補正回路、駆動回路、発光装置、および電流パルス波形の補正方法
【課題】波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することの可能な半導体レーザを提供する。
【解決手段】電流源21から矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))が出力され、補正回路22からは、RC時定数回路22Aを用いて導出されたアシスト電流IA(t)が出力される。レーザ駆動回路20によって、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))が半導体レーザ装置31に印加される。
【解決手段】電流源21から矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))が出力され、補正回路22からは、RC時定数回路22Aを用いて導出されたアシスト電流IA(t)が出力される。レーザ駆動回路20によって、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))が半導体レーザ装置31に印加される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面からレーザ光を射出する面発光型の半導体レーザに印加する電流パルス波形を補正する補正回路ならびにこれを備えた駆動回路および発光装置に関する。また、本発明は、上記半導体レーザに印加する電流パルス波形の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型の半導体レーザは、従来のファブリペロー共振器型の半導体レーザとは異なり、基板に対して直交する方向に光を射出するものであり、同じ基板上に2次元アレイ状に多数の共振器構造を配列することが可能である。そのため、近年、面発光型の半導体レーザは、データ通信やプリンタなどの技術分野で注目されている。
【0003】
面発光型の半導体レーザは、一般に、基板上に、下部DBR層、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、電流狭窄層、上部DBR層およびコンタクト層をこの順に積層してなるメサ形状の共振器構造を備えている。このような半導体レーザでは、発振波長は共振器構造の実効的な共振器長によって決定され、光出力の大きさは活性層のバンドギャップに相当する発光波長において最も大きくなる。そのため、通常は、共振器構造の実効的な共振器長と活性層の発光波長とが互いに等しくなるように、共振器構造および活性層が構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−306118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、面発光型の半導体レーザにおいて、素子温度が変化すると、共振器構造の実効的な共振器長と活性層の発光波長との差(波長デチューニングΔλ)に変化が生じ、この波長デチューニングΔλの大きさに応じて閾値電流が変動する。例えば、図11に示したように、素子温度が変化すると、閾値電流も変化する。また、図11に示したように、波長デチューニングΔλが大きい場合(Δλ=18.5nm)の方が、波長デチューニングΔλが小さい場合(Δλ=15.5nm)よりも、閾値電流が最小となる素子温度が高温側に存在している。従って、高温高出力動作が容易ではない赤色系および赤外系の面発光型の半導体レーザでは、閾値電流が小さくなるように、波長デチューニングΔλを大きくすることが好ましい。
【0006】
しかし、波長デチューニングΔλを大きくした場合には、新たな問題が生じていた。例えば、赤色系および赤外系の面発光型の半導体レーザにおいて、波長デチューニングΔλを大きくした上で、これらの半導体レーザをパルス駆動させると、図12(A),(B)に示したように、光出力の波形が電流パルス波形と比べて、鈍ってしまうという問題が生じていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することの可能な補正回路ならびにこれを備えた駆動回路および発光装置を提供することにある。また、第2の目的は、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することの可能な電流パルス波形の補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による補正回路は、RC時定数回路を備えたものである。この補正回路は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するようになっている。
【0009】
本発明による駆動回路は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源と、上記の補正回路とを備えたものである。本発明による発光装置は、1または複数の面発光型の半導体レーザと、半導体レーザをパルス駆動する電流源と、上記の補正回路とを備えたものである。
【0010】
本発明による電流パルス波形の補正方法は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を含む補正回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するステップを含むものである。
【0011】
本発明による補正回路、駆動回路、発光装置、および電流パルス波形の補正方法では、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形が、RC時定数回路を含む補正回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正される。このように、RC時定数回路を用いることにより、電流パルス波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による補正回路、駆動回路、発光装置、および電流パルス波形の補正方法によれば、RC時定数回路を用いることにより、電流パルス波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができるようにした。これにより、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略構成を表す図である。
【図2】図1のレーザ駆動回路の内部構成の一例を表す図である。
【図3】図1のレーザ駆動回路で生成される電流パルス波形の一例を表す図である。
【図4】図1の半導体レーザ装置のI−L特性の一例を表す図である。
【図5】図1の半導体レーザ装置の光出力波形の一例を表す図である。
【図6】図1の半導体レーザ装置の概略構成および熱回路の一例を表す図である。
【図7】熱方程式に含まれる変数について説明するための波形図である。
【図8】(A)熱方程式を解くことにより得られた活性層温度の時間変化と、(B)実際の測定によって得られた活性層温度と光出力との関係と、(C)図8(A),(B)から得られる光出力の時間変化とを表す図である。
【図9】光出力の時間変化の実測値と計算値とを表す図である。
【図10】図2の電流源の出力波形と、図2の補正回路の出力波形との合成について説明するための波形図である。
【図11】波長デチューニングと、閾値電流が最小となる素子温度との関係の一例を表す図である。
【図12】電流パルス波形および光出力のパルス波形の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.構成
2.動作
3.原理
4.効果
【0015】
[構成]
図1は、本発明による一実施の形態に係る発光装置1の概略構成の一例を表したものである。発光装置1は、例えば、図1に示したように、システム制御回路10、レーザ駆動回路20、および光学系30を備えたものである。
【0016】
システム制御回路10は、レーザ駆動回路20を介して半導体レーザ装置31の駆動を制御するものである。
【0017】
光学系30は、例えば、半導体レーザ装置31、サーミスタ32、コリメートレンズ33、および対物レンズ34を有している。半導体レーザ装置31は、1または複数の面発光型の半導体レーザ(図示せず)を含んで構成されている。半導体レーザ装置31に含まれている面発光型の半導体レーザ(以下、単に半導体レーザと称する。)は、例えば、図6に示したように、基板51上にレーザ構造部52が設けられたものである。レーザ構造部52は、一対の多層膜反射鏡(図示せず)で活性層53を挟み込んだ垂直共振器構造を有しており、上面からレーザ光を射出するようになっている。活性層53は、例えば、赤色系の材料(例えば、GaInPまたはAlGaInP)を含んで構成されている。このとき、活性層53の発光波長と面発光型の半導体レーザの発振波長との差分である波長デチューニングΔλが15nm以上となっている。なお、活性層53は、他の材料によって構成されていてもよく、例えば、赤外系の材料(例えば、GaAsまたはAlGaAs)を含んで構成されていてもよい。このとき、波長デチューニングΔλは13nm以上となっている。
【0018】
サーミスタ32は、半導体レーザの温度を検知(測定)するものである。サーミスタ32の抵抗値は、半導体レーザの温度に応じて変化する。これにより、サーミスタ32の抵抗値を読み取ることにより、半導体レーザの温度を検知することが可能となっている。コリメートレンズ33は、半導体レーザ装置31から射出されたレーザ光を平行光に整形する光学素子である。対物レンズ34は、コリメートレンズ33で平行光化されたレーザ光を集光しつつ、図示しない被照射物に向けて照射する光学素子である。
【0019】
レーザ駆動回路20は、半導体レーザに電流を注入し、それにより半導体レーザを発光させるものである。レーザ駆動回路20は、例えば、図2に示したように、電流源21と、補正回路22とを有している。
【0020】
電流源21は、半導体レーザをパルス駆動させるものであり、例えば、図3(A)に示したように、矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))を出力するようになっている。一方、補正回路22は、RC時定数回路22Aを有しており、電流源21から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路22Aを用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するようになっている。
【0021】
RC時定数回路22Aは、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる複数の第1時定数回路(図示せず)を含んでいる。各第1時定数回路のRC時定数は、互いに異なっている。具体的には、複数の第1時定数回路のうち少なくとも1つの第2時定数回路(図示せず)のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっている。一方、複数の第1時定数回路のうち第2時定数回路以外の1または複数の第3時定数回路(図示せず)のRC時定数は、50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっている。補正回路22は、複数の第1時定数回路を用いて、電流源21から出力された電流パルスの波高値がRC時定数回路のRC時定数に応じて経時的に減衰するように補正するようになっている。補正回路22は、例えば、図3(B)に示したように、波高値が経時的に減衰した電流パルス(電流IA(t))を、上述の第1時定数回路を用いて出力するようになっている。
【0022】
例えば、RC時定数回路22Aが、2つの第1時定数回路を含んでおり、一方の第1時定数回路(第2時定数回路)のRC時定数TA1が20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、他方の第1時定数回路(第3時定数回路)のRC時定数TA2が50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっているとする。このとき、補正回路22は、以下の数1に示すアシスト電流IA(t)を出力するようになっている。
【数1】
【0023】
ここで、κはアシスト電流因子VAを電流値に変換する定数である。アシスト電流因子VAは、以下の数2で表される。また、数2中のg(t)は、以下の数3で表される。g(t)は、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる減衰度を規定するものである。
【数2】
【数3】
【0024】
νはRC時定数TA1に関する項に対する重みであり、アシスト電流IA(t)においてRC時定数TA1は支配的であることから、0.5よりも大きな値となっている。
【0025】
数1中のアシスト電流因子VAには、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voと、バイアス電流を決定する因子Vibと、動作電流を決定する因子ViOPとが含まれている。つまり、補正回路22は、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voと、バイアス電流を決定する因子Vibと、動作電流を決定する因子ViOPとに応じて変化させるようになっている。
【0026】
また、数1中のアシスト電流因子VAには、オフセット電圧Voffsetが含まれている。オフセット電圧Voffsetは、例えば、活性層53の発光波長と面発光型の半導体レーザの発振波長との差分である波長デチューニングΔλのばらつきにより、図4のA、Bに示したように、I−L特性にばらつきが生じ、必要となるアシスト電流IA(t)の大きさにばらつきが生じた場合に、そのばらつきを補償するものである。従って、補正回路22は、オフセット電圧Voffsetの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、波長デチューニングΔλの大きさに応じて変化させることが可能となっている。
【0027】
また、数1中には、κが含まれている。従って、補正回路22は、アシスト電流因子VAを電流値に変換する定数κの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを変化させることも可能となっている。
【0028】
RC時定数回路22Aは、電流源21が電流パルスを連続して出力する場合には、さらに、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを調整する複数の第4時定数回路(図示せず)を含んでいる。複数の第4時定数回路は、電流源21が電流パルスを出力して、半導体レーザを発光させたときに、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子を考慮するために用いられるものである。これにより、補正回路22は、複数の第4時定数回路を用いて、電流源21から出力された電流パルスの波高値を活性層53の温度変動に対応して変動するように補正することが可能となっている。
【0029】
各第4時定数回路のRC時定数は、互いに異なっている。具体的には、複数の第4時定数回路のうち少なくとも1つの第5時定数回路(図示せず)のRC時定数Tth1は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっている。一方、複数の第4時定数回路のうち第5時定数回路以外の1または複数の第6時定数回路(図示せず)のRC時定数Tth2は、50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっている。
【0030】
例えば、RC時定数回路22Aが、2つの第4時定数回路を含んでおり、一方の第1時定数回路(第5時定数回路)のRC時定数Tth1が20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、他方の第4時定数回路(第6時定数回路)のRC時定数Tth2が50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっているとする。このとき、補正回路22は、以下の数4に示すアシスト電流IA(t)を出力するようになっている。
【数4】
【0031】
数4中のImax(t)は、以下の数5で表される。Imax(t)は,アシスト電流IA(t)の最大値を規定するものである。数5中のf(t)は、以下の数6で表される。f(t)は、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子の変動に対応した変動を示すものである。従って、補正回路22は、まるで、活性層53の温度変動をリアルタイムにモニタリングしているかのような、精度の高い補正を行うことを可能にしている。
【数5】
【数6】
【0032】
uはRC時定数Tth1に関する項に対する重みであり、アシスト電流IA(t)においてRC時定数Tth1は支配的であることから、0.5よりも大きな値となっている。 数6中の左辺に含まれるtは、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点またはオフ期間の開始時点を指している。
【0033】
レーザ駆動回路20では、例えば、図2に示したように、電流源21および補正回路22の出力端子は互いに接続されている。従って、レーザ駆動回路20は、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))を出力するようになっている。これにより、例えば、電流源21の出力だけを半導体レーザに印加したときに、半導体レーザの光出力のパルス波形が、図5(A)に示したように、電流源21から出力された電流パルスの波形と比べて鈍ってしまう場合に、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルスを半導体レーザに印加することにより、例えば、図5(B)に示したように、半導体レーザの光出力のパルス波形を矩形に近づけることが可能となる。
【0034】
[動作]
このような構成の発光装置1では、電流源21から矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))が出力される(図10(A))。このとき、補正回路22では、RC時定数回路22Aを用いて、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる減衰度を規定するg(t)や、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子の変動に対応した変動を示すf(t)(図10(B))、アシスト電流IA(t)の最大値を規定するImax(t)が導出される(図10(C))。続いて、補正回路22において、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点(t2n)でImax(t2n)の値を保持し、さらに、その値を起点にしてg(t)に従って減衰させるアシスト電流IA(t)が導出されたのち(図10(D))、補正回路22からアシスト電流IA(t)が出力される。その後、レーザ駆動回路20によって、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))が半導体レーザ装置31に印加される(図10(E))。これにより、半導体レーザ装置31から、例えば、図5(B)に示したような矩形状の光出力が外部に射出される。
【0035】
[原理]
次に、半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づく理由について説明する。図6は、半導体レーザ装置31に含まれている面発光型の半導体レーザの熱回路を表したものである。基板51の温度をTo、熱容量をCth、熱抵抗をRth、任意の時刻tにおける活性層53の温度(活性層温度)をTact(t)、バイアス電流(<閾値電流)による素子温度の上昇量をTel(t)、注入したエネルギーをPel、光出力をPoutとすると、活性層温度Tact(t)に関する熱方程式は、以下の数7,数8のように表される。なお、RthCthは熱時定数である。
【数7】
【数8】
【0036】
上記の数7,数8を解くと、上記の数7,数8は、以下の数9,数10に変形することができる。
【数9】
【数10】
【0037】
数9中のt2n(nは0以上の整数)は、図7に示したように、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点を指している。一方、数10中のt2n+1は、図7に示したように、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオフ期間の開始時点を指している。数9中のτは、数9のTact(t)と数10のTact(t)とを連続に保つ係数である。なお、熱時定数RthCthの値を1μsecとしたときに、数9,数10をグラフに表すと、図8(A)のようになる。
【0038】
ところで、一般に、面発光型の半導体レーザでは、キャビティ長が1λ〜2λ(λは発振波長)程度と、極めて微小であることから、発振波長はキャビティ長によって固定される。そのため、面発光型の半導体レーザは、活性層53の発光波長(利得が最大となる波長)とは異なる波長で発振することが可能である。従って、波長デチューニングΔλの設計しだいで、閾値電流が最小となる素子温度を任意に選択することができる。もっとも、現実的には、閾値電流が最小となる素子温度は、0℃〜60℃の範囲内の値となる。
【0039】
高温側で十分な光出力を得たい場合には、波長デチューニングΔλを大きく設計する必要がある。例えば、活性層53が赤色系の材料(GaInPまたはAlGaInP)を含んで構成された660nm〜680nm帯の面発光型の半導体レーザでは、波長デチューニングΔλを19nm程度にすれば、素子温度Toが50℃程度で、閾値電流が極小となる。ところで、閾値電流が温度依存性を持つということは、一定電流下の光出力もまた、温度依存性を持つということである。例えば、図8(B)に示したように、波長デチューニングΔλが19nmで設計された面発光型の半導体レーザの場合には、素子温度Toが50℃ぐらいで最大の光出力となり、素子温度Toが50℃前後である場合には、光出力が減少する。これにより、光出力の時間変化を描くことができる。図8(A)〜(C)に示したように、AからBに移行するときには、活性層温度Tact(t)が上昇すると共に、光出力Poutも上昇し、電流がオフしている期間にBからCに移行すると、活性層温度Tact(t)が減少し、このタイミングで光出力Poutがゼロとなる。
【0040】
このように、熱方程式と、光出力Poutの活性層温度依存性とから、光出力Poutの時間変化を導くことができる。そこで、例えば、図9に示したように、この結果(計算値)と、実際の測定によって得られた光波形(実測値)とを比較してみた。すると、熱時定数RthCthを800nsecとしたときに、両者が、パルス立ち上がり後、数100nsec以降において一致することがわかった。しかし、パルス立ち上がり時においては、両者は一致しないことがわかった。パルス立ち上がり時は、熱時定数RthCthが800nsecよりも一桁以上小さな値(おおよそ、20nsec以上50nsec以下)で変化していることがわかった。
【0041】
光波形に2つの時定数が存在するのは、パルス立ち上がり後と、パルス立ち上がり時とにおいて、面発光型の半導体レーザにおける発熱状態が異なっているのが原因である考えられる。パルス立ち上がり後では、面発光型の半導体レーザにおけるメサ全体が発熱しており、そのために時定数が大きくなっていると考えられる。一方、パルス立ち上がり時では、活性層が局所的に発熱しており、そのために時定数が小さくなっていると考えられる。熱方程式は、メサ全体が発熱していることを前提としていることから、パルス立ち上がり時の光波形を正確に表現しきれていない。
【0042】
[効果]
そこで、本実施の形態では、上述したように、補正回路22内のRC時定数回路22Aにおいて、時定数の互いに異なる複数の時定数回路(第2時定数回路、第3時定数回路)が設けられている。これにより、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源21から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路22Aを含む補正回路22を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正することができる。このように、本実施の形態では、RC時定数回路22Aを用いることにより、電流源21から出力された電流パルスの波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができる。その結果、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、補正回路22において、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークが、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voに応じて変化する。これにより、環境温度(例えば、プリンタ筐体内の温度)が変化し、それに伴って波長デチューニングΔλに変化が生じた場合であっても、光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、補正回路22において、電流源21から出力された電流パルスの波高値が活性層53の温度変動に対応して変動する。これにより、電流源21から電流パルスが連続して出力され、半導体レーザ内(活性層53内)に熱因子が残存している場合であっても、当該電流パルスの波高値の補正量を適切な値に設定することができる。その結果、電流源21が電流パルスを連続して出力しているときであっても、光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、補正回路22において、オフセット電圧Voffsetの値を調整するか、または、アシスト電流因子VAを電流値に変換する定数κの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、波長デチューニングΔλの大きさに応じて変化させることが可能となっている。いずれの値を調整するかは、温度変化に対する光出力の変動の傾向から判断することが好ましい。例えば、製造バラツキによって、面発光型の半導体レーザの電流狭窄径が所望の値よりも大きくなってしまったとする。この場合には、温度変化に対する光出力の変動量が大きくなる(つまり、光出力の温度依存性が高くなる)ので、定数κの値を調整することが好ましい。また、例えば、製造バラツキによって、面発光型の半導体レーザの波長デチューニングΔλが大きくなったとする。この場合には、光出力が最大となる温度が高温側にシフトする(つまり、光出力の温度依存性が高温側にシフトする)ので、オフセット電圧Voffsetの値を調整することが好ましい。このように、本実施の形態では、温度変化に対する光出力の変動の傾向に基づいて、好ましい補正方法を選択することができるので、光出力の波形鈍りを確実に低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…発光装置、10…システム制御回路、20…レーザ駆動回路、21…電流源、22…補正回路、22A…RC時定数回路、30…光学系、31…半導体レーザ装置、32…サーミスタ、33…コリメートレンズ、34…対物レンズ、51…基板、52…レーザ構造部、53…活性層、f(t)…変動、g(t)…減衰度、IA(t)…アシスト電流、Iop-none(t)…電流、Imax(t)…最大値、Pel…エネルギー、Pout…光出力、RthCth…熱時定数、t2n…オン期間の開始時点、t2n+1…オフ期間の開始時点、Tact(t)…活性層温度、Tel(t)…素子温度の上昇量、TA1,TA2,Tth1,Tth2…時定数、To…素子温度、VA…アシスト電流因子、Vib,ViOP,Vo…因子、Voffset…オフセット電圧、Δλ…波長デチューニング、κ…定数、ν…重み。
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面からレーザ光を射出する面発光型の半導体レーザに印加する電流パルス波形を補正する補正回路ならびにこれを備えた駆動回路および発光装置に関する。また、本発明は、上記半導体レーザに印加する電流パルス波形の補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型の半導体レーザは、従来のファブリペロー共振器型の半導体レーザとは異なり、基板に対して直交する方向に光を射出するものであり、同じ基板上に2次元アレイ状に多数の共振器構造を配列することが可能である。そのため、近年、面発光型の半導体レーザは、データ通信やプリンタなどの技術分野で注目されている。
【0003】
面発光型の半導体レーザは、一般に、基板上に、下部DBR層、下部スペーサ層、活性層、上部スペーサ層、電流狭窄層、上部DBR層およびコンタクト層をこの順に積層してなるメサ形状の共振器構造を備えている。このような半導体レーザでは、発振波長は共振器構造の実効的な共振器長によって決定され、光出力の大きさは活性層のバンドギャップに相当する発光波長において最も大きくなる。そのため、通常は、共振器構造の実効的な共振器長と活性層の発光波長とが互いに等しくなるように、共振器構造および活性層が構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−306118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、面発光型の半導体レーザにおいて、素子温度が変化すると、共振器構造の実効的な共振器長と活性層の発光波長との差(波長デチューニングΔλ)に変化が生じ、この波長デチューニングΔλの大きさに応じて閾値電流が変動する。例えば、図11に示したように、素子温度が変化すると、閾値電流も変化する。また、図11に示したように、波長デチューニングΔλが大きい場合(Δλ=18.5nm)の方が、波長デチューニングΔλが小さい場合(Δλ=15.5nm)よりも、閾値電流が最小となる素子温度が高温側に存在している。従って、高温高出力動作が容易ではない赤色系および赤外系の面発光型の半導体レーザでは、閾値電流が小さくなるように、波長デチューニングΔλを大きくすることが好ましい。
【0006】
しかし、波長デチューニングΔλを大きくした場合には、新たな問題が生じていた。例えば、赤色系および赤外系の面発光型の半導体レーザにおいて、波長デチューニングΔλを大きくした上で、これらの半導体レーザをパルス駆動させると、図12(A),(B)に示したように、光出力の波形が電流パルス波形と比べて、鈍ってしまうという問題が生じていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することの可能な補正回路ならびにこれを備えた駆動回路および発光装置を提供することにある。また、第2の目的は、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することの可能な電流パルス波形の補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による補正回路は、RC時定数回路を備えたものである。この補正回路は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するようになっている。
【0009】
本発明による駆動回路は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源と、上記の補正回路とを備えたものである。本発明による発光装置は、1または複数の面発光型の半導体レーザと、半導体レーザをパルス駆動する電流源と、上記の補正回路とを備えたものである。
【0010】
本発明による電流パルス波形の補正方法は、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を含む補正回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するステップを含むものである。
【0011】
本発明による補正回路、駆動回路、発光装置、および電流パルス波形の補正方法では、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形が、RC時定数回路を含む補正回路を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正される。このように、RC時定数回路を用いることにより、電流パルス波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による補正回路、駆動回路、発光装置、および電流パルス波形の補正方法によれば、RC時定数回路を用いることにより、電流パルス波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができるようにした。これにより、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略構成を表す図である。
【図2】図1のレーザ駆動回路の内部構成の一例を表す図である。
【図3】図1のレーザ駆動回路で生成される電流パルス波形の一例を表す図である。
【図4】図1の半導体レーザ装置のI−L特性の一例を表す図である。
【図5】図1の半導体レーザ装置の光出力波形の一例を表す図である。
【図6】図1の半導体レーザ装置の概略構成および熱回路の一例を表す図である。
【図7】熱方程式に含まれる変数について説明するための波形図である。
【図8】(A)熱方程式を解くことにより得られた活性層温度の時間変化と、(B)実際の測定によって得られた活性層温度と光出力との関係と、(C)図8(A),(B)から得られる光出力の時間変化とを表す図である。
【図9】光出力の時間変化の実測値と計算値とを表す図である。
【図10】図2の電流源の出力波形と、図2の補正回路の出力波形との合成について説明するための波形図である。
【図11】波長デチューニングと、閾値電流が最小となる素子温度との関係の一例を表す図である。
【図12】電流パルス波形および光出力のパルス波形の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.構成
2.動作
3.原理
4.効果
【0015】
[構成]
図1は、本発明による一実施の形態に係る発光装置1の概略構成の一例を表したものである。発光装置1は、例えば、図1に示したように、システム制御回路10、レーザ駆動回路20、および光学系30を備えたものである。
【0016】
システム制御回路10は、レーザ駆動回路20を介して半導体レーザ装置31の駆動を制御するものである。
【0017】
光学系30は、例えば、半導体レーザ装置31、サーミスタ32、コリメートレンズ33、および対物レンズ34を有している。半導体レーザ装置31は、1または複数の面発光型の半導体レーザ(図示せず)を含んで構成されている。半導体レーザ装置31に含まれている面発光型の半導体レーザ(以下、単に半導体レーザと称する。)は、例えば、図6に示したように、基板51上にレーザ構造部52が設けられたものである。レーザ構造部52は、一対の多層膜反射鏡(図示せず)で活性層53を挟み込んだ垂直共振器構造を有しており、上面からレーザ光を射出するようになっている。活性層53は、例えば、赤色系の材料(例えば、GaInPまたはAlGaInP)を含んで構成されている。このとき、活性層53の発光波長と面発光型の半導体レーザの発振波長との差分である波長デチューニングΔλが15nm以上となっている。なお、活性層53は、他の材料によって構成されていてもよく、例えば、赤外系の材料(例えば、GaAsまたはAlGaAs)を含んで構成されていてもよい。このとき、波長デチューニングΔλは13nm以上となっている。
【0018】
サーミスタ32は、半導体レーザの温度を検知(測定)するものである。サーミスタ32の抵抗値は、半導体レーザの温度に応じて変化する。これにより、サーミスタ32の抵抗値を読み取ることにより、半導体レーザの温度を検知することが可能となっている。コリメートレンズ33は、半導体レーザ装置31から射出されたレーザ光を平行光に整形する光学素子である。対物レンズ34は、コリメートレンズ33で平行光化されたレーザ光を集光しつつ、図示しない被照射物に向けて照射する光学素子である。
【0019】
レーザ駆動回路20は、半導体レーザに電流を注入し、それにより半導体レーザを発光させるものである。レーザ駆動回路20は、例えば、図2に示したように、電流源21と、補正回路22とを有している。
【0020】
電流源21は、半導体レーザをパルス駆動させるものであり、例えば、図3(A)に示したように、矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))を出力するようになっている。一方、補正回路22は、RC時定数回路22Aを有しており、電流源21から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路22Aを用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正するようになっている。
【0021】
RC時定数回路22Aは、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる複数の第1時定数回路(図示せず)を含んでいる。各第1時定数回路のRC時定数は、互いに異なっている。具体的には、複数の第1時定数回路のうち少なくとも1つの第2時定数回路(図示せず)のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっている。一方、複数の第1時定数回路のうち第2時定数回路以外の1または複数の第3時定数回路(図示せず)のRC時定数は、50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっている。補正回路22は、複数の第1時定数回路を用いて、電流源21から出力された電流パルスの波高値がRC時定数回路のRC時定数に応じて経時的に減衰するように補正するようになっている。補正回路22は、例えば、図3(B)に示したように、波高値が経時的に減衰した電流パルス(電流IA(t))を、上述の第1時定数回路を用いて出力するようになっている。
【0022】
例えば、RC時定数回路22Aが、2つの第1時定数回路を含んでおり、一方の第1時定数回路(第2時定数回路)のRC時定数TA1が20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、他方の第1時定数回路(第3時定数回路)のRC時定数TA2が50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっているとする。このとき、補正回路22は、以下の数1に示すアシスト電流IA(t)を出力するようになっている。
【数1】
【0023】
ここで、κはアシスト電流因子VAを電流値に変換する定数である。アシスト電流因子VAは、以下の数2で表される。また、数2中のg(t)は、以下の数3で表される。g(t)は、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる減衰度を規定するものである。
【数2】
【数3】
【0024】
νはRC時定数TA1に関する項に対する重みであり、アシスト電流IA(t)においてRC時定数TA1は支配的であることから、0.5よりも大きな値となっている。
【0025】
数1中のアシスト電流因子VAには、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voと、バイアス電流を決定する因子Vibと、動作電流を決定する因子ViOPとが含まれている。つまり、補正回路22は、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voと、バイアス電流を決定する因子Vibと、動作電流を決定する因子ViOPとに応じて変化させるようになっている。
【0026】
また、数1中のアシスト電流因子VAには、オフセット電圧Voffsetが含まれている。オフセット電圧Voffsetは、例えば、活性層53の発光波長と面発光型の半導体レーザの発振波長との差分である波長デチューニングΔλのばらつきにより、図4のA、Bに示したように、I−L特性にばらつきが生じ、必要となるアシスト電流IA(t)の大きさにばらつきが生じた場合に、そのばらつきを補償するものである。従って、補正回路22は、オフセット電圧Voffsetの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、波長デチューニングΔλの大きさに応じて変化させることが可能となっている。
【0027】
また、数1中には、κが含まれている。従って、補正回路22は、アシスト電流因子VAを電流値に変換する定数κの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを変化させることも可能となっている。
【0028】
RC時定数回路22Aは、電流源21が電流パルスを連続して出力する場合には、さらに、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを調整する複数の第4時定数回路(図示せず)を含んでいる。複数の第4時定数回路は、電流源21が電流パルスを出力して、半導体レーザを発光させたときに、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子を考慮するために用いられるものである。これにより、補正回路22は、複数の第4時定数回路を用いて、電流源21から出力された電流パルスの波高値を活性層53の温度変動に対応して変動するように補正することが可能となっている。
【0029】
各第4時定数回路のRC時定数は、互いに異なっている。具体的には、複数の第4時定数回路のうち少なくとも1つの第5時定数回路(図示せず)のRC時定数Tth1は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっている。一方、複数の第4時定数回路のうち第5時定数回路以外の1または複数の第6時定数回路(図示せず)のRC時定数Tth2は、50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっている。
【0030】
例えば、RC時定数回路22Aが、2つの第4時定数回路を含んでおり、一方の第1時定数回路(第5時定数回路)のRC時定数Tth1が20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、他方の第4時定数回路(第6時定数回路)のRC時定数Tth2が50nsecを超える値(典型的には、300nsec以上1500nsec以下)となっているとする。このとき、補正回路22は、以下の数4に示すアシスト電流IA(t)を出力するようになっている。
【数4】
【0031】
数4中のImax(t)は、以下の数5で表される。Imax(t)は,アシスト電流IA(t)の最大値を規定するものである。数5中のf(t)は、以下の数6で表される。f(t)は、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子の変動に対応した変動を示すものである。従って、補正回路22は、まるで、活性層53の温度変動をリアルタイムにモニタリングしているかのような、精度の高い補正を行うことを可能にしている。
【数5】
【数6】
【0032】
uはRC時定数Tth1に関する項に対する重みであり、アシスト電流IA(t)においてRC時定数Tth1は支配的であることから、0.5よりも大きな値となっている。 数6中の左辺に含まれるtは、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点またはオフ期間の開始時点を指している。
【0033】
レーザ駆動回路20では、例えば、図2に示したように、電流源21および補正回路22の出力端子は互いに接続されている。従って、レーザ駆動回路20は、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))を出力するようになっている。これにより、例えば、電流源21の出力だけを半導体レーザに印加したときに、半導体レーザの光出力のパルス波形が、図5(A)に示したように、電流源21から出力された電流パルスの波形と比べて鈍ってしまう場合に、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルスを半導体レーザに印加することにより、例えば、図5(B)に示したように、半導体レーザの光出力のパルス波形を矩形に近づけることが可能となる。
【0034】
[動作]
このような構成の発光装置1では、電流源21から矩形状の電流パルス(電流Iop-none(t))が出力される(図10(A))。このとき、補正回路22では、RC時定数回路22Aを用いて、電流源21から出力された電流パルス(電流Iop-none(t))の波高値を経時的に減衰させる減衰度を規定するg(t)や、半導体レーザ内(活性層53内)に残存する熱因子の変動に対応した変動を示すf(t)(図10(B))、アシスト電流IA(t)の最大値を規定するImax(t)が導出される(図10(C))。続いて、補正回路22において、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点(t2n)でImax(t2n)の値を保持し、さらに、その値を起点にしてg(t)に従って減衰させるアシスト電流IA(t)が導出されたのち(図10(D))、補正回路22からアシスト電流IA(t)が出力される。その後、レーザ駆動回路20によって、電流源21の出力と、補正回路22の出力とを互いに重ね合わせた電流パルス(Iop(t)=Iop-none(t)+IA(t))が半導体レーザ装置31に印加される(図10(E))。これにより、半導体レーザ装置31から、例えば、図5(B)に示したような矩形状の光出力が外部に射出される。
【0035】
[原理]
次に、半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づく理由について説明する。図6は、半導体レーザ装置31に含まれている面発光型の半導体レーザの熱回路を表したものである。基板51の温度をTo、熱容量をCth、熱抵抗をRth、任意の時刻tにおける活性層53の温度(活性層温度)をTact(t)、バイアス電流(<閾値電流)による素子温度の上昇量をTel(t)、注入したエネルギーをPel、光出力をPoutとすると、活性層温度Tact(t)に関する熱方程式は、以下の数7,数8のように表される。なお、RthCthは熱時定数である。
【数7】
【数8】
【0036】
上記の数7,数8を解くと、上記の数7,数8は、以下の数9,数10に変形することができる。
【数9】
【数10】
【0037】
数9中のt2n(nは0以上の整数)は、図7に示したように、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオン期間の開始時点を指している。一方、数10中のt2n+1は、図7に示したように、半導体レーザをオンオフ駆動したときのオフ期間の開始時点を指している。数9中のτは、数9のTact(t)と数10のTact(t)とを連続に保つ係数である。なお、熱時定数RthCthの値を1μsecとしたときに、数9,数10をグラフに表すと、図8(A)のようになる。
【0038】
ところで、一般に、面発光型の半導体レーザでは、キャビティ長が1λ〜2λ(λは発振波長)程度と、極めて微小であることから、発振波長はキャビティ長によって固定される。そのため、面発光型の半導体レーザは、活性層53の発光波長(利得が最大となる波長)とは異なる波長で発振することが可能である。従って、波長デチューニングΔλの設計しだいで、閾値電流が最小となる素子温度を任意に選択することができる。もっとも、現実的には、閾値電流が最小となる素子温度は、0℃〜60℃の範囲内の値となる。
【0039】
高温側で十分な光出力を得たい場合には、波長デチューニングΔλを大きく設計する必要がある。例えば、活性層53が赤色系の材料(GaInPまたはAlGaInP)を含んで構成された660nm〜680nm帯の面発光型の半導体レーザでは、波長デチューニングΔλを19nm程度にすれば、素子温度Toが50℃程度で、閾値電流が極小となる。ところで、閾値電流が温度依存性を持つということは、一定電流下の光出力もまた、温度依存性を持つということである。例えば、図8(B)に示したように、波長デチューニングΔλが19nmで設計された面発光型の半導体レーザの場合には、素子温度Toが50℃ぐらいで最大の光出力となり、素子温度Toが50℃前後である場合には、光出力が減少する。これにより、光出力の時間変化を描くことができる。図8(A)〜(C)に示したように、AからBに移行するときには、活性層温度Tact(t)が上昇すると共に、光出力Poutも上昇し、電流がオフしている期間にBからCに移行すると、活性層温度Tact(t)が減少し、このタイミングで光出力Poutがゼロとなる。
【0040】
このように、熱方程式と、光出力Poutの活性層温度依存性とから、光出力Poutの時間変化を導くことができる。そこで、例えば、図9に示したように、この結果(計算値)と、実際の測定によって得られた光波形(実測値)とを比較してみた。すると、熱時定数RthCthを800nsecとしたときに、両者が、パルス立ち上がり後、数100nsec以降において一致することがわかった。しかし、パルス立ち上がり時においては、両者は一致しないことがわかった。パルス立ち上がり時は、熱時定数RthCthが800nsecよりも一桁以上小さな値(おおよそ、20nsec以上50nsec以下)で変化していることがわかった。
【0041】
光波形に2つの時定数が存在するのは、パルス立ち上がり後と、パルス立ち上がり時とにおいて、面発光型の半導体レーザにおける発熱状態が異なっているのが原因である考えられる。パルス立ち上がり後では、面発光型の半導体レーザにおけるメサ全体が発熱しており、そのために時定数が大きくなっていると考えられる。一方、パルス立ち上がり時では、活性層が局所的に発熱しており、そのために時定数が小さくなっていると考えられる。熱方程式は、メサ全体が発熱していることを前提としていることから、パルス立ち上がり時の光波形を正確に表現しきれていない。
【0042】
[効果]
そこで、本実施の形態では、上述したように、補正回路22内のRC時定数回路22Aにおいて、時定数の互いに異なる複数の時定数回路(第2時定数回路、第3時定数回路)が設けられている。これにより、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源21から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路22Aを含む補正回路22を用いて半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正することができる。このように、本実施の形態では、RC時定数回路22Aを用いることにより、電流源21から出力された電流パルスの波形のうち立ち上がり後の緩やかなスロープの部分だけでなく、立ち上がり時の急激にカーブする部分についても、矩形に近づけることができる。その結果、波長デチューニングΔλに起因する光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、補正回路22において、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークが、素子温度To(周囲温度)を決定する因子Voに応じて変化する。これにより、環境温度(例えば、プリンタ筐体内の温度)が変化し、それに伴って波長デチューニングΔλに変化が生じた場合であっても、光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0044】
また、本実施の形態では、補正回路22において、電流源21から出力された電流パルスの波高値が活性層53の温度変動に対応して変動する。これにより、電流源21から電流パルスが連続して出力され、半導体レーザ内(活性層53内)に熱因子が残存している場合であっても、当該電流パルスの波高値の補正量を適切な値に設定することができる。その結果、電流源21が電流パルスを連続して出力しているときであっても、光出力の波形鈍りを低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、補正回路22において、オフセット電圧Voffsetの値を調整するか、または、アシスト電流因子VAを電流値に変換する定数κの値を調整することにより、電流源21から出力された電流パルスの波高値のピークを、波長デチューニングΔλの大きさに応じて変化させることが可能となっている。いずれの値を調整するかは、温度変化に対する光出力の変動の傾向から判断することが好ましい。例えば、製造バラツキによって、面発光型の半導体レーザの電流狭窄径が所望の値よりも大きくなってしまったとする。この場合には、温度変化に対する光出力の変動量が大きくなる(つまり、光出力の温度依存性が高くなる)ので、定数κの値を調整することが好ましい。また、例えば、製造バラツキによって、面発光型の半導体レーザの波長デチューニングΔλが大きくなったとする。この場合には、光出力が最大となる温度が高温側にシフトする(つまり、光出力の温度依存性が高温側にシフトする)ので、オフセット電圧Voffsetの値を調整することが好ましい。このように、本実施の形態では、温度変化に対する光出力の変動の傾向に基づいて、好ましい補正方法を選択することができるので、光出力の波形鈍りを確実に低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…発光装置、10…システム制御回路、20…レーザ駆動回路、21…電流源、22…補正回路、22A…RC時定数回路、30…光学系、31…半導体レーザ装置、32…サーミスタ、33…コリメートレンズ、34…対物レンズ、51…基板、52…レーザ構造部、53…活性層、f(t)…変動、g(t)…減衰度、IA(t)…アシスト電流、Iop-none(t)…電流、Imax(t)…最大値、Pel…エネルギー、Pout…光出力、RthCth…熱時定数、t2n…オン期間の開始時点、t2n+1…オフ期間の開始時点、Tact(t)…活性層温度、Tel(t)…素子温度の上昇量、TA1,TA2,Tth1,Tth2…時定数、To…素子温度、VA…アシスト電流因子、Vib,ViOP,Vo…因子、Voffset…オフセット電圧、Δλ…波長デチューニング、κ…定数、ν…重み。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RC時定数回路を有し、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する
補正回路。
【請求項2】
前記電流パルスの波形を、前記電流パルスの波高値が前記RC時定数回路のRC時定数に応じて経時的に減衰するように補正する
請求項1に記載の補正回路。
【請求項3】
前記RC時定数回路は、前記電流パルスの波高値を経時的に減衰させる複数の第1時定数回路を含み、
各第1時定数回路のRC時定数は、互いに異なっており、
前記複数の第1時定数回路のうち少なくとも1つの第2時定数回路のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、
前記複数の第1時定数回路のうち前記第2時定数回路以外の1または複数の第3時定数回路のRC時定数は、50nsecを超える値となっている
請求項2に記載の補正回路。
【請求項4】
前記半導体レーザは、一対の多層膜反射鏡で活性層を挟み込んだ垂直共振器構造を有し、
当該補正回路は、前記電流パルスの波形を、前記電流パルスの波高値が前記活性層の温度変動に対応して変動するように補正する
請求項3に記載の補正回路。
【請求項5】
前記RC時定数回路は、前記電流パルスの波高値のピークを調整する複数の第4時定数回路を含み、
各第4時定数回路のRC時定数は、互いに異なっており、
前記複数の第4時定数回路のうち少なくとも1つの第5時定数回路のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、
前記複数の第4時定数回路のうち前記第5時定数回路以外の1または複数の第6時定数回路のRC時定数は、50nsecを超える値となっている
請求項4に記載の補正回路。
【請求項6】
当該補正回路は、前記電流パルスの波高値のピークを、周囲温度、バイアス電流、および駆動電流に応じて変化させる
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項7】
前記半導体レーザは、一対の多層膜反射鏡で活性層を挟み込んだ垂直共振器構造を有し、
当該補正回路は、前記電流パルスの波高値のピークを、前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングの大きさに応じて変化させる
請求項6に記載の補正回路。
【請求項8】
当該補正回路は、周囲温度、バイアス電流、および駆動電流に応じて設定された電圧値を電流値に変換する変換定数の値を調整することにより、前記電流パルスの波高値のピークを変化させる
請求項6に記載の補正回路。
【請求項9】
前記活性層は、GaInPまたはAlGaInPを含み、
前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングが、15nm以上となっている
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項10】
前記活性層は、GaAsまたはAlGaAsを含み、
前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングが、13nm以上となっている
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項11】
面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源と、
RC時定数回路を有し、前記電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する補正回路と
を備えた駆動回路。
【請求項12】
1または複数の面発光型の半導体レーザと、
前記半導体レーザをパルス駆動する電流源と、
RC時定数回路を有し、前記電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する補正回路と
を備えた発光装置。
【請求項13】
面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を含む補正回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する
電流パルス波形の補正方法。
【請求項1】
RC時定数回路を有し、面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する
補正回路。
【請求項2】
前記電流パルスの波形を、前記電流パルスの波高値が前記RC時定数回路のRC時定数に応じて経時的に減衰するように補正する
請求項1に記載の補正回路。
【請求項3】
前記RC時定数回路は、前記電流パルスの波高値を経時的に減衰させる複数の第1時定数回路を含み、
各第1時定数回路のRC時定数は、互いに異なっており、
前記複数の第1時定数回路のうち少なくとも1つの第2時定数回路のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、
前記複数の第1時定数回路のうち前記第2時定数回路以外の1または複数の第3時定数回路のRC時定数は、50nsecを超える値となっている
請求項2に記載の補正回路。
【請求項4】
前記半導体レーザは、一対の多層膜反射鏡で活性層を挟み込んだ垂直共振器構造を有し、
当該補正回路は、前記電流パルスの波形を、前記電流パルスの波高値が前記活性層の温度変動に対応して変動するように補正する
請求項3に記載の補正回路。
【請求項5】
前記RC時定数回路は、前記電流パルスの波高値のピークを調整する複数の第4時定数回路を含み、
各第4時定数回路のRC時定数は、互いに異なっており、
前記複数の第4時定数回路のうち少なくとも1つの第5時定数回路のRC時定数は、20nsec以上50nsec以下の範囲内の値となっており、
前記複数の第4時定数回路のうち前記第5時定数回路以外の1または複数の第6時定数回路のRC時定数は、50nsecを超える値となっている
請求項4に記載の補正回路。
【請求項6】
当該補正回路は、前記電流パルスの波高値のピークを、周囲温度、バイアス電流、および駆動電流に応じて変化させる
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項7】
前記半導体レーザは、一対の多層膜反射鏡で活性層を挟み込んだ垂直共振器構造を有し、
当該補正回路は、前記電流パルスの波高値のピークを、前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングの大きさに応じて変化させる
請求項6に記載の補正回路。
【請求項8】
当該補正回路は、周囲温度、バイアス電流、および駆動電流に応じて設定された電圧値を電流値に変換する変換定数の値を調整することにより、前記電流パルスの波高値のピークを変化させる
請求項6に記載の補正回路。
【請求項9】
前記活性層は、GaInPまたはAlGaInPを含み、
前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングが、15nm以上となっている
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項10】
前記活性層は、GaAsまたはAlGaAsを含み、
前記活性層の発光波長と前記垂直共振器構造の発振波長との差分である波長デチューニングが、13nm以上となっている
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の補正回路。
【請求項11】
面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源と、
RC時定数回路を有し、前記電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する補正回路と
を備えた駆動回路。
【請求項12】
1または複数の面発光型の半導体レーザと、
前記半導体レーザをパルス駆動する電流源と、
RC時定数回路を有し、前記電流源から出力された電流パルスの波形を、前記RC時定数回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する補正回路と
を備えた発光装置。
【請求項13】
面発光型の半導体レーザをパルス駆動する電流源から出力された電流パルスの波形を、RC時定数回路を含む補正回路を用いて前記半導体レーザの光出力のパルス波形が矩形に近づくように補正する
電流パルス波形の補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−71330(P2011−71330A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221255(P2009−221255)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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