説明

製剤

本発明は、微粒子製剤およびモノリシックインプラント製剤を含む、アナストロゾールが組み込まれた徐放性アナストロゾール製剤、さらにとりわけ生分解性ポリマー、典型的にはポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーに関する。本発明はまた、上記製剤を使用した治療の方法、とりわけ乳癌の治療のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、微粒子製剤およびモノリシックインプラント(monolithic implant)製剤を含む、アナストロゾールが組み込まれる徐放性(slow release)アナストロゾール製剤、さらにとりわけ生分解性ポリマー、典型的にはポリラクチドポリマーおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーに関する。本発明はまた、上記製剤を使用した治療の方法、とりわけ乳癌の治療のための方法に関する。
【0002】
アナストロゾール(ArimidexTM)はアロマターゼ阻害剤であり、アロマターゼ阻害剤は組織中でエストロゲン合成を阻害する化合物群である。これらの化合物は、副腎アンドロゲン(アンドロステンジオンおよびテストステロン)からエストロゲン(エストロゲンおよびエストラジオール)への変換を触媒する、酵素アロマターゼを阻害することによってエストロゲン生合成を妨げる。アナストロゾールは選択性が高く、よく許容され、進行した乳癌を治療することにおいて効果的な非ステロイド性のアロマターゼ阻害剤である(Buzdar et al 1995,5 The Breast 4(3):256−257 Abs 104;Jonat et al 1995,European Journal of Cancer 32A(3):404−412;Plourde et al 1995,Journal of Steroid Biochemistry53:175−179)。(Arimidexによる臨床経験に関するさらなる情報は、Arimidexの処方情報シートの中に見いだすことができる)。アナストロゾールは米国特許RE366717号に記載され、これを参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0003】
ポリラクチドおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを使用した多数の持続放出性(prolonged release)製剤が公知である。例えば、EP 058 481は生分解性ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーおよびLH−RHアゴニストを含むモノリシックインプラントを記載する。
【0004】
アナストロゾールは現在、即時放出1mg経口錠剤として毎日与えられる。患者は最適な治療的利益を受けるために毎日アナストロゾールを服用することが重要である。しかし、とりわけ治療の経過が長期、または中程度の期間、または生涯の期間である場合、患者によるそのような毎日の投薬計画のコンプライアンスを保証することは困難である。したがって、患者のコンプライアンス/利便性を改善し、患者に最適な治療的利益を与えるためにアナストロゾールの持続放出性製剤に対する必要性が存在する。モノリシックインプラントおよび微粒子製剤のような持続放出性剤形中に化合物を配合することは、さらに別の利益を提供する。例えば、持続放出性製剤の形態における薬物の、頻度の少ない投薬は血漿中の濃度−時間特性における変動を効果的に平坦化する。そのような血漿中の特性の平坦化は、薬物の治療効果を改善するだけでなく、何らかの望ましくない副作用を軽減する可能性を有する。持続放出性製剤の、とりわけ腫瘍の適用にとって重要なさらなる利点は、毎日病気を思い出させないようにすることによってそれが与える、‘生活の質(quality of life)’における改善である。
【0005】
慣用の経口治療に優るそのようなインプラントまたは微粒子製剤についての患者の支持を得るために、製剤が注入時に僅かな不快感を引き起こすに過ぎないことが重要である。したがって、できるだけ少量の製剤、すなわち、微粒子または小さいサイズのインプラントを低い注入量で投与することは、非常に有益である。1mg/日の経口投薬でこれを達成するためには、製剤は高い重量百分率のアナストロゾールを含む必要がある。しかし、アナストロゾールは分子量293.4ダルトン、および25℃での水に対する溶解度は0.53mg/mlである。そのような溶解度の低分子量化合物は持続放出性製剤の形成に理想的に適しているとはいえない。これは、初期の急激な大量の薬物放出および短い期間だけの薬物放出を伴うin vivoでの低レベルの薬物送達が、そのような化合物を含む微粒子またはインプラント製剤において典型的に予想されるためである。製剤が高いレベルの薬物および低いレベルの速度改変ポリマーを含む場合、効果は増強される。その上、持続放出性微粒子製剤を製造するために使用される、多くの最も確立された製造方法は、水性溶媒を利用する。これらの方法の場合、アナストロゾールのような低分子量水溶性化合物は、カプセル化工程中にこれらの水性相に分配する傾向があり、低いカプセル化効率および低い薬物負荷の原因となる。
【0006】
我々は驚くべきことに、水性の生体型環境に置かれた場合、少なくとも10日間にわたりアナストロゾールを放出するポリラクチドおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーを使用したアナストロゾールの持続放出性製剤を製造することが可能であることを見いだした。
【0007】
本発明の第1の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤は水性の生体型環境に置かれた場合、少なくとも10日間にわたり継続的にアナストロゾールを放出する。
【0008】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで:
(i)以下の表で示されたラクチド対グリコリドの比におけるアナストロゾール負荷の場合、ポリマーの平均分子量は表に示された数字より大きく:
【0009】
【表1】

【0010】
そして
(ii)30%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は65:35またはそれ以上であり、そして40%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は85:15またはそれ以上である。
【0011】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで:
(i)以下の表で示されたラクチド対グリコリドの比におけるアナストロゾール負荷の場合、平均分子量は表に示された数字より大きく:
【0012】
【表2】

【0013】
そして
(ii)30%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は65:35またはそれ以上であり、そして40%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は85:15またはそれ以上である。
【0014】
例えば、アナストロゾール負荷が20%より多く、そしてラクチド/グリコリド比が50:50〜65:35の場合、ポリマーまたはコポリマーの分子量は25,000ダルトンより大きい。
【0015】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここでポリマーの最小平均分子量は以下の式:
MW=−71.88+25.0(0.5+tanh(14.3(f−0.33)))+84.5(f+1.08)−12.8(f+1.08)
(式中、fは1.0が100%、すなわち5%は0.05として表されるアナストロゾールの割合であり;そして
は1.0が100%、すなわち50%は0.5として表されるグリコリドの割合である)から計算することができる。
【0016】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜65重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤はモノリシックインプラントであり、そして持続放出性製剤は水性の生体型環境に置かれた場合、少なくとも10日間にわたり継続的にアナストロゾールを放出する。
【0017】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜65重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤はモノリシックインプラントであり、そして以下の表で示されたラクチド対グリコリドの比におけるアナストロゾール負荷の場合、平均分子量は表に示された数字より大きい:
【0018】
【表3】

【0019】
本発明の別の側面によれば、以下:
(iv)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(v)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(vi)製剤の総重量に基づいて約10〜65重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤はモノリシックインプラントであり、そしてポリマーの最小平均分子量は以下の式:
MW=9.937−13.0(f+0.547)+5.684(f+0.547)−9.89(f−0.177)+78.95(f−0.177)+83.25(f*f
(式中、fは1.0が100%、すなわち5%は0.05として表されるアナストロゾールの割合であり;そして
は1.0が100%、すなわち50%は0.5として表されるグリコリドの割合である)から計算することができる。
【0020】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾールを含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤は微粒子製剤であり、そして持続放出性製剤は水性の生体型環境に置かれた場合、少なくとも10日間にわたり継続的にアナストロゾールを放出する。
【0021】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤は微粒子製剤であり、そして:
(i)以下の表で示されたラクチド対グリコリドの比におけるアナストロゾール負荷の場合、平均分子量は表に示された数字より大きく:
【0022】
【表4】

【0023】
そして
(ii)30%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は65:35またはそれ以上であり、そして40%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は85:15またはそれ以上である。
【0024】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドの比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤は微粒子製剤であり、そして:
(i)以下の表で示されたラクチド対グリコリドの比におけるアナストロゾール負荷の場合、平均分子量は表に示された数字より大きく:
【0025】
【表5】

【0026】
そして
(ii)30%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は65:35またはそれ以上であり、そして40%より多いアナストロゾール負荷の場合、ラクチド/グリコリド比は85:15またはそれ以上である。
【0027】
本発明の別の側面によれば、以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50の比のラクチド対グリコリド;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾールを含む持続放出性製剤が提供され、ここで持続放出性製剤は微粒子製剤であり、そしてポリマーの最小平均分子量は以下の式:
MW=−71.88+25.0(0.5+tanh(14.3(f−0.33)))+84.5(f+1.08)−12.8(f+1.08)
(式中、fは1.0が100%、すなわち5%は0.05として表されるアナストロゾールの割合であり;そして
は1.0が100%、すなわち50%は0.5として表されるグリコリドの割合である)から計算することができる。
【0028】
本発明の製剤はインプラントおよび微粒子製剤を含む。
微粒子は一般に粉末であり、実質的に直径が2ミリメーターまたはそれ未満、通常直径が500ミクロンまたはそれ未満の固体球形粒子からなる。微粒子は粒子の全体に分散した、または溶解したその活性な薬剤を有する;すなわち、内部構造は薬剤と賦形剤、通常はポリマー系の賦形剤、のマトリックスである。生分解性制御放出の微粒子、例えばポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)に基づいたものは、典型的には薬物拡散およびポリマー浸食の組み合わせによりそれらの薬剤を放出し、それはしばしば多相放出、すなわち一部の薬物が放出される第1の期間、より少ない薬物が放出される第2の短い期間、および薬物の残りの大部分が放出される第3の期間を含む放出を示す。薬物負荷、コポリマーを調製するために使用されるラクチド/グリコリドの比、分子量およびポリマーの結晶度のようなパラメータを変化させることにより、またはポリラクチドとPLGAポリマーの混合物を使用することにより、薬物拡散およびポリマー浸食速度が制御され、時にはゼロ次に近い特性を得ることができる[さらなる情報に関しては、読者はBiodegradables and delivery systems for contraception,E.S.E Hafez and W.A.A van Os編,MTP Press Ltd.,Lancaster,UK 1980またはBiodegradable Polymers as Drug Delivery Systems,M. Chasin and R. Langer編,Marcel Dekker,Inc.,New York 1990の中のControlled Release of Bioactive Agents from Lactide/Glycolide Polymers. D. H. Lewisのような、当該技術分野の標準テキストを参照されたい]。
【0029】
以後、微粒子という用語は、一般に薬剤と賦形剤のマトリックスを含む内部構造を持つマイクロスフェア、マイクロカプセルおよび粒子を含むことになる。
微粒子を調製するための多様な方法が文献に記載されている。これらの方法のいくつかは微粒子を作製するため、とりわけ直径2ミリメートル未満の微粒子を作製するためにエマルションを使用する。そのような方法の一般的な例を示すために、適切な有機溶媒(ポリマー溶媒)中にポリマーを溶解し、このポリマー溶液に薬剤を溶解するか、もしくは分散させ、得られたポリマー/薬剤混合物を水性相(プロセッシングメディウム)に分散させて、プロセッシングメディウムに分散したオイルマイクロドロップレットを含む水中油型エマルションを得て、マイクロドロップレットから溶媒を除去し、微粒子を形成することができる。これらの方法はまた、油中水型エマルションおよびダブルエマルション:すなわち水中油中水型(water−in−oil−in−water)エマルションにより行うことができる。この基本的アプローチに続くエマルションを基礎にした方法の使用はいくつかの米国特許に記載される。例えば、米国特許第4,384,975号は、エマルションを形成し、その後真空蒸留によりエマルション中の微粒子からポリマー溶媒をゆっくり除去することによる微粒子の生産を記載する。別の例としては、米国特許第3,891,570号は、製造容器中で加熱するか、または減圧することにより、エマルション中のマイクロドロップレットからポリマー溶媒が除去される方法を開示する。さらに別の例、米国特許第4,389,330号では、真空蒸留によりエマルション中のマイクロドロップレットからポリマー溶媒が部分的に除去され(好ましくはポリマー溶媒の40〜60%)、その後ポリマー溶媒の残りが抽出され、微粒子を固体化させる。
【0030】
上記の方法の主な不都合な点は、微粒子が硬化する前に、低分子量の水溶性化合物がマイクロドロップレットから水性相に分配され、薬物カプセル化効率を低下させやすいことである。別のアプローチは、溶媒抽出法を使用することであり、該方法はマイクロドロップレットからのポリマー溶媒の速やかに抽出し、微粒子をより急速に硬化させ、そうして水性相への薬物の分配を減少させることを含む(実施例3を参照されたい)。非エマルションを基礎にする方法、例えば相分離、スプレードライ(噴霧乾燥)およびスプレーチリング(噴霧冷却)を使用して、微粒子を調製することも可能である[そのような方法に関する情報に関しては、読者はMicroencapsulation,Methods and Industrial Applications,Simon Benita編,Marcel Dekker,Inc.,New York 1996中のBiodegradable Microspheres:Advances in Production Technology.J.Benoit and H. Marchais.のような当該技術分野の標準テキストを参照されたい]。
【0031】
微粒子は適切な媒体(vehicle)を使用して投与される。媒体は滅菌水、リン酸緩衝生理食塩水、または微粒子を投与するための他の慣用の媒体であってもよい。微粒子の凝集を低下させるために添加剤が存在してもよい。都合のよいことに、マンニトールが媒体の約4〜7重量%存在してもよい。他の生理的に受容できる添加剤としては、存在する場合、媒体の約0.05〜0.2重量%で存在することになる非イオン性界面活性剤、例えばTween,ポリソルベートなど、媒体の約0.1〜1重量%の範囲で粘度強化剤、例えばカルボキシメチルセルロース、および適宜、他の慣用の添加剤を含んでもよい。微粒子は使用直前に媒体中に分散される。
【0032】
モノリシックインプラントのようなインプラントは、薬剤がマトリックス全体にわたって溶解、または分散する固体構造である;すなわち、内部構造は薬剤と賦形剤のマトリックスである。そのようなインプラントは、典型的には約0.5mmより大きい、より好ましくは1mm〜30mmの大きさを有するユニタリ構造を有し、そして典型的には14または16ゲージ針を介して送達を促進するための直径を有する。インプラントの形状およびサイズはインプラントを調製するために使用される方法、患者にインプラントを挿入するために使用される手段、製剤の組成、ならびに必要とするアナストロゾールの投薬量および放出特性に依存することになる。インプラントの挿入は、インプラントのサイズに依存して、切開または大きな内径の針を介して行うことができる。適切な形状は、スラブ、ディスク、シリンダー、ロッド、球またはペレットを含む。シリンダー状ロッドの形状は、針またはトロカールのような慣用の外科器具を使用して患者への皮下埋め込みのための都合のよい形状を提供する。
【0033】
生分解性持続放出性モノリシックインプラント、例えばポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)に基づいたものは、典型的には薬物拡散およびポリマー浸食の組み合わせによりそれらの薬剤を放出し、それはしばしば多相放出、すなわち一部の薬物が放出される第1の期間、より少ない薬物が放出される第2の短い期間、および薬物の残りの大部分が放出される第3の期間を含む放出を示す。薬物負荷、コポリマーを製造するために使用されるラクチド/グリコリドの比、分子量およびポリマーの結晶度のようなパラメータを変化させることにより、またはポリラクチドとPLGAポリマーの混合物を使用することにより、薬物拡散およびポリマー浸食速度が制御され、時にはゼロ次に近い特性を得ることができる[さらなる情報に関しては、読者は上記の微粒子のもとで参照したように、標準テキストを参照されたい]。
【0034】
インプラントは標準法、例えば圧縮成形、射出成形、およびスクリュー押し出しによって製造することができる。[そのような情報に関するさらなる情報に関しては、読者はBiodegradable Polymers as Drug Delivery Systems,M. Chasin and R. Langer編,Marcel Dekker,Inc.,New York 1990の中のControlled Release of Bioactive Agents from Lactide/Glycolide Polymers. D. H. Lewisのような当該技術分野の標準テキストを参照されたい]。
【0035】
インプラントは、製剤が約−10℃〜約−100℃の温度に保たれるようにドライアイスまたは液体窒素で冷却しながら破砕または粉砕することにより、あるいは室温またはそれより低い温度でいずれか慣用の粉砕法により、粉末に粉砕して微粒子を形成することもできる。注入可能な粒子サイズ(例えば0.1〜1000μm)を有する粉砕された材料は注入のために適切な媒体に懸濁することができる。
【0036】
‘約’という用語は、製剤中のアナストロゾールの割合に関係する場合、製剤の±5%重量パーセント、とりわけ製剤の±2%重量パーセントを表す。
‘約’という用語は製剤からのアナストロゾールの放出期間に関係する場合、±2日、とりわけ±1日、さらにとりわけ±12時間を表す。
【0037】
‘約’という用語はポリマーの分子量に関係する場合、±5kDa、とりわけ±2kDa、さらにとりわけ±1kDaを表す。
本明細書で使用する“水性の生体的環境”という用語は、温血動物の身体、とりわけヒト、そしてとくにそのような身体の皮下環境を表す。これらの状態は、35〜40℃の温度において、場合により生理的pHに緩衝液で調節された水性溶解メディウム中に製剤を置くことにより、in vitroでシミュレーションされてもよい。適切な溶解メディウムは、リン酸バッファー、例えばリン酸緩衝生理食塩水またはMcIlvainesクエン酸リン酸を使用して約7.4のpHに緩衝された生理食塩水を含む。好ましくは、水性溶解メディウムは37℃±2℃の温度で維持される。与えられた期間にわたり放出されるアナストロゾールの量は、溶解メディウムを抜き取り、例えばHPLCのような適切な分析法を使用してアナストロゾールの濃度を測定することにより特定してもよい。
【0038】
本明細書で使用する“継続して”という用語は、水性の生体的環境に埋め込みまたは注入後、少なくとも10日間のインプラントまたは微粒子製剤からのアナストロゾールの連続的な放出を表す。アナストロゾールの放出速度は少なくとも10日の期間中変化してもよく、例えばアナストロゾールの短い“初期の急激な放出”が埋め込み/注入後すぐに観察され、より遅い放出が続いてもよい。しかし、埋め込みまたは注入後少なくとも10日間に、インプラントまたは微粒子製剤からのアナストロゾールの放出がin vivoにおけるアナストロゾールレベルを維持するために不十分である期間は全くない。アナストロゾールの放出の好ましいレベルとしては、水性生体的環境にインプラントまたは微粒子製剤が置かれた場合、少なくとも1日につき0.25mg、とりわけ少なくとも1日につき0.5mg、さらにとりわけ1日につきアナストロゾール約1mgが挙げられる。好ましくは、アナストロゾールの放出速度は、少なくとも10日間の大部分において、だいたい一定であるが、いつも継続的である。
【0039】
‘kDa’という用語はキロダルトンを表す。
本発明の製剤は乳酸およびグリコール酸のポリマーを含む。
ポリラクチドポリマーはホモポリマーであり、該ポリマーのすべての反復ユニットは式(1):
【0040】
【化1】

【0041】
に由来する。反復ユニットはD−配置またはL−とD−配置の混合物のポリマーから選択される。好ましくは、式(1)の反復ユニットはL−およびD−配置の混合物を含む。ポリマーがL−およびD−配置の反復ユニットの混合物を含む場合、ポリマーのL−対D−ユニットの比は好ましくは25:75〜75:25、より好ましくは30:70〜70:30,そしてとりわけおよそ1:1である。
【0042】
ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーのそれぞれのポリマー鎖は好ましくは1つのヒドロキシ基および1つの−COOH基によって停止する。しかし、本発明の態様において、他の末端基の存在が製剤からのアナストロゾールの放出に悪影響を与えないならば、そのような末端基が存在してもよい。ポリマーに存在してもよい−OHまたは−COOH以外の適切な末端基としては、適切な酸またはアルコールとポリマーの−OHおよび/または−COOH末端基との反応によって形成されるエステルが挙げられる。適切なエステルには、アルキル(好ましくはC1〜4−アルキル)またはアラルキル(好ましくはベンジル)エステルが挙げられる。
【0043】
ポリラクチドポリマーは単一のポリラクチドホモポリマーまたは2種以上のポリラクチドホモポリマーの混合物を含んでよい。2種以上のポリラクチドポリマーの混合物、または2種以上のポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーまたはポリラクチドポリマーおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)の混合物を使用して、製剤からのアナストロゾールの放出速度の更なる制御を提供でき、それによって生体型環境下でのインプラントのライフタイム全般にわたり、さらに一定の放出速度を提供することができる。ポリマーの混合物は、アナストロゾールの放出特性における“フラットスポット(flat spots)”を最小限度にするため使用することもでき、それによって製剤からのアナストロゾールの滑らかで安定した放出を提供することができる。
【0044】
ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーは公知の方法を使用して調製してもよい。ポリラクチドおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマー調製のための好ましい方法は、2つの乳酸または2つのグリコール酸ユニット、すなわちラクチドおよびグリコリドそれぞれから構成される複素環モノマーの開環重合である。開環重合はポリマー技術分野で公知の条件を使用して、高温条件下、および適切な触媒の存在下で行われる。
【0045】
開環重合のための適切な触媒には、亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、p−トルエンスルホン酸、アンチモン触媒、例えばアンチモントリフルオリド、または有機スズ触媒、例えば、オクタン酸第一スズ(stannousoctoate)(2−エチルヘキサン酸第一スズ(stannous 2−ethylhexanoate))または塩化スズ(tin chloride)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
開環重合にとって適切な反応温度は約120℃〜約240℃、より好ましくは140℃〜200℃である。開環重合は好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間かけて行われる。
【0047】
好ましくは、開環重合反応は、適切な連鎖停止剤の存在下で行われ、それによって結果として生じるポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーのMWを制御する。適切な連鎖停止剤には、水、乳酸のようなヒドロキシ−カルボン酸またはC1〜6−アルカノールのようなアルコールが挙げられる。[適切な方法に関するさらなる情報に関しては、読者はEncyclopedia of Controlled Drug Delivery 1巻,E Mathiowitz編,Wiley−Interscience,New York 1999の中のBiodegradable Polymers:Polyesters.S.Li and M.Vert.またはHandbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology,Donald L. Wise編,Marcel Dekker,Inc.,New York,2000の中のPolylactic and Polyglycolic Acids as Drug Delivery Carriers.L.Brannon−Peppas and M.Vert. のような当該技術分野の標準テキストを参照されたい]。
【0048】
ポリラクチドおよびポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーを調製するために使用される方法は、典型的には個々のポリラクチドポリマー鎖の混合物に帰着し、それらの多くは異なる鎖長からなる。ポリマーの多分散度(polydispersity)はそのような混合物中における鎖長の広がりの指標を提供し、そして重量平均分子量(MW)と数平均分子量(Mn)の比であると定義される。適切には、ポリマーの多分散度は1.3〜4.5である。
【0049】
本発明のとりわけ新規な製剤は、例えば特徴が以下に定義される意味のいずれかを含む製剤である:−
(a)製剤は、モノリシックインプラント製剤のような、固体インプラントである;
(b)製剤は、典型的には約0.5mmより大きい、とりわけ1mm〜30mmの大きさと、インプラントが14または16ゲージ針を使用して送達されうるような直径を有するモノリシックインプラント製剤である。
(c)製剤は、モノリシックインプラント製剤であり、そしてスラブ、ディスク、シリンダー、ロッド、球またはペレット、とりわけシリンダー状のロッドである;
(d)製剤は微粒子製剤である。
(e)製剤は平均直径が500ミクロンより小さい、とりわけ直径が300ミクロン未満、さらにとりわけ直径が200ミクロン未満の微粒子製剤である。
(f)ポリラクチドポリマーの重量平均分子量は:
(i)9,000〜44,000ダルトン;
(ii)11,000〜44,000ダルトン;または
(iii)21,000〜31,000ダルトンである。
【0050】
ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの重量平均分子量は:
(i)9,000〜44,000ダルトン;
(ii)11,000〜44,000ダルトン;または
(iii)21,000〜31,000ダルトンである。
【0051】
ポリマーの重量平均分子量(MW)は、MW200〜400kDaの直線範囲を有する2×30cm混合ベッド‘D’s PLGelカラム(納入業者:Polymer Laboratories)を備えた、テトラヒドロフラン(THF)中のポリマー溶液を使用したサイズ排除クロマトグラフィーを使用して測定され;ここでシステムは初めに580〜400kDaの範囲のMWを持つPL Easical PS−2ポリスチレンキャリブラントを使用してキャリブレーションされる。PLGelパッキング材料は、高度に架橋した球状のポリスチレン/ジビニルベンゼンマトリックスである。Wyatt Optilab DSP屈折計を検出のために使用してもよい。
(g)製剤は以下の割合のアナストロゾールを含む:
(i)約5〜55重量%;
(ii)約10〜55重量%;
(iii)約15〜50重量%
(iv)約20〜40重量%;または
(v)約25重量%;
(h)製剤はモノリシックインプラント製剤であり、以下の割合のアナストロゾールを含む:
(i)約10〜65重量%;
(ii)約20〜65重量%;
(iii)約20重量%
(iv)約30重量%;
(v)約40重量%;
(vi)約50重量%;または
(vii)約55重量%;
(i)製剤は微粒子製剤であり、以下の割合のアナストロゾールを含む:
(i)約5〜55重量%;
(ii)約10〜50重量%;
(iii)約10〜30重量%
(iv)約10重量%;
(v)約20重量%;または
(vi)約30重量%;
(j)放出期間は:
(i)少なくとも約7日間である;
(ii)少なくとも約10日間である;
(iii)少なくとも約14日間である;
(iv)少なくとも約18日間である;
(v)少なくとも約21日間である;
(vi)少なくとも約25日間である;
(vii)少なくとも約30日間である;
(viii)少なくとも約40日間である;
(ix)少なくとも約50日間であり、ここで製剤は微粒子製剤であり、ラクチド対グリコリドのモル比は100:0〜95:5であり、ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーは15,000〜20,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして薬物負荷は8〜17重量%である;
(x)少なくとも約60日間であり、ここで製剤は微粒子製剤であり、ラクチド対グリコリドのモル比は100:0〜95:5であり、ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーは20,000〜25,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして薬物負荷は10〜20重量%である;
(xi)少なくとも約70日間であり、ここで製剤は微粒子製剤であり、ラクチド対グリコリドのモル比は100:0〜95:5であり、ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーは27,000〜35,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして薬物負荷は12〜23重量%である;
(xii)少なくとも約80日間であり、ここで製剤は微粒子製剤であり、ラクチド対グリコリドのモル比は100:0〜95:5であり、ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーは35,000〜40,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして薬物負荷は13〜26重量%である;
または
(xiii)少なくとも約90日間であり、ここで製剤は微粒子製剤であり、ラクチド対グリコリドのモル比は100:0〜95:5であり、ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーは40,000〜50,000ダルトンの重量平均分子量を有し、そして薬物負荷は15〜30重量%である;
(k)製剤は以下の特徴を持つモノリシックインプラントである:
【0052】
【表6】

【0053】
(l)製剤は以下の特徴を持つ微粒子である:
【0054】
【表7】

【0055】
上記の項kおよびlにおける放出期間は、以下の実施例1に記載のin vitroシステムで測定される場合の放出期間に関連する。一般に、in vivoでは、in vitroより長い放出期間が観察され、例えば以下の表を参照されたい:
【0056】
【表8】

【0057】
本発明の別の側面によれば、本発明の製剤を含む医薬品が提供される。
本発明に記載の2種以上の異なるインプラントまたは微粒子製剤の組み合わせの使用は、適切なポリマーの選択および/またはアナストロゾールの負荷によって広範な放出特性を獲得しうる。これはある種の疾患の治療にとって好都合でありうる。例えば、アナストロゾールの高い初期投薬量、続いて治療の残りの期間に低い投薬量を提供することが好ましくてもよい。これは、アナストロゾールの高い初期放出速度を有する第1のインプラントまたは微粒子製剤、およびより一定の放出速度を有する第2のインプラントまたは微粒子製剤を選択することにより達成されてもよい。2種の製剤からアナストロゾールが累積的に放出されることによって、高い初期投薬量、続いて残りの治療期間に実質的に一定の放出速度が提供される。あるいは、2種以上の異なるインプラントまたは微粒子製剤の適切な選択により、治療期間を通して実質的にゼロ次(すなわち、実質的に一定)であるアナストロゾールの累積的な放出を提供することが可能である。
【0058】
第1および第2インプラント/微粒子製剤からのアナストロゾールの放出特性は、例えば、ラクチド:グリコリド比、および/またはポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)の分子量、および/またはインプラント中のアナストロゾールの負荷を変化させることによって制御されてもよい。
【0059】
第1および第2インプラントまたは微粒子製剤は患者の身体の同じ、または異なる部分に埋め込まれるか、または注入(好ましくは皮下に)されてもよい。
したがって、本発明の別の側面によれば、本発明の2種以上の異なるインプラントまたは微粒子の組み合わせを含む、持続放出性製剤が提供される。
【0060】
本発明の別の側面によれば、以下のステップを含む、本発明に記載のモノリシックインプラント製剤の調製方法が提供される:
(i)ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーおよび適切な有機溶媒を含む溶液中のアナストロゾールの溶液または分散液を調製すること;
(ii)ステップ(i)で形成される溶液または分散液からすべての有機溶媒を実質的に除去すること;および
(iii)必要とされる大きさのモノリシックインプラントにステップ(ii)の生成物を形成すること。
【0061】
製造ステップ(i)
好ましくは、アナストロゾールおよびポリマーは有機溶媒溶液中に溶解される。適切な有機溶媒には、例えば氷酢酸が挙げられる。典型的にはアナストロゾールおよびポリマーは室温で攪拌することにより溶解される。
【0062】
製造ステップ(ii)
有機溶媒はいずれか都合のよい技術、例えばエバポレーションまたは凍結乾燥を使用してステップ(ii)で除去されてもよい。好ましくは、有機溶媒の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%が製造ステップ(ii)で除去される。ステップ(ii)で有機溶媒を除去するための好ましい方法は、液体窒素にポリマー/溶媒/アナストロゾール混合物を滴下して加え、凍結乾燥により凍結したドロップレットから有機溶媒を除去することである。場合により、例えば真空乾燥またはオーブン乾燥により、得られた凍結乾燥材料からさらに有機溶媒が除去されてもよい。適切には真空またはオーブン乾燥中の温度は20℃から65℃、例えば25〜60℃である。
【0063】
製造ステップ(iii)
ポリマー/アナストロゾール組成物は、例えば圧縮成形、注入成形または押し出し成形によりモノリシックインプラントに形成されてもよい。
【0064】
本発明の別の側面によれば、以下のステップを含む本発明に記載のモノリシックインプラント製剤の調製方法が提供される:
(i)アナストロゾールおよびポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの混合物を製造すること;
(ii)必要とされる大きさのモノリシックインプラントに混合物を形成すること。
【0065】
製造ステップ(i)
アナストロゾールおよびポリマーは、乳鉢および乳棒のような、当業者が利用可能ないずれか都合のよい方法により混合されてもよい。
【0066】
製造ステップ(ii)
ポリマー/アナストロゾール組成物は、例えば圧縮成形、注入成形または押し出し成形によりモノリシックインプラントに形成されてもよい。
【0067】
本発明の別の側面によれば、以下のステップを含む本発明に記載の微粒子製剤の調製方法が提供される:
(i)ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーおよび適切な有機溶媒を含む溶液中のアナストロゾールの溶液または分散液を製造すること;
(ii)(i)で製造された溶液を水性プロセッシングメディウムに分散し、水中油型エマルションを形成すること;
(iii)ステップ(ii)で形成されたエマルションから実質的にすべての有機溶媒を除去すること;および
(iv)微粒子を洗浄し、乾燥すること。
【0068】
製造ステップ(i)
好ましくは、アナストロゾールおよびポリマーは有機溶媒に溶解される。適切な有機溶媒には、ジクロロメタン、酢酸エチルおよび蟻酸メチルまたはその混合物が挙げられる。好ましくは、溶液は約5重量パーセント〜約35重量パーセントのポリマーおよびアナストロゾールを含み、その中でポリマー/アナストロゾール成分の約10重量パーセント〜約60重量パーセントがアナストロゾールである。典型的には、アナストロゾールおよびポリマーは室温で攪拌することによって溶解される。
【0069】
製造ステップ(ii)
乳化ステップは典型的には、少ない容量のポリマー/アナストロゾール溶液を、界面活性剤を含むより多い容量の水性プロセッシングメディウムに添加することにより行われ、該ステップは安定なエマルションの形成を可能にし、凝集を妨げることを含む。プロセスメディウムは、ポリマー/アナストロゾール溶液がプロセッシングメディウムに添加されるに従って、ホモゲナイザー、プロペラなどのような装置により機械的に攪拌される。典型的にはより少ない容量とより多い容量の比は1:100である。界面活性剤として使用しうる化合物の例としては、メチルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)およびゼラチン、好ましくはメチルセルロースが挙げられる。プロセスメディウム中の界面活性剤の濃度はエマルションを安定化させるために十分であるべきである。
【0070】
製造ステップ(iii)
エマルションの形成後、マイクロドロップレットを含むプロセッシングメディウムを連続して攪拌(agitated/stirred)し、有機溶媒を有機マイクロドロップレットから水性プロセッシングメディウムに分配し、その後留去して、硬化した微粒子を残す。典型的には、これは使用される溶媒、溶媒/プロセッシングメディウムの容量比およびプロセッシングメディウムの攪拌方法に依存して2〜12時間かかる。場合により、エマルションが形成されるとすぐに、有機マイクロドロップレットを含むすべてのプロセッシングメディウムはさらに大きな容量の水性抽出メディウムに直ちに移されて、マイクロドロップレットから有機溶媒を速やかに抽出し、さらに微粒子の形成を助ける。典型的には水である抽出メディウムはまた、有機マイクロドロップレットを含むプロセッシングメディウムが抽出メディウムに添加されるに従って、ホモゲナイザー、プロペラなどのような装置で機械的に攪拌される。典型的には、これは使用される溶媒、溶媒/プロセッシングメディウムの容量比および抽出メディウムの攪拌方法に依存して15〜60分間かかる。典型的には、より多いプロセッシング容量とさらに多い抽出容量の比は少なくとも約1:3である。
【0071】
製造ステップ(iv)
マイクロドロップレットからすべてまたはほとんどすべての溶媒の抽出後、硬化した微粒子は遠心分離または濾過などにより集め、蒸留水で洗浄して最後に凍結乾燥などにより乾燥させる。
【0072】
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態を患う温血動物(好ましくはヒト)に本発明に記載の製剤を投与することを含む、該温血動物を治療するための方法が提供される。
【0073】
本発明の別の側面によれば、温血動物(好ましくはヒト)におけるアナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療のための医薬品の製造における本発明の製剤の使用が提供される。
【0074】
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)を患う温血動物(好ましくはヒト)に本発明に記載のモノリシックインプラントを投与することを含む、該温血動物を治療するための方法が提供される。
【0075】
本発明の別の側面によれば、温血動物(好ましくはヒト)におけるアナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療のための医薬品の製造における本発明のモノリシックインプラントの使用が提供される。
【0076】
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)を患う温血動物(好ましくはヒト)に本発明に記載の微粒子製剤を投与することを含む、該温血動物を治療するための方法が提供される。
【0077】
本発明の別の側面によれば、温血動物(好ましくはヒト)におけるアナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療のための医薬品の製造における本発明の微粒子製剤の使用が提供される。
【0078】
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療における医薬品としての使用のための本発明に記載の製剤が提供される。
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療における医薬品としての使用のための本発明に記載のモノリシックインプラントが提供される。
【0079】
本発明の別の側面によれば、アナストロゾールによって治療可能な状態(好ましくは乳癌)の治療における医薬品としての使用のための本発明に記載の微粒子製剤が提供される。
【0080】
本発明に記載の製剤は、アナストロゾールのようなアロマターゼ阻害剤の投与を必要とする多様な医学的状態の治療において有用である。そのような医学的状態には、乳癌、卵巣癌、子宮内膜症および良性前立腺肥大が挙げられるが、それらに限定されない。
【0081】
特定の状態の治療に必要とされるアナストロゾールの投薬量は、治療される状態およびそれが投与される動物の両方に依存することになる。例えば、乳癌の治療および予防の場合、アナストロゾールの投薬量は一般に1日につき1mgである。
【0082】
本発明の別の側面によれば、温血動物、とりわけヒトに本発明に記載の製剤を注入(好ましくは皮下に)することを含む、該温血動物にアナストロゾールを投与するための方法が提供される。
【0083】
本発明の別の側面によれば、温血動物、とりわけヒトに本発明に記載の微粒子製剤を注入(好ましくは皮下に)することを含む、該温血動物にアナストロゾールを投与するための方法が提供される。
【0084】
本発明の別の側面によれば、温血動物、とりわけヒトに本発明に記載のモノリシックインプラントを埋め込む(implanting)(好ましくは皮下に)ことを含む、該温血動物にアナストロゾールを投与するための方法が提供される。
【0085】
モノリシックインプラントは慣用の医学的技術を使用して埋め込まれてもよい。例えば、皮下埋め込みは針を使用して、またはトロカールなどにより達成されてもよい。
本発明は以下の実施例によってさらに説明され、すべての部分は特記しない限り重量を単位にする。
【0086】
ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)およびポリラクチドポリマー
表1に示したポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)ポリマーおよびポリ(dl−ラクチド)(PLA)ポリマーは、dl−ラクチドおよびグリコリド二量体の開環重合により調製した。ポリマーA〜Fはすべてカルボン酸として存在する末端残基によりアンキャップされる。ポリマーG(100DL 2M、Alkermes,Wilmington,USAにより供給される)はメチルエステルにより官能基化された末端残基によりエンドキャップされる。
【0087】
【表9】

【0088】
実施例1:モノリシックインプラント
表2に示したインプラントは、薬物とポリマーの混合物の溶融押し出し成形によって調製した。1グラムまでのバッチサイズは、表2で示す量のアナストロゾールと表1で示す適切なポリマーを乳鉢にはかり入れ、視覚的に均質な混合物が得られるまで、乳棒により一緒に混合することにより調製した。このようなやり方で調製された薬物/ポリマーブレンドは、1.1mmの直径を持つバレル/ノズル、ベースとダイスからなる3ピース、1グラムキャパシティー、ステンレススチール押し出し成形機を使用して押し出し成形した。押し出し成形機はパイプクランプを使用して加熱され、その温度は押し出し成形機バレルとの熱接触面に位置する熱電対、および注文製のコントローラーユニットを含む、フィードバック回路を通して制御した。圧は標準液圧KBrプレス(Specac)により押し出し成形機ダイスに加えた。押し出し圧は手動で制御した。すべての押し出し成形体は、同じ名目の加熱プログラムを使用して製造した。押し出し成形機の温度は初めに30〜60分間かけて85℃の名目値に上げられ、その後さらに15分間この温度に維持された。次に薬物/ポリマー溶融物の押し出し成形は、押し出し機のダイスに1トン(名目)までの圧を加えることにより行った。得られた押し出し成形体は必要な長さに切断した。
【0089】
薬物含量を特定するために、10mgのインプラントは25ml容量のフラスコ中で1mlの酢酸(分析用等級、BDH Chemicals,UK)に溶解した。完全に溶解後、溶液はMilliQ水で規定の容積に合わせ、ポリマーを沈殿させた。その後固体は、0.45μm Millex PTFEフィルター(Millipore,UK)を使用して濾過し、濾液の一部はアイソクラティックHPLC法(HiChrom RPBカラム、移動相 0.1%v/vトリフルオロ酢酸を含む水およびアセトニトリルの70/30v/v混合物)を使用して分析した。アナストロゾール濃度は、重量を測定したアナストロゾールを純水に溶解することにより調製した外部キャリブレーション標準に対して、ピーク面積を基礎にして計算した。薬物含量解析は、インプラントのそれぞれのバッチに対して2回行われ、表2に示した薬物負荷は2回の測定の平均を表す。
【0090】
溶解試験はそれぞれのインプラント製剤の3つの試料に対して行われ、その重量は表2に示す。示されたすべての放出特性は、並行して行われる3回の溶解試験の平均を表す。
【0091】
【表10】

【0092】
放出特性
in vitroでのアナストロゾールの放出速度は、脱イオン水1リットルにつき、1.38g NaHPO、0.19g KHPO、8.00g NaClおよび0.20 g NaN(0.1M HClによりpH7.4+/−0.05に調整)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)10ml中に表2に示すインプラントを置き、37℃の温度でインキュベーターに保存することによって測定した。一定の時間間隔で、溶解メディウムの試料1mlをそれぞれの試料バイアルから抜き取った。試料採取後、等しい容量の新鮮なPBSをそれぞれのバイアルに速やかに戻した。試料採取はピペットにより手動で行った。すべての溶解メディウム試料のアナストロゾール含量は、アイソクラティックHPLC法(HiChrom RPBカラム、移動相 0.1%v/vトリフルオロ酢酸を含む水およびアセトニトリルの70/30v/v混合物)を使用して測定した。アナストロゾール濃度は、重量を測定したアナストロゾールを純水に溶解することにより調製した外部キャリブレーション標準に対して、ピーク面積を基礎にして計算した。測定されたアナストロゾール濃度から計算した放出特性は図1に示す。
【0093】
図1は、インプラントAが2週間にわたりアナストロゾールの継続的な放出を提供し、初めの24時間にわたる薬物の急激な放出が最小限であったことを示す。それぞれ40および60%w/w薬物負荷において、より高いラクチド含量(PLGA95/5、ラクチド/グリコリド)および分子量(26kDa)を持つポリマーから調製されたインプラントBおよびCは、25日間にわたり継続放出を示した。9kDa分子量を持つdl−ポリラクチドから調製されたインプラントDも40%w/w薬物負荷において、20日間制御された放出を提供することが可能であった。これらの結果は、長期間にわたり制御された方式でアナストロゾールを放出することが可能なインプラントが、ある範囲のPLGAおよびPLAポリマーを使用して、高い薬物負荷で製剤されうることを示す。
【0094】
実施例2:溶媒のエバポレーションによって調製された微粒子
微粒子はシングルエマルション技術を使用して調製した。ジクロロメタン(DCM)中、0.4gの所望する重量比(表3に詳述する)のアナストロゾールおよびポリマーを含む4ml溶液を、360mlの0.25%w/vメチルセルロース(Methocel MC,Fluka Chemicals,UK)の溶液と共に3分間、オーバーヘッドスターラーとステンレス直線刃インペラー(Heidolph,RZR1型、ドイツ)により、高速(2100rpm)で乳化した。得られたo/wエマルションはさらに30分間、800rpmで攪拌し、溶媒を留去した。最後に、得られた微粒子は冷却した蒸留水中で沈殿および再懸濁を合計3回行って不純物を除去し、凍結乾燥し、2〜8℃で保存した。
【0095】
薬物含量を特定するために、10mgの微粒子は25ml容量のフラスコ中で1mlの酢酸(分析用等級、BDH Chemicals,UK)に溶解した。完全に溶解後、溶液はMilliQ水で規定の容積に合わせ、ポリマーを沈殿させた。固体は、0.45μm Millex PTFEフィルター(Millipore,UK)を使用して濾過し、濾液の一部はアイソクラティックHPLC法(HiChrom RPBカラム、移動相 0.1%v/vトリフルオロ酢酸を含む水およびアセトニトリルの70/30v/v混合物)を使用して測定した。アナストロゾール濃度は、重さを測定したアナストロゾールを純水に溶解することにより製造した外部キャリブレーション標準に対して、ピーク面積を基礎にして計算した。薬物含量解析は、微粒子のそれぞれのバッチに対して2回行われ、表2に示した薬物負荷は2回の測定の平均を表す。
【0096】
11%w/wまでのアナストロゾール負荷が達成されるが、負荷効率は30〜36%にすぎなかった。これらの適度な負荷効率は、微粒子硬化相中に、薬物を簡単に水性相へ拡散させるアナストロゾールの水溶性(0.53mg/ml)のためであるように見える。分散相のPLGAおよび薬物含量を100mg/mlから400mg/mlまで増すことにより、コア負荷効率が48%に増加した。DCMを酢酸エチル(EA)または蟻酸メチル(MF)に置き換えることでも負荷効率は増加したが、2種の溶媒のいずれかを使用して生み出されたバッチは、高い割合の非球形材料を含むことが見いだされた。形態の改良は、乳化ステップの前に外部相に少量の溶媒を添加することにより達成されたが、カプセル化効率は結果として低下した。分散相としての混合溶媒系(EA:DCM 3:1)の使用は、負荷効率を83%に増し、球形の形態の粒子が得られた。
【0097】
【表11】

【0098】
実施例3:溶媒抽出により調製した微粒子
表4に示す微粒子製剤は、抽出プロセスを使用して、シングルエマルション技術により調製した。DCM中、1.6gの所望する重量比(表4に詳述する)のアナストロゾールおよびポリマーを含む4ml溶液を、360mlの0.25%w/vメチルセルロース(Methocel MC,Fluka Chemicals,UK)の溶液と共に3分間、オーバーヘッドスターラーとステンレス直線刃インペラー(Heidolph,RZR1型、ドイツ)により、高速(2100rpm)で乳化した。o/wエマルションの形成後、容器の全内容物は約200〜400rpmで攪拌する超純水1.5Lに直ちに注ぎ、エマルションドロップレットから速やかに有機溶媒を抽出した。得られた微粒子は1時間水中で硬化させ、その後冷却した蒸留水中で沈殿および再懸濁を合計3回行い、不純物を除去した。最後に微粒子を凍結乾燥し、2〜8℃で保存した。
【0099】
溶媒抽出によるアナストロゾールのマイクロカプセル化によって、より高い負荷効率を達成したことを確認した。23〜25%(理論値32%)のアナストロゾール含量を持つ微粒子を、平均72.6%の薬物負荷効率で調製した。SEM解析により、微粒子が滑らかな、固体の球体であることを確認した。
【0100】
【表12】

【0101】
表4に示す微粒子のそれぞれのバッチからのアナストロゾールの放出特性を実施例1に記載のようにin vitroで測定した。放出特性を図2に示す。一般に、10〜20%のアナストロゾールが初めの24時間に放出され、14〜40日間にわたる期間、比較的一定の放出が続いた。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】組成[50/50L/Gwt%]および重量平均分子量(MW)18kDaおよび薬物負荷20%w/wを持つポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー(PLGA)“インプラントA”(データポイントとして黒の正方形);組成[95/5L/Gwt%]およびMW26kDaおよび薬物負荷36.9%w/wのPLGA“インプラントB”(データポイントとして黒のダイヤ型)ならびに60.8%w/w“インプラントC”(データポイントとして灰色の三角形)を持つPLGA;ならびにMW9kDa、アナストロゾール負荷39.6%w/wを持つD/L−PLAポリマー、“インプラントD”(データポイントとして灰色の円)を含むモノリシックインプラントからのアナストロゾール(薬物)のin vitroでの放出を示し、ここでx軸は時間(日)であり、y軸は放出されたアナストロゾールの百分率である。
【図2】本発明に記載の異なるラクチド含量および分子量を持つ種々のコポリマーを含む微粒子製剤からのアナストロゾールのin vitroでの放出を示す。曲線A(データポイントとして黒の正方形)はMW20kDaおよび薬物負荷22.8%w/wを有する組成[75/25L/Gwt%]のPLGA、“製剤A”に対応する。曲線B(データポイントとして黒のダイヤ型)はMW23kDaおよび薬物負荷23.3%w/wを有する組成[85/15L/Gwt%]のPLGA、“製剤B”に対応する。曲線C(データポイントとして灰色の三角形)はMW26kDaおよび薬物負荷24.5%w/wを有する組成[95/5L/Gwt%]のPLGA、“製剤C”に対応する。曲線D(データポイントとして灰色の円)はMW44kDaおよび薬物負荷24.0%w/wのD/L−PLA、“製剤D”に対応する。曲線E(データポイントとして白の円)はMW15.7kDaおよび薬物負荷25.3%w/wのメチルエステルにエンドキャップされたD/L−PLA、“製剤E”に対応し、ここでx軸は時間(日)であり、y軸は放出されたアナストロゾールの百分率である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含む持続放出性製剤であって、水性の生体型環境に置かれた場合、少なくとも10日間にわたり継続的にアナストロゾールを放出する、持続放出性製剤。
【請求項2】
モノリシックインプラントである、請求項1に記載の持続放出性製剤。
【請求項3】
微粒子製剤である、請求項1に記載の持続放出性製剤。
【請求項4】
以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜65重量%のアナストロゾール
を含み、持続放出性製剤がモノリシックインプラントであって、ポリマーの最小平均分子量が以下の式:
MW=9.937−13.0(f+0.547)+5.684(f+0.547)−9.89(f−0.177)+78.95(f−0.177)+83.25(f*f
(式中、fは1.0が100%、すなわち5%は0.05として表されるアナストロゾールの割合であり;そして
は1.0が100%、すなわち50%は0.5として表されるグリコリドの割合である)から計算することができる、持続放出性モノリシックインプラント製剤。
【請求項5】
以下:
(i)5,000ダルトン〜50,000ダルトンの平均分子量を有するポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマー;
(ii)100:0〜50:50のラクチド対グリコリドのモル比;および
(iii)製剤の総重量に基づいて約10〜55重量%のアナストロゾール
を含み、持続放出性製剤が微粒子製剤であって、ポリマーの最小平均分子量が以下の式:
MW=−71.88+25.0(0.5+tanh(14.3(f−0.33)))+84.5(f+1.08)−12.8(f+1.08)
(式中、fは1.0が100%、すなわち5%は0.05として表されるアナストロゾールの割合であり;そして
は1.0が100%、すなわち50%は0.5として表されるグリコリドの割合である)から計算することができる、持続放出性微粒子製剤。
【請求項6】
ラクチド対グリコリドのモル比が100:0〜95:5である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の持続放出性製剤。
【請求項7】
ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーが8,000ダルトン〜45,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の持続放出性製剤。
【請求項8】
ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーが15,000ダルトン〜30,000ダルトンの平均分子量を有し、ラクチド対グリコリドのモル比が100:0〜95:5である、請求項2または請求項4に記載の持続放出性モノリシックインプラント製剤。
【請求項9】
製剤の総重量に基づいて約10〜60重量%のアナストロゾールを含む、請求項4に依存した場合の、請求項8に記載の持続放出性モノリシックインプラント製剤。
【請求項10】
ポリラクチドポリマーまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)コポリマーが10,000ダルトン〜35,000ダルトンの重量平均分子量を有し、ラクチド対グリコリドのモル比が100:0〜95:5である、請求項3または請求項5に記載の持続放出性微粒子製剤。
【請求項11】
製剤の総重量に基づいて約10〜30重量%のアナストロゾールを含む、請求項10に記載の持続放出性微粒子製剤。
【請求項12】
医薬品としての請求項1〜11のいずれか1項に記載の持続放出性製剤の使用。
【請求項13】
温血動物におけるアナストロゾールによって治療可能な状態の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜11のいずれか1項に記載の持続放出性製剤の使用。
【請求項14】
乳癌の治療のための医薬品の製造における、請求項13に記載の持続放出性製剤の使用。
【請求項15】
温血動物に請求項1〜11のいずれか1項に記載の持続放出性製剤を埋め込むことを含む、温血動物にアロマターゼ阻害剤を投与するための方法。
【請求項16】
以下のステップ:
(i)ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーおよび適切な有機溶媒を含む溶液中でアナストロゾールの溶液または分散液を製造すること;
(ii)ステップ(i)で形成される溶液または分散液からすべての有機溶媒を実質的に除去すること;および
(iii)ステップ(ii)の生成物を必要な大きさのモノリシックインプラントに形成すること
を含む、請求項2または4のいずれか1項に記載のモノリシックインプラント製剤の製造方法。
【請求項17】
以下のステップ:
(i)アナストロゾールとポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーの混合物を製造すること;
(ii)混合物を必要な大きさのモノリシックインプラントに形成すること
を含む、請求項2に記載のモノリシックインプラント製剤の製造方法。
【請求項18】
以下のステップ:
(i)ポリラクチドまたはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーおよび適切な有機溶媒を含む溶液中でアナストロゾールの溶液または分散液を製造すること;
(ii)水性プロセッシングメディウムにステップ(i)で製造される溶液を分散し、水中油型エマルションを形成すること;
(iii)ステップ(ii)で形成されるエマルションからすべての有機溶媒を実質的に除去し、微粒子を形成すること;および
(iv)微粒子を洗浄し、乾燥すること
を含む、請求項3に記載の微粒子製剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−506100(P2009−506100A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528572(P2008−528572)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003199
【国際公開番号】WO2007/026138
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】