説明

装飾用植物マット、植物額および植物用額縁

【課題】 実際に生きた植物を植えてある植物マットを立てて長期間使用することができると同時に、室内の臭気を長期間消臭することができる装飾用植物マットおよび植物額を提供する。
【解決手段】 生きている植物の根が絡み合った下記吸水性樹脂のゲル層と、消臭性物質および/または芳香性物質からなる装飾用植物マット、植物額、生きている植物を飾るための植物用額縁および額縁内に収められてなる該植物マットを立てて使用する使用方法である。
吸水性樹脂: 吸水性樹脂1重量部を25℃のイオン交換水100重量部に吸水させた時の吸水体の電気伝導率が0〜2.0mS/cmであり、且つ25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1000倍である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾用植物マット、植物用額および植物用額縁に関する。さらに詳しくは消臭効果を有する装飾用植物マット、植物額および生きている植物を飾るための植物用額縁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装飾用の生きた植物としては鉢植えの植物が用いられている。植物は室内の雰囲気を和らげ、居住者に潤いを与えるものである。
このような装飾用の植物は通常室内に置かれるが、室内に嫌な臭気がある場合にも、植物の香りだけではこの臭気を消したりマスキングすることができなかった。室内の臭気を消すには消臭剤を室内に置く必要があるが、消臭剤を室内に置くのは装飾上好ましくない。装飾上問題ないものとして土を入れた植木鉢に消臭剤が外部から見えないようにして組み合わせるものがある(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−220026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に生きた植物を用いる場合、土を用いるため立てかけることができない。植木鉢は置くだけであり絵画や写真のように壁に掛けたり、写真立てに立てかけたりして鑑賞することはできない。土を使用しないで従来の保水シートを用いると短期間で植物が枯れるという問題がある。絵画や写真のように立てて鑑賞できる生きた植物のマットのようなものが望まれていた。また、立てて観賞できる植物マットで室内の種々の嫌な臭気を消すことができるものも望まれていた。
本発明の目的は、実際に生きた植物を植えてある植物マットを立てて長期間使用することができると同時に、室内の臭気を長期間消臭することができる装飾用植物マット、植物額、および生きている植物を飾るための植物用額縁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、特定の吸水性樹脂のゲル層と植物の根を絡ませておくと、植物マットは立てておいても長期間植物が枯れることがなく、また消臭性物質などをゲル層に吸収させておくと長期間消臭効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、各請求項の発明について説明する。
【0006】
本発明は、生きている植物の根が絡み合った下記吸水性樹脂のゲル層と、消臭性物質および/または芳香性物質からなる装飾用植物マット(以下、単に植物マットということがある)である。
吸水性樹脂: 吸水性樹脂1重量部を25℃のイオン交換水100重量部に吸水させた時の吸水体の電気伝導率が0〜2.0mS/cmであり、且つ25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1000倍である。
さらに本発明は、前記植物マットのゲル層が吸水シートのゲル層であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記植物マットが額縁内に収められてなることを特徴とする。
また、本発明は、上記の植物マットを立てて使用する植物マットの使用方法である。
また、本発明は、上記の植物マットを収めるための植物用額縁であって、枠と、前記枠の裏面に取り付けられた裏板とからなり、前記裏板表面上に敷かれる前記ゲル層を任意に備えたことを特徴とする植物用額縁である。
さらに本発明は、上記植物用額縁の裏板の周縁に段差が突出して設けられることを特徴とする。
さらに本発明は、上記植物用額縁の裏板の周縁以外の中央にも段差が突出して設けられることを特徴とする。
また、本発明は、上記植物用額縁に植物マットが収められてなる植物額である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装飾用植物マットおよび該植物マットが収められてなる植物額は、立てておいても植物が長期間枯れることがなく、壁掛けなどのように立てて鑑賞できる。また、ゲル層に消臭性物質および/または芳香性物質を含むので室内の嫌な臭いを長期間消臭する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明における実施の一形態の吸水シートの断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態の装飾用植物マットおよびそれを収めた植物額の斜視図である。
【図3】図2中の植物用額縁の分解斜視図である。
【図4】図3に示した植物用額縁の一部品である裏板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態につき、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0010】
本発明に用いられる吸水性樹脂は、吸水性樹脂1重量部を25℃のイオン交換水100重量部に吸水させた時の吸水体の電気伝導率が0〜2.0mS/cmであり、且つ25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1000倍であれば特に限定はない。電気伝導率が2.0mS/cmを超えると植物の根が吸水することができず、枯れてしまう。好ましくは、0〜1.8mS/cmであり、より好ましくは0〜1.6mS/cmである。この吸水性樹脂は、植物の根が吸水することを阻害しないので、根とゲル層が絡み合って一体化することができ、また、立てて使用しても長期間枯れることがない植物マットとすることができる。上記数値範囲は、特開2007−319029号公報の記載に準じている。
【0011】
電気伝導率は下記の方法で測定した。
〔電気伝導率の測定法〕
25℃のイオン交換水100重量部に吸水性樹脂1重量部を入れ、25℃で8時間、恒温槽中で放置して、前記吸水性樹脂を膨潤させ吸水体を作成する。吸水体の温度が25℃であることを温度計で確認し、比伝導度測定装置の電極を吸水体に差し込み値を読み取る。なお、吸水性樹脂の吸水倍率が小さい場合には、吸水性樹脂の吸水体とイオン交換水が分離して二相になるので、撹拌して均一にした後、比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。撹拌・均一化してもすぐに二相に再び分離する場合は、撹拌下に比伝導度測定装置の電極を差し込み値を測定する。
【0012】
吸水性樹脂の25℃イオン交換水に対する吸水倍率は、通常80〜1000倍、好ましくは100〜1000倍であり、より好ましくは120〜1000倍である。吸水倍率が80倍未満であると種子などの発芽、生長の培地としての保水能力が低くなり、多量に使用する必要が生じ、コストアップとなるし、水の補給が頻繁に必要になる。吸水倍率は大きい方が少量の使用で済むので好ましいが、吸水倍率が1000倍を超える吸水性樹脂は、その製造工程において重合後の含水ゲルの密着性が高くなりすぎ、製造装置内の取り扱いやその後の乾燥が非常に困難であり、製造上の問題点があり現実的でない。
吸水倍率は下記の方法で測定した。
【0013】
[イオン交換水中の吸水倍率の測定法]
ナイロン製の網袋(250メッシュ)に吸水性樹脂の試料L(g)を入れ、これを袋ごと過剰のイオン交換水に浸した。浸漬60分後に袋ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、質量M(g)を測定して下式より吸水倍率を求めた。
なお、網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の質量N(g)をブランクとして差し引いた。
イオン交換水の吸水倍率=(M−N)/L
【0014】
本発明の吸水性樹脂としては、ノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)単独からなる重合体(X)、アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(C)単独からなる重合体(Y)、およびノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)とアニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)を構成単位とする共重合体(Z)が挙げられる。(X)、(Y)、(Z)のみで使用することも可能であり、(X)、(Y)、(Z)を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの内、(Y)または(Z)のアニオン性の重合体からなる吸水性樹脂が特に植物の根が水を吸収するのを阻害しないので、植物が枯れない。また、植物マットを立てて使用しても長期間枯れることがない植物マットとすることができるので好ましい。
【0015】
本発明において、重合体(X)の構成単位であるノニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(A)としては、水酸基含有ラジカル重合性水溶性単量体[アルキル基の炭素数が2〜3個のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートなど]、アミド基含有ラジカル重合性水溶性単量体[(メタ)アクリルアミドな、N−ビニルアセトアミドなど]、3級アミノ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]、エポキシ基含有ラジカル重合性水溶性単量体[グリシジル(メタ)アクリレートなど]、およびその他ラジカル重合性水溶性単量体(4−ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなど)が挙げられる。これらの内、好ましいものとしては、重合性が良好である(メタ)アクリルアミド及び/又はアルキル基の炭素数が2〜3のヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートである。
【0016】
本発明に使用するアニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を有するラジカル重合性水溶性単量体[(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸など]及び/又はそれらを加水分解することにより水溶性となる単量体(酢酸ビニルなど);またはその塩が挙げられる。特に好ましくは(メタ)アクリル酸およびその塩である。
【0017】
塩としては、上記カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基を含有する水溶性単量体の塩[たとえば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アミン塩もしくはアンモニウム塩など]などが挙げられる。これらの内、好ましいものとしては、重合性が良好である(メタ)アクリル酸(塩)を挙げることができる。
【0018】
本発明において、アニオン性水溶性エチレン性不飽和単量体(B)が(メタ)アクリル酸(塩)であるとき、カルボキシル基の中和時に必要なイオンとして、また、重合体(Y)(Z)中のカルボキシル基の中和時に必要なイオンとしては、アルカリ金属イオン、周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオン及びアンモニウムイオンが挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、Na+、K+が好ましく、周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンとしては、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、B3+、Al3+等が好ましい。
【0019】
ここでアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンの合計による中和度が10当量%未満では、保水性を向上させる能力が低くなり、多量に使用する必要が生じ、50当量%を超えると電気伝導率が2.0mS/cmを超えるため植物の根の生長を阻害する。周期律表第2族又は13族に属する多価金属イオンによる中和度は、好ましくは、0〜50当量%であり、さらに好ましくは、10〜40当量%である。ここで、第2族又は13族に属する多価金属イオンによる中和度が50当量%を超えると吸水性樹脂の架橋度が高くなりすぎるため製造しにくくなる。
【0020】
本発明において、該吸水性樹脂は実質的にノニオン性、アニオン性であり、この性質を阻害しない範囲内でカチオン性重合性単量体(C)(アクリル酸トリメチルアンモニウムエチル・クロライドなど)や他のモノエチレン性不飽和単量体(D)(たとえば、スチレン、アクリル酸n−ブチルなど)を、たとえば、(A)と(B)の合計質量に対して10モル%を超えない範囲で共重合してもよい。
【0021】
本発明において、吸水前の状態での、吸水性樹脂粒子の平均粒径は、粒状物であれば、特に限定するものではないが、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは100μm〜3.5mm程度である。平均粒径が20μm以上であると、吸水時にママコ(継粉)を形成しにくくなるため保水能力の向上が阻害されない。一方、平均粒径が5mm以下であると、吸水速度が速くなり、粒子中心部まで水が浸透しやすくなるためゲル層の保水能力、根への給水能力が向上する。吸水前の乾燥状態での、吸水性樹脂の平均粒径は、「レーザー回折散乱法」(たとえば、具体的には、日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計を使用)や篩い振とう法で測定できる。
【0022】
本発明における吸水性樹脂の製造方法は、上記の重合性単量体を重合する公知の吸水性樹脂の製造法で製造できる。重合体(X)、(Y)、(Z)については、たとえば、特開平8−266895公報、特開平10−191777公報、特開2007−319029号公報に記載されている方法が適用できる。
【0023】
本発明におけるゲルとは前記吸水性樹脂粉末と水を混合してできるものである。ゲルは層になっていれば限定はなく、ゲル層はゲルのみの層でも吸水シート中の吸水性樹脂粉末が吸水してゲル層となったものでもよい。好ましくは吸水シートのゲル層である。
ゲル層における吸水性樹脂と水の割合は、吸水性樹脂の吸水倍率、植物の種類により異なるが、重量比で好ましくは1:10〜1:1000であり、より好ましくは1:20〜1:500である。
【0024】
前記吸水シートは、少なくとも片面が透水性である。少なくとも片面が透水性であると水が入り吸水性樹脂は吸水ゲル化し、また、植物の根が吸水シートに入り込んでゲル層と絡み合うことができる。好ましくは両面が透水性である。両面が透水性であると、植物の根が吸水シートを貫通して不織布や紙などの透水性基材を含む吸水シートに絡んで一体化して植物マットの形態が補強される。
【0025】
吸水シートとしては、吸水・保水基材に吸水性樹脂の粉末を固定させたもの、該基材に吸水性樹脂の粉末を散布し、他方の基材(透水性シートまたは非透水性シート)でサンドイッチ状に挟み、エンボス加工法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、融着法等の方法で吸水性樹脂を一体化したもの等が挙げられる。吸水・保水基材上での吸水性樹脂の位置は基材の全面であれ巾をもった線状であれ連続的に散布するのが好ましい。
【0026】
吸水・保水基材としては、たとえば、木材パルプなどの綿状物や、吸水性繊維などの各種繊維を抄紙、機械的接着、バインダー接着、スパンボンド法、スパンレース法などの適宜の方法でシート化したもの;これらを積層してなる積層体が挙げられる。
【0027】
上記の吸水シートの中で
好ましいものは、布(特に好ましくは不織布)、紙などの基材の片面または両面に粘着剤やバインダー樹脂を用いて吸水性樹脂粉末を固定化させたものであり、特に好ましいものは、木材パルプの綿状物、積層体やティッシュなどの紙に吸水性樹脂粉末を固定させたもの、基材でサンドイッチ状に挟んだ後、エンボス加工法、ニードルパンチ法で吸水性樹脂を一体化したもの、プラスチックフィルムの片面または両面に粘着剤やバインダー樹脂を用いて吸水性樹脂粉末を固定させたもので、たとえば、セロハンやビニールの粘着テープを用いて、粘着面に吸水性樹脂粉末を散布し圧着ロールで固定したものが挙げられる。これらが好ましい理由は、吸水性樹脂粉末の吸水による膨潤を妨げにくいため、多くの水を吸収して保水し、結果として植物の根が絡み合って一体化しやすく、植物マットを立てておいても長期間枯れることがないからである。具体的には、たとえば、紙や天然繊維で構成された布であると、植物がなじむと共に植物マットを補強できる。少なくとも片面が布製のものをニードルパンチなどで結合したものは特に植物マットが機械的に補強されるので、額縁に納められた植物マットを立てて使用することができる。
【0028】
上記に用いられる粘着剤やバインダー樹脂としては公知のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂等が使用でき、水系、溶剤系、無溶剤系のいずれでもよい。使用時にはそのまま又は水や溶剤(メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)で任意の濃度に希釈して基材に塗布することができる。塗布する方法はロールコーター、刷毛塗り等ライン塗装、現場塗装に用いられる塗装方法で行われる。
【0029】
透水性シートとしては、柔軟性があり且つ透水性のシートであって、且つ使用するまでに破れない程度の強度があれば特に形態、材質にはこだわらない。透水性基材としては水が通る孔があれば特に限定はないが、孔の大きさは好ましくは0.001〜1mm、特に好ましくは0.01〜0.5mmである。基材の厚みは好ましくは0.001〜5mm、より好ましくは0.01〜3mmである。
【0030】
透水性シートの材質としては、たとえば、綿、羊毛、絹、セルロース、パルプなどの天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポバール等及びその変性物などの合成樹脂又は繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維など及びこれらの混合素材、洋紙、和紙などの紙の素材が適用できる。好ましくは天然繊維、紙である。
ここで透水性とは、100mlの25℃のイオン交換水が100cm2の面積を通過する時間(秒)で表すと30秒以下であり、好ましくは15秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。
【0031】
形態としては、たとえば、編布、織布、不織布などの布;ポリエチレン、ポリプロピレン等のシートに微細な孔を数多く開けたものなどのメッシュフィルム;洋紙、和紙などの紙などが挙げられる。これらの中で布や紙が好ましく、ティッシュや不織布が特に好ましい。不織布については、「不織布の基礎と応用」(日本繊維機械学会発行)に詳細に記載されている。また、熱融着法で固定する場合は熱融着繊維及び/又はフィルム等の熱融着物質を含んだものを使用するが、「熱融着不織布の実態と熱融着繊維全容」(1989年4月24日発行、大阪ケミカルマーケッティングセンター社)に詳細に記載されているものが挙げられる。
【0032】
非透水性シートとしては、柔軟性があり非透水性のシートであれば制限はないが、ポリエステルフィルム、ナイロン、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの合成樹脂製フィルム;これらの積層ラミネートフィルム;アルミホイルなどの金属製フィルム、および合成樹脂製フィルムと金属フィルムとの多層ラミネートフィルムが挙げられる。柔軟性の点から合成樹脂製フィルム、および合成フィルムの積層ラミネートフィルムが好ましい。厚みは特に限定はない。
【0033】
図1は、実施の一形態の吸水シートの断面図である。(a)は透水性シート1または非透水性シート3の上に吸水性樹脂の粉末2を散布してプレスしたシートである。(b)は2枚の透水性シート1に吸水性樹脂の粉末2を挟んだ吸水シートである。(c)は吸水性樹脂の粉末2が透水性シート1と非透水性シート3とに挟まれた片面が吸水する積層シートである。(d)は(a)の吸水シートの一方にさらに非透水性シート3を重ねて構成した積層シートである。(e)は吸水性樹脂の粉末2が2枚の透水性シート1に挟まれたシートをさらに別の2枚の透水性シート1で挟んで構成された積層シートである。好ましくは(a)(b)(e)のように両面が透水性であるシートである。
吸水シートの大きさは特に限定がなく、植物マットの大きさに合わせてきめればよい。
【0034】
本発明の装飾用植物マットにおいては、消臭性物質および/または芳香性物質が含まれる。好ましいのは消臭性物質であるが、芳香性物質は臭気をマスキングして消臭できるので、単独または消臭性物質と併用して用いてもよい。消臭性物質は芳香性物質の臭気を消すこともあるが、すべての臭気を消すわけではなく、組み合わせ次第である。
本発明において用いられる消臭性物質および/または芳香性物質は特に限定はないが、室内において用いられるものが使用できる。消臭性物質および/または芳香性物質には、植物が枯れないように、植物から抽出した成分を用いるのが好ましい。
消臭性物質としては、無機系消臭性物質、有機系消臭性物質が使用できる。無機系消臭性物質としては、たとえば、無機強酸の弱塩基の塩(硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化アンモニウム、ミョウバン類など)、シリカゲル、ゼオライト、活性炭などが挙げられる。
【0035】
有機系消臭性物質としては、合成系、植物抽出系が使用できる。好ましくは植物抽出系である。合成系はシクロデキストリン(α−またはβ−シクロデキストリンまたはこれらの誘導体)などが挙げられる。植物抽出系は、植物抽出成分を使用することが好ましく、たとえば、柿、カシ、ザクロ、ハイビスカス、ツバキ、サザンカ、茶、サンショウ、オレンジ、レモン、グアヤク、山桜、ヘビ苺、月桂樹、シナモン、樟、サッサフラス、ナンテン、アケビ、ボタン、ヤナギタデ、ダイオウ、ナツメ、ナツメグ、コブシ、ホウノキ、イネ、松、ヒノキ、笹などからの抽出物などが例示される。上記茶の抽出物としては、たとえば、緑茶、発酵茶、半発酵茶からの抽出物を使用してもよい。好ましいのはポリフェノール、フラボノイド化合物である。上記の消臭性物質は一種類のみでもよいし、二種類以上を使用してもよい。
【0036】
芳香性物質としては、天然芳香性物質、合成芳香性物質が挙げられる。芳香性物質はその香気によって臭気をマスクするものである。
天然芳香性物質としては、じゃ香、霊猫香、竜挺香等の動物性香料、アビエス油、アジヨクン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ベージル油、ベルガモット油、バーチ油、ボアバローズ油、カヤブテ油、カナンガ油、カブシカム、キャラウエー油、カルダモン油、カシア油、セロリー油、シンナモン油、シトロネラ油、コニャック油、コリアンダー油、キュベブ油、クミン油、樟脳油、ジル油、エストゴラン油、ユーリカ油、フエンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、ホップ油、ジュニパーベリー油、ローレルリーフ油、レモン油、レモングラス油、ロベージ油、メース油、タイムホワイト油、カッシャ油、ビメント油、ヒノキ油、ヒバ油、フローラル油、ナツメグ油、マンダリン油、タンゼリン油、カラシ油、はっか油、燈花油、玉ねぎ油、こしょう油、オレンジ油、スターニアス油、テレピン油、ウォームウッド油、ワニラ豆エキストラクト、シトラール、シンナミックアルデヒド、チモール、オイゲノール、ローズマリー、およびセイジなどが挙げられる。
【0037】
合成系芳香性物質としては、ピネン、リモネンなどの炭化水素類、リナロール、ゲラニオール、シトロネオール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェニルエチルアルコールなどのアルコール類、アネノール、オイゲノールなどのフェノール類、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ワニリンなどのアルデヒド類、メチルアミルケトン、メチルノニルケトン、ジアセチル、アセチルプロピオニル、アセチルブチリン、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、イオノンなどのケトン類、アミルブチロラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、クマリン、シネオールなどのラクトンまたはオキシド類、メチルフォーメート、イソプロピルフォーメート、リナリールフォーメート、エチルアセテート、オクチルアセテート、メンチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、酢酸イソアミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ吉草酸ゲラニル、カプロン酸アリル、ヘプチル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ヘプチンカルボン酸メチル、ベラハゴン酸エチル、オクチンカルボン酸メチル、カプリン酸イソアシル、ラウリル酸メチル、ミリスチン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸ブチル、桂皮酸メチル、桂皮酸シンナミル、サルチン酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、エチルビルベート、エチル−α−ブチルブチレートなどのエステル類などが挙げられる。芳香性物質は一種類のみでもよいし、二種類以上を調合したものでもよい。
【0038】
本発明におけるゲル層や不織布などには、さらに肥料、植物生長ホルモン、抗菌剤、微量要素、防カビ剤などの当分野で公知の成分を含有させておいてもよい。
【0039】
消臭性物質、芳香性物質は、ゲル層や吸水シートを構成する不織布などに含ませることができるので、市販の消臭剤のように長期間消臭効果を奏する。消臭性物質、芳香性物質を含ませるのは、植物マットにする前であってもよいし、植物マットを形成してからでもよい。消臭性物質、芳香性物質が液体であればそのまま、または水やアルコールなどの媒体に溶解または分散してゲル層や不織布などに含浸または噴霧して、固体であれば粉末または媒体に溶解または分散して同様に含ませることができる。植物を植えた後、消臭性物質、芳香性物質を上から入れると不織布を通してゲル層が吸収することができる。含有量は特に限定はないが、消臭性物質、芳香性物質の種類などによって異なる。好ましくは0.1g/m〜10g/mである。
【0040】
本発明における装飾用植物マットとは、観賞用植物が生育しているマットをいい、未だ根のない種が入ったマットではない。マットの形状は円形、楕円形、四角形など特に限定しないが、四角形状のものが作業しやすく無駄がないので好ましい。大きさは装飾用として用いられる大きさであれば限定はなく、1辺が10cm以上のものが好ましい。絡み合ったとは、ゲル層内で根がよく張ったものから、ゲル層を貫通してゲル層を抱きかかえて一体化した状態のものまで含むものとし、ゲル層と根が分離できない状態のものが好ましい。
装飾用植物マットにおける植物は、鑑賞用として用いられるものが好ましく、根を張って吸水シートのゲル層や不織布の繊維に絡むような植物、たとえば、アイビー(ヘデラ類)、ハツユキカズラ、アキシラリス、モッコウバラ、ヘデラヘリックス、ヘデラカナリエンシス、テイカカズラ、コクリュウ、フイリヤブランなどが挙げられるがこれらに限定されない。同種のものでも異種のものが混じっていてもよい。装飾用としては異種のものがアレンジされたものが好ましい。
【0041】
装飾用植物マットは、ゲル層に根を絡ませて養生させた植物を所定の形状に切り取るか、または切り取ったゲル層に植物の根を絡ませて養生した後、所定の枠内に納めて用いる。好ましいのは、ゲル層を予め植物の根の下において植物の根を生長させ根とゲルを一体化したものである。ゲル層は、根の下に置く前にゲル層としてもよく、根の下に吸水性樹脂粉末を置いて散水時にゲル層としてもよい。また、ゲル層や吸水シートはさらに他の吸水基材たとえば不織布や紙の上に置いたり、これらで挟んだものを用いることができる。植物マットにおける根が絡み合うゲル層を含む基盤としては、たとえば(1)ゲル層のみのもの、(2)ゲル層に植物体育成用担体を含んだもの、(3)ゲル層の下に土や不織布や紙などの透水性基材、植物体育成用担体で補強されたもの、などが挙げられる。ゲル層は1層でなくてもよく、何層に重ねられたものも含む。室内の温度が高く乾燥しやすい条件下では植物が吸収する水分の他にマットの表面から蒸発する水分も多く、そのためマットには多くの水分が必要である。したがって、ゲル層が十分水を含むことが好ましく、ゲル層の下にさらにゲル層を重ねたものが特に好ましい。
【0042】
上記の植物体育成用担体としては、植物体育成に適する物質として一般的に使用されているものでよく、特に制限されない。植物体育成に適する物質としては、たとえば、無機物質及び/又は有機物質などの粉末、多孔体、ペレット状、繊維状及び発泡体などの水不溶性の固状のものが使用できる。無機物質としては、無機質粉体(土壌、砂、フライアッシュ、珪藻土、クレー、タルク、カオリン、ベントナイト、ドロマイト、炭酸カルシウム、アルミナなど);無機質繊維(ロックウール、ガラス繊維など);無機質多孔体[フィルトン(多孔質セラミック、くんたん)、バーミキュライト、軽石、火山灰、ゼオライト、シラスバルーンなど];無機質発泡体(パーライトなど)などが挙げられる。
【0043】
有機物質としては、有機質粉末[ヤシガラ、モミガラ、ピーナッツの殻、ミカンの殻、木くず、木粉、ヤシの実乾燥粉体、合成樹脂粉末(ポリエチレン粉末、ポリプロピレン粉末、エチレン−酢酸ビニル共重合体粉末など)など];有機質繊維[天然繊維〔セルロース系のもの(木綿、オガクズ、ワラなど)およびその他、草炭、羊毛など〕、人造繊維(レーヨン、アセテート等のセルロース系など)、合成繊維(ポリアミド、ポリエステル、アクリルなど)、パルプ〔メカニカルパルプ(丸太からの砕木パルプ、アスプルンド法砕木パルプなど)、ケミカルパルプ(亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、硫酸塩パルプ、硝酸パルプ、塩素パルプなど)、セミケミカルパルプ、再生パルプ(たとえばパルプを一旦製紙して作った紙の機械的破砕または粉砕物、または故紙の機械的破砕または粉砕物である再生故紙パルプなど)など〕、その他廃材(紙オムツの製造より出る廃材など)など];有機質多孔体(ヤシ殻活性炭など);有機質発泡体[穀物、合成樹脂又はゴムの発泡体(ポリスチレン発泡体、ポリビニルアセタール系スポンジ、ゴムスポンジ、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ウレタンフォームなど)など];有機質ペレット[ゴム及び合成樹脂のペレットなど]などが挙げられる。上記の植物体育成用担体は、単独で、あるいは必要に応じて2種類以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、無機質多孔体、無機質発泡体、有機質繊維、ゴム及び合成樹脂である。
【0044】
装飾用植物マットはそれ自体で、また、枠で植物マットの周囲を固定し、立てて装飾用とすることができる。枠の材質、形状、大きさは特に限定はないが、装飾用とするので絵画や写真の額縁のような額縁が好適に用いられる。額縁は公知の構造のものが使用できる。一例を下記図2、3に示した。植物マットの下は特に限定はないが、植物マットを支持する板状のものが好ましい。この板状のものと植物マットの間にはさらに吸水シートや土を入れてもよいが、植物マットはパンチングなどの方法で板状のものに固定するのが好ましい。このようにすると立てて使用しても植物マット自体が落ちることがなく、植物も吸水シートの不織布に絡むので落ちることがない。土があっても表面にはないので土がおちることが殆どない。このようにして作成された額縁に収められた植物マットは植物額として、立てておいて散水が不十分でも長期間枯れることがなく、絵画や写真などと同様に装飾用として鑑賞することができる。本発明の植物マットは散水不十分でも長期間枯れることがないが、高温や乾燥状態では表面から水分が蒸発しやすいので、状況をみて適宜散水するのが好ましい。ここで「立てて」とは、立て掛ける、吊下げる、斜めにするなどの状態をさし、直立以外の斜めの状態も含むものである。
【0045】
図2は、本発明の一形態の装飾するための植物マットを収めた植物額の斜視図である。ゲル層に消臭剤が含まれた植物マット5が植物用額縁6に収められ、写真立て7に立てかけられている。本発明における植物額4とは、植物用額縁6に植物マット5が収められたものである。植物マット5にはゲル層が含まれるが、ゲル層は図1の(a)〜(e)に示した吸水シートのいずれを用いてもよい。
図3は、図2中の植物用額縁6の分解斜視図である。図3に示すように、植物用額縁6は、枠8と、枠8の裏面に取り付けられる裏板9からなる。この場合、裏板9の表面上に敷かれる吸水シート10を備えてもよい。植物マット5には吸水シート10などのゲル層が含まれているが、植物用額縁6にはさらに吸水シート10を設けてもよい。吸水シートを設けることは任意である。図3では吸水性シート10が設けられている。裏板9は、平板11と、ロの字状の枠材12とからなる。吸水シート10の表面側の透水性シート1には、カッターなどで切り込み10aが入れられ、ここに植物が植えられ、植物マット5が形成される。植物は植物用額縁6の吸水シート10に直接植えてもよいし、予め植物マット5を形成した後、植物用額縁6に収めてもよい。
【0046】
図4は、図3に示した植物用額縁6の一部品である裏板9の斜視図である。図4に示すように、平板11上に枠材12を貼り付けることにより裏板9を作成している。そのため、枠材12が段差13を形成している。段差13は、裏板9の周縁に突出して設けられている。
この様な段差13を設けることにより、裏板9の平板11と吸水シート10との間には空間が形成される。これにより、吸水シート10中の吸水性樹脂が膨潤したり、植物の根が吸水シート10を貫通して伸びたりする空間を十分に確保することができる。
なお、図3および図4に示すように、枠材12の内側に縦桟14または横桟15を、設け、空間を複数に分割してもよい。縦桟14または横桟15により、裏板9の周縁以外の中央にも突出した段差が形成される。この場合、吸水シート10は縦桟14または横桟15で支持されるので、吸水シート10の中央部が緩むのを防止することができる。桟を入れる方向は縦または横に限らず、斜めでもよい。
植物額は、写真立て7に立てかけて使用してもよいが、吊金具や吊紐を設け、壁に吊るして使用いてもよい。
【0047】
本発明の装飾用植物マットおよび植物額は、屋外において使用することが可能であるが、マットの面積が大きいと表面からの水分蒸発が大きく水分補給を頻繁にしなければならず、好ましくは比較的水分の蒸発が少ない屋内である。また、本発明の装飾用植物マットおよび植物額は、消臭効果を奏するので、屋内が効果を発揮しやすい。
【実施例】
【0048】
製造例1(吸水性樹脂の粉末の製造)
1Lのビーカーに、アクリル酸230.4g(3.2mol)、架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル1.0g、及び水636gを添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリエント電気社製、商品名溶存酸素計
DO220PBで測定)とした後、重合開始剤として、35%の過酸化水素水0.023g、L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カリウム0.23gを添加した。約30分後、重合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達した。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させた。得られた重合体(重合体(Y)に該当)は、含水ゲル状を有していた。この重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH
KNEADER PNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して細断し、更に50%の水酸化カルシウム分散液61.6g、48%の水酸化ナトリウム水溶液64.0gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。その後、バンド乾燥機(透気乾燥機、井上金属株式会社製)を用いて110℃で加熱乾燥し、粉砕して吸水倍率300g/g、電気伝導率1.0mS/cm、平均粒径370μm(日機装社製、商品名:マイクロトラックFRA粒度分析計で測定)の吸水性樹脂の粉末(1)を得た。
【0049】
製造例2(吸水性樹脂の粉末の製造)
1Lのビーカーにアクリル酸115.2g(1.6mol)、50%アクリルアミド水溶液227.2g(1.6mol)、水562.5gを添加し、5℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素量を0.1ppmとした後、重合開始剤として、35%の過酸化水素水0.00016g、L−アスコルビン酸0.00008g及び4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)0.04gを添加した。約30分後重合が開始し、約5時間後に最高到達温度約75℃に到達して重合が完結して、含水ゲル状の重合物(共重合体(Z)に該当)が得られた。この重合体をニーダーで約2時間撹拌して細断した後、更に50%の水酸化カルシウム分散液17.8g、48%の水酸化ナトリウム水溶液113.3gを配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。その後、バンド乾燥機を用いて120℃で1時間乾燥し、粉砕して平均粒径500μmの未架橋の乾燥粉末を得た。この未架橋の乾燥粉末100gをステンレスのバットに3mmの厚みで入れ、160℃の循風乾燥機で120分加熱して熱架橋させて、吸水倍率350g/g、電気伝導率1.8mS/cm、平均粒径3300μmの吸水性樹脂の粉末(2)を得た。
【0050】
製造例3(吸水性樹脂の粉末の製造)
製造例1で用いた50%の水酸化カルシウム分散液61.6gと48%の水酸化ナトリウム水溶液64.0gに代えて、前述の48%の水酸化ナトリウム水溶液192.0gを用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、吸水倍率400g/g、電気伝導率3.0mS/cm、平均粒径200μmの吸水性樹脂粉末(3)(重合体(Y)に対応)を得た。
【0051】
製造例4(吸水シートの作成)
坪量200g/m2の綿不織布の上に実施例1で作成した吸水性樹脂の粉末(1)を40g/m2の割合で出来るだけ均一に散布し、さらにその上にこれに同質の綿不織布を上側に重ね合わせ、ニードルパンチで2枚の綿不織布に挟まれた吸水性樹脂の粉末を固定して吸水シート(1)を得た。これを巾30cm、長さ40cmにカッティングして試験に供した。
【0052】
製造例5〜7(吸水シートの作成)
吸水性樹脂の粉末(1)に替えて吸水性樹脂の粉末(2)、(3)および市販のノニオン系吸水性樹脂(興人社製、商標名:サーモゲル)を用いて製造例4と同様にして吸水シート(2)〜(4)を得た。これを巾30cm、長さ40cmにカッティングして試験に供した。
【0053】
実施例1、2、比較例1、2
吸水シート(1)〜(4)を20cm×30cmの大きさに切り取り、その上から散水して吸水ゲルとした後、それぞれのマットに植物としてアイビー(ヘデラ類)を数本植えて2週間養生した。この植物マットを、内径が同じ大きさの額縁に収め、植物マットの周囲および中の数点針金を用いて裏板に固定した。その後にアイビーに当たらないようにして「スーパーピュリエール」(消臭剤、パナソニック電工化研社製、植物抽出成分)2gをスポイドで3個所滴下した。このようにして植物額を作成した。
それを20℃の室内の壁に掛けておき、1週間後の植物の枯れる状況を肉眼で観察した。その結果を表1に示した。また、2m四方のアクリルボックスにこの植物マットを立てかけておき、悪臭物質ガスとしてトリメチルアミンを注入した。10時間後の悪臭物質ガスの濃度を検知管で測定した。その結果を合わせて表1に示した。
【0054】
【表1】

【0055】
上記の結果から、本発明の植物マットおよび植物額は立てかけて使用しても植物が枯れにくく、且つ消臭効果を有することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の装飾用植物マットおよび植物額は、特に屋内における装飾用として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 透水性シート
2 吸水性樹脂の粉末
3 非透水性シート
4 植物額縁
5 植物マット
6 植物用額縁
7 写真立て
8 枠
9 裏板
10 吸水シート
11 平板
12 枠材
13 段差
14 縦桟
15 横桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きている植物の根が絡み合った下記吸水性樹脂のゲル層と、消臭性物質および/または芳香性物質からなる装飾用植物マット。
吸水性樹脂: 吸水性樹脂1重量部を25℃のイオン交換水100重量部に吸水させた時の吸水体の電気伝導率が0〜2.0mS/cmであり、且つ25℃のイオン交換水の吸水倍率が80〜1000倍である
【請求項2】
前記ゲル層が吸水シートのゲル層であることを特徴とする請求項1記載の植物マット。
【請求項3】
額縁内に収められてなることを特徴とする請求項1または2記載の植物マット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物マットを立てて使用することを特徴とする植物マットの使用方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物マットを収めるための植物用額縁であって、
枠と、
前記枠の裏面に取り付けられた裏板とからなり、
前記裏板表面上に敷かれる前記ゲル層を任意に備えたことを特徴とする植物用額縁。
【請求項6】
前記裏板の周縁に段差が突出して設けられることを特徴とする請求項5に記載の植物用額縁。
【請求項7】
前記裏板の周縁以外の中央にも段差が突出して設けられることを特徴とする請求項6に記載の植物用額縁。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の植物用額縁に植物マットが収められてなる植物額。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−72283(P2011−72283A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229421(P2009−229421)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(507277103)株式会社アイ・イー・ジェー (32)
【出願人】(509274315)株式会社 京阪神グリーン (2)
【Fターム(参考)】