および皮膜外観の特性を有意に改善しうることがわかった。
【0034】
水性分散液のpHは、6.0〜11.0、好ましくは7.0〜10.0であり、固体含量は、35〜65重量%、好ましくは40〜55重量%である。
【0035】
従って、本発明は、本発明の水性ポリアクリレート分散液の製造方法であって、第1工程(i)において、モノマー(Ia)および(Ib)から、12〜250mgKOH/g固体のOH価を有するヒドロキシ官能性の疎水性グラフトベース(I)を製造し、第2工程(ii)において、工程(i)で得られたグラフトベース(I)の溶液中でモノマー(IIa)〜(IIc)を重合させ、この際に、モノマー(B)を工程(i)および/または工程(ii)において、好ましくは工程(i)において使用し、得られるヒドロキシ官能性の親水性ポリマーが20〜250mgKOH/g固体のOH価および50〜250mgKOH/g固体の酸価を有し、モノマー(I)および(II)の混合物のラジカル開始の共重合を共溶媒(C)中で行い、次いで、このコポリマーの製造後に分散に必要なイオン基を生成させるための中和剤を加え、続いて、該コポリマーに水を加えるかまたは該コポリマーを一定量の水中に移すことによって分散工程を行うことを特徴とする方法をも提供するものである。
【0036】
本発明の水性ポリアクリレート分散液を、所望により、他のバインダーまたは分散液(例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエポキシドまたはポリアクリレートに基づくもの)と一緒に、架橋剤樹脂および所望により顔料と組合せて、ペイントまたは被覆コンパウンドにおいて、あるいは、ペイントまたは被覆コンパウンドとして使用する。ペイント技術の通常の助剤物質および添加剤、例えば、消泡剤、増粘剤、顔料、分散剤、触媒、皮張り防止剤、沈降防止剤または乳化剤などを、水性ペイントまたはバインダーの製造前、製造中または製造後に個々の成分を混合することによって、さらに、被覆コンパウンドの製造の場合に単一成分として加工するために添加することができる。
【0037】
また本発明は、本発明の水性ポリアクリレート分散液を含有する被覆コンパウンドをも提供するものである。
【0038】
本発明の水性ポリアクリレート分散液を含有する被覆コンパウンドは、優れた特性範囲を有する水性のペイントおよび被覆系が使用される全ての用途に、例えば、無機建築材料表面の被覆、木材および木材ベース材料の塗装および封止、金属表面の被覆、アスファルトまたはビチューメン路面の被覆および塗装、あるいは、種々のプラスチック表面の塗装および封止に適している。
【0039】
本発明の水性ポリアクリレート分散液をベースとするペイントまたは被覆コンパウンドは、プライマー、充填剤、着色もしくは透明トップコートまたはクリアーコートおよびワンコートペイントであり、これらは、個々の用途および標準の用途において、例えば、工業塗装ならびに自動車の基礎および補修塗装の分野において使用することができる。
【0040】
本発明の水性ポリアクリレート分散液を、好ましくは親水性および/または疎水性ポリイソシアネートと組合せて、特に好ましくは親水性および疎水性ポリイソシアネートの混合物と組合せて使用して、室温〜180℃の金属表面またはプラスチックのための2成分の被覆コンパウンドまたはペイントを製造するか、あるいは、アミノ架橋剤樹脂と組合せて、110〜180℃の金属表面のための塗料およびペイントをワンコートペイントの形態で、またはトップコートとして製造する。
【0041】
また本発明は、本発明の水性ポリアクリレート分散液を、少なくとも1つの架橋剤、好ましくはポリイソシアネートと共に含有する2成分被覆コンパウンドをも提供するものである。
【0042】
通常、このようなポリイソシアネートは、1分子あたりに2つまたはそれ以上のNCO基を有し、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキサン)メタン、1,3-ジイソシアナトベンゼン、トリイソシアナトノナンまたは異性体の2,4-および2,6-TDIに基づき、ウレタン、イソシアヌレートおよび/またはビウレット基を有することもできる。
【0043】
脂肪族または脂環式イソシアネートに基づく上記した種類の低粘度の所望により親水性化したポリイソシアネートの使用が好ましい。
架橋剤として使用するポリイソシアネートは、通常、23℃で10〜5000mPasの粘度を有し、粘度を調節するために、必要なら少量の不活性溶媒と混合して使用することもできる。
【0044】
水溶性または水分散性のポリイソシアネートは、例えば、カルボキシレート、スルホネートおよび/またはポリエチレンオキシド基および/またはポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド基で修飾することによって得ることができる。ポリイソシアネートを、例えば、少量の一価の親水性ポリエーテルアルコールと反応させることによって親水性化することができる。このような親水性化ポリイソシアネートの製造は、例えば、欧州特許出願公開第0540985号(第3頁第55行〜第4頁第5行)に記載されている。
【0045】
また適するのは、独国特許出願公開第10007821号(第2頁第66行〜第3頁第5行)に記載されているトリイソシアナトノナンに基づく水分散性ポリイソシアネート混合物、ならびに、例えば独国特許出願公開第10024624号(第3頁第13〜33行)に記載されているイオン基(スルホネート、ホスホネート基)で親水性化したポリイソシアネートである。
【0046】
また非常に適するのは、欧州特許出願公開第959087号(第3頁第39〜51行)に記載されているアロファネート基含有のポリイソシアネートであり、これは、低モノマーポリイソシアネートとポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールとをアロファネート化条件下で反応させることによって製造される。
【0047】
上記したポリイソシアネート架橋剤の混合物の使用も、勿論、基本的に可能である。親水性化ポリイソシアネートを上記アロファネート修飾ポリイソシアネートに加えて含有する混合物が特に好ましい。
【0048】
種々の噴霧法、例えば圧縮空気、エアレスまたは静電噴霧法を用い、1成分または所望により2成分噴霧プラントを用いて、被覆を製造することができる。しかし、本発明の水性ポリアクリレート分散液を用いて製造される被覆コンパウンドを、他の方法によって、例えば、はけ塗り、ロール塗りまたはナイフ塗布によって適用することもできる。
【実施例】
【0049】
原料
(I)モノマー
アクリル酸
アクリル酸n-ブチル
メタクリル酸n-ブチル
メタクリル酸2-エチルヘキシル
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
メタクリル酸メチル
【0050】
以下のメタクリル酸エステル:
【化3】

メタクリル酸エステル13.0「AM009」:n=12、合成メタクリル酸ラウリル(CAS番号:90551-76-1、Roehm GmbH & Co. KG、Darmstadt)
メタクリル酸エステル17.4「AM010」:n=16.4(CAS番号:90551-84-1、Roehm GmbH & Co. KG、Darmstadt)
メタクリル酸ステアリル:n=17(CAS番号:32360-05-7)
【0051】
(II)開始剤
ジ-tert-ブチルペルオキシド
(III)溶媒
Butoxyl:酢酸-(3-メトキシ-n-ブチル)エステル(Celanese Chemicals Europe GmbH)、独国
Solvesso 100:芳香族炭化水素、初期沸点(ASTM D86-05)162℃、Exxon-Chemie、Esso Deutschland GmbH
【0052】
(IV)その他
Baysilon VP AI 3468:流れ制御剤、Lanxess AG、Leverkusen、独国
Bayhydur VP LS 2319:ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく親水性化脂肪族ポリイソシアネート、NCO含量=18.2±0.5%、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国
Borchigel PW25:増粘剤、Borchers GmbH、Langenfeld、独国
Desmodur XP 2565:イソホロンジイソシアネートに基づく脂肪族アロファネート修飾ポリイソシアネート、酢酸ブチル中80%、NCO含量=12.0±0.5%、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国
Surfynol 104 BC:消泡剤および湿潤剤、AirProducts GmbH、独国
【0053】
比較例1(=欧州特許出願公開第0947557号の実施例3)
ブチルグリコール(186g)およびSolvesso 100(186g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、145℃に加熱した。この温度で、メタクリル酸メチル(750g)、スチレン(125g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445g)、アクリル酸n-ブチル(538g)およびメタクリル酸n-ブチル(87g)からなる混合物(1)を3時間で添加し、その直後に、メタクリル酸メチル(128g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180g)、アクリル酸n-ブチル(100g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物(2)を1.5時間で添加した。平行して、ブチルグリコールとSolvesso 100の1:1混合物(70g)中のジ-tert-ブチルペルオキシド(88g)の溶液を5時間以内に添加した。次に、この混合物を145℃で2時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(76g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(2700g)で分散させた。以下のデータを有する分散液が得られた:
【0054】
【表2】

【0055】
実施例2(本発明に従う、15%メタクリル酸エステル17.4)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(680.0g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(482.2g)およびメタクリル酸エステル17.4(375.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(2795g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0056】
【表3】

【0057】
実施例3(本発明に従う、30%メタクリル酸エステル17.4)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(460.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(326.7g)およびメタクリル酸エステル17.4(750.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(3155g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0058】
【表4】

【0059】
実施例4(本発明に従う、40%メタクリル酸エステル17.4)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(460.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(76.7g)およびメタクリル酸エステル17.4(1000.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(3155g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0060】
【表5】

【0061】
実施例5(本発明に従う、15%メタクリル酸エステル13.0)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(680.0g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(482.2g)およびメタクリル酸エステル13.0(375.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(2765g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0062】
【表6】

【0063】
実施例6(本発明に従う、15%メタクリル酸2-エチルヘキシル)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(680.0g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(482.2g)およびアクリル酸2-エチルヘキシル(375.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(2675g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0064】
【表7】

【0065】
実施例7(本発明に従う、15%メタクリル酸ステアリル)
ブチルグリコール(158.3g)およびSolvesso 100(220.6g)を、撹拌機、冷却デバイスおよび加熱デバイスを備えた6L反応容器に入れ、138℃に加熱した。この温度で、ブチルグリコール(8g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(8g)からなる混合物を、30分間以内に滴下した。次いで、ブチルグリコール(34.3g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(34.3g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(680.0g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(445.0g)、アクリル酸n-ブチル(482.2g)およびメタクリル酸ステアリル(375.0g)からなる混合物を、5時間以内に同時滴下した。その直後に、ブチルグリコール(8.0g)およびジ-tert-ブチルペルオキシド(20.0g)からなる混合物ならびにメタクリル酸メチル(127.5g)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(180.0g)、アクリル酸n-ブチル(100.0g)およびアクリル酸(60g)からなる混合物を同時添加した。次に、この混合物を138℃で1時間撹拌し、次いで100℃まで冷却し、N,N-ジメチルエタノールアミン(77.9g)を添加した。30分間均一化した後、混合物を80℃で2時間以内に水(2765g)で分散させた。以下のデータを有するコポリマー分散液が得られた:
【0066】
【表8】

【0067】
応用例8A〜H
クリアーコートを、以下の表に従って配合し、目盛付きナイフを用いて塗布した。膨れ限界を、室温で30分間の蒸発および80℃で20分間の強制乾燥の後に、目で見て測定した:
【表9】

【0068】
上記した参照文献の全ては、その全体があらゆる有効目的のために本明細書の一部を構成する。
本発明を具現するある種の特定の構成を示して説明したが、その一部の種々の改変および修正を、基礎をなす本発明のコンセプトの思想および範囲から逸脱することなく為しうること、ならびに、それが本明細書中に示し説明した特定の形態に限定されないことが、当業者には明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)構造モノマーとして、
(Ia)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、および
(Ib)ヒドロキシ官能性モノマー、
を含むヒドロキシ官能性の疎水性ポリマー、ならびに、
(II)構造成分として、
(IIa)アルコール部分にC1〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルおよび/またはビニル芳香族化合物および/またはビニルエステル、
(IIb)ヒドロキシ官能性モノマー、および
(IIc)酸官能性モノマー、
を含むヒドロキシ官能性の親水性ポリマー、
から合成されるコポリマー(P)を含有する水性二次分散液[ここで、(メタ)アクリル酸エステル タイプ(Ia)/(IIa)の構造モノマーは、アルコール部分に少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪族基を含む特別のモノマー(B)を含有し、その含量は、ポリマー(P)を基準に少なくとも12.5重量%である]。
【請求項2】
コポリマー(P)中のモノマー(B)を含むモノマー(Ia)/(IIa)の割合が23〜89.4重量部であり、モノマー(Ib)/(IIb)の割合が10〜65重量部であり、モノマー(IIc)の割合が0.6〜12重量部である請求項1に記載の水性二次分散液。
【請求項3】
モノマー(B)が、アルコール部分にC16〜C22炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルである請求項1に記載の水性二次分散液。
【請求項4】
モノマー(B)が、一般式(II):
【化1】

[式中、n=12、16.4または18]
で示される化合物である請求項1に記載の水性二次分散液。
【請求項5】
酸官能性モノマー(IIc)を、コポリマー(P)が5〜55mgKOH/g固体の酸価を有するような量で使用する請求項1に記載の水性ポリアクリレート分散液。
【請求項6】
コポリマー(P)中のヒドロキシ官能性の疎水性グラフトベース(I)の割合が50〜95重量部であり、コポリマー(P)中のヒドロキシ官能性の親水性コポリマー(II)の割合が5〜50重量部である請求項1に記載の水性ポリアクリレート分散液。
【請求項7】
請求項1に記載の水性ポリアクリレート分散液の製造方法であって、第1工程(i)において、モノマー(Ia)および(Ib)から、12〜250mgKOH/g固体のOH価を有するヒドロキシ官能性の疎水性グラフトベース(I)を製造し、第2工程(ii)において、工程(i)で得られたグラフトベース(I)の溶液中でモノマー(IIa)〜(IIc)を重合させ、この際に、モノマー(B)を工程(i)および/または工程(ii)において使用し、得られるヒドロキシ官能性の親水性ポリマーが20〜250mgKOH/g固体のOH価および50〜250mgKOH/g固体の酸価を有し、モノマー(I)および(II)の混合物のラジカル開始の共重合を共溶媒(C)中で行い、次いで、このコポリマーの製造後に分散に必要なイオン基を生成させるための中和剤を加え、続いて、該コポリマーに水を加えるかまたは該コポリマーを一定量の水中に移すことによって分散工程を行うことを含んでなる方法。
【請求項8】
モノマー(B)を工程(i)において使用する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の水性ポリアクリレート分散液を含んでなる水性被覆コンパウンド。
【請求項10】
請求項1に記載の水性ポリアクリレート分散液および少なくとも1つの架橋剤を含んでなる2成分被覆コンパウンド。
【請求項11】
架橋剤が親水性および/または疎水性ポリイソシアネートである請求項10に記載の2成分被覆コンパウンド。
【請求項12】
架橋剤が親水性および疎水性ポリイソシアネートである請求項11に記載の2成分被覆コンパウンド。
【請求項13】
請求項1に記載のポリアクリレート分散液を含んでなるペイント。
【請求項14】
ペイントがプライマー、ワンコートペイントまたは自動車の基礎および補修用ペイントである請求項13に記載のペイント。
【請求項15】
請求項1に記載のポリアクリレート分散液を含んでなる着色もしくは透明トップコート。

【公開番号】特開2009−41012(P2009−41012A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−191906(P2008−191906)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】