説明

装着式動作補助装置及びその制御方法

【課題】回動装置を使用する際の消費エネルギを節減するとともに、回動装置やこれを駆動する駆動装置の磨耗や損傷を抑制する。
【解決手段】装着式動作補助装置1は、複数の回動軸(12a、12c、14a)を介して連結された複数の部材(体幹部材11、上腕部材13、前腕部材15)を有し、回動軸を中心とした一の部材に対する他の部材の相対的な回動運動を実現させる動作補助装着具10を備えるとともに、動作補助装着具10による複数の回動運動のうち少なくとも何れか一つを抑制する回動抑制手段(ロック機構30、回動抑制部62)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着式動作補助装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、筋力が失われた身体障害者や筋力が衰えた高齢者等(以下、「被補助者」という)の動作を補助ないし代行するためのパワーアシスト装置の開発が進められている。近年においては、被補助者に装着可能であって被補助者の意思に基づいて必要な動力を随時発生させることが可能な装着式動作補助装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
装着式動作補助装置は、被補助者の腕や脚に装着される動作補助装着具を備えている。動作補助装着具としては、例えば、肩付近に装着される体幹部材と、少なくとも一つの回動軸を有する肩関節機構を介して体幹部材に連結され装着者の上腕部に装着される上腕部材と、少なくとも一つの回動軸を有する肘関節機構を介して上腕部材に連結され装着者の前腕部に装着される前腕部材と、を有するものが提案されている。かかる動作補助装着具は、体幹部材に対する上腕部材の回動と、上腕部材に対する前腕部材の回動と、を実現させる回動装置であり、関節機構に設けられた駆動装置(アクチュエータ)で発生させた動力により回動運動を実現させている。動作補助装着具が装着された者(装着者)は駆動装置の動力を利用して比較的大きい重量の荷物を保持することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−253650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記したような従来の動作補助装着具を利用して比較的大きい重量の荷物を保持するには、所要の電力を駆動装置(アクチュエータ)に供給し続ける必要がある。従って、保持時間が長時間にわたるような場合には、電力が大量に消費されてしまうだけでなく、動作補助装着具を駆動する駆動装置が疲労(磨耗・破損)して耐用期間が短縮されてしまうおそれがあった。
【0006】
また、前記したような従来の動作補助装着具を利用して荷物を保持している状態において、何らかの要因(例えば電力供給の遮断)により、動作補助装着具を駆動する駆動装置の駆動特性の調整が不能となった場合には、荷物及び部材を保持するための力が低減ないし消失してしまう。かかる事態が発生すると、重力によって部材が急激に回動し、これにより動作補助装着具が磨耗したり損傷したりするおそれがあった。
【0007】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、動作補助装着具等の回動装置を使用する際の消費エネルギを節減するとともに、回動装置やこれを駆動する駆動装置の磨耗・損傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有する。
〔1〕本発明は、動力で作動する装着式動作補助装置であって、装着者に装着される上腕部材及び前腕部材を有し、前記上腕部材及び前記前腕部材が肘関節機構により屈曲方向および伸展方向を画定するように前記肘関節機構の回動軸で動作可能に連結された動作補助装着具と、前記上腕部材及び前記前腕部材を取り外し可能に装着するベルトと、生体信号センサと、前記動作補助装着具に設けられ、前記肘関節機構まわりに前記上腕部材及び前記前腕部材を駆動するための力を印加するように、前記動作補助装着具の前記上腕部材及び前記前腕部材に連結され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく駆動トルクを発生するアクチュエータと、前記肘関節機構の前記回動軸を中心とした回動運動を抑制する回動抑制手段と、を備えることを特徴とする。
〔2〕本発明は、前記生体信号センサからの前記生体信号に基づいて、前記アクチュエータへ出力信号を生成するための制御装置を、さらに備えたことを特徴とする。
〔3〕本発明の前記制御装置は、前記肘関節機構のまわりの前記上腕部材及び前記前腕部材の移動の範囲を制限するための制御処理を実行する回動抑制部を有することを特徴とする。
〔4〕本発明の前記回動抑制手段は、前記肘関節機構のまわりの前記上腕部材及び前記前腕部材の移動の範囲を制限するための、前記アクチュエータに連結されたロック機構を有することを特徴とする。
〔5〕本発明の前記制御装置は、前記肘関節機構による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記ロック機構を作動させる回動抑制部を有することを特徴とする。
〔6〕本発明の前記上腕部材及び前記前腕部材は、装着者の腕に取り外し可能に装着され、前記肘関節機構の回動軸は、当該装着者の肘に近接することを特徴とする。
〔7〕本発明の前記動作補助装着具は、当該装着者の腕および手に取り外し可能に装着されることを特徴とする。
〔8〕本発明の前記前腕部材は、当該装着者の手に取り外し可能に装着される手首部材を有することを特徴とする。
〔9〕本発明は、動力で作動する装着式動作補助装置であって、装着者に装着される上腕部材及び前腕部材を有し、前記上腕部材及び前記前腕部材が肘関節機構により屈曲方向および伸展方向を画定するように前記肘関節機構の回動軸で動作可能に連結された動作補助装着具と、前記上腕部材及び前記前腕部材を取り外し可能に装着するベルトと、生体信号センサと、前記動作補助装着具に設けられ、前記肘関節機構まわりに前記上腕部材及び前記前腕部材を駆動するための力を印加するように、前記動作補助装着具の前記上腕部材及び前記前腕部材に連結され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく駆動トルクを発生するアクチュエータと、前記肘関節機構の前記回動軸を中心とした回動運動を抑制する回動抑制手段と、前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記生体信号センサから出力された生体信号を入力され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく制御信号を前記アクチュエータに出力することを特徴とする。
〔10〕本発明の前記アクチュエータは、入力される電力により駆動トルクを発生するモータであることを特徴とする。
〔11〕本発明は、〔1〕乃至〔10〕の何れか1項に記載の装着式動作補助装置の制御方法であって、装着者が関節を動かす際に、生体信号センサにより検出された生体信号を読み込むステップと、前記装着者が前記関節を動作すると共に、前記生体信号に基づいてアクチュエータに制御信号を出力するステップと、を有することを特徴とする。
〔12〕本発明は、前記関節による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記アクチュエータに連結されたロック機構を作動させるステップを、さらに有することを特徴とする。
〔13〕本発明は、前記関節による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記アクチュエータに連結されたロック機構を作動させると共に、前記アクチュエータを停止させるステップを、さらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、動作補助装着具等の回動装置を使用する際の消費エネルギを節減することが可能となるとともに、回動装置やこれを駆動する駆動装置の磨耗・損傷を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る装着式動作補助装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装着式動作補助装置の動作補助装着具を装着した装着者を斜め前方から見た場合の斜視図である。
【図3】図1に示す装着式動作補助装置の動作補助装着具を装着した装着者を斜め後方から見た場合の斜視図である。
【図4】図1に示す装着式動作補助装置のロック機構の構造を示すものであり、(a)はロック機構が設けられた動作補助装着具の肘部付近を示す斜視図、(b)はロック機構の断面図である。
【図5】図1に示す装着式動作補助装置の回動抑制制御に係る方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】同上。
【図7】同上。
【図8】図1に示す装着式動作補助装置を採用した場合の節電効果を示すグラフである。
【図9】図1に示す装着式動作補助装置の他の回動抑制手段の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態においては、装着者の意思に基づいて必要な動力を随時発生させる「装着式動作補助装置」に本発明を適用した例について説明することとする。
【0012】
まず、図1〜図4を用いて、本実施形態に係る装着式動作補助装置1の構成について説明する。
【0013】
装着式動作補助装置1は、装着者Pが筋力を発生させる際に生じる生体信号を検出し、この検出された生体信号に基づいて所要の動力を発生させるものであり、ロボットスーツ又はパワードスーツと称されている。装着式動作補助装置1は、装着者Pに装着される動作補助装着具10、動作補助装着具10を駆動するアクチュエータ20、動作補助装着具10の回動運動を抑制するロック機構30、動作補助装着具10を構成する部材の回動角度を検出する角度センサ40、動作補助装着具10を構成する部材に作用する荷重を検出する荷重センサ50、装着者Pからの生体信号を検出する生体信号センサ60、装着式動作補助装置1の各種機器を統合制御する制御装置70、各種電子機器に電力を供給する図示されていないバッテリ、等を備えている。すなわち、動作補助装着具10は、本発明における回動調整装置の一実施形態として機能する。
【0014】
動作補助装着具10は、図2及び図3に示すように、装着者Pの胴体に装着される体幹部材11、肩関節機構12を介して体幹部材11に連結され装着者Pの上腕部に装着される上腕部材13、肘関節機構14を介して上腕部材13に連結され装着者Pの前腕部に装着される前腕部材15、等を有しており、体幹部材11に対する上腕部材13の回動運動及び上腕部材13に対する前腕部材15の回動運動を実現させるものである。すなわち、動作補助装着具10は、本発明における回動装置の一実施形態である。
【0015】
体幹部材11は、図2及び図3に示すように、装着者Pの胴体を肩から腰にかけて覆う部材である。本実施形態における体幹部材11は、上腕部材13等を介して肩部に伝達された荷重を下半身方向へと逃がすことを可能とする強度と、装着者Pが胴体を左右に捻ったり前後に曲げたりすることを可能とする柔軟性と、の双方を兼ね備えた構造を有している。
【0016】
肩関節機構12は、図2及び図3に示すように、鉛直方向に延在する回動軸12aを介して体幹部材11に対して回動自在に連結されたL字部材12bと、水平方向に延在する回動軸12cを介してL字部材12bに対して回動自在に連結されたI字部材12dと、を有している。肩関節機構12は、相互に直交する2つの回動軸12a、12cを中心とした2つの回動運動(鉛直方向の回動軸12aを中心とした体幹部材11に対するL字部材12bの回動運動、及び、水平方向の回動軸12cを中心としたL字部材12bに対するI字部材12dの回動運動)を実現させる。また、肩関節機構12には、後に詳述する肩部駆動モータ21が設けられている。
【0017】
上腕部材13は、図2及び図3に示すように、肩関節機構12のI字部材12dに固定され装着者Pの上腕部の肩付近の部分に装着される第1上腕U字部材13aと、装着者Pの上腕部の肘付近の部分に装着される第2上腕U字部材13bと、第1上腕U字部材13aと第2上腕U字部材13bとを連結する上腕棒状部材13cと、を有する。また、図2及び図3には示されていないが、第1上腕U字部材13a及び第2上腕U字部材13bを装着者Pの上腕部に装着するためのベルトが設けられている。
【0018】
上腕棒状部材13cは、複数の筒状部材を嵌合させることにより、伸縮と捻り(一の筒状部材に対する他の筒状部材の回動)との双方が可能となるように構成されている。このため、上腕棒状部材13cの一端に取り付けられた第1上腕U字部材13aに対して、上腕棒状部材13cの他端に取り付けられた第2上腕U字部材13bの捻りを実現させることができ、装着者Pの上腕部の捻り動作に追随することが可能となる。
【0019】
前腕部材15は、図2及び図3に示すように、上腕部材13の第2上腕U字部材13bに回動自在に連結され装着者Pの前腕部の肘付近の部分に装着される前腕U字部材15aと、装着者Pの手首付近に装着される手首部材15bと、前腕U字部材15aと手首部材15bとを連結する前腕棒状部材15cと、を有する。また、図2及び図3には示されていないが、前腕U字部材15a及び手首部材15bを装着者Pの前腕部に装着するためのベルトが設けられている。
【0020】
前腕棒状部材15cは、複数の筒状部材を嵌合させることにより、伸縮と捻り(一の筒状部材に対する他の筒状部材の回動)との双方が可能となるように構成されている。このため、前腕棒状部材15cの一端に取り付けられた前腕U字部材15aに対して、前腕棒状部材15cの他端に取り付けられた手首部材15bの捻りを実現させることができ、装着者Pの前腕部の捻り動作に追随することが可能となる。また、手首部材15bは、図3に示すように、装着者Pの手の甲を一部覆うような構成を有している。このため、装着者Pは大重量の荷物を保持することができるようになっている。
【0021】
肘関節機構14は、図2及び図3に示すように、上腕部材13の第2上腕U字部材13bと、前腕部材15の第1前腕部材15aと、を回動自在に連結する回動軸14aを有しており、この回動軸14aを中心とした上腕部材13に対する前腕部材15の回動運動を実現させる。また、肘関節機構14には、後に詳述する肘部駆動モータ22が設けられている。
【0022】
アクチュエータ20は、図2及び図3に示すように、肩関節機構12に設けられた肩部駆動モータ21と、肘関節機構14に設けられた肘部駆動モータ22と、を有している。これら肩部駆動モータ21及び肘部駆動モータ22は、図示されていないバッテリから供給される電力によって駆動し、制御装置70からの制御信号により駆動トルクを発生させるサーボモータである。
【0023】
肩部駆動モータ21は、肩関節機構12のL字部材12bに固定されており、水平方向に延在する回動軸12cを所要の駆動トルクで回動させる。肩部駆動モータ21によって回動軸12cを回動させることにより、回動軸12cに固定されたI字部材12d(及びこれに連結された上腕部材13)が、L字部材12a(及びこれに連結された体幹部材11)に対して回動運動を行う。かかる肩部駆動モータ21の駆動トルクにより、装着者Pが上腕部を胴体に対して上下動させる際の運動(水平方向に延在する仮想回動軸を中心とした上腕部の回動運動)がアシストされることとなる。なお、肩関節機構12の鉛直方向に延在する回動軸12bを中心としたL字部材12aの回動が許容されているため、装着者Pが上腕部を胴体周りに回す運動(鉛直方向に延在する仮想回動軸を中心とした上腕部の回動運動)を許容することができる。
【0024】
肘部駆動モータ22は、上腕部材13の第2上腕U字部材13bに固定されており、肘関節機構14の回動軸14aを所要の駆動トルクで回動させる。部肘駆動モータ22によって回動軸14aを回動させることにより、回動軸14aに固定された前腕U字部材15a(及びこれを含む前腕部材15)が、第2上腕U字部材13b(及びこれを含む上腕部材13)に対して回動運動を行う。かかる肘部駆動モータ22の駆動トルクにより、装着者Pが前腕部を上腕部に対して回動させる運動(肘の曲げ伸ばし運動)がアシストされることとなる。
【0025】
ロック機構30は、図1に示すように、制御装置70からの制御信号を受けて作動することにより動作補助装着具10の上腕部材13に対する前腕部材15の回動運動を抑制(阻止)するものである。ロック機構30は、図4に示すように、肘部駆動モータ22の外側に配置され、回動軸14aに固定されて回動軸14aとともに回動する回動板31と、肘部駆動モータ22の内部から回動板31に向けて突出するように構成されたピン32と、を有している。回動板31は、本発明における回動部材の一実施形態である。
【0026】
回動板31の内側面(肘部駆動モータ22側の面)には、図4に示すように、回動板31の外周に沿って複数の凹部31aが形成されている。肘部駆動モータ22で駆動トルクを発生させて回動軸14aを回動させると、回動軸14aに固定された回動板31と、回動板31に形成された凹部31aと、が回動する。ピン32は、図4(b)に示すように、肘部駆動モータ22の内部に配置されたピン駆動部32aにより駆動される。ピン駆動部32aは、制御装置70からの制御信号を受けて作動してピン32を肘部駆動モータ22の内部から外部へと突出させるように駆動するものである。ピン32は、通常は肘部駆動モータ22の内部に収納されているが、制御装置70からの制御信号を受けてピン駆動部32aが作動すると、ピン駆動部32aの駆動により肘部駆動モータ22の内側から外側へと突出して、回動板31に形成された凹部31aに挿入される。かかる動作により回動板31の回動が阻止され、これに伴って回動軸14a及びこれに連結された前腕部材15の回動が阻止される。
【0027】
角度センサ40は、肩部駆動モータ21及び肘部駆動モータ22に設けられており、体幹部材11(L字部材12b)に対する上腕部材13(I字部材12d)の回動角度と、上腕部材13に対する前腕部材15の回動角度と、を各々検出するものである。角度センサ40で検出された回動角度に係る情報は、動作補助装着具10の回動抑制制御に用いられる。
【0028】
荷重センサ50は、動作補助装着具10を構成する部材(体幹部材11、上腕部材13、前腕部材15等)の適所に設けられており、これら部材に作用する荷重を検出するものである。荷重センサ50で検出された荷重に係る情報は、動作補助装着具10の回動抑制制御に用いられる。
【0029】
生体信号センサ60は、装着者Pからの生体信号を検出するものである。生体信号としては、装着者Pの意思を表す神経伝達信号や、装着者Pが筋力を発生させる際に骨格筋で生成される微弱電位(筋電位信号)のほか、装着者Pの体温、脈拍、脳波、心電位、発汗等に係る各種信号を採用することができる。本実施形態においては、粘着シールを用いて生体信号センサ60を装着者Pの上腕部及び前腕部に貼り付けることにより、上腕部及び前腕部の動きに伴う筋電位信号を検出するようにしている。生体信号センサ60で検出された生体信号は、アクチュエータ20の制御や動作補助装着具10の回動抑制制御に用いられる。
【0030】
制御装置70は、装着式動作補助装置1の各種機器を統合制御するものであり、各種演算を行うCPUや各種制御プログラムや制御データが格納されたメモリ等から構成されている。制御装置70は、図1に示すように、生体信号センサ60で検出された生体信号に基づいてアクチュエータ20の制御を行うことにより所要の補助動力を発生させる動力制御部71と、回動角度情報や荷重情報等に基づいてロック機構30を作動させる回動抑制部72と、を有している。
【0031】
動力制御部71は、生体信号センサ60で検出された生体信号(神経伝達信号や筋電位信号)に基づいて、装着者Pの意思に従った動力をアクチュエータ20(肩部駆動モータ21及び肘部駆動モータ22)で発生させるための制御信号を生成する。本実施形態における動力制御部71は、生体信号センサ60で検出された生体信号のレベルに比例する電流を生成し、この電流の値に比例する駆動トルクを発生させるための制御信号を生成する。これにより、装着者Pの動作意思に遅れることなくアクチュエータ20を駆動することができ、装着者Pは自分の意思に従った動作を違和感なく行うことが可能となる。
【0032】
回動抑制部72は、(1)角度センサ40で検出された回動角度が所定の閾値を超え、かつ、生体信号センサ60で検出された生体信号が所定レベルを超えた場合、(2)角度センサ40で検出された回動角度が所定の閾値を超え、かつ、荷重センサ50で検出された荷重が所定の閾値を超えた場合、(3)荷重センサ50で検出された荷重が所定の閾値を超え、かつ、生体信号センサ60で検出された生体信号が所定レベルを超えた場合、(4)何らかの外的要因(例えば電力供給の遮断)によりアクチュエータ20の駆動特性の調整が不能となった場合、の何れかの場合において、ロック機構30を作動させるための制御信号を生成する。
【0033】
本実施形態においては、ロック機構を作動させるための回動角度の閾値(上腕部材13に対する前腕部材15の回動角度の閾値)を「θc」に設定するとともに、荷重の閾値(前腕部材15に作用する荷重の閾値)を「Nc」に設定している。また、本実施形態においては、ロック機構30を作動させるための生体信号のレベル(所定レベル)を、所定の上限筋力に対応するレベルに設定している。回動抑制部72は、前記した(1)〜(4)の何れかの条件を充足する場合に、ロック機構30のピン駆動部32aを作動させて、上腕部材13に対する前腕部材15の回動を阻止する。
【0034】
回動抑制部72と、ロック機構30と、により本発明における回動抑制手段の一実施形態が構成されることとなる。また、ロック機構30を作動させる際に検出された所定レベルを超える生体信号は、本発明における所定の指示信号に相当する。なお、回動抑制部72は、ロック機構30を作動させると同時に、肘部駆動モータ22への通電を一時的に停止させて駆動トルクを消失させる。これにより、後述する節電効果を得ることが可能となる。
【0035】
次に、図5〜図7のフローチャートを用いて、本実施形態に係る装着式動作補助装置1の回動抑制制御に係る方法(動作補助装着具10の制御方法)について説明する。
【0036】
装着者Pが重い荷物を持ち上げようとすると、制御装置70の動力制御部71は、生体信号センサ60で検出された生体信号に基づいて、装着者Pの意思に従った動力をアクチュエータ20で発生させるための制御信号を生成する。アクチュエータ20は、かかる制御信号を受けて装着者Pの動作意思に遅れることなく駆動されるため、装着者Pは自分の意思に従った荷揚げ動作(前腕部を曲げる動作)を違和感なく行うことが可能となる。このような荷揚げ動作を実施する際に、制御装置70の回動抑制部72は、以下のような回動抑制制御を実現させる。
【0037】
<角度生体信号参照型制御>
まず、図5のフローチャートを用いて、前腕部材15の回動角度と、生体信号と、を参照した回動抑制制御について説明する。制御装置70の回動抑制部72は、角度センサ40を介して動作補助装着具10の上腕部材13に対する前腕部材15の回動角度を検出する(角度検出工程:S1)。また、回動抑制部72は、生体信号センサ60を介して装着者Pからの生体信号を検出する(生体信号検出工程:S2)。そして、回動抑制部72は、角度検出工程S1で検出された回動角度が所定の閾値(θc)を超え、かつ、生体信号検出工程S2で検出された生体信号が所定レベルを超えるか否かを判定する(判定工程:S3)。
回動抑制部72は、判定工程S3において、回動角度が所定の閾値を超えるとともに生体信号が所定レベルを超えると判定した場合に、ロック機構30を作動させるための制御信号を生成し、この制御信号の出力によりピン駆動部32aを作動させピン32を駆動して前腕部材15の回動運動を阻止する(回動抑制工程:S4)。また、回動抑制部72は、回動抑制工程S4において肘部駆動モータ22への通電を一時的に停止させて駆動トルクを消失させる。一方、回動抑制部72は、判定工程S3において回動角度が所定の閾値以下であると判定した場合、又は、回動角度が所定の閾値を超えていても生体信号が所定レベル以下であると判定した場合には、前腕部材15の回動運動を抑制することなく制御を終了する。
【0038】
<角度荷重参照型制御>
次いで、図6のフローチャートを用いて、前腕部材15の回動角度と、前腕部材15に作用する荷重と、を参照した回動抑制制御について説明する。制御装置70の回動抑制部72は、角度センサ40を介して動作補助装着具10の上腕部材13に対する前腕部材15の回動角度を検出する(角度検出工程:S11)。また、回動抑制部72は、荷重センサ50を介して前腕部材15に作用する荷重を検出する(荷重検出工程:S12)。そして、回動抑制部72は、角度検出工程S11で検出された回動角度が所定の閾値(θc)を超え、かつ、荷重検出工程S12で検出された荷重が所定の閾値(Nc)を超えるか否かを判定する(判定工程:S13)。
回動抑制部72は、判定工程S13において、回動角度が所定の閾値を超えるとともに荷重が所定の閾値を超えると判定した場合に、ロック機構30を作動させるための制御信号を生成し、この制御信号の出力によりピン駆動部32aを作動させピン32を駆動して前腕部材15の回動運動を阻止する(回動抑制工程:S14)。また、回動抑制部72は、回動抑制工程S14において肘部駆動モータ22への通電を一時的に停止させて駆動トルクを消失させる。一方、回動抑制部72は、判定工程S13において回動角度が所定の閾値以下であると判定した場合、又は、回動角度が所定の閾値を超えていても荷重が所定の閾値以下であると判定した場合には、前腕部材15の回動運動を抑制することなく制御を終了する。
【0039】
<荷重生体信号参照型制御>
続いて、図7のフローチャートを用いて、前腕部材15に作用する荷重と、生体信号と、を参照した回動抑制制御について説明する。制御装置70の回動抑制部72は、荷重センサ40を介して動作補助装着具10の前腕部材15に作用する荷重を検出する(荷重検出工程:S21)。また、回動抑制部72は、生体信号センサ60を介して装着者Pからの生体信号を検出する(生体信号検出工程:S22)。そして、回動抑制部72は、荷重検出工程S21で検出された荷重が所定の閾値(Nc)を超え、かつ、生体信号検出工程S22で検出された生体信号が所定レベルを超えるか否かを判定する(判定工程:S23)。
回動抑制部72は、判定工程S23において、荷重が所定の閾値を超えるとともに生体信号が所定レベルを超えると判定した場合に、ロック機構30を作動させるための制御信号を生成し、この制御信号の出力によりピン駆動部32aを作動させピン32を駆動して前腕部材15の回動運動を阻止する(回動抑制工程:S24)。また、回動抑制部72は、回動抑制工程S24において肘部駆動モータ22への通電を一時的に停止させて駆動トルクを消失させる。一方、回動抑制部72は、判定工程S23において荷重が所定の閾値以下であると判定した場合、又は、荷重が所定の閾値を超えていても生体信号が所定レベル以下であると判定した場合には、前腕部材15の回動運動を抑制することなく制御を終了する。
【0040】
以上説明した実施形態に係る装着式動作補助装置1においては、動作補助装着具10を作動させながら重い荷物を保持する場合において、特定の回動抑制条件を満たす場合(例えば上腕部材13に対する前腕部材15の角度が所定の閾値を超え、かつ、前腕部材15に作用する荷重が所定の閾値を超えた場合等)に、制御装置70の回動抑制部72がロック機構30を作動させて前腕部材15の回動運動を阻止することができる。従って、上腕部材13と前腕部材15とをあたかも一つの部材のように機能させることができるので、前腕部材15を駆動するための動力が不要となる。従って、部材の駆動に必要な電力の消費量を節減することが可能となるとともに、動作補助装着具10を駆動するアクチュエータ20の磨耗や損傷を抑制して耐用期間を延ばすことが可能となる。
【0041】
また、以上説明した実施形態に係る装着式動作補助装置1においては、何らかの外的要因によりアクチュエータ20の駆動特性の調整が不能となった場合に、制御装置70の回動抑制部72がロック機構30を作動させて、動作補助装着具10の各部材の回動を抑制することができる。従って、アクチュエータ20の駆動力が突然低減ないし消失した場合においても、重力によって部材が急激に回動することを抑制することができるので、動作補助装着具10の磨耗や損傷を低減させることが可能となる。
【0042】
ここで、図8のグラフを用いて、本実施形態に係る装着式動作補助装置1を採用した場合の節電効果について説明する。
【0043】
図8に示すように、時刻T0から動作補助装着具を作動させて荷物の保持を開始し、荷物を保持しながら前腕部材を上腕部材に対して回動させ、回動角度が所定の閾値に達した時刻T1において回動を停止させる、という一連の動作を想定する。かかる動作を、ロック機構を有しない従来の装着式動作補助装置を用いて実施すると、回動停止後(時刻T1後)においても荷物を保持するために必要な駆動トルクを発生させ続ける必要があるため、図8に点線で示すように、回動停止後においても多大な電力が消費される。これに対し、本実施形態に係る装着式動作補助装置1を用いると、回動停止後においてはロック機構30により前腕部材15が上腕部材13に固定されるとともに、肘部駆動モータ22への電力供給が停止されるため、図8に実線で示すように、回動停止後においては消費電力が著しく低減されることとなる。
【0044】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、以上の実施形態においては、装着者Pからの生体信号を参照して回動運動を抑制した例を示したが、回動抑制の条件はこれに限られるものではなく、装着者や介護者等(他の操作者)が操作可能な操作部(例えばスイッチやボタン)を設け、その操作部を装着者や他の操作者が操作することにより生成された操作信号が検出された場合に回動運動を阻止するような構成を採用することもできる。かかる場合における操作信号は、本発明における特定の指示信号に相当する。
【0045】
また、以上の実施形態においては、2つの条件(例えば、回動角度が所定の閾値を超え、かつ、装着者Pからの生体信号が所定レベルを超えること)が満たされた場合に回動運動を抑制した例を示したが、これらの条件の何れか一方が満たされた場合に回動運動を抑制するように制御方法を変更することもできる。また、何らかの外的要因により動作補助装着具に対して急激な外力が作用した場合に回動運動を阻止するような構成を採用してもよい。
【0046】
また、以上の実施形態においては、肘関節機構14にロック機構30を設けることにより、上腕部材13に対する前腕部材15の回動運動を抑制した例を示したが、肩関節機構12に同様のロック機構を設けることもできる。このように肩関節機構12にロック機構を設けると、体幹部材11に対するL字部材12bの回動運動を抑制したり、L字部材12bに対するI字部材12d(及びこれに連結された上腕部材13)の回動を抑制したりすることが可能となる。
【0047】
また、以上の実施形態においては、ロック機構を有する回動抑制手段を採用した例を示したが、ロック機構の構成は本実施形態における図4に示したような構成に限られるものではない。また、回動抑制手段の構成も本実施形態における構成に限られるものではない。例えば、図9に示すように、回動板31の外周に複数の歯部(モータ22と反対側に設けられた歯部31A及びモータ22側に設けられた歯部31B)を設けるともに、これら歯部31A、31Bに対して各々近接するように軸32A、32Bを中心に回動自在に当接部材33A、33Bを配置し、歯部31A、31Bに各々当接部材33A、33Bを断続的に当接させることにより、回動板31の回動を抑制する回動抑制機構を採用することもできる。
【0048】
前記した回動抑制機構を採用した場合において、制御装置70の回動抑制部72は、特定の回動抑制条件が満たされた場合に、当接部材33A、33Bを各々歯部31A、31Bに対して押し付けるような付勢力を作用させるような制御を行うことができる。これにより、回動板31の図9のR1方向における回動運動が、歯部31Aと当接部材33Aとの断続的な当接により抑制される一方、回動板31の図9のR2方向における回動運動が、歯部31Bと当接部材33Bとの断続的な当接により抑制されることとなる。かかる回動抑制機構における歯部31A、31Bは、本発明における凸部である。また、前記した回動抑制機構と、回動抑制部72と、により本発明における回動抑制手段の一実施形態が構成されることとなる。
【0049】
また、以上の実施形態においては、ロック機構を有する回動抑制手段を採用した例を示したが、制御装置60の回動抑制部62からの制御信号を受けて、肘関節機構14の回動軸14aの回動を抑制するための制動力を発生させる摩擦式制動装置(ディスク式制動装置、ドラム式制動装置、バンド式制動装置等)をロック機構30に代えて採用することもできる。かかる摩擦式制動装置を有する回動抑制手段を採用した場合においても、上腕部材13に対する前腕部材15の回動運動を摩擦力により抑制することができるので、前腕部材15の駆動に必要な電力の消費量を節減することが可能となる。
【0050】
また、外部からの物理的作用に起因して粘性が変化する機能性流体(例えば、外部から電場を与えることに起因して粘性が変化するER流体や、外部から磁場を与えることに起因して粘性が変化するMR流体)の摩擦力により回動を抑制するための制動力を発生させる摩擦式制動装置を採用してもよい。かかる機能性流体の摩擦力を利用した摩擦式制動装置を採用すると、何らかの要因によりアクチュエータの駆動特性の調整が不能となった場合においても、荷物及び部材を保持するための力が急激に消失し重力によって部材が急激に回動することを防ぐことができる(緩衝作用)。
【0051】
また、以上の実施形態においては、人体の腕に装着される動作補助装着具(回動装置)に本発明を適用した例を示したが、人体の脚に装着される動作補助装着具(例えば、装着者の腰部に装着される腰部材と、少なくとも一つの回動軸を有する股関節機構を介して腰部材に連結され装着者の腿部に装着される腿部材と、少なくとも一つの回動軸を有する膝関節機構を介して腿部材に連結され装着者の脛部に装着される脛部材と、を有するもの)に本発明を適用して回動抑制を行うこともできる。かかる場合には、股関節機構や膝関節機構にロック機構等を設け、特定の生体信号が検出された場合等に制御装置がロック機構等を作動させることにより、腰部材に対する腿部材の回動運動を抑制したり、腿部材に対する脛部材の回動運動を抑制したりすることができる。かかる場合においては、制御装置及びロック機構等により本発明における回動抑制手段が構成される。
【0052】
また、以上の実施形態においては、人体に装着される動作補助装着具(回動装置)に本発明を適用した例を示したが、複数の回動運動を行う他の回動装置に本発明を適用することができる。例えば、ロボット用体幹部材と、少なくとも一つの回動軸を有するロボット用肩関節機構を介してロボット用体幹部材に連結されたロボット用上腕部材と、少なくとも一つの回動軸を有するロボット用肘関節機構を介してロボット用上腕部材に連結されたロボット用前腕部材と、を有するロボットの上半身構造(回動装置)に本発明を適用して回動抑制を行うこともできる。かかる場合には、ロボット用肩関節機構やロボット用肘関節機構にロック機構等を設け、特定の指示信号が検出された場合等に制御装置がロック機構等を作動させることにより、ロボット用体幹部材に対するロボット用上腕部材の回動運動を抑制したり、ロボット用上腕部材に対するロボット用前腕部材の回動運動を抑制したりすることができる。かかる場合においては、制御装置及びロック機構等により本発明における回動抑制手段が構成される。
【符号の説明】
【0053】
1…装着式動作補助装置(回動調整装置)
10…動作補助装着具(回動装置)
11…体幹部材
12…肩関節機構
12c・12a…回動軸
13…上腕部材
14…肘関節機構
14a…回動軸
15…前腕部材
30…ロック機構(回動抑制手段の一部)
31…回動板(回動部材)
31a…凹部
31A・31B…歯部(凸部)
32…ピン
33A・33B…当接部材
72…回動抑制部(回動抑制手段の一部)
P…装着者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力で作動する装着式動作補助装置であって、
装着者に装着される上腕部材及び前腕部材を有し、前記上腕部材及び前記前腕部材が肘関節機構により屈曲方向および伸展方向を画定するように前記肘関節機構の回動軸で動作可能に連結された動作補助装着具と、
前記上腕部材及び前記前腕部材を取り外し可能に装着するベルトと、
生体信号センサと、
前記動作補助装着具に設けられ、前記肘関節機構まわりに前記上腕部材及び前記前腕部材を駆動するための力を印加するように、前記動作補助装着具の前記上腕部材及び前記前腕部材に連結され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく駆動トルクを発生するアクチュエータと、
前記肘関節機構の前記回動軸を中心とした回動運動を抑制する回動抑制手段と、
を備えることを特徴とする装着式動作補助装置。
【請求項2】
前記生体信号センサからの前記生体信号に基づいて、前記アクチュエータへ出力信号を生成するための制御装置を、さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の装着式動作補助装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記肘関節機構のまわりの前記上腕部材及び前記前腕部材の移動の範囲を制限するための制御処理を実行する回動抑制部を有することを特徴とする請求項2に記載の装着式動作補助装置。
【請求項4】
前記回動抑制手段は、前記肘関節機構のまわりの前記上腕部材及び前記前腕部材の移動の範囲を制限するための、前記アクチュエータに連結されたロック機構を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記肘関節機構による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記ロック機構を作動させる回動抑制部を有することを特徴とする請求項4に記載の装着式動作補助装置。
【請求項6】
前記上腕部材及び前記前腕部材は、装着者の腕に取り外し可能に装着され、前記肘関節機構の回動軸は、当該装着者の肘に近接することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項7】
前記動作補助装着具は、当該装着者の腕および手に取り外し可能に装着されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項8】
前記前腕部材は、当該装着者の手に取り外し可能に装着される手首部材を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項9】
動力で作動する装着式動作補助装置であって、
装着者に装着される上腕部材及び前腕部材を有し、前記上腕部材及び前記前腕部材が肘関節機構により屈曲方向および伸展方向を画定するように前記肘関節機構の回動軸で動作可能に連結された動作補助装着具と、
前記上腕部材及び前記前腕部材を取り外し可能に装着するベルトと、
生体信号センサと、
前記動作補助装着具に設けられ、前記肘関節機構まわりに前記上腕部材及び前記前腕部材を駆動するための力を印加するように、前記動作補助装着具の前記上腕部材及び前記前腕部材に連結され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく駆動トルクを発生するアクチュエータと、
前記肘関節機構の前記回動軸を中心とした回動運動を抑制する回動抑制手段と、
前記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記生体信号センサから出力された生体信号を入力され、前記生体信号センサからの生体信号に基づく制御信号を前記アクチュエータに出力することを特徴とする装着式動作補助装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、入力される電力により駆動トルクを発生するモータであることを特徴とする請求項1、2、9の何れかに記載の装着式動作補助装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の装着式動作補助装置の制御方法であって、
装着者が関節を動かす際に、生体信号センサにより検出された生体信号を読み込むステップと、
前記装着者が前記関節を動作すると共に、前記生体信号に基づいてアクチュエータに制御信号を出力するステップと、
を有することを特徴とする装着式動作補助装置の制御方法。
【請求項12】
前記関節による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記アクチュエータに連結されたロック機構を作動させるステップを、さらに有することを特徴とする請求項11に記載の装着式動作補助装置の制御方法。
【請求項13】
前記関節による回動角度が所定値を超えた場合、且つ前記生体信号センサにより検出された生体信号が所定値を超えた場合、前記アクチュエータに連結されたロック機構を作動させると共に、前記アクチュエータを停止させるステップを、さらに有することを特徴とする請求項11に記載の装着式動作補助装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−66123(P2012−66123A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−286137(P2011−286137)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2010−137125(P2010−137125)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】