説明

補助トリップメータのカウント装置

【課題】補助トリップメータに走行距離を表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータに表示される走行距離との誤差を確実に抑えることができる補助トリップメータのカウント装置を提供する。
【解決手段】カウント装置31は、カウントアップ信号Sを受信した場合には、リセット時からの走行距離D1と、トリップメータ22bの走行距離DbがカウントアップB1されるまでの予想走行距離D2を求めて、この予想走行距離D2を車速で除して予想走行時間t2を求める。また、カウント装置31は、カウントアップ信号Sの受信時から走行時間の計測を開始し、この走行時間が予想走行時間t2に到達した場合には、補助トリップメータ32の走行距離Dcを1kmカウントアップC1する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、車両用の補助トリップメータに表示される走行距離をカウントアップするために用いられるカウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用の表示装置には、特許文献1に記載されているように、メータと補助メータとを備えたものがある。
【0003】
メータは、一般的に、オドメータ、トリップメータ、スピードメータ等を備えている。補助メータには、一般的にトリップメータ(補助トリップメータ)が使用されている。双方のトリップメータは、周知のように、トリップメータに表示されている走行距離をリセットする(ゼロにする)機能を有している。
【0004】
ここで、補助トリップメータがトリップメータと同じ走行距離を表示するには、メータと同様に、補助トリップメータに車速パルスを入力して走行距離を表示させる方法がある。しかし、この場合には、高価なマイコンが必要になるので製造コストがかかる。
【0005】
そこでこの問題を解決するために、1番目の方法としては、補助トリップメータがメータから車速を受信して、この車速と補助トリップメータで計測した走行時間とからトリップメータと同じ走行距離を表示する方法が挙げられる。また2番目の方法としては、双方のトリップメータの走行距離を同時にリセットして同じ走行距離を表示する方法が挙げられる。いずれの方法においても、補助トリップメータに車速パルスを入力しないので高価なマイコンは不要となり、製造コストが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2521183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、1番目の方法は、通信制約により、補助トリップメータに送られた車速とメータ側の車速との間に誤差が生じる。そのため、双方のトリップメータで表示される走行距離に誤差が生じ、走行時間が長くなるほどその誤差が広がってしまう。
【0008】
また、2番目の方法は、図6に示すように、補助トリップメータの走行距離Aが、メータから積算走行距離Da(車両の製造時からの走行距離)のカウントアップ信号Sを受信することでカウントアップされている。
【0009】
そのため、矢印Rに示すように双方のトリップメータの走行距離Db、Dcが同時にリセットされても、補助トリップメータの走行距離Dcがトリップメータの走行距離Dbよりも先にカウントアップすることがある。その結果、双方のトリップメータの走行距離Db、Dcの間に誤差Eが生じる。この誤差Eは、1番目の方法と異なり、走行時間が長くなっても広がるおそれはない。しかし、双方の走行距離Db、Dcのカウントアップのタイミングが大きくずれた場合には、誤差Eも大きくなってしまう問題があった。
【0010】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、補助トリップメータに走行距離を表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータに表示される走行距離との誤差を確実に抑えることができる補助トリップメータのカウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本件発明の請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置では、車両のトリップメータ及びその補助トリップメータに表示されている走行距離が同時にリセットされたときに前記車両の走行時間の計測を開始する走行時間計測開始手段と、前記トリップメータから当該トリップメータと同じカウント距離毎に出力される前記車両の積算走行距離のカウントアップ信号を受信したときに、それまでに計測した走行時間と前記トリップメータから受信した車速とを乗じて走行距離を求め、この走行距離を前記カウント距離から減じることにより、前記カウントアップ信号の受信以降に前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行距離を求める予想走行距離算出手段と、前記予想走行距離に基づいて、前記補助トリップメータの走行距離を、前記トリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングに合わせるように前記カウント距離でカウントアップするカウント処理手段とを備えているとともに、この最初の走行距離のカウントアップ以後は、走行距離のカウントアップ毎に前記3つの処理手段による処理を順に行って、次の走行距離のカウントアップをすることを特徴としている。
【0012】
また、本件発明の請求項2に記載の補助トリップメータのカウント装置では、請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置において、前記カウント処理手段は、前記予想走行距離を前記車速で除して前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行時間を求めるとともに、前記カウントアップ信号の受信時から走行時間の計測を開始し、この走行時間が前記予想走行時間に到達したときに前記補助トリップメータの走行距離をカウントアップすることを特徴としている。
【0013】
また、本件発明の請求項3に記載の補助トリップメータのカウント装置では、請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置において、前記カウント処理手段は、前記予想走行距離を前記車速で除して前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行時間を求める一方、前記カウントアップ信号の受信時から前記予想走行時間までの間の所定時間毎に前記車速を乗じて走行距離を求めながらこの走行距離を積算していき、この積算された走行距離が前記予想走行距離に到達したときに前記補助トリップメータの走行距離をカウントアップすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本件発明の請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置では、カウントアップ信号の受信毎に、トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行距離を求め、この予想走行距離に基づいて、補助トリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングをトリップメータのカウントアップのタイミングに合わせるようにした。
【0015】
したがって、請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置では、車速パルスが入力されることなく補助トリップメータの走行距離をカウントアップすることが可能になるので、高価なマイコンは不要となり、製造コストを抑えることができる。
【0016】
また、請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置では、従来のように積算走行距離のカウントアップ信号に連動させて補助トリップメータの走行距離をカウントアップさせていないので双方のトリップメータの走行距離に大きな誤差は生じない。さらに、補助トリップメータ側のカウントアップは、カウントアップ信号の受信毎に、トリップメータ側のカウントアップに合わせるようにしているので、走行時間が長くなっても誤差が広がるおそれはない。よって、請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置は、補助トリップメータに走行距離を表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータに表示される走行距離との誤差を確実に抑えることができる。
【0017】
さらに、本件発明の請求項2に記載の補助トリップメータのカウント装置では、予想走行距離から予想走行時間を求め、この予想走行時間に、カウントアップ信号の受信時から計測した走行時間が到達したときに、双方のトリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングを合わせるようにした。
【0018】
また、本件発明の請求項3に記載の補助トリップメータのカウント装置では、予想走行距離から予想走行時間を求め、この予想走行時間を利用してカウントアップ信号の受信時からの走行距離を積算していき、積算された走行距離が予想走行距離に到達したときに、双方のトリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングを合わせるようにした。
【0019】
したがって、請求項2や請求項3に記載の補助トリップメータのカウント装置は、双方のトリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングを簡単な方法で合わせることが可能になるので、カウントアップの処理に必要なマイコンのコストを抑えることができる。よって、請求項2や請求項3に記載の補助トリップメータのカウント装置は、製造コストをさらに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本件発明の第1の実施の形態を示す車両用表示装置のブロック図である。
【図2】同実施の形態のメータと補助トリップメータの走行距離の関係を示す図である。
【図3】同実施の形態のカウント装置による補助トリップメータの走行距離のカウントアップ処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートにおいて予想走行距離がゼロの場合のメータと補助トリップメータの走行距離の関係を示す図である。
【図5】本件発明の第2の実施の形態を示すカウント装置による補助トリップメータの走行距離のカウントアップ処理を示すフローチャートである。
【図6】従来のメータと補助トリップメータの走行距離の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0022】
第1の実施の形態:
図1は、本件発明の第1の実施の形態を示す車両用表示装置1のブロック図である。この車両用表示装置1は、メータ2と、補助メータ3とを備えている。メータ2と補助メータ3は通信線4により接続されている。
【0023】
メータ2は、制御装置21と、表示部22とを備えている。制御装置21には、車速パルスPが入力される。制御装置21は、この車速パルスPに基づいて積算走行距離や車速等を求め、これらを表示部22に出力するように構成されている。また、制御装置21は、補助メータ3に、車速Vと、積算走行距離のカウントアップ信号Sを送るように構成されている。このカウントアップ信号Sは、図2に示すように、積算走行距離Daが1km(カウント距離)カウントアップされる毎に補助メータ3に送られる。
【0024】
また、表示部22は、走行距離を表示するものである。この表示部22は、図2に示すように、オドメータ22a、トリップメータ22b、スピードメータ等(図示せず)を備えている。
【0025】
オドメータ22aは、制御装置21から出力された積算走行距離Daを表示するものである。トリップメータ22bは、積算走行距離Daを用いて通常使用時の走行距離Dbを表示するものである。このトリップメータ22bは、走行距離のリセットが可能になっており、任意の区間の走行距離Dbを表示する。また、スピードメータは、制御装置21から出力された車速Vを表示するものである。
【0026】
一方、図1に示すように、補助メータ3は、カウント装置31と、補助トリップメータ32とを備えている。
【0027】
カウント装置31は、メータ2側の制御装置21と通信線4で接続されている。カウント装置31は、この通信線4を介してメータ2の制御装置21から車速Vとカウントアップ信号Sを受信するように構成されている。さらに、カウント装置31は、カウントアップ信号Sから1km単位の積算走行距離を求め、これを補助トリップメータ32に出力するように構成されている。また、カウント装置31は、本件発明のカウント装置を構成しており、タイマーや、本件発明の各処理手段(走行時間計測開始手段、予想走行距離算出手段、カウント手段)を備えている。
【0028】
また、補助トリップメータ32は、カウント装置31から出力された1km単位の積算走行距離を用いて通常使用時の走行距離を表示するものである。この補助トリップメータ32は、走行距離のリセットが可能になっており、任意の区間の走行距離Dcを表示する。
【0029】
次に、図3のフローチャートを用いて、カウント装置31による補助トリップメータ32の走行距離Dcのカウントアップ処理を説明する。この処理は、図2の矢印Rで示すように、乗員が双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcを同時にリセットした時に開始される。
【0030】
(ステップS1)
カウント装置31は、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcがリセットされると、最初にタイマーを用いて車両の走行時間の計測を開始する。
(ステップS2)
続いて、カウント装置31は、メータ2からカウントアップ信号Sを受信したか否かを判断する。
(ステップS3)
カウント装置31は、ステップS2において、カウントアップ信号Sを受信したと判断した場合には(ステップS2の判断結果がYES)、リセット時からの実際の走行距離D1を求める。この走行距離D1は、図2に示すように、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのリセット時から現時点までにタイマーで計測した走行時間t1と、メータ2から受信した車速V(図1参照)とを乗じて求められる。
(ステップS4)
次に、カウント装置31は、予想走行距離D2を求める。この予想走行距離D2は、図2に示すように、カウント装置31がカウントアップ信号Sを受信したときから、メータ2側のトリップメータ22bの走行距離DbがカウントアップB1されるまでに予想される走行距離である。さらに、この予想走行距離D2は、メータ2側のトリップメータ22bで設定されているカウント距離D3から、リセット時からの走行距離D1を減じて求められる。なお、カウント距離D3とは、メータ2側のトリップメータ22bの走行距離Dbがカウントアップする際の距離であり、本実施の形態では1kmである。
(ステップS5)
次に、カウント装置31は、予想走行距離D2がゼロであるか否かを判断する。
(ステップS6)
カウント装置31は、ステップS5において予想走行距離D2がゼロでないと判断した場合には(ステップS5の判断結果がNO)、予想走行時間t2を算出する。
この予想走行時間t2は、図2に示すように、カウント装置31がカウントアップ信号Sを受信したときから、メータ2側のトリップメータ22bの走行距離DbがカウントアップB1されるまでに予想される走行時間である。この予想走行時間t2は、予想走行距離D2を、メータ2から受信した車速V(図1参照)で除することにより求められる。
(ステップS7)
次に、カウント装置31は、タイマーを用いて、カウントアップ信号Sの受信時からの走行時間の計測を開始する。
(ステップS8)
次に、カウント装置31は、ステップS7で計測を開始した走行時間が予想走行時間t2に到達したか否かを判断する。
(ステップS9)
カウント装置31は、ステップS8において、ステップS7で計測を開始した走行時間が予想走行時間t2に到達したと判断した場合には(ステップS8の判断結果がYES)、カウントアップ処理を行う。具体的には、カウント装置31は、補助トリップメータ32の走行距離Dcを、メータ2側のトリップメータ22bと同じカウント距離D3(1km)でカウントアップC1する。
【0031】
また、カウント装置31は、最初の走行距離DcのカウントアップC1以降は、一方のトリップメータのリセット操作が行われたり、エンジンスィッチがOFFにされたりする場合を除いて、走行距離Dcのカウントアップ毎に、上記のステップS1〜ステップS9の処理を1サイクルとして、次の走行距離DcのカウントアップC2を行う。
【0032】
これを図3を用いて説明すると、カウント装置31は、最初の走行距離DcのカウントアップC1をしたときにステップS1に戻り、タイマーを用いて走行時間の計測を開始する。これ以降は、ステップS2〜ステップS9の処理を順に行って、次の走行距離DcのカウントアップC2を行う。
【0033】
(ステップS10)
一方、カウント装置31は、ステップS5において予想走行距離D2がゼロであると判断した場合には(ステップS5の判断結果がYES)、ステップS6〜ステップS9の処理をおこなわずに、別の方法でカウントアップ処理を行う。このカウントアップ処理を、図4を用いて説明する。
カウント装置31は、カウントアップ信号Sを受信したときに、それ以降にメータ2側のトリップメータ22bがカウントアップB1されるまでの予想走行距離D2がゼロであるということは、カウント装置31がカウントアップ信号Sを受信するタイミングと、メータ2側のトリップメータ22bの走行距離DbがカウントアップB1されるタイミングとが一致していると判断する。したがって、カウント装置31は、従来のようにカウントアップ信号Sを利用して、補助トリップメータ32の走行距離Dcを1kmずつカウントアップ(C1、C2・・)していく。
【0034】
以上説明してきたように、本実施の形態のカウント装置31では、カウントアップ信号Sの受信毎に、トリップメータ22bの走行距離がDbカウントアップB1されるまでの予想走行距離D2を求め、この予想走行距離D2に基づいて、補助トリップメータ32の走行距離DcのカウントアップC1のタイミングをトリップメータ22bのカウントアップB1のタイミングに合わせるようにした。
【0035】
したがって、本実施の形態のカウント装置31では、車速パルスが入力されることなく補助トリップメータ32の走行距離DcをカウントアップC1することが可能になるので、高価なマイコンは不要となる。よって、本実施の形態のカウント装置31は、製造コストを抑えることができる。
【0036】
また、本実施の形態のカウント装置31では、従来のようにカウントアップ信号Sに連動させて補助トリップメータ32の走行距離Dcをカウントアップさせていないので双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcに大きな誤差は生じない。さらに、補助トリップメータ32の走行距離Dcのカウントアップ(C1、C2・・)は、カウントアップ信号Sの受信毎にトリップメータ22bの走行距離Dbのカウントアップ(B1、B2・・)に合わせるようにしているので、走行時間が長くなっても誤差が広がるおそれもない。
【0037】
よって、本実施の形態のカウント装置31は、補助トリップメータ32に走行距離Dcを表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータ22bに表示される走行距離Dbとの誤差を確実に抑えることができる。
【0038】
さらに、本実施の形態のカウント装置31は、予想走行時間t2と、カウントアップ信号Sの受信時から計測した走行時間とを用いて、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを合わせるようにした。
【0039】
したがって、本実施の形態のカウント装置31は、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを簡単な方法で合わせることが可能になるので、カウントアップの処理に必要なマイコンのコストを抑えることができる。よって、本実施の形態のカウント装置31は、製造コストをさらに抑えることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態のカウント装置31は、予想走行距離D2がゼロの場合には、カウントアップ信号Sを利用して補助トリップメータ32の走行距離Dcをカウントアップ(C1、C2・・)するようにした。したがって、本実施の形態のカウント装置31は、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップのタイミングの合わせ処理を1回で終了させることが可能になるので、カウントアップ処理の処理効率を高めることができる。
【0041】
第2の実施の形態:
図5は、本件発明の第2の実施の形態を示す補助トリップメータ32のカウント装置において、補助トリップメータ32の走行距離Dcのカウントアップ処理を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートにおいて、第1の実施の形態で説明した図3のフローチャートと同じ処理には同じ符号を付し、異なる処理について説明する。また、本実施の形態の説明において、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付している。
【0042】
(ステップS70)
カウント装置は、ステップS6において予想走行時間t2を算出した後に、走行距離の積算処理を開始する。この走行距離は、予想走行時間t2よりも小さい所定時間毎に車速Vを乗じて走行距離を求めながら、求めた走行距離を順次積算していく。
(ステップS80)
次に、カウント装置は、ステップS70で積算を開始した走行距離が予想走行距離D2に到達したか否かを判断する。
(ステップS90)
カウント装置は、ステップS80において、ステップS70で積算を開始した走行距離が予想走行距離D2に到達したと判断した場合には(ステップS80の判断結果がYES)、第1の実施の形態の図3のステップS9で説明したように、補助トリップメータ32の走行距離Dcを1kmカウントアップする。
【0043】
したがって、本実施の形態のカウント装置の場合も、第1の実施の形態のカウント装置31と同様に車速パルスが入力されないので、高価なマイコンは不要となる。
【0044】
さらに、本実施の形態のカウント装置では、第1の実施の形態のカウント装置31と同様に、補助トリップメータ32の走行距離Dcのカウントアップ(C1、C2・・)は、カウントアップ信号Sに連動しておらず、カウントアップ信号Sの受信毎にトリップメータ22bの走行距離Dbのカウントアップ(B1、B2)に合わせるようにしている。
【0045】
よって、本実施の形態のカウント装置は、第1の実施の形態のカウント装置31と同様に、補助トリップメータ32に走行距離Dcを表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータ22bに表示される走行距離Dbとの誤差を確実に抑えることができる。
【0046】
さらに、本実施の形態のカウント装置は、予想走行距離D2と、カウントアップ信号Sの受信時から積算した走行距離とを用いて、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを合わせるようにした。
【0047】
したがって、本実施の形態のカウント装置は、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを簡単な方法で合わせることが可能になるので、カウントアップの処理に必要なマイコンのコストを抑えることができ、製造コストをさらに抑えることができる。
【0048】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、この実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0049】
実施の形態では、双方のトリップメータ22b、32の走行距離Db、Dcのカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを合わせるために、予想走行距離D2、予想走行時間t2、カウントアップ信号Sの受信時から計測した走行時間、カウントアップ信号Sの受信時から積算した走行距離を用いた。しかし、必ずしも上記の構成要件を用いる必要はなく、少なくとも予想走行距離D2に基づいて、双方のトリップメータ22b、32のカウントアップ(B1,C1、B2,C2、・・)のタイミングを合わせるような処理を行うように構成すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明したように本件発明の補助トリップメータのカウント装置では、補助トリップメータに走行距離を表示する際に、製造コストを抑えながら、トリップメータに表示される走行距離との誤差を確実に抑えることができる。したがって、本件発明の補助トリップメータのカウント装置を、その技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
22b トリップメータ
31 カウント装置
32 補助トリップメータ
Da 積算走行距離
Db トリップメータで表示される走行距離
Dc 補助トリップメータで表示される走行距離
D1 走行距離
D2 予想走行距離
D3 カウント距離
S カウントアップ信号
t1 走行時間
t2 予想走行時間
V 車速

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のトリップメータ及びその補助トリップメータに表示されている走行距離が同時にリセットされたときに前記車両の走行時間の計測を開始する走行時間計測開始手段と、
前記トリップメータから当該トリップメータと同じカウント距離毎に出力される前記車両の積算走行距離のカウントアップ信号を受信したときに、それまでに計測した走行時間と前記トリップメータから受信した車速とを乗じて走行距離を求め、この走行距離を前記カウント距離から減じることにより、前記カウントアップ信号の受信以降に前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行距離を求める予想走行距離算出手段と、
前記予想走行距離に基づいて、前記補助トリップメータの走行距離を、前記トリップメータの走行距離のカウントアップのタイミングに合わせるように前記カウント距離でカウントアップするカウント処理手段とを備えているとともに、
この最初の走行距離のカウントアップ以後は、走行距離のカウントアップ毎に前記3つの処理手段による処理を順に行って、次の走行距離のカウントアップをすることを特徴とする補助トリップメータのカウント装置。
【請求項2】
請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置において、
前記カウント処理手段は、前記予想走行距離を前記車速で除して前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行時間を求めるとともに、前記カウントアップ信号の受信時から走行時間の計測を開始し、この走行時間が前記予想走行時間に到達したときに前記補助トリップメータの走行距離をカウントアップすることを特徴とする補助トリップメータのカウント装置。
【請求項3】
請求項1に記載の補助トリップメータのカウント装置において、
前記カウント処理手段は、前記予想走行距離を前記車速で除して前記トリップメータの走行距離がカウントアップされるまでの予想走行時間を求める一方、前記カウントアップ信号の受信時から前記予想走行時間までの間の所定時間毎に前記車速を乗じて走行距離を求めながらこの走行距離を積算していき、この積算された走行距離が前記予想走行距離に到達したときに前記補助トリップメータの走行距離をカウントアップすることを特徴とする補助トリップメータのカウント装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−169641(P2010−169641A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14585(P2009−14585)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】