説明

複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を中継器によって転送するための方法、及びその中継器

【課題】中継器を用いることにより、宛先によって受信される信号を高める。
【解決手段】無線セルラー通信ネットワークにおいて少なくとも送信元によって宛先へ転送された少なくとも1つの送信元信号からリトリーブされる情報ビットから取得された複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を中継器によって転送するための方法であって、送信元信号は、上記情報ビットから取得された複素シンボルから成る。該中継器は、少なくとも送信元によって転送された少なくとも1つの送信元信号を受信し、少なくとも1つの受信された信号からの情報ビットの復号に成功し、情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得し、情報ビットの復号に成功した時刻から転送されるべき取得された信号の部分を転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、無線セルラー通信ネットワークにおいて送信元によって宛先に転送されるシンボルを中継するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の無線セルラー通信ネットワークは、現在の無線セルラー通信ネットワークによって使用される周波数帯よりも高い周波数帯を使用する予定である。
【0003】
これらのセルラー通信ネットワークは、特に都市環境において、デッドゾーンを有することになり、その地帯では、基地局と端末との間で転送される信号が著しく減衰することになる。
【0004】
基地局によって放射された信号が減衰されすぎている場合、無線セルラー通信ネットワークへのアクセスは、デッドゾーンに位置する移動端末には可能でない場合がある。
【0005】
解決法が今日提案されている。中継器のような特定の無線電気通信デバイスによって、デッドゾーンを削減することが意図されている。
【0006】
特許文献1は、MIMO無線ネットワークにおいて協調ダイバーシティを提供する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0239222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、中継器を用いることにより、宛先によって受信される信号を高めることを目的とする。
【0009】
本発明はさらに、宛先に転送されるシンボルのダイバーシティを高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明は、無線セルラー通信ネットワークにおいて少なくとも送信元によって宛先へ転送された少なくとも1つの送信元信号からリトリーブされる情報ビットから取得された複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を中継器によって転送するための方法であって、送信元信号は、上記情報ビットから取得された複素シンボルから成り、
該方法は、中継器によって実行されるステップであって、
少なくとも送信元によって転送された少なくとも1つの送信元信号を受信するステップと、
少なくとも1つの受信された信号からの情報ビットの復号に成功するステップと、
情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得するステップと、
情報ビットの復号に成功した時刻から転送されるべき取得された信号の部分を転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0011】
本発明はまた、無線セルラー通信ネットワークにおいて少なくとも送信元によって宛先へ転送された少なくとも1つの送信元信号からリトリーブされる情報ビットから取得された複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を転送することができる中継器であって、送信元信号は、上記情報ビットから取得された複素シンボルから成り、
該中継器は、
少なくとも送信元によって転送された少なくとも1つの送信元信号を受信する手段と、
少なくとも1つの受信された信号からの情報ビットの復号に成功する手段と、
情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得する手段と、
情報ビットの復号に成功した時刻から転送されるべき取得された信号の部分を転送する手段と、
を備えることを特徴とする、中継器に関する。
【0012】
したがって、中継器は、情報ビットを正しく復号することができるときに、自身の送信を動的に適応させる。中継器は、宛先が情報ビットをリトリーブするのを助けることができる信号のみを送信する。中継器の使用は効率的であり、近接した通信にあまり大きな干渉を生成しない。
【0013】
特定の特徴によれば、送信元は、上記情報ビットから取得された複素シンボルから成る1つの送信元信号を送信元の各アンテナを通じて転送し、送信元のアンテナを通じて転送される各送信元信号は、送信元の別のアンテナを通じて転送される各送信元信号と異なる。
【0014】
特定の特徴によれば、中継器は、該中継器のアンテナのそれぞれについて、情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得し、中継器のアンテナを通じて転送される各取得された信号は、中継器の別のアンテナを通じて転送される各取得された信号と異なる。
【0015】
したがって、宛先は、同じ情報ビットに対応する異なる信号を観測し、これによって、システム性能が改善される。
【0016】
特定の特徴によれば、1つの取得された信号は、
情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を識別することと、
情報ビットの復号の成功から転送されるべき識別された信号の部分を、復号された情報ビットから導出することと、
によって取得される。
【0017】
したがって、中継器は、送信される信号を独力で導出することができる。すなわち、送信元から中継器へ余分なデータは送信されない。これによって、オーバーヘッドが低減される。
【0018】
特定の特徴によれば、識別された信号は、情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号からランダムに選択される。
【0019】
したがって、各中継器は、送信される信号を独力で選択することができる。すなわち、中継器へ制御シグナリングは送信されない。これによって、オーバーヘッドが低減され、システムは非常に柔軟なものとなる。
【0020】
特定の特徴によれば、識別された信号は、メモリーに記憶された少なくとも1つの情報を読み出すことによって識別される。
【0021】
したがって、中継器は、制御シグナリングを受信することなく、どの信号を送信しなければならないのかを知り、宛先は、受信性能を改善する異なる信号を常に受信することができる。
【0022】
特定の特徴によれば、識別された信号は、
複数の信号の中の各可能な信号(each possible signals)に関連付けられたパイロットシンボルの受信電力を測定することと、
関連付けられたパイロットシンボルの受信電力が最も低いものの1つである少なくとも1つの信号を識別することと、
によって識別される。
【0023】
したがって、中継器は、制御シグナリングを受信することなく、また初期化フェーズなしで、どの信号を送信しなければならないのかを判断する。さらに、宛先は、多数の異なる信号を観測し、これによって、性能が改善される。最後に、システムは、中継器の情報ビットの正しい復号の順序が何であろうとも、自動適応する。
【0024】
特定の特徴によれば、分散空間分割多重伝送方式(Spatial Division Multiplexing transmission scheme)が無線セルラー通信ネットワークで使用される。
【0025】
したがって、中継器は、一般的なMIMO(多入力多出力(Multiple Input Multiple Output))方式の少なくとも1つのアンテナに対応する少なくとも1つの信号を送信する。
【0026】
システム性能が改善される。
【0027】
特定の特徴によれば、時空間ブロック符号が無線セルラー通信ネットワークで使用される。
【0028】
したがって、送信元及び中継器のアンテナによって送信されるMIMO方式は、複雑度の低い復号を有し、性能が改善される。
【0029】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラム可能デバイスに直接ロード可能であり得るコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが、プログラム可能デバイスにおいて実行されるときに、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0030】
コンピュータプログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関連して上述されたのと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0031】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。上記説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す。
【図2】本発明が実施される中継器のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施される中継器管理エンティティのアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明の第1の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図5】本発明の第2の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図6】本発明による送信元と宛先との間で転送される信号の一例を開示する。
【図7】本発明の第3の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図8】本発明の第3の実現モードによる中継器管理エンティティによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す。
【0034】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、送信元Srcが、少なくとも1つの宛先Destに信号を転送する。
【0035】
送信元Srcは、移動端末のような少なくとも1つの宛先に、又はホーム基地局に信号を転送する基地局とすることができる。
【0036】
送信元Srcは、基地局のような少なくとも1つの宛先に信号を転送する移動端末又はホーム基地局とすることができる。
【0037】
基地局は、アクセスノード、又はノードB、又はエンハンストノードBとも呼ばれる。
【0038】
基地局又はホーム基地局は、少なくとも1つの移動端末をハンドリングすることができる。
【0039】
基地局又はホーム基地局は、その基地局又はホーム基地局を通じて移動端末が遠隔デバイスとの通信を確立できるようにするために必要とされる情報を基地局又はホーム基地局が有するときに、その移動端末をハンドリングする。
【0040】
基地局又はホーム基地局は、ダウンリンクチャネルを通じて、移動端末に信号を転送し、アップリンクチャネルを通じて、移動端末によって転送される信号を受信する。
【0041】
送信元Srcは、例えば衛星のような放送デバイスとすることができる。その例では、放送サービスの宛先Destと送信元Srcとの間にアップリンクチャネルはない。
【0042】
その中継器RL1〜RL4は、動的復号及び転送(DDF)プロトコルに従って動作する。
【0043】
DDFプロトコルは、中継器RLにおけるスマート処理を含む。中継器RLは、送信元Srcから宛先Destに送信される情報を受信し、その復号化を試み、その復号化によって誤りが生じない場合にその後、送信段階に移行する。
【0044】
本発明の特定の実現形態では、中継器RLは、宛先Destによって送信元Srcに転送される肯定応答及び非肯定応答を監視する。
【0045】
中継器RLが情報ビットを受信し、復号化するのに成功するとき、その中継器RLは、非肯定応答が検出されるときにのみ、シンボルを転送する。肯定応答が検出されるとき、送信元Src及び中継器RLによって、情報ビット伝送のためのシンボルは転送されない。
【0046】
特定の実現モードでは、中継器RLが送信モードにあるとき、中継器は、送信元Srcと同じ周波数/時間リソースで信号を転送する。
【0047】
4つの中継器RL1〜RL4が示されているが、本発明は、異なる個数、例えばより多くの中継器が無線セルラー通信ネットワークに存在するときも機能することを理解することができる。
【0048】
分散空間分割多重(SDM)伝送方式が無線セルラー通信ネットワークで使用される場合、送信元Srcは自身のアンテナのそれぞれを通じて1つの信号を転送し、中継器RLは、送信元Srcによって宛先Destへ送信された情報ビットを受信して、その復号を試みる。
【0049】
本発明の特定の実現モードによれば、送信元Srcは、自身のアンテナのそれぞれを通じて1つの信号を転送し、この信号は、他のアンテナを通じて転送された他の信号とは異なる。
【0050】
送信元Srcは、情報語(information word)のKビットの情報ビットを送信する。情報ビットは、符号化ビットのベクトルを形成するために、符号化器及びその後に続く場合があるインターリーバーによって符号化ビットに変換される。
【0051】
符号化ビットは、符号化ビットのT個の異なる部分ベクトルに分割される。符号化ビットの各部分ベクトルは、レートマッチングアルゴリズムによって生成された冗長性を備える。
【0052】
符号化及びインターリーブは、より一般的には、3GPP−LTE標準規格(第3世代パートナーシッププロジェクト長期的発展型(Third Generation Partnership Project-Long Term Evolution))で使用されるもののようなレートマッチングアルゴリズムによって行われる。
【0053】
符号化ビットの少なくとも1つの部分ベクトル(sub vector)は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号を取得するために、離散変調入力に提供される。この離散変調は、直交位相シフトキーイング変調、又は16値、32値、若しくは64値直交振幅変調とすることができる。
【0054】
送信元Srcは、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る1つの各信号を自身のアンテナのそれぞれで転送する。
【0055】
各中継器RLは、1つ又は複数の信号を受信し、情報ビットの復号を試みる。中継器RLが情報ビットの復号に成功すると、中継器RLは、復号に成功したことを送信元Srcに通知する場合もあるし通知しない場合もあり、送信フェーズにシフトする。
【0056】
送信フェーズ中、送信元Srcは、情報ビットから取得された複素変調シンボルの信号の送信を続ける。これらの信号は、中継器RLによって転送された複素変調シンボルから成る信号とは異なるべきであり、送信元Srcと同じ情報ビットから取得される。
【0057】
各中継器は、自身のアンテナのそれぞれについて符号化ビットのT個のサブベクトルの1つを情報ビットから取得する。各中継器RLは、異なる時刻に送信フェーズにシフトすることができる。該取得された部分ベクトル又は各取得された部分ベクトルは、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号を取得するために、離散変調入力に与えられる。この離散変調は、直交位相シフトキーイング変調、又は16値、32値、若しくは64値直交振幅変調とすることができる。
【0058】
情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る1つ又は複数の信号は、レートマッチングアルゴリズムによって生成された冗長性に対応する。
【0059】
送信信号は転送され、宛先Destは、自身が送信元Src及び/又は他の中継器RLから受信する重畳信号を復号する方法を知っている。転送された信号の1つが所与の時刻に転送されない場合、宛先Destは、エラー訂正符号の復号において、一致した符号化ビットを、パンクチャードビットに関連付けられた値に取り替える。
【0060】
時空間ブロック符号(Space-Time Block Code)(STBC)が無線セルラー通信ネットワークで使用される場合、送信元Srcは、自身のアンテナのそれぞれを通じて1つの異なる信号を転送し、中継器RLは、送信元Srcによって宛先Destへ送信された情報ビットを受信し、その復号を試みる。
【0061】
送信元Srcは、情報語のKビットの情報ビットを送信する。情報ビットは、符号化ビットのベクトルを形成するために、符号化器によって符号化ビットに変換される。
【0062】
符号化ビットのベクトルは、情報ビットから取得されたシンボルから成る少なくとも1つの信号を取得するために、離散変調入力に与えられる。この離散変調は、直交位相シフトキーイング変調、又は16値、32値、若しくは64値直交振幅変調とすることができる。
【0063】
シンボルは、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成るT個の異なる信号を形成するために処理される。
【0064】
送信元Srcは、情報ビットから取得されたT個の信号の1つを自身のアンテナのそれぞれで転送する。
【0065】
各中継器RLは、1つ又は複数の信号を受信し、情報ビットの復号を試みる。中継器RLが情報ビットの復号に成功すると、中継器RLは、復号に成功したことを送信元Srcに通知する場合もあるし通知しない場合もあり、送信フェーズにシフトする。
【0066】
送信フェーズ中、送信元Srcは、中継器RLによって転送された1つ又は複数の信号とは異なるべきである信号の送信を続ける。
【0067】
各中継器RLは、自身のアンテナのそれぞれについてT個の信号の1つを情報ビットから取得する。各中継器RLは、異なる時刻に送信フェーズにシフトすることができる。複素変調シンボルから成る該取得された信号又は各取得された信号は、中継器RLの各アンテナを通じて転送される。
【0068】
STBCでは、時間は、U個のタイムスロットから成るスロットに分割される。各中継器RLは、タイムスロットから成るスロットの開始時に送信をアクティブ化する。
【0069】
ここで、UはTに等しい場合もあるし等しくない場合もあることに留意しなければならない。
【0070】
タイムスロットから成る所与のスロットにおいて、fi(z1,…,zS)を、情報ビットから取得されたi番目の信号を形成するS個のシンボル(z1,…,zS)の組み合わせであるシンボルと呼ぶことにする。例えば、送信元は、情報ビットから取得された複素シンボルから成る第1の信号を形成するために、f1(z1,…,zS)=[z1,…,zS]を使用することができる。
【0071】
ここで、U又はTはSに等しい場合もあるし等しくない場合もあることに留意しなければならない。
【0072】
例えば、4つのシンボルz1、z2、z3、及びz4が4つのタイムスロットから成る1つのスロットで転送される準直交STBC伝送方式を考えることにする。
【0073】
その準直交STBC伝送方式は次のように表すことができる。
【0074】
【数1】

【0075】
ここで、*は複素共役を示す。
【0076】
その例では、U=Tであり、U=Sである。
【0077】
この伝送方式は準直交である。すなわち、宛先Destにおいて右回転を従来通り適用した後、第1の信号及び第4の信号のみが、一方がそれぞれ他方においてまだ干渉しあっており、第2の信号及び第3の信号も同様である。その伝送方式の興味のある特性は、第1行及び第2行が直交アラモウチ方式の2つの独立した送信に対応し、第3行及び第4行も同様であるということである。
【0078】
別の例では、準直交STBC伝送方式は次のように変更される。
【0079】
【数2】

【0080】
この変更された準直交STBC伝送方式は、4つの代わりに2つのタイムスロットから成るスロットを考慮することを可能にし、より大きな柔軟性をシステムに与える。
【0081】
STBCベースの伝送の別の例では、1スロット当たりのタイムスロットの個数がnであり、アンテナの個数がnである場合、F. Oggier、G. Rekaya、J-C. Belfiore、及びE. Viterboの「Perfect Space-Time Block Codes」、IEEE Transactions on Information Theory, vol. 52, Issue 9, pp. 3885-3902, September 2006に説明されているようなフルレートフルダイバーシティ時空間ブロック符号に従って次のタイプの送信を使用することができる。
【0082】
【数3】

【0083】
ここで、σは、数拡大体(number field extension)P/Fに関連付けられた巡回群の生成元である。但し、Fは基礎体であり(例えば、Q(i)は、i2=−1を有する有理数の体であるか、又はQ(j)はj3=1を有する有理数の体である)、PはF上の次元nのベクトル空間である。
【0084】
変数γ∈Fは、
【0085】
【数4】

【0086】
を有する巡回線形代数(cyclic linear algebra)A=(P/F,σ,γ)を定義することを可能にする。ここで、en=γである。
【0087】
例えば、n=4の場合、F=Q(i)、P=Q(i,cos(2π/15))、及びγ=iが選ばれる。
【0088】
無線セルラー通信ネットワークでは、前のブロックの送信の成功を肯定応答するために又はしないために、ハイブリッドARQ(HARQ)フィードバック方式が、宛先Destから送信元Srcへ提供される。
【0089】
ハイブリッドARQでは、冗長性の再送信は、宛先Destがシンボルの復号に成功することができないとき、すなわち、送信された情報語に組み込まれた巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)(CRC)が機能しないときに実行される。
【0090】
十分な符号化ビットが送信されるとすぐに、宛先Destはメッセージを正しく復号することができ、送信は停止される。
【0091】
宛先Destは、1つの情報語送信の開始から受信された一連の信号又は受信された符号化ビットの一連のソフト推定値を記憶し、連結されたシンボルに対して統合復号を適用する。
【0092】
肯定応答は、複素変調シンボルの受信後において、それらの複素変調シンボルのCRCチェックが正しい場合にそれらのシンボルの復号後に実行される。
【0093】
通例、新しい各複素変調シンボルは、レートマッチングアルゴリズム及びエラー訂正符号の出力から取られた冗長ビットを含む。
【0094】
ここで、本発明は、符号語が複素変調シンボルのいくつかのグループにセグメント化されている放送のようなオープンループ送信にも適用可能であることに留意しなければならない。
【0095】
少なくとも1つの中継器管理エンティティMEを、無線セルラー通信ネットワークに含めることができる。中継器管理エンティティMEは、専用デバイスの場合もあるし、図1には図示しないコアネットワークデバイスに含まれる場合もあるし、基地局BSに含まれる場合もある。
【0096】
本発明によれば、中継器RLが情報ビットの復号に成功すると、中継器RLは、情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の少なくとも1つの信号を選択し、復号に成功した時刻から転送されるべき、該選択された信号又は各選択された信号の部分を転送する。
【0097】
図1に図示しない通信ネットワークは、基地局、中継器管理エンティティME、及び無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスをリンクすることができる。
【0098】
通信ネットワークは、DSL(デジタル加入者線)ネットワーク又はISDN(サービス統合デジタル網)ネットワーク等とすることができる。
【0099】
図2は、本発明が実施される中継器のアーキテクチャを表す図である。
【0100】
中継器RLは、例えば、バス201によって互いに接続されたコンポーネントと、図4、図5、又は図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサー200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0101】
バス201は、プロセッサー200を、読み出し専用メモリーROM202、ランダムアクセスメモリーRAM203、及び無線インターフェース205にリンクする。
【0102】
メモリー203は、変数と、図4、図5、又は図7に開示するようなプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0103】
プロセッサー200は、無線インターフェース205の動作を制御する。
【0104】
読み出し専用メモリー202は、図4、図5、又は図7に開示するようなプログラムの命令を含む。これらの命令は、中継器RLに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリー203へ転送される。
【0105】
無線インターフェース205は、中継器RLが、基地局若しくはホーム基地局及び少なくとも1つの移動端末へ信号若しくはメッセージを転送し且つ/又はそれら基地局若しくはホーム基地局及び少なくとも1つの移動端末から信号若しくはメッセージを受信することを可能にする。
【0106】
無線インターフェース205は、
少なくとも1つの基地局又はホーム基地局によって転送された信号を受信するダウンリンク受信モジュール210を備えることができ、
少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局へ信号を転送するダウンリンク送信モジュール211を備えることができ、
少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局によって転送された信号を受信するアップリンク受信モジュール212を備えることができ、
少なくとも1つの基地局又はホーム基地局へ信号を転送するアップリンク送信モジュール213を備えることができる。
【0107】
図3は、本発明が実施される中継器管理エンティティのアーキテクチャを表す図である。
【0108】
中継器管理エンティティMEは、例えば、バス301によって互いに接続されたコンポーネントと、図8に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサー300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0109】
バス301は、プロセッサー300を、読み出し専用メモリーROM302、ランダムアクセスメモリーRAM303、ネットワークインターフェース306、及び中継器管理エンティティが基地局に含まれる場合には無線インターフェース305にリンクする。
【0110】
メモリー303は、変数と、図8に開示するようなプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0111】
プロセッサー300は、無線インターフェース305及びネットワークインターフェース306の動作を制御する。
【0112】
読み出し専用メモリー302は、図8に開示するようなプログラムの命令を含む。これらの命令は、中継器管理エンティティMEに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリー303へ転送される。
【0113】
無線インターフェース305は、中継器管理エンティティMEが中継器へ信号若しくはメッセージを転送し且つ/又は中継器から信号若しくはメッセージを受信することを可能にする。
【0114】
ネットワークインターフェース306は、中継器管理エンティティMEが中継器へ信号若しくはメッセージを転送し且つ/又は中継器から信号若しくはメッセージを受信することを可能にする。
【0115】
例えば、ネットワークインターフェース306は、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(サービス統合デジタル網)インターフェース等である。
【0116】
図4は、本発明の第1の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0117】
より正確には、本アルゴリズムは、各中継器RLのプロセッサー200によって実行される。
【0118】
ステップS400において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号の、無線インターフェース205を通じた受信を検出する。
【0119】
情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号は、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、1つの情報語の送信の開始からこれまでに受信された複素変調シンボルに連結される。
【0120】
次のステップS401において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号を復号するように無線インターフェースに指令し、中継器RLによってこれまでに受信された他の複素変調シンボルを含めることができる。
【0121】
複素変調シンボルは、符号化ビットのソフト推定値に復調され、デインターリーブされ、情報ビット推定値に復号される。
【0122】
次のステップS402において、プロセッサー200は、複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号の復号後に求められたCRCが正しいか否かをチェックする。
【0123】
CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS403に移動し、そうでない場合、プロセッサー200はステップS400に戻る。
【0124】
ここで、一変形では、CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS403に移動し、プロセッサー200は、最後の受信された複素変調シンボルのベクトルについて、肯定応答メッセージが宛先Destによって送信元Srcへ転送されているか否かをさらにチェックすることに留意されたい。
【0125】
肯定応答メッセージが転送されていた場合、プロセッサー200はステップS400に戻り、そうでない場合、プロセッサー200はステップS403に移動する。
【0126】
ステップS403において、プロセッサー200は、複数の信号の中の1つの信号を識別する情報を選択する。
【0127】
例えば、プロセッサー200は、複数の信号の中の1つの信号を識別する情報をランダムに選択する。
【0128】
別の例では、プロセッサー200は、複数の信号の中の1つの信号を識別する情報をメモリー203に読み込む。
【0129】
その後、プロセッサー200は、ステップS404において、選択された信号を符号化するように無線インターフェースに指令する。
【0130】
情報ビットが判明すると、レートマッチングアルゴリズム、変調、及び複数アンテナ伝送方式を使用することによって、情報ビットの復号の成功から転送されるべき選択された信号の部分を導出することが可能である。
【0131】
次のステップS405において、プロセッサー200は、復号の成功時刻から転送されるべき選択された信号の部分の転送を指令する。
【0132】
選択された信号は、この選択された信号を識別する少なくとも1つのパイロットシンボルと組み合わせて転送することができる。これによって、例えば、送信元Src及び/又は少なくとも1つの他の中継器により場合により送信される可能性のあるT個の信号から、各信号の受信電力強度を宛先Destにおいて計算することが可能になる。
【0133】
信号が送信元Src及び少なくとも1つの中継器RL又は複数の中継器RLによって送信された場合、その信号は、より大きな受信電力を有する送信Srcによって転送された信号として宛先で認識される。
【0134】
図5は、本発明の第2の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0135】
ステップS500において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号の、無線インターフェース205を通じた受信を検出する。
【0136】
情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号は、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、1つの情報語の送信の開始からこれまでに受信された複素変調シンボルに連結される。
【0137】
次のステップS501において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号を復号するように無線インターフェースに指令し、中継器RLによってこれまでに受信された他の複素変調シンボルを含めることができる。
【0138】
情報ビットから取得された複素変調シンボルは、符号化ビットのソフト推定値に復調され、デインターリーブされ、情報ビット推定値に復号される。
【0139】
次のステップS502において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号の復号後に求められたCRCが正しいか否かをチェックする。
【0140】
CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS503に移動し、そうでない場合、プロセッサー200はステップS500に戻る。
【0141】
ここで、一変形では、CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS503に移動し、プロセッサー200は、最後の受信された複素変調シンボルのベクトルについて、肯定応答メッセージが宛先Destによって送信元Srcへ転送されているか否かをさらにチェックすることに留意されたい。
【0142】
肯定応答メッセージが転送されていた場合、プロセッサー200はステップS500に戻り、そうでない場合、プロセッサー200はステップS503に移動する。
【0143】
例えば、ステップS500と並列に、無線インターフェース205は、複数の信号の中の各可能な信号のパイロットシンボル受信電力を検出する。少なくとも1つのパイロットシンボルは、複数の信号の中の1つの信号を一意に識別する。
【0144】
次のステップS504において、プロセッサー200は、パイロットシンボル受信電力が最も低い信号を選択する。
【0145】
その後、プロセッサー200は、ステップS505において、選択された信号を符号化するように無線インターフェースに指令する。
【0146】
情報ビットが判明すると、情報ビットの復号の成功から転送されるべき選択された信号の部分を導出することが可能である。
【0147】
次のステップS506において、プロセッサー200は、復号の成功の時刻から転送されるべき選択された信号の部分の転送を指令する。
【0148】
選択された信号は、この選択された信号を識別する少なくとも1つのパイロットシンボルと組み合わせて転送することができる。
【0149】
これによって、例えば、送信元Src及び/又は少なくとも1つの他の中継器により場合によって送信される可能性のあるT個の信号から、各信号の受信電力強度を宛先Destにおいて計算することが可能になる。
【0150】
信号が送信元Src及び少なくとも1つの中継器RL又は複数の中継器RLによって送信された場合、その信号は、より大きな受信電力を有する送信Srcによって転送された信号として宛先で認識される。
【0151】
図6は、本発明による送信元と宛先との間で転送される信号の一例を開示する。
【0152】
図6は、送信元SRCが2つの送信アンテナを有し、中継器RL1及びRL2が単一の送信アンテナを有し、中継器RL3が2つの送信アンテナを有する一例を開示する。
【0153】
宛先Destは、1つ、2つ、又は4つの受信アンテナを有することができる。
【0154】
例えば、以下の準直交STBC伝送方式が図6で使用される。
【0155】
【数5】

【0156】
送信元Srcは2つの信号S1及びS2を送信する。各信号は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る。
【0157】
送信元Srcは、情報語のKビットの情報ビットを送信する。情報ビットは、符号化ビットのベクトルを形成するために符号化器によって符号語ビットに変換される。
【0158】
符号化ビットのベクトルは、情報ビットから取得されたシンボルから成る少なくとも1つの信号を取得するために、離散変調入力に与えられる。この離散変調は、直交位相シフトキーイング変調、又は16値、32値、若しくは64値直交振幅変調とすることができる。
【0159】
シンボルは、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る4つの異なる信号を形成するために処理され、これらの異なる信号は4つのタイムスロットから成るスロットにセグメント化される。
【0160】
送信元Srcは、情報ビットから取得された複素シンボルから成る第1の信号S1を形成するために、4つのタイムスロットから成る各スロットにf1(z1,z2,z3,z4)=(z1,z2,z3,z4)を使用する。信号S1は、信号S1に関連付けられたパイロットシンボルと共に第1のアンテナで送信される。信号S1は縦のハッチングによって表されている。
【0161】
送信元Srcは、情報ビットから取得された複素シンボルから成る第2の信号S2を形成するために、4つのタイムスロットから成る各スロットにf2(z1,z2,z3,z4)=(−z2*,z1*,−z4*,z3*)を使用する。信号S2は、信号S2に関連付けられたパイロットシンボルと共に送信元Srcの第2のアンテナで送信される。信号S2は横のハッチングによって表されている。
【0162】
中継器RL1〜RL4及び宛先Destは、信号S1及びS2を受信する。
【0163】
時刻T1において、中継器RL1は、信号S1及びS2からの情報ビットの復号に成功する。
【0164】
中継器RL1は、S1、S2、S3、及びS4である複数の信号の中の各可能な信号のパイロットシンボルの受信電力を検出する。
【0165】
中継器RL1は、例えば、パイロットシンボル電力が最小のものの1つである信号S3を選択する。
【0166】
中継器RL1は、時刻T1から転送されるべき複素シンボルからなる信号S3を、復号された情報ビットから導出する。また、中継器RL1は、復号に成功した時刻T1から転送されるべき信号S3の部分を、信号S3に関連付けられたパイロットシンボルと共に中継器RL1のアンテナで転送する。信号S3はチェックの模様によって表されている。
【0167】
T1から、中継器RL2〜RL4及び宛先Destは、送信元及び中継器RL1によって送信された信号S1、S2、及びS3を受信する。
【0168】
時刻T2において、中継器RL2は、信号S1、S2、及びS3からの情報ビットの復号に成功する。
【0169】
中継器RL2は、S1、S2、S3、及びS4である複数の信号の中の各可能な信号のパイロットシンボルの受信電力を検出する。
【0170】
中継器RL2は、例えば、パイロットシンボルが最も低い信号S4を選択する。
【0171】
中継器RL2は、時刻T2から転送されるべき複素シンボルからなる信号S4を、復号された情報ビットから導出する。また、中継器RL2は、復号に成功した時刻T2から転送されるべき信号S4の部分を、信号S4に関連付けられたパイロットシンボルと共に中継器RL2のアンテナで転送する。信号S4は斜めのハッチングによって表されている。
【0172】
T2から、中継器RL3及びRL4並びに宛先Destは、信号S1、S2、S3、及びS4を受信する。
【0173】
時刻T3において、中継器RL3は、信号S1、S2、S3、及びS4からの情報ビットの復号に成功する。
【0174】
中継器RL3は、S1、S2、S3、及びS4である複数の信号の中の各可能な信号のパイロットシンボルの受信電力を検出する。
【0175】
中継器RL3は、例えば、パイロットシンボルが最も低い信号S1及びS4を選択する。
【0176】
中継器RL3は、時刻T3から転送されるべき複素シンボルからなる信号S1を復号された情報ビットから導出する。また、中継器RL3は、復号に成功した時刻T3から転送されるべき信号S1の部分を、信号S1に関連付けられたパイロットシンボルと共に中継器RL3の第1のアンテナで転送する。信号S1は縦のハッチングによって表されている。
【0177】
中継器RL3は、時刻T3から転送されるべき複素シンボルからなる信号S4を復号された情報ビットから導出する。また、中継器RL3は、復号に成功した時刻T3から転送されるべき信号S4の部分を、信号S4に関連付けられたパイロットシンボルと共に中継器RL3の第2のアンテナで転送する。信号S4は横のハッチングによって表されている。
【0178】
T3から、宛先Destは、送信元Src及び中継器RL3によって転送された信号S1を受信する。送信元Srcによって転送された信号S1に加えて中継器RL3が信号S1を転送することによって、宛先DestによるS1の受信電力強度は増加する。
【0179】
T2から、宛先Destは、送信元Src及び中継器RL3によって転送された信号S4を受信する。送信元Srcによって転送された信号S4に加えて中継器RL3が信号S4を転送することによって、宛先DestによるS4の受信電力強度は増加する。
【0180】
信号S1、S2、S3、及びS4は、ダイバーシティをもたらし、宛先Destによるより良好な復号を可能にする。
【0181】
図7は、本発明の第3の実現モードによる中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0182】
ステップS700において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号の、無線インターフェース205を通じた受信を検出する。
【0183】
情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの信号は、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、1つの情報語の送信の開始からこれまでに受信された複素変調シンボルに連結される。
【0184】
次のステップS701において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号を復号するように無線インターフェースに指令し、情報ビットから取得された他の複素変調シンボル及び中継器RLによってこれまでに受信された他の複素変調シンボルを含めることができる。
【0185】
情報ビットから取得された複素変調シンボルは、符号化ビットのソフト推定値に復調され、デインターリーブされ、情報ビット推定値に復号される。
【0186】
次のステップS702において、プロセッサー200は、情報ビットから取得された複素変調シンボルから成る少なくとも1つの受信信号の復号後に求められたCRCが正しいか否かをチェックする。
【0187】
CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS703に移動し、そうでない場合、プロセッサー200はステップS700に戻る。
【0188】
ここで、一変形では、CRCが正しい場合、プロセッサー200はステップS703に移動し、プロセッサー200は、情報ビットから取得された最後の受信された複素変調シンボルについて、肯定応答メッセージが宛先Destによって送信元Srcへ転送されているか否かをさらにチェックする。
【0189】
肯定応答メッセージが転送されていた場合、プロセッサー200はステップS700に戻り、そうでない場合、プロセッサー200はステップS703に移動する。
【0190】
ステップS703において、プロセッサー200は、情報ビットの復号の成功を通知するメッセージの中継器管理エンティティMEへの転送を指令する。
【0191】
中継器管理エンティティMEが専用デバイスであるか又はコアネットワークデバイスに含まれる場合、このメッセージは、アップリンク送信機213を通じて送信元Srcへ転送される。アップリンク送信機213は、通信ネットワークを通じてそのメッセージを中継器管理エンティティMEへ転送する。
【0192】
中継器管理エンティティMEが基地局に含まれる場合、メッセージは、アップリンク送信機213を通じて送信元Srcへ転送される。
【0193】
次のステップS704において、プロセッサー200は、ステップS703において転送されたメッセージに応答して、中継器RLが転送しなければならない信号を識別する情報を受信する。
【0194】
その後、プロセッサー200は、ステップS705において、識別された信号を符号化するように無線インターフェースに指令する。
【0195】
情報ビットが判明すると、情報ビットの復号の成功から転送されるべき識別された信号の部分を導出することが可能である。
【0196】
次のステップS706において、プロセッサー200は、復号の成功の時刻から転送されるべき識別された信号の部分の転送を指令する。
【0197】
選択された信号は、この選択された信号を識別する少なくとも1つのパイロットシンボルと組み合わせて転送することができる。
【0198】
図8は、本発明の第3の実現モードによる中継器管理エンティティによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0199】
より正確には、プロセッサー300が本アルゴリズムを実行する。
【0200】
ステップS800において、プロセッサー300は、情報ビットの復号の成功を通知するメッセージの受信を検出する。このメッセージは、図7のステップS703において開示したものと同様である。
【0201】
ステップS801において、プロセッサー300は、受信メッセージを転送した中継器RLの各アンテナについて複数の信号の中の1つの信号を識別する1つの情報を選択する。
【0202】
例えば、プロセッサー300は、メッセージを転送した中継器RLが転送すべき1つの信号を識別する情報をメモリー303に読み込む。
【0203】
別の例では、プロセッサー300は、例えば各信号の使用を最大にするために、他の中継器から受信されたこれまでのメッセージに従って、メッセージを転送した中継器RLが転送すべき1つの信号を識別する情報を選択する。
【0204】
次のステップS802において、プロセッサー300は、選択された信号を識別する情報を含む応答メッセージの、ステップS800において受信されたメッセージを送信した中継器RLへの転送を指令する。
【0205】
当然、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して数多くの変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラー通信ネットワークにおいて少なくとも送信元によって宛先へ転送された少なくとも1つの送信元信号からリトリーブされる情報ビットから取得された複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を中継器によって転送するための方法であって、前記送信元信号は、前記情報ビットから取得された複素シンボルから成り、
該方法は、前記中継器によって実行されるステップであって、
少なくとも前記送信元によって転送された少なくとも1つの送信元信号を受信するステップと、
前記少なくとも1つの受信された信号からの前記情報ビットの復号に成功するステップと、
前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得するステップと、
前記情報ビットの前記復号に成功した時刻から転送されるべき、前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る前記取得された信号の部分を転送するステップであって、前記取得された信号の前記部分の前記複素シンボルは、レートマッチングアルゴリズムによって生成された冗長性に対応する、転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記送信元は、前記情報ビットから取得された複素シンボルから成る1つの送信元信号を前記送信元の各アンテナを通じて転送し、
前記送信元のアンテナを通じて転送される各送信元信号は、前記送信元の別のアンテナを通じて転送される各送信元信号と異なることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中継器は、該中継器の前記アンテナのそれぞれについて、前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得し、
前記中継器のアンテナを通じて転送される各取得された信号は、前記中継器の別のアンテナを通じて転送される各取得された信号と異なることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つの取得された信号は、
前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を識別することと、
前記情報ビットの復号の成功から転送されるべき前記識別された信号の部分を前記復号された情報ビットから導出することと、
によって取得されることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記識別された信号は、前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る前記複数の信号から、ランダムに選択されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別された信号は、メモリーに記憶された少なくとも1つの情報を読み出すことによって識別されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記識別された信号は、
前記複数の信号の中の各可能な信号について関連付けられたパイロットシンボルの前記受信電力を測定することと、
前記関連付けられたパイロットシンボルの受信電力が最も低いものの1つである少なくとも1つの信号を識別することと、
によって識別されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
分散空間分割多重伝送方式が前記無線セルラー通信ネットワークで使用されることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
時空間ブロック符号が前記無線セルラー通信ネットワークで使用されることを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
無線セルラー通信ネットワークにおいて少なくとも送信元によって宛先へ転送された少なくとも1つの送信元信号からリトリーブされる情報ビットから取得された複素シンボルから成る少なくとも1つの信号を転送することができる中継器であって、前記送信元信号は、前記情報ビットから取得された複素シンボルから成り、
該中継器は、
少なくとも前記送信元によって転送された少なくとも1つの送信元信号を受信する手段と、
前記少なくとも1つの受信された信号からの前記情報ビットの復号に成功する手段と、
前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る複数の信号の中の1つの信号を取得する手段と、
前記情報ビットの前記復号に成功した時刻から転送されるべき、前記情報ビットから取得することができる複素シンボルから成る前記取得された信号の部分を転送する手段であって、前記取得された信号の前記部分の前記複素シンボルは、レートマッチングアルゴリズムによって生成された冗長性に対応する、転送する手段と、
を備えることを特徴とする、中継器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109667(P2011−109667A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−257078(P2010−257078)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】