複層ガラス製品の出荷・配送システムおよび方法
【課題】納入先の要求に合わせて生産された複層ガラス製品を、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することのできるように、出荷および配送するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】サーバコンピュータ1は、複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成する。サーバコンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を、出荷・配送する。
【解決手段】サーバコンピュータ1は、複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成する。サーバコンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を、出荷・配送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が使用する単位・順序で生産された複層ガラス製品を、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することができるように出荷および配送するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複層ガラス製品を生産する工程においては、生産効率を向上させることを目的として、顧客からのオーダを、例えば、ガラス板の品種別,空気層の種別,大きさ別のようなロット単位にまとめ、さらに、これらのロットごとに生産工程で造りやすい順番で複層ガラス製品の生産が行われていた。
【0003】
また、生産された複層ガラス製品を顧客へ納入する工程すなわち出荷・配送工程においては、物流過程において運びやすい単位で包装し、バッチで納入が行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の出荷・配送システムにおいては、顧客側が複層ガラス製品を使用する場合(例えば、住宅用外壁パネルの組立ラインにおいて、外壁パネルに組み付ける順序で複層ガラス製品を流す場合)、または顧客である1次取扱い店が複層ガラス製品を建築現場別に配送する場合には、顧客側で、納品された複層ガラス製品の保管、仕分け等を行わなければならず、取り扱いが非常に煩雑である上に、保管、仕分けのためのスペースを要するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、顧客等の納入先の要求(顧客が使用する単位と順序)に合わせて生産された複層ガラス製品を包装し、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することのできる複層ガラス製品の出荷・配送システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、顧客からの受注情報(品種,寸法,枚数,納期等)に使用単位情報(客先,邸別,物件別等)および使用順序情報を付加して出荷用物流具(パレット等)へ積み付ける順序を決定するようにした。
【0007】
このようにすることにより、生産ラインエンド(生産ラインの終端)において、積み替えなしに、顧客の要求に対応した積み付けを行うことができる。
【0008】
具体的には、本発明の複層ガラス製品の出荷・配送システムは、複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成するコンピュータと、前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を配送する車両とを備える。
【0009】
このような構成により、積み付け工程における仮置きおよびピッキングを排除し、生産ラインからダイレクトに出荷用物流具に積み付けることが可能となる。
【0010】
なお、本明細書においてオーダとは、複層ガラス製品の注文を意味し、オーダのガラス板データとは、注文された複層ガラス製品を構成する各ガラス板の仕様についてのデータを意味する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、顧客の要求(顧客が使用する単位と順序)に合わせて複層ガラス製品を包装および納入することができる。
【0012】
さらに、後工程における複層ガラス製品の使用単位および使用順序に従って納入を行うことができるので、顧客側では、納入された単位および順序で複層ガラス製品を使用することができ、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る複層ガラス製品の生産工程をも含めて示す出荷・配送システムの概略図であり、図2は、複層ガラス製品生産システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1,図2に示すように、複層ガラス製品生産システムは、サーバコンピュータ1と、ガラス切断機コンピュータ2と、割台モニタ3と、ガラス切断機4と、部材加工機コンピュータ5と、部材加工機6と、入れ込み指図コンピュータ7と、検査・マッチング指図コンピュータ8と、取上げ指図コンピュータ9と、積み荷明細表示コンピュータ10と、製造指図用コンピュータ11とを備えている。
【0016】
サーバコンピュータ1には、例えば上位のメインフレーム・コンピュータから各生産拠点ごとの受注データが入力される。サーバコンピュータ1は、入力された受注データ、特に、邸別等の使用単位情報・組立順等の使用順序情報に基づいて、複層ガラス製品の各オーダに対して後述するような生産順位の決定を行う。
【0017】
次に、サーバコンピュータ1は、決定された生産順位等に基づいて、後述するように、各オーダに対して収容台車を設定し、ガラス板データの掛け合わせパターンおよび切断順位を決定し、この掛け合わせパターンおよび切断順位を含む切断データを作成してガラス切断機コンピュータ2へ送信する。
【0018】
また、サーバコンピュータ1は、決定された生産順位等に基づいて、後述するような部材加工情報を作成して部材加工機コンピュータ5へ送信する。
【0019】
さらに、サーバコンピュータ1は、生産順位を含む製造指図情報を、製造指図用コンピュータ11を介して入れ込み指図コンピュータ7と、検査・マッチング指図コンピュータ8と、取上げ指図コンピュータ9とに送信する。他方、サーバコンピュータは、積み荷明細情報を作成して、生産順位を含む生産順位情報とともに積み荷明細表示コンピュータ10へ送信する。
【0020】
ガラス切断工程では、ガラス切断機コンピュータ2は、受信した切断データに基づき、切断順位に従って、ガラス切断機4に指示を与える。
【0021】
ガラス切断機4は、ガラス切断機コンピュータ2からの指示に基づいて、所定の品種およびサイズの被切断板ガラス(以下「素板」という)を対象として、所定の切断パターンの切断線を入れる。
【0022】
割台モニタ3には、ガラス切断機コンピュータ2から、切断パターンを含み切り出された切断済みガラス板の収容箇所を指示する収容箇所指示情報が送信され、割台モニタ3上に表示される。なお、収容箇所指示情報は、サーバコンピュータ1によって作成されてもよく、ガラス切断機コンピュータ2によって作成されてもよい。
【0023】
割台においては、入れられた切断線に沿って素板が割られ、割台モニタ3に表示された収容箇所指示情報に従って、切断済みガラス板が、後述する収容台車内の所定の収容箇所に(生産ラインに流される順序で)収容される。
【0024】
図3は、生産作業指示画面の構成例を示す図である。入れ込み指図コンピュータ7は、受信した入れ込み指図情報(製造指図情報)に基づき、生産順位に従って生産作業指示画面を表示する。
【0025】
切断済みガラス板の入れ込み工程では、生産作業指示画面上の入れ込み指図情報に従って、収容台車に収容されている切断済みガラス板が、収容箇所番号(ガラス板収容部の番号)の昇順に生産ライン(メインライン)上に流される。
【0026】
また、入れ込み指図コンピュータ7に送信される入れ込み指図情報にはマーク情報が含まれており、図3に示されるような生産作業指示画面内のマーク情報に従って、切断済みガラス板にマークが刻印される。
【0027】
生産ライン上に流された切断済みガラス板は、洗浄・乾燥機によって洗浄および乾燥がなされ、汚れ,傷等の検査がなされる。
【0028】
一方、部材加工サブラインにおいては、部材加工機コンピュータ5は、スペーサ等の部材の部材加工情報を受信し、部材加工機6に加工指示を与える。
【0029】
部材加工情報には、生産順位情報,加工内容情報が含まれ、生産順位情報には生産順位が含まれ、加工内容情報には、部材品番,切断寸法,加工寸法,数量等の情報が含まれる。
【0030】
部材加工機6は、部材加工機コンピュータ5からの加工指示に従って、指定された順序で部材の加工を行う。
【0031】
これにより、メインライン上で切断済みガラス板に組み付けられるスペーサ等の部材を、メインラインの生産順位にあわせて加工することができ、メインラインと部材加工サブラインとの同期を図ることができる。
【0032】
加工が終了した部材の内部には、乾燥剤が封入され、切断済みガラス板との接触面に1次シール材が塗布される。
【0033】
次に、部材の貼り付け工程において、検査・マッチング指図コンピュータ8には、製造指図情報が送信され、生産順位に従って、切断済みガラス板および各切断済みガラス板に貼り付けられる部材情報が指示される。
【0034】
この製造指図情報により、加工された部材を、指定された切断済みガラス板に正確に組み合わせることができる。
【0035】
ここでは、1次シール材が塗布された部材が、検査工程後の切断済みガラス板で挟まれ、プレス加工を行うことによって圧着される。
【0036】
次に、圧着によって製造された複層ガラス仕掛品の外周部に2次シール材が注入され封着される。
【0037】
エッジ部材加工サブラインにおいては、ガラス板外縁部に設けられる部材であるエッジ部材(アダプタ,グレージングチャネル等)のエッジ部材加工情報(製造指図情報)に基づいて、エッジ部材の加工が行われる。
【0038】
エッジ部材加工情報には、生産順位情報,加工内容情報が含まれ、生産順位情報には生産順位が含まれ、加工内容情報には、部材種別,加工の内容,数量等が含まれる。このエッジ部材加工情報に基づき、生産順位に従ってエッジ部材の加工が行われる。
【0039】
なお、エッジ部材加工情報については、サーバコンピュータ1によって発行される紙媒体の生産指示書に基づいてもよく、エッジ部材加工サブライン上に、エッジ部材加工情報を出力するエッジ部材加工指図コンピュータを設けても良い。
【0040】
これにより、メインライン上で切断済みガラス板に組み付けられるエッジ部材を、メインラインの生産順位に従って加工することができ、メインラインとエッジ部材加工サブラインとの同期を図ることができる。
【0041】
シーリング工程の下流では、取上げ指図コンピュータ9が設けられ、取上げ指図コンピュータ9には、生産順位に従って、取り上げる複層ガラス仕掛品およびこの仕掛品に取り付けられるエッジ部材を指示する取上げ指図情報(製造指図情報)が表示される。
【0042】
この取上げ指図情報に従って、複層ガラス仕掛品が、作業台もしくは駆動台車上に載置され、アダプタ取付,グレージングチャネル取付等のガラス外縁部の付加組立が行われる。
【0043】
このようにして、メインライン上のエッジ付加組立工程とエッジ部材加工サブライン上のエッジ部材加工工程との同期を図ることにより、仮置きおよびピッキングを排除し、省スペース化およびリードタイム短縮化を図ることができる。
【0044】
ラインエンドの積み付け工程においては、積み荷明細表示コンピュータ10は、サーバコンピュータ1から送信された生産順位情報と積み荷明細情報とに基づき、生産順位に従って、各パレットの積み荷明細情報を表示する。
【0045】
積み荷明細情報には、パレットの識別情報、そのパレットに積み付けられるオーダおよびその積み付け順序が含まれており、複層ガラス製品がメインラインの流れ順に取り上げられ、積み荷明細情報に従って、指定されたパレットに積み付けられる。
【0046】
なお、積み荷明細情報を含む積み荷明細ラベルを、指定されたパレットに予め貼り付けておくようにすると、どのパレットにどの複層ガラス製品を積み付けるのか、分かりやすくすることができて好適である。
【0047】
(生産順位の決定)
次に、生産順位の決定について図面を参照して説明する。ここで、図4は、生産順位決定システムの構成を示すブロック図、図5は、生産順位決定の手順を説明するフローチャート、図6は、グループ化の手順を説明するフローチャート、図7は、荷姿決定の手順を説明するフローチャート、図8は、生産順位表データを説明する図である。
【0048】
まず、サーバコンピュータ1に受注情報が入力される。受注情報には、使用単位情報,使用順序情報,納入先,納期,出荷予定日,製品種類,エッジ部材の種類,ガラス板のオーダ寸法,製品寸法,数量,マークの有無および種類等が含まれる。
【0049】
受注情報が入力されると、サーバコンピュータ1は、図5に示されるように、負荷確認および負荷調整を行った後、各オーダの生産日を決定し(ステップ101)、生産ラインを決定し(ステップ102)、各オーダのグループ化を行い(ステップ103)、荷姿の決定を行い(ステップ104)、生産順位の決定を行う(ステップ105)。
【0050】
具体的には、納期を基準として、所定の日数(1日または2日等)を差し引いて生産日の仮決定を行う。そして、このようにして仮決定された生産日を基準として、生産日単位,生産ライン単位,グループ単位で負荷確認を行い、必要に応じて負荷調整を行った上で生産日の決定、生産ラインの決定を行う。
【0051】
生産ラインの決定は、ガラスのオーダ寸法,素板の種類等をキーとして適切な生産ラインが決定される。
【0052】
各オーダのグループ化は、生産ラインが決定されたオーダ(生産ラインの決定がなされない場合には生産日が決定されたオーダ)に対して行われる。
【0053】
図6に示されるように、グループ化は、所定の属性をキーとして、対象オーダを各グループへ分類する。そして、所定の回数のグループ化を繰り返すことにより、各オーダをひとまとまりの最終的なグループに分類し、各最終グループの生産順位を決定する。
【0054】
グループ化の例としては、まず、エッジ部材の種類(エッジタイプ)をキーとして第1のグループ化を行う。そして、各エッジタイプごとにグループ化されたオーダに対して、各エッジタイプごとに、納期をキーとしてグループ化を行う。次に、各納期グループごとに、納入先および納入場所をキーとしてグループ化を行う。
【0055】
複層ガラス製品の製造では、エッジタイプによって工程の所要人員が変化する場合があるが、頻繁な人員配置の変動は、工数の一時的極大や手待ちロスを招くこととなる。これに対して、エッジタイプ別のグループ化を行うことにより、人員変動が起こりうる頻度を低減することができる。
【0056】
また、例えば、エッジ部材を組み付けない製品を優先して流し、この製品を生産している間に、エッジ部材を必要とする他の製品用のエッジ部材の加工をエッジ部材加工サブライン上で先行実施しておく。そして、当該エッジ部材を組み付ける際には、エッジ部材加工要員をそのままメインライン上の組立作業に割り当てるというような、効率的な人員配置を実現することもできる。
【0057】
また、納期をキーとすることにより、納期が早いグループから順に生産順位が決定されるので、納期の早いものから順に生産でき、例えば、工程不良による再生産等に対応するための猶予時間を、より多く設けることができる。
【0058】
なお、上記のグループ化を行うキーは例示であり、本発明はこれに限られるものではない。出荷方面,取引店等地域による条件を加味するようにしてもよい。
【0059】
次に、荷姿決定の手順について説明する。図7に示されるように、まず、上記の手順に従って、各オーダのグループ化を行い、出荷単位の最終グループに並べ替える(ステップ103)。
【0060】
次に、最終グループのオーダに対して、顧客の使用する順序での積み付けが必要か否か判断する(ステップ301)。
【0061】
顧客の使用する順序での積み付けが必要でない場合には、各複層ガラス製品ごとの最長辺寸法をキーとして、各オーダを最長辺寸法の大きい順に並び替える。
【0062】
そして、最長辺寸法が同一のガラス製品が複数存在する場合には、同一の最長辺寸法のオーダ内で、短辺寸法をキーとして、短辺寸法の大きい順に並び替える(ステップ302)。
【0063】
一方、ステップ301で顧客の使用する順序での積み付けが必要と判断された
場合には、顧客の使用する順序に合わせて(昇順または降順で)、各オーダを並
び替える(ステップ303)。
【0064】
次に、各グループに対してパレット等の出荷用物流具(通函)を割り当てる。割り当てられる各出荷用物流具には所定の識別番号が付されており、出荷用物流具の割当状況は出荷用物流具管理テーブルに記録される。
【0065】
出荷用物流具の割当ては、まず、各グループが特定の出荷用物流具を割り当てるべき特殊条件に該当するか否か判断し、特殊条件に該当する場合には、特定の出荷用物流具を割り当てる(ステップ304)。
【0066】
特殊条件に該当しない場合には、各グループ内の複層ガラス製品の最も大きい長辺、および最も大きい短辺の寸法を基準とし、これら双方の寸法が収まり、かつこれらの寸法に最も近い寸法のパレットを設定する。
【0067】
加えて、ステップ301で、顧客の使用する順序での積み付けが必要と判断されたグループには、後述するような使用順納入専用パレットを割り当てる(ステップ305)。
【0068】
次に、割り当てられた各パレットに対して、被割当てグループの各オーダを、ステップ302またはステップ303で並べられた順序に従って積み付ける(ステップ306)。
【0069】
積み付けられたオーダの各複層ガラス製品の厚みを加え、合計寸法が当該パレットの積載可能幅の上限を超える場合、または合計枚数が使用順納入専用パレットの積載可能枚数の上限を越える場合には(ステップ307)、上限を超えてしまうオーダ以降のオーダに対しては、ステップ305に戻って別のパレットを割り当てる。
【0070】
このようにして、最適なパレットの自動割当てを行い、各パレットへの積み付け順位および荷姿を決定することができる。そして、この積み付け順位に従って各最終グループ内の生産順位を決定することができる。なお、このようにして自動的に決定された積み付け順位および荷姿については、オペレータによって修正/変更可能な構成とすると好適である。
【0071】
サーバコンピュータ1は、このようにして生産順位を決定する。そして、この生産順位に従って、各オーダに対して後述する収容台車の番号および収容台車内の収容箇所を設定し、図8に示されるような生産順位表データを出力する。
【0072】
このような生産順位の決定を行うことにより、顧客が使用する単位および順序に合わせて複層ガラス製品を生産し、生産された複層ガラス製品を生産順に積み付けることが可能となる。
【0073】
(収容台車の割当て)
次に、収容台車の割当てについて図面を参照して説明する。ここで、図9は、本発明の実施の形態に係る収容台車の構成例を説明する構成図である。
【0074】
図9に示されるように、収容台車50は、枠体51と、枠体51に所定の間隔をおいてハープ状に複数設けられた仕切部材52とから構成されており、仕切部材52間に形成される空間は、切断済みガラス板を挿入して収容するガラス板収容部を構成する。
【0075】
このガラス板収容部は、例えば、全体で50部設けられ、2部を1組として組番号01〜25で識別される。そして、各組の収容部は、さらにLおよびRで識別される。
【0076】
また、各収容台車は、各オーダを割り当てる際に整理番号で管理される(例:収容台車番号01〜10)。
【0077】
従って、収容台車の各ガラス板収容部は、台車番号−組番号・左右からなる収容箇所識別番号(例えば、01−01L,08−15R)によって特定され、各切断済みガラス板の収容箇所を識別する情報として使用される。
【0078】
そして、各収容台車のガラス板収容部の組番号は、後工程の生産順位に対応しており、具体的には、各収容台車のガラス板収容部の組番号01に割り当てられた1組の切断済みガラス板から順番に(すなわち、02,03,04…)後工程のラインに流される。
【0079】
このような収容台車が、収容箇所識別番号を用いて各オーダに設定され、収容台車の設定状況は、収容台車管理テーブルに記録される。
【0080】
このような収容台車を用いることにより、切断されたガラス板を、複層ガラスを構成する各組ごとに分け、かつ後工程の生産順位に合わせて配列することが可能となる。
【0081】
なお、上記の収容台車は、収容手段の一例を示したものであって本発明をこれに限定する趣旨ではない。切断済みガラス板を、後工程の生産順位に従って収容する機能を有する設備の全てが、本発明には含まれる。
【0082】
(切断順位の決定)
次に、切断順位の決定について説明する。まず、ガラス切断機4によって所定のガラス板製品を切り出す工程において、顧客の使用する単位および順序に基づいて決定された生産順位に従って切断を行う場合、歩留まりが悪くなってしまうという問題が発生することがある。
【0083】
また、歩留まりの悪化は、一部分のみ使用した素板の仮置きを発生させてしまい、素板の品種切替時の工数を増加させることとなる。
【0084】
特に、複層ガラス製品の多品種少量生産を行う場合には、使用される素板の品種切替が頻繁に発生する確率が高いため、生産効率を低下させてしまうという問題がある。
【0085】
次に、切断順位の決定について図面を参照して説明する。ここで、図10は、切断順位決定の流れを説明するフローチャートであり、図11は、掛け合わせ結果の表示画面の構成例を示す図である。
【0086】
まず、切断順位の決定は、設定された所定の収容台車に割り当てられたオーダを対象とする。また、割り当てられた各オーダは、各収容台車の組番号の昇順に切断順位が決定されるようにする。
【0087】
具体的には、図10に示されるように、まず、1台または複数の収容台車(例:収容台車番号:07〜10)が設定される(ステップ401)。なお、収容台車の番号は、生産順位に沿って昇順に設定されるようにする。
【0088】
次に、収容台車番号が小さい台車(ここでは、07)を対象とし、この台車の最小識別番号(07−01L)に割り当てられたオーダのガラス板データの素板品種と同一の素板を使用するガラス板データを昇順に抽出して、これら抽出したガラス板データの掛け合わせを行う(ステップ402)。
【0089】
掛け合わせの結果、適切な歩留まりが得られるか否か判断する(ステップ403)。
【0090】
歩留まりが適切な場合には、これら抽出したガラス板データの掛け合わせパターンおよび切断順位を確定する。続いて、次の未確定のガラス板データを対象として同様の掛け合わせを行う。
【0091】
対象とされた収容台車(すなわち、07)に含まれるオーダでは、同一品種の素板を使用するガラス板データが十分に得られず歩留まりが不適切な場合には、次の収容台車番号(すなわち、08)に含まれるオーダを対象とし(ステップ404)、ステップ402を繰り返す。
【0092】
このような掛け合わせを行い、例えば図11に示されるような、複数の収容台車に割り当てられたオーダのガラス板データを対象とした掛け合わせの結果を得ることができる。
【0093】
以上のような切断順位の決定により、収容台車の収容箇所に関する情報を切断順位の決定に反映させることができ、適切な切断歩留まりを実現することができると同時に、後工程の生産順位に合わせて切断済みガラス板を切り出し、配列することができる。
【0094】
また、切断済みガラス板の収容箇所を指示する収容箇所指示情報が、掛け合わせ結果の表示画面として割台モニタ3に表示されることにより、収容台車への収容作業を正確かつ容易に行うことができる。
【0095】
(出荷用物流具)
次に、本実施の形態に用いることができる出荷用物流具の例として、使用順納入専用パレットの1例を図面を参照して説明する。ここで、図12は、使用順納入専用パレットの構成例を示す構成図である。
【0096】
図12(a)に示されるように、使用順納入専用パレットは、パレット本体70と、屈曲可能な押さえ部材72とから構成されており、パレット本体70の複層ガラス製品載置面には溝部71が設けられている。
【0097】
この溝部71に複層ガラス製品73の底部をはめ込み、押さえ部材72によって複層ガラス製品を押さえることにより、図12(b)に示されるように、寸法の異なる複数の複層ガラス製品を別個独立して固定することができる。
【0098】
このような使用順納入専用パレットを用いることにより、顧客の使用順に合わせて複層ガラスの積み付けを行い、パレットをトラックに積載し、配送して顧客に納品することが可能となる。
【0099】
なお、上述のパレットは、本発明に適用できる出荷用物流具の1例を示したものであり、本発明をこれに限るものではない。納入先の使用順に合わせて複層ガラス製品を積み付けることができる出荷用物流具の全てが、本発明には含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態に係る複層ガラス製品の出荷・配送システムを複層ガラス製品の生産工程を含めて示す概略図である。
【図2】複層ガラス製品生産システムの構成を示すブロック図である。
【図3】生産作業指示画面の構成例を示す図である。
【図4】生産順位決定システムの構成を示すブロック図である。
【図5】生産順位決定の手順を説明するフローチャートである。
【図6】グループ化の手順を説明するフローチャートである。
【図7】荷姿決定の手順を説明するフローチャートである。
【図8】生産順位表データを説明する図である。
【図9】収容台車の構成例を説明する構成図である。
【図10】切断順位決定の流れを説明するフローチャートである。
【図11】掛け合わせ結果の表示画面の構成例を示す図である。
【図12】使用順納入専用パレットの構成例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0101】
1 サーバコンピュータ
2 ガラス切断機コンピュータ
3 割台モニタ
4 ガラス切断機
5 部材加工機コンピュータ
6 部材加工機
7 入れ込み指図コンピュータ
8 検査・マッチング指図コンピュータ
9 取上げ指図コンピュータ
10 積み荷明細表示コンピュータ
11 製造指図用コンピュータ
50 収容台車
51 枠体
52 仕切部材
70 パレット本体
71 溝部
72 押さえ部材
73 複層ガラス製品
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が使用する単位・順序で生産された複層ガラス製品を、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することができるように出荷および配送するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複層ガラス製品を生産する工程においては、生産効率を向上させることを目的として、顧客からのオーダを、例えば、ガラス板の品種別,空気層の種別,大きさ別のようなロット単位にまとめ、さらに、これらのロットごとに生産工程で造りやすい順番で複層ガラス製品の生産が行われていた。
【0003】
また、生産された複層ガラス製品を顧客へ納入する工程すなわち出荷・配送工程においては、物流過程において運びやすい単位で包装し、バッチで納入が行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の出荷・配送システムにおいては、顧客側が複層ガラス製品を使用する場合(例えば、住宅用外壁パネルの組立ラインにおいて、外壁パネルに組み付ける順序で複層ガラス製品を流す場合)、または顧客である1次取扱い店が複層ガラス製品を建築現場別に配送する場合には、顧客側で、納品された複層ガラス製品の保管、仕分け等を行わなければならず、取り扱いが非常に煩雑である上に、保管、仕分けのためのスペースを要するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、顧客等の納入先の要求(顧客が使用する単位と順序)に合わせて生産された複層ガラス製品を包装し、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することのできる複層ガラス製品の出荷・配送システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、顧客からの受注情報(品種,寸法,枚数,納期等)に使用単位情報(客先,邸別,物件別等)および使用順序情報を付加して出荷用物流具(パレット等)へ積み付ける順序を決定するようにした。
【0007】
このようにすることにより、生産ラインエンド(生産ラインの終端)において、積み替えなしに、顧客の要求に対応した積み付けを行うことができる。
【0008】
具体的には、本発明の複層ガラス製品の出荷・配送システムは、複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成するコンピュータと、前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を配送する車両とを備える。
【0009】
このような構成により、積み付け工程における仮置きおよびピッキングを排除し、生産ラインからダイレクトに出荷用物流具に積み付けることが可能となる。
【0010】
なお、本明細書においてオーダとは、複層ガラス製品の注文を意味し、オーダのガラス板データとは、注文された複層ガラス製品を構成する各ガラス板の仕様についてのデータを意味する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、顧客の要求(顧客が使用する単位と順序)に合わせて複層ガラス製品を包装および納入することができる。
【0012】
さらに、後工程における複層ガラス製品の使用単位および使用順序に従って納入を行うことができるので、顧客側では、納入された単位および順序で複層ガラス製品を使用することができ、顧客側での保管・仕分け等のスペース、そのための工数を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る複層ガラス製品の生産工程をも含めて示す出荷・配送システムの概略図であり、図2は、複層ガラス製品生産システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
図1,図2に示すように、複層ガラス製品生産システムは、サーバコンピュータ1と、ガラス切断機コンピュータ2と、割台モニタ3と、ガラス切断機4と、部材加工機コンピュータ5と、部材加工機6と、入れ込み指図コンピュータ7と、検査・マッチング指図コンピュータ8と、取上げ指図コンピュータ9と、積み荷明細表示コンピュータ10と、製造指図用コンピュータ11とを備えている。
【0016】
サーバコンピュータ1には、例えば上位のメインフレーム・コンピュータから各生産拠点ごとの受注データが入力される。サーバコンピュータ1は、入力された受注データ、特に、邸別等の使用単位情報・組立順等の使用順序情報に基づいて、複層ガラス製品の各オーダに対して後述するような生産順位の決定を行う。
【0017】
次に、サーバコンピュータ1は、決定された生産順位等に基づいて、後述するように、各オーダに対して収容台車を設定し、ガラス板データの掛け合わせパターンおよび切断順位を決定し、この掛け合わせパターンおよび切断順位を含む切断データを作成してガラス切断機コンピュータ2へ送信する。
【0018】
また、サーバコンピュータ1は、決定された生産順位等に基づいて、後述するような部材加工情報を作成して部材加工機コンピュータ5へ送信する。
【0019】
さらに、サーバコンピュータ1は、生産順位を含む製造指図情報を、製造指図用コンピュータ11を介して入れ込み指図コンピュータ7と、検査・マッチング指図コンピュータ8と、取上げ指図コンピュータ9とに送信する。他方、サーバコンピュータは、積み荷明細情報を作成して、生産順位を含む生産順位情報とともに積み荷明細表示コンピュータ10へ送信する。
【0020】
ガラス切断工程では、ガラス切断機コンピュータ2は、受信した切断データに基づき、切断順位に従って、ガラス切断機4に指示を与える。
【0021】
ガラス切断機4は、ガラス切断機コンピュータ2からの指示に基づいて、所定の品種およびサイズの被切断板ガラス(以下「素板」という)を対象として、所定の切断パターンの切断線を入れる。
【0022】
割台モニタ3には、ガラス切断機コンピュータ2から、切断パターンを含み切り出された切断済みガラス板の収容箇所を指示する収容箇所指示情報が送信され、割台モニタ3上に表示される。なお、収容箇所指示情報は、サーバコンピュータ1によって作成されてもよく、ガラス切断機コンピュータ2によって作成されてもよい。
【0023】
割台においては、入れられた切断線に沿って素板が割られ、割台モニタ3に表示された収容箇所指示情報に従って、切断済みガラス板が、後述する収容台車内の所定の収容箇所に(生産ラインに流される順序で)収容される。
【0024】
図3は、生産作業指示画面の構成例を示す図である。入れ込み指図コンピュータ7は、受信した入れ込み指図情報(製造指図情報)に基づき、生産順位に従って生産作業指示画面を表示する。
【0025】
切断済みガラス板の入れ込み工程では、生産作業指示画面上の入れ込み指図情報に従って、収容台車に収容されている切断済みガラス板が、収容箇所番号(ガラス板収容部の番号)の昇順に生産ライン(メインライン)上に流される。
【0026】
また、入れ込み指図コンピュータ7に送信される入れ込み指図情報にはマーク情報が含まれており、図3に示されるような生産作業指示画面内のマーク情報に従って、切断済みガラス板にマークが刻印される。
【0027】
生産ライン上に流された切断済みガラス板は、洗浄・乾燥機によって洗浄および乾燥がなされ、汚れ,傷等の検査がなされる。
【0028】
一方、部材加工サブラインにおいては、部材加工機コンピュータ5は、スペーサ等の部材の部材加工情報を受信し、部材加工機6に加工指示を与える。
【0029】
部材加工情報には、生産順位情報,加工内容情報が含まれ、生産順位情報には生産順位が含まれ、加工内容情報には、部材品番,切断寸法,加工寸法,数量等の情報が含まれる。
【0030】
部材加工機6は、部材加工機コンピュータ5からの加工指示に従って、指定された順序で部材の加工を行う。
【0031】
これにより、メインライン上で切断済みガラス板に組み付けられるスペーサ等の部材を、メインラインの生産順位にあわせて加工することができ、メインラインと部材加工サブラインとの同期を図ることができる。
【0032】
加工が終了した部材の内部には、乾燥剤が封入され、切断済みガラス板との接触面に1次シール材が塗布される。
【0033】
次に、部材の貼り付け工程において、検査・マッチング指図コンピュータ8には、製造指図情報が送信され、生産順位に従って、切断済みガラス板および各切断済みガラス板に貼り付けられる部材情報が指示される。
【0034】
この製造指図情報により、加工された部材を、指定された切断済みガラス板に正確に組み合わせることができる。
【0035】
ここでは、1次シール材が塗布された部材が、検査工程後の切断済みガラス板で挟まれ、プレス加工を行うことによって圧着される。
【0036】
次に、圧着によって製造された複層ガラス仕掛品の外周部に2次シール材が注入され封着される。
【0037】
エッジ部材加工サブラインにおいては、ガラス板外縁部に設けられる部材であるエッジ部材(アダプタ,グレージングチャネル等)のエッジ部材加工情報(製造指図情報)に基づいて、エッジ部材の加工が行われる。
【0038】
エッジ部材加工情報には、生産順位情報,加工内容情報が含まれ、生産順位情報には生産順位が含まれ、加工内容情報には、部材種別,加工の内容,数量等が含まれる。このエッジ部材加工情報に基づき、生産順位に従ってエッジ部材の加工が行われる。
【0039】
なお、エッジ部材加工情報については、サーバコンピュータ1によって発行される紙媒体の生産指示書に基づいてもよく、エッジ部材加工サブライン上に、エッジ部材加工情報を出力するエッジ部材加工指図コンピュータを設けても良い。
【0040】
これにより、メインライン上で切断済みガラス板に組み付けられるエッジ部材を、メインラインの生産順位に従って加工することができ、メインラインとエッジ部材加工サブラインとの同期を図ることができる。
【0041】
シーリング工程の下流では、取上げ指図コンピュータ9が設けられ、取上げ指図コンピュータ9には、生産順位に従って、取り上げる複層ガラス仕掛品およびこの仕掛品に取り付けられるエッジ部材を指示する取上げ指図情報(製造指図情報)が表示される。
【0042】
この取上げ指図情報に従って、複層ガラス仕掛品が、作業台もしくは駆動台車上に載置され、アダプタ取付,グレージングチャネル取付等のガラス外縁部の付加組立が行われる。
【0043】
このようにして、メインライン上のエッジ付加組立工程とエッジ部材加工サブライン上のエッジ部材加工工程との同期を図ることにより、仮置きおよびピッキングを排除し、省スペース化およびリードタイム短縮化を図ることができる。
【0044】
ラインエンドの積み付け工程においては、積み荷明細表示コンピュータ10は、サーバコンピュータ1から送信された生産順位情報と積み荷明細情報とに基づき、生産順位に従って、各パレットの積み荷明細情報を表示する。
【0045】
積み荷明細情報には、パレットの識別情報、そのパレットに積み付けられるオーダおよびその積み付け順序が含まれており、複層ガラス製品がメインラインの流れ順に取り上げられ、積み荷明細情報に従って、指定されたパレットに積み付けられる。
【0046】
なお、積み荷明細情報を含む積み荷明細ラベルを、指定されたパレットに予め貼り付けておくようにすると、どのパレットにどの複層ガラス製品を積み付けるのか、分かりやすくすることができて好適である。
【0047】
(生産順位の決定)
次に、生産順位の決定について図面を参照して説明する。ここで、図4は、生産順位決定システムの構成を示すブロック図、図5は、生産順位決定の手順を説明するフローチャート、図6は、グループ化の手順を説明するフローチャート、図7は、荷姿決定の手順を説明するフローチャート、図8は、生産順位表データを説明する図である。
【0048】
まず、サーバコンピュータ1に受注情報が入力される。受注情報には、使用単位情報,使用順序情報,納入先,納期,出荷予定日,製品種類,エッジ部材の種類,ガラス板のオーダ寸法,製品寸法,数量,マークの有無および種類等が含まれる。
【0049】
受注情報が入力されると、サーバコンピュータ1は、図5に示されるように、負荷確認および負荷調整を行った後、各オーダの生産日を決定し(ステップ101)、生産ラインを決定し(ステップ102)、各オーダのグループ化を行い(ステップ103)、荷姿の決定を行い(ステップ104)、生産順位の決定を行う(ステップ105)。
【0050】
具体的には、納期を基準として、所定の日数(1日または2日等)を差し引いて生産日の仮決定を行う。そして、このようにして仮決定された生産日を基準として、生産日単位,生産ライン単位,グループ単位で負荷確認を行い、必要に応じて負荷調整を行った上で生産日の決定、生産ラインの決定を行う。
【0051】
生産ラインの決定は、ガラスのオーダ寸法,素板の種類等をキーとして適切な生産ラインが決定される。
【0052】
各オーダのグループ化は、生産ラインが決定されたオーダ(生産ラインの決定がなされない場合には生産日が決定されたオーダ)に対して行われる。
【0053】
図6に示されるように、グループ化は、所定の属性をキーとして、対象オーダを各グループへ分類する。そして、所定の回数のグループ化を繰り返すことにより、各オーダをひとまとまりの最終的なグループに分類し、各最終グループの生産順位を決定する。
【0054】
グループ化の例としては、まず、エッジ部材の種類(エッジタイプ)をキーとして第1のグループ化を行う。そして、各エッジタイプごとにグループ化されたオーダに対して、各エッジタイプごとに、納期をキーとしてグループ化を行う。次に、各納期グループごとに、納入先および納入場所をキーとしてグループ化を行う。
【0055】
複層ガラス製品の製造では、エッジタイプによって工程の所要人員が変化する場合があるが、頻繁な人員配置の変動は、工数の一時的極大や手待ちロスを招くこととなる。これに対して、エッジタイプ別のグループ化を行うことにより、人員変動が起こりうる頻度を低減することができる。
【0056】
また、例えば、エッジ部材を組み付けない製品を優先して流し、この製品を生産している間に、エッジ部材を必要とする他の製品用のエッジ部材の加工をエッジ部材加工サブライン上で先行実施しておく。そして、当該エッジ部材を組み付ける際には、エッジ部材加工要員をそのままメインライン上の組立作業に割り当てるというような、効率的な人員配置を実現することもできる。
【0057】
また、納期をキーとすることにより、納期が早いグループから順に生産順位が決定されるので、納期の早いものから順に生産でき、例えば、工程不良による再生産等に対応するための猶予時間を、より多く設けることができる。
【0058】
なお、上記のグループ化を行うキーは例示であり、本発明はこれに限られるものではない。出荷方面,取引店等地域による条件を加味するようにしてもよい。
【0059】
次に、荷姿決定の手順について説明する。図7に示されるように、まず、上記の手順に従って、各オーダのグループ化を行い、出荷単位の最終グループに並べ替える(ステップ103)。
【0060】
次に、最終グループのオーダに対して、顧客の使用する順序での積み付けが必要か否か判断する(ステップ301)。
【0061】
顧客の使用する順序での積み付けが必要でない場合には、各複層ガラス製品ごとの最長辺寸法をキーとして、各オーダを最長辺寸法の大きい順に並び替える。
【0062】
そして、最長辺寸法が同一のガラス製品が複数存在する場合には、同一の最長辺寸法のオーダ内で、短辺寸法をキーとして、短辺寸法の大きい順に並び替える(ステップ302)。
【0063】
一方、ステップ301で顧客の使用する順序での積み付けが必要と判断された
場合には、顧客の使用する順序に合わせて(昇順または降順で)、各オーダを並
び替える(ステップ303)。
【0064】
次に、各グループに対してパレット等の出荷用物流具(通函)を割り当てる。割り当てられる各出荷用物流具には所定の識別番号が付されており、出荷用物流具の割当状況は出荷用物流具管理テーブルに記録される。
【0065】
出荷用物流具の割当ては、まず、各グループが特定の出荷用物流具を割り当てるべき特殊条件に該当するか否か判断し、特殊条件に該当する場合には、特定の出荷用物流具を割り当てる(ステップ304)。
【0066】
特殊条件に該当しない場合には、各グループ内の複層ガラス製品の最も大きい長辺、および最も大きい短辺の寸法を基準とし、これら双方の寸法が収まり、かつこれらの寸法に最も近い寸法のパレットを設定する。
【0067】
加えて、ステップ301で、顧客の使用する順序での積み付けが必要と判断されたグループには、後述するような使用順納入専用パレットを割り当てる(ステップ305)。
【0068】
次に、割り当てられた各パレットに対して、被割当てグループの各オーダを、ステップ302またはステップ303で並べられた順序に従って積み付ける(ステップ306)。
【0069】
積み付けられたオーダの各複層ガラス製品の厚みを加え、合計寸法が当該パレットの積載可能幅の上限を超える場合、または合計枚数が使用順納入専用パレットの積載可能枚数の上限を越える場合には(ステップ307)、上限を超えてしまうオーダ以降のオーダに対しては、ステップ305に戻って別のパレットを割り当てる。
【0070】
このようにして、最適なパレットの自動割当てを行い、各パレットへの積み付け順位および荷姿を決定することができる。そして、この積み付け順位に従って各最終グループ内の生産順位を決定することができる。なお、このようにして自動的に決定された積み付け順位および荷姿については、オペレータによって修正/変更可能な構成とすると好適である。
【0071】
サーバコンピュータ1は、このようにして生産順位を決定する。そして、この生産順位に従って、各オーダに対して後述する収容台車の番号および収容台車内の収容箇所を設定し、図8に示されるような生産順位表データを出力する。
【0072】
このような生産順位の決定を行うことにより、顧客が使用する単位および順序に合わせて複層ガラス製品を生産し、生産された複層ガラス製品を生産順に積み付けることが可能となる。
【0073】
(収容台車の割当て)
次に、収容台車の割当てについて図面を参照して説明する。ここで、図9は、本発明の実施の形態に係る収容台車の構成例を説明する構成図である。
【0074】
図9に示されるように、収容台車50は、枠体51と、枠体51に所定の間隔をおいてハープ状に複数設けられた仕切部材52とから構成されており、仕切部材52間に形成される空間は、切断済みガラス板を挿入して収容するガラス板収容部を構成する。
【0075】
このガラス板収容部は、例えば、全体で50部設けられ、2部を1組として組番号01〜25で識別される。そして、各組の収容部は、さらにLおよびRで識別される。
【0076】
また、各収容台車は、各オーダを割り当てる際に整理番号で管理される(例:収容台車番号01〜10)。
【0077】
従って、収容台車の各ガラス板収容部は、台車番号−組番号・左右からなる収容箇所識別番号(例えば、01−01L,08−15R)によって特定され、各切断済みガラス板の収容箇所を識別する情報として使用される。
【0078】
そして、各収容台車のガラス板収容部の組番号は、後工程の生産順位に対応しており、具体的には、各収容台車のガラス板収容部の組番号01に割り当てられた1組の切断済みガラス板から順番に(すなわち、02,03,04…)後工程のラインに流される。
【0079】
このような収容台車が、収容箇所識別番号を用いて各オーダに設定され、収容台車の設定状況は、収容台車管理テーブルに記録される。
【0080】
このような収容台車を用いることにより、切断されたガラス板を、複層ガラスを構成する各組ごとに分け、かつ後工程の生産順位に合わせて配列することが可能となる。
【0081】
なお、上記の収容台車は、収容手段の一例を示したものであって本発明をこれに限定する趣旨ではない。切断済みガラス板を、後工程の生産順位に従って収容する機能を有する設備の全てが、本発明には含まれる。
【0082】
(切断順位の決定)
次に、切断順位の決定について説明する。まず、ガラス切断機4によって所定のガラス板製品を切り出す工程において、顧客の使用する単位および順序に基づいて決定された生産順位に従って切断を行う場合、歩留まりが悪くなってしまうという問題が発生することがある。
【0083】
また、歩留まりの悪化は、一部分のみ使用した素板の仮置きを発生させてしまい、素板の品種切替時の工数を増加させることとなる。
【0084】
特に、複層ガラス製品の多品種少量生産を行う場合には、使用される素板の品種切替が頻繁に発生する確率が高いため、生産効率を低下させてしまうという問題がある。
【0085】
次に、切断順位の決定について図面を参照して説明する。ここで、図10は、切断順位決定の流れを説明するフローチャートであり、図11は、掛け合わせ結果の表示画面の構成例を示す図である。
【0086】
まず、切断順位の決定は、設定された所定の収容台車に割り当てられたオーダを対象とする。また、割り当てられた各オーダは、各収容台車の組番号の昇順に切断順位が決定されるようにする。
【0087】
具体的には、図10に示されるように、まず、1台または複数の収容台車(例:収容台車番号:07〜10)が設定される(ステップ401)。なお、収容台車の番号は、生産順位に沿って昇順に設定されるようにする。
【0088】
次に、収容台車番号が小さい台車(ここでは、07)を対象とし、この台車の最小識別番号(07−01L)に割り当てられたオーダのガラス板データの素板品種と同一の素板を使用するガラス板データを昇順に抽出して、これら抽出したガラス板データの掛け合わせを行う(ステップ402)。
【0089】
掛け合わせの結果、適切な歩留まりが得られるか否か判断する(ステップ403)。
【0090】
歩留まりが適切な場合には、これら抽出したガラス板データの掛け合わせパターンおよび切断順位を確定する。続いて、次の未確定のガラス板データを対象として同様の掛け合わせを行う。
【0091】
対象とされた収容台車(すなわち、07)に含まれるオーダでは、同一品種の素板を使用するガラス板データが十分に得られず歩留まりが不適切な場合には、次の収容台車番号(すなわち、08)に含まれるオーダを対象とし(ステップ404)、ステップ402を繰り返す。
【0092】
このような掛け合わせを行い、例えば図11に示されるような、複数の収容台車に割り当てられたオーダのガラス板データを対象とした掛け合わせの結果を得ることができる。
【0093】
以上のような切断順位の決定により、収容台車の収容箇所に関する情報を切断順位の決定に反映させることができ、適切な切断歩留まりを実現することができると同時に、後工程の生産順位に合わせて切断済みガラス板を切り出し、配列することができる。
【0094】
また、切断済みガラス板の収容箇所を指示する収容箇所指示情報が、掛け合わせ結果の表示画面として割台モニタ3に表示されることにより、収容台車への収容作業を正確かつ容易に行うことができる。
【0095】
(出荷用物流具)
次に、本実施の形態に用いることができる出荷用物流具の例として、使用順納入専用パレットの1例を図面を参照して説明する。ここで、図12は、使用順納入専用パレットの構成例を示す構成図である。
【0096】
図12(a)に示されるように、使用順納入専用パレットは、パレット本体70と、屈曲可能な押さえ部材72とから構成されており、パレット本体70の複層ガラス製品載置面には溝部71が設けられている。
【0097】
この溝部71に複層ガラス製品73の底部をはめ込み、押さえ部材72によって複層ガラス製品を押さえることにより、図12(b)に示されるように、寸法の異なる複数の複層ガラス製品を別個独立して固定することができる。
【0098】
このような使用順納入専用パレットを用いることにより、顧客の使用順に合わせて複層ガラスの積み付けを行い、パレットをトラックに積載し、配送して顧客に納品することが可能となる。
【0099】
なお、上述のパレットは、本発明に適用できる出荷用物流具の1例を示したものであり、本発明をこれに限るものではない。納入先の使用順に合わせて複層ガラス製品を積み付けることができる出荷用物流具の全てが、本発明には含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態に係る複層ガラス製品の出荷・配送システムを複層ガラス製品の生産工程を含めて示す概略図である。
【図2】複層ガラス製品生産システムの構成を示すブロック図である。
【図3】生産作業指示画面の構成例を示す図である。
【図4】生産順位決定システムの構成を示すブロック図である。
【図5】生産順位決定の手順を説明するフローチャートである。
【図6】グループ化の手順を説明するフローチャートである。
【図7】荷姿決定の手順を説明するフローチャートである。
【図8】生産順位表データを説明する図である。
【図9】収容台車の構成例を説明する構成図である。
【図10】切断順位決定の流れを説明するフローチャートである。
【図11】掛け合わせ結果の表示画面の構成例を示す図である。
【図12】使用順納入専用パレットの構成例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0101】
1 サーバコンピュータ
2 ガラス切断機コンピュータ
3 割台モニタ
4 ガラス切断機
5 部材加工機コンピュータ
6 部材加工機
7 入れ込み指図コンピュータ
8 検査・マッチング指図コンピュータ
9 取上げ指図コンピュータ
10 積み荷明細表示コンピュータ
11 製造指図用コンピュータ
50 収容台車
51 枠体
52 仕切部材
70 パレット本体
71 溝部
72 押さえ部材
73 複層ガラス製品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成するコンピュータと、
前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を配送する車両とを備える複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項2】
前記所定の属性は、納期,納入先,納入場所,出荷方面,地域のうちの少なくとも1つである。請求項1に記載の複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項3】
前記所定の出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序は、納入先の使用順序である請求項2に記載の複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項4】
複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を、コンピュータが作成し、
前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を車両が配送する、複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【請求項5】
前記所定の属性は、納期,納入先,納入場所,出荷方面,地域のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【請求項6】
前記所定の出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序は、納入先の使用順序である請求項5に記載の複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【請求項1】
複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を作成するコンピュータと、
前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を配送する車両とを備える複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項2】
前記所定の属性は、納期,納入先,納入場所,出荷方面,地域のうちの少なくとも1つである。請求項1に記載の複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項3】
前記所定の出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序は、納入先の使用順序である請求項2に記載の複層ガラス製品の出荷・配送システム。
【請求項4】
複層ガラス製品の納入先の使用単位情報または/および使用順序情報を含む受注情報に従って、この受注情報に含まれる各オーダを、所定の属性ごとに振り分けて同一属性ごとのグループを作成し、各グループに対して、所定の出荷用物流具およびこの出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序を含む積み荷明細情報を、コンピュータが作成し、
前記コンピュータの作成した積み荷明細情報に基づいて、前記所定の出荷用物流具に積み付けられた複層ガラス製品を車両が配送する、複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【請求項5】
前記所定の属性は、納期,納入先,納入場所,出荷方面,地域のうちの少なくとも1つである、請求項4に記載の複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【請求項6】
前記所定の出荷用物流具へ積み付ける積み付け順序は、納入先の使用順序である請求項5に記載の複層ガラス製品の出荷・配送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−76794(P2006−76794A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265534(P2005−265534)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【分割の表示】特願2001−104274(P2001−104274)の分割
【原出願日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【分割の表示】特願2001−104274(P2001−104274)の分割
【原出願日】平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】
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