説明

複合材料の製造方法

【課題】製造過程において樹脂と充填材との間に生ずる収縮量の差を抑制することにより、複合材料の寸法安定性の悪さやクラックの原因となる残留応力を低減できる製造方法であって、硬化性樹脂や充填材の種類及び配合割合の制限を受けることなく、成形加工性にも優れた複合材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】硬化性樹脂と充填材とを含む複合材料の製造方法において、未硬化の硬化性樹脂の硬化を複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で行うことを特徴とする製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂と充填材とを含む複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性樹脂を充填材の強化繊維で補強したFRPは、代表的な複合材料として知られている。このFRPは、軽量、かつ高弾性、高強度の利点を活かして、釣竿、ゴルフシャフト、テニスラケットなどのスポーツ用途から、航空機、船舶、自動車などの構造材料、あるいはロールなどの工業材料といった様々な用途に用いられている。
【0003】
ここで、これらFRPに代表される複合材料の問題点として、成形品に残存する内部応力に起因するヒケや反りなどの寸法安定性の悪さやクラックの発生が挙げられる。成形品に内部応力が残存する原因は2つあり、1つは硬化性樹脂の硬化反応に伴う硬化収縮、もう1つは冷却時の熱収縮である。
【0004】
硬化収縮は、架橋により分子間の距離が縮まり、体積が小さくなる結果生ずるものであり、この硬化収縮の抑制の観点から、硬化収縮量の比較的小さなエポキシ樹脂が用いられている。このエポキシ樹脂は、硬化後の物性にも優れており、FRP用の樹脂として最適であるとされている。しかしながら、硬化性樹脂の硬化収縮を抑えたとしても、硬化後の冷却時における熱収縮により、内部応力が発生すると寸法安定性が悪化し、クラックが発生する。したがって、成形品に残存する内部応力に起因する寸法安定性の悪さやクラックなどの問題を解消するためには、硬化後の冷却の後に、樹脂内に応力が残存しないようにすることが必要である。
【0005】
例えば、液状のエポキシ樹脂、硬化剤として平均分子量が270から1800の範囲にあるポリオキシプロピレンジアミン、及び無機系フィラーを特定の量含有する注型用液状エポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1の発明によれば、樹脂中に無機フィラーを配合することにより、樹脂の熱収縮を抑制して残留応力を低減できるとされている。
【0006】
また、特定のゴム微粒子10質量部から50質量部、常温で液状のエポキシ樹脂100質量部、及び常温で液状の硬化剤とから成るエポキシ樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献2の発明によれば、エポキシ樹脂にゴム成分を配合することで、樹脂内の残留応力を吸収することができるとされている。
【0007】
また、ガラスカプセルを材料中に配合し、ガラスカプセルが破損することにより、複合材料からなる成形品内の残留応力を開放する技術が開示されている(特許文献3参照)。
【0008】
ところで、硬化性樹脂として透明性のある樹脂を用い、充填材としてガラス繊維などの透明な充填材を用いた複合材料にあっては、樹脂内に残存する内部応力に伴う寸法安定性の悪さやクラックの発生に加えて、本来目的とする透明性のある複合材料が得られないという問題がある。この問題に対しては、屈折率が互いに近似する硬化性樹脂とガラス繊維とを配合することにより、透明性のある複合材料を得る試みがなされている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−248059号公報
【特許文献2】特開平08−27360号公報
【特許文献3】特開2008−150271号公報
【特許文献4】特開2005−8721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の通り、特許文献1〜3に開示されているように、従来から樹脂内に残存する内部応力に伴う寸法安定性の悪さやクラックの発生を改善するための研究が盛んに行われてはいるものの、いまだ多くの課題がある。第一に、従来の方法では、使用可能な硬化性樹脂の種類が限られてしまい、用途に応じて自由に硬化性樹脂を選択することができない。第二に、従来の方法では、硬化性樹脂と充填材以外の成分を配合するため、未硬化の硬化性樹脂の粘度が上昇し、未硬化の硬化性樹脂の充填材への含浸性などに問題が生じるなど、複合材料の成形加工性が悪化する。第三に、従来の方法では、硬化性樹脂と充填材との好ましい配合割合が限定されており、その配合割合以外ではほとんど効果が得られない。これらの課題は、繊維系充填材に限られたものではなく、板状充填材などの充填材を用いた複合材料においても同様である。
【0011】
また、硬化性樹脂として透明性のある樹脂を用い、充填材としてガラス繊維などの透明な充填材を用いた複合材料にあっては、特許文献4に開示されているように単に屈折率が近似する硬化性樹脂とガラス繊維を配合しても、樹脂内部に生ずる屈折率勾配によって光が散乱して透明性が著しく損なわれ、透明性の高い複合材料が得られないのが現状である。
【0012】
以上のような課題に鑑み、本発明者らは、上述した樹脂内部の残留応力と樹脂内部の屈折率勾配はいずれも、製造過程において生ずる樹脂と充填材との間に生ずる収縮量の差に起因することを見出した。
したがって、本発明の目的は、製造過程において樹脂と充填材との間に生ずる収縮量の差を抑制することにより、複合材料の寸法安定性の悪さやクラックの原因となる残留応力を低減できる製造方法であって、硬化性樹脂や充填材の種類及び配合割合の制限を受けることなく、成形加工性にも優れた複合材料の製造方法を提供することにある。
加えて、硬化性樹脂として透明性のある樹脂を用い、充填材としてガラス繊維などの透明な充填材を用いた場合にあっては、製造過程において樹脂と充填材との間に生ずる収縮量の差を抑制することにより、透明性低下の原因となる樹脂内部における屈折率勾配を抑制でき、透明性の高い複合材料をも得ることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の複合材料の製造方法は、硬化性樹脂と充填材とを含む複合材料の製造方法であって、未硬化の硬化性樹脂と、前記充填材とを含む複合材料前駆体を調製する前駆体調製工程と、前記複合材料前駆体に含まれる前記未硬化の硬化性樹脂を、前記複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させる硬化工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の複合材料の製造方法は、請求項1に記載の複合材料の製造方法における前駆体調製工程において、前記充填材としてガラス繊維を用いるとともに、前記硬化性樹脂として、前記複合材料の使用環境温度における屈折率が前記ガラス繊維の屈折率と近似する透明樹脂を用いることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の複合材料の製造方法は、請求項1又は2に記載の複合材料の製造方法における硬化工程において、前記複合材料前駆体に含まれる前記未硬化の硬化性樹脂を、下記の式(1)で表される反応温度±15℃の範囲内で硬化させることを特徴とする。
【数1】

【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で、硬化性樹脂の硬化を行う硬化工程を設けた。これにより、硬化性樹脂の温度は、硬化の際の反応温度から使用環境温度まで上昇する。硬化性樹脂の温度が上昇すると硬化後の硬化性樹脂は熱膨張する。熱膨張すれば、硬化の際に生じた硬化性樹脂の収縮量は低減され、硬化の際の収縮量が樹脂に比して小さい充填材の収縮量に近付く。熱膨張の際には、充填材との界面付近における樹脂は充填材により熱膨張が抑制される一方、界面付近以外の樹脂は自由に熱膨張する結果、硬化収縮の際に生じた樹脂内における収縮量の違いも解消できる。したがって、硬化性樹脂の収縮量と充填材の収縮量との差が消失することにより、残留応力を低減でき、複合材料の寸法安定性が悪化したり、クラックなどが生じることを抑制できる。ひいては、高強度、高耐熱性、高難燃性、高外観の複合材料を提供でき、自動車、電子部品、建築などのあらゆる分野での利用が可能である。
また、本発明によれば、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化性樹脂の硬化を行えば上記効果が奏されるため、硬化性樹脂や充填材の種類及び配合割合の制限を受けることがなく、成形加工性にも優れる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が奏されるうえ、従来に比して透明性の高い複合材料が得られる。即ち、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化性樹脂の硬化を行うことにより、複合材料中の樹脂の温度は、硬化の際の反応温度から使用環境温度まで上昇する。樹脂の温度が上昇すると樹脂は熱膨張するため、硬化の際に生じた硬化性樹脂の収縮量は低減され、硬化の際の収縮量が樹脂に比して小さい充填材の収縮量に近付くため屈折率も近付く。熱膨張の際には、充填材との界面付近における樹脂は充填材により熱膨張が抑制される一方、界面付近以外の樹脂は自由に熱膨張する結果、硬化収縮の際に生じた樹脂内における収縮量の違いも解消でき、樹脂内部の屈折率勾配も解消できる。したがって、硬化性樹脂の屈折率と充填材の屈折率との差が消失することにより、複合材料の透明性を向上させることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、上記式(1)を用いて反応温度を決定することで、複合材料の使用環境温度において、硬化性樹脂の収縮量と充填材の収縮量とを容易にかつ確実に近づけることができる。その結果、本発明によれば、請求項1及び2に記載の発明と同様の効果が容易にかつ確実に奏される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の残留応力抑制の原理を説明するための図である。
【図2】本実施形態の屈折率勾配抑制の原理を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例の硬化工程を示す図である。
【図4】実施例及び比較例の引張強度と曲げ強度の測定結果を示す図である。
【図5】実施例及び比較例の複合材料の算術平均うねりを示す図である。
【図6】硬化後の温度上昇と光透過率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0021】
<複合材料の製造方法>
本実施形態の複合材料の製造方法は、未硬化の硬化性樹脂と、充填材とを含む複合材料前駆体を調製する前駆体調製工程と、複合材料前駆体に含まれる未硬化の硬化性樹脂を、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させる硬化工程と、を備えることを特徴とする。以下、本実施形態の複合材料の製造方法の一例について説明する。
【0022】
[前駆体調製工程]
前駆体調製工程では、未硬化の硬化性樹脂と充填材とを含む複合材料前駆体を調製する。本実施形態の複合材料の製造方法は、様々な硬化性樹脂、様々な充填材を使用可能な点が特徴である。
調製方法としては、例えば、充填材に未硬化の硬化性樹脂を含ませる方法が挙げられる。より具体的には、繊維布に未硬化の硬化性樹脂を含浸させることにより、複合材料前駆体が得られる。
また、未硬化の硬化性樹脂に充填材を含ませる調製方法が挙げられる。より具体的には、未硬化の硬化性樹脂に対して、ガラス繊維などの充填材を混合することにより、複合材料前駆体が得られる。
なお、上述のような含浸、混合が十分可能になるように、充填材の表面を従来公知の方法で予め処理してもよい。
【0023】
硬化性樹脂としては、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させることができるものであれば、特に限定されず、従来公知の硬化性樹脂を使用できる。例えば、UV硬化型樹脂、可視光硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、嫌気性の硬化型樹脂、2液硬化型樹脂などが挙げられる。即ち、加熱することなく硬化が可能な硬化性樹脂であればよい。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などを使用することができる。また、上記樹脂の種類に応じて、アンチモン化合物、ヨウ素化合物などのカチオン重合開始剤、ベンゾフェノン、有機過酸化物、有機金属塩などのラジカル重合開始剤、ジメチルアニリンなどの嫌気性重合促進剤を適宜使用することができる。
【0024】
充填材としては特に限定されず、従来公知の充填材を使用することができる。従来公知の充填材としては、繊維状充填材、粉粒状充填剤、板状充填材が挙げられる。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維、ウォラストナイトの如き珪酸塩の繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げられる。繊維布を用いることもでき、例えば、ガラスクロス、ガラスペーパー、ガラスマットなどのガラス繊維基材、ガラス短繊維、ガラスフィラー及び合成繊維などからなる織布、不織布、マット類などが挙げられる。繊維布の織り方は特に限定されず、本実施形態の製造方法においては、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織りなど、いずれも適用可能である。
粉粒状充填材としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、ウォラストナイトの如き珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナの如き金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他フェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素、各種金属粉末などが挙げられる。
板状充填材としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔などが挙げられる。
上記の各充填材のうち、繊維状充填材が特に好ましく用いられる。
【0025】
特に本実施形態の複合材料の製造方法において、充填材としてガラス繊維を用い、硬化性樹脂として、複合材料の使用環境温度における屈折率がガラス繊維の屈折率と近似する透明樹脂を用いた場合には、成形品に残存する内部応力に伴う寸法安定性の悪さやクラックの発生を抑制しつつ、樹脂内部に生ずる屈折率勾配を抑制して、透明性の高い複合材料を得ることができる。なお、残留応力低減の原理と、屈折率勾配低減の原理については、後述する。
【0026】
上記透明樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの透明性のある樹脂を用いることができる。
ここで、屈折率が「近似」するとは、屈折率が同一の他、透明性に影響を与えない範囲内で屈折率に若干の差がある場合も含むことを意味する。
【0027】
[硬化工程]
硬化工程では、複合材料前駆体に含まれる未硬化の硬化性樹脂を硬化させる。本実施形態の硬化工程は、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化を行う点が特徴である。なお、硬化は、硬化性樹脂の種類に応じて、UVや可視光などを照射することにより行われる。
ここで、本実施形態の製造方法により得られる複合材料は、様々な用途に適用することが可能であり、「複合材料の使用環境温度」とは、これらそれぞれの用途において複合材料が曝される温度のことを意味する。例えば、複合材料を自動車の構造部材に用いる場合には、使用環境温度は−40〜80℃である。
【0028】
以下、本実施形態の製造方法における残留応力低減の原理を説明しつつ、本実施形態の効果について説明する。
図1(a)は、硬化前における充填材の収縮量と硬化性樹脂の収縮量との関係を模式的に示したものである。図1(a)に示すように、硬化前においては、樹脂が流動性を持つため、全体が均一な状態である。
【0029】
図1(b)は、硬化直後における充填材の収縮量と硬化性樹脂の収縮量との関係を模式的に示したものである。図1(b)に示すように、硬化直後には、硬化性樹脂の硬化反応による硬化収縮により、硬化性樹脂の収縮量が増大する。ただし、充填材との界面付近における硬化性樹脂は、充填材により硬化収縮が抑制されるため、収縮量の増大は小さい。
【0030】
図1(c)及び(d)は、硬化後に使用環境温度に置かれた際の充填材の収縮量と硬化性樹脂の収縮量との関係を模式的に示したものである。図1(c)は、使用環境温度よりも高い温度雰囲気下で硬化させた場合、即ち、従来の製造方法により製造した場合の図であり、図1(d)は、使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させた場合、即ち本実施形態の製造方法により製造した場合の図である。
図1(c)に示すように、従来の通り、使用環境温度よりも高い温度雰囲気下で硬化を行った場合には、硬化性樹脂の温度は、硬化の際の反応温度から使用環境温度まで低下する。硬化性樹脂は、この温度低下により熱収縮を生じるため、硬化性樹脂の収縮量はさらに増大する。その結果、充填材の収縮量と硬化性樹脂の収縮量との差はさらに大きくなるうえ、樹脂内部においても充填材との界面付近とそれ以外とで収縮の度合いが違うために収縮量に大きな違いが生じ、樹脂中に残存する内部応力はさらに増大する。このため、寸法安定性が悪化してクラックが発生し、高強度の複合材料が得られないうえ、表面の凹凸が目立つようになり、外観も悪化する。
一方、図1(d)に示すように、本実施形態の通り、使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化を行った場合には、硬化性樹脂の温度は、硬化の際の反応温度から使用環境温度まで上昇する。硬化性樹脂の温度が上昇すると硬化後の硬化性樹脂は熱膨張する。熱膨張すれば、硬化の際に生じた硬化性樹脂の収縮量は低減され、硬化の際の収縮量が樹脂に比して小さい充填材の収縮量に近付く。熱膨張の際には、充填材との界面付近における樹脂は充填材により熱膨張が抑制される一方、界面付近以外の樹脂は自由に熱膨張する結果、硬化収縮の際に生じた樹脂内における収縮量の違いも解消できる。したがって、硬化性樹脂の収縮量と充填材の収縮量との差が消失することにより、残留応力を低減でき、複合材料の寸法安定性が悪化したり、クラックなどが生じることを抑制できる。ひいては、高強度、高耐熱性、高難燃性、高外観の複合材料を提供でき、自動車、電子部品、建築などのあらゆる分野での利用が可能である。
また、本実施形態によれば、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化性樹脂の硬化を行えば上記効果が奏されるため、硬化性樹脂や充填材の種類及び配合割合の制限を受けることがなく、成形加工性にも優れる。
【0031】
次に、本実施形態の製造方法において、充填材としてガラス繊維を用い、硬化性樹脂として、複合材料の使用環境温度における屈折率がガラス繊維の屈折率と近似する透明樹脂を用いた場合の屈折率勾配低減の原理を説明しつつ、本実施形態の効果について説明する。
図2(a)は、硬化前におけるガラス繊維の屈折率と硬化性樹脂の屈折率との関係を模式的に示したものである。図2(a)に示すように、硬化前においては、樹脂が流動性を持つため、全体の屈折率が均一な状態である。
【0032】
図2(b)は、硬化直後におけるガラス繊維の屈折率と硬化性樹脂の屈折率との関係を模式的に示したものである。図2(b)に示すように、硬化直後には、硬化性樹脂の硬化反応による硬化収縮により、硬化性樹脂の収縮量が増大して密度が高くなるため、屈折率が高くなる。ただし、充填材との界面付近における硬化性樹脂は、充填材により硬化収縮が抑制されるため、収縮量の増大は小さく、屈折率もそれほど高くはならない。
【0033】
図2(c)及び(d)は、硬化後に使用環境温度に置かれた際のガラス繊維の屈折率と硬化性樹脂の屈折率との関係を模式的に示したものである。図2(c)は、使用環境温度より高い温度雰囲気下で硬化させた場合、即ち従来の製造方法により製造した場合の図であり、図2(d)は、使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させた場合、即ち本実施形態の製造方法により製造した場合の図である。
図2(c)に示すように、従来の通り、使用環境温度よりも高い温度雰囲気下で硬化を行った場合には、硬化性樹脂の温度は、硬化の際の温度から使用環境温度まで低下する。硬化性樹脂は、この温度低下により熱収縮を生じるため、硬化性樹脂の屈折率はさらに高くなる。その結果、ガラス繊維の屈折率と硬化性樹脂の屈折率との差は、さらに大きくなるうえ、樹脂内部においても充填材との界面付近とそれ以外とで収縮の度合いが違うために収縮量に大きな違いが生じてより大きな屈折率勾配が発生し、複合材料の透明性は著しく低下する。
一方、図2(d)に示すように、本実施形態の通り、使用環境温度より低い温度雰囲気下で硬化工程を行った場合には、硬化の際の反応温度から使用環境温度まで硬化性樹脂の温度は上昇する。硬化性樹脂の温度が上昇すると硬化後の硬化性樹脂は、熱膨張する。硬化性樹脂が熱膨張すれば、硬化の際に生じた硬化性樹脂の収縮量は低減され、硬化の際の収縮量が樹脂に比して小さい充填材の収縮量に近付くため屈折率も近付く。熱膨張の際には、充填材との界面付近における樹脂は充填材により熱膨張が抑制される一方、界面付近以外の樹脂は自由に熱膨張する結果、硬化収縮の際に生じた樹脂内における収縮量の違いも解消でき、樹脂内部の屈折率勾配も解消できる。したがって、硬化性樹脂の屈折率と充填材の屈折率との差が消失することにより、複合材料の透明性を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態の製造方法においては、硬化性樹脂の硬化を、複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で行うものであるが、さらに、下記式(1)により算出される反応温度±15℃の範囲内で硬化を行うことが好ましい。下記式(1)から得られる反応温度±15℃の範囲内であれば、複合材料の光透過率にあまり差が見られず、高い透明性が得られる。

【数2】

【0035】
式(1)は、樹脂の収縮、膨張に影響を及ぼす物性は、硬化収縮量と線膨張係数であることに着目するとともに、硬化収縮に際しては半硬化の状態も含まれることに配慮して、係数を設定して導かれたものである。
式(1)において、使用環境温度には、実際に複合材料が使用されるときの温度を代入する。硬化性樹脂の硬化収縮率、及び線膨張係数は樹脂特有のものであり、測定方法は特に限定されない。例えば、後述する実施例に記載される方法で測定された値を代入することができる。
【0036】
上記式(1)を用いて反応温度を決定することにより、複合材料の使用環境温度において、硬化性樹脂の収縮量と充填材の収縮量とを容易にかつ確実に近付けることができる。したがって、上述した効果が容易にかつ確実に奏される。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例における各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
【0039】
本実施例では、充填材として、下記のガラス繊維を用いた。
<充填材>
ガラス繊維1:ガラスクロス(旭化成エレクトロニクス社製「7628/1260/AS891AW」、目付け=200g/m×9ply)
ガラス繊維2:ノンクリンプファブリック(「S32EX010−00600−01270−250000」、SEATEX社製)、目付け(600g/m×3ply)
ガラス繊維3:不織布、目付け(600g/m×3ply)
ガラス繊維4:ガラスクロス(「1080/1060/AS891MSW」、旭化成エレクトロニクス社製)
ガラス繊維5:ガラスクロス(「1080/1060/AS891AW」、旭化成エレクトロニクス社製)
ガラス繊維6:ガラスクロス(「1080/1270/AS750」、旭化成エレクトロニクス社製)
ガラス繊維7:ガラスクロス(「WLA 180 M 110 H974」、日東紡社製)
ガラス繊維8:ガラスクロス(「WF230 100 BS6」、日東紡社製)
【0040】
本実施例では、硬化性樹脂として、下記の樹脂を用いた。なお、硬化収縮量及び線膨張係数は、後述する測定方法にしたがって測定された値である。また、下記のアクリル樹脂及びエポキシ樹脂は、硬化物の状態で、常温(25℃)下における屈折率がガラス繊維の屈折率と一致するように調整したものである。
<硬化性樹脂>
アクリル樹脂:UV硬化型アクリル樹脂(三菱レイヨン社製「ダイヤビーム」、硬化収縮率6.7%、線膨張係数345×10−6/K)
エポキシ樹脂:UV硬化型エポキシ樹脂(NTTアドバンステクノロジ社製、硬化収縮率3.8%、線膨張係数107×10−6/K)
【0041】
[硬化収縮率の測定]
硬化性樹脂の硬化収縮率は、次のようにして求めた。
先ず、未硬化で液状の硬化性樹脂の比重を測定した。測定には振動式液体密度計(Antompaar社製「DAM48」)を用いた。この未硬化で液状の硬化性樹脂を、後述する実施例(アクリル樹脂では実施例1、エポキシ樹脂では実施例2)と同様の条件・方法で硬化させた。得られた厚さ2mmの樹脂板をダイヤモンドカッターにより30mm×30mmに切り出し、この切り出した樹脂片の比重を測定した。測定には、比重計(島津製作所社製「AUW−D−SGM」)を用いた。次いで、下記の式(2)に未硬化の樹脂の比重、硬化後の樹脂の比重を代入し硬化収縮率を求めた。
【数3】

【0042】
[線膨張係数の測定]
硬化性樹脂の線膨張係数は、次のようにして求めた。
上記硬化収縮率の測定と同様にして得られた厚さ2mmの樹脂板を、ダイヤモンドカッターによって5mm×5mmに切り出した。次いで、切り出した樹脂片の線膨張係数を、TMA測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「TMA/SS6300」)を用いて測定した。
【0043】
<実施例1>
[前駆体調製工程]
先ず、上記ガラスクロスの前処理を実施した。具体的には、ガラスクロスを400℃で30時間加熱し、ガラスクロスの表面の有機成分を除去した。その後、シランカップリング剤(信越シリコン社製「KBM−503」)をエタノールで100倍に希釈した溶液中に、ガラスクロスを浸漬した。浸漬後、ガラスクロスを溶液中から取り出し、100℃で1時間乾燥させた。
次いで、上記の未硬化のアクリル樹脂中に、前処理済みのガラスクロスを浸漬し、真空脱泡することで、上記ガラスクロスに未硬化のアクリル樹脂を含浸させた。重ね合わせ時の間隔が2mmになるように調節した2枚のガラス板に、上記未硬化のアクリル樹脂を含浸させたガラスクロスを挟み込み、余分な未硬化のアクリル樹脂をガラスクロスから取り除いた。その結果、繊維の体積含有率が45%のガラス板に挟まれた複合材料前駆体1を得た。
【0044】
[硬化工程]
水を透過させないポリ袋内に上記複合材料前駆体1を入れ、図3に示すように、このポリ袋を5℃の水で満たされた水槽に沈め、上記複合材料前駆体1を冷却した。冷却後、水、ポリ袋、ガラス板を介して上記複合材料前駆体1にUVを照射し、未硬化のアクリル樹脂を硬化させた。なお、UV照射には、UV照射器(セン特殊光源社製「ハンディ・キュアラブ」)を用い、照射強度50mW/cm、照射時間30分で照射を行った。照射後、ポリ袋からガラス板に挟まれた複合材料1を取り出し、ガラス板を取り外して板厚2mmの複合材料1を得た。
なお、硬化反応の反応温度5℃は、複合材料の使用環境温度を25℃に想定し、上記式(1)に、上記アクリル樹脂の硬化収縮率及び線膨張係数を代入することにより算出した。
【0045】
<比較例1>
実施例1と同様の方法で、ガラス板に挟まれた複合材料前駆体1を作製した。この複合材料前駆体1を、ホットプレートを用いて100℃に加熱保持した。次いで、複合材料前駆体1にUVを照射し、未硬化のアクリル樹脂を硬化させた。なお、UV照射には実施例1と同様の装置を用い、照射強度50mW/cm、照射時間10分の条件で照射を行った。照射後、試料を冷却し、ガラス板を取り外して板厚2mmの複合材料2を得た。
【0046】
<実施例2>
アクリル樹脂を上記エポキシ樹脂に変更し、硬化工程における水槽中の水温を20℃に変更した以外は実施例1と同様にして、複合材料前駆体2を作製し、複合材料3を得た。ただし、上記ガラスクロスには、エポキシ用表面処理が施されているため、前処理は省いた。
なお、硬化反応の反応温度20℃は、複合材料の使用環境温度を25℃に想定し、上記式(1)に、上記エポキシ樹脂の硬化収縮率及び線膨張係数を代入することにより算出した。
【0047】
<比較例2>
実施例2と同様の方法で複合材料前駆体2を作製した。複合材料前駆体2に対して、室温状態でUVを照射した。UV照射には、実施例1と同様の装置を用い、照射強度50mW/cm、照射時間10分の条件で照射を行った。照射後、80℃に保たれた恒温槽にて1時間加熱することで複合材料前駆体2をさらに硬化させた。次いで、試料を冷却し、ガラス板を取り外して板厚2mmの複合材料4を得た。
【0048】
<実施例3>
ガラスクロスを上記ノンクリンプファブリック(以下、NCFともいう)に変更した以外は、実施例2と同様にして複合材料5を得た。
【0049】
<比較例3>
ガラスクロスを上記NCFに変更した以外は、比較例2と同様にして複合材料6を得た。
【0050】
<実施例4>
ガラスクロスを上記不織布に変更した以外は、実施例2と同様にして複合材料7を得た。
【0051】
<比較例4>
ガラスクロスを上記不織布に変更した以外は、比較例2と同様にして複合材料8を得た。
【0052】
<実施例5>
実施例2で用いたガラスクロスの繊維束の厚みを変更した以外は、実施例2と同様にして複合材料9−1〜9−4を得た。9−1はガラス繊維4を用いて作製し、9−2はガラス繊維1を用いて作製し、9−3はガラス繊維7を用いて作製し、9−4はガラス繊維8を用いて作製した。
【0053】
<比較例5>
比較例2で用いたガラスクロスの繊維束の厚みを変更した以外は、比較例2と同様にして複合材料10−1〜10−5を得た。10−1はガラス繊維4を用いて作製し、10−2はガラス繊維5を用いて作製し、10−3はガラス繊維6を用いて作製し、10−4はガラス繊維1を用いて作製し、10−5はガラス繊維7を用いて作製した。
【0054】
<引張強度の評価>
実施例1〜2、比較例1〜2の各複合材料について、引張試験機(INSTRON社製「5567」)を用い、JIS K7054に準拠し、試験片形状が200mm×10mm×2mm、速度が1mm/分の測定条件で引張強度を測定した。測定結果を図4(a)に示した。
【0055】
図4(a)に示すように、アクリル樹脂を5℃で硬化させた実施例1の引張強度は、アクリル樹脂を100℃で硬化させた比較例1の引張強度に対して、16%向上することが確認された。また、エポキシ樹脂を20℃で硬化させた実施例2の引張強度は、エポキシ樹脂を100℃で硬化させた比較例2の引張強度に対して、5%向上することが確認された。したがって、本実施例の製造方法により得られた複合材料は、従来の複合材料に比して引張強度が向上することが確認された。
【0056】
<曲げ強度の評価>
実施例1〜2、比較例1〜2の各複合材料について、曲げ試験機(INSTRON社製「5567」)を用い、JIS K7017に準拠し、試験片形状が60mm×15mm×2mm、速度が5mm/分の測定条件で曲げ強度を測定した。測定結果を図4(b)に示した。
【0057】
図4(b)に示すように、アクリル樹脂を5℃で硬化させた実施例1の曲げ強度は、アクリル樹脂を100℃で硬化させた比較例1の曲げ強度に対して、28%向上することが確認された。また、エポキシ樹脂を20℃で硬化させた実施例2の曲げ強度は、エポキシ樹脂を100℃で硬化させた比較例2の曲げ強度に対して、10%向上することが確認された。したがって、本実施例の製造方法により得られた複合材料は、従来の複合材料に比して曲げ強度が向上することが確認された。
【0058】
<表面うねりの評価>
実施例5の複合材料9−1〜9−4、比較例5の複合材料10−1〜10−5について、表面うねりの評価を行った。具体的には、各複合材料について、表面粗さ測定機
(ミツトヨ社製「SV−3000CNC」)を用い、JIS B0601に準拠する方法で表面うねりを測定し、算術平均うねりWaを求めた。結果を図5に示した。
【0059】
図5に示すように、エポキシ樹脂を20℃で硬化させた実施例5は、エポキシ樹脂を80℃で硬化させた比較例5に比して、複合材料表面のうねりが大幅に低減されていることが確認された。これにより、本実施例の製造方法によれば、ガラス繊維の繊維束が太くても複合材料表面のうねりを抑制でき、繊維束の本数を減らして成形加工性を向上させることができることが判った。図5中の番号は使用したガラス繊維が表1に示すガラス繊維であることを表す。
【0060】
<透明性の評価>
実施例1〜4、比較例1〜4の各複合材料について、ヘーズメーター(スガ試験機社製「HGM−2DP」)を用い、測定環境温度25℃でヘーズ値を測定した。測定結果を表1に示した。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から明らかなように、本実施例の製造方法によれば、比較例に比して複合材料の透明性が著しく向上することが確認された。具体的には、比較例に対して本実施例ではヘーズ値は50%前後低減でき、従来では狙えなかったレベルの透明度(板厚2mm、繊維体積含有率45%で9.1%のヘーズ値(実施例2))が得られることが判った。
特に、実施例1〜2と比較例1〜2の結果から、樹脂の種類によらずに透明性が向上することが確認された。また、実施例2〜4と比較例2〜4の結果から、ガラス繊維などの充填材の形態によらずに透明性が向上することが確認された。
【0063】
<反応温度の評価>
以下の手順にしたがって、比較例1及び比較例2の複合材料を用いて、それぞれの樹脂に最適な反応温度の評価、即ち上記式(1)の妥当性について評価を行った。
先ず、アクリル樹脂を100℃で硬化させた比較例1とエポキシ樹脂を80℃で硬化させた比較例2の複合材料について、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4000」)を用いて光透過率の測定を行った。測定は、測定温度を変化させて各測定温度における光透過率を計測した。測定結果をそれぞれ図6(a)、(b)に示す。いずれの図も、横軸が温度上昇(K)、縦軸が光透過率を示している。図6において、光透過率が最大の点を、硬化性樹脂の屈折率勾配が消失したところと定義した。
【0064】
図6(a)から、上記アクリル樹脂を用いた複合材料において最も光透過率を高くするためには、硬化後20℃の温度上昇が必要であることが判る。即ち、使用環境温度を25℃としたときには、反応温度を5℃としたときに最も高い光透過率が得られることを意味する。これは、上記式(1)で得られる最適な反応温度と一致し、式(1)の妥当性が証明された。
また、アクリル樹脂については、温度上昇20℃±15℃の範囲では、光透過率の差も小さく、透明性に影響はあまり無いことが確認された。
一方、図6(b)から、上記エポキシ樹脂を用いた複合材料において最も光透過率を高くするためには、硬化後5℃の温度上昇が必要であることが判る。即ち、使用環境温度を25℃としたときには、反応温度を20℃としたときに最も高い光透過率が得られることを意味する。これは、上記式(1)で得られる最適な反応温度と一致し、式(1)の妥当性が証明された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と充填材とを含む複合材料の製造方法であって、
未硬化の硬化性樹脂と、前記充填材とを含む複合材料前駆体を調製する前駆体調製工程と、
前記複合材料前駆体に含まれる前記未硬化の硬化性樹脂を、前記複合材料の使用環境温度よりも低い温度雰囲気下で硬化させる硬化工程と、を備えることを特徴とする複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記前駆体調製工程において、
前記充填材としてガラス繊維を用いるとともに、前記硬化性樹脂として、前記複合材料の使用環境温度における屈折率が前記ガラス繊維の屈折率と近似する透明樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記硬化工程において、
前記複合材料前駆体に含まれる前記未硬化の硬化性樹脂を、下記の式(1)で表される反応温度±15℃の範囲内で硬化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料の製造方法。
【数1】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−189543(P2010−189543A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35032(P2009−35032)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】