複合材の製造方法
複合材の製造方法およびその製造装置を提供する。複数層の積層体を積み上げテーブルに組み立て、各層はそれぞれ、複数の乾燥繊維等の補強素子を有する。複数層の積層体の第1部分を結合して部分的に結合した複数層の積層体を形成し、複数層の積層体の第2部分は非結合のままにする。この部分的に結合した複数層の積層体を1対の金型間の型キャビティ内でプレス成形して整形した予形成体を形成し、このプレス成形中、積層体の第2部分の複数層は互いにスライドする。液状マトリクス材料を型キャビティ内の整形した予形成体に注入して、その後硬化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術において、複合大型航空機翼の桁部材(スパー)は、通常、自動テープ積層(ATL:Automated Tape Laying)技術により、予含浸積層体(プリプレグ)材料から製造し、その後、雄型マンドレル上で所望の形状に熱成形する。スパーは、その後、雄金型上または雌金型内で硬化される。プリプレグの製造においては、オートクレーブの使用が必要であるが、それは莫大な資本投資となる。また、ATLプロセスでは、単純な隆起および浅い傾斜といった僅かな厚さ変動、およびほぼ直線的な何らかの折り曲げラインを有する比較的単純な構造を構築することしかできない。より複雑な幾何学的形状(ジオメトリ)および繊維配向構造を形成するには、プリプレグを手作業で、または繊維配向配置技術を利用して載置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合材製造の代替的なプロセスとしては、いわゆる樹脂注入成形法(RTM:Resin Transfer Moulding)がある。この方法では、剛体である雄金型と雌金型との間の乾燥繊維に液状樹脂を注入する。従来、複雑な幾何学形状が必要とされる場合、乾燥繊維を雌金型に手作業で載置する。この手作業載置プロセスは労力と時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、複合材を製造する方法を提供し、この方法は、
(a)各層が複数の補強素子を有する複数層の積層体を積み上げテーブル上で組み立てる組み立てステップと、
(b)前記複数層の積層体の第1部分を結合して、部分的に結合した複数層の積層体を形成するが、前記複数層の積層体の第2部分は非結合のままとする、結合ステップと、
(c)前記部分的に結合した複数層の積層体を1対の金型間の型キャビティ内でプレス成形して、整形した予形成体を形成するプレス成形ステップであって、このプレス成形ステップ中に、前記積層体の前記第2部分の複数層は互いにスライドする、該プレス成形ステップと、
(d)前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に液状マトリクス材料を注入する注入ステップと、および
(e)前記液状マトリクス材料を硬化させる硬化ステップと、
を有する。
【0005】
複数層を、一方の金型ではなく、積み上げテーブルに組み立てることにより、自動化した方法で積層体を組み立てることが容易になる。なぜなら、積み上げテーブルは比較的単純な形状(例えば、ほぼ平坦形状)とすることができるからである。
【0006】
プレス成形中、積層体全体ではなく複数層の一部を互いにスライド可能とすることで、層にしわが付くのを防止または少なくとも軽減することができる。
【0007】
マトリクス材は、熱可塑性材料を含むことができる(この場合、硬化ステップ(e)において、マトリクス材料を冷却する)。代案として、マトリクス材は、(重合等の)化学反応により硬化する2種類の部分に分かれた化学系を含むこともできる。より好ましくは、マトリクス材料は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニール・エステル樹脂、またはビスマレイミド(BMI)樹脂等の熱硬化性材料である。
【0008】
一般に、補強素子は、ガラス繊維または炭素繊維等の繊維である。積層体における各層は、一連の一方向に配向する繊維、非捲縮織物、またはその他任意の適切な繊維構造を含むことができる。
【0009】
結合ステップ(b)は、複数層の積層体の第1部分を加熱して結合剤を融解するステップを含むこともできる。結合剤を積層体内に点在させてから融解することができる。または、結合剤を別の層として設け、融解すると積層体に結合剤が含浸するようにすることもできる。代案として、積層体の第1部分における複数層を縫合して積層体を結合することもできる。その他、プレス成形ステップ中に複数層が互いにスライドするのを防ぐ任意の適切な結合方法を用いることができる。
【0010】
結合ステップ(b)は、一般に、複数層の積層体の選択した部分を加圧するステップを含む。この加圧は、金型のうち一方の金型を用いて行うことができ、この金型はプレス成形ステップ(c)において引き続き使用する。または、真空バッグの下の当て板を用いて、または、その他の適切な加圧デバイスを用いて行うことができる。
【0011】
結合ステップ(b)は、複数層の積層体を積み上げテーブルに載置した状態で行うことができ、または、複数層の積層体を積み上げテーブルから取り外してから接合することができる。
【0012】
好ましくは、本発明の方法は、付加的なコンポーネントを、カセットを構成する2個またはそれ以上のカセット部分の間に付加的なコンポーネントを配置するステップ、カセットを金型のうち一方の金型に設けた凹部に挿入するステップ、液状マトリクス材料を凹部内の付加的なコンポーネントに注入するステップ、および付加的なコンポーネント内の液状マトリクス材料を硬化させるステップ、を有する。以下に説明する実施形態において、複合材は航空機の桁部材(スパー)であり、付加的なコンポーネントはリブポストである。しかし、本発明方法は、他の複合材、例えば翼部または機体の外板の形成に用いることができ、この場合、付加的なコンポーネントとしては、例えば、外板を強化する縦通材(ストリンガー)がある。
【0013】
通常、硬化した予形成体を成形型から離型するとき、例えば凹部の底部に収容したラムにより、カセットを凹部からエジェクトする。このように、このラムにより、手動による介入なしに、予形成体を金型から離型するのに必要な力を生ずることができる。
【0014】
通常、付加的なコンポーネントはカセット部分間で圧縮され、この付加的なコンポーネントをデバルク(減容化)する。このカセット部分は、任意の適切な手段により形成することができるが、好ましくは、凹部は、カセット部分をこの凹部に挿入するとき、強制的に押し付け合わせるテーパ付き凹部とする。カセット部分を押し出して凹部からエジェクトするラムにより、カセット部分を凹部内に引き込んで強制的に押し付け合わせることもできる。ばね等の付勢部材を設けてカセット部分を互いに離れさせることもできる。
【0015】
本発明の第2の態様は、複合材を製造する装置を提供し、この装置は、積み上げテーブルと、1対の金型であって、この1対の金型間の型キャビティ内で部分的に結合した複数層の積層体をプレス成形して整形した予形成体を形成する、該1対の金型と、および液状マトリクス材料を型キャビティ内の整形した予形成体に注入する注入ポート、を備える。
【0016】
本発明の様々な好ましい態様は、本明細書に添付する特許請求の範囲において明示される。
【0017】
以下に、添付図面につき、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】乾燥繊維の積層体(スタック)を支持する積み上げテーブルの断面図である。
【図2】雄金型、ベースプレート、および支持フレームの斜視図である。
【図3】リブポストを示す分解図である。
【図4】ベースプレートおよび雄金型の下側面を示す図である。
【図5】ベースプレートの一方の端部を示す図である。
【図6】1個のマンドレルを示す図である。
【図7】(a)および(b)はL字型リブポストの半部のプレス成形法を示す図である。
【図8】積層体を雄金型に接触するまで積み重ねていく状態を示す図である。
【図9】積層体を持ち上げて雄金型に接触させた状態を示す図である。
【図10】雄金型により圧縮した積層体の中央ストリップ部分を示す図である。
【図11】部分的に接合した積層体の断面図である。
【図12】トロリを取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図13】回転して積み上げテーブルを取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図14】積体を担持する雄金型の側面図である。
【図15】雄金型および整形した予形成体の断面図であり、ガイドピンを収容する孔を示す図である。
【図16】所定位置に下降した雌金型を示す図である。
【図17】プレス成形中の積層体の断面図である。
【図18】雌金型を取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図19】ベースプレートおよび雄金型の図4におけるA−A線断面図である。
【図20】回転後のアセンブリを示す図である。
【図21】1個のマンドレルを取り外した状態を示す図である。
【図22】1個のマンドレルを取り外した雄金型の下側面を示す図である。
【図23】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図24】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図25】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図26】ヒータマット列を担持する積み上げテーブルを示す図である。
【図27】真空アセンブリ形成後のテーブルにおける断面図である。
【図28】図27の中央部分の拡大図である。
【図29】雄金型およびカセットの一部を示す分解図である。
【図30】(a)および(b)は雄金型およびカセットの断面図であり、カセットがわずかに持ち上がった状態を示す図である。
【図31】(a)および(b)は雄金型およびカセットの断面図であり、リブポストの予形成体を担持するカセットを所定位置に下降させた状態を示す図である。
【図32】雄金型およびカセットの斜視図であり、リブポスト予形成体を担持するカセットを所定位置に下降させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図22に、複合材の後部桁(スパー)を製造する方法を示す。図1に示す第1製造ステップ(段階)において、複数の乾燥繊維層からなる積層体1を積み上げテーブル2上で組み立てる。各層は、EPR05311結合剤を含む、12Kの高抗張力(HTS:High Tensile Strength)を有する285g/m2の高度単向性の織成体(AUW:Advanced Unidirectional Weave)からなる。より詳細には、各層は、一方向に延在する炭素繊維を、直交する方向に延在するガラス繊維と共に織機で織成したものである。EPR05311は、ヘキソン・スペシャリティ・ケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals)社によって粉末化した材料として供給されている。この粉末を織成体の表面に塗布し、赤外線ランプで融解して微小液滴を形成する。
【0020】
積層体は、レーザプロジェクタの支援の下で各層ごとに手作業で組み立てる。他の選択肢として、真空グリッパを有するロボットを用いて、裁断機から各層を捕捉して積み重ねる。超音波メスにより各層の周縁部を所望の形状に切断後、積み上げテーブル上に載置する。各層には位置決め孔36(図15に示す)および基準ピンホール28(図17に示す)も形成し、その後、層を積み重ねる。第3の選択肢として、ロールから層材料を引き出しつつ、積み上げテーブルの頂部を走行して、各層を所定形状に切断するシステムを使用することもできる。
【0021】
なお、図1において、テーブル2の断面のみを示すが、積層体を載置するテーブルの上面3はほぼ水平かつ平面状であることに留意されたい。
【0022】
図2は、雄金型4、ベースプレート12、および支持フレーム13を示す図である。雄金型4には、一連のそれぞれ独立した5個のマンドレル5〜9を設ける。マンドレルはそれぞれ個別にベースプレート12にボルト留めする。支持フレーム13には1対の回転支軸21,22を設ける。これら回転支軸21,22は、マンドレルをベースプレートにボルト留めした後、図3に示すA字型フレーム23,24に回転支軸21,22を回転可能に取り付ける。搬送トロリ25を支持フレーム13の下方に移動して取り付け、搬送トロリをジャッキアップして、A字型フレーム23,24に支持フレームの重みがかからないようにする。
【0023】
図4はベースプレート12および雄金型の下側面を示す。ベースプレートは一連の7個の孔を有し、図4ではその孔を通してマンドレル5〜9が見える。図5は、1個の孔10を含むベースプレート12の一方の端部における上側面を示す。孔10の周囲には、シール溝30、1対の円錐ピン31、および1対の締結穴32を設ける。図6はマンドレル5を示し、見えない部分の詳細を点線で示す。マンドレル5をベースプレート12に装着するとき、円錐ピン31がマンドレル下側面の穴33に嵌合し、締結具(図示せず)をマンドレル5下側面のネジ穴34にねじ込に、マンドレルをベースプレートに固定する。その他のマンドレル6〜9も同様にベースプレートに装着する。
【0024】
図7aおよび図7bはL字型リブポストの半部をプレス成形する方法を示す。平板状の乾燥繊維積層体14を雄金型15と雌金型16との間でプレス成形して、L字型の予形成体(プリフォーム)11を形成する。次に、この予形成体11を切断工具で所望の形状に切断する。マンドレル5をベースプレートに固定した後、そのような予形成体11の1個を端部側のマンドレル5上に配置する。続いて、第2の予形成体11をマンドレル6に載置し、このマンドレル6をベースプレートに取り付けて、各予形成体11が背中合わせに突き合わせて図3に示すT字型のリブポスト17を形成する。その後、残りのマンドレル7〜9およびそれらに関連するリブポスト17の半部を同様に据え付ける。図3において、3個のT字型リブポスト17〜19を示す。また、図3には、形状の異なる第4のリブポスト20も示す。
【0025】
そして、ヌードルフィラー(図示せず)をリブポスト17〜20に手作業で組み付け、乾燥繊維中の結合剤を局所的に加熱することにより、ヌードルフィラーを所定位置に固定する。
【0026】
リブポストとマンドレルを組み立てた後、搬送トロリ25を降下させて片側に移動する。次に、支持フレームを180°回転する。積層体1を担持する積み上げテーブル2を、図8に示すように、アセンブリの下方に移動した搬送トロリ25上に載置する。
【0027】
ベースプレートから突出するピン35を積み上げテーブルの位置決め穴に挿入し、積み上げテーブル2を雄金型の下側で精密に位置決めする。図9は、この作業段階における雄金型4および積み上げテーブル2を片側から見た側面図であるが、ピン35を示していない。その後、搬送トロリ25をジャッキアップして、積層体1を金型4に押し付け、テーブル2をベースプレート12にネジ付きロッド(図示せず)によりボルト留めする。このネジ付きロッドは、支持フレームの周縁に設けた孔39および積み上げテーブル2の周縁に設けた孔(図示せず)に貫通する。図10に最も明示するように、雄金型4は、積層体1の中央ストリップのみを圧縮し、その中央ストリップの両側のストリップはほとんど圧縮しないままにする。
【0028】
その後、マンドレルを加熱して、積層体の中央ストリップにおける結合剤を融解し、図11に示す、複数層の結合積層体1aを形成する。マンドレルの加熱は、図10に示すマンドレルとベースプレートとの間のキャビティ39内に設けた輻射ヒータ(図示せず)により行う。
【0029】
中央ストリップ両側のストリップ内の各層は結合されず、依然として互いにスライド可能である。図11には示さないが、結合した中央ストリップはまた、雄金型の下面における様々な造形部の形状を保有する。
【0030】
次に、トロリ25を下降して取り外し(図12参照)、支持フレーム13を180°回転した後、トロリ25を移動してアセンブリの下側に戻し、ジャッキアップして、A字型フレーム23,24にアセンブリの重みがかからないようにして、積み上げテーブル2を取り外す(図13参照)。
【0031】
図14は、雄金型、ベースプレート、および支持フレームの側面図であり、結合積層体1aを示している。図11同様、結合積層体1aは概略的にのみ示し、実際は、雄金型上面の長さ方向の輪郭形状に合致する。
【0032】
この時点で、ガイドピン26を、積層体の長さに沿う様々な位置決め孔から雄金型4の相補的な位置決め穴に挿入する。これら位置決め穴は、図14には示さないが、図15に参照符号36および37で示す(ただし、図15は、ピン26を位置決め穴36、37から取り外した後の積層体および金型の断面図であることを付記する)。
【0033】
積み上げテーブル2を取り外した後、雌金型27をアセンブリの上方に引き揚げ、図16に示す位置から図17に示す位置まで降下させる。液圧アクチュエータ30により、約2バールの圧力を加えて、各金型を相互に接近させる。これにより、雄金型4と雌金型27との間の型キャビティ内における複数層の結合積層体をプレス成形し、図17に示すような正味厚さを有するコの字型断面の予形成体1bを形成する。
【0034】
予形成体の結合した中央ストリップは桁(スパー)のウェブ部を形成し、そのウェブ部の両側の非結合部は雌金型の作用により下方に曲げられ、スパーのフランジ部を構成する。非結合フランジ部の各層は、プレス成形ステップにおいて曲げられると、互いにスライドする。好ましくは、フランジ部とウェブ部が交わる湾曲した丸み(radius)部における層も非結合とし、プレス成形中に層が互いにスライドできるようにする。
【0035】
結合ウェブ部領域に設けたガイドピン26により、プレス成形中、積重ね体が雄金型に対してスライドしないようにする。また、ウェブ部を結合してからプレス成形することにより、ウェブ部中の各層がプレス成形中に互いにスライドしないようにする。
【0036】
ウェブ部内の各層ではなくフランジ部内の各層だけをプレス成形中互いにスライド可能とすることで、層がしわになるのを防止または少なくとも軽減する。
【0037】
雌金型27は1対の基準ピンを備え、各基準ピンの端部は、雌金型の対応する穴に圧嵌して収容される。図17には、雌金型の穴29に嵌合したこのような基準ピン28の1個を示す。図17に示すように、基準ピン28を、積層体の結合中央ストリップに予め形成した基準孔31に挿入する。
【0038】
次に、注入口および浸出口(図示せず)をエポキシ樹脂の供給源に連結する。雌金型の外側に取り付けた電気的加熱素子および雄金型内の輻射ヒータにより、予形成体の温度を120℃まで上昇させる。加熱中、型キャビティを真空にして、予形成体内の水分を完全に除去する。そして、液状エポキシ樹脂を注入口から型キャビティに注入し、予形成体およびリブポストに注入する。注入後、各金型の温度を180℃に上昇させ、約2時間にわたり樹脂を硬化させる。
【0039】
次に、180℃で雌金型を取り除くと、図18に示す硬化したスパー1cが現れる。図19は、図4におけるA−A線断面図である。図19に示すように、マンドレル5とマンドレル6との間の間隙38は垂線に対しわずかに傾斜して延在する。結果として、この穴38に収容されるリブポスト17のブレードにより、雌金型を垂直に持ち上げるとき、スパー1cが雄金型から離れて持ち上がってしまうのを防止することができる。
【0040】
その後、防護ブランケット(図示せず)を、硬化したスパー1cの上に載置し、支持フレーム13を図20に示す位置まで180°回転する。その下側に搬送トロリ25を戻し、スパーに対しジャッキアップする。雄金型内の輻射ヒータの接続を切断する。アセンブリが冷却したとき、まずベースプレート12をマンドレルから取り外し、マンドレルを所定の順序で1個ずつスパー1cから取り外す。この順序は、マンドレルの幾何学的配列(ジオメトリ)そのものにより決定されるものである。図21に、マンドレル7を取り外す際の例を示し、図22にマンドレル6を取り外した際の例を示す。代案として、マンドレル9,8,7,6をこの順序で取り外すこともできる。
【0041】
図23〜図25に、積層体の接合およびプレス成形する方法を示すが、この方法は、結合ステップにおいて積み上げテーブルを使用する図10に示した方法の代案として用いることができるものである。この場合、図23に示すように、非結合の複数層の積層体を雄金型4上に担持する。平坦なレイアップテーブル2上に各層を積み上げ、つぎに上述したのと同様の方法(すなわち、積層体を雄金型の下方に配置して、両方を反転させ、積み上げテーブルを取り外す)により雄金型4上に移し換える。雌金型27は、出っ張った中央ストリップ41を有するプレート40を担持する。雌金型を降下させて、ストリップ41により積層体をプレスする。積層体を雄金型により加熱し、中央ストリップ41中の結合剤を融解して、図24に示す結合積層体を形成する。つぎに、プレート40を取り外し、雌金型を図25に示すように降下させて、結合積層体をプレス成形する。
【0042】
図26〜図32に、複合後部桁(スパー)を製造する方法のさらなる代替的な方法のいくつかの初期ステップを示す。
【0043】
図26に積み上げテーブル50を示す。テーブル50を軽量トラス支持構体51上に取り付ける。テーブルは、両側1対のマットストリップ52,53、および5個のヒータマット54の列を備える。これらマットは全て同一材料から形成するが、ヒータマット54は電気的加熱素子(図示せず)を備えるが、両側のマットストリップ52,53には電気的加熱素子を備えない。
【0044】
ヒータマット列の両側端部における2個のヒータマット54には、基準ピンホール55を設け、ヒータマットの若干には位置決め孔56を設ける。ヒータマット54はまた、規則的に配列した小さな真空ポート孔を有する。真空ポート孔は図26には図示しないが、その若干を図28に参照符号57で示す。なお、両側のマットストリップ52,53にはこれらの真空ポート孔を設けない。
【0045】
図27および図28(テーブルにわたる断面図)に示すように、複数層の積層体58をマット52〜54上に置く。次に、当て板59を積層体の中央部分に配置し、その上に第2のヒータマット列としての5個のヒータマット60、フェルトブリーザ層61、および真空バッグ62を配置する。真空バッグ62の周縁をストリップ52,53に対しシールテープ63で密閉し、Gクランプ64によりテーブルに対し所定位置に保持する。
【0046】
その後、積み上げテーブルの下側の真空チャンバ65を抽気し、レイアップテーブルの真空ポート孔66およびヒータマット54の真空ポート孔57を介して真空バッグと積み上げテーブルとの間を部分的に真空状態にする。マットストリップ52,53およびヒータマット54を積み上げテーブルに結合して、密封の気密性を確保する。図27および図28に示すように、真空バッグ60はテーブルに吸着し、当て板と積み上げテーブルとの間で積層体を圧縮する。つぎに、ヒータマット54,60を作動させて、積層体の中央部分を接合する。
【0047】
なお、図27および図28からは明らかではないが、当て板59の底面の形状は、雄金型67の輪郭に合致するよう形成する。なお、しかし、当て板59の幅は雄金型67の幅よりもやや狭くする。これにより、フランジ部とウェッブ部が交わる湾曲した丸み(radius)部においては層が確実に非接合状態となり、プレス成形中、各層が互いにスライド可能となる。
【0048】
接合ステップ後、真空を解除し、シールテープ63、クランプ64、真空バッグ62、および頂部のヒータマット60を取り外す。当て板59は、ヒータマットの穴55、56と一致する基準ピンホール(図示せず)および位置決め孔(図示せず)を有する。基準ピンホールおよび位置決め孔を(図15および図17に示す穴31,36と同様に)、当て板59の孔を通して接合した積層体にチューブドリルで開ける。この方法は、2008年4月28日付で出願したファイル参照番号XA2833の同時系属中の英国特許出願第0807639.0号明細書に記載され、その内容は参照することにより本明細書に援用される。この方法は、先の実施形態について説明した、より手間のかかる方法、すなわち各層ごとに個別に孔を形成してから組み立てる方法とは対照的である。
【0049】
次に、当て板59を取り外し、真空を作動させて接合積層体の中央部を積み上げテーブルにクランプする。積層体の端縁を迅速離脱トグルクランプ又はGクランプ64と同様のGクランプで積み上げテーブルにクランプする。つぎに、床に設置した柱状段部反転固定具(floor-mounted pillar stile turnover fixture)およびロータリーアクチュエータ(図示せず)により、積み上げテーブルを反転する。真空を維持したまま接合積層体を担持する積み上げテーブルを雄金型上まで降下させる。つぎに真空を解除し、ヒータマットを担持する積み上げテーブルを取り外す。
【0050】
積み上げテーブル50は軽量複合サンドイッチ構造により形成し、軽量トラスフレーム51上に取り付け、積層体を変形させずに積み上げテーブルを反転するのを容易にする。
【0051】
この時点で、このプロセスは、先の実施形態における図13および図14に示す段階と同じ段階であり、樹脂の硬化を含む後続のステップは、上述の実施形態と同一である。
【0052】
図29に、雄金型67の一部を示す。雄金型67は、図1〜図22に示す実施形態において説明した雄金型4の代替として用いることのできるものである。雄金型67は、単独ピースとして構成する。雄金型67を、図32に示すように、ベースプレート82と一体化して形成する、またはベースプレート82にネジ留めすることもできる。ベースプレート82は図29には示していない。
【0053】
単独ピースとしての雄金型67は、一連のマンドレル5〜9により形成した雄金型4とは対照的である。しかしながら、雄金型67の外側輪郭は雄金型4と同様であり、例えば、湾曲した丸み付きコーナー(radius corners)69、隆起部、くぼみ等を有して形成される。
【0054】
雄金型67には、一連のテーパ付き凹部68を形成し、このような凹部68の一つを図29に示す。各凹部68の底部において、1対の液圧ラム74を孔73に収容する。1対のカセット半部75aおよび75bが合わさってカセットを構成し、このカセットを図30aに示すように、凹部68に挿入する。ラム74はその先端にディスク76を有し、2個のカセット半部75a,75bのそれぞれに設けた対応するノッチ77に嵌合する。
【0055】
ラムを用いてカセット半部を図30aおよび図30bに示す位置までわずかに押し上げる。カセット半部は、ばね組立体78により互いに離れる方向に付勢され、ラムにより押し上げられるにつれてわずかに離れるため、カセット半部間に隙間を生ずる。
【0056】
次に、図7aおよび図7bに示すように形成した1対のL字型のリブポスト予形成体79a,79bを、カセット半部75a,75bに設けた対応する凹部80a,80b上に配置する。カセット半部およびリブポスト予形成体を、空圧ラム74によりディスク76をノッチ77の下面に係合させることにより、下方に引き下げる。カセット半部は、ばね組立体78の付勢力に抗して図31および図32に示す位置に引き下げられるとき、凹部68のテーパ付き壁部により強制的に合体する。リブポスト予形成体は、図7a,図7bにつき説明したようにプレス成形することにより、ある程度のデバルキング(de-bulking:圧密(減容)化)を達成するが、最終的な正味厚みにするにはさらなるデバルキングが必要となることがある。この場合、カセット半部を互いに近づけることによりリブポストをさらに圧縮して、最終的に所望の正味厚さにデバルキングする。ばね組立体78はガイドピン81を有し、それにより、この作業プロセス全体にわたり、リブポストにおける2個の半部の整列状態を維持する。
【0057】
雄金型67を雄金型4の代わりに用いて、図10または図23に示すように積層体を結合することができる。代案として、雄金型67を、図26〜図28に示す真空結合方法と組み合わせて利用することもできる。
【0058】
雌金型を硬化後の雄金型67から取り外した後、図21および図22に示す方法とは異なる方法で、雄金型67から硬化したスパーを分離する。この場合、ラム74によりカセットを凹部からエジェクトし、スパーを雄金型から押し出すことにより、硬化したスパーを雄金型67から分離する。
【0059】
以上、本発明を1つまたはそれ以上の好ましい実施形態により説明したが、以下の特許請求の範囲により示される本発明の範囲を逸脱することなく様々な改変および変更が可能であることが理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術において、複合大型航空機翼の桁部材(スパー)は、通常、自動テープ積層(ATL:Automated Tape Laying)技術により、予含浸積層体(プリプレグ)材料から製造し、その後、雄型マンドレル上で所望の形状に熱成形する。スパーは、その後、雄金型上または雌金型内で硬化される。プリプレグの製造においては、オートクレーブの使用が必要であるが、それは莫大な資本投資となる。また、ATLプロセスでは、単純な隆起および浅い傾斜といった僅かな厚さ変動、およびほぼ直線的な何らかの折り曲げラインを有する比較的単純な構造を構築することしかできない。より複雑な幾何学的形状(ジオメトリ)および繊維配向構造を形成するには、プリプレグを手作業で、または繊維配向配置技術を利用して載置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合材製造の代替的なプロセスとしては、いわゆる樹脂注入成形法(RTM:Resin Transfer Moulding)がある。この方法では、剛体である雄金型と雌金型との間の乾燥繊維に液状樹脂を注入する。従来、複雑な幾何学形状が必要とされる場合、乾燥繊維を雌金型に手作業で載置する。この手作業載置プロセスは労力と時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、複合材を製造する方法を提供し、この方法は、
(a)各層が複数の補強素子を有する複数層の積層体を積み上げテーブル上で組み立てる組み立てステップと、
(b)前記複数層の積層体の第1部分を結合して、部分的に結合した複数層の積層体を形成するが、前記複数層の積層体の第2部分は非結合のままとする、結合ステップと、
(c)前記部分的に結合した複数層の積層体を1対の金型間の型キャビティ内でプレス成形して、整形した予形成体を形成するプレス成形ステップであって、このプレス成形ステップ中に、前記積層体の前記第2部分の複数層は互いにスライドする、該プレス成形ステップと、
(d)前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に液状マトリクス材料を注入する注入ステップと、および
(e)前記液状マトリクス材料を硬化させる硬化ステップと、
を有する。
【0005】
複数層を、一方の金型ではなく、積み上げテーブルに組み立てることにより、自動化した方法で積層体を組み立てることが容易になる。なぜなら、積み上げテーブルは比較的単純な形状(例えば、ほぼ平坦形状)とすることができるからである。
【0006】
プレス成形中、積層体全体ではなく複数層の一部を互いにスライド可能とすることで、層にしわが付くのを防止または少なくとも軽減することができる。
【0007】
マトリクス材は、熱可塑性材料を含むことができる(この場合、硬化ステップ(e)において、マトリクス材料を冷却する)。代案として、マトリクス材は、(重合等の)化学反応により硬化する2種類の部分に分かれた化学系を含むこともできる。より好ましくは、マトリクス材料は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニール・エステル樹脂、またはビスマレイミド(BMI)樹脂等の熱硬化性材料である。
【0008】
一般に、補強素子は、ガラス繊維または炭素繊維等の繊維である。積層体における各層は、一連の一方向に配向する繊維、非捲縮織物、またはその他任意の適切な繊維構造を含むことができる。
【0009】
結合ステップ(b)は、複数層の積層体の第1部分を加熱して結合剤を融解するステップを含むこともできる。結合剤を積層体内に点在させてから融解することができる。または、結合剤を別の層として設け、融解すると積層体に結合剤が含浸するようにすることもできる。代案として、積層体の第1部分における複数層を縫合して積層体を結合することもできる。その他、プレス成形ステップ中に複数層が互いにスライドするのを防ぐ任意の適切な結合方法を用いることができる。
【0010】
結合ステップ(b)は、一般に、複数層の積層体の選択した部分を加圧するステップを含む。この加圧は、金型のうち一方の金型を用いて行うことができ、この金型はプレス成形ステップ(c)において引き続き使用する。または、真空バッグの下の当て板を用いて、または、その他の適切な加圧デバイスを用いて行うことができる。
【0011】
結合ステップ(b)は、複数層の積層体を積み上げテーブルに載置した状態で行うことができ、または、複数層の積層体を積み上げテーブルから取り外してから接合することができる。
【0012】
好ましくは、本発明の方法は、付加的なコンポーネントを、カセットを構成する2個またはそれ以上のカセット部分の間に付加的なコンポーネントを配置するステップ、カセットを金型のうち一方の金型に設けた凹部に挿入するステップ、液状マトリクス材料を凹部内の付加的なコンポーネントに注入するステップ、および付加的なコンポーネント内の液状マトリクス材料を硬化させるステップ、を有する。以下に説明する実施形態において、複合材は航空機の桁部材(スパー)であり、付加的なコンポーネントはリブポストである。しかし、本発明方法は、他の複合材、例えば翼部または機体の外板の形成に用いることができ、この場合、付加的なコンポーネントとしては、例えば、外板を強化する縦通材(ストリンガー)がある。
【0013】
通常、硬化した予形成体を成形型から離型するとき、例えば凹部の底部に収容したラムにより、カセットを凹部からエジェクトする。このように、このラムにより、手動による介入なしに、予形成体を金型から離型するのに必要な力を生ずることができる。
【0014】
通常、付加的なコンポーネントはカセット部分間で圧縮され、この付加的なコンポーネントをデバルク(減容化)する。このカセット部分は、任意の適切な手段により形成することができるが、好ましくは、凹部は、カセット部分をこの凹部に挿入するとき、強制的に押し付け合わせるテーパ付き凹部とする。カセット部分を押し出して凹部からエジェクトするラムにより、カセット部分を凹部内に引き込んで強制的に押し付け合わせることもできる。ばね等の付勢部材を設けてカセット部分を互いに離れさせることもできる。
【0015】
本発明の第2の態様は、複合材を製造する装置を提供し、この装置は、積み上げテーブルと、1対の金型であって、この1対の金型間の型キャビティ内で部分的に結合した複数層の積層体をプレス成形して整形した予形成体を形成する、該1対の金型と、および液状マトリクス材料を型キャビティ内の整形した予形成体に注入する注入ポート、を備える。
【0016】
本発明の様々な好ましい態様は、本明細書に添付する特許請求の範囲において明示される。
【0017】
以下に、添付図面につき、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】乾燥繊維の積層体(スタック)を支持する積み上げテーブルの断面図である。
【図2】雄金型、ベースプレート、および支持フレームの斜視図である。
【図3】リブポストを示す分解図である。
【図4】ベースプレートおよび雄金型の下側面を示す図である。
【図5】ベースプレートの一方の端部を示す図である。
【図6】1個のマンドレルを示す図である。
【図7】(a)および(b)はL字型リブポストの半部のプレス成形法を示す図である。
【図8】積層体を雄金型に接触するまで積み重ねていく状態を示す図である。
【図9】積層体を持ち上げて雄金型に接触させた状態を示す図である。
【図10】雄金型により圧縮した積層体の中央ストリップ部分を示す図である。
【図11】部分的に接合した積層体の断面図である。
【図12】トロリを取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図13】回転して積み上げテーブルを取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図14】積体を担持する雄金型の側面図である。
【図15】雄金型および整形した予形成体の断面図であり、ガイドピンを収容する孔を示す図である。
【図16】所定位置に下降した雌金型を示す図である。
【図17】プレス成形中の積層体の断面図である。
【図18】雌金型を取り外した後のアセンブリを示す図である。
【図19】ベースプレートおよび雄金型の図4におけるA−A線断面図である。
【図20】回転後のアセンブリを示す図である。
【図21】1個のマンドレルを取り外した状態を示す図である。
【図22】1個のマンドレルを取り外した雄金型の下側面を示す図である。
【図23】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図24】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図25】積層体を接合しまた整形する代替方法を示す図である。
【図26】ヒータマット列を担持する積み上げテーブルを示す図である。
【図27】真空アセンブリ形成後のテーブルにおける断面図である。
【図28】図27の中央部分の拡大図である。
【図29】雄金型およびカセットの一部を示す分解図である。
【図30】(a)および(b)は雄金型およびカセットの断面図であり、カセットがわずかに持ち上がった状態を示す図である。
【図31】(a)および(b)は雄金型およびカセットの断面図であり、リブポストの予形成体を担持するカセットを所定位置に下降させた状態を示す図である。
【図32】雄金型およびカセットの斜視図であり、リブポスト予形成体を担持するカセットを所定位置に下降させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図22に、複合材の後部桁(スパー)を製造する方法を示す。図1に示す第1製造ステップ(段階)において、複数の乾燥繊維層からなる積層体1を積み上げテーブル2上で組み立てる。各層は、EPR05311結合剤を含む、12Kの高抗張力(HTS:High Tensile Strength)を有する285g/m2の高度単向性の織成体(AUW:Advanced Unidirectional Weave)からなる。より詳細には、各層は、一方向に延在する炭素繊維を、直交する方向に延在するガラス繊維と共に織機で織成したものである。EPR05311は、ヘキソン・スペシャリティ・ケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals)社によって粉末化した材料として供給されている。この粉末を織成体の表面に塗布し、赤外線ランプで融解して微小液滴を形成する。
【0020】
積層体は、レーザプロジェクタの支援の下で各層ごとに手作業で組み立てる。他の選択肢として、真空グリッパを有するロボットを用いて、裁断機から各層を捕捉して積み重ねる。超音波メスにより各層の周縁部を所望の形状に切断後、積み上げテーブル上に載置する。各層には位置決め孔36(図15に示す)および基準ピンホール28(図17に示す)も形成し、その後、層を積み重ねる。第3の選択肢として、ロールから層材料を引き出しつつ、積み上げテーブルの頂部を走行して、各層を所定形状に切断するシステムを使用することもできる。
【0021】
なお、図1において、テーブル2の断面のみを示すが、積層体を載置するテーブルの上面3はほぼ水平かつ平面状であることに留意されたい。
【0022】
図2は、雄金型4、ベースプレート12、および支持フレーム13を示す図である。雄金型4には、一連のそれぞれ独立した5個のマンドレル5〜9を設ける。マンドレルはそれぞれ個別にベースプレート12にボルト留めする。支持フレーム13には1対の回転支軸21,22を設ける。これら回転支軸21,22は、マンドレルをベースプレートにボルト留めした後、図3に示すA字型フレーム23,24に回転支軸21,22を回転可能に取り付ける。搬送トロリ25を支持フレーム13の下方に移動して取り付け、搬送トロリをジャッキアップして、A字型フレーム23,24に支持フレームの重みがかからないようにする。
【0023】
図4はベースプレート12および雄金型の下側面を示す。ベースプレートは一連の7個の孔を有し、図4ではその孔を通してマンドレル5〜9が見える。図5は、1個の孔10を含むベースプレート12の一方の端部における上側面を示す。孔10の周囲には、シール溝30、1対の円錐ピン31、および1対の締結穴32を設ける。図6はマンドレル5を示し、見えない部分の詳細を点線で示す。マンドレル5をベースプレート12に装着するとき、円錐ピン31がマンドレル下側面の穴33に嵌合し、締結具(図示せず)をマンドレル5下側面のネジ穴34にねじ込に、マンドレルをベースプレートに固定する。その他のマンドレル6〜9も同様にベースプレートに装着する。
【0024】
図7aおよび図7bはL字型リブポストの半部をプレス成形する方法を示す。平板状の乾燥繊維積層体14を雄金型15と雌金型16との間でプレス成形して、L字型の予形成体(プリフォーム)11を形成する。次に、この予形成体11を切断工具で所望の形状に切断する。マンドレル5をベースプレートに固定した後、そのような予形成体11の1個を端部側のマンドレル5上に配置する。続いて、第2の予形成体11をマンドレル6に載置し、このマンドレル6をベースプレートに取り付けて、各予形成体11が背中合わせに突き合わせて図3に示すT字型のリブポスト17を形成する。その後、残りのマンドレル7〜9およびそれらに関連するリブポスト17の半部を同様に据え付ける。図3において、3個のT字型リブポスト17〜19を示す。また、図3には、形状の異なる第4のリブポスト20も示す。
【0025】
そして、ヌードルフィラー(図示せず)をリブポスト17〜20に手作業で組み付け、乾燥繊維中の結合剤を局所的に加熱することにより、ヌードルフィラーを所定位置に固定する。
【0026】
リブポストとマンドレルを組み立てた後、搬送トロリ25を降下させて片側に移動する。次に、支持フレームを180°回転する。積層体1を担持する積み上げテーブル2を、図8に示すように、アセンブリの下方に移動した搬送トロリ25上に載置する。
【0027】
ベースプレートから突出するピン35を積み上げテーブルの位置決め穴に挿入し、積み上げテーブル2を雄金型の下側で精密に位置決めする。図9は、この作業段階における雄金型4および積み上げテーブル2を片側から見た側面図であるが、ピン35を示していない。その後、搬送トロリ25をジャッキアップして、積層体1を金型4に押し付け、テーブル2をベースプレート12にネジ付きロッド(図示せず)によりボルト留めする。このネジ付きロッドは、支持フレームの周縁に設けた孔39および積み上げテーブル2の周縁に設けた孔(図示せず)に貫通する。図10に最も明示するように、雄金型4は、積層体1の中央ストリップのみを圧縮し、その中央ストリップの両側のストリップはほとんど圧縮しないままにする。
【0028】
その後、マンドレルを加熱して、積層体の中央ストリップにおける結合剤を融解し、図11に示す、複数層の結合積層体1aを形成する。マンドレルの加熱は、図10に示すマンドレルとベースプレートとの間のキャビティ39内に設けた輻射ヒータ(図示せず)により行う。
【0029】
中央ストリップ両側のストリップ内の各層は結合されず、依然として互いにスライド可能である。図11には示さないが、結合した中央ストリップはまた、雄金型の下面における様々な造形部の形状を保有する。
【0030】
次に、トロリ25を下降して取り外し(図12参照)、支持フレーム13を180°回転した後、トロリ25を移動してアセンブリの下側に戻し、ジャッキアップして、A字型フレーム23,24にアセンブリの重みがかからないようにして、積み上げテーブル2を取り外す(図13参照)。
【0031】
図14は、雄金型、ベースプレート、および支持フレームの側面図であり、結合積層体1aを示している。図11同様、結合積層体1aは概略的にのみ示し、実際は、雄金型上面の長さ方向の輪郭形状に合致する。
【0032】
この時点で、ガイドピン26を、積層体の長さに沿う様々な位置決め孔から雄金型4の相補的な位置決め穴に挿入する。これら位置決め穴は、図14には示さないが、図15に参照符号36および37で示す(ただし、図15は、ピン26を位置決め穴36、37から取り外した後の積層体および金型の断面図であることを付記する)。
【0033】
積み上げテーブル2を取り外した後、雌金型27をアセンブリの上方に引き揚げ、図16に示す位置から図17に示す位置まで降下させる。液圧アクチュエータ30により、約2バールの圧力を加えて、各金型を相互に接近させる。これにより、雄金型4と雌金型27との間の型キャビティ内における複数層の結合積層体をプレス成形し、図17に示すような正味厚さを有するコの字型断面の予形成体1bを形成する。
【0034】
予形成体の結合した中央ストリップは桁(スパー)のウェブ部を形成し、そのウェブ部の両側の非結合部は雌金型の作用により下方に曲げられ、スパーのフランジ部を構成する。非結合フランジ部の各層は、プレス成形ステップにおいて曲げられると、互いにスライドする。好ましくは、フランジ部とウェブ部が交わる湾曲した丸み(radius)部における層も非結合とし、プレス成形中に層が互いにスライドできるようにする。
【0035】
結合ウェブ部領域に設けたガイドピン26により、プレス成形中、積重ね体が雄金型に対してスライドしないようにする。また、ウェブ部を結合してからプレス成形することにより、ウェブ部中の各層がプレス成形中に互いにスライドしないようにする。
【0036】
ウェブ部内の各層ではなくフランジ部内の各層だけをプレス成形中互いにスライド可能とすることで、層がしわになるのを防止または少なくとも軽減する。
【0037】
雌金型27は1対の基準ピンを備え、各基準ピンの端部は、雌金型の対応する穴に圧嵌して収容される。図17には、雌金型の穴29に嵌合したこのような基準ピン28の1個を示す。図17に示すように、基準ピン28を、積層体の結合中央ストリップに予め形成した基準孔31に挿入する。
【0038】
次に、注入口および浸出口(図示せず)をエポキシ樹脂の供給源に連結する。雌金型の外側に取り付けた電気的加熱素子および雄金型内の輻射ヒータにより、予形成体の温度を120℃まで上昇させる。加熱中、型キャビティを真空にして、予形成体内の水分を完全に除去する。そして、液状エポキシ樹脂を注入口から型キャビティに注入し、予形成体およびリブポストに注入する。注入後、各金型の温度を180℃に上昇させ、約2時間にわたり樹脂を硬化させる。
【0039】
次に、180℃で雌金型を取り除くと、図18に示す硬化したスパー1cが現れる。図19は、図4におけるA−A線断面図である。図19に示すように、マンドレル5とマンドレル6との間の間隙38は垂線に対しわずかに傾斜して延在する。結果として、この穴38に収容されるリブポスト17のブレードにより、雌金型を垂直に持ち上げるとき、スパー1cが雄金型から離れて持ち上がってしまうのを防止することができる。
【0040】
その後、防護ブランケット(図示せず)を、硬化したスパー1cの上に載置し、支持フレーム13を図20に示す位置まで180°回転する。その下側に搬送トロリ25を戻し、スパーに対しジャッキアップする。雄金型内の輻射ヒータの接続を切断する。アセンブリが冷却したとき、まずベースプレート12をマンドレルから取り外し、マンドレルを所定の順序で1個ずつスパー1cから取り外す。この順序は、マンドレルの幾何学的配列(ジオメトリ)そのものにより決定されるものである。図21に、マンドレル7を取り外す際の例を示し、図22にマンドレル6を取り外した際の例を示す。代案として、マンドレル9,8,7,6をこの順序で取り外すこともできる。
【0041】
図23〜図25に、積層体の接合およびプレス成形する方法を示すが、この方法は、結合ステップにおいて積み上げテーブルを使用する図10に示した方法の代案として用いることができるものである。この場合、図23に示すように、非結合の複数層の積層体を雄金型4上に担持する。平坦なレイアップテーブル2上に各層を積み上げ、つぎに上述したのと同様の方法(すなわち、積層体を雄金型の下方に配置して、両方を反転させ、積み上げテーブルを取り外す)により雄金型4上に移し換える。雌金型27は、出っ張った中央ストリップ41を有するプレート40を担持する。雌金型を降下させて、ストリップ41により積層体をプレスする。積層体を雄金型により加熱し、中央ストリップ41中の結合剤を融解して、図24に示す結合積層体を形成する。つぎに、プレート40を取り外し、雌金型を図25に示すように降下させて、結合積層体をプレス成形する。
【0042】
図26〜図32に、複合後部桁(スパー)を製造する方法のさらなる代替的な方法のいくつかの初期ステップを示す。
【0043】
図26に積み上げテーブル50を示す。テーブル50を軽量トラス支持構体51上に取り付ける。テーブルは、両側1対のマットストリップ52,53、および5個のヒータマット54の列を備える。これらマットは全て同一材料から形成するが、ヒータマット54は電気的加熱素子(図示せず)を備えるが、両側のマットストリップ52,53には電気的加熱素子を備えない。
【0044】
ヒータマット列の両側端部における2個のヒータマット54には、基準ピンホール55を設け、ヒータマットの若干には位置決め孔56を設ける。ヒータマット54はまた、規則的に配列した小さな真空ポート孔を有する。真空ポート孔は図26には図示しないが、その若干を図28に参照符号57で示す。なお、両側のマットストリップ52,53にはこれらの真空ポート孔を設けない。
【0045】
図27および図28(テーブルにわたる断面図)に示すように、複数層の積層体58をマット52〜54上に置く。次に、当て板59を積層体の中央部分に配置し、その上に第2のヒータマット列としての5個のヒータマット60、フェルトブリーザ層61、および真空バッグ62を配置する。真空バッグ62の周縁をストリップ52,53に対しシールテープ63で密閉し、Gクランプ64によりテーブルに対し所定位置に保持する。
【0046】
その後、積み上げテーブルの下側の真空チャンバ65を抽気し、レイアップテーブルの真空ポート孔66およびヒータマット54の真空ポート孔57を介して真空バッグと積み上げテーブルとの間を部分的に真空状態にする。マットストリップ52,53およびヒータマット54を積み上げテーブルに結合して、密封の気密性を確保する。図27および図28に示すように、真空バッグ60はテーブルに吸着し、当て板と積み上げテーブルとの間で積層体を圧縮する。つぎに、ヒータマット54,60を作動させて、積層体の中央部分を接合する。
【0047】
なお、図27および図28からは明らかではないが、当て板59の底面の形状は、雄金型67の輪郭に合致するよう形成する。なお、しかし、当て板59の幅は雄金型67の幅よりもやや狭くする。これにより、フランジ部とウェッブ部が交わる湾曲した丸み(radius)部においては層が確実に非接合状態となり、プレス成形中、各層が互いにスライド可能となる。
【0048】
接合ステップ後、真空を解除し、シールテープ63、クランプ64、真空バッグ62、および頂部のヒータマット60を取り外す。当て板59は、ヒータマットの穴55、56と一致する基準ピンホール(図示せず)および位置決め孔(図示せず)を有する。基準ピンホールおよび位置決め孔を(図15および図17に示す穴31,36と同様に)、当て板59の孔を通して接合した積層体にチューブドリルで開ける。この方法は、2008年4月28日付で出願したファイル参照番号XA2833の同時系属中の英国特許出願第0807639.0号明細書に記載され、その内容は参照することにより本明細書に援用される。この方法は、先の実施形態について説明した、より手間のかかる方法、すなわち各層ごとに個別に孔を形成してから組み立てる方法とは対照的である。
【0049】
次に、当て板59を取り外し、真空を作動させて接合積層体の中央部を積み上げテーブルにクランプする。積層体の端縁を迅速離脱トグルクランプ又はGクランプ64と同様のGクランプで積み上げテーブルにクランプする。つぎに、床に設置した柱状段部反転固定具(floor-mounted pillar stile turnover fixture)およびロータリーアクチュエータ(図示せず)により、積み上げテーブルを反転する。真空を維持したまま接合積層体を担持する積み上げテーブルを雄金型上まで降下させる。つぎに真空を解除し、ヒータマットを担持する積み上げテーブルを取り外す。
【0050】
積み上げテーブル50は軽量複合サンドイッチ構造により形成し、軽量トラスフレーム51上に取り付け、積層体を変形させずに積み上げテーブルを反転するのを容易にする。
【0051】
この時点で、このプロセスは、先の実施形態における図13および図14に示す段階と同じ段階であり、樹脂の硬化を含む後続のステップは、上述の実施形態と同一である。
【0052】
図29に、雄金型67の一部を示す。雄金型67は、図1〜図22に示す実施形態において説明した雄金型4の代替として用いることのできるものである。雄金型67は、単独ピースとして構成する。雄金型67を、図32に示すように、ベースプレート82と一体化して形成する、またはベースプレート82にネジ留めすることもできる。ベースプレート82は図29には示していない。
【0053】
単独ピースとしての雄金型67は、一連のマンドレル5〜9により形成した雄金型4とは対照的である。しかしながら、雄金型67の外側輪郭は雄金型4と同様であり、例えば、湾曲した丸み付きコーナー(radius corners)69、隆起部、くぼみ等を有して形成される。
【0054】
雄金型67には、一連のテーパ付き凹部68を形成し、このような凹部68の一つを図29に示す。各凹部68の底部において、1対の液圧ラム74を孔73に収容する。1対のカセット半部75aおよび75bが合わさってカセットを構成し、このカセットを図30aに示すように、凹部68に挿入する。ラム74はその先端にディスク76を有し、2個のカセット半部75a,75bのそれぞれに設けた対応するノッチ77に嵌合する。
【0055】
ラムを用いてカセット半部を図30aおよび図30bに示す位置までわずかに押し上げる。カセット半部は、ばね組立体78により互いに離れる方向に付勢され、ラムにより押し上げられるにつれてわずかに離れるため、カセット半部間に隙間を生ずる。
【0056】
次に、図7aおよび図7bに示すように形成した1対のL字型のリブポスト予形成体79a,79bを、カセット半部75a,75bに設けた対応する凹部80a,80b上に配置する。カセット半部およびリブポスト予形成体を、空圧ラム74によりディスク76をノッチ77の下面に係合させることにより、下方に引き下げる。カセット半部は、ばね組立体78の付勢力に抗して図31および図32に示す位置に引き下げられるとき、凹部68のテーパ付き壁部により強制的に合体する。リブポスト予形成体は、図7a,図7bにつき説明したようにプレス成形することにより、ある程度のデバルキング(de-bulking:圧密(減容)化)を達成するが、最終的な正味厚みにするにはさらなるデバルキングが必要となることがある。この場合、カセット半部を互いに近づけることによりリブポストをさらに圧縮して、最終的に所望の正味厚さにデバルキングする。ばね組立体78はガイドピン81を有し、それにより、この作業プロセス全体にわたり、リブポストにおける2個の半部の整列状態を維持する。
【0057】
雄金型67を雄金型4の代わりに用いて、図10または図23に示すように積層体を結合することができる。代案として、雄金型67を、図26〜図28に示す真空結合方法と組み合わせて利用することもできる。
【0058】
雌金型を硬化後の雄金型67から取り外した後、図21および図22に示す方法とは異なる方法で、雄金型67から硬化したスパーを分離する。この場合、ラム74によりカセットを凹部からエジェクトし、スパーを雄金型から押し出すことにより、硬化したスパーを雄金型67から分離する。
【0059】
以上、本発明を1つまたはそれ以上の好ましい実施形態により説明したが、以下の特許請求の範囲により示される本発明の範囲を逸脱することなく様々な改変および変更が可能であることが理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材を製造する方法であって、
(a)各層が複数の補強素子を有する複数層の積層体を積み上げテーブル上で組み立てる組み立てステップと、
(b)前記複数層の積層体の第1部分を結合して、部分的に結合した複数層の積層体を形成するが、前記複数層の積層体の第2部分は非結合のままとする、結合ステップと、
(c)前記部分的に結合した複数層の積層体を1対の金型間の型キャビティ内でプレス成形して、整形した予形成体を形成するプレス成形ステップであって、このプレス成形ステップ中に、前記積層体の前記第2部分の複数層は互いにスライドする、該プレス成形ステップと、
(d)前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に液状マトリクス材料を注入する注入ステップと、および
(e)前記液状マトリクス材料を硬化させる硬化ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体の前記第1部分を加熱して結合剤を融解するステップを有する、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体の選択した部分を、その後のプレス成形ステップ(c)で使用する前記1対の金型のうち一方で加圧するステップを有する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体を積み上げテーブルの頂部に載置した状態で行い、前記方法は、さらに、
前記ステップ(b)と前記ステップ(c)との間で、前記積み上げテーブル、前記部分的に結合した複数層の積層体、および前記金型を反転し、該部分的に結合した複数層の積層体が該金型の頂部にある状態にする、ステップを有する、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の方法において、前記積層体は、前記組み立てステップ(a)中に、積み上げテーブルのほぼ平坦平面上で組み立てる、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の方法において、前記結合ステップ(b)は、前記積層体を前記積み上げテーブル上に配置した状態で行う、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、
前記1対の金型は、雄金型および雌金型を有する構成とし、また
該雄金型は一連のマンドレルであり、該マンドレルは、前記ステップ(e)において液状マトリクス材料が硬化した後に、個々に取り外す、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記部分的に結合した複数層の積層体は、前記ステップ(c)において、前記雄金型上に配置した前記雌金型を用いてプレス成形し、前記方法は、さらに、
前記ステップ(c)の後に、前記雌金型を取り外すステップ、および
前記雄金型および前記整形した予形成体を反転し、該雄金型を該整形した予形成体の上方にある状態にするステップ、を有し、また
前記マンドレルは、反転した後の前記整形した予形成体から上方に取り外す、方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の方法において、前記硬化ステップ(c)で前記液状マトリクス材料が硬化したのち、前記一連のマンドレルを所定の順序で1個ずつ取り外す、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、さらに、
付加的なコンポーネントを1対の前記マンドレル間の隙間に配置するステップ、
前記1対の前記マンドレル間の前記隙間内における前記付加的なコンポーネントに液状マトリクス材を注入するステップ、および
前記付加的なコンポーネント内の前記液状マトリクス材料を硬化させるステップ、
を有する方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
1個またはそれ以上のピンを挿入するピン挿入ステップであって、各ピンは前記部分的に結合した複数層の積層体に設けた対応する孔に収容し、該1個またはそれ以上のピンは前記プレス成形ステップ(c)および前記注入ステップ(d)中に、所定位置にとどまる、該ピン挿入ステップ、
を有する方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記ピンのそれぞれは、前記1対の金型のうち一方によって担持し、前記プレス成形ステップ(c)で前記金型を互いに組み合わせるとき、互いに部分的に結合した前記積層体における孔内に挿入する、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記ピンのそれぞれは、前記プレス成形ステップ(c)で前記金型を互いに組み合わせる前に、互いに部分的に結合した前記積層体における孔内に挿入する、方法。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の方法において、前記整形した予形成体は、ウェブ部およびこのウェブ部の両側における1対のフランジ部を有するコの字状断面を有し、また前記ウェブ部の少なくとも一部を前記結合ステップ(b)中に結合する、方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法において、
前記結合ステップは、さらに、
当て板を前記積層体の前記第1部分に載置するステップ、
真空バッグを前記当て板および前記積層体上に配置するステップ、および
前記真空バッグと前記積み上げテーブルとの間に部分的真空を形成して、前記当て板と前記積み上げテーブルとの間で前記積層体を圧縮するステップ、を有する、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記部分的真空は、前記積み上げテーブルにおける複数個の真空ポートを介して形成する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記真空ポートは前記積層体の前記第1部分に隣接して配置し、
前記積層体の前記第2部分に隣接する箇所には前記真空ポートを形成しない、方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
付加的なコンポーネントを、カセットを構成する2個またはそれ以上のカセット部分間に配置するステップ、
前記カセットを、前記金型のうちの一方に設けた凹部に挿入するステップ、
液状マトリクス材料を、前記凹部内の前記付加的なコンポーネントに注入するステップ、および
前記付加的なコンポーネント内の前記液状マトリクス材料を硬化させるステップ、を有する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、さらに、
硬化した後前記予形成体を前記金型のうち一方から離型するとき、前記カセットを前記凹部からエジェクトするステップ、を有する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記凹部の底部に収容したラムで前記カセットを押し出すことにより、前記カセットを前記凹部からエジェクトする、方法。
【請求項21】
請求項18,19または20に記載の方法において、さらに、
前記カセット部分間で前記付加的なコンポーネントを圧縮するステップ、を有する方法。
【請求項22】
請求項18〜21記載の方法において、前記凹部は、前記カセット部分を前記凹部内に挿入するとき、前記カセット部分を互いに押し付け合わせるテーパ付き凹部とした、方法。
【請求項23】
複合材を製造する装置であって、
(a)積み上げテーブルと、
(b)1対の金型であり、該1対の金型間の型キャビティ内で部分的に結合した複数層の積層体をプレス成形して整形した予形成体を形成する、該1対の金型と、および
(c)液状マトリクス材料を前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に注入する注入ポートと、
を備えた装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、さらに、
前記金型を1対の向き間で回転させるよう構成した支持フレームを備えた装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置において、
前記1対の金型は、雄金型および雌金型を有する構成とし、
前記雄金型は一連のマンドレルを有する構成とした、装置。
【請求項26】
請求項23に記載の装置において、
前記金型のうち一方の金型は、該金型に設けた凹部に収容した2個またはそれ以上のカセット部分を有する構成とした、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、さらに、前記凹部から前記カセット部分をエジェクトする手段を備えた装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置において、さらに、前記凹部の底部に収容したラムであって、該凹部から前記カセット部分をエジェクトする、該ラムを備えた装置。
【請求項29】
請求項26,27または28に記載の装置において、
前記凹部は、前記カセット部分を前記凹部に挿入するとき、前記カセット部分を強制的に押し合わせるテーパ付き凹部とした、装置。
【請求項1】
複合材を製造する方法であって、
(a)各層が複数の補強素子を有する複数層の積層体を積み上げテーブル上で組み立てる組み立てステップと、
(b)前記複数層の積層体の第1部分を結合して、部分的に結合した複数層の積層体を形成するが、前記複数層の積層体の第2部分は非結合のままとする、結合ステップと、
(c)前記部分的に結合した複数層の積層体を1対の金型間の型キャビティ内でプレス成形して、整形した予形成体を形成するプレス成形ステップであって、このプレス成形ステップ中に、前記積層体の前記第2部分の複数層は互いにスライドする、該プレス成形ステップと、
(d)前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に液状マトリクス材料を注入する注入ステップと、および
(e)前記液状マトリクス材料を硬化させる硬化ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体の前記第1部分を加熱して結合剤を融解するステップを有する、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体の選択した部分を、その後のプレス成形ステップ(c)で使用する前記1対の金型のうち一方で加圧するステップを有する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記結合ステップ(b)は、前記複数層の積層体を積み上げテーブルの頂部に載置した状態で行い、前記方法は、さらに、
前記ステップ(b)と前記ステップ(c)との間で、前記積み上げテーブル、前記部分的に結合した複数層の積層体、および前記金型を反転し、該部分的に結合した複数層の積層体が該金型の頂部にある状態にする、ステップを有する、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の方法において、前記積層体は、前記組み立てステップ(a)中に、積み上げテーブルのほぼ平坦平面上で組み立てる、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の方法において、前記結合ステップ(b)は、前記積層体を前記積み上げテーブル上に配置した状態で行う、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法において、
前記1対の金型は、雄金型および雌金型を有する構成とし、また
該雄金型は一連のマンドレルであり、該マンドレルは、前記ステップ(e)において液状マトリクス材料が硬化した後に、個々に取り外す、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記部分的に結合した複数層の積層体は、前記ステップ(c)において、前記雄金型上に配置した前記雌金型を用いてプレス成形し、前記方法は、さらに、
前記ステップ(c)の後に、前記雌金型を取り外すステップ、および
前記雄金型および前記整形した予形成体を反転し、該雄金型を該整形した予形成体の上方にある状態にするステップ、を有し、また
前記マンドレルは、反転した後の前記整形した予形成体から上方に取り外す、方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の方法において、前記硬化ステップ(c)で前記液状マトリクス材料が硬化したのち、前記一連のマンドレルを所定の順序で1個ずつ取り外す、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、さらに、
付加的なコンポーネントを1対の前記マンドレル間の隙間に配置するステップ、
前記1対の前記マンドレル間の前記隙間内における前記付加的なコンポーネントに液状マトリクス材を注入するステップ、および
前記付加的なコンポーネント内の前記液状マトリクス材料を硬化させるステップ、
を有する方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
1個またはそれ以上のピンを挿入するピン挿入ステップであって、各ピンは前記部分的に結合した複数層の積層体に設けた対応する孔に収容し、該1個またはそれ以上のピンは前記プレス成形ステップ(c)および前記注入ステップ(d)中に、所定位置にとどまる、該ピン挿入ステップ、
を有する方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、前記ピンのそれぞれは、前記1対の金型のうち一方によって担持し、前記プレス成形ステップ(c)で前記金型を互いに組み合わせるとき、互いに部分的に結合した前記積層体における孔内に挿入する、方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、前記ピンのそれぞれは、前記プレス成形ステップ(c)で前記金型を互いに組み合わせる前に、互いに部分的に結合した前記積層体における孔内に挿入する、方法。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の方法において、前記整形した予形成体は、ウェブ部およびこのウェブ部の両側における1対のフランジ部を有するコの字状断面を有し、また前記ウェブ部の少なくとも一部を前記結合ステップ(b)中に結合する、方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法において、
前記結合ステップは、さらに、
当て板を前記積層体の前記第1部分に載置するステップ、
真空バッグを前記当て板および前記積層体上に配置するステップ、および
前記真空バッグと前記積み上げテーブルとの間に部分的真空を形成して、前記当て板と前記積み上げテーブルとの間で前記積層体を圧縮するステップ、を有する、方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、前記部分的真空は、前記積み上げテーブルにおける複数個の真空ポートを介して形成する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記真空ポートは前記積層体の前記第1部分に隣接して配置し、
前記積層体の前記第2部分に隣接する箇所には前記真空ポートを形成しない、方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法において、さらに、
付加的なコンポーネントを、カセットを構成する2個またはそれ以上のカセット部分間に配置するステップ、
前記カセットを、前記金型のうちの一方に設けた凹部に挿入するステップ、
液状マトリクス材料を、前記凹部内の前記付加的なコンポーネントに注入するステップ、および
前記付加的なコンポーネント内の前記液状マトリクス材料を硬化させるステップ、を有する方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、さらに、
硬化した後前記予形成体を前記金型のうち一方から離型するとき、前記カセットを前記凹部からエジェクトするステップ、を有する方法。
【請求項20】
請求項19記載の方法において、前記凹部の底部に収容したラムで前記カセットを押し出すことにより、前記カセットを前記凹部からエジェクトする、方法。
【請求項21】
請求項18,19または20に記載の方法において、さらに、
前記カセット部分間で前記付加的なコンポーネントを圧縮するステップ、を有する方法。
【請求項22】
請求項18〜21記載の方法において、前記凹部は、前記カセット部分を前記凹部内に挿入するとき、前記カセット部分を互いに押し付け合わせるテーパ付き凹部とした、方法。
【請求項23】
複合材を製造する装置であって、
(a)積み上げテーブルと、
(b)1対の金型であり、該1対の金型間の型キャビティ内で部分的に結合した複数層の積層体をプレス成形して整形した予形成体を形成する、該1対の金型と、および
(c)液状マトリクス材料を前記型キャビティ内の前記整形した予形成体に注入する注入ポートと、
を備えた装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、さらに、
前記金型を1対の向き間で回転させるよう構成した支持フレームを備えた装置。
【請求項25】
請求項23に記載の装置において、
前記1対の金型は、雄金型および雌金型を有する構成とし、
前記雄金型は一連のマンドレルを有する構成とした、装置。
【請求項26】
請求項23に記載の装置において、
前記金型のうち一方の金型は、該金型に設けた凹部に収容した2個またはそれ以上のカセット部分を有する構成とした、装置。
【請求項27】
請求項26に記載の装置において、さらに、前記凹部から前記カセット部分をエジェクトする手段を備えた装置。
【請求項28】
請求項26に記載の装置において、さらに、前記凹部の底部に収容したラムであって、該凹部から前記カセット部分をエジェクトする、該ラムを備えた装置。
【請求項29】
請求項26,27または28に記載の装置において、
前記凹部は、前記カセット部分を前記凹部に挿入するとき、前記カセット部分を強制的に押し合わせるテーパ付き凹部とした、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31a−31b】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31a−31b】
【図32】
【公表番号】特表2011−529405(P2011−529405A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520591(P2011−520591)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050900
【国際公開番号】WO2010/013029
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(510286488)エアバス オペレーションズ リミテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050900
【国際公開番号】WO2010/013029
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(510286488)エアバス オペレーションズ リミテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
【Fターム(参考)】
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