説明

複合多孔質イオン交換体の製造方法

【課題】イオン交換膜として機能する部材と細孔容積や比表面積が格段に大きなイオン交換体として機能する部材が一体形成された複合多孔質イオン交換体の製造方法を提供すること。
【解決手段】スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン等のイオン交換基を含まない油溶性モノマー、ソルビタンモノオレエート等の界面活性剤、水及び重合開始剤とを攪拌混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程、前記油中水滴型エマルジョンを、該油中水滴型エマルジョンが接する部分の少なくとも一部を疎水性材料で構成された容器に充填し、重合する工程、前記工程で得られた重合体にイオン交換基を導入する工程、を有する複合多孔質イオン交換体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱イオン水を用いる半導体製造工業、製薬工業、食品工業、発電所、研究所等の各種の工業あるいは糖液、ジュース、ワイン等の製造等で利用される電気式脱イオン液製造装置に好適に使用される複合多孔質イオン交換体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から実用化されている電気式脱イオン水製造装置は、基本的にはカチオン交換膜とアニオン交換膜で形成される隙間に、イオン交換体としてアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合イオン交換樹脂を充填して脱塩室とし、当該イオン交換樹脂に被処理水を通過させるとともに、前記両イオン交換膜を介して被処理水の流れに対して直角方向に直流電流を作用させて、両イオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水中のイオンを電気的に排除しながら脱イオン水を製造するものである。このような操作によって被処理水中の不純物イオンは電気的に除去されるので、充填したイオン交換樹脂を薬液による再生を全く行うことなく脱イオン水を連続的に得ることができる。
【0003】
電気式脱イオン水製造装置においては薬液による再生は不要であるため、その運転コストは消費電力量によって決定される。交流を直流に変換する際の整流ロスを除けば、電気式脱イオン水製造装置における消費電力は、両電極間の直流電流×電圧で表される。ここで、直流電流は、被処理水が含有するイオンの量、イオンの種類及び要求される処理水質によって決定される。すなわち、電気式脱イオン水製造装置においては、脱塩室でイオン交換樹脂に捕捉されたイオンを電気的泳動によって連続的に濃縮水側に排出する必要があり、イオンを泳動せしめるに必要な一定以上の電流は、電気式脱イオン水製造装置がその性能を正常に発揮するために必須のものである。よって、通常の場合、電気式脱イオン水製造装置においては、その運転条件において必要な最低電流値を上回る一定の電流値を保
持する定電流運転が行われている。これに対して電圧は、前記両電極間の電気抵抗によって決定され、電気式脱イオン水製造装置に用いられるイオン交換膜やイオン交換樹脂の性能に大きく依存する。すなわち、該電気抵抗は、両電極間に配設された電極室、濃縮室及び脱塩室による電気抵抗の総和であり、電極間距離および運転温度を一定とすれば、電極水及び濃縮水に含有されるイオンの濃度と種類、イオン交換膜、イオン交換樹脂の種類とそのイオン交換基の対イオンの種類、更にイオン交換樹脂の充填方法(単床あるいは混床)、更にこれら全ての電気抵抗構成要素の界面における接点抵抗が影響を与えるものである。前記電気抵抗構成要素の内、電極水および濃縮水に含有されるイオンの濃度と種類は、被処理水の水質及び要求される処理水水質によって決定されるが、その他の要素は電気式脱イオン水製造装置に用いられるイオン交換体の性能とその使用方法に依存する。
【0004】
しかしながら、従来の電気式脱イオン水製造装置においては、脱塩室に充填されるイオン交換樹脂は、従前より普及していた汎用品がそのまま流用されており、電気式脱イオン水製造装置の運転コストを低減させるべく、前記電気抵抗値の極小化に配慮されたものとはなっていない。すなわち、従来の電気式脱イオン水製造装置では、イオン交換樹脂として、一般に、スチレンとジビニルベンゼン(DVB)の共重合体に、陽イオン交換基としてはスルホン酸基(R-SO)を、陰イオン交換基としては第4級アンモニウム塩基(R-N)を導入して得られた直径0.2〜0.5mm程度の球状のものが充填されている。この場合、イオン交換樹脂粒子内における電流伝達、すなわち、電子及びイオンの伝達は、高分子ゲル内に均一且つ密に存在するイオン交換基を介して低抵抗で行われるのに対し、イオン交換樹脂粒子界面においては、イオン及び電子の移動に際し、イオンの場合には該イオンの水中の泳動距離が、また、電子の場合には水分子間の水素結合を介した電子伝達経路が長く、かつ球状のため粒子同士の接触面積が小さいのでイオンの流れが該接点部に集中し、電流伝達の阻害要因、すなわち、電気抵抗の原因となり、イオン交換樹脂由来の電気抵抗の主要因となっている。
【0005】
また、従来の電気式脱イオン水製造装置は、汎用のイオン交換樹脂を脱塩室に充填するため、製作に相当の時間と労力を必要とする。特に、脱イオンモジュールの組立は、サンドイッチ状の端を接着剤を用いて複数枚積層接着しつつ、湿潤したイオン交換樹脂を均一に充填しなければならず、製作には相当の熟練を要し自動化しにくい。また、接着剤を使用しない場合でも湿潤したイオン交換樹脂の取扱いは難しい。
【0006】
これらを解決するものとして、例えば、イオン交換樹脂を結合材ポリマーを用いて結合した多孔質構造を有し、特定の水透過性を保持した多孔質イオン交換体(特開平8−252579号公報、特開平10−192716号公報等)、アニオン交換体とカチオン交換体を接着剤を用いて接合し一体的に形成し、且つ通液部と透液封止部を特定構造にした枠体やイオン交換膜が不要となる脱塩室構造体(特開2000−218137号公報)、カチオン交換膜やアニオン交換膜の表面部分に多孔質構造を形成し、当該多孔質構造の表面部分において、カチオン交換膜とアニオン交換膜を接触させ、且つ多孔質構造の多孔部分を被処理水が流通する流路とし、構造の簡略化を図ったもの(特開平11−192491号公報)等が提案されている。
【0007】
ところで、特開平8−252579号公報等に記載された多孔質構造体を脱塩室の充填物とする場合、前記の粒状イオン交換樹脂の均一充填に付随する装置製作上の問題は改善される。しかしながら、この多孔質構造体では、従来そのまま脱イオンモジュールに充填されていた粒状イオン交換樹脂を結合材ポリマーを用いて結合して多孔質構造体となし、更に場合によっては、結合材ポリマー部にもイオン交換基を導入するという、多孔質構造体製造上の新たな工程を必要としており、装置組み立て工程の簡略化に換えて、脱塩室充填物の製造を複雑化している。更に、この多孔質構造体では、上述の粒状イオン交換樹脂の充填に由来する高電気抵抗の改善が十分とは言えない。すなわち、これらの多孔質構造体では、結合ポリマー部分にイオン交換基が存在しないか、存在する場合でも、イオン交換樹脂部分とは結合材ポリマーの母体及びイオン交換基の構造が異なると共に、イオン交換基の存在密度がイオン交換樹脂部分に比べて低く、全体が均質なイオン交換体とすることは困難である。このため、上述の充填層内のイオンや電子移動の不均一性の問題は解決されないままであり、イオン交換体充填層の電気抵抗の低減及び捕捉イオンの濃縮室への効率的な排出は十分とは言えない。更に、特開平8−252579号公報等に記載された電気透析装置においても脱塩室の多孔質構造体の両側には依然として別途に作製された陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを配置している。また、イオン交換樹脂を微粉末とし、これに適用な結合材ポリマーを加えて作製されるいわゆる不均質イオン交換膜も知られているが、かかる不均質イオン交換膜を電気式脱イオン液製造装置に用いる場合においても、別途イオン交換体の充填又は挿着は必要であった。
【0008】
このように、従来の多孔質イオン交換体は、いずれも、粒子状のイオン交換樹脂を結合材ポリマーにより結合した一体構造物であるか、多孔構造に関する具体的な記載がないものであり、高分散相乳化重合により製造されるような、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に水の流路となるメソポアを有する連続気泡構造のものであり、さらに緻密層を有するものを開示したものはない。特公平4−49563号公報には高分散相乳化重合により製造され、水性酸や有機酸の吸収能力を高めた多孔質ポリマーが開示されているが、該多孔質ポリマーは膨潤や液体吸収能力が高すぎて脱イオン水の製造には適さないものである。
【特許文献1】特開平8−252579号公報
【特許文献2】特開平10−192716号公報
【特許文献3】特開2000−218137号公報
【特許文献4】特開平11−192491号公報
【特許文献5】特公平4−49563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、イオン交換膜として機能する部材とイオン交換体として機能する部材が一体形成され、イオン交換体部分の細孔容積や比表面積が格段に大きな複合多孔質イオン交換体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びエチレングリコールジメタクリレートから選ばれる1種以上のイオン交換基を含まない油溶性モノマー、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノパルミテートから選ばれる1種以上の界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを攪拌混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程、前記油中水滴型エマルジョンを、該油中水滴型エマルジョンが接する部分の少なくとも一部を疎水性材料で構成された容器に充填し、重合する工程、前記工程で得られた重合体にイオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体以上のイオン交換基を導入する工程、を有する複合多孔質イオン交換体の製造方法を提供するものである。かかる方法によれば、イオン交換膜として機能する緻密層と、イオン交換体として機能する多孔質ポリマーとが一体的に形成される新規な構造の複合多孔質イオン交換体を容易に且つ確実に製造することができる。
【0011】
また、本発明は、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びエチレングリコールジメタクリレートから選ばれる1種以上のイオン交換基を含まない油溶性モノマー、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノパルミテートから選ばれる1種以上の界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを攪拌混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程、前記油中水滴型エマルジョン層又はその重合体(a)と、必要に応じて重合開始剤を添加したイオン交換基を含まない油溶性モノマー層又はその重合体フィルム(b)を積層させ、次いで該(a)と(b)の積層物を重合する工程、前記工程で得られた重合体にイオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体以上のイオン交換基を導入する工程、を有する複合多孔質イオン交換体の製造方法を提供するものである。かかる方法においても、簡易な方法で複合多孔質イオン交換体を容易に且つ確実に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の複合多孔質イオン交換体の基本構造は、多孔質ポリマーと、該多孔質ポリマーの少なくとも一方の表面に被覆され、且つ該多孔質ポリマーと一体的に形成される緻密層とからなるものである。多孔質ポリマーは、互いにつながっているマクロポアとマクロポアの壁内に平均径が1〜1000μm、好ましくは10〜100μmのメソポアを有する連続気泡構造である。連続気泡構造とは、通常、平均径2〜5000μmのマクロポアとマクロポアが重なり合い、この重なる部分が共通の開口となるメソポアを有するもので、その大部分がオープンポア構造のものである。該オープンポア構造は水を流せば、該マクロポアと該メソポアで形成される気泡内が流路となる。マクロポアとマクロポアの重なりは、1個のマクロポアで1〜12個、多くのものは3〜10個である。メソポアの平均径
が1μm未満であると、これを水処理用に使用すると通水時の圧力損失が大きくなってしまい、一方、メソポアの平均径が1000μmより大きいと、脱塩効率が低下してしまう点で好ましくない。多孔質ポリマーの構造が上記のような連続気泡構造となることにより、マクロポア群やメソポア群を均一に形成できると共に、特開平8-252579号公報等に記載されるような粒子凝集型多孔質体に比べて、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。このため、これを電気式脱イオン水製造装置のイオン交換体として使用すると、脱塩効率が著しく向上し、非常に有利である。
【0013】
また、該多孔質ポリマーは全細孔容積が1〜50ml/gである。全細孔容積が1ml/g未満であると、単位断面積当りの通水量が小さくなってしまい、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が50ml/gを超えると、骨格部分のポリマーの占める割合が低下し、多孔質体の強度が著しく低下してしまうため好ましくない。全細孔容積は従来の多孔質イオン交換体では、せいぜい0.1〜0.9ml/gであるから、それを越える従来には無い1〜50ml/gの高細孔容積、高比表面積のものが使用できる。また、該多孔質ポリマーは、その厚みが10mmの時、水透過速度が100〜100,000ml/分・m・Mpa以上であることが好ましい。水透過速度がこの範囲にあれば、これを電気式脱イオン水製造装置のイオン交換体として使用した場合、多孔質体の強度と脱塩効率を共に満足したものとすることができる点で好ましい。連続気泡を形成する骨格部分のポリマーは、架橋構造を有する有機ポリマー材料を用い、該ポリマー材料はポリマー材料を構成する全構成単位に対して、10〜90モル%の架橋構造単位を含むことが好ましい。架橋構造単位が10モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、90モル%を越えると、イオン交換基の導入が困難となり、イオン交換容量が低下してしまうため好ましくない。
【0014】
該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルベンジルクロライド等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン);ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル系ポリマー;スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ポリマーは、単独のモノマーを重合させて得られるホモポリマーでも、複数のモノマーを重合させて得られるコポリマーであってもよく、また、2種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、イオン交換基の導入の容易性と機械的強度の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。本発明の複合多孔質イオン交換体の連続気泡構造は、SEM写真で比較的容易に観察できる。
【0015】
緻密層は、該多孔質ポリマーの少なくとも一方の表面に被覆され、且つ該多孔質ポリマーと一体的に形成されるものである。このような形態例としては、板状物であれば、緻密層と多孔質ポリマーの2層物、多孔質ポリマーを両側の緻密層で挟んだ3層物などが挙げられる。ここで「緻密層」とは、通常のイオン交換膜と同様に、少なくとも10nm以上の口径を有する穴が開いていないことを言い、その厚みは特に限定されるものではなく、使用条件等により適宜決定される。緻密層は、連続気泡を形成する骨格部分のポリマーと組織上連続構造を採るものであり、従って、多孔質ポリマーの骨格の高分子材料と同じ高分子材料のものである。本発明の多孔質ポリマーの連続気泡構造や緻密層は、SEM写真で比較的容易に観察できる。
【0016】
本発明の複合多孔質イオン交換体は、イオン交換基が均一に分布され、イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体以上、好ましくは2.0mg当量/g乾燥複合多孔質体以上である。イオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体未満であると、脱塩効率が低下してしまうため好ましくない。また、イオン交換基の分布が不均一であると、複合多孔質イオン交換体内のイオンや電子移動が不均一となり、電気抵抗の低減や捕捉イオンの濃縮室への効率的な排出ができなくなるため好ましくない。なお、「イオン交換基が均一に分布された」とは、イオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで均一であることをいう。イオン交換基の分布状況は、EPMAやSIMS等を用いることで、比較的簡単に確認することができる。複合多孔質イオン交換体に導入されるイオン交換基としては、カルボン酸基、イミノ二酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基;四級アンモニウム基、三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等のアニオン交換基;アミノリン酸基、ベタイン、スルホベタイン等の両性イオン交換基が挙げられる。
【0017】
本発明の複合多孔質イオン交換体は、イオン交換膜として機能する緻密層と、イオン交換体として機能する多孔質ポリマーとが一体的に形成されるため、従来の粒子凝集型多孔質体とは全く異なる新規な構造である。特に、多孔質ポリマーは強度を保持しつつ、細孔容積や比表面積を格段に大きくすることができる。
【0018】
上記複合多孔質イオン交換体を製造する方法としては、例えば、イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程(以下、「油中水滴型エマルジョン形成工程」とも言う。)、前記油中水滴型エマルジョンを、該油中水滴型エマルジョンが接する部分の少なくとも一部を疎水性材料で構成された容器に充填し、重合させる工程(以下、「重合工程(1)」とも言う。)、前記工程で得られた重合体にイオン交換基を導入する工程(以下、「イオン交換基導入工程」とも言う。)の各工程を経て製造する方法(以下、「製造法1」とも言う。)、油中水滴型エマルジョン形成工程、前記油中水滴型エマルジョン層又はその重合体(a)と、必要に応じて重合開始剤を添加したイオン交換基を含まない油溶性モノマー層又はその重合体フィルム(b)を積層させ、次いで重合する工程(以下、「重合工程(2)」とも言う。)、前記工程で得られた重合体にイオン交換基を導入する工程、の各工程を経て製造する方法(以下、「製造法2」とも言う。)が挙げられる。製造法1は、重合工程を疎水性材料で構成された容器内で実施するだけでよく、簡便な方法である。一方、製造法2の方法は、重合容器が親水性材料又は疎水性材料のいずれの材料で構成された容器であってもよく、容器の材質が限定されないと共に、ピンホールのない緻密層を任意の厚みで均一に形成することができる点で有効な方法である。
【0019】
次に、製造法1について詳述する。油中水滴型エマルジョン形成工程で使用されるイオン交換基を含まない油溶性モノマーとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、四級アンモニウム基等のイオン交換基を含まず、水に対する溶解性が低く、親油性のモノマーを指すものである。これらモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、エチレン、プロピレン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらモノマーは、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、本発明においては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、10〜90モル%、好ましくは12〜80モル%とすることが、後の工程でイオン交換基量を多く導入するに際して必要な機械的強度が得られる点で好ましい。
【0020】
油中水滴型エマルジョン形成工程で使用される界面活性剤は、イオン交換基を含まない油溶性モノマーと水とを混合した際に、油中水滴型(W/O)エマルジョンを形成できるものであれば特に制限はなく、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等の非イオン界面活性剤;オレイン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤;ラウリルジメチルベタイン等の両性界面活性剤を用いることができる。これら界面活性剤は1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、油中水滴型エマルジョンとは、油相が連続相となり、その中に水滴が分散しているエマルジョンを言う。上記界面活性剤の添加量としては、油溶性モノマーの種類および目的とするエマルジョン粒子(マクロポア)の大きさによって大幅に変動するため一概には言えないが、油溶性モノマーと界面活性剤の合計量に対して約2〜70%の範囲で選択することができる。また、必ずしも必須ではないが、多孔質ポリマーの気泡形状やサイズを制御するために、メタノール、ステアリルアルコール等のアルコール;ステアリン酸等のカルボン酸;オクタン、ドデカン等の炭化水素を系内に共存させることもできる。
【0021】
油中水滴型エマルジョン形成工程で必要に応じて使用される重合開始剤は、熱及び光照射によりラジカルを発生する化合物が好適に用いられる。重合開始剤は水溶性であっても油溶性であってもよく、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ただし、場合によっては、重合開始剤を添加しなくても加熱のみや光照射のみで重合が進行する系もあるため、そのような系では重合開始剤の添加は不要である。
【0022】
イオン交換基を含まない油溶性モノマー、界面活性剤、水及び重合開始剤とを混合し、油中水滴型エマルジョンを形成させる際の混合方法としては、特に制限はなく、各成分を一括して一度に混合する方法、油溶性モノマー、界面活性剤及び油溶性重合開始剤である油溶性成分と、水や水溶性重合開始剤である水溶性成分とを別々に均一溶解させた後、それぞれの成分を混合する方法などが使用できる。エマルジョンを形成させるための混合装置についても特に制限はなく、通常のミキサーやホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いることができ、目的のエマルジョン粒径を得るのに適切な装置を選択すればよい。また、混合条件についても特に制限はなく、目的のエマルジョン粒径を得ることができる攪拌回転数や攪拌時間を、任意に設定することができる。
【0023】
このようにして得られた油中水滴型エマルジョンを、油中水滴型エマルジョンが接する少なくとも一部を疎水性材料で構成された容器に充填し、好ましくは、その後、暫く静置し、該疎水性材料の表面に油溶性モノマーの連続膜を形成し、その後、重合させる。これにより、疎水性材料に接する部分で緻密層が形成された複合多孔質成形体が得られる。「疎水性材料」とは、水との親和性が小さい材料を指し、20℃における表面張力が約40mN/m以下、好ましくは30mN/m以下、更に好ましくは25mN/m以下の材料である。このような疎水性材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブテン、ポリイソプレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン等が挙げられるが、このうち、ポリテトラフルオロエチレンに代表されるフッ素系ポリマーが耐油性、耐薬品性、耐熱性、機械的強度の点で好適である。
【0024】
重合工程(1)で使用される疎水性材料で構成された容器としては、上記疎水性材料のみで構成された容器、容器を構成する金属材料、ガラス及びセラミック等の内壁表面に上記疎水性材料が積層又はコーティングされた容器が挙げられる。例えば、緻密層と多孔質ポリマーの2層構造からなる板状物の場合、平面視で板状形容器の底面が疎水性材料で構成されたものを使用すればよく、多孔質ポリマーを両側から緻密層で挟む3層構造からなる板状物の場合、板状物の厚みを高さ又は幅寸法とする容器の内側両面が疎水性材料で構成されたものを使用すればよい。このような容器中で油中水滴型エマルジョンを重合することで、表面の少なくとも1部が緻密層で被覆される複合多孔質成形体が得られる理由としては、油中水滴型エマルジョンが容器表面に接触・充填される際に、容器の疎水性材料の表面に油中水滴型エマルジョン中の油層が吸着し、当該表面に接触する部分に主に油溶性モノマーからなる連続層が形成されるからである。
【0025】
上記油中水滴型エマルジョンを重合させる重合条件は、モノマーの種類、重合開始剤系により様々な条件が選択できる。例えば、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、30〜100℃で1〜48時間、加熱重合させればよく、重合開始剤として過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸ナトリウム−酸性亜硫酸ナトリウム等を用いたときには、不活性雰囲気下の密封容器内において、0〜30℃で1〜48時間重合させればよい。重合工程(1)において、油溶性モノマーの重合転化率は、特に限定されないが、約70%以上とすることが複合多孔質体の形状を安定に保持することができる点で好ましい。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノール等の溶剤でソックスレー抽出し、未反応モノマーと残留界面活性剤を除去し、その後乾燥して、表面の少なくとも1部が緻密層で被覆される複合多孔質体を得る。
【0026】
重合工程(1)で得られた複合多孔質体にイオン交換基を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、スルホン酸基を導入する方法としては、多孔質体がスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロ硫酸や濃硫酸、発煙硫酸を用いてスルホン化する方法;多孔質体にラジカル開始基や連鎖移動基を導入し、スチレンスルホン酸ナトリウムやアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換によりスルホン酸基を導入する方法等が挙げられる。また、四級アンモニウム基を導入する方法としては、多孔質体がスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等であればクロロメチルメチルエーテル等によりクロロメチル基を導入した後、三級アミンと反応させ導入する方法;多孔質体をクロロメチルスチレンとジビニルベンゼンの共重合により製造し、三級アミンと反応させ導入する方法;多孔質体にラジカル開始基や連鎖移動基を導入し、N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレートやN,N,Nトリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドをグラフト重合する方法;同様にグリシジルメタクリレートをグラフト重合した後、官能基変換により四級アンモニウム基を導入する方法等が挙げられる。また、ベタインを導入する方法としては、上記の方法により多孔質体に三級アミンを導入した後、モノヨード酢酸を反応させ導入する方法等が挙げられる。なお、導入するイオン交換基としては、カルボン酸基、イミノジ酢酸基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基等のカチオン交換基;四級アンモニウム基、三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリエチレンイミン、第三スルホニウム基、ホスホニウム基等のアニオン交換基;ベタイン、スルホベタイン等の両性イオン交換基が挙げられる。上記複合多孔質イオン交換体を構成する緻密層と多孔質ポリマーには、極性が同一のイオン交換基を導入しても、極性が異種のイオン交換基を導入してもよい。
【0027】
次に、製造法2について詳述する。製造法2において、油中水滴型エマルジョン形成工程及びイオン交換基導入工程は製造法1と同じであるため、その説明を省略し、製造法1と異なる工程である重合工程(2)について説明する。重合工程(2)は油中水滴型エマルジョン形成工程で得られた該油中水滴型エマルジョンの層又はその重合体(a)と、必要に応じて重合開始剤を添加したイオン交換基を含まない油溶性モノマーの層(以下、単に「油溶性モノマー」とも言う。)又はその重合体フィルム(b)を積層させ、次いで該(a)と(b)の積層物を重合する工程であり、具体的には、該油中水滴型エマルジョン層(a1)と油溶性モノマー層(b1)を積層させ、次いで重合する第1の方法、該油中水滴型エマルジョン層(a1)と油溶性モノマー層の重合体フィルム(b2)を積層させ、次いで重合する第2の方法、該油中水滴型エマルジョン層の重合体(a2)と油溶性モノマー層(b1)を積層させ、次いで重合する第3の方法、該油中水滴型エマルジョン層の重合体(a2)と油溶性モノマー層の重合体フィルム(b2)を積層させ、次いで重合する第4の方法である。このうち、第2の方法又は第3の方法が、重合後に形成される緻密層と多孔質ポリマーの密着性が高く、かつ緻密層の厚みが容易に制御できる点で最も好ましい。また、油中水滴型エマルジョン層の重合体(a2)と、油溶性モノマー層の重合体フィルム(b2)に、それぞれイオン交換基を含まない油溶性モノマーを含浸させると、両者の密着性が高められる点で好ましい。
【0028】
上記第1の方法及び第2の方法で用いる該油中水滴型エマルジョン層(a1)は、例えば、所定形状の重合容器内に充填された油中水滴型エマルジョンである。また、第3の方法及び第4の方法で用いる該油中水滴型エマルジョン層の重合体(a2)は、重合容器の材質の限定がない以外、前記製造法1における重合方法と同様の方法により油中水滴型エマルジョンを重合して得られる重合体である。油中水滴型エマルジョン層を重合して重合体(a2)を得る際、油溶性モノマーの重合転化率は、50%以上であればよい。重合容器としては、特に限定されず、疎水性材料で構成された容器又は親水性材料で構成された容器のいずれも使用できる。上記第1の方法及び第3の方法で用いる油溶性モノマーは、前記製造法1で使用される油溶性モノマーと同様のものが挙げられ、このうち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性モノマーを少なくとも油溶性モノマーの一成分として選択し、その含有量を全油溶性モノマー中、10〜90モル%、好ましくは12〜80モル%とすることが、イオン交換基を多量に導入でき、かつ機械的強度を保持できる点で好適である。油溶性モノマーの層(b1)は、例えば該油中水滴型エマルジョン層(a1)又は該油中水滴型エマルジョン層の重合体(a2)上に、滴下、流延による方法、並びにドクターナイフ、ベーカーアプリケーター、バーコーター及びスピンコーター等の各種コーターを用いる方法等により一定の厚みに塗布することで形成される。この際、油溶性モノマーの層(b1)に任意の量の油溶性モノマーの重合体を添加し、粘度を高めて塗布を容易にしてもよい。油溶性モノマーの層(b1)の厚みは、多孔質体表面に形成させたい緻密層の厚みによって任意に設定することができるが、一般的には1〜1,000μm、好ましくは10〜700μmの範囲で適宜選択される。また、第2の方法及び第4の方法で用いる油溶性モノマー層の重合体フィルム(b2)は、前記架橋性モノマーを含む該油溶性モノマーを別途の重合容器でフィルム状に重合させる方法、あるいは板状の重合体を製造後、切削、スライス等によりフィルム状に成形する方法等により製造されたものであり、油溶性モノマーの重合転化率は、50%以上であればよく、また、フィルムの厚みとしては、一般的には1〜1,000μm、好ましくは10〜700μmの範囲で適宜選択される。該(a)と(b)の積層物を重合するには、該積層物が充填された容器を重合容器として重合させることが好ましい。重合方法としては、前記製造法1における重合条件と同様にして行なえばよい。上記製造法2によれば、ピンホールのない緻密層を任意の厚みで均一に形成することができる。
【0029】
本発明の電気式脱イオン水製造装置に使用される脱イオンモジュールとしては、例えば、緻密層と多孔質ポリマーの2層構造のイオン交換体の板状物、又は多孔質ポリマーを両側の緻密層で挟み込んだ3層構造のイオン交換体の板状物を、枠体の一方の側に封着されたカチオン交換膜と、他方の側に封着されたアニオン交換膜で形成される内部空間に、該緻密層とイオン交換膜が当接するように充填してなるものが挙げられ、また、それ自体で脱イオンモジュールとすることができる。具体的には、図1に示すように、板状に成形した複合多孔質イオン交換体100を、枠体103の一方の側に封着されたカチオン交換膜101と、他方の側に封着されたアニオン交換膜102で形成される内部空間104に充填してなる脱イオンモジュール10A、あるいは、図2に示すように、板状に成形した複合多孔質イオン交換体100aを枠体103aの一方の側に封着されたカチオン交換膜101と、枠体103aと枠体103bの間に封着された中間イオン交換膜105とで形成される第1内部空間104aに充填し、更に、板状に成形した複合多孔質イオン交換体100bを中間イオン交換膜105と枠体103bの他方の側に封着されたアニオン交換膜102とで形成される第2内部空間104bに充填してなる脱イオンモジュール10Bが挙げられ、更に、図3に示すように、緻密層21aと多孔質ポリマー20aの2層構造の板状物100cと、同様の構造の緻密層21bと多孔質ポリマー20bの2層構造の板状物100dを多孔質ポリマー側の面同士を当接させ、それ自体で脱イオンモジュール10Cを構成するもの(図3(A))、多孔質ポリマー20cを両側の緻密層21c、21dで挟み込んだ3層構造の板状物100eで脱イオンモジュール10Dを構成する
もの(図3(B))が例示される。
【0030】
上記図1及び図2において、複合多孔質イオン交換体のイオン交換膜と接する面に緻密層を形成させれば、複合多孔質イオン交換体とイオン交換膜の接触が面接触となり、イオンや電子の移動が格段に起こりやすく、当該部分の接触に係わる電気抵抗値を低下させることができる。更に、図3において、複合多孔質イオン交換体の表面に形成せしめた緻密層を、複合多孔質イオン交換体と一体をなすイオン交換膜として機能させることにより、当該部分のカチオン交換膜やアニオン交換膜を使用しない脱イオンモジュール10C、10Dとすることができる。この場合、イオン交換膜を使用しないことで、電気式脱イオン水製造装置の構成部材を減らし、且つ組み立て作業を簡略化できると共に、イオン交換体とイオン交換膜の機能を有する緻密層が一体であることで、電気抵抗を低下させ、運転コストを低減することができる。なお、本発明の脱イオンモジュールは、枠体を使用することなく、イオン交換膜と複合多孔質イオン交換体、あるいは複合多孔質イオン交換体同士を予め、接着剤などを用いて張り合わせて、作製することができ、電気式脱イオン水製造装置の組み立て作業を簡便化することができる。
【0031】
本発明の電気式脱イオン水製造装置としては、上記脱イオンモジュールを備えるものであり、多孔質イオン交換体に捕捉せしめた不純物イオンを電気的に排除して、脱イオン水を製造する装置であれば、特に制限されず、平板型、円筒型及びスパイラル型の電気式脱イオン水製造装置が挙げられる。平板型電気式脱イオン水製造装置は、例えば、カチオン交換膜とアニオン交換膜との間に複合多孔質イオン交換体を充填してなる脱塩室と、上記カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に設けられた濃縮室と、これらの両側に配置された陽極と、陰極とを備えてなる装置、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜とアニオン交換膜の間に配置される中間イオン交換膜とで形成される第1小脱塩室、及び該中間イオン交換膜と該アニオン交換膜とで形成される第2小脱塩室に、それぞれ複合多孔質イオン交換体を充填してなる脱塩室と、該カチオン交換膜、該アニオン交換膜を介して脱塩室の両側に設けられた濃縮室と、これらの両側に配置された陽極と、陰極とを備えてなる装置、及び多孔質ポリマーの両側の緻密層で挟んだ3層構造の板状物であって、一側がカチオン緻密層、他側がアニオン緻密層で構成される脱塩室と、上記脱塩室の両側に設けられた濃縮室と、これらの両側に配置された陽極と、陰極とを備えてなる装置等が使用できる。
【0032】
以下、本発明の実施の形態における電気式脱イオン水製造装置を図4を参照して説明する。図4において、1は脱塩室、2は濃縮室で、これらの脱塩室1を構成するには前述の様なモジュール品として作製される。本例では、両性イオン交換基を導入した複合多孔質両性イオン交換体100fをアニオン交換膜102とカチオン交換膜101で挟むように充填して脱イオンモジュール10Aとする。なお、使用される脱イオンモジュール10Aは、例えば、緻密層と多孔質ポリマーの2層構造のイオン交換体の板状物、又は多孔質ポリマーを両側の緻密層で挟み込んだ3層構造のイオン交換体の板状物を、枠体の一方の側に封着されたカチオン交換膜101と、他方の側に封着されたアニオン交換膜102で形成される内部空間に、該緻密層と前記イオン交換膜とが当接するように充填されている。
脱イオンモジュール10Aは離間して複数並設される。各脱イオンモジュール10A、10A間には枠状に形成されたゴムパッキン等の水密部材からなるスペーサー(不図示)が介在され、このようにして形成される空間部を濃縮室2として構成する。脱塩室1と濃縮室2との交互配列体の両側部に陽極110と陰極109を配置し、陽極110、陰極109の近傍にそれぞれ仕切り膜113、114を設け、該仕切り膜113と陽極110との間の空間部を陽極室111とし、該仕切り膜114と陰極109との間の空間部を陰極室112として構成する。図4では図示の関係で複合多孔質両性イオン交換体100fとその両側に位置するアニオン交換膜102、カチオン交換膜101とは離間しているようになっているが、実際は複合多孔質両性イオン交換体100fとアニオン交換膜102、カチオン交換膜101とは密着している。なお、後述する図5〜図9においても、脱塩室を形成する複合多孔質イオン交換体とイオン交換膜は密着しているもので
ある。
【0033】
図4の電気式脱イオン水製造装置は、次のように操作される。先ず、被処理水を脱塩室1内に流入し、濃縮水を濃縮室2内に流入し、且つ陽極室111、陰極室112にそれぞれ電極水を流入する。濃縮水としては、通常、脱塩室1に供給する被処理水と同じものが使用される。一方、陽極110、陰極109間に電圧を印加し、被処理水、濃縮水の流れ方向に対して直角方向に直流電流を通じる。脱塩室1内に流入された被処理水は、多孔質ポリマーのマクロポア及びメソポアからなる連続気泡構造内を流通する際、該連続気泡構造内に導入されたイオン交換基にイオンが捕捉され、該イオンは緻密層、イオン交換膜101、102を通って濃縮室2内に排除される。
【0034】
他の実施の形態の電気式脱イオン水製造装置を図5〜図9に示す。脱イオンモジュールの数は処理能力などの使用条件によって適宜に決定されるもので、図5〜図9では、図面の簡素化を目的に脱イオンモジュールは2個で表示する。また、同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。図5において、図4と異なる点は、脱イオンモジュールを構成する複合多孔質イオン交換体の種類を変えた点にあり、図5の装置で使用される脱イオンモジュール10Aは、両性イオン交換基を導入した複合多孔質両性イオン交換体100f、カチオン交換基を導入した複合多孔質カチオン交換体100g、アニオン交換基を導入した複合多孔質アニオン交換体100h、をそれぞれ小ブロック状に製作し、被処理水の流入側より複合多孔質両性イオン交換体100f
、複合多孔質カチオン交換体100g、複合多孔質アニオン交換体100h、複合多孔質カチオン交換体100g、複合多孔質アニオン交換体100hとなるように積層し、これをアニオン交換膜102とカチオン交換膜101で挟むように構成した態様である。
【0035】
図6において、図4と異なる点は、脱イオンモジュールを構成する複合多孔質イオン交換体の種類を変えた点にあり、図6の装置で使用される脱イオンモジュール10Aは、複合多孔質カチオン交換体100gと複合多孔質アニオン交換体100hを、互いに緻密層がない多孔質ポリマー側を当接させ、該当接面とは反対側の両側をアニオン交換膜102とカチオン交換膜101で挟むように構成した態様である。
【0036】
図7において、図4と異なる点は、脱イオンモジュールを構成する複合多孔質イオン交換体の種類を変えた点及び2個の脱イオンモジュールを直列に接続し、一方の脱イオンモジュールの流出水を他方の脱イオンモジュールの被処理水とした点にある。すなわち、図7の装置で使用される脱イオンモジュール10Aは、カチオン交換基を導入した複合多孔質カチオン交換体100gとアニオン交換基を導入した複合多孔質アニオン交換体100hをそれぞれアニオン交換膜102とカチオン交換膜101で挟むように充填して、それぞれを脱カチオンモジュール10Aと脱アニオンモジュール10Aとし、脱アニオンモジュール10Aの流出水を脱カチオンモジュール10Aの被処理水としたものである。
【0037】
図4〜図7の装置で使用される脱イオンモジュールのいずれにも、図1に示す脱イオンモジュール10Aが使用できる。
【0038】
一方、図8の装置で使用される脱イオンモジュールには、図2に示す脱イオンモジュール10Bが使用できる。すなわち、図8の装置は、一側のカチオン交換膜101、他側のアニオン交換膜102及びカチオン交換膜101とアニオン交換膜102の間に位置する中間イオン交換膜105で区画される2つの小脱塩室1a、1bのカチオン交換膜101側の小脱塩室1bに複合多孔質両性イオン交換体、若しくは複合多孔質アニオン交換体と複合多孔質カチオン交換体の積層体100iを充填し、アニオン交換膜102側の小脱塩室1aに複合多孔質アニオン交換体100hを充填して脱塩室1を構成し、カチオン交換膜101、アニオン交換膜102を介して脱塩室の両側に濃縮室2を設け、これらの脱塩室1及び濃縮室2を陽極110と陰極109の間に配置して構成される。本例では、中間イオン交換膜105はアニオン交換膜を使用している。なお、緻密層は接触するイオン交換膜のイオン交換基の極性が同一な膜側に当接させることが、より電気抵抗値を低下することができるため好ましい。
【0039】
図8の電気式脱イオン水製造装置は、次のように操作される。先ず、被処理水を小脱塩室1a内に流入し、次いで、小脱塩室1aの流出水を隣接する他の小脱塩室1bに流入し、濃縮水を濃縮室2内に流入し、且つ陽極室111、陰極室112にそれぞれ電極水を流入する。濃縮水としては、通常、小脱塩室1aに供給する被処理水と同じものが使用される。一方、陽極110、陰極109間に電圧を印加し、被処理水、濃縮水の流れ方向に対して直角方向に直流電流を通じる。小脱塩室1a内に流入された被処理水は、複合多孔質アニオン交換体100hのマクロポア及びメソポアからなる連続気泡構造内を流通する際、該連続気泡構造内に導入されたイオン交換基にイオンが捕捉され、除去される。更に、小脱塩室1aの流出水は複合多孔質両性イオン交換体、若しくは複合多孔質アニオン交換体と複合多孔質カチオン交換体の積層体100iのマクロポア及びメソポアからなる連続気泡構造内を流通する際、該連続気泡構造内に導入されたイオン交換基にイオンが捕捉され、除去される。濃縮水は各濃縮室を上昇し、カチオン交換膜101及びアニオン交換膜102を介して移動してくる不純物イオンを受取り、不純物イオンを濃縮した濃縮水として系外へ排出される。
【0040】
一方、図9の装置で使用される脱イオンモジュールには、図3(A)に示す脱イオンモジュール10Cが使用できる。すなわち、図9において、図6と異なる点は、カチオン交換膜101及びアニオン交換膜102を使用することなく、カチオン交換膜の機能を複合多孔質カチオン交換体の緻密層に持たせ、アニオン交換膜の機能を複合多孔質アニオン交換体の緻密層に持たせたものである。このような構成においても、図6に示す電気式脱イオン水製造装置と同様の効果を奏する他、イオン交換膜を使用しないことで、電気式脱イオン水製造装置の構成部材を減らし、且つ組み立て作業を簡略化できる。
【0041】
(実施例)
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0042】
実施例1
(複合多孔質カチオン交換体の製造)
スチレン27.7g、ジビニルベンゼン6.9g、アゾビスイソブチロニトリル0.14g及びソルビタンモノオレエート3.8gを混合し、均一に溶解させた。次に、当該スチレン/ジビニルベンゼン/アゾビスイソブチロニトリル/ソルビタンモノオレエート混合物を450mlの純水に添加し、ホモジナイザーを用いて2万回転/分で2分間攪拌し、油中水滴型エマルジョンを得た(油中水滴型エマルジョン形成工程)。乳化終了後、油中水滴型エマルジョンを平板底の内側のみがポリテトラフルオロエチレンでコーティングされたステンレス製のオートクレーブに移し、窒素で十分置換した後密封し、静置下60℃で24時間重合させた(重合工程)。重合終了後、内容物を取り出し、イソプロパノールで18時間ソックスレー抽出し、未反応モノマーとソルビタンモノオレエートを除去した後、40℃で一昼夜減圧乾燥した(乾燥工程)。このようにして得られたスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる複合多孔質体(架橋成分を14モル%含有)5gを分取し、テトラクロロエタン500gを加え、60℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、クロロ硫酸25gを徐々に加え、室温で24時間反応させた。その後、酢酸を加え、多量の水中に反応物を投入し、水洗、乾燥して複合多孔質カチオン交換体を得た。この複合多孔質体のイオン交換容量は、乾燥複合多孔質体換算で4.0mg当量/gであり、EPMAを用いた硫黄原子のマッピングにより、スルホン酸基が複合多孔質体に均一に導入されていることを確認した。また、図10に示すSEM観察の結果、この複合多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μmのマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は5μmであった。一方、複合多孔質体の一側の表面近傍断面をSEMで観察したところ、穴は開いておらず、厚さ1〜5μmの緻密層が形成されていた。なお、多孔質ポリマー部分の全細孔容積は、10.1ml/gであった。また、上記多孔質体の多孔質ポリマー部分を10mmの厚みに切り出し、水透過速度を測定したところ、14,000l/分・m・Mpaであり、良好な水透過性を示した。
【0043】
実施例2
(複合多孔質アニオン交換体の製造)
スチレン27.7gの代わりに、p-クロロメチルスチレン18.0gを用い、ジビニルベンゼン17.3g、アゾビスイソブチロニトリル0.26gとした以外、実施例1と同様の油中水滴型エマルジョン形成工程、重合工程及び乾燥工程を行い、p−クロロメチルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体よりなる架橋成分を50モル%含有した複合多孔質体を製造した。この多孔質体5gを分取し、ジオキサン500gを加え80℃で30分加熱した後、室温まで冷却し、トリメチルアミン(30%)水溶液65gを徐々に加え、50℃で3時間反応させた後、室温で一昼夜放置した。反応終了後、多孔質体を取り出し、アセトンで洗浄後水洗し、乾燥して複合多孔質アニオン交換体を得た。この複合多孔質体のイオン交換容量は、乾燥複合多孔質体換算で2.5mg当量/gであり、SIMSにより、トリメチルアンモニウム基が複合多孔質体に均一に導入されていることを確認した。また、SEM観察の結果、この複合多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μmのマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は4μmであった。一方、複合多孔質体の一側の表面近傍断面をSEMで観察したところ、穴は開いておらず、厚さ1〜3μmの緻密層が形成されていた。なお、多孔質ポリマー部分の全細孔容積は9.9ml/gであった。また、上記複合多孔質体の多孔質ポリマー部分を10mmの厚みに切り出し、水透過速度を測定したところ、12,000l/分・m・Mpaであり、良好な水透過性を示した。
【0044】
実施例3
(複合多孔質カチオン交換体の製造)
油中水滴型エマルジョン形成工程を実施例1と同様に行い、油中水滴型エマルジョンを形成させた。得られた油中水滴型エマルジョン50mlを、底面が100mm×100mm、高さが10mmの内部空間を有するステンレス製オートクレーブに移し、窒素で十分置換した後密封し、静置下60℃で24時間重合させた。その後、スチレン4.0g、ジビニルベンゼン1.0g、及びアゾビスイソブチロニトリル0.06gを均一に混合溶解させた溶液を前記重合で得られた多孔質体表面に全量塗布し、再度、窒素で十分置換した後、系を密封して、60℃で12時間重合させた。重合完了後、実施例1と同様の方法で抽出、乾燥を行い、複合多孔質体を得た。この複合多孔質体を実施例1と同様の方法でスルホン化して複合多孔質カチオン交換体を得た。この複合多孔質体の内部構造は、連続気泡構造を有しており、平均径30μmのマクロポアの大部分が重なり合い、マクロポアとマクロポアの重なりで形成されるメソポアの直径の平均値は6μmであった。一方、複合多孔質体の一側の表面近傍断面をSEMで観察したところ、穴は開いておらず、厚さ30μmの緻密層が形成されていた。なお、多孔質ポリマー部分の全細孔容積は、10.3ml/gであった。また、上記多孔質体の多孔質ポリマー部分を10mmの厚みに切り出し、水透過速度を測定したところ、15,000l/分・m・Mpaであり、良好な水透過性を示した。
【0045】
比較例1
アゾビスイソブチロニトリル0.14gに代えて、過硫酸カリウム0.60gを用いたこと、及びソルビタンモノオレエートの使用量3.8gを15.5gに変更した以外、実施例1と同様の油中水滴型エマルジョン形成工程、重合工程及び乾燥工程を行い、複合多孔質カチオン交換体を得た。得られた複合多孔質体は、イオン交換容量が乾燥多孔質体換算で4.0mg当量/g、多孔質ポリマー部分の全細孔容積が9.2ml/gであったが、メソポアの直径の平均値が0.2μmと小さく、実施例1と同様に水透過速度を測定したところ、40l/分・m・Mpaであった。
【0046】
実施例4
(脱イオンモジュールの作製)
実施例1及び2で得られた複合多孔質イオン交換体を縦100mm、横100mm、幅4mmの大きさに切断し、それぞれ、緻密層と多孔質ポリマーの2層からなる平板状複合多孔質カチオン交換体と平板状複合多孔質アニオン交換体を得た。これを、図6に模式的に示したように、緻密層がない面同士、すなわち、多孔質ポリマー同士が当接するように接触させ一方の側にカチオン交換基が導入された緻密層、他方の側にアニオン交換基が導入された緻密層となるようにした。すなわち、複合多孔質イオン交換体のみで脱イオンモジュールを構成した。
【0047】
実施例5
(電気式脱イオン水製造装置の製造及び運転)
得られた脱イオンモジュールを使用して電気式脱イオン水製造装置を製造した。電気式脱イオン水製造装置は、脱塩室1室、陽極室1室、陰極室1室よりなる装置とした。脱イオンモジュールの充填は緻密層側を電極側とし、該緻密層をイオン交換体と一体をなすイオン交換膜として機能させることで、別途のイオン交換膜は使用しなかった。脱塩室と陽極室との間、脱塩室と陰極室との間にはそれぞれスペーサを挿入して濃縮室を形成した。この電気式脱イオン水製造装置に、市水を逆浸透膜で処理した導電率が3.6μS/cmの水を被処理水として供給し、運転した。電気式脱イオン水製造装置の操作電流0.40Aで、比抵抗5.0MΩcmの処理水を得た。このときの、操作電圧は19Vであった。
【0048】
比較例2
複合多孔質イオン交換体に代えて、アンバーライト120Bとアンバーライト
402BLをイオン交換容量が当量で同等となるように混合したものを用い、枠体の一方の側に封着されたカチオン交換膜と、他方の側に封着されたアニオン交換膜で形成される内部空間にこれを充填して脱イオンモジュールを構成し、これを電気式脱イオン水製造装置に装着した以外は、実施例4と同様の条件で電気式脱イオン水製造装置を運転した。この電気式脱イオン水製造装置に、市水を逆浸透膜で処理した導電率が3.6μS/cmの水を被処理水として供給し、運転した。電気式脱イオン水製造装置の操作電流0.40Aで、比抵抗5.0MΩcmの処理水を得た。このときの、操作電圧は30Vであった。実施例5は比較例2と対比して、イオン交換体を複合多孔質イオン交換体とすることにより、電気式脱イオン水製造装置の操作電圧を低減し消費電力を節約できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の複合多孔質イオン交換体は、イオン交換膜として機能する緻密層と、イオン交換体として機能する格段に大きな細孔容積や比表面積を有する多孔質ポリマーとが一体的に形成されるため、従来の粒子凝集型多孔質体とは全く異なる新規な構造である。このため、これを電気式脱イオン水製造装置の脱イオンモジュールに用いれば、緻密層とイオン交換膜の接触が面接触となり、イオンや電子の移動が起こりやすく、電気抵抗値を低減でき、運転時の電圧を低下させて、消費電力の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の脱イオンモジュールを説明する模式図。
【図2】本発明の他の脱イオンモジュールを説明する模式図。
【図3】本発明の他の脱イオンモジュールを説明する模式図。
【図4】本発明の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図5】本発明の他の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図6】本発明の他の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図7】本発明の他の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図8】本発明の他の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図9】本発明の他の電気式脱イオン水製造装置を説明する模式図。
【図10】実施例で得られた複合多孔質イオン交換体のSEM写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びエチレングリコールジメタクリレートから選ばれる1種以上のイオン交換基を含まない油溶性モノマー、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノパルミテートから選ばれる1種以上の界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを攪拌混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程、
前記油中水滴型エマルジョンを、該油中水滴型エマルジョンが接する部分の少なくとも一部を疎水性材料で構成された容器に充填し、重合する工程、
前記工程で得られた重合体にイオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体以上のイオン交換基を導入する工程、を有することを特徴とする複合多孔質イオン交換体の製造方法。
【請求項2】
前記油中水滴型エマルジョンを一部が疎水性材料で構成された容器に充填した後、静置し、該疎水性材料の表面に油溶性モノマーの連続膜を形成し、その後、重合させることを特徴とする請求項1記載の複合多孔質イオン交換体の製造方法。
【請求項3】
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド、ジビニルベンゼン、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びエチレングリコールジメタクリレートから選ばれる1種以上のイオン交換基を含まない油溶性モノマー、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノパルミテートから選ばれる1種以上の界面活性剤、水及び必要に応じて重合開始剤とを攪拌混合し、油中水滴型エマルジョンを得る工程、
前記油中水滴型エマルジョン層又はその重合体(a)と、必要に応じて重合開始剤を添加したイオン交換基を含まない油溶性モノマー層又はその重合体フィルム(b)を積層させ、次いで該(a)と(b)の積層物を重合する工程、
前記工程で得られた重合体にイオン交換容量が0.5mg当量/g乾燥複合多孔質体以上のイオン交換基を導入する工程、を有することを特徴とする複合多孔質イオン交換体の製造方法。
【請求項4】
前記(a)の油中水滴型エマルジョン層の重合体、及び前記(b)の油溶性モノマーの重合体フィルムは、それぞれイオン交換基を含まない油溶性モノマーを含浸するものであることを特徴とする請求項3記載の複合多孔質イオン交換体の製造方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−322009(P2006−322009A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190409(P2006−190409)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【分割の表示】特願2002−582117(P2002−582117)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】