説明

複数システム間通信のための無線通信コンポーネントおよび方法

移動体無線送受信装置(WTRU)、そのためのコンポーネントおよび方法が、第1の種類の無線システムを用いた無線接続から第2の種類の無線システムを用いた無線接続への切替をしながら連続通信を行う機能を提供する。好ましくは、WTRUは、連続通信セッション中に、ユニバーサル移動体通信システム(UTMS)から無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)へ、またはその逆へ、無線リンクを切り替えるように構成される。本発明は、好ましくは、制御シグナリングのためのアプリケーションブローカーと、ユーザデータフローのための通信ブローカーとを提供することによって実現され、これらのブローカーは特定用途向け集積回路(ASIC)で実現可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、複数のシステムにおける無線通信のためのコンポーネントおよび方法に関し、より詳細には、ユニバーサル移動体通信システム(ユニバーサル・モバイル・テレコミュニュケーション・システム)(UMTS)から無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)(WLAN)へ、またはその逆へのように、第1の種類の無線システムを用いた無線接続から第2の種類の無線システムを用いた無線接続への切替をしながらの連続通信が可能な移動体無線送受信装置(WTRU)に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは当技術分野で周知である。一般に、このようなシステムは、相互に無線通信信号を送受信する通信局を備える。移動体セルラシステムのようなネットワークシステムの場合、通常、2種類の通信局がある。すなわち、ネットワークインフラストラクチャへのアクセスを提供する基地局、および、基地局と無線通信を行う無線送受信装置(WTRU)である。
【0003】
家庭、オフィス、および移動時において無線通信(ワイヤレス通信)への依存が高まっている。家庭の電話機、オフィスの電話機、および移動体無線電話機のように、一人のユーザがいくつかの異なるWTRUを持つことは珍しくない。したがって、複数のWTRUの使用を、家庭、オフィス、および移動時に使用可能な単独のWTRUで置き換えることが要望されている。
【0004】
多くの商用ネットワークでは、基地局のネットワークが設けられ、各基地局は、適切に設定されたWTRUと複数同時無線通信を行うことが可能である。無線システムのグローバルな(世界的規模の)接続を提供するため、諸標準(規格)が開発され実施されている。現在広く用いられている標準の1つとしてGSM(Global System for Mobile Telecommunications;移動体通信用グローバル方式)がある。これは、いわゆる第2世代移動体無線システム標準(2G)とみなされ、後にその改定(2.5G)が出ている。GPRS(汎用パケット無線サービス)およびEDGE(Enhanced Data GSM Environment)が、(2G)GSMネットワークの上で比較的高速のデータサービスを提供する2.5G技術の例である。これらの標準はそれぞれ、付加的な機能および拡張により、従来の標準を改善しようとしたものである。1998年1月、欧州電気通信標準化協会−特別移動通信部会(ETSI SMG)は、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)と呼ばれる第3世代無線システムの無線アクセス方式に関して合意した。UMTS標準をさらに推し進めるため、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)が1998年12月に組織された。3GPPは、引き続き共通の第3世代移動体無線標準に取り組んでいる。
【0005】
現在の3GPP仕様による典型的なUMTSのシステムアーキテクチャを図1aに示す。UMTSのネットワークアーキテクチャはコアネットワーク(CN)を含む。CNは、Iuと呼びならわされているインタフェース経由でUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)と相互接続される。Iuは、現在公開で入手可能な3GPP仕様文書に詳細に規定されている。
【0006】
UTRANは、Uuと呼びならわされている無線インタフェース経由で、3GPPにおいてユーザ機器(UE)と呼ばれるWTRUを通じてユーザに無線通信サービスを提供するように構成される。UTRANは、3GPPにおいてノードBと呼ばれる複数の基地局を有し、それらの基地局が共同で、UEとの無線通信のための地理的カバレジ(受信可能範囲サービスエリア)を提供する。UTRANでは、1つまたは複数のノードBからなるグループが、3GPPにおいてIubと呼ばれるインタフェース経由で無線ネットワークコントローラ(RNC)に接続される。UTRANは、異なるRNCに接続されるノードBのいくつかのグループを有してもよく、図1aに示した例では2つのRNCが示されている。1つのUTRANに複数のRNCが設けられる場合、RNC間通信がIurインタフェース経由で実行される。
【0007】
UEは一般に、ホームUMTSネットワーク(HN)を有する。UEはHNに登録を行い、HNを通じて課金等の機能が処理される。Uuインタフェースを標準化することにより、UEは、異なるUMTSネットワーク、例えば、異なる地理的エリアにサービスを提供するUMTSネットワーク経由で通信を行うことが可能となる。このような場合、他のネットワークは一般に外部ネットワーク(FN)と呼ばれる。
【0008】
現在の3GPP仕様の下では、UEのHNのコアネットワークが、認証、許可および課金の機能(AAA機能)を調整し処理する働きをする。UEが自己のホームUMTSネットワークの範囲外に移動した時には、HNのコアネットワークは、FNがUEの通信を許可するようにAAA機能を調整することが可能であり、それにより、UEによる外部ネットワークの利用を助ける。この動作の実施を支援するため、コアネットワークは、当該コアネットワークがHNとなっているUEを追跡するホームロケーション(本拠地)レジスタ(HLR)と、ビジターロケーション(遠征地)レジスタ(VLR)とを含む。AAA機能を処理するために、HLRとともにホームサービスサーバ(HSS)が設けられる。
【0009】
現在の3GPP仕様の下では、コアネットワークは、公衆陸上移動網(PLMN)、公衆交換電話網(PSTN)、サービス総合ディジタル網(ISDN)およびその他のリアルタイム(RT)サービスのような外部システムへの接続をRTサービスインタフェース経由で有するように構成される。また、コアネットワークは、インターネットを用いた非リアルタイムサービスもサポートする。コアネットワークから他のシステムへの外部接続により、UEを使用するユーザは、自己のホームUMTSネットワーク経由で、HNのUTRANによってサービスされるエリアを超えた通信が可能となる。また、ビジター(遠征地の)UEも同様に、遠征地のUMTSネットワーク経由で、遠征地のUMTSのUTRANによってサービスされるエリアを超えた通信ができる。
【0010】
現在の3GPP仕様の下では、コアネットワークは、ゲートウェイ移動通信交換センタ(GMSC)経由でRTサービスの外部接続を提供する。コアネットワークは、GPRS(General Packet Radio Service;汎用パケット無線サービス)と呼ばれるNRT(非実時間)サービスの外部接続を、ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)経由で提供する。この場合、特定のNRTサービスが、通信を形成するTDD(時分割二重化)データパケットの通信速度および関連するバッファリングにより、ユーザにとって実際にはリアルタイム通信のように見えることがある。この一例として、インターネット経由の音声通信がある。これは、ユーザにとって、交換網によって行われる通常の電話通話のように見えることがあるが、実際には、パケットデータサービスを提供するインターネットプロトコル(IP)コネクションを用いて行われている。
【0011】
GIと呼ばれる標準インタフェースが、CNのGGSNとインターネットの間で一般的に用いられる。GIインタフェースは、IETF(Internet Engineering Task Force;インターネット技術作業部会)によって規定されているモバイルIPv4やモバイルIPv6のようなモバイルインターネットプロトコルとともに用いることができる。
【0012】
現在の3GPP仕様の下では、3GPPシステム内で無線リンクされたUEに対して、外部ソースからRTおよびNRTの両サービスのサポートを提供するため、UTRANはCNと適切にインタフェースをとらなければならないが、これはIuインタフェースの機能である。これを行うため、コアネットワークは、GMSCに結合した移動通信交換センタ(MSC)と、GGSNに結合したサービングGPRSサポートノード(SGSN)とを含む。両者はHRLと結合し、MSCは通常は在圏ロケーションレジスタ(VLR)を兼ね備える。
【0013】
Iuインタフェースは、回線交換通信用インタフェース(Iu−CS)およびパケット交換通信経由のパケットデータ用のインタフェース(Iu−PS)の間で分割される。MSCは、Iu−CSインタフェース経由でUTRANのRNCに接続される。サービングGPRSサポートノード(SGSN)は、パケットデータサービス用のIu−PSインタフェース経由でUTRANのRNCに結合する。
【0014】
HLR/HSSは通常、Grというインタフェース経由で、コアネットワーク、MSCおよびGMSCのCS側とインタフェースをとる。Grは、移動通信応用部(MAP)プロトコルを通じてAAA機能をサポートする。CNのSGSNおよびGGSNは、GnおよびGpというインタフェースを用いて接続される。
【0015】
無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)と呼ばれる別の種類の無線システムが、WLANモデムを備えたWTRUと無線通信を行うように構成できる。現在、WLANモデムは、メーカによって、多くの従来型の通信装置およびコンピューティング装置に一体化されている。例えば、携帯電話、携帯情報端末、およびラップトップコンピュータは、1つまたは複数のWLANモデムを組み込んでいる。したがって、異なる種類のネットワークだけでなく、WLANモデムを備えたこのようなWTRUの間での通信を容易にする要望が増大している。
【0016】
1つまたは複数のWLANアクセスポイント(AP)、すなわち基地局を伴った、普及している無線ローカルエリアネットワーク環境は、IEEE802.11b標準に従って構築される。このようなWLANの無線サービスエリアは、「ホットスポット」と呼ばれる指定された明確な地理的エリアに限定されることがある。このような無線通信システムは、空港、喫茶店、およびホテルのようなエリアに配備するのに有利である。これらのネットワークへのアクセスは通常、ユーザ認証手続きを要求する。IEEE802ファミリの標準は発展途中なので、このようなシステムのプロトコルは、WLAN技術分野ではまだ完全には標準化されていない。しかし、上記のように、UMTSネットワークのCNは、WLANのような他のネットワークとの通信を容易にするために設計されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それぞれ異なる環境で異なるWTRUを使用する代わりに、WTRUは、UMTSおよびWLAN PCMCIAのカードアダプタを個々に備えたポケットPCのように、UMTSおよびWLANの両方の機能を備えることができる。個々のカードコンポーネントにより、ユーザは単一の装置で複数種類のネットワークを使用できるが、これは、接続を切らずに一方の種類のネットワークから他方へ切替可能なWTRUを提供するものではない。例えば、ターゲットWTRUと通信中または通信しようとしているモバイルWTRUが信号品質の低いエリア内に移動し、そこでは当該ターゲットWTRUにサービスを提供する特定種類のネットワークとの通信が散発的であるかまたは存在しない場合がある。このような場合、WTRUが、同じ種類のネットワーク内でローミングできるだけでなく、継続して通信セッションを維持する別の種類のネットワークに切り替えることができれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
移動体無線送受信装置(WTRU)、そのためのコンポーネントおよび方法が、第1の種類の無線システムを用いた無線接続から第2の種類の無線システムを用いた無線接続への切替をしながらの連続通信を行う機能を提供する。
【0019】
好ましくは、WTRUは、連続通信セッション中に、ユニバーサル移動体通信システム(UTMS)から無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)へ、またはその逆へ無線リンクを切り替えるように構成される。本発明は、好ましくは、制御シグナリング(信号伝達、信号経路)のためのアプリケーションブローカー(仲介部)と、ユーザデータフローのための通信ブローカーとを備えることによって実現され、これらのブローカーは特定用途向け集積回路(ASIC)で実現可能である。
【0020】
本発明による好ましいWTRUは、少なくとも2個の無線通信インタフェースを有するプロトコルエンジンを含む。それぞれの無線通信インタフェースは、異なる種類の無線ネットワークとの無線リンクを行うように構成される。各通信インタフェースは、好ましくは、共通のアプリケーション処理コンポーネントに制御信号およびユーザ通信データを渡すように構成される。下位層プロトコルエンジンと上位層アプリケーション処理コンポーネントとの間で制御シグナリングをモニタするように構成されたアプリケーションブローカーを備える。また、データバッファを有し、上位層アプリケーション処理コンポーネントと選択された無線インタフェースとの間で、ユーザデータの切替(スイッチング)可能データパスを定める通信ブローカーを備える。好ましくは、アプリケーションブローカーは、通信ブローカーによるデータバッファリングおよびデータパス切替を次のようにして制御するように通信ブローカーと関連づけられる。すなわち、通信セッション中にプロトコルエンジンの第1の無線インタフェースに流れるデータは、当該通信セッションのために無線リンクがプロトコルエンジンの異なる第2の無線インタフェースとの間で確立される間バッファリングされ、当該通信セッションのために無線リンクが第2の無線インタフェース経由で確立された後、通信ブローカーデータパスが第2の無線インタフェースに切り替えられ、バッファリングされたデータがそれを通じて解放される。
【0021】
一実施形態では、通信ブローカーデータパスはパケット交換データをトランスポートするように構成され、データパスが、上位層アプリケーション処理コンポーネントとUMTS無線インタフェースの間の回線交換データのために定められる。しかし、これは限定的な基準ではない。
【0022】
好ましくは、アプリケーションブローカーはリンクモニタを含み、モニタされたリンクデータが所定基準を満たすことに基づいて、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの開始をトリガするように構成される。また、アプリケーションブローカーは、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中にシグナリングを制御するように構成されたアプリケーションセッションマネージャと、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中に伝送のためのコンテクスト情報を維持管理し変換するように構成されたインターワーキング装置も含み得る。さらに、アプリケーションブローカーは、ユーザの識別を含む加入者識別モジュール(SIM)を読み出すように構成されたSIMリーダを含み得る。
【0023】
無線送受信装置(WTRU)が通信セッション中に第1の種類の無線ネットワークから第2の種類の無線ネットワークへ無線リンクを切り替えるための好ましい無線リンクハンドオーバ方法が提供される。WTRUは、それぞれ第1および第2の種類の無線ネットワークとの無線リンクを行うように構成された第1および第2の無線通信インタフェースを有するプロトコルエンジンを有し、各通信インタフェースは、共通のアプリケーション処理コンポーネントに制御信号およびユーザ通信データを渡すように構成される。上位層アプリケーション処理コンポーネントと選択された無線インタフェースとの間のユーザデータのためのデータバッファおよび切替可能データパスが提供される。下位層プロトコルエンジンと上位層アプリケーション処理コンポーネントの間で制御シグナリングをモニタする。データバッファおよびデータパス切替は次のようにして制御される。すなわち、通信セッション中にプロトコルエンジンの第1の無線インタフェースに流れるデータは、当該通信セッションのために無線リンクがプロトコルエンジンの第2の無線インタフェースとの間で確立される間バッファリングされ、当該通信セッションのために無線リンクが第2の無線インタフェース経由で確立された後、データパスが第2の無線インタフェースに切り替えられ、バッファリングされたデータがそれを通じて解放される。
【0024】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明および添付図面から当業者には明らかであろう。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図面を参照して本発明を説明する。図中、全体を通じて、同一番号は同一要素を表す。
【0029】
本明細書で用いる場合、基地局という用語は、以下のものに限定されないが、基地局、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、あるいは、基地局が関連しているネットワークへの無線アクセスをWTRUに提供する無線環境内のその他のインタフェース装置を含む。
【0030】
本明細書で用いる場合、WTRUという用語は、以下のものに限定されないが、ユーザ機器(UE)、移動局、固定または移動加入者装置、ページャ、あるいは、無線環境で動作可能なその他の任意の種類の装置を含む。WTRUは、電話機、ビデオフォン、およびネットワークコネクションを有するインターネット対応電話機等のパーソナル通信装置を含む。また、WTRUは、同様のネットワーク機能を有する無線モデム付きのPDAやノート型コンピュータのような携帯型パーソナルコンピューティング装置を含む。携帯型であるか、あるいは位置が変わり得るWTRUを移動体装置という。
【0031】
本発明は、1つまたは複数のネットワーク接続された基地局を有する異なる種類の無線アクセスネットワーク経由で連続通信セッションを提供する。基地局を通じて無線アクセスサービスがWTRUに対して提供される。本発明は、移動体装置、すなわち移動WTRUが、異なるタイプのネットワークのそれぞれの基地局によって提供されるそれぞれの地理的カバレジエリアに入り、あるいはそこを通って移動する際に、その移動体装置に関連して使用される場合に特に有益である。例えば、図1bは、3つの異なる位置10a、10b、10cにおける移動WTRU10を例示している。位置10aにおいて、WTRUは、ホーム(家庭)WLANのAP12と無線通信を行う。位置10bにおいて、WTRUは、ホームWLANとオフィスWLANの間で移動しながらUMTSのノードB13と無線通信を行う。位置10cにおいて、WTRUは、オフィスWLANのAP15と無線通信を行う。ネットワーク接続は、UMTSのCN14と家庭およびオフィスのWLANとのコネクションによって提供される。本発明のWTRU10は、このネットワーク接続を利用して、移動中10cにWLANとUMTSの無線通信間で切替を行うことにより、ホームWLAN10aで開始されオフィスWLAN10cで継続される進行中の通信セッションを維持する。
【0032】
本発明によれば、WTRUは、好ましくは、UMTS UE機能と、802.11(b)(WiFi)あるいはBluetooth(ビルートゥース)準拠機能のような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)WTRU機能とを備える装置を具備することによって、少なくとも2つの異なるネットワーク動作モード用に設定される。しかし、本発明は、他の種類のネットワークと相互接続するその他の種類の無線ネットワークシステムにも、通信セッションの連続性を提供するために適用可能である。
【0033】
図2を参照すると、WTRU10は、異なる種類の少なくとも2つの無線通信インタフェース22、24を有するプロトコルエンジン20を備える。各通信インタフェース22、24は、通信システムの従来の上位層(上位レイヤー)を表すアプリケーション処理コンポーネント26に制御データおよびユーザ通信データを渡すように構成される。好ましくは、無線通信インタフェース22、24の一方がUMTS無線通信のために構成され、他方が802.11WLAN通信のために構成される。
【0034】
本発明は、無線インタフェース22、24と上位層アプリケーション処理コンポーネント26との間にアプリケーションブローカー(APP)30および通信ブローカー(COM)32を介在させる。APPおよびCOMコンポーネント30、32は、パフォーマンス能力を向上させるために、基礎となるベースシステムを抽象化することによって、好ましくは、異なる技術の相互作用を助ける一種の「ミドルウェア」として、制御データおよびユーザデータを処理する。アプリケーションブローカー30および通信ブローカー32は、それぞれの無線ネットワークについて従来のプロトコルアーキテクチャへの変更を必要としない2層ミドルウェアアーキテクチャを提供し、異なるネットワーク技術を容易に統合し、シームレスなサービスをユーザに提供する。
【0035】
APP30は、下位層プロトコルエンジン20と上位層アプリケーション処理コンポーネント26との間の制御シグナリングをモニタするように構成される。すべてのユーザ通信データはCOM32を流れる。COM32は、上位層アプリケーション処理コンポーネント26に対するスイッチとして作用することにより、下位層プロトコルエンジン20内の適合した無線インタフェース22、24にそのデータを送る。
【0036】
ミドルウェアコンポーネント30、32は、対応するネットワークコンポーネントなしでWTRU内に実現できる。APP30およびCOM32は、このようなスタンドアロンWTRUの場合、ネットワークを切り替えながら無線通信セッションを維持するように動作できる。したがって、全体的なネットワークサポートなしでデュアルモード動作がWTRUにおいてサポートされ、「コンテクスト転送」やエンドツーエンドの「セッションアウェアネス(認識)」は不要である。
【0037】
例えば、WTRU10がインタフェース22経由でUMTS無線通信を実行しており、WLANサービスエリア内に移動する場合、通信セッションは、好ましくは、以下のようにWTRUスタンドアロンモードで、インタフェース24経由で、WLAN無線通信に切り替えられる。プロトコルエンジン20が、APP30によって受信されて評価されたリンクステータス情報を提供し、WLAN無線通信に切り替えるかどうかが判断される。この判断は、既存のUMTSのサービス品質(QoS)や、本発明の譲受人を権利者とする米国特許出願第10/667,633号に開示されているような他の要因に基づくことができる。APP30が、進行中のUMTS通信セッションをWLANにハンドオーバすべきと判断した後、APP30は、ハンドオフの準備をするようCOM32に通知し、COM32は、無線伝送のために上位層アプリケーション処理コンポーネント26によって生成されているすべての通信データのバッファリングを開始する。したがって、処理コンポーネント26は、中断なしで通信セッションのためのユーザデータの生成を継続する。APP30は、ハンドオフが進行中であることを上位層アプリケーション処理コンポーネント26に通知することにより、ハンドオフが完了するまで無線データを受信する際の遅延を予想することができるようにする。そして、APP30は、プロトコルエンジン20に対して、UMTS通信セッションの引き継ぎ先となるインタフェース24経由で無線WLANコネクションを確立するよう指示する。
【0038】
WLANコネクションが確立されると、プロトコルエンジン20はAPP30に通知する。すると、APP30がCOM32にハンドオフ完了を通知する。そして、COM32は、UMTSインタフェース22からWLANインタフェース24にユーザ通信データの方向を切り替え、バッファリングされたデータをWLANインタフェースに解放することにより、通信セッションを更新し継続する。また、APPは上位層アプリケーション処理コンポーネント26にもハンドオフ完了を通知することにより、通信セッションのための双方向ユーザデータがCOM32およびWLANインタフェース24経由で移動し続ける。最後に、APP30は、UMTSインタフェースにUMTSコネクションを解放させるよう、プロトコルエンジンに通知する。
【0039】
動作を向上させるため、対応するAPPおよびCOMのコンポーネントを、WTRU10が通信しているネットワークに設けることができる。図2bは、種々のコンポーネントの配置の概略図である。UMTSシステムとWLANシステムの間のインタフェースをとるネットワークシステムは、通常、インターネットプロトコル(IP)を用いるもののようなパケット交換(PS)データフローに基づく。図2bは、パケット交換IPセッションのネットワークハンドオフを可能にするように構成されたWTRUを示している。CS音声信号データは、UMTSインタフェースからAPPを通ることができるが、音声通信は、音声データがパケットとして処理されるボイスオーバーIPプロトコルを用いて、WLANおよびUMTSの両方で実施可能である。
【0040】
図2bに表されているように、WTRU10のAPP30は、上位層とCOM32の間で無線インタフェース22、24を用いたシグナリングを仲介する。WTRU10は、COM32を通じて無線インタフェース22、24との間でPSデータを受け渡しするように構成される。好ましくは、図2bに示されているように、WTRUの通信相手であるUMTSシステムおよびWLANシステムは、それぞれUTRANおよびAPを有し、これらはそれぞれの物理層エアインタフェースの上に実現された対応する通信ブローカーを用いて構成される。好ましくは、対応するアプリケーションブローカーが、ネットワークシステムのIPノードに設けられる。ネットワーク側のAPPおよびCOMは、ネットワーク間ハンドオーバに対するネットワークサポートを提供する。
【0041】
図2bに示されているマルチネットワークシステムの場合において、ネットワークサポートにより通信セッション中にWLANコネクションからUMTSコネクションへの切替を行うWTRU10の一例を図2cに示す。既存のWLANセッション中に、制御データおよびユーザデータはそれぞれ、WTRUのAPP30およびCOM32を通り、WLANのAP経由でWTRUの通信リンクを流れる。ユーザデータはAPのCOMを通り、制御データはネットワークAPPに渡る。通信リンクがUMTSに切り替えられるべきであるとAPPが判断したことに基づくデータを通信リンクがWTRU APP30に報告すると、WTRU APP30は、アップリンクユーザ通信データのバッファリングを開始するようWTRU COM32に通知するとともに、ネットワークAPPにも通知する。すると、ネットワークAPPは、ダウンリンクユーザ通信データのバッファリングを開始するようAP COMに通知する。また、好ましくは、WTRU COM32は、ユーザデータに関係するコンテクスト情報を保存し、APから受信した最後のダウンリンクパケットを記録し、最終受信ダウンリンクパケットをWTRU APP30に知らせる。すると、WTRU APP30は、WTRUインタフェースに対して、UMTSリンクを設定するよう指示する。UMTSリンクが利用可能であると仮定すると、それが設定され、UMTS UTRAN経由のWTRUリンクがWTRU APP30に確認される。次に、WTRU APP30はこれをWTRU COM32に確認し、好ましくは、UMTSコネクション経由で、AAAおよびQoS情報を含むコンテクスト情報をネットワークAPPに通知する。また、好ましくは、WTRU COM32は、ユーザ通信データに関係するコンテクスト情報もUTRAN COMに通知する。また、WTRU APP30は、最終受信ダウンリンクパケットの識別情報を通信再開要求とともにネットワークAPPに通知し、これはネットワークAPPによってAP COMに通知される。AP COMは、好ましくは、最終受信ダウンリンクパケットとして識別されたパケットの次に続くパケットから開始して、バッファリングされたダウンリンクデータをUTRAN COMに解放する。そして、バッファリングされたデータはUMTSコネクション経由でWTRU COM32およびUTRAN COMを通じて交換される。その後、通信はUMTSコネクション経由で通常どおり継続される。
【0042】
図3は、インターネット接続を含むマルチネットワーク環境の場合のWTRU10のブロック図である。WLANネットワークは、WLANゲートウェイに接続されたアクセスポイント(AP)を含み、WLANゲートウェイは関連するWLAN AAA追跡コンポーネントを有する。UMTSはUTRANならびにAAA、SGSNおよびGGSNコアネットワークコンポーネントを含む。WLANはWLANゲートウェイを通じてインターネットとインタフェースをとり、UMTSはUMTS CNのGGSNコンポーネント経由でインターネットとインタフェースをとる。好ましくは、WLAN AAAとUMTSAAAのコンポーネント間にAAAインタフェースがある。
【0043】
図3に示されているマルチネットワークシステムの場合、WTRU10が、インターネット接続装置40を用いて通信セッション中に、WLANコネクションからUMTSコネクションへの切替を行う一例は以下のように進行する。通信リンクステータスが、リンクがWLANリンクに切り替えられるべきことをWTRU APP30に指示すると、WTRU APP30は、アップリンクユーザ通信データのバッファリングを開始するようWTRU COM32に通知する。また、好ましくは、WTRU COM32は、ユーザデータに関係するコンテクスト情報を保存し、UTRANから受信した最後のダウンリンクパケットを記録し、最終受信ダウンリンクパケットをWTRU APP30に知らせる。すると、WTRU APP30は、UMTS AAA制御からAAAコンテクスト情報を受信し、WTRUインタフェースに対して、UMTSリンクを設定するよう指示する。WLANリンクが設定され、WLAN UTRAN経由のWTRUリンクがWTRU APP30に確認される。次に、WTRU APP30は、WLANリンクの確立をWTRU COM32に確認するとともに、好ましくは、AAAコンテクストデータを適宜変換し、それをWLAN AAAコンポーネントに通知する。そして、WTRU COM32が、バッファリングされたアップリンクデータをインターネット接続装置40に解放する。その後、通信はWLANコネクション経由でWTRU10とインターネット接続装置40の間で通常どおり継続される。
【0044】
図4aおよび図4bを参照すると、標準のPCMCIA/HBAインタフェース経由等でコンピューティング装置とインタフェースをとるように構成されたAPPおよびCOMコンポーネントの実施態様が示されている。図4aは、標準のPCMCIA/HBAインタフェース経由等でコンピューティング装置とインタフェースをとるように構成されたUMTS装置アーキテクチャ設計の配置図を示している。非アクセス層(NAS)、アクセス層(AS)、レイヤ1制御(L1C)および物理層(レイヤ1)のコンポーネントが、パケット交換(PS)および回線交換(CS)の両方のデータパスを含む制御信号およびユーザデータのデータパスとともに示されている。NASレイヤは、標準のPCMCIA/HBAインタフェースコネクタ経由で結合するための標準のコンピュータインタフェースに結合する。
【0045】
図4bは、本発明の教示による、デュアルUMTS/WLANネットワーク装置アーキテクチャを提供するための、図4aの装置の改良例を示している。アプリケーションブローカー30が、NASレイヤとコンピュータインタフェースの間の制御信号パスに配置される。APP30に結合する通信ブローカー32が、NASレイヤとコンピュータインタフェースの間のPSデータパスに配置される。好ましくは802.11準拠物理層、レイヤ1制御コンポーネントならびに802.11準拠媒体アクセス制御(MAC)および論理リンク制御(LLC)コンポーネントを含むWLANインタフェースコンポーネントが提供される。媒体アクセス制御(MAC)および論理リンク制御(LLC)コンポーネントは、APP30に結合した制御信号パスおよびCOM32に結合したPSデータパスを有する。
【0046】
APP30およびCOM32コンポーネントの好ましい詳細な構成レイアウトをそれぞれ図5aおよび図5bに示す。APP30は、好ましくは、中央処理装置に結合した通信モジュールを含む。通信モジュールは、上位層処理(アプリケーション)、LLC制御(LLC)経由のWLANインタフェース、NASレベル制御(NAS)経由のUMTSインタフェース、およびCOM32(COM)との結合のための外部コネクションを有する。リンクステータスのモニタリングを支援するため、直接に物理層へのL1コネクションも提供される。
【0047】
APP30は、好ましくは、その中央処理装置と関連して、リンクモニタ、アプリケーションセッションマネージャ、インターワーキング装置および加入者識別モジュール(SIM)リーダコンポーネントを含む。リンクモニタコンポーネントは、リンクステータスをモニタし、選択された基準が満たされる場合に、一方の種類の無線ネットワークリンクから他方の種類の無線ネットワークリンクへのハンドオフをトリガするように構成される。アプリケーションセッションマネージャは、ハンドオフ中のシグナリングを制御するように構成される。インターワーキング装置は、ハンドオフ中の伝送のためにAAA、QoSプロファイルおよびその他のコンテクスト情報を維持管理し変換するように構成される。SIMリーダは、AAA機能のためにユーザの識別を含むSIMを読み出すように構成される。
【0048】
COM32は、好ましくは、制御コンポーネント、スイッチ/バッファ装置およびリード/ライト(R/W)装置により構成される。制御コンポーネントは、無線接続の種類に応じてUMTSインタフェースとWLANインタフェースの間でPSデータフローの切替を制御するように構成され、制御信号を受信するためにAPPに結合したコネクションを有する。スイッチ/バッファ装置およびR/W装置は、2つのインタフェースと上位層処理との間のPSデータパスに配置される。スイッチ/バッファはWLANコネクション(LLC)およびUMTSコネクション(PS)を有し、PSデータフローは制御コンポーネントによる制御によりいずれかのコネクションを通る。スイッチ/バッファ装置およびR/W装置は、上位層コネクション(IPデータ)からのデータフローを中断させ、ハンドオーバ中に受信されるデータをバッファリングした後、新たなネットワークコネクションが確立されデータパスが制御コンポーネントにより切り替えられ次第、バッファリングされたデータを解放する。
【0049】
完全を期して、図6aおよび図6bに、好ましいWTRUと、それぞれUMTSおよびWLANのプロトコルスタックにおけるAPPおよびCOMのネットワーク位置とを例示する。図6aは、UMTSネットワークの制御プレーン(CP)プロトコルスタック内のAPPおよびユーザプレーン(UP)プロトコルスタック内のCOMを示している。図6bは、802.11準拠無線インタフェースおよび802.3WLAN内インタフェースを用いて構成されたWTRU、WLAN APおよびWLANゲートウェイに対するWLANプロトコルスタック内のAPPおよびCOMの配置を示している。
【0050】
UMTSおよびWLAN(802.11標準)の相互作用が達成できることは、ローミング、ハンドオフ、そしてシームレスなハンドオフという諸段階からなる発展経路の頂点を経て現在のデュアルモードWTRUに到達した結果である。ネットワークインタフェース戦略は、3GPP Technical Report TR 23.934で扱われている。本発明は、シームレスなハンドオフの状況に対処し、無結合、疎結合、あるいは密結合の場合にシームレスなハンドオフをサポートするアーキテクチャを提供する。
【0051】
この新規なAPPおよびCOMコンポーネントは、任意のアクセス技術を統合するように拡張できる。図7は、WIN CEの場合に動作する、図4bに示したようなデュアル無線インタフェース装置(UE+WLANエンジン)内のこれらのコンポーネントの配置を示す図である。
【0052】
COMブローカーの例示的属性として、上位層に対するトランスポートメカニズムの抽象化機能がある。上記ではPSデータについて説明したが、ユーザプレーン上にあるCOMは、アタッチされている現在のシステムに応じて、CSおよび/またはPSのデータの形態でユーザデータをルーティングするように実施可能である。UMTSの側から見て、COMコンポーネントは、好ましくは、PDCP/RLC/MAC/PHYプロトコルの上に存在する。COMは、任意のアクセス技術に適応可能な汎用ソフトウェアコンポーネントとして実施可能である。
【0053】
アクセスブローカー(APP)の例示的属性として、セッション層およびプレゼンテーション層におけるすべてのアプリケーションの抽象化機能がある。APPは、好ましくは、シグナリング(制御)プレーン(CP)上に存在し、リンク品質のレポートを収集し、ハンドオフのトリガおよびセッション再確立支援の機能を有する。
【0054】
好ましくは、APPおよびCOMコンポーネントは、特定用途向け集積回路(ASIC)のような単一の集積回路上に実装される。この集積回路は、UMTSおよびWLANインタフェースコンポーネントも含み得る。しかし、処理コンポーネントの一部が、複数の異なる集積回路上に実装されることも容易に可能である。
【0055】
WTRUの構成および方法を、UMTSおよびWLANシステムでの使用に関して説明した。しかし、本発明は、WTRUが複数の種類の無線ネットワークと通信するように構成された任意の無線通信ネットワークシステムについて実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1a】現在の3GPP仕様による典型的なUMTSシステムの概略図である。
【図1b】本発明の教示による、連続通信を維持しながら家庭WLANからオフィスLANへ移動する際に異なるネットワークで動作する移動WTRUの一例を示す図である。
【図2a】本発明の教示によるマルチネットワーク対応WTRUのブロック図である。
【図2b】本発明の教示によるマルチネットワーク対応WTRUのマルチネットワークインタフェースの図である。
【図2c】本発明の教示による、接続を切らずにWLAN経由の無線接続からUMTS経由の無線接続へ通信セッションを切り替える様子を示すプロセス図である。
【図3】本発明の教示によるマルチネットワーク対応WTRUのマルチネットワークオペレーティング環境の図である。
【図4a】標準のPCMCIA/HBAインタフェース経由等でコンピューティング装置とインタフェースをとるように構成されたUMTS装置アーキテクチャ設計の配置図である。
【図4b】本発明の教示による、標準のPCMCIA/HBAインタフェース経由等でコンピューティング装置とインタフェースをとるように構成されたデュアルUMTS/WLANネットワーク装置アーキテクチャ設計の配置図である。
【図5a】本発明の教示による、WTRUのためのアプリケーションブローカーコンポーネントの機能細部の好ましい一例のブロック図である。
【図5b】本発明の教示による、WTRUのための通信ブローカーコンポーネントの機能細部の好ましい一例のブロック図である。
【図6a】3GPPの場合にUE、UTRANおよびSGSNにおける本発明のコンポーネントの動作の好ましい位置を例示するプロトコルスタック図である。
【図6b】WLANの場合に本発明のコンポーネントの動作の好ましい配置を例示するプロトコルスタック図である。
【図7】WIN CEの場合に動作する本発明のコンポーネントの配置を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の無線ネットワークで通信を行う無線送受信装置(WTRU)において、
少なくとも2個の無線通信インタフェースを有するプロトコルエンジンであって、各無線通信インタフェースは異なる種類の無線ネットワークとの無線リンクを行うように構成され、各通信インタフェースは共通のアプリケーション処理コンポーネントに制御信号およびユーザ通信データを渡すように構成される、プロトコルエンジンと、
下位層プロトコルエンジンと上位層アプリケーション処理コンポーネントとの間で制御シグナリングをモニタするように構成されたアプリケーションブローカーと、
データバッファを有し、前記上位層アプリケーション処理コンポーネントと選択された無線インタフェースとの間でユーザデータの切替可能データパスを定める通信ブローカーと
を備え、
前記アプリケーションブローカーが、前記通信ブローカーによるデータバッファリングおよびデータパス切替を制御するように前記通信ブローカーと関連づけられることにより、通信セッション中に前記プロトコルエンジンの第1の無線インタフェースに流れるデータが、前記通信セッションのために無線リンクが前記プロトコルエンジンの異なる第2の無線インタフェースとの間で確立される間バッファリングされ、前記通信セッションのために無線リンクが前記第2の無線インタフェース経由で確立された後、通信ブローカーデータパスが前記第2の無線インタフェースに切り替えられ、バッファリングされたデータがそれを通じて解放されることを特徴とする無線送受信装置。
【請求項2】
前記無線通信インタフェースの1つがUMTS(ユニバーサル移動体通信システム)の無線通信のために構成され、前記無線通信インタフェースの別の1つが802.11WLAN(無線LAN)通信のために構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通信ブローカーデータパスが、パケット交換データをトランスポートするように構成されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
データパスが、前記上位層アプリケーション処理コンポーネントと前記UMTS無線インタフェースの間の回線交換データのために定められることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記アプリケーションブローカーはリンクモニタを含み、モニタされたリンクデータが所定基準を満たすことに基づいて、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの開始をトリガするように構成されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記アプリケーションブローカーが、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中にシグナリングを制御するように構成されたアプリケーションセッションマネージャと、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中に伝送のためのコンテクスト情報を維持管理し変換するように構成されたインターワーキング装置とを含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アプリケーションブローカーが、ユーザの識別を含む加入者識別モジュール(SIM)を読み出すように構成されたSIMリーダを含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記通信ブローカーデータパスが、パケット交換データをトランスポートするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記アプリケーションブローカーはリンクモニタを含み、モニタされたリンクデータが所定基準を満たすことに基づいて、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの開始をトリガするように構成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
無線送受信装置(WTRU)が通信セッション中に第1の種類の無線ネットワークから第2の種類の無線ネットワークへ無線リンクを切り替えるための無線リンクハンドオーバ方法において、前記WTRUは、それぞれ前記第1および第2の種類の無線ネットワークとの無線リンクを行うように構成された第1および第2の無線通信インタフェースを有するプロトコルエンジンを有し、各通信インタフェースは、共通のアプリケーション処理コンポーネントに制御信号およびユーザ通信データを渡すように構成され、前記方法は、
上位層アプリケーション処理コンポーネントと選択された無線インタフェースとの間のユーザデータのためのデータバッファおよび切替可能データパスを提供し、
下位層プロトコルエンジンと前記上位層アプリケーション処理コンポーネントの間で制御シグナリングをモニタし、
データバッファおよびデータパス切替を制御することにより、通信セッション中に前記プロトコルエンジンの前記第1の無線インタフェースに流れるデータが、前記通信セッションのために無線リンクが前記プロトコルエンジンの前記第2の無線インタフェースとの間で確立される間バッファリングされ、前記通信セッションのために無線リンクが前記第2の無線インタフェース経由で確立された後、データパスが前記第2の無線インタフェースに切り替えられ、バッファリングされたデータがそれを通じて解放されることを特徴とする無線リンクハンドオーバ方法。
【請求項11】
WLAN無線リンクがUMTS無線リンクに切り替えられ、前記第1の無線通信インタフェースがUMTS無線通信のために構成され、前記第2の無線通信インタフェースが802.11WLAN無線通信のために構成されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
UMTS無線リンクがWLAN無線リンクに切り替えられ、前記第1の無線通信インタフェースが802.11WLAN無線通信のために構成され、前記第2の無線通信インタフェースがUMTS無線通信のために構成されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記切替可能データパスがパケット交換データをトランスポートすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
モニタされたリンクデータが所定基準を満たすことに基づいて、前記第2の無線インタフェースを通じた無線リンクの開始がトリガされることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
アプリケーションセッションマネージャが、前記第2の無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中にシグナリングを制御し、インターワーキング装置が、前記第2の無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中に伝送のためのコンテクスト情報を維持管理し変換することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2種類の無線ネットワークで通信を行うように構成された無線送受信装置(WTRU)のための特定用途向け集積回路(ASIC)において、該ASICは、少なくとも2個の無線通信インタフェースを有するプロトコルエンジンを有し、各無線通信インタフェースは、異なる種類の無線ネットワークとの無線リンクを行うとともに共通のアプリケーション処理コンポーネントに制御信号およびユーザ通信データを渡すように構成され、前記ASICが、
下位層プロトコルエンジンと上位層アプリケーション処理コンポーネントとの間で制御シグナリングをモニタするように構成されたアプリケーションブローカーと、
データバッファを有し、前記上位層アプリケーション処理コンポーネントと選択された無線インタフェースとの間でユーザデータの切替可能データパスを定める通信ブローカーと
を備え、
前記アプリケーションブローカーが、前記通信ブローカーによるデータバッファリングおよびデータパス切替を制御するように前記通信ブローカーと関連づけられることにより、通信セッション中に前記プロトコルエンジンの第1の無線インタフェースに流れるデータが、前記通信セッションのために無線リンクが前記プロトコルエンジンの異なる第2の無線インタフェースとの間で確立される間バッファリングされ、前記通信セッションのために無線リンクが前記第2の無線インタフェース経由で確立された後、通信ブローカーデータパスが前記第2の無線インタフェースに切り替えられ、バッファリングされたデータがそれを通じて解放されることを特徴とする特定用途向け集積回路。
【請求項17】
前記アプリケーションブローカーはリンクモニタを含み、モニタされたリンクデータが所定基準を満たすことに基づいて、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの開始をトリガするように構成されることを特徴とする請求項16に記載の回路。
【請求項18】
前記アプリケーションブローカーが、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中にシグナリングを制御するように構成されたアプリケーションセッションマネージャと、異なる無線インタフェースを通じた無線リンクの確立中に伝送のためのコンテクスト情報を維持管理し変換するように構成されたインターワーキング装置とを含むことを特徴とする請求項17に記載の回路。
【請求項19】
前記アプリケーションブローカーが、ユーザの識別を含む加入者識別モジュール(SIM)を読み出すように構成されたSIMリーダを含むことを特徴とする請求項18に記載の回路。
【請求項20】
前記通信ブローカーデータパスが、パケット交換データをトランスポートするように構成されることを特徴とする請求項16に記載の回路。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−527527(P2006−527527A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513375(P2006−513375)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013013
【国際公開番号】WO2005/002250
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Bluetooth
【出願人】(594164900)インターディジタル テクノロジー コーポレイション (153)
【氏名又は名称原語表記】InterDigital Technology Corporation
【Fターム(参考)】