説明

複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置

本発明は衝突エネルギー吸収装置に関し、一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置は、衝突時の衝突エネルギーを吸収するために拡管により1次塑性変形される第1変形部と、第1変形部の端部の延長線上に配置され、衝突時の衝突エネルギーを順に吸収するために上記第1変形部の1次変形後2次塑性変形される第2変形部と、上記第2変形部の端部に結合されて上記第1変形部と第2変形部との間に配置され、上記第1変形部の1次塑性変形を誘発する拡管誘導部とを含んで構成されることもできる。上記のような構成により、本発明は単位長さ当たりの衝突エネルギーの吸収性能を増加させることができ、単位長さ当たりの吸収エネルギーが高いため、次世代自動車などのように衝突崩壊距離の短い車両に適用でき、衝突加速度を最大限減少させて搭乗者の負傷位を最小化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突時の衝撃力から搭乗者を保護するように車両に装着される衝突エネルギー吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両には衝突時の衝撃力を吸収して搭乗者を保護するための衝突エネルギー吸収装置が備えられている。
【0003】
車や汽車などのような車両は高速で移動中に他の運送手段または固定された物体にぶつかる、衝突事故が発生することがある。この場合、衝突時に発生するエネルギーを効果的に吸収することが乗客の安全を確保するのにおいて最も重要な要素である。
【0004】
従来の衝突エネルギーを吸収する方法には、衝突時に衝突構造部材を変形させながら発生する塑性エネルギーを利用する方式が用いられている。例えば、衝突エネルギー吸収装置10は図1に示されているように、支持部10aが固定体1に装着され、支持部10aの延長線上に塑性変形部10bが設けられる。このような構成により図2に示されているように、衝突体20から伝達されるエネルギーは上記塑性変形部10bが圧砕されて発生する塑性エネルギーに転換され、衝突エネルギーが吸収されるように構成されている。
【0005】
このように、衝突エネルギーを吸収するために、圧砕方式で構成されると、構造部材の全領域で衝突エネルギーが吸収されるため、軽量化の側面で有利である。
【0006】
しかし、素材は曲げ変形が発生するため、十分な塑性変形が付加されにくい。これにより部材の単位質量当たりのエネルギー吸収能力が低くなるという短所がある。最近では、衝突エネルギーの吸収能力を高めるために、構造材の間にフォーム(foam)部材や隔膜などのような構造を付加したり、衝突構造部材を六角形などのような多様な形態で設計する方法が試されている。
【0007】
しかし、車両の種類または構造によって、衝突エネルギーを吸収するために求められる空間の長さが短い場合、単位長さ当たりにさらに高い衝突エネルギー吸収能力が求められる。
【0008】
例えば、鉄道車両のような場合、衝突時の衝突構造部材の変形空間が少ないため、チューブ拡管型衝突エネルギー吸収装置を使用して素材のエネルギー吸収性能を最大限活用している。しかし、このような方法はチューブを拡管させるために備えられる部分が剛体であって、変形しないため、重量が重く、拡管による塑性変形だけでは求められる全ての衝突エネルギーを吸収するように構成することが困難である。
【0009】
他の一例として、最近開発されている電気自動車や燃料電池自動車などは重さがかなり増加し、衝突エネルギー吸収空間が短い。従って、単位長さ当たりに高い衝突エネルギー吸収能力が求められる。
【0010】
この場合、既存の圧砕方法を利用する衝突エネルギー吸収方式は、曲げ変形による塑性変形量が少ないため、高延伸素材の高いエネルギー吸収能を最大限活用するのに適さず、相対的に大きい崩壊空間を必要とする。
【0011】
一般的な衝突の場合、板材は曲げ変形により塑性変形をするため、平均変形率が20%前後である。板材表面は変形量が大きいが、中心面は変形量が殆ど生じず、板材が折れる部分でのみ集中的に塑性変形が発生する。従って、衝突部材の全体的な観点からみると、塑性変形量は高延伸素材の特性に十分でない。
【0012】
従って、単位長さ当たりに高い衝突エネルギーを吸収することができる衝突エネルギー吸収装置の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来の車両の衝突エネルギー吸収装置で発生する要求または問題のうち少なくとも何れか1つを認識してなされたものである。
【0014】
本発明の一目的は、高強度、高延伸素材の特性を利用して単位長さ当たりの衝突エネルギー吸収性能を増加させることである。
【0015】
本発明の他の一目的は、衝突エネルギーを吸収するために求められる空間の長さが短い場合でも効果的に衝突エネルギーの吸収を可能にすることである。
【0016】
本発明のさらに他の一目的は、車両の衝突時に発生する衝突エネルギーが段階的に吸収されるようにすることである。
【0017】
本発明のさらに他の一目的は、高い衝突エネルギーを吸収するとともに車の軽量化ができるように衝突部材の重さを最小化することである。
【0018】
本発明のさらに他の一目的は、低速での衝突と高速での衝突とにそれぞれ適する衝突エネルギーの吸収を可能にすることである。
【0019】
本発明のさらに他の一目的は、衝突加速度を最大限減少させて搭乗者の負傷具合を最小化することである。
【0020】
本発明のさらに他の一目的は、衝突崩壊空間を縮小させて車両設計における制約を減少させることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題のうち少なくとも1つの課題を実現するための一実施形態と係わる複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置は下記のような特徴を含むことができる。
【0022】
本発明は、基本的に、車両の衝突時に発生する衝突エネルギーが段階的に吸収されるように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置は、チューブ形態からなり、衝突時の衝突エネルギーを吸収するために拡管により1次塑性変形される第1変形部と、チューブ形態からなり、第1変形部の端部の延長線上に配置され、衝突時の衝突エネルギーを順に吸収するために第1変形部の1次変形後2次塑性変形される第2変形部と、第2変形部の端部に結合されて第1変形部と第2変形部との間に配置され、第1変形部の1次塑性変形を誘発する拡管誘導部とを含んで構成されることもできる。
【0024】
この場合、第1変形部は、衝突時に変形誘導部により拡管されて塑性変形されるように上記拡管誘導部と接する部分に予備拡管部がさらに形成されることもできる。
【0025】
また、第1変形部は、第2変形部より弱い許容応力強度を有するように強度の弱い鋼種からなるか、薄い厚さからなることもできる。
【0026】
一方、1次塑性変形後2次塑性変形時に第2変形部とともに圧砕により塑性変形されるように、第1変形部は第2変形部と同じ長さで形成されることができる。
【0027】
また、1次塑性変形後、第2変形部の一部領域が圧砕により2次塑性変形され、第1及び第2変形部がともに圧砕により3次塑性変形されるように、第1変形部は第2変形部より短く形成されることもできる。
【0028】
また、1次塑性変形後第1変形部の一部領域が圧砕により2次塑性変形され、第1及び第2変形部がともに圧砕により3次塑性変形されるように、第1変形部は第2変形部より長く形成されることもできる。
【0029】
そして、拡管誘導部には衝突時に第1変形部が容易に拡管されるよう第1変形部が移動する方向に、傾斜面がさらに形成されることもできる。
【発明の効果】
【0030】
上述のように本発明によると、高強度、高延伸素材の特性を利用して単位長さ当たりの衝突エネルギーの吸収性能を増加させることができる。
【0031】
また、本発明によると、衝突エネルギーを吸収するために求められる空間の長さが短い場合でも効果的に衝突エネルギーを吸収することができる。
【0032】
また、本発明によると。単位長さ当たりの吸収エネルギーが高いため、次世代自動車などのように衝突崩壊距離の短い車両に適用可能である。
【0033】
また、本発明によると、車両の衝突時に発生する衝突エネルギーが段階的に吸収され、衝突加速度を最大限減少させて搭乗者の負傷具合を最小化することができる。
【0034】
また、本発明によると、高い衝突エネルギーを吸収するとともに衝突部材の重さを減少させることができ、車両の軽量化が可能である。
【0035】
また、本発明によると、低速での衝突と高速での衝突とにそれぞれ適する衝突エネルギーの吸収が可能である。
【0036】
また、本発明によると、衝突崩壊空間を縮小させて車両設計の制約を減少させることができる。
【0037】
また、本発明によると、拡管チューブだけでなく、固定チューブの衝突エネルギー吸収能を活用するため、ハイドロフォーミングフレームタイプの車体への適用可能性を開いた。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の車両に備えられる衝突エネルギー吸収装置の構造を概略的に示す図面である。
【図2】図1に示された衝突エネルギー吸収装置が変形されて衝突エネルギーを吸収する状態を概略的に示す図面である。
【図3】本発明の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置の構成に関する一例を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置が衝突時に段階的に変形される状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置が衝突時に段階的に変形される状態を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置が衝突時に段階的に変形される状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置が衝突時に変形される状態を示す断面図である。
【図8】本発明の他の一実施例による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置が衝突時に変形される状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上記のような本発明の特徴に対する理解を助けるために、以下で本発明の実施例と係わる複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置について詳細に説明する。
【0040】
以下に説明する実施例は、本発明の技術的な特徴を理解させる上で最も相応しい実施例に基づいて説明し、説明する実施例により本発明の技術的特徴が制限されるのではなく、説明する実施例のように本発明を具現することができるということを例示するものである。
【0041】
従って、本発明は以下に説明する実施例を通じて本発明の技術範囲内で多様な変形実施が可能であり、このような変形実施例も本発明の技術範囲内に属する。
【0042】
また、以下に説明する実施例の理解を助けるために、添付の図面に記載の符号において、各実施例で同じ作用をする構成要素は同一または延長線上の数字で示した。
【0043】
本発明と係わる実施例は、基本的に車両の衝突時に発生する衝突エネルギーが段階的に吸収されるように構成される。
【0044】
図3に示されたように、上記衝突エネルギー吸収装置100は段階的に衝突エネルギーを吸収するように第1変形部120と第2変形部110が延長線上に配置されるように構成されることもできる。
【0045】
この場合、上記第1変形部120は衝突時に上記第2変形部110より先に1次塑性変形が発生するように構成されることができる。上記第1変形部120の塑性変形は拡管形態の塑性変形であることができ、この場合、上記第1変形部120はチューブ形態からなることができる。一方、上記チューブ形態は両端部が開口しているか、それとも一端部のみが開口している状態からなることができ、断面構造は形態に制約なく形成されることができる。
【0046】
上記第1変形部120の塑性変形により衝突時に発生する衝突エネルギーが吸収されることができる。
【0047】
また、上記第2変形部110は車両に備えられる固定体1に一端部が固定されるように結合され、他端部には上記第1変形部120が延長線上に配置されるように結合されることができる。上記第2変形部110は上記第1変形部120が拡管形態で塑性変形されるように、上記第1変形部120の塑性変形時に変形されない、または変形が最小化するように構成されることができる。
【0048】
一方、上記第2変形部110は上記第1変形部120が塑性変形された後、2次塑性変形されるように構成されることができる。即ち、上記第1変形部120の塑性変形(拡管)時に元の状態を最大限維持し、上記第1変形部120が塑性変形された後、塑性変形されるように構成されることができる。
【0049】
例えば、上記第1変形部120が拡管形態で塑性変形された後、上記第1変形部120とともに圧砕形態で塑性変形されるように構成されることができる。
【0050】
一方、上記第2変形部110の端部には拡管誘導部130がさらに備えられることもできる。上記拡管誘導部130は上記第2変形部110と上記第1変形部120の間に配置されるように上記第2変形部110の端部に結合されることもできる。
【0051】
この場合、上記第1変形部120は一端部が上記拡管誘導部130に臨時固定される状態で結合されることもできる。例えば、衝突時、第1変形部が塑性変形される前に結合状態が先に破損するように、上記拡管誘導部130に結合されることができる。
【0052】
また、上記拡管誘導部130は上記第1変形部120が塑性変形されるとき、変形されない、または変形が最小化するように構成されることができる。即ち、上記第1変形部120より相対的に大きい許容応力強度を有するように構成されることができる。この場合、上記拡管誘導部130は第1変形部より強度の強い鋼種からなるか、より厚く形成されて十分な強度を有するように構成することもできる。
【0053】
一方、上記第1変形部120は上記拡管誘導部130と接する端部に予備拡管部121をさらに形成することもできる。上記予備拡管部121は衝突時に第1変形部120が上記拡管誘導部130と接した端部領域から順に拡管されるように作用することができる。このような拡管により上記第1変形部120は第2変形部110の外部に配置される状態、即ち、上記第2変形部110が第1変形部120の内部に挿入される状態で配置されることができる。
【0054】
この状態において、上記第1変形部120の塑性変形により衝突エネルギーが完全に吸収されない場合、即ち、余分の衝突エネルギーが残る場合には第2変形部110及び第1変形部120がともに塑性変形されることができる。この場合、塑性変形は圧砕方式の塑性変形が発生することができる。
【0055】
このような構成は衝突荷重を徐徐に増加させ、搭乗客に対する衝突加速度を減少させるため、傷害程度を軽減させることができる。一方、第1変形部120が1次塑性変形して相対的に小さい衝突エネルギーを先に吸収し、第2変形部110及び第1変形部120がとも塑性変形して相対的に大きい衝突エネルギーを吸収する。この場合、低速衝突及び高速衝突への適用が有利で、単位長当たりの吸収エネルギーの上昇が可能である。
【0056】
一方、上記拡管誘導部130は上記第1変形部120が衝突により塑性変形されるとき、容易に拡管されるように上記第1変形部120が衝突により移動する方向に傾斜面が形成されることもできる。この場合、上記拡管誘導部130の角度と比率によって第1変形部120の拡管率と拡管した後の第1変形部120の圧砕形態の塑性変形率が決まることができる。
【0057】
この場合、上述したように、第2変形部110は第1変形部120が拡管する際、塑性変形が発生しないように上記第1変形部120より相対的に大きい許容応力強度を有するように構成されることができる。上記第2変形部110の許容応力強度を高くするために、第2変形部110は第1変形部120より強度の強い鋼種からなるか、または相対的に厚く形成されることもできる。一方、上記第2変形部110は第1変形部120より強度が大きく、さらに厚く構成されることもできる。
【0058】
また、上記第1変形部120は拡管による塑性変形だけではなく、拡管誘導部130により曲がる等による塑性変形も発生する。従って、拡管時の第1変形部120の塑性変形量を決めるためには、第1変形部120の拡管率とともに拡管誘導部130に形成される傾斜面の角度による曲げ変形量がともに考慮されることもできる。即ち、2次塑性変形に求められる吸収率を除く余分の吸収率が1次塑性変形時に最大限成されるように拡管率と曲げ変形量を考慮することができる。
【0059】
このような構成により上記衝突エネルギー吸収装置100は、1次拡管による塑性変形と2次圧砕による塑性変形が順に発生し、異なる衝突エネルギーに対して適用することができる。
【0060】
このような構成による衝突エネルギー吸収装置100は衝突体20により衝突が発生すると、図4に示されたように、第1変形部120が上記拡管誘導部130により拡管される。この場合、第1変形部は長さ方向に沿って拡管誘導部130と接した領域が順に2回曲がる。
【0061】
上記第1変形部120の一部が拡管領域121aに塑性変形された部分拡管により衝突エネルギーを完全に吸収しないと、図5に示されたように、上記第1変形部120は一端部が固定体1と接するまで拡管により塑性変形されながら衝突エネルギーを吸収する。
【0062】
このような第1変形部120の塑性変形によっても衝突エネルギーが完全に吸収されないと、図6に示されたように、上記第1変形部120は第2変形部110とともに圧砕形態で塑性変形されながら衝突エネルギーを吸収する。
【0063】
即ち、このような作用により、低速衝突の場合は、第1変形部120の塑性変形により衝突エネルギーが吸収され、第2変形部110は変形されない。従って、部品の修理時、第1変形部120または第1変形部120と拡管誘導部130のみを簡単に交換するように構成することもできる。また、高速衝突の場合は、第1変形部120の塑性変形によって1次衝動エネルギーを吸収し、第2変形部110とともに二重で衝突エネルギーを吸収するため、一般的な圧砕方式より高いエネルギーを得ることができる。また、第1変形部120は拡管後に圧砕される方式で、最大限の塑性変形率を付加することができ、高延伸、高強度素材の高いエネルギー吸収能を最大限活用する。
【0064】
上記衝突エネルギー吸収装置100の他の一実施例として、図7に示されたように、上記第1変形部120が拡管により完全に1次塑性変形された状態で第2変形部110の長さより短いように、即ち、上記第1変形部120の一端部が固定体1に接せず一定間隔(d)があるように構成されることもできる。
【0065】
この場合、衝突初期に上記第1変形部120は、図4及び図5の例をもって説明したように、拡管による塑性変形だけが発生する。
【0066】
上記第1変形部120が拡管により塑性変形された後、図8に示されたように、上記第2変形部110が単独で上記第1変形部120より先に圧砕形態で塑性変形されながら一定大きさの衝突エネルギーを吸収する。
【0067】
残りの衝突エネルギーは、図6の例をもって説明したように、第1変形部120とともに第2変形部110が圧砕形態で塑性変形されながら、残りの衝突エネルギーを吸収する。
【0068】
このような構成の場合、衝突エネルギーは3段階にわたって吸収することができることが分かる。
【0069】
本発明による複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置は、上述したように、複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置の実施例に限定されて適用されるのではなく、上記実施例は多様に変形できるように各実施例の全部または一部が選択的に組み合わさって行われることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ形態からなり、衝突時の衝突エネルギーを吸収するために拡管により1次塑性変形される第1変形部と、
チューブ形態からなり、前記第1変形部の端部の延長線上に配置され、衝突時の衝突エネルギーを順に吸収するために前記第1変形部の1次変形後に2次塑性変形される第2変形部と、
前記第2変形部の端部に結合されて前記第1変形部と第2変形部との間に配置され、前記第1変形部の1次塑性変形を誘発する拡管誘導部と、を含んで構成されることを特徴とする複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項2】
前記第1変形部は、衝突時前記変形誘導部により拡管されて塑性変形されるように前記拡管誘導部と接する部分に予備拡管部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項3】
前記第1変形部は、第2変形部より弱い許容応力強度を有するように強度の弱い鋼種からなるか、または薄い厚さからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項4】
前記第1変形部は、第2変形部と同じ長さで形成され、1次塑性変形後2次塑性変形時に第2変形部とともに圧砕により塑性変形されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項5】
前記第1変形部は、第2変形部より短く形成され、1次塑性変形後第2変形部の一部領域が圧砕により2次塑性変形され、また第1及び第2変形部がともに圧砕により3次塑性変形されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項6】
前記第1変形部は、第2変形部より長く形成され、1次塑性変形後第1変形部の一部領域が圧砕により2次塑性変形され、また第1及び第2変形部がともに圧砕により3次塑性変形されるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。
【請求項7】
前記拡管誘導部は、衝突時に第1変形部が容易に拡管されるように第1変形部が移動する方向に傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の複数の衝突エネルギー吸収段階を有する車両の衝突エネルギー吸収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−509815(P2012−509815A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538537(P2011−538537)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000740
【国際公開番号】WO2010/062007
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】