説明

複合タービン動翼組立体

【課題】金属タービンロータ又はディスクに対してCMC翼を取り付けることができる簡単且つ費用効果的なシステムを提供する。
【解決手段】複合タービン翼組立体10は、翼形部13、シャンク部14及び取付部16を含むセラミック翼13と、セラミック翼13をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2遷移部品20,22を含み、それらの間にセラミック翼13を拘束する遷移組立体18とを含む。第1及び第2遷移部品20,22の内面は、セラミック翼13のシャンク部14及び取付部16と嵌合するように形成され、第1及び第2遷移部品20,22の外面は、遷移組立体18をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにする取付機構を含むように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン翼又は動翼に関し、より詳細には、セラミックマトリックス複合材料(CMC)タービン翼の金属タービンディスク又はロータへの取付を可能にする遷移組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、金属タービンディスク又はロータにCMC翼を接続するために利用される方法は、ロータシステムに直接セラミック翼を接続するボルト等の機械的手段の使用を伴う。或いは、タービンディスク又はロータは、特にCMCシステムを想定して設計できる。しかしながら、現在のシステムは、過剰な費用や相当な複雑さの追加を伴わずに既存の金属ディスク又はロータ上で金属合金翼のCMC翼との直接的な現場交換を可能にすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7094021号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、既存の金属タービンロータ又はディスクに対してCMC翼を取り付けることができる簡単且つ費用効果的なシステムに関する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の例示的だが非限定的な実施形態において、本発明は、翼形部、シャンク部及び取付部を含むセラミック翼と、セラミック翼をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2金属遷移部品からなり、それらの間にセラミック翼を拘束する遷移組立体であって、第1及び第2金属遷移部品の内面は、セラミック翼のシャンク部及び取付部と嵌合するように形成され、第1及び第2金属遷移部品の外面は、遷移組立体をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにする取付機構を含むように形成される遷移組立体とからなる複合タービン翼組立体に関する。
【0006】
別の例示的だが非限定的な実施形態において、本発明は、翼形部、シャンク部及び第1ダブテール取付部を含むセラミック翼と、セラミック翼をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2遷移部品からなり、それらの間にセラミック翼を拘束する遷移組立体であって、第1及び第2遷移部品の内面は、セラミック翼のシャンク部及び第1ダブテール取付部と嵌合するように形成され、第1及び第2遷移部品の外面は、遷移組立体をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにする第2ダブテール取付部を含むように形成される遷移組立体とからなる複合タービン翼組立体に関する。
【0007】
更に別の例示的だが非限定的な実施形態において、本発明は、翼形部、シャンク部及び第1取付部を含む少なくとも1つのセラミック翼と、少なくとも1つのセラミック翼をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2遷移部からなり、それらの間に少なくとも1つのセラミック翼を拘束する遷移組立体であって、第1及び第2遷移部の内面は、少なくとも1つのセラミック翼のシャンク部及び第1取付部と嵌合するように形成され、第1及び第2遷移部の外面は、遷移組立体をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにするプラットホーム、シャンク、複数のエンジェルウィングシール及び第2取付部を含むように形成される遷移組立体とからなるタービンロータ又はディスク組立体に関する。
【0008】
次に、以下で特定する図面に関連して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の例示的だが非限定的な実施形態の分解図であり、セラミック翼形と関連する遷移組立体を示す。
【図2】部分組立図であり、図1に示す遷移組立体の半分入れ子状態のCMC翼形を示す。
【図3】実質的に完全に組み立てられたセラミック翼形及び遷移組立体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的だが非限定的な実施形態は、セラミックタービン翼形を金属タービンディスク又はロータに取り付けるための新しい遷移機構に関する。以下で更に説明するように、遷移機構又は組立体は、最小の機構及び付属品によって複雑さと費用を大幅に削減する低コストのCMC翼形又は翼を可能にする。更に、本明細書に開示した設計は、既存のロータシステムの設計を損なうことなくセラミック翼を金属翼と交換することを可能にする。セラミック翼がタービンディスク又はロータに取り付けられる遷移組立体は、固定され、それらの間にCMC翼を有する2つ以上の金属遷移部品から構成される。より詳細には、遷移組立体の構成部品は、1つ以上のボルト又はその他の適切な締結具によって、セラミック翼の半径方向内方の位置、即ち、ボルト又はその他の締結具がセラミック翼を通過しない位置で直接固定される。遷移組立体の2つの構成部品は、重量及び応力を最適化するように、さもなければセラミック翼に適合するように複数の方法で扇形に分割できる。
【0011】
典型的な外部金属タービン動翼又は翼の設計の特徴の全ては遷移部品に含まれており、例えば、エンジェルウィングシール、プラットホーム、シャンク、ダブテール、並びに一般的に動翼のプラットホーム、シャンク及び取付部に関連する任意の冷却供給及び/又は冷却機構が含まれる。これらの複雑な機構は遷移部品に組み込まれるので、セラミック翼自体は比較的簡単な設計で比較的製造が容易である。
【0012】
より詳細には、図1及び2を参照すると、翼形組立体10は、セラミックマトリックス複合材料(CMC)又は窒化ケイ素、酸化ケイ素等のその他の適切なセラミック材料からなるセラミック翼12を含む。セラミック翼12は、翼形部13と、第1シャンク部14と、ダブテール取付部16とを含む。組立体10はまた、その内面がCMC翼12の正圧及び負圧面、並びに特にシャンク部14及び(第1)ダブテール取付部16と嵌め合い係合することができるように形成される遷移部品20,22からなる金属遷移組立体18を含む。従って、遷移部品22に関して最も良く見られるように、内面24は、セラミック翼のシャンク部14の凸状湾曲即ち正圧面28(翼形部13の正圧面と関連する)を受ける凹状窪み26と、ダブテール取付部16の基部又は下部を受ける逆段状窪みの基部のランド30とを備えて形成される。
【0013】
遷移部品20は、CMC翼12の負圧面に適合するように異なって輪郭形成される。例えば、凸面34は、セラミック翼のシャンク部14の対応する凹面36を受ける。構成部品20の内面はまた、ダブテール取付部16の残りの半分を受けるための窪み(見えないが窪み32とほぼ同様である)を含むように形成される。従って、遷移組立体部品20,22はセラミック翼12のシャンク部14及びダブテール取付部16に関してぴったりと適合し、2つの構成部品20,22は続いて、翼形ダブテール部15の半径方向下方(即ちディスク又はロータに対して半径方向内方)に位置する各ボルト孔対38,40を通過するボルト又はその他の適切な締結具(図示せず)によって固定され、そこで、ボルト又はその他の締結具がセラミック翼12のどの部分も通過しないように遷移部品の平面領域42,44が直接結合されることがわかるであろう。このように、締結装置(ボルト)は、組立体の比較的低温且つ低応力の位置を通過する。表面領域42,44はまた、ボルト又はその他の締結具の締付荷重を一方の遷移部品から他方へと伝達することを可能にする。
【0014】
遷移組立体部品20,22の外面は、金属動翼又は翼シャンク及びダブテールの典型的な表面特徴の全てを含むように形成される。例えば、構成部品20及び22の外面は、構成部品20上に1つ以上のいわゆる「エンジェルウィング」シール46,48,50及び(第2)ダブテール取付部52を、構成部品22上にエンジェルウィングシール部54,56,58及び(第2)ダブテール取付部60を含むように形成される。遷移部品をそのように構成することにより、本明細書に開示したセラミック翼組立体を有する金属動翼又は翼の交換の際に、タービンロータ又はディスクに対していかなる変更も必要なくなる。遷移部品が図3に示すように結合して完全な第2ダブテール取付部を形成する時に、シール46,48及び50はそれぞれシール54,56及び58と整合し、ダブテール取付部52はダブテール取付部60と整合することに留意されたい。また、第1及び第2遷移部品20,22の外面は、第1シャンク部14と嵌め合い係合するプラットホーム62及び第2シャンク部64を含むように形成されることにも留意されたい。従って、通常は翼構造の一部であるプラットホーム62及び第2シャンク部64は、ここでは金属遷移部品の一部である。
【0015】
また、遷移組立体部品20,22は、セラミック翼12の非対称性輪郭を考慮すると互いの鏡像でないことがわかるであろう。そのため、2つの構成部品20,22の間の接触面もまた非対称であるが、少なくとも、セラミック翼形の構造によってだけでなく、製造の容易さ、重量及び応力に関する問題にも基づいて決定される。従って、遷移部品の厳密な構造は、セラミック翼構造に応じて変化する。
【0016】
図3は、完全に組み立てられた動翼を示しており、遷移部品20,22が、セラミック翼12のシャンク部14及び第1ダブテール取付部16に関して、ボルト21,23又はその他の適切な締結具を介してしっかりと固定されている。一旦このように組み立てられると、組立体は、遷移組立体部品20及び22が交換された金属翼又は動翼の元のシャンク及びダブテール部に対応するように成形されているので、ディスク上のいずれかの金属動翼又は翼と全く同じようにタービンディスク又はロータに取り付けることができる。一方の遷移部品の他方に対する位置決めは、締結具、ピンによって、又は適切な案内機構によって達成される。
【0017】
本発明は、セラミック翼12をかなり小さく簡単な設計にすることができるという点で幾つかの利点を提供することが理解されるであろう。加えて、金属遷移組立体は、同等の金属動翼又は翼に用いられるよりも低級の材料から構成することができるため、更なる節約を可能にする。また、シャンク部の低温部分に低い応力が存在し、遷移組立体部品20,22が、G負荷と、それらの質量中心が軸方向に整列するという事実とによって、互いに効果的に崩壊することがわかった。更にこの点に関しては、翼12のダブテール取付部16がCMC翼形及びシャンクの遠心荷重を遷移部品20,22の中に伝達し、次に、遷移部品20,22が結合した遠心荷重をディスク又はロータに伝達する。
【0018】
また、上記の説明は単なる例示であり、様々な設計変更が考えられることがわかるであろう。例えば、図示の実施形態では、セラミック翼12の第1ダブテール取付部16はシングルタングダブテールであるが、それはもちろん、マルチタング又はその他の形式の取付であっても良い。同様に、遷移部品上に設けられた第2取付機構(第2ダブテール取付部52,60)は、関連するタービンロータ又はディスク内に設けられた取付方式に応じて変更できる。
【0019】
遷移組立体部品20,22はまた、金属組立体用の冷却空気又はその他の冷却機構のみならず、ダンパーを収容及び保持する機構のための通路を収容するように形成できる。その他の機構、例えば重量削減のための切り欠き又は窪み(そのような窪みが66で示されている)等を含んでも良い。
【0020】
現時点で最も実用的且つ好適な実施形態であると考えられるものに関連して本発明を説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されてはならず、むしろ添付の特許請求の範囲の技術的思想及び技術的範囲内に含まれる種々の変形及び等価の構成を含むことが意図されると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形部(13)、シャンク部(14)及び取付部(16)を含むセラミック翼(12)と、
前記セラミック翼(12)をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2金属遷移部品(20,22)からなり、それらの間に前記セラミック翼(12)を拘束する遷移組立体(18)であって、前記第1及び第2金属遷移部品(20,22)の内面は、前記セラミック翼(12)の前記シャンク部(14)及び前記取付部(16)と嵌合するように形成され、前記第1及び第2金属遷移部品(20,22)の外面は、前記遷移組立体(18)をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにする取付機構を含むように形成される前記遷移組立体(18)とからなる、複合タービン翼組立体(10)。
【請求項2】
前記セラミック翼(12)の前記取付部(16)は第1ダブテール取付部である、請求項1に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項3】
前記取付機構はダブテールである、請求項1に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項4】
前記第1及び第2遷移部品(20,22)の前記外面は、単一又は複数のエンジェルウィングシール(46,48,50)を含むように形成される、請求項1に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項5】
前記セラミック翼(12)はセラミックマトリックス複合材料から構成される、請求項1に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項6】
翼形部(13)、第1シャンク部(14)及び第1ダブテール取付部(16)を含むセラミック翼(12)と、
前記セラミック翼(12)をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2遷移部品(20,22)からなり、それらの間に前記セラミック翼(12)を拘束する遷移組立体(18)であって、前記第1及び第2遷移部品(20,22)の内面は、前記セラミック翼(12)の少なくとも前記第1ダブテール取付部(16)と嵌合するように形成され、前記第1及び第2遷移部品(20,22)の外面は、前記遷移組立体(18)をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにする第2ダブテール取付部(52,60)を含むように形成される前記遷移組立体(18)とからなる、複合タービン翼組立体(10)。
【請求項7】
前記第1及び第2遷移部品(20,22)の前記外面は少なくとも1つのエンジェルウィングシール(46,48,50)を含み、前記取付機構はダブテールである、請求項6に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項8】
前記第1及び第2遷移部品(20,22)は、前記セラミック翼(12)の半径方向内方の1つ以上の締結具によって直接固定される、請求項6に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項9】
前記セラミック翼(12)はセラミックマトリックス複合材料から構成される、請求項6に記載の複合タービン翼組立体(10)。
【請求項10】
翼形部(13)、第1シャンク部(14)及び第1取付部(16)を含む少なくとも1つのセラミック翼(12)と、
前記少なくとも1つのセラミック翼(12)をタービンディスク又はロータに取り付けるように構成されており、固定された第1及び第2遷移部品(20,22)からなり、それらの間に前記少なくとも1つのセラミック翼(12)を拘束する遷移組立体(18)であって、前記第1及び第2遷移部品(20,22)の内面は、前記少なくとも1つのセラミック翼(12)の前記シャンク部(14)及び前記第1取付部(16)と嵌合するように形成され、前記第1及び第2遷移部品(20,22)の外面は、前記遷移組立体をタービンロータ又はディスクに取り付けることができるようにするプラットホーム(62)、前記第1シャンク部(14)と嵌め合い係合する第2シャンク部(64)、1つ以上のエンジェルウィングシール(46,48,50)及び第2取付部(52,60)を含むように形成される前記遷移組立体(18)とからなる、タービンロータ又はディスク組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−220325(P2011−220325A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−22396(P2011−22396)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】