説明

複合誘導加熱調理器

【課題】複合誘導加熱調理器の誘導加熱調理器と専用グリル調理容器とを組み合わせたグリル調理容器の清掃時のお手入れ性や使い勝手、おいしさの向上を図ること。
【解決手段】外郭ケース2の中に誘導加熱装置3a,3bと冷却装置5と制御装置4a,5bを配設してなる本体ユニット1とトッププレートユニット6とからなる誘導加熱調理器と、誘導加熱装置3a,3bに対向するように、トッププレート7に載置されたグリル調理容器9を、筐体を構成する上枠体10と下枠体11を上下に開閉する回動体13とドーナツ型に略同心円状に銅線を巻いた置換コイル14と抵抗過熱装置18とで構成し、置換コイルを前記下枠体の下方に誘導加熱装置3a,3bに対向するように配設し、置換コイルの端末を前記抵抗加熱装置に電気的に接続することにより、おいしさと使い勝手の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に家庭用のシステムキッチンで使用する誘導加熱調理器に関し、特にグリル調理において、電源コードを有さない専用グリル調理容器と組み合わせて、誘導加熱調理器の誘導加熱を専用グリル調理容器の抵抗加熱に置換して、自動調理する複合誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の複合誘導加熱調理器は、家庭用のシステムキッチンに使用される誘導加熱調理器の構成において、グリル調理は、誘導加熱調理器本体内部に組み込まれたグリル部で調理できるものがある(例えば、特許文献1参照)。また、そのような機能を有さない誘導加熱調理器においては、市販のフライパンを使い調理したり、単独で調理ができる電気魚焼き器を使用している(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
図7は、従来の組込み型の誘導加熱調理器の要部断面図である。
【0004】
図7に示すように、本体ユニット70は、外郭ケース71の中に3口の誘導加熱装置72と冷却装置73と制御装置74とロースターユニット75を配設して構成されている。
【0005】
ロースターユニット75は、ロースターケース76の中に、抵抗加熱方式の上ヒーター77と下ヒーター78を配設し、受皿79と焼き網80を配設して、被加熱調理物を焼き網80に載置して加熱調理する。
【0006】
トップユニット81は、トップフレーム82の下方に、トッププレート83とさらにその下方にアンダーフレーム84を配設し、トップフレーム82とトッププレート83とアンダーフレーム84を互いに接着、かしめて固定している。
【0007】
ここで、本体ユニット70の上方開口部を覆うように、トップユニット81を載置して、アンダーフレーム84に溶接された取付金具85で外郭ケース71とビス締め固定されている。
【0008】
図8は、従来の電気魚焼器の要部断面図である。図8に示すように、本体ユニット90の外郭を構成する上ケース91と下ケース92において、上ケース91の天面開口部93に蝕媒体94を配設し、下ケース92に抵抗加熱方式のヒーター95を配設して、受皿96に焼き網97を載置して、非加熱調理物を加熱調理するように構成されている。なお、電源コード98を家庭の100V電源コンセントにつなぎ、電気を供給して、ヒーター95は、操作部99で制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−1483号公報
【特許文献2】特開平8−107828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の図7に代表される組込み型の誘導加熱調理器の構成では、ロースターユニット75の内部は、被加熱調理物を上ヒーター77と下ヒーター78とで加熱するため、油脂分が周囲に焼きつき、汚れが堆積しやすく、容易に清掃しにくく清掃時
のお手入れ性や使い勝手が悪いという課題を有していた。
【0011】
また、組込み型の誘導加熱調理器の中には、ロースターユニット75を有さない構成のものもあり、そのような場合は、市販のフライパンなどを使って魚を調理することになり、自動でおいしく簡単に調理することができないという課題を有していた。
【0012】
図8に代表される電気魚焼器において、ヒーター95は家庭の100V電源を利用しているので、電気容量に制約があり、高出力での加熱調理ができないため、魚などをおいしく調理することが難しく、調理時間も長くなる傾向にあるという課題を有していた。
【0013】
また、キッチンでの調理を一つの調理器でまかなえず、使い勝手が悪いという課題を有していた。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、清掃時のお手入れ性や使い勝手、おいしさの向上を図ることのできる複合誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の複合誘導加熱調理器は、外郭ケースの中に誘導加熱装置と冷却装置と制御装置を配設してなる本体ユニットとトッププレートユニットとからなる誘導加熱調理器と、前記誘導加熱装置に対向するように、トッププレートに載置されたグリル調理容器は、筐体を構成する上枠体と下枠体を上下に開閉する回動体とドーナツ型に略同心円状に銅線を巻いた置換コイルと抵抗過熱装置とから構成され、前記置換コイルは前記下枠体の下方に前記誘導加熱装置に対向するように配設され、置換コイルの端末を前記抵抗加熱装置に電気的に接続するとしたものである。
【0016】
これによって、誘導加熱調理器の誘導加熱装置を通電すると、トッププレートに載置されたグリル調理容器の抵抗加熱装置が高出力で加熱され、かつグリル調理容器の外郭を構成する部品を本体から脱着自在に構成することで、清掃時のお手入れ性や使い勝手、おいしさの向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の複合誘導加熱調理器は、グリル調理容器の清掃時のお手入れ性や使い勝手、おいしさの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における複合誘導加熱調理器の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態2における複合誘導加熱調理器の誘導加熱調理器の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態3における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態4における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図
【図5】本発明の実施の形態5における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図
【図6】本発明の実施の形態6における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図
【図7】従来の組込み型誘導加熱調理器の要部断面図
【図8】従来の電気魚焼器の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の発明は、外郭ケースの中に誘導加熱装置と冷却装置と制御装置を配設してなる本体ユニットと、トッププレートの下面にアンダーフレームを接着固定したトッププレートユニットとからなる誘導加熱調理器と、前記誘導加熱装置に対向するように、前記トッププレートに載置されたグリル調理容器は、筐体を構成する上枠体と下枠体を上下に開閉する回動体と前記下枠体に載置される受皿と被加熱調理物を載置する焼き網とドーナツ型に略同心円状に銅線を巻いた置換コイルと抵抗加熱装置とから構成され、前記置換コイルは前記下枠体の下方に前記誘導加熱装置に対向するように配設され、前記置換コイルの端末を前記抵抗加熱装置に電気的に接続したことにより、誘導加熱調理器の誘導加熱装置を通電すると置換コイルとの間に磁気結合が生じ、渦電流が置換コイル内に電流として流れ、抵抗加熱装置を高出力で加熱することができ、グリル調理容器単独で電源供給する必要がなく電源コードも不要で、持ち運びや収納が便利で使い勝手を向上することができる。
【0020】
第2の発明は、特に、第1の発明のグリル調理容器を誘導加熱調理器の制御装置で制御して、自動で加熱調理することにより、魚などの被加熱調理物の負荷量、種類などによる調理ばらつきを自動で補正して、最適な調理シーケンスで加熱調理することができ、よりおいしく使い勝手のよいものとすることができる。
【0021】
第3の発明は、特に、第1の発明の被加熱調理物をはさむように、上方と下方に上抵抗加熱装置と下抵抗加熱装置を配設し、互いを並列に電気的に接続して、置換コイルの端末と電気的に接続することにより、誘導加熱調理器の誘導加熱装置を通電すると、置換コイルとの間に磁気結合が生じ、渦電流が置換コイル内に電流として流れ、上抵抗加熱装置と下抵抗加熱装置を高出力で加熱することができ、被加熱調理物をひっくり返す手間が要らず、かつ理想的な加熱により、さらにおいしさと使い勝手を向上することができる。
【0022】
第4の発明は、特に、第3の発明の上抵抗加熱装置と下抵抗加熱装置は回動体に固定され、上枠体は脱着自在に回動体に取り付けたことにより、魚などの油脂分や油煙によって焼きつき、汚れやすい上枠体のみを取り外し、簡単かつ隅々まできれいに清掃することができる。
【0023】
第5の発明は、特に、第1の発明のドーナツ型の置換コイルの内方に被加熱プレートを配設し、前記被加熱プレートの下面がトッププレートに当接するように下枠体に配設し、前記被加熱プレートに受皿を載置することにより、誘導加熱調理器の誘導加熱装置を通電すると、被加熱プレートが誘導加熱され、かつ、置換コイルとの間に磁気結合が生じ、渦電流が置換コイル内に電流として流れて、上抵抗加熱装置を加熱するため、熱伝導で加熱された受皿に、直に被加熱調理物を載置して、加熱しながら上抵抗加熱装置の輻射熱で加熱することができ、魚などだけでなくパエリアやグラタンといった調理メニューもおいしく調理することができる。
【0024】
第6の発明は、特に、第5の発明の被加熱プレートの上面には段差6mm以上の凸凹部を複数個有し、焼き網の代わりに凸部に被加熱調理物を載置することにより、誘導加熱調理器の誘導加熱装置を通電すると、被加熱プレートが誘導加熱され、かつ、置換コイルとの間に磁気結合が生じ、渦電流が置換コイル内に電流として流れ、上抵抗加熱装置を加熱するため、魚や肉類を調理する際に余分な油を凹部に落として被加熱調理物と分離し、かつ、上方の上抵抗加熱装置から輻射熱でおいしく調理することができる。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における複合誘導加熱調理器の要部断面図を示すものである。
【0026】
図1において、本体ユニット1は、外郭ケース2の中に2つの誘導加熱装置3a、3b
と、2つの制御装置4a、4bと、1つの冷却装置5を内蔵している。
【0027】
次に、トッププレートユニット6は、結晶化ガラス製のトッププレート7の下方にアンダーフレーム8を配設し接着剤で固定している。ここで本体ユニット1は、その上方開口部を覆うようにアンダーフレーム8に着脱自在に嵌合し、ビス締め固定され、トッププレートユニット6と一体に構成される。
【0028】
このような構成の誘導加熱調理器において、グリル調理容器9は、誘導加熱装置3aまたは3bの加熱部に対向するように、トッププレート7に載置される。次に、グリル調理容器9は、外郭を構成する上枠体10と下枠体11とで構成され、下枠体11の略底面を結晶化ガラス、または、樹脂などの非誘導加熱材料でできた保護枠12で嵌合して構成し、上枠体10と下枠体11を回動体13で固定して、上枠体10が上下に回動できるように構成している。
【0029】
ここで、保護枠12上に、エナメル線を略同心円状にドーナツ型に巻いた置換コイル14を接着固定し、遮熱板15で置換コイル14とグリル調理容器9の庫内を隔離して、遮熱板15の上に受皿16を載置し、受皿16の上に焼き網17を載置している。
【0030】
さらに、上枠体10の回動と同期して、抵抗加熱装置18が、焼き網17の上方に配設され、被加熱調理物を覗けるように、上枠体10に透明ガラス窓19が配設され、さらに上枠体10を上下回動させるための持ち手20を上枠体10の側面に配設している。
【0031】
ここで、置換コイル14の両端は、抵抗加熱装置18の端末部と電気的に接続した構成としている。なお、誘導加熱調理器は、200V電源が供給され、誘導加熱装置3a、3bは3kWの高出力が発生するようになっている。
【0032】
以上のように構成された誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0033】
まず、グリル調理容器9の焼き網17に魚を載置し、上枠体10を閉じて誘導加熱調理器の誘導加熱装置3aに対向するようにグリル調理容器9をトッププレート7に載置して、誘導加熱装置3aを誘導加熱すると、非誘導加熱材料である保護枠12は加熱されず、誘導加熱装置3aから発生した渦電流が磁気結合によって、置換コイル14に電流が流れ、電気的に接続された抵抗加熱装置18に電流が流れる。
【0034】
ここで、大きな抵抗値を有する抵抗加熱装置18は、ジュール熱によりおよそ1000Wから2000Wの大容量を発生するように作用する。グリル調理容器9のみでは電源コードもなく、加熱調理器とはならないが、誘導加熱調理器とグリル調理容器9の複合により誘導加熱を抵抗加熱に置換することができるよう作用する。
【0035】
以上のように、本実施の形態においては、グリル調理をおこなうグリル調理容器は、トッププレートの下方に配設された誘導加熱装置に対向するようにグリル調理容器の下方に置換コイルを配設して、グリル調理容器に配設された抵抗加熱装置と置換コイルを電気的に接続することにより、グリル調理容器9は、電源コードもなく調理容器として、コンパクトに収納でき、必要なときに簡単に高火力のグリル調理をすることができ、おいしさと使い勝手の向上を図るよう作用する。
【0036】
なお、抵抗加熱装置18は、所定の高火力を実現できる抵抗を有していれば、シーズヒーターやハロゲンヒータやミラクロンヒーターなどいずれでもよい。また、グリル調理容器9は、誘導加熱調理器が有する誘導加熱装置3a、3bのいずれでも加熱調理可能で、その他に誘導加熱装置を有している場合にも加熱調理可能であることは言うまでもない。
【0037】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における複合誘導加熱調理器の誘導加熱調理器の要部断面図である。なお、本実施の形態2の基本構成は、実施の形態1と同様であるので、その同様な部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ機能には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図2において、本実施の形態の特徴は、操作部21にグリル自動メニュースイッチ22を配設し、自動シーケンスが組み込まれたマイクロコンピュータ23(以下、マイコンと称す)を有した制御装置5と電気的に接続している点である。
【0039】
以上のように構成された複合誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0040】
本体ユニット1の略天面手前側に配設された操作部21に、グリル自動メニュースイッチ22を配設し、魚焼メニュー、鶏肉メニュー、さつまいもメニューなどを選択すると制御装置4a,4bのマイコン23により自動シーケンスの制御が働き、自動で最適なグリル調理を実現することができるように作用する。
【0041】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図である。なお、本実施の形態3の基本構成は実施の形態1と同様であるので、その同様な部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。また実施の形態1と同じ機能には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図3において本実施の形態の特徴は、グリル調理容器30の上枠体10の回動に同期するように上抵抗加熱装置31が回動体13に固定され、下枠体11の回動に同期するように下抵抗加熱装置32が回動体13に固定され、上抵抗加熱装置31と下抵抗加熱装置32が電気的に並列に並列接続部33で接続され、さらに置換コイル14と置換コイル接続部34で電気的に接続されている点である。
【0043】
以上のように構成された複合誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0044】
誘導加熱装置3aを誘導加熱すると、非誘導加熱材料である保護枠12は加熱されず、誘導加熱装置3aから発生した渦電流が磁気結合によって置換コイル14のみに電流が流れ、電気的に接続された上抵抗加熱装置31および下抵抗加熱装置32に電流が流れる。
【0045】
ここで、大きな抵抗値を有する上抵抗加熱装置31および下抵抗加熱装置32には、それぞれの抵抗値に比例してジュール熱によりおよそ1000Wから2000Wの大容量を発生するように作用する。被加熱調理物をはさんで上下から高火力の輻射熱を発生させて短時間においしく調理を実現できるように作用する。
【0046】
(実施の形態4)
図4は、本発明の第4の実施の形態における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図である。なお、本実施の形態4の基本構成は、実施の形態3と同様であるので、その同様な部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。また実施の形態1と同じ機能には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図4において、本実施の形態の特徴は、グリル調理容器40において、上枠体41の回
動部近傍に上キー溝47を配設し、回動軸45は上回動体43に配設されたL字型の上キー溝47に嵌合している。
【0048】
また上抵抗加熱装置31は、上回動体43の先端でフランジ46aとかしめられ、ビス締め固定されている。同様に下抵抗加熱装置32は下回動体44の先端でフランジ46bとかしめられ、ビス締め固定されている点である。
【0049】
以上のように構成された複合誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0050】
上枠体41と上抵抗加熱装置31は固定されておらず、別体であるため回動軸45をL字型の上キー溝47から外せば上枠体41のみを外すことができ、加熱調理による油脂分、油煙などの焼きつき、汚れを障害なく隅々まで簡単に清掃することができるように作用する。
【0051】
なお、本実施の形態4では上枠体41と上抵抗加熱装置31は固定しない構成としているが、上抵抗加熱装置31の片持ち取付けによる上抵抗加熱装置31の変形や垂れ下がりを防止するために、上抵抗加熱装置31の先端近傍を下方から支持する部材を、上キー溝47を外しながら上抵抗加熱装置31から外せる構成のものを取り付けてもよい。
【0052】
(実施の形態5)
図5は、本発明の第5の実施の形態における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図である。なお、本実施の形態5の基本構成は実施の形態1と同様であるので、その同様な部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。また実施の形態1と同じ機能には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図5において、本実施の形態の特徴は、グリル調理容器51において、被加熱プレート53を置換コイル52の内側に嵌め込むようにし、被加熱プレート53の誘導加熱面54が、トッププレート7に載置するように配設し、置換コイル52はセラミックや樹脂製の非誘導加熱材料でできた保護枠55に載置され下枠体56と嵌合固定し、誘導加熱面54に受皿16を載置している点である。
【0054】
以上のように構成された複合誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
誘導加熱装置3aを誘導加熱すると、まず非誘導加熱材料である保護枠55は加熱されず、誘導加熱装置3aから発生した渦電流が磁気結合によって置換コイル52のみに電流が流れ、電気的に接続された抵抗加熱装置31に電流が流れる。ここで、大きな抵抗値を有する抵抗加熱装置31は、ジュール熱によりおよそ1000Wから2000Wの大容量を発生するように作用する。同時にトッププレート7に載置された被加熱プレート53の誘導加熱面54は誘導加熱装置3aによって誘導加熱され、高火力を発生させることができるように作用する。これにより受皿16の熱伝導による加熱と上方からの輻射熱を利用して最適でバラエティー豊かな調理メニューを演出し、おいしさと使い勝手を向上するように作用する。
【0056】
(実施の形態6)
図6は、本発明の第6の実施の形態における複合誘導加熱調理器のグリル調理容器の要部断面図である。なお、本実施の形態6の基本構成は実施の形態5と同様であるので、その同様な部分の説明は省略し、相違点を中心に説明する。また実施の形態1と同じ機能には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図6において、本実施の形態の特徴は、実施の形態5のグリル調理容器60において、置換コイル52の内側に嵌め込むように被加熱プレート61をトッププレート7に載置するように配設し、被加熱プレート61の上面が段差6mm以上の凸凹形状を並列に複数重合した凸凹誘導加熱面62を構成して、被加熱調理物を直接凸面63に載せている点である。
以上のように構成された複合誘導加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0058】
誘導加熱装置3aを誘導加熱すると、まず非誘導加熱材料である保護枠55は加熱されず、誘導加熱装置3aから発生した渦電流が磁気結合によって置換コイル52に電流が流れ、電気的に接続された抵抗加熱装置18に電流が流れる。
【0059】
ここで、大きな抵抗値を有する抵抗加熱装置18は、ジュール熱により、およそ1000Wから2000Wの大容量を発生するように作用する。同時にトッププレート7に載置された被加熱プレート61の凸面63は誘導加熱装置3aによって誘導加熱され、高火力を発生させることができ、加熱中に被加熱調理物から出てくる余分な油を凸凹加熱面62で被加熱調理物から分離して、おいしさを向上するように作用する。
【0060】
またこれにより、直接の誘導加熱と上方からの輻射熱を利用して、最適でバラエティー豊かな調理メニューを演出し、おいしさと使い勝手を向上するように作用する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる複合誘導加熱調理器は、グリル調理容器の清掃時のお手入れ性や使い勝手、おいしさの向上を図ることができるので、一般家庭のキッチンに設置される全ての誘導加熱調理器に有効である。
【符号の説明】
【0062】
1 本体ユニット
2 外郭ケース
3a、3b 誘導加熱装置
4a、4b 制御装置
5 冷却装置
6 トッププレートユニット
7 トッププレート
8 アンダーフレーム
9、30、40、51、60 グリル調理容器
10、41 上枠体
11、42、56 下枠体
13 回動体
14、52 置換コイル
16 受皿
17 焼き網
18 抵抗加熱装置
31 上抵抗加熱装置
32 下抵抗加熱装置
53 被加熱プレート
61 被加熱プレート
62 凸凹誘導加熱面
63 凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭ケースの中に誘導加熱装置と冷却装置と制御装置を配設してなる本体ユニットと、トッププレートの下面にアンダーフレームを接着固定したトッププレートユニットとからなる誘導加熱調理器と、前記誘導加熱装置に対向するように、前記トッププレートに載置されたグリル調理容器は、筐体を構成する上枠体と下枠体を上下に開閉する回動体と前記下枠体に載置される受皿と被加熱調理物を載置する焼き網とドーナツ型に略同心円状に銅線を巻いた置換コイルと抵抗加熱装置とから構成され、前記置換コイルは前記下枠体の下方に前記誘導加熱装置に対向するように配設され、前記置換コイルの端末を前記抵抗加熱装置に電気的に接続した複合誘導加熱調理器。
【請求項2】
グリル調理容器を誘導加熱調理器の制御装置で制御して、自動で加熱調理する請求項1に記載の複合誘導加熱調理器。
【請求項3】
被加熱調理物をはさむように上方と下方に上抵抗加熱装置と下抵抗加熱装置を配設し、互いを並列に電気的に接続して、置換コイルの端末と電気的に接続してなる請求項1に記載の複合誘導加熱調理器。
【請求項4】
上抵抗加熱装置と下抵抗加熱装置は回動体に固定され、上枠体は脱着自在に回動体に取り付けた請求項3に記載の複合誘導加熱調理器。
【請求項5】
ドーナツ型の置換コイルの内方に被加熱プレートを配設し、前記被加熱プレートの下面がトッププレートに当接するように下枠体に配設し、前記被加熱プレートに受皿を載置してなる請求項1に記載の複合誘導加熱調理器。
【請求項6】
被加熱プレートの上面には段差6mm以上の凸凹部を複数個有し、焼き網の代わりに凸部に被加熱調理物を載置してなる請求項5に記載の複合誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262751(P2010−262751A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110540(P2009−110540)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】