説明

被覆電線のストリッパ及び被覆電線の被覆材剥離方法

【課題】容易、確実かつ綺麗に被覆電線を剥離して芯線を剥き出す。
【解決手段】ワイヤストリッパ1は、上側切断刃を把持する上側切断刃ステー2と、下側切断刃を把持する本体21と、上側剥離刃を把持する上側剥離刃ステー3と、下側剥離刃を把持する下側剥離刃ステー4と、これらを作動させるリンク6と、リンク6を作動させるレバー5とを含む。リンク6は、下側切断刃に対して上側切断刃を離隔状態から当接状態に移動させ、下側剥離刃に対して上側剥離刃を離隔状態から当接状態に移動かつ当接状態でスライドさせる。上側切断刃ステー2には、レバー5の握り幅を初期状態の握り幅に復帰させても上下切断刃の当接状態及び上下剥離刃の当接状態を維持するストッパ7を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線工事などの際に被覆電線の芯線を剥き出すために用いられる被覆電線の被覆材を剥離する技術に関するものであり、特に、握り幅が小さくても確実に芯線を剥き出すことができる被覆材剥離技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被覆電線を剥離して芯線を剥き出すための電線被覆剥離工具(以下、ストリッパ又はワイヤストリッパと記載する場合がある)として、以下の特許文献に示すものがある。これらの特許文献に開示されたストリッパは、被覆材を切断するステップと切断された被覆材を剥くステップとを1つのアクションで行うものである。具体的には、握り手(ハンドル)とレバーとが大きく開いた状態にして片手で把持して、レバーを握り手の方へ閉じていくことにより被覆材が切断され、レバーを握り手の方へさらに閉じていくことにより切断された被覆材が剥かれ、所望の長さの被覆材を剥離することができる。
【特許文献1】特開2006−087162号公報
【特許文献2】特開2006−136073号公報
【特許文献3】特開2006−228740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、被覆材を切断するステップと切断された被覆材を剥くステップとを1つのアクションで行う場合には、所望の長さの被覆材を剥くためにはレバーと握り手との幅(握り幅)を大きくする必要がある。これは、レバーが握り手の方へ移動することに伴い作動するリンク機構により切断刃が被覆材を切断して、レバーが握り手の方へさらに移動することに伴い作動するリンク機構により切断刃が移動して被覆材を剥くため、切断のために離隔状態から当接状態に切断刃の移動距離に対応する握り幅(握りのストローク)に加えて、所望の剥離長さに対応する握り幅(握りのさらなるストローク)が必要であることに起因する。このため、上記した特許文献に開示されたストリッパの握り幅は大きくせざるを得ない。
【0004】
さらに、被覆材を切断するステップと切断された被覆材を剥くステップとを1つのアクションで行う場合には、上下一対の刃のいずれかが電線の軸芯方向に沿って移動するため、被覆材の切断と被覆材の剥離とが重なって行われることもあって、確実かつ綺麗(切断面が上下方向でずれていない)に被覆電線を剥離して芯線を剥き出すことが困難になることもあり得る。
さらに、1つのアクションにおいて、被覆材を切断するステップと切断された被覆材を剥くステップとを、意識的に区別して作業者に操作させることが要求される場合もあり得る。このような場合、不慣れな作業者は被覆電線を剥離して芯線を確実かつ綺麗に剥き出すことが困難になることもあり得る。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、容易、確実かつ綺麗に被覆電線を剥離して芯線を剥き出すことができる、被覆電線のストリッパ及び被覆電線の被覆材剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にある局面に係る被覆電線のストリッパは、被覆電線の被覆材を切断する一対の切断刃と、切断された被覆材を剥離する一対の剥離刃と、一対の切断刃及び一対の剥離刃を被覆電線に対して初期状態である離隔状態から当接状態にそれぞれ移動させるとともに、一対の剥離刃が被覆電線に当接した当接状態で一対の剥離刃を被覆電線の軸芯方向に移動させるためのリンク機構と、リンク機構を作動させるために所定の握り幅で作動可能なレバーと、レバーの握りを初期状態側に復帰させても、当接状態を維持するための保持機構とを含む。
【0007】
この発明によると、たとえば上下一対の切断刃は、リンク機構により、被覆電線に対して初期状態である離隔状態から当接状態に移動される。たとえば上下一対の剥離刃は、リンク機構により、被覆電線に対して初期状態である離隔状態から当接状態に移動されるとともに、剥離刃が被覆電線に当接した状態で剥離刃を被覆電線の軸芯方向に移動される。レバーの握りを初期状態側に復帰させても、保持機構はこの当接状態を維持する。そして、当接状態を維持したまま、レバーの握り幅が一旦初期状態側に戻り(最も戻るように設計した場合には初期状態の位置まで戻ることになる)、その初期状態側から、切断された被覆材を剥離刃により剥離するためにレバーが作動される。このため、切断のためのレバーの握り幅にさらに剥離のためのレバーの握り幅が加えられて一連の切断及び剥離の処理のための握り幅になるのではなく、一連の切断及び剥離の処理のための握り幅は、初期状態からの所定の握り幅のみの握り幅になる(レバーの握り幅が一旦初期状態の位置まで戻った場合)。さらに、切断動作と剥離動作とが別の処理として行われるため、作業者が容易に作業を行なえるとともに、綺麗な切断面を実現できる。その結果、容易、確実かつ綺麗に被覆電線を剥離して芯線を剥き出すことができる、被覆電線のストリッパを提供することができる。
【0008】
好ましくは、一対の切断刃は、一対の切断刃ステーにより把持され、一対の切断刃ステーのうちの少なくとも一方の切断刃ステーは、保持機構により切断刃ステーの位置が保持される係合部を含み、保持機構は、当接状態で弾性力により係合部に係合するロック機構を含む。
さらに好ましくは、一対の剥離刃は、一対の剥離刃ステーにより把持され、一対の剥離刃ステーのうちの少なくとも一方の剥離刃ステーは、軸芯方向への移動が完了するまでにロック機構を弾性力に抗して開放する突起部を含む。
【0009】
さらに好ましくは、保持機構は、当接状態で弾性力により係合部に係合したロック機構を、作業者が弾性力に抗して解除するための解除機構をさらに含む。
このような解除機構により、被覆電線の被覆材の切断時に切断刃が噛み込んでしまって、動作を進めることも戻すこともできない場合であっても、初期状態に戻して、処理を最初からやり直すことが容易にできるようになる。
この発明に別の局面に係る被覆電線の被覆材剥離方法は、被覆電線の被覆材を切断する一対の切断刃と切断された被覆材を剥離する一対の剥離刃とが被覆電線に対して離隔した初期状態で、被覆電線を所定の位置にセットするステップと、切断刃及び剥離刃を作動させるリンク機構を、レバーを握ることにより作動させて、一対の切断刃及び一対の剥離刃を被覆電線に対して離隔状態から当接状態に移動させるとともに、切断刃の位置を保持するステップと、切断刃の位置が保持された状態で、レバーの握りを開放して、レバーの握りを初期状態側に復帰させるステップと、初期状態側に復帰したレバーを握ることによりリンク機構を作動させて、切断刃の位置が保持された状態、かつ、一対の剥離刃が被覆電線に当接した状態で、一対の剥離刃を被覆電線の軸芯方向に移動させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、小さい握り幅で被覆電線の被覆材の切断及び剥離を行うことができるとともに、容易、確実かつ綺麗に被覆電線を剥離して芯線を剥き出すことができる、被覆電線のストリッパ及び被覆電線の被覆材剥離方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<全体概略構成>
図1に、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1の全体を示す斜視図を、図2に、図1の矢示X方向から見たワイヤストリッパ1の側面図を、図3に、図2の断面図を、図4に、図1の矢示Y方向から見たワイヤストリッパの正面図を、図5に、図1の矢示Z方向から見たワイヤストリッパの上面図を、それぞれ示す。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、図2の図面における上下左右方向を用いて説明するが、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1がこの方向に限定されるものではない。
【0012】
図1〜図5を参照して、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1について説明する。このワイヤストリッパ1は、大きく分けて、下側切断刃ステー及び握り手(ハンドル)を兼ねた本体21と、レバー5と、上側切断刃ステー2と、上側剥離刃ステー3と、下側剥離刃ステー4とから構成される。上側切断刃ステー2と、上側剥離刃ステー3と、下側剥離刃ステー4とは、リンク6による動作が可能なように取り付けられ、下側切断刃9は本体21に取り付けられているため動作が不可能な状態で固定されている。
なお、リンク6により、上側切断刃ステー2は上下方向へ移動可能で、上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4とは上下方向へ移動可能及び左右方向へ移動可能(スライド可能)なように取り付けられる。
【0013】
上側切断刃ステー2には上側切断刃10が、上側剥離刃ステー3には上側剥離刃11が、下側剥離刃ステー4には下側剥離刃22が、本体21には下側切断刃9がそれぞれ取り付けられる。なお、後述するように、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1においては、下側剥離刃22は、下側剥離刃ステー4と一体的に構成されているが、これに限定されるものではない。さらに、本体21に取り付けられた下側切断刃9は、動作が不可能な状態であるが、これに限定されるものではなく、下側剥離刃9も、たとえば、上下方向に移動可能な刃であっても構わない。
【0014】
上側切断刃10と下側切断刃9とは互いに接近するように上下方向に移動してワイヤ(被覆電線)を挟み込み被覆材を切断した状態で把持するが摺動(スライド)しない刃であって、上側剥離刃11と下側剥離刃22とは互いに接近するように上下方向に移動してワイヤを挟み込みかつその状態で左右方向に摺動(スライド)して被覆材を剥がす刃という。
本体21とレバー5とはヒンジピン13Aにより、ヒンジピン13Aを中心として回動自在(上下方向にレバー5が移動自在)に取り付けられている。さらに、レバー5には、ヒンジピン13Bにより、上側切断刃ステー2が回動自在に(上側切断刃10が下側切断刃9に接近可能に)、上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4が回動自在及び摺動自在に(上側剥離刃11が下側剥離刃22に接近可能かつ上側剥離刃11と下側剥離刃22とが被覆材を剥がすために切断時の刃の移動と垂直な方向である左右方向にスライド可能に)取り付けられている。この上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4の摺動は、リンク6により実現される。
【0015】
このワイヤストリッパ1には、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近した状態(すなわち、ワイヤの被覆材を切断している状態)かつ上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近した状態(すなわち、ワイヤの被覆材を把持している状態)で、動作をロックするためのストッパ(ロック機構)7及び支持部材8を備える。
本体21にピン8aを介して支持部材8が枢支され、この支持部材8にストッパ7が嵌合しており、ストッパ7はピン8aに長孔又はバカ孔を介して嵌合しており、ストッパ7を貫通するネジ8bが支持部材8に螺合され、このネジ8bに嵌装されたストッパ用圧縮ばね19がストッパ7をピン8aから離れる方向に弾圧し、これらによってピン8aに対するストッパ7の位置が調整自在に設定されており、また、ピン8aに嵌装したストッパ用ねじりばね18によって、ストッパ7の先端下部が上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3の上縁と当接するように付勢されている。
【0016】
レバー5を本体21の握り手の方向に移動させると、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近した状態かつ上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近した状態(被覆材切断状態)で、ストッパ7によりワイヤストリッパ1の動作が停止される。この状態でレバー5を元に戻しても、ロックがかかっているので、この被覆材切断状態を維持する。
さらに、このストッパ7はストッパ用ねじりばね18によりロック状態を維持するが、ストッパ7の後端にストッパ用ねじりばね18に抗する力を作業者が与えることでロック状態を解除できる。これは、たとえば、ワイヤストリッパ1でワイヤの被覆材を切断しようとしたが、上側切断刃10と下側切断刃9とでワイヤの被覆材を噛み込んで動作が停止してしまった場合(動作を進めることも動作を戻すこともできなくなった場合)に、ロック状態を解除して、最初から作業をやり直すことができる。
【0017】
レバー用引張りばね16は、その引張力により、レバー5を本体21の握り手から最も遠くに位置させて、レバー5を開かせたワイヤストリッパ初期状態及びスライド直前状態とする。ワイヤストリッパ初期状態とは、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も離隔し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も離隔するとともにスライドしていない状態であって、スライド直前状態とは、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近するとともにスライドしていない状態であって、上述のロック状態である。
【0018】
リンク用引張りばね17は、リンク6をリンク初期状態とする。リンク初期状態とは、リンク6が初期位置にある状態であって、上述のワイヤストリッパ初期状態である。なお、このリンク用引張りばね17は、ワイヤストリッパ初期状態(リンク初期状態)において最も短いばね長となり、スライド終了状態で最も長いばね長となり、ロック状態では、それらの中間のばね長になる。ここで、スライド終了状態とは、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近するとともにリンク6により最もスライドしている状態(被覆材を剥離させる長さに対応させた分だけスライドした状態)である。
【0019】
なお、図4に示すように、下側切断刃9は、図6及び図7に示す被覆電線Lの第1絶縁被覆材C1と第2絶縁被覆材C2の双方への切り込みができるように、刃先が第1絶縁被覆材C1に合った形状のもの(図4において刃先9B、刃先10B)と、第2絶縁被覆材C2に合った形状のもの(図4において刃先9A、刃先10A)とされている。また、ガイド12については、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1に必須の構成ではない。
<動作を実現する主要構成>
さらに、図を用いて、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1の構成について説明する。以下においては、動作を実現するワイヤストリッパ1の主要構成部分について説明する。
【0020】
図8に、このワイヤストリッパ1の主要構成部分の斜視図を示す。図6に示すように、このワイヤストリッパ1は、下側剥離刃ステー4が上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3に挟み込まれるように本体21にヒンジピン13Aにより取り付けられる。このヒンジピン13Aにより、本体21とレバー5とが取り付けられている。図8に示すように、レバー5にはリンク6がヒンジピン13Bにより取り付けられている。
<動作を実現する上側切断刃ステーの構成>
図9に上側切断刃ステー2の斜視図を示す。図9に示すように、上側切断刃ステー2には、その先端に上側切断刃10が六角穴付きボルト等の締結部材で取り付けられる。この上側切断刃ステー2は、略L字型の金属部材等で形成されており、特徴的な構成として以下を備える。
【0021】
(2−1)ガイドピン15の通し穴であって、上側切断刃10が下側切断刃9に接触した状態におけるワイヤストリッパ1の処理対象であるワイヤの軸芯方向(左右方向)に沿って開けられた長穴2A
(2−2)リンク6を構成しラチェットピン14の摺動穴2B
(2−3)ヒンジピン13Aの通し穴2C
(2−4)ストッパ7が係止される係合部2D
なお、長穴2Aの長手方向の形状(特に左右方向の長さ)は、このワイヤストリッパ1により剥がされる被覆材の長さに対応する。この長穴2Aには、ガイドピン15が摺動する。ガイドピン15は、上側剥離刃ステー3に設けられ、下側剥離刃ステー4の縦長穴4B及び上側切断刃ステー2の長穴2Aを貫通して設けられる。
【0022】
摺動穴2Bは、後述する上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの形状と一部が一致するようにその形状が構成されるとともに、上側切断刃ステー2と上側剥離刃ステー3との位置関係が決定されヒンジピン13Aで止められている。摺動穴2Bは、摺動穴2Bの先端にラチェットピン14がある時に、後述する下側剥離刃ステー4の係止部4Cをラチェットピン14が係止できるように構成されるとともに、上側切断刃ステー2と下側剥離刃ステー4との位置関係が決定されヒンジピン13Aで止められている。この摺動穴2Bは、ラチェットピン14がその内側形状に沿って摺動するとともに、ほぼ中央に設けられた上に凸の半円形状の切り欠き部でラチェットピン14が係止された状態でレバー5が本体21の握り手に近づくことにより上下の刃が接近する(上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近する)。また、この摺動穴2Bは、先端側(図9の左側)と後端側(図9の右側)とでは幅が異なり、先端側の方が後端側よりも幅が広く形成される。
【0023】
さらに、長穴2Aにおいてガイドピン15が滑らかに摺動することができるように、長穴2Aの先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。また、摺動穴2Bにおいてラチェットピン14が滑らかに摺動することができるように、幅が変化する部位にはテーパが設けられ、先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。
<動作を実現する上側剥離刃ステーの構成>
図10に上側剥離刃ステー3の斜視図を示す。図10に示すように、上側剥離刃ステー3には、その先端に上側剥離刃11が六角穴付きボルト等の締結部材で取り付けられる。この上側剥離刃ステー3は、略L字型の金属部材等で形成されており、特徴的な構成として以下を備える。
【0024】
(3−1)ヒンジピン13Aの通し穴であって、上側切断刃10が下側切断刃9に接触した状態において、このワイヤストリッパ1の処理対象であるワイヤの軸芯方向(左右方向)に沿って開けられた長穴3A
(3−2)リンク6を構成しラチェットピン14の摺動穴3B
(3−3)リンク用引張りばね17の通し穴3C
(3−4)スライド終了近傍においてストッパ7を押し上げる突起部3D
(3−5)ガイドピン15
なお、長穴3Aの長手方向の形状(特に左右方向の長さ)も、長穴2Aと同様に、このワイヤストリッパ1で剥がされる被覆材の長さに対応する。この長穴3Aには、ヒンジピン13Aが摺動する。
【0025】
摺動穴3Bは、上述した上側切断刃ステー2の摺動穴2Bの形状の一部(先端側)が一致するようにその形状が構成されるとともに、上側切断刃ステー2と上側剥離刃ステー3との位置関係が決定されヒンジピン13Aで止められている。摺動穴3Bは、摺動穴2Bのほぼ中央に設けられた半円形状の切欠部にラチェットピン14がある時に摺動穴3Bの後端でラチェットピン14を係止できるように構成されるとともに、上側切断刃ステー2と上側剥離刃ステー3との位置関係が決定されヒンジピン13Aで止められている。この摺動穴3Bは、ラチェットピン14がその内側形状に沿って摺動するとともに、後端側で係止された状態で上下の刃が接近する(上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近する)。また、この摺動穴3Bは、先端側(図10の左側)と後端側(図10の右側)とでは高さが異なり、先端側の方が後端側よりも低く形成される。
【0026】
さらに、長穴3Aにおいてヒンジピン13Aが滑らかに摺動することができるように、長穴3Aの先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。また、摺動穴3Bにおいてラチェットピン14が滑らかに摺動することができるように、幅が変化する部位にはテーパが設けられ、先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。
<動作を実現する下側剥離刃ステーの構成>
図11に下側剥離刃ステー4の斜視図を示す。図11に示すように、下側剥離刃ステー4には、その先端に一体形状の下側剥離刃22が形成されている。この下側剥離刃ステー4は、略L字型の金属部材等で形成されており、特徴的な構成として以下を備える。
【0027】
(4−1)ヒンジピン13Aの通し穴であって、上側切断刃10が下側切断刃9に接触した状態において、このワイヤストリッパ1の処理対象であるワイヤの軸芯方向(左右方向)に沿って開けられた長穴4A
(4−2)ガイドピン15の通し穴である縦長穴4B
(4−3)係止部4C
なお、長穴4Aの長手方向の形状(特に左右方向の長さ)も、長穴2A及び長穴3Aと同様に、このワイヤストリッパ1で剥がされる被覆材の長さに対応する。この長穴4Aには、ヒンジピン13Aが摺動する。
【0028】
縦長穴4Bは、上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3をそれぞれ下側切断刃ステー(本体21)及び下側剥離刃ステー4に接近させるときに、ガイドピン15が摺動するための縦方向に開けられた穴である。
係止部4Cは、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bの先端に位置するラチェットピン14が係止できるように構成されるとともに、上側切断刃ステー2と下側剥離刃ステー4との位置関係が決定されヒンジピン13Aで止められている。この係止部4Cが、ラチェットピン14を係止するのは、上述のロック状態でレバー5を初期位置に戻したとき(スライド直前状態)である。ロック状態でレバー5を初期位置に戻してスライド直前状態にしたときに、レバー5の移動によりリンクが作用して、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bにおけるラチェットピン14の位置は、ほぼ中央に設けられた上に凸の半円形状の切り欠き部から、摺動穴2Bの先端部(図9の左端)に移動して、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bにおけるラチェットピン14の位置は、後端部(図10の右端)から、摺動穴2Bの先端部(図10の左端)に移動して、係止部4Cがラチェットピン14を引っ掛けている。
【0029】
さらに、長穴4Aにおいてヒンジピン13Aが滑らかに摺動することができるように、長穴4Aの先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。また、縦長穴4Bにおいてガイドピン15が滑らかに摺動することができるように、先端部及び後端部は半円形状又は略半円形状とされている。
<動作を実現する下側切断刃ステーの構成>
図12に下側切断刃ステーである本体21の斜視図を示す。図12に示すように、下側切断刃ステーである本体21には、その先端に下側切断刃9及びガイド12が六角穴付きボルト等の締結部材で取り付けられる。本体21には、ヒンジピン13Aが貫通する貫通穴21Aが設けられるともに、レバー5が最大握り幅まで開いた状態を維持するためのストッパとなる突起部21Bが設けられている。
【0030】
<ワイヤストリッパの動作−第1の状態〜第4の状態>
以上のような構成を有する本実施の形態に係るワイヤストリッパ1の動作について説明する。図13及び図14がこのワイヤストリッパの第1の状態(初期状態)を示し、図15及び図16が第1の状態に引き続く第2の状態(切断状態)を示し、図17及び図18が第2の状態に引き続く第3の状態(スライド直前状態)を示し、図19及び図20が第3の状態に引き続く第4の状態(スライド状態)を示している。また、図13、図15、図17及び図19が上側切断刃ステー2及び下側剥離刃ステー4を示す断面図であって、図14、図16、図18及び図20が上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4を示す断面図である。
【0031】
なお、図13〜図20においては、各図(A)として上面図を、各図(B)として各上面図におけるA−A断面図をそれぞれ示している。
[第1の状態(初期状態)]
図13及び図14を参照して、このワイヤストリッパ1の初期状態である第1の状態について説明する。
レバー5は、本体21の突起部21Bがストッパとなって(レバー5の外縁が突起部21Bに当接して)、最大握り幅まで開いた状態である。図13及び図14に示すように、この状態では、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も離隔し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も離隔している。さらに、上側剥離刃11と下側剥離刃22とがスライドしていない。すなわち、上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3がともに先端(左端)を開いた状態であって、下側剥離刃ステー4が左端に位置している。
【0032】
このとき、ガイドピン15の位置は、上側切断刃ステー2の長穴2Aにおける最先端(最左端)であって、下側剥離刃ステー4の縦長穴4Bにおける最上端である。ヒンジピン13Aの位置は、下側剥離刃ステー4の長穴4Aにおける最後端(最右端)であって、上側剥離刃ステー3の長穴3Aにおける最後端(最右端)である。ラチェットピン14の位置は、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bのほぼ中央に設けられた上に凸の半円形状の切り欠き部であって、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの最後端(最右上端)である。
この初期状態で作業者は、ガイド12に従って下側切断刃9に被覆電線Lをセットする。その後、作業者はレバー5を本体21の握り手に近付けるように移動させると(片手で握るようにレバー5を引くと)、この初期状態から第2の状態に遷移する。
【0033】
[第2の状態(切断状態)]
図15及び図16を参照して、このワイヤストリッパ1の切断状態である第2の状態について説明する。
このとき、上下の刃が当接した状態であって、レバー5は、最小握り幅まで閉じた状態である。図15及び図16に示すように、この状態では、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近(当接)し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近(当接)している。さらに上側剥離刃11と下側剥離刃22とがスライドしていない。すなわち、上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3がともに先端(左端)を閉じた状態であって、下側剥離刃ステー4が左端に位置している。
【0034】
このとき、ガイドピン15の位置は、上側切断刃ステー2の長穴2Aにおける最先端(最左端)であって、下側剥離刃ステー4の縦長穴4Bにおける最下端である。ヒンジピン13Aの位置は、下側剥離刃ステー4の長穴4Aにおける最後端(最右端)であって、上側剥離刃ステー3の長穴3Aにおける最後端(最右端)である。ラチェットピン14の位置は、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bのほぼ中央に設けられた上に凸の半円形状の切り欠き部であって、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの最後端(最右上端)である。
さらに、この切断状態では、ストッパ用ねじりばね18のばね力によりストッパ7の先端が下方に押し下げられ、ストッパ7の先端を上側切断刃ステー2の係合部2Dが係止したロック状態である。
【0035】
この切断状態で、被覆電線Lの被覆材が切断される。その後、作業者はレバー5を本体21の握り手から遠ざけるように移動させると(片手で握っていたレバー5から力を抜くと)、レバー用引張りばね16のばね力が作用して、この切断状態から第3の状態に遷移する。
[第3の状態(スライド直前状態)]
図17及び図18を参照して、このワイヤストリッパ1のスライド直前状態である第3の状態について説明する。
【0036】
このとき、上下の刃が当接した状態であるが、レバー5は、最大握り幅まで開いた状態である(初期状態と同じ)。なお、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1においては、この第3の状態でレバー5は最大握り幅まで開いた初期状態であるとしたが、初期状態側に開くのであれば、最大握り幅まで開いた状態に戻る必要はない。この第3の状態から後述する第4の状態に遷移させるために、大きな握り幅になって作業性を低下させることを回避できる戻り幅であれば初期状態まで戻ることに限定されるものではない。
図17及び図18に示すように、この状態では、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近(当接)し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近(当接)している。さらに上側剥離刃11と下側剥離刃22とがスライドしていない。すなわち、上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3がともに先端(左端)を閉じた状態であって、下側剥離刃ステー4が左端に位置している。すなわち、レバー5の位置を除いて、上側切断刃ステー2、上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4の位置は、切断状態と同じである。
【0037】
このとき、ガイドピン15の位置は、上側切断刃ステー2の長穴2Aにおける最先端(最左端)であって、下側剥離刃ステー4の縦長穴4Bにおける最下端である。ヒンジピン13Aの位置は、下側剥離刃ステー4の長穴4Aにおける最後端(最右端)であって、上側剥離刃ステー3の長穴3Aにおける最後端(最右端)である。ラチェットピン14の位置は、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bの最先端(最左端)であって、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの最先端(最左端)である。
さらに、このスライド直前状態では、ラチェットピン14が下側剥離刃ステー4の係止部4Cにより係止されている。
【0038】
このスライド直前状態で、作業者は、被覆電線Lの被覆材が切断され、かつ、噛み込んでいないか否かを判断する。その後、作業者は、初期状態であるレバー5を本体21の握り手に近付けるように移動させると(片手で握るようにレバー5を引くと)、このスライド直前状態から第4の状態に遷移する。このときの握り幅は、一旦レバー5が元に戻っているので、第1の状態から第2の状態に遷移させたときと同じ小さな握り幅である。
[第4の状態(スライド状態)]
図19及び図20を参照して、このワイヤストリッパ1のスライド状態である第4の状態について説明する。
【0039】
このとき、上下の刃が当接した状態であるが、レバー5は、最小握り幅まで閉じた状態である。図19及び図20に示すように、この状態では、上側切断刃10と下側切断刃9とが最も接近(当接)し、上側剥離刃11と下側剥離刃22とが最も接近(当接)している。さらに上側剥離刃11と下側剥離刃22とがスライドしている。すなわち、上側切断刃ステー2及び上側剥離刃ステー3がともに先端(左端)を閉じた状態であって、下側剥離刃ステー4が右端まで位置している。
このとき、ガイドピン15の位置は、上側切断刃ステー2の長穴2Aにおける最後端(最右端)であって、下側剥離刃ステー4の縦長穴4Bにおける最下端である。ヒンジピン13Aの位置は、下側剥離刃ステー4の長穴4Aにおける最先端(最左端)であって、上側剥離刃ステー3の長穴3Aにおける最後端(最右端)である。下側剥離刃ステー4の係止部4Cを係止した状態のラチェットピン14の位置は、上側切断刃ステー2の摺動穴2Bの最後端(最右端)であって、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの最先端(最左端)である。
【0040】
スライド直前状態からレバー5が握られることによりリンク6が作用して、上側剥離刃ステー3の摺動穴3Bの最先端(最左端)の位置のラチェットピン14が下側剥離刃ステー4の係止部4Cを係止されているため、上側剥離刃ステー3及び下側剥離刃ステー4をスライドさせるのである。
さらに、このスライド状態の途中において、スライドする上側剥離刃ステー3の突起部3Dにより、ストッパ7が押し上げられて、ロックが解除される。すなわち、図19及び図20に示すように、ストッパ7はロックが解除されている。
【0041】
このスライド状態で作業者は、被覆電線Lの被覆材が切断され剥離されたか否かを判断する。その後、作業者はレバー5を本体21の握り手から遠ざけるように移動させると(片手で握っていたレバー5から力を抜くと)、レバー用引張りばね16のばね力が作用して、このスライド状態から第1の状態に遷移する。
<ワイヤストリッパの動作−異常処理>
第2の状態である切断状態又は第3の状態であるスライド直前状態で、このワイヤストリッパ1が被覆電線Lの被覆材の切断時に、上側切断刃10と下側切断刃9とで被覆電線Lの被覆材を噛み込んで動作が停止してしまった場合(動作を進めることも動作を戻すこともできなくなった噛み込み場合)に、以下のような異常処理が行われる。
【0042】
このような噛み込み状態においては、図15〜図18に示すように、ストッパ7がその先端を下げてロックされている。ストッパ用ねじりばね18に抗する力を作業者が与えることでロック状態が解除される。
具体的には、作業者は、ストッパ7の後端を指で下に押し下げる。このようにすると、上側切断刃ステー2の係合部2Dにより係合されていたストッパ7のロック状態がリリースされて、レバー用引張りばね16によりレバー5が初期状態に戻り、噛み込みが解消する。
【0043】
以上のようにして、本実施の形態に係るワイヤストリッパ1によると、小さい握り幅で被覆電線の被覆材の切断及び剥離を行うことができる。作業途中で噛み込みが発生しても容易に復帰させることができる。この結果、容易かつ確実並びに綺麗に被覆電線を剥離して芯線を剥き出すことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの全体斜視図である。
【図2】図1の矢示X方向から見たワイヤストリッパの側面図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図1の矢示Y方向から見たワイヤストリッパの正面図である。
【図5】図1の矢示Z方向から見たワイヤストリッパの上面図である。
【図6】被覆電線の斜視図である。
【図7】被覆電線の側面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの主要構成部分が展開された斜視図である。
【図9】図8の上側切断刃ステー及び上側切断刃が展開された斜視図である。
【図10】図8の上側剥離刃ステー及び上側剥離刃が展開された斜視図である。
【図11】図8の下側剥離刃ステー及び下側剥離刃を示す斜視図である。
【図12】図8の下側切断刃ステーとなる本体及び下側切断刃が展開された斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第1の状態(上側切断刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第1の状態(上側剥離刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第2の状態(上側切断刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第2の状態(上側剥離刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図17】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第3の状態(上側切断刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第3の状態(上側剥離刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第4の状態(上側切断刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【図20】本発明の実施の形態に係るワイヤストリッパの第4の状態(上側剥離刃及び下側剥離刃)を示す上面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ワイヤストリッパ
2 上側切断刃ステー
3 上側剥離刃ステー
4 下側剥離刃ステー
5 レバー
6 リンク
7 ストッパ
8 支持部材
9 下側切断刃
10 上側切断刃
11 上側剥離刃
12 ガイド
13A、13B ヒンジピン
14 ラチェットピン
15 ガイドピン
16 レバー用引張りばね
17 リンク用引張りばね
18 ストッパ用ねじりばね
19 ストッパ用圧縮ばね
20 リンク用ねじりばね
21 本体(握り手)
22 下側剥離刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆電線の被覆材を切断する一対の切断刃と、
前記切断された被覆材を剥離する一対の剥離刃と、
前記一対の切断刃及び前記一対の剥離刃を前記被覆電線に対して初期状態である離隔状態から当接状態にそれぞれ移動させるとともに、前記一対の剥離刃が前記被覆電線に当接した当接状態で前記一対の剥離刃を前記被覆電線の軸芯方向に移動させるためのリンク機構と、
前記リンク機構を作動させるために所定の握り幅で作動可能なレバーと、
前記レバーの握りを前記初期状態側に復帰させても、前記当接状態を維持するための保持機構とを含む、被覆電線のストリッパ。
【請求項2】
前記一対の切断刃は、一対の切断刃ステーにより把持され、
前記一対の切断刃ステーのうちの少なくとも一方の切断刃ステーは、前記保持機構により前記切断刃ステーの位置が保持される係合部を含み、
前記保持機構は、前記当接状態で弾性力により前記係合部に係合するロック機構を含む、請求項1に記載の被覆電線のストリッパ。
【請求項3】
前記一対の剥離刃は、一対の剥離刃ステーにより把持され、
前記一対の剥離刃ステーのうちの少なくとも一方の剥離刃ステーは、前記軸芯方向への移動が完了するまでに前記ロック機構を前記弾性力に抗して開放する突起部を含む、請求項2に記載の被覆電線のストリッパ。
【請求項4】
前記保持機構は、前記当接状態で弾性力により前記係合部に係合したロック機構を、作業者が前記弾性力に抗して解除するための解除機構をさらに含む、請求項2または3に記載の被覆電線のストリッパ。
【請求項5】
被覆電線の被覆材を切断する一対の切断刃と前記切断された被覆材を剥離する一対の剥離刃とが前記被覆電線に対して離隔した初期状態で、前記被覆電線を所定の位置にセットするステップと、
前記切断刃及び前記剥離刃を作動させるリンク機構を、レバーを握ることにより作動させて、前記一対の切断刃及び前記一対の剥離刃を前記被覆電線に対して離隔状態から当接状態に移動させるとともに、前記切断刃の位置を保持するステップと、
前記切断刃の位置が保持された状態で、前記レバーの握りを開放して、前記レバーの握りを前記初期状態側に復帰させるステップと、
前記初期状態側に復帰したレバーを握ることにより前記リンク機構を作動させて、前記切断刃の位置が保持された状態、かつ、前記一対の剥離刃が前記被覆電線に当接した状態で、前記一対の剥離刃を前記被覆電線の軸芯方向に移動させるステップとを含む、被覆電線の被覆材剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−261141(P2009−261141A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107575(P2008−107575)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000232597)株式会社ベッセル工業 (27)
【Fターム(参考)】