説明

複合機、および、その複合機の節電方法

【課題】複合機のコントローラが消費する電力を、ユーザの使用状況に応じて節約する技術を提供する。
【解決手段】本出願の複合機100は、複数のデバイスを制御する複数のコントローラ(メイン部10、LAN部20、FAX部30)を備える。また、各コントローラ(10〜30)に対して、別個に電力供給を行う電源制御部141及び電源142を備える。また、節電モードの指示を受け付ける入出力装置134を備え、第1の節電モードの指示を受け付けた場合に、電源制御部141は、メイン部10への電力供給を停止する。また、第2の節電モードの指示を受け付けた場合に、電源制御部141は、メイン部10及びLAN部20への電力供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機、および、その複合機の節電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機能、スキャナ機能、FAX通信機能、などの多くの機能を有する複合機は、各機能を動作させるために大きな電力を消費する。近年では、複合機の消費電力を低減させるための多くの節電方法が開発されている。例えば、特許文献1には、節電モード時に、一部デバイスへの電力供給を停止する画像形成装置について記載されている。
【特許文献1】特開2004−130526号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の複合機(画像形成装置)では、各デバイスへの電力供給を個別に制御することはできても、各デバイスを制御するコントローラへの電力供給は、一元的に管理している。そのため、ユーザの使用状況によっては、無駄に電力を消費しているおそれがある。例えば、夜間などに、FAX通信機能のみを動作させておきたい場合であっても、コントローラ全体に電力を供給しておかなければならず、消費電力が大きくなる。
【0004】
本発明は、複合機のコントローラが消費する電力を、ユーザの使用状況に応じて節約する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本願発明の複合機は、複数のデバイスを備える複合機であって、前記複数のデバイスを制御する複数のコントローラと、前記各コントローラに対して、別個に電力供給を行う電源制御手段と、節電モードの指示を受け付ける受付手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記節電モードの指示を受け付けた場合に、前記複数のコントローラのうち、少なくとも1つのコントローラへの電力供給を停止する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の複合機によれば、コントローラが消費する電力を、ユーザの使用状況に応じて節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態が適用された複合機100のハードウェア構成の概要を説明するためのブロック図である。
【0009】
図示するように、複合機100は、メイン部10と、LAN部20と、FAX部30と、からなるコントローラ(点線)を備えている。
【0010】
メイン部10は、複合機100の主要な動作を制御するコントローラである。例えば、メイン部10は、印刷機能やスキャナ機能を動作させるために、後述する印刷エンジン108やスキャナ装置110などを制御する。
【0011】
メイン部10は、図示するように、メインCPU(Central Processing Unit)101と、メモリ制御ASIC(Application Specific Integrated Cricuit)102と、揮発性メモリ103と、不揮発性メモリ104と、画像処理ASIC105と、印刷制御部106と、ビデオデータインタフェース107と、印刷エンジン108と、スキャナASIC109と、スキャナ装置110と、I/O(Input/Output)制御ASIC111と、各種外部インタフェース112と、を備えている。
【0012】
メインCPU101は、各種プログラムを実行して、メイン部10全体の動作を制御する。例えば、メインCPU101は、各種印刷処理やスキャナ処理を行うための命令を各ユニットに送信する。
【0013】
メモリ制御ASIC102は、メイン部10に接続されているメモリを制御する。例えば、メモリ制御ASIC102は、データおよびプログラム等を一時的に記憶する揮発性メモリ103と、各種プログラムを格納している不揮発性メモリ104と、を制御する。
【0014】
ここで、揮発性メモリ103は、電源を切断すると記憶内容を失う半導体メモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等を含む。
【0015】
また、不揮発性メモリ104は、電源を切断しても記憶内容を保持する半導体メモリであり、例えば、ROM(Read Only Memory)等を含む。
【0016】
画像処理ASIC105は、印刷時において、印刷対象のデータ(例えば、画像データ)を印刷データに変換する処理を行う回路(群)である。例えば、画像処理ASIC105は、印刷対象のデータに対して、色変換、圧縮、伸張、2値化、といった処理を施し、印刷データを生成する。画像処理ASIC105は、生成した印刷データを、印刷制御部106或いはビデオデータインタフェース107に供給する。
【0017】
印刷制御部106は、印刷エンジン108を制御する。具体的には、印刷制御部106は、画像処理ASIC105から供給された印刷データに基づくプリントイメージデータを生成し、生成したプリントイメージデータを印刷エンジン108に送信して印刷させる。
【0018】
ビデオデータインタフェース107は、印刷エンジン108に、ビデオデータを送信して印刷させる。具体的には、ビデオデータインタフェース107は、画像処理ASIC105から供給された印刷データを1ページ単位でビデオデータに展開し、展開したビデオデータを制御コマンドとともに印刷エンジン108に送信して印刷させる。
【0019】
印刷エンジン108は、トナーカートリッジ、感光体ドラム、レーザ光照射機構、紙送り機構、印刷媒体の給排紙処理を行う給排紙機構等からなり、印刷制御部106或いはビデオインタフェース107からの指示にしたがって印刷を実行する。
【0020】
スキャナASIC109は、スキャナ装置110を制御する回路(群)である。スキャナASIC109は、スキャナ装置110が生成した画像データを、メモリ制御ASIC103に供給する。
【0021】
スキャナ装置100は、スキャナASIC109からの指示に基づいて、写真やイラスト等の原稿を、光学的にデジタルデータに変換して画像データを生成する。スキャナ装置110は、生成した画像データを、スキャナASIC109に供給する。なお、複合機100がコピー機能を有する場合には、スキャナ装置110が生成した画像データを、印刷エンジン108に印刷させることで、原稿をコピーすることができる。
【0022】
IO制御ASIC111は、各種IO装置を制御する回路(群)である。例えば、各種外部インタフェース112や、後述するサブ制御ASIC121、とのデータの送受信を制御する。具体的には、IO制御ASIC111は、各種外部インタフェース112を介して印刷対象のデータ(画像データ、印刷データを含む)を、USBケーブルなどで物理的に接続されている情報処理装置(図示せず)から受信した場合、受信したデータを、揮発性メモリ103にDMA(Direct Memory Access)転送する。また、サブ制御ASIC121から印刷対象のデータを受信した場合には、メモリ制御ASCI102からの指示にしたがって、各ユニットにデータを転送する。
【0023】
また、LAN部20は、ネットワーク通信の動作を制御するコントローラである。例えば、LAN部20は、後述するネットワーク回路122を制御して、ネットワークを介して接続されている各種情報処理装置と、通信を行う。
【0024】
LAN部20は、図示するように、サブ制御ASIC121と、ネットワーク回路122と、を備えている。ここで、サブ制御ASIC121は、LAN部20と、後述するFAX部30と、にまたがって配置される。
【0025】
サブ制御ASIC121は、メインCPU101、或いは、後述するサブCPU131からの命令に従って、ネットワーク回路122、後述する入出力装置134、後述するFAX回路133、後述する電源制御部141、などを制御する。
【0026】
また、サブ制御ASIC121は、複合機100の状態(節電モードの状態)を示す情報を格納する節電レジスタ1211を備えている。サブ制御ASIC121は、節電レジスタ1211に格納されている情報を変更して、複合機100の節電モードを切り替える制御を行う。
【0027】
節電レジスタ1211は、複合機100が第1の節電モードに設定されている状態か、第2の節電モードに設定されている状態か、どちらの節電モードにも設定されていない状態か、を示す情報を格納する。ここで、第1の節電モードとは、メイン部10に電力を供給せず、後述するサブCPU131がLAN部20とFAX部30を監視するモードである。また、第2の節電モードとは、メイン部10及びLAN部20に電力を供給せず、サブCPU131がFAX部30のみを監視するモードである。なお、どちらの節電モードにも設定されていない場合(以下では、「通常モード」という)には、各部(10〜30)に、所定の電力を供給する。
【0028】
ネットワーク回路122は、インターネット等のコンピュータネットワークに接続されている各種情報処理装置(例えば、一般的なコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Data Assistance)、など)との通信を制御する。ここで、コンピュータネットワークの接続形態は、LAN(Local Area Network)であってもWAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0029】
また、FAX部30は、FAX通信の動作を制御するコントローラである。例えば、FAX部30は、後述するFAX回路133を制御して、電話回線を介して接続されている各種情報処理装置と、FAXデータの送受信を行う。
【0030】
FAX部30は、図示するように、サブ制御ASIC121と、サブCPU131と、サブメモリ132と、入出力装置134と、FAX回路133と、を備えている。
【0031】
サブCPU131は、各種プログラムを実行して、LAN部20及びFAX部30の動作を制御する。例えば、サブCPU131は、ネットワーク通信やFAX通信を行うための命令を各ユニットに送信する。
【0032】
サブメモリ132は、ネットワーク通信により受信した印刷データ、又は、FAX通信により受信したFAXデータ(印刷データ)を、一時的に記憶する一般的なメモリである。
【0033】
入出力装置134は、ユーザからの各種指示を受け付けるためのスイッチやLCD(Liquid Crystal Display)などを備える。ここで、各種指示には、主電源のオン、オフの指示、節電モードを切り替える指示、印刷の指示、などが含まれる。また、入出力装置134は、ユーザに複合機100の状態を知らせるLED(Light Emitting Diode)、なども備える。
【0034】
FAX回路133は、電話回線を介して、各種情報処理装置とFAXデータの送受信を行う。FAX回路133は、受信したFAXデータを、サブメモリ132に一時的に格納し、その後、揮発性メモリ103へ転送して印刷させる。
【0035】
また、複合機100は、電源制御部141と、電源142と、電源制御部141と、を備えている。
【0036】
電源142は、コントローラの各部(メイン部10、LAN部20、FAX部30)にそれぞれ別個に電力を供給する。
【0037】
電源制御部141は、サブ制御ASIC121からの指示に従って、電源142から各部(110〜130)への電力供給を制御する。例えば、電源制御部141は、第1の節電モードに切り替える指示を、サブ制御ASIC121から通知された場合、電源142からメイン部10への電力供給を停止させる。また、第2の節電モードに切り替える指示を通知された場合、電源142からメイン部10及びLAN部20への電力供給を停止させる。
【0038】
次に、上記複合機100、および、各種情報処理装置200に実現される機能構成について説明する。ここで、各種情報処理装置200には、各種外部インタフェース112に接続される各種情報処理装置、ネットワーク回路122に接続される各種情報処理装置、FAX回路133に接続される各種情報処理装置、が含まれる。
【0039】
図2は、複合機100、および、一般的なコンピュータである場合の情報処理装置200、の機能構成の一例を示すブロック図である。図示するように、情報処理装置200上には、オペレーティングシステム部210と、アプリケーション部220と、プリンタドライバ部230と、が構築される。
【0040】
オペレーティングシステム部210は、情報処理装置200のシステム管理と、基本的なユーザ操作環境を提供する、いわゆる、情報処理装置200の基本ソフトウェアである。
【0041】
アプリケーション部220は、ロゴマーク、罫線パターン等のフォームや、印刷対象のドキュメント(画像データ、等)を、作成、編集する処理を行う。例えば、アプリケーション部220は、情報処理装置200が備えるRAM(図示せず)にロードされたアプリケーションプログラムを、CPU(図示せず)が実行することにより情報処理装置200上に構築される。
【0042】
プリンタドライバ部230は、複合機100を制御して印刷を実行させるための処理を行う。具体的には、ユーザからの印刷指示を受け付けると、アプリケーション部220が生成したドキュメントの描画データを読み込んで、複合機100が解釈できる形式の印刷データに変換し、複合機100に送信する。ここで、描画データは、オペレーティングシステム部210で定義されている仕様で記述されたデータであり、印刷データは、例えば、ページ記述言語で記述され、複合機100を制御するコマンド群から構成されている。
【0043】
このため、プリンタドライバ部230は、各種印刷指示、印刷設定等をユーザから受け付けるユーザインタフェース部231と、印刷データの生成、管理、送信等を処理する印刷処理部232と、を備えている。
【0044】
プリンタドライバ部230は、情報処理装置200のRAM(図示せず)にロードされたプリンタドライバプログラムを、CPUが実行することにより情報処理装置200上に構築される。このようなプリンタドライバプログラムは、複合機100のメーカー等により開発され、例えば、CD−ROM等の可搬性の記録媒体に記録することで流通させることができる。そして、この記録媒体を、メディア読取装置(図示せず)で読み取ることにより、情報処理装置200にインストールすることができる。また、インターネット等のコンピュータネットワークを介してインストールすることもできる。
【0045】
一方、複合機100上には、制御部310と、印刷実行部320と、が構築される。制御部310及び印刷実行部320は、メインCPU101及びサブCPU131が所定のプログラムを実行することにより、又は、図1に示した構成要素が動作することにより、ソフトウェア的、ハードウェア的に構築される。
【0046】
制御部310は、情報処理装置200から送信された印刷データを解釈して、印刷データに基づく印刷を複合機100で実行するための制御を行う。具体的には、印刷データに基づくプリントイメージデータを生成し、このプリントイメージデータを印刷するように印刷実行部320に指示を送る。
【0047】
また、制御部310は、コントローラの各部(110〜130)に対して、設定されている節電モードに応じて異なる電力供給を行う。
【0048】
このため、制御部310は、印刷データに基づく印刷を複合機100で実行するための基本的な制御を行う主制御部311と、ユーザからの指示などに従って節電モードを切り替えるモード切替処理部312と、モード切替処理部312が決定した節電モードに応じて、電源142からコントローラの各部(110〜130)への電力供給を管理する電源管理部313と、を備えている。
【0049】
印刷実行部320は、制御部310の指示にしたがって、印刷用紙等の印刷媒体に対して、印刷エンジン108による印刷を実行する。
【0050】
次に、上記構成からなる複合機100の特徴的な動作について説明する。図3は、メインCPU101が行う処理を示すフローチャートである。
【0051】
主電源をオンにする操作が入出力装置134のスイッチに対して行われた場合、又は、複合機100が上述した節電モードから通常のモードに復帰した場合に、主制御部311は、メインCPU101が行う処理を開始する。いずれにせよ、主制御部311は、メイン部10に電力が供給されたことを契機として、メインCPU101が行う処理を開始する。
【0052】
処理を開始後、主制御部311は、印刷処理(ローカル印刷、ネットワーク印刷)、スキャナ処理、FAX送受信処理、などを可能にするためのシステムの初期化を行う(ステップS101)。具体的には、メインCPU101が、不揮発性メモリ104に予め格納されているシステム初期化用プログラムを、揮発性メモリ103にロードして実行する。
【0053】
次に、主制御部311は、複合機100の状態を特定する(ステップS102)。具体的には、メインCPU101が、節電レジスタ1211にアクセスして、複合機100が通常モードに設定されているのか、第1の節電モードに設定されているのか、第2の節電モードに設定されているのか、を特定する。
【0054】
主制御部311は、ステップS102で複合機100の状態を特定した結果、節電モードからの復帰であることを判定した場合には(ステップS103;Yes)、処理をステップS104に移行する。具体的には、メインCPU101が、ステップS102において、第1の節電モード或いは第2の節電モードに設定されていることを特定した場合に、節電モードからの復帰であると判定する。
【0055】
ステップS104では、モード切替処理部312は、システムチェックを行わずに、通常モードに設定する(ステップS104)。具体的には、メインCPU101が、節電レジスタ1211にアクセスして、通常モードを示す情報に変更する(例えば、節電レジスタ1211をクリアする)。なお、節電モードから復帰の場合に、システムチェックを行わないことにより、システムの起動時間を短縮することができる。
【0056】
一方、ステップ130において、主制御部311は、節電モードからの復帰ではない(電源投入である)ことを判定した場合には(ステップS103;No)、処理をステップS105に移行する。具体的には、メインCPU101が、ステップS102において、通常モードに設定されていることを特定した場合に、電源投入であると判定する。
【0057】
ステップS105では、主制御部311は、システムチェックを行う(ステップS105)。具体的には、メインCPU101が、不揮発性メモリ104に予め格納されているシステムチェック用プログラムを、揮発性メモリ103にロードして実行する。ここで、システムチェックによりエラーを検出した場合には、メインCPU101は、エラーをユーザに通知する処理(例えば、入出力装置134の特定のLEDを点灯させる処理など)を行う。
【0058】
ステップS104、又は、ステップS105の処理に続いて、主制御部311は、通常モードに設定されてから、印刷処理の動作をしていない状態が継続した時間を、計測する(ステップS106)。具体的には、メインCPU101が、内部に備えるタイマを用いて計測する。
【0059】
続いて、主制御部311は、印刷指示が有るか否かを判別する(ステップS107)。具体的には、メインCPU101は、メモリ(揮発性メモリ103、不揮発性メモリ104、サブメモリ132を含む)に新たに印刷データ(又は印刷対象のデータ)が格納された場合に、印刷指示が有ると判定し、そうでない場合には、印刷指示はないと判定する。
【0060】
主制御部311が印刷指示が有ると判定した場合(ステップS107;Yes)、印刷実行部320は、印刷処理を実行する(ステップS108)。具体的には、メインCPU101は、印刷データ(又は印刷対象のデータ)を画像処理ASIC105に転送して、印刷処理を行うための命令を各ユニットに送信する。なお、節電モード時に蓄積した印刷データは、メイン部10を復帰後に一括して印刷されることになる。
【0061】
主制御部311は、印刷処理を終了後、処理をステップS106に戻して、メインCPU101の内部タイマをリセットする。
【0062】
一方、ステップS107で、主制御部311が、印刷指示はないと判定した場合(ステップS107;No)、モード切替処理部312は、節電モード(第1の節電モード又は第2の節電モード)への移行の指示が有るか否かを判別する(ステップS109)。具体的には、節電モードへの移行の指示をする操作が入出力装置134に対して行われた場合に、メインCPU101は、節電モードへの移行の指示が有ると判定する。一方、節電モードへの移行の指示をする操作が入出力装置134に対して行われていない場合には、節電モードへの移行の指示はないと判定する。
【0063】
モード切替処理部312は、節電モードへの移行の指示が有ると判定した場合(ステップS109;Yes)、処理をステップS111に移行して、節電モード移行の割り込みを発生する(ステップS111)。具体的には、メインCPU101が、サブCPU131に対して、節電モード移行の割り込み要求を行う。これとともに、メインCPU101は、ユーザに指定された節電モード(第1の節電モード又は第2の節電モード)を示す情報を、節電レジスタ1211にライトする。
【0064】
一方、ステップS109において、モード切替処理部312は、節電モードへの移行の指示がないと判定した場合(ステップS109;No)、ステップS107から計測している経過時間が、予め定めてある時間(例えば、10分)を超えているか否かを判別する(ステップS110)。超えていると判定した場合(ステップS110;Yes)、モード切替処理部312は、処理をステップ111に移行する。一方、超えていないと判定した場合(ステップS110;No)、処理をステップS107に戻す。
【0065】
ステップS111の処理を行った後、主制御部311は、メインCPU101が行う処理を終了する。
【0066】
以上のメインCPU101が行う処理を、複合機100が行うことによって、通常モードと、節電モードと、を相互に切り替えることができる。
【0067】
次に、図4は、サブCPU131が行う処理を示すフローチャートである。
【0068】
主電源をオンにする操作が入出力装置134のスイッチに対して行われ、メイン部10に電力が供給された場合に、主制御部311は、サブCPU131が行う処理を開始する。
【0069】
処理を開始後、主制御部311は、ネットワーク回路122又はFAX回路133を介して、印刷データ(又は印刷対象のデータ)を受信するかを判別する(ステップS201)。具体的には、サブCPU131は、ネットワーク回路122及びFAX回路133に対して、情報処理装置200から印刷データを送信する要求がされているか否かを判別する。
【0070】
情報処理装置200から印刷データを送信する要求がされている場合(ステップS201;Yes)、主制御部311は、処理をステップS202に移行して、情報処理装置200から送信された印刷データを受信する(ステップS202)。このとき、サブCPU131は、受信した印刷データを、サブ制御ASIC121を介して、サブメモリ132に格納する。さらに、サブCPU131は、メインCPU101に対して、印刷するための割り込み要求を行う。その後、主制御部311は、処理をステップS201に戻す。
【0071】
一方、ステップS201で、情報処理装置200から印刷データを送信する要求がされていない場合(ステップS201;No)、主制御部311は、処理をステップS203に移行する。
【0072】
ステップS203では、モード切替処理部312は、節電モード(第1の節電モード又は第2の節電モード)への移行の割り込み要求が有るか否かを判別する(ステップS203)。具体的には、メインCPU101が行う処理のステップS111で、サブCPU131に対して割り込み要求が行われた場合に、節電モードへの移行の割り込み要求が有ると判定する。一方、ステップS111でサブCPU131に対して割り込み要求が行われていない場合には、節電モードへの移行の割り込み要求はないと判定する。
【0073】
節電モードへの移行の割り込み要求はないと判定した場合(ステップS203;No)、モード切替処理部312は、処理をステップS201に戻す。一方、節電モードへの移行の割り込み要求が有ると判定した場合には、モード切替処理部312は、ユーザに指定されている節電モードを特定し、特定した節電モードに切り替える処理を行う。具体的には、サブCPU131は、節電レジスタ1211を参照して、第1の節電モードを示す情報が格納されている場合には(ステップS203;Yes1)、処理をステップS204に移行し、第2の節電モードを示す情報が格納されている場合には(ステップS203;Yes2)、処理をステップS209に移行する。
【0074】
ステップS204では、電源管理部313は、メイン部10の電源をオフにする(ステップS204)。具体的には、サブCPU131は、電源制御部141に、メイン部10の電源をオフにする指示を通知する。このとき、電源制御部141は、電源142を制御して、メイン部10への電力供給を停止する。
【0075】
メイン部10の電源をオフにした後、主制御部311は、ネットワーク通信又はFAX通信により印刷データを受信するか、ユーザによって通常モードに復帰させる指示がされるまで待機する(ステップS205;No)。印刷データを受信した場合か、通常モードへの復帰の指示がされた場合には(ステップS205;Yes)、主制御部311は、処理をステップS206に移行する。ここで、ネットワーク通信又はFAX通信により印刷データを受信したか否かは、サブCPU131が、サブメモリ132に新たな印刷データが格納されたか否かにより判定する。また、通常モードに復帰させる指示がされたか否かは、入出力装置134からの指示により判定する。
【0076】
ステップS206では、電源管理部313は、メイン部10の電源をオンにする(ステップS206)。具体的には、サブCPU131は、電源制御部141に、メイン部10の電源をオンにする指示を通知する。このとき、電源制御部141は、電源142を制御して、メイン部10への電力供給を再開する。
【0077】
そして、主制御部311は、ステップS205で、ネットワーク通信又はFAX通信により印刷データを受信した場合には、処理をステップS208に移行し(ステップS207;印刷データ受信)、通常モードへの復帰の指示がされた場合には、処理をステップS201に戻す(ステップS207;復帰の指示)。
【0078】
ステップS208では、主制御部311は、受信した印刷データを、サブメモリ132に格納する。このとき、サブCPU131は、メインCPU101に対して、印刷データを受信したことを通知する割り込み要求を行う。その後、主制御部311は、処理をステップS201に戻す。
【0079】
一方、ステップS209では、電源管理部313は、メイン部10の電源をオフにするとともに、LAN部20の電源もオフにする(ステップS209)。具体的には、サブCPU131は、電源制御部141に、メイン部10及びLAN部20の電源をオフにする指示を通知する。このとき、電源制御部141は、電源142を制御して、メイン部10及びLAN部20への電力供給を停止する。
【0080】
メイン部10及びLAN部20の電源をオフにした後、主制御部311は、FAX通信により印刷データを受信するか、ユーザによって通常モードに復帰させる指示がされるまで待機する(ステップS210;No)。印刷データを受信した場合には(ステップS210;印刷データ受信)、主制御部311は、処理をステップS211に移行する。一方、通常モードへの復帰の指示がされた場合には(ステップS210;復帰の指示)、処理をステップS213に移行する。
【0081】
ステップS211では、主制御部311は、受信データを、サブメモリ132に格納する(ステップS211)。具体的には、サブCPU131が、FAX回路133で受信した印刷データを、サブ制御ASIC121を介して、サブメモリ132に格納する。
【0082】
ここで、サブメモリ132の容量が不足していて、全印刷データをサブメモリ132に格納できない場合(ステップS212;Yes)、電源管理部313は、処理をステップS213に移行して、メイン部10の電源をオンにする(ステップS213)。これとともに、LAN部20の電源もオンにする。一方、全印刷データをサブメモリ132に格納できた場合には(ステップS212;No)、主制御部311は、処理をステップS210に戻す。
【0083】
そして、主制御部311は、ステップS210で、FAX通信により印刷データを受信している場合には、処理をステップS215に移行し(ステップS214;印刷データ受信)、通常モードへの復帰の指示がされた場合には、処理をステップS201に戻す(ステップS214;復帰の指示)。
【0084】
ステップS215では、主制御部311は、受信した印刷データを、メイン部10の揮発性メモリ103(又は不揮発性メモリ104)に転送する(ステップS215)。このとき、サブCPU131は、メインCPU101に対して、印刷データを受信したことを通知する割り込み要求を行う。その後、主制御部311は、処理をステップS201に戻す。
【0085】
以上のサブCPU131が行う処理を、複合機100が行うことによって、第1の節電モードが指示された場合には、メイン部10の電源だけをオフにすることができる。さらに、第2の節電モードが指示された場合には、メイン部10及びLAN部20の電源をオフにすることができる。
【0086】
以上のように、上記実施形態の複合機100では、コントローラの各部(メイン部10、LAN部20、FAX部30)が消費する電力を、ユーザの使用状況に応じて節約することができる。例えば、夜間などに、FAX通信機能のみを動作させておきたい場合には、第2の節電モードに設定しておけば、メイン部10及びLAN部20は電力を消費せず、効率よく節電できる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0088】
例えば、上記実施形態では、メイン部10と、LAN部20と、FAX部30と、の3つのコントローラに、それぞれ別個に電力供給が可能である。しかし、これに限定されない。例えば、スキャナ機能の動作を行うスキャナASIC109とスキャナ装置110を、メイン部10とは別のコントローラとして、個別に電力供給を行えるようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、第1の節電モードと、第2の節電モードと、を設定可能にしている。しかし、これに限定されない。例えば、第3の節電モードを設け、第3の節電モード時には、メイン部10のみに電力供給するようにしてもよいし、LAN部20にのみ電力供給するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機のハードウェア構成図である。
【図2】複合機の機能構成を説明するためのブロック図である。
【図3】メインCPUが行う処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】サブCPUが行う処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
10・・・メイン部、20・・・LAN部、30・・・FAX部、100・・・複合機、101・・・メインCPU、102・・・メモリ制御ASIC、103・・・揮発性メモリ、104・・・不揮発性メモリ、121・・・サブ制御ASIC、122・・・ネットワーク回路、131・・・サブCPU、132・・・サブメモリ、133・・・FAX回路、134・・・入出力装置、141・・・電源制御部、142・・・電源、200・・・情報処理装置、310・・・制御部、311・・・主制御部、312・・・モード切替処理部、313・・・電源管理部、320・・・印刷実行部、1211・・・節電レジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスを備える複合機であって、
前記複数のデバイスを制御する複数のコントローラと、
前記各コントローラに対して、別個に電力供給を行う電源制御手段と、
節電モードの指示を受け付ける受付手段と、を備え、
前記電源制御手段は、
前記節電モードの指示を受け付けた場合に、前記複数のコントローラのうち、少なくとも1つのコントローラへの電力供給を停止する、
ことを特徴とする複合機。
【請求項2】
請求項1に記載の複合機であって、
前記複数のコントローラは、
ネットワーク通信により印刷データを受信するデバイスについて制御を行う第1のコントローラと、
FAX通信により印刷データを受信するデバイスについて制御を行う第2のコントローラと、
前記第1のコントローラ及び前記第2のコントローラが制御しないデバイスについて制御を行う第3のコントローラと、である、
ことを特徴とする複合機。
【請求項3】
請求項2に記載の複合機であって、
前記電源制御手段は、
前記節電モードの指示を受け付けた場合に、前記第3のコントローラへの電力供給を停止する、
ことを特徴とする複合機。
【請求項4】
請求項2に記載の複合機であって、
前記受付手段は、
第1の節電モードと、第2の節電モードと、のいずれかの節電モードを受け付け、
前記電源制御手段は、
前記第1の節電モードの指示を受け付けた場合には、前記第3のコントローラへの電力供給を停止し、前記第2の節電モードの指示を受け付けた場合には、前記第1のコントローラ及び前記第3のコントローラへの電力供給を停止する、
ことを特徴とする複合機。
【請求項5】
複数のデバイスを備える複合機の節電方法であって、
前記複合機は、
前記複数のデバイスを制御する複数のコントローラと、
前記各コントローラに対して、別個に電力供給を行う電源制御部と、
制御部と、を備え、
前記制御部が、前記節電モードの指示を受け付ける受付ステップと、
前記節電モードの指示を受け付けた場合に、前記電源制御部が、前記複数のコントローラのうち、少なくとも1つのコントローラへの電力供給を停止するモード切替ステップと、
を行うことを特徴とする複合機の節電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−177387(P2009−177387A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12307(P2008−12307)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】