説明

製袋包装機

【課題】異常包装品の袋と正常包装品の袋とを外観上容易に見分け可能に下流側へ受け渡すことができ、かつ、袋が連包状態で製造されたときにも、下流側へスムーズに受け渡すことができるシュートを備えた製袋包装機を提供する。
【解決手段】シュート16を、待受時に、上方から縦姿勢で供給された袋Xに対してやや後傾して、袋Xの平面部を支持する側面部材21と、この側面部材21の下端部から略L字状となるようにやや前上がりに延設されて、袋Xの下端部を支持する底面部材22とで構成する。そして、一個ずつ袋Xを受け取ったときには、略L字状を維持しながら側面部材21と底面部材22とを回動させて、袋Xを前倒しして搬出コンベア3へ受け渡すように、連包状態の袋X′を受け取ったときには、底面部材22のみを前下がりとなるように回動させて、上下に連続する袋X,Xの下端部を先頭にして搬出コンベア3へ受け渡すように、駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状フィルムを袋状に成形しながら物品を包装する製袋包装機に関し、物品包装の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チューブの周囲にシート状フィルムを巻き付けて筒状に成形し、この筒状フィルムを搬送しながら重ね合わせ部を縦方向にシールしたのち、横方向にシール及び切断して連続的に袋状に成形しつつ、上流側の組合せ計量装置等から供給されたスナック菓子等の物品を個々の袋に包装する製袋包装機がある。
【0003】
このような製袋包装機において、製造された袋を所定の向きで、例えば、縦シール部を下側に向けて下流側へ受け渡すことが要求される場合があり、これに対処するものとして、例えば特許文献1に開示の製袋包装機がある。この特許文献1に記載の製袋包装機では、側面部と底面部とを有する側面視L字状のシュートで、縦シール部を前記側面部とは反対側に有して縦姿勢で供給された袋を受け取ったのち、前記側面部からエアを噴射することにより、前記底面部に支持された下端部を支点に袋を前倒しして、縦シール部を下側に向けた状態で袋を下流側へ受け渡すことができるように構成されている。
【0004】
また、図16に示すように、前述したような側面部A1と底面部A2とを有するL字状のシュートAを、支点A3を中心として矢印y方向へ二点鎖線で示すように回動させることにより、袋Xを下流側の搬出コンベアBへ受け渡すことも行なわれている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−68123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、製袋包装機では、上流側の組合せ計量装置から過軽量の物品や金属異物の混入が検出された物品が供給されたとき、シート状フィルムの接続箇所や横シール時の異物噛み込みが検知されたとき等に、該当する袋を異常包装品として扱うこととし、例えば、横シールの際に個々の袋への切断を停止して、当該異常包装品を、袋が上下に連続した連包状態で回収することがある。その場合、前述したような構成のシュートが備えられた製袋包装機では、次のような問題が生じることがある。
【0007】
すなわち、図17に示すように、側面部A1と底面部A2とを有するL字状のシュートAが、支点A3を中心として矢印y方向へ回動すると、連包状態の袋X′が、側面部A1の上端部において、矢印zで示すように上下の袋X,X間つまり横シール部で腰折れして、上側の袋Xが側面部A1の上端部にひっかかり、連包状態の袋X′がシュートAから搬出コンベアBへスムーズに受け渡されなかったり、シュートA箇所で停滞したりすることがある。その結果、この製袋包装機の稼動を停止しなければならないという問題が生じることがある。なお、説明は省略するが、前記特許文献1に記載のシュートにおいても同様の現象が起こり得る。
【0008】
また、一方で、異常包装品の袋を連包状態とする以外に外観的に目立ち易くして、製袋包装機から下流側へ受け渡すようにすれば、下流側で確実に回収することができるのであるが、前記シュートAは、異常包装品の袋も正常包装品の袋も共に前倒しして下流側へ受け渡すものであるので、下流側で異常包装品の袋と正常包装品の袋とを外観的に見分けるのは容易ではないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、異常包装品の袋と正常包装品の袋とを外観上容易に見分け可能に下流側へ受け渡すことができ、かつ、袋が連包状態で製造されたときにも、下流側へスムーズに受け渡すことができるシュートを備えた製袋包装機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の発明は、シート状フィルムを縦横にシールすると共に切断して連続的に袋状に成形しつつ、供給された物品を個々の袋に包装し、得られた袋を受渡機構を介して下流側へ受け渡すように構成された製袋包装機であって、前記受渡機構は、受け取った姿勢を反転させないで袋を下流側へ受け渡す動作と受け取った姿勢を反転させて袋を下流側へ受け渡す動作とを切り換え可能な構造とされており、該動作を切り換える制御手段が備えられていることを特徴とする。
【0012】
なお、前記受渡機構には、例えば袋を滑落させるシュートや袋を搬送するコンベア等がある。
【0013】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の製袋包装機において、該製袋包装機は、一方の面にのみ縦シール部を有する袋を製造するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
図18に示すように、この場合の袋Xは例えば縦ピロータイプの製袋包装機で製造されたもので、表面X1ではなく裏面X2略中央にのみ合掌貼り状の縦シール部X3が、上下両辺に横シール部X4,X4がそれぞれ形成されている。
【0015】
一方、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の製袋包装機において、該製袋包装機は、表裏面のデザインが互いに相違する袋を製造するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
図19及び図20に示すように、この場合の袋Y,Zは例えば三方あるいは四方シールされたもので、三方シールされた袋Yでは、裏面Y2ではなく表面Y1に目立つ図柄Y5が、左右一方の辺に縦シール部Y3が、上下両辺に横シール部Y4,Y4がそれぞれ形成されている。また、四方シールされた袋Zでは、裏面Z2ではなく表面Z1に目立つ図柄Z5が、左右両辺に縦シール部Z3,Z3が、上下両辺に横シール部Z4,Z4がそれぞれ形成されている。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の製袋包装機において、袋が正常包装品か異常包装品かを判別する判別手段が備えられており、前記制御手段は、該判別手段による判別結果に基づいて前記受渡機構の動作を切り換えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の製袋包装機において、該製袋包装機は、袋を一個ずつに切断されない連包状態で製造することができるように構成されており、前記制御手段は、袋が連包状態で製造されたときは、受け取った姿勢を反転させないで袋を下流側へ受け渡すように、前記受渡機構の動作を切り換えることを特徴とする。
【0019】
そして、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれかに記載の製袋包装機において、前記受渡機構は、待受時に、上方から縦姿勢で供給された袋に対してやや後傾して、袋の平面部を支持する側面部材と、この側面部材の下端部から略L字状となるようにやや前上がりに延設されて、袋の下端部を支持する底面部材とを有しており、かつ、前記側面部材と底面部材とをそれぞれ支点を中心として回動させる駆動源が備えられており、前記制御手段は、該駆動源を制御することにより、略L字状を維持しながら前記側面部材と底面部材とを回動させて、受け取った袋を前倒しして下流側へ受け渡す動作と、前記底面部材のみを前下がりとなるように回動させて、受け取った袋の下端部を先頭にして下流側へ受け渡す動作とを切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、受渡機構は、受け取った姿勢を反転させないで袋を下流側へ受け渡す動作と受け取った姿勢を反転させて袋を下流側へ受け渡す動作とを切り換え可能な構造とされているので、制御手段で受渡機構の動作を切り換えて袋の姿勢を変更することにより、例えば異常包装品の袋と正常包装品の袋とを外観上容易に見分け可能に下流側へ受け渡すことができる。
【0021】
次に、請求項2に記載の発明によれば、製袋包装機は、一方の面にのみ縦シール部を有する袋を製造するので、外観上縦シール部の有無を目印にすれば、姿勢を反転させた袋と反転させない袋とを容易に見分けることができる。
【0022】
一方、請求項3に記載の発明によれば、製袋包装機は、表裏面のデザインが互いに相違する袋を製造するので、外観上デザインの相違を目印にすれば、姿勢を反転させた袋と反転させない袋とを容易に見分けることができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明によれば、袋が正常包装品か異常包装品かを判別する判別手段が備えられているので、判別結果に基づいて制御手段で受渡機構の動作を切り換えることにより、正常包装品の袋を受け取ったときと異常包装品の袋を受け取ったときとで姿勢を確実に切り換えることができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明によれば、製袋包装機は、袋を一個ずつに切断されない連包状態で製造することができるように構成されているので、下流側において、連包状態の袋と非連包状態の袋とを外観上容易に見分けることができる。その上で、連包状態の袋を受け取るとき、受渡機構は、受け取った姿勢を反転させないように動作するので、連包状態の袋は前倒しされずに受渡機構から下流側へ受け渡される。したがって、従来のように連包状態の袋が腰折れして、例えば受渡機構がシュートである場合に、このシュートの上端部にひっかかったり停滞したりすることがなくなり、袋を下流側へスムーズに受け渡すことができる。
【0025】
そして、請求項6に記載の発明によれば、受渡機構を側面部材と底面部材とで構成し、制御手段で各駆動源を制御することにより、略L字状を維持しながら前記側面部材と底面部材とを回動させて、受け取った袋を前倒しして下流側へ受け渡す動作と、前記底面部材のみを前下がりとなるように回動させて、受け取った袋の下端部を先頭にして下流側へ受け渡す動作とを切り換えるので、袋を一層確実かつスムーズに前倒ししたりしなかったりして下流側へ受け渡すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態に係る製袋包装機1は、スナック菓子等の物品を連続的に袋状に包装するもので、上流側の組合せ計量装置2の下方に設置されている。そして、製袋包装機1の下流側には、製造された袋Xを矢印a方向に搬出する搬出コンベア3が設置されている。
【0028】
製袋包装機1は縦型タイプのもので、本体フレーム1aに、上部が漏斗状とされると共に下部が円筒状とされて、上方の組合せ計量装置2により目標重量に計量された物品が投入されるチューブ11と、チューブ11の比較的上部に取り付けられて、図示しない繰出機構により繰り出されたシート状フィルムFの左右両縁部を重ね合わせて筒状とするセーラ部材12と、チューブ11の正面視で左右両側に配置されて、フィルムFをチューブ11の左右両側面に押し付けながら下方に搬送する一対のプルダウンベルト機構(一方のみ示す)13,13と、チューブ11の前面に設けられて前記重ね合わせ部を縦方向にシールして筒状に成形する縦シール機構14と、物品が収容された筒状フィルムFを横方向にシールすると共に図示しない内蔵したカッタにより横シール部の中央で切断する横シール機構15とが組み付けられており、物品が充填された袋Xを連続的に製造することができるようになっている。
【0029】
横シール機構15は、対接離反可能に設けられて、筒状フィルムFを挟み付けて加熱しつつ圧接することによりシールする前後一対のシールジョー15a,15aを有している。そして、横シール機構15の直下方に、本発明の特徴部分であるシュート16が設置されている。
【0030】
図2及び図3に示すように、シュート16は、製造された袋Xの待受時に、上方から縦姿勢で供給された袋Xに対してやや後傾して、袋Xの平面部を支持する側面部材21と、この側面部材21の下端部から略L字状となるようにやや前上がりに延設されて、袋Xの下端部を支持する底面部材22とを有している。
【0031】
側面部材21は、待受時に略垂直方向を向く導入部21aと、この導入部21aから前方下方へ傾斜して延びる平面支持部21bと、この平面支持部21bの左右両側から起立する一対の側方支持部21c,21cとを有している。
【0032】
本体フレーム1aに、側面視L字状の支持台23が立設されており、この支持台23上部の一方の端部に、ブラケット24を介してエアシリンダ25が上下方向に揺動自在に設置されている。このエアシリンダ25の矢印bで示すように進退する出力ロッドの先端に、前記側面部材21における平面支持部21b裏面の上端部寄りに固定された取付部材21dが連結されている。また、前記支持台23前部に、左右両端部が前方に延びる平面視コ字状の取付プレート26が固定されており、その両端部先端に、前記側面部材21における平面支持部21b裏面の下端部両側に固定された一対の取付部材21e,21eが、シャフト27を介して連結されている。これにより、エアシリンダ25の出力ロッドが矢印bで示すように進退すると、側面部材21は、下側の取付部材21e,21eつまりシャフト27を支点に、上端部が矢印cで示すように回動する。
【0033】
底面部材22は、平板状に形成されており、待受時にやや前上がりに延設された前方の下端支持部22aと、後方のやや幅狭の連結部22bとを有している。
【0034】
前記取付プレート26の上部中央に固定された取付部材28を介して、エアシリンダ29が前後方向に揺動自在に設置されている。このエアシリンダ29の矢印dで示すように進退する出力ロッドの先端に、前記底面部材22における連結部22b中央に固定された取付部材22cが連結されている。また、前記取付プレート26の両端部先端に、底面部材22における連結部22bの左右両側から起立する一対の取付部22d,22dが、前記シャフト27を介して連結されている。これにより、エアシリンダ29の出力ロッドが矢印dで示すように進退すると、底面部材22は、中央寄りの取付部22d,22dつまりシャフト27を支点に、前端部が矢印eで示すように回動する。
【0035】
次に、この製袋包装機1の制御システムについて説明すると、図4に示すように、製袋包装機1を制御するコントロールユニット30は、プルダウンベルト機構13、縦シール機構14、及び横シール機構15に、制御信号を出力する。
【0036】
また、コントロールユニット30は、組合せ計量装置2からの計量不良信号つまり過軽量発生信号、組合せ計量装置2と製袋包装機1との間の物品搬送経路に介設された金属検出器31からの金属異物検出信号、シート状フィルムFの搬送経路に設けられて、フィルムFの接続箇所を検知するフィルム接続検知センサ32からの接続検知信号、横シール機構15に設けられて、フィルムFを挟み付けて対接したときの両シールジョー15a,15a間の間隔に基づいて異物の噛み込みを検知する噛込検知センサ33からの噛込検知信号を入力すると共に、これら信号に基づいて、側面部材21及び底面部材22を回動させるためのエアシリンダ25,29に制御信号を出力する。
【0037】
次に、この製袋包装機1の作用について説明する。
【0038】
図1に示したように、製袋包装機1では、シート状フィルムFがセーラ部材12を介してチューブ11の周囲に巻き付けられて筒状に形成され、プルダウンベルト機構13,13により下方へ搬送中に、縦シール機構14により縦方向にシールされたのち、組合せ計量装置2から目標重量に計量された物品が供給されると、横シール機構15により横方向にシール及び切断されて、物品が充填された袋Xが一個ずつ連続的に製造される。そして、製造された袋Xは、下方のシュート16を介して搬出コンベア3へ受け渡される。
【0039】
その場合のシュート16の動作について詳しく説明すると、まず、図5に示すように、シュート16は、横シール機構15の直下方、搬出コンベア3の直上方で、待受姿勢で袋Xの供給に待機している。すなわち、側面部材21は、縦シール部を前方に向けると共に縦姿勢で供給される袋Xに対してやや後傾しており、底面部材22は、この側面部材21の下端部から略L字状となるようにやや前上がりとされている。
【0040】
次いで、正常包装品の袋Xが製造されると、二点鎖線で示すように、落下供給された袋Xの平面部は、側面部材21の平面支持部21bにより、袋Xの下端部は、底面部材22の下端支持部22aにより支持される。
【0041】
そして、図6に示すように、側面部材21を回動させるエアシリンダ25が駆動されて、矢印bで示すように進出する出力ロッドに連結された側面部材21は、下方のシャフト27を支点に矢印cで示すように回動する。同時に、底面部材22を回動させるエアシリンダ29が駆動されて、矢印dで示すように退避する出力ロッドに連結された底面部材22は、同じくシャフト27を支点に矢印eで示すように回動する。これにより、シュート16に支持されていた実線で示す袋Xは前倒しされて、二点鎖線で示すようにシュート16から離脱して、縦シール部を下側に向けて搬出コンベア3へ受け渡される。なお、受け渡しが完了すると、エアシリンダ25の出力ロッドは退避すると共にエアシリンダ29の出力ロッドは進出して、シュート16は、図5に示した待受姿勢に復帰する。
【0042】
一方、図7に示すように、異常包装品つまり二個の袋X,Xが連続した連包状態の袋X′が製造されると、この場合にも前述した待受姿勢のシュート16に供給され、まず、下側の袋Xがシュート16に支持される。
【0043】
そして、図8に示すように、側面部材21を回動させるエアシリンダ25は駆動されず、側面部材21は現状の姿勢を維持したまま、底面部材22を回動させるエアシリンダ29のみが駆動されて、矢印dで示すように退避する出力ロッドに連結された底面部材22は、シャフト27を支点に矢印eで示すように回動する。これにより、シュート16に支持された下側の袋Xは前倒しされることなく、縦シール部を上側に向けて滑落して、下端部を先頭にして搬出コンベア3へ受け渡される。すなわち、下側の袋Xは前倒しされないので、上側の袋Xは従来のように腰折れすることなく、下側の袋Xと同様に搬出コンベア3へ受け渡される。
【0044】
前述したシュート16の動作を、図9に示すタイムチャートを用いて補足説明する。ここでは、異常包装発生の一例として、横シール機構15において噛込異常が発生して、これに起因する異常包装品の袋Xが製造された場面を想定している。
【0045】
すなわち、コントロールユニット30が、今回の横シールタイミングである時間t1で噛込検知センサ33からの噛込検知信号を入力しなかった場合には、正常包装品の袋Xが得られたことを意味するから、コントロールユニット30は、時間t2で袋Xを一個に切断するための切断信号を出力したのち、時間t3で側面部材21と底面部材22とを回動させるための回動信号を出力する。この場合には、前記図5及び図6に示したように、一個の袋Xは、シュート16から搬出コンベア3へ前倒しされて受け渡される。
【0046】
そして、コントロールユニット30が、次回の横シールタイミングである時間t4で噛込検知信号を入力した場合には、異常包装品の袋X,Xが得られたことを意味するから、コントロールユニット30は、連包状態の袋X′を製造すべく、前記切断信号及び回動信号を出力しない。
【0047】
次いで、コントロールユニット40が、次回の横シールタイミングである時間t5で噛込検知信号を入力しなかった場合には、時間t6で異常包装品の袋X,Xを連包状態の袋X′として切断するための切断信号を出力したのち、時間t7で側面部材21を回動させるための回動信号を出力せず、底面部材22を回動させるための回動信号のみを出力する。この場合には、前記図7及び図8に示したように、連包状態の袋X′は、シュート16から搬出コンベア4に前倒しされることなく、下側の袋Xを先頭にして、搬出コンベア3へ受け渡される。
【0048】
以上のように構成したことにより、シュート16を構成する側面部材21と底面部材22とを、それぞれ独立して回動させるエアシリンダ25,29を備え、これらエアシリンダ25,29を制御するコントロールユニット30により、シュート16が袋Xを一個ずつ受け取ったときには、袋Xを前倒しするように前記両部材21,22の回動が制御されるので、袋Xは側面部材21側とは反対側の面を下側に向けて下流側の搬出コンベア3へ受け渡され、一方、シュート16が連包状態の袋X′を受け取ったときには、上下に連続する袋X,Xの下端部を先頭とするように前記両部材21,22の回動が制御されるので、連包状態の袋X′は下端部から順に搬出コンベア3へ受け渡されることになり、いずれの場合にも袋X,X′を下流側へスムーズに受け渡すことができる。すなわち、従来のように連包状態の袋X′が腰折れして、シュートの上端部にひっかかったり停滞したりすることがなくなり、袋X′を下流側へスムーズに受け渡すことができる。
【0049】
そして、製袋包装機1は、袋Xを一個ずつに切断されない連包状態で製造することができるように構成されているので、下流側において、連包状態の袋X′と非連包状態の袋Xとを外観上容易に見分けることができる。
【0050】
次に、製袋包装機1が図1で説明した縦ピロー包装タイプのものであって、図18に示したように、裏面X2にのみ合掌貼り状の縦シール部X3が、上下両辺に横シール部X4,X4がそれぞれ形成された袋Xが製造され、かつ、正常包装品、異常包装品の袋Xが共に一個ずつ製造される場合のシュート16の動作について説明する。なお、特に混乱を招かない限り、前述したと同様の構成要素については、同じ符号を付すことにする。
【0051】
その場合、図4に示したように、製袋包装機1のコントロールユニット30は、組合せ計量装置2からの計量不良信号つまり過軽量発生信号、金属検出器31からの金属異物検出信号、フィルム接続検知センサ32からの接続検知信号、噛込検知センサ33からの噛込検知信号を入力し、これら信号に基づいて製造された袋Xが正常包装品か異常包装品かを判別すると共に、この判別結果に基づいて、側面部材21及び底面部材22を回動させるためのエアシリンダ25,29に制御信号を出力する。このように、判別手段としてのコントロールユニット30は、組合せ計量装置2のような上流側装置からの計量不良信号を受信して袋Xが異常包装品であると判別しても良いし、当該製袋包装機1自身に備えられた各種異常検知手段の検知信号に基づいて袋Xが異常包装品であることを判別しても良い。
【0052】
まず、図10に示すように、シュート16は、搬出コンベア3の直上方で、待受姿勢で袋Xの供給に待機している。すなわち、側面部材21は、縦姿勢で供給される袋Xに対してやや後傾しており、底面部材22は、この側面部材21の下端部から略L字状となるようにやや前上がりとされている。この場合、表面X1を後方に、縦シール部X3が形成された裏面X2を前方に向けて、袋Xはシュート16へ落下供給される。
【0053】
次いで、二点鎖線で示すように、落下供給された袋Xの表面X1側は、側面部材21の平面支持部21bにより、袋Xの下端部は、底面部材22の下端支持部22aにより支持される。
【0054】
そして、コントロールユニット30により袋Xが正常包装品であると判別された場合には、図11に示すように、側面部材21を回動させるエアシリンダ25が駆動されて、矢印bで示すように進出する出力ロッドに連結された側面部材21は、下方のシャフト27を支点に矢印cで示すように回動する。同時に、底面部材22を回動させるエアシリンダ29が駆動されて、矢印dで示すように退避する出力ロッドに連結された底面部材22は、同じくシャフト27を支点に矢印eで示すように回動する。これにより、シュート16に支持された実線で示す正常包装品の袋Xは前倒しされて、二点鎖線で示すようにシュート16から離脱して、図12にも示すように、縦シール部X3が形成された裏面X2を下側に、表面X1を上側に向けて搬出コンベア3へ受け渡される。なお、受け渡しが完了すると、エアシリンダ25の出力ロッドは退避すると共にエアシリンダ29の出力ロッドは進出して、シュート16は、図10に示した待受姿勢に復帰する。
【0055】
一方、コントロールユニット30により袋Xが異常包装品であると判別された場合には、図13に示すように、側面部材21を回動させるエアシリンダ25は駆動されず、側面部材21は現状の姿勢を維持したまま、底面部材22を回動させるエアシリンダ29のみが駆動されて、矢印dで示すように退避する出力ロッドに連結された底面部材22は、シャフト27を支点に矢印eで示すように回動する。これにより、シュート16に支持された異常包装品の袋Xは、実線及び二点鎖線で示すように前倒しされることなく下端部を先頭に滑落して、図14にも示すように、縦シール部X3が形成された裏面X2を上側に、表面X1を下側に向けて向けて搬出コンベア3へ受け渡される。
【0056】
次に、製袋包装機が三方シール包装タイプあるいは四方シール包装タイプのものであって、図19及び図20に示したように、三方シールされた袋Yでは、表面Y1に目立つ図柄Y5が、左右一方の辺に縦シール部Y3が、上下両辺に横シール部Y4,Y4がそれぞれ形成され、また、四方シールされた袋Zでは、表面Z1に目立つ図柄Z5が、左右両辺に縦シール部Z3,Z3が、上下両辺に横シール部Z4,Z4がそれぞれ形成され、かつ、正常包装品、異常包装品の袋Y,Zが共に一個ずつ製造される場合のシュート16の動作について説明する。
【0057】
図を用いた詳細な説明は省略するが、例えば製造された袋Y,Zが、目立つ図柄Y5,Z5が形成された表面Y1,Z1を後方に、裏面Y2,Z2を前方に向けてシュート16へ落下供給される場合、前記図10〜14における説明に基づけば容易に理解されるように、コントロールユニット30により正常包装品と判別されると、シュート16により前倒しされて表面Y1,Z1を上側に、裏面Y2,Z2を下側に向けて、一方、異常包装品と判別されると、シュート16により前倒しされることなく下端部を先頭に滑落して裏面Y2,Z2を上側に、表面Y1,Z1を下側に向けて、袋Y,Zは搬出コンベア3へ受け渡される。
【0058】
以上のように構成したことにより、シュート16は、受け取った姿勢を反転させないで袋X,Y,Zを下流側へ受け渡す動作と受け取った姿勢を反転させて袋X,Y,Zを下流側へ受け渡す動作とを切り換え可能な構造とされているので、コントロールユニット30でシュート16の動作を切り換えて袋X,Y,Zの姿勢を変更することにより、例えば異常包装品の袋X,Y,Zと正常包装品の袋X,Y,Zとを外観上容易に見分け可能に下流側へ受け渡すことができる。
【0059】
また、袋X,Y,Zが正常包装品か異常包装品かを判別する判別手段としてのコントロールユニット30が備えられているので、判別結果に基づいて制御手段としてのコントロールユニット30でシュート16の動作を切り換えることにより、正常包装品の袋X,Y,Zを受け取ったときと異常包装品の袋X,Y,Zを受け取ったときとで姿勢を確実に切り換えることができる。
【0060】
特に、製袋包装機1が、図18に示したように、一方の面にのみ縦シール部X3を有する袋Xを製造するものである場合には、外観上縦シール部X3の有無を目印にすれば、姿勢を反転させた袋Xと反転させない袋Xとを容易に見分けることができる。
【0061】
一方、製袋包装機が、図19及び図20に示したように、表裏面Y1,Y2,Z1,Z2のデザインが互いに相違する袋Y,Zを製造するものである場合には、外観上デザインの相違を目印にすれば、姿勢を反転させた袋Y,Zと反転させない袋Y,Zとを容易に見分けることができる。
【0062】
なお、図を用いた詳細な説明は省略するが、製袋包装機が三方及び四方シール包装タイプであり、かつ、異常包装品の袋Y,Zを一個ずつに切断されない前記図7に示したような連包状態で製造する場合、前記図7及び図8の説明に基づいて容易に理解されるように、シュート16から搬出コンベア3へスムーズに連包状態の袋Y′,Z′(いずれも不図示であり、文中にて符号のみ付す)を受け渡すことができ、かつ、正常包装品と異常包装品とで袋Y,Y′,Z,Z′の表裏の向きを反転させることができる。
【0063】
次に、シュート16の代わりにコンベアを用いた場合の構成について説明する。なお、特に混乱を招かない限り、前述したと同様あるいは類似の構成要素については、同じ符号を付すことにする。
【0064】
図15に示すように、このコンベア41は、搬送面を構成する平ベルト41aが、下部に取り付けられたモータ41bにより走行するもので、前記シュート16と概ね類似の位置関係で本体フレーム1aに組み付けられている。すなわち、本体フレーム1aに側面視L字状の支持台23が立設されており、この支持台23の下部から前方に平面視コ字状の取付プレート26が延設されている。また、前記支持台23の上部にブラケット24を介してエアシリンダ25が揺動自在に設置されている。そして、コンベア41は、上部がエアシリンダ25の進退する出力ロッドに、下部が取付プレート26の先端部に、それぞれ連結されている。
【0065】
また、製造された袋Xの待受時には、コンベア41は、上方から縦姿勢で供給された袋Xに対してやや後傾しており、エアシリンダ25の出力ロッドが矢印fで示すように進退すると、コンベア41は、下部の取付プレート26との連結箇所を支点に矢印gで示すように回動し、実線で示す後傾姿勢と二点鎖線で示す前傾姿勢とが繰り返される。
【0066】
したがって、このコンベア41で搬送される間に、後傾姿勢のままであれば、受け取った姿勢を反転させないで袋Xを下流側へ受け渡し、一方、後傾姿勢から前傾姿勢となれば、受け取った姿勢を反転させて、つまり前倒しして袋Xを下流側へ受け渡すことができる。この場合、前記シュート16を用いた場合に比較すると、走行する平ベルト41aを介した受け渡しであるため、袋Xの受け渡しがスピードアップされるメリットがある。
【0067】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであれば良い。
【0068】
例えば、正常包装品の袋X,Y,Zと異常包装品の袋X,Y,Zとで、表裏が
前述した向きとは反対の向きとなるように製造しても良い。
【0069】
そして、搬出コンベア3により搬出された正常包装品の袋X,Y,Zと異常包装品の袋X,X′,Y,Y′,Z,Z′との見分け方については、異常包装品が一個ずつの袋X,Y,Zである場合には、表面X1,Y1,Z1と裏面X2,Y2,Z2との外観上の相違、つまり縦シール部X3の有無や目立った図柄Y5,Z5の有無に基づいて、また、異常包装品が連包状態の袋X′,Y′,Z′である場合には、搬送方向の長さ等に基づいて、例えば目視や撮像手段等により外観的に見分けられる。特に撮像手段等を用いた場合、次いでエアジェット式、プッシャ式、揺動アーム式、揺動フラップ式等の適宜の振分手段により異常包装品の袋X,X′,Y,Y′,Z,Z′を搬送経路から自動的に排除して回収することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上説明したように、本発明によれば、異常包装品の袋と正常包装品の袋とを外観上容易に見分け可能に下流側へ受け渡すことができ、かつ、袋が連包状態で製造されたときにも、下流側へスムーズに受け渡すことができるシュートを備えた製袋包装機が提供される。すなわち、本発明は、シート状フィルムを袋状に成形しながら物品を包装する製袋包装機に関し、物品包装の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の側面図である。
【図2】シュートの側面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】制御システムを示すブロック図である。
【図5】一個ずつ供給された袋に対するシュートの動作を説明する要部側面図であって、待受状態を示す。
【図6】同じく、側面部材と底面部材とが回動した状態を示す。
【図7】連包状態で供給された袋に対するシュートの動作を説明する要部側面図であって、待受状態を示す。
【図8】同じく、底面部材のみが回動した状態を示す。
【図9】シュートの動作を補足説明するためのタイムチャートである。
【図10】製袋包装機が縦ピロー包装タイプのものである場合に、シュートの動作を説明する要部側面図であって、待受状態を示す。
【図11】同じく、正常包装品の袋を受け取ったシュートの動作を説明する要部側面図である。
【図12】同じく、正常包装品の袋が搬出コンベアへ受け渡された状態を示す要部平面図である。
【図13】同じく、異常包装品の袋を受け取ったシュートの動作を説明する要部側面図である。
【図14】同じく、異常包装品の袋が搬出コンベアへ受け渡された状態を示す要部平面図である。
【図15】シュートの代わりにコンベアを用いた場合の側面図である。
【図16】従来のシュートの動作を示す側面図である。
【図17】従来のシュートにおける問題を説明するための側面図である。
【図18】縦ピロー包装された袋の正面図であって、(a)は表面、(b)は裏面を示す。
【図19】三方シール包装された袋の正面図であって、(a)は表面、(b)は裏面を示す。
【図20】四方シール包装された袋の正面図であって、(a)は表面、(b)は裏面を示す。
【符号の説明】
【0072】
1 製袋包装機
16 シュート(受渡機構)
21 側面部材
22 底面部材
25 エアシリンダ(側面部材の駆動源)
29 エアシリンダ(底面部材の駆動源)
30 コントロールユニット(制御手段、判別手段)
41 コンベア(受渡機構)
F フィルム
X,Y,Z 袋
X′ 連包状態の袋
X3 縦シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状フィルムを縦横にシールすると共に切断して連続的に袋状に成形しつつ、供給された物品を個々の袋に包装し、得られた袋を受渡機構を介して下流側へ受け渡すように構成された製袋包装機であって、
前記受渡機構は、受け取った姿勢を反転させないで袋を下流側へ受け渡す動作と受け取った姿勢を反転させて袋を下流側へ受け渡す動作とを切り換え可能な構造とされており、
該動作を切り換える制御手段が備えられていることを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】
前記請求項1に記載の製袋包装機において、
該製袋包装機は、一方の面にのみ縦シール部を有する袋を製造するように構成されていることを特徴とする製袋包装機。
【請求項3】
前記請求項1に記載の製袋包装機において、
該製袋包装機は、表裏面のデザインが互いに相違する袋を製造するように構成されていることを特徴とする製袋包装機。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の製袋包装機において、
製造された袋が正常包装品か異常包装品かを判別する判別手段が備えられており、
前記制御手段は、該判別手段による判別結果に基づいて前記受渡機構の動作を切り換えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項5】
前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の製袋包装機において、
該製袋包装機は、袋を一個ずつに切断されない連包状態で製造することができるように構成されており、
前記制御手段は、袋が連包状態で製造されたときは、受け取った姿勢を反転させないで袋を下流側へ受け渡すように、前記受渡機構の動作を切り換えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のいずれかに記載の製袋包装機において、
前記受渡機構は、待受時に、上方から縦姿勢で供給された袋に対してやや後傾して、袋の平面部を支持する側面部材と、この側面部材の下端部から略L字状となるようにやや前上がりに延設されて、袋の下端部を支持する底面部材とを有しており、かつ、
前記側面部材と底面部材とをぞれぞれ支点を中心として回動させる駆動源が備えられており、
前記制御手段は、該駆動源を制御することにより、略L字状を維持しながら前記側面部材と底面部材とを回動させて、受け取った袋を前倒しして下流側へ受け渡す動作と、前記底面部材のみを前下がりとなるように回動させて、受け取った袋の下端部を先頭にして下流側へ受け渡す動作とを切り換えることを特徴とする製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−223671(P2007−223671A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103940(P2006−103940)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】