説明

補助装置

【課題】周波数帯を共用する無線装置において異なる無線システムが混在しても混信を抑えることのできる無線装置を提供すること。
【解決手段】使用する周波数帯が第1の無線システムと重複する該第1の無線システムとは異なる第2の無線システムに属する無線装置の通信を補助する補助装置であって、無線装置に第1の無線システムの電波を検出させ該検出結果を交換する手順を提供する測定手順提供部と、無線装置が第1の無線システムに混信を与えるおそれがある場合に、無線装置の利用する周波数および電力の少なくとも一方を無線装置に変更させるための手順を提供する再設定手順提供部と、測定手順提供部および再設定手順提供部が提供する手順を適用して無線装置とメッセージを交換する送受信部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数帯を共用する無線システムにおいて混信を予め防止する補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(WLAN)は、産業科学医療用バンド(ISMバンド:Industry-Science-Medical)において最もうまく稼働しているシステムといえる。802.11に関係する製品は広く普及し、大きなマーケットを形成している。しかし、ISMバンド利用の増加により、WLANにとって高スループットを得られる周波数資源が不足している。
【0003】
そこで、レーダーバンド(3650-3700MHz)のように、特定の用途に免許された周波数帯において、WLANなど免許を必要としない無線装置の運用を行うことが検討されている。特に、TVホワイトスペース(TVWS)として知られるTVバンド内の未利用チャネル(未利用周波数)については、免許を必要としない当該周波数の利用に対する規制に関して具体的な検討が進められており、近々TVバンドにおいてWLANなどの運用が可能になる見込みである。
【0004】
ところで、免許を必要としない無線装置と免許された無線装置とが利用する周波数帯を共用する場合、免許を必要としない無線装置は、当該周波数帯の利用について優先順位が低いから、免許された無線装置に対して混信を与えてはならない。特に、免許を必要としない無線システムが複数存在する場合、免許された無線装置に対する混信回避に加えて、免許を必要としない無線装置間において通信の衝突回避などをする必要が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】米国連邦通信委員会(FCC)、“Second report and order and memorandum opinion and order”、No.FCC08−260、2008年11月
【非特許文献2】IEEE標準802.11y(登録商標)-2008
【非特許文献3】IEEE標準802.11(登録商標)-2007
【非特許文献4】IEEE標準案802.11af D0.03
【非特許文献5】IEEE標準案802.22 Draft v3.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来、周波数帯を共用する無線システム(特に自己よりも優先順位の高い無線システム)の間で混信が発生しうるという問題に加えて、優先順位が低い無線システム間における混信を回避しなければならないという問題があった。本発明の実施形態はかかる課題を解決するためになされたもので、周波数帯を共用する無線装置において異なる無線システムが混在しても混信を抑えることのできる補助装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、実施形態に係る補助装置は、使用する周波数帯が第1の無線システムと重複する該第1の無線システムとは異なる第2の無線システムに属する無線装置の通信を補助する補助装置であって、無線装置に第1の無線システムの電波を検出させ該検出結果を交換する手順を提供する測定手順提供部と、無線装置が第1の無線システムに混信を与えるおそれがある場合に、無線装置の利用する周波数および電力の少なくとも一方を無線装置に変更させるための手順を提供する再設定手順提供部と、測定手順提供部および再設定手順提供部が提供する手順を適用して無線装置とメッセージを交換する送受信部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態は、周波数帯を共用する無線装置において異なる無線システムが混在しても混信を抑えることのできる無線装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】実施形態に係る無線システムの構成を示すブロック図である。
【図1B】実施形態に係る無線システムの実装例を示す概念図である。
【図2】実施形態に係る無線システムの動作例を示すフローチャートである。
【図3】実施形態に係る無線システムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】実施形態に係る無線システムの動作例を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係る無線システムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る無線システムのサービス要素の例を示す図である。
【図7A】実施形態に係る無線システムの情報サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図7B】実施形態に係る無線システムの情報サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図8】実施形態に係る無線システムの情報サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図9】実施形態に係る無線システムの情報サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図10】実施形態に係る無線システムの情報サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図11】実施形態に係る無線システムの再設定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図12A】実施形態に係る無線システムの測定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図12B】実施形態に係る無線システムの測定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図13】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図14】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図15A】実施形態に係る無線システムの測定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図15B】実施形態に係る無線システムの測定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図15C】実施形態に係る無線システムの測定サービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図16】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図17】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図18】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図19】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図20】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図21】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図22】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図23】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの一例を示す図である。
【図24】実施形態に係る無線システムのイベントサービスにおけるパラメータの例を示す図である。
【図25】実施形態に係る無線システムのイベントサービスのパラメータの一例を示す図である。
【図26A】実施形態に係る無線システムの情報サービスのパラメータの具体例を示す図である。
【図26B】実施形態に係る無線システムの再設定サービスのパラメータの具体例を示す図である。
【図26C】実施形態に係る無線システムの測定サービスのパラメータの具体例を示す図である。
【図26D】実施形態に係る無線システムのイベントサービスのパラメータの具体例を示す図である。
【図27A】実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細を示す図である。
【図27B】実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細を示す図である。
【図27C】実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細を示す図である。
【図27D】実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細を示す図である。
【図27E】実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態の構成)以下、図面を参照して、実施形態に係る補助装置について詳細に説明する。図1Aにおいて、プライマリシステムPSは、所定の周波数帯の特定のチャネルにおいて免許され、当該チャネルの利用につき他の無線局よりも優先順位が高い無線装置である。プライマリシステムPSは、例えばテレビ用バンドのうち特定チャネルの利用を免許されたテレビ放送局の無線装置などが該当する。この実施形態の無線システムでは、プライマリシステムPSに割り当てられた周波数帯(バンド)のうち、当該プライマリシステムPSが利用していない周波数(チャネル)を、免許手続きを要しない無線装置が共用する。ここでは、例えば無線LAN(WLAN)を構成するAP装置やクライアント装置(STA装置)が、プライマリシステムPSたるテレビに割り当てられたテレビ用バンドを共用するものとして説明する。
【0011】
STA装置がプライマリシステムPSに割り当てられたバンドを共用する場合、STA装置はプライマリシステムPSに混信を与えてはならない。そのため、STA装置は、その位置周辺において利用しようとするチャネルがプライマリシステムPSに割り当てられたチャネルと重複しているかどうか、すなわち混信を与えうるかどうか確認する必要がある。この確認は、免許情報や周波数情報などを格納したデータベースに照会することで実現できる。加えて、STA装置は、自ら利用しようとするチャネルをモニタして、プライマリシステムPSなど優先順位の高い無線システムの電波の有無を確認する必要がある。すなわち、STA装置は、データベースへ周波数情報を照会する機能と電磁波を測定する機能を有することが望ましい。
【0012】
STA装置の周囲に同じシステムに属する無線装置しか存在しない場合は、当該STA装置自らデータベース照会を行えば足りる。しかし、免許を要しない簡易な無線装置はさまざまなものが使われており、各々がデータベースに照会するのは効率的ではない。かかる状態に対応するには、要求に応じて周波数情報を網羅したデータベースにアクセスし、混信可能性を返答する装置を配置すればよい。この実施形態の無線システムは、異なるシステムに属するSTA装置に対して、プライマリシステムのデータベースの検索と混信可能性の判定、周波数情報などの共有などの機能を提供する共存装置(Co Existence:CE装置)を備えるものである。
【0013】
図1Aに示すように、この実施形態の無線システムは、プライマリシステムPSに割り当てられた周波数帯の少なくとも一部を共用するSTA装置1、空きチャネル判定を行うCE装置2、CE装置2がプライマリシステムPSの情報を検索するためのデータベース装置3を有している。
【0014】
STA装置1は、アンテナ11、インタフェース部1aおよび信号処理部1bを有している。インタフェース部1aは、アンテナ11と信号処理部1bとをつなぐインタフェースである。インタフェース部1aは、信号処理部1bが送りまたは受ける信号を、無線信号に変換しまたは復号する機能を有している。信号処理部1bは、例えばベースバンドの信号を処理する演算部である。信号処理部1bは、さらに優先のネットワークと接続してWLANのアクセスポイントとして機能してもよいし、他のSTA装置とアドホックに通信するものであってもよい。インタフェース部1aは、受信部12、送信部13、要求解析部14、応答解析部15、要求生成部16、応答生成部17および定義テーブル18を有している。
【0015】
受信部12は、通信相手から送られる電波をアンテナ11を介して受信し、所定の方式で復調する。送信部13は、通信相手に対する情報を変調して無線信号を生成し、アンテナ11を介して通信相手に送信する。また、受信部12は、プライマリシステムPSの電波や他のSTA装置などの電波の強度(電界強度)を検出し測定(計測)する機能をも有している。
要求解析部14は、受信部12が通信相手から受けた要求情報の内容を解析する。応答解析部15は、STA装置1が送信部13を介して通信相手に送った要求情報に応じて通信相手が送ってきた応答情報を解析する。要求生成部16は、通信相手に対する要求情報を生成し、応答生成部17は、通信相手から送られてきた要求情報に対応する応答情報(確認情報)を生成する。
定義テーブル18は、受信部12および送信部13が通信相手と通信するための手順(プロトコル)を示す情報が格納されている。この実施形態では、STA装置1とCE装置2とは、通常の通信だけではなくプライマリシステムPSに混信を与えないために必要な情報の交換を行う。そのため、自己が属する無線システムとは異なる無線システムに属する無線装置(例えばCE装置)とも通信できなければならない。この実施形態では、かかる手順を記述した情報を定義テーブル18に格納し、受信部12や送信部13が定義テーブルにアクセスすることで、異なる無線システム間での通信を実現している。
【0016】
STA装置1は、例えば、IEEE802.11規格に準拠したシステムを用いて実現することができる。なお、受信部12および送信部13が使用する周波数帯は、プライマリシステムPSが使用する周波数帯と少なくとも一部が重複している。また、STA装置1は、異なるシステム(例えばIEEE802.11とIEEE802.22など)の装置が混在して存在している。
【0017】
CE装置2は、プライマリシステムPSが利用する周波数帯のうち、プライマリシステムPSに混信を与えるおそれがなくSTA装置1が利用可能なチャネル(周波数)を選択し提供する無線装置である。CE装置2は、アンテナ21、インタフェース部2aおよび共存制御部2bを有している。インタフェース部2aは、アンテナ21と共存制御部2bとをつなぐインタフェースであり、受信部22、送信部23、要求解析部24、応答解析部25、要求生成部26、応答生成部27および定義テーブル28を有している。すなわち、インタフェース部2aは、STA装置1のインタフェース部1aと共通の機能構成を有している。すなわち、CE装置2のインタフェース部2aも、STA装置1のインタフェース部1aと同じ内容の定義テーブル28を有している。すなわち、STA装置1とCE装置2との間で通信可能に構成している。
共存制御部2bは、プライマリシステムPSに割り当てられた周波数帯で利用されていないチャネルを利用する、互いに異なるシステムに属するSTA装置1それぞれとメッセージを交換する。共存制御部2bは、STA装置1に対しプライマリシステムPSに割り当てられた周波数帯から利用可能なチャネルを提示する。また、共存制御部2bは、STA装置1にプライマリシステムPSの電波検出を指示したり、異なるSTA装置1相互間で利用可能なチャネルなどの情報を共有させたりする機能をも有している。
CE装置2は、例えば、IEEE802.11規格に準拠したシステムを用いて実現することができるが、異なるシステムに属するSTA装置1とメッセージを交換するため、複数の異なる無線システムと通信を行うことができるように構成される。
【0018】
データベース装置3は、プライマリシステムPSの位置情報や周波数情報などを格納したデータベースである。データベース装置3は、インターネットなどのネットワークを介してCE装置2の共存制御部2bと接続されている。データベース装置3は、共存制御部2bからのクエリを受けてデータベースを検索し、得られた情報、例えばプライマリシステムPSに割り当てられた周波数帯から利用可能なチャネルのリストなどを共存制御部2bに返す機能を有している。
【0019】
(サービス要素)この実施形態の無線システムでは、STA装置1とCE装置2との間で通信するために4種類のサービスが規定され、それぞれの手順(プロトコル)が定義テーブルにあらかじめ格納されている。すなわち、定義テーブル18および28は、情報サービス、再設定サービス、測定サービス、イベントサービスの4つに区分されたデータ転送手順情報を有している。
図6は、実施形態に係る無線システムの4つのサービス要素の例を示している。図6に示すように、情報サービスは、STA装置1とCE装置2との間で情報の要求や提供を行う際に用いる手順群である。再設定サービスは、STA装置1の情報に変更があったような場合に用いる手順群である。測定サービスは、CE装置2がSTA装置1にプライマリサービスPSの電波検出を指示したり、STA装置1が検出結果をCE装置2に返答したりする際に用いる手順である。イベントサービスは、新しいSTA装置1の出現やプライマリサービスPSに割り当てられた周波数帯で利用可能な周波数に変更が生じたような場合に用いる手順である。図26Aないし図26Dは、実施形態に係る無線システムの情報サービス、再設定サービス、測定サービスおよびイベントサービスそれぞれに用いるパラメータの具体例を示す図、図27Aないし図27Eは、実施形態に係る無線システムにおける各サービスのパラメータの詳細な例を示す図である。
【0020】
(情報サービス)図6に示すように、定義テーブルは、情報サービスとして6つの情報を定義している。
情報取得要求情報(COEX_INFO_OBTAINING.request)は、パラメータ値を求める際に用いる情報である。情報取得要求情報は、情報パラメータIDを有しており、当該IDにより求める情報の種類が規定される。図7Aおよび図7Bは、情報パラメータIDの例を示している。また、図8は、情報パラメータIDのうち利用可能チャネルリストに対応する情報の例、図9は、同じくネットワークチャネルに対応する情報の例、図10はアンテナ情報に対応する情報の例である。STA装置1やCE装置2が情報取得要求情報を受け取ると、情報取得確認情報を生成して情報取得要求情報を発した相手に返信する。
情報取得確認情報(COEX_INFO_OBTAINING.confirm)は、情報取得要求情報を受け取った場合に、要求された情報を与える際に用いる情報である。情報取得確認情報には、要求された情報のステータス情報が含まれており、ステータス情報が「成功」であれば要求された情報が併せて伝送される。情報が得られない場合、情報取得確認情報には「失敗」のステータス情報が含められる。
情報共有要求情報(COEX_INFO_SHARING.request)は、STA装置1やCE装置2が情報を共有したい場合に用いられる情報である。この情報を用いることで、CE装置2を介して異なる無線システムに属するSTA装置1同士で情報共有が可能になる。情報共有要求情報には、情報のあて先(InfoDestination)と情報パラメータID(CoexInfoParamIds)の2つのパラメータが含まれている。情報のあて先は、STA装置1が情報を共有する相手を与える。なお、CE装置2に登録されたSTA装置1とP2Pまたはマルチキャストによる情報共有を行うCE装置2の一または複数の論理IDとすることもできる。この場合、当該CE装置2に登録された全てのSTA装置1に情報がブロードキャストされることになる。
情報共有確認情報(COEX_INFO_SHARING.confirm)は、情報共有要求情報を受け取った場合に、共有を許可する場合に用いられる。情報共有確認情報には、共有を許可する情報パラメータIDが含まれている。
情報提供要求情報(COEX_INFO_PROVISION.request)は、共有する情報を提供する際に用いられる。情報提供要求情報には、共有する相手を示す情報のあて先と、情報の内容が含められている。情報共有要求情報と同様に、情報提供要求情報における情報のあて先をCE装置2の論理IDとすることもできる。前述の情報共有要求情報が情報共有を打診する役割をする(共有情報全ては送らない)。処理時間と帯域を節約するためである。一方、情報提供要求情報は、情報共有要求情報は情報共有確認情報に基づき、提供可能な情報のうちシステムが必要な情報を送る役割を担っている。
情報提供確認情報(COEX_INFO_PROVISION.confirm)は、情報提供要求情報を受けた場合に返信する情報である。情報提供確認情報には、提供ステータスパラメータ(InfoProvisionStatus)が含まれており、STA装置1などが発行した情報提供要求情報がどうなったかについて記述される。
図7A、図7B、図8、図9および図10に、定義テーブルに格納される情報のうち、情報サービスのメッセージ交換に用いる情報・パラメータの例を示す。また、図26Aに、情報サービスに用いるパラメータの具体例を示す。
【0021】
(再設定サービス)図6に示すように、定義テーブルは、再設定サービスとして2つの情報を定義している。また、図26Bに、再設定サービスに用いるパラメータの具体例を示す。
再設定要求情報(COEX_RCF.request)は、CE装置2がSTA装置1にチャネルなどの設定情報の再設定を要求する際に用いる情報である。再設定要求情報には、再設定すべき事項を示す再設定パラメータが含まれている。再設定要求情報を受けたSTA装置1は、対応する再設定を実行するか、対応するアクションを行う。再設定要求情報を受けたSTA装置1は、再設定確認情報を返信する。図11に再設定パラメータの一例を示す。
再設定確認情報(COEX_RCF.confirm)は、CE装置2に要求された再設定要求の結果を示す再設定結果パラメータを含む情報である。STA装置1は、再設定要求情報に応じて再設定の状況を示す再設定確認情報を返信する。再設定確認情報を受けたCE装置2は、結果が「成功」であれば再設定の実行結果やアクションを得ることになり、結果が「失敗」であればエラー処理を行うことになる。もし、再設定要求情報により要求された再設定内容と異なる内容で再設定された場合、再設定確認情報は実際に再設定された内容を含めることができる。
【0022】
(測定サービス)図6に示すように、定義テーブルは、測定サービスとして2つの情報を定義している。
測定要求情報(COEX_MEAS.request)は、所定のパラメータを測定することを要求する際に用いる情報である。測定要求情報は、例えばスタート周波数や停止周波数のようなパラメータの組を含む測定パラメータを有している。図12Aおよび図12Bに測定パラメータの例を示す。CE装置2は、測定要求情報を用いてSTA装置1の測定制御に関する要求を行う。
測定確認情報(COEX_MEAS.confirm)は、測定要求情報を受けたSTA装置1がCE装置2に返信する情報である。測定確認情報は、測定要求のステータスや測定結果を含む測定結果パラメータを有している。CE装置2は、測定確認情報を受けると、ステータスが「成功」であれば、要求した測定結果を得ることができる。
図12A、図12B、図13、図14、図15A、図15B、図15C、図16、図17、図18、図19、図20、図21、図22および図23に、測定サービスのパラメータの一例を示す。また、図26Cに、測定サービスに用いるパラメータの具体例を示す。
【0023】
(イベントサービス)図6に示すように、定義テーブルは、イベントサービスとして1つの情報を定義している。
イベント表示情報(COEX_EVENT.indication)は、観測されまたは予測されたシステムの共存に関係するイベントについての情報を送るために用いる。イベント表示情報は、発生したイベントを記述したイベントパラメータを有している。STA装置1やCE装置2は、イベントを観測または予測すると、イベント表示情報を生成して関係するSTA装置1やCE装置2に送る。図24および図25に、イベントパラメータの一例を示す。また、図26Dに、イベントサービスに用いるパラメータの具体例を示す。
【0024】
(実施形態の動作例1)ここで、図1Aおよび図2を参照して、この実施形態の無線システムの動作例を説明する。図2に示す動作例は、ユーザがSTA装置1の電源をオンにしたときの動作を示している。
【0025】
ユーザがSTA装置1の電源を入れると、STA装置1の要求生成部16は、図24に示すようなイベント表示情報を生成し、送信部13がアンテナ11を介して送信する(ステップ101。以下「S101」ように称する。)
CE装置2の受信部22は、STA装置1のイベント表示情報を受信する(S102)。イベント表示情報を受信すると、要求解析部24は、イベント表示情報の内容を解析し、データベース装置3に解析結果について登録を要求する(S103)。
データベース装置3は、CE装置2の発信した解析内容を登録し(S104)、CE装置2に対し情報取得を要求する(S105)。
【0026】
情報取得要求を受けると、CE装置2の要求生成部27は、図7Aおよび図7Bに示すような情報取得要求情報を生成し(S106)、送信部23は、生成した情報取得要求情報を送信する(S107)。
受信部12が情報取得要求情報を受けると、要求解析部14は内容を解析し、情報を取得または生成する(S108)。情報が取得または生成されると、応答生成部17は、情報取得確認情報を生成し(S109)、送信部13を介して送信する。
応答解析部25は、受信部22を介して受けた情報取得確認情報を解析する(S110)。
【0027】
(実施形態の動作例2)続いて、図1Aおよび図3を参照して、この実施形態の無線システムの他の動作例を説明する。図2に示す動作例は、新しいSTA装置1の運用が開始されたときの動作を示している。
【0028】
ユーザが新たなSTA装置1の運用を開始すると、STA装置1の要求生成部16は、図24に示すようなイベント表示情報を生成し、送信部13がアンテナ11を介して送信する(S201)
CE装置2の受信部22は、STA装置1のイベント表示情報を受信する(S202)。イベント表示情報を受信すると、要求解析部24は、イベント表示情報の内容を解析し、データベース装置3にイベント内容について登録を要求する(S203)。すなわち、新しいSTA装置1の存在をデータベース装置3に通知する。
データベース装置3は、CE装置2の発信したイベント内容を登録し(S204)、CE装置2に対し情報取得を要求する(S205)。
【0029】
情報取得要求を受けると、CE装置2の要求生成部26は、図7Aおよび図7Bに示すような情報取得要求情報を生成し(S206)、送信部23は、生成した情報取得要求情報を送信する(S207)。
受信部12が情報取得要求情報を受けると、要求解析部14は内容を解析し、情報を取得または生成する(S208)。情報が取得または生成されると、応答生成部17は、情報取得確認情報を生成し(S209)、送信部13を介して送信する。
応答解析部25は、受信部22を介して受けた情報取得確認情報を解析し(S210)、データベース装置3に登録情報の更新を要求する(S211)。
【0030】
データベース装置3は、データベースの登録内容を更新し(S212)、新たなSTA装置1周辺でのプライマリシステムPSの電波検出を要求する(S213)。
電波検出要求を受けると、CE装置2の要求生成部27は、図12Aおよび図12Bに示すような測定要求情報を生成し(S214)、送信部23を介して送信する(S215)。
受信部12を介して測定要求情報を受けると、要求解析部14は、測定要求情報の内容を解析し測定処理を行う(S216)。具体的には、要求解析部14は、受信部12を用いてプライマリシステムPSの電波検出行う。
【0031】
測定が終わると、応答生成部17は、測定されたデータを含む測定確認情報を生成し、送信部13を介して送信する(S217)。
受信部22が測定確認情報を受信すると、応答解析部25は、測定確認情報の内容を解析する(S218)。応答解析部25は、測定確認情報の内容をデータベース装置3に送る(S219)。
データベース装置3は、測定確認情報とデータベースのプライマリシステムPSのリストとを比較して、混信発生の可能性を判定する(S220)。判定の結果、混信発生の可能性がある場合、データベース装置3は、再設定要求を発する(S221)。
【0032】
再設定要求を受けると、要求生成部26は、再設定要求情報を生成し(S222)、送信部23を介して送信する(S223)。なお、混信発生の可能性は、データベース装置3ではなくCE装置2が行ってもよい。
受信部12が再設定要求情報を受けると、要求解析部14は、再設定要求情報の内容を解析し、再設定処理を行う(S224)。例えば、要求解析部14は、利用可能なチャネルのうち他のチャネルを設定する等を実行する。
【0033】
再設定処理が行われると、応答生成部17は、再設定確認情報を生成して送信する(S225)。
受信部22が再設定確認情報を受信すると、応答解析部25は、再設定確認情報の内容を解析し(S226)、再設定が成功していればデータベース装置3に登録を指示する(S227)。指示を受けると、データベース装置3は、再設定内容を登録する(S228)。
【0034】
(実施形態の動作例3)続いて、図1Aおよび図4を参照して、この実施形態の無線システムの他の動作例を説明する。図4に示す動作例は、STA装置1がチャネル情報などの情報共有を行う場合の動作を示している。
【0035】
STA装置1が情報共有を求める場合、STA装置1の要求生成部16は、情報共有要求情報を生成し、送信部13がアンテナ11を介して送信する(S301)
CE装置2の受信部22は、STA装置1の情報共有要求情報を受信する(S302)。情報共有要求情報を受信すると、要求解析部24は、情報共有要求情報の内容を解析し、データベース装置3に共有要求を通知する(S303)。すなわち、共有相手と共有情報の内容をデータベース装置3に通知する。
データベース装置3は、CE装置2の発信した共有要求を確認し(S304)、CE装置2に対しACKを返信する(S305)。
【0036】
ACKを受けると、CE装置2の応答生成部27は、情報共有確認情報を生成し(S306)、送信部23は、生成した情報共有確認情報を送信する(S307)。
受信部12が情報共有確認情報を受けると、応答解析部15は内容を解析し、共有する情報の準備を開始する(S308)。情報が準備されると、要求生成部16は、共有する情報を含む情報提供要求情報を生成し(S309)、送信部13を介して送信する。
【0037】
要求解析部24は、受信部22を介して受けた情報共有要求情報を解析し(S310)、データベース装置3に共有情報を通知する(S311)。
データベース装置3は、共有情報をデータベースに更新登録し(S312)、ACKを返す(S313)。
【0038】
ACKを受信すると、応答生成部27は共有情報と共有相手を確認し(S314)、関係する相手に情報提供確認情報を生成して送信する(S315)。
STA装置1の応答解析部15は、情報共有確認情報を受信して情報共有の確立とデータベース更新を確認する(S316)。
【0039】
(実施形態の動作例4)続いて、図1Aおよび図5を参照して、この実施形態の無線システムの他の動作例を説明する。図5に示す動作例は、データベース装置3のデータベース内容が更新された場合の動作を示している。
【0040】
データベース装置3は、データベース内容、例えばプライマリシステムPSの運用周波数の変更などが発生した場合、CE装置2に通知する(S401)。
通知を受けると(S402)、要求生成部26は、その発生内容を記述したイベント表示情報を生成し、送信部23を介して送信する(S403)。
受信部12は、イベント表示情報を受信し、要求解析部14は、イベント表示情報の内容を確認する(S404)。イベント表示情報の内容では情報が不足するような場合、要求生成部14は、情報取得要求情報を生成して送信部13を介して送信する(S405)。
【0041】
要求解析部24は、情報取得要求情報の内容を解析し(S406)、データベース装置3に情報を要求する(S407)。データベース装置3は、情報要求の内容を解析し(S408)、当該内容の情報を検索して当該検索内容を返す(S409)。
【0042】
検索内容を受けると、応答生成部27は、検索内容を用いて情報取得確認情報を生成し(S410)、送信部21が当該情報取得確認情報を送信する(S411)。
受信部12を介してSTA装置1の受信部12は情報取得確認情報を受信し、応答解析部15は、当該情報取得確認情報を解析する(S412)。
【0043】
ここで、図1Bを参照して、この実施形態の補助装置(インタフェース部1a・2a)の実装例について説明する。この実施形態の補助装置は、IEEE802.11afやIEEE802.22標準で規定される予定の、TVバンドを用いる装置(TVBD)間で共存に関する情報を交換するインタフェースとして、また、IEEE802.19.1標準で規定される予定の共存システムとして用いることができる。
【0044】
図1Bにおいて、(1)は、TVBD網/装置の管理装置のインタフェースとして実装する場合の実装位置を示している。同じく(2)は、TVBD網/装置の収束機能(convergence function)として利用可能なSAPのインタフェースとして実装する場合の実装位置を示しており、例えばIEEE802.11装置のMSGCF(MAC State Generic Convergence Function)−SAPや、IEEE802.22のBS/CPE装置のCS(Convergence Sublayer)−SAPである。同じく(3)は、TVBD網/装置のMACやPHY(物理層)において利用可能なSAPのインタフェースとして実装する場合の実装位置を示しており、例えばMLME(MAC subLayer Management Entity)−SAPやPLME(Physical Layer Management Entity)−SAPである。
【0045】
この実施形態の補助装置によれば、方式の異なるシステムとの通信を可能とするデータ転送手順情報を格納したテーブルを備え、これを用いて通信を行うので、共通する周波数帯に異なる無線システムが混在する場合に、異なるシステムに属する無線装置間で混信予防その他の情報を交換することができる。
また、この実施形態の補助装置によれば、データ転送手順情報として、情報を交換する情報サービス、チャネル設定などの再設定を支援する再設定サービス、プライマリサービスや異なるシステムに属する他の無線装置の電界強度等を測定する測定サービス、およびプライマリサービスの運用動向や新規無線装置など混信予防に寄与するイベント情報を交換するイベントサービスの4つに区分された情報を備え、これらの情報を用いて通信を行うので、電波利用の優先度が高いプライマリシステムと、プライマリシステムと利用する周波数帯が共通し利用の優先度が低い無線装置とが混在した場合に、混信を予防するメッセージ交換を実現することができる。さらに、プライマリシステムよりも電波利用の優先度が低く利用する周波数帯が共通する無線システムが複数混在しても、混信を予防するメッセージ交換を実現することができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態およびその動作例のみに限定されるものではない。本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…STA装置、1a…インタフェース部、1b…信号処理部、11…アンテナ、12…受信部、13…送信部、14…要求解析部、15…応答解析部、16…要求生成部、17…応答生成部、18…定義テーブル、2…CE装置、2a…インタフェース部、2b…共存制御部、21…アンテナ、22…受信部、23…送信部、24…要求解析部、25…応答解析部、26…要求生成部、27…応答生成部、28…定義テーブル、3…データベース装置、PS…プライマリシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する周波数帯が第1の無線システムと重複する該第1の無線システムとは異なる第2の無線システムに属する無線装置の通信を補助する補助装置であって、
前記無線装置に前記第1の無線システムの電波を検出させ該検出結果を交換する手順を提供する測定手順提供部と、
前記無線装置が前記第1の無線システムに混信を与えるおそれがある場合に、前記無線装置の利用する周波数および電力の少なくとも一方を前記無線装置に変更させるための手順を提供する再設定手順提供部と、
前記測定手順提供部および前記再設定手順提供部が提供する手順を適用して前記無線装置とメッセージを交換する送受信部と
を備えたことを特徴とする補助装置。
【請求項2】
前記再設定手順提供部は、使用する周波数帯が第1の無線システムと重複する該第1の無線システムとも第2の無線システムとも異なる第3の無線システムに混信を与えるおそれがある場合に、前記無線装置の利用する周波数および電力の少なくとも一方を前記無線装置に変更させることを特徴とする請求項1記載の補助装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図27E】
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【公開番号】特開2012−60456(P2012−60456A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202129(P2010−202129)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)総務省委託「電波資源拡大のための研究開発」の一環、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】