複合建設部材および作成方法
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法は、縦軸、細長い膨張性空隙を画定する可撓性管状ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性不通気性外層を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供することを含む。ブラダ壁および外層は、内部にファブリックが配置された状態で、細長い環状空間を画定する。ファブリックに長手方向に張力が加えられ、流体が空隙に導入されて、金型を少なくとも部分的に膨張させ、ファブリックを成形する。金型は、ファブリックへの張力を維持しながら、所望の形状へと成形される。細長い環状空間およびファブリックに、剛化材料が注入される。剛性中空複合建設部材を形成するために、ファブリックへの張力を維持しながら、剛化材料が硬化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複合建設部材(composite construction member)の様々な実施形態およびそのような建設部材の作成方法について説明する。特に、本明細書で説明する実施形態は、通常は建築材料(building material)として使用するのに適したタイプの改良された複合建設部材に関する。そのような部材の例としては、軽量管状アーチ(lightweit tubular arch)および梁がある。
【背景技術】
【0002】
これまでは、短いスパンおよび中位のスパンの埋設型アーチ橋(buried arch bridge)、さらにある種の地下貯蔵施設およびトンネルを建設するために使用されている数タイプの技術がある。これらの構造は一般的にアーチ形であり、典型的には交通機関または他の負荷を受ける土被りで覆われている。アーチ形建設部材は、構造部材などの建築構造にも使用される。
【0003】
このような建設部材を提供する1つの方法は、1つの場所で作成され、次に建設現場へと輸送されるプレキャスト・コンクリート構造を使用することである。別のシステムは、建設現場で形成され、次にクレーンなどによって所定の位置に吊り上げられる現場流延コンクリート構造(cast−in place concrete structure)を使用することを含む。さらに別の技術は、金属パイプ構造を使用することを含む。さらに、金属および鋼で補強したコンクリートを構造部材として使用することができる。建設業における複合材料の使用量は増加している。
【発明の要約】
【0004】
建設材料の選択における重要な要素は、材料の費用、輸送および設置の容易さ、耐久性、重量、建設時間の長さ、設置用の吊り上げ機器の必要性、建設シーケンスの複雑さ、全体的性能、および全体的な設置費用を含む。建設業のために改良された建設材料およびシステムを開発できれば有利である。
【0005】
本出願は、建設部材の様々な実施形態について説明する。建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法の一実施形態は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリ(elongated inflatable mold assembly)、細長い膨張性空隙を画定する可撓性の管状ブラダ壁(flexible tubular bladder wall)、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック(reinforcing fabric)、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を設けることを含む。ブラダ壁および外層は、中にファブリックが配置された細長い環状空間を画定する。ファブリックに縦方向に張力を加えて、空隙に流体を導入し、金型を少なくとも部分的に膨張させて、ファブリックを成形する。金型はファブリックへの張力を維持しながら所望の形状に成形される。細長い環状空間およびファブリックに、剛化材料(rigidification material)を注入する。剛化材料は、中空の剛性複合建設部材を形成するために、ファブリックへの張力を維持しながら硬化される。
【0006】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適した中空の複合建設部材を形成するための膨張性金型アセンブリは、金型アセンブリを含む。金型アセンブリは縦軸を有し、さらに細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を含み、ブラダ壁と外層が細長い環状空間を画定し、ファブリックが空間内に配置されている。
【0007】
別の実施形態では、剛性の中空複合建設部材を作成するシステムは、建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材の膨張性金型アセンブリを含む。膨張性金型アセンブリは細長く、縦軸を有する。金型アセンブリはさらに、細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を有し、ブラダ壁および外層が細長い環状空間を画定して、ファブリックが空間内に配置される。ファブリックに縦方向に張力を加える装置、流体を空隙に導入して管状ブラダ壁を膨張させる装置、および細長い環状空間およびファブリックに剛化材料を注入して、剛性の中空複合建設部材を形成する装置が提供される。
【0008】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供することを含み、金型は、金型アセンブリの周囲に延在する編組補強ファブリック(braided reinforcing fabric)を有する。張力が縦方向でファブリックに加えられ、金型アセンブリを成形しながら、ファブリックに剛化材料が注入される。剛化材料は、ファブリックへの張力を維持しながら硬化されて、剛性の中空複合建設部材を形成する。
【0009】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供することを含む。金型アセンブリはさらに、細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置され、樹脂材料を予備含浸した補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を有し、ブラダ壁および外層が細長い環状空間を画定し、ファブリックが空間内に配置される。張力が縦方向でファブリックに加えられ、流体が空隙に導入されて、ブラダ壁を少なくとも部分的に膨張させて、ファブリックを成形する。金型アセンブリは、ファブリックへの張力を維持しながら、所望の形状に成形される。次に、ファブリックへの張力を維持しながら、樹脂材料の硬化を開始して、剛性の中空複合建設部材を形成する。
【0010】
建設部材の他の利点は、添付図面に照らして以下の詳細な説明を読むと当業者には明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
膨張性管状金型アセンブリから湾曲した複合構造を生産する現在の技術は、ファブリックの構造によって制限されている。膨張性金型アセンブリから複合構造を作成する従来の方法では、各曲線幾何形状が独特のファブリック構造を必要とし、そのために膨張性金型アセンブリの広範囲の曲線部材の幾何形状を設計し、生産するのに非常に費用がかかる。図示の実施形態では、最初の膨張性金型アセンブリが単一の親ファブリック構造(single parent fabric architecture)を有していても、様々な湾曲が達成可能な状態で、単一の膨張性金型アセンブリで作成した膨張性複合構造を剛化することによって、広範囲の曲線の管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産することが可能である。この親ファブリック構造は様々でよく、それでも任意の連続的な湾曲を有する部材を生成することができる。
【0012】
本明細書で図示し、説明する実施形態は、膨張性金型アセンブリで作成され、曲線支持体の周囲に形成され、有機または無機ポリマ材料などの剛化材料が注入された曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を含む。長手方向に配向された連続的繊維は、剛化材料が注入されているので、大きい曲率へと形成された場合、構造の内側でも、ファブリックの端に張力を加えることによって実質的に座屈が防止される。これは、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の負荷容量を大幅に改良する。
【0013】
曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、膨張性金型上に張力を加えた編組ファブリックを使用することにより、構造的に有意の、または実質的に目に見える繊維のしわがない状態で生産することができる。繊維は、繊維の有意のしわまたは座屈がない状態で膨張性金型の縦軸付近に配置することができるので、最終的に生産される曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、多くの構造で複数のタイプの負荷を効率的に支持することができ、それは曲線アーチ状橋、飛行機格納庫、埋設トンネルおよび燃料庫、高速配置可能な埋設アーチ橋および大スパン暗渠を含むが、それに制限されない。
【0014】
1つの実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を形成する方法が開示される。このような曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の形成方法は、完成した補強構造に弱点を引き起こす繊維の座屈またはしわのいずれも解消するか、実質的に減少させる。特定の実施形態では、ファブリック層は樹脂などの適切な剛化材料が注入された3次元編組繊維質ファブリック材料を備える。
【0015】
次に図1から図4を参照すると、膨張性管状金型アセンブリ202は、内部空隙201を画定する。図1は、収縮状態の膨張性金型アセンブリ202を示す。図で概略的に図示された膨張性金型アセンブリ202は、十分に膨張すると全体的に円形の断面形状を有するが、膨張性金型アセンブリ202の特定の寸法は、膨張性金型アセンブリ202が使用されている最終用途に左右されることを理解されたい。例えば、膨張性金型アセンブリ202内の膨張性ブラダ204の外部形状は、全体的に円形、楕円形、または(例えば図9から図10に図示されているように)他の有用な構造的形状を有することができる。別の実施形態では、膨張性ブラダ204は、図11に示すように、I形鋼の断面形状に近似した形状を有する断面を有することができる。
【0016】
図2から図4に示すような内部断面寸法203とは、ブラダが膨張した場合の膨張性ブラダ204の内部直径である。外部断面寸法205とは、図6で最もよく図示されているように、膨張性ブラダ204の外部の直径および剛化した膨張性複合構造238の内部の直径である。膨張性金型アセンブリ202の断面の幾何形状に関係なく、膨張性金型アセンブリ202を使用した結果である曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238(図6に図示)は、本明細書で説明するように管状であると見なされる複合部材である。
【0017】
また、本明細書で図示し、説明する特定の他の実施形態では、膨張性ブラダ204の断面寸法205は、軸方向または長手方向の長さに沿って変化可能である。このような実施形態では、膨張性ブラダ204の直径、つまり主要な外部断面寸法205は、完成した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238が、最終用途の必要性に応じて様々な位置で様々な断面寸法を有することができるように変化可能である。例えば、アーチなどの特定の最終用途では、完成した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の上部分に追加の支持を追加するために、地面に隣接した膨張性金型アセンブリ202の下部分の方が大きい断面を有することが望ましい。
【0018】
膨張性金型アセンブリ202は、少なくとも1つの管状膨張性ブラダ204、可撓性ファブリック層206などの少なくとも1つの補強ファブリック、および少なくとも1つの不通気性外層208を含む。膨張性ブラダ204の壁は、細長い膨張性空隙201を画定する。可撓性補強ファブリック層206は、膨張性ブラダ204の周囲に同心円状に配置される。可撓性不通気性外層208は、可撓性ファブリック層206の周囲に同心円状に配置され、膨張性ブラダ204および不通気性外層208が細長い空間226を画定し、可撓性ファブリック層206が空間226内に配置される。膨張性ブラダ204の断面形状がほぼ円形である場合、細長い空間は実質的に環状の断面を有する。
【0019】
特定の代替実施形態では、膨張性管状ブラダ204は、適切に可撓性の不通気性材料で作成される。膨張性管状ブラダ204に使用可能な材料の例はナイロン、マイラ、ウレタン、ブチルゴム、高密度ポリエチレン、ビニル、ポリエステル、強化ゴム、およびシリコーンである。他の材料も使用することができる。特定の実施形態では、可撓性ファブリック層206は、編組または織物の繊維のような繊維の所望のパターンまたは幾何形状を有する繊維質材料を備える。特定の代替実施形態では、ファブリック層は、例えばガラス、炭素、ポリエチレン、ポリエステル、アラミド繊維、およびその混合物など、1つまたは複数のタイプの繊維を備えることができる。不通気性外層208は、例えばナイロン、マイラ、ウレタン、ブチルゴム、高密度ポリエチレン、ビニル、ポリエステル、強化ゴム、およびシリコーンなど、任意の適切な可撓性不通気性材料でよい。
【0020】
図示の実施形態では、膨張性金型アセンブリ202は細長く、縦軸210を有する。膨張性金型アセンブリ202は、膨張性金型アセンブリ202の第1端214にある第1キャップ部材212、および膨張性金型アセンブリ202の反対側の第2端218にある第2キャップ部材216を含む。キャップ部材212は密封可能な開口219を含み、それを通して流体材料が流れて、膨張性金型アセンブリ202を膨張させることができる。特定の実施形態では、例えば流体材料は気体状(空気など)または液体(水など)でよい。金型は細長いものとして図示されているが、細長い必要はないことを理解されたい。
【0021】
図2は、空気が、開口219を通して膨張性管状ブラダ204の内部空隙201内へと配向されている、部分的に膨張した状態の膨張性金型アセンブリ202を示す。図3に示すように、不通気性外層208は密封可能な開口220を含むことができ、それを通して不通気性外層208と膨張性管状ブラダ204の間の空間226から空気を除去することができる。空間226は、少なくとも部分的に可撓性ファブリック層206で充填されることを理解されたい。空間226内の空気を除去するために適切な装置は、モータMによって動作する真空ポンプPであるが、他の装置を使用することもできる。開口220は、膨張性金型アセンブリ202の一方端の位置を含め、膨張性金型アセンブリ202の長さに沿った任意の位置に配置することができる。任意の数の開口220を使用することができる。例えば樹脂トランスファ成形プロセスを使用する場合、排気機構の使用が任意であることを理解されたい。
【0022】
樹脂などの流体剛化材料232を注入中に、剛化材料は、樹脂ポート234を介し、空間226を通して差圧によって駆動または給送される。それと同時に、通常は空間226から気体を除去することができる。任意の数の樹脂ポート234を使用することができる。樹脂ポート234は、図示のように膨張性金型アセンブリ202の端部に配置するか、膨張性金型アセンブリ202の長さに沿って任意の位置で、不通気性外層208を通して配置することができる。樹脂は、可撓性ファブリック層206内に注入され、これに浸透する。剛化材料232を空間226に注入するために開示された装置は例示にすぎず、可撓性ファブリック層206に剛化材料を注入する任意の適切なシステムを使用することができる。
【0023】
図4は、可撓性ファブリック層206に十分に浸透した剛化材料232を示す。剛化材料は、空間226内に給送または注入することができ、これで剛性または半剛性材料へと固化または硬化する任意の有機または無機材料でよい。有機材料の例は、ビニルエステル、ポリエステル、エポキシなどの熱硬化性樹脂を含む。剛化材料には、セメントまたはグラウトなどの他の無機材料も使用することができる。剛化材料232を空間226内に配置し、材料の剛化または硬化が実行されると、図7に示した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238などの複合建設部材が形成される。曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238は主に、建築材料として有用であるが、他の目的にも使用することができる。
【0024】
図5に示すように、膨張性金型アセンブリ202が枠組240の周囲で曲がるか、他の方法でそれと一致するような状態で、成形プロセス中に膨張性金型アセンブリ202が、枠組240に当てるか、少なくとも部分的にそれに入るように配置される。図示の実施形態では、枠組240は連続的な半円形状を有する。枠組240は、形成中に膨張性金型アセンブリ202が所望の形状に曲がるのを促進する。枠組240は、必要な構成の複合建設部材を生成するために適切な任意の形状を有することができる。
【0025】
枠組240は、複合曲線および非平面曲線などの任意の連続的で全体的に曲線の形状を有することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、枠組240は、非円形の側壁を有することができ、したがって膨張性金型アセンブリ202を、円形ではない断面形状を有する複合構造に形成することができる。図9は、複合構造338の丸まった六角形輪郭を示す。図10は、複合構造438の丸まった正方形輪郭を示す。図11は、複合構造538のほぼI形鋼の形状の輪郭を示す。
【0026】
任意選択で、剛化した膨張性複合構造238は、例えば図8に示すような無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、砂などを含むグループから選択された材料のような耐力材料244で充填することができる。
【0027】
膨張性金型アセンブリ202を全体的にアーチ形の長手方向形状に形成しているときに、膨張性金型アセンブリ202の湾曲に対して接線方向で接触点に適切な外力を加えられることを理解されたい。また、本明細書の図に示された枠組240は、図6に示すように膨張性金型アセンブリ202の内弧202aに沿って膨張性金型アセンブリ202を支持しているが、枠組240は、膨張性金型アセンブリ202の外弧202bで膨張性金型アセンブリ202に所望の曲率を提供することも可能である。
【0028】
有利には、全体的に汎用タイプまたは構造の可撓性ファブリック層206を1つしか使用せずに、多くの異なる形状および構成の剛化した膨張性複合構造238が形成できる。したがって、膨張性金型アセンブリ202の製造業者は、1つのタイプまたは設計のファブリック構造を使用して、任意の所望の曲率を有する広範囲の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産することができる。
【0029】
本明細書で説明する方法の特定の実施形態では、適切な量の張力をフープ(半径)および/または長手(軸)方向の一方または両方でファブリックに加えて、膨張性金型アセンブリ202が曲げられる場合でも、ファブリックの繊維のしわおよび座屈を最小限に抑えるか、最も適切なように実質的に解消する。適切な量の張力は変動することができるが、本明細書で使用する適切な量の張力は、繊維の極限引っ張り容量(fiber’s ultimate tensile capacity)の約2パーセント未満程度の応力を繊維内に引き起こす量の張力でよい。本明細書で図示し、説明する実施形態では、繊維内に約30p.s.i.から約1000p.s.i.の範囲内の応力を引き起こす張力が加えられる。
【0030】
図7は、図6の一区域の拡大略図であり、膨張性金型アセンブリ202のフープ方向252に対する可撓性ファブリック層206の繊維250の一部の編組角度θを示す。フープ方向252は、それを辿ると、断面の表面に沿って最短の平面閉路になる方向である。図7では、明快さを期して、ファブリックの繊維の大部分が省略されており、したがって、残りの代表的な繊維の路が、さらに容易に見られる。挟角θは、繊維のフープ方向から外れた角度である。繊維は、可撓性ファブリック層206の表面に沿って一方端から他方端へと連続的なほぼ螺旋状の路を辿る。図7には、1つの繊維角度しか図示されていないが、複数の層および層毎に複数の角度を、このプロセスに合わせて選択された任意の組合せで使用することができ、個々の繊維の角度は剛化膨張性複合構造238の断面の周囲で、または長手方向の長さに沿って変動することができる。
【0031】
任意の特定の繊維がフープ方向252に平行でない場合は、繊維が非フープ方向に配向され、フープ方向からのその偏りは、角度θで測定することができる。例えば30°などの閾値レベルより大きい角度θに配向された繊維は、有意の長手方向の成分を有するものと見なすことができる。つまり、これらは縦軸210の方向に有意の成分を有する。これらの繊維は、全体的に長手方向に延在する繊維と見なすことができる。樹脂が可撓性ファブリック層206に注入されているので、成形プロセス中に可撓性ファブリック層206に張力を加えることによって膨張性金型アセンブリ202が曲げられている間に、可撓性ファブリック層206内の長手方向に延在する繊維は、大きい曲率の座屈が防止される。これらは、部材内の曲げ応力を担持しているので、構造的観点から重大な繊維である。フープを外れた繊維とは異なり、フープ方向の繊維は、金型アセンブリに大きい曲率が加えられた場合に座屈しにくい。
【0032】
曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238は、全体的に長手方向に延在する繊維、つまり最初に約30°より大きい角度に配向されている繊維の繊維しわが実質的にない状態で生産することができる。というのは、樹脂の注入および硬化中に、全体的に長手方向に配向された繊維の有意の部分に張力が加えられると、フープを外れた繊維が、膨張性ブラダ204の外面に沿って設計通りに位置合わせされて、保持され、繊維のしわまたは座屈を効果的に最小にするか、解消するからである。特定の実施形態では、可撓性ファブリック層206には、織物または編組ファブリックなどの反復パターンの単純なセットが作成され、これは反復パターンまたは所望のファブリック構造内に同様に配向された繊維のセットの束またはストランドを有する。
【0033】
本明細書で図示し、説明する例示的方法によって、任意の所望の形状を有することができる構造的複合材を形成することができる。例示的方法ではさらに、成形した構造を形成するために、様々な織りパターンまたは繊維構成のファブリック材料の区間を有するファブリックを、最初に形成する必要がなくなる。
【0034】
特定の実施形態では、特定の繊維または繊維束を、張力を加えるか、その元の方向によって、約30°から90°のフープを外れた方向に配向することが望ましい。抑制されるか、張力を加えられてフープから外れた方向の繊維は、膨張性金型が曲げられる場合でも、座屈またはしわがない状態で所望の方向を保持し、それによって最終的な曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238に強度を加える。ファブリックに張力を加える間に、繊維または繊維束を引っ張られるか、弛緩可能にして、所望のフープから外れた方向にする。
【0035】
適切に構築された可撓性ファブリック層206を使用し、曲げおよび樹脂注入プロセス中に張力を使用することによって、単一のファブリックの設計または構造を作成して、多くの異なる曲げ構成に対応できることが分かる。その結果、可撓性ファブリック層206は、なお張力で保持されていながら、様々な曲率に成形された金型に適合できるように構成される。
【0036】
特定の実施形態では、繊維のしわを克服するためにファブリックに加える必要がある張力の量は、ファブリックの極限引っ張り容量の小さい部分でよい。ファブリックにかかる張力は、把持装置などの任意の適切な装置を使用して加えることができる。このような把持装置の一例が、図3から図5に概略的に図示され、ここでは把持システム246および248が、それぞれ膨張性金型アセンブリ202の端部214および218に配置されている。把持システムは可撓性ファブリック層206に張力を加える。把持システム246および248は、可撓性ファブリック層206に接続して、それに張力を加えるのに適した任意の機構でよい。把持システム246および248は、端環の形態であるか、空気圧で拡張可能な栓または機械的栓でよい。さらに、細長い膨張性金型アセンブリ202は、把持システムの外側に配置された真空入口、把持システムの間に配置された真空入口、または把持システムの内側に配置された真空入口を含むことができる。また、細長い膨張性金型アセンブリ202は、把持システムの外側、把持システムの間、または把持システムの内側に配置された剛化材料入口を含むことができる。把持システムによって加えられる張力は、膨張性金型アセンブリ202と枠組240との接触を維持する働きもすることができる。膨張性金型アセンブリ202のいくつかの設計では、繊維に張力を加えるために、膨張性ブラダ204を膨張させるだけで十分である。このような場合、把持システム246および248は、繊維への張力の印加を抑制または制御するように作用することができる。
【0037】
可撓性ファブリック層206に張力を加える実施形態では、張力を加えると波打ちが減少して、織りパターンの均一性が向上し、それによって最終的に、張力を加えていないこと以外は同一の繊維を使用して生産したものよりはるかに高い負荷容量を有する完成品の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238を生成する。可撓性ファブリック層206に張力を加えると、完成した製品特性の変動も著しく低下する。また、可撓性ファブリック層206に張力を加えると、再配向される繊維は、部材の縦軸に近い方に張力を加えることによって再配向され、したがって最終的な曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の強度が最終的に増加する。いくつかの実施形態では、膨張性金型アセンブリ202が湾曲しているので、有意のしわまたは座屈がない状態で、可撓性ファブリック層206の繊維を再度位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、ファブリックに張力を加える間、端部214および218を把持すると、負荷が再分配されるまで、隣接する繊維よりもはるかに高い張力を受けている特定の繊維が滑ることができる。
【0038】
特定の実施形態では、管状の膨張性ブラダ204の最終的な膨張圧力に到達する前に、所望の張力を達成するか、確立することができる。例えば、管状の膨張性ブラダ204を最終的に膨張させる前に、把持システム246および248を可撓性ファブリック層206に締め付けることができる。他の実施形態では、所定の幾何形状が達成されたら、ブラダ圧力の増加によって刺激された金型の伸張によって、張力を加え始める。
【0039】
特定の実施形態では、膨張性金型アセンブリ202の剛化は、繊維に張力が加えられている間に、ファブリックに樹脂を注入することによって進行することができる。また、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の形成は、いくつかの異なるステップ構成で実行することができ、それは例えば以下を含む。
【0040】
i)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を膨張させてファブリックを成形し、ファブリックに剛化材料を注入する。
【0041】
ii)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を膨張させてファブリックを成形し、膨張した管状壁を所望の形状に曲げ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。
【0042】
iii)管状壁を膨張させ、ファブリック層を膨張した管状壁上に配置し、膨張した管状壁およびファブリックを所望の形状に曲げ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。
【0043】
iv)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を部分的に膨張させてファブリックを成形し、膨張した管状壁を所望の形状に曲げ、管状壁の膨張を終了させ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。以上の構成の全部で、ファブリックは張力を受ける。
【0044】
代替実施形態では、可撓性ファブリック層206に樹脂を予備含浸し、成形プロセス後または成形プロセス中に、任意の適切な機構によって剛化プロセスを開始して、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生成する。樹脂の剛化は、化学的開始剤または触媒を注入するか、熱または光を加えるか、任意の他の適切な方法によって開始することができる。
【0045】
別の実施形態では、各金型アセンブリのファブリックに張力を加えた状態で、複数の細長い膨張性金型アセンブリを一緒に配置する。複数の金型アセンブリは各々、ファブリックへの張力を維持しながら、所望の形状に成形される。各金型アセンブリの補強ファブリックには、剛化材料が注入され、剛化材料は、各金型アセンブリに別個に、または同時に注入されることができる。この方法で、ファブリックへの張力を維持しながら、剛化材料を硬化させた後、多数の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を形成することができる。多数の細長い膨張性金型アセンブリを、同じ曲率に形成するか、様々な曲率で構成することができる。
【0046】
図示の膨張性金型アセンブリ202は、建築材料として使用するのに適した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の先駆物質と見なすことができる。細長い膨張性金型アセンブリ202を使用して、建物、埋設橋構造、または曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材が必要な他の構造の建設現場のような任意の望ましい適切な位置で、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を作成することができる。さらに、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、所定の位置で、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂などの任意の所望の材料で充填することができる。また、1つまたは複数の細長い膨張性金型アセンブリを含む建設キットを準備し、建設現場に輸送することができる。このようなキットは、任意選択で、管状ブラダを膨張させる圧縮空気の供給源、樹脂成分の供給源、真空の供給源、および製品の剛化中に膨張性金型アセンブリを成形し、および剛化材料の注入中に張力を供給するために適切な枠組を含むことができる。このようなキットは、任意の望ましい曲率の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産するための自立型の予め組み立てられたキットでよい。
【0047】
建設部材の原理および操作モードならびにこのような建設部材の作成方法について、様々な実施形態で説明してきた。しかし、本明細書で説明した建設部材およびこのような建設部材の作成方法は、その範囲から逸脱することなく、特に図示し、説明したもの以外で実践できることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】収縮した状態である、複合建設部材を作成する膨張性管状金型アセンブリの部分の略図である。
【図2】部分的に膨張した状態の金型アセンブリの一部の略縦断面図である。
【図3】金型アセンブリが十分に膨張し、金型アセンブリに部分真空が加えられた状態の図2のそれと同様の略図である。
【図4】金型アセンブリが剛化している状態の図2のそれと同様の略図である。
【図5】膨張した曲線金型アセンブリの湾曲に対して接線方向で、枠組との接触点に外力が加えられている間に膨張した金型アセンブリが枠組の周囲で曲げられていることを示し、湾曲した金型アセンブリの端部に張力を加える装置を示す略図である。
【図6】枠組から外された後の剛化膨張性複合構造の略図である。
【図7】剛化膨張性複合構造のフープ方向(hoop direction)に対する剛化膨張性複合構造の繊維の編組角度を示す、図6の区域の拡大略図である。
【図8】耐力材料で充填された剛化膨張性複合構造を示す、図6の線8−8に沿って切り取った略図である。
【図9】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【図10】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【図11】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【技術分野】
【0001】
本明細書では、複合建設部材(composite construction member)の様々な実施形態およびそのような建設部材の作成方法について説明する。特に、本明細書で説明する実施形態は、通常は建築材料(building material)として使用するのに適したタイプの改良された複合建設部材に関する。そのような部材の例としては、軽量管状アーチ(lightweit tubular arch)および梁がある。
【背景技術】
【0002】
これまでは、短いスパンおよび中位のスパンの埋設型アーチ橋(buried arch bridge)、さらにある種の地下貯蔵施設およびトンネルを建設するために使用されている数タイプの技術がある。これらの構造は一般的にアーチ形であり、典型的には交通機関または他の負荷を受ける土被りで覆われている。アーチ形建設部材は、構造部材などの建築構造にも使用される。
【0003】
このような建設部材を提供する1つの方法は、1つの場所で作成され、次に建設現場へと輸送されるプレキャスト・コンクリート構造を使用することである。別のシステムは、建設現場で形成され、次にクレーンなどによって所定の位置に吊り上げられる現場流延コンクリート構造(cast−in place concrete structure)を使用することを含む。さらに別の技術は、金属パイプ構造を使用することを含む。さらに、金属および鋼で補強したコンクリートを構造部材として使用することができる。建設業における複合材料の使用量は増加している。
【発明の要約】
【0004】
建設材料の選択における重要な要素は、材料の費用、輸送および設置の容易さ、耐久性、重量、建設時間の長さ、設置用の吊り上げ機器の必要性、建設シーケンスの複雑さ、全体的性能、および全体的な設置費用を含む。建設業のために改良された建設材料およびシステムを開発できれば有利である。
【0005】
本出願は、建設部材の様々な実施形態について説明する。建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法の一実施形態は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリ(elongated inflatable mold assembly)、細長い膨張性空隙を画定する可撓性の管状ブラダ壁(flexible tubular bladder wall)、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック(reinforcing fabric)、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を設けることを含む。ブラダ壁および外層は、中にファブリックが配置された細長い環状空間を画定する。ファブリックに縦方向に張力を加えて、空隙に流体を導入し、金型を少なくとも部分的に膨張させて、ファブリックを成形する。金型はファブリックへの張力を維持しながら所望の形状に成形される。細長い環状空間およびファブリックに、剛化材料(rigidification material)を注入する。剛化材料は、中空の剛性複合建設部材を形成するために、ファブリックへの張力を維持しながら硬化される。
【0006】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適した中空の複合建設部材を形成するための膨張性金型アセンブリは、金型アセンブリを含む。金型アセンブリは縦軸を有し、さらに細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を含み、ブラダ壁と外層が細長い環状空間を画定し、ファブリックが空間内に配置されている。
【0007】
別の実施形態では、剛性の中空複合建設部材を作成するシステムは、建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材の膨張性金型アセンブリを含む。膨張性金型アセンブリは細長く、縦軸を有する。金型アセンブリはさらに、細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を有し、ブラダ壁および外層が細長い環状空間を画定して、ファブリックが空間内に配置される。ファブリックに縦方向に張力を加える装置、流体を空隙に導入して管状ブラダ壁を膨張させる装置、および細長い環状空間およびファブリックに剛化材料を注入して、剛性の中空複合建設部材を形成する装置が提供される。
【0008】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供することを含み、金型は、金型アセンブリの周囲に延在する編組補強ファブリック(braided reinforcing fabric)を有する。張力が縦方向でファブリックに加えられ、金型アセンブリを成形しながら、ファブリックに剛化材料が注入される。剛化材料は、ファブリックへの張力を維持しながら硬化されて、剛性の中空複合建設部材を形成する。
【0009】
別の実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの中空の複合建設部材を形成する方法は、縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供することを含む。金型アセンブリはさらに、細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁、可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置され、樹脂材料を予備含浸した補強ファブリック、およびファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層を有し、ブラダ壁および外層が細長い環状空間を画定し、ファブリックが空間内に配置される。張力が縦方向でファブリックに加えられ、流体が空隙に導入されて、ブラダ壁を少なくとも部分的に膨張させて、ファブリックを成形する。金型アセンブリは、ファブリックへの張力を維持しながら、所望の形状に成形される。次に、ファブリックへの張力を維持しながら、樹脂材料の硬化を開始して、剛性の中空複合建設部材を形成する。
【0010】
建設部材の他の利点は、添付図面に照らして以下の詳細な説明を読むと当業者には明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
膨張性管状金型アセンブリから湾曲した複合構造を生産する現在の技術は、ファブリックの構造によって制限されている。膨張性金型アセンブリから複合構造を作成する従来の方法では、各曲線幾何形状が独特のファブリック構造を必要とし、そのために膨張性金型アセンブリの広範囲の曲線部材の幾何形状を設計し、生産するのに非常に費用がかかる。図示の実施形態では、最初の膨張性金型アセンブリが単一の親ファブリック構造(single parent fabric architecture)を有していても、様々な湾曲が達成可能な状態で、単一の膨張性金型アセンブリで作成した膨張性複合構造を剛化することによって、広範囲の曲線の管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産することが可能である。この親ファブリック構造は様々でよく、それでも任意の連続的な湾曲を有する部材を生成することができる。
【0012】
本明細書で図示し、説明する実施形態は、膨張性金型アセンブリで作成され、曲線支持体の周囲に形成され、有機または無機ポリマ材料などの剛化材料が注入された曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を含む。長手方向に配向された連続的繊維は、剛化材料が注入されているので、大きい曲率へと形成された場合、構造の内側でも、ファブリックの端に張力を加えることによって実質的に座屈が防止される。これは、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の負荷容量を大幅に改良する。
【0013】
曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、膨張性金型上に張力を加えた編組ファブリックを使用することにより、構造的に有意の、または実質的に目に見える繊維のしわがない状態で生産することができる。繊維は、繊維の有意のしわまたは座屈がない状態で膨張性金型の縦軸付近に配置することができるので、最終的に生産される曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、多くの構造で複数のタイプの負荷を効率的に支持することができ、それは曲線アーチ状橋、飛行機格納庫、埋設トンネルおよび燃料庫、高速配置可能な埋設アーチ橋および大スパン暗渠を含むが、それに制限されない。
【0014】
1つの実施形態では、建築材料として使用するのに適したタイプの曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を形成する方法が開示される。このような曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の形成方法は、完成した補強構造に弱点を引き起こす繊維の座屈またはしわのいずれも解消するか、実質的に減少させる。特定の実施形態では、ファブリック層は樹脂などの適切な剛化材料が注入された3次元編組繊維質ファブリック材料を備える。
【0015】
次に図1から図4を参照すると、膨張性管状金型アセンブリ202は、内部空隙201を画定する。図1は、収縮状態の膨張性金型アセンブリ202を示す。図で概略的に図示された膨張性金型アセンブリ202は、十分に膨張すると全体的に円形の断面形状を有するが、膨張性金型アセンブリ202の特定の寸法は、膨張性金型アセンブリ202が使用されている最終用途に左右されることを理解されたい。例えば、膨張性金型アセンブリ202内の膨張性ブラダ204の外部形状は、全体的に円形、楕円形、または(例えば図9から図10に図示されているように)他の有用な構造的形状を有することができる。別の実施形態では、膨張性ブラダ204は、図11に示すように、I形鋼の断面形状に近似した形状を有する断面を有することができる。
【0016】
図2から図4に示すような内部断面寸法203とは、ブラダが膨張した場合の膨張性ブラダ204の内部直径である。外部断面寸法205とは、図6で最もよく図示されているように、膨張性ブラダ204の外部の直径および剛化した膨張性複合構造238の内部の直径である。膨張性金型アセンブリ202の断面の幾何形状に関係なく、膨張性金型アセンブリ202を使用した結果である曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238(図6に図示)は、本明細書で説明するように管状であると見なされる複合部材である。
【0017】
また、本明細書で図示し、説明する特定の他の実施形態では、膨張性ブラダ204の断面寸法205は、軸方向または長手方向の長さに沿って変化可能である。このような実施形態では、膨張性ブラダ204の直径、つまり主要な外部断面寸法205は、完成した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238が、最終用途の必要性に応じて様々な位置で様々な断面寸法を有することができるように変化可能である。例えば、アーチなどの特定の最終用途では、完成した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の上部分に追加の支持を追加するために、地面に隣接した膨張性金型アセンブリ202の下部分の方が大きい断面を有することが望ましい。
【0018】
膨張性金型アセンブリ202は、少なくとも1つの管状膨張性ブラダ204、可撓性ファブリック層206などの少なくとも1つの補強ファブリック、および少なくとも1つの不通気性外層208を含む。膨張性ブラダ204の壁は、細長い膨張性空隙201を画定する。可撓性補強ファブリック層206は、膨張性ブラダ204の周囲に同心円状に配置される。可撓性不通気性外層208は、可撓性ファブリック層206の周囲に同心円状に配置され、膨張性ブラダ204および不通気性外層208が細長い空間226を画定し、可撓性ファブリック層206が空間226内に配置される。膨張性ブラダ204の断面形状がほぼ円形である場合、細長い空間は実質的に環状の断面を有する。
【0019】
特定の代替実施形態では、膨張性管状ブラダ204は、適切に可撓性の不通気性材料で作成される。膨張性管状ブラダ204に使用可能な材料の例はナイロン、マイラ、ウレタン、ブチルゴム、高密度ポリエチレン、ビニル、ポリエステル、強化ゴム、およびシリコーンである。他の材料も使用することができる。特定の実施形態では、可撓性ファブリック層206は、編組または織物の繊維のような繊維の所望のパターンまたは幾何形状を有する繊維質材料を備える。特定の代替実施形態では、ファブリック層は、例えばガラス、炭素、ポリエチレン、ポリエステル、アラミド繊維、およびその混合物など、1つまたは複数のタイプの繊維を備えることができる。不通気性外層208は、例えばナイロン、マイラ、ウレタン、ブチルゴム、高密度ポリエチレン、ビニル、ポリエステル、強化ゴム、およびシリコーンなど、任意の適切な可撓性不通気性材料でよい。
【0020】
図示の実施形態では、膨張性金型アセンブリ202は細長く、縦軸210を有する。膨張性金型アセンブリ202は、膨張性金型アセンブリ202の第1端214にある第1キャップ部材212、および膨張性金型アセンブリ202の反対側の第2端218にある第2キャップ部材216を含む。キャップ部材212は密封可能な開口219を含み、それを通して流体材料が流れて、膨張性金型アセンブリ202を膨張させることができる。特定の実施形態では、例えば流体材料は気体状(空気など)または液体(水など)でよい。金型は細長いものとして図示されているが、細長い必要はないことを理解されたい。
【0021】
図2は、空気が、開口219を通して膨張性管状ブラダ204の内部空隙201内へと配向されている、部分的に膨張した状態の膨張性金型アセンブリ202を示す。図3に示すように、不通気性外層208は密封可能な開口220を含むことができ、それを通して不通気性外層208と膨張性管状ブラダ204の間の空間226から空気を除去することができる。空間226は、少なくとも部分的に可撓性ファブリック層206で充填されることを理解されたい。空間226内の空気を除去するために適切な装置は、モータMによって動作する真空ポンプPであるが、他の装置を使用することもできる。開口220は、膨張性金型アセンブリ202の一方端の位置を含め、膨張性金型アセンブリ202の長さに沿った任意の位置に配置することができる。任意の数の開口220を使用することができる。例えば樹脂トランスファ成形プロセスを使用する場合、排気機構の使用が任意であることを理解されたい。
【0022】
樹脂などの流体剛化材料232を注入中に、剛化材料は、樹脂ポート234を介し、空間226を通して差圧によって駆動または給送される。それと同時に、通常は空間226から気体を除去することができる。任意の数の樹脂ポート234を使用することができる。樹脂ポート234は、図示のように膨張性金型アセンブリ202の端部に配置するか、膨張性金型アセンブリ202の長さに沿って任意の位置で、不通気性外層208を通して配置することができる。樹脂は、可撓性ファブリック層206内に注入され、これに浸透する。剛化材料232を空間226に注入するために開示された装置は例示にすぎず、可撓性ファブリック層206に剛化材料を注入する任意の適切なシステムを使用することができる。
【0023】
図4は、可撓性ファブリック層206に十分に浸透した剛化材料232を示す。剛化材料は、空間226内に給送または注入することができ、これで剛性または半剛性材料へと固化または硬化する任意の有機または無機材料でよい。有機材料の例は、ビニルエステル、ポリエステル、エポキシなどの熱硬化性樹脂を含む。剛化材料には、セメントまたはグラウトなどの他の無機材料も使用することができる。剛化材料232を空間226内に配置し、材料の剛化または硬化が実行されると、図7に示した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238などの複合建設部材が形成される。曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238は主に、建築材料として有用であるが、他の目的にも使用することができる。
【0024】
図5に示すように、膨張性金型アセンブリ202が枠組240の周囲で曲がるか、他の方法でそれと一致するような状態で、成形プロセス中に膨張性金型アセンブリ202が、枠組240に当てるか、少なくとも部分的にそれに入るように配置される。図示の実施形態では、枠組240は連続的な半円形状を有する。枠組240は、形成中に膨張性金型アセンブリ202が所望の形状に曲がるのを促進する。枠組240は、必要な構成の複合建設部材を生成するために適切な任意の形状を有することができる。
【0025】
枠組240は、複合曲線および非平面曲線などの任意の連続的で全体的に曲線の形状を有することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、枠組240は、非円形の側壁を有することができ、したがって膨張性金型アセンブリ202を、円形ではない断面形状を有する複合構造に形成することができる。図9は、複合構造338の丸まった六角形輪郭を示す。図10は、複合構造438の丸まった正方形輪郭を示す。図11は、複合構造538のほぼI形鋼の形状の輪郭を示す。
【0026】
任意選択で、剛化した膨張性複合構造238は、例えば図8に示すような無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、砂などを含むグループから選択された材料のような耐力材料244で充填することができる。
【0027】
膨張性金型アセンブリ202を全体的にアーチ形の長手方向形状に形成しているときに、膨張性金型アセンブリ202の湾曲に対して接線方向で接触点に適切な外力を加えられることを理解されたい。また、本明細書の図に示された枠組240は、図6に示すように膨張性金型アセンブリ202の内弧202aに沿って膨張性金型アセンブリ202を支持しているが、枠組240は、膨張性金型アセンブリ202の外弧202bで膨張性金型アセンブリ202に所望の曲率を提供することも可能である。
【0028】
有利には、全体的に汎用タイプまたは構造の可撓性ファブリック層206を1つしか使用せずに、多くの異なる形状および構成の剛化した膨張性複合構造238が形成できる。したがって、膨張性金型アセンブリ202の製造業者は、1つのタイプまたは設計のファブリック構造を使用して、任意の所望の曲率を有する広範囲の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産することができる。
【0029】
本明細書で説明する方法の特定の実施形態では、適切な量の張力をフープ(半径)および/または長手(軸)方向の一方または両方でファブリックに加えて、膨張性金型アセンブリ202が曲げられる場合でも、ファブリックの繊維のしわおよび座屈を最小限に抑えるか、最も適切なように実質的に解消する。適切な量の張力は変動することができるが、本明細書で使用する適切な量の張力は、繊維の極限引っ張り容量(fiber’s ultimate tensile capacity)の約2パーセント未満程度の応力を繊維内に引き起こす量の張力でよい。本明細書で図示し、説明する実施形態では、繊維内に約30p.s.i.から約1000p.s.i.の範囲内の応力を引き起こす張力が加えられる。
【0030】
図7は、図6の一区域の拡大略図であり、膨張性金型アセンブリ202のフープ方向252に対する可撓性ファブリック層206の繊維250の一部の編組角度θを示す。フープ方向252は、それを辿ると、断面の表面に沿って最短の平面閉路になる方向である。図7では、明快さを期して、ファブリックの繊維の大部分が省略されており、したがって、残りの代表的な繊維の路が、さらに容易に見られる。挟角θは、繊維のフープ方向から外れた角度である。繊維は、可撓性ファブリック層206の表面に沿って一方端から他方端へと連続的なほぼ螺旋状の路を辿る。図7には、1つの繊維角度しか図示されていないが、複数の層および層毎に複数の角度を、このプロセスに合わせて選択された任意の組合せで使用することができ、個々の繊維の角度は剛化膨張性複合構造238の断面の周囲で、または長手方向の長さに沿って変動することができる。
【0031】
任意の特定の繊維がフープ方向252に平行でない場合は、繊維が非フープ方向に配向され、フープ方向からのその偏りは、角度θで測定することができる。例えば30°などの閾値レベルより大きい角度θに配向された繊維は、有意の長手方向の成分を有するものと見なすことができる。つまり、これらは縦軸210の方向に有意の成分を有する。これらの繊維は、全体的に長手方向に延在する繊維と見なすことができる。樹脂が可撓性ファブリック層206に注入されているので、成形プロセス中に可撓性ファブリック層206に張力を加えることによって膨張性金型アセンブリ202が曲げられている間に、可撓性ファブリック層206内の長手方向に延在する繊維は、大きい曲率の座屈が防止される。これらは、部材内の曲げ応力を担持しているので、構造的観点から重大な繊維である。フープを外れた繊維とは異なり、フープ方向の繊維は、金型アセンブリに大きい曲率が加えられた場合に座屈しにくい。
【0032】
曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238は、全体的に長手方向に延在する繊維、つまり最初に約30°より大きい角度に配向されている繊維の繊維しわが実質的にない状態で生産することができる。というのは、樹脂の注入および硬化中に、全体的に長手方向に配向された繊維の有意の部分に張力が加えられると、フープを外れた繊維が、膨張性ブラダ204の外面に沿って設計通りに位置合わせされて、保持され、繊維のしわまたは座屈を効果的に最小にするか、解消するからである。特定の実施形態では、可撓性ファブリック層206には、織物または編組ファブリックなどの反復パターンの単純なセットが作成され、これは反復パターンまたは所望のファブリック構造内に同様に配向された繊維のセットの束またはストランドを有する。
【0033】
本明細書で図示し、説明する例示的方法によって、任意の所望の形状を有することができる構造的複合材を形成することができる。例示的方法ではさらに、成形した構造を形成するために、様々な織りパターンまたは繊維構成のファブリック材料の区間を有するファブリックを、最初に形成する必要がなくなる。
【0034】
特定の実施形態では、特定の繊維または繊維束を、張力を加えるか、その元の方向によって、約30°から90°のフープを外れた方向に配向することが望ましい。抑制されるか、張力を加えられてフープから外れた方向の繊維は、膨張性金型が曲げられる場合でも、座屈またはしわがない状態で所望の方向を保持し、それによって最終的な曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238に強度を加える。ファブリックに張力を加える間に、繊維または繊維束を引っ張られるか、弛緩可能にして、所望のフープから外れた方向にする。
【0035】
適切に構築された可撓性ファブリック層206を使用し、曲げおよび樹脂注入プロセス中に張力を使用することによって、単一のファブリックの設計または構造を作成して、多くの異なる曲げ構成に対応できることが分かる。その結果、可撓性ファブリック層206は、なお張力で保持されていながら、様々な曲率に成形された金型に適合できるように構成される。
【0036】
特定の実施形態では、繊維のしわを克服するためにファブリックに加える必要がある張力の量は、ファブリックの極限引っ張り容量の小さい部分でよい。ファブリックにかかる張力は、把持装置などの任意の適切な装置を使用して加えることができる。このような把持装置の一例が、図3から図5に概略的に図示され、ここでは把持システム246および248が、それぞれ膨張性金型アセンブリ202の端部214および218に配置されている。把持システムは可撓性ファブリック層206に張力を加える。把持システム246および248は、可撓性ファブリック層206に接続して、それに張力を加えるのに適した任意の機構でよい。把持システム246および248は、端環の形態であるか、空気圧で拡張可能な栓または機械的栓でよい。さらに、細長い膨張性金型アセンブリ202は、把持システムの外側に配置された真空入口、把持システムの間に配置された真空入口、または把持システムの内側に配置された真空入口を含むことができる。また、細長い膨張性金型アセンブリ202は、把持システムの外側、把持システムの間、または把持システムの内側に配置された剛化材料入口を含むことができる。把持システムによって加えられる張力は、膨張性金型アセンブリ202と枠組240との接触を維持する働きもすることができる。膨張性金型アセンブリ202のいくつかの設計では、繊維に張力を加えるために、膨張性ブラダ204を膨張させるだけで十分である。このような場合、把持システム246および248は、繊維への張力の印加を抑制または制御するように作用することができる。
【0037】
可撓性ファブリック層206に張力を加える実施形態では、張力を加えると波打ちが減少して、織りパターンの均一性が向上し、それによって最終的に、張力を加えていないこと以外は同一の繊維を使用して生産したものよりはるかに高い負荷容量を有する完成品の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238を生成する。可撓性ファブリック層206に張力を加えると、完成した製品特性の変動も著しく低下する。また、可撓性ファブリック層206に張力を加えると、再配向される繊維は、部材の縦軸に近い方に張力を加えることによって再配向され、したがって最終的な曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の強度が最終的に増加する。いくつかの実施形態では、膨張性金型アセンブリ202が湾曲しているので、有意のしわまたは座屈がない状態で、可撓性ファブリック層206の繊維を再度位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、ファブリックに張力を加える間、端部214および218を把持すると、負荷が再分配されるまで、隣接する繊維よりもはるかに高い張力を受けている特定の繊維が滑ることができる。
【0038】
特定の実施形態では、管状の膨張性ブラダ204の最終的な膨張圧力に到達する前に、所望の張力を達成するか、確立することができる。例えば、管状の膨張性ブラダ204を最終的に膨張させる前に、把持システム246および248を可撓性ファブリック層206に締め付けることができる。他の実施形態では、所定の幾何形状が達成されたら、ブラダ圧力の増加によって刺激された金型の伸張によって、張力を加え始める。
【0039】
特定の実施形態では、膨張性金型アセンブリ202の剛化は、繊維に張力が加えられている間に、ファブリックに樹脂を注入することによって進行することができる。また、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材238の形成は、いくつかの異なるステップ構成で実行することができ、それは例えば以下を含む。
【0040】
i)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を膨張させてファブリックを成形し、ファブリックに剛化材料を注入する。
【0041】
ii)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を膨張させてファブリックを成形し、膨張した管状壁を所望の形状に曲げ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。
【0042】
iii)管状壁を膨張させ、ファブリック層を膨張した管状壁上に配置し、膨張した管状壁およびファブリックを所望の形状に曲げ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。
【0043】
iv)ファブリック層を膨張性の管状壁上に配置し、管状壁を部分的に膨張させてファブリックを成形し、膨張した管状壁を所望の形状に曲げ、管状壁の膨張を終了させ、成形したファブリックに剛化材料を注入する。以上の構成の全部で、ファブリックは張力を受ける。
【0044】
代替実施形態では、可撓性ファブリック層206に樹脂を予備含浸し、成形プロセス後または成形プロセス中に、任意の適切な機構によって剛化プロセスを開始して、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生成する。樹脂の剛化は、化学的開始剤または触媒を注入するか、熱または光を加えるか、任意の他の適切な方法によって開始することができる。
【0045】
別の実施形態では、各金型アセンブリのファブリックに張力を加えた状態で、複数の細長い膨張性金型アセンブリを一緒に配置する。複数の金型アセンブリは各々、ファブリックへの張力を維持しながら、所望の形状に成形される。各金型アセンブリの補強ファブリックには、剛化材料が注入され、剛化材料は、各金型アセンブリに別個に、または同時に注入されることができる。この方法で、ファブリックへの張力を維持しながら、剛化材料を硬化させた後、多数の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を形成することができる。多数の細長い膨張性金型アセンブリを、同じ曲率に形成するか、様々な曲率で構成することができる。
【0046】
図示の膨張性金型アセンブリ202は、建築材料として使用するのに適した曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材の先駆物質と見なすことができる。細長い膨張性金型アセンブリ202を使用して、建物、埋設橋構造、または曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材が必要な他の構造の建設現場のような任意の望ましい適切な位置で、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を作成することができる。さらに、曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材は、所定の位置で、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂などの任意の所望の材料で充填することができる。また、1つまたは複数の細長い膨張性金型アセンブリを含む建設キットを準備し、建設現場に輸送することができる。このようなキットは、任意選択で、管状ブラダを膨張させる圧縮空気の供給源、樹脂成分の供給源、真空の供給源、および製品の剛化中に膨張性金型アセンブリを成形し、および剛化材料の注入中に張力を供給するために適切な枠組を含むことができる。このようなキットは、任意の望ましい曲率の曲線管状繊維強化ポリマ複合構造部材を生産するための自立型の予め組み立てられたキットでよい。
【0047】
建設部材の原理および操作モードならびにこのような建設部材の作成方法について、様々な実施形態で説明してきた。しかし、本明細書で説明した建設部材およびこのような建設部材の作成方法は、その範囲から逸脱することなく、特に図示し、説明したもの以外で実践できることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】収縮した状態である、複合建設部材を作成する膨張性管状金型アセンブリの部分の略図である。
【図2】部分的に膨張した状態の金型アセンブリの一部の略縦断面図である。
【図3】金型アセンブリが十分に膨張し、金型アセンブリに部分真空が加えられた状態の図2のそれと同様の略図である。
【図4】金型アセンブリが剛化している状態の図2のそれと同様の略図である。
【図5】膨張した曲線金型アセンブリの湾曲に対して接線方向で、枠組との接触点に外力が加えられている間に膨張した金型アセンブリが枠組の周囲で曲げられていることを示し、湾曲した金型アセンブリの端部に張力を加える装置を示す略図である。
【図6】枠組から外された後の剛化膨張性複合構造の略図である。
【図7】剛化膨張性複合構造のフープ方向(hoop direction)に対する剛化膨張性複合構造の繊維の編組角度を示す、図6の区域の拡大略図である。
【図8】耐力材料で充填された剛化膨張性複合構造を示す、図6の線8−8に沿って切り取った略図である。
【図9】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【図10】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【図11】耐力材料で充填された追加の剛化膨張性複合構造の断面形状の略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置された
細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップと、
長手方向に前記ファブリックに張力を加えて、流体を前記空隙に導入し、前記金型を少なくとも部分的に膨張させて、前記ファブリックを成形するステップと、
前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型を所望の形状に成形するステップと、
前記細長い環状空間および前記ファブリックに剛化材料を注入するステップと、
剛性の中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記張力を前記ファブリックに加える前記ステップが、前記金型の前記縦軸に対する前記ファブリックの繊維の位置合わせを変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形するステップが、前記金型アセンブリを曲線形状に曲げることを含み、曲げる前に前記ファブリックに加えられる前記張力が、前記金型アセンブリを前記曲線形状に曲げた後でも、前記ファブリックへの張力を維持するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ファブリックが、張力を受けた状態に保持されている間にも、様々な曲率に成形された金型アセンブリに一致できるように構築される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記張力を加える前記ステップが、前記縦軸に対する前記ファブリックの前記繊維の前記角度を変化させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金型アセンブリの前記管状ブラダを十分に膨張させる前に、前記ファブリックに張力を加えるステップと、次に、前記管状ブラダを十分に膨張させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対してある角度であるフープを外れた方向に配向され、さらに、前記剛化材料の前記注入中に前記ファブリックに張力を加える前記ステップが、前記金型アセンブリに曲率を加えるときに前記繊維の座屈を防止し、その結果、張力を加えなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記剛性中空複合建設部材を、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂を含むグループから選択された耐力材料で少なくとも部分的に充填する追加のステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細長い膨張性金型アセンブリが、各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が、前記ファブリックに張力を加えるために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記剛化材料が硬化した後、前記剛性中空複合建設部材から前記可撓性ブラダ壁を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型アセンブリの前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の前記細長い膨張性金型アセンブリが一緒に配置構成され、各金型アセンブリの前記ファブリックに張力が加えられ、さらに、複数の剛性中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型アセンブリを所望の形状に成形するステップと、前記ファブリックおよび前記細長い環状空間に剛化材料を注入するステップと、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の細長い膨張性金型アセンブリがすべて、同じ曲率に形成され、すべてが同時に注入される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ファブリックが織物ファブリックである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材を形成する膨張性金型アセンブリであって、縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する、実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置される金型アセンブリ。
【請求項16】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記ファブリックの前記繊維が、前記金型の前記縦軸に対するその角度を変化させるという特徴を有する、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項17】
前記ファブリックが編組ファブリックである、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項18】
前記金型が、多くの異なる曲率のいずれか1つに膨張した後に、曲線形状に曲げられるように構築され、前記ファブリックは、前記金型を曲げる前に前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記金型が前記曲線形状に曲げられた後でも、前記ファブリックの前記繊維への張力が維持されるように構築される、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項19】
ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対して30°以上の角度であるフープから外れた方向に配向され、前記ファブリックは、前記ファブリックに張力が加えられた場合に、前記金型アセンブリに曲率が加えられていると、前記フープから外れた方向の繊維の座屈が防止されるように構築され、その結果、張力が加えられなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項20】
前記細長い膨張性金型が各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が前記ファブリックに接続され、前記ファブリックに張力を加えるように構成される、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項21】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型の前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項22】
前記細長い膨張性金型の各端に把持システムを含む、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項23】
前記把持システムの外側に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項24】
前記把持システムの間に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項25】
前記把持システムの内側に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項26】
前記把持システムの外側に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項27】
前記把持システムの間に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項28】
前記把持システムの内側に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項29】
剛性中空複合建設部材を作成するシステムであって、
建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材の膨張性金型アセンブリを備え、前記膨張性金型アセンブリが細長く、縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置され、さらに、
前記ファブリックに長手方向に張力を加える装置と、
前記管状ブラダ壁を膨張させるために前記空隙に流体を導入する装置と、
剛性中空複合建設部材を形成するために、前記細長い環状空間および前記ファブリックに剛化材料を注入する装置とを備えるシステム。
【請求項30】
前記剛性中空複合建設部材に、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂を含むグループから選択された耐力材料を導入する装置を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記ファブリックの前記繊維が、前記金型アセンブリの前記縦軸に対するその角度を変化させるという特徴を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記ファブリックが織物ファブリックである、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記金型アセンブリが、多くの異なる角度のいずれか1つに前記管状ブラダが膨張した後に、曲線形状に曲げられるように構築され、前記ファブリックは、前記金型アセンブリを曲げる前に前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記金型アセンブリが前記曲線形状に曲げられた後でも、前記ファブリックの前記繊維への張力が維持されるように構築される、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対して30°以上の角度であるフープから外れた方向に配向され、前記金型アセンブリに曲率が加えられた場合の前記フープから外れた繊維の座屈を防止するために、前記ファブリックに張力が加えられ、その結果、張力が加えられなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記細長い膨張性金型アセンブリが、各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が前記ファブリックに接続され、前記ファブリックに張力を加えるように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型アセンブリの前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項37】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップを含み、前記金型が、前記金型アセンブリに沿って延在する編組補強ファブリックを有し、さらに、
前記金型アセンブリを成形する間に、前記ファブリックに長手方向に張力を加えて、前記ファブリックに剛化材料を注入するステップと、
剛性中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化させるステップとを含む方法。
【請求項38】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置され、樹脂材料が予備含浸されている補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置された
細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップと、
長手方向に前記ファブリックに張力を加えて、流体を前記空隙に導入し、前記ブラダ壁を少なくとも部分的に膨張させて、前記ファブリックを成形するステップと、
前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型アセンブリを所望の形状に成形するステップと、
剛性の中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記樹脂材料の剛化を開始するステップとを含む方法。
【請求項1】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置された
細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップと、
長手方向に前記ファブリックに張力を加えて、流体を前記空隙に導入し、前記金型を少なくとも部分的に膨張させて、前記ファブリックを成形するステップと、
前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型を所望の形状に成形するステップと、
前記細長い環状空間および前記ファブリックに剛化材料を注入するステップと、
剛性の中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記張力を前記ファブリックに加える前記ステップが、前記金型の前記縦軸に対する前記ファブリックの繊維の位置合わせを変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形するステップが、前記金型アセンブリを曲線形状に曲げることを含み、曲げる前に前記ファブリックに加えられる前記張力が、前記金型アセンブリを前記曲線形状に曲げた後でも、前記ファブリックへの張力を維持するのに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ファブリックが、張力を受けた状態に保持されている間にも、様々な曲率に成形された金型アセンブリに一致できるように構築される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記張力を加える前記ステップが、前記縦軸に対する前記ファブリックの前記繊維の前記角度を変化させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金型アセンブリの前記管状ブラダを十分に膨張させる前に、前記ファブリックに張力を加えるステップと、次に、前記管状ブラダを十分に膨張させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対してある角度であるフープを外れた方向に配向され、さらに、前記剛化材料の前記注入中に前記ファブリックに張力を加える前記ステップが、前記金型アセンブリに曲率を加えるときに前記繊維の座屈を防止し、その結果、張力を加えなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記剛性中空複合建設部材を、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂を含むグループから選択された耐力材料で少なくとも部分的に充填する追加のステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細長い膨張性金型アセンブリが、各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が、前記ファブリックに張力を加えるために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記剛化材料が硬化した後、前記剛性中空複合建設部材から前記可撓性ブラダ壁を除去するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型アセンブリの前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の前記細長い膨張性金型アセンブリが一緒に配置構成され、各金型アセンブリの前記ファブリックに張力が加えられ、さらに、複数の剛性中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型アセンブリを所望の形状に成形するステップと、前記ファブリックおよび前記細長い環状空間に剛化材料を注入するステップと、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の細長い膨張性金型アセンブリがすべて、同じ曲率に形成され、すべてが同時に注入される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ファブリックが織物ファブリックである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材を形成する膨張性金型アセンブリであって、縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する、実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置される金型アセンブリ。
【請求項16】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記ファブリックの前記繊維が、前記金型の前記縦軸に対するその角度を変化させるという特徴を有する、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項17】
前記ファブリックが編組ファブリックである、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項18】
前記金型が、多くの異なる曲率のいずれか1つに膨張した後に、曲線形状に曲げられるように構築され、前記ファブリックは、前記金型を曲げる前に前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記金型が前記曲線形状に曲げられた後でも、前記ファブリックの前記繊維への張力が維持されるように構築される、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項19】
ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対して30°以上の角度であるフープから外れた方向に配向され、前記ファブリックは、前記ファブリックに張力が加えられた場合に、前記金型アセンブリに曲率が加えられていると、前記フープから外れた方向の繊維の座屈が防止されるように構築され、その結果、張力が加えられなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項20】
前記細長い膨張性金型が各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が前記ファブリックに接続され、前記ファブリックに張力を加えるように構成される、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項21】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型の前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項22】
前記細長い膨張性金型の各端に把持システムを含む、請求項15に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項23】
前記把持システムの外側に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項24】
前記把持システムの間に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項25】
前記把持システムの内側に配置された真空入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項26】
前記把持システムの外側に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項27】
前記把持システムの間に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項28】
前記把持システムの内側に配置された剛化材料入口を含む、請求項22に記載の膨張性金型アセンブリ。
【請求項29】
剛性中空複合建設部材を作成するシステムであって、
建築材料として使用するのに適した中空複合建設部材の膨張性金型アセンブリを備え、前記膨張性金型アセンブリが細長く、縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置された補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置され、さらに、
前記ファブリックに長手方向に張力を加える装置と、
前記管状ブラダ壁を膨張させるために前記空隙に流体を導入する装置と、
剛性中空複合建設部材を形成するために、前記細長い環状空間および前記ファブリックに剛化材料を注入する装置とを備えるシステム。
【請求項30】
前記剛性中空複合建設部材に、無収縮コンクリート、膨張コンクリート、無収縮グラウト、膨張グラウト、発泡体、および砂を含むグループから選択された耐力材料を導入する装置を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記ファブリックが編組ファブリックであり、前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記ファブリックの前記繊維が、前記金型アセンブリの前記縦軸に対するその角度を変化させるという特徴を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記ファブリックが織物ファブリックである、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記金型アセンブリが、多くの異なる角度のいずれか1つに前記管状ブラダが膨張した後に、曲線形状に曲げられるように構築され、前記ファブリックは、前記金型アセンブリを曲げる前に前記ファブリックに張力が加えられる場合、前記金型アセンブリが前記曲線形状に曲げられた後でも、前記ファブリックの前記繊維への張力が維持されるように構築される、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
ファブリックが複数の繊維を備え、その一部が、前記フープ方向に対して30°以上の角度であるフープから外れた方向に配向され、前記金型アセンブリに曲率が加えられた場合の前記フープから外れた繊維の座屈を防止するために、前記ファブリックに張力が加えられ、その結果、張力が加えられなかったファブリックに対して優れた構造的特性となる、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記細長い膨張性金型アセンブリが、各端に機械的把持部を含み、前記機械的把持部が前記ファブリックに接続され、前記ファブリックに張力を加えるように構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記細長い膨張性空隙が、膨張した場合に、前記細長い膨張性金型アセンブリの前記縦軸に沿って変動する断面寸法を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項37】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有する細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップを含み、前記金型が、前記金型アセンブリに沿って延在する編組補強ファブリックを有し、さらに、
前記金型アセンブリを成形する間に、前記ファブリックに長手方向に張力を加えて、前記ファブリックに剛化材料を注入するステップと、
剛性中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記剛化材料を硬化させるステップとを含む方法。
【請求項38】
建築材料として使用するのに適したタイプの中空複合建設部材を形成する方法であって、
縦軸を有し、さらに、
細長い膨張性空隙を画定する実質的に管状の可撓性ブラダ壁と、
前記可撓性ブラダ壁の周囲に同心円状に配置され、樹脂材料が予備含浸されている補強ファブリックと、
前記ファブリックの周囲に同心円状に配置された可撓性の不通気性外層とを有し、前記ブラダ壁および前記外層が細長い環状空間を画定し、前記ファブリックが前記空間内に配置された
細長い膨張性金型アセンブリを提供するステップと、
長手方向に前記ファブリックに張力を加えて、流体を前記空隙に導入し、前記ブラダ壁を少なくとも部分的に膨張させて、前記ファブリックを成形するステップと、
前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記金型アセンブリを所望の形状に成形するステップと、
剛性の中空複合建設部材を形成するために、前記ファブリックへの張力を維持しながら、前記樹脂材料の剛化を開始するステップとを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−520897(P2009−520897A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547598(P2008−547598)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/048993
【国際公開番号】WO2007/075999
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507215529)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/048993
【国際公開番号】WO2007/075999
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507215529)
【Fターム(参考)】
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