説明

複数のキャリアを用いた位置決め

モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号でモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択することと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定することと、少なくとも部分的に信号特性に基づいて、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本願は、2009年3月17日に出願され、すべての目的のために、参照によって本明細書に組み込まれている「複数のキャリアを用いた位置決め」(Position Location Using Multiple Carriers)と題された米国仮出願61/160,985号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、例えば、音声コンテンツ、データ・コンテンツ、ビデオ・コンテンツ、パケット・データ・サービス、ブロードバンド・サービス、メッセージング・サービス、マルチメディア・サービス等のようなさまざまなタイプの通信コンテンツを提供するために広く開発されてきた。一般的な無線通信システムは、利用可能なシステム・リソース(例えば、帯域幅および送信電力)を共有することにより、複数のユーザとの通信をサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、周波数分割多元接続(FDMA)システム、第3世代パートナシップ計画(3GPP)ロング・ターム・イボリューション(LTE)システム、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム等を含む。
【0003】
一般に、無線多元接続通信システムは、複数の無線モバイル・デバイスのための通信を同時にサポートすることができる。おのおののモバイル・デバイスは、順方向リンクおよび逆方向リンクによる送信を介して、1または複数の基地局と通信することができる。順方向リンク(すなわちダウンリンク)は、基地局からモバイル・デバイスへの通信リンクを称し、逆方向リンク(すなわちアップリンク)は、モバイル・デバイスから基地局への通信リンクを称する。この通信リンクは、単一入力単一出力(SISO)システム、複数入力単一出力(MISO)システム、または複数入力複数出力(MIMO)システム等によって確立されうる。
【0004】
無線通信システムは一般に、情報を送信するために、特定のキャリア周波数を適用する。選択されたキャリア周波数は、無線システムのタイプに依存しうる。例えば、セルラ・システムは、政府が許可した周波数スペクトルを適用する一方、その他のシステム(例えば、ラジオ、Wi−Fi等)は、ライセンスされていないスペクトルを適用する。さらに、キャリア周波数の帯域幅は、期間内に伝送されうるデータ量に関連付けられる。これは、スループットまたはデータ・レートとも称される。
【0005】
キャリア帯域幅は、一般に、特定の無線システム(例えば、2メガヘルツ(MHz)、2.5MHz、5MHz等)によって固定されており、マルチ・キャリア・システムは最近、高データ・レートを必要とするアプリケーションのための帯域幅を増加するように開発された。さらに、マルチ・キャリア・システムは、複数のキャリアにわたる合成されたリソース割当および負荷平準化によって、改善されたリソース利用およびスペクトル効率をもたらしうる。マルチ・キャリア・システムは、複数のキャリア周波数で情報を送信する機能を備えたシステムである。この機能は、ダウンリンク接続とアップリンク接続との両方に存在しうる。あるいは、マルチ・キャリア・システムは、アップリンクにおいてのみ、あるいは、ダウンリンクにおいてのみ、マルチ・キャリア機能を有しうる。マルチ・キャリア・システムでは、モバイル・デバイスは、複数のキャリア・チャネルを割り当てられうる。これらは、モバイル・デバイスとの間で情報が送信されるレートを高めるために、モバイル・デバイスによって収集される。モバイル・デバイスのためのトラフィック要件が減ると、追加のキャリア(単数または複数)がリリースされ、他のモバイル・デバイスのためのチャネルが解放される。
【0006】
前述の例のように、マルチ・キャリア高速パケット・アクセス(MC−HSPA)は、HSPAシステムの発展型であり、ここでは、2つの5MHzキャリア・チャネルが収集され、チャネル帯域幅が増加される。この結果、スループットおよびデータ・レートが高められる。MC−HSPAシステムは、例えば3GPPリリース7(R7)、R6、R5、およびリリース’99(R99)のようなより古いプロトコルで設計されたモバイル・デバイスに対する下位互換性がある。さらに、オペレータのために、オペレータに許可された複数のキャリアが、周波数スペクトル内で隣接していなくても、MC−HSPAシステムによって、効率的かつフレキシブルなスペクトル資源利用が可能となる。
【発明の概要】
【0007】
本開示にしたがって、モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号でモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法の例は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択することと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定することと、少なくとも部分的に信号特性に基づいて、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することとを含む。
【0008】
このような方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1または複数を含みうる。この方法は、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の判定された距離推定値と、モバイル・デバイスと他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて、モバイル・デバイスの位置を判定することを含む。少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することは、第1の無線通信ネットワークから第1のマルチ・キャリア信号を、第2の無線通信ネットワークから第2のマルチ・キャリア信号を受信することと、ここで、第1の無線通信ネットワークは第2の無線通信ネットワークとは異なっており、少なくとも1つのキャリア信号を選択することは、第1のマルチ・キャリア信号から第1のキャリア信号を選択することと、第2のマルチ・キャリア信号から第2のキャリア信号を選択することと含む。少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性は、信号強度に関連している。少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性は、最初の到着時間である。距離推定値を判定することは、距離推定値を最小化する最初の到着時間を用いることを含む。距離推定値を判定することは、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定することと、キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することとを含む。マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、キャリア・タイミング推定値の平均値を計算することを含む。マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、キャリア・タイミング推定値の中央値を計算することを含む。マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、対応するキャリア信号のキャリア電力を、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの他のキャリア信号のキャリア電力と比較することに基づいて、あるいは、キャリア・タイミング推定値を、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの他のキャリア信号のキャリア・タイミング推定値と比較することに基づいて、対応するキャリア信号を持つキャリア・タイミング推定値のうちの少なくとも1つを、外れ値として識別することを含む。マルチ・キャリア・タイミング推定値は、外れ値のうちの何れかを用いることなく判定される。マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することはさらに、マルチ・キャリア・タイミング推定値の判定に対して、外れ値が、非外れ値のキャリア・タイミング推定値よりも寄与しないように、キャリアからのキャリア・タイミング推定値を重み付けることと、キャリアからの重み付けられたキャリア・タイミング推定値の合成として、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することとを含む。
【0009】
モバイル・デバイスと、マルチ・キャリア信号でモバイル・デバイスと通信している、無線通信システムの無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法の例は、同期されたクロックを用いて生成されたキャリア信号を含むマルチ・キャリア信号を受信することと、このキャリア信号を用いて、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することとを含む。
【0010】
このような方法の実施形態は、以下の特徴のうちの1または複数を含みうる。この方法はまた、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の判定された距離推定値と、モバイル・デバイスと他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて、モバイル・デバイスの位置を判定することを含む。この方法は、キャリア信号のうちの1つを、基準キャリア信号として選択することと、基準キャリア信号に対する周波数差にしたがって、非基準キャリア信号のうちの少なくとも1つのおのおのの波形をシフトさせることと、基準キャリア信号の波形と、少なくとも1つの、シフトされた非基準キャリア信号の波形とを合成し、合成信号を生成することとを含み、ここで、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値は、合成信号を用いて判定される。
【0011】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からのキャリア信号でモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法の例は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からのキャリア信号を受信することと、それぞれの既知の時間オフセットに基づいて、キャリア信号を揃えることと、揃えられたキャリア信号を合成して、合成信号を生成することと、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を、合成信号を用いて判定することとを含む。
【0012】
モバイル・デバイスの位置を判定する方法の例は、無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバから、第1のキャリア周波数で、マルチ・キャリア信号のうちの第1のキャリア信号を受信することと、無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバから、第2のキャリア周波数で、第2のキャリア信号を受信することと、モバイル・デバイスの第1の位置推定値を、第1のキャリア信号を用いて判定することと、モバイル・デバイスの第2の位置推定値を、第2のキャリア信号を用いて判定することと、第1の位置推定値と第2の位置推定値とを合成することにより、モバイル・デバイスの位置を判定することとを含む。
【0013】
このような方法の実施形態は、第1の位置推定値のための第1の信頼度尺度を判定することと、第2の位置推定値のための第2の信頼度尺度を判定することと、からなる機能を含む。ここで、モバイル・デバイスの位置を判定することは、第1の信頼度尺度によって重み付けられた第1の位置推定値と、第2の信頼度尺度によって重み付けられた第2の位置推定値とを合成することを含む。
【0014】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号でモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定するように構成された装置の例は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信するように構成されたトランシーバと、トランシーバに通信可能に接続され、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を、少なくとも部分的に、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から選択された少なくとも1つのキャリア信号の、測定された信号特性に基づいて判定するように構成されたプロセッサとを含む。
【0015】
このような装置の実施形態は、以下の特徴のうちの1または複数を含みうる。信号特性は、最初の到着時間である。このプロセッサはさらに、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、判定されたキャリア・タイミング推定値を合成することによってマルチ・キャリア・タイミング推定値を判定するように構成される。プロセッサはさらに、キャリア・タイミング推定値の平均値を計算するように構成される。
【0016】
コンピュータ・プログラム製品の例は、プロセッサに対して、無線トランシーバとモバイル・デバイスとの間の通信に関する少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択することと、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定することと、少なくとも部分的に信号特性に基づいて、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することと、を実行させるように構成されたプロセッサ読取可能命令群を格納するプロセッサ読取可能媒体を含む。
【0017】
このような製品の実施形態は、以下の特徴のうちの1または複数を含みうる。信号特性は、最初の到着時間である。命令群はさらに、プロセッサに対して、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定することと、キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することとを実行させるように構成されている。命令群はさらに、プロセッサに対して、キャリア・タイミング推定値の平均値を計算させるように構成される。
【0018】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を用いてモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定するように構成された装置の例は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信する手段と、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択する手段と、少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定する手段と、少なくとも部分的に信号特性に基づいて、モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する手段とを含む。
【0019】
このような装置の実施形態は、以下の特徴のうちの1または複数を含みうる。信号特性は、最初の到着時間である。距離推定値を判定する手段は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定する手段と、キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する手段とを含む。マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する手段は、キャリア・タイミング推定値の平均値を計算する手段を含む。
【0020】
本明細書に記載されたアイテムおよび/または技術は、下記機能のうちの1または複数を提供しうる。複数のキャリアにおける信号を用いる位置決めが、タイミング推定の精度を高め、その結果、単一のキャリアを用いる従来の位置決めに対して、距離推定値の精度を高める。タイミング推定値の精度の向上は、例えば都心エリアのような非視線環境および高マルチパス環境において、および、例えば屋内環境のように信号対干渉および雑音比(SINR)が低い場合に最も顕著でありうる。位置決めが、同じクロックまたは同期されたクロックを用いて生成された、複数のキャリアで送信された信号を用いている場合、これら信号が合成され、タイミング推定のための合成信号が生成される。これは、例えば、チップ・レートを2倍するように、より高速なチップ・レートを用いたシステムに近いパフォーマンスを提供する位置決めが、同じクロックまたは同期されたクロックを用いずに生成された、複数のキャリアで送信された信号を用いている場合、これら信号は、同じまたは異なる無線通信技術を用いて送信されうる。複数のキャリアにわたるSINRが合成されると、実効的なSINRが増加しうる。タイミング推定における誤差がキャリア信号間で独立している場合、リッチなマルチパス環境におけるタイミング推定を行う際にダイバーシティ利点がありうる。いくつかのキャリア信号に存在するジャミング信号および干渉は、他のキャリア信号では存在しないことがありうる。それに加えて、マルチパス効果は、キャリア信号間で変動しうる。したがって、複数のキャリアが存在することは、干渉と信号とを区別する能力を高め、より信頼性の高い早期の信号ピーク検出を提供しうる。アイテム/技術の効果によるペアが記載されているが、記述された効果は、記述されたものとは別の手段によって達成されうることが可能であり、記述されたアイテム/技術は、記述された効果を必ずしももたらす必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、多元接続無線通信システムの簡略図である。
【図2】図2は、通信システムのブロック図である。
【図3】図3は、移動局の構成要素のブロック図である。
【図4】図4は、モバイル・デバイスと基地局との間の距離推定値を判定することを容易にするシステムの例のブロック図である。
【図5】図5は、マルチ・キャリア信号で無線トランシーバと通信するモバイル・デバイスの簡略図である。
【図6】図6は、図5に示すモバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する処理のブロック・フロー図である。
【図7】図7は、図5に示すモバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する別の処理のブロック・フロー図である。
【図8】図6は、図5に示すモバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する別の処理のブロック・フロー図である。
【図9】図9は、無線トランシーバと通信するモバイル・デバイスの位置を、キャリア信号を用いて判定する処理のブロック・フロー図である。
【0022】
これら図面では、類似の関連する特性および/または機能を持つ構成要素が、同じ参照ラベルを有しうる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載された技術は、モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号でモバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定するためのメカニズムを提供する。モバイル・デバイスは、マルチ・キャリア信号(単数または複数)で無線トランシーバ(単数または複数)と通信する。ここでは、モバイル・デバイスと、各無線トランシーバとの間で、キャリアの信号が、同じクロックまたは同期されたクロックを用いて生成されることも、されないこともありうる。例として、同じクロックあるいは同期されたクロックを用いることなく特定のトランシーバからのキャリア信号が生成される場合、信号特性(例えば、信号強度あるいは最初の到着時間)が、キャリア信号について測定され、測定された信号特性を用いて、モバイル・デバイスと特定のトランシーバとの間の距離推定値が判定される。あるいは、同じクロックあるいは同期されたクロックを用いることなく生成されたキャリア信号は、既知の時間オフセットを用いて時間が揃えられ、合成されることによって、モバイル・デバイスと特定のトランシーバとの間の距離推定値を判定するために使用される合成信号が生成される。別の例として、特定のトランシーバからのキャリア信号が、同じクロックあるいは同期されたクロックを用いて生成された場合、モバイル・デバイスと特定のトランシーバとの間の距離推定値は、例えば、キャリア信号を合成して合成信号を生成すること等により、キャリア信号を用いて判定される。モバイル・デバイスの位置は、判定された距離推定値と、モバイル・デバイスと他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて判定されうる。他の実施形態は、本開示および請求項の範囲にある。
【0024】
本明細書に記載された位置決め技術は、例えば、無線広域ネットワーク(WWAN)、無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)、無線パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)等のようなさまざまな無線通信ネットワークと連携して実現されうる。用語「ネットワーク」および「システム」は、しばしば置換可能に使用される。WWANは、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、OFDMAネットワーク、3GPP LTEネットワーク、WiMAX(IEEE 802.16)ネットワーク等でありうる。CDMAネットワークは、例えばCDMA2000、広帯域CDMA(W CDMA)等のような1または複数のラジオ・アクセス技術(RAT)を実現しうる。CDMA2000は、IS−95規格、IS−2000規格、およびIS−856規格をカバーする。W−CDMAは、「第3世代パートナシップ計画」(3GPP)と命名されたコンソーシアムからの文書に記載されている。CDMA2000は、「第3世代パートナシップ計画2」(3GPP2)と命名されたコンソーシアムからの文書に記載されている。3GPPと3GPP2のドキュメントは公的に利用可能である。WLANは、IEEE 802.11xネットワークであり、WPANは、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE 802.15x、あるいはその他のいくつかのタイプのネットワークでありうる。これら技術はまた、WWAN、WLAN、および/または、WPANの任意の組み合わせと連携して実現されうる。
【0025】
図1に示すように、多元接続無線通信システムが例示される。トランシーバ100は、1つのグループはアンテナ104、106を含み、別のグループはアンテナ108、110を含み、さらに別のグループはアンテナ112、114を含む複数のアンテナ・グループを含んでいる。図1では、おのおののアンテナ・グループについて2本のアンテナしか示されていない。しかしながら、おのおののアンテナ・グループについて、それより多くのまたはそれより少ないアンテナが利用されうる。モバイル・デバイス116はアンテナ112、114と通信している。ここで、アンテナ112、114は、順方向リンク120でモバイル・デバイス116に情報を送信し、逆方向リンク118でモバイル・デバイス116から情報を受信する。モバイル・デバイス122はアンテナ106、108と通信している。ここで、アンテナ106、108は、順方向リンク126でモバイル・デバイス122に情報を送信し、逆方向リンク124でモバイル・デバイス122から情報を受信する。FDDシステムでは、通信リンク118、120、124、126は、通信のために、異なる周波数を使用しうる。例えば、順方向リンク120は、逆方向リンク118によって使用されるものとは異なる周波数を使用しうる。
【0026】
通信するように設計されたエリアおよび/またはアンテナのおのおののグループは、しばしば、トランシーバのセクタと称される。実施形態では、アンテナ・グループはおのおの、トランシーバ100によってカバーされたエリアのセクタ内のモバイル・デバイスと通信するように設計されている。
【0027】
順方向リンク120、126による通信では、トランシーバ100の送信アンテナは、異なるモバイル・デバイス116、122のための順方向リンクの信号対雑音比を改善するために、ビームフォーミングを利用する。さらに、有効通信範囲にわたってランダムに散在するモバイル・デバイスへ送信するためにビームフォーミングを利用するトランシーバは、すべてのモバイル・デバイスに対して単一のアンテナで送信しているトランシーバよりも、近隣セル内のモバイル・デバイスに対して少ない干渉しかもたらさない。
【0028】
トランシーバは、端末と通信するために使用される固定局であり、ノードB、基地局、あるいはその他幾つかの専門用語でも称されうる。モバイル・デバイスはまた、ユーザ機器(UE)、無線通信デバイス、端末、アクセス端末、移動局、無線端末、あるいはその他いくつかの専門用語で称されうる。本明細書に使用されるように、モバイル・デバイスは、例えば、セルラまたはその他の無線通信デバイス、パーソナル通信システム(PCS)デバイス、パーソナル・ナビゲーション・デバイス(PND)、パーソンル情報マネジャ(PIM)、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ラップトップ、あるいは無線通信および/またはナビゲーション信号を受信することが可能なその他の適切なモバイル・デバイスのようなデバイスを称する。用語「モバイル・デバイス」はまた、衛星信号受信、支援データ受信、および/または、位置関連処理が、デバイスまたはPNDで生じているかに関わらず、短距離無線、赤外線、有線接続、あるいは他の接続によって、パーソナル・ナビゲーション・デバイス(PND)と通信するデバイスを含むことが意図されている。また、「モバイル・デバイス」は、衛星信号受信、支援データ受信、および/または、位置関連処理が、デバイス、サーバ、あるいは、ネットワークに関連付けられた別のデバイスで生じているかに関わらず、例えば、インターネット、Wi−Fi、あるいはその他のネットワークを介してサーバとの通信が可能な、無線通信デバイス、コンピュータ、ラップトップ等を含むすべてのデバイスを含むことが意図されている。上記のうちの実施可能な任意の組み合わせもまた「モバイル・デバイス」と考えられる。
【0029】
図2は、MIMOシステム200における送信機システム210(例えば、図1のトランシーバ100)および受信機システム250(例えば、図1のモバイル・デバイス116あるいはモバイル・デバイス122)の例のブロック図である。
【0030】
MIMOシステムはデータ送信のために、複数(T個)の送信アンテナと複数(R個)の受信アンテナとを適用する。T個の送信アンテナおよびR個の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルは、空間チャネルとも称されるS個の独立チャネルへ分割される。ここでS≦min{T、R}である。S個の独立チャネルのおのおのは、ディメンションに相当する。複数の送信アンテナおよび受信アンテナによって生成される追加のディメンションが利用される場合、MIMOシステムは、(例えば、より高いスループット、および/または、より高い信頼性のような)向上されたパフォーマンスを与える。
【0031】
MIMOシステムは、時分割デュプレクス(TDD)システム、および周波数分割デュプレクス(FDD)システムをサポートする。TDDシステムでは、相互原理によって、逆方向リンク・チャネルから順方向リンク・チャネルを推定できるように、順方向リンク送信および逆方向リンク送信が、同じ周波数領域にある。これによって、アクセス・ポイントにおいて複数のアンテナが利用可能である場合、アクセス・ポイントは、順方向リンクで送信ビーム・フォーミング・ゲインを抽出できるようになる。
【0032】
図2に戻って、送信機システム210では、多くのデータ・ストリーム用のトラフィック・データが、データ・ソース212から送信(TX)データ・プロセッサ214に提供される。実施形態では、おのおののデータ・ストリームは、それぞれの送信アンテナを介して送信される。TXデータ・プロセッサ214は、おのおののデータ・ストリームのトラフィック・データをフォーマットし、このデータ・ストリームのために選択された特定の符号化スキームに基づいて符号化し、インタリーブして、符号化されたデータを提供する。
【0033】
おのおののデータ・ストリームの符号化されたデータは、直交周波数分割多重化(OFDM)技術を用いて、パイロット・データとともに多重化されうる。パイロット・データは一般に、既知の手法で処理される既知のデータ・パターンであり、チャネル応答を推定するために受信機システムにおいて使用されうる。各データ・ストリームの多重化されたパイロットおよび符号化されたデータは、その後、変調シンボルを提供するためにデータ・ストリームについて選択された特定の変調スキーム(例えば、バイナリ・フェーズ・シフト・キーイング(BPSK)、直交フェーズ・シフト・キーイング(QPSK)、mアレイ・フェーズ・シフト・キーイング(M−PSK)、またはmアレイ直交振幅変調(m−QAM))に基づいて変調(すなわち、シンボル・マップ)される。おのおののデータ・ストリームのデータ・レート、符号化、および変調は、プロセッサ230によって実行される命令群によって決定される。
【0034】
すべてのデータ・ストリームの変調シンボルはその後、(例えば、OFDMのために)変調シンボルを処理するTX MIMOプロセッサ220に提供される。TX MIMOプロセッサ220はその後、N個の変調シンボル・ストリームを、N個の送信機(TMTR)222a乃至222tへ提供する。ある実施形態では、TX MIMOプロセッサ220は、データ・ストリームのシンボル、および、そのシンボルが送信されるアンテナへ、ビームフォーミング重みを適用する。
【0035】
おのおのの送信機222乃至222は、1または複数のアナログ信号を提供するために、それぞれのシンボル・ストリームを受信して処理し、さらには、MIMOチャネルを介した送信に適切な変調信号を提供するために、このアナログ信号を調整(例えば、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。その後、トランシーバ222乃至222からのT個の変調信号が、T個のアンテナ224乃至224からそれぞれ送信される。
【0036】
受信機システム250では、送信された変調信号がR個のアンテナ252乃至252によって受信され、おのおののアンテナ252からの受信信号が、それぞれの受信機(RCVR)254乃至254へ提供される。おのおのの受信機254は、受信したそれぞれの信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、およびダウンコンバート)し、この調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、さらにこのサンプルを処理して、対応する「受信された」シンボル・ストリームを提供する。
【0037】
その後、RXデータ・プロセッサ260が、これらR個の受信機254から、R個のシンボル・ストリームを受け取り、受け取ったシンボル・ストリームを、特定の受信機処理技術に基づいて処理し、T個の「検出された」シンボル・ストリームが提供される。その後、RXデータ・プロセッサ260は、検出されたおのおののシンボル・ストリームを復調、逆インタリーブ、および復号して、これらデータ・ストリームのためのトラフィック・データを復元する。RXデータ・プロセッサ260によるこの処理は、基地局210におけるTX MIMOプロセッサ220およびTXデータ・プロセッサ214によって実行されるものに相補的である。
【0038】
プロセッサ270は、どの事前符号化行列を使用するのかを定期的に決定する。プロセッサ270は、行列インデクス部およびランク値部を備えた逆方向リンク・メッセージを規定する。
【0039】
逆方向リンク・メッセージは、通信リンクおよび/または受信されたデータ・ストリームに関するさまざまなタイプの情報を備えうる。逆方向リンク・メッセージはその後、多くのデータ・ストリームのトラフィック・データをデータ・ソース236から受け取るTXデータ・プロセッサ238によって処理され、変調器280によって変調され、送信機254によって調整され、送信機システム210へ送り戻される。
【0040】
送信機システム210では、受信機システム250からの変調信号がアンテナ224によって受信され、受信機222によって調整され、復調器240によって復調され、RXデータ・プロセッサ242によって処理されることによって、受信機システム250によって送信された逆方向リンク・メッセージが抽出される。さらに、プロセッサ230は、ビームフォーミング重みを決定するためにどの事前符合化行列を使用するかを決定し、その後、この抽出されたメッセージを処理する。
【0041】
(モバイル・デバイスの位置決め)
無線通信システムにおけるモバイル・デバイスの位置を判定するために、全地球測位システム(GPS)技術、アシストGSP(A−GPS)、および、例えば、発信元セル(COO:Cell of Origin)、到着時間(TOA:Time of Arrival)、観察された到着時間差(OTDOA:Observed Time Difference of Arrival)、アドバンスト順方向リンク三辺測量(AFLT)、および到着角度(AOA:Angle of Arrival)のようなセル・ベースの位置決め方法を含む多くの技術が存在する。これらの技術は、正確さの度合いが変動する。これは、今日の位置ベースのサービスの多くによって必要とされる精度を与えない。特に、衛星信号は、常に正確な位置決めを提供するのに十分な強さである訳ではない。例えば、GPS位置決めは、特に、SINRが低い屋内環境や、高くて集中したビルディングが衛星の視界を遮り、ビルディングの反射面がマルチパスを効果をもたらす都心環境において不正確でありうる。
【0042】
従来の位置決め技術は、単一キャリア信号に基づく距離推定を使用する。一般に、地上ベースの位置決めにおける基本演算のうちの1つは、信号の最初の到着パスのタイミング推定である。トランシーバとモバイル・デバイスとの間で送信された単一キャリア信号は、複数のパス(つまり、マルチ・パス)を経て受信されうる。信号のマルチ・パスは、異なる受信電力および到着時を有しうる。受信信号は、受信信号のマルチ・パスを識別するために、相互に関連付けられうる。通常、検出された最初の到着パスは、最短距離を移動するパスに関連付けられるので、モバイル・デバイスとトランシーバとの間の距離を推定する際に使用する正しい値であると仮定される。多くの場合、最初の到着パスは、トランシーバとモバイル・デバイスとの間の反射がゼロであるか、あるいは、他のパスに比べて少ないので、最も強いパスである。識別された最初の到着パスの最初の到着時間は、他のパラメータ(例えば、推定された信号送信時間、および/または、トランシーバのクロックと、モバイル・デバイスのクロックとの間の時間オフセット)とともに、モバイル・デバイスとトランシーバとの間の距離を推定するために使用されうる。使用される位置決め方法に依存して、最初の到着時間は、ダウンリンクで受信された信号に基づいてモバイル・デバイスによって推定されるか、あるいは、アップリンクで受信された信号に基づいてトランシーバによって推定されるかの何れかでありうる。
【0043】
モバイル・デバイスの位置は、モバイル・デバイスとトランシーバとの間で推定された距離と、モバイル・デバイスと、例えば、地上ベースの信号ソースおよび衛星ベースの信号ソースのようなその他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて判定されうる。例えば、モバイル・デバイスと通信する複数のトランシーバ(例えば、3つ以上のトランシーバ)の場合、モバイル・デバイスの位置決めは、モバイル・デバイスに対する複数のトランシーバの推定距離を用いる三辺測量を行なうことによって決定されうる。
【0044】
1つの位置決め技術である、観察された到着時間差(OTDOA)は、少なくとも3つのトランシーバからの信号のタイミングを測定することによって、モバイル・デバイスの位置を推定する。基準トランシーバ信号と、少なくとも2つの近隣トランシーバの信号との間の到着時間差が、2つの双曲線を規定する。これらの双曲線の交差は、地表における位置(つまりモバイル・デバイスの推定位置)を規定する。OTDOA技術の精度は、時間差測定値の分解能と、近隣トランシーバの形状との関数である。非同期ネットワークにおいては本質的には正しくない近隣トランシーバ間のタイミング関係が、正確に知られている必要がある。非同期ネットワークの場合、高品質のタイミング基準に対するおのおののトランシーバのタイミングを追跡するために、展開領域にわたって位置決め測定ユニット(LMU)が追加されうる。一例において、モバイル・デバイスまたはLMUは、トランシーバ信号のフレーム・タイミング間の観測時間差を測定しうる。この測定値は、モバイル・デバイスの位置を判定するために、例えば、通信ネットワークのラジオ・ネットワーク・コントローラまたはトランシーバに送信されうる。あるいは、モバイル・デバイスは、通信ネットワークから受信された(例えば、基準トランシーバおよび近隣トランシーバの位置のような)支援データおよび時間差測定値を用いて、位置を判定しうる。
【0045】
別の位置決め技術であるアップリンク到着時間差(U−TDOA)は、モバイル・デバイスから送信され複数(例えば、4つ以上)のLMUで受信された既知の信号の到着時間のネットワーク測定値に基づく。LMUは、既知の信号のバーストの到着時間を正確に測定するために、配置されるモバイル・デバイスの地理的な近くに存在する必要がある。LMUの地理的な座標は既知であるので、モバイル・デバイスの位置は、双曲線形の三辺測量を用いて判定されうる。
【0046】
有利なことに、技術は、シームレスなモバイル位置決めを提供するために、複数のキャリアにおける信号(例えば、マルチ・キャリア信号)を用いる地上ベースの位置決めのために発展してきた。マルチ・キャリア信号は、位置決め精度を本質的に向上させうる。例えば、セルラ信号の帯域幅が拡大すると、タイミング推定精度が格段に向上しうる。複数のキャリアを用いるタイミング推定は、モバイル・ベースの位置決め、および、基地局ベースの位置決めの両方を含む多くの形態の位置決めにおいて使用され、3GPPおよび3GPP2の両方の無線通信技術に適用されうる。
【0047】
本明細書で用いられる用語「マルチ・キャリア・システム」は、複数の無線技術を用いるシステムを含みうる。例えば、スマート・フォンは、一般に、セルラ信号およびIEEE 802.11x Wi−Fi信号を受信し、マルチ・モード・セル電話は、例えば、グローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))とW CDMA、CDMA2000とLTE、W CDMAとLTEのような複数の技術の信号を受信しうる。
【0048】
複数のキャリアを用いる位置決めのいくつかの技術では、複数のキャリアが時間同期される。すなわち、全てのキャリアにおける信号が、同じクロックに基づいて生成され、さらに、データ・フレームに関連するすべてのタイミングが揃えられる。いくつかの既存の開発中の無線通信技術は、時間同期されたキャリアを指定する。例えば、IS95/CDMA2000 lxEv−DO(イボリューション・データ・オプティマイズド)システムでは、これらキャリアは、本質的に、GPSタイミングと同期される。別の例では、3GPPリリース8におけるデュアル・セル高速ダウンリンク・パケット・アクセス(DC−HSDPA)では、2つのダウンリンク・キャリアが、おのおのの基地局において同期される。3GPPリリース9におけるDC−HSDPAでは、2つのアップリンク・キャリアが同期される。DC−HSDPAに対するマルチ・キャリアの拡張は、ダウンリンクとアップリンクとの両方において、複数のキャリアが同期されることを必要とする。
【0049】
図3は、移動局(MS)300の構成要素のブロック図である。図示された実施形態では、MS300は、例えば広帯域マルチ・キャリア信号のような1または複数の周波数チャネルを、マルチ・キャリア・トランシーバ313によって同時に送信および受信できる機能を有する。マルチ・キャリア・トランシーバ313は、インタフェース320を介してMS300のその他の構成要素に通信可能に接続されている。MS300は、恐らくはオプションのバス/メモリ・インタフェース310およびバス301を介してデジタル信号プロセッサ(DSP)312、ミソレニアス・インタフェース330、およびメモリ340に接続された汎用プロセッサ311を含む。ミソレニアス・インタフェースは、一般に、音声/オーディオ・インタフェースおよびテキスト・インタフェースを含んでいるだろう。図示された実施形態では、MS300は、オプションのGPS受信機326および関連付けられたアンテナ327を含む。GPS受信機326および関連付けられたアンテナ327は、例えば位置決めのために、GPS信号を受信する能力をMS300に提供する。GPS受信機326は、インタフェース325を介して、MS300の別の構成要素に通信可能に接続される。他の実施形態は、前述したモジュール/インタフェースまたは追加のモジュール/インタフェースのうちのいくつかまたはすべての使用可能な組み合わせを含みうる。
【0050】
(複数キャリアを用いるタイミング推定のためのシステム例)
例として、図4は、2つ以上のキャリアからの最初の到着パスのタイミング推定値を計算することを容易にするシステム400を図示する。このシステム400は、モバイル・デバイス404(例えば、ユーザ機器、移動局、アクセス端末、および/または、(図示しない)他の任意の数のデバイス)と通信しうる基地局402(例えば、トランシーバ、ノードB、eノードB等)を含む。基地局402は、順方向リンク・チャネル(ダウンリンク・チャネル)によって、モバイル・デバイス404に情報を送信しうる。さらに、基地局402は、逆方向リンク・チャネル(アップリンク・チャネル)によって、モバイル・デバイス404から情報を受信しうる。システム400は、SISO、MISO、あるいはMIMOシステムでありうる。さらに、システム400は、OFDMA無線ネットワーク(例えば、3GPP、3GPP2、3GPP LTE等)で動作しうる。さらに、図示され以下で説明される基地局402における構成要素および機能は、逆に、モバイル・デバイス404にも存在しうる。開示された技術は、2つ以上のキャリアからの最初の到着パスの推定タイミングを提供しうる。そして、このような推定タイミングは、基地局402および/またはモバイル・デバイス404において計算されうる。特に、最初の到着パスは、モバイル・デバイス404によって受信されたダウンリンク信号、または、基地局402によって受信されたアップリンク信号を用いて2つ以上のキャリアから推定されうる。
【0051】
基地局402は、2つ以上のキャリアからの最初の到着パスを収集しうる信号収集モジュール406を含む。いくつかの実施では、最初の到着パスは、GPS信号に関連している。基地局402はさらに、最初の到着パスのタイミングを推定するために、2つ以上のキャリアの合成タイミング推定値(例えば、キャリア・タイミング推定値の平均値または中央値)または、2つ以上のキャリアからの合成信号(例えば、シフトされたキャリア信号の合成波形)のうちの少なくとも1つを提供するタイミング推定モジュール408を含む。タイミング推定モジュール408はさらに、位置を計算するために、合成タイミング推定値または合成信号を利用しうる。
【0052】
モバイル・デバイス404は、2つ以上のキャリアからの最初の到着パスを収集しうる信号収集モジュール410を含む。いくつかの実施では、最初の到着パスは、GPS信号に関連している。モバイル・デバイス404はさらに、最初の到着パスのタイミングを推定するために、2つ以上のキャリアの合成タイミング推定値(例えば、キャリア・タイミング推定値の平均値または中央値)、または、2つ以上のキャリアからの合成信号(例えば、シフトされたキャリア信号の合成波形)のうちの少なくとも1つを提供するタイミング推定モジュール412を含む。タイミング推定モジュール412はさらに、位置を計算するために、合成タイミング推定値または合成信号を利用しうる。
【0053】
(複数のキャリアにおける無線トランシーバを用いたモバイル・デバイス通信)
基本的に、タイミング精度は、信号帯域幅に対して反比例する。したがって、複数のキャリアを用いることは、単一のキャリアを用いることと比べて、タイミング推定を改善しうる。位置決めのためにマルチ・キャリア信号を用いる多くの方式がある。同じクロックまたは同期されたクロックを用いることなく生成されるキャリア信号の技術は、キャリア毎のタイミング推定値を合成しうる。同じクロックまたは同期されたクロックを用いて生成されるキャリア信号の技術は、複数のキャリアからの信号を、合成信号に合成しうる。開示されたこれらさまざまな技術を用いて、以下のような状況において、タイミング推定精度が著しく向上されうる。屋内環境に一般的である貧弱なSINR、都心環境に一般的であるリッチなマルチ・パス。
【0054】
図5は、複数のキャリアで無線トランシーバ530と通信しているモバイル・デバイス510を備えるシステム500の例を例示する。無線トランシーバ530は、1または複数の無線通信技術で、モバイル・デバイス510との間で信号の送信および受信を行いうる。送信された信号は、同じクロックまたは同期されたクロックを用いて、あるいは、同じクロックまたは同期されたクロックを用いることなく生成されうる。
【0055】
このシステム500では、モバイル・デバイス510が、2つのキャリア周波数で無線トランシーバ530と通信する。比較を容易にするために、第1のキャリアにおける信号が、連続線で示される一方、第2のキャリアにおける信号が、破線で示される。
【0056】
キャリアで送信された信号はおのおのの、1または複数のパスによって受信される。第1のキャリアで送信された信号は、3つのパス541、542および543によって受信され、第2のキャリアで送信された信号は、3つのパス546、547および548によって受信される。この例において、2つのキャリア信号は、単一のアンテナ540を用いて、無線トランシーバ530によって送信および受信される。例えば、第1のキャリアの信号および第2のキャリアの信号の両方は、アンテナ540から送信された同じマルチ・キャリア信号の一部でありうる。いくつかの実施では、第1のキャリア信号が、第1のアンテナから単一のキャリア信号として送信される一方、第2のキャリア信号が、第2のアンテナから単一のキャリア信号として送信される。
【0057】
第1のキャリア信号と第2のキャリア信号とは、同じ無線トランシーバ530から送信されるので、これらキャリア信号のタイミングは理論上同じであるべきである。なぜなら、これら信号は、実質的に、光速で移動するからである。しかしながら、第1のキャリア信号と第2のキャリア信号との周波数が異なると、環境に対して異なって影響を与えるであろう。例えば、マルチパスおよび雑音の効果が、これらキャリア信号間で変動しうる。キャリア周波数の差は、異なるキャリア信号におけるパス間の相対的なフェーズ差をもたらしうる。この相対的なフェーズ差は、これらパス間の干渉の違いをもたらしうる。これは、異なるキャリア信号におけるパスのタイミング推定において、異なる誤差をもたらしうる。あるキャリア信号に存在するジャミング信号および干渉は、他のキャリア信号には存在しないかもしれない。両信号において同じ効果(例えば、マルチパス、干渉、雑音)が存在するかを判定するために、受信された2つのキャリア信号が比較されうる。したがって、複数のキャリアが存在することは、干渉と信号とを区別する能力を高め、より信頼性の高い早期の信号ピーク検出を提供しうる。
【0058】
(ここでは、ダウンリンク用のモバイル・デバイス510である)受信機では、最初の到着パスが、おのおののキャリアについて識別されうる。システム500では、パス541、546は、ビルディング520を介して移動する。パス542、547はビルディング521に一度反射し、パス543、548はビルディング520、522に二度反射する。図5は、ビルディング520、522と異なって作用することによって、第1のキャリア信号と第2のキャリア信号とが、送信中に異なる角度でビルディングと反射するようになる、第1のキャリア信号と第2のキャリア信号との異なる周波数を例示する。以下に開示された技術の場合、最低数の反射しかしないパス541、546が、第1のキャリア信号および第2のキャリア信号それぞれの最初の到着パスとして識別されうる。
【0059】
いくつかの事例では、受信機は、干渉または雑音を、真の最初の到着パスではなく、キャリア信号の最初の到着パスとして誤って検出する。以下には、これら早期の到着パスを、タイミング推定値を判定する際に破棄されるべきであるか、あるいは、タイミング推定値を判定する際に、他のパスに関連付けられた重みと比較して、低い重みが関連付けられるべきである外れ値パスとして識別するためのメカニズムが開示される。
【0060】
(マルチ・キャリア信号を用いた距離推定の処理)
図3−5をさらに参照して図6に示すように、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する処理600は、図示するステージを含んでいる。無線トランシーバ530は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号でモバイル・デバイス510と通信する。あるいは、無線トランシーバ530は、複数のキャリアの信号でモバイル・デバイス510と通信しうる。無線トランシーバ530は、1または複数の無線通信技術を用いてモバイル・デバイス510と通信しうる。しかしながら、処理600は、ただの典型例であり、限定ではない。処理600は、例えば、追加、削除、再配列されたステージを有することによって変更されうる。
【0061】
ステージ602では、受信機(例えば、図4のモバイル・デバイス404の信号収集モジュール410、または、基地局402の信号収集モジュール406)は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信する。受信される信号は、1または複数のパスによって受信されうる。例えば、図5のモバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530から第1のキャリアで3つのパス(すなわち、パス541、542および543)からの信号を受信する。モバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530から第2のキャリアで3つのパス(すなわち、パス546、547および548)からの信号を受信する。モバイル・デバイス510はまた、他の無線トランシーバ(図示せず)からも信号を受信しうる。
【0062】
ステージ604では、プロセッサ(例えば、モバイル・デバイス404または基地局402のプロセッサ)は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号のから少なくとも1つのキャリア信号を選択する。図5のシステム500では、モバイル・デバイス510のプロセッサ(例えば、図3の汎用プロセッサ311)は、第1のキャリア信号および/または第2のキャリア信号を選択する。
【0063】
ステージ606では、プロセッサが、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定する。例えば、モバイル・デバイス404のタイミング推定モジュール412のプロセッサは、少なくとも1つのキャリア信号の最初の到着時間を測定しうる。あるいは、この信号特性は、少なくとも1つのキャリア信号の信号強度に関連しうる。
【0064】
ステージ608では、プロセッサが、少なくとも部分的に信号特性に基づいて、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する。好適には、プロセッサは、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定する。距離推定値の判定は、キャリア・タイミング推定値のみならず、その他の要因に依存しうる。例えば、距離推定値を判定するために、キャリア・タイミング推定値に加えて、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の共通の時間オフセットが使用されうる。
【0065】
プロセッサは、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定するために、複数のキャリア信号のキャリア・タイミング推定値を合成しうる。例えば、モバイル・デバイス510のプロセッサは、例えば、第1のキャリア信号の、パス541を経由した信号の到着時間、および第2のキャリア信号の、パス546を経由した信号の到着時間のような第1のキャリア信号および第2のキャリア信号の最初の到着時間を用いてキャリア・タイミング推定値を判定する。プロセッサは、これらの2つの個々のキャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する。マルチ・キャリア・タイミング推定値は、例えば、キャリア・タイミング推定値の計算された平均値または計算された中央値でありうる。
【0066】
個々のキャリア・タイミング推定値を合成することは、2つの局面において、利点を与える。第1に、複数のキャリアにわたってSINRが合成されるので、実効的なSINRにおける利点がある。第2に、タイミング推定における誤差がキャリアにわたって独立している場合、リッチなマルチパス環境におけるタイミング推定におけるダイバーシティ利点がある。その他の利点は、この技術の場合、(すなわち、キャリア信号が同じクロックまたは同期されたクロックを用いて生成される場合、)キャリア同期は不要であることである。複数のキャリアは、帯域にわたってでさえも非隣接であり、キャリア分離(すなわち、周波数差)が大きいほど、潜在的な利点が大きい。
【0067】
いくつかの事例では、受信されたキャリア信号の干渉または雑音が、最初の到着パスとして識別されうる。プロセッサ600はさらに、対応するキャリア信号を持つキャリア・タイミング推定値のうちの少なくとも1つを、外れ値として識別することを含みうる。例えば、プロセッサは、対応するキャリア信号のキャリア電力を、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からのその他のキャリア信号のキャリア電力と比較することに基づいて、および/または、キャリア・タイミング推定値を、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からのその他のキャリア信号のキャリア・タイミング推定値と比較することに基づいて、外れ値を識別しうる。好適には、プロセッサは、マルチ・キャリア・タイミング推定値を、外れ値のいずれをも用いることなく判定する。あるいは、プロセッサは、マルチ・キャリア・タイミング推定値の判定に対して、外れ値が、非外れ値のキャリア・タイミング推定値よりも寄与しないように、複数のキャリアからのキャリア・タイミング推定値を重み付ける。この代替例では、プロセッサは、複数のキャリアからの(例えば、重み付けられた平均値として)重み付けられたキャリア・タイミング推定値の合成として、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する。
【0068】
あるいは、プロセッサは、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する代わりに、他の最初の到着時間からの距離推定値に対する距離推定値を最小化する最初の到着時間を用いて距離推定値を判定する。例えば、モバイル・デバイス510のプロセッサ、または、無線トランシーバ530のプロセッサは、小さな距離推定値を持つ第1のキャリアまたは第2のキャリアの最初の到着時間を用いて、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定しうる。
【0069】
ステージ610では、プロセッサは、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の判定された距離推定値と、モバイル・デバイス510とその他の信号ソース(例えば、その他の無線トランシーバ)との間の距離推定値とを用いて、モバイル・デバイス510の位置を判定する。この位置は、例えば、モバイル・デバイス510から受信した測定値を用いて、無線トランシーバ530によって、あるいは、通信ネットワーク・インフラストラクチャのその他いくつかのエンティティ(例えば、ラジオ・ネットワーク・コントローラ)によって判定されうる。あるいは、モバイル・デバイス510は、通信ネットワークから受信したキャリア・タイミング推定値および支援データ(例えば、無線トランシーバ530および近隣の無線トランシーバの位置)を用して、位置を判定しうる。
【0070】
いくつかの実施では、無線トランシーバは、異なるキャリアで、異なる無線通信ネットワーク(例えば、IS95とCDMA2000)の信号を送信する。このシナリオでは、ステージ602において、受信機は、第1の無線通信ネットワークから第1のマルチ・キャリア信号を、異なる第2の無線通信ネットワークから第2のマルチ・キャリア信号を受信する。ステージ604では、プロセッサは、第1のマルチ・キャリア信号から第1のキャリア信号を選択し、第2のマルチ・キャリア信号から第2のキャリア信号を選択する。処理600は、ステージ606において、プロセッサが、2つのキャリア信号のおのおのの信号特性を測定することに続く。いくつかの実施形態では、異なる無線通信ネットワークにおける信号を受信することを容易にするために、異なるキャリア間の周波数差が、例えば、20MHzのように、ある判定された値よりも小さい。
【0071】
(キャリア信号を用いた距離推定処理)
図3−5をさらに参照して図7に示すように、無線通信システムのモバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する別の処理700は、図示するステージを含んでいる。無線トランシーバ530は、マルチ・キャリア信号でモバイル・デバイス510と通信する。処理700は、以下に詳細に説明するように、一般には成分キャリア信号の個々の帯域幅の合計以上である帯域幅を用いて合成信号を生成する。しかしながら、処理700は、ただの典型例であり、限定ではない。処理700は、例えば、追加、削除、再配列されたステージを有することによって変更されうる。
【0072】
ステージ702では、受信機(例えば、図4のモバイル・デバイス404の信号収集モジュール410、または、基地局402の信号収集モジュール406)は、同期されたクロックを用いて生成されたキャリア信号を含むマルチ・キャリア信号を受信する。同期されたクロックは、同じレートで進むが、互いに対する時間オフセットを有しうる。モバイル・デバイス510はまた、他の無線トランシーバ(図示せず)からも信号を受信しうる。
【0073】
例として、モバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530からマルチ・キャリア信号を受信する。ここで、マルチ・キャリア信号は、2GHzのキャリア周波数において5MHzの帯域幅を持つ第1のキャリア信号と、2GHz+5MHzのキャリア周波数において5MHzの帯域幅を持つ第2のキャリア信号とを含み、ここで、これら2つのキャリア信号は、同期されたクロックを用いて生成される。この例では、処理700によって生成される合成信号は、2つの成分キャリア信号の帯域幅の合計である10MHzに等しい帯域幅を有する。
【0074】
ステージ704では、プロセッサ(例えば、モバイル・デバイス404あるいは基地局402のプロセッサ)は、キャリア信号のうちの1つを基準キャリア信号として選択する。一例において、モバイル・デバイス510のプロセッサは、2GHzにおける第1のキャリア信号を基準キャリア信号として選択する。
【0075】
ステージ706では、プロセッサは、基準キャリア信号に対する周波数差にしたがって、非基準キャリア信号のうちの少なくとも1つのおのおのの波形をシフトさせる。上記例では、プロセッサは、第1のキャリア信号(すなわち、基準キャリア信号)に対する5MHzの周波数差にしたがって、第2のキャリア信号の波形をシフトさせうる。
【0076】
マルチ・キャリア信号の受信後におけるこれらキャリア信号の波形は、個々に、帯域通過フィルタされ、ベース帯域にダウンコンバートされる。ダウン・コンバート後、非基準キャリア信号の波形が、それぞれの周波数差に対してシフトされる。上記例では、第1のキャリア信号(すなわち、基準キャリア信号)の波形と、第2のキャリア信号(すなわち、非基準キャリア信号)の波形は、ともに帯域通過フィルタされ、その後、ベース帯域にダウン・コンバートされる。ステージ706では、第2のキャリア信号の波形が、ベース帯域から5MHzシフトされる。
【0077】
ステージ708では、プロセッサが、基準キャリア信号の波形と、少なくとも1つの、シフトされた非基準キャリア信号の波形とを合成し、合成信号を生成する。合成前には、これら2つの波形が、合成信号の帯域幅によって決定されるナイキスト・レートにアップ・サンプルされる。上記例において、この合成信号は、10MHzに等しい帯域幅と、20MHzのナイキスト・レートとを有するだろう。したがって、第1のキャリア信号の波形と、シフトされた第2のキャリア信号の波形とは、20MHzのレートにアップ・サンプルされる。これら2つの波形を合成することによって、10MHz帯域幅を持つ合成信号の波形が生成される。
【0078】
ステージ710では、プロセッサは、基準キャリア信号の波形と、少なくとも1つの、シフトされた非基準キャリア信号の波形との合成を用いて、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する。この距離推定値は、マルチ・キャリア信号のタイミング推定値を判定する際に使用される最初の到着パスを識別するために、合成キャリア信号との相互関連付けのための合成基準信号を生成することによって判定されうる。この合成基準信号は、おのおのの成分キャリア信号についてベース帯域において個々の基準信号を生成すること、シフトされた非基準キャリア信号に対応する基準信号の波形をシフトさせること、および、合成する前に基準信号波形をアップ・サンプルし、合成基準信号を生成することによって、ステージ706とステージ708とを並列させる処理で生成されうる。
【0079】
ステージ712では、プロセッサは、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の判定された距離推定値と、モバイル・デバイス510とその他の信号ソース(例えば、その他の無線トランシーバ)との間の距離推定値とを用いて、モバイル・デバイス510の位置を判定する。この位置は、例えば、モバイル・デバイス510から受信したマルチ・キャリア・タイミング推定値を用いて、無線トランシーバ530によって、あるいは、通信ネットワーク・インフラストラクチャのその他いくつかのエンティティ(例えば、ラジオ・ネットワーク・コントローラ)によって判定されうる。あるいは、モバイル・デバイス510は、通信ネットワークから受信したマルチ・キャリア・タイミング推定値および支援データ(例えば、無線トランシーバ530および近隣の無線トランシーバの位置)を用いて位置を判定しうる。
【0080】
好適には、ステージ710では、プロセッサが、キャリア信号の波形の何れもシフトさせることなく、距離推定値を判定する。例えば、マルチ・キャリア信号は、2つのキャリア信号間の小さな周波数差(例えば、5MHz)を持つ広帯域信号として受信されうる。プロセッサは、受信したマルチ・キャリア信号を、より広い帯域通過フィルタ(すなわち、上記例では10MHz)を用いてフィルタすることによって、所望の成分キャリア信号を取得すること、ベース帯域にダウン・コンバートすること、および、より広いベース帯域信号をナイキスト・レートへアップ・サンプルすることによって、マルチ・キャリア信号を、単一のキャリア信号として処理しうる。このより広い帯域幅のベース帯域信号の波形は、合成基準信号との相互関連付けがなされ、距離推定値が判定される。合成基準信号は、単一の、より広い帯域幅の基準信号として生成されうるか、あるいは、個々に生成された基準信号のための上述した処理を用いて生成されうる。
【0081】
改善されたパフォーマンスのために、より高速なチップ・レートを持つ信号が使用されうる。しかしながら、処理700は、より高速なチップ・レートを用いることなく、3GPPと3GPP2との両方において、マルチ・キャリア・システムのフレームワーク内で動作する。複数のキャリアがサブ・チップ精度に同期された場合、キャリア信号の波形が合成され、合成信号が生成される。この技術の1つの利点は、(例えば、処理700のシステムのために使用されるチップ・レートの2倍のような)より高速なチップ・レートを持つシステムに近いパフォーマンスを提供しうることである。付録Aおよび付録Bは、処理700が、より高速なチップ・レートを持つシステムに近いパフォーマンスを提供することを示す。3GPPおよび3GPP2の両方におけるマルチ・キャリア・システムにおける場合のように、キャリアが同期されうる。
【0082】
付録Aは、同期されたキャリア信号の波形を合成することによって生成される合成信号が、タイミング推定のためにどのように逆拡散されるか、および、合成信号からの規格化パルスが、2倍のチップ・レートを持つ単一のキャリア信号からの規格化パルスとどのようにして匹敵するかを例示する。
【0083】
付録Bは、マルチ・キャリア・セルラ・システムにおける位置決めパフォーマンスを改善するためのいくつかの技術のうちの一般的な説明を提供する。
【0084】
(キャリア信号の合成信号を用いた距離推定処理)
図4−5をさらに参照して図8に示すように、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する処理800は、図示するステージを含んでいる。無線トランシーバ530は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からのキャリア信号を用いてモバイル・デバイス510と通信する。しかしながら、処理800は、ただの典型例であり、限定ではない。処理800は、例えば、追加、削除、再配列されたステージを有することによって変更されうる。
【0085】
ステージ802では、受信機(例えば、図4のモバイル・デバイス404の信号収集モジュール410、または、基地局402の信号収集モジュール406)は、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からキャリア信号を受信する。例えば、モバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530から、マルチ・キャリア信号のうち、第1のキャリア信号および第2のキャリア信号を受信する。モバイル・デバイス510はまた、他の無線トランシーバ(図示せず)からも信号を受信しうる。
【0086】
ステージ804では、プロセッサ(例えば、モバイル・デバイス404あるいは基地局402のプロセッサ)は、それぞれ既知の時間オフセットに基づいて、キャリア信号を揃える。例えば、ステージ804が、モバイル・デバイス510のプロセッサによって実行されると、モバイル・デバイス510の受信機は、通信ネットワーク・インフラストラクチャ(例えば、無線トランシーバ530)の別のエンティティから、キャリア信号についてそれぞれの時間オフセットを受信しうる。
【0087】
ステージ806では、プロセッサは、合成信号を生成するために、これら揃えられたキャリア信号を合成する。これら揃えられたキャリア信号を合成することにより、個々のキャリア信号に存在する共通の効果(例えば、マルチパス、干渉、雑音)を拡大し、干渉と信号とを区別する能力を高め、最初に到着した真のパスを検出する能力を高める。
【0088】
ステージ808では、プロセッサが、合成信号を用いて、モバイル・デバイス510と無線トランシーバ530との間の距離推定値を判定する。さらに、モバイル・デバイスの位置が、この距離推定値と、モバイル・デバイス510とその他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて判定されうる。
【0089】
(複数のキャリアを用いた位置決め処理)
図4−5をさらに参照して図9に示すように、無線トランシーバと通信するモバイル・デバイス510(すべて図示せず)の位置を、キャリア信号を用いて判定する処理900は、図示されたステージを含んでいる。しかしながら、処理900は、ただの典型例であり、限定ではない。処理900は、例えば、追加、削除、再配列されたステージを有することによって変更されうる。
【0090】
ステージ902では、受信機(例えば、図4のモバイル・デバイス404の信号の収集モジュール410)は、複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバから、第1のキャリア周波数で、マルチ・キャリア信号のうちの第1のキャリア信号を受信する。例えば、モバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530から、第1のキャリア周波数で第1のキャリアを受信する。モバイル・デバイス510はまた、他の無線トランシーバ(図示せず)から、第1のキャリア周波数で、別のキャリア信号も受信しうる。
【0091】
ステージ904では、受信機は、第1の無線トランシーバから、第2のキャリア周波数で、第2のキャリア信号を受信する。例えば、モバイル・デバイス510は、無線トランシーバ530から、第2のキャリア周波数で、第2のキャリアを受信する。モバイル・デバイス510はまた、他の無線トランシーバ(図示せず)から、第2のキャリア周波数で、その他のキャリア信号も受信しうる。
【0092】
ステージ906では、プロセッサ(例えば、モバイル・デバイス404のプロセッサ)は、第1のキャリア信号を用いて、モバイル・デバイス510の第1の位置推定値を判定する。ステージ908では、プロセッサは、第2のキャリア信号を用いて、モバイル・デバイス510の第2の位置推定値を判定する。
【0093】
一例において、モバイル・デバイス510は、3つ以上の信号ソース(例えば、3つの無線トランシーバ)から、第1のキャリア周波数で、キャリア信号を受信し、第1のキャリア周波数におけるおのおののキャリア信号について、最初の到着時間を判定する。モバイル・デバイス510は、それぞれの最初の到着時間、および恐らくはその他のデータ(例えば、通信ネットワークの別のエンティティから受信した支援データ)を用いて、3つ以上の信号ソースのおのおののための距離推定値を判定する。これら距離推定値は、モバイル・デバイス510のための第1の位置推定値を判定するために使用されうる。この処理は、モバイル・デバイス510のための第2の位置推定値を判定するために、第2のキャリア周波数で受信されたキャリア信号について繰り返されうる。
【0094】
ステージ910では、プロセッサは、第1の位置推定値と第2の位置推定値とを合成することにより、モバイル・デバイス510の位置を判定する。この位置は、例えば、モバイル・デバイス510によって、あるいは、(例えば、ラジオ・ネットワーク・コントローラのような)通信ネットワーク・インフラストラクチャのエンティティによって判定されうる。
【0095】
好適には、プロセッサは、これら位置推定値のための信頼度尺度を用いて、モバイル・デバイスの位置を判定する。例として、プロセッサは、第1の位置推定値のための第1の信頼度尺度および第2の位置推定値のための第2の信頼度尺度を決定する。プロセッサは、第1の信頼度尺度によって重み付けられた第1の位置推定値と、第2の信頼度尺度によって重み付けられた第2の位置推定値とを合成することによって、モバイル・デバイス510の位置を判定する。
【0096】
(説明に関する考慮)
開示された処理におけるステップの具体的な順序または階層は、典型的なアプローチの例であることが理解される。設計選択に基づいて、これら処理におけるステップの具体的な順序または階層は、本開示のスコープ内であることを保ちながら、再構成されうることが理解される。方法請求項は、さまざまなステップの要素を、サンプル順で示しており、示された具体的な順序または階層に限定されないことが意味される。
【0097】
当業者であれば、情報および信号は、さまざまな異なる技術および技法のうちの何れかを用いて表されうることを理解するであろう。例えば、上記説明を通じて参照されうるデータ、命令群、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁性粒子、光学場または光学粒子、あるいはこれらの任意の組み合わせによって表現されうる。
【0098】
当業者であればさらに、本明細書で開示された実施形態に関連して記載された例示的なさまざまな論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップは、電子的なハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、あるいはこれら両方の組み合わせとして実現されることを認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に説明するために、さまざまな例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の観点から一般的に記載された。それら機能がハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実現されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられている設計制約に依存する。当業者であれば、特定のアプリケーションおのおのに応じて変化する方法で上述した機能を実現することができる。しかしながら、この適用判断は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0099】
本明細書における開示に関連して説明されたさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路を、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ信号(FPGA)もしくはその他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書で説明される機能を実行するように設計されたその任意の組み合わせを用いて実施または実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでありうるが、代替例では、このプロセッサは、従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または順序回路でありうる。プロセッサは、例えばDSPとマイクロ・プロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロ・プロセッサ、DSPコアと連携する1または複数のマイクロ・プロセッサ、またはその他任意のこのような構成である計算デバイスの組み合わせとして実現することも可能である。
【0100】
本明細書の開示に関連して説明された方法またはアルゴリズムのブロックを、ハードウェアで直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールによって、またはこの2つの組合せによって実施することができる。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD−ROM、あるいは当該技術分野で知られているその他の型式の記憶媒体に収納されうる。典型的な記憶媒体は、プロセッサがそこから情報を読み取り、またそこに情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。あるいは、この記憶媒体は、プロセッサに統合されうる。このプロセッサと記憶媒体とは、ASIC内に存在することができる。ASICは、ユーザ端末内に存在することもできる。あるいはプロセッサと記憶媒体とは、ユーザ端末内のディスクリート部品として存在することができる。
【0101】
1または複数の典型的な設計では、記載された機能は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、あるいはそれらの任意の組み合わせによって実現されうる。プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現される場合、これら機能は、コンピュータ読取可能媒体上に格納されるか、あるいは、コンピュータ読取可能媒体上の1または複数の命令群またはコードとして送信されうる。コンピュータ読取可能媒体は、コンピュータ記憶媒体と通信媒体との両方を含む。これらは、コンピュータ・プログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは特別目的コンピュータによってアクセスされうる任意の利用可能な媒体でありうる。限定ではなく、一例として、このようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたはその他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、あるいは、命令群またはデータ構造の形式で所望のプログラム・コード手段を伝送または格納するために使用され、かつ、汎用コンピュータまたは特別目的コンピュータ、あるいは、汎用プロセッサまたは特別目的プロセッサによってアクセスされうるその他任意の媒体を備えうる。さらに、いかなる接続も、コンピュータ読取可能媒体と適切に称される。同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、デジタル加入者線(DSL)、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、あるいはその他の遠隔ソースからソフトウェアが送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、ツイスト・ペア、DSL、あるいは、例えば赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術が、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるdiskおよびdiscは、コンパクト・ディスク(CD)、レーザ・ディスク、光ディスク、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイ・ディスクを含む。通常、diskは、データを磁気的に再生し、discは、レーザを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0102】
前述の記載は、いかなる当業者であっても、ここで開示された装置、システム、および方法を製造および/または使用できるように提供される。この開示に対するさまざまな変形は、当業者に容易に明らかであって、本明細書で定義された一般原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用されうる。このように、本開示は、本明細書で示された例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示された原理および新規な特徴に一致した最も広い範囲に相当することが意図されている。
【0103】












【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号で前記モバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法であって、
少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することと、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択することと、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、前記少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定することと、
少なくとも部分的に前記信号特性に基づいて、前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することと
を備える方法。
【請求項2】
前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の判定された距離推定値と、前記モバイル・デバイスとその他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて、前記モバイル・デバイスの位置を判定すること、をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することは、
第1の無線通信ネットワークから第1のマルチ・キャリア信号を、第2の無線通信ネットワークから第2のマルチ・キャリア信号を受信することを備え、
前記第1の無線通信ネットワークは、前記第2の無線通信ネットワークとは異なり、
前記少なくとも1つのキャリア信号を選択することは、
前記第1のマルチ・キャリア信号から第1のキャリア信号を選択することと、
前記第2のマルチ・キャリア信号から第2のキャリア信号を選択することと
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの、前記少なくとも1つのキャリア信号の信号特性は、信号強度に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの、前記少なくとも1つのキャリア信号の信号特性は、最初の到着時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記距離推定値を判定することは、前記距離推定値を最小化する前記最初の到着時間を用いることを備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記距離推定値を判定することは、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、前記最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定することと、
前記キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することと
を備える請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、前記キャリア・タイミング推定値の平均値を計算することを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、前記キャリア・タイミング推定値の中央値を計算することを備える請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することは、
対応するキャリア信号を持つキャリア・タイミング推定値のうちの少なくとも1つを、前記対応するキャリア信号のキャリア電力を、前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの他のキャリア信号のキャリア電力と比較することに基づいて、または、キャリア・タイミング推定値を、前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの他のキャリア信号のキャリア・タイミング推定値と比較することに基づいて、外れ値として識別すること、を備える請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値は、前記外れ値のうちの何れかを用いることなく判定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することはさらに、
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値の判定に対して、前記外れ値が、非外れ値のキャリア・タイミング推定値よりも寄与しないように、前記複数のキャリアからのキャリア・タイミング推定値を重み付けることと、
前記複数のキャリアからの重み付けられたキャリア・タイミング推定値の合成として、前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することと
を備える請求項10に記載の方法。
【請求項13】
無線通信システムの無線トランシーバとモバイル・デバイスとの間の距離推定値を判定する方法であって、
前記無線トランシーバは、マルチ・キャリア信号で、前記モバイル・デバイスと通信しており、
前記方法は、
同期されたクロックを用いて生成された複数のキャリア信号を含む前記マルチ・キャリア信号を受信することと、
前記複数のキャリア信号を用いて、前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することと
を備える方法。
【請求項14】
前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の判定された距離推定値と、前記モバイル・デバイスとその他の信号ソースとの間の距離推定値とを用いて、前記モバイル・デバイスの位置を判定すること、をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリア信号のうちの1つを基準キャリア信号として選択することと、
前記基準キャリア信号に対する周波数差にしたがって、非基準キャリア信号のうちの少なくとも1つのおのおのの波形をシフトさせることと、
前記基準キャリア信号の波形と、前記少なくとも1つの、シフトされた非基準キャリア信号の波形とを合成し、合成信号を生成することと、をさらに備え、
前記モバイル・デバイスと無線トランシーバとの間の距離推定値が、前記合成信号を用いて判定される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号で前記モバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する方法であって、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から複数のキャリア信号を受信することと、
それぞれの既知の時間オフセットに基づいて、前記キャリア信号を揃えることと、
前記揃えられたキャリア信号を合成して、合成信号を生成することと、
前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を、前記合成信号を用いて判定することと
を備える方法。
【請求項17】
モバイル・デバイスの位置を判定する方法であって、
複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバから、第1のキャリア周波数で、マルチ・キャリア信号のうちの第1のキャリア信号を受信することと、
前記複数の無線トランシーバのうちの第1の無線トランシーバから、第2のキャリア周波数で、第2のキャリア信号を受信することと、
前記モバイル・デバイスの第1の位置推定値を、前記第1のキャリア信号を用いて判定することと、
前記モバイル・デバイスの第2の位置推定値を、前記第2のキャリア信号を用いて判定することと、
前記第1の位置推定値と前記第2の位置推定値とを合成することにより、前記モバイル・デバイスの位置を判定することと
を備える方法。
【請求項18】
前記第1の位置推定値のための第1の信頼度尺度を判定することと、
前記第2の位置推定値のための第2の信頼度尺度を判定することと、をさらに備え、
前記モバイル・デバイスの位置を判定することは、前記第1の信頼度尺度によって重み付けられた第1の位置推定値と、前記第2の信頼度尺度によって重み付けられた第2の位置推定値とを合成すること、を備える請求項17に記載の方法。
【請求項19】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号で前記モバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定するように構成された装置であって、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信するように構成されたトランシーバと、
前記トランシーバに通信可能に接続され、前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から選択された少なくとも1つのキャリア信号の、測定された信号特性に基づいて判定するように構成されたプロセッサと
を備える装置。
【請求項20】
前記信号特性は、最初の到着時間である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記プロセッサはさらに、前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、前記最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、判定されたキャリア・タイミング推定値を合成することによってマルチ・キャリア・タイミング推定値を判定するように構成された、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記プロセッサはさらに、前記キャリア・タイミング推定値の平均値を計算するように構成された、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
コンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ読取可能媒体は、プロセッサに対して、
無線トランシーバとモバイル・デバイスとの間の通信に関する少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信することと、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択することと、
前記少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定することと、
少なくとも部分的に前記信号特性に基づいて、前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を判定することと、
をさせるように構成されたプロセッサ読取可能命令群を格納した、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項24】
前記信号特性は、最初の到着時間である、請求項23に記載の製品。
【請求項25】
前記命令群はさらに、前記プロセッサに対して、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、前記最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定することと、
前記キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定することと、
をさせるように構成された請求項24に記載の製品。
【請求項26】
前記命令群はさらに、前記プロセッサに対して、前記キャリア・タイミング推定値の平均値を計算させるように構成された、請求項25に記載の製品。
【請求項27】
モバイル・デバイスと、少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を用いて前記モバイル・デバイスと通信している無線トランシーバとの間の距離推定値を判定するように構成された装置であって、
少なくとも1つのマルチ・キャリア信号を受信する手段と、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号から、少なくとも1つのキャリア信号を選択する手段と、
前記少なくとも1つのキャリア信号の信号特性を測定する手段と、
少なくとも部分的に前記信号特性に基づいて、前記モバイル・デバイスと前記無線トランシーバとの間の距離推定値を判定する手段と
を備える装置。
【請求項28】
前記信号特性は、最初の到着時間である、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記距離推定値を判定する手段は、
前記少なくとも1つのマルチ・キャリア信号からの複数のキャリア信号のおのおのについて、前記最初の到着時間に少なくとも部分的に基づいて、キャリア・タイミング推定値を判定する手段と、
前記キャリア・タイミング推定値を合成することにより、マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する手段と
を備える請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記マルチ・キャリア・タイミング推定値を判定する手段は、前記キャリア・タイミング推定値の平均値を計算する手段を備える、請求項29に記載の装置。

【公表番号】特表2012−521181(P2012−521181A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500937(P2012−500937)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/027710
【国際公開番号】WO2010/129097
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】