説明

複合材料製の平面状構成要素

本発明は、2つの金属性カバー層、ポリウレタン硬質フォーム層、ポリウレタン緻密層を有する、複合材料製の平面状構成要素であって、前記ポリウレタン緻密層が、潜熱貯蔵材料からのカプセルコアを有するマイクロカプセルを含有する、前記構成要素、並びにその製造方法と使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2つの金属性カバー層とポリウレタン硬質フォーム層とを有する、複合材料製の平面状構成要素に関する。
【0002】
2つの金属性カバー層とポリウレタン硬質フォーム層とを有する平面状構成要素、いわゆるサンドイッチ要素は、住宅建設、またホール屋根やファサードのための工業建設における構成要素として、冷蔵倉庫、仕切り扉(Sektionaltor)、プレハブ、又は移動住宅車における構成要素として使用される。その非常に良好な遮断特性が原因で、前記要素はそうしたところに幅広く普及している。しかしながらその素材(Masse)は僅かなため、建物は温度ピークをほとんど緩衝することはできない。内部及び外部の温度負荷によって、このような建物は内部で非常に速く温まる。この否定的な特性は、「バラック環境」という言葉でまとめられる。
【0003】
建築材料の素材は、夏には昼間に流れ込む熱を蓄え、これにより理想的な場合には内部温度が一定に保たれる。比較的涼しい夜には、蓄えられた熱が再び外気へと放出される。快適な室内の環境を夏でも積極的に空調を使用せずに達成するためには、建築物の熱素材もまた無視できない。しかしながらそのように大きな熱素材が、サンドイッチ要素を有する建築物には欠けている。
【0004】
近年、建築材料における新たな材料の組み合わせとして、潜熱貯蔵材料(相変化材料とも、略してPCM)が試験された。その機能様式は、固/液相転移する際に生ずる変換エンタルピーに基づいており、これはエネルギー吸収又は環境への一定温度でのエネルギー放出を意味している。それゆえ前記材料は、規定された温度範囲内で温度を一定に保つために使用できる。潜熱貯蔵材料は温度に応じて液状でも存在し得るので、直接建築材料と共に加工することはできない。というのは、室内の空気への放出、又は建材からの分離が危惧されるからである。
【0005】
EP-A1 703 033は、2つの金属カバー層を有する内部構造のための構成要素を教示しており、ここでは中間層が潜熱貯蔵材料を含む。
【0006】
WO 2006/021306は、金属カバー層、石膏ボード、及びこれら2つのタイルを結合させるポリウレタン硬質フォーム層を有する、複合材料を教示している。この石膏ボードは、潜熱貯蔵材料製のカプセルコアを有するマイクロカプセルを含有する。しかしながら石膏ボードを有する構成要素は、張り幅(Spannweite)が2〜3メーターに限られており、このことにより使用可能性が制限される。よって例えば、比較的大きな面を張って覆う屋根構造で使用することはできない。本発明の課題は、改善された機械的安定性、とりわけ改善された張り幅を有する構成要素を発見することであった。
【0007】
さらなる課題は、エンドレスな生産を可能にする、そのような構成要素の改善された製造方法を発見することであった。
【0008】
本発明の課題は、2つの金属カバー層を有する複合材料製の平面状構成要素を、それから製造された建築物がより良好な環境を有するように改善することであった。
【0009】
この課題は、2つの金属性カバー層、ポリウレタン硬質フォーム層、及び潜熱貯蔵材料からのカプセルコアを有するマイクロカプセルを含有するポリウレタン緻密層を有する、複合材料製の平面状構成要素によって解決される。本発明によればポリウレタン緻密層は、潜熱貯蔵材料製のカプセルコアを有するマイクロカプセルを含有する。
【0010】
本願の範囲において平面状構成要素とは、その厚さが自身の長さ及び幅に比して小さい構造物と理解されるべきである。その厚さは好ましくは、長さと幅の1/5以下である。
【0011】
ここで平面状構成要素は、例えば成形法により生じる幾何学形状(Topologie)を有することができる。
【0012】
1つの実施態様によれば平面状構成要素は、ポリウレタン緻密層を有する。空間内部から見て、層の順序は以下の通りである:
1.金属性カバー層(A)
2.ポリウレタン緻密層(B)
3.ポリウレタン硬質フォーム層(C)、及び
4.金属性カバー層(A’)。
【0013】
1つのさらなる実施態様によれば平面状構成要素は、第二のポリウレタン緻密層を有する。空間内部から見て、層の順序は以下の通りである:
1.金属性カバー層(A)
2.ポリウレタン緻密層(B)
3.ポリウレタン硬質フォーム層(C)、
4.ポリウレタン緻密層(B)、及び
5.金属性カバー層(A)。
【0014】
A−B−C−A’の構造を有するサンドイッチ要素では、金属性カバー層A’が通常むき出しである。さらに内部空間適用も考えられ、例えばタイル、壁要素、及び内装系(Raum-im-Raum System)である。内装系、又は内部の隔壁のような適用には、A−B−C−B−Aの構造を有する平面状構成要素が好ましい。
【0015】
金属性カバー層
ここで2つの金属性カバー層は、異なっていてよい。そこで、内部空間側の(A)と区別するために、外側にあるカバー層を(A’)とする。これら2つの層は、その形態においても、その材料においても、一致している必要はない。これに対してA−B−C−B−Aの構造を有する平面状構成要素は好ましくは、同一の金属性カバー層を有する。
【0016】
カバー層としては可撓性の、又は硬いものが使用でき、好ましくは硬いカバー層を使用することができる。このカバー層は、異形押出されていることは必須でなく、平面形か又は打ち抜かれた、輪郭づけられた又は成形された薄板(例えば、パンタイルの外観)で使用してもよい。
【0017】
金属性カバー層は金属状態、又は被覆された状態で存在し得る。好ましい金属はアルミニウム、鋼、亜鉛メッキ又はアルミメッキされた鋼、銅、亜鉛、他の金属バンド、又は金属板である。好ましいのは、アルミ箔、アルミ板、銅板、又は鋼板であり、特に好ましいのは鋼板である。
【0018】
金属性カバー層は、例えばコロナ放電、アーク放電、プラズマ放電、又は他の慣用の方法で前処理することができる。
【0019】
金属性カバー層、好ましくは外側の金属性カバー層(A’)は、耐候性を高めるために、このような構成要素に使用される慣用の材料によって変性されていてよい。
【0020】
しばしば金属性カバー層は、有機被覆も備えている。有機層は厚さが0.5〜500μmであり得る。重要な被覆方法はバンド被覆であり、これはコイルコーティングとも呼ばれる。この改良方法では、金属バンド、非常にしばしば亜鉛メッキされた鋼バンド及びアルミニウムバンドが、最大2070mmの幅で、塗料又はプラスチックフィルムで被覆され、再度巻取られ、引き続き加工機で例えばサンドイッチ要素に加工される。このコイルコーティング法は当業者に公知であり、例えばKittel - Lehrbuch der Lacke und Beschichtungen, Band 6 "Anwendung von Lacken und sonstigen Beschichtungen", 2. Auflage, S. Hirzel Verlag, Stuttgart, 2008に記載されている。金属バンドに施与された有機被覆は、一層又は多層で、最大6つの層により表面側で施与されていてよい。さらなる加工の際にポリウレタン硬質フォーム層と接触する下側には、通常1つ又は2つの有機層が施与されている。
【0021】
有機被覆には、エポキシ、ポリエステル、ポリウレタン、アクリレート、ポリ塩化ビニル(可塑剤又はエステルとともに)、及びポリビニリデンフルオリドをベースとする樹脂が施与されていてよい。典型的な架橋剤は、アミノ樹脂及び/又はイソシアネートをベースとする。有機被覆はさらに、顔料、触媒、添加剤といった成分を有する。
【0022】
ポリウレタン緻密層
ポリウレタン緻密層は、密度が400〜1200、好ましくは500〜1000、特に好ましくは600〜950kg/m3のポリマー層と理解されるべきである。
【0023】
その製造は慣用的に、a)有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、b)イソシアネート基に反応する水素原子を少なくとも2つの有する化合物、好ましくはポリオールとを反応させることにより行われる。まだ架橋されていない成分の混合物である限り、以下では反応性ポリウレタン緻密系について話題にする。
【0024】
反応比は好適には、反応混合物中におけるイソシアネート基の数対イソシアネートに対して反応性の水素原子の数が、0.8〜1.8:1、好ましくは1〜1.6:1であるように選択する。
【0025】
有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートa)としては、脂肪族、脂環式、及び好適には芳香族の多価イソシアネートが考慮される。個別的に挙げられるのは例えば、2,4−及び2,6−トルイレン−ジイソシアネート(TDI)、及び相応の異性体混合物、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタン−ジイソシアネート(MDI)、及び相応の異性体混合物、4,4’−及び2,4−ジフェニルメタン−ジイソシアネートからの混合物、ポリフェニル−ポリメチレン−ポリイソシアネート、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジフェニルメタン−ジイソシアネートからの混合物、及びポリフェニル−ポリメチレン−ポリイソシアネート(粗製MDI)、及び粗製MDIとトルイレンジイソシアネートとからの混合物である。これらの有機ジ−及びポリイソシアネートは、個々に又は混合物の形で使用してよい。
【0026】
しばしば、いわゆる改質された多価イソシアネート、すなわち、有機ジ−及び/又はポリイソシアネートの化学的変換により得られた生成物を使用する。例として、ウレトジオン基、カルバメート基、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、及び/又はウレタン基を含有するジ−及び/又はポリイソシアネートが挙げられる。この改質された有機ジ−及びポリイソシアネートは、場合により相互に、又は改質されていない有機ポリイソシアネート、例えば2,4’−、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製MDI、2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネートと混合してよい。
【0027】
更に、多価イソシアネートと多価ポリオールとの反応生成物、いわゆるプレポリマー、並びに他のジ−及びポリイソシアネートとの混合物を使用してもよい。
【0028】
有機ポリイソシアネートとしては特に、NCO含有率が29〜33質量%であり、かつ25℃での粘度が100〜2000mPa.sの範囲、とりわけ100〜800mPa.sの範囲にある粗製MDIが有効であると実証された。
【0029】
イソシアネート反応性水素原子を少なくとも2つ有する化合物b)として考慮されるのは一般的に、OH基、SH基、NH基、NH2基、及びCH酸基から選択される少なくとも2つの反応基を分子中に有するもの、とりわけポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールである。
【0030】
これらのポリエステルポリオールは大抵、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多官能性アルコール、好ましくはジオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリットと、2〜12個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、並びにナフタレンジカルボン酸の異性体、又は酸無水物との縮合により製造する。
【0031】
ポリエステルポリオール製造の際のさらなる出発物質としては、疎水性物質を使うこともできる。疎水性物質とは、非極性有機基を有する水不溶性の物質、並びにヒドロキシ、カルボン酸、カルボン酸エステル、又はこれらの混合物から選択される反応性基を少なくとも1つ有する水不溶性の物質である。疎水性材料の当量は好適には、130〜1000g/molである。例えば脂肪酸、例えばステアリン酸、油酸、パルミチン酸、ラウリン酸、又はリノール酸を使用でき、また脂肪及び油、例えばヒマシ油、コーン油、ヒマワリ油、大豆油、ココナッツ油、オリーブ油、又はトール油である。ポリエステルポリオールが疎水性物質を含む場合、疎水性物質の割合は、ポリエステルポリオールの全モノマー含分に対して1〜30mol%、特に好ましくは4〜15mol%である。
【0032】
使用されるポリエステルポリオールは大抵、官能性が1.5〜4であり、OH数が50〜400mgKOH/g、好適には150〜300mgKOH/gである。
【0033】
ポリエーテルポリオールは公知の方法で、例えば、少なくとも1つの出発分子を添加して、アルカリ金属水酸化物のような触媒の存在下、アルキレンオキシドのアニオン重合によって製造される。
【0034】
アルキレンオキシドとしては大抵、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくは純粋な1,2−プロピレンオキシドを使用する。
【0035】
出発分子としてはとりわけ、少なくとも2個、好ましくは2〜4個のヒドロキシ基を有するか、又は少なくとも2つの第1級アミノ基を分子内に有する化合物を使用する。
【0036】
少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシ基を分子内に有する出発分子としては、好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトール及びサッカロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドとからのオリゴマー縮合生成物、並びに、フェノール、ホルムアルデヒド及びジアルカノールアミンからのマンニッヒ縮合物、並びにメラミンを使用する。
【0037】
少なくとも2個の第1級アミノ基を分子内に有する出発分子としては、好ましくは芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、例えばフェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−及び2,6−トルイレンジアミン、及び4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタン、並びに脂肪族ジアミン及びポリアミン、例えばエチレンジアミンを使用する。
【0038】
ポリエーテルポリオールは、官能性が2〜4、好適には2〜3であり、ヒドロキシ数が好適には30mgKOH/g〜800mgKOH/g、とりわけ150mgKOH/g〜570mgKOH/gである。
【0039】
イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)には、場合により併用される連鎖延長剤及び架橋剤も含まれる。その機械的特性の改質のために、二官能性連鎖延長剤、三官能性及びそれより大きい官能性の架橋剤、又は場合によりそれらの混合物の添加が有利であると実証できる。連鎖延長剤及び/又は架橋剤として、好ましくはアルカノールアミン、ジオール、及び/又はトリオールを、とりわけ分子量が400未満、好ましくは60〜300のジオール及び/又はトリオールを使用する。
【0040】
連鎖延長剤、架橋剤、又はこれらの混合物は、成分b)に対して1〜30質量%の量、好ましくは2〜10質量%の量で適切に使用する。
【0041】
使用されるポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール並びにその製法についての更なる記載は、例えばKunststoffhandbuch, 第7巻 "Polyurethane", Guenter Oertel, Carl- Hanser- Verlag Muenchen, 3. Auflage, 1993年発行に見出される。
【0042】
ポリウレタン緻密層の製造は通常、触媒の存在下、必要な場合には更なる助剤及び/又は添加剤の存在下で製造し、これらは一般にポリウレタン化学において公知であり、かつDE−A−10124333に記載されており、これらについては明示的に引用する。助剤及び/又は添加剤としては、この目的のためのそれ自体公知の物質、例えば表面活性物質、充填剤、顔料、着色料、難燃剤、加水分解保護剤、帯電防止剤、殺真菌性、及び殺細菌性を示す薬剤を使用する。本発明にかかる方法の実施に使用される出発物質、触媒並びに助剤及び/又は添加剤についてのより詳細な記載は、例えばKunststoffhandbuch, 第7巻, "Polyurethane" Carl- Hanser- Verlag Muenchen, 第1版、1966年、第2版、1983年及び第3版1993年に見出される。
【0043】
触媒としては、イソシアネート−水反応、又はイソシアネート−ポリオール反応を促進させるあらゆる化合物を使用することができる。これにはアミンベースの触媒、及び有機金属化合物ベースの触媒が含まれる。
【0044】
有機金属化合物ベースの触媒としては例えば、有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)アセテート、スズ(II)オクオエート、スズ(II)エチル−ヘキサノエート、及びスズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、及びジオクチルスズジアセテート、並びにビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス−2−エチルヘキサノエート、及びビスマスオクタノエート、又はカルボン酸のアルカリ金属塩、例えば酢酸カリウム又はギ酸カリウムを使用することができる。
【0045】
触媒として好適には、第三級アミンを少なくとも1つ含む混合物を使用する。この第三級アミンは慣用的に、イソシアネート反応性基、例えばOH基、NH基、NH2基を有することができる化合物である。頻繁に使用される触媒の幾つかは、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N,N,N−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N,−トリエチルアミノ−エトキシエタノール、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ジメチルエタノールアミン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリス−(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、及びジアザビシクロノネンである。
【0046】
適切な難燃剤は例えば、臭化エーテル(Ixol B 251)、臭化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール、及びPHT−4−ジオールである。好適には臭素不含の難燃剤、例えば塩化ホスフェート、例えばトリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート、又はこれらの混合物を使用する。
【0047】
上述のハロゲン置換されたホスフェート以外にもまた、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リン含有仕上げ剤(Zurichtung)、延伸性黒鉛(膨張性黒鉛)、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、ヒ素酸化物、ポリリン酸アンモニウム、及び硫酸カルシウム、又はシアヌール酸誘導体、例えばメラミン、又は少なくとも2つの難燃剤からの混合物、例えばポリリン酸アンモニウムとメラミン、及び場合によりデンプンからの混合物が使用できる。
【0048】
さらなる液体のハロゲン不含の難燃剤としては、ジエチルエタンホスフェート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPK)などが使用できる。
【0049】
本発明の範囲において難燃剤は好ましくは、ポリウレタン緻密系の成分の全質量に対して0〜25%の量で使用する。
【0050】
ジ−及びポリイソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子を有する化合物とは、イソシアネート指数が90〜700の範囲、好ましくは100〜140の範囲にある量で相互に反応させる。
【0051】
ポリウレタン緻密層は、発泡剤を添加せずに使用する。しかしながら使用されるポリオールは、発泡剤として作用する水残分を有していてよい。好ましくは、水残分の割合が<1質量%、好ましくは<0.5質量%、とりわけ<0.2質量%のポリオールを使用する。ここで水割合は、吸水性添加剤、例えば分子ふるい(物理的に作用する添加剤)、又はオキサゾリジン(化学的に作用する添加剤)によるポリオールの「乾燥」によって低下させることができる。
【0052】
さらなる実施態様によれば、反応性ポリウレタン緻密系にはさらに、消泡剤又は吸水性添加剤を添加することができる。
【0053】
マイクロカプセル
本発明によればポリウレタン緻密層中に含まれるマイクロカプセルは、潜熱貯蔵材料製のポリマーコアと、ポリマー製カプセル壁とを有する。このカプセルコアは主に、95質量%超が潜熱貯蔵材料からなる。ここでカプセルコアは温度に依存して、固体であっても液体であってもよい。
【0054】
製造条件によって通常は、保護コロイドがカプセル壁に一緒に組み込まれ、よって同様にカプセル壁の成分である。通常はとりわけ、ポリマー表面が保護コロイドを有する。よって、マイクロカプセルの全質量に対して最大10質量%が、保護コロイドであり得る。
【0055】
カプセルの平均粒度(光散乱によるZ平均)は、0.5〜50μm、好ましくは0.5〜30μmである。カプセルコア対カプセル壁の質量比は一般的に、50:50〜95:5である。70:30〜93:7のコア/壁比が好ましい。
【0056】
潜熱貯蔵材料は定義によれば、熱移動を行いたい温度範囲に相転移点を有する物質であり、そのため文献ではしばしばPCM(相転移材料)とも呼ばれる。これは好適には、−20℃〜120℃の温度範囲で固/液の相転移点を有する有機の親油性物質である。
【0057】
例としては、以下のものである:
− 脂肪族炭化水素化合物、例えば飽和もしくは不飽和のC10〜C40−炭化水素、これは分枝鎖状であるか、好ましくは直鎖状であり、例えばn−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−ヘキサコサン、n−ヘプタコサン、n−オクタコサン並びに環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン;
− 芳香族炭化水素化合物、例えばベンゼン、ナフタリン、ビフェニル、o−もしくはn−ターフェニル、C1〜C40−アルキル置換された芳香族炭化水素、例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ヘキサデシルベンゼン、ヘキシルナフタリン又はデシルナフタリン;
− 飽和もしくは不飽和のC6〜C30−脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸又はベヘン酸、好ましくはデカン酸と、例えばミリスチン酸、パルミチン酸又はラウリン酸との共融混合物;
− 脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、やし油アルコールのような混合物、並びにα−オレフィンのヒドロホルミル化及び更なる反応により得られるいわゆるオキソアルコール;
− C6〜C30−脂肪アミン、たとえばデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン又はヘキサデシルアミン;
− 脂肪酸のC1〜C10−アルキルエステルのようなエステル、例えばプロピルパルミテート、メチルステアレート又はメチルパルミテート、並びに好ましくはその共融混合物又はメチルシンナメート;
− 天然及び合成のワックス、たとえばモンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス、カルナウバロウ、ポリエチレンワックス、酸化ワックス、ポリビニルエーテルワックス、エチレンビニルアセテートワックス又はフィッシャー・トロプシュ法による硬質ロウ;
− ハロゲン化炭化水素、たとえばクロロパラフィン、ブロモオクタデカン、ブロモペンタデカン、ブロモノナデカン、ブロモエイコサン、ブロモドコサン。
【0058】
更に、これらの物質の混合物は、所望の範囲外への融点の低下をもたらさないか、又は混合物の溶融熱が有意義な適用のために低くなりすぎない限りは適切である。
【0059】
例えば、純粋なn−アルカン、80%よりも大きい純度を有するn−アルカン、又はテクニカルグレード留出物として発生し、かつそれ自体として市販されているようなアルカン混合物の使用が有利である。
【0060】
さらに、非極性物質の場合に一部現れる結晶化遅延化の低下を防止するために、親油性物質をその可溶性の化合物に添加することが有利であり得る。有利には、US−A−5456852に記載されているように、本来のコア物質よりも20〜120K高い融点を有する化合物を使用する。適切な化合物は上記に親油性物質として挙げた脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミド並びに脂肪族炭化水素化合物である。これらは、カプセルコアを基準として0.1〜10質量%の量で添加される。
【0061】
潜熱蓄熱材料は、蓄熱体に望まれる温度範囲に応じて選択される。例えば、穏やかな環境における建築材料中の蓄熱体のためには、好ましくは、固液相転移が0〜60℃の温度範囲内である潜熱蓄熱材料を使用する。よって室内使用のために通常は、15〜30℃の転移温度を有する個々の物質又は混合物が選択される。
【0062】
好ましい潜熱蓄熱材料は、脂肪族炭化水素、特に好ましくは上記で例示的に挙げられた脂肪族炭化水素である。とりわけ炭素原子14〜20個を有する脂肪族炭化水素、並びにそれらの混合物が好ましい。
【0063】
カプセル壁のためのポリマーとして、原則として複写紙用マイクロカプセルについて公知の材料を使用することができる。例えば、潜熱貯蔵材料をGB−A−870476、US2800457、US3041289に記載されている方法により、別のポリマーを有するゼラチン中にカプセル化することが可能である。
【0064】
極めて老化安定性であることに基づいて好ましい壁材料は、熱硬化性ポリマーである。熱硬化性とはここでは、高い架橋度によっては軟化せず、高温で分解する壁材料であると理解される。適切な熱硬化性壁材料はたとえば、高度に架橋したホルムアルデヒド樹脂、高度に架橋したポリ尿素、及び高度に架橋したポリウレタン、並びに高度に架橋したメタクリル酸エステルポリマー、並びに架橋されていないメタクリル酸エステルポリマーである。
【0065】
ホルムアルデヒド樹脂とは、ホルムアルデヒドと、
− トリアジン、例えばメラミン、
− カルバミド、例えば尿素、
− フェノール類、例えばフェノール、m−クレゾール、及びレゾルシン、
− アミノ化合物及びアミド化合物、例えばアニリン、p−トルエンスルホンアミド、エチレン尿素、及びグアニジン、
とからなる反応生成物、又はこれらの混合物であると解する。
【0066】
カプセル壁材料として好ましいホルムアルデヒド樹脂は、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−メラミン−樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。同様に好ましくは、これらのホルムアルデヒド樹脂のC1〜C4−アルキル、特にメチルエーテル並びにこれらのホルムアルデヒド樹脂との混合物である。特にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂及び/又はこれらのメチルエーテルが好ましい。
【0067】
複写紙から公知の方法では、樹脂をプレポリマーとして使用する。プレポリマーは水相中に可溶性であり、かつ重縮合の過程で界面に移動し、かつ油滴を覆う。ホルムアルデヒド樹脂を用いたマイクロカプセル化のための方法は一般に公知であり、かつ例えばEP−A−562344及びEP−A−974394に記載されている。
【0068】
ポリ尿素及びポリウレタンからなるカプセル壁は、同様に複写紙から公知である。このカプセル壁はNH2基もしくはOH基を有する反応物とジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートとの反応により生じる。好適なイソシアネートは、例えばエチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、並びに2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネートである。さらにポリイソシアネート、たとえばビウレット構造を有する誘導体、ポリウレトンイミン及びイソシアヌレートが挙げられる。反応物として次のものが考えられる:ヒドラジン、グアニジン及びその塩、ヒドロキシルアミン、ジアミン及びポリアミン、並びにアミノアルコール。このような界面重付加法は、例えばUS4021595、EP−A−0392876及びEP−A0535384から公知である。
【0069】
好ましいマイクロカプセルは、そのカプセル壁が未架橋又は架橋されたメタクリル酸エステルポリマーである。
【0070】
このカプセル壁のポリマーは一般的に、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステルを含む群からの少なくとも1つのモノマー(モノマーI)を、モノマーの全質量に対して少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、特に少なくとも60質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも70質量%、並びに最大100質量%、好ましくは最高90質量%、とりわけ最高85質量%、及び極めて特に好ましくは最高80質量%、重合導入して含有する。
【0071】
さらにこのカプセル壁のポリマーは、1つ又は複数の水に不溶性又は難溶性の二官能性又は多官能性のモノマー(モノマーII)を、モノマーの全質量に対して少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%、好ましくは少なくとも20質量%、並びに一般的には最高で70質量%、好ましくは最高60質量%、そして特に好ましくは最高で50質量%、重合導入して含有する。
【0072】
その他に、ポリマーは最大40質量%、好ましくは最大30質量%、特に好ましくは最大20質量%、その他のモノマーIIIを重合により導入して含有してよい。前記カプセル壁は好適には、群I及びIIのモノマーのみから構成されている。
【0073】
好適にはマイクロカプセルのカプセル壁は、それぞれモノマーの全質量に対して
アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸を含む群からの1つ又は複数のモノマー(モノマーI) 30〜100質量%、
水に不溶性又は難溶性の、1つ若しくは複数の二官能性若しくは多官能性モノマー(モノマーII) 0〜70質量%、及び
1つ又は複数のその他のモノマー(モノマーIII) 0〜40質量%、
から構成されている。
【0074】
モノマーIとして適しているのは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル、並びに不飽和C3−及びC4カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、並びにマレイン酸である。適切なモノマーIは、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、及びt−ブチルアクリレート、及び相応するメタクリレート、並びに特に好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、及びn−ブチルアクリレート、及び相応するメタクリレートである。一般的に、メタクリレート及びメタクリル酸が好ましい。
【0075】
好ましい実施態様によればマイクロカプセル壁は、マレイン酸、メタクリル酸、及び/又はアクリル酸を、とりわけメタクリル酸を、モノマーIの全質量に対して25〜75質量%、重合導入されて含有する。
【0076】
適切なモノマーIIは、水中で不溶性であるか又は難溶性であるが、しかし良好なないし限定的な溶解性を親油性物質中で有する二官能性もしくは多官能性モノマーである。難溶性とは、20℃で60g/l未満の溶解度であると理解されるべきである。二官能性もしくは多官能性モノマーとは、共役結合していないエチレン性二重結合を少なくとも2つ有する化合物であると解する。特に、ジビニルモノマー及びポリビニルモノマーが考慮される。これらは重合の間に、カプセル壁に架橋作用をもたらす。1種又は数種のジビニルモノマー、並びに1種又は数種のポリビニルモノマー、並びにポリビニルモノマーとの混合物でジビニルモノマーを重合導入することができる。
【0077】
好ましい実施態様によればモノマーIIとして、ジビニルモノマーとポリビニルモノマーとからの混合物を使用し、ここでこのポリビニルモノマーの割合は、ジビニルモノマーとポリビニルモノマーとの合計に対して2〜90質量%である。ポリビニルモノマーの割合は好ましくは、ジビニルモノマーとポリビニルモノマーとの合計に対して5〜80質量%、好適には10〜60質量%である。
【0078】
適切なジビニルモノマーは、ジビニルベンゼン及びジビニルシクロヘキサンである。好ましいジビニルモノマーは、ジオールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのジエステル、さらにこれらのジオールのジアリルエーテル及びジビニルエーテルである。例としてはエタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、メタリルメタクリルアミド、アリルアクリレート、及びアリルメタクリレートが挙げられる。特に好ましいのは、プロパンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、及びヘキサンジオールジアクリレート、並びに相応するメタクリレートである。
【0079】
好ましいポリビニルモノマーは、ポリオールとアクリル酸及び/又はメタクリル酸とのポリエステル、更には、これらのポリオールのポリアリルエーテル及びポリビニルエーテル、トリビニルベンゼン、及びトリビニルシクロヘキサンである。特に好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びペンタエリトリトールテトラアクリレート、並びにその技術的混合物である。
【0080】
好ましいのは、ジビニルモノマーとポリビニルモノマーとからの組み合わせ、例えばブタンジオールジアクリレートとペンタエリトリトールテトラアクリレートとの組み合わせ、ヘキサンジオールジアクリレートとペンタエリトリトールテトラアクリレートとの組み合わせ、ブタンジオールジアクリレートとトリメチロールプロパントリアクリレートとの組み合わせ、並びにヘキサンジオールジアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートとの組み合わせである。
【0081】
モノマーIIIとして考慮されるのは、モノマーI及びIIとは異なるその他のモノマーであり、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、及びスチレン、又はα−メチルスチレンである。特に好ましくは、イタコン酸、ビニルホスホン酸、無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、及びジエチルアミノエチルメタクリレートを使用する。
【0082】
マイクロカプセルの製造方法は、いわゆるインサイチュ重合である。マイクロカプセル形成の原則は、モノマー、ラジカル開始剤、保護コロイド及びカプセル化すべき親油性物質から安定な水中油エマルションを製造することに基づく。引き続きモノマーの重合を加熱により開始し、場合によりさらに温度を高めることによって重合を制御し、その際、生じるポリマーはカプセル壁を形成し、これは親油性物質を包囲する。この一般的な原則は、例えばDE-A 101 39 171中に記載され、この内容は明示的に援用される。
【0083】
出発エマルジョンは、保護コロイドを用いて安定化させる。
【0084】
有機保護コロイドは、好ましくは水溶性ポリマーであり、これは、73mN/mの水の表面張力を最大で45〜70mN/mに減少させ、従って、閉じられたカプセル壁の形成を保証し、並びに0.5〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、特に0.5〜10μmの範囲内の有利な粒径を有するマイクロカプセルを形成する。
【0085】
有機の中性保護コロイドは、例えば、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアゴム、キサンタン、カゼイン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、並びにメチルヒドロキシプロピルセルロースである。好ましい有機の中性保護コロイドは、ポリビニルアルコール及び部分的に加水分解したポリビニルアセテート、並びにメチルヒドロキシプロピルセルロースである。保護コロイドは、WO 2008/046839に記載されており、この内容については明示的に援用する。
【0086】
有機のアニオン性保護コロイドとは、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリル酸及びそのコポリマー、ポリアクリル酸及びそのコポリマー、スルホエチルアクリレート及びスルホエチルメタクリレートのコポリマー、N−(スルホエチル)−マレインイミドのコポリマー、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸のコポリマー、スチレンスルホン酸及びビニルスルホン酸のコポリマーである。好ましい有機のアニオン性保護コロイドは、ナフタレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、並びにとりわけポリアクリル酸及びフェノールスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物である。
【0087】
無機保護コロイドとしては、いわゆるピッカリング系を挙げることができ、これは極めて微細な固体粒子による安定化が可能であり、かつ水中で不溶性であるがしかし分散性であることができ、又は水中で不溶性であって非分散性であるが、親油性の物質により湿潤可能である。作用様式及びその使用は、欧州特許出願公開(EP-A)第1 029 018号明細書並びに欧州特許出願公開(EP-A)第1 321 182号明細書に記載されており、前記明細書の内容は明らかに取り込まれる。
【0088】
この場合、ピッカリング系は、固体粒子単独からなるか、又は更に水中での粒子の分散性又は親油相による粒子の湿潤性を改善する助剤からなっていてもよい。
【0089】
無機固体粒子は、金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、チタン、アルミニウム、ケイ素、バリウム及びマンガンの塩、酸化物及び水酸化物であってよい。水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び硫化亜鉛を挙げることができる。ケイ酸塩、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト及びハイドロタルサイトを同様に挙げることができる。高分散シリカ、ピロリン酸マグネシウム及びリン酸三カルシウムが特に好ましい。
【0090】
このピッカリング系は、最初に水相に添加しても、撹拌される水中油型エマルションに添加してもよい。幾つかの微細な固体粒子は、欧州特許出願公開(EP-A)第1 029 018号明細書並びに欧州特許出願公開(EP-A)第1 321 182号明細書に記載されているように、沈殿により製造される。
【0091】
高分散性のケイ酸は、微細の固体粒子として水中に分散させることができる。しかし、水中のケイ酸のいわゆるコロイド分散液を使用することも可能である。このようなコロイド分散液は、ケイ酸のアルカリ性の水性混合物である。この粒子は、アルカリ性のpH範囲で膨潤し、かつ水中で安定する。ピッカリング系としてのこれらの分散液を使用するために、この水中油型エマルションのpH値を酸によりpH2〜7に調整することが有利である。
【0092】
一般に保護コロイドは、水相に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%の量で使用する。ここで無機保護コロイドのために好ましくは、水相に対して0.5〜15質量%の量が選択される。有機保護コロイドは好ましくは、エマルションの水相に対して0.1〜10質量%の量で使用される。
【0093】
一実施態様によれば、無機保護コロイド、並びに無機保護コロイドと有機保護コロイドとの混合物が好ましい。
【0094】
別の一実施態様によれば、中性の有機保護コロイドが好ましい。
【0095】
好ましいのはOH基を有する保護コロイド、例えばポリビニルアルコール及び部分加水分解されたポリビニルアセテートである。
【0096】
更に、共安定化のために界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤を添加することができる。適した界面活性剤は、"Ηandbook of Industrial Surfactants"から取り出すことができ、この内容は明らかに関連付けられる。界面活性剤は、このエマルションの水相に対して0.01〜10質量%の量で使用できる。
【0097】
ポリメタクリレートベースの好ましいマイクロカプセルの製造、並びにこれに適した助剤、例えばラジカル開始剤、場合により制御剤は公知であり、例えばEP-A-1 029 018、DE 10 163 162、及びWO 2008/071649に記載されている。これらの開示内容については、明示的に援用する。よってラジカル開始剤としては、ラジカル重合反応のために列挙されたペルオキソ化合物及びアゾ化合物を、モノマーの質量を基準として0.2〜5質量%の量で目的に応じて使用することができる。
【0098】
マイクロカプセルをポリ電解質で処理することもでき、これにより場合によってカプセルの密度をさらに改善させることができる。その製造方法、並びに適切なポリ電解質は、WO 2008/006762及びWO 2008/046839に記載されており、これらについては明示的に指摘しておく。
【0099】
ポリウレタン硬質フォーム層
ポリウレタン硬質発泡物質製の複合要素に使用される硬質発泡物質は、長きにわたり公知であり、かつ文献中に多く記載されている。以下で話題にするのは反応性硬質フォーム系であるため、これは出発成分の混合物と理解されるべきである。
【0100】
ポリウレタン硬質フォームとは、平均密度が20〜150、好ましくは25〜100、特に好ましくは30〜70kg/m3のポリマー層と理解されるべきである。
【0101】
本発明の範囲でポリウレタン硬質発泡物質とは好ましくは、DIN 7726準拠の発泡物質と理解される。すなわち当該発泡物質は、10%圧縮した場合の圧縮強度(Druckspannung)、若しくはDIN 53 421 / DIN EN ISO 604準拠の圧縮強度(Druckfestigkeit)が、80kPa以上、好ましくは150kPa以上である。さらにポリウレタン硬質発泡物質は、DIN ISO 4590による閉鎖孔性(Geschlossenzelligkeit)が85%超、好ましくは90%超である。
【0102】
本発明の範囲においてイソシアネート指数とは、イソシアネート基対イソシアネート反応性基の化学量論的な比を100倍したものであると理解される。ここでイソシアネート反応性基とは、反応混合物に含まれているすべてのイソシアネート反応性基(化学的な発泡剤を含む)と理解されるが、イソシアネート基自体は含まれない。イソシアネート、及びイソシアネート反応性水素原子を有する化合物は、イソシアネート指数が100〜700の範囲、好ましくは115〜180の範囲にある量で相互に反応させる。さらなる好ましい態様では、イソシアネート指数は180〜700、とりわけ200〜500で作業する。以下では、いわゆるポリイソシアヌレート変性ポリウレタン硬質フォーム又はポリイソシアヌレート発泡体について述べる。
【0103】
その製造は慣用的に、a)有機ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと、b)イソシアネート基に反応する水素原子を少なくとも2つ有する化合物、好ましくはポリオールとを反応させることにより行われる。
【0104】
有機のジイソシアネート及びポリイソシアネートa)として考慮されるのは、上記の好適には芳香族の多価イソシアネート、並びに変性された多価イソシアネートである。更に、多価イソシアネートと多価ポリオールとの反応生成物、いわゆるプレポリマー、並びに他のジイソシアネート及びポリイソシアネートとのこれらの混合物を使用してもよい。
【0105】
有機ポリイソシアネートとしては特に、NCO含有率が29〜33質量%であり、かつ25℃での粘度が100〜2000mPa.sの範囲、とりわけ100〜800mPa.sの範囲にある粗製MDIが有用であると実証されている。
【0106】
イソシアネート反応性水素原子を少なくとも2つ有する化合物b)として考慮されるのは一般的に、OH基、SH基、NH基、NH2基、及びCH酸基から選択される少なくとも2つの反応基を分子中に有するものであり、とりわけOH数が50〜800mg KOH/gの範囲のポリエーテルポリオール及び上記ポリエステルポリオールを使用する。
【0107】
使用されるポリエステルポリオールは大抵、官能性が1.5〜4であり、OH数が50〜400、好適には150〜300mg KOH/gである。
【0108】
ポリエーテルポリオールは公知の方法によって、触媒の存在下、例えばアルカリ金属水酸化物の存在下で、例えばアルキレンオキシドのアニオン重合により製造される。
【0109】
アルキレンオキシドとしては大抵、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくは純粋な1,2−プロピレンオキシドを使用する。
【0110】
出発分子としてはとりわけ、少なくとも2個、好ましくは3〜8個のヒドロキシ基、又は少なくとも2つの第1級アミノ基を分子内に有する化合物を使用する。
【0111】
少なくとも2個、好ましくは2〜8個のヒドロキシ基を分子内に有する出発分子としては好ましくは、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、糖化合物、例えばグルコース、ソルビトール、マンニトール及びサッカロース、多価フェノール、レゾール、例えばフェノールとホルムアルデヒドとからのオリゴマー縮合生成物、並びにフェノール、ホルムアルデヒド及びジアルカノールアミンからのマンニッヒ縮合物、並びにメラミンを使用する。
【0112】
少なくとも2個の第1級アミノ基を分子内に有する出発分子としては、好ましくは芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、例えばフェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−及び2,6−トルイレンジアミン、及び4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタン、並びに脂肪族ジアミン及びポリアミン、例えばエチレンジアミンを使用する。
【0113】
ポリエーテルポリオールは、好適には官能性が2〜8、ヒドロキシ数が好適には50mgKOH/g〜800mgKOH/g、とりわけ150mgKOH/g〜570mg KOH/gである。
【0114】
イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)には、場合により併用される連鎖延長剤及び架橋剤も含まれる。その機械的特性の改質のために、二官能性連鎖延長剤、三官能性及びそれより大きい官能性の架橋剤、又は場合によりそれらの混合物の添加が有利であり得ると実証されている。連鎖延長剤及び/又は架橋剤として、好ましくはアルカノールアミン、ジオール、及び/又はトリオールを、とりわけ分子量が400未満、好ましくは60〜300のジオール及び/又はトリオールを使用する。
【0115】
連鎖延長剤、架橋剤又はこれらの混合物は、ポリオール成分b)に対して1〜20質量%、好ましくは2〜5質量%の量で適切に使用する。
【0116】
使用されるポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール並びにその製法についての更なる記載は、例えばKunststoffhandbuch, 第7巻 "Polyurethane", Guenter Oertel, Carl- Hanser- Verlag Muenchen, 3. Auflage, 1993年発行に見出される。
【0117】
ポリウレタン硬質発泡物質は慣用的に、発泡剤、上記触媒及び気泡安定剤、必要な場合には更なる助剤及び/又は添加剤の存在下で製造し、これらは一般にポリウレタン化学において公知であり、かつDE−A−10124333に記載されており、これを明文をもって引用する。助剤及び/又は添加剤としては、この目的のための自体公知の物質、例えば表面活性物質、発泡安定剤、気泡調節剤、充填剤、顔料、着色料、難燃剤、加水分解保護剤、帯電防止剤、殺菌性及び殺細菌性を示す薬剤を使用する。本発明にかかる方法の実施に使用される出発物質、発泡剤、触媒並びに助剤及び/又は添加剤についてのより詳細な記載は、例えばKunststoffhandbuch, 第7巻, "Polyurethane" Carl- Hanser- Verlag Muenchen, 第1版、1966年、第2版、1983年及び第3版1993年に見出される。
【0118】
発泡剤としては、ポリウレタン化学に慣用の化学的及び/又は物理的発泡剤が使用できる。化学的発泡剤とは、イソシアネートとの反応により気体状生成物を形成する化合物と理解され、例えば水又は蟻酸である。物理的発泡剤とは、ポリウレタン製造の使用物質に溶解又は乳化されており、かつポリウレタン形成条件下で蒸発する化合物と理解される。これは例えば炭化水素、例えばペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、並びにこれらの異性体の混合物、ハロゲン化炭化水素、及び他の化合物、例えばペルフルオロ化されたアルカン、例えばペルフルオロヘキサン、フルオロクロロ炭化水素、及びエーテル、エステル、ケトン、及び/又はアセタールである。
【0119】
発泡剤成分は通常、ポリオール成分b)の全質量に対して1〜30質量%、好適には2〜20質量%、特に好適には3〜12質量%の量で使用し、ポリウレタン硬質発泡物質の所望の目的密度に応じて調整する。
【0120】
さらに、ポリウレタン化学で慣用の上記難燃剤を使用できる。
【0121】
ポリイソシアヌレート硬質発泡物質には通常、NCO基の三量体化反応を相互に触媒する触媒と触媒混合物がさらに使用される。例としては金属塩、特にカルボン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩、又はアルカリ土類金属塩が挙げられる。ここで好適には、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状若しくは分枝鎖状、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和のカルボン酸の塩、例えば蟻酸、酢酸、オクタン酸、酒石酸、クエン酸、油酸、ステアリン酸、又はリシノール酸の塩を、或いは6〜20個の炭素を有する置換若しくは非置換の芳香族カルボン酸、例えばコハク酸又はサリチル酸の塩を使用する。特に好ましいのは、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウムオクトエート(カリウム−2−エチルヘキサノエート)、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びアンモニウムオクトエート、とりわけギ酸カリウム及び酢酸カリウムである。
【0122】
このポリウレタン硬質発泡物質は、非連続的又は連続的に、公知の混合装置を用いて製造することができる。ポリオール成分は事前に別個のポンプで、触媒及び/又は発泡剤に計量供給することができる。通常はすべての反応成分を同時に、慣用的にはミキシングヘッドで混合する。これらの出発成分は大抵、15〜35℃、好ましくは20〜30℃の温度で混合する。
【0123】
構成要素
本発明による構成要素は、好適にはA−B−C−A’、又はA−B−C−B−Aという構造を有する。潜熱貯蔵材料を含有するマイクロカプセルは、本発明によればポリウレタン緻密層Bに含まれている。
【0124】
マイクロカプセルは、反応性ポリウレタン緻密系によって金属性カバー層に施与される。この施与は別個の方法工程で、又は平面状構成要素を製造する際に直接、行うことができる。
【0125】
本発明によればマイクロカプセルは、反応性ポリウレタン緻密層の1つ又は複数の出発成分中に分散される。この際にマイクロカプセルは、出発成分の混合及びカバー層への施与の直前に懸濁させることができ、又は1つ若しくは複数の出発成分中に懸濁されて利用可能な状態で貯蔵することができる。
【0126】
好ましい実施態様によればマイクロカプセルを、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2つ有する化合物b)、好適にはポリオール成分に分散させる。ポリオール成分は好適には(マイクロカプセルの添加なしで)、25℃での粘度が100〜2000mPas.s、好ましくは150〜800mPas.である。
【0127】
本発明によるさらなる実施態様では、ポリオール成分に助剤として分散剤を加えることができる。分散剤としては例えば、市販で手に入る分散剤、例えばBYK−Chemie GmbHのBYK−W添加剤シリーズが挙げられる。これによって貯蔵材料含有成分及び反応性ポリウレタン緻密系の流動性を改善することができ、ひいては加工が容易にすることができる。
【0128】
マイクロカプセルの量は自由に選択することができ、平面状構成要素の面積当たりのマイクロカプセルの所望量によって決まる。通常これは、構成要素における反応性ポリウレタン緻密系層の所望の厚さによって、そして反応性ポリウレタン緻密系のための出発成分の所望の最大加工粘度によって決まる。
【0129】
好適にはマイクロカプセルを、平面状構成要素1m2あたり20〜3000g、好ましくは100〜2000g、とりわけ500〜1500g施与する。
【0130】
好ましい実施態様によればマイクロカプセルを、反応性ポリウレタン緻密系とマイクロカプセルとからの混合物に対して5〜30質量%使用する。
【0131】
ポリウレタン緻密層は通常、厚さが0.1〜3cm、好ましくは0.25〜2.5cm、特に好ましくは0.5〜2cm、とりわけ0.5〜1.5cmである。
【0132】
構成要素は、非連続的にも、また連続的にも製造できる。反応混合物は、高圧供給機械か又は低圧供給機械を用いて閉じられた支持金型(例えば、プレス金型)中に注入してもよい。この技術により、例えば本発明にかかる複合部材は非連続的に製造される。
【0133】
好ましい実施態様によれば、構成要素は非連続的に、例えばプレス型で製造される。
【0134】
さらなる好ましい実施態様によれば、構成要素は連続的に、例えばダブルバンド装置(Doppelbandanlage)で製造される。ここで上部及び下部の金属性カバー層がロールから外れ、カバー層のフォーム適合性(Beschaeumbarkeit)を改善するため、場合によりプロフィール化され、加熱され、前処理、例えばコロナ処理される。この後、様々な反応混合物をその都度、例えば高圧ミキシングヘッドで混合し、連続して下部カバー層に施与し、上部カバー層と下部カバー層との間でいわゆるダブルベルトで硬化させる。このダブルベルトから出した後に、この末端のないストランドを所望の寸法に切断する。
【0135】
本発明はまた、ポリウレタン緻密層(B)、及びポリウレタン硬質フォーム層(C)を、金属性カバー層に施与し、最後に第二の金属カバー層を施与し、場合によりさらなるポリウレタン層を隣接する層(A)と(C)の間に施与する、平面状構成要素の製造方法に関する。
【0136】
その上、改善された接着性を達成するため、層(A)と(C)の間、つまり層構造(A)−(B)−(C)−(A)の場合に、慣用の接着改善剤を使用することができる。このような接着改善剤は、化学的にはポリウレタン緻密系に相応するが、その違いはマイクロカプセルを含まないことである。
【0137】
好ましい変法によれば、マイクロカプセル含有反応性ポリウレタン緻密系を下部金属性カバー層に施与してそこで硬化させ、それから反応性ポリウレタン硬質フォーム系を施与し、その後これを発泡、硬化させ、場合によりマイクロカプセル含有反応性ポリウレタン緻密系のさらなる層を施与し、最後に上部金属カバー層を施与する。
【0138】
同様に好ましい製造変法によれば、反応性ポリウレタン硬質フォーム系を金属性カバー層に施与してそこで発泡させ、それからマイクロカプセル含有反応性ポリウレタン緻密系を施与し、最後に上部カバー層を施与する。
【0139】
本発明による方法の特別な実施態様では、2つの系の間の接着性を改善させるため、反応性硬質フォーム系をポリウレタン緻密系に施与する工程と、反応性ポリウレタン緻密系を硬質フォーム系に施与する工程の間の時間的な間隔を、ポリウレタン緻密系若しくは硬質フォーム系がまだ完全に硬化していないように選択する。
【0140】
上述の製造プロセスは、製造方法の好ましい実施態様である。従来技術であり、当業者に公知の他の製造方法も、まったく同じように使用できる。
【0141】
このようにして本発明による構成要素、いわゆるサンドイッチ要素を、様々な金属性カバー層とともに製造できる。こうして前記構成要素は、1つ又は複数の金属カバー層の背後に直接、熱貯蔵性のある表面に近い層を1つ又は2つ有する。
【0142】
本発明よる構成要素の厚さは、通常20〜300nmであり、この成形体を製造するためのポリウレタン硬質発泡物質の通常の密度範囲は、20〜150kg/m3、好ましくは25〜100kg/m3である(Kunststoffhandbuch, 第3版、150頁)。
【0143】
本発明による構成要素により、バラック環境を回避することができる。この構成要素を用いて製造された建築物は、良好な断熱性を有するだけでなく、温度経過の顕著な改善、ひいてはエネルギー消費の顕著な改善を示す。好ましくは当該構成要素を、住居建築、工業建築、冷蔵倉庫、シャッター、プレハブ、又はキャンピングカーにおいて使用する。
【0144】
実施例1
緻密系のポリオール成分
官能性が3であり、ヒドロキシ数が40mgKOH/gのポリエーテルオール1 44質量部、
官能性が3であり、ヒドロキシ数が410mgKOH/gのポリエーテルオール2 36質量部、
官能性が2であり、ヒドロキシ数が104mgKOH/gのポリエーテルオール3 20質量部、
アミン含有PUR触媒の溶液1質量部。
【0145】
硬質フォーム系のポリオール成分
難燃剤のトリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート 15質量部
官能性が4.3であり、ヒドロキシ数が490mgKOH/gのポリエーテルオール4 58質量部、
ポリエーテルオール2 15質量部
ポリエーテルオール3 10質量部
シリコーン含有発泡安定剤 2質量部
アミン含有PUR触媒 1.5質量部
アミン含有発泡触媒 0.5質量部
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン 8質量部
85%の蟻酸 3質量部。
【0146】
複合材料製の平面状構成要素を、45℃に温度処理した閉鎖可能な直方体の型(内側寸法で縦×横×高さが20×20×8cm)で製造した。大きさが20×20cmの金属板を型の底部に置いた。型の閉鎖可能な蓋はやや磁性を帯びており、これにより大きさ20×20cmの別の金属板をここにロックすることができた。型の側壁は、構成要素の離型を後に容易にするために、シリコーン含有発泡剤で処理した。
【0147】
マイクロカプセル(WO 2008/006762の実施例1に従って、メタクリル酸20質量部、メチルメタクリレート40質量部、及びブタンジオールアクリレート40質量部からの壁ポリマーで製造、ただし潜熱貯蔵材料としてはヘキサデカンを有するもの)40gを、緻密系のポリオール成分60gに分散させた(40質量%の分散液)。引き続きこの分散液を、BASF SEのLupranat M 50(NCO含分が31.5質量%のポリマー性MDI)50gと混合した。
【0148】
この混合物を厚さ1cmの層として、型の中にある大きさが20×20cmの金属板に施与した。2分後に、硬質フォーム系のポリオール成分85gと、Lupranat M 50 85gとからの混合物を、反応させるマイクロカプセル含有緻密系に施与し、引き続き型を閉じた。8分後に型を再度開け、下から上に形成された構成要素を得た:下部の金属性カバー層、マイクロカプセル含有ポリウレタン緻密層、ポリウレタン硬質フォーム層、及び上部の金属性カバー層。
【0149】
比較例1(本発明によるものでない)
ポリウレタン緻密層がPCMマイクロカプセルを含有しない点を除いて、構成が同じ要素を製造した。従って、緻密系のポリオール成分80g(マイクロカプセル無し)と、Lupranat M 50 70gとを混合し、金属板に施与した。
【0150】
2つの構成要素は同じ伝熱性を示したが、本発明による構成要素では、一定の熱流に達するまで明らかにより高い熱量が吸収された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの金属性カバー層、ポリウレタン硬質フォーム層、及びポリウレタン緻密層を有する、複合材料製の平面状構成要素であって、前記ポリウレタン緻密層が、潜熱貯蔵材料製のカプセルコアを有するマイクロカプセルを含有する、前記構成要素。
【請求項2】
前記要素が、以下の順序:
1.金属性カバー層(A)
2.ポリウレタン緻密層(B)
3.ポリウレタン硬質フォーム層(C)、及び
4.金属性カバー層(A’)
で層を有することを特徴とする、請求項1に記載の平面状平面状構成要素。
【請求項3】
前記ポリウレタン緻密層の密度が、400〜1200kg/m3であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の平面状構成要素。
【請求項4】
前記ポリウレタン緻密層が、有機のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール、及び/又はポリエステルポリオール、並びに1つ又は複数の触媒、及び場合により助剤から形成されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の平面状構成要素。
【請求項5】
前記潜熱貯蔵材料が、−20℃〜120℃の温度範囲で固/液の相転移点を有する有機の親油性物質であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の平面状構成要素。
【請求項6】
前記マイクロカプセルのカプセル壁が、それぞれモノマーの全質量に対して、
アクリル酸及び/又はメタクリル酸のC1〜C24アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸を含む群からの1つ又は複数のモノマー(モノマーI) 30〜100質量%、
水に不溶性又は難溶性の、1つ若しくは複数の二官能性若しくは多官能性モノマー(モノマーII) 0〜70質量%、及び
1つ又は複数のその他のモノマー(モノマーIII) 0〜40質量%、
から構成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の平面状構成要素。
【請求項7】
ポリウレタン硬質フォーム層の平均密度が、20〜150kg/m3であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の平面状構成要素。
【請求項8】
前記ポリウレタン硬質フォーム層が、有機のジイソシアネート及び/又はポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール、及び/又はポリエステルポリオール、発泡剤、及び1つ又は複数の触媒、並びに場合によりさらなる助剤から形成されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の平面状構成要素。
【請求項9】
ポリウレタン緻密層(B)、及びポリウレタン硬質フォーム層(C)を金属カバー層に施与し、最後に第二の金属カバー層を施与し、場合によりさらなるポリウレタン緻密層を、隣接する層(A)と(C)の間に施与することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の平面状構成要素の製造方法。
【請求項10】
連続法で製造することによる、請求項9に記載の平面状構成要素の製造方法。
【請求項11】
住宅建築、工業建築、冷蔵倉庫、仕切り扉、プレハブ、又は移動住宅車における、請求項1から8までのいずれか1項に記載の平面状構成要素の使用。

【公表番号】特表2012−512063(P2012−512063A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541298(P2011−541298)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066386
【国際公開番号】WO2010/076118
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】