説明

装着ヘッド

【課題】実用性の高い装着ヘッドを提供する。
【解決手段】回路基板に電子部品を装着するために電子部品を吸着保持する装着ヘッドにおいて、負圧源に接続され、装着ヘッドの内部に形成される吸引通路62と、その吸引通路の外周面に配設されたフィルタ64と、装着ヘッドの下端面に開口し、電子部品を吸着保持するための吸引口68と、その吸引口と吸引通路とを、フィルタを介して連通する連通路66,70,72とを備え、その連通路が装着ヘッドの外周面に開口し、その開口からフィルタを視認可能に構成する。このような構成によれば、塵埃が付着したフィルタの外周面を、装着ヘッドの外部から視認することが可能となる。したがって、フィルタを装着ヘッド内部から取り出すことなく、フィルタの汚れ等をチェックすることが可能となり、装着ヘッドの実用性を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に電子部品を装着するために電子部品を吸着保持する装着ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
装着ヘッドの多くは、負圧源に接続された吸引通路と、下端面に開口し、その吸引通路に接続された吸引口とを有し、その吸引口において、負圧を利用して電子部品を吸着保持する構造とされている。このような構造の装着ヘッドには、吸引通路にフィルタが設けられているものがあり、電子部品を吸着する際に塵埃が装着ヘッド内部に吸引されることを防止している。しかしながら、吸引通路の径は比較的小さいさいため、フィルタが吸引通路の端面を覆うように配置されると、フィルタを通過するエアの流路面積が小さくなる。このため、エアの吸引量が少なくなり、吸引力が低下する虞がある。そこで、下記特許文献に記載された装着ヘッドでは、吸引通路に設けられるフィルタの形状を筒状とし、フィルタを通過するエアの流路面積を大きくすることで、吸引力の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−170379号公報
【特許文献2】特許第3660459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載の装着ヘッドでは、フィルタを通過するエアの流路面積を大きくし、吸引力の低下を防止することが可能となっている。一方で、フィルタは、塵埃を装着ヘッド内への吸引前に自身に付着させて取り除くものであり、付着した塵埃によって目詰まりが生じるため、定期的にフィルタの汚れ等をチェックする必要がある。しかしながら、上記特許文献に記載の装着ヘッドでは、装着ヘッドの内部に形成された吸引通路に筒状のフィルタが配設されることから、フィルタも装着ヘッドの内部に収容されることになる。このため、フィルタの汚れ等をチェックするためには、装着ヘッドの作動を停止させ、フィルタを装着ヘッド内部から取り出す必要があり、非常に不便である。このように、吸引通路の外周面にフィルタが配設された装着ヘッドは、種々の問題を抱え、実用性を改善する余地が多分に残されたものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い装着ヘッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の装着ヘッドは、回路基板に電子部品を装着するために電子部品を吸着保持する装着ヘッドであって、負圧源に接続され、当該装着ヘッドの内部に形成される吸引通路と、その吸引通路の外周面に配設されたフィルタと、当該装着ヘッドの下端面に開口し、電子部品を吸着保持するための吸引口と、その吸引口と前記吸引通路とを、前記フィルタを介して連通する連通路と、その連通路の少なくとも一部が当該装着ヘッドの外周面に開口する開口部とを備え、その開口部から前記フィルタを視認可能に構成される。
【0006】
また、請求項2に記載の装着ヘッドは、請求項1に記載の装着ヘッドにおいて、前記連通路が、前記吸引口から連続し、径方向に延びる第1連通部と、その第1連通部から連続し、前記吸引通路の径方向の外側に位置し、その吸引通路の外周面に、前記フィルタを介して連続する第2連通部とに区分けされ、前記開口部が、前記第2連通部の少なくとも一部が当該装着ヘッドの外周面に開口するように構成される。
【0007】
また、請求項3に記載の装着ヘッドは、請求項1または請求項2に記載の装着ヘッドにおいて、さらに、前記開口部に嵌め込まれた透過板を備え、その透過板を介して、前記フィルタを視認可能に構成される。
【0008】
また、請求項4に記載の装着ヘッドは、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の装着ヘッドにおいて、(a)ヘッド本体と、(b)下端面に前記吸引口が形成されるとともに、前記ヘッド本体に着脱可能に装着される吸着ノズルとを備え、前記吸引通路が、前記ヘッド本体に形成された本体側吸引通路と、前記吸着ノズルに形成されたノズル側吸引通路とに区分けされ、前記フィルタが、前記ノズル側吸引通路の外周面に配設されるように構成される。
【0009】
また、請求項5に記載の装着ヘッドは、請求項4に記載の装着ヘッドにおいて、前記吸着ノズルが、(A)ノズル本体と、(B)そのノズル本体の先端部に着脱可能に取り付けられ、前記吸引口が形成されたノズル先端部とを有するように構成される。
【0010】
また、請求項6に記載の装着ヘッドは、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の装着ヘッドにおいて、前記フィルタが、筒状とされるように構成される。
【0011】
また、請求項7に記載の装着ヘッドは、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の装着ヘッドにおいて、前記開口部が、当該装着ヘッドの外周面の全周に渡って開口するように構成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の装着ヘッドでは、フィルタが、吸引通路の外周面に配設されており、電子部品を吸着保持するための吸引口と吸引通路とが、フィルタを介して連通されている。これにより、吸引口から吸引された塵埃は、フィルタの外周面に付着する。そして、請求項1に記載の装着ヘッドでは、塵埃が付着したフィルタの外周面を、開口部を介して、装着ヘッドの外部から視認することが可能となっている。したがって、請求項1に記載の装着ヘッドによれば、フィルタを装着ヘッド内部から取り出すことなく、フィルタの汚れ等をチェックすることが可能となり、実用性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の装着ヘッドでは、吸引口から吸引通路へ吸引されるエアが、吸引口から装着ヘッドの外周面に向かって流れ、さらに、吸引通路と装着ヘッドの外周面との間に向かって流れる。そして、吸引通路の外周面に配設されたフィルタを介して、吸引通路に流れる。このように、吸引されたエアを流すことで、エアと共に吸引された塵埃を、フィルタの外周面に付着させることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の装着ヘッドでは、透過板を介して、フィルタの外周面を装着ヘッドの外部から視認することが可能となっており、フィルタの汚れ等を好適にチェックすることが可能となっている。
【0015】
また、請求項4に記載の装着ヘッドは、ヘッド本体と、そのヘッド本体に着脱可能に装着される吸着ノズルとから構成されており、その吸着ノズルにフィルタが設けられている。これにより、フィルタを交換する必要が生じた場合には、吸着ノズルを交換すればよく、フィルタの交換作業に要する時間を短くすることが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の装着ヘッドでは、吸着ノズルが、ノズル本体と、吸引口が形成されたノズル先端部とから構成されており、ノズル先端部はノズル本体に着脱可能とされている。これにより、ノズル先端部を交換することが可能となり、吸引口の径、形状等を変更することが可能となる。
【0017】
また、請求項6に記載の装着ヘッドでは、フィルタが筒状とされている。これにより、フィルタを通過するエアの流路面積を大きくすることが可能となり、吸引力の低下を好適に防止することが可能となる。
【0018】
また、請求項7に記載の装着ヘッドでは、開口部が装着ヘッドの外周面に円環状に開口している。これにより、フィルタをいずれの方向からもチェックすることが可能となり、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例である装着ヘッドが装着された対基板作業装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す対基板作業装置の備える装着ヘッドを、上部カバーを取り外した状態で示す斜視図である。
【図3】図2に示す装着ヘッドの有する吸着ノズルを示す断面図である。
【図4】図3に示すAA線における断面図である。
【図5】図3に示すBB線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0021】
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0022】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に回路部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する供給装置32とを備えている。
【0023】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40,42を備えており、それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図示省略)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送するとともに、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0024】
移動装置30は、XYロボット型の移動装置であり、装着ヘッド28を保持するスライダ46をX方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)と、Y方向にスライドさせる電磁モータ(図示省略)とを備えており、それら2つの電磁モータの作動によって、装着ヘッド28を任意の位置に移動させることが可能となっている。
【0025】
供給装置32は、フレーム部20の前方側の端部に配設されており、フィーダ型の供給装置とされている。フィーダ型の供給装置32は、回路部品がテーピング化されたテープ化部品から電子部品を装着ヘッド28への供給位置に順次供給する構造とされており、テープ化部品が巻回された複数のテープフィーダ48と、それら複数のテープフィーダ48の各々を送り出す複数の送り装置(図示省略)とを有している。
【0026】
装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、図2に示すように、電子部品を吸着する吸着ノズル50を先端部に保持する装着ユニット52を複数備えている。各装着ユニット52は、概して軸状をなし、ユニット保持体56の外周部に、等角度ピッチで、軸方向が垂直となる状態に保持されている。その装着ユニット52の先端部に保持される吸着ノズル50は、ユニット保持体56の下面から下方に向かって延び出しており、エアの吸引、つまり、負圧により電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。
【0027】
詳しく言えば、図3に示すように、装着ユニット52の内部には、正負圧供給装置(図示省略)に接続されたユニット側エア通路58が形成されており、吸着ノズル50には、ノズル側エア通路60が形成されている。それらユニット側エア通路58とノズル側エア通路60とは、吸着ノズル50が装着ユニット52の先端部に保持された状態で、連通しており、エアの吸引通路62を形成している。ノズル側エア通路60の外周面には、円筒形状のフィルタ64が配設されており、そのフィルタ64の外周面を覆うように、円環形状の円環エア通路66が形成されている。また、吸着ノズル50の下端面には、吸引口68が形成されており、その吸引口68の上端部から径方向に延びるように複数の径方向エア通路(図では、2個示されている)70が形成されている。そして、その径方向エア通路70の径方向外側の端部から、円環エア通路66に向かって、軸線方向に延びるように複数の貫通孔(図では、2個示されている)72が形成されており、それら複数の貫通孔72によって、円環エア通路66と径方向エア通路70とが接続されている。このような構造により、吸着ノズル50の吸引口68から、エアを吸引することが可能となり、吸着ノズル50は、吸引口68において電子部品を吸着保持することが可能とされている。
【0028】
ここで、吸着ノズル50の具体的な構造、特に、エアを吸引するための通路に関して、詳しく説明する。吸着ノズル50は、装着ユニット52の下端部に着脱可能に装着される上部ノズルハウジング76と、その上部ノズルハウジング76の下端部に固定的に嵌入される下部ノズルハウジング78と、その下部ノズルハウジング78の先端部に着脱可能に装着されるノズル先端部80とから構成されている。
【0029】
上部ノズルハウジング76は、円筒部82とその円筒部82の外周面に形成されたフランジ部84とからなるアウタハウジング86と、そのアウタハウジング86の円筒部82内に固定的に嵌入される円筒形状のインナハウジング88とを有している。アウタハウジング86のフランジ部84は、円筒部82の軸線方向での略中央部に形成されており、円筒部82のフランジ部84より上方の部分が、装着ユニット52の下端面に形成された取付穴90に嵌入されている。その取付穴90は、ユニット側エア通路58に連続しており、円筒部82が取付穴90に嵌入されることで、インナハウジング88の内周面によって区画されるノズル側エア通路60がユニット側エア通路58に接続される。そして、円筒部82が取付穴90に嵌入された状態で、フランジ部84の上面が装着ユニット52の下端面に取り付けられることで、上部ノズルハウジング76が、装着ユニット52の下端面に装着される。なお、上部ノズルハウジング76は、ワンタッチで着脱可能な機構を介して、装着ユニット52に装着されるが、この機構は公知であることから、図示及び説明を省略する。
【0030】
また、下部ノズルハウジング78は、概して円筒形状とされており、外周面が段付形状とされている。下部ノズルハウジング78は、上端部に位置する第1外径部92と、その第1外径部92に連続し、第1外径部92の外径より大きな外径の第2外径部94と、その第2外径部94に連続し、第2外径部94の外径より小さな外径の第3外径部96とに区分けされ、第1外径部92が、上部ノズルハウジング76のインナハウジング88内に固定的に嵌入されている。また、第3外径部96には、図3のAA線における断面図である図4に示すように、径方向に貫通する4個の貫通孔98が等ピッチで形成されており、その第3外径部96の外周面を覆うように上記フィルタ64が配設されている。
【0031】
また、ノズル先端部80は、図3に示すように、下部ノズルハウジング78の第3外径部96の内周面に締結されるボルト部100と、上記吸引口68が形成されたノズル部102とを有している。ボルト部100は、外周面に雄ネジが形成されたネジ部104と、そのネジ部104の端部に形成された頭部106と、その頭部106の外周縁からネジ部104とは反対側に延び出す立設部108とから構成されており、ネジ部104の雄ネジが、第3外径部96の内周面に形成された雌ネジに螺合されている。これにより、ボルト部100、つまり、ノズル先端部80は、下部ノズルハウジング78に着脱可能とされている。
【0032】
ボルト部100の頭部106の端面には、図3のBB線における断面図である図5に示すように、中央部に円形状の有底穴110が形成されており、その有底穴110の中央部に六角穴112が形成されている。さらに、有底穴110の外周縁から放射状に延びるように8本の溝114が等ピッチで形成されており、それら各溝114の径方向外側の端部に頭部106を軸方向に貫通する上記貫通孔72が形成されている。
【0033】
また、ノズル部102は、図3に示すように、円環状とされており、それの内周部が吸引口68とされている。ノズル部102の外径は、ボルト部100の立設部108の内径と同程度とされており、ノズル部102が立設部108に固定的に嵌合されている。ノズル部102が立設部108に嵌合された状態で、ノズル部102の上端面は、ボルト部100の頭部106の端面に接触しており、頭部106に形成された溝114とノズル部102の上端面とによって、上記径方向エア通路70が区画されている。
【0034】
また、下部ノズルハウジング78の第2外径部94の外径と、ボルト部100の頭部106の外径とは同じとされており、それら第2外径部94および頭部106の外周面に円筒形状のアクリルカバー118が取り付けられている。つまり、円環エア通路66を覆うように円筒形状のアクリルカバー118が配設されており、そのアクリルカバー118とフィルタ64とによって、円環エア通路66が区画されている。
【0035】
上述したような構造により、装着ヘッド28では、負圧源としての正負圧供給装置に接続されたユニット側エア通路58内が負圧とされ、ノズル部102に形成された吸引口68からエアが吸引されると、その吸引されたエアが、径方向エア通路70および貫通孔72を介して、円環エア通路66に流入する。そして、円環エア通路66から、フィルタ64を介して、ノズル側エア通路60に流れ、ユニット側エア通路58に流入する。なお、ノズル側エア通路60は、下部ノズルハウジング78の第3外径部96の外周面とフィルタ64の内周面との間の空間と、4個の貫通孔98と、下部ノズルハウジング78の内部空間と、上部ノズルハウジング76のインナハウジング88の内部空間とによって構成されている。
【0036】
本装着機16では、上述した構成によって、搬送装置26に保持された回路基板に対して、装着ヘッド28によって電子部品の装着作業を行うことが可能とされている。具体的に説明すれば、まず、搬送装置26によって、回路基板を装着作業位置まで搬送するとともに、その位置において回路基板を固定的に保持する。次に、装着すべき電子部品を、供給装置32のテープフィーダ48によって供給し、その電子部品の供給位置に、装着ヘッド28を移動装置30によって移動させる。続いて、装着ヘッド28の吸着ノズル50の先端部に形成された吸引口68からエアを吸引することで、その吸引口68に電子部品が吸着保持される。電子部品を保持した状態の装着ヘッド28を、移動装置30によって回路基板上の装着位置に移動させ、装着ヘッド28の吸着ノズル50による吸着保持を解除することで、回路基板上に電子部品が装着される。
【0037】
上述したように、本装着機16は、供給装置32によって供給された電子部品を、吸着ノズル50の吸引口68からエアを吸引することで、その吸引口68において電子部品を吸着保持し、その吸着保持された電子部品を回路基板上に装着するように構成されている。このように構成された装着機において、吸引口68からエアが吸引される際に、塵埃が装着ヘッド28内に吸引される虞がある。このため、本装着機16では、ノズル側エア通路60の外周面にフィルタ64が配設されている。このフィルタ64は、円筒形状とされており、フィルタ64を通過するエアの流路面積は比較的大きく、エアの吸引量も多い。このため、フィルタ64として、比較的細かいメッシュサイズのものを採用することが可能となり、細かい塵埃を取り除くことが可能となっている。
【0038】
また、円筒形状のフィルタ64を囲う円環エア通路66は、吸着ノズル50の外周面に開口しており、その開口に円筒形状のアクリルカバー118が嵌め込まれている。このため、そのアクリルカバー118を介して、吸着ノズル50の外部から、さらに言えば、吸着ノズル50が装着された装着ヘッド28の外部から、フィルタ64を視認することが可能とされている。これにより、フィルタ64の汚れ等を容易にチェックすることが可能となっている。
【0039】
また、フィルタ64は、装着ヘッド28に着脱可能とされた吸着ノズル50内に収容されている。このため、フィルタ64を交換する必要が生じた場合には、吸着ノズル50を交換すればよく、フィルタ64の交換作業に要する時間を短くすることが可能となる。さらに、下部ノズルハウジング78に着脱可能とされたボルト部100のネジ部104は、フィルタ64の内側に位置する下部ノズルハウジング78の第3外径部96の内周面に着脱可能に取り付けられる。これにより、エアの流通を阻害することなく、ボルト部100、つまり、ノズル先端部80を下部ノズルハウジング78に取り付けることが可能となる。また、ノズル先端部80とは異なるノズル先端部、例えば、吸引口の径,形状,ノズル部102の素材等の異なるノズル先端部を、下部ノズルハウジング78に取り付けることが可能となる。
【0040】
ちなみに、上記実施例において、装着ヘッド28は、装着ヘッドの一例であり、装着ヘッド28を構成する装着ユニット52,吸着ノズル50は、ヘッド本体,吸着ノズルの一例である。その吸着ノズル50の上部ノズルハウジング76と下部ノズルハウジング78とによって構成されるものは、ノズル本体の一例であり、ノズル先端部80は、ノズル先端部の一例である。また、ユニット側エア通路58,ノズル側エア通路60は、本体側吸引通路,ノズル側吸引通路の一例であり、ユニット側エア通路58とノズル側エア通路60とによって構成される吸引通路62は、吸引通路の一例である。また、径方向エア通路70は、第1連通部の一例であり、円環エア通路66と貫通孔72とによって構成される通路は、第2連通部の一例である。そして、それら径方向エア通路70と円環エア通路66と貫通孔72とによって構成される通路は、連通路の一例である。さらに、フィルタ64,吸引口68は、フィルタ,吸引口の一例であり、アクリルカバー118は、透過板の一例である。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、円筒形状のフィルタ64を囲う円環エア通路66は、吸着ノズル50の外周面の全周に渡って開口しているが、円環エア通路66としての連通路が吸着ノズル50の外周面の一部に開口するように構成してもよい。また、上記実施例では、吸引通路62の外周面に配設されるフィルタ64は円筒形状とされているが、吸引通路62の外周面の一部を覆う形状のフィルタを採用してもよい。ただし、フィルタによって覆われていない吸引通路62の外周面は、当然、下部ノズルハウジング78の内周面に覆われる必要がある。
【0042】
また、上記実施例では、透過板としてアクリルカバー118が採用されていたが、レンズ状の透明な部材を採用することも可能である。このようなレンズ状の部材を採用すれば、細かなフィルタの汚れもチェックすることが可能となる。
【0043】
さらに言えば、上記実施例では、目視にてフィルタの汚れをチェックするように構成されていたが、撮像装置を利用して、フィルタの汚れをチェックし、フィルタの交換時期を判定するように構成してもよい。詳しく言えば、装着機16に、アクリルカバー118を介してフィルタ64を撮像可能な撮像装置と、その撮像装置によって撮像された画像データを処理可能な画像処理装置とを設け、画像処理装置によって処理された画像データに基づいて、フィルタ64の交換時期を判定するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0044】
28:装着ヘッド 50:吸着ノズル 52:装着ユニット(ヘッド本体) 58:ユニット側エア通路(本体側吸引通路) 60:ノズル側エア通路(ノズル側吸引通路) 62:吸引通路 64:フィルタ 66:円環エア通路(連通路)(第2連通部) 68:吸引口 70:径方向エア通路(連通路)(第1連通部) 72:貫通孔(連通路)(第2連通部) 76:上部ノズルハウジング(ノズル本体) 78:下部ノズルハウジング(ノズル本体) 80:ノズル先端部 118:アクリルカバー(透過板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に電子部品を装着するために電子部品を吸着保持する装着ヘッドにおいて、
負圧源に接続され、当該装着ヘッドの内部に形成される吸引通路と、
その吸引通路の外周面に配設されたフィルタと、
当該装着ヘッドの下端面に開口し、電子部品を吸着保持するための吸引口と、
その吸引口と前記吸引通路とを、前記フィルタを介して連通する連通路と、
その連通路の少なくとも一部が当該装着ヘッドの外周面に開口する開口部と
を備え、その開口部から前記フィルタを視認可能な装着ヘッド。
【請求項2】
前記連通路が、
前記吸引口から連続し、径方向に延びる第1連通部と、
その第1連通部から連続し、前記吸引通路の径方向の外側に位置し、その吸引通路の外周面に、前記フィルタを介して連続する第2連通部とに区分けされ、
前記開口部が、
前記第2連通部の少なくとも一部が当該装着ヘッドの外周面に開口したものである請求項1に記載の装着ヘッド。
【請求項3】
当該装着ヘッドが、
さらに、前記開口部に嵌め込まれた透過板を備え、その透過板を介して、前記フィルタを視認可能な請求項1または請求項2に記載の装着ヘッド。
【請求項4】
当該装着ヘッドが、
(a)ヘッド本体と、(b)下端面に前記吸引口が形成されるとともに、前記ヘッド本体に着脱可能に装着される吸着ノズルとを備え、
前記吸引通路が、
前記ヘッド本体に形成された本体側吸引通路と、前記吸着ノズルに形成されたノズル側吸引通路とに区分けされ、
前記フィルタが、前記ノズル側吸引通路の外周面に配設された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の装着ヘッド。
【請求項5】
前記吸着ノズルが、
(A)ノズル本体と、(B)そのノズル本体の先端部に着脱可能に取り付けられ、前記吸引口が形成されたノズル先端部とを有する請求項4に記載の装着ヘッド。
【請求項6】
前記フィルタが、筒状とされた請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の装着ヘッド。
【請求項7】
前記開口部が、当該装着ヘッドの外周面の全周に渡って開口する請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の装着ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78829(P2013−78829A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220276(P2011−220276)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】