説明

複合入力装置

【課題】固定接点に接続される端子の数を少なくすることができる複合入力装置の提供。
【解決手段】センタープッシュ用可動接点3が常時接続する外側固定接点SPa、及びセンタープッシュ用可動接点3が接離する内側固定接点SPbと、方向入力用可動接点2が接離する方向入力用固定接点S1a〜S4a,SAa〜SDaとを備え、内側固定接点SPbと、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaとを電気的に接続するとともに、外側固定接点SPaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとを電気的に接続した構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方向入力用スイッチの内側にセンタープッシュ入力用スイッチを配置した複合入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、本願出願人は先に特許文献1に示すものを提案した。この従来技術は、外側に複数の方向入力用スイッチを備え、これらの方向入力用スイッチの内側に決定入力用のスイッチ、すなわちセンタープッシュ入力用スイッチを備えたものである。方向入力用スイッチのそれぞれは、常時コモン接点に接続される方向入力用可動接点と、この方向入力用可動接点への押圧操作に伴って、方向入力用可動接点が接離する方向入力用固定接点とから成り、センタープッシュ入力用スイッチは、ドーム状のセンタープッシュ用可動接点とセンタープッシュ用固定接点とから構成されている。
【0003】
ハウジングには、上述したコモン接点及び方向入力用固定接点のそれぞれと、これらの方向入力用固定接点の内側の中央位置に配置されるセンタープッシュ用固定接点とが備えられている。センタープッシュ用固定接点は、一対の固定接点、すなわち常時センタープッシュ用可動接点が接続する外側固定接点と、センタープッシュ用可動接点への押圧操作に伴って、センタープッシュ用可動接点が接離する内側固定接点とから成っている。センタープッシュ用固定接点からの配線、すなわち端子は、隣り合う方向入力用固定接点の間に形成される領域から引き出されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−195956公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、各方向入力用固定接点に接続される端子と、一対のセンタープッシュ用固定接点のそれぞれに接続される端子とを必要としており、端子の数が多く、それに相応した端子の配置領域を確保しなければならないことから、装置の小型化を実現できない問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、固定接点に接続される端子の数を少なくすることができる複合入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、センタープッシュ用可動接点と、センタープッシュ用の一対の固定接点と、上記センタープッシュ用可動接点とは電気的に独立した方向入力用可動接点と、この方向入力用可動接点と常時接続するコモン接点と、個別に形成される第1固定接点と第2固定接点を含み、上記方向入力用可動接点が接離する複数の方向入力用固定接点とを備え、上記センタープッシュ用の一対の固定接点の一方と、上記方向入力用固定接点の上記第1固定接点とを電気的に接続するとともに、上記センタープッシュ用の一対の固定接点の他方と、上記方向入力用固定接点の上記第2固定接点とを電気的に接続したことを特徴としている。
【0007】
このように構成した本発明は、センタープッシュ用固定接点の一方と、方向入力用固定接点の第1固定接点とを電気的に接続したことにより、センタープッシュ用固定接点の一方に接続される端子と、方向入力用固定接点の第1固定接点に接続される端子とを共通にすることができる。同様に、センタープッシュ用固定接点の他方と、方向入力用固定接点の第2固定接点とを電気的に接続したことにより、センタープッシュ用固定接点の他方に接続される端子と、方向入力用固定接点の第2固定接点に接続される端子とを共通にすることができる。これらにより、固定接点に接続される端子の数を少なくすることができる。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、上記方向入力用固定接点を2個以上備え、上記センタープッシュ用可動接点及び上記センタープッシュ用の一対の固定接点を挟んで、上記第1固定接点と上記第2固定接点とを互いに対向する位置に配置したことを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、第1固定接点及び第2固定接点を含む2個以上の方向入力用固定接点と、センタープッシュ用固定接点を介して、2方向以上の入力とセンタープッシュ入力とを実施できる。また、方向入力用固定接点の第1固定接点と第2固定接点とを、センタープッシュ用可動接点、固定接点を挟んで対向するように離隔させて配置してあることから、方向入力用可動接点の押圧操作に際して、センタープッシュ用可動接点の押圧時におけるような第1固定接点と第2固定接点との導通を生じることがない。これにより、方向入力用可動接点の押圧操作の検出と、センタープッシュ用可動接点の押圧操作の検出との間の誤検出を生じることがない。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、上記方向入力用固定接点を4個以上備え、上記第1固定接点と上記第2固定接点とを互いに隣接しない位置に配置したことを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明は、第1固定接点及び第2固定接点を含む4個以上の方向入力用固定接点と、センタープッシュ用固定接点を介して、4方向以上の入力とセンタープッシュ入力とを実施できる。また、方向入力用固定接点の第1固定接点と第2固定接点とを、互いに隣接しないように配置してあることから、方向入力用可動接点の押圧操作に際して、センタープッシュ用可動接点の押圧時におけるような第1固定接点と第2固定接点との導通を生じることがない。これにより、方向入力用可動接点の押圧操作の検出とセンタープッシュ用可動接点の押圧操作の検出との間の誤検出を生じることがない。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、上記センタープッシュ用の可動接点を電気的に独立させて上下2段に設け、上段のセンタープッシュ用の可動接点及び下段のセンタープッシュ用の可動接点のそれぞれと、上記複数の方向入力用固定接点のうちの互いに異なる方向入力用固定接点とを電気的に接続したことを特徴としている。このように構成した本発明は、センタープッシュ入力用スイッチを2個設けたことにより複合入力機能を向上させることができる。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、上記コモン接点と、上記センタープッシュ用の一対の固定接点と、上記複数の方向入力用固定接点とが設けられ、角形状に形成されたハウジングを備えるとともに、このハウジングの隅部に上記コモン接点を配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、デッドスペースを形成する角形状のハウジングの隅部をコモン接点の配置領域として有効に活用できる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、上記方向入力用可動接点の基本形状をリング形状に形成し、このリング形状に形成した方向入力用可動接点の開口を介して上記センタープッシュ用可動接点を操作可能に配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、リング形状の方向入力用可動接点の内部をセンタープッシュ用可動接点の配置領域として有効に活用できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、センタープッシュ用の一対の固定接点のうちの一方の固定接点に接続される端子と、方向入力用固定接点の第1固定接点に接続される端子とを共通化できるとともに、センタープッシュ用の一対の固定接点のうちの他方の固定接点に接続される端子と、方向入力用固定接点の第2固定接点に接続される端子とを共通化できる。これによって固定接点に接続される端子の数を従来よりも少なくすることができ、従来に比べて端子の配置領域を小さくすることができ、装置の小型化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,本発明に係る複合入力装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の複合入力装置の第1実施形態を示す分解斜視図、図2は図1に示す第1実施形態の縦断面図である。
【0018】
これらの図1,2に示すように、本実施形態は、後述の各固定接点が設けられ、例えば角形状に形成されたハウジング1と、このハウジング1上に配置され、基本形状がリング状に形成され、金属板から成る方向入力用可動接点2と、この方向入力用可動接点2の開口の内部に配置され、金属材料から成るドーム状のセンタープッシュ用可動接点3を備えている。
【0019】
また、方向入力用可動接点2を押圧操作する方向入力用駆動部材4と、センタープッシュ用可動接点3を押圧操作するセンタープッシュ用駆動部材5と、このセンタープッシュ用駆動部材5の上方向の移動を規制する下蓋部材6とを備えている。
【0020】
また、例えばゴム体から成り、上述の方向入力用可動接点2及びセンタープッシュ用可動接点3の復帰力を許容させる復帰部材7と、この復帰部材7の上方向への移動を規制する上蓋部材8と、上述の方向入力用可動接点2及びセンタープッシュ用可動接点3の押圧操作を行なう操作つまみ9とを備えている。
【0021】
[第1実施形態の要部構成]
図3は図1に示す第1実施形態の要部を形成するスイッチ部を示す平面図、図4は図1に示す第1実施形態に備えられるハウジングを示す平面図である。
【0022】
図3に示すように、この第1実施形態は、中央位置に上述したセンタープッシュ用可動接点3を含むセンタープッシュ入力用スイッチSPを有し、このセンタープッシュ入力用スイッチSPの外側に、上述した方向入力用可動接点2によって形成される例えば8個の方向入力用スイッチS1,S2,S3,S4,SA,SB,SC,SDを有している。これらのうち方向入力用スイッチS1と方向入力用スイッチS3は、同図3において前後方向に配置されている。方向入力用スイッチS4と方向入力用スイッチS2は左右方向に配置されている。また、方向入力用スイッチSAは、方向入力用スイッチS1とS2との間に配置してあり、方向入力用スイッチSBは、方向入力用スイッチS2とS3との間に配置してある。方向入力用スイッチSCは方向入力用スイッチS3とS4との間に配置してあり、方向入力用スイッチSDは方向入力用スイッチS4とS1との間に配置してある。すなわち、これらの方向入力用スイッチS1〜S4,SA〜SDは、方向入力用可動接点2のリング形状に沿うように、同一円周上に等間隔で配置してある。
【0023】
センタープッシュ用可動接点3及び方向入力用可動接点2を除いた図4に示すように、この第1実施形態は、上述したセンタープッシュ入力用スイッチSPに含まれる一対の固定接点、すなわち2つの外側固定接点SPaと、1つの内側固定接点SPbとを備えている。上述のセンタープッシュ用可動接点3は、2つの外側固定接点SPaに常時接続され、内側固定接点SPbに対し接離するようになっている。
【0024】
上述した方向入力用スイッチS1,S2,S3,S4,SA,SB,SC,SDに含まれる各固定接点S1a,S2a,S3a,S4a,SAa,SBa,SCa,SDaのそれぞれは、上述の方向入力用可動接点2が接離するようになっている。なお、この方向入力用可動接点2は、ハウジング1の4つの隅部のそれぞれに配置されたコモン接点COaに常時接続されている。
【0025】
特に、この第1実施形態は、センタープッシュ用の一対の固定接点の一方、例えば内側固定接点SPbと、上述の8個の方向入力用固定接点のうちの第1固定接点、例えば方向入力用スイッチSAに含まれる方向入力用固定接点SAaとを電気的に接続してある。また、センタープッシュ用の一対の固定接点の他方、すなわち外側固定接点SPaと、上述の8個の方向入力用固定接点のうちの第1固定接点とは別に形成される第2固定接点、例えば方向入力用スイッチSCに含まれる方向入力用固定接点SCaとを電気的に接続してある。
【0026】
図4に示すように、センタープッシュ用可動接点3及びセンタープッシユ用の外側固定接点SPa、内側固定接点SPbを挟んで、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとを互いに対向する位置に配置してある。すなわち、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとを互いに隣接しない位置に配置してある。
【0027】
また、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaは端子T2に接続してあり、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaは端子T6に接続してある。その他の方向入力用固定接点S1aは端子T1に、方向入力用固定接点S2aは端子T3に、方向入力用固定接点SBaは端子T4に、方向入力用固定接点S3aは端子T5に、方向入力用固定接点S4aは端子T7に、方向入力用固定接点SDaは端子T8に、それぞれ接続してある。
【0028】
なお、4つのコモン接点COaのそれぞれは、ハウジング1の隅部近傍に設けたコモン端子COのそれぞれに接続してある。
【0029】
[第1実施形態のスイッチ回路]
図5は図1に示す第1実施形態に備えられるスイッチ回路を示す平面図である。
【0030】
上述のように構成したことにより、この図5に示すように、コモン端子COと、端子T1〜T8との間に、それぞれ方向入力用スイッチS1,SA,S2,SB,S3,SC,S4,SDが配置され、また、端子T2と端子T6との間に、センタープッシユ入力用スイッチSPが配置されている。上述のスイッチ回路は、図示せぬ制御装置と接続されて用いられ、制御装置内のスイッチング切換えによってコモン端子COとT6とに交互に信号を入力し、その際の端子T1からT8の出力を検出することで、方向入力とセンタープッシュ入力の何れの操作がなされたかが制御装置のマイコン等により判断される。すなわち、先にコモン端子COに信号を入力した際に、端子T1からT8の何れかの出力変化を検出した場合、当該端子の接続された方向入力用スイッチが操作されたと判断し、操作方向を決定する。次に、端子T6に信号を入力した際に、端子T2の出力変化を検出した場合、センタープッシュ用スイッチSPが操作されたと判断する。
【0031】
[第1実施形態の動作]
図6は図1に示す第1実施形態の動作を示す縦断面図である。
【0032】
この図6に示すように、操作つまみ9を復帰部材7の復帰力に抗して例えば同図における左方向に向かって押圧操作すると、方向入力用駆動部材4がリング状の方向入力用可動接点2の左側部分を押し、これによって方向入力用可動接点2が図4に示す方向入力用固定接点S4aに接続、すなわち導通する。これによって図3に示す方向入力用スイッチS4がオンとなる。
【0033】
また、操作つまみ9に加えていた押圧力を除くと、方向入力用可動接点2の保有する復帰力、及び復帰部材7の保有する復帰力により、操作つまみ9は、図2に示す初期形態に復帰する。これにより、方向入力用可動接点2は方向入力用固定接点S4aから離れ、図3に示す方向入力用スイッチS4はオフとなる。
【0034】
図1等に示す操作つまみ9を図3の右方向、あるいは前方向、後方向に向かって押圧することにより、方向入力用スイッチS2、あるいは方向入力用スイッチS1,S3がオンとなり、押圧力を除くことにより、これらの方向入力用スイッチS2,S1,S3はオフとなる。
【0035】
同様に、図1等に示す操作つまみ9を図3の斜め右上方向、斜め右下方向、斜め左下方向、斜め左上方向に押圧することにより、方向入力用スイッチSA,SB,SC,SDがオンとなり、押圧力を除くことにより、これらの方向入力用スイッチSA,SB,SC,SDはオフとなる。
【0036】
また、図1等に示す操作つまみ9の中央部分を押すと、図3に示すセンタープッシュ用可動接点3が、図4に示す内側固定接点SPbに接続、すなわち導通し、図3に示すセンタープッシュ入力用スイッチSPはオンとなる。押圧力を除くとセンタープッシュ用可動接点3が内側固定接点SPbから離れ、センタープッシュ入力用スイッチSPはオフとなる。
【0037】
このように、第1実施形態は、8個の方向入力用スイッチS1〜S4、SA〜SDに応じて8方向の入力操作を実施できるとともに、センタープッシュ入力用スイッチSPに応じてセンタープッシュ入力を実施できる。
【0038】
[第1実施形態の効果]
この第1実施形態によれば、センタープッシュ用固定接点の一方、すなわち内側固定接点SPbと、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaとを電気的に接続したことにより、センタープッシュ用固定接点の内側固定接点SPbに接続される端子と、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaに接続される端子とを、端子T2として共通にすることができる。同様に、センタープッシュ用固定接点の他方、すなわち外側固定接点SPaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとを電気的に接続したことにより、センタープッシュ用固定接点の外側固定接点SPaに接続される端子と、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaに接続される端子とを、端子T6として共通にすることができる。これらにより、この第1実施形態は、固定接点に接続される端子の数を少なくすることができ、端子の配置領域を小さくすることができ、装置の小型化を実現させることができる。
【0039】
また、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとを、センタープッシュ入力用スイッチSPの可動接点3、及び外側固定接点SPa、内側固定接点SPbを挟んで対向するように離隔させて配置してあることから、方向入力用可動接点2の押圧操作に際し、センタープッシュ用可動接点3の押圧時におけるような、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAaと、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaとが導通する懸念がない。例えば、図3に示す方向入力用スイッチSAと方向入力用スイッチS1との間の方向に向かうように操作つまみ9が押圧操作された時には、方向入力用スイッチSAと方向入力用スイッチS1とがオンとなるものの、図4に示す方向入力用固定接点SAaと、方向入力用固定接点SCaとが導通しない状態に保つことができる。これにより、この第1実施形態では、方向入力用可動接点2の押圧操作の検出と、センタープッシュ用可動接点3の押圧操作の検出との間の誤検出を生じることがなく、信頼性の高い装置とすることができる。
【0040】
また、ハウジング1の4つの隅部のそれぞれにコモン接点COaを配置したことから、デッドスペースを形成する角形状のハウジング1の4つの隅部をコモン接点COaの配置領域として有効に活用でき、装置の小型化に貢献する。
【0041】
また、リング形状の方向入力用可動接点2の内部をセンタープッシュ用可動接点3の配置領域として有効に活用でき、この点でも装置の小型化に貢献する。
【0042】
[第2実施形態の要部構成]
図7は本発明の第2実施形態の要部を形成するスイッチ部を示す平面図、図8は図7に示す第2実施形態に備えられるハウジングを示す平面図である。
【0043】
これらの図7,8に示す第2実施形態は、センタープッシュ用可動接点を電気的に独立させて上下2段に設け、上段のセンタープッシュ用可動接点、及び下段のセンタープッシュ用可動接点のそれぞれと、複数、例えば8個の方向入力用固定接点のうちの互いに異なる方向入力用固定接点とを電気的に接続したものである。
【0044】
例えば、上述した第1実施形態におけるセンタープッシュ用可動接点3、すなわち外側固定接点SPaを介して常時、方向入力用固定接点SCaに接続されるセンタープッシュ用可動接点3の上に、このセンタープッシュ用可動接点3とは電気的に独立させて図7に示す十字形状のセンタープッシュ用可動接点3Aを別に設け、このセンタープッシュ用可動接点3Aが常時接続される図8に示す固定接点SPAaと、例えば方向入力用固定接点SBaとを電気的に接続した構成にしてある。これらにより、図7に示すように、下段のセンタープッシュ入力用スイッチSPの上に、もう1つのセンタープッシュ入力用スイッチSPAが備えられている。その他の構成は、例えば上述の第1実施形態と同等である。
【0045】
[第2実施形態のスイッチ回路]
このように構成した第2実施形態は、図9に示すように、第1実施形態におけるのと同様の8個の方向入力用スイッチS1,SA,S2,SB,S3,SC,S4,SDを設けることができるとともに、端子T4と端子T6とに接続される上段のセンタープッシュ入力用スイッチSPAと、端子T4と端子T2とに接続される下段のセンタープッシュ入力用スイッチSPとを設けることができる。上述のスイッチ回路は、図示せぬ制御装置と接続されて用いられ、制御装置内のスイッチング切換えによってコモン端子COとT4とに交互に信号を入力し、その際の端子T1からT8の出力を検出することで、方向入力とセンタープッシュ入力の何れの操作がなされたかが制御装置のマイコン等により判断される。すなわち、先にコモン端子COに信号を入力した際に、端子T1からT8の何れかの出力変化を検出した場合、当該端子の接続された方向入力用スイッチが操作されたと判断し、操作方向を決定する。次に、端子T4に信号を入力した際に、端子T2とT6双方の出力変化を検出した場合、センタープッシュ用スイッチSPが操作されたと判断し、端子T6のみの出力変化を検出した場合は、センタープッシュ用スイッチSPAが操作されたと判断する。
【0046】
[第2実施形態の動作]
上段のセンタープッシュ入力用スイッチSPAのセンタープッシュ用可動接点3Aのみの押圧操作により、このセンタープッシュ用可動接点3Aが、方向入力用固定接点SCaに常時接続されるセンタープッシュ用可動接点3に接触し、これによってセンタープッシュ用可動接点3Aが常時接続される固定接点SPAaと導通する方向入力用固定接点SBaと、方向入力用固定接点SCaとが接続、すなわち導通して上段のセンタープッシュ入力用スイッチSPAがオンとなる。
【0047】
この状態からセンタープッシュ用可動接点3Aに加えていた押圧力を除くと、センタープッシュ用可動接点3Aがセンタープッシュ用可動接点3から離れ、上段のセンタープッシュ入力用スイッチSPAがオフとなる。
【0048】
また、センタープッシュ入力用スイッチSPAを上述のときよりも強く押圧して、センタープッシュ用可動接点3Aを介して、センタープッシュ用可動接点3とセンタープッシュ用の一対の固定接点のうちの内側固定接点SPbとを接続、すなわち導通させると、上段のセンタープッシュ入力用スイッチSPAとともに、下段のセンタープッシュ入力用スイッチSPがオンとなる。
【0049】
この状態から例えば押圧力を弱くして、センタープッシュ用可動接点3と内側固定接点SPbとの接続を解除させると、下段のセンタープッシュ入力用スイッチSPがオフとなる。
【0050】
[第2実施形態の効果]
このように構成した第2実施形態も、上述した第1実施形態におけるのと同様に、下段のセンタープッシュ用固定接点、すなわち内側固定接点SPb、外側固定接点SPaの端子と、第1固定接点を形成する方向入力用固定接点SAa、第2固定接点を形成する方向入力用固定接点SCaの端子とを、それぞれ端子T2,T6として共通にすることができる。また、上段のセンタープッシュ用の固定接点SPAaの端子と方向入力用固定接点SBaの端子とを端子T4として共通にすることができる。これらにより、センタープッシュ入力用スイッチを上下2段設けたものにあって、端子の数を少なくすることができ、これに伴って端子の配置領域を小さくすることができ、装置の小型化を実現させることができる。
【0051】
また、上述の第1実施形態におけるのと同様に、方向入力用可動接点2の押圧操作の検出と、下段のセンタープッシュ用可動接点3の押圧操作の検出との間の誤検出を防止できる。そして特に、この第2実施形態は、下段のセンタープッシュ用可動接点3が常時接続する外側固定接点SPaに導通する方向入力用固定接点SCaと、上段のセンタープッシュ用可動接点3Aが常時接続する固定接点SPAaに導通する方向入力用固定接点SBaとを互いに隣接しない位置に、つまり端子T5に接続される固定接点S3aを間に挟むようにして配置したことから、方向入力用可動接点2の押圧操作に際して、上段のセンタープッシュ用可動接点3Aの押圧時におけるような、方向入力用固定接点SCaとSBaとの導通を生じる懸念がない。これにより、方向入力用可動接点2の押圧操作の検出と、上段のセンタープッシュ用可動接点3Aの押圧操作の検出との間にあっても誤検出を生じることがなく、信頼性の高い装置とすることができる。
【0052】
さらに、この第2実施形態では、センタープッシュ入力用スイッチが2個のセンタープッシュ入力用スイッチSPA,SPから成るので複合入力機能を向上させることができ、汎用性に優れた装置とすることができる。
【0053】
[他の実施形態]
上述した第1,第2実施形態は、方向入力用固定接点を8個備えた構成にしてあるが、本発明は、このように方向入力用固定接点を8個備えることには限定されない。例えば方向入力用固定接点を2個設けてもよく、あるいは4個設けてもよい。
【0054】
方向入力用固定接点を2個以上設ける場合には、それらの方向入力用固定接点のうちの第1固定接点と第2固定接点とを、センタープッシュ用可動接点3及びセンタープッシュ用の固定接点である外側固定接点SPa、内側固定接点SPbを挟んで、互いに対向する位置に配置した構成にすると良く、このように構成したものでは、方向入力用固定接点を2個以上設けたものにあって上述した方向入力用可動接点2とセンタープッシュ用可動接点3との間の誤検出を防止できる。
【0055】
また、方向入力用固定接点を4個以上設ける場合には、それらの方向入力用固定接点のうちの第1固定接点と、第2固定接点とを互いに隣接しない位置に配置した構成にすると良く、このように構成したものでは、上述した方向入力用可動接点2とセンタープッシュ用可動接点3との間の誤検出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の複合入力装置の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す第1実施形態の縦断面図である。
【図3】図1に示す第1実施形態の要部を形成するスイッチ部を示す平面図である。
【図4】図1に示す第1実施形態に備えられるハウジングを示す平面図である。
【図5】図1に示す第1実施形態に備えられるスイッチ回路を示す図である。
【図6】図1に示す第1実施形態の動作を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態の要部を形成するスイッチ部を示す平面図である。
【図8】図7に示す第2実施形態に備えられるハウジングを示す平面図である。
【図9】図7に示す第2実施形態に備えられるスイッチ回路を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ハウジング
2 方向入力用可動接点
3 センタープッシュ用可動接点
3A センタープッシュ用可動接点
4 方向入力用駆動部材
5 センタープッシュ用駆動部材
6 下蓋部材
7 復帰部材
8 上蓋部材
9 操作つまみ
CO コモン端子
COa コモン接点
S1 方向入力用スイッチ
S1a 方向入力用固定接点
SA 方向入力用スイッチ
SAa 方向入力用固定接点(第1固定接点)
S2 方向入力用スイッチ
S2a 方向入力用固定接点
SB 方向入力用スイッチ
SBa 方向入力用固定接点
S3 方向入力用スイッチ
S3a 方向入力用固定接点
SC 方向入力用スイッチ
SCa 方向入力用固定接点(第2固定接点)
S4 方向入力用スイッチ
S4a 方向入力用固定接点
SD 方向入力用スイッチ
SDa 方向入力用固定接点
SP センタープッシュ入力用スイッチ
SPa 外側固定接点
SPb 内側固定接点
SPA センタープッシュ入力用スイッチ
SPAa 固定接点
T1 端子
T2 端子
T3 端子
T4 端子
T5 端子
T6 端子
T7 端子
T8 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタープッシュ用可動接点と、センタープッシュ用の一対の固定接点と、上記センタープッシュ用可動接点とは電気的に独立した方向入力用可動接点と、この方向入力用可動接点と常時接続するコモン接点と、個別に形成される第1固定接点と第2固定接点を含み、上記方向入力用可動接点が接離する複数の方向入力用固定接点とを備え、
上記センタープッシュ用の一対の固定接点の一方と、上記方向入力用固定接点の上記第1固定接点とを電気的に接続するとともに、上記センタープッシュ用の一対の固定接点の他方と、上記方向入力用固定接点の上記第2固定接点とを電気的に接続したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記方向入力用固定接点を2個以上備え、
上記センタープッシュ用可動接点及び上記センタープッシュ用の一対の固定接点を挟んで、上記第1固定接点と上記第2固定接点とを互いに対向する位置に配置したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項3】
上記請求項1記載の発明において、
上記方向入力用固定接点を4個以上備え、
上記第1固定接点と上記第2固定接点とを互いに隣接しない位置に配置したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項4】
上記請求項1項記載の発明において、
上記センタープッシュ用の可動接点を電気的に独立させて上下2段に設け、上段のセンタープッシュ用の可動接点及び下段のセンタープッシュ用の可動接点のそれぞれと、上記複数の方向入力用固定接点のうちの互いに異なる方向入力用固定接点とを電気的に接続したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項5】
上記請求項1〜4のいずれか1項記載の発明において、
上記コモン接点と、上記センタープッシュ用の一対の固定接点と、上記複数の方向入力用固定接点とが設けられ、角形状に形成されたハウジングを備えるとともに、このハウジングの隅部に上記コモン接点を配置したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項6】
上記請求項5記載の発明において、
上記方向入力用可動接点の基本形状をリング形状に形成し、このリング形状に形成した方向入力用可動接点の開口を介して上記センタープッシュ用可動接点を操作可能に配置したことを特徴とする複合入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−192312(P2008−192312A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145648(P2005−145648)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】